位置情報提供装置および位置情報提供装置用プログラム
【課題】 被探索者が携帯する端末の位置情報を取得して探索者へ通知する位置情報提供システムに関し,探索者をとりまとめた異なる複数の運用組織が共用でき,また,ユーザが利用しやすく,経済的人的負担の少ない位置情報提供システムを実現する。
【解決手段】 運用装置2では,被探索者端末4の番号に対応する探索者端末3への位置情報通知先の入力を受け付けて,この端末番号,通知先を位置情報提供装置1へ送信する。運用装置管理手段102 は, 受信情報をユーザ管理テーブル103 で記憶し被探索者端末4の使用状況を管理する。位置情報作成手段108 は位置取得手段107 が位置提供装置5から取得した被探索者端末4の座標が位置する住所を検索し, 位置情報のメールを作成し探索者端末3へ送信する。請求書作成手段111 は, 端末使用状況テーブル104 をもとに使用中の被探索者端末4に課金し請求書を作成し,運用装置2を運用する団体へ請求する。
【解決手段】 運用装置2では,被探索者端末4の番号に対応する探索者端末3への位置情報通知先の入力を受け付けて,この端末番号,通知先を位置情報提供装置1へ送信する。運用装置管理手段102 は, 受信情報をユーザ管理テーブル103 で記憶し被探索者端末4の使用状況を管理する。位置情報作成手段108 は位置取得手段107 が位置提供装置5から取得した被探索者端末4の座標が位置する住所を検索し, 位置情報のメールを作成し探索者端末3へ送信する。請求書作成手段111 は, 端末使用状況テーブル104 をもとに使用中の被探索者端末4に課金し請求書を作成し,運用装置2を運用する団体へ請求する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,探索の対象である者や移動体の位置情報を提供する位置情報提供システムまたはそのシステムに用いる装置もしくはプログラムに関し,特に,探索される者や移動体の現在位置を探索者に自動的に通知する位置情報提供サービスを複数の運用装置により共用することにより,経済的または人的労力の負担を抑えることを可能にする位置情報提供システム,運用装置,位置情報提供装置,運用装置用プログラムおよび位置情報提供装置用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から,徘徊者などを探索するために,被探索者にPHS(Personal Handyphone System)端末またはGPS(Global Positioning System )機能を備えた端末を携帯させ,PHSの基地局の位置情報や,GPSの緯度経度情報を探索者のコンピュータ端末等に通知することにより,徘徊者などの被探索者の現在位置を取得するサービスのためのシステムがある。
【0003】
図26は,従来のPHSまたはGPSを用いた位置情報提供システムを説明するための図である。従来は,被探索者の位置情報を取得する場合には,個人が自宅などに有する位置情報提供システム910により,または企業が運営する位置情報提供センタ920により,PHSキャリアサービス会社などの第三者の運用する位置提供装置930が提供する位置通知サービスを利用して,被探索者の位置情報を取得していた。たとえば,以下のようにして被探索者の位置情報を取得していた。
【0004】
まず,個人宅の位置情報提供システム910では,位置取得手段911によりインターネットや通信回線などネットワーク6を介してキャリアで運用する位置提供装置930に位置取得要求を通知する。位置提供装置930では,該当する被探索者が所持するPHS機能を有する被探索者端末931に対して位置通知を要求し,基地局932を中継して被探索者端末931の応答を受信し,被探索者端末931の最寄りの基地局932の基地局IDから座標を検出し,要求先である位置情報提供システム910に通知する。位置情報提供システム910は,位置情報作成手段912により,通知された基地局932の座標を表示手段913の地図データにポイント表示などして位置を認識できるようにしていた。
【0005】
また,位置情報提供センタ920においても,同様の手順により,システムに加入する探索者端末924に対し被探索者の位置を通知していた。この場合,探索者端末924では,位置情報提供センタ920から位置を取得すると,探索者が被探索者の位置を容易に認識できるように,地図データ上にその位置をポイント表示したり,位置情報提供センタ920から,目標となる建物などからの距離と方角とを記した文面のメールを受信して表示したりしていた。
【0006】
また,GPSによる位置情報提供システム940においても,被探索者にGPS機能を持つ端末を所持させて,被探索者の座標を取得して,たとえば要求元である探索者端末944などへ通知していた。この場合に,探索者端末944も,探索者が容易に認識できるように,地図データ上に位置をポイント表示したりしていた。
【0007】
このように,位置情報提供サービスの利用者は,位置情報提供センタ920に加入して位置情報サービスを受けるか,または,位置情報提供システム910を自ら購入して,PHSキャリアの運用する位置提供装置930から直接座標を取得する等していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平08−223637号公報
【特許文献2】特開平11−289574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし,位置情報提供センタ920は,被探索者の位置として,被探索者端末931の位置の情報を提供するだけであるため,地図データを用いてその位置を表示しなければ,探索者が容易に被探索者の実際の居場所を把握することができないという問題があった。
【0010】
探索者が例えば警察や消防署などの第三者に被探索者の保護を求める場合にも,誰もが口頭で被探索者の位置を認識できるように,地名や住所などの情報も得られることが必要とされていた。
【0011】
また,従来の位置情報提供システムの購入価格は高額であり,またシステムの運営・保守などのシステム維持の負担が大きいため,徘徊者をかかえる家族などの個人が,自宅などにシステムを導入するには経済的または人的労力の負担が大きく,その導入は困難で現実的ではないという問題があった。
【0012】
また,位置情報提供センタ920は,位置情報を提供するのみで徘徊者の保護などのフォローは行っていないため,個人で位置情報提供センタ920に加入して位置情報を取得しても,徘徊者を個人で保護しなければならず家族の負担は大きかった。
【0013】
近年社会の高齢化が進み,高齢者介護が高齢者の家族のみの問題でなく社会で対応することが望まれている。特に高齢者に多い徘徊者の保護サービスに対する社会のニーズは高く,福祉・介護面から徘徊者を抱える家族などへの保護サービスを提供できる地方自治体,警備会社・損保会社などの団体・業者が,介護サービスの一環として,徘徊者の位置情報を提供することが望まれている。しかし,団体・業者などが,それぞれ個別に位置情報提供システムを運営保守して地域住民または顧客に位置情報を提供することは,費用的または労力的負担が大きく,かかるサービスの導入が進んでいないという問題があった。
【0014】
また,団体,業者などが被探索者が所持するための複数のPHS端末を購入し,端末数分まとめて位置情報提供センタに加入し,このPHS端末を利用者に貸与することも考えられる。しかし,位置情報提供サービスを希望する地域住民や顧客の数は,年または月などで変動するため,利用されない端末が生じて,位置情報サービス使用料が無駄になる場合が生じるという問題があった。
【0015】
かかる利用料の無駄をなくすために,利用者からサービスに対する申し込みを受けた都度,新規に位置情報提供センタに加入し,必要がなくなると位置情報提供センタを脱退するという方法も考えられる。しかし,申し込み後のサービス開始までに時間がかかり,すぐに位置情報を提供できないという問題があった。
【0016】
さらに,従来の位置情報提供センタ920は,単に被探索者の位置情報のみを提供するだけであるため,徘徊防止対策や徘徊時の危険防止対策をとることができないという問題もあった。
【0017】
地方自治体・警備会社・損保会社などは,福祉・介護面において家族をフォローすることができる団体・業者であり,位置情報提供サービスと共に,徘徊防止対策や徘徊時の危険防止対策などに役立つサービスを提供することが望まれている。
【0018】
したがって,地方自治体・警備会社・損保会社などが,経済的労力的な負担をできるだけ低く抑えて,介護サービスの一環として徘徊者などの位置情報を提供できるようなシステムの実現が要望されている。
【0019】
本発明は,これらの問題を解決することに鑑みてなされたものであり,自治体・警備会社・損保会社などの団体・業者が位置情報提供サービスを提供する場合に,団体・業者側に運用装置を備えネットワークで位置情報提供センタに接続してユーザ管理ができるようにし,実際は第三者である位置情報提供センタが運営・保守することにより,サービスを容易に安価に提供できることを目的とする。
【0020】
また本発明は,一つのセンタに対し,複数の運用団体に運用装置を置き,位置情報提供サービスを提供することにより,センタの位置情報提供サービスを安価に提供できることを目的とする。
【0021】
また本発明は,利用者が割り当てられた端末にのみ使用料を課金するようにして,さらに安価に位置情報提供サービスを提供できることを目的とする。
【0022】
また本発明は,自動的に被探索者の位置を取得して探索者に通知することにより,人的労力の負担を軽減した位置情報提供サービスを提供することを目的とする。
【0023】
また本発明は,危険地域に接近した場合には,位置情報とともに危険通知などを行うようにして,危険防止対策が行えるような位置情報提供サービスを提供できることを目的とする。
【0024】
また本発明は,被探索者の徘徊のログ情報を蓄積し,これらの情報をもとに統計を作成するようにして,徘徊防止対策が行えるような位置情報提供サービスを提供できることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記課題を解決し目的を達成するため,本発明は以下の手段を備える。
【0026】
本発明に係るシステムは,被探索者が所持する被探索者端末の位置情報を取得して探索者へ通知する位置情報提供装置と,位置情報提供装置を利用するユーザ情報を登録する運用装置とからなる。
【0027】
本発明に係る運用装置は,被探索者端末の識別情報に対応する探索者への位置情報の通知先の入力を受け付ける入力手段と,入力手段により入力された被探索者端末の識別情報に対応する通知先,または該通知先とともに自運用装置の識別情報を位置情報提供装置へ送信し登録するユーザ管理手段とを備える。
【0028】
従来の位置情報提供センタ(位置情報提供装置)と被探索者の探索を望むユーザとの間に運用装置を介在させ,運用装置によってユーザ登録を行うようにすることによって,自治体・警備会社・損保会社などの団体・業者が位置情報提供サービスを提供する場合に,団体・業者側で運用装置を利用し,実際には第三者が運用する位置情報提供装置にネットワークを介して接続してユーザ管理ができ,位置情報提供サービスを安価に提供できるようになる。
【0029】
一般ユーザは,第三者が運用する位置情報提供装置を意識することなく,自治体などの位置情報提供サービスの運用団体にサービスを依頼し,信頼できる運用団体のもとで位置情報提供サービスを気軽に利用できるようになる。すなわち,位置情報提供サービスを受ける探索者や被探索者にとって,運用団体が身近な自治体などであれば,安心して位置情報提供サービスを受けることができる。
【0030】
また,自治体などの運用団体にとっては,ユーザの要求を取りまとめて位置情報提供装置の提供する機能を利用することができ,運用団体側で位置情報提供装置の大掛かりな設備を用意することなく,位置情報提供サービスをユーザに利用させることができるというメリットがある。一方,位置情報提供装置の提供者にとっては,自治体などの運用団体を介した大口ユーザの獲得が可能になり,位置情報提供サービスを運用団体側に供するときの被探索者端末あたりのコストを大幅に削減することが可能になる。
【0031】
また,一つの位置情報提供装置に対し,複数の運用団体におかれた運用装置が接続できるようにすることにより,さらに安価に位置情報提供サービスを提供するためのシステムの実現が可能になる。
【0032】
本発明に係る位置情報提供装置は,運用装置から受信した通知先を被探索者端末の識別情報に対応させて運用装置の識別情報ごとに記憶するユーザ管理情報記憶手段と,被探索者端末の位置を取得する位置取得手段と,前記位置から位置情報を作成する位置情報作成手段と,前記位置情報を前記通知先へ送信する送信手段とを備える。
【0033】
ユーザ管理情報記憶手段では,運用装置から受信した被探索者の識別情報と対応づけた通知先を記憶する。運用装置からは,位置情報の通知に必要な最小限の情報だけを位置情報提供装置に送信してもよい。このため,利用者のプライバシー保護に配慮した位置情報提供サービスを提供できる。
【0034】
位置情報作成手段では,被探索者の位置を取得すると自動的に位置情報を作成して探索者の通知先に送信する。これにより,人的労力負担を軽減した位置情報提供サービスが提供できる。
【0035】
また,位置情報提供装置は,被探索者端末が使用であるか否かを請求期間単位ごとに記憶する端末使用状況記憶手段と,端末使用状況記憶手段の記憶する端末の使用状況を用いて請求書を作成する請求書作成手段とを備える。請求書作成手段では,端末の使用状況をもとに所定の料金表にもとづき使用中の端末にのみ課金し請求書を作成する。これにより,無駄のない料金が課金されるので,より安価に位置情報提供サービスを提供できる。
【0036】
また,位置情報提供装置は,取得した被探索者端末の位置と当該位置の取得日時等を記憶するログ記憶手段と,ログ記憶手段に記憶された位置,位置取得日時を用いて統計情報を作成する統計作成手段とを備える。統計作成手段では,記憶された位置または位置取得日時を用いて徘徊開始時間の傾向や,徘徊経路の傾向などの統計を作成する。これにより,徘徊の防止対策または危険防止対策のための有効な統計を提供することができる。
【0037】
また,位置情報提供装置は,位置取得手段から取得した位置から,住所や地名などのテキスト形式の情報を送信データ,例えばメールを作成し,探索者端末で,地図データのみによらずに被探索者の位置を認識できるようにする。
【0038】
また,位置情報提供装置は,被探索者端末の位置情報を取得できる範囲について,あらかじめ危険地域または緊急救出地域を設定しておく危険地域設定手段と,取得した被探索者端末の位置が前記危険地域内または緊急救出地域内である場合には,被探索者の位置情報とともに,前記危険通知もしくは緊急救出通知を探索者へ通知する危険通知手段とを備える。危険通知手段では,予め設定した危険地域に被探索者が接近した場合には,位置情報とともに危険通知などを行うようにして,危険防止対策がとれるような位置情報提供サービスを提供できる。
【0039】
本発明を実現する各手段の機能または要素は,コンピュータプログラムとして実現することができる。そのコンピュータプログラムをコンパクトディスク,フロッピーディスク(登録商標)等の記録媒体に記録して提供し,または通信インタフェースを介して種々の通信網を利用して送受信することにより提供することにより,コンピュータプログラムをコンピュータのハードディスクや半導体メモリ,記録媒体に格納しておき,本発明を実施する際にインストールすることにより,容易に実現することが可能である。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば,団体・業者が位置情報提供サービスを提供する場合に,団体・業者側に運用装置を備え,ネットワークを介して位置情報提供装置に接続してユーザ管理ができるようにし,実際は第三者である位置情報提供装置を備えた位置情報提供センタが,位置情報提供サービスを運営・保守することにより,当該サービスを容易に安価に提供することができる。
【0041】
また,一つの位置情報提供装置に対し,複数の運用団体に運用装置を置き,位置情報提供サービスを提供することにより,センタの位置情報提供サービスを安価にすることができる。また,利用者の割り当てられた端末にのみ使用料を課金することにより,さらに安価にすることができる。
【0042】
また,徘徊の傾向の統計情報を作成し,または危険地域に接近した場合危険地域通知などを行うことにより,徘徊防止対策または危険防止対策をとることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施の形態におけるシステム構成例を示す図である。
【図2】第1の実施の形態において本発明を実現する各手段の構成例を示す図である。
【図3】ユーザ管理テーブルの例を示す図である。
【図4】端末使用状況テーブルの例を示す図である。
【図5】地域データベースおよび危険地域データベースの例を示す図である。
【図6】位置データベースの例を示す図である。
【図7】空き端末一覧画面の例を示す図である。
【図8】ユーザ登録画面の例を示す図である。
【図9】ユーザ登録処理の処理フローチャートを示す図である。
【図10】ユーザ削除処理の処理フローチャートを示す図である。
【図11】位置通知処理開始指示の表示画面の例を示す図である。
【図12】処理開始指示による位置通知処理の処理フローチャートを示す図である。
【図13】位置取得処理の処理フローチャートを示す図である。
【図14】メールの表示例を示す図である。
【図15】処理開始指示による位置通知処理の処理フローチャート(2)を示す図である。
【図16】所定時間による位置通知処理の処理フローチャートを示す図である。
【図17】所定時間による位置通知処理の処理フローチャート(2)を示す図である。
【図18】請求書作成処理の処理フローチャートを示す図である。
【図19】統計処理フローチャートを示す図である。
【図20】ユーザ登録処理に既存のデータベースを利用する場合の運用装置の構成例を示す図である。
【図21】運用装置側のユーザ管理テーブルの例を示す図である。
【図22】位置情報提供装置側のユーザ管理テーブルの例を示す図である。
【図23】第3の実施の形態における運用管理装置およびユーザ管理テーブルの構成例を示す図である。
【図24】第3の実施の形態における,探索者端末の位置通知処理開始指示の表示画面の例を示す図である。
【図25】第4の実施の形態において本発明を実現する各手段の構成例を示す図である。
【図26】従来技術の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下,本発明の実施の形態を説明する。
【0045】
図1および図2を用いて,本発明の実施の形態における動作概要を説明する。図1は,本発明の実施の形態におけるシステム構成例を示す図である。図2は,本発明の実施の形態における,本発明を実現する各手段の構成例を示す図である。
【0046】
図1に示すように,本発明を実現するシステムは位置情報提供装置1,運用装置2a,2b,…,探索者端末3,被探索者端末4から構成される。位置情報提供装置1は,図2に示すように,送受信手段101,運用装置管理手段102,ユーザ管理テーブル103,端末使用状況テーブル104,危険地域設定手段105,危険地域データベース106,位置取得手段107,位置情報作成手段108,位置データベース109,統計作成手段110,請求書作成手段111を備える。
【0047】
位置情報提供センタに備えられた位置情報提供装置1は,ユーザ管理者である団体などに設けられた一または複数の運用装置2a,2bとネットワーク6で接続されデータの送受信を行う。
【0048】
位置提供装置5は,位置情報提供センタと別の位置提供業者(キャリアなど)に備えられ,PHS通信網により,基地局51,被探索者端末4とデータ通信を行う。また,位置提供装置5は,無線またはその他の通信回線により位置情報提供装置1とデータの送受信を行う。なお,図1では,位置情報提供装置1に位置を提供する手段として位置提供装置5を示しているが,位置情報提供装置1に対して位置を提供する手段であれば,キャリアの有する位置提供装置5に限定されない。
【0049】
探索者端末3は,探索者が携帯可能な端末機であり,ネットワーク6を介して位置情報提供装置1とデータの送受信を行う。
【0050】
被探索者端末4は,被探索者または移動体が携帯可能な端末機であり,PHS通信網により位置提供装置5とデータの送受信を行う。
【0051】
また,別のシステム構成例として,被探索者端末4は,PHSによるデータ送受信機能の代わりにGPS機能を備える。この場合には,位置提供装置5および基地局51は不要である。被探索者端末4は,GPSにより自己の経度緯度データを取得し,無線により位置情報提供装置1とデータ送受信を行うことができる。
【0052】
また,別のシステム構成例として,被探索者端末4を位置情報を算出できる携帯電話網を利用する携帯電話としてもよい。
【0053】
位置情報提供装置1の運用装置管理手段102では,運用装置2から被探索者端末4の端末番号,位置情報の通知先などのユーザ登録データを受信すると,これらの受信したユーザ登録データをユーザ管理テーブル103に記憶し,ユーザ削除の場合には該当するデータを削除して,ユーザ管理テーブル103を管理する。また,運用装置管理手段102は,ユーザ管理テーブル103の端末の使用中または不使用のフラグをもとに,端末使用状況テーブル104の請求期間単位ごとの使用中または未使用のフラグを設定して,端末使用状況テーブル104を管理する。
【0054】
その後,位置情報提供装置1の位置取得手段107では,探索者端末3から位置通知処理開始指示を受信しもしくは所定の時間ごとに,該当する被探索者端末4の位置通知要求を位置提供装置5に送信して,被探索者端末4の位置(座標または基地局IDなど)を取得する。
【0055】
位置情報作成手段108では,地図データベース(図示しない)を参照して,取得した座標や基地局IDの位置する住所や地図部分を検索して送信データを作成する。送信データは,被探索者端末4の位置する住所,地名などのテキストデータ,または被探索者端末4の位置および位置する地図部分のURL(Uniform Resource Locator),または被探索者端末4の位置または位置をポイント表示した地図データなどを内容とするものであり,これらの位置を示す情報をたとえばメール形式で作成して探索者端末3へ送信する。なお,位置取得手段107が位置提供装置5から,位置として被探索者端末4の位置する住所,地名などのテキストデータ,または被探索者端末4の位置および位置する地図部分のURL,または位置をポイント表示した地図データなどを取得した場合には,位置情報作成手段108は,位置取得手段107の取得したデータをそのままその内容とする送信データとして探索者端末3へ送信する。
【0056】
探索者端末3では,送信されたデータ,たとえばメール(位置情報)を受信し,住所を文字テキストまたは地図データ上のポイントなどで表示したり,地図部分のURLを表示したりする。これにより,探索者は,徘徊中の被探索者を探索している最中にその位置を随時知ることができる。
【0057】
また,危険地域設定手段105では,予め地図データベースをもとに危険地域や緊急救出地域を設定して記憶しておき,位置情報作成手段108により,被探索者端末4の座標が危険地域内の場合には,危険通知/緊急救出通知などを付加した位置情報のメールを作成する。これにより,被探索者の状況を判断することができ,きめ細かな保護が行え,また危険防止対策をとることができる。
【0058】
また,統計作成手段110では,位置取得手段107により位置データベース109に記憶された座標および座標取得日時などを参照して種々の統計処理を行うことができる。これにより,個人ごとの徘徊の傾向を知ることができたり,徘徊防止に有効な対策を講ずるための種々の統計データを取得することができる。
【0059】
また,運用装置2a,2bでは,ユーザ登録データとして被探索者端末4の端末番号,位置情報の通知先,たとえばメール・アドレスなどのユーザ登録データの全部または一部を,ネットワーク6を介して位置情報提供装置1に送信する。ユーザ登録データの一部のみを送信することにより,ユーザのプライバシーを保護することができる。なお,送信するユーザ登録データには,割り当てられた端末番号,被探索者端末4の識別情報(PHS番号など)に対応づけられた探索者への位置情報の通知先とが含まれる。また複数の運用装置2の所属がある場合には,これらの送信するユーザ登録データとともに運用装置2の識別情報を送信する。
【0060】
位置情報提供装置1は,複数の運用装置2a,2bからのユーザ登録データを,その運用装置の所属ごとにユーザ管理テーブル103に記憶し,請求期間単位ごとの端末使用状況テーブル104に端末の利用状況を記憶する。
【0061】
請求書作成手段111では,運用装置2の所属する団体・業者ごとの端末使用状況テーブル104を参照して,使用中の被探索者端末4についてのみ課金した利用料金を計算し,運用装置2の所属する団体・企業単位の請求書や,端末のユーザ単位の請求書を作成する。これにより,被探索者端末4の使用状況に応じた料金を請求できる。また,ユーザ単位の端末使用状況テーブル104を参照して,ユーザごとの請求書を作成する。これにより,各団体・業者がユーザ宛に請求書を作成する処理を代行することができる。
【0062】
以下に,本発明の実施の形態をさらに詳しく説明する。
【0063】
図1に示すシステムにおいて,まず,探索者はユーザ管理者が備える運用装置2に所定のユーザ登録データ(被探索者端末の番号,探索者への通知先など)を登録する。運用装置2から位置情報提供装置1へユーザ登録データが送信され,位置情報提供装置1では,このユーザ登録データを記憶し,被探索者端末4の使用状況を記憶する。
【0064】
位置情報提供装置1は,探索者からの指示または所定時間ごとに,位置提供装置5に位置通知処理開始指示を送信する。位置提供装置5では,基地局51を介して被探索者端末4へ位置通知要求を放送する。被探索者端末4は位置通知要求へ応答すると,基地局51は自己の基地局IDを付けて応答を位置提供装置5へ送信する。位置提供装置5は,受信した応答の基地局IDを座標に変換して,位置情報提供装置1に送信する。位置情報提供装置1は,受信した座標に位置する住所を検索して,その住所を探索者の通知先である探索者端末3へメール送信し,位置取得時刻および座標をログとして記憶する。なお,位置提供装置5が基地局IDを位置情報提供装置1に送信し,位置情報提供装置1が基地局IDを座標に変換してもよい。
【0065】
探索者は,探索者端末3で位置情報提供装置1からの当該メールを受信し,被探索者端末4の位置を住所表示により知ることができる。
【0066】
その後,位置情報提供装置1は,位置ログから統計処理により種々の統計情報を作成し,また,ユーザ登録データおよび端末の使用状況データから運用装置2を備える所属先ごとまたはユーザごとに請求書を作成する。
【0067】
〔第1の実施の形態〕
図2に示す,本発明の第1の実施の形態における本発明を実現する各手段を説明する。
【0068】
送受信手段101は,運用装置2または探索者端末3とインターネット,専用回線などのネットワーク6を介してデータの送受信を行う。
【0069】
運用装置管理手段102は,運用装置2の送受信手段23,ネットワーク6,送受信手段101を介して取得したユーザに関する情報をユーザ管理テーブル103,端末使用状況テーブル104を用いて管理する。
【0070】
図3に,ユーザ管理テーブルの例を示す。ユーザ管理テーブル103には,たとえば,各団体・業者の運用装置2ごとに,被探索者端末4の端末番号に対応して,使用中フラグ,ユーザ(利用者)の氏名,ユーザの住所,被探索者端末4の位置情報の通知先,応答要求の送信先である被探索者端末4のPHS番号などのユーザ登録データが記憶されている。
【0071】
ここで,使用中フラグとは被探索者端末4にユーザが割り当てられて使用中の状態であるかどうかを示し,使用中の場合は1,使用中でない場合には0が書き込まれる。通知先として,探索者のメール・アドレスの例を示したが,電話番号,FAX番号,またはWeb上のその個人しか参照できないページの格納されたURLなど,ユーザである探索者に対して位置情報を通知できる手段の宛先であれば何でもよい。
【0072】
また,図3に示す例のように,ユーザ以外のものが被探索者の位置を取得できないように,位置取得要求に際して使用するパスワードを記憶してもよく,これにより,探索者や被探索者のプライバシーの保護を図ることができる。
【0073】
図3のユーザ管理テーブル103の例では,端末番号1の被探索者端末4はユーザ「○山○子」が使用中であり,応答要求の通知先のPHS番号「070−xxxx−xxxx」の被探索者端末4から取得した地名・地番などで示す位置情報を探索者側で受信可能なメール・アドレス「xxx@yy.yy.ne.jp」宛にメール送信する。また,端末番号2は,現在は未使用中であることを示す。
【0074】
図4に,端末使用状況テーブルの例を示す。端末使用状況テーブル104は,請求先ごとに請求期間単位ごとの端末使用状況を管理するためのテーブルである。例えば,運用装置2の所属する団体・業者ごとにテーブルを作成し,または端末のユーザごとにテーブルを作成する。図4に示す例は,運用装置2の所属ごとに月単位で請求する場合の被探索者端末4の使用状況をフラグにより示す場合のテーブル例である。テーブル中の「1」は使用中を示すフラグ,「0」は未使用を示すフラグである。
【0075】
運用装置管理手段102では,ユーザ登録があった場合には,端末使用状況テーブル104の対応する端末番号の該当月フラグを使用中に設定し,ユーザ削除があった場合には,対応する端末番号の該当月の次月のフラグを未使用に設定する。また,請求期間単位の期末ごと(例えば,月末ごと)に,ユーザ登録または削除の変動がない端末番号については,次請求期間のフラグを,その請求期間のフラグとする。
【0076】
また,後述する請求書作成手段111では,この端末使用状況テーブル104を用いて各団体や企業,もしくは端末ユーザへの請求書を作成する。
【0077】
危険地域設定手段105は,地図データベースをもとに,位置情報提供サービス対象の地域において,徘徊中に危険が発生する確率の高い地域,河川や湖沼など緊急に救出が必要な地域などを設定して,あらかじめ危険地域データベース106に記憶する。地域の設定は,地図データベースを参照した管理者の設定入力により行うか,地図データベースの地形情報をもとに自動的に設定する。
【0078】
図5(A)に地図データベースの例を示し,図5(B)に危険地域データベース106の例を示す。図5(B)の危険地域データベース106に記憶されている地図中,斜線のハッチングで示す部分は危険地域,縦線のハッチングで示す部分は緊急救出地域を示す。探索者端末3に対し,被探索者端末4の位置が危険地域内であれば,位置情報に危険通知が付加され,被探索者端末4の位置が緊急救出地域内であれば,緊急救出通知が付加される。
【0079】
位置取得手段107は,探索者からの位置通知処理開始指示により,または所定の時間ごとに,被探索者端末4の座標を位置提供装置5から取得する。また,位置取得手段107は,基地局51を通じて被探索者端末4と直接に通信し,被探索者端末4からの応答を受信した基地局51が基地局IDを付加した当該応答を受信し,当該基地局IDの示す基地局51の座標を取得する。また,位置提供装置5が基地局IDのみを通知する場合には,位置取得手段107は,基地局IDと座標との対応表を備え,基地局IDを座標に変換する。
【0080】
位置情報作成手段108は,位置取得手段107が取得した位置から,ユーザが認識できるように住所表示や地図上の点表示などに変換などして,位置を通知するための送付データ(位置情報)を作成し,送受信手段101,ネットワーク6を介して,探索者端末3に送信する。
【0081】
ここで,ユーザが認識できる情報とは,たとえば,被探索者端末4の位置を「○○町○丁目○○番地」のような住所で表示するための情報,または「△△交差点の付近」など,目印となる建物・場所からある方角へ何メートルなどのメッセージで表示するための情報,または被探索者端末4の位置を地図データ上にポイント,カーソルなどで表示するための情報である。これらの表示のための情報に限らず,利用者に被探索者端末4の位置が認識できるような表示のための情報であればよい。探索者端末3が地図データベースの記憶手段と表示手段を有する場合には,位置取得手段107が取得した位置をそのままメール送信してもよい。位置情報とは,それらの位置を通知する情報を含んだ送付データである。
【0082】
また,位置情報作成手段108は,位置取得手段107が取得した座標を取得日時とともに位置データベース109に記録する。
【0083】
また,位置情報作成手段108は,危険地域データベース106を参照して,取得した被探索者端末4の座標が,たとえば図5に示すような危険地域または緊急救出地域内にある場合には,危険通知または緊急救出通知を作成して被探索者端末4の位置情報に付加する。
【0084】
危険通知とは,「危険地域『A橋』に接近中」などの危険地域に接近中であるか,危険地域内にいる状態であることを知らせる通知文である。位置情報を地図データ上に表示する場合には,地図に危険地域のマークをつけて通知するものであってもよい。
【0085】
位置データベース109は,位置取得手段107が取得した被探索者端末4の座標,座標取得時刻などを記憶する。図6に位置データベース109の例を示す。この例では,各被探索者端末4の端末番号ごとに月日,座標取得時刻,座標などのデータを時系列的にセッション(位置通知を開始して終了するまで)ごとに記憶している。
【0086】
統計作成手段110は,位置データベース109を参照して,被探索者端末4の徘徊経路や時刻などを統計処理して出力する。たとえば,徘徊開始の時刻を集計して徘徊の平均開始時刻を求めたり,時間経過にともなう座標の移動から徘徊経路を集計して,徘徊経路の傾向を求めたりする。
【0087】
請求書作成手段111は,図4に示すような請求期間単位ごとの端末使用状況テーブル104を参照して,端末の利用料金を算出し,運用装置2を設置する団体や業者に対する請求書を作成する。
【0088】
運用装置2a,2bは,位置情報提供装置1と別の場所または組織に設置され,位置情報提供装置1とネットワーク6で接続されており,それぞれ入出力手段21a,21b,ユーザ管理手段22a,22b,送受信手段23a,23bを備える。
【0089】
入出力手段21a,22bは,運用装置2へのデータの入出力を行う。ユーザ管理手段22a,22bは,位置情報提供サービスのユーザ(利用者)を管理する。送受信手段23a,23bは,ネットワーク6に対してデータの送受信を行う。
【0090】
探索者端末3は,探索要求手段31,位置情報表示手段32を備える。探索要求手段31は位置情報提供装置1に対して位置通知処理開始指示を送信する。位置情報表示手段32は位置情報提供装置1からの受信メールを表示する。
【0091】
被探索者端末4は,位置を探索される人や移動体に携帯させまたは取り付けて用いるものであり,PHSによる無線データ通信機能を備えた携帯用端末機である。被探索者端末4は,基地局51を介して他の端末機などとの間でデータを送受信する。
【0092】
基地局51は,被探索者端末4との間でデータ送受信を行い,または複数のPHS端末間の無線通信を中継する。たとえば,基地局51は,位置取得手段107から被探索者端末4への位置通知要求を中継し,または,被探索者端末4からの応答を受信すると,他の基地局IDが付与されていなければ,その応答に自基地局IDを付加して,位置提供装置5に送信する。なお,他の基地局IDが付与されている場合には,その応答をそのまま中継する。
【0093】
次に,本システムの処理を説明する。
【0094】
(1)ユーザ登録処理
ユーザ登録データの入力処理は運用装置2において行う。運用装置2において,ユーザ登録処理要求をネットワーク6を介して位置情報提供装置1に通知すると,位置情報提供装置1の運用装置管理手段102は,ユーザ管理テーブル103を参照して,不使用の端末を取得して空き端末一覧画面を作成して運用装置2に送信する。
【0095】
図7に空き端末一覧画面の例を示す。画面には,運用装置2を設置して位置情報提供サービスを行う団体が所持し位置情報提供装置1に登録している被探索者端末4のうち,その時点で利用者が割り当てられていない端末番号の一覧が表示される。
【0096】
ユーザを割り当てて使用する端末番号がクリックなどで選択されると,その端末番号に対応するユーザ登録画面が表示される。図8にユーザ登録画面の例を示す。
【0097】
図8は,端末番号=2をクリックした場合に表示されるユーザ登録画面の例である。ユーザ登録画面には,その端末番号につけられたPHS番号が表示され,使用申込者の氏名,住所,電話番号,位置情報の通知先,被探索者氏名,生年月日,保険証番号,備考などのユーザ情報を登録するフィールドが設けられている。これらのフィールドにデータが入力された後,右下にある登録ボタンがクリックなどにより選択されることにより,ユーザ登録データが位置情報提供装置1へ送信される。
【0098】
位置情報提供装置1の運用装置管理手段102は,受信したユーザ登録データをユーザ管理テーブル103に登録し,端末使用状況テーブル104の該当する端末番号を使用中(使用状況フラグ=1)にする。
【0099】
なお,予め位置情報提供装置1に被探索者端末4を登録しないような運用の場合には,新規に被探索者端末4を登録する画面を使用する。新規登録画面には,割り当てられた端末番号のユーザ登録画面が表示されて,被探索者端末4として使用する被探索者端末4のPHS番号を入力するフィールドを設けておく。
【0100】
図9に,ユーザ登録処理の処理フローチャートを示す。処理フローチャート中,(A)に示す処理ステップS1,S2,S6〜S11は運用装置2における処理を示し,(B)に示す処理ステップS3〜S5,S8,S12〜S14は位置情報提供装置1における処理を示す。
【0101】
まず,ステップS1では,運用装置2において,運用装置2の出力画面に表示されたメインメニューにおいてマウスなどの入力手段により入力されたユーザ登録処理の選択をユーザ管理手段22が受け付ける。
【0102】
ステップS2では,位置情報提供装置1にユーザ登録処理指示を送信する。ステップS3では,位置情報提供装置1がユーザ登録処理指示を受信する。ステップS4では,ユーザ管理テーブル103を検索して空き端末を抽出する。ステップS5では,空き端末一覧画面を作成し運用装置2に送信する。
【0103】
ステップS6では,運用装置2において,空き端末一覧画面を受信する。ステップS7では,空き端末一覧画面を表示して端末番号の選択入力を受け付け,位置情報提供装置1へ送信する。
【0104】
ステップS8では,位置情報提供装置1において,端末選択入力を受信し,選択された端末番号に対応するユーザ登録画面を作成して運用装置2に送信する。
【0105】
ステップS9では,選択された端末番号に対応するユーザ登録画面を受信し表示して,ユーザ登録データ(氏名,住所,通知アドレスなど)のフィールドへのデータ入力を受け付ける。ステップS10では,登録が選択されたかどうか判定する。ステップS11では,登録が選択されていれば,ユーザ登録データを位置情報提供装置1へ送信する。
【0106】
ステップS12では,位置情報提供装置1において,運用装置2からのユーザ登録データを受信する。ステップS13では,受信したデータをユーザ管理テーブル103に登録する。ステップS14では,端末使用状況テーブル104の該当する端末番号の使用状況フラグを使用中にする。
【0107】
図10に,ユーザ削除処理の処理フローチャートを示す。図10中,(A)に示す処理ステップS20,S21,S24〜S27は運用装置2における処理を示し,(B)に示す処理ステップS22,S23,S28〜S30は位置情報提供装置1における処理を示す。
【0108】
図10において,ステップS20では,運用装置2の出力画面に表示されたメインメニューにおいてマウスなどの入力手段により入力されたユーザ削除処理の選択をユーザ管理手段22が受け付ける。ステップS21では,運用装置2のユーザ管理手段22が位置情報提供装置1にユーザ削除処理指示を送信する。
【0109】
ステップS22では,位置情報提供装置1がユーザ削除処理指示を受信する。ステップS23では,運用装置2へユーザ削除画面を送信する。
【0110】
ステップS24では,位置情報提供装置1より送られたユーザ削除画面を運用装置2の送受信手段23が受信する。ステップS25では,ユーザ削除画面を表示して,削除する端末番号の指示入力を受け付ける。ステップS26では,確認が選択されたかどうか判定する。ステップS27では,確認が選択されていれば,指示入力された端末番号をユーザ削除対象として位置情報提供装置1へ送信する。
【0111】
ステップS28では,運用装置2から送られてきたユーザ削除処理指示と端末番号を受信する。
【0112】
ステップS29では,ユーザ管理テーブル103の該当する端末番号に対応する使用中フラグを不使用にし,そのユーザ登録データを削除する。
【0113】
ステップS30では,請求期間単位ごとの端末使用状況テーブル104の該当する端末番号の次請求単位期間の使用状況フラグの「使用中」を「未使用中」にする。
【0114】
これらの運用装置2からのユーザ登録処理は,運用装置2の所属する団体・業者の権限のある者しかユーザ登録処理ができないように,最初にパスワードを入力させて認証を行い,その後に登録処理を行うなどする。
【0115】
以上のユーザ登録処理は,運用装置2上に常駐するブラウザ(インターネット閲覧プログラム)により,位置情報提供装置1の部分を実現するWWW(World Wide Web)サーバからページを読み出すような形式で実現してもよい。
【0116】
(2)位置通知処理
位置通知処理は,探索者からの位置通知処理開始指示を受け付けて行う場合(指示による位置通知処理)と,所定の時間ごとに位置情報提供装置1において自動的に行う場合(所定時間ごとの位置通知処理)とがある。
【0117】
(1)指示による位置通知処理
図11に,指示による位置通知処理において,探索者端末3がインターネットに接続可能な携帯電話である場合の表示画面の例を示す。
【0118】
探索者端末3では,インターネットに接続し,(A)に示すメニュー一覧画面を表示する。探索者がブックマークで「位置情報サービス」を選択し,その選択入力を受け付けると,「位置情報サービス」に対して設定されていたURLにより,(B)に示す位置情報サービスのトップ画面が表示される。この画面で,探索者が,探索者ID,パスワードを入力すると,探索者ID,パスワードの入力を受け付け,ネットワーク6を介して位置情報提供装置1へ送信する。
【0119】
運用装置管理手段102では,ユーザ管理テーブル103を参照して認証を行う。運用装置管理手段102により探索者ID,パスワードが認証されると,(C)に示す画面が表示される。認証されない場合には,(C)以降の画面は表示されない。
【0120】
(C)に示す画面で,探索者がPHS探索を選択すると,その選択入力を受け付け,(D)に示す画面が表示され,ログオンした探索者が登録した被探索者端末4のPHS番号が表示される。登録した被探索者端末4が複数の場合には,複数のPHS番号が表示される。探索者が,1台のPHS番号を選択後「探索」を選択すると,その選択入力を受け付けて,(E)に示す画面が表示される。位置通知処理開始指示の入力が完了したことを示す画面であり,位置情報提供装置1において位置通知処理が開始される。(E)に示す画面で終了を選択してインターネットを終了する。その後,位置情報提供装置1から,被探索者端末4の位置情報メールが,探索者端末3へ送信されることになる。
【0121】
図12に,処理開始指示による位置通知処理の処理フローチャートを示す。ステップS40では,位置情報提供装置1において,探索者端末3により入力された位置通知処理開始指示を受信する。
【0122】
ステップS41では,位置取得手段107により,被探索者端末4の位置取得処理を行う。図13に位置取得処理の処理フローチャートを示す。図13において,ステップS410では,位置通知処理開始指示を受けた位置取得手段107により,位置通知要求を位置提供装置5へ送信する。ステップS411では,被探索者端末4へ向け位置通知要求を放送する。ステップS412では,被探索者端末4が位置通知要求に応答する。ステップS413では,被探索者端末4からの応答を受け付けた基地局51が,自基地局IDを付加した当該応答を送信する。ステップS414では,位置提供装置5が,基地局ID付きの応答を受信する。ステップS415では,位置提供装置5が,基地局IDからその基地局51の座標を検索する。ステップS416では,位置提供装置5が,位置取得手段107に座標を送信する。ステップS417では,位置取得手段107が,座標を受信する。
【0123】
図12のステップS42では,位置取得手段107により,地図データベースを参照してステップS417で取得した座標の位置する住所を検索する。ステップS43では,被探索者端末4の位置する住所などを内容とするメール(位置情報)を作成する。ステップS44では,通知先である探索者端末3へ作成したメールを送信する。図14に,探索者端末3で受信したメールの表示例を示す。位置情報表示手段32は,(A)に示すように,被探索者端末4の位置を「△△町○番地付近」などのように住所で表示する。または(B)に示すように,地図データ上で丸印などで示すとともに住所やランドマークを表示する。ステップS45では,被探索者端末4の座標とその取得時刻を位置データベース109に記録する。
【0124】
図15に,処理開始指示による位置通知処理の処理フローチャート(2)を示す。図15に示す処理は,危険通知を付加した位置情報メールにより位置通知を行う場合の例である。ステップS50〜S52の処理は,図12に示すステップS40〜S42の処理と同様であるため,説明を省略する。
【0125】
ステップS53では,危険地域データベース106を参照して,ステップS51の処理で取得した座標が危険地域または緊急救出地域内であるかどうかを判定する。危険地域または緊急救出地域内の場合には,ステップS54の処理を行い,そうでない場合にはステップS55の処理を行う。
【0126】
ステップS54では,危険/緊急救出通知を付加して被探索者の位置情報メールを作成する。ステップS55では,図12に示すステップS43と同様に,被探索者の位置情報メールを作成する。ステップS56では,図12に示すステップS44と同様に,探索者端末3へ作成したメールを送信する。ステップS57では,位置データベース109に,被探索者端末4の座標とその取得日時,危険通知があった場合にはその旨を記録する。なお,危険/緊急通知をあらかじめ警察,消防署などに通知するように登録してもよい。
【0127】
(2)所定時間ごとの位置通知処理
所定時間ごとの位置通知処理の場合には,位置取得手段107は,位置情報提供装置1に備えられるタイマ(図2に図示しない)により,所定の時間ごとに自動的に位置提供装置5に対し位置通知要求を送信し,被探索者端末4の位置を取得して,探索者端末3に位置情報をメール送信する。
【0128】
この処理の場合には,あらかじめユーザ登録処理時に,たとえば被探索者の自宅付近や長時間滞在する場所付近などの位置通知不要地域について位置通知不要地域データベース(図2に図示しない)を設定しておく。
【0129】
図16に,所定時間による位置通知処理の処理フローチャートを示す。
【0130】
ステップS60では,処理を終了するかどうか判定する。終了しなければ,ステップS61の処理へ進む。ステップS61では,所定時間ごとに被探索者端末の位置取得処理を行う。位置取得処理は,図13に示す処理と同様である。
【0131】
ステップS62では,取得した座標が,位置通知不要地域内であるかどうかを判定する。位置通知不要地域内であれば,ステップS60の処理へ戻り,位置通知不要地域内でなければ,ステップS63の処理へ進む。ステップS63〜S65の処理は,図12に示すステップS42〜S44の処理と同様であるので説明を省略する。ステップS66では,被探索者端末4の座標,その取得時刻を位置データベース109に記録して,ステップS60の終了判定処理へ戻る。
【0132】
なお,たとえば所定時間の間隔が長いなど位置通知不要地域を設定していない場合にはステップS62の処理は行わない。
【0133】
図17に,所定時間ごとの位置通知処理の処理フローチャート(2)を示す。図17に示す処理は,危険通知を付加した位置情報メールにより位置通知を行う場合の例である。
【0134】
ステップS70〜ステップS72の処理は,図16に示すステップS60〜S62の処理と同様であり,ステップS73〜S77の処理は,図15に示すステップS52〜S56の処理と同様であるので,説明を省略する。ステップS78では,被探索者の座標とその取得時刻と危険通知を行った場合にはその旨とを位置データベース109に記録して,ステップS70の終了判定処理へ戻る。
【0135】
(3)請求書作成処理
請求書作成手段111では,運用装置2を設置する所属,例えば団体・企業ごとに,またはグループごとに,または端末のユーザごとに,請求期間単位ごとの端末使用状況テーブル104を参照して請求書を作成する。
【0136】
図18に,請求書作成処理の処理フローチャートを示す。
【0137】
ステップS80では,請求期間単位ごとの端末使用状況テーブル104を開く。ステップS81では,当該請求期間の「使用状況フラグ」が使用中(1)である端末の総数を計算する。ステップS82では,「1台当たりの使用料金×使用端末総数」により,使用料金を計算する。ステップS83では,計算した使用料金をもとに請求書を作成する。
【0138】
(4)統計処理
統計作成手段110は,位置データベース109の被探索者端末4の座標,取得時刻をもとに種々の統計処理により統計情報を作成する。図19に,統計処理の処理フローチャートを示す。
【0139】
ステップS90では,統計作成手段110により,位置データベース109を開く。ステップS91では,位置通知処理のセッションごとに,最初の座標取得時刻を収集し,当該最初の時刻を徘徊に出かける時刻とし,時刻ごとの回数を計算して,徘徊に出かける時刻の回数の多いものを割り出す。ステップS92では,位置通知処理のセッションごとの経路(時系列的な座標の連続)を作成し,頻繁に通る経路などを割り出す。
【0140】
ステップS93では,ステップS91で求めた時刻統計データや,ステップS92で求めた経路統計データをもとに,利用者に見やすい表示または送付するためのデータ形式の統計情報を作成する。
【0141】
〔第2の実施の形態〕
第1の実施の形態においては,運用装置2は,ユーザ登録処理の際に,入力を受け付けたユーザ登録データのすべてを位置情報提供装置1に送信し,位置情報提供装置1では,これらの受信データをユーザ管理テーブル103に記憶するようにしている。
【0142】
第2の実施の形態は,第1の実施の形態の一部を変更したものであり,第2の実施の形態において,運用装置2は入力を受け付けたユーザ登録データの一部のみを位置情報提供装置1に送信する。または,運用装置2は,ユーザ登録処理の際に,住民票データベースや戸籍データベースなどの既存の住民情報データベースに記憶されているデータを利用してユーザ登録処理を行う。
【0143】
図20に,ユーザ登録処理に既存のデータベースを利用する場合のユーザ管理者側の運用装置の構成例を示す。地方自治体などが運用装置2を設置して位置情報提供サービスを行う場合には,ユーザ管理者である地方自治体は,通常,すでに住民情報データベースシステム7を運用しているので,住民情報管理サーバ71を介して住民票データベース72,戸籍データベース73に記憶されたデータを利用する。この場合には,運用装置2にユーザ管理テーブル24を備え,ユーザ管理手段22は,ユーザ管理テーブル24のデータの一部をユーザ登録データとして送信する。
【0144】
図21に運用装置側のユーザ管理テーブル24の例を示し,図22に,運用装置2からその一部のみであるユーザ登録データを受信したときの位置情報提供装置1側のユーザ管理テーブル103の例を示す。
【0145】
図21の運用装置2側のユーザ管理テーブル24は,端末番号ごとに,使用中フラグ,通知先,ユーザ(探索者)または被探索者の氏名,住所を記憶するが,ユーザ,被探索者の住所を直接データとして記憶するのではなく,住民票データベース72での当該ユーザ住所の格納アドレスを記憶する。たとえば,住民票データベース72のアドレスa1にユーザ「○山○子」の住所が格納されているので,必要な場合には,住民情報管理サーバ71を介して住所を取得することができる。なお,図21に示す例に限らず,住民登録台帳番号などのようにユーザおよび被探索者を識別できる情報,被探索者端末4の識別情報(PHS番号)をユーザ管理テーブルに記憶するようにしてもよい。
【0146】
以上のようにユーザ登録処理に既存のデータベースを利用することにより,被探索者の位置を探索者が知る保護上の理由(例えば,肉親である,同居者であるなど)をチェックすることが可能となる。
【0147】
図22に示す位置情報提供装置1側のユーザ管理テーブル103では,端末番号ごとに,使用中フラグ,ユーザ氏名,通知先,被探索者端末4の識別情報(PHS番号),パスワードを記憶する。
【0148】
このように,運用装置2側から位置情報提供装置1側へ最小限のデータのみを送信することにより,探索者,被探索者のプライバシーの保護を図ることができる。
【0149】
〔第3の実施の形態〕
第3の実施の形態は,第1の実施の形態の一部を変更したものであり,第3の実施の形態においては,位置情報提供サービスを利用する団体などが,複数の運用装置2を有する場合に,グループIDを用いてユーザ管理を行うようにする。
【0150】
図23に,第3の実施の形態における運用装置管理手段102およびユーザ管理テーブル103の構成例を示す。位置情報提供装置1において,運用装置管理手段102のグループ管理手段1020により,ユーザ管理テーブル103にグループ管理テーブル1030を記憶し管理する。
【0151】
グループ管理テーブル1030は,位置情報提供装置1とネットワーク6を介して接続している複数の運用装置2の所属するグループ(団体・企業など)ごとに割り振られたグループIDとグループ名との対応表である。さらにグループごとに,そのグループのユーザを管理するユーザ管理テーブル1031,1032,1033…を記憶し,各テーブルへはリンクが張られている。これにより,グループごとにユーザ管理ができる。
【0152】
また,図23中に図示していないが,グループ管理手段1020は,ユーザ管理テーブルにおいて,管理する各ユーザがどのグループに属しているかの情報を参照できるようにしている。また,グループごとのユーザ登録処理,請求書作成処理なども,グループごとにグループ管理テーブル1030を用いて行う。ユーザ登録の際には,まずグループの識別情報(グループIDなど)とパスワードを入力させるようにし,その後ユーザ登録処理を行うようにする。
【0153】
図24に,第3の実施の形態における,探索者端末の位置通知処理開始指示の表示画面の例を示す。第1の実施の形態における処理の場合の表示画面の例とほぼ同様であるが,図24(B),(C)に示すように,グループ管理がされている場合に,(A)に示す画面で「位置情報サービス」に設定されたURLが位置情報サービスのグループIDを指定していた場合(http//:address?groupID)には,(B)に示す画面が表示される。また,URLにグループIDを指定していない場合(http//:address)には,(C)に示す画面が表示される。
【0154】
(B)に示す画面では,位置情報サービスのトップ画面が表示される。探索者が探索者IDとパスワードを入力し,ログオンを選択すると,位置情報提供装置1に探索者ID,パスワードが送信されて,運用装置管理手段102では,認証処理を行う。
【0155】
(C)に示す画面では,位置情報サービスのトップ画面で,グループID,探索者ID,パスワードの入力が表示され,探索者がグループID,探索者ID,パスワードを入力し,ログオンを選択すると,位置情報提供装置1にグループID,探索者ID,パスワードが送信されて,運用装置管理手段102で認証処理を行う。認証されると,(D)以降の画面が表示され,図11(C)〜(E)に示す場合と同様に位置通知処理開始指示が完了する。
【0156】
〔第4の実施の形態〕
以上の第1ないし第3の実施の形態では,被探索者端末の位置を取得する際に,PHSの位置通知機能を利用した。第4の実施の形態においては,被探索者の端末の位置取得に,GPSを利用する。
【0157】
図25に,第4の実施の形態における本発明を実現する各手段の構成例を示す。被探索者端末7は,図2に示す被探索者端末4の代わりに,探索される者や移動体に取り付けられるものであり,GPS機能を備える端末機である。
【0158】
被探索者端末7は,携帯電話網,無線通信網などにより位置情報提供装置1とデータの送受信を行う。
【0159】
位置取得手段107は,位置通知要求を被探索者端末7へ直接送信する。被探索者端末7では,一般的なGPSの位置探索処理により自端末の座標を取得して位置取得手段107へ送信する。
【0160】
ユーザ登録処理,位置取得処理以外の位置通知処理,請求書作成処理,および統計処理については,第1の実施の形態において説明した処理とほぼ同様であるので説明を省略する。なお,図11(C)に示す,位置通知処理開始指示の表示画面では,本例の場合には,「1.PHS探索」の代わりに「1.GPS探索」を表示する。
【0161】
以上,本発明をその実施の態様により説明したが,本発明はその主旨の範囲において種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0162】
1 位置情報提供装置
101 送受信手段
102 運用装置管理手段
103 ユーザ管理テーブル
104 端末使用状況テーブル
105 危険地域設定手段
106 危険地域データベース
107 位置取得手段
108 位置情報作成手段
109 位置データベース
110 統計作成手段
111 請求書作成手段
2 運用装置
21 入出力手段
22 ユーザ管理手段
23 送受信手段
3 探索者端末
31 探索要求手段
32 位置情報表示手段
4 被探索者端末
5 位置提供装置
51 基地局
6 ネットワーク
【技術分野】
【0001】
本発明は,探索の対象である者や移動体の位置情報を提供する位置情報提供システムまたはそのシステムに用いる装置もしくはプログラムに関し,特に,探索される者や移動体の現在位置を探索者に自動的に通知する位置情報提供サービスを複数の運用装置により共用することにより,経済的または人的労力の負担を抑えることを可能にする位置情報提供システム,運用装置,位置情報提供装置,運用装置用プログラムおよび位置情報提供装置用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から,徘徊者などを探索するために,被探索者にPHS(Personal Handyphone System)端末またはGPS(Global Positioning System )機能を備えた端末を携帯させ,PHSの基地局の位置情報や,GPSの緯度経度情報を探索者のコンピュータ端末等に通知することにより,徘徊者などの被探索者の現在位置を取得するサービスのためのシステムがある。
【0003】
図26は,従来のPHSまたはGPSを用いた位置情報提供システムを説明するための図である。従来は,被探索者の位置情報を取得する場合には,個人が自宅などに有する位置情報提供システム910により,または企業が運営する位置情報提供センタ920により,PHSキャリアサービス会社などの第三者の運用する位置提供装置930が提供する位置通知サービスを利用して,被探索者の位置情報を取得していた。たとえば,以下のようにして被探索者の位置情報を取得していた。
【0004】
まず,個人宅の位置情報提供システム910では,位置取得手段911によりインターネットや通信回線などネットワーク6を介してキャリアで運用する位置提供装置930に位置取得要求を通知する。位置提供装置930では,該当する被探索者が所持するPHS機能を有する被探索者端末931に対して位置通知を要求し,基地局932を中継して被探索者端末931の応答を受信し,被探索者端末931の最寄りの基地局932の基地局IDから座標を検出し,要求先である位置情報提供システム910に通知する。位置情報提供システム910は,位置情報作成手段912により,通知された基地局932の座標を表示手段913の地図データにポイント表示などして位置を認識できるようにしていた。
【0005】
また,位置情報提供センタ920においても,同様の手順により,システムに加入する探索者端末924に対し被探索者の位置を通知していた。この場合,探索者端末924では,位置情報提供センタ920から位置を取得すると,探索者が被探索者の位置を容易に認識できるように,地図データ上にその位置をポイント表示したり,位置情報提供センタ920から,目標となる建物などからの距離と方角とを記した文面のメールを受信して表示したりしていた。
【0006】
また,GPSによる位置情報提供システム940においても,被探索者にGPS機能を持つ端末を所持させて,被探索者の座標を取得して,たとえば要求元である探索者端末944などへ通知していた。この場合に,探索者端末944も,探索者が容易に認識できるように,地図データ上に位置をポイント表示したりしていた。
【0007】
このように,位置情報提供サービスの利用者は,位置情報提供センタ920に加入して位置情報サービスを受けるか,または,位置情報提供システム910を自ら購入して,PHSキャリアの運用する位置提供装置930から直接座標を取得する等していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平08−223637号公報
【特許文献2】特開平11−289574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし,位置情報提供センタ920は,被探索者の位置として,被探索者端末931の位置の情報を提供するだけであるため,地図データを用いてその位置を表示しなければ,探索者が容易に被探索者の実際の居場所を把握することができないという問題があった。
【0010】
探索者が例えば警察や消防署などの第三者に被探索者の保護を求める場合にも,誰もが口頭で被探索者の位置を認識できるように,地名や住所などの情報も得られることが必要とされていた。
【0011】
また,従来の位置情報提供システムの購入価格は高額であり,またシステムの運営・保守などのシステム維持の負担が大きいため,徘徊者をかかえる家族などの個人が,自宅などにシステムを導入するには経済的または人的労力の負担が大きく,その導入は困難で現実的ではないという問題があった。
【0012】
また,位置情報提供センタ920は,位置情報を提供するのみで徘徊者の保護などのフォローは行っていないため,個人で位置情報提供センタ920に加入して位置情報を取得しても,徘徊者を個人で保護しなければならず家族の負担は大きかった。
【0013】
近年社会の高齢化が進み,高齢者介護が高齢者の家族のみの問題でなく社会で対応することが望まれている。特に高齢者に多い徘徊者の保護サービスに対する社会のニーズは高く,福祉・介護面から徘徊者を抱える家族などへの保護サービスを提供できる地方自治体,警備会社・損保会社などの団体・業者が,介護サービスの一環として,徘徊者の位置情報を提供することが望まれている。しかし,団体・業者などが,それぞれ個別に位置情報提供システムを運営保守して地域住民または顧客に位置情報を提供することは,費用的または労力的負担が大きく,かかるサービスの導入が進んでいないという問題があった。
【0014】
また,団体,業者などが被探索者が所持するための複数のPHS端末を購入し,端末数分まとめて位置情報提供センタに加入し,このPHS端末を利用者に貸与することも考えられる。しかし,位置情報提供サービスを希望する地域住民や顧客の数は,年または月などで変動するため,利用されない端末が生じて,位置情報サービス使用料が無駄になる場合が生じるという問題があった。
【0015】
かかる利用料の無駄をなくすために,利用者からサービスに対する申し込みを受けた都度,新規に位置情報提供センタに加入し,必要がなくなると位置情報提供センタを脱退するという方法も考えられる。しかし,申し込み後のサービス開始までに時間がかかり,すぐに位置情報を提供できないという問題があった。
【0016】
さらに,従来の位置情報提供センタ920は,単に被探索者の位置情報のみを提供するだけであるため,徘徊防止対策や徘徊時の危険防止対策をとることができないという問題もあった。
【0017】
地方自治体・警備会社・損保会社などは,福祉・介護面において家族をフォローすることができる団体・業者であり,位置情報提供サービスと共に,徘徊防止対策や徘徊時の危険防止対策などに役立つサービスを提供することが望まれている。
【0018】
したがって,地方自治体・警備会社・損保会社などが,経済的労力的な負担をできるだけ低く抑えて,介護サービスの一環として徘徊者などの位置情報を提供できるようなシステムの実現が要望されている。
【0019】
本発明は,これらの問題を解決することに鑑みてなされたものであり,自治体・警備会社・損保会社などの団体・業者が位置情報提供サービスを提供する場合に,団体・業者側に運用装置を備えネットワークで位置情報提供センタに接続してユーザ管理ができるようにし,実際は第三者である位置情報提供センタが運営・保守することにより,サービスを容易に安価に提供できることを目的とする。
【0020】
また本発明は,一つのセンタに対し,複数の運用団体に運用装置を置き,位置情報提供サービスを提供することにより,センタの位置情報提供サービスを安価に提供できることを目的とする。
【0021】
また本発明は,利用者が割り当てられた端末にのみ使用料を課金するようにして,さらに安価に位置情報提供サービスを提供できることを目的とする。
【0022】
また本発明は,自動的に被探索者の位置を取得して探索者に通知することにより,人的労力の負担を軽減した位置情報提供サービスを提供することを目的とする。
【0023】
また本発明は,危険地域に接近した場合には,位置情報とともに危険通知などを行うようにして,危険防止対策が行えるような位置情報提供サービスを提供できることを目的とする。
【0024】
また本発明は,被探索者の徘徊のログ情報を蓄積し,これらの情報をもとに統計を作成するようにして,徘徊防止対策が行えるような位置情報提供サービスを提供できることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記課題を解決し目的を達成するため,本発明は以下の手段を備える。
【0026】
本発明に係るシステムは,被探索者が所持する被探索者端末の位置情報を取得して探索者へ通知する位置情報提供装置と,位置情報提供装置を利用するユーザ情報を登録する運用装置とからなる。
【0027】
本発明に係る運用装置は,被探索者端末の識別情報に対応する探索者への位置情報の通知先の入力を受け付ける入力手段と,入力手段により入力された被探索者端末の識別情報に対応する通知先,または該通知先とともに自運用装置の識別情報を位置情報提供装置へ送信し登録するユーザ管理手段とを備える。
【0028】
従来の位置情報提供センタ(位置情報提供装置)と被探索者の探索を望むユーザとの間に運用装置を介在させ,運用装置によってユーザ登録を行うようにすることによって,自治体・警備会社・損保会社などの団体・業者が位置情報提供サービスを提供する場合に,団体・業者側で運用装置を利用し,実際には第三者が運用する位置情報提供装置にネットワークを介して接続してユーザ管理ができ,位置情報提供サービスを安価に提供できるようになる。
【0029】
一般ユーザは,第三者が運用する位置情報提供装置を意識することなく,自治体などの位置情報提供サービスの運用団体にサービスを依頼し,信頼できる運用団体のもとで位置情報提供サービスを気軽に利用できるようになる。すなわち,位置情報提供サービスを受ける探索者や被探索者にとって,運用団体が身近な自治体などであれば,安心して位置情報提供サービスを受けることができる。
【0030】
また,自治体などの運用団体にとっては,ユーザの要求を取りまとめて位置情報提供装置の提供する機能を利用することができ,運用団体側で位置情報提供装置の大掛かりな設備を用意することなく,位置情報提供サービスをユーザに利用させることができるというメリットがある。一方,位置情報提供装置の提供者にとっては,自治体などの運用団体を介した大口ユーザの獲得が可能になり,位置情報提供サービスを運用団体側に供するときの被探索者端末あたりのコストを大幅に削減することが可能になる。
【0031】
また,一つの位置情報提供装置に対し,複数の運用団体におかれた運用装置が接続できるようにすることにより,さらに安価に位置情報提供サービスを提供するためのシステムの実現が可能になる。
【0032】
本発明に係る位置情報提供装置は,運用装置から受信した通知先を被探索者端末の識別情報に対応させて運用装置の識別情報ごとに記憶するユーザ管理情報記憶手段と,被探索者端末の位置を取得する位置取得手段と,前記位置から位置情報を作成する位置情報作成手段と,前記位置情報を前記通知先へ送信する送信手段とを備える。
【0033】
ユーザ管理情報記憶手段では,運用装置から受信した被探索者の識別情報と対応づけた通知先を記憶する。運用装置からは,位置情報の通知に必要な最小限の情報だけを位置情報提供装置に送信してもよい。このため,利用者のプライバシー保護に配慮した位置情報提供サービスを提供できる。
【0034】
位置情報作成手段では,被探索者の位置を取得すると自動的に位置情報を作成して探索者の通知先に送信する。これにより,人的労力負担を軽減した位置情報提供サービスが提供できる。
【0035】
また,位置情報提供装置は,被探索者端末が使用であるか否かを請求期間単位ごとに記憶する端末使用状況記憶手段と,端末使用状況記憶手段の記憶する端末の使用状況を用いて請求書を作成する請求書作成手段とを備える。請求書作成手段では,端末の使用状況をもとに所定の料金表にもとづき使用中の端末にのみ課金し請求書を作成する。これにより,無駄のない料金が課金されるので,より安価に位置情報提供サービスを提供できる。
【0036】
また,位置情報提供装置は,取得した被探索者端末の位置と当該位置の取得日時等を記憶するログ記憶手段と,ログ記憶手段に記憶された位置,位置取得日時を用いて統計情報を作成する統計作成手段とを備える。統計作成手段では,記憶された位置または位置取得日時を用いて徘徊開始時間の傾向や,徘徊経路の傾向などの統計を作成する。これにより,徘徊の防止対策または危険防止対策のための有効な統計を提供することができる。
【0037】
また,位置情報提供装置は,位置取得手段から取得した位置から,住所や地名などのテキスト形式の情報を送信データ,例えばメールを作成し,探索者端末で,地図データのみによらずに被探索者の位置を認識できるようにする。
【0038】
また,位置情報提供装置は,被探索者端末の位置情報を取得できる範囲について,あらかじめ危険地域または緊急救出地域を設定しておく危険地域設定手段と,取得した被探索者端末の位置が前記危険地域内または緊急救出地域内である場合には,被探索者の位置情報とともに,前記危険通知もしくは緊急救出通知を探索者へ通知する危険通知手段とを備える。危険通知手段では,予め設定した危険地域に被探索者が接近した場合には,位置情報とともに危険通知などを行うようにして,危険防止対策がとれるような位置情報提供サービスを提供できる。
【0039】
本発明を実現する各手段の機能または要素は,コンピュータプログラムとして実現することができる。そのコンピュータプログラムをコンパクトディスク,フロッピーディスク(登録商標)等の記録媒体に記録して提供し,または通信インタフェースを介して種々の通信網を利用して送受信することにより提供することにより,コンピュータプログラムをコンピュータのハードディスクや半導体メモリ,記録媒体に格納しておき,本発明を実施する際にインストールすることにより,容易に実現することが可能である。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば,団体・業者が位置情報提供サービスを提供する場合に,団体・業者側に運用装置を備え,ネットワークを介して位置情報提供装置に接続してユーザ管理ができるようにし,実際は第三者である位置情報提供装置を備えた位置情報提供センタが,位置情報提供サービスを運営・保守することにより,当該サービスを容易に安価に提供することができる。
【0041】
また,一つの位置情報提供装置に対し,複数の運用団体に運用装置を置き,位置情報提供サービスを提供することにより,センタの位置情報提供サービスを安価にすることができる。また,利用者の割り当てられた端末にのみ使用料を課金することにより,さらに安価にすることができる。
【0042】
また,徘徊の傾向の統計情報を作成し,または危険地域に接近した場合危険地域通知などを行うことにより,徘徊防止対策または危険防止対策をとることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施の形態におけるシステム構成例を示す図である。
【図2】第1の実施の形態において本発明を実現する各手段の構成例を示す図である。
【図3】ユーザ管理テーブルの例を示す図である。
【図4】端末使用状況テーブルの例を示す図である。
【図5】地域データベースおよび危険地域データベースの例を示す図である。
【図6】位置データベースの例を示す図である。
【図7】空き端末一覧画面の例を示す図である。
【図8】ユーザ登録画面の例を示す図である。
【図9】ユーザ登録処理の処理フローチャートを示す図である。
【図10】ユーザ削除処理の処理フローチャートを示す図である。
【図11】位置通知処理開始指示の表示画面の例を示す図である。
【図12】処理開始指示による位置通知処理の処理フローチャートを示す図である。
【図13】位置取得処理の処理フローチャートを示す図である。
【図14】メールの表示例を示す図である。
【図15】処理開始指示による位置通知処理の処理フローチャート(2)を示す図である。
【図16】所定時間による位置通知処理の処理フローチャートを示す図である。
【図17】所定時間による位置通知処理の処理フローチャート(2)を示す図である。
【図18】請求書作成処理の処理フローチャートを示す図である。
【図19】統計処理フローチャートを示す図である。
【図20】ユーザ登録処理に既存のデータベースを利用する場合の運用装置の構成例を示す図である。
【図21】運用装置側のユーザ管理テーブルの例を示す図である。
【図22】位置情報提供装置側のユーザ管理テーブルの例を示す図である。
【図23】第3の実施の形態における運用管理装置およびユーザ管理テーブルの構成例を示す図である。
【図24】第3の実施の形態における,探索者端末の位置通知処理開始指示の表示画面の例を示す図である。
【図25】第4の実施の形態において本発明を実現する各手段の構成例を示す図である。
【図26】従来技術の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下,本発明の実施の形態を説明する。
【0045】
図1および図2を用いて,本発明の実施の形態における動作概要を説明する。図1は,本発明の実施の形態におけるシステム構成例を示す図である。図2は,本発明の実施の形態における,本発明を実現する各手段の構成例を示す図である。
【0046】
図1に示すように,本発明を実現するシステムは位置情報提供装置1,運用装置2a,2b,…,探索者端末3,被探索者端末4から構成される。位置情報提供装置1は,図2に示すように,送受信手段101,運用装置管理手段102,ユーザ管理テーブル103,端末使用状況テーブル104,危険地域設定手段105,危険地域データベース106,位置取得手段107,位置情報作成手段108,位置データベース109,統計作成手段110,請求書作成手段111を備える。
【0047】
位置情報提供センタに備えられた位置情報提供装置1は,ユーザ管理者である団体などに設けられた一または複数の運用装置2a,2bとネットワーク6で接続されデータの送受信を行う。
【0048】
位置提供装置5は,位置情報提供センタと別の位置提供業者(キャリアなど)に備えられ,PHS通信網により,基地局51,被探索者端末4とデータ通信を行う。また,位置提供装置5は,無線またはその他の通信回線により位置情報提供装置1とデータの送受信を行う。なお,図1では,位置情報提供装置1に位置を提供する手段として位置提供装置5を示しているが,位置情報提供装置1に対して位置を提供する手段であれば,キャリアの有する位置提供装置5に限定されない。
【0049】
探索者端末3は,探索者が携帯可能な端末機であり,ネットワーク6を介して位置情報提供装置1とデータの送受信を行う。
【0050】
被探索者端末4は,被探索者または移動体が携帯可能な端末機であり,PHS通信網により位置提供装置5とデータの送受信を行う。
【0051】
また,別のシステム構成例として,被探索者端末4は,PHSによるデータ送受信機能の代わりにGPS機能を備える。この場合には,位置提供装置5および基地局51は不要である。被探索者端末4は,GPSにより自己の経度緯度データを取得し,無線により位置情報提供装置1とデータ送受信を行うことができる。
【0052】
また,別のシステム構成例として,被探索者端末4を位置情報を算出できる携帯電話網を利用する携帯電話としてもよい。
【0053】
位置情報提供装置1の運用装置管理手段102では,運用装置2から被探索者端末4の端末番号,位置情報の通知先などのユーザ登録データを受信すると,これらの受信したユーザ登録データをユーザ管理テーブル103に記憶し,ユーザ削除の場合には該当するデータを削除して,ユーザ管理テーブル103を管理する。また,運用装置管理手段102は,ユーザ管理テーブル103の端末の使用中または不使用のフラグをもとに,端末使用状況テーブル104の請求期間単位ごとの使用中または未使用のフラグを設定して,端末使用状況テーブル104を管理する。
【0054】
その後,位置情報提供装置1の位置取得手段107では,探索者端末3から位置通知処理開始指示を受信しもしくは所定の時間ごとに,該当する被探索者端末4の位置通知要求を位置提供装置5に送信して,被探索者端末4の位置(座標または基地局IDなど)を取得する。
【0055】
位置情報作成手段108では,地図データベース(図示しない)を参照して,取得した座標や基地局IDの位置する住所や地図部分を検索して送信データを作成する。送信データは,被探索者端末4の位置する住所,地名などのテキストデータ,または被探索者端末4の位置および位置する地図部分のURL(Uniform Resource Locator),または被探索者端末4の位置または位置をポイント表示した地図データなどを内容とするものであり,これらの位置を示す情報をたとえばメール形式で作成して探索者端末3へ送信する。なお,位置取得手段107が位置提供装置5から,位置として被探索者端末4の位置する住所,地名などのテキストデータ,または被探索者端末4の位置および位置する地図部分のURL,または位置をポイント表示した地図データなどを取得した場合には,位置情報作成手段108は,位置取得手段107の取得したデータをそのままその内容とする送信データとして探索者端末3へ送信する。
【0056】
探索者端末3では,送信されたデータ,たとえばメール(位置情報)を受信し,住所を文字テキストまたは地図データ上のポイントなどで表示したり,地図部分のURLを表示したりする。これにより,探索者は,徘徊中の被探索者を探索している最中にその位置を随時知ることができる。
【0057】
また,危険地域設定手段105では,予め地図データベースをもとに危険地域や緊急救出地域を設定して記憶しておき,位置情報作成手段108により,被探索者端末4の座標が危険地域内の場合には,危険通知/緊急救出通知などを付加した位置情報のメールを作成する。これにより,被探索者の状況を判断することができ,きめ細かな保護が行え,また危険防止対策をとることができる。
【0058】
また,統計作成手段110では,位置取得手段107により位置データベース109に記憶された座標および座標取得日時などを参照して種々の統計処理を行うことができる。これにより,個人ごとの徘徊の傾向を知ることができたり,徘徊防止に有効な対策を講ずるための種々の統計データを取得することができる。
【0059】
また,運用装置2a,2bでは,ユーザ登録データとして被探索者端末4の端末番号,位置情報の通知先,たとえばメール・アドレスなどのユーザ登録データの全部または一部を,ネットワーク6を介して位置情報提供装置1に送信する。ユーザ登録データの一部のみを送信することにより,ユーザのプライバシーを保護することができる。なお,送信するユーザ登録データには,割り当てられた端末番号,被探索者端末4の識別情報(PHS番号など)に対応づけられた探索者への位置情報の通知先とが含まれる。また複数の運用装置2の所属がある場合には,これらの送信するユーザ登録データとともに運用装置2の識別情報を送信する。
【0060】
位置情報提供装置1は,複数の運用装置2a,2bからのユーザ登録データを,その運用装置の所属ごとにユーザ管理テーブル103に記憶し,請求期間単位ごとの端末使用状況テーブル104に端末の利用状況を記憶する。
【0061】
請求書作成手段111では,運用装置2の所属する団体・業者ごとの端末使用状況テーブル104を参照して,使用中の被探索者端末4についてのみ課金した利用料金を計算し,運用装置2の所属する団体・企業単位の請求書や,端末のユーザ単位の請求書を作成する。これにより,被探索者端末4の使用状況に応じた料金を請求できる。また,ユーザ単位の端末使用状況テーブル104を参照して,ユーザごとの請求書を作成する。これにより,各団体・業者がユーザ宛に請求書を作成する処理を代行することができる。
【0062】
以下に,本発明の実施の形態をさらに詳しく説明する。
【0063】
図1に示すシステムにおいて,まず,探索者はユーザ管理者が備える運用装置2に所定のユーザ登録データ(被探索者端末の番号,探索者への通知先など)を登録する。運用装置2から位置情報提供装置1へユーザ登録データが送信され,位置情報提供装置1では,このユーザ登録データを記憶し,被探索者端末4の使用状況を記憶する。
【0064】
位置情報提供装置1は,探索者からの指示または所定時間ごとに,位置提供装置5に位置通知処理開始指示を送信する。位置提供装置5では,基地局51を介して被探索者端末4へ位置通知要求を放送する。被探索者端末4は位置通知要求へ応答すると,基地局51は自己の基地局IDを付けて応答を位置提供装置5へ送信する。位置提供装置5は,受信した応答の基地局IDを座標に変換して,位置情報提供装置1に送信する。位置情報提供装置1は,受信した座標に位置する住所を検索して,その住所を探索者の通知先である探索者端末3へメール送信し,位置取得時刻および座標をログとして記憶する。なお,位置提供装置5が基地局IDを位置情報提供装置1に送信し,位置情報提供装置1が基地局IDを座標に変換してもよい。
【0065】
探索者は,探索者端末3で位置情報提供装置1からの当該メールを受信し,被探索者端末4の位置を住所表示により知ることができる。
【0066】
その後,位置情報提供装置1は,位置ログから統計処理により種々の統計情報を作成し,また,ユーザ登録データおよび端末の使用状況データから運用装置2を備える所属先ごとまたはユーザごとに請求書を作成する。
【0067】
〔第1の実施の形態〕
図2に示す,本発明の第1の実施の形態における本発明を実現する各手段を説明する。
【0068】
送受信手段101は,運用装置2または探索者端末3とインターネット,専用回線などのネットワーク6を介してデータの送受信を行う。
【0069】
運用装置管理手段102は,運用装置2の送受信手段23,ネットワーク6,送受信手段101を介して取得したユーザに関する情報をユーザ管理テーブル103,端末使用状況テーブル104を用いて管理する。
【0070】
図3に,ユーザ管理テーブルの例を示す。ユーザ管理テーブル103には,たとえば,各団体・業者の運用装置2ごとに,被探索者端末4の端末番号に対応して,使用中フラグ,ユーザ(利用者)の氏名,ユーザの住所,被探索者端末4の位置情報の通知先,応答要求の送信先である被探索者端末4のPHS番号などのユーザ登録データが記憶されている。
【0071】
ここで,使用中フラグとは被探索者端末4にユーザが割り当てられて使用中の状態であるかどうかを示し,使用中の場合は1,使用中でない場合には0が書き込まれる。通知先として,探索者のメール・アドレスの例を示したが,電話番号,FAX番号,またはWeb上のその個人しか参照できないページの格納されたURLなど,ユーザである探索者に対して位置情報を通知できる手段の宛先であれば何でもよい。
【0072】
また,図3に示す例のように,ユーザ以外のものが被探索者の位置を取得できないように,位置取得要求に際して使用するパスワードを記憶してもよく,これにより,探索者や被探索者のプライバシーの保護を図ることができる。
【0073】
図3のユーザ管理テーブル103の例では,端末番号1の被探索者端末4はユーザ「○山○子」が使用中であり,応答要求の通知先のPHS番号「070−xxxx−xxxx」の被探索者端末4から取得した地名・地番などで示す位置情報を探索者側で受信可能なメール・アドレス「xxx@yy.yy.ne.jp」宛にメール送信する。また,端末番号2は,現在は未使用中であることを示す。
【0074】
図4に,端末使用状況テーブルの例を示す。端末使用状況テーブル104は,請求先ごとに請求期間単位ごとの端末使用状況を管理するためのテーブルである。例えば,運用装置2の所属する団体・業者ごとにテーブルを作成し,または端末のユーザごとにテーブルを作成する。図4に示す例は,運用装置2の所属ごとに月単位で請求する場合の被探索者端末4の使用状況をフラグにより示す場合のテーブル例である。テーブル中の「1」は使用中を示すフラグ,「0」は未使用を示すフラグである。
【0075】
運用装置管理手段102では,ユーザ登録があった場合には,端末使用状況テーブル104の対応する端末番号の該当月フラグを使用中に設定し,ユーザ削除があった場合には,対応する端末番号の該当月の次月のフラグを未使用に設定する。また,請求期間単位の期末ごと(例えば,月末ごと)に,ユーザ登録または削除の変動がない端末番号については,次請求期間のフラグを,その請求期間のフラグとする。
【0076】
また,後述する請求書作成手段111では,この端末使用状況テーブル104を用いて各団体や企業,もしくは端末ユーザへの請求書を作成する。
【0077】
危険地域設定手段105は,地図データベースをもとに,位置情報提供サービス対象の地域において,徘徊中に危険が発生する確率の高い地域,河川や湖沼など緊急に救出が必要な地域などを設定して,あらかじめ危険地域データベース106に記憶する。地域の設定は,地図データベースを参照した管理者の設定入力により行うか,地図データベースの地形情報をもとに自動的に設定する。
【0078】
図5(A)に地図データベースの例を示し,図5(B)に危険地域データベース106の例を示す。図5(B)の危険地域データベース106に記憶されている地図中,斜線のハッチングで示す部分は危険地域,縦線のハッチングで示す部分は緊急救出地域を示す。探索者端末3に対し,被探索者端末4の位置が危険地域内であれば,位置情報に危険通知が付加され,被探索者端末4の位置が緊急救出地域内であれば,緊急救出通知が付加される。
【0079】
位置取得手段107は,探索者からの位置通知処理開始指示により,または所定の時間ごとに,被探索者端末4の座標を位置提供装置5から取得する。また,位置取得手段107は,基地局51を通じて被探索者端末4と直接に通信し,被探索者端末4からの応答を受信した基地局51が基地局IDを付加した当該応答を受信し,当該基地局IDの示す基地局51の座標を取得する。また,位置提供装置5が基地局IDのみを通知する場合には,位置取得手段107は,基地局IDと座標との対応表を備え,基地局IDを座標に変換する。
【0080】
位置情報作成手段108は,位置取得手段107が取得した位置から,ユーザが認識できるように住所表示や地図上の点表示などに変換などして,位置を通知するための送付データ(位置情報)を作成し,送受信手段101,ネットワーク6を介して,探索者端末3に送信する。
【0081】
ここで,ユーザが認識できる情報とは,たとえば,被探索者端末4の位置を「○○町○丁目○○番地」のような住所で表示するための情報,または「△△交差点の付近」など,目印となる建物・場所からある方角へ何メートルなどのメッセージで表示するための情報,または被探索者端末4の位置を地図データ上にポイント,カーソルなどで表示するための情報である。これらの表示のための情報に限らず,利用者に被探索者端末4の位置が認識できるような表示のための情報であればよい。探索者端末3が地図データベースの記憶手段と表示手段を有する場合には,位置取得手段107が取得した位置をそのままメール送信してもよい。位置情報とは,それらの位置を通知する情報を含んだ送付データである。
【0082】
また,位置情報作成手段108は,位置取得手段107が取得した座標を取得日時とともに位置データベース109に記録する。
【0083】
また,位置情報作成手段108は,危険地域データベース106を参照して,取得した被探索者端末4の座標が,たとえば図5に示すような危険地域または緊急救出地域内にある場合には,危険通知または緊急救出通知を作成して被探索者端末4の位置情報に付加する。
【0084】
危険通知とは,「危険地域『A橋』に接近中」などの危険地域に接近中であるか,危険地域内にいる状態であることを知らせる通知文である。位置情報を地図データ上に表示する場合には,地図に危険地域のマークをつけて通知するものであってもよい。
【0085】
位置データベース109は,位置取得手段107が取得した被探索者端末4の座標,座標取得時刻などを記憶する。図6に位置データベース109の例を示す。この例では,各被探索者端末4の端末番号ごとに月日,座標取得時刻,座標などのデータを時系列的にセッション(位置通知を開始して終了するまで)ごとに記憶している。
【0086】
統計作成手段110は,位置データベース109を参照して,被探索者端末4の徘徊経路や時刻などを統計処理して出力する。たとえば,徘徊開始の時刻を集計して徘徊の平均開始時刻を求めたり,時間経過にともなう座標の移動から徘徊経路を集計して,徘徊経路の傾向を求めたりする。
【0087】
請求書作成手段111は,図4に示すような請求期間単位ごとの端末使用状況テーブル104を参照して,端末の利用料金を算出し,運用装置2を設置する団体や業者に対する請求書を作成する。
【0088】
運用装置2a,2bは,位置情報提供装置1と別の場所または組織に設置され,位置情報提供装置1とネットワーク6で接続されており,それぞれ入出力手段21a,21b,ユーザ管理手段22a,22b,送受信手段23a,23bを備える。
【0089】
入出力手段21a,22bは,運用装置2へのデータの入出力を行う。ユーザ管理手段22a,22bは,位置情報提供サービスのユーザ(利用者)を管理する。送受信手段23a,23bは,ネットワーク6に対してデータの送受信を行う。
【0090】
探索者端末3は,探索要求手段31,位置情報表示手段32を備える。探索要求手段31は位置情報提供装置1に対して位置通知処理開始指示を送信する。位置情報表示手段32は位置情報提供装置1からの受信メールを表示する。
【0091】
被探索者端末4は,位置を探索される人や移動体に携帯させまたは取り付けて用いるものであり,PHSによる無線データ通信機能を備えた携帯用端末機である。被探索者端末4は,基地局51を介して他の端末機などとの間でデータを送受信する。
【0092】
基地局51は,被探索者端末4との間でデータ送受信を行い,または複数のPHS端末間の無線通信を中継する。たとえば,基地局51は,位置取得手段107から被探索者端末4への位置通知要求を中継し,または,被探索者端末4からの応答を受信すると,他の基地局IDが付与されていなければ,その応答に自基地局IDを付加して,位置提供装置5に送信する。なお,他の基地局IDが付与されている場合には,その応答をそのまま中継する。
【0093】
次に,本システムの処理を説明する。
【0094】
(1)ユーザ登録処理
ユーザ登録データの入力処理は運用装置2において行う。運用装置2において,ユーザ登録処理要求をネットワーク6を介して位置情報提供装置1に通知すると,位置情報提供装置1の運用装置管理手段102は,ユーザ管理テーブル103を参照して,不使用の端末を取得して空き端末一覧画面を作成して運用装置2に送信する。
【0095】
図7に空き端末一覧画面の例を示す。画面には,運用装置2を設置して位置情報提供サービスを行う団体が所持し位置情報提供装置1に登録している被探索者端末4のうち,その時点で利用者が割り当てられていない端末番号の一覧が表示される。
【0096】
ユーザを割り当てて使用する端末番号がクリックなどで選択されると,その端末番号に対応するユーザ登録画面が表示される。図8にユーザ登録画面の例を示す。
【0097】
図8は,端末番号=2をクリックした場合に表示されるユーザ登録画面の例である。ユーザ登録画面には,その端末番号につけられたPHS番号が表示され,使用申込者の氏名,住所,電話番号,位置情報の通知先,被探索者氏名,生年月日,保険証番号,備考などのユーザ情報を登録するフィールドが設けられている。これらのフィールドにデータが入力された後,右下にある登録ボタンがクリックなどにより選択されることにより,ユーザ登録データが位置情報提供装置1へ送信される。
【0098】
位置情報提供装置1の運用装置管理手段102は,受信したユーザ登録データをユーザ管理テーブル103に登録し,端末使用状況テーブル104の該当する端末番号を使用中(使用状況フラグ=1)にする。
【0099】
なお,予め位置情報提供装置1に被探索者端末4を登録しないような運用の場合には,新規に被探索者端末4を登録する画面を使用する。新規登録画面には,割り当てられた端末番号のユーザ登録画面が表示されて,被探索者端末4として使用する被探索者端末4のPHS番号を入力するフィールドを設けておく。
【0100】
図9に,ユーザ登録処理の処理フローチャートを示す。処理フローチャート中,(A)に示す処理ステップS1,S2,S6〜S11は運用装置2における処理を示し,(B)に示す処理ステップS3〜S5,S8,S12〜S14は位置情報提供装置1における処理を示す。
【0101】
まず,ステップS1では,運用装置2において,運用装置2の出力画面に表示されたメインメニューにおいてマウスなどの入力手段により入力されたユーザ登録処理の選択をユーザ管理手段22が受け付ける。
【0102】
ステップS2では,位置情報提供装置1にユーザ登録処理指示を送信する。ステップS3では,位置情報提供装置1がユーザ登録処理指示を受信する。ステップS4では,ユーザ管理テーブル103を検索して空き端末を抽出する。ステップS5では,空き端末一覧画面を作成し運用装置2に送信する。
【0103】
ステップS6では,運用装置2において,空き端末一覧画面を受信する。ステップS7では,空き端末一覧画面を表示して端末番号の選択入力を受け付け,位置情報提供装置1へ送信する。
【0104】
ステップS8では,位置情報提供装置1において,端末選択入力を受信し,選択された端末番号に対応するユーザ登録画面を作成して運用装置2に送信する。
【0105】
ステップS9では,選択された端末番号に対応するユーザ登録画面を受信し表示して,ユーザ登録データ(氏名,住所,通知アドレスなど)のフィールドへのデータ入力を受け付ける。ステップS10では,登録が選択されたかどうか判定する。ステップS11では,登録が選択されていれば,ユーザ登録データを位置情報提供装置1へ送信する。
【0106】
ステップS12では,位置情報提供装置1において,運用装置2からのユーザ登録データを受信する。ステップS13では,受信したデータをユーザ管理テーブル103に登録する。ステップS14では,端末使用状況テーブル104の該当する端末番号の使用状況フラグを使用中にする。
【0107】
図10に,ユーザ削除処理の処理フローチャートを示す。図10中,(A)に示す処理ステップS20,S21,S24〜S27は運用装置2における処理を示し,(B)に示す処理ステップS22,S23,S28〜S30は位置情報提供装置1における処理を示す。
【0108】
図10において,ステップS20では,運用装置2の出力画面に表示されたメインメニューにおいてマウスなどの入力手段により入力されたユーザ削除処理の選択をユーザ管理手段22が受け付ける。ステップS21では,運用装置2のユーザ管理手段22が位置情報提供装置1にユーザ削除処理指示を送信する。
【0109】
ステップS22では,位置情報提供装置1がユーザ削除処理指示を受信する。ステップS23では,運用装置2へユーザ削除画面を送信する。
【0110】
ステップS24では,位置情報提供装置1より送られたユーザ削除画面を運用装置2の送受信手段23が受信する。ステップS25では,ユーザ削除画面を表示して,削除する端末番号の指示入力を受け付ける。ステップS26では,確認が選択されたかどうか判定する。ステップS27では,確認が選択されていれば,指示入力された端末番号をユーザ削除対象として位置情報提供装置1へ送信する。
【0111】
ステップS28では,運用装置2から送られてきたユーザ削除処理指示と端末番号を受信する。
【0112】
ステップS29では,ユーザ管理テーブル103の該当する端末番号に対応する使用中フラグを不使用にし,そのユーザ登録データを削除する。
【0113】
ステップS30では,請求期間単位ごとの端末使用状況テーブル104の該当する端末番号の次請求単位期間の使用状況フラグの「使用中」を「未使用中」にする。
【0114】
これらの運用装置2からのユーザ登録処理は,運用装置2の所属する団体・業者の権限のある者しかユーザ登録処理ができないように,最初にパスワードを入力させて認証を行い,その後に登録処理を行うなどする。
【0115】
以上のユーザ登録処理は,運用装置2上に常駐するブラウザ(インターネット閲覧プログラム)により,位置情報提供装置1の部分を実現するWWW(World Wide Web)サーバからページを読み出すような形式で実現してもよい。
【0116】
(2)位置通知処理
位置通知処理は,探索者からの位置通知処理開始指示を受け付けて行う場合(指示による位置通知処理)と,所定の時間ごとに位置情報提供装置1において自動的に行う場合(所定時間ごとの位置通知処理)とがある。
【0117】
(1)指示による位置通知処理
図11に,指示による位置通知処理において,探索者端末3がインターネットに接続可能な携帯電話である場合の表示画面の例を示す。
【0118】
探索者端末3では,インターネットに接続し,(A)に示すメニュー一覧画面を表示する。探索者がブックマークで「位置情報サービス」を選択し,その選択入力を受け付けると,「位置情報サービス」に対して設定されていたURLにより,(B)に示す位置情報サービスのトップ画面が表示される。この画面で,探索者が,探索者ID,パスワードを入力すると,探索者ID,パスワードの入力を受け付け,ネットワーク6を介して位置情報提供装置1へ送信する。
【0119】
運用装置管理手段102では,ユーザ管理テーブル103を参照して認証を行う。運用装置管理手段102により探索者ID,パスワードが認証されると,(C)に示す画面が表示される。認証されない場合には,(C)以降の画面は表示されない。
【0120】
(C)に示す画面で,探索者がPHS探索を選択すると,その選択入力を受け付け,(D)に示す画面が表示され,ログオンした探索者が登録した被探索者端末4のPHS番号が表示される。登録した被探索者端末4が複数の場合には,複数のPHS番号が表示される。探索者が,1台のPHS番号を選択後「探索」を選択すると,その選択入力を受け付けて,(E)に示す画面が表示される。位置通知処理開始指示の入力が完了したことを示す画面であり,位置情報提供装置1において位置通知処理が開始される。(E)に示す画面で終了を選択してインターネットを終了する。その後,位置情報提供装置1から,被探索者端末4の位置情報メールが,探索者端末3へ送信されることになる。
【0121】
図12に,処理開始指示による位置通知処理の処理フローチャートを示す。ステップS40では,位置情報提供装置1において,探索者端末3により入力された位置通知処理開始指示を受信する。
【0122】
ステップS41では,位置取得手段107により,被探索者端末4の位置取得処理を行う。図13に位置取得処理の処理フローチャートを示す。図13において,ステップS410では,位置通知処理開始指示を受けた位置取得手段107により,位置通知要求を位置提供装置5へ送信する。ステップS411では,被探索者端末4へ向け位置通知要求を放送する。ステップS412では,被探索者端末4が位置通知要求に応答する。ステップS413では,被探索者端末4からの応答を受け付けた基地局51が,自基地局IDを付加した当該応答を送信する。ステップS414では,位置提供装置5が,基地局ID付きの応答を受信する。ステップS415では,位置提供装置5が,基地局IDからその基地局51の座標を検索する。ステップS416では,位置提供装置5が,位置取得手段107に座標を送信する。ステップS417では,位置取得手段107が,座標を受信する。
【0123】
図12のステップS42では,位置取得手段107により,地図データベースを参照してステップS417で取得した座標の位置する住所を検索する。ステップS43では,被探索者端末4の位置する住所などを内容とするメール(位置情報)を作成する。ステップS44では,通知先である探索者端末3へ作成したメールを送信する。図14に,探索者端末3で受信したメールの表示例を示す。位置情報表示手段32は,(A)に示すように,被探索者端末4の位置を「△△町○番地付近」などのように住所で表示する。または(B)に示すように,地図データ上で丸印などで示すとともに住所やランドマークを表示する。ステップS45では,被探索者端末4の座標とその取得時刻を位置データベース109に記録する。
【0124】
図15に,処理開始指示による位置通知処理の処理フローチャート(2)を示す。図15に示す処理は,危険通知を付加した位置情報メールにより位置通知を行う場合の例である。ステップS50〜S52の処理は,図12に示すステップS40〜S42の処理と同様であるため,説明を省略する。
【0125】
ステップS53では,危険地域データベース106を参照して,ステップS51の処理で取得した座標が危険地域または緊急救出地域内であるかどうかを判定する。危険地域または緊急救出地域内の場合には,ステップS54の処理を行い,そうでない場合にはステップS55の処理を行う。
【0126】
ステップS54では,危険/緊急救出通知を付加して被探索者の位置情報メールを作成する。ステップS55では,図12に示すステップS43と同様に,被探索者の位置情報メールを作成する。ステップS56では,図12に示すステップS44と同様に,探索者端末3へ作成したメールを送信する。ステップS57では,位置データベース109に,被探索者端末4の座標とその取得日時,危険通知があった場合にはその旨を記録する。なお,危険/緊急通知をあらかじめ警察,消防署などに通知するように登録してもよい。
【0127】
(2)所定時間ごとの位置通知処理
所定時間ごとの位置通知処理の場合には,位置取得手段107は,位置情報提供装置1に備えられるタイマ(図2に図示しない)により,所定の時間ごとに自動的に位置提供装置5に対し位置通知要求を送信し,被探索者端末4の位置を取得して,探索者端末3に位置情報をメール送信する。
【0128】
この処理の場合には,あらかじめユーザ登録処理時に,たとえば被探索者の自宅付近や長時間滞在する場所付近などの位置通知不要地域について位置通知不要地域データベース(図2に図示しない)を設定しておく。
【0129】
図16に,所定時間による位置通知処理の処理フローチャートを示す。
【0130】
ステップS60では,処理を終了するかどうか判定する。終了しなければ,ステップS61の処理へ進む。ステップS61では,所定時間ごとに被探索者端末の位置取得処理を行う。位置取得処理は,図13に示す処理と同様である。
【0131】
ステップS62では,取得した座標が,位置通知不要地域内であるかどうかを判定する。位置通知不要地域内であれば,ステップS60の処理へ戻り,位置通知不要地域内でなければ,ステップS63の処理へ進む。ステップS63〜S65の処理は,図12に示すステップS42〜S44の処理と同様であるので説明を省略する。ステップS66では,被探索者端末4の座標,その取得時刻を位置データベース109に記録して,ステップS60の終了判定処理へ戻る。
【0132】
なお,たとえば所定時間の間隔が長いなど位置通知不要地域を設定していない場合にはステップS62の処理は行わない。
【0133】
図17に,所定時間ごとの位置通知処理の処理フローチャート(2)を示す。図17に示す処理は,危険通知を付加した位置情報メールにより位置通知を行う場合の例である。
【0134】
ステップS70〜ステップS72の処理は,図16に示すステップS60〜S62の処理と同様であり,ステップS73〜S77の処理は,図15に示すステップS52〜S56の処理と同様であるので,説明を省略する。ステップS78では,被探索者の座標とその取得時刻と危険通知を行った場合にはその旨とを位置データベース109に記録して,ステップS70の終了判定処理へ戻る。
【0135】
(3)請求書作成処理
請求書作成手段111では,運用装置2を設置する所属,例えば団体・企業ごとに,またはグループごとに,または端末のユーザごとに,請求期間単位ごとの端末使用状況テーブル104を参照して請求書を作成する。
【0136】
図18に,請求書作成処理の処理フローチャートを示す。
【0137】
ステップS80では,請求期間単位ごとの端末使用状況テーブル104を開く。ステップS81では,当該請求期間の「使用状況フラグ」が使用中(1)である端末の総数を計算する。ステップS82では,「1台当たりの使用料金×使用端末総数」により,使用料金を計算する。ステップS83では,計算した使用料金をもとに請求書を作成する。
【0138】
(4)統計処理
統計作成手段110は,位置データベース109の被探索者端末4の座標,取得時刻をもとに種々の統計処理により統計情報を作成する。図19に,統計処理の処理フローチャートを示す。
【0139】
ステップS90では,統計作成手段110により,位置データベース109を開く。ステップS91では,位置通知処理のセッションごとに,最初の座標取得時刻を収集し,当該最初の時刻を徘徊に出かける時刻とし,時刻ごとの回数を計算して,徘徊に出かける時刻の回数の多いものを割り出す。ステップS92では,位置通知処理のセッションごとの経路(時系列的な座標の連続)を作成し,頻繁に通る経路などを割り出す。
【0140】
ステップS93では,ステップS91で求めた時刻統計データや,ステップS92で求めた経路統計データをもとに,利用者に見やすい表示または送付するためのデータ形式の統計情報を作成する。
【0141】
〔第2の実施の形態〕
第1の実施の形態においては,運用装置2は,ユーザ登録処理の際に,入力を受け付けたユーザ登録データのすべてを位置情報提供装置1に送信し,位置情報提供装置1では,これらの受信データをユーザ管理テーブル103に記憶するようにしている。
【0142】
第2の実施の形態は,第1の実施の形態の一部を変更したものであり,第2の実施の形態において,運用装置2は入力を受け付けたユーザ登録データの一部のみを位置情報提供装置1に送信する。または,運用装置2は,ユーザ登録処理の際に,住民票データベースや戸籍データベースなどの既存の住民情報データベースに記憶されているデータを利用してユーザ登録処理を行う。
【0143】
図20に,ユーザ登録処理に既存のデータベースを利用する場合のユーザ管理者側の運用装置の構成例を示す。地方自治体などが運用装置2を設置して位置情報提供サービスを行う場合には,ユーザ管理者である地方自治体は,通常,すでに住民情報データベースシステム7を運用しているので,住民情報管理サーバ71を介して住民票データベース72,戸籍データベース73に記憶されたデータを利用する。この場合には,運用装置2にユーザ管理テーブル24を備え,ユーザ管理手段22は,ユーザ管理テーブル24のデータの一部をユーザ登録データとして送信する。
【0144】
図21に運用装置側のユーザ管理テーブル24の例を示し,図22に,運用装置2からその一部のみであるユーザ登録データを受信したときの位置情報提供装置1側のユーザ管理テーブル103の例を示す。
【0145】
図21の運用装置2側のユーザ管理テーブル24は,端末番号ごとに,使用中フラグ,通知先,ユーザ(探索者)または被探索者の氏名,住所を記憶するが,ユーザ,被探索者の住所を直接データとして記憶するのではなく,住民票データベース72での当該ユーザ住所の格納アドレスを記憶する。たとえば,住民票データベース72のアドレスa1にユーザ「○山○子」の住所が格納されているので,必要な場合には,住民情報管理サーバ71を介して住所を取得することができる。なお,図21に示す例に限らず,住民登録台帳番号などのようにユーザおよび被探索者を識別できる情報,被探索者端末4の識別情報(PHS番号)をユーザ管理テーブルに記憶するようにしてもよい。
【0146】
以上のようにユーザ登録処理に既存のデータベースを利用することにより,被探索者の位置を探索者が知る保護上の理由(例えば,肉親である,同居者であるなど)をチェックすることが可能となる。
【0147】
図22に示す位置情報提供装置1側のユーザ管理テーブル103では,端末番号ごとに,使用中フラグ,ユーザ氏名,通知先,被探索者端末4の識別情報(PHS番号),パスワードを記憶する。
【0148】
このように,運用装置2側から位置情報提供装置1側へ最小限のデータのみを送信することにより,探索者,被探索者のプライバシーの保護を図ることができる。
【0149】
〔第3の実施の形態〕
第3の実施の形態は,第1の実施の形態の一部を変更したものであり,第3の実施の形態においては,位置情報提供サービスを利用する団体などが,複数の運用装置2を有する場合に,グループIDを用いてユーザ管理を行うようにする。
【0150】
図23に,第3の実施の形態における運用装置管理手段102およびユーザ管理テーブル103の構成例を示す。位置情報提供装置1において,運用装置管理手段102のグループ管理手段1020により,ユーザ管理テーブル103にグループ管理テーブル1030を記憶し管理する。
【0151】
グループ管理テーブル1030は,位置情報提供装置1とネットワーク6を介して接続している複数の運用装置2の所属するグループ(団体・企業など)ごとに割り振られたグループIDとグループ名との対応表である。さらにグループごとに,そのグループのユーザを管理するユーザ管理テーブル1031,1032,1033…を記憶し,各テーブルへはリンクが張られている。これにより,グループごとにユーザ管理ができる。
【0152】
また,図23中に図示していないが,グループ管理手段1020は,ユーザ管理テーブルにおいて,管理する各ユーザがどのグループに属しているかの情報を参照できるようにしている。また,グループごとのユーザ登録処理,請求書作成処理なども,グループごとにグループ管理テーブル1030を用いて行う。ユーザ登録の際には,まずグループの識別情報(グループIDなど)とパスワードを入力させるようにし,その後ユーザ登録処理を行うようにする。
【0153】
図24に,第3の実施の形態における,探索者端末の位置通知処理開始指示の表示画面の例を示す。第1の実施の形態における処理の場合の表示画面の例とほぼ同様であるが,図24(B),(C)に示すように,グループ管理がされている場合に,(A)に示す画面で「位置情報サービス」に設定されたURLが位置情報サービスのグループIDを指定していた場合(http//:address?groupID)には,(B)に示す画面が表示される。また,URLにグループIDを指定していない場合(http//:address)には,(C)に示す画面が表示される。
【0154】
(B)に示す画面では,位置情報サービスのトップ画面が表示される。探索者が探索者IDとパスワードを入力し,ログオンを選択すると,位置情報提供装置1に探索者ID,パスワードが送信されて,運用装置管理手段102では,認証処理を行う。
【0155】
(C)に示す画面では,位置情報サービスのトップ画面で,グループID,探索者ID,パスワードの入力が表示され,探索者がグループID,探索者ID,パスワードを入力し,ログオンを選択すると,位置情報提供装置1にグループID,探索者ID,パスワードが送信されて,運用装置管理手段102で認証処理を行う。認証されると,(D)以降の画面が表示され,図11(C)〜(E)に示す場合と同様に位置通知処理開始指示が完了する。
【0156】
〔第4の実施の形態〕
以上の第1ないし第3の実施の形態では,被探索者端末の位置を取得する際に,PHSの位置通知機能を利用した。第4の実施の形態においては,被探索者の端末の位置取得に,GPSを利用する。
【0157】
図25に,第4の実施の形態における本発明を実現する各手段の構成例を示す。被探索者端末7は,図2に示す被探索者端末4の代わりに,探索される者や移動体に取り付けられるものであり,GPS機能を備える端末機である。
【0158】
被探索者端末7は,携帯電話網,無線通信網などにより位置情報提供装置1とデータの送受信を行う。
【0159】
位置取得手段107は,位置通知要求を被探索者端末7へ直接送信する。被探索者端末7では,一般的なGPSの位置探索処理により自端末の座標を取得して位置取得手段107へ送信する。
【0160】
ユーザ登録処理,位置取得処理以外の位置通知処理,請求書作成処理,および統計処理については,第1の実施の形態において説明した処理とほぼ同様であるので説明を省略する。なお,図11(C)に示す,位置通知処理開始指示の表示画面では,本例の場合には,「1.PHS探索」の代わりに「1.GPS探索」を表示する。
【0161】
以上,本発明をその実施の態様により説明したが,本発明はその主旨の範囲において種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0162】
1 位置情報提供装置
101 送受信手段
102 運用装置管理手段
103 ユーザ管理テーブル
104 端末使用状況テーブル
105 危険地域設定手段
106 危険地域データベース
107 位置取得手段
108 位置情報作成手段
109 位置データベース
110 統計作成手段
111 請求書作成手段
2 運用装置
21 入出力手段
22 ユーザ管理手段
23 送受信手段
3 探索者端末
31 探索要求手段
32 位置情報表示手段
4 被探索者端末
5 位置提供装置
51 基地局
6 ネットワーク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被探索者が所持する被探索者端末の位置を取得する位置情報提供装置において,
被探索者端末の位置を取得する位置取得手段と,
あらかじめ設定された危険地域または緊急救出地域を記憶する危険地域データ記憶手段と,
前記位置取得手段によって取得した被探索者端末の位置が,前記危険地域または前記緊急救出地域のいずれかの地域内にあるかどうかを判断し,前記危険地域または緊急救出地域内である場合には,危険地域通知または緊急救出地域通知を,あらかじめ登録された通知先へ通知する危険通知手段とを備える
ことを特徴とする位置情報提供装置。
【請求項2】
被探索者が所持する被探索者端末の位置を取得する処理を,データ記憶手段を備えるコンピュータに実行させるためのプログラムであって,
被探索者端末の位置を取得する位置取得処理と,
あらかじめ設定された危険地域または緊急救出地域を記憶する危険地域データ記憶手段を参照して,前記位置取得処理において取得した被探索者端末の位置が,前記危険地域または前記緊急救出地域のいずれかの地域内にあるかどうかを判断し,前記危険地域または緊急救出地域内である場合には,危険地域通知または緊急救出地域通知を,あらかじめ登録された通知先へ通知する危険通知処理とを,
前記コンピュータに実行させるための位置情報提供装置用プログラム。
【請求項1】
被探索者が所持する被探索者端末の位置を取得する位置情報提供装置において,
被探索者端末の位置を取得する位置取得手段と,
あらかじめ設定された危険地域または緊急救出地域を記憶する危険地域データ記憶手段と,
前記位置取得手段によって取得した被探索者端末の位置が,前記危険地域または前記緊急救出地域のいずれかの地域内にあるかどうかを判断し,前記危険地域または緊急救出地域内である場合には,危険地域通知または緊急救出地域通知を,あらかじめ登録された通知先へ通知する危険通知手段とを備える
ことを特徴とする位置情報提供装置。
【請求項2】
被探索者が所持する被探索者端末の位置を取得する処理を,データ記憶手段を備えるコンピュータに実行させるためのプログラムであって,
被探索者端末の位置を取得する位置取得処理と,
あらかじめ設定された危険地域または緊急救出地域を記憶する危険地域データ記憶手段を参照して,前記位置取得処理において取得した被探索者端末の位置が,前記危険地域または前記緊急救出地域のいずれかの地域内にあるかどうかを判断し,前記危険地域または緊急救出地域内である場合には,危険地域通知または緊急救出地域通知を,あらかじめ登録された通知先へ通知する危険通知処理とを,
前記コンピュータに実行させるための位置情報提供装置用プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2010−244554(P2010−244554A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−95699(P2010−95699)
【出願日】平成22年4月19日(2010.4.19)
【分割の表示】特願2001−80040(P2001−80040)の分割
【原出願日】平成13年3月21日(2001.3.21)
【出願人】(591128763)株式会社富士通ソーシアルサイエンスラボラトリ (57)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月19日(2010.4.19)
【分割の表示】特願2001−80040(P2001−80040)の分割
【原出願日】平成13年3月21日(2001.3.21)
【出願人】(591128763)株式会社富士通ソーシアルサイエンスラボラトリ (57)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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