説明

乗り心地改善型列車制御システム

【課題】朝ラッシュ等の列車密度が高い時間帯においても、列車の遅れを発生することなく、良好な乗り心地を実現する。
【解決手段】先行列車位置推定部12は、自列車位置検知部10により検知した自列車位置に基づき、制限速度情報保持部11に保持された情報から区間の始端位置と終端位置を検索して、自列車の在線区間を特定する。先行列車位置推定部12は、地上装置3からの制限速度と予告信号に基づき、制限速度情報保持部11に保持された情報を参照して、先行列車の位置情報を推定する。先行列車情報通知部13は、先行列車位置推定部12で推定した先行列車の位置情報を運転士4に通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、列車速度を自動的に制限速度以下となるように制御するATC(自動列車制御装置)を含む列車制御システム、特に、安全を確保しつつ良好な乗り心地を実現できる乗り心地改善型列車制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の列車制御システムとして、地上主体型のCS−ATC(車内信号方式ATC)があり、その一例は、特許文献1に示されている。
【0003】
地上主体型のCS−ATCでは、軌道回路によって分割された各区間に対し、各列車の位置関係に応じた制限速度が設定され、列車速度が制限速度を越えると、自動的に制限速度以下となるように減速制御を行なう。
【0004】
列車が下位の制限速度区間に、当該制限速度以上の速度で進入すると、ブレーキパターンが発生し、列車速度が当該ブレーキパターンよりも低ければ弱めのブレーキが動作し、列車速度が当該ブレーキパターンよりも高ければ全ブレーキが動作する。一方、次の区間で制限速度が下位に変化するか否かを、予告信号として運転士に通知し、不要な加速によって高い速度で下位の制限速度区間に進入してしまうのを防いでいる。これにより、下位の速度制限区間進入時に、急に全ブレーキが動作して乗り心地が悪くなるのを防いでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3145698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の地上主体型CS−ATCでは、列車の安全を確保しつつ、ある程度良好な乗り心地を実現できているが、朝ラッシュ時等の列車密度が高い時間帯では、以下に示すような問題が発生することがある。
【0007】
朝ラッシュ時等の列車密度が高い時間帯では、昼間の閑散時に比べて列車同士が接近状態にあり、先行列車の影響で、自列車が閑散時よりも低い速度制限を受けることがある。自列車は先行列車に近付いたり離れたりし、その影響で制限速度も上がったり下がったりするため、不要な加減速が発生して乗り心地が悪くなることがある。自列車は先行列車の位置や駅着発のタイミングの情報を持たないため、低い速度制限をどのようなタイミングで受けるか、現在受けている低い速度制限がどのようなタイミングで解除されるかわからず、最適な速度制御ができないという課題がある。
【0008】
また、自列車が先行列車の影響で低い速度制限を受けている場合に、不要な加減速を避けるため、先行列車との距離を確保しようとして速度を抑制して運転すると、自列車の後方の後続列車が低い速度制限を受けることになり、後続列車に遅れが発生することがある。自列車は、後続列車の位置や自列車が後続列車に及ぼす影響がわからないため、不用意に速度を抑制して自列車の乗り心地を良くしようとすると、後続の列車に悪影響を及ぼしてしまうという課題がある。
【0009】
また、自列車が、下位の制限速度区間に進入する際、次の区間の制限速度と勾配の条件によっては、高い速度で進入すると、すぐに前記ブレーキパターンを超過してしまい、急に全ブレーキが動作して乗り心地が悪くなることがある。自列車は、予告信号を受けている場合に、次の区間の制限速度が下位に変化することはわかるが、下位の速度制限区間の制限速度や、当該区間の勾配情報がわからないため、最適な次区間への進入制御ができないという課題がある。
【0010】
そこで、本発明の目的は、これらの課題を解決し、朝ラッシュ等の列車密度が高い時間帯においても、列車の遅れを発生することなく、良好な乗り心地を実現することが可能になる乗り心地改善型列車制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
すなわち、本発明の請求項1に係る乗り心地改善型列車制御システムは、列車が走行する軌道を分割した各区間について、当該区間の前方に在線する列車の位置に応じた制限速度情報、および当該区間の次の区間で制限速度が下位に変化することを示す予告信号を当該区間に在線する列車にそれぞれ送信する地上装置と、自列車速度が前記地上装置から送信された制限速度情報で示される制限速度を超えた場合には列車速度が自動的に前記示される制限速度以下となるように制御するとともに前記地上装置から送信された予告信号を通知し、下位の制限速度にある区間に列車が当該制限速度以上の速度で進入した場合にブレーキパターンを発生し、列車速度が当該ブレーキパターンで示される速度よりも低ければ弱めのブレーキを動作させ、列車速度が当該ブレーキパターンで示される速度よりも高ければ全ブレーキを動作させる自動列車制御装置と、自列車の軌道上での位置を検知する自列車位置検知手段と、各区間に列車が在線する場合の、当該区間の後方の区間に設定される制限速度の情報を保持する制限速度情報保持手段と、前記自列車位置検知手段により検知した自列車位置と、前記地上装置から送信された当該区間の制限速度情報および予告信号と、前記制限速度情報保持手段により保持される先行列車在線区間の後方の区間の制限速度情報とに基づいて、先行列車の軌道上での位置を推定する先行列車位置推定手段と、前記先行列車位置推定手段により推定した先行列車位置情報を通知する先行列車情報通知手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項2に係る乗り心地改善型列車制御システムは、列車が走行する軌道を分割した各区間について、当該区間の前方に在線する列車の位置に応じた制限速度情報、および当該区間の次の区間で制限速度が下位に変化することを示す予告信号を当該区間に在線する列車にそれぞれ送信する地上装置と、自列車速度が前記地上装置から送信された制限速度情報で示される制限速度を超えた場合には列車速度が自動的に前記示される制限速度以下となるように制御するとともに前記地上装置から送信された予告信号を通知し、下位の制限速度にある区間に列車が当該制限速度以上の速度で進入した場合にブレーキパターンを発生し、列車速度が当該ブレーキパターンで示される速度よりも低ければ弱めのブレーキを動作させ、列車速度が当該ブレーキパターンで示される速度よりも高ければ全ブレーキを動作させる自動列車制御装置と、自列車の先行列車の駅到着情報および駅出発情報を検知する先行列車駅着発情報検知手段と、前記先行列車駅着発情報検知手段により検知した先行列車の駅到着情報および駅出発情報に基づき、先行列車が駅停車中であるか否かを判定する先行列車駅停車判定手段と、前記先行列車駅着発情報検知手段により検知した先行列車の駅到着情報および駅出発情報に基づき、先行列車が駅に到着してからの経過時間を算出する先行列車駅停車時間算出手段と、前記先行列車駅停車判定手段による判定結果と、前記先行列車駅停車時間算出手段による算出結果とをそれぞれ通知する先行列車駅停車情報通知手段とを備えたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項3に係る乗り心地改善型列車制御システムは、列車が走行する軌道を分割した各区間について、当該区間の前方に在線する列車の位置に応じた制限速度情報、および当該区間の次の区間で制限速度が下位に変化することを示す予告信号を当該区間に在線する列車にそれぞれ送信する地上装置と、自列車速度が前記地上装置から送信された制限速度情報で示される制限速度を超えた場合には列車速度が自動的に前記示される制限速度以下となるように制御するとともに前記地上装置から送信された予告信号を通知し、下位の制限速度にある区間に列車が当該制限速度以上の速度で進入した場合にブレーキパターンを発生し、列車速度が当該ブレーキパターンで示される速度よりも低ければ弱めのブレーキを動作させ、列車速度が当該ブレーキパターンで示される速度よりも高ければ全ブレーキを動作させる自動列車制御装置と、先行列車の駅到着情報および駅出発情報を検知する先行列車駅着発情報検知手段と、各駅間の標準走行時間および各駅の標準停車時間を保持する標準走行時間・停車時間保持手段と、前記先行列車駅着発情報検知手段による検知結果および前記保持される情報をもとに先行列車の次駅出発時刻を予測する先行列車出発時刻予測手段と、自列車出発時刻と前記先行列車出発時刻予測手段により予測した先行列車次駅出発時刻とに基づいて、自列車に対する先行列車の影響の有無と大きさを判定する先行列車影響判定手段と、前記先行列車影響判定手段による判定結果を通知する先行列車影響情報通知手段とを備えたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項4に係る乗り心地改善型列車制御システムは、列車が走行する軌道を分割した各区間について、当該区間の前方に在線する列車の位置に応じた制限速度情報、および当該区間の次の区間で制限速度が下位に変化することを示す予告信号を当該区間に在線する列車にそれぞれ送信する地上装置と、自列車速度が前記地上装置から送信された制限速度情報で示される制限速度を超えた場合には列車速度が自動的に前記示される制限速度以下となるように制御するとともに前記地上装置から送信された予告信号を通知し、下位の制限速度にある区間に列車が当該制限速度以上の速度で進入した場合にブレーキパターンを発生し、列車速度が当該ブレーキパターンで示される速度よりも低ければ弱めのブレーキを動作させ、列車速度が当該ブレーキパターンで示される速度よりも高ければ全ブレーキを動作させる自動列車制御装置と、先行列車の駅到着情報および駅出発情報を検知する先行列車駅着発情報検知手段と、各駅間の標準走行時間および各駅の標準停車時間を保持する標準走行時間・停車時間保持手段と、前記先行列車駅着発情報検知手段による検知結果および前記保持される情報をもとに先行列車の次駅出発時刻を予測する先行列車出発時刻予測手段と、自列車出発時刻と前記先行列車出発時刻予測手段により予測した先行列車次駅出発時刻とに基づいて、自列車に対する先行列車の影響の有無と大きさを判定する先行列車影響判定手段と、前記先行列車影響判定手段による判定結果に基づいて、自列車の走行モードを自列車の制限速度内の速度で走行する高速運転モードまたは前記高速運転モードにおける速度より抑制した速度で走行する遅速運転可能モードに設定する走行モード設定手段と、前記走行モード設定手段により設定した走行モードに従って自列車の走行を制御する走行制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の請求項5に係る乗り心地改善型列車制御システムは、列車が走行する軌道を分割した各区間について、当該区間の前方に在線する列車の位置に応じた制限速度情報、および当該区間の次の区間で制限速度が下位に変化することを示す予告信号を当該区間に在線する列車にそれぞれ送信する地上装置と、自列車速度が前記地上装置から送信された制限速度情報で示される制限速度を超えた場合には列車速度が自動的に前記示される制限速度以下となるように制御するとともに前記地上装置から送信された予告信号を通知し、下位の制限速度にある区間に列車が当該制限速度以上の速度で進入した場合にブレーキパターンを発生し、列車速度が当該ブレーキパターンで示される速度よりも低ければ弱めのブレーキを動作させ、列車速度が当該ブレーキパターンで示される速度よりも高ければ全ブレーキを動作させる自動列車制御装置と、自列車の軌道上での位置を検知する自列車位置検知手段と、前記自列車位置検知手段により検知した自列車位置に基づき、自列車の後方の駅ホーム区間の制限速度が後続列車の進入に対して支障のない制限速度となっているか否かを判定する後続列車への影響判定手段と、前記後続列車への影響判定手段により判定した後続列車への影響の有無を通知する後続列車への影響情報通知手段とを備えたことを特徴とする。
【0016】
また、本発明の請求項6に係る乗り心地改善型列車制御システムは、列車が走行する軌道を分割した各区間について、当該区間の前方に在線する列車の位置に応じた制限速度情報、および当該区間の次の区間で制限速度が下位に変化することを示す予告信号を当該区間に在線する列車にそれぞれ送信する地上装置と、自列車速度が前記地上装置から送信された制限速度情報で示される制限速度を超えた場合には列車速度が自動的に前記示される制限速度以下となるように制御するとともに前記地上装置から送信された予告信号を通知し、下位の制限速度にある区間に列車が当該制限速度以上の速度で進入した場合にブレーキパターンを発生し、列車速度が当該ブレーキパターンで示される速度よりも低ければ弱めのブレーキを動作させ、列車速度が当該ブレーキパターンで示される速度よりも高ければ全ブレーキを動作させる自動列車制御装置と、自列車の軌道上での位置を検知する自列車位置検知手段と、自列車後方の駅ホーム区間の制限速度が、後続列車の当該駅進入に支障のない制限速度となる自列車位置と前記自列車位置検知手段により検知した現在の自列車位置とに基づき、後続列車に対する自列車の影響の有無を判定する後続列車への影響判定手段と、前記後続列車への影響判定手段による判定結果に基づいて、自列車の走行モードを自列車の制限速度内の速度で走行する高速運転モードまたは前記高速運転モードにおける速度より抑制した速度で走行する遅速運転可能モードに設定する走行モード設定手段と、前記走行モード設定手段により設定した走行モードに従って自列車の走行を制御する走行制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0017】
また、本発明の請求項7に係る乗り心地改善型列車制御システムは、列車が走行する軌道を分割した各区間について、当該区間の前方に在線する列車の位置に応じた制限速度情報、および当該区間の次の区間で制限速度が下位に変化することを示す予告信号を当該区間に在線する列車にそれぞれ送信する地上装置と、自列車速度が前記地上装置から送信された制限速度情報で示される制限速度を超えた場合には列車速度が自動的に前記示される制限速度以下となるように制御するとともに前記地上装置から送信された予告信号を通知し、下位の制限速度にある区間に列車が当該制限速度以上の速度で進入した場合にブレーキパターンを発生し、列車速度が当該ブレーキパターンで示される速度よりも低ければ弱めのブレーキを動作させ、列車速度が当該ブレーキパターンで示される速度よりも高ければ全ブレーキを動作させる自動列車制御装置と、自列車の軌道上での位置を検知する自列車位置検知手段と、後続列車の軌道上での位置を検知する後続列車位置検知手段と、各区間に列車が在線する場合の、当該区間の後方の区間に設定される制限速度の情報を保持する制限速度情報保持手段と、前記自列車位置検知手段により検知した自列車位置、前記後続列車位置検知手段により検知した後続列車位置、前記制限速度情報保持手段により保持される制限速度情報に基づき、自列車の影響で制限速度が低下する区間に後続列車が在線するか否かを判定する後続列車への影響判定手段と、前記後続列車への影響判定手段による判定結果を通知する後続列車への影響情報通知手段とを備えたことを特徴とする。
【0018】
また、本発明の請求項8に係る乗り心地改善型列車制御システムは、列車が走行する軌道を分割した各区間について、当該区間の前方に在線する列車の位置に応じた制限速度情報、および当該区間の次の区間で制限速度が下位に変化することを示す予告信号を当該区間に在線する列車にそれぞれ送信する地上装置と、自列車速度が前記地上装置から送信された制限速度情報で示される制限速度を超えた場合には列車速度が自動的に前記示される制限速度以下となるように制御するとともに前記地上装置から送信された予告信号を通知し、下位の制限速度にある区間に列車が当該制限速度以上の速度で進入した場合にブレーキパターンを発生し、列車速度が当該ブレーキパターンで示される速度よりも低ければ弱めのブレーキを動作させ、列車速度が当該ブレーキパターンで示される速度よりも高ければ全ブレーキを動作させる自動列車制御装置と、自列車の軌道上での位置を検知する自列車位置検知手段と、後続列車の軌道上での位置を検知する後続列車位置検知手段と、各区間に列車が在線する場合の、当該区間の後方の区間に設定される制限速度の情報を保持する制限速度情報保持手段と、前記自列車位置検知手段により検知した自列車位置、前記後続列車位置検知手段により検知した後続列車位置、前記制限速度情報保持手段により保持される制限速度情報に基づき、自列車の影響で制限速度が低下する区間に後続列車が在線するか否かを判定する後続列車への影響判定手段と、前記後続列車への影響判定手段による判定結果に基づいて、自列車の走行モードを自列車の制限速度内の速度で走行する高速運転モードまたは前記高速運転モードにおける速度より抑制した速度で走行する遅速運転可能モードに設定する走行モード設定手段と、前記走行モード設定手段により設定した走行モードに従って列車の走行を制御する走行制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0019】
また、本発明の請求項9に係る乗り心地改善型列車制御システムは、列車が走行する軌道を分割した各区間について、当該区間の前方に在線する列車の位置に応じた制限速度情報、および当該区間の次の区間で制限速度が下位に変化することを示す予告信号を当該区間に在線する列車にそれぞれ送信する地上装置と、自列車速度が前記地上装置から送信された制限速度情報で示される制限速度を超えた場合には列車速度が自動的に前記示される制限速度以下となるように制御するとともに前記地上装置から送信された予告信号を通知し、下位の制限速度にある区間に列車が当該制限速度以上の速度で進入した場合にブレーキパターンを発生し、列車速度が当該ブレーキパターンで示される速度よりも低ければ弱めのブレーキを動作させ、列車速度が当該ブレーキパターンで示される速度よりも高ければ全ブレーキを動作させる自動列車制御装置と、自列車の軌道上での位置を検知する自列車位置検知手段と、各区間に列車が在線する場合の、当該区間の後方の区間に設定される制限速度の情報を保持する制限速度情報保持手段と、前記自列車位置検知手段により検知した自列車位置と、前記地上装置から送信された当該区間の制限速度情報および予告信号と、前記制限速度情報保持手段により保持される先行列車在線区間の後方の区間の制限速度情報とに基づいて、前方区間の制限速度情報を推定する前方制限速度情報推定手段と、前方制限速度情報推定手段による推定結果を通知する前方制限速度情報通知手段とを備えたことを特徴とする。
【0020】
また、本発明の請求項10に係る乗り心地改善型列車制御システムは、列車が走行する軌道を分割した各区間について、当該区間の前方に在線する列車の位置に応じた制限速度情報、および当該区間の次の区間で制限速度が下位に変化することを示す予告信号を当該区間に在線する列車にそれぞれ送信する地上装置と、自列車速度が前記地上装置から送信された制限速度情報で示される制限速度を超えた場合には列車速度が自動的に前記示される制限速度以下となるように制御するとともに前記地上装置から送信された予告信号を通知し、下位の制限速度にある区間に列車が当該制限速度以上の速度で進入した場合にブレーキパターンを発生し、列車速度が当該ブレーキパターンで示される速度よりも低ければ弱めのブレーキを動作させ、列車速度が当該ブレーキパターンで示される速度よりも高ければ全ブレーキを動作させる自動列車制御装置と、自列車の軌道上での位置を検知する自列車位置検知手段と、各区間に列車が在線する場合の、当該区間の後方の区間に設定される制限速度の情報を保持する制限速度情報保持手段と、前記自列車位置検知手段により検知した自列車位置と、前記地上装置から送信された当該区間の制限速度情報および予告信号と、前記制限速度情報保持手段により保持される先行列車在線区間の後方の区間の制限速度情報とに基づいて、前方区間の制限速度情報を推定する前方制限速度情報推定手段と、前方制限速度情報推定手段による推定結果に基づいて列車の走行制御を行なう走行制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0021】
また、本発明の請求項11に係る乗り心地改善型列車制御システムは、請求項9または請求項10に記載の乗り心地改善型列車制御システムであって、先行列車の軌道上での位置を検知する先行列車位置検知手段をさらに備え、前記前方制限速度情報推定手段は、前記自列車位置検知手段により検知した自列車位置と、前記地上装置から送信された当該区間の制限速度情報および予告信号と、前記先行列車位置検知手段により検知した先行列車位置と、前記制限速度情報保持手段により保持される先行列車在線区間の後方の区間の制限速度情報に基づいて、前方区間の制限速度情報を推定することを特徴とする。
【0022】
また、本発明の請求項12に係る乗り心地改善型列車制御システムは、請求項9乃至請求項11のいずれか1つに記載の乗り心地改善型列車制御システムであって、前記前方区間の制限速度情報は、次の区間の制限速度、前方の複数の区間の制限速度、停止信号区間までの距離、先行列車在線区間、先行列車在線区間までの距離、先行列車在線区間の区間最高速度、先行列車尾端までの距離のうち少なくとも一つであることを特徴とする。
【0023】
また、本発明の請求項13に係る乗り心地改善型列車制御システムは、本発明の請求項9または請求項10記載の乗り心地改善型列車制御システムであって、前記自列車位置検知手段により算出した自列車位置に基づき、位置検知誤差を考慮して遅れ側および進み側の自列車位置、遅れ側および進み側の自列車在線区間を算出するとともに、前記制限速度情報保持手段により保持される先行列車在線区間の後方の区間の制限速度情報に基づいて、前記遅れ側、進み側およびその中間の区間で発生し得る制限速度および予告信号と、前記地上装置から送信された制限速度情報および予告信号とを比較し、自列車位置と制限速度および予告信号の整合性を確認する整合性確認手段を更に設け、前記前方制限速度情報推定手段は、前記整合性確認手段により整合性を確認した場合に、前記前方区間の制限速度情報を推定することを特徴とする。
【0024】
また、本発明の請求項14に係る乗り心地改善型列車制御システムは、請求項10または請求項12に記載の乗り心地改善型列車制御システムであって、列車の走行する軌道上の勾配情報を保持した勾配情報保持手段と、前記予告信号により、次の区間の制限速度が下位に変化すると予測された場合に、前記前方制限速度情報推定手段による推定結果および前記勾配情報保持手段により保持する勾配情報をもとに、自列車が当該次の区間に進入する手前から、全ブレーキよりも弱いブレーキを動作させて下位の制限速度まで減速した場合の、現在位置から勾配を考慮した減速シミュレーションを行なうシミュレーション手段とを更に備え、前記走行制御手段は、前記シミュレーション手段によるシミュレーション結果で示される減速終了点がブレーキパターンを超過しないタイミングで、全ブレーキよりも弱いブレーキを動作させることを特徴とする。
【0025】
また、本発明の請求項15に係る乗り心地改善型列車制御システムは、列車が走行する軌道を分割した各区間について、当該区間の前方に在線する列車の位置に応じた制限速度情報、および当該区間の次の区間で制限速度が下位に変化することを示す予告信号を当該区間に在線する列車にそれぞれ送信する地上装置と、自列車速度が前記地上装置から送信された制限速度情報で示される制限速度を超えた場合には列車速度が自動的に前記示される制限速度以下となるように制御するとともに前記地上装置から送信された予告信号を通知し、下位の制限速度にある区間に列車が当該制限速度以上の速度で進入した場合にブレーキパターンを発生し、列車速度が当該ブレーキパターンで示される速度よりも低ければ弱めのブレーキを動作させ、列車速度が当該ブレーキパターンで示される速度よりも高ければ全ブレーキを動作させる自動列車制御装置と、自列車の軌道上での位置を検知する自列車位置検知手段と、列車の走行する軌道上の勾配情報を保持した勾配情報保持手段と、前記予告信号により、次の区間の制限速度が下位に変化すると予測された場合に、前記自列車位置検知手段により検知した自列車位置および前記勾配情報保持手段により保持する勾配情報をもとに、自列車が当該次の区間に進入する手前から、全ブレーキよりも弱いブレーキを動作させて所定時間減速した場合の、現在位置から勾配を考慮した減速シミュレーションを行なうシミュレーション手段と、前記シミュレーション手段によるシミュレーション結果で示される減速終了点がブレーキパターンを超過しないタイミングで、全ブレーキよりも弱いブレーキを動作させるようにして列車の走行を制御する走行制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0026】
また、本発明の請求項16に係る乗り心地改善型列車制御システムは、請求項15に記載の乗り心地改善型列車制御システムであって、前記シミュレーション手段は、前記予告信号により、次の区間の制限速度が下位に変化すると予測された場合に、前記自列車位置検知手段により検知した自列車位置および前記勾配情報保持手段により保持する勾配情報をもとに、自列車が当該次の区間に進入する手前から、全ブレーキよりも弱いブレーキを動作させて所定時間減速し、さらに、前記全ブレーキよりも弱いブレーキと全ブレーキとの中間のブレーキを動作させて所定時間減速した場合の、現在位置から勾配を考慮した減速シミュレーションを行ない、前記走行制御手段は、前記シミュレーション手段によるシミュレーション結果で示される減速終了点がブレーキパターンを超過しないタイミングで、全ブレーキよりも弱いブレーキを動作させて所定時間減速した後、前記全ブレーキよりも弱いブレーキと全ブレーキとの中間のブレーキを動作させるようにして列車の走行を制御することを特徴とする。
【0027】
また、本発明の請求項17に係る乗り心地改善型列車制御システムは、列車が走行する軌道を分割した各区間について、当該区間の前方に在線する列車の位置に応じた制限速度情報、および当該区間の次の区間で制限速度が下位に変化することを示す予告信号を当該区間に在線する列車にそれぞれ送信する地上装置と、自列車速度が前記地上装置から送信された制限速度情報で示される制限速度を超えた場合には列車速度が自動的に前記示される制限速度以下となるように制御するとともに前記地上装置から送信された予告信号を通知し、下位の制限速度にある区間に列車が当該制限速度以上の速度で進入した場合にブレーキパターンを発生し、列車速度が当該ブレーキパターンで示される速度よりも低ければ弱めのブレーキを動作させ、列車速度が当該ブレーキパターンで示される速度よりも高ければ全ブレーキを動作させる自動列車制御装置と、自列車の軌道上での位置を検知する自列車位置検知手段と、各区間に列車が在線する場合の、当該区間の後方の区間に設定される制限速度の情報を保持する制限速度情報保持手段と、前記自列車位置検知手段により検知した自列車位置と、前記地上装置から送信された当該区間の制限速度情報および予告信号と、前記制限速度情報保持手段により保持される先行列車在線区間の後方の区間の制限速度情報とに基づいて、前方区間の制限速度情報を推定する前方制限速度情報推定手段と、列車の走行する軌道上の勾配情報を保持した勾配情報保持手段と、次の区間の制限速度が下位に変化すると予測された場合に、前記前方制限速度情報推定手段による推定結果および前記勾配情報保持手段により保持する勾配情報をもとに、自列車が当該次の区間に進入する手前から、全ブレーキよりも弱いブレーキを動作させて下位の制限速度まで減速した場合の、現在位置から勾配を考慮した減速シミュレーションを行なうシミュレーション手段と、前記シミュレーション手段によるシミュレーション結果で示されるブレーキタイミングおよびブレーキ指令を通知するブレーキ条件通知手段とを備えたことを特徴とする。
【0028】
また、本発明の請求項18に係る乗り心地改善型列車制御システムは、請求項17に記載の乗り心地改善型列車制御システムであって、先行列車の軌道上での位置を検知する先行列車位置検知手段をさらに備え、前記前方制限速度情報推定手段は、前記自列車位置検知手段により検知した自列車位置と、前記地上装置から送信された当該区間の制限速度情報および予告信号と、前記先行列車位置検知手段により検知した先行列車位置と、前記制限速度情報保持手段により保持される先行列車在線区間の後方の区間の制限速度情報に基づいて、前記前方区間の制限速度情報を推定することを特徴とする。
【0029】
また、本発明の請求項19に係る乗り心地改善型列車制御システムは、列車が走行する軌道を分割した各区間について、当該区間の前方に在線する列車の位置に応じた制限速度情報、および当該区間の次の区間で制限速度が下位に変化することを示す予告信号を当該区間に在線する列車にそれぞれ送信する地上装置と、自列車速度が前記地上装置から送信された制限速度情報で示される制限速度を超えた場合には列車速度が自動的に前記示される制限速度以下となるように制御するとともに前記地上装置から送信された予告信号を通知し、下位の制限速度にある区間に列車が当該制限速度以上の速度で進入した場合にブレーキパターンを発生し、列車速度が当該ブレーキパターンで示される速度よりも低ければ弱めのブレーキを動作させ、列車速度が当該ブレーキパターンで示される速度よりも高ければ全ブレーキを動作させる自動列車制御装置と、自列車の軌道上での位置を検知する自列車位置検知手段と、列車の走行する軌道上の勾配情報を保持した勾配情報保持手段と、次の区間の制限速度が下位に変化すると予測された場合に、前記自列車位置検知手段により検知した自列車位置および前記勾配情報保持手段により保持する勾配情報をもとに、自列車が当該次の区間に進入する手前から、全ブレーキよりも弱いブレーキを動作させて所定時間減速した場合の、現在位置から勾配を考慮した減速シミュレーションを行なうシミュレーション手段と、前記シミュレーション手段によるシミュレーション結果で示されるブレーキタイミングおよびブレーキ指令を通知するブレーキ条件通知手段とを備えたことを特徴とする。
【0030】
また、本発明の請求項20に係る乗り心地改善型列車制御システムは、請求項19に記載の乗り心地改善型列車制御システムであって、前記シミュレーション手段は、前記予告信号により、次の区間の制限速度が下位に変化すると予測された場合に、前記自列車位置検知手段により検知した自列車位置および前記勾配情報保持手段により保持する勾配情報をもとに、自列車が当該次の区間に進入する手前から、全ブレーキよりも弱いブレーキを動作させて所定時間減速し、さらに、前記全ブレーキよりも弱いブレーキと全ブレーキの中間のブレーキを動作させて所定時間減速した場合の、現在位置から勾配を考慮した減速シミュレーションを行なうことを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
本発明の請求項1に係る乗り心地改善型列車制御システムによれば、運転士は先行列車の位置を把握でき、先行列車位置に応じた運転を行なうことができるので、朝ラッシュ時等の列車密度が高い時間帯でも、不要な加減速が抑制されて良好な乗り心地を実現することができる。
【0032】
また、本発明の請求項2に係る乗り心地改善型列車制御システムによれば、運転士は先行列車が駅に停車しているか否かと、先行列車が駅に到着してからの時間とを把握でき、先行列車の状況に応じた運転を行なうことができるので、朝ラッシュ時等の列車密度が高い時間帯でも、不要な加減速が抑制されて良好な乗り心地を実現することができる。
【0033】
また、本発明の請求項3に係る乗り心地改善型列車制御システムによれば、運転士は、先行列車の自列車に対する影響の有無を把握でき、先行列車の状況に応じた運転を行なうことができるので、朝ラッシュ時等の列車密度が高い時間帯でも、不要な加減速が抑制されて良好な乗り心地を実現することができる。
【0034】
また、本発明の請求項4に係る乗り心地改善型列車制御システムによれば、列車側の装置は、先行列車の自列車に対する影響の度合いを把握し、先行列車の影響の度合いに応じて列車の走行を制御することができるので、朝ラッシュ時等の列車密度が高い時間帯でも、不要な加減速が抑制されて良好な乗り心地を実現することができる。
【0035】
また、本発明の請求項5に係る乗り心地改善型列車制御システムによれば、運転士は、自列車が後続列車の駅進入に影響を及ぼすか否かを把握でき、後続列車に影響を及ぼさない範囲で不要な加減速を抑制する運転を行なうことができるので、朝ラッシュ時等の列車密度が高い時間帯でも、後続列車の遅れを生じることなく、良好な乗り心地を実現することができる。
【0036】
また、本発明の請求項6に係る乗り心地改善型列車制御システムによれば、列車側の装置は、自列車が後続列車の駅進入に影響を及ぼすか否かを把握でき、後続列車に影響を及ぼさない範囲で不要な加減速を抑制するように列車の走行を制御することができるので、朝ラッシュ時等の列車密度が高い時間帯でも、後続列車の遅れを生じることなく、良好な乗り心地を実現することができる。
【0037】
また、本発明の請求項7に係る乗り心地改善型列車制御システムによれば、運転士は、自列車の後続列車に対する影響の有無を把握でき、後続列車に影響を及ぼさない範囲で不要な加減速を抑制する運転を行なうことができるので、朝ラッシュ時等の列車密度が高い時間帯でも、後続列車の遅れを生じることなく、良好な乗り心地を実現することができる。
【0038】
また、本発明の請求項8に係る乗り心地改善型列車制御システムによれば、列車側の装置は、自列車の後続列車に対する影響の有無を把握でき、後続列車に影響を及ぼさない範囲で不要な加減速を抑制するように列車の走行を制御することができるので、朝ラッシュ時等の列車密度が高い時間帯でも、後続列車の遅れを生じることなく、良好な乗り心地を実現することができる。
【0039】
また、本発明の請求項9に係る乗り心地改善型列車制御システムによれば、運転士は、前方区間の制限速度を把握でき、先の制限速度変化を踏まえた運転を行なうことができるので、朝ラッシュ時等の列車密度が高い時間帯でも、不要な加減速や急な全ブレーキ動作が抑制されて良好な乗り心地を実現することができる。
【0040】
また、本発明の請求項10に係る乗り心地改善型列車制御システムによれば、列車側の装置は、前方区間の制限速度を把握でき、先の制限速度変化を踏まえて列車の走行を制御することができるので、朝ラッシュ時等の列車密度が高い時間帯でも、不要な加減速や急な全ブレーキ動作が抑制されて良好な乗り心地を実現することができる。
【0041】
また、本発明の請求項11に係る乗り心地改善型列車制御システムによれば、運転士は、前方区間の制限速度を把握でき、先の制限速度変化を踏まえた運転を行なうことができるので、朝ラッシュ時等の列車密度が高い時間帯でも、不要な加減速や急な全ブレーキ動作が抑制されて良好な乗り心地を実現することができる。
【0042】
本発明の請求項13に係る乗り心地改善型列車制御システムによれば、運転士または列車側の装置は、自列車位置の検知誤差がある場合でも、前方区間の制限速度を正しく把握することができるので、朝ラッシュ時等の列車密度が高い時間帯でも、不要な加減速や急な全ブレーキ動作が抑制されて良好な乗り心地を実現することができる。
【0043】
本発明の請求項14に係る乗り心地改善型列車制御システムによれば、列車側の装置は、下位の制限速度進入時に全ブレーキを動作させないように、早めにブレーキをかける際の、最適な減速開始点を決定できるので、不要に走行時間を伸ばすことなく、良好な乗り心地を実現することができる。
【0044】
本発明の請求項15に係る乗り心地改善型列車制御システムによれば、列車側の装置は、下位の速度制限区間進入時に、全ブレーキ動作前に、全ブレーキよりも弱めのブレーキを所定時間以上動作させることができるので、朝ラッシュ時等の列車密度が高い時間帯でも、急な全ブレーキ動作が抑制されて良好な乗り心地を実現することができる。
【0045】
本発明の請求項16に係る乗り心地改善型列車制御システムによれば、列車側の装置は、下位の速度制限区間進入時に、全ブレーキ動作前に、全ブレーキよりも弱めのブレーキを所定時間以上動作させ、さらに、全ブレーキより弱めのブレーキと全ブレーキの中間段のブレーキを所定時間以上動作させることができるので、朝ラッシュ時等の列車密度が高い時間帯でも、急な全ブレーキ動作が抑制されて良好な乗り心地を実現することができる。
【0046】
本発明の請求項17乃至請求項20のいずれかに係る乗り心地改善型列車制御システムによれば、運転士は、全ブレーキ動作させないためのブレーキ条件や、急な全ブレーキ動作を抑制するためのブレーキ条件を把握でき、当該ブレーキ条件に従って運転を行なうことができるので、朝ラッシュ時等の列車密度が高い時間帯でも、良好な乗り心地を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第1の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの構成例を示すブロック図。
【図2】本発明の第1の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの制限速度情報保持部にしたがった動作を説明するための図。
【図3】本発明の第1の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの処理動作の一例を示すフローチャート。
【図4】本発明の第2の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの構成例を示すブロック図。
【図5】本発明の第2の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの処理動作の一例を示すフローチャート。
【図6】本発明の第3の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの構成例を示すブロック図。
【図7】本発明の第3の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの先行列車影響判定部の動作を説明するための図。
【図8】本発明の第3の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの先行列車影響判定部の動作を説明するための図。
【図9】本発明の第3の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの処理動作の一例を示すフローチャート。
【図10】本発明の第4の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの構成例を示すブロック図。
【図11】本発明の第4の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの処理動作の一例を示すフローチャート。
【図12】本発明の第5の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの構成例を示すブロック図。
【図13】本発明の第5の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの後続列車への影響判定部の動作を説明するための図。
【図14】本発明の第5の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの処理動作の一例を示すフローチャート。
【図15】本発明の第6の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの構成例を示すブロック図。
【図16】本発明の第6の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの処理動作の一例を示すフローチャート。
【図17】本発明の第7の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの構成例を示すブロック図。
【図18】本発明の第7の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの後続列車への影響判定部の動作を説明するための図。
【図19】本発明の第7の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの処理動作の一例を示すフローチャート。
【図20】本発明の第8の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの構成例を示すブロック図。
【図21】本発明の第8の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの処理動作の一例を示すフローチャート。
【図22】本発明の第9の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの構成例を示すブロック図。
【図23】本発明の第9の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの前方制限速度情報推定部の動作を説明するための図。
【図24】本発明の第9の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの処理動作の一例を示すフローチャート。
【図25】本発明の第10の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの構成例を示すブロック図。
【図26】本発明の第10の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの処理動作の一例を示すフローチャート。
【図27】本発明の第11の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの構成例を示すブロック図。
【図28】本発明の第11の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの処理動作の一例を示すフローチャート。
【図29】本発明の第12の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの構成例を示すブロック図。
【図30】本発明の第12の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの処理動作の一例を示すフローチャート。
【図31】本発明の第13の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの構成例を示すブロック図。
【図32】本発明の第13の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの整合性確認部の動作を説明するための図。
【図33】本発明の第13の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの処理動作の一例を示すフローチャート。
【図34】本発明の第14の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの構成例を示すブロック図。
【図35】本発明の第14の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムのシミュレーション部の動作を説明するための図。
【図36】本発明の第14の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの処理動作の一例を示すフローチャート。
【図37】本発明の第15および第16の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの構成例を示すブロック図。
【図38】本発明の第15の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムのシミュレーション部の動作を説明するための図。
【図39】本発明の第15の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの処理動作の一例を示すフローチャート。
【図40】本発明の第16の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムのシミュレーション部の動作を説明するための図。
【図41】本発明の第16の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの処理動作の一例を示すフローチャート。
【図42】本発明の第17の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの構成例を示すブロック図。
【図43】本発明の第17の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの処理動作の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下図面により本発明の実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、本発明の第1の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの列車1内の車上制御装置8は、自動列車制御装置9、自列車位置検知部10、先行列車在線時の制限速度情報保持部11、先行列車位置推定部12および先行列車情報通知部13を有する。
【0049】
車上制御装置8の自動列車制御装置9は、列車1内の速度発電機7のパルス情報に基づいて列車速度を演算するとともに、列車1外の地上装置3から受信した制限速度情報と列車速度を比較し、列車速度が制限速度を超えている場合はブレーキ指令を出力して、列車速度が自動的に制限速度以下となるように制御する。
【0050】
また、自動列車制御装置9は、各区間の制限速度と併せて、当該区間の次の区間で制限速度が下位に変化することを示す予告信号を地上装置3から受信し、受信した予告信号を速度計5によって列車1の運転士4に通知するとともに、列車1が下位の制限速度区間に当該制限速度以上の速度で進入した場合にブレーキパターンを発生し、列車速度が当該ブレーキパターンよりも低ければ列車1内の制動・駆動制御装置6により弱めのブレーキを動作させ、列車速度が当該ブレーキパターンよりも高ければ制動・駆動制御装置6により全ブレーキを動作させる。
【0051】
車上制御装置8の自列車位置検知部10は、速度発電機7のパルス情報に基づいて列車1の移動距離を演算するとともに、地上に設置された位置検知用トランスポンダ地上子(図示せず)の情報を車上子(図示せず)で取得したり、ドアの開閉状況(図示せず)と、列車1がどの駅に在線しているかの情報(図示せず)に基づき、特定の駅の定位置に停止していることを把握したりして、自列車位置を検知する。
【0052】
車上制御装置8の先行列車在線時の制限速度情報保持部11は、列車1の走行する軌道を分割した各区間に列車が在線する場合に、その後方の区間の制限速度がどう設定されるかを軌道全体にわたって記録したものを保持する。
【0053】
先行列車在線時の制限速度情報保持部11が保持する情報は、例えば、各区間のそれぞれについて、区間の識別番号、区間の始端位置と終端位置、複数の異なる先行列車位置に対する制限速度を表にしたものが挙げられる。
【0054】
図2は、本発明の第1の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの制限速度情報保持部にしたがった動作を説明するための図である。
図2に示した図は、ある区間に先行列車が在線する場合の、当該区間後方の制限速度の設定例を示すものである。
図2中の点線は各区間の最高速度を示し、実線は先行列車の尾端が「区間TC2」に在線する場合の当該区間後方の制限速度を示す。先行列車の尾端が「区間TC2」に在線し、自列車が「区間TC9」に在線する場合、自列車は制限速度aを受け、次区間に進入すると制限速度bを受ける。制限速度bは制限速度aよりも低いので、自列車は、「区間TC9」に在線中、制限速度aと予告信号を地上装置3から受信する。
【0055】
図3は、本発明の第1の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの処理動作の一例を示すフローチャートである。
先行列車位置推定部12は、自列車位置検知部10により自列車位置を検知すると(ステップS1)、この自列車位置に基づき、制限速度情報保持部11に保持された情報から区間の始端位置と終端位置を検索して、自列車の在線区間を特定する(ステップS2,S3)。
【0056】
次に、先行列車位置推定部12は、地上装置3から受信して自動列車制御装置9で解読した制限速度と予告信号に基づき、制限速度情報保持部11に保持された情報を参照して、先行列車の在線区間を特定する(ステップS4,S5)。
【0057】
図2に示した例では、自列車が「区間TC9」に在線中、制限速度aと予告信号を受信するのは先行列車の尾端が「区間TC2」に在線する場合のみであるので、先行列車位置推定部12は、先行列車の在線区間を特定することができる。
【0058】
また、先行列車位置推定部12は、先行列車の在線区間を特定した後、自列車が同一区間を走行中に制限速度が上がった場合、先行列車の尾端が前記特定した区間の次の区間に遷移したと考えられ、区間の境界位置と自列車位置から先行列車尾端までの距離を推定することができる。
【0059】
また、先行列車位置推定部12は、地上装置3から在線区間の識別情報を得られる場合には、制限速度情報保持部11に保持された情報である区間の始端位置と終端位置の検索を行なう代わりに、地上装置3からの識別情報によって自列車の在線区間を特定してもよい。
【0060】
そして、先行列車情報通知部13は、先行列車位置推定部12で推定した先行列車の位置情報、すなわち前述した先行列車在線区間、あるいは先行列車在線区間までの距離、自列車先端から先行列車尾端までの距離等を運転士4に通知する(ステップS6)。通知の例としては、例えば、ディスプレイ装置等に、先行列車と自列車の位置関係を図示したり、自列車から先行列車までの距離を数値で表示したり、自列車が先行列車に所定距離以上接近した場合に、警告音を鳴らすことが挙げられる。
【0061】
以上のように、本発明の第1の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムでは、運転士4は、先行列車の位置情報を知ることにより、先行列車位置に応じた運転を行なうことができるので、朝ラッシュ時等の列車密度が高い時間帯でも、不要な加減速が抑制されて良好な乗り心地を実現することができる。
【0062】
先行列車在線区間の推定は、先行列車の影響で制限速度が下がっている区間か、先行列車の影響で、本来予告信号が出ない区間で予告信号が出ているケースでのみ実施可能である。
【0063】
また、異なる先行列車位置に対して後方の制限速度の設定が同一であるケースもあり、必ずしも先行列車の在線区間を一つに特定できるとは限らない。しかしながら、朝ラッシュ時等においては先行列車への接近は頻繁に発生し、先行列車の在線位置を特定できるケースは多いと考えられる。図1に示す構成の乗り心地改善型列車制御システムとすることにより、簡易な構成で先行列車の位置情報を得られるという利点がある。
【0064】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、以下の各実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの構成のうち図1に示したものと同一部分の説明は省略する。
図4は、本発明の第2の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの構成例を示すブロック図である。
図4に示すように、本発明の第2の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムにおいて、車上制御装置8は、第1の実施形態と異なり、自動列車制御装置9、先行列車駅着発情報検知部14、先行列車駅停車判定部15、先行列車駅停車時間算出部16および先行列車駅停車情報通知部17を有する。
【0065】
図5は、本発明の第2の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの処理動作の一例を示すフローチャートである。
自動列車制御装置9の動作は第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
先行列車駅着発情報検知部14は、例えば先行列車のドアの開閉状態の情報を取得するなどして、先行列車駅着発情報を検知する(ステップS21)。
【0066】
先行列車駅停車判定部15は、先行列車駅着発情報検知部14により検知した先行列車駅着発情報に基づいて、先行列車の駅到着および駅出発を検知し、先行列車が駅停車中か否かを判定する(ステップS22)。
【0067】
先行列車駅停車時間算出部16は、先行列車駅着発情報検知部14により検知した先行列車駅着発情報をもとに、先行列車が駅に停車した時点からの時間をカウントすることで先行列車駅停車時間を算出する(ステップS23)。
【0068】
また、先行列車駅着発情報検知部14により、先行列車の位置、または位置と速度の情報を検知した後で、この検知した情報をもとに、先行列車駅停車判定部15により、先行列車が駅停車中か否かを判定してもよい。また、先行列車駅着発情報検知部14は、先行列車がある駅に到着したとの情報およびある駅を出発したとの情報を、無線通信によって先行列車から直接取得する、または、各列車の情報を収集している地上側の管理システムから無線通信によって取得することで検知するようにしてもよい。
【0069】
先行列車駅停車情報通知部17は、先行列車の駅停車情報を運転士4に通知する(ステップS24)。先行列車の駅停車情報は、先行列車駅停車判定部15による先行列車が駅に停車しているか否かの判定結果、および先行列車駅停車時間算出部16により算出した、先行列車が駅に停車してからの経過時間でなる。通知の例としては、ディスプレイ装置等に、先行列車が駅停車中であることを自列車位置と併せて図示したり、駅に停車してからの経過時間を時々刻々表示したりすることが挙げられる。
【0070】
以上のように、本発明の第2の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムでは、運転士4は、先行列車の駅停車情報を知ることにより、当該先行列車の状況に応じた運転を行なうことができるので、朝ラッシュ時等の列車密度が高い時間帯でも、自列車の不要な加減速が抑制されて良好な乗り心地を実現することができる。
【0071】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。図6は、本発明の第3の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの構成例を示すブロック図である。
図6に示すように、本発明の第3の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムにおいて、車上制御装置8は、自動列車制御装置9、先行列車駅着発情報検知部14、標準走行時間・停車時間保持部18、先行列車出発時刻予測部19、先行列車影響判定部20および先行列車影響情報通知部21を有する。
標準走行時間・停車時間保持部18は、各駅間の標準走行時間および各駅での標準の停車時間を示す情報を保持する。
【0072】
自動列車制御装置9の動作は、本発明の第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
先行列車駅着発情報検知部14は、本発明の第2の実施形態と同様に、先行列車駅着発情報を検知する。
先行列車影響判定部20は、先行列車と自列車の接近状況によって決まる先行列車の自列車に対する影響の度合いを判定する。
【0073】
図7は、本発明の第3の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの先行列車影響判定部の動作を説明するための図である。
図7に示すように、自列車が先行列車に接近し、先行列車の影響を強く受けるのは、先行列車がある駅を出発した後、当該駅を短時間のうちに自列車が出発し、先行列車の次駅までの走行時間が長く、先行列車の次駅停車時間が長い場合である。自列車が前駅を出発した時刻が早く、先行列車が次駅を出発する時刻が遅いほど、自列車と先行列車は接近する。
すなわち、自列車が前駅を出発してから先行列車が次駅を出発するまでの時間が長いほど、自列車は先行列車の影響を受けやすい。
【0074】
図8は、本発明の第3の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの先行列車影響判定部の動作を説明するための図である。
図8では、ある駅間について、自列車の前駅出発から先行列車の次駅出発までの時間と、自列車の駅間走行時間の関係について調べた結果が示されており、この図8に示すように、自列車の前駅出発から先行列車の次駅出発までの時間が、所定値以内ならば自列車は先行列車の影響を受けず、駅間走行時間は標準走行時間のままである。しかしながら、自列車の前駅出発から先行列車の次駅出発までの時間が所定値を超えると、自列車の駅間走行時間が延び始め、自列車の前駅出発から先行列車の次駅出発までの時間がある程度長くなると、自列車の駅間停止が発生する。
【0075】
自列車の前駅出発から先行列車の次駅出発までの時間と自列車の駅間走行時間との関係は駅間毎に異なる。駅間走行時間が延び始めるしきい値は、駅間の距離が長いと長く、駅間の距離が短いと、先行列車が次駅を出発してから自列車が前駅を出発するので短くなる(マイナスになる)傾向がある。
【0076】
多くの場合、先行列車の次駅出発時刻は自列車の駅間走行中には分からないため、予測に頼らざるを得ない。また、先行列車の次駅停車時間は次駅の混雑状況、乗客の乗降時間に依存するため予測が難しい。
【0077】
しかしながら、前述の3つの要因、すなわち「先行列車がある駅を出発した後、当該駅を短時間のうちに自列車が出発」、「先行列車の次駅までの走行時間が長い」、「先行列車の次駅停車時間が長い」のうち、前の2つの要因については、自列車の前駅出発時および自列車の次駅までの走行中に検知して列車運転に反映することが可能である。
【0078】
図9は、本発明の第3の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの処理動作の一例を示すフローチャートである。
先行列車影響判定部20によって先行列車の自列車への影響度合いを判定するにあたり、その前段として、先行列車出発時刻予測部19は、先行列車駅着発情報検知部14により先行列車駅着発情報が検知されると(ステップS31)、標準走行時間・停車時間保持部18により保持される情報を取得し(ステップS32)、この取得した情報および先行列車駅着発情報検知部14からの先行列車駅着発情報をもとに先行列車の次駅出発時刻を予測する(ステップS33)。予測の方法を以下のケース(A)、ケース(B)、ケース(C)に示す。
【0079】
ケース(A)は、先行列車前駅出発後、前駅から次駅の標準走行時間経過までのケースであり、先行列車次駅出発予測時刻は、以下の式(1)で示される。
先行列車次駅出発予測時刻=先行列車前駅出発時刻+標準走行時間+標準停車時間 …式(1)
ケース(B)は、前駅から次駅の標準走行時間経過後、先行列車次駅停車までのケースであり、先行列車次駅出発予測時刻は、以下の式(2)で示される。
先行列車次駅出発予測時刻=現在時刻+標準停車時間 …式(2)
ケース(C)は、先行列車次駅到着後のケースであり、先行列車次駅出発予測時刻は、以下の式(3)で示される。
先行列車次駅出発予測時刻=次駅到着時刻+標準停車時間 …式(3)
ここまで述べた予測方法では、先行列車の駅停車時間の延びは考慮できないので、実際より早めに出発する予測となるが、先行列車の途中での駅間走行時間の延びを考慮して先行列車の次駅出発時刻を予測できる。
【0080】
先行列車影響判定部20は、先行列車出発時刻予測部19により予測した先行列車次駅出発時刻と自列車の前駅出発時刻との差に基づいて、先行列車の自列車への影響度合いを判定する(ステップS34)。
【0081】
ここで、先行列車出発時刻予測部19は、先先行列車(先行列車のさらに先の列車)の次駅出発時刻の情報が得られる場合は、先先行列車の次駅出発時刻情報と、先行列車の前駅出発時刻情報に基づいて、先行列車の次駅までの走行時間の延びを予測できるので、上記のケース(A)で、先先行列車が次駅を出発した後は、標準走行時間の代わりに先行列車の次駅までの走行時間予測値を用いることもできる。
【0082】
なお、先行列車出発時刻予測部19は、先行列車次駅出発時刻を予測する際に、標準停車時間の代わりに過去の実績停車時間のデータを用いてもよい。ただし、実績停車時間データには、乗客のドアへの挟まれ等による突発的な駅停車時間の延びも含まれるので、例えば直近5列車分の実績データのうち停車時間が短い方の3列車分の平均を採る等して、突発事象の影響を排除する必要がある。
【0083】
また、先行列車出発時刻予測部19は、別の方法を用いて先行列車次駅出発時刻を予測することもできる。本発明の第1の実施形態では、自列車が同一区間内を走行中に制限速度が上がった場合、先行列車の尾端位置が次区間に遷移したと考えられるので、その時点での先行列車位置を当該区間境界位置に特定することができる。
【0084】
また、各区間の境界位置に対して、当該位置から駅ホーム停車までの残走時間を駅間の標準走行時間を基に算出し、この算出結果を車上制御装置8に保持しておけば、先行列車出発時刻予測部19は、先行列車の現在位置に基づいて、先行列車の次駅到着時刻を予測でき、さらに、次駅到着時刻の予測値に停車時間を加算することで先行列車の次駅出発時刻を予測することができる。
【0085】
先行列車影響情報通知部21は、先行列車影響判定部20により判定した、先行列車の自列車への影響度合いを示す情報を運転士4に通知する(ステップS35)。通知の例としては、例えば、ディスプレイ装置等に先行列車の自列車への影響度合い、または自列車の駅間停止の可能性についての表示を行なうことが挙げられる。
【0086】
運転士4は、通知結果により、駅間停止の可能性が高い場合は、制限速度目いっぱいまで加速するような突っ込んだ運転は避け、速度を抑制して運転するといった判断が行える。
【0087】
以上のように、本発明の第3の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムでは、運転士4は、このような先行列車の自列車への影響度合いを知ることにより、先行列車の状況に応じた運転を行なうことができるので、朝ラッシュ時等の列車密度が高い時間帯でも、不要な加減速が抑制されて良好な乗り心地を実現することができる。
【0088】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。図10は、本発明の第4の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの構成例を示すブロック図である。
図10に示すように、本発明の第4の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムにおいて、車上制御装置8は、第3の実施形態と同様に、自動列車制御装置9、先行列車駅着発情報検知部14、標準走行時間・停車時間保持部18、先行列車出発時刻予測部19、先行列車影響判定部20を有する他、走行モード設定部22Aおよび走行制御部23Aをさらに有する。
【0089】
図11は、本発明の第4の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの処理動作の一例を示すフローチャートである。
自動列車制御装置9の動作は、本発明の第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。先行列車駅着発情報検知部14、標準走行時間・停車時間保持部18、先行列車出発時刻予測部19および先行列車影響判定部20の動作は、本発明の第3の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0090】
この実施形態では、第3の実施形態で説明したステップS31〜S34の処理がなされた後、走行モード設定部22Aは、先行列車影響判定部20による判定結果が、自列車に対する先行列車の影響が小さいとの判定結果である場合には(ステップS41のNO)、自列車の走行モードを高速運転モードに設定し(ステップS42)、自列車に対する先行列車の影響が大きいとの判定結果である場合は(ステップS41のYES)、走行モードを遅速運転モードに設定する(ステップS43)。
【0091】
走行制御部23Aは、走行モード設定部22Aで設定した走行モードが高速運転モードの場合は、自列車の制限速度範囲内で高い速度で走行するよう制御し、遅速運転モードでは、自列車の制限速度に対して速度を抑制して走行するよう制御する。
【0092】
以上のように、本発明の第4の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムでは、車上制御装置8は、先行列車の自列車に対する影響の度合いを把握し、先行列車の影響の度合いに応じて列車の走行を制御するので、朝ラッシュ時等の列車密度が高い時間帯でも、不要な加減速が抑制されて良好な乗り心地を実現することができる。
【0093】
また、先行列車影響判定部20は、先行列車の影響を受けて、自列車の次駅までの走行時間がどの程度延びるかを予測できるので、この場合、走行制御部23Aは、走行モードを遅速運転モードとした場合には、次駅までの距離と、次駅までの残走行時間(次駅までの走行時間予測値−前駅出発後の経過時間)に基づいて最適走行速度を演算し、最適走行速度を保つように列車の速度を制御することもできる。
【0094】
この場合、自列車が実際受けている制限速度に近い値で走行すると、先行列車の影響で駅間停止が発生してしまうが、自列車が制限速度よりも十分低い最適走行速度を保って走行することにより、駅間停止を抑制、あるいは駅間停止の時間を短縮することができる。
【0095】
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。図12は、本発明の第5の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの構成例を示すブロック図である。
図12に示すように、本発明の第5の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムにおいて、車上制御装置8は、第1の実施形態と異なり、自動列車制御装置9、自列車位置検知部10、後続列車への影響判定部24Aおよび後続列車への影響情報通知部25Aを有する。
【0096】
図13は、本発明の第5の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの後続列車への影響判定部の動作を説明するための図である。
図14は、本発明の第5の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの処理動作の一例を示すフローチャートである。
自動列車制御装置9の動作は、本発明の第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
後続列車への影響判定部24Aは、自列車位置検知部10により自列車位置が検知されると(ステップS51)、この検知した自列車位置に基づき、自列車の後方の駅ホーム区間の制限速度が後続列車の進入に対して支障のない制限速度となっているか否かを判定することで後続列車への影響を判定する(ステップS52)。
【0097】
図13は、自列車の後方の駅ホーム区間への後続列車の進入時の自列車の影響の例を示したものである。図13中の長鎖線は各区間の最高速度を示し、実線は自列車の尾端が「区間TC1」に在線する場合の自列車後方区間の制限速度を示し、点線は自列車の尾端が「区間TC2」に在線する場合の自列車後方区間の制限速度を示す。
【0098】
このケースでは、自列車の尾端が「区間TC2」まで進行すると、後続列車は駅ホームに進入可能となり、自列車の尾端が「区間TC1」まで進行すると、後続列車は自列車の影響を全く受けることなく駅ホームに進入可能となる。
【0099】
駅を出発後、どの位置まで進行すれば後続の列車の駅進入に支障がなくなるかは駅によって異なる。従って、後続列車への影響判定部24Aでは、駅間毎に、自列車がどこまで進行すれば後続列車の駅進入に支障がなくなるかを記録しておき、自列車位置が、駅間毎の後続列車への影響がなくなる位置を越えたか否かで、後続列車への影響の有無を判定する。
【0100】
そして、後続列車への影響情報通知部25Aは、自列車の後続列車への影響の有無、すなわち自列車の後方の駅ホーム区間の制限速度が後続列車の進入に対して支障のない制限速度となっているか否かを示す情報を運転士4に通知する(ステップS53)。通知の例としては、ディスプレイ装置等に、自列車の後続列車への影響の有無についての表示を行なうことが挙げられる。
【0101】
以上のように、本発明の第5の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムでは、運転士4は、自列車が後続列車の駅進入に影響を及ぼすか否かを把握でき、後続列車に影響を及ぼさない範囲で不要な加減速を抑制する運転を行なうことができるので、朝ラッシュ時等の列車密度が高い時間帯でも、後続列車の遅れを生じることなく、良好な乗り心地を実現することができる。
【0102】
(第6の実施形態)
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。図15は、本発明の第6の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの構成例を示すブロック図である。
図15に示すように、本発明の第6の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムにおいて、車上制御装置8は、第5の実施形態と同様に自動列車制御装置9、自列車位置検知部10、後続列車への影響判定部24Aを有する他、走行モード設定部22Bおよび走行制御部23Aをさらに有する。
【0103】
図16は、本発明の第6の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの処理動作の一例を示すフローチャートである。
自動列車制御装置9、自列車位置検知部10の動作は、本発明の第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。後続列車への影響判定部24Aの動作は、本発明の第5の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0104】
この実施形態では、第5の実施形態で説明したステップS51〜S53の処理がなされた後、走行モード設定部22Bは、後続列車への影響判定部24Aによる判定結果が、後続列車に対する自列車の影響が有るとの判定結果である場合は(ステップS61のYES)、自列車の走行モードを高速運転モードに設定し(ステップS62)、後続列車に対する自列車の影響が無いとの判定結果である場合は(ステップS61のNO)、走行モードを遅速運転可能モードに設定する(ステップS63)。
【0105】
走行制御部23Aでは、走行モード設定部22Bで設定した走行モードが高速運転モードの場合は、自列車の制限速度範囲内で高い速度で走行するよう制御し、遅速運転可能モードの場合は、先行列車の自列車に対する影響が大きい場合や、次駅到着予定時刻までに余裕のある場合のみ、遅速運転、すなわち自列車の制限速度に対して速度を抑制して走行するよう制御する。
【0106】
以上のように、本発明の第6の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムでは、車上制御装置8は、自列車が後続列車の駅進入に影響を及ぼすか否かを把握でき、後続列車に影響を及ぼさない範囲で不要な加減速を抑制するように列車の走行を制御するので、朝ラッシュ時等の列車密度が高い時間帯でも、後続列車の遅れを生じることなく、良好な乗り心地を実現することができる。
【0107】
(第7の実施形態)
次に、本発明の第7の実施形態について説明する。図17は、本発明の第7の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの構成例を示すブロック図である。
図17に示すように、本発明の第7の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムにおいて、車上制御装置8は、自動列車制御装置9、自列車位置検知部10、先行列車在線時の制限速度情報保持部11、後続列車位置検知部26、後続列車への影響判定部24Bおよび後続列車への影響情報通知部25Bを有する。
【0108】
図18は、本発明の第7の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの後続列車への影響判定部の動作を説明するための図である。
図19は、本発明の第7の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの処理動作の一例を示すフローチャートである。
自動列車制御装置9の動作は、本発明の第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
自列車位置検知部10は、第1の実施形態と同様に、自列車位置を検知する(ステップS71)。また、後続列車位置検知部26は、後続列車の位置情報を、無線通信によって後続列車から直接取得するか、各列車の情報を収集している地上側の管理システムから無線通信によって取得することで検知する(ステップS72)。
【0109】
後続列車への影響判定部24Bは、自列車位置検知部10で検知した自列車位置および後続列車位置検知部26で検知した後続列車の位置情報に基づき、先行列車在線時の制限速度情報保持部11に保持された情報を取得し(ステップS73)、この取得した情報を参照して、自列車の在線による後方区間への影響範囲を算出することで後続列車への影響の有無を判定する(ステップS74)。
【0110】
図18に示した、自列車の後方区間への影響範囲の例では、自列車の尾端が「区間TC2」に在線する場合、後方区間の制限速度が各区間の最高速度を下回るのは「区間TC10」までの範囲である。後続列車への影響判定部24Bは、後続列車位置検知部26で検知した後続列車位置が、自列車の在線による後方区間への影響範囲に入っている場合に、自列車の後続列車の影響有りと判定する。
【0111】
また、後続列車位置検知部26により後続列車の位置と速度を検知し、後続列車への影響判定部24Bは、後続列車が自列車の在線による後方区間への影響範囲に入っているか否かと、自列車と後続列車が接近しつつあるか否かを判定し、後続列車が自列車の在線による後方区間への影響範囲には入っていないが入りつつある場合に、自列車の後続列車の影響有りと判定するようにしてもよい。
【0112】
後続列車への影響情報通知部25Bは、後続列車への影響判定部24Bによる判定結果をもとに、自列車の後続列車への影響の有無、すなわち、後続列車が自列車の在線による後方区間への影響範囲に入っているか否かを示す情報を運転士4に通知する(ステップS75)。通知の例としては、ディスプレイ装置等に、自列車の後続列車への影響の有無についての表示を行なうことが挙げられる。
【0113】
以上のように、本発明の第7の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムでは、運転士4は、自列車が後続列車に影響を及ぼすか否かを把握でき、後続列車に影響を及ぼさない範囲で不要な加減速を抑制する運転を行なうことができるので、朝ラッシュ時等の列車密度が高い時間帯でも、後続列車の遅れを生じることなく、良好な乗り心地を実現することができる。
【0114】
(第8の実施形態)
次に、本発明の第8の実施形態について説明する。図20は、本発明の第8の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの構成例を示すブロック図である。
図20に示すように、本発明の第8の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムにおいて、車上制御装置8は、自動列車制御装置9、自列車位置検知部10、先行列車在線時の制限速度情報保持部11、後続列車位置検知部26、後続列車への影響判定部24B、走行モード設定部22Cおよび走行制御部23Aを有する。
【0115】
図21は、本発明の第8の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの処理動作の一例を示すフローチャートである。
自動列車制御装置9、自列車位置検知部10の動作は、本発明の第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。先行列車在線時の制限速度情報保持部11、後続列車への影響判定部24B、後続列車位置検知部26の動作は、本発明の第7の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0116】
この実施形態では、第7の実施形態で説明したステップS71〜S74の処理がなされた後、走行モード設定部22Cは、後続列車への影響判定部24Bによる判定結果が、後続列車に対する自列車の影響が有るとの判定結果である場合には(ステップS81のYES)、自列車の走行モードを高速運転モードに設定し(ステップS82)、後続列車に対する自列車の影響が無いとの判定結果である場合には(ステップS81のNO)、自列車の走行モードを遅速運転可能モードに設定する(ステップS83)。
【0117】
走行制御部23Aでは、走行モード設定部22Cで設定した走行モードが高速運転モードの場合は、自列車の制限速度範囲内で高い速度で走行するよう制御し、設定した走行モードが遅速運転可能モードの場合は、先行列車の自列車に対する影響が大きい場合や、次駅到着予定時刻までに余裕のある場合のみ、遅速運転、すなわち自列車の制限速度に対して速度を抑制して走行するよう制御する。
【0118】
以上のように、本発明の第8の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムでは、車上制御装置8は、自列車が後続列車に影響を及ぼすか否かを把握でき、後続列車に影響を及ぼさない範囲で不要な加減速を抑制するように列車の走行を制御するので、朝ラッシュ時等の列車密度が高い時間帯でも、後続列車の遅れを生じることなく、良好な乗り心地を実現することができる。
【0119】
(第9の実施形態)
次に、本発明の第9の実施形態について説明する。図22は、本発明の第9の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの構成例を示すブロック図である。
図22に示すように、本発明の第9の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムにおいて、車上制御装置8は、自動列車制御装置9、自列車位置検知部10、先行列車在線時の制限速度情報保持部11、前方制限速度情報推定部27Aおよび前方制限速度情報通知部28を有する。
【0120】
図23は、本発明の第9の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの前方制限速度情報推定部の動作を説明するための図である。
図24は、本発明の第9の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの処理動作の一例を示すフローチャートである。
自動列車制御装置9の動作は本発明の第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。先行列車在線時の制限速度情報保持部11の動作は本発明の第7の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0121】
自列車位置検知部10は、第1の実施形態と同様に、自列車位置を検知する(ステップS91)。
前方制限速度情報推定部27Aでは、自列車位置検知部10で検知した自列車位置を取得すると、先行列車在線時の制限速度情報保持部11に記憶される情報を取得して(ステップS92)、地上装置3から受信して自動列車制御装置9で解読した制限速度と予告信号をそれぞれ入力し(ステップS93)、ここまでの取得および入力結果をもとに、自列車の前方区間の制限速度情報を推定する(ステップS94)。
【0122】
図23に示した、前方区間の制限速度推定の例では、自列車位置検知部10により、自列車が「区間TC9」に在線していることが示されており、前方制限速度情報推定部27Aは、自動列車制御装置9から制限速度aと予告信号を受けている場合に、自列車在線区間、制限速度a、予告信号に基づいて、先行列車在線時の制限速度情報保持部11を参照すると、「区間TC8」では制限速度b、「区間TC6」および「区間TC7」では制限速度c、「区間TC5」では制限速度d、「区間TC3」および「区間TC4」では停止信号となっていると推定できる。
【0123】
また、前方制限速度情報推定部27Aは、停止信号区間までの距離、先行列車在線区間、先行列車在線区間までの距離、先行列車在線区間の区間最高速度等も、先行列車在線時の制限速度情報保持部11に保持される情報参照することによって推定することができる。
【0124】
また、前方制限速度情報推定部27Aは、本発明の第1の実施形態における説明で述べたように、先行列車の在線区間を特定した後、自列車が同一区間を走行中に制限速度が上がった場合、先行列車の尾端が前記特定した区間の次の区間に遷移したと考えられ、区間の境界位置と自列車位置から先行列車の尾端までの距離を推定することができる。
【0125】
前方制限速度情報通知部28は、前方制限速度情報推定部27Aで推定した前方区間の制限速度情報を運転士4に通知する(ステップS95)。通知の例としては、例えば、ディスプレイ装置等に、自列車と先行列車の位置関係と併せて、前方区間の制限速度を図示したり、先行列車在線区間までの距離や、停止信号区間までの距離を数値で表示したり、停止信号区間に接近した場合に警告音を鳴らしたりすることが挙げられる。また、前方制限速度情報通知部28は、車上制御装置8に勾配情報保持手段を設けた状態で、前方区間の制限速度情報と併せて前方区間の勾配変化を表示するようにしてもよい。
【0126】
以上のように、本発明の第9の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムでは、運転士4は、前方区間の制限速度を把握でき、先の制限速度変化を踏まえた運転を行なうことができるので、朝ラッシュ時等の列車密度が高い時間帯でも、不要な加減速や急な全ブレーキ動作が抑制されて良好な乗り心地を実現することができる。
【0127】
(第10の実施形態)
次に、本発明の第10の実施形態について説明する。図25は、本発明の第10の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの構成例を示すブロック図である。
図25に示すように、本発明の第10の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムにおいて、車上制御装置8は、自動列車制御装置9、自列車位置検知部10、先行列車在線時の制限速度情報保持部11、前方制限速度情報推定部27Aおよび走行制御部23Bを有する。
【0128】
図26は、本発明の第10の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの処理動作の一例を示すフローチャートである。
自動列車制御装置9、自列車位置検知部10の動作は、本発明の第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。先行列車在線時の制限速度情報保持部11は、本発明の第7の実施形態と同様であるので説明を省略する。前方制限速度情報推定部27Aの動作は、本発明の第9の実施形態と同様であるので説明を省略する。
この実施形態では、第9の実施形態で説明したステップS91〜S94の処理がなされた後、走行制御部23Bは、前方制限速度情報推定部27Aで推定した、次の区間の制限速度、前方の複数の区間の制限速度、停止信号区間までの距離、先行列車在線区間、先行列車在線区間までの距離、先行列車在線区間の区間最高速度、先行列車尾端までの距離のうち少なくとも一つの情報に基づいて列車の走行を制御する(ステップS101)。
【0129】
列車が下位の制限速度区間に進入した場合に自動列車制御装置9が発生するブレーキパターンは全ブレーキ基準で作成されるのに対し、列車が下位の制限速度区間に制限速度以上の速度で進入した場合、自動列車制御装置9は、まず弱めブレーキを動作させる。
【0130】
ブレーキパターンの減速度に対して弱めブレーキの減速度は小さいので、進入速度が高いほど、また、パターン発生から消滅までの時間が長いほど、すなわち次の区間の制限速度が現在区間の制限速度に対して大きく低下する場合ほど、列車速度がブレーキパターンを超過して全ブレーキが動作しやすい。
【0131】
従って、次の区間の制限速度が現在区間の制限速度に対して大きく低下する場合は、走行制御部23Bにより進入速度を抑制したり、弱めブレーキの動作後、弱めブレーキと全ブレーキの中間段のブレーキを動作させることで、全ブレーキの動作を回避したり急な全ブレーキ動作を回避できたりするので、良好な乗り心地を実現することができる。
【0132】
また、前方の複数の区間の制限速度や停止信号区間までの距離に基づき、必要に応じて勾配情報等を加味し、走行制御部23Bによって前方区間を走行する際の走行計画を立て、走行計画に従って走行を制御することで不要な加減速を抑制し良好な乗り心地を実現することができる。
【0133】
また、先行列車在線区間、先行列車在線区間までの距離、先行列車尾端までの距離、あるいはそれらの変化状況に応じて先行列車との接近状況を検知し、接近し過ぎるような状況では速度を抑制して運転することで不要な加減速を抑制し良好な乗り心地を実現することができる。
【0134】
また、先行列車に接近している状態で、自列車の在線区間の制限速度に対し先行列車在線区間の区間最高速度が低い場合、自列車が在線区間の制限速度近くまで速度を上げて走行すると、さらに先行列車に接近することになる。
このような場合に、自列車は、在線区間の現在の制限速度が高くても当該制限速度近くまで加速せず、先行列車在線区間の制限速度以内に速度を抑制することで当該自列車が先行列車に近付きすぎるのを防ぐことができるので、不要な加減速が抑制されて良好な乗り心地を実現することができる。
【0135】
以上のように、本発明の第10の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムでは、車上制御装置8は、前方区間の制限速度を把握でき、先の制限速度変化を踏まえて列車の走行を制御するので、朝ラッシュ時等の列車密度が高い時間帯でも、不要な加減速や急な全ブレーキ動作が抑制されて良好な乗り心地を実現することができる。
【0136】
(第11の実施形態)
次に、本発明の第11の実施形態について説明する。図27は、本発明の第11の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの構成例を示すブロック図である。
図27に示すように、本発明の第11の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムにおいて、車上制御装置8は、自動列車制御装置9、自列車位置検知部10、先行列車在線時の制限速度情報保持部11、先行列車位置検知部29、前方制限速度情報推定部27Bおよび前方制限速度情報通知部28を有する。
【0137】
図28は、本発明の第11の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの処理動作の一例を示すフローチャートである。
自動列車制御装置9の動作は、本発明の第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。先行列車在線時の制限速度情報保持部11の動作は、本発明の第7の実施形態と同様であるので説明を省略する。前方制限速度情報通知部28の動作は、本発明の第9の実施形態と同様であるので説明を省略する。
自列車位置検知部10は、第1の実施形態と同様に、自列車位置を検知する(ステップS111)。
先行列車位置検知部29は先行列車の位置情報を、無線通信によって先行列車から直接取得するか、各列車の情報を収集している地上側の管理システムから無線通信によって取得することで検知する(ステップS112)。
【0138】
前方制限速度情報推定部27Bは、自列車位置検知部10で検知した自列車位置および先行列車位置検知部29により検知した先行列車の位置情報をそれぞれ取得すると、先行列車在線時の制限速度情報保持部11に保持される情報を取得し(ステップS113)、地上装置3から受信して自動列車制御装置9で解読した制限速度情報と予告信号を入力して(ステップS114)、ここまでの取得および入力結果をもとに自列車の前方区間の制限速度情報を推定する(ステップS115)。前方制限速度情報通知部28は、前方制限速度情報推定部27Aで推定した前方区間の制限速度情報を運転士4に通知する(ステップS116)。
【0139】
前述した第9の実施形態では、前方区間の制限速度を、先行列車在線時の制限速度情報保持部11の情報を参照して推定する場合、自列車の在線区間の制限速度、次区間の制限速度が同一でも、先行列車在線区間の違いによって、次々区間以降の制限速度が異なる複数のケースが存在することがある。これに対し、本実施形態では、先行列車の位置情報を併せて取得するようにしているため、前方区間の制限速度情報を正しく推定することができる。
【0140】
以上のように、本発明の第11の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムでは、運転士4は、前方区間の制限速度を把握でき、先の制限速度変化を踏まえた運転を行なうことができるので、朝ラッシュ時等の列車密度が高い時間帯でも、不要な加減速や急な全ブレーキ動作が抑制されて良好な乗り心地を実現することができる。
【0141】
(第12の実施形態)
次に、本発明の第12の実施形態について説明する。図29は、本発明の第12の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの構成例を示すブロック図である。
図29に示すように、本発明の第12の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムにおいて、車上制御装置8は、自動列車制御装置9、自列車位置検知部10、先行列車在線時の制限速度情報保持部11、先行列車位置検知部29、前方制限速度情報推定部27Bおよび走行制御部23Bを有する。
【0142】
図30は、本発明の第12の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの処理動作の一例を示すフローチャートである。
自動列車制御装置9、自列車位置検知部10の動作は、本発明の第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。先行列車在線時の制限速度情報保持部11の動作は、本発明の第7の実施形態と同様であるので説明を省略する。前方制限速度情報推定部27B、先行列車位置検知部29の動作は、本発明の第11の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0143】
この実施形態では、第11の実施形態で説明したステップS111〜S115の処理がなされた後、走行制御部23Bは、前方制限速度情報推定部27Bで推定した、次の区間の制限速度、前方の複数の区間の制限速度、停止信号区間までの距離、先行列車在線区間、先行列車在線区間までの距離、先行列車在線区間の区間最高速度、先行列車尾端までの距離のうち少なくとも一つの情報に基づいて列車の走行を制御する(ステップS121)。
【0144】
以上のように、本発明の第12の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムでは、車上制御装置8は、前方区間の制限速度を把握でき、先の制限速度変化を踏まえて列車の走行を制御するので、朝ラッシュ時等の列車密度が高い時間帯でも、不要な加減速や急な全ブレーキ動作が抑制されて良好な乗り心地を実現することができる。
【0145】
(第13の実施形態)
次に、本発明の第13の実施形態について説明する。図31は、本発明の第13の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの構成例を示すブロック図である。
図31に示すように、本発明の第13の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムにおいて、車上制御装置8は、自動列車制御装置9、自列車位置検知部10、先行列車在線時の制限速度情報保持部11、整合性確認部30、前方制限速度情報推定部27Cおよび前方制限速度情報通知部28を有する。
【0146】
図32は、本発明の第13の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの整合性確認部の動作を説明するための図である。
図33は、本発明の第13の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの処理動作の一例を示すフローチャートである。
自動列車制御装置9、自列車位置検知部10の動作は、本発明の第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。先行列車在線時の制限速度情報保持部11の動作は、本発明の第7の実施形態と同様であるので説明を省略する。前方制限速度情報通知部28の動作は、本発明の第9の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0147】
整合性確認部30の動作を説明する。図32に示したように自列車位置検知部10で検出した自列車位置には検知誤差が含まれている。例えば、駅停車時のドア開閉で自列車位置を駅の目標停止位置にリセットし、次駅までは速度発電機からのパルス情報に基づいて移動距離を算出して自列車位置を求める場合、位置検知誤差は、駅出発時でほぼゼロ、次駅到着時に最大となる。位置検知誤差が発生する原因は、車輪の空転滑走や移動距離に用いる車輪径と実際の車輪径の相違などである。
【0148】
位置検知誤差が大きい場合、自列車の在線区間を間違って認識し、受信した制限速度や予告信号との対応が取れなくなったり、前方の制限速度情報を間違って推定してしまったりする恐れがある。従って、位置検知誤差を考慮し、在線区間と受信した制限速度や予告信号との整合性を確認した上で前方区間の制限速度情報を推定する必要がある。
【0149】
整合性確認部30は、自列車位置検知部10による自列車位置の検知がなされると(ステップS131)、まず、位置検知誤差を考慮して遅れ側および進み側の自列車位置と、遅れ側および進み側の自列車在線区間を算出する。
【0150】
次に、整合性確認部30は、制限速度情報保持部11により保持された先行列車在線区間の後方の区間の制限速度情報を取得して(ステップS132)、地上装置3からの制限速度情報および予告信号を自動列車制御装置9から入力し(ステップS133)、ここまでの取得および入力結果に基づいて、前記遅れ側、進み側およびその中間の区間で発生し得る制限速度および予告信号と、地上装置3から受信した制限速度情報および予告信号とを比較し、自列車位置と制限速度および予告信号の整合性を確認する。
【0151】
例えば、位置検知誤差を考慮した場合の在線区間の候補が3つあった場合に、1つの区間のみで制限速度および予告信号との整合性が確認できた場合のみ、当該区間を自列車在線区間として特定し、前方区間の制限速度情報を推定するようにする。なお、制限速度および予告信号に遅れがある場合は、信号遅れを考慮した整合性確認を実施する必要がある。
【0152】
前方制限速度情報推定部27Cは、整合性確認部30で整合性確認を実施し、自列車の在線区間を特定できた場合のみ(ステップS134)、制限速度情報保持部11により保持された制限速度情報を取得し(ステップS135)、自動列車制御装置9からの制限速度情報および予告信号を取得し(ステップS136)、これらの取得および入力結果をもとに、前方区間の制限速度情報を推定する(ステップS137)。前方制限速度情報通知部28は、前方制限速度情報推定部27Cで推定した前方区間の制限速度情報を運転士4に通知する(ステップS138)。
【0153】
以上のように、本発明の第13の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムでは、自列車位置の検知誤差がある場合でも、運転士4または車上制御装置8は、前方区間の制限速度を正しく把握することができるので、朝ラッシュ時等の列車密度が高い時間帯でも、不要な加減速や急な全ブレーキ動作が抑制されて良好な乗り心地を実現することができる。
【0154】
本発明の第13の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムは、本発明の第9の実施形態と同様の構成に対して整合性確認部30を更に設けた構成であるが、本発明の第10の実施形態の構成に対して整合性確認部30を更に設ける構成としても同様の効果が得られる。
【0155】
(第14の実施形態)
次に、本発明の第14の実施形態について説明する。図34は、本発明の第14の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの構成例を示すブロック図である。
図34に示すように、本発明の第14の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムにおいて、車上制御装置8は、自動列車制御装置9、自列車位置検知部10、先行列車在線時の制限速度情報保持部11、前方制限速度情報推定部27A、勾配情報保持部31、シミュレーション部32Aおよび走行制御部23Cを有する。つまり、本発明の第14の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムは、本発明の第10の実施形態に対し、走行制御部23Bに替えて、勾配情報保持部31、シミュレーション部32Aおよび走行制御部23Cを設けたものである。
【0156】
勾配情報保持部31は、勾配情報を列車が走行する軌道全体にわたって記録したものである。記録形態としては、例えば、各勾配のそれぞれについて、勾配区間の識別番号、勾配区間の始端位置と終端位置、当該勾配区間の勾配値を表にしたものが挙げられる。
【0157】
図35は、本発明の第14の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムのシミュレーション部の動作を説明するための図である。
図36は、本発明の第14の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの処理動作の一例を示すフローチャートである。
自動列車制御装置9、自列車位置検知部10の動作は、本発明の第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。先行列車在線時の制限速度情報保持部11の動作は、本発明の第7の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0158】
この実施形態では、第9の実施形態で説明したステップS91〜S94の処理がなされた後、シミュレーション部32Aは、前方制限速度情報推定部27Aによる推定結果からして次の区間の制限速度が下位に変化すると予測された場合に、勾配情報保持部31に保持される勾配情報を取得し(ステップS143)、この取得結果および前方制限速度情報推定部27Aによる推定結果をもとに、自列車が次の区間に進入する手前で、全ブレーキよりも弱いブレーキを動作させて次区間の下位の制限速度まで減速した場合のシミュレーションを実施する(ステップS142)。
【0159】
図35に示した、下位の制限速度区間の勾配が下り急勾配である場合のシミュレーション例におけるシミュレーション(A)のように、次の区間、すなわち下位の制限速度区間に進入する手前でブレーキをかけず、制限速度が下位に変化してからATCの弱めブレーキ、ここでは全ブレーキの1/2相当が動作した場合には、下り急勾配のため列車に発生する減速度が小さく、約3秒後にブレーキパターンを超過して全ブレーキが動作する。
【0160】
これに対し、図35に示したシミュレーション(B)のように、図中の現在位置のタイミングで、例えば全ブレーキの1/2相当のブレーキを出力して所定時間保持した後、全ブレーキの3/4相当のブレーキに切り替えて減速した場合には、次区間の制限速度を下回るまでブレーキパターンを超過せず、全ブレーキは動作しない。このように、ブレーキ開始タイミングを早めれば全ブレーキは動作しないが走行時間が延びてしまうため、列車の遅れを生じることがある。
【0161】
従って、シミュレーション部32Aにより、図35に示したシミュレーション(B)を車上制御装置8の制御周期毎に実施し、次区間の下位の制限速度まで減速した時の減速終了位置がブレーキパターンを超過せず、かつ所定値以内に接近するタイミングを探る。
【0162】
走行制御部23Cは、シミュレーション部32Aによるシミュレーション結果から決定されるブレーキ開始タイミングに従い、全ブレーキの1/2相当のブレーキを出力して所定時間保持した後(ステップS143)、全ブレーキの3/4相当のブレーキに切り替えて減速するように列車の走行を制御する(ステップS144)。
【0163】
本発明の第14の実施形態は、本発明の第10の実施形態に対し、走行制御部23Bに替えて、勾配情報保持部31、シミュレーション部32Aおよび走行制御部23Cを設けたものであると説明したが、先行列車位置検知部29を設けた本発明の第12の実施形態に対し、走行制御部23Bに替えて、勾配情報保持部31、シミュレーション部32Aおよび走行制御部23Cを設けたものであってもよい。
【0164】
以上のように、本発明の第14の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムでは、車上制御装置8は、下位の制限速度区間への進入時に全ブレーキを動作させないように、早めにブレーキをかける際の最適な減速開始点を把握できるので、不要に走行時間を伸ばすことなく、良好な乗り心地を実現することができる。
【0165】
(第15の実施形態)
次に、本発明の第15の実施形態について説明する。図37は、本発明の第15の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの構成例を示すブロック図である。
図37に示すように、本発明の第15の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムにおいて、車上制御装置8は、自動列車制御装置9、自列車位置検知部10、勾配情報保持部31、シミュレーション部32Bおよび走行制御部23Dを有する。
【0166】
図38は、本発明の第15の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムのシミュレーション部の動作を説明するための図である。
図39は、本発明の第15の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの処理動作の一例を示すフローチャートである。
自動列車制御装置9、本発明の第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。勾配情報保持部31の動作は、本発明の第14の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0167】
自列車位置検知部10は、第1の実施形態と同様に自列車位置の検知を行なう(ステップS151)。
シミュレーション部32Bは、勾配情報保持部31に保持される勾配情報を取得し(ステップS152)、この取得結果および自列車位置検知部10による検知結果をもとに、自動列車制御装置9からの制限速度および予告信号からして次の区間の制限速度が下位に変化すると予測された場合に、自列車が次の区間に進入する手前で全ブレーキよりも弱いブレーキを動作させて所定時間保持した場合のシミュレーションを実施する(ステップS153)。
【0168】
図38に示した、下位の制限速度区間の勾配が下り急勾配である場合のシミュレーション例におけるシミュレーション(A)のように、次の区間、すなわち下位の制限速度区間に進入する手前でブレーキをかけず、制限速度が下位に変化してからATCの弱めブレーキ、ここでは全ブレーキの1/2相当が動作した場合、下り急勾配のため列車に発生する減速度が小さく、ATCの弱めブレーキを出力して所定時間経過する前にブレーキパターンを超過して全ブレーキが動作する。
【0169】
これに対し、図38に示したシミュレーション(B)のように、図中の現在位置のタイミングで、例えば全ブレーキの1/2相当のブレーキを出力すると、全ブレーキの1/2相当のブレーキを所定時間保持した時点ではブレーキパターンを超過しない。このようにブレーキ開始タイミングを早めれば、全ブレーキが動作する前に弱めブレーキを所定時間以上動作させることができる。
【0170】
シミュレーション部32Bにより、図38に示したシミュレーション(B)を車上制御装置8の制御周期毎に実施し、例えば全ブレーキの1/2相当のブレーキを出力し、全ブレーキの1/2相当のブレーキを所定時間保持した時点の位置がブレーキパターンを超過せず、かつ所定値以内に接近するタイミングを探る。
【0171】
走行制御部23Dは、シミュレーション部32Bによるシミュレーション結果から決定されるブレーキ開始タイミングに従い、例えば全ブレーキの1/2相当のブレーキを出力する(ステップS154)。
【0172】
以上のように、本発明の第15の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムでは、下位の速度制限区間進入時に、全ブレーキ動作前に、全ブレーキよりも弱めのブレーキを所定時間以上動作させることができるので、朝ラッシュ時等の列車密度が高い時間帯でも、急な全ブレーキ動作が抑制されて良好な乗り心地を実現することができる。
【0173】
一方、全ブレーキ動作前に弱めブレーキを一定時間以上動作させた場合でも、全ブレーキ動作後にすぐ制限速度を下回ったり、制限速度が上がったりすると、全ブレーキが瞬間的に動作した後に急にブレーキオフとなり、揺れ戻しによって乗り心地が悪くなることがある。
【0174】
このような状況を避けるために、たとえば、列車速度が次区間の下位の制限速度に近く、列車速度が制限速度を下回る直前にブレーキパターンを超過することが予測された場合、全ブレーキが動作しないように、早めのブレーキをかけて良好な乗り心地を確保することができる。
【0175】
(第16の実施形態)
次に、本発明の第16の実施形態について説明する。本発明の第16の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの構成は図37に示した構成と同じである。
図40は、本発明の第16の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムのシミュレーション部の動作を説明するための図である。
図41は、本発明の第16の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの処理動作の一例を示すフローチャートである。
次に、本発明の第16の実施形態を、図37に基づいて説明する。本発明の第16の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムにおいて、車上制御装置8は、本発明の第15の実施形態と同様であり、シミュレーション部32Bで実施するシミュレーションのみが異なる。
【0176】
自列車位置検知部10は、自列車位置の検知を行なう(ステップS161)。
シミュレーション部32Bは、次の区間の制限速度が下位に変化すると予測された場合に、勾配情報保持部31に保持される勾配情報を取得し(ステップS162)、この取得結果をもとに、自列車が次の区間に進入する手前で、全ブレーキよりも弱いブレーキを動作させて所定時間保持した後、前記弱めブレーキと全ブレーキの中間段のブレーキを動作させ、所定時間保持した場合のシミュレーションを実施する(ステップS163)。
【0177】
図40に示した、下位の制限速度区間の勾配が下り急勾配である場合のシミュレーション例におけるシミュレーション(A)のように、次の区間、すなわち下位の制限速度区間に進入する手前でブレーキをかけず、制限速度が下位に変化してからATCの弱めブレーキここでは全ブレーキの1/2相当が動作した後、前記ATCの弱めブレーキと全ブレーキの中間段のブレーキを動作させた場合には、下り急勾配のため列車に発生する減速度が小さく、ATCの弱めブレーキと全ブレーキの中間段のブレーキを出力して所定時間経過する前にブレーキパターンを超過して全ブレーキが動作する。
【0178】
これに対し、図40に示したシミュレーション(B)のように、図中の現在位置のタイミングで、例えば全ブレーキの1/2相当のブレーキを出力し、全ブレーキの1/2相当のブレーキを所定時間保持した後、全ブレーキの1/2相当のブレーキと全ブレーキの中間段、すなわち全ブレーキの3/4相当のブレーキを動作させた場合には、全ブレーキの3/4相当のブレーキを所定時間保持した時点ではブレーキパターンを超過しない。このように、ブレーキ開始タイミングを早めれば、全ブレーキが動作する前に弱めブレーキ、弱めブレーキと全ブレーキの中間段のブレーキを所定時間以上動作させることができる。
【0179】
シミュレーション部32Bにより、図40に示したシミュレーション(B)を車上制御装置8の制御周期毎に実施し、例えば全ブレーキの1/2相当のブレーキを出力し、全ブレーキの1/2相当のブレーキを所定時間保持した後、全ブレーキの1/2相当のブレーキと全ブレーキの中間段、すなわち全ブレーキの3/4相当のブレーキを動作させ、全ブレーキの3/4相当のブレーキを所定時間保持した時点の位置がブレーキパターンを超過せず、かつ所定値以内に接近するタイミングを探る。
【0180】
走行制御部23Dは、シミュレーション部32Bによるシミュレーション結果から決定されるブレーキ開始タイミングに従い、全ブレーキの1/2相当のブレーキを出力して所定時間保持した後(ステップS164)、全ブレーキの3/4相当のブレーキに切り替えて減速するように列車の走行を制御する(ステップS165)。
【0181】
以上のように、本発明の第16の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムでは、下位の速度制限区間進入時に、全ブレーキ動作前に、全ブレーキよりも弱めのブレーキを所定時間以上動作させ、さらに、全ブレーキより弱めのブレーキと全ブレーキの中間段のブレーキを所定時間以上動作させることができるので、朝ラッシュ時等の列車密度が高い時間帯でも、急な全ブレーキ動作が抑制されて良好な乗り心地を実現することができる。
【0182】
また、本発明の第14乃至第16の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムにおいて、シミュレーション時に使用するブレーキ指令は、全ブレーキの1/2相当のブレーキや全ブレーキの3/4相当のブレーキに限らず、良好な乗り心地を実現できる任意のブレーキ指令を採用することができる。
【0183】
(第17の実施形態)
次に、本発明の第17の実施形態について説明する。図42は、本発明の第17の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの構成例を示すブロック図である。
図42に示すように、本発明の第17の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムにおいて、車上制御装置8は、自動列車制御装置9、自列車位置検知部10、先行列車在線時の制限速度情報保持部11、勾配情報保持部31、シミュレーション部32A、前方制限速度情報推定部27Aおよびブレーキ条件通知部33を有する。つまり、本発明の第17の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムは、本発明の第14の実施形態に対し、走行制御部に替えて、ブレーキ条件通知部33を設けたものである。ここで述べた第14の実施形態とは、前述したように、本発明の第10の実施形態に対し、走行制御部23Bに替えて、勾配情報保持部31、シミュレーション部32Aおよび走行制御部23Cを設けたものであってもよいし、先行列車位置検知部29を設けた本発明の第12の実施形態に対し、走行制御部23Bに替えて、勾配情報保持部31、シミュレーション部32Aおよび走行制御部23Cを設けたものであってもよいのはもちろんである。
【0184】
図43は、本発明の第17の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムの処理動作の一例を示すフローチャートである。
ブレーキ条件通知部33以外の動作は、本発明の第14の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0185】
この実施形態では、第9の実施形態で説明したステップS91〜S94の処理がなされた後、ブレーキ条件通知部33では、シミュレーション部32Aによるシミュレーション結果から決定されるブレーキ開始タイミングと出力すべきブレーキ指令を運転士4に通知するものであり、例えば、ディスプレイ装置等に、ブレーキ開始タイミングと出力すべきブレーキ指令を表示する。なお、シミュレーションや表示を行なう際は、運転士4が表示を見てからブレーキ操作を完了するまでの遅れ時間を考慮し、実際よりも早めのタイミングで表示を行なう必要がある。
【0186】
本発明の第17の実施形態は、本発明の第14の実施形態に対し、走行制御部に替えてブレーキ条件通知部33を設けたものであるが、本発明の第15または第16の実施形態に対し、走行制御部に替えてブレーキ条件通知部33を設けてもよい。
【0187】
以上のように、本発明の第17の実施形態における乗り心地改善型列車制御システムでは、運転士4は、全ブレーキ動作させないためのブレーキ条件や、急な全ブレーキ動作を抑制するためのブレーキ条件を把握でき、当該ブレーキ条件に従って運転を行なうことができるので、朝ラッシュ時等の列車密度が高い時間帯でも、良好な乗り心地を実現することができる。
【0188】
なお、この発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を省略してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0189】
1…列車、3…地上装置、4…運転士、5…速度計、6…制動・駆動制御装置、7…速度発電機、8…車上制御装置、9…自動列車制御装置、10…自列車位置検知部、11…先行列車在線時の制限速度情報保持部、12…先行列車位置推定部、13…先行列車情報通知部、14…先行列車駅着発情報検知部、15…先行列車駅停車判定部、16…先行列車駅停車時間算出部、17…先行列車駅停車情報通知部、18…標準走行時間・停車時間保持部、19…先行列車出発時刻予測部、20…先行列車影響判定部、21…先行列車影響情報通知部、22A…走行モード設定部(先行列車の影響に応じて設定)、22B…走行モード設定部(後続列車の駅進入への影響に応じて設定)、22C…走行モード設定部(後続列車への影響に応じて設定)、23A…走行制御部(走行モードに応じて制御)、23B…走行制御部(前方の制限速度情報に応じて制御)、23C…走行制御部(シミュレーション結果に基づく制御、全ブレーキ回避)、23D…走行制御部(シミュレーション結果に基づく制御、急な全ブレーキ動作回避)、24A…後続列車への影響判定部(後続列車の駅進入への影響を判定)、24B…後続列車への影響判定部、25A…後続列車への影響情報通知部(後続列車の駅進入への影響情報を通知)、25B…後続列車への影響情報通知部、26…後続列車位置検知部、27A…前方制限速度情報推定部(先行列車位置の推定結果に基づく推定)、27B…前方制限速度情報推定部(先行列車位置の検知情報に基づく推定)、27C…前方制限速度情報推定部(自列車在線区間と制限速度情報の整合性確認をする場合)、28…前方制限速度情報通知部、29…先行列車位置検知部、30…整合性確認部、31…勾配情報保持部、32A…シミュレーション部(全ブレーキ動作回避のためのシミュレーション)、32B…シミュレーション部(急な全ブレーキ動作回避のためのシミュレーション)、33…ブレーキ条件通知部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
列車が走行する軌道を分割した各区間について、当該区間の前方に在線する列車の位置に応じた制限速度情報、および当該区間の次の区間で制限速度が下位に変化することを示す予告信号を当該区間に在線する列車にそれぞれ送信する地上装置と、
自列車速度が前記地上装置から送信された制限速度情報で示される制限速度を超えた場合には列車速度が自動的に前記示される制限速度以下となるように制御するとともに前記地上装置から送信された予告信号を通知し、下位の制限速度にある区間に列車が当該制限速度以上の速度で進入した場合にブレーキパターンを発生し、列車速度が当該ブレーキパターンで示される速度よりも低ければ弱めのブレーキを動作させ、列車速度が当該ブレーキパターンで示される速度よりも高ければ全ブレーキを動作させる自動列車制御装置と、
自列車の軌道上での位置を検知する自列車位置検知手段と、
各区間に列車が在線する場合の、当該区間の後方の区間に設定される制限速度の情報を保持する制限速度情報保持手段と、
前記自列車位置検知手段により検知した自列車位置と、前記地上装置から送信された当該区間の制限速度情報および予告信号と、前記制限速度情報保持手段により保持される先行列車在線区間の後方の区間の制限速度情報とに基づいて、先行列車の軌道上での位置を推定する先行列車位置推定手段と、
前記先行列車位置推定手段により推定した先行列車位置情報を通知する先行列車情報通知手段と
を備えたことを特徴とする乗り心地改善型列車制御システム。
【請求項2】
列車が走行する軌道を分割した各区間について、当該区間の前方に在線する列車の位置に応じた制限速度情報、および当該区間の次の区間で制限速度が下位に変化することを示す予告信号を当該区間に在線する列車にそれぞれ送信する地上装置と、
自列車速度が前記地上装置から送信された制限速度情報で示される制限速度を超えた場合には列車速度が自動的に前記示される制限速度以下となるように制御するとともに前記地上装置から送信された予告信号を通知し、下位の制限速度にある区間に列車が当該制限速度以上の速度で進入した場合にブレーキパターンを発生し、列車速度が当該ブレーキパターンで示される速度よりも低ければ弱めのブレーキを動作させ、列車速度が当該ブレーキパターンで示される速度よりも高ければ全ブレーキを動作させる自動列車制御装置と、
自列車の先行列車の駅到着情報および駅出発情報を検知する先行列車駅着発情報検知手段と、
前記先行列車駅着発情報検知手段により検知した先行列車の駅到着情報および駅出発情報に基づき、先行列車が駅停車中であるか否かを判定する先行列車駅停車判定手段と、
前記先行列車駅着発情報検知手段により検知した先行列車の駅到着情報および駅出発情報に基づき、先行列車が駅に到着してからの経過時間を算出する先行列車駅停車時間算出手段と、
前記先行列車駅停車判定手段による判定結果と、前記先行列車駅停車時間算出手段による算出結果とをそれぞれ通知する先行列車駅停車情報通知手段と
を備えたことを特徴とする乗り心地改善型列車制御システム。
【請求項3】
列車が走行する軌道を分割した各区間について、当該区間の前方に在線する列車の位置に応じた制限速度情報、および当該区間の次の区間で制限速度が下位に変化することを示す予告信号を当該区間に在線する列車にそれぞれ送信する地上装置と、
自列車速度が前記地上装置から送信された制限速度情報で示される制限速度を超えた場合には列車速度が自動的に前記示される制限速度以下となるように制御するとともに前記地上装置から送信された予告信号を通知し、下位の制限速度にある区間に列車が当該制限速度以上の速度で進入した場合にブレーキパターンを発生し、列車速度が当該ブレーキパターンで示される速度よりも低ければ弱めのブレーキを動作させ、列車速度が当該ブレーキパターンで示される速度よりも高ければ全ブレーキを動作させる自動列車制御装置と、
先行列車の駅到着情報および駅出発情報を検知する先行列車駅着発情報検知手段と、
各駅間の標準走行時間および各駅の標準停車時間を保持する標準走行時間・停車時間保持手段と、
前記先行列車駅着発情報検知手段による検知結果および前記保持される情報をもとに先行列車の次駅出発時刻を予測する先行列車出発時刻予測手段と、
自列車出発時刻と前記先行列車出発時刻予測手段により予測した先行列車次駅出発時刻とに基づいて、自列車に対する先行列車の影響の有無と大きさを判定する先行列車影響判定手段と、
前記先行列車影響判定手段による判定結果を通知する先行列車影響情報通知手段と
を備えたことを特徴とする乗り心地改善型列車制御システム。
【請求項4】
列車が走行する軌道を分割した各区間について、当該区間の前方に在線する列車の位置に応じた制限速度情報、および当該区間の次の区間で制限速度が下位に変化することを示す予告信号を当該区間に在線する列車にそれぞれ送信する地上装置と、
自列車速度が前記地上装置から送信された制限速度情報で示される制限速度を超えた場合には列車速度が自動的に前記示される制限速度以下となるように制御するとともに前記地上装置から送信された予告信号を通知し、下位の制限速度にある区間に列車が当該制限速度以上の速度で進入した場合にブレーキパターンを発生し、列車速度が当該ブレーキパターンで示される速度よりも低ければ弱めのブレーキを動作させ、列車速度が当該ブレーキパターンで示される速度よりも高ければ全ブレーキを動作させる自動列車制御装置と、
先行列車の駅到着情報および駅出発情報を検知する先行列車駅着発情報検知手段と、
各駅間の標準走行時間および各駅の標準停車時間を保持する標準走行時間・停車時間保持手段と、
前記先行列車駅着発情報検知手段による検知結果および前記保持される情報をもとに先行列車の次駅出発時刻を予測する先行列車出発時刻予測手段と、
自列車出発時刻と前記先行列車出発時刻予測手段により予測した先行列車次駅出発時刻とに基づいて、自列車に対する先行列車の影響の有無と大きさを判定する先行列車影響判定手段と、
前記先行列車影響判定手段による判定結果基づいて、自列車の走行モードを自列車の制限速度内の速度で走行する高速運転モードまたは前記高速運転モードにおける速度より抑制した速度で走行する遅速運転可能モードに設定する走行モード設定手段と、
前記走行モード設定手段により設定した走行モードに従って自列車の走行を制御する走行制御手段と
を備えたことを特徴とする乗り心地改善型列車制御システム。
【請求項5】
列車が走行する軌道を分割した各区間について、当該区間の前方に在線する列車の位置に応じた制限速度情報、および当該区間の次の区間で制限速度が下位に変化することを示す予告信号を当該区間に在線する列車にそれぞれ送信する地上装置と、
自列車速度が前記地上装置から送信された制限速度情報で示される制限速度を超えた場合には列車速度が自動的に前記示される制限速度以下となるように制御するとともに前記地上装置から送信された予告信号を通知し、下位の制限速度にある区間に列車が当該制限速度以上の速度で進入した場合にブレーキパターンを発生し、列車速度が当該ブレーキパターンで示される速度よりも低ければ弱めのブレーキを動作させ、列車速度が当該ブレーキパターンで示される速度よりも高ければ全ブレーキを動作させる自動列車制御装置と、
自列車の軌道上での位置を検知する自列車位置検知手段と、
前記自列車位置検知手段により検知した自列車位置に基づき、自列車の後方の駅ホーム区間の制限速度が後続列車の進入に対して支障のない制限速度となっているか否かを判定する後続列車への影響判定手段と、
前記後続列車への影響判定手段により判定した後続列車への影響の有無を通知する後続列車への影響情報通知手段と
を備えたことを特徴とする乗り心地改善型列車制御システム。
【請求項6】
列車が走行する軌道を分割した各区間について、当該区間の前方に在線する列車の位置に応じた制限速度情報、および当該区間の次の区間で制限速度が下位に変化することを示す予告信号を当該区間に在線する列車にそれぞれ送信する地上装置と、
自列車速度が前記地上装置から送信された制限速度情報で示される制限速度を超えた場合には列車速度が自動的に前記示される制限速度以下となるように制御するとともに前記地上装置から送信された予告信号を通知し、下位の制限速度にある区間に列車が当該制限速度以上の速度で進入した場合にブレーキパターンを発生し、列車速度が当該ブレーキパターンで示される速度よりも低ければ弱めのブレーキを動作させ、列車速度が当該ブレーキパターンで示される速度よりも高ければ全ブレーキを動作させる自動列車制御装置と、
自列車の軌道上での位置を検知する自列車位置検知手段と、
自列車後方の駅ホーム区間の制限速度が、後続列車の当該駅進入に支障のない制限速度となる自列車位置と前記自列車位置検知手段により検知した現在の自列車位置とに基づき、後続列車に対する自列車の影響の有無を判定する後続列車への影響判定手段と、
前記後続列車への影響判定手段による判定結果基づいて、自列車の走行モードを自列車の制限速度内の速度で走行する高速運転モードまたは前記高速運転モードにおける速度より抑制した速度で走行する遅速運転可能モードに設定する走行モード設定手段と、
前記走行モード設定手段により設定した走行モードに従って自列車の走行を制御する走行制御手段と
を備えたことを特徴とする乗り心地改善型列車制御システム。
【請求項7】
列車が走行する軌道を分割した各区間について、当該区間の前方に在線する列車の位置に応じた制限速度情報、および当該区間の次の区間で制限速度が下位に変化することを示す予告信号を当該区間に在線する列車にそれぞれ送信する地上装置と、
自列車速度が前記地上装置から送信された制限速度情報で示される制限速度を超えた場合には列車速度が自動的に前記示される制限速度以下となるように制御するとともに前記地上装置から送信された予告信号を通知し、下位の制限速度にある区間に列車が当該制限速度以上の速度で進入した場合にブレーキパターンを発生し、列車速度が当該ブレーキパターンで示される速度よりも低ければ弱めのブレーキを動作させ、列車速度が当該ブレーキパターンで示される速度よりも高ければ全ブレーキを動作させる自動列車制御装置と、
自列車の軌道上での位置を検知する自列車位置検知手段と、
後続列車の軌道上での位置を検知する後続列車位置検知手段と、
各区間に列車が在線する場合の、当該区間の後方の区間に設定される制限速度の情報を保持する制限速度情報保持手段と、
前記自列車位置検知手段により検知した自列車位置、前記後続列車位置検知手段により検知した後続列車位置、前記制限速度情報保持手段により保持される制限速度情報に基づき、自列車の影響で制限速度が低下する区間に後続列車が在線するか否かを判定する後続列車への影響判定手段と、
前記後続列車への影響判定手段による判定結果を通知する後続列車への影響情報通知手段と
を備えたことを特徴とする乗り心地改善型列車制御システム。
【請求項8】
列車が走行する軌道を分割した各区間について、当該区間の前方に在線する列車の位置に応じた制限速度情報、および当該区間の次の区間で制限速度が下位に変化することを示す予告信号を当該区間に在線する列車にそれぞれ送信する地上装置と、
自列車速度が前記地上装置から送信された制限速度情報で示される制限速度を超えた場合には列車速度が自動的に前記示される制限速度以下となるように制御するとともに前記地上装置から送信された予告信号を通知し、下位の制限速度にある区間に列車が当該制限速度以上の速度で進入した場合にブレーキパターンを発生し、列車速度が当該ブレーキパターンで示される速度よりも低ければ弱めのブレーキを動作させ、列車速度が当該ブレーキパターンで示される速度よりも高ければ全ブレーキを動作させる自動列車制御装置と、
自列車の軌道上での位置を検知する自列車位置検知手段と、
後続列車の軌道上での位置を検知する後続列車位置検知手段と、
各区間に列車が在線する場合の、当該区間の後方の区間に設定される制限速度の情報を保持する制限速度情報保持手段と、
前記自列車位置検知手段により検知した自列車位置、前記後続列車位置検知手段により検知した後続列車位置、前記制限速度情報保持手段により保持される制限速度情報に基づき、自列車の影響で制限速度が低下する区間に後続列車が在線するか否かを判定する後続列車への影響判定手段と、
前記後続列車への影響判定手段による判定結果に基づいて、自列車の走行モードを自列車の制限速度内の速度で走行する高速運転モードまたは前記高速運転モードにおける速度より抑制した速度で走行する遅速運転可能モードに設定する走行モード設定手段と、
前記走行モード設定手段により設定した走行モードに従って列車の走行を制御する走行制御手段と
を備えたことを特徴とする乗り心地改善型列車制御システム。
【請求項9】
列車が走行する軌道を分割した各区間について、当該区間の前方に在線する列車の位置に応じた制限速度情報、および当該区間の次の区間で制限速度が下位に変化することを示す予告信号を当該区間に在線する列車にそれぞれ送信する地上装置と、
自列車速度が前記地上装置から送信された制限速度情報で示される制限速度を超えた場合には列車速度が自動的に前記示される制限速度以下となるように制御するとともに前記地上装置から送信された予告信号を通知し、下位の制限速度にある区間に列車が当該制限速度以上の速度で進入した場合にブレーキパターンを発生し、列車速度が当該ブレーキパターンで示される速度よりも低ければ弱めのブレーキを動作させ、列車速度が当該ブレーキパターンで示される速度よりも高ければ全ブレーキを動作させる自動列車制御装置と、
自列車の軌道上での位置を検知する自列車位置検知手段と、
各区間に列車が在線する場合の、当該区間の後方の区間に設定される制限速度の情報を保持する制限速度情報保持手段と、
前記自列車位置検知手段により検知した自列車位置と、前記地上装置から送信された当該区間の制限速度情報および予告信号と、前記制限速度情報保持手段により保持される先行列車在線区間の後方の区間の制限速度情報とに基づいて、前方区間の制限速度情報を推定する前方制限速度情報推定手段と、
前方制限速度情報推定手段による推定結果を通知する前方制限速度情報通知手段と
を備えたことを特徴とする乗り心地改善型列車制御システム。
【請求項10】
列車が走行する軌道を分割した各区間について、当該区間の前方に在線する列車の位置に応じた制限速度情報、および当該区間の次の区間で制限速度が下位に変化することを示す予告信号を当該区間に在線する列車にそれぞれ送信する地上装置と、
自列車速度が前記地上装置から送信された制限速度情報で示される制限速度を超えた場合には列車速度が自動的に前記示される制限速度以下となるように制御するとともに前記地上装置から送信された予告信号を通知し、下位の制限速度にある区間に列車が当該制限速度以上の速度で進入した場合にブレーキパターンを発生し、列車速度が当該ブレーキパターンで示される速度よりも低ければ弱めのブレーキを動作させ、列車速度が当該ブレーキパターンで示される速度よりも高ければ全ブレーキを動作させる自動列車制御装置と、
自列車の軌道上での位置を検知する自列車位置検知手段と、
各区間に列車が在線する場合の、当該区間の後方の区間に設定される制限速度の情報を保持する制限速度情報保持手段と、
前記自列車位置検知手段により検知した自列車位置と、前記地上装置から送信された当該区間の制限速度情報および予告信号と、前記制限速度情報保持手段により保持される先行列車在線区間の後方の区間の制限速度情報とに基づいて、前方区間の制限速度情報を推定する前方制限速度情報推定手段と、
前方制限速度情報推定手段による推定結果に基づいて列車の走行制御を行なう走行制御手段と
を備えたことを特徴とする乗り心地改善型列車制御システム。
【請求項11】
先行列車の軌道上での位置を検知する先行列車位置検知手段をさらに備え、
前記前方制限速度情報推定手段は、
前記自列車位置検知手段により検知した自列車位置と、前記地上装置から送信された当該区間の制限速度情報および予告信号と、前記先行列車位置検知手段により検知した先行列車位置と、前記制限速度情報保持手段により保持される先行列車在線区間の後方の区間の制限速度情報に基づいて、前記前方区間の制限速度情報を推定する
ことを特徴とする請求項9または請求項10に記載の乗り心地改善型列車制御システム。
【請求項12】
前記前方区間の制限速度情報は、次の区間の制限速度、前方の複数の区間の制限速度、停止信号区間までの距離、先行列車在線区間、先行列車在線区間までの距離、先行列車在線区間の区間最高速度、先行列車尾端までの距離のうち少なくとも一つである
ことを特徴とする請求項9乃至請求項11のいずれか1つに記載の乗り心地改善型列車制御システム。
【請求項13】
前記自列車位置検知手段により算出した自列車位置に基づき、位置検知誤差を考慮して遅れ側および進み側の自列車位置、遅れ側および進み側の自列車在線区間を算出するとともに、前記制限速度情報保持手段により保持される先行列車在線区間の後方の区間の制限速度情報に基づいて、前記遅れ側、進み側およびその中間の区間で発生し得る制限速度および予告信号と、前記地上装置から送信された制限速度情報および予告信号とを比較し、自列車位置と制限速度および予告信号との整合性を確認する整合性確認手段を更に備え、
前記前方制限速度情報推定手段は、
前記整合性確認手段により整合性を確認した場合に、前記前方区間の制限速度情報を推定する
ことを特徴とする請求項9または請求項10に記載の乗り心地改善型列車制御システム。
【請求項14】
列車の走行する軌道上の勾配情報を保持した勾配情報保持手段と、
前記予告信号により、次の区間の制限速度が下位に変化すると予測された場合に、前記前方制限速度情報推定手段による推定結果および前記勾配情報保持手段により保持する勾配情報をもとに、自列車が当該次の区間に進入する手前から、全ブレーキよりも弱いブレーキを動作させて前記下位の制限速度まで減速した場合の、現在位置から勾配を考慮した減速シミュレーションを行なうシミュレーション手段とを更に備え、
前記走行制御手段は、
前記シミュレーション手段によるシミュレーション結果で示される減速終了点がブレーキパターンを超過しないタイミングで、全ブレーキよりも弱いブレーキを動作させる
ことを特徴とする請求項10または請求項12に記載の乗り心地改善型列車制御システム。
【請求項15】
列車が走行する軌道を分割した各区間について、当該区間の前方に在線する列車の位置に応じた制限速度情報、および当該区間の次の区間で制限速度が下位に変化することを示す予告信号を当該区間に在線する列車にそれぞれ送信する地上装置と、
自列車速度が前記地上装置から送信された制限速度情報で示される制限速度を超えた場合には列車速度が自動的に前記示される制限速度以下となるように制御するとともに前記地上装置から送信された予告信号を通知し、下位の制限速度にある区間に列車が当該制限速度以上の速度で進入した場合にブレーキパターンを発生し、列車速度が当該ブレーキパターンで示される速度よりも低ければ弱めのブレーキを動作させ、列車速度が当該ブレーキパターンで示される速度よりも高ければ全ブレーキを動作させる自動列車制御装置と、
自列車の軌道上での位置を検知する自列車位置検知手段と、
列車の走行する軌道上の勾配情報を保持した勾配情報保持手段と、
前記予告信号により、次の区間の制限速度が下位に変化すると予測された場合に、前記自列車位置検知手段により検知した自列車位置および前記勾配情報保持手段により保持する勾配情報をもとに、自列車が当該次の区間に進入する手前から、全ブレーキよりも弱いブレーキを動作させて所定時間減速した場合の、現在位置から勾配を考慮した減速シミュレーションを行なうシミュレーション手段と、
前記シミュレーション手段によるシミュレーション結果で示される減速終了点がブレーキパターンを超過しないタイミングで、全ブレーキよりも弱いブレーキを動作させるようにして列車の走行を制御する走行制御手段と
を備えたことを特徴とする乗り心地改善型列車制御システム。
【請求項16】
前記シミュレーション手段は、
前記予告信号により、次の区間の制限速度が下位に変化すると予測された場合に、前記自列車位置検知手段により検知した自列車位置および前記勾配情報保持手段により保持する勾配情報をもとに、自列車が当該次の区間に進入する手前から、全ブレーキよりも弱いブレーキを動作させて所定時間減速し、さらに、前記全ブレーキよりも弱いブレーキと全ブレーキとの中間のブレーキを動作させて所定時間減速した場合の、現在位置から勾配を考慮した減速シミュレーションを行ない、
前記走行制御手段は、
前記シミュレーション手段によるシミュレーション結果で示される減速終了点がブレーキパターンを超過しないタイミングで、全ブレーキよりも弱いブレーキを動作させて所定時間減速した後、前記全ブレーキよりも弱いブレーキと全ブレーキとの中間のブレーキを動作させるようにして列車の走行を制御する
ことを特徴とする請求項15に記載の乗り心地改善型列車制御システム。
【請求項17】
列車が走行する軌道を分割した各区間について、当該区間の前方に在線する列車の位置に応じた制限速度情報、および当該区間の次の区間で制限速度が下位に変化することを示す予告信号を当該区間に在線する列車にそれぞれ送信する地上装置と、
自列車速度が前記地上装置から送信された制限速度情報で示される制限速度を超えた場合には列車速度が自動的に前記示される制限速度以下となるように制御するとともに前記地上装置から送信された予告信号を通知し、下位の制限速度にある区間に列車が当該制限速度以上の速度で進入した場合にブレーキパターンを発生し、列車速度が当該ブレーキパターンで示される速度よりも低ければ弱めのブレーキを動作させ、列車速度が当該ブレーキパターンで示される速度よりも高ければ全ブレーキを動作させる自動列車制御装置と、
自列車の軌道上での位置を検知する自列車位置検知手段と、
各区間に列車が在線する場合の、当該区間の後方の区間に設定される制限速度の情報を保持する制限速度情報保持手段と、
前記自列車位置検知手段により検知した自列車位置と、前記地上装置から送信された当該区間の制限速度情報および予告信号と、前記制限速度情報保持手段により保持される先行列車在線区間の後方の区間の制限速度情報とに基づいて、前方区間の制限速度情報を推定する前方制限速度情報推定手段と、
列車の走行する軌道上の勾配情報を保持した勾配情報保持手段と、
前記予告信号により、次の区間の制限速度が下位に変化すると予測された場合に、前記前方制限速度情報推定手段による推定結果および前記勾配情報保持手段により保持する勾配情報をもとに、自列車が当該次の区間に進入する手前から、全ブレーキよりも弱いブレーキを動作させて下位の制限速度まで減速した場合の、現在位置から勾配を考慮した減速シミュレーションを行なうシミュレーション手段と、
前記シミュレーション手段によるシミュレーション結果で示されるブレーキタイミングおよびブレーキ指令を通知するブレーキ条件通知手段と
を備えたことを特徴とする乗り心地改善型列車制御システム。
【請求項18】
先行列車の軌道上での位置を検知する先行列車位置検知手段をさらに備え、
前記前方制限速度情報推定手段は、
前記自列車位置検知手段により検知した自列車位置と、前記地上装置から送信された当該区間の制限速度情報および予告信号と、前記先行列車位置検知手段により検知した先行列車位置と、前記制限速度情報保持手段により保持される先行列車在線区間の後方の区間の制限速度情報に基づいて、前記前方区間の制限速度情報を推定する
ことを特徴とする請求項17に記載の乗り心地改善型列車制御システム。
【請求項19】
列車が走行する軌道を分割した各区間について、当該区間の前方に在線する列車の位置に応じた制限速度情報、および当該区間の次の区間で制限速度が下位に変化することを示す予告信号を当該区間に在線する列車にそれぞれ送信する地上装置と、
自列車速度が前記地上装置から送信された制限速度情報で示される制限速度を超えた場合には列車速度が自動的に前記示される制限速度以下となるように制御するとともに前記地上装置から送信された予告信号を通知し、下位の制限速度にある区間に列車が当該制限速度以上の速度で進入した場合にブレーキパターンを発生し、列車速度が当該ブレーキパターンで示される速度よりも低ければ弱めのブレーキを動作させ、列車速度が当該ブレーキパターンで示される速度よりも高ければ全ブレーキを動作させる自動列車制御装置と、
自列車の軌道上での位置を検知する自列車位置検知手段と、
列車の走行する軌道上の勾配情報を保持した勾配情報保持手段と、
前記予告信号により、次の区間の制限速度が下位に変化すると予測された場合に、前記自列車位置検知手段により検知した自列車位置および前記勾配情報保持手段により保持する勾配情報をもとに、自列車が当該次の区間に進入する手前から、全ブレーキよりも弱いブレーキを動作させて所定時間減速した場合の、現在位置から勾配を考慮した減速シミュレーションを行なうシミュレーション手段と、
前記シミュレーション手段によるシミュレーション結果で示されるブレーキタイミングおよびブレーキ指令を通知するブレーキ条件通知手段と
を備えたことを特徴とする乗り心地改善型列車制御システム。
【請求項20】
前記シミュレーション手段は、
前記予告信号により、次の区間の制限速度が下位に変化すると予測された場合に、前記自列車位置検知手段により検知した自列車位置および前記勾配情報保持手段により保持する勾配情報をもとに、自列車が当該次の区間に進入する手前から、全ブレーキよりも弱いブレーキを動作させて所定時間減速し、さらに、前記全ブレーキよりも弱いブレーキと全ブレーキの中間のブレーキを動作させて所定時間減速した場合の、現在位置から勾配を考慮した減速シミュレーションを行なう
ことを特徴とする請求項19に記載の乗り心地改善型列車制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【公開番号】特開2010−246304(P2010−246304A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−93755(P2009−93755)
【出願日】平成21年4月8日(2009.4.8)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(504158881)東京地下鉄株式会社 (22)
【Fターム(参考)】