説明

乾燥装置

【課題】 乾燥すべき基板が大サイズとなった場合においても、装置コストや稼働コストを低減しながら基板を確実に乾燥させることができ、また、装置のメンテナンスを容易に実行することが可能な乾燥装置を提供する。
【解決手段】 移動支持部を構成する整流板41と接続する一対の仕切板47に連結された10本の支持棒31およびその支持棒31に配設された支持ピン32を、一対のスライドレール71の作用により、メンテナンス位置に移動させる。そして、扉部62を側壁61から取り外すことにより、オペレータがメンテナンス空間にアクセスすることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、有機EL表示装置用ガラス基板、液晶表示装置用ガラス基板、PDP用ガラス基板あるいは半導体製造装置用マスク基板、フォトマスク用ガラス基板等の基板の表面に塗布された薄膜を乾燥する乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置用ガラス基板等の基板に塗布されたフォトレジスト等の薄膜を減圧乾燥する乾燥装置は、特許文献1に開示されている。この特許文献1に記載の乾燥装置においては、基部と蓋部とパッキンからなるチャンバーを備え、基板を搬入したチャンバ内を真空ポンプにより減圧することで、レジスト液の成分の中心である溶剤の蒸発を促進し、フォトレジストを迅速に乾燥させるようにしている。このような減圧乾燥装置を使用してフォトレジストを乾燥させた場合には、風や熱等の外的要因の影響を防止して、フォトレジストをムラなく乾燥させることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−283108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年の基板の大サイズ化に伴い、基板の乾燥装置も大型化する。このとき、特許文献1に記載された減圧乾燥装置においては、チャンバーも大型化することから、装置のコストが高くなる。また、この減圧乾燥装置においては、基板をチャンバー内に搬入・搬出するためにチャンバーを構成する蓋部を開閉する必要があることから、大型の蓋部を移動させる機構が必要となるばかりではなく、蓋部の移動のために大きなエネルギーが必要となり、その稼働コストが高くなる。
【0005】
また、近年の基板の大サイズ化に伴う乾燥装置の大型化により、装置のメンテナンスを装置の外側から行うことが困難となりつつあるという問題も生じている。
【0006】
この発明は上記課題を解決するためになされたものであり、乾燥すべき基板が大サイズとなった場合においても、装置コストや稼働コストを低減しながら基板を確実に乾燥させることができ、また、装置のメンテナンスを容易に実行することが可能な乾燥装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、基板の表面に塗布された薄膜を乾燥する乾燥装置において、複数の基板を、その表面が平行となる状態で上下方向に多段状に支持する基板支持手段と、前記基板支持手段により支持された複数の基板の表面に沿って気流を発生させる気流形成手段と、を備え、前記基板支持手段は、固定支持部と、前記固定支持部に対して移動する移動支持部とから構成され、前記移動支持部が前記固定支持部から離隔することにより、前記固定支持部と前記移動支持部との間にメンテナンス用のスペースが形成可能であることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記移動支持部をスライド可能に支持することにより、前記移動支持部を前記固定支持部に対して離隔または近接する方向に移動可能に支持する案内部材を備えている。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、基板を搬入および搬出するための搬入・搬出領域が形成され、前記固定支持部および前記移動支持部を収納するチャンバーと、複数の排気口を備え、前記チャンバーにおける前記基板支持手段により支持された基板に対して前記搬入・搬出領域とは逆側に配設された仕切板と、前記仕切板における排気口を介して前記チャンバー内を排気する排気手段と、を備え、前記移動支持部と前記固定支持部とが離隔したときに、前記チャンバーの側壁における前記移動支持部と前記固定支持部との間の領域が、前記チャンバーに対して着脱自在に構成される。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、基板を搬入および搬出するための搬入・搬出領域が形成され、前記固定支持部および前記移動支持部を収納するチャンバーと、複数の排気口を備え、前記チャンバーにおける前記基板支持手段により支持された基板に対して前記搬入・搬出領域とは逆側に配設された仕切板と、前記仕切板における排気口を介して前記チャンバー内を排気する排気手段と、を備え、前記チャンバーは、前記搬入・搬出領域側の移動チャンバー部と、前記排気口側の固定チャンバー部とから構成され、前記移動支持部は前記移動チャンバー部に連結され、前記固定支持部は前記固定チャンバー部に連結される。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項3または請求項4に記載の発明において、前記チャンバーは、基板を収納して乾燥するための乾燥ゾーンと、チャンバー内の排気を均一に行うための均圧ゾーンとから構成され、前記乾燥ゾーンと前記均圧ゾーンとの間に前記仕切板が配設されるとともに、前記排気手段は、前記均圧ゾーンに配設された排気口を含む。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、乾燥すべき基板が大サイズとなった場合においても、装置コストや稼働コストを低減しながら基板を確実に乾燥させることが可能となる。そして、固定支持部と移動支持部との間にメンテナンス用のスペースを形成することで、複数の基板を多段状に支持する基板支持手段のメンテナンスを容易に実行することが可能となる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、移動支持部をスライドさせることにより、固定支持部と移動支持部との間に、容易にメンテナンス用のスペースを形成することが可能となる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、チャンバーと仕切板の作用により、搬入・搬出領域から仕切板に向かう均一な気流を形成することができ、基板全面を迅速かつ均一に乾燥させることが可能となる。また、チャンバーの側壁における移動支持部と固定支持部の間の領域が着脱自在であることから、その領域を利用してメンテナンス用のスペースにアクセスすることが可能となる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、チャンバーと仕切板の作用により、搬入・搬出領域から仕切板に向かう均一な気流を形成することができ、基板全面を迅速かつ均一に乾燥させることが可能となる。また、移動チャンバー部と固定チャンバー部との間に形成される領域を利用して、メンテナンス用のスペースにアクセスすることが可能となる。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、均圧ゾーンの作用により、各排気口からの排気量を均一なものとして、基板全面をより均一に乾燥することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明に係る乾燥装置2を適用した塗布システムのブロック図である。
【図2】搬送ロボット5の概要図である。
【図3】この発明の第1実施形態に係る乾燥装置2の概要図である。
【図4】この発明の第1実施形態に係る乾燥装置2の概要図である。
【図5】チャンバー24における乾燥ゾーン21内の支持棒31および支持ピン32の配置を示す概要図である。
【図6】チャンバー24における乾燥ゾーン21内の支持棒31および支持ピン32の配置を示す概要図である。
【図7】整流板41の正面図である。
【図8】仕切板47の正面図である。
【図9】この発明の第2実施形態に係る乾燥装置2を示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。まず、この発明に係る乾燥装置2を適用した塗布システムの構成について説明する。図1は、この発明に係る乾燥装置2を適用した塗布システムのブロック図である。
【0019】
この塗布システムは、液晶表示装置用ガラス基板(以下、単に「基板」という)に対してフォトレジストの薄膜を塗布するための塗布装置1と、塗布装置1により基板に塗布されたフォトレジストの薄膜を乾燥するためのこの発明に係る乾燥装置2と、乾燥装置2によりフォトレジストの薄膜がある程度まで乾燥した基板を加熱するホットプレート3と、ホットプレート3により加熱された基板を常温まで冷却するためのクールプレート4とから構成される。
【0020】
塗布装置1と乾燥装置2との間には、基板を塗布装置1から乾燥装置2に搬送するための搬送ロボット5が配設されている。また、塗布装置2とホットプレート3との間には、基板を乾燥装置2からホットプレート3に搬送するための搬送ロボット6が配設されている。さらに、ホットプレート3とクールプレート4との間には、基板をホットプレート3からクールプレート4に搬送するための搬送ロボット7が配設されている。
【0021】
乾燥装置2の上部には、搬送ロボット5と搬送ロボット6との間で基板を受け渡すための図示しない受渡部が付設されており、ホットプレート3の上部には、搬送ロボット6と搬送ロボット7との間で基板を受け渡すための図示しない受渡部が付設されている。基板は、これらの搬送ロボット5、6、7の作用により、図1において矢印で示すように、塗布装置1、乾燥装置2、ホットプレート3、クールプレート4に対して順次搬送され、フォトレジストの塗布と乾燥、定着が実行される。
【0022】
図2は搬送ロボット5の概要図である。この搬送ロボット5は、4本のアーム51とその移動機構52とから構成される。なお、他の搬送ロボット6、7も、この搬送ロボット5と同様の構成を有する。
【0023】
次に、この発明に係る乾燥装置2の構成について説明する。図3および図4は、この発明の第1実施形態に係る乾燥装置2の概要図である。なお、この図における乾燥装置2は、チャンバー24の上部を取り外して見た平面図となっている。また、図3は基板を乾燥する状態を、また、図4はメンテナンス用のスペースが形成されたメンテナンス状態を示している。
【0024】
この乾燥装置2は、基板100を乾燥するための乾燥ゾーン21と、この乾燥ゾーン21を均一に排気するための均圧ゾーン22、23とから成るチャンバー24を備える。このチャンバー24において、搬送ロボット5側(図示左側)の基板100の搬入・搬出領域には、整流板41が配設されている。また、基板100の搬入・搬出領域とは逆側となる乾燥ゾーン21と均圧ゾーン22との間の位置には、仕切板47が配設されている。また、乾燥ゾーン21の両側に配置された一対の均圧ゾーン23と乾燥ゾーン21との間にも、各々一対の仕切板47が配設されている。チャンバー24には、均圧ゾーン22に接続する2本の排気管26と、各均圧ゾーン23に接続する排気管26とが配設されており、各排気管26には、ダンパー27が付設されている。そして、各排気管26は、排気ファンや工場排気等の排気機構と接続されている。
【0025】
チャンバー24における乾燥ゾーン21には、複数の基板100をその表面が平行となる状態で上下方向に多段状に支持するための、複数の支持棒31および支持ピン32が配設されている。複数の支持棒31は、一対の均圧ゾーン23と乾燥ゾーン21との間に配設された仕切板47とその両端が接続されている。
【0026】
図5および図6は、チャンバー24における乾燥ゾーン21内の支持棒31および支持ピン32の配置を示す概要図である。ここで、図5は、乾燥ゾーン21を搬送ロボット5側から整流板41を取り外して見た状態を示し、図6は、乾燥ゾーン21を図5とは直交する方向から側板を取り外して見た状態を示している。
【0027】
図6に示すように、乾燥ゾーン21内には、搬送ロボット5による基板100の搬入・搬出方向とは直交する方向を向く支持棒31が、基板100の搬入・搬出方向(図6に示す左右方向)に5本、上下向に5本の計25本配設されている。そして、図5に示すように、各支持棒31の上面には、各々、5個の支持ピン32が配設されている。乾燥ゾーン21内には、これらの支持棒31および支持ピン32からなる基板支持手段により、5枚の基板100が、その表面が水平方向を向いて互いに平行となる状態で、上下方向に互いに重畳した多段状に支持される。
【0028】
図2に示す搬送ロボット5の4本のアーム51は、図5において仮想線で示すように、5本の支持棒31の間の位置に進入する。そして、搬送ロボット5の各アーム51は、その位置で昇降することにより、そこに支持した基板100を支持ピン32上に載置し、あるいは、支持ピン32により支持された基板100をその下方からすくい上げて搬出する。
【0029】
図7は、図3および図4に示す整流板41の正面図である。
【0030】
この整流板41は、チャンバーにおける基板100の搬入・搬出領域において、基板100と基板100の搬送装置である搬送ロボット5のアーム51が通過可能な領域にのみ開口部44が形成された構成を有する。すなわち、この整流板41に形成された開口部44は、基板100を通過させるための領域42と、基板100を支持した4本のアーム51を通過させ、かつ、支持ピン32との間で基板100を受け渡すときに4本のアーム51が昇降するための領域43とから構成される。この整流板41の作用により、各排気管26から同一の排気量で排気を行ったときに、チャンバー24内の気流の速度を大きくすることができることから、基板100を迅速に乾燥させることが可能となる。
【0031】
図8は、図3および図4に示す仕切板47の正面図である。
【0032】
この仕切板47は、乾燥ゾーン21と均圧ゾーン22、23との間の位置において、支持ピン32により支持された複数の基板100に対応した複数の排気口48を形成するためのものである。すなわち、この仕切板47には、支持ピン32により支持された複数の基板100に対応して、横方向に5個列設されたスリット形状を有する排気口48が、上下方向に5段形成されている。そして、横方向に5個列設された排気口48の高さ位置は、図5に示すように、支持ピン32により支持された対応する各基板100の表面より低い位置となっている。なお、5個の排気口48を横方向に列設するかわりに、横方向に長い単一のスリット状の排気口を使用してもよい。
【0033】
チャンバー24の均圧ゾーン22、23に接続する排気管26から排気を行った場合には、仕切板47の作用により、各排気口48から均一な排気が行われ、搬入・搬出領域に設置された整流板41の開口部44から各排気口48に向かう均一な気流を形成することができる。このとき、各排気口48がスリット状の形状を有することから、チャンバー24内の気流を一定速度の均一なものとすることができ、基板100をより迅速かつ均一に乾燥することが可能となる。そして、これらの排気口48の高さ位置が、図5に示すように、支持ピン32により支持された対応する各基板100の表面より低い位置となっていることから、薄膜から発生する空気より比重の大きい溶剤の蒸気を、効率的に排出することが可能となる。
【0034】
なお、この実施形態においては、チャンバー24における整流板41が配置された基板100の搬入・搬出領域とは逆側に均圧ゾーン22を形成するとともに、乾燥ゾーン21の両側にも、均圧ゾーン22と直交する方向に一対の均圧ゾーン23を形成している。そして、これらの均圧ゾーン22、23と乾燥ゾーン21の間に、各々、仕切板47を配置している。これらの均圧ゾーン22、23のうち、均圧ゾーン22は、チャンバー24における整流板41が配置された基板100の搬入・搬出領域から均圧ゾーン22に向かう気流を発生させるために必要なものとなる。一方、乾燥ゾーン21の両側に形成された一対の均圧ゾーン23は、これを省略することも可能である。
【0035】
この実施形態のように、チャンバー24において、均圧ゾーン22の他に、一対の均圧ゾーン23を形成した場合には、基板100の外周全域から排気を行うことができ、基板100の表面全域に気流を形成させることができる。また、基板100の外周全域から排気を行うことから、同じ排気量の場合に気流の速度を小さくすることができ、フォトレジストの薄膜の乾燥ムラを防止することが可能となる。なお、一対の均圧ゾーン23に配設される排気管26の位置は、整流板41の開口部44から各仕切板47の排気口48に向かう均一な気流を形成するため、均圧ゾーン23における整流板41から離隔した位置(均圧ゾーン22に近接した位置)に配設することが好ましい。
【0036】
図3に示すように、乾燥ゾーン21内の25本の支持棒31のうち、均圧ゾーン22側の15本の支持棒31は、均圧ゾーン22と乾燥ゾーン21の間に配置された仕切板47に接続する一対の仕切板47に連結されている。一方、乾燥ゾーン21内の25本の支持棒31のうち、基板100の搬入・搬出領域側の10本の支持棒31は、整流板41と接続する一対の仕切板47に連結されている。そして、整流板41とこの整流板41に接続する一対の仕切板47とは、一対のスライドレール71の作用により、そこに連結された10本の支持棒31とともに、図3に示す基板100の乾燥位置から、図4に示すメンテナンス位置まで、スライド可能となっている。
【0037】
この乾燥装置2においては、均圧ゾーン22と乾燥ゾーン21の間に配置された仕切板47に接続する一対の仕切板47に連結された15本の支持棒31と、その支持棒31に配設された支持ピン32とは、この発明に係る固定支持部を構成する。一方、整流板41と接続する一対の仕切板47に連結された10本の支持棒31と、その支持棒31に配設された支持ピン32とは、この発明に係る移動支持部を構成する。そして、固定支持部を構成する一対の仕切板47と、移動支持部を構成する一対の仕切板47との間には、パッキン63が配設されている。
【0038】
図4に示すように、移動支持部を構成する整流板41と接続する一対の仕切板47に連結された10本の支持棒31およびその支持棒31に配設された支持ピン32がメンテナンス位置に移動したときに、チャンバー24を形成する側壁61のうちメンテナンス位置に対応する領域には、この側壁から着脱自在な扉部62が形成されている。メンテナンス時には、オペレータは、この扉部62を側壁61から取り外すことにより、メンテナンス空間にアクセスすることが可能となる。
【0039】
以上のような構成を有する乾燥装置2においては、図1に示す塗布装置1によりフォトレジストが塗布されてその薄膜が形成された基板100を、搬送ロボット5によりチャンバー24の乾燥ゾーン21に順次搬送する。乾燥ゾーン21においては、整流板41の開口部44から仕切板47の排気口48に向かって基板100の表面に沿って流れる均一な気流の作用により、フォトレジストの薄膜から溶剤を蒸発させて乾燥させることが可能となる。このため、乾燥すべき基板100が大サイズとなった場合においても、装置コストや稼働コストを低減しながら基板100を確実に乾燥させることが可能となる。
【0040】
このとき、複数の基板100を重畳した状態でまとめて乾燥させることができることから、1枚の基板100の乾燥に、塗布装置1によるフォトレジストの薄膜の塗布に要する時間の5倍の時間を費やすことができる。従って、従来のような減圧乾燥を行わない場合においても、気流の流れにより基板100を十分に乾燥させることが可能となる。
【0041】
このような乾燥装置において、基板100の乾燥を継続して実行したときには、チャンバー24内の清掃やメンテナンスを行う必要がある。このような場合においては、移動支持部を構成する整流板41と接続する一対の仕切板47に連結された10本の支持棒31およびその支持棒31に配設された支持ピン32を、図4に示すメンテナンス位置に移動させる。そして、扉部62を側壁61から取り外すことにより、オペレータがメンテナンス空間にアクセスすることが可能となる。
【0042】
特に、この発明に係る乾燥装置のように、複数の基板100を、その表面が平行となる状態で上下方向に多段状に支持する構成を採用した場合においては、装置のメンテナンス時に多数の支持棒31を取り外してメンテナンスを行うことが困難となるが、上述した構成を採用した場合には、オペレータがメンテナンス空間に容易にアクセスすることができ、メンテナンス作業を容易に実行することが可能となる。
【0043】
次に、この発明の他の実施の形態について説明する。図9はこの発明の第2実施形態に係る乾燥装置2を示す概要図である。なお、上述した第1実施形態と同一の部材については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0044】
この第2実施形態に係る乾燥装置2は、チャンバー24が搬入・搬出領域側の移動チャンバー部と、均圧ゾーン22側の固定チャンバー部とに二分割されている。そして、固定支持部を構成する均圧ゾーン22と乾燥ゾーン21の間に配置された仕切板47に接続する一対の仕切板47に連結された15本の支持棒31は、固定チャンバー部に接続されている。一方、移動支持部を構成する整流板41と接続する一対の仕切板47に連結された10本の支持棒31は、移動チャンバー部に接続されている。そして、移動支持部を構成する整流板41と接続する一対の仕切板47に連結された10本の支持棒31およびその支持棒31に配設された支持ピン32は、移動チャンバー部とともに、4本のスライドレール72の作用により、乾燥位置から、図9に示すメンテナンス位置まで、スライド可能となっている。メンテナンス時には、オペレータは、固定チャンバー部と移動チャンバー部とを離隔させることにより、メンテナンス空間にアクセスすることが可能となる。
【0045】
このとき、固定チャンバー部と移動チャンバー部との間には、パッキン63が配設されていることから、固定チャンバー部と移動チャンバー部とが互いに当接する乾燥位置に移動したときには、移動チャンバー部と固定チャンバー部との間を確実にシールして、チャンバー24の気密性を高めることが可能となる。
【0046】
以上のように、この発明に係る乾燥装置2によれば、多段に配置された基板100の表面に沿って流れる均一な気流の作用により、フォトレジストの薄膜から溶剤を蒸発させて乾燥させることが可能となる。このため、乾燥すべき基板100が大サイズとなった場合においても、装置コストや稼働コストを低減しながら基板100を確実に乾燥させることが可能となる。このとき、この乾燥装置2は、塗布装置1とホットプレート3との間に配置されることから、仮に基板100の表面のフォトレジストの薄膜が完全に乾燥しなかったとしても、その流動性がなくなる程度に乾燥できさえすれば、後段のホットプレート3によりフォトレジストを完全に乾燥させることができることから、塗布システム全体としてフォトレジストの塗布と乾燥とを効率的に実行することが可能となる。
【0047】
そして、装置のメンテナンス時においては、オペレータがメンテナンス空間に容易にアクセスすることができることから、基板100の大サイズ化に伴って装置が大型化した場合においても、そのメンテナンスを容易に実行することが可能となる。
【符号の説明】
【0048】
1 塗布装置
2 乾燥装置
3 ホットプレート
4 クールプレート
5 搬送ロボット
6 搬送ロボット
7 搬送ロボット
21 乾燥ゾーン
22 均圧ゾーン
23 均圧ゾーン
24 チャンバー
26 排気管
27 ダンパー
31 支持棒
32 支持ピン
41 整流板
44 開口部
47 仕切板
48 排気口
51 アーム
63 パッキン
71 スライドレール
72 スライドレール
100 基板


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の表面に塗布された薄膜を乾燥する乾燥装置において、
複数の基板を、その表面が平行となる状態で上下方向に多段状に支持する基板支持手段と、
前記基板支持手段により支持された複数の基板の表面に沿って気流を発生させる気流形成手段と、
を備え、
前記基板支持手段は、固定支持部と、前記固定支持部に対して移動する移動支持部とから構成され、前記移動支持部が前記固定支持部から離隔することにより、前記固定支持部と前記移動支持部との間にメンテナンス用のスペースが形成可能であることを特徴とする乾燥装置。
【請求項2】
請求項1に記載の乾燥装置において、
前記移動支持部をスライド可能に支持することにより、前記移動支持部を前記固定支持部に対して離隔または近接する方向に移動可能に支持する案内部材を備える乾燥装置。
【請求項3】
請求項2に記載の乾燥装置において、
基板を搬入および搬出するための搬入・搬出領域が形成され、前記固定支持部および前記移動支持部を収納するチャンバーと、
複数の排気口を備え、前記チャンバーにおける前記基板支持手段により支持された基板に対して前記搬入・搬出領域とは逆側に配設された仕切板と、
前記仕切板における排気口を介して前記チャンバー内を排気する排気手段と、
を備え、
前記移動支持部と前記固定支持部とが離隔したときに、前記チャンバーの側壁における前記移動支持部と前記固定支持部との間の領域が、前記チャンバーに対して着脱自在に構成される乾燥装置。
【請求項4】
請求項2に記載の乾燥装置において、
基板を搬入および搬出するための搬入・搬出領域が形成され、前記固定支持部および前記移動支持部を収納するチャンバーと、
複数の排気口を備え、前記チャンバーにおける前記基板支持手段により支持された基板に対して前記搬入・搬出領域とは逆側に配設された仕切板と、
前記仕切板における排気口を介して前記チャンバー内を排気する排気手段と、
を備え、
前記チャンバーは、前記搬入・搬出領域側の移動チャンバー部と、前記排気口側の固定チャンバー部とから構成され、
前記移動支持部は前記移動チャンバー部に連結され、前記固定支持部は前記固定チャンバー部に連結される乾燥装置。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の乾燥装置において、
前記チャンバーは、基板を収納して乾燥するための乾燥ゾーンと、チャンバー内の排気を均一に行うための均圧ゾーンとから構成され、
前記乾燥ゾーンと前記均圧ゾーンとの間に前記仕切板が配設されるとともに、
前記排気手段は、前記均圧ゾーンに配設された排気口を含む乾燥装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−69848(P2012−69848A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−214957(P2010−214957)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】