説明

代理ナビゲーションシステム、代理ナビゲーション装置、及び代理ナビゲーション方法

【課題】コストを軽減しつつ、安全面及び利便性の両方の面を配慮してナビゲーションを行えるようにする。
【解決手段】ユーザとオペレータとの通話が開始されると、移動端末100は、ユーザが入力した音声に基づいて音声データを送信する。この場合、移動端末100は、GPS信号に基づく測位データを付加して音声データを送信する。代理ナビゲーション装置200は、受信した音声データから測位データを抽出する。また、代理ナビゲーション装置200は、オペレータの操作に従って目的地を設定する。また、代理ナビゲーション装置200は、設定した目的地と測位データに基づく移動端末100の位置情報とに基づいて、目的地までのルートを設定する。そして、代理ナビゲーション装置200は、音声誘導情報を生成し、通信ネットワークを介して移動端末100に配信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動端末が地図用ソフトウェアと連動したナビゲーション機能を搭載していない場合、又はナビゲーション機能を起動しない場合であっても、移動端末に代わって、音声通信を用いてユーザに対して目的地までナビゲートできる代理ナビゲーションシステム、代理ナビゲーション装置、及び代理ナビゲーション方法に関する。
【背景技術】
【0002】
GPS等の位置検出機能を搭載した携帯電話機等の移動端末の普及が進んでいる。また、そのような位置検出機能を用いて、移動端末のユーザが目的地に到達するまでを誘導支援するナビゲーション機能が利用されている。ナビゲーション機能を用いる場合、移動端末のユーザは、予め移動端末を操作して目的地を設定する。移動端末は、GPS衛星からの電波信号や基地局から受信する情報に基づいて、移動端末自身の現在位置を推定する。そして、移動端末は、推定した現在位置に基づいて、地図用アプリケーションを用いて地図上に現在位置を表示し、視覚的にユーザを目的地まで誘導する。
【0003】
また、例えば、特許文献1には、端末から送信された測位情報に基づいて、情報提供局から端末に誘導情報が送信される誘導システムが記載されている。また、例えば、特許文献2には、GPSを用いた車載システムにおけるナビゲーションシステムが記載されいている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−195850号公報(段落0028、段落0045−0048)
【特許文献2】特表2002−506197号公報(第32頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1や特許文献2記載されたような誘導システムやナビゲーションシステムを用いる場合、移動端末の現在位置を移動端末(例えば、携帯電話機)の画面上で確認するためには、移動端末上で常に地図用アプリケーションを起動していなければならない。そのため、移動端末における消費電力が大きい。また、移動端末の移動に伴い、地図データを繰り返しダウンロードしなければならず、通信量が増加し、ユーザに対する通信料等の料金の負担も大きい。
【0006】
また、カーナビゲーションシステムとして利用する場合、自動車の運転中に画面上の地図を確認しようとすると、自動車の進行方向に対して視線を逸らすことになり、交通事故を引き起こす原因となってしまう。また、マンナビゲーションとして利用する場合であっても、ユーザが徒歩で移動中に移動端末の画面上の地図を確認しようとすると、注意力の低下から交通事故を引き起こす可能性は否めない。従って、ユーザが目的地までの誘導(ナビゲーション)を望む場合に、単に視覚的な情報を用いて誘導するのではなく、聴覚的な情報による誘導も選択可能として、安全面及び利便性の両方の面が配慮されたナビゲーションシステムを実現することが望ましい。
【0007】
そこで、本発明は、コストを軽減しつつ、安全面及び利便性の両方の面が配慮された代理ナビゲーションシステム、代理ナビゲーション装置、及び代理ナビゲーション方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による代理ナビゲーションシステムは、ユーザが使用する移動端末に代わって、ユーザを目的地まで誘導する代理ナビゲーションシステムであって、ユーザを目的地まで誘導する代理ナビゲーション装置(例えば、代理ナビゲーション装置200)を備え、移動端末は、ユーザが入力する音声に基づく音声データに、当該移動端末の位置を示す位置情報(例えば、測位データ)を付加する位置情報付加手段(例えば、音声データ生成部24によって実現される)と、位置情報付加手段が位置情報を付加した音声データを、通信ネットワークを介して代理ナビゲーション装置に送信する音声データ送信手段(例えば、送信無線機22によって実現される)とを含み、代理ナビゲーション装置は、移動端末から受信した音声データに含まれる位置情報に基づいて、移動端末の位置から目的地までの経路を設定する経路設定手段(例えば、音声誘導情報生成部57によって実現される)を含むことを特徴とする。
【0009】
また、代理ナビゲーションシステムにおいて、代理ナビゲーション装置は、経路設定手段が設定した経路に基づいて、ユーザを目的地まで音声で誘導する音声誘導情報を生成する誘導情報生成手段(例えば、音声誘導情報生成部57によって実現される)と、誘導情報生成手段が生成する音声誘導情報を、通信ネットワークを介して移動端末に送信する誘導情報配信手段(例えば、送受分離部61によって実現される)とを含むようにしてもよい。
【0010】
また、代理ナビゲーションシステムにおいて、移動端末は、当該移動端末の位置を示す位置情報を求める位置情報算出手段(例えば、GPS受信部32によって実現される)を含み、位置情報付加手段は、位置情報算出手段が求めた位置情報を、ユーザが入力する音声に基づく音声データに付加し、音声データ送信手段は、位置情報付加手段が位置情報を付加した音声データを、通信ネットワークを介して代理ナビゲーション装置に送信し、代理ナビゲーション装置は、移動端末から受信した音声データから位置情報を抽出する位置情報抽出手段(例えば、データ分離部52によって実現される)を含み、経路設定手段は、位置情報抽出手段が抽出した位置情報に基づいて、移動端末の位置から目的地までの経路を設定するようにしてもよい。
【0011】
また、代理ナビゲーションシステムにおいて、代理ナビゲーション装置は、位置情報抽出手段が抽出した位置情報に基づいて、地図上に移動端末の位置を表示する位置表示手段(例えば、位置情報表示端末55によって実現される)を含むようにしてもよい。
【0012】
また、代理ナビゲーションシステムは、ユーザの目的地の設定方式を選択する設定方式選択手段(例えば、移動端末100によって実現される)を備え、設定方式選択手段は、オペレータとの通話により目的地を設定する設定方式と、ガイダンスに従って目的地を入力することにより設定する設定方式とのいずれかを選択するようにしてもよい。
【0013】
また、代理ナビゲーションシステムは、ユーザを目的地まで誘導する誘導方式を選択する誘導方式選択手段(例えば、移動端末100によって実現される)を備え、誘導方式選択手段は、移動端末が搭載する地図アプリケーションを用いて地図上に経路を表示して誘導する誘導方式と、代理ナビゲーション装置から受信する音声データに基づいて音声により経路を誘導する誘導方式とのいずれかを選択するようにしてもよい。
【0014】
本発明による代理ナビゲーション装置は、ユーザが使用する移動端末に代わって、移動端末から受信する当該移動端末の位置を示す位置情報を付加した音声データに基づいて、ユーザを目的地まで誘導する代理ナビゲーション装置(例えば、代理ナビゲーション装置200)であって、移動端末から受信した音声データに含まれる位置情報に基づいて、移動端末の位置から目的地までの経路を設定する経路設定手段と、経路設定手段が設定した経路に基づいて、ユーザを目的地まで音声で誘導する音声誘導情報を生成する誘導情報生成手段と、誘導情報生成手段が生成する音声誘導情報を、通信ネットワークを介して移動端末に送信する誘導情報配信手段とを備えたことを特徴とする。
【0015】
本発明による代理ナビゲーション方法は、ユーザが使用する移動端末に代わって、ユーザを目的地まで誘導する代理ナビゲーション方法であって、移動端末が、ユーザが入力する音声に基づく音声データに、当該移動端末の位置を示す位置情報を付加するステップと、移動端末が、位置情報を付加した音声データを、通信ネットワークを介して代理ナビゲーション装置に送信するステップと、代理ナビゲーション装置が、移動端末から受信した音声データに含まれる位置情報に基づいて、移動端末の位置から目的地までの経路を設定するステップとを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、移動端末は、ユーザが入力する音声に基づく音声データに位置情報を付加して、通信ネットワークを介して代理ナビゲーション装置に送信する。また、代理ナビゲーション装置は、移動端末から受信した音声データに含まれる位置情報に基づいて、移動端末の位置から目的地までの経路を設定する。音声データを送信する際に位置情報を埋め込んで送信するので、代理ナビゲーション装置側で音声データから位置情報を抽出して自動的にルート設定を行うことができ、代理ナビゲーション装置側で移動端末に代わってナビゲーションを行うことができる。従って、コストを軽減しつつ、安全面及び利便性の両方の面が配慮されたナビゲートを行うことができる。
【0017】
また、設定したルートに基づいて、ユーザを目的地まで音声で誘導する音声誘導情報を生成し、通信ネットワークを介して移動端末に送信するように構成すれば、音声による誘導を実現することができ、地図用ソフトウェアを起動しなくても目的地までの誘導を行うことができ、移動端末側の消費電流を削減することができる。また、移動端末が地図データをダウンロードする必要がなくなるので、通信に用いる電波資源のコスト削減を行うことができ、通信によるパケット量を削減することができる。また、パケット量の削減に伴い、通信料金の負担軽減を図ることができる。さらに、音声のみによる誘導を実現することによって、例えば、自動車の運転中に画面上の地図を確認しようとして、自動車の進行方向に対して視線を逸らすような事態を防止することができ、交通事故発生の可能性を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。まず、本発明による代理ナビゲーションシステムの適用概念について説明する。図1は、代理ナビゲーションシステムの適用概念を示す説明図である。図1に示すように、代理ナビゲーションシステムは、マンナビゲーションシステム又はカーナビゲーションシステムの用途に用いられる。
【0019】
例えば、マンナビゲーションに用いる場合、図1に示すように、誘導要求側の徒歩のユーザは、移動端末(例えば、携帯電話機)から音声入力操作を行って誘導を要求する。代理誘導側のオペレータは、ユーザからの音声による誘導要求に従って目的地を設定し、目的地まで音声によりユーザをナビゲートする。また、例えば、カーナビゲーションに用いる場合、図1に示すように、誘導要求側の運転手は、移動端末(例えば、カーナビゲーション装置)から音声入力操作を行って誘導を要求する。代理誘導側のオペレータは、ユーザからの音声による誘導要求に従って目的地を設定し、目的地まで音声によりユーザをナビゲートする。
【0020】
図2は、代理ナビゲーションシステムの構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、代理ナビゲーションシステムは、移動端末100及び代理ナビゲーション装置200を含む。また、移動端末100と代理ナビゲーション装置200とは、移動機基地局を含む移動通信網500及び固定電話網600等の通信ネットワークを介して接続される。以下、移動端末100と代理ナビゲーション装置200とが移動通信網500及び固定電話網600等の通信ネットワークを介してデータを送受信することを、単に移動端末100と代理ナビゲーション装置200とが通信ネットワークを介してデータを送受信する等と表現する。
【0021】
移動端末100は、ユーザが使用する誘導要求側の装置であり、具体的には、プログラムに従って動作する携帯電話機等の携帯型の情報処理端末によって実現される。また、移動端末100は、カーナビゲーション端末やPDA等の端末であってもよい。なお、図2では、1つの移動端末100を示しているが、代理ナビゲーションシステムは、複数の移動端末100を含んでもよい。
【0022】
図3は、移動端末の構成の一例を示すブロック図である。図3に示すように、移動端末100は、携帯電話電波受信アンテナ11、受信無線機12、復号化部13、音声再生部14、スピーカ/レシーバ部15、携帯電話電波送信アンテナ21、送信無線機22、符号化部23、音声データ生成部24、マイクロフォン25、GPSアンテナ31及びGPS受信部32を含む。
【0023】
受信無線機12は、携帯電話電波受信アンテナ11を介して音声データを受信する機能を備える。復号化部13は、例えば、各種復号回路によって実現され、受信無線機12が受信した音声データを復号する機能を備える。音声再生部14は、例えば、移動端末100の制御部によって実現され、復号化部13が復号した音声データに基づいて、スピーカ/レシーバ部15に音声を出力させる機能を備える。
【0024】
音声データ生成部24は、例えば、移動端末100の制御部によって実現され、マイクロフォン25から入力した音声に基づいて音声データを生成する機能を備える。なお、本実施の形態では、音声データ生成部24は、GPS受信部32が出力する測位データを含む音声データを生成する。
【0025】
符号化部23は、例えば、各種符号化回路によって実現され、音声データ生成部24が生成した音声データを符号化する機能を備える。送信無線機22は、符号化部23が符号化した音声データを、携帯電話電波送信アンテナ21を介して送信する機能を備える。
【0026】
GPS受信部32は、例えば、移動端末100が搭載するGPSレシーバによって実現される。GPSアンテナ31を介してGPS信号を受信する機能を備える。また、GPS受信部32は、受信したGPS信号に基づいて、移動端末100の位置情報(例えば、緯度及び経度)を求め、求めた位置情報を測位データとして出力する機能を備える。
【0027】
なお、本実施の形態では、GPSを用いて移動端末100の位置情報を求める場合を説明するが、移動端末100は、例えば、通信キャリアが提供する位置情報サービスを利用して、移動端末100の位置情報を求めてもよい。
【0028】
また、本実施の形態では、移動端末100が携帯電話電波受信アンテナ11と携帯電話電波送信アンテナ21とを別々に備える場合を説明するが、移動端末100は、1つの送受信共用アンテナを備えていてもよい。
【0029】
代理ナビゲーション装置200は、代理ナビゲーションサービスを提供するサービス事業者(代理誘導者)が使用する装置である。代理ナビゲーション装置200は、例えば、デジタル構内交換機(デジタルPBX)、プログラムに従って動作するワークステーションやパーソナルコンピュータ等のサーバ装置、及びオペレータ端末(例えば、デジタル固定電話機やパーソナルコンピュータ等の端末)によって実現される。なお、代理ナビゲーション装置200は、複数のオペレータ端末を含んでもよい。
【0030】
図4は、代理ナビゲーション装置の構成の一例を示すブロック図である。図4に示すように、代理ナビゲーション装置200は、送受分離部61、符号化部41、音声データ生成部42、マイクロフォン43、復号化部51、データ分離部52、音声再生部53、スピーカ/レシーバ部54、位置情報表示端末55、目的地設定部56及び音声誘導情報生成部57を含む。
【0031】
音声データ生成部42は、マイクロフォン43から入力した音声に基づいて音声データを生成する機能を備える。音声データ生成部42は、例えば、オペレータ端末の制御部によって実現され、オペレータ端末に搭載されるマイクロフォン43から入力した音声に基づいて音声データを生成し、デジタル構内交換機に出力する。
【0032】
符号化部41は、例えば、デジタル構内交換機が搭載する各種符号化回路によって実現され、音声データ生成部42が生成した音声データを符号化する機能を備える。
【0033】
送受分離部61は、例えば、デジタル構内交換機が備えるネットワークインタフェース部によって実現される。送受分離部61は、符号化部41が符号化した音声データを、通信ネットワークを介して送信する機能を備える。また、送受分離部61は、通信ネットワークを介して音声データを受信し、復号化部51に出力する機能を備える。
【0034】
復号化部51は、例えば、デジタル構内交換機が搭載する各種復号回路によって実現され、送受分離部61が受信した音声データを復号する機能を備える。データ分離部52は、例えば、デジタル構内交換機が搭載する制御部によって実現され、復号化部51が復号した音声データから測位データを分離して抽出する機能を備える。なお、データ分離部52は、プログラムに従って動作するサーバ装置のCPUによって実現されてもよい。
【0035】
音声再生部53は、復号化部51が復号した音声データに基づいて、スピーカ/レシーバ部54に音声を出力させる機能を備える。音声再生部53は、例えば、オペレータ端末の制御部によって実現され、デジタル構内交換機から入力した音声データに基づいて、オペレータ端末が搭載するスピーカ/レシーバ部54に音声を出力させる。
【0036】
位置情報表示端末55は、例えば、オペレータ端末としてのパーソナルコンピュータ等の端末によって実現される。位置情報表示端末55は、例えば、地図データを備え、データ分離部52が抽出した測位データに基づいて、移動端末100の位置を地図上に表示する機能を備える。
【0037】
目的地設定部56は、例えば、プログラムに従って動作するサーバ装置のCPUによって実現される。目的地設定部56は、位置情報表示端末55からの入力指示に従って、移動端末100のユーザの目的地を設定する機能を備える。また、目的地設定部56は、送受分離部61が受信した目的地情報に基づいて、移動端末100のユーザの目的地を設定する機能を備える。
【0038】
音声誘導情報生成部57は、例えば、プログラムに従って動作するサーバ装置のCPUによって実現される。音声誘導情報生成部57は、音声誘導情報生成部57は、目的地設定部56が設定した目的地と、測位データに基づく現在位置とに基づいて、移動端末100の現在位置から目的地までのルート(経路)を設定する機能を備える。例えば、音声誘導情報生成部57は、予め備える地図データを用いて目的地までの経路を設定する。
【0039】
また、音声誘導情報生成部57は、特定した経路に基づいて、移動端末100のユーザを音声で誘導するための音声誘導情報を生成する機能を備える。例えば、音声誘導情報生成部57は、「300メートル先で」や「左へ」、「曲がってください」等の音声データを予め記憶する音声辞書データベースを備える。そして、音声誘導情報生成部57は、特定した経路とデータ分離部52が出力する測位データとに基づいて、音声辞書データベースが記憶する音声データを用いて音声誘導情報を生成する。
【0040】
例えば、音声誘導情報生成部57は、測位データに基づいて移動端末100の現在位置を特定し、300メートル先で左へ曲がるようにユーザを誘導する場合には、音声辞書データベースから単位音声データ「300メートル先で」、「左へ」及び「曲がってください」を抽出する。そして、音声誘導情報生成部57は、これら抽出した単位音声データを組み合わせて、音声誘導情報「300メートル先で左へ曲がってください」を生成する。
【0041】
次に、動作について説明する。図5は、代理ナビゲーションシステムにおいて、移動端末のユーザを目的地まで誘導(ナビゲート)する誘導方法を選択する処理の一例を示す流れ図である。なお、本実施の形態では、移動端末100は、地図データを備え、移動端末100自身がユーザを目的地まで誘導するナビゲーション機能を備えているとする。また、移動端末100自身が備えるナビゲーション機能を用いて目的地まで誘導する方式を自己誘導方式という。また、移動端末100側のナビゲーション機能を用いずに、代理ナビゲーション装置200側のナビゲーション機能を用いて目的地まで誘導する方式を代理誘導方式という。
【0042】
ユーザ(誘導要求者)は、目的地までの誘導(ナビゲート)を要求する場合、移動端末100を操作して、誘導方式の選択操作を行う。移動端末100は、ユーザの選択操作に基づいて、自己誘導方式を選択するか代理誘導方式を選択するかを判断する(ステップS1)。自己誘導方式を選択した場合、移動端末100は、移動端末100自身が備える地図用ソフトウェアを起動する。また、移動端末100は、ユーザの操作に従って目的地を入力し、GPS受信部32が求める測位データに基づいて移動端末100の現在位置を求める。そして、移動端末100は、地図用ソフトウェアを用いて、地図上に現在位置から目的地までのルート(経路)を表示し、目的地までの誘導を開始する(ステップS2)。
【0043】
なお、移動端末100は、予め地図データを備えるのではなく、通信ネットワークを介して地図データをダウンロードし、ダウンロードした地図上に現在位置から目的地までのルートを表示するようにしてもよい。
【0044】
なお、移動端末100がナビゲーション機能を搭載していない場合には、移動端末100は、ステップS1,S2の処理を行わないようにしてもよい。
【0045】
代理誘導方式を選択した場合、移動端末100は、ユーザの選択操作に従って、目的地の設定方法を選択する(ステップS3)。本実施の形態では、音声によりオペレータとの対話を行うことによって目的地を設定する方法と、オペレータ以外の設定方法(例えば、ガイダンスによる設定方法)とのいずれかを選択する。
【0046】
オペレータとの対話による設定方法を選択した場合には、移動端末100と代理ナビゲーション装置200との回線が接続され、移動端末100のユーザと代理ナビゲーション装置200側のオペレータとが通話可能な状態となる。移動端末100のユーザは、音声によってオペレータに目的地を伝え、オペレータは、ユーザとの通話内容に従って、位置情報表示端末55を操作して目的地を入力操作する。すると、代理ナビゲーション装置200は、位置情報表示端末55からの指示に従って、ユーザの目的地を設定する。そして、代理ナビゲーション装置200側のナビゲーション機能を用いた代理ナビゲーションサービスが開始されることになる。
【0047】
オペレータ以外の設定方法を選択した場合には、代理ナビゲーション装置200は、例えば、目的地の入力を促すガイダンスによる音声を含む音声データを、通信ネットワークを介して移動端末100に送信する。すると、移動端末100は、受信した音声データに基づいて、目的地の入力を促す旨の音声を出力する。ユーザは、ガイダンスに従って、移動端末100を操作して目的地を入力指示する。すると、移動端末100は、ユーザの入力操作(キー入力)に従って、入力した目的地を示す目的地情報を、通信ネットワークを介して代理ナビゲーション装置200に送信する。
【0048】
代理ナビゲーション装置200は、受信した目的地情報に基づいて、ユーザの目的地を設定する。そして、代理ナビゲーション装置200側のナビゲーション機能を用いた代理ナビゲーションサービスが開始されることになる。
【0049】
なお、代理ナビゲーション装置200は、ステップS3において、オペレータが不在である場合(例えば、所定時間オペレータが応答しなかった場合)には、そのままオペレータ以外の設定方法(例えば、ガイダンスによる設定方法)を選択するようにしてもよい。
【0050】
次に、オペレータとの対話による設定方法を選択した場合の代理ナビゲーションの動作を説明する。図6は、オペレータとの対話による設定方法を選択した場合の代理ナビゲーションの処理の一例を示す流れ図である。まず、代理ナビゲーションサービスが開始されるまでの動作を説明する。
【0051】
移動端末100のユーザとオペレータとの通話が開始されると、移動端末100は、ユーザが入力する音声に基づいて、音声データを代理ナビゲーション装置200に送信する。この場合、移動端末100は、GPS受信部32が求める測位データを含む音声データを、通信ネットワークを介して代理ナビゲーション装置200に送信する(ステップS21)。
【0052】
図7は、移動端末が送信する測位データを含む音声データの例を示す説明図である。図7に示すように、移動端末100は、音声データの一部に測位データを埋め込んで送信する場合には、音声データの一部のデータを削除し、音声データの一部のデータを削除した箇所に測位データを付加することによって、測位データを含む音声データを生成する。例えば、移動端末100は、所定のデータ間隔毎に間引き処理を施すことによって、音声データを圧縮する。なお、この場合、本来の音声データの一部が削除されたことによる音声品質の低下はある程度許容するものとする。
【0053】
音声データを受信すると、代理ナビゲーション装置200のデータ分離部52は、受信した音声データから測位データを分離して抽出する(ステップS22)。また、位置情報表示端末55は、データ分離部52が抽出した測位データに基づいて、移動端末100の現在位置を地図上に表示する。オペレータは、位置情報表示端末55の表示内容と、ユーザとの通話内容とに基づいて、位置情報表示端末55を操作して、ユーザの目的地を入力する。すると、代理ナビゲーション装置200の目的地設定部56は、位置情報表示端末55からの指示に従って、ユーザの目的地を設定する。
【0054】
次いで、代理ナビゲーション装置200の音声誘導情報生成部57は、目的地設定部56が設定した目的地と、測定データに基づく移動端末100の現在位置とに基づいて、現在位置から目的地までのルート(経路)を設定する(ステップS23)。そして、音声誘導情報生成部57は、設定したルートと移動端末100の現在位置とに基づいて音声誘導情報を生成し、通信ネットワークを介して移動端末100に送信する(ステップS24)
【0055】
なお、ステップS24において、音声誘導情報を生成して配信するのではなく、オペレータが、オペレータ端末を用いて、移動端末100のユーザとの通話を行いながら、目的地までの道順を直接話してもよい。
【0056】
移動端末100は、音声誘導情報を受信すると、受信した音声誘導情報に基づいて、目的地までのルートを案内する内容の音声(例えば、「300メートル先で左に曲がってください」等の音声)を出力する。そして、代理ナビゲーション装置200のナビゲーション機能を用いた音声によるナビゲーションサービスが開始される。
【0057】
次に、代理ナビゲーションサービスの利用中の動作を説明する。代理ナビゲーションサービスの利用中、移動端末100は、所定のタイミングで(例えば、予め定めた時間毎に)、GPS受信部32が求める測位データを、通信ネットワークを介して代理ナビゲーション装置200に送信する(ステップS25)。なお、この場合、移動端末100は、ユーザの音声入力がある場合には、図7に示すように、音声データに測位データを埋め込んで送信してもよい。
【0058】
測位データを受信すると、代理ナビゲーション装置200の音声誘導情報生成部57は、受信した測位データに基づいて移動端末100の現在位置を特定する。また、音声誘導情報生成部57は、設定したルートと移動端末100の現在位置とに基づいて音声誘導情報を生成し、通信ネットワークを介して移動端末100に送信する(ステップS26)。そして、移動端末100は、受信した音声誘導情報に基づいて、目的地までのルートを案内する内容の音声を出力する。
【0059】
なお、ステップS26において、音声誘導情報を生成して配信するのではなく、オペレータが、オペレータ端末を用いて、移動端末100のユーザとの通話を行いながら、目的地までの道順を直接話してもよい。
【0060】
以上のように、ステップS25,S26の処理が実行されることによって、移動端末100のユーザは、目的地までの誘導を受けることができる。
【0061】
以上のように、本実施の形態によれば、移動端末100は、ユーザが入力する音声に基づく音声データに測位データを付加して、通信ネットワークを介して代理ナビゲーション装置200に送信する。また、代理ナビゲーション装置200は、移動端末100から受信した音声データに含まれる測位データに基づいて、移動端末100の位置から目的地までのルートを設定する。音声データを送信する際に測位データを埋め込んで送信するので、代理ナビゲーション装置200側で音声データから測位データを抽出して自動的にルート設定を行うことができ、代理ナビゲーション装置200側で移動端末100に代わって音声によるナビゲーションを行うことができる。従って、コストを軽減しつつ、安全面及び利便性の両方の面が配慮されたナビゲートを行うことができる。
【0062】
また、本実施の形態によれば、設定したルートに基づいて、ユーザを目的地まで音声で誘導する音声誘導情報を生成し、通信ネットワークを介して移動端末100に送信する。そのため、音声による誘導(ナビゲート)を実現することができ、地図用ソフトウェアを起動しなくても目的地までの誘導を行えるので、移動端末100側の消費電流を削減することができる。また、移動端末100が地図データをダウンロードする必要がなくなるので、通信に用いる電波資源のコスト削減を行うことができ、通信によるパケット量を削減することができる。また、パケット量の削減に伴い、通信料金の負担軽減を図ることができる。さらに、音声のみによる誘導を実現することによって、例えば、自動車の運転中に画面上の地図を確認しようとして、自動車の進行方向に対して視線を逸らすような事態を防止することができ、交通事故発生の可能性を低減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、携帯電話機やカーナビゲーション端末を用いたマンナビゲーションシステムやカーナビゲーションシステムの用途に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】代理ナビゲーションシステムの適用概念を示す説明図である。
【図2】代理ナビゲーションシステムの構成の一例を示すブロック図である。
【図3】移動端末の構成の一例を示すブロック図である。
【図4】代理ナビゲーション装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図5】代理ナビゲーションシステムにおいて、移動端末のユーザを目的地まで誘導する誘導方法を選択する処理の一例を示す流れ図である。
【図6】オペレータとの対話による設定方法を選択した場合の代理ナビゲーションの処理の一例を示す流れ図である。
【図7】移動端末が送信する測位データを含む音声データの例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0065】
11 携帯電話電波受信アンテナ
12 受信無線機
13 復号化部
14 音声再生部
15 スピーカ/レシーバ部
21 携帯電話電波送信アンテナ
22 送信無線機
23 符号化部
24 音声データ生成部
25 マイクロフォン
31 GPSアンテナ
32 GPS受信部
41 符号化部
42 音声データ生成部
43 マイクロフォン
51 復号化部
52 データ分離部
53 音声再生部
54 スピーカ/レシーバ部
55 位置情報表示端末
56 目的地設定部
57 音声誘導情報生成部
61 送受分離部
100 移動端末
200 代理ナビゲーション装置
500 移動通信網
600 固定電話網

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが使用する移動端末に代わって、ユーザを目的地まで誘導する代理ナビゲーションシステムであって、
ユーザを目的地まで誘導する代理ナビゲーション装置を備え、
前記移動端末は、
ユーザが入力する音声に基づく音声データに、当該移動端末の位置を示す位置情報を付加する位置情報付加手段と、
前記位置情報付加手段が位置情報を付加した音声データを、通信ネットワークを介して前記代理ナビゲーション装置に送信する音声データ送信手段とを含み、
前記代理ナビゲーション装置は、前記移動端末から受信した音声データに含まれる位置情報に基づいて、前記移動端末の位置から目的地までの経路を設定する経路設定手段を含む
ことを特徴とする代理ナビゲーションシステム。
【請求項2】
代理ナビゲーション装置は、
経路設定手段が設定した経路に基づいて、ユーザを目的地まで音声で誘導する音声誘導情報を生成する誘導情報生成手段と、
前記誘導情報生成手段が生成する音声誘導情報を、通信ネットワークを介して移動端末に送信する誘導情報配信手段とを含む
請求項1記載の代理ナビゲーションシステム。
【請求項3】
移動端末は、当該移動端末の位置を示す位置情報を求める位置情報算出手段を含み、
位置情報付加手段は、前記位置情報算出手段が求めた位置情報を、ユーザが入力する音声に基づく音声データに付加し、
音声データ送信手段は、前記位置情報付加手段が位置情報を付加した音声データを、通信ネットワークを介して代理ナビゲーション装置に送信し、
前記代理ナビゲーション装置は、前記移動端末から受信した音声データから位置情報を抽出する位置情報抽出手段を含み、
経路設定手段は、前記位置情報抽出手段が抽出した位置情報に基づいて、前記移動端末の位置から目的地までの経路を設定する
請求項1又は請求項2記載の代理ナビゲーションシステム。
【請求項4】
代理ナビゲーション装置は、位置情報抽出手段が抽出した位置情報に基づいて、地図上に移動端末の位置を表示する位置表示手段を含む請求項3記載の代理ナビゲーションシステム。
【請求項5】
ユーザの目的地の設定方式を選択する設定方式選択手段を備え、
前記設定方式選択手段は、オペレータとの通話により目的地を設定する設定方式と、ガイダンスに従って目的地を入力することにより設定する設定方式とのいずれかを選択する
請求項1から請求項4のうちのいずれか1項に記載の代理ナビゲーションシステム。
【請求項6】
ユーザを目的地まで誘導する誘導方式を選択する誘導方式選択手段を備え、
前記誘導方式選択手段は、移動端末が搭載する地図アプリケーションを用いて地図上に経路を表示して誘導する誘導方式と、代理ナビゲーション装置から受信する音声データに基づいて音声により経路を誘導する誘導方式とのいずれかを選択する
請求項1から請求項5のうちのいずれか1項に記載の代理ナビゲーションシステム。
【請求項7】
ユーザが使用する移動端末に代わって、前記移動端末から受信する当該移動端末の位置を示す位置情報を付加した音声データに基づいて、ユーザを目的地まで誘導する代理ナビゲーション装置であって、
前記移動端末から受信した音声データに含まれる位置情報に基づいて、前記移動端末の位置から目的地までの経路を設定する経路設定手段と、
前記経路設定手段が設定した経路に基づいて、ユーザを目的地まで音声で誘導する音声誘導情報を生成する誘導情報生成手段と、
前記誘導情報生成手段が生成する音声誘導情報を、通信ネットワークを介して前記移動端末に送信する誘導情報配信手段とを
備えたことを特徴とする代理ナビゲーション装置。
【請求項8】
ユーザが使用する移動端末に代わって、ユーザを目的地まで誘導する代理ナビゲーション方法であって、
前記移動端末が、ユーザが入力する音声に基づく音声データに、当該移動端末の位置を示す位置情報を付加するステップと、
前記移動端末が、前記位置情報を付加した音声データを、通信ネットワークを介して代理ナビゲーション装置に送信するステップと、
前記代理ナビゲーション装置が、前記移動端末から受信した音声データに含まれる位置情報に基づいて、前記移動端末の位置から目的地までの経路を設定するステップとを含む
ことを特徴とする代理ナビゲーション方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2008−164314(P2008−164314A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−350857(P2006−350857)
【出願日】平成18年12月27日(2006.12.27)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】