説明

交通情報報知装置及びプログラム

【課題】従来よりも適切な安全情報を収集して報知することのできる交通情報報知装置を提供すること
【解決手段】 予め設定された周波数帯の電波を受信する電波受信手段と、現在位置を検出する位置検出手段と、電波受信手段の出力と位置検出手段の出力に基づき、交通取締用の電波を受信する受信範囲を決定しデータベースに格納する手段と、を備える。その後の走行において、位置検出手段によって検出した現在位置と、データベースに記憶された受信範囲に基づき、周囲に前記受信範囲が存在する場合に、受信範囲を特定する区間アイコン72と、設定時の移動方向を示す矢印アイコン74,75を地図に重ねて描画する。受信範囲と、移動方向が直感的に理解できるので、走行先にある受信範囲が、安全運転を特に気をつけた方が良い道路か否かを一目で理解できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば交通安全に関する情報を収集・提供する交通情報報知装置及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の速度を測定する車両速度測定装置が路上周辺等に多数設置されるようになっている。車両速度測定装置の一例を示すと、所定周波数帯域のマイクロ波を車両に向けて発射し、その反射波を受信して車両の走行スピードを測定するようになっている。
【0003】
この種のマイクロ波を用いた車両速度測定装置は、予め道路の所定位置に固定設置され自動的に監視する常設のタイプのものと、非常設で適宜の箇所に臨時で設置される移動式のタイプがある。いずれのタイプのものも、車両の速度測定が行われる場所は、交通事故の多発地点や、スピードを出しやすく交通事故を誘発しやすい場所等で行われるので、それらの場所を事前にドライバーに通知することで、特に危険な場所で交通規則を遵守した安全運転を促すことができる。
【0004】
固定設置された常設のタイプの場合、予めその設置された位置情報を記憶しておくことで、現在位置が当該記憶した位置に近づいた場合に事前にその存在を警報することができるが、移動式のタイプの場合、実際にマイクロ波を受信して初めて警報をすることができる。また、例えば特許文献1に開示された発明のように、所定のマイクロ波(取締電波)を受信した際に、取締箇所の位置情報を記憶し、その後に同一地点に近づいた場合、事前に警報を発する技術が開示されている。これにより、実際のマイクロ波を受信するよりも手前からその先に車両速度測定装置が設置されている可能性が高いことを事前に通知することができる。よって、ユーザは、交通事故多発地帯等の存在を事前に知ることができ、より注意して運転することで、安全運転が行える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−27096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記の特許文献1は、過去に所定のマイクロ波(取締電波)を受信した地点をメモリ部に記憶しておくことで、過去に一度速度取締箇所を探知すると、再度その箇所またはその近傍を通過した場合に、事前にそのことを利用者に通知・警告するといった技術思想が示されている。そして例えば、段落[0011]に、「再度利用者が、過去にメモリ部5に記憶した取締を実施している箇所またはその近傍を通過する場合には、事前に利用者に対して警告音等によって警告するとともに、図2に示すような画面表示で、ナビゲーション部3において取締を実施している地域を地図情報とともに表示させ視覚的にも注意を促し、速度超過違反を未然に防止する。」と記載され、実際に、図2には、警報の表示態様の一つとして、地図中所定位置に速度取締箇所“b”が黒丸で示され、その黒丸を含むような楕円形の速度取締エリア“c”が描かれている。しかし、係る速度取締エリアがどのように設定され、記憶されるかについては具体的に開示等されていない。また、係る特許文献1の図2を見ると、速度取締箇所bは、速度取締エリアcに対して偏心した位置に示されている。特許文献1の説明(取締電波を受信した地点をメモリ部に記憶)から推測すると、速度取締箇所bは、取締電波を受信した地点であると推定できるが、それに基づいて速度取締エリアcをどのようにして設定するかが不明である。
【0007】
また、表示態様が黒丸だけだと、情報量が少なく、一目でどの場所に存在し、現在走行している或いは走行予定の道路が、安全運転を特に気をつける道路であるか否かが理解しにくく、適切な安全運転のための交通情報の提供ができないという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した目的を達成するために、本発明に係る交通情報報知装置は、(1)交通取締に関連する電波を受信するための電波受信手段と、現在位置を検出する位置検出手段と、前記位置検出手段によって検出された現在位置の変化に基づき前記電波受信手段によって交通取締に関連する電波の受信範囲に関する情報または警報の報知範囲に関する情報である範囲情報を記憶する記憶手段と、前記位置検出手段によって検出した現在位置と、前記記憶手段に記憶された前記範囲情報に基づき、周囲の前記範囲情報が存在する場合に警報を発する警報手段と、を備えて構成する。
【0009】
予め設定された周波数帯の電波(交通取締用の電波)は、例えば、車の速度違反を取り締まる無線電波であり、車両速度測定装置から出射されるマイクロ波であったり、警察官同士が連絡を取る警察無線等であったりする。よって、電波受信手段は、実施形態では、マイクロ波受信器11や無線受信器13に対応する。受信範囲は、所定の電波を受信する範囲であり、検出対象の目標物(マイクロ波の発信源)を中心とした一定の範囲(半径Xmの円/扇形)を規定するものではない。実際の受信の履歴、つまり、複数の受信地点に基づいて設定される。警報の報知範囲は、警報を発する範囲を特定するもので、受信範囲と一致していても良いし、異なっていても良い。つまり、例えば、受信範囲に基づき、それに一定のマージン等を設けて広め或いは逆に狭めに設定しても良い。警報は、実施形態では、表示部に範囲情報を特定する表示を行うようにしたが、音声による警報でもよく、その警報の手段は問わない。設定された範囲情報に基づいて、実際にマイクロ波等の電波を受信する前に受信範囲等に範囲情報が近くに存在することを報知するので、現在走行している或いは走行予定の道路が、安全運転を特に気をつける道路であるか否かを知ることができる。
【0010】
(2)前記範囲情報は、同一の電波を受信開始した始点位置と、受信できなくなった終点位置を用いて設定するようにするとよい。このようにすると、範囲情報を過不足無く設定することができる。
【0011】
(3)前記範囲情報は、一定時間間隔で前記電波受信手段で前記電波を受信した際の前記位置検出手段により検出した位置情報を記録した履歴情報から設定するようにするとよい。このようにすると、移動経路、つまり、電波を受信する道路の区間を適切かつ簡単に特定することができる。
【0012】
(4)表示装置と、その表示装置に描画する地図情報を持ち、前記範囲情報は、前記電波受信手段で前記電波を受信した車両の移動軌跡であり、前記警報手段は、前記移動軌跡を前記地図情報に重ねて描画するものとするとよい。このようにすると、所定の電波を受信する道路が一目でわかると共に、その範囲情報・長さが直感的に理解できるので好ましい。
【0013】
(5)一定の範囲内に、前記電波を発信する発信源が基準数以上存在する場合に取り締まり密集エリアとして報知する機能を備えるとよい。そのようにすると、より安全運転を行わなければならないエリアであることを認識できるので、好ましい。基準数は、2以上の予め設定された所定の値である。
【0014】
(6)設定された範囲が重なる前記範囲情報が複数存在する場合、それら複数の範囲情報に基づく新たな範囲情報を設定する機能を備えるとよい。範囲情報が重なる場合、同一の発信源からの電波に基づいて設定されるものと推定されるので、それらを個々に保存し、それに基づいて警報を発するのではなく、新たな範囲情報とすることで、効率よく、報知を行うことができる。新たな範囲情報は、複数の範囲情報を統合したり、いずれかを残したりすることで設定できる。
【0015】
(7)記憶手段には、前記範囲情報に基づいて付加情報を付加し、前記範囲情報の報知は、付加情報を併せて行うとよい。そのようにすると、より詳細な情報を提供することができ、安全運転に寄与できるので好ましい。(8)そして、前記付加情報は、前記範囲情報を特定する緯度・経度情報、その範囲情報を特定する元となった前記電波を受信した時刻情報、警告種類、その範囲情報を通過した際の通過平均速度、受信信号強度,受信時の進行方向,過去警告回数のうちの少なくとも一つを含むとよい。
【0016】
(9)表示装置と、その表示装置に描画する地図情報を持ち、前記警報手段は、その描画された地図情報に重ねて前記範囲情報を示すと共に、前記付加情報が、受信強度及びまたは過去警告回数の場合、その大きさにより表示装置における付加情報についての描画態様を変えるようにするとよい。表示態様を異ならせることで、状況を一目で・直感的に理解できるので好ましい。
【0017】
(10)前記付加情報を編集する編集機能を備えるとよい。このようにすると、より適切な情報を報知することができる。
【0018】
(11)前記範囲情報が基準より狭い場合、警報対象としないようにするとよい。範囲情報が狭い場合、自動ドアのように誤動作源の可能性が高いためである。警報対象としないとは、範囲情報を登録しないことでそもそも警報を発しないようにすることはもちろんのこと、範囲情報を登録しても、その範囲情報に近づいても警報を発しないようにする場合も含む。さらには、積極的に、当該範囲情報に置いて所定の電波を受信したとしても、電波の受信に基づく警報をしないようにするとよい。
【0019】
(12)前記範囲情報を非警報エリアに指定する手段を備えるとよい。例えば、自動ドア等の誤動作源などに基づく範囲情報をユーザにより非警報エリアに指定することで、範囲情報に基づく不必要な警報が発せられるのを防止できる。
【0020】
(13)前記警報手段による報知内容として、前記範囲情報に対応する名称を予め記憶された位置と名称の対応関係から求めるようにするとよい。予め記憶された位置と名称とは、例えば、住所(地名)等がある。このように名称を設定することで、どの場所について設定された範囲情報であるかが容易に理解できるので好ましい。
【0021】
(14)地図情報を持ち、前記警報手段は、現在走行中の道路の先に前記範囲情報が存在する場合に警報をするとよい。このようにすると、現在走行している道路が、より安全運転に気をつけなければならない道路か否かが事前にわかるので好ましい。
【0022】
(15)車両のナビゲーション機能を持ち、経路検索の際に、前記範囲情報を加味して推奨経路を決定する機能を備えるとよい。事故多発地帯等に設定される範囲情報を迂回する経路などを探すことで、安全に運転できる推奨経路を提示できるのど好ましい。
【0023】
(16)前記範囲情報を加味した推奨経路の決定する機能は、範囲情報を含まない経路を求める機能と、範囲情報を含まない経路と範囲情報を含む経路のそれぞれの到着予想時刻の相違も考慮して経路を求める機能の少なくとも一方を持つとよい。
(17)
地図情報を持ち、前記警報手段は、範囲情報と共に、その範囲情報を設定した際の移動方向を描画する機能を備えるとよい。移動方向は、実施形態では矢印アイコン74,75に対応する。移動方向を見ることで、走行先にある範囲情報が、安全運転を特に気をつけた方が良い道路か否かを一目で理解できるので好ましい。
【0024】
(18)本発明のプログラムは、上記の(1)〜(17)のいずれかに記載の交通情報報知装置における各手段としての機能をコンピュータに実現させるためのものである。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、従来よりも適切な安全情報を収集して報知することのできる交通情報報知装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る交通情報報知装置の好適な一実施形態であるナビゲーション装置の構成を示す図である。
【図2】ナビゲーション装置のブロック図を示す図である。
【図3】表示部の表示例を示す説明図である。
【図4】表示部の表示例を示す説明図である。
【図5】表示部の表示例を示す説明図である。
【図6】表示部の表示例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、本発明に係る交通情報報知装置が適用されるナビゲーション装置の好適な一実施形態の外観図を示しており、図2は、その機能ブロック図を示しており、図3以降は表示形態の一例を示している。図1に示すように、ナビゲーション装置は、持ち運び可能な携帯型の装置本体2と、それを保持する取付部材たるクレードル3とを備える。装置本体2をクレードル3に装着することで、車載用のナビゲーション装置として機能し、クレードル3から取り外すことで携帯型のナビゲーション装置(PND)として機能する。もちろん、このように装置本体2がクレードル3から簡単に着脱できる構成を採らなくてもよい。
【0028】
装置本体2は、クレードル3に対して着脱自在に取り付けられる。装置本体2は、扁平な矩形状のケース本体4を備えている。そのケース本体4の前面には、表示部5が配置され、その表示部5上には表示部5のどの部分がタッチされたかを検出するタッチパネル8を備え、前面の両サイドには警報ランプ9を備えている。クレードル3は、装置本体2を保持するクレードル本体6と、車室内の所定の位置(ダッシュボード等)において、クレードル本体6を任意の姿勢で指示する台座部7と、を備えている。台座部7は、底面に設けた吸盤にて、ダッシュボードなどの上に吸着して固定される。台座部7とクレードル本体6とは、ボールジョイント等の連結機構を介して所定の角度範囲内で回転可能に連結される。ボールジョイントであるため、台座部7とクレードル本体6は、相対的に三次元方向の任意の角度範囲内で回転移動し、ジョイント部分における摩擦抵抗により任意の角度位置でその位置をとどめる。よって、クレードル本体6に取り付けられた装置本体2も、ダッシュボード上において任意の姿勢で配置することができる。
【0029】
さらにケース本体4の一方の側面には、SDメモリカード用スロット部21を備え、そのSDメモリカード用スロット部21に地図データなどが記録されたSDメモリカード22を挿入可能としている。また、ケース本体4のSDメモリカード用スロット部21を設けた側面には、DCジャック10を設けている。DCジャック10は、図示省略のシガープラグコードを接続するためのもので、そのシガープラグコードを介して車両のシガーソケットに接続して電源供給を受け得るようにする。
【0030】
一方、SDメモリカード用スロット部21とは反対側の側面には、電源スイッチや、USB端子23を設けている。このUSB端子23を介してパソコンと接続し、ソフトウェアアプリケーションのバージョンアップなどを行なうことができる。
【0031】
ケース本体4の内部には、以下の各機器・部品を配置している。すなわち、ケース本体4の背面側内部には、マイクロ波受信器11を配置する。マイクロ波受信器11は、所定周波数帯のマイクロ波を受信するもので、その設定された周波数帯のマイクロ波を受信した場合に、その受信したマイクロ波の信号レベルを検出する。具体的には、その信号レベルであり電界強度に対応するRSSI電圧を利用する。上記の所定周波数帯は、たとえば車両速度測定装置から出射されるマイクロ波の周波数が含まれる周波数帯としている。
【0032】
また、ケース本体4の上面側内部には、GPS信号を受信し現在位置を求めるGPS受信器12を配置している。ケース本体4の前面側内部には、赤外線通信機14を配置する。赤外線通信機14は携帯電話機15等の赤外線通信機を内蔵した通信装置との間でデータの送受を行なう。さらに、ケース本体4内には、スピーカ20も内蔵されている。
【0033】
更に、本実施形態の装置は、無線受信器13とリモコン受信器16を備えている。無線受信器13は、飛来する所定周波数の無線を受信する。リモコン受信器16は、リモコン(携帯機:子機)17とデータ通信をし、装置に対する各種の設定を行なう。無線受信器13は、飛来する所定周波数帯の無線を受信する。この所定周波数は、例えば、緊急車両が基地局に対して自車位置を通知する際に使用する無線の周波数帯とすることができる。
【0034】
本実施形態のナビゲーション装置は、ナビゲーション機能に加え、車両速度測定装置その他の交通監視ポイント等の目標物を検出する目標物検出装置としての目標物検出機能も備えている。これらのナビゲーション機能並びに目標物検出機能は、制御部18に有するコンピュータが実行するプログラムとして制御部18のEEPROM上に格納され、これを制御部18に有するコンピュータが実行することで実現される。
【0035】
すなわち、制御部18は、上記の各種の入力機器(GPS受信器12、マイクロ波受信器11、無線受信器13、タッチパネル8、リモコン受信器16等)から入力される情報に基づき所定の処理を実行し、出力機器(表示部5,警報ランプ9,スピーカ20等)を利用して所定の情報・警報・メッセージを出力する。この所定の処理が、上記の各機能を実行するためのものであり、必要に応じてデータベース19や、SDメモリカード22にアクセスする。
【0036】
ここでデータベース19は、制御部18のマイコン内あるいはマイコンに外付けした不揮発性メモリ(たとえばEEPROM)により実現できる。なお、データベース19には、出荷時に一定の目標物や地図その他の目標物検出やナビゲーションを行うために必要な情報が登録されており、その後に追加された目標物についてのデータ等は、所定の処理を経て更新することができる。この更新たのめの処理は、例えば、追加データが格納されたSDメモリカードをSDメモリカード用スロット21に装着すると共に、そのSDメモリカードからデータベース19に転送することで行うことがある。また、このデータ更新は、赤外線通信機7を用いたり、USB端子23を介して接続されるパソコンその他の外部機器を用いたりすることで行うことができる。
【0037】
目標物検出機能を実現するための制御部18は、以下のような動作をする。すなわち、制御部18は、マイクロ波受信器11が所望のマイクロ波を受信した場合、予め定めた警報を出力する。この警報としては、スピーカ20を用いたブザーやマイクロ波の受信(車両速度測定装置の検出等)を知らせるための音声の出力や、表示部5を用いた文字或いはイメージによるメッセージの出力などがある。
【0038】
また、制御部18は、無線受信器13が所望の無線を受信した場合、予め定めた警報を出力する。この警報としては、スピーカ20を用いたブザーやマイクロ波の受信(緊急車両の接近等)を知らせるための音声の出力や、表示部5の用いた文字或いはイメージによるメッセージの出力などがある。この無線の受信に伴う警報と、上記のマイクロ波の受信に伴う警報の形態は、異なるようにすると良い。
【0039】
さらに、制御部18は、GPS受信器12によって検出した現在位置と、データベース19に記憶している交通監視ポイント等の目標物の位置が、所定の位置関係にあるとき、所定の警報を出力する。そのため、データベース19には、検出対象の目標物に関する情報(経度・緯度を含む目標物の位置情報や目標物の種別情報等)や、事故多発地帯や交通取締り情報などのより注意を持って安全に運転するための交通安全情報や、ランドマークや運転に有益な各種の情報がある。各情報は、具体的な情報の種類(目標物の種類,交通取り締まりの種類,事故多発地帯,ランドマークの名称等)と位置情報とを関連づけて登録されている。
【0040】
警報を発する際の目標物までの距離は、目標物の種類ごとに変えることができる。警報の態様としては、上記と同様に、スピーカ20を用いた音声等による警報と、表示部5を用いた警報等がある。図3は、表示部5による警報の一例を示している。本実施形態では、本装置がナビゲーション装置であるので、地図データを有していることから、基本画面として、制御部18は、現在位置周辺の道路ネットワーク情報を読み出し、現在位置周辺の地図を表示部5に表示する機能を有する。そして、表示部5に、現在表示中の画面(ここでは現在位置周辺の地図)に重ねて警告画面70を表示する。図3は、地図50を表示している際に、現在位置と交通監視ポイントの一つである速度測定装置の一種であるLHシステムとの距離が500mになった場合の警告画面70の表示例を示している。さらに、「500m先LHシステムです」といった警報種類と距離を示す警告音声をスピーカ20から出力する処理を行う。
【0041】
一方、ナビゲーション機能を実現するための制御部18は、以下のような動作をする。まず、データベース19は、ナビゲーション用の道路ネットワーク情報を記憶している。このデータベース19に格納するナビゲーションのための情報は、出荷時において全国についてのすべての情報を格納しておいても良いし、地図データ等は、地方毎にSDメモリカード22に格納したものを提供するようにし、ユーザは必要な地図データ等が格納されたSDメモリカードを用意し、それをSDメモリカード用スロット21に装着して使用するようにしても良い。なお、SDメモリカード22に格納された地図データ等は、データベース19に転送して格納しても良いし、制御部18がSDメモリカード22にアクセスし、そこから読み出して使用するようにしても良い。
【0042】
制御部18は、データベース19から現在位置周辺の道路ネットワーク情報を読み出し、現在位置周辺の地図を表示部5に表示する機能を有する。この制御部18は、この道路ネットワーク情報を利用してある位置から別の位置に至るルート(経路)を検索することができる。また、データベース19は、電話番号とその電話番号の住宅・会社・施設等の位置情報及び名称とを対応づけて記憶した電話番号データベースと、住所とその住所の位置情報とを対応づけて記憶した住所データベースを備える。またデータベース19には、速度測定装置等の交通監視ポイントの位置情報がその種類とともに記憶されている。
【0043】
また、制御部18は、一般的なナビゲーション装置の処理を行う機能を有する。すなわち、表示部5に現在位置周辺の地図を随時表示し、目的地設定ボタンを表示する。制御部18は、タッチパネル8によって、目的地設定ボタンの表示位置に対応する位置の押下を検出した場合に、目的地設定処理を行う。目的地設定処理では、目的地設定メニューを表示部5に表示し、目的地の設定方法の選択をユーザに促す。目的地設定メニューは、目的地の設定方法の選択をユーザに促す電話番号検索ボタンと住所検索ボタンとを有する。電話番号検索ボタンが押下されたことを検出した場合には、電話番号の入力画面を表示し、入力された電話番号に対応する位置情報をデータベース19から取得する。住所検索ボタンが押下されたことを検出した場合には、住所の選択入力画面を表示し、入力された住所に対応する位置情報をデータベース19から取得する。そして、取得した位置情報を目的地の位置情報として設定し、現在位置から目的地までの推奨経路を、データベース19に記憶している道路ネットワーク情報に基づいて求める。この推奨経路の算出方法としては例えばダイクストラ法など公知の手法を用いることができる。
【0044】
ここで本実施形態では、制御部18は、マイクロ波受信器11による所定のマイクロ波の受信状況と、そのときのGPS受信器12により検出した現在位置の情報から、範囲情報である受信範囲の履歴情報を作成し、データベース19に格納する。すなわち、制御部18は、マイクロ波受信器11により所定周波数帯のマイクロ波(車両速度測定装置から出射されるマイクロ波)を検知したならば、その受信開始した地点(始点位置)の位置情報をGPS受信器12から取得する。また、制御部18は、継続して(一定間隔ごとに)マイクロ波受信器11による受信状況を監視し、所定のマイクロ波が受信できなくなった地点(終点位置)の位置情報をGPS受信器12から取得する。そして、制御部18は、これら始点位置と終点位置の情報等に基づいて設定される受信範囲をデータベース19に格納する。
【0045】
この受信範囲は、所定のマイクロ波を受信する範囲を示すもので、本実施形態では、地図情報を備えているので、その2つの地点を含む道路における当該2つの地点の間の区間が、受信範囲となる。また、係るマイクロ波を受信している間の移動経路を履歴情報として記録し、その移動経路を受信範囲としても良い。この移動経路は、受信を開始してから受信できなくなるまで、一定時間間隔でGPS受信器12により求めた位置情報を記録することで求めることができる。このように移動経路を記録すると、受信範囲を記録するためのメモリ容量は多く必要となるが、始点位置と終点位置を含む道路を認識し、その道路における始点位置から終点位置までの区間を特定する処理が不要となり、処理は簡便となる。
【0046】
また、始点位置と終点位置の2つの地点に基づいて道路に沿った受信範囲を設定するためには、ナビゲーション機能の有無にかかわらず地図情報を備える必要がある。換言すると、本実施形態では、ナビゲーション機能を備えているが、本発明は、ナビゲーション機能は無くても良い。その場合でも、地図情報を持ち、地図を表示部5に描画する機能があると好ましい。なお、地図情報を備えていない場合でも、移動経路の履歴を用いることで道路に沿った受信範囲を設定することができる。なおまた、地図情報を持たず、始点位置と終点位置の2つの地点に基づいて受信範囲を設定する場合、例えば、それら2つの地点を含む所定寸法形状からなる図形を受信範囲とすることができる。この場合の図形は、例えば楕円形とし、始点位置と終点位置の2つの位置が長軸の両端の位置に来るように設定したり、楕円の焦点に来るように設定したりすることで自動的に設定することができる。いずれの場合も、始点位置と終点位置に基づいて設定しているので、受信範囲が精度良く(大きな過不足が無く)設定することができる。
【0047】
また、この受信範囲を設定するに際し、付加情報をあわせて関連づけて格納することができる。付加情報としては、たとえば、通過時刻(日時)や、その受信範囲を通過した際の通過平均速度や、受信信号強度や、受信時の進行方向や、過去警告回数などがある。通過時刻は、内部時計やGPS受信器12で受信したから取得したGPS信号に基づいて取得し、それを記憶する。通過平均速度は、始点位置の通過時刻と、終点位置の通過時刻の差から両者間(受信範囲)を移動するに要した移動時間を求め、両位置の位置情報から移動距離を求め、それら求めた移動時間と移動距離から算出することができる。なお、道路は必ずしも直線とは限らないため、始点位置と終点位置の2点間距離は実際の移動距離よりも短くなることが多いので、実際に受信範囲を特定する情報として移動経路を記録するか否かに関係なく、一定時間間隔で取得した位置情報に基づきその期間での移動距離を求め、それを積算して移動距離を求め、その求めた移動距離を用いて通過平均速度を求めると良い。受信信号強度は、受信区間中におけるマイクロ波受信器11における受信強度の最大値を取得し、それを記憶する。
【0048】
また、制御部18は、今回受信したマイクロ波に基づく受信範囲が、過去に登録されている受信範囲か否かを判断し、同一の受信区間に対してすでに受信区間が登録されている場合には、過去警告回数を“プラス1”する。つまり、過去警告回数は、受信区間についてのマイクロ波の受信回数(マイクロ波受信に基づく警報をした回数)である。なお、今回受信したマイクロ波に基づいて求めた受信範囲と、すでに登録された受信範囲とが完全に一致するとは限らない。そこで、制御部18は、過去に登録済みの受信範囲と今回求めた受信範囲が同じものか否かを判断する。具体的には、両範囲が、同じ道路について設定されており、重複範囲が一定の基準(たとえば80%,90%等)以上ある場合には、同一のものとすることができる。この場合に、受信範囲を特定する情報(位置情報)は、過去の検出に基づくものをそのまま残して使用するようにしても良いし、今回求めた受信範囲を特定する情報に置き換えても良いし、両方のデータに基づいて修正した新たな受信範囲を設定するようにしても良い。過去に登録した、すなわち、最初に登録した受信範囲をそのまま使う場合、受信範囲を特定する情報の再登録処理が不要となるので作業が簡単となる。一方、今回の受信範囲を特定する情報に置き換える場合、常に最新のデータが格納されるというメリットがある。さらに、2つの受信範囲に基づいて補正する場合、例えば、それぞれの受信範囲を合わせた範囲とすることができる。つまり、始点位置と終点位置のそれぞれについて、道路のより遠い方を新たな始点位置と終点位置にしたり、移動経路を特定する一定時間毎の位置情報を全て記録したりする等の手法がとれる。
【0049】
また、マイクロ波は、移動式の車両速度測定装置から出射された場合はもちろんのこと、固定式の車両速度測定装置から出射された場合もある。本実施形態で記憶する受信範囲は、それらいずれの場合も対象としても良いし、移動式のもののみを対象としてもよい。移動式のもののみを対象とする場合、固定式の車両速度測定装置の設置位置は、検出対象の目標物としてデータベース19に登録済みであるので、制御部18は、例えば、受信範囲内(或いは、受信範囲に近接する位置)に固定式の車両速度測定装置が存在している場合には、その受信範囲は登録しない処理を行う。また、マイクロ波を出射する車両速度測定装置の場合、マイクロ波の進む方向、つまり、監視方向が決まっているので、道路に沿って受信範囲が設定された場合、受信範囲の中央に当該車両速度測定装置が存在している場合には、少なくとも片側の領域はその車両速度測定装置からのマイクロ波でない可能性が高い。従って、固定式の車両速度測定装置の位置が、受信範囲の端に位置する場合には固定式の車両速度測定装置に基づく受信範囲と推定できるので、制御部18は、その受信範囲を登録しない。一方、固定式の車両速度測定装置の設置位置が受信範囲の中央に位置する場合には少なくとも一部の領域は移動式の車両速度測定装置からの受信範囲と推定できるので、制御部18は、当該受信範囲を登録する。
【0050】
さらにまた、自動ドアにおける人検出用のセンサから出射されるマイクロ波の周波数帯は、車両速度測定装置から出射されるマイクロ波の周波数帯と同一であり、誤動作源となる。すなわち、この自動ドアのセンサから出射されるマイクロ波をマイクロ波受信器11が受信すると、車両速度測定装置からのマイクロ波の受信と判断し、警報を発してしまうことがある。そして、車両速度測定装置から出射されるマイクロ波の受信範囲と、自動ドア等の誤動作源から出射されるマイクロ波の受信範囲は、前者の方が広い。そこで、制御部18は、受信範囲(始点位置から終了位置までの距離)が基準値よりも短い場合には誤動作源に基づくものと判断し、登録しない(受信範囲が基準値以上の場合のみ登録する)制御を行っても良い。
【0051】
また、上記の実施形態では、マイクロ波受信器11で検出した車両速度測定装置から出射されるマイクロ波に基づいて受信範囲を設定したが、本発明はこれに限ることはなく、無線受信器13で受信した特定周波数帯の無線(警察無線等)に基づいて受信範囲を設定することができる。そして、どの種類の電波であるかや、固定式/移動式等の警報の種類も付加情報として格納しても良い。
【0052】
上記のようにしてデータベース19に登録された受信範囲に関する情報(付帯情報も含む)は、図4に示すように、表示画面に表示して確認し、修正(情報の追加・削除を含む)をすることができる。たとえば、タッチパネル8或いはリモコン17等のユーザインタフェースに対する操作に基づき、制御部18は、表示部5に登録済みの受信範囲の一覧を示すメニューリスト71を描画する。このメニューリスト71にリストアップする登録済みの受信範囲のデータであるが、図示のように、現在、自車(自車アイコンI)が存在するエリアの周囲(表示部5に描画される地図の範囲内のみとしても良いし、それよりも広い範囲としても良い)に存在する受信範囲を抽出し、描画しても良いし、自車位置とは関係なく抽出し、リスト表示するようにしても良い。
【0053】
メニューリストに表示する受信範囲の名称は、初期情報としては、受信範囲が存在する住所(所在地名称・地名)とする。これにより、ユーザは、地図が表示されていない(地図とリンクされていない)場合でも、どの地域についての受信範囲であるかが一目でわかる。また、この名称は、編集可能とする。修正は、表示部5にテキスト入力画面(キーボード/50音)を描画し、そこから入力することができる。この入力・編集処理は、例えば、ナビゲーション機能における目的地の入力処理と同様のものを用いて実現できる。
【0054】
メニューリストの中から、1つが選択されたことを認識した制御部18は、地図上に該当する受信範囲の区間アイコン72を重ねて描画すると共に、その受信範囲について関連づけられて記憶された付加情報を読み出して付加情報画面73に表示する。なお、受信範囲の区間アイコン72は、ナビゲーション機能における推奨経路の描画と同様に、当該区間の道路部分を所定の色の線分で描画することにより行う。このときの色は、推奨経路(例えば赤)とは異なる色(例えば青)とすると良い。また、線分の幅を道路幅よりも広くすることで、該当区間を目立たせることができるので好ましい。なお、図4は、メニューリスト71の中から(1)番が選択された後の状態を示している。つまり、メニューリスト71が描画されただけでは、付加情報画面73は描画されない。なお、上記の説明では、受信範囲を特定する区間アイコン72は、メニューリスト71の中から選択されたものを描画するようにしたが、地図上に存在する受信範囲の区間アイコン72を予め全て描画するようにしても良い。
【0055】
また、メニューリスト71に表示する受信範囲の一覧は、上記のように自車位置に関係無く、登録済みのものを読み出して出力することができる。この場合のリストアップする際の優先順位(ソート)は、例えば、地域を指定し、その地域に存在するものをピックアップしたり、登録日(更新日)の最新のものからピックアップしたりするなど、各種の基準を設定することができ、いずれを用いるかは、図示省略するメニュー画面等を利用して指示することができる。
【0056】
そして、付加情報画面73に表示された情報を確認したユーザは、該当する受信範囲に基づく警報をするか否かの指定を行うことができる。すなわち、マイクロ波の受信に伴い受信範囲の登録をした場合、初期値は、警報を行うこととし、それ以降に同一の受信範囲内を移動或いは当該範囲に近接する場合には、表示部5その他の出力手段を用いて警報を発するようにしているが、非警報エリアへの切り替え設定登録を行うことができるようにしている。この非警報エリアに設定された場合、登録された受信範囲内に接近・進入したとしても表示部5等に警報表示はしないし、当該受信範囲内でマイクロ波を受信した場合でも、マイクロ波受信に伴う警報は発しない制御を行う。なお、制御部18がデータベース19に受信範囲を登録するに際し、受信範囲が狭い場合に誤動作源と判断して受信範囲の登録をしないのではなく、誤動作源等の非警報エリアとして受信範囲を登録する機能を設けても良い。そして、その場合に、この修正機能を用いて、非警報エリアとして登録された受信範囲を、その後にユーザが警報エリアに更新する機能を備えるとさらによい。そして、ピックアップする基準として最新のものから順次表示するようにした場合、ユーザは、マイクロ波を受信したときの状況をよく覚えているので、上記の非警報エリアと警報エリアの切り替え設定などを正しく簡単に行うことができる。また、地域を指定して行う場合、同じ地域に複数の受信範囲が存在するような場合、内容の確認や、上記の非警報エリア/刑法エリアの設定などを効率よく行えることができると共に、必要な箇所(近々訪れる・通行する地域等)から処理をすることができるので好ましい。いずれの場合も、メニューリスト71にリストアップされた中から1つの受信範囲が選択された場合、制御部18は、上記と同様に付加情報を読み出して付加情報画面73を描画するとともに、受信範囲を特定する位置情報からその受信範囲が含まれる地図情報を読み出して表示部5にその地図情報と共に区間アイコン72を描画する。
【0057】
図5は、実際の走行中の表示画面の一例をしている。この表示部5には、周囲の地図画鋲がされると共に、自車位置を示す自車アイコンIが表示部5の所定位置に描画される。この状態において、表示部5の表示画面内に受信範囲が存在する場合、制御部18は、その受信範囲を示す区間アイコン72を地図に重ねて描画する。この区間アイコン72は、所定の色で描画する。また、線分の幅も道路幅よりも広くすると良い。この区間アイコン72の表示色は、図4の確認画面における区間アイコン72と同じ色でも良いし異なる色でも良い。また、付加情報に応じて表示態様を変えるようにしても良い。例えば、受信強度に応じて表示色を変えることができる。一例としては、受信強度が高くなるにつれて、青→緑→黄→赤のように表示色を異ならせるとよい。また、受信強度が高くなるにつれて線分の幅を広くするようにしても良い。さらに、このように表示態様を変える付加情報としては、受信強度に限ることはなく、過去警告回数としてもよい。つまり、過去警告回数が多くなるにつれて、色を変えたり、表示色の濃度を変えたり(濃くする)、千幅を広くするようにすることができる。受信強度と過去警告回数のどちらに基づいてどのような表示態様を変えるようにするかは、事前に設定しておく。また、両者を適宜組み合わせて使用することもできる。一例を示すと、受信強度に応じて表示色を変え、過去警告回数に応じて濃度を変えたりすることができる。また、受信強度は、過去の付加情報に基づいて表示態様をことなせることはもちろんのこと、実際の現在の受信強度に応じて区間アイコン72の表示態様を変更することもできる。現在の受信強度に基づいて変更するようにした場合、通常、始点位置側から終点位置に近づくにつれて受信強度が大きくなるので、走行に伴い区間アイコン72の表示態様が変化するので状況を一目で理解することができると共に、面白みもあって好ましい。
【0058】
さらに、制御部18は、始点位置に方向を表示する矢印アイコン74を描画する。これにより、受信範囲がどの方向を監視しているかが一目でわかる。例えば図5の場合、この状態のまま車両が進行すると、符号Aの受信範囲については車両速度測定装置による速度測定が行われるので注意を要するが、車両が次の交差点で左折し、符号Bの受信範囲に進入したとしても車両速度測定装置による車両速度の計測は行われないことがわかる。また、監視方向を示すアイテムとしては、始点位置に矢印アイコン74を描画するものに限ることはなく、区間アイコン72に沿って描画する矢印アイコン75とすることもできる。始点位置に設けた矢印アイコン74の場合、始点位置が正しくわかりにくくなるという問題があるが、矢印アイコン75の場合には係る問題はない。一方、区間アイコン72が近接して複数存在する場合、矢印アイコン74であればどの区間アイコン72についての情報かが一目でわかるが区間アイコン72に沿った矢印アイコン75ではどちらの区間アイコン72についてのものかがわかりにくいという問題がある。よって、状況に応じて適宜使用すると好ましい。
【0059】
また、制御部18による警報は、図示するように区間アイコン72を描画するものに限ることはなく、受信範囲と所定の位置関係になった場合に、音声による警報を行ったり、付加情報の一部または全部を描画することが行える。音声による警報は、始点位置に対して所定距離(例えば500m,1000m等)に近づいた場合に、接近警報(「前方500mに、受信エリアがあります。注意してください」等)を発したり、受信範囲に入った場合に、その旨を知らせる警報をしたりすることができる。
【0060】
また、音声による警報を行う場合に、単純に(一律に)受信エリアというのではなく、それぞれの受信範囲に設定された名称(地域・地名・ユーザが設定したもの等)を用いることができる。このようにすると、ユーザは、どの受信エリアかがわかるので好ましい。
【0061】
また、制御部18は、データベース19に格納された受信範囲の情報に基づき、一定の範囲内に所定のマイクロ波を発信する発信源が設定された基準数以上存在するか否かを判断し、基準数以上の場合には取り締まり密集エリア78として報知する(図6参照)。具体的には、受信範囲が所定の範囲内に基準数以上存在する場合や、終点位置が基準数以上存在する場合などのとき密集エリアと判断することができる。この場合において、密集エリア78を描画するに際し、その密集エリア78に属する個々の受信範囲については、併せて描画しても良いし、描画しなくても良い。
【0062】
また、このような受信範囲の情報は、ナビゲーション機能による推奨経路を求める際に利用することができる。具体的には、経路検索の際に、受信範囲を含まない経路から推奨経路を求めることができる。これにより、安全運転に適したルートを提案できる。また、受信範囲を含む経路と、受信範囲を含まない経路とそれぞれ求めるとともに、それぞれの到着予想時刻を求める。そして、受信範囲を含む経路の到着予想時刻が受信範囲を含まない経路の到着予想時刻よりも一定時間以上早い場合には、当該受信範囲を含む経路を推奨経路とし、受信範囲を含む経路の到着予想時刻が受信範囲を含まない経路の到着予想時刻よりも早くてもその差が一定時間以内の場合と、受信範囲を含まない経路の到着予想時刻の方が早い場合には、当該受信範囲を含まない経路を推奨経路とするようにしてもよい。一定時間は、絶対的な時間(○○分等)でも良いし、全体の走行時間のX%のような相対的な時間でも良い。また、このように推奨経路を装置が決めるのではなく、それぞれの推奨経路を描画してもよい。この場合に、それどれの到着時刻を合わせて表示すると良い。
【0063】
なお、本実施形態では、範囲情報として受信範囲の履歴情報を作成してデータベース19に記憶し、この記憶した情報に基づいて報知することとしたが、受信範囲の履歴情報に基づいて報知範囲を予め求めて(例えば受信範囲の位置履歴の各ポイントの周囲100mの範囲内を報知範囲とし)、この報知範囲をデータベース19に記憶しておき、この記憶した報知範囲について報知する(例えば区間アイコン72の描画や警報の報知する)構成としてもよい。またこの報知範囲に所定距離(例えば500m)接近した場合に報知する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0064】
2 装置本体
3 クレードル
4 ケース本体
5 表示部
6 クレードル本体
7 台座部
8 タッチパネル
9 警報ランプ
11 マイクロ波受信器
12 GPS受信器
13 無線受信器
18 制御部
19 データベース
20 スピーカ
21 SDメモリカード用スロット部
22 SDメモリカード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交通取締に関連する電波を受信するための電波受信手段と、
現在位置を検出する位置検出手段と、
前記位置検出手段によって検出された現在位置の変化に基づき前記電波受信手段によって交通取締に関連する電波の受信範囲に関する情報または警報の報知範囲に関する情報である範囲情報を記憶する記憶手段と、
前記位置検出手段によって検出した現在位置と、前記記憶手段に記憶された前記範囲情報に基づき、周囲の前記範囲情報が存在する場合に警報を発する警報手段と、
を備えた交通情報報知装置。
【請求項2】
前記範囲情報は、同一の電波を受信開始した始点位置と、受信できなくなった終点位置を用いて設定することを特徴とする請求項1に記載の交通情報報知装置。
【請求項3】
前記範囲情報は、一定時間間隔で前記電波受信手段で前記電波を受信した際の前記位置検出手段により検出した位置情報を記録した履歴情報から設定することを特徴とする請求項1に記載の交通情報報知装置。
【請求項4】
表示装置と、その表示装置に描画する地図情報を持ち、
前記範囲情報は、前記電波受信手段で前記電波を受信した車両の移動軌跡であり、
前記警報手段は、前記移動軌跡を前記地図情報に重ねて描画するものであることを特徴とする請求項1に記載の交通情報報知装置。
【請求項5】
一定の範囲内に、前記電波を発信する発信源が基準数以上存在する場合に取り締まり密集エリアとして報知する機能を備えたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の交通情報報知装置。
【請求項6】
設定された範囲が重なる前記範囲情報が複数存在する場合、それら複数の範囲情報に基づく新たな範囲情報を設定する機能を備えたことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の交通情報報知装置。
【請求項7】
記憶手段には、前記範囲情報に基づいて付加情報を付加し、前記範囲情報の報知は、付加情報を併せて行うことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の交通情報報知装置。
【請求項8】
前記付加情報は、前記範囲情報を特定する緯度・経度情報、その範囲情報を特定する元となった前記電波を受信した時刻情報、警告種類、その範囲情報を通過した際の通過平均速度、受信信号強度,受信時の進行方向,過去警告回数のうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項7に記載の交通情報報知装置。
【請求項9】
表示装置と、その表示装置に描画する地図情報を持ち、
前記警報手段は、その描画された地図情報に重ねて前記範囲情報を示すと共に、前記付加情報が、受信強度及びまたは過去警告回数の場合、その大きさにより表示装置における付加情報についての描画態様を変えるものであることを特徴とする請求項8に記載の交通情報報知装置。
【請求項10】
前記付加情報を編集する編集機能を備えたことを特徴とする請求項6から9のいずれか1項に記載の交通情報報知装置。
【請求項11】
前記範囲情報が基準より狭い場合、警報対象としないことを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の交通情報報知装置。
【請求項12】
前記範囲情報を非警報エリアに指定する手段を備えたことを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の交通情報報知装置。
【請求項13】
前記警報手段による報知内容として、前記範囲情報に対応する名称を予め記憶された位置と名称の対応関係から求めることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の交通情報報知装置。
【請求項14】
地図情報を持ち、前記警報手段は、現在走行中の道路の先に前記範囲情報が存在する場合に警報をすることを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載の交通情報報知装置。
【請求項15】
車両のナビゲーション機能を持ち、経路検索の際に、前記範囲情報を加味して推奨経路を決定する機能を備えたことを特徴とする請求項1から14のいずれか1項に記載の交通情報報知装置。
【請求項16】
前記範囲情報を加味した推奨経路の決定する機能は、範囲情報を含まない経路を求める機能と、範囲情報を含まない経路と範囲情報を含む経路のそれぞれの到着予想時刻の相違も考慮して経路を求める機能の少なくとも一方を持つことを特徴する請求項15に記載の交通情報報知装置。
【請求項17】
地図情報を持ち、前記警報手段は、範囲情報と共に、その範囲情報を設定した際の移動方向を描画する機能を備えたことを特徴とする請求項1から16のいずれか1項に記載の交通情報報知装置。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれかに記載の交通情報報知装置における各手段としての機能をコンピュータに実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−17682(P2011−17682A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−164185(P2009−164185)
【出願日】平成21年7月10日(2009.7.10)
【出願人】(391001848)株式会社ユピテル (238)
【Fターム(参考)】