説明

保持具

【課題】部品を保持する部品保持部が変形しても、被固定部材に取付けるための取付部が、この変形に伴って変形することを防止すると共に、被固定部材に対する取付け作業、取外し作業を簡単に行える保持具を提供する。
【解決手段】ベース11と、ベース11の略中央部に形成された貫通孔31に挿入された部品を保持する部品保持部12と、ベース11の部品挿入方向と略平行な両端部に互いに対向して形成され、シャーシ100の正面100A及び背面100Bの少なくとも一方を押圧する押圧部13及び14を備え、部品保持部12は、ベース11から互いに対向して立設され、貫通孔31の一部を画定する一対の側壁32及び33と、側壁32の先端から延出して側壁33の先端側に着脱可能に係合し、部品保持部12を開閉する開閉部34を有し、押圧部13及び14は、側壁32及び33と間隔をおいて各々配設される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDや配線等の電気部品、あるいはその他の部品を保持し、各種電子・電気機器、各種機械等に配設されているシャーシやパネル等の被固定部材に固定する保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、様々な機器類、特に電気・電子機器類の内部には、様々な部品や電線等の長尺な部品が多数配されている。これらの長尺な部品は、電気機器類の通常動作の際に、他の部品に当たり擦れて傷ついたり、外れたりすることを防止する必要がある。そこで、これらの長尺な部品体を整理して束ね、電気機器類の筐体の内壁や基板等の対象物に留め付けるための保持具が各種紹介されている。
【0003】
このような保持具として、例えば、枠体と、当該枠体の両面側に設けられた第1の係止部と、前記枠体の下面にその周辺から鍔状にはみ出した状態で設けられた第2の係止部を備え、シャーシに形成された貫通溝に配設されて当該シャーシに嵌着されるものがある。この保持具は、前記第1の係止部に、前記貫通溝を画定する側壁に接触する部分に、シャーシの板厚方向に沿う複数の段部が形成された構成を備えている。(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、板状の本体と、この本体に設けられた枠体と、シャーシに形成された貫通溝の輪郭とほぼ同一の切欠き部と、この切欠き部の内壁に、前記本体に対しほぼ垂直に突出するように設けた枠体と、この枠体に外側に向けて設けられたフランジと、前記枠体の一部の外側に設けた抜止め突起と、前記切欠き部の開口部に両側から内向きに設けた一対の開閉片と、前記本体に設けられ、前記フランジ側への押圧作用を有する押圧手段を備えた電線保護具も提案されている。(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
そしてまた、略U字形に形成してなる保護枠の左右の外側面にその長さ方向に沿って挟持部を形成し、取り付ける機器の板材の端に予め形成する切り欠き口に対し開口側より嵌め付けて前記挟持部に切り欠き口の縁部を受け入れ前記保護枠に止着してなり、前記保護枠の底部に保護枠のU字形の左右の柱より前後方向に厚肉の摘み部を形成した電線保護具も提案されている。(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
さらにまた、電気部品を内部に収納する収納枠の一端に可動係止部を設け、該可動係止部の開放端には、前記開放端を前記収納枠の外側に弾性変形可能に略U字形に折り返して折返部を設けると共に、該折返部の先端近傍の外側に段付きの係止突部を設け、前記電気部品収納枠の他端に前記一端の係止突部を係止する固定係止部を設けてなり、前記固定係止部を少なくとも2つの突条で形成し、該2つの突条のうち外側の突条に内側に前記係止突部が弾性変形して挿入状態で係止される係止片を設け、前記折返部の底部に貫通孔を設け、前記突条のうち内側の突条を前記折返部の貫通孔に嵌入するように形成した電気部品保持具も提案されている。(例えば、特許文献4参照)。
【特許文献1】実公平5−46302号公報
【特許文献2】実用新案登録第2528478号公報
【特許文献3】特許第3903111号公報
【特許文献4】特許第3950917号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述したように、前記従来の保持具は、電気部品を保持する部品保持部と、当該保持具をシャーシ等の被固定部材に取付けるための取付部を備えているが、前記取付部は、前記部品保持部と共に弾性変形する構成となっている。このため、例えば、保持具を被固定部材に仮止めし、部品保持部に電気部品を挿入する作業中等に、当該電気部品に他の部品や作業員の身体等が接触し、保持具に外力がかかると、当該保持具が内側に弾性変形して前記取付部が被固定部材から外れ、保持具が所定の取付け位置からずれたり、保持具が被固定部材から脱落したり、あるいは保持具に保持されていた電気部品が保持具から外れる等の虞がある。そこで、取付部が被固定部材から外れることを防止するため、保持具を撓みにくく構成すると、被固定部材に対する取付け作業、取外し作業が困難となる。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、部品を保持する部品保持部が変形した場合であっても、被固定部材に取付けるための取付部が、この部品保持部の変形に伴って変形することを防止すると共に、被固定部材に対する取付け作業、取外し作業を簡単に行うことが可能な保持具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するため本発明は、部品を保持する部品保持部を有し、被固定部材に形成された貫通溝に少なくとも一部が挿入されて当該被固定部材に着脱可能に取付けられる保持具であって、前記貫通溝に挿入された際に、当該貫通溝の底面に対向して配設されるベースと、前記ベースの略中央部に形成され、前記部品が挿入される貫通孔を有し、当該貫通孔に挿入された部品を保持する部品保持部と、前記貫通溝に挿入された際に、前記ベースの前記部品挿入方向と略平行な両端部に互いに対向して形成され、前記被固定部材の厚さ方向に位置する面の少なくとも一方を押圧する押圧部と、を備え、前記部品保持部は、前記ベースから互いに対向して立設され、前記貫通孔の一部を画定する一対の側壁と、当該一方の側壁の先端から延出し且つ他方の側壁の先端側に着脱可能に係合することで、当該部品保持部を開閉する開閉部と、を有し、前記押圧部は、前記側壁と間隔をおいて配設されてなる保持具を提供するものである。
【0010】
この構成を備えた保持具は、前記押圧部が、被固定部材の厚さ方向に位置する面の少なくとも一方を押圧することで、当該被固定部材に確実に取付けられるが、この押圧部は、部品が挿入される貫通孔の一部を画定する一対の側壁と間隔をおいて配設された構成を備えている。したがって、例えば、保持具を被固定部材に仮止めして前記貫通孔に部品を挿入する作業中等に、当該部品に他の部品や作業員の身体等が接触し、部品保持部に外力がかけられる等により、当該部品保持部が内側に弾性変形したとしても、前記押圧部が、この弾性変形の影響を受けることを防止することができる。このため、押圧部を通常よりも撓みにくく構成することなく、保持具が、被固定部材から外れたり、所定の取付け位置からずれたり、脱落したりすることを防止することができる。
【0011】
また、本発明にかかる保持具が取付けられる被固定部材は、前記貫通溝の底面から互いに対向して立設されて当該貫通溝を画定する一対の壁部を有し、当該一対の側壁が、互いに近づく方向に突出し、当該底面と略水平に形成された段部を備えてなり、本発明にかかる保持具は、前記ベースに立設された側壁と押圧部との間に、前記貫通溝に挿入された際に、前記段部に当接する当接部が形成された構成とすることができる。この構成を備えた保持具は、前記貫通溝に挿入された際に、前記当接部が前記段部に当接するため、前記利点に加え、保持具が、貫通溝の底面から離れる方向に向け落ちることを、一層確実に防止することができる。
【0012】
そしてまた、前記当接部は、前記ベース部または前記側壁の当該ベース部近傍から、当該ベース部と離れるよう斜め外方に延出し、当該当接部の先端は、前記側壁と間隔をおいて位置すると共に、前記被固定部材の貫通溝を画定する一対の壁部を押圧することができる。この構成を備えた保持具は、前記押圧部が被固定部材を押圧することに加え、当接部も当該被固定部材を押圧することになるため、保持具が、被固定部材から外れたり、所定の取付け位置からずれたり、脱落したりすることを、より一層確実に防止することができる。
【0013】
また、本発明にかかる保持具の押圧部は、前記被固定部材の厚さ方向に位置する一方の面を押圧する押圧片と、当該押圧片との間に前記被固定部材を挿入可能な空間をおいて当該押圧片の押圧方向に配設され、当該被固定部材の厚さ方向に位置する他方の面を支持する支持壁と、を備え、前記支持壁が、前記側壁と間隔をおいて配設されてなる構成を備えることができる。この構成を備えた保持具は、支持壁に支持された被固定部材を押圧片の弾性付勢力により押圧することで当該被固定部材に取付けられるため、被固定部材の厚さ(板厚)の変化に対する許容範囲を広くすることができる。したがって、保持具を取付け可能な被固定部材の厚さに幅を持たせることができる。
【0014】
そしてまた、前記押圧部の一実施態様として、前記押圧片と前記支持壁との距離が、前記被固定部材の厚さよりも短くなる位置に配設されており、当該押圧片と支持壁との間に当該被固定部材が挿入された際に、当該距離が長くなる方向に弾性変形し、その弾性復元力により、前記被固定部材を押圧するよう構成することができる。
【0015】
また、本発明にかかる保持具の押圧部は、前記被固定部材の厚さ方向に位置する一方の面を押圧する第1の押圧片と、当該第1の押圧片との間に前記被固定部材を挿入可能な空間をおいて、第1の押圧片に対し対向して配設され、当該被固定部材の厚さ方向に位置する他方の面を押圧する第2の押圧片と、を備えた構成とすることができる。この構成を備えた保持具は、前記被固定部材を、前記第1の押圧片と第2の押圧片により挟持することで、当該被固定部材に取付けることができる。この時、第1の押圧片と第2の押圧片は、対向配置されているため、第1の押圧片が第2の押圧片に対し偏倚した位置に配置されている場合に比べ、被固定部材をより一層安定した状態で挟持することができる。
【0016】
そしてまた、前記押圧部の一実施態様として、前記第1の押圧片及び第2の押圧片は、両者の距離が、前記被固定部材の厚さよりも短くなる位置に配設されており、当該前記第1の押圧片と第2の押圧片との間に当該被固定部材が挿入された際に、前記距離が長くなる方向に各々弾性変形し、その弾性復元力により、前記被固定部材を各々押圧するよう構成することができる。
【0017】
また、本発明にかかる保持具の押圧部は、前記ベースの、前記被固定部材に形成された貫通溝の底面に対向する面に、当該底面に接触する凸部を形成した構成とすることができる。この構成を備えた保持具は、前記利点に加え、前記被固定部材に取付けられた際に、前記凸部が前記底面に接触するため、当該被固定部材に対するガタツキの発生をより一層抑制することができる。
【0018】
そしてまた、本発明にかかる保持具の押圧部は、前記被固定部材の厚さ方向に位置する一方の面を押圧する押圧片と、当該押圧片との間に前記被固定部材を挿入可能な空間をおいて当該押圧片の押圧方向に配設され、当該被固定部材の厚さ方向に位置する他方の面を支持する支持壁とを備え、前記支持壁は、前記側壁と間隔をおいて配設されてなり、前記当接部は、前記支持壁よりも前記押圧片側に配設された構成とすることができる。このように構成することで、前記当接部と支持壁とが互いに干渉し合うことを防止することができる。
【0019】
また、本発明は、部品を保持する部品保持部を有し、被固定部材に形成された貫通溝に少なくとも一部が挿入されて当該被固定部材に着脱可能に取付けられる保持具であって、
前記貫通溝に挿入された際に、当該貫通溝の底面に対向して配設されるベースと、前記ベースの略中央部に形成され、前記部品が挿入される貫通孔を有し、当該貫通孔に挿入された部品を保持する部品保持部と、前記貫通溝に挿入された際に、前記ベースの前記部品挿入方向と略平行な両端部に互いに対向して形成され、前記被固定部材の厚さ方向に位置する面の少なくとも一方を押圧する押圧部とを備え、前記部品保持部は、前記ベースから互いに対向して立設され、前記貫通孔の一部を画定する一対の側壁と、当該一対の側壁の先端に揺動可能に設けられた一対の揺動部と、を有し、前記各々の揺動部は、当該揺動部の各々の先端が互いに近づく方向に延出されてなり、前記揺動により前記部品保持部を開閉する保持具を提供するものである。
【0020】
この構成を備えた保持具は、前述した保持具と同様に、押圧部が一対の側壁と間隔をおいて配設されているため、例えば、保持具を被固定部材に仮止めして前記貫通孔に部品を挿入する作業中等に、部品保持部に外力がかけられる等により、当該部品保持部が内側に弾性変形したとしても、前記押圧部が、この弾性変形の影響を受けることを防止することができる。このため、押圧部を通常よりも撓みにくく構成することなく、保持具が、被固定部材から外れたり、所定の取付け位置からずれたり、脱落したりすることを防止することができる。また、前記部品保持部は、一対の揺動部が揺動することにより開閉されるため、構成を簡略化することができると共に、部品保持部に部品を保持させる作業、あるいは、部品保持部に保持されている部品を取外す作業を簡単に行うことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明にかかる保持具は、押圧部が、前記貫通孔の一部を画定する一対の側壁と間隔をおいて配設されているため、前記部品保持部の弾性変形に伴って、当該押圧部が弾性変形することを確実に防止することができる。したがって、押圧部を通常よりも撓みにくく構成することなく、保持具が被固定部材から外れたり、所定の取付け位置からずれたり、脱落したりすることを防止することができる。この結果、被固定部材に対する取付け作業、取外し作業を簡単に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に、本発明の好適な実施の形態にかかる保持具について図面を参照して説明する。なお、以下に記載される実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこれらの実施の形態にのみ限定するものではない。したがって、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、様々な形態で実施することができる。
【0023】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1にかかる保持具の斜視図、図2は、図1に示す保持具を被固定部材としてのシャーシに取付け、配線を保持させた状態を示す斜視図、図3は、図1に示す保持具の正面図、図4は、図3に示す保持具の背面図、図5は、図3に示す保持具の左側面図、図6は、図3に示す保持具の右側面図、図7は、図3に示す保持具の上面図、図8は、図3に示す保持具の底面図、図9は、図3に示すIX−IX線に沿った断面図、図10は、図5に示すX−X線に沿った断面図、図11は、図2に示すシャーシの正面図、図12は、図2に示すXII−XII線に沿った断面図、図13は、図12に示すXIII−XIII線に沿った断面図である。なお、図12は、説明を分かりやすくするため、配線を省略し且つシャーシの断面を示すハッチングを省略して記載した。また、前記各図では、説明を判り易くするため、各部材の厚さやサイズ、拡大・縮小率等は、実際のものとは一致させずに記載した。
【0024】
実施の形態1にかかる保持具1は、図2、図11〜図13に示すシャーシ100に、着脱可能に取付けられる。このシャーシ100には、シャーシ100の正面100Aから背面100Bに貫通し、保持具1が挿入される貫通溝101が形成されている。この貫通溝101は、底部を画定する底面102と、底面102から互いに対向して立設された壁部103及び104によって画定されている。壁部103及び104は、シャーシ100の底面102から離れる方向の略中央位置付近に、互いに近づく方向に突出し、底面102と略水平に形成された段部105及び106が各々形成されている。
【0025】
図1〜図13に示すように、実施の形態1にかかる保持具1は、ベース11と、ベース11の略中央部に形成され、部品としての電線150を保持する部品保持部12と、ベース11の部品挿入方向と略平行な両端(すなわち、保持具1が貫通溝101に挿入された際に、シャーシ100の壁部103及び104と対向する両端)に互いに対向して形成され、貫通溝101に挿入された際に、シャーシ100の一方の面(実施の形態1では、背面100B)を押圧する一対の押圧部13及び14と、部品保持部12と押圧部13との間及び部品保持部12と押圧部14との間に各々形成され、貫通溝101に挿入された際に、段部105及び106に各々当接する当接部15及び16を備えている。
【0026】
ベース11は、保持具1が貫通溝101に挿入された際に、貫通溝101の底面102に対向して配設されるベース板21と、ベース板21から略垂直方向に突出し、保持具1が貫通溝101に挿入された際に、シャーシ100の正面100Aに接触可能な接触片22と、ベース板21の接触片22が突出する縁と対向する縁から略垂直方向に突出し、シャーシ100の背面100Bに接触可能な接触片23と、を備えている。ベース板21の貫通溝101の底面102と対向する面の略中央部には、特に図10及び図12に示すように、底面102に接触する凸部24が形成されている。
【0027】
部品保持部12は、ベース11から互いに対向して立設され、電線150が挿入される貫通孔31の一部を画定する一対の側壁32及び33と、側壁32の先端から延出し且つ側壁33の先端側に着脱可能に係合し、部品保持部12を開閉する開閉部34と、側壁33の先端よりもベース11から離れた位置に形成され、開閉部34の先端を着脱可能に受領してロックする受領部35を備えている。
【0028】
側壁32及び33は、保持具1が貫通溝101に挿入された際に、シャーシ100の壁部103及び104と対向して位置するベース11の両端よりも中央寄りの位置から立設されており、これによって、貫通孔31は、ベース11の略中央部分に位置される。
【0029】
開閉部34は、側壁32の先端から延出した延出部36と、延出部36の先端に形成され且つ屈曲部38が形成されたロック片37を有している。ロック片37は、正面視で屈曲部38を頂点とした略V字状を備え、その先端には、屈曲部38を支点として屈曲角度が小さくなる方向にロック片37を屈曲させるための操作部39が形成されている。ロック片37の、屈曲部38と操作部39との略中間位置には、後に詳述する受領部35に形成された係止部43に係止されるロック爪41が形成されている。そして、ロック片37は、屈曲部38を支点として弾性変形することで、受領部35に形成された後に詳述する挿入穴44に挿入され、弾性復元することにより、ロック爪41が係止部43に係止されて受領部35にロックされる。また、操作部39は、ロック片37の幅と同じ幅を有しているため、ロック片37を受領部35によってロックした際、受領部35から延出する操作部39が邪魔になることを抑制することができる。
【0030】
受領部35は、ロック片37を抜脱可能に挿入する挿入穴44がベース11に向けて形成されている。この挿入穴44のロック片入り口付近には、ロック片37に形成された略鉤型状のロック爪41が係止される係止部43が形成されている。この受領部35は、挿入穴44に挿入されたロック片37を、挿入穴44の側壁32側を画定する壁部45と、係止部43とにより押圧し、ロック片37の弾性変形を維持させると共に、ロック爪41を係止部43に係止させることで、ロック片37を確実にロックする。
【0031】
押圧部13は、保持具1が貫通溝101に挿入された際に、シャーシ100の壁部103と対向する端部に、側壁32と間隔をおいて配設されている。この押圧部13は、シャーシ100の背面100Bを押圧する押圧片51Aと、押圧片51Aとの間にシャーシ100を挿入可能な空間をおいて押圧片51Aの押圧方向(保持具1が貫通溝101に挿入された際に、シャーシ100の正面100Aと対向する位置)に配設され、シャーシ100の正面100Aを支持する支持壁52Aと、を備えている。
【0032】
押圧片51Aは、保持具1が貫通溝101に挿入された際に、シャーシ100の背面100B側に位置するよう、ベース11の接触片23の一端(接触片23の壁部103側となる端)から連続して立設されており、特に図6及び図13に示すように、先端側が、基端側(ベース11側)よりも支持壁52Aに近設するよう傾斜した形状を有している。この押圧片51Aは、図6に示す初期状態から、先端側が支持壁52Aから離れる方向に弾性変形可能(図13参照)となっており、保持具1が貫通溝101に挿入された際に、この弾性復元力によって、シャーシ100の背面100Bを押圧可能となっている。この押圧片51Aは、前述したように、側壁32と間隔をおいて配設されている。
【0033】
支持壁52Aは、保持具1が貫通溝101に挿入された際に、シャーシ100の正面100A側に位置するよう、ベース11の接触片22の一端(接触片22の壁部103側となる端)から連続して立設されている。この支持壁52Aは、前述したように、側壁32と間隔をおいて配設されている。また、支持壁52Aと押圧片51Aは、両者間の距離が、シャーシ100の厚さよりも短くなるよう配設されており、押圧片51Aと支持壁52Aとの間にシャーシ100が挿入された際(図13参照)に、押圧片51Aが、前述した弾性復元力によって、シャーシ100の背面100Bを押圧し、支持壁52Aに正面100Aが当接することで、シャーシ100を把持している。
【0034】
押圧部14は、保持具1が貫通溝101に挿入された際に、シャーシ100の壁部104と対向する端部に、側壁33と間隔をおいて配設されている。この押圧部14は、保持具1が貫通溝101に挿入された際に、シャーシ100の背面100B側に位置するよう、ベース11の接触片23の他端(接触片23の壁部104側となる端)から連続して立設され、且つ押圧片51Aと同様の構成を備えた押圧片51Bと、シャーシ100の正面100A側に位置するよう、ベース11の接触片22の他端(接触片22の壁部104側となる端)から連続して立設され、且つ支持壁52Aと同様の構成を備えた支持壁52Bと、を備えている。なお、押圧片51B及び支持壁52Bは、前述したように、側壁33と間隔をおいて配設されている。
【0035】
当接部15は、部品保持部12と押圧部13との間に配設されており、部品保持部12及び押圧部13の各々と間隔をおいて配設されている。当接部15は、側壁32の基端から、側壁32及びベース11と離れるよう斜め外方に延出しており、その先端は、保持具1が貫通溝101に挿入された際に、シャーシ100の段部105に当接するよう構成されている。また、当接部15は、弾性変形可能となっており、保持具1が貫通溝101に挿入された際に、先端が側壁32に近づく方向に弾性変形し、この弾性復元力によって、シャーシ100の壁部103の段部105付近を押圧するようになっている。
【0036】
当接部16は、部品保持部12と押圧部14との間に配設されており、部品保持部12及び押圧部14の各々と間隔をおいて配設されている。当接部16は、側壁33の基端から、側壁33及びベース11と離れるよう斜め外方に延出しており、その先端は、保持具1が貫通溝101に挿入された際に、シャーシ100の段部106に当接するよう構成されている。また、当接部16は、弾性変形可能となっており、保持具1が貫通溝101に挿入された際に、先端が側壁33に近づく方向に弾性変形し、この弾性復元力によって、シャーシ100の壁部104の段部106付近を押圧するようになっている。
【0037】
また、保持具1が貫通溝101に挿入された際に、シャーシ100の壁部103及び104と対向する両端となり且つ保持具1の部品保持部12よりもベース11から離れた端面には、シャーシ100の壁部103及び105の角部107及び108付近を覆うカバー部61及び62が各々形成されている。カバー部61は、特に図5及び図6に示すように、側面視で略コ字状を有し、図13に示すように、この略コ字状によって内側に画定される空間にシャーシ100が挿入される。一方、カバー部62は、図5に示すように、側面視で略コ字状を有し、この略コ字状によって内側に画定される空間にシャーシ100が挿入される。なお、カバー部62のカバー部61側には、前述した受領部35が隣接されている。
【0038】
次に、実施の形態1にかかる保持具1の具体的動作について説明する。なお、実施の形態1では、ロック片37が、受領部35にロックされていない状態(図3〜図6及び図10に示す状態)の保持具1をシャーシ100に取付ける場合について説明する。
【0039】
保持具1をシャーシ100に取付ける際は、シャーシ100の貫通溝101を画定する底面102に、保持具1のベース11が対向するように、貫通溝101に保持具1を挿入する。この動作により、先ず、押圧片51Aが支持壁52Aから、及び押圧片51Bが支持壁52Bから各々離れる方向に弾性変形して、押圧片51Aと支持壁52Aとの間、及び押圧片51Bと支持壁52Bとの間を拡げ、ここにシャーシ100が挿入される。この時、当接部15及び16は、壁部103及び104の、段部105及び106が各々形成されている位置よりも底面102から離れた部分に当接し、これによって、側壁32及び33に各々近づくよう弾性変形し、底面102に向けて移動する。
【0040】
次に、当接部15及び16が段部105及び106を越えると、図12に示すように、凸部24が底面102に当接し、当接部15及び16は、段部105及び106に各々当接すると共に、壁部103及び104を各々押圧する。また、接触片22及び23は、底面102を越えて、シャーシ100の正面100A及び背面100Bに各々接触可能に対向配置される。さらにまた、正面100Aは、支持壁52A及び52Bによって支持され、背面100Bは、押圧片51A及び51Bによって支持壁52A及び52Bに向けて押圧される。また、シャーシ100の角部107及び108付近は、カバー部61及び62によって各々覆われる。
【0041】
このように、保持具1は、押圧片51A及び51Bと、当接部15及び16の弾性復元力によりシャーシ100を押圧することで、シャーシ100に確実に固定される。また、当接部15及び16が段部105及び106に当接しているため、保持具1が、貫通溝101から抜け落ちることを防止することができる。この時、凸部24が底面102に当接しているため、保持具1がガタツクことを防止することができる。さらに、保持具1は、接触片22及び23、カバー部61及び62によって、シャーシ100に対する動きが規制されるため、取付け状態が維持される。
【0042】
次に、シャーシ100に取付けられた保持具1に電線150を保持させるには、先ず、貫通孔31に、所定本数の電線150を挿入する。この作業の際、例えば、電線150に他の部品や作業員の身体等が接触し、部品保持部12に外力がかけられる等して、部品保持部12が内側に弾性変形したとしても、押圧片51A及び51B、支持壁52A及び52B、当接部15及び16は、部品保持部12と間隔をおいて配設されているため、部品保持部12の弾性変形の影響を、押圧片51A及び51B、支持壁52A及び52B、当接部15及び16が受けることは殆ど無い。したがって、作業中等に、保持具1がシャーシ100から外れたり、所定の取付け位置からずれたり、脱落したりすることを確実に防止することができる。なお、貫通孔31に電線150を挿入した後は、ロック片37を弾性変形させて、受領部35の挿入穴44に挿入し、ロック片37が弾性復元することによって、ロック爪41を係止部43に係合させ、ロック片37を受領部35にロックさせればよい。
【0043】
一方、保持具1から電線150を取外す際は、操作部39を操作して、屈曲部38を支点として屈曲角度が小さくなる方向にロック片37を屈曲させ、ロック爪41と係止部43との係合を解除させることで、開閉部34により部品保持部12を開く(図3〜図6及び図10に示す状態にする)ことで、電線150を簡単に取外すことができる。また、所望により、ロック片37を受領部35にロックさせたまま、貫通孔31から電線150を抜いてもよい。
【0044】
また、シャーシ100から保持具1を取外す際は、当接部15及び16を側壁32及び33に近づける方向に弾性変形させて、当接部15及び16と段部105及び106との係合を解除すればよい。
【0045】
また、実施の形態1にかかる保持具1は、押圧片51A及び51Bによって、シャーシ100の板厚方向に押圧する構成を有しているため、保持具1を、図13に示すシャーシ100の板厚よりも薄い板厚のシャーシに取付ける場合であっても、押圧片51A及び51Bの押圧力(弾性復元力)によって、シャーシを押圧可能である。また、図13に示すように、板厚が厚いシャーシ100の場合であっても、押圧片51A及び51Bが板バネ形状を有しているため、保持具1をシャーシ100に容易に取付けることができる。したがって、シャーシ100の板厚の変化に対する許容範囲を広くすることができ、板厚に対する汎用性を向上させることができる。
【0046】
なお、実施の形態1では、段部105及び106が形成されている貫通溝101に保持具1を挿入させてシャーシ100に取付ける場合について説明したが、これに限らず、保持具1は、段部105及び106が形成されていない貫通溝101に挿入してもよい。また、当接部15及び16は必ずしも配設しなくてもよい。
【0047】
また、実施の形態1では、ベース11に、貫通溝101の底面102に当接する凸部24を形成した場合について説明したが、これに限らず、図14に示すように、凸部は形成しなくてもよい。
【0048】
また、押圧片51A及び51Bの形状は、板バネ形状に限らず、支持壁52A及び52Bとの間にシャーシ100を挿入可能であり、挿入したシャーシ100を押圧して把持可能であれば、他の形状を備えていてもよい。
【0049】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2にかかる保持具2について図面を参照して説明する。
【0050】
図15は、本発明の実施の形態2にかかる保持具の斜視図、図16は、図15に示す保持具を被固定部材としてのシャーシに取付け、配線を保持させた状態を示す斜視図、図17は、図15に示す保持具の正面図、図18は、図17に示す保持具の背面図、図19は、図17に示す保持具の左側面図、図20は、図17に示す保持具の右側面図、図21は、図17に示す保持具の上面図、図22は、図17に示す保持具の底面図、図23は、図17に示すXXIII−XXIII線に沿った断面図、図24は、図19に示すXXIV−XXIV線に沿った断面図、図25は、図13と同様の断面図である。なお、前記各図では、説明を判り易くするため、各部材の厚さやサイズ、拡大・縮小率等は、実際のものとは一致させずに記載した。また、実施の形態2では、実施の形態1と同様の部材には、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0051】
図15〜図25に示すように、実施の形態2にかかる保持具2の、実施の形態1にかかる保持具1との異なる主な点は、押圧部113及び114の構成である。実施の形態2にかかる保持具2の押圧部113及び114は、ベース11の部品挿入方向と略平行な両端に互いに対向して形成され、保持具2が貫通溝101に挿入された際に、シャーシ100の正面100A及び100Bを押圧するよう構成されている。
【0052】
押圧部113及び114は、同一の形状を有しており、保持具2が貫通溝101に挿入された際に、シャーシ100の正面100Aを押圧する第1の押圧片151と、シャーシ100の背面100Bを押圧する第2の押圧片152を備えている。第1の押圧片151及び152は、図15、図19、図20、図22、図25に示すように、互いに対向して配設されており、ベース11側の先端には、略鉤型状の係合爪153及び154が、互いに対向して各々形成されている。
【0053】
第1の押圧片151と第2の押圧片152は、係合爪153と係合爪154との距離がシャーシ100の板厚よりも短くなるようベース11に配設されている。これら第1の押圧片151と第2の押圧片152は、互いに離れる方向に弾性変形することで、係合爪153と係合爪154との距離を拡げ、ここにシャーシ100を挿入可能とし、その弾性復元力により、シャーシ100の正面100A及び背面100Bを各々押圧するようになっている。なお、前述したように、押圧部113の構成要素である第1の押圧片151及び第2の押圧片152は、側壁32と間隔をおいて配設されており、押圧部114の構成要素である第1の押圧片151及び第2の押圧片152は、側壁33と間隔をおいて配設されている。
【0054】
実施の形態2にかかる保持具2をシャーシ100に取付ける場合は、実施の形態1と同様にシャーシ100の貫通溝101を画定する底面102に、保持具2のベース11が対向するように、貫通溝101に保持具2を挿入することで、当接部15及び16が、段部105及び106を越えると、凸部24が底面102に当接し、当接部15及び16は、段部105及び106に各々当接すると共に、壁部103及び104を各々押圧する。また、接触片22及び23は、底面102を越えて、シャーシ100の正面100A及び背面100Bに各々接触可能に対向配置される。さらにまた、正面100Aは、第1の押圧片151によって、第2の押圧片152に向けて押圧され、背面100Bは、第2の押圧片152によって、第1の押圧片151に向けて押圧される。また、シャーシ100の角部107及び108付近は、カバー部61及び62によって各々覆われる。
【0055】
このように、保持具2は、第1の押圧片151と第2の押圧片152によりシャーシ100を確実に挟持し、さらに保持具1と同様に、当接部15及び16の弾性復元力によりシャーシ100を押圧することで、シャーシ100に確実に固定される。この時、正面100Aに接触する係合爪153と、背面100Bに接触する係合爪154は、対向してほぼ同じ位置に配設されているため、係合爪153(第1の押圧片151)が、係合爪154(第2の押圧片152)に対し偏倚した位置に配置されている場合に比べ、シャーシ100に、より一層安定した状態で固定されることになる。
【0056】
なお、第1の押圧片151と第2の押圧片152の形状は、両者の間にシャーシ100を挿入可能であり、挿入したシャーシ100を押圧して挟持可能であれば、例えば、実施の形態1で説明した押圧片51A(51B)を対向配置する等、他の形状を備えていてもよい。
【0057】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3にかかる保持具3について図面を参照して説明する。
【0058】
図26は、本発明の実施の形態3にかかる保持具の斜視図、図27〜図29は、図26に示す保持具がシャーシに取付けられた際に、当該保持具に斜め上方に向けた外力が加えられた状態を示す正面図である。なお、前記各図では、説明を判り易くするため、各部材の厚さやサイズ、拡大・縮小率等は、実際のものとは一致させずに記載した。また、実施の形態3では、実施の形態1と同様の部材には、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0059】
図26〜図29に示すように、実施の形態3にかかる保持具3と、実施の形態1にかかる保持具1との異なる主な点は、当接部115及び116の構成である。実施の形態3にかかる保持具3の当接部115は、支持壁52A側の面が、支持壁52Aの押圧片51A側の面よりも押圧片51A側に位置しており、保持具1の当接部15に比べ、シャーシ100の厚さ方向の長さ(幅)が短く構成されている。したがって、当接部115は、側壁32の基端を支点として、当接部115の先端が側壁32に近づく方向あるいは遠ざかる方向に弾性変形する際に、支持壁52Aに干渉されることがない。また、当接部116も同様に、支持壁52B側の面が、支持壁52Bの押圧片51B側の面よりも押圧片51B側に位置しており、保持具1の当接部16に比べ、シャーシ100の厚さ方向の長さ(幅)が短く構成されている。したがって、当接部116は、側壁32の基端を支点として、当接部116の先端が側壁32に近づく方向あるいは遠ざかる方向に弾性変形する際に、支持壁52Bに干渉されることがない。
【0060】
この構成を備えた保持具3は、保持具1と同様の動作により、シャーシ100に取付けられ、押圧片51A及び51Bと、当接部115及び116の弾性復元力によりシャーシ100を押圧することで、シャーシ100に確実に固定される。また、当接部115及び116が段部105及び106に当接しているため、保持具3が、貫通溝101から抜け落ちることを防止することができ、凸部24が底面102に当接しているため、保持具3がガタツクことを防止することができる。さらに、保持具3は、接触片22及び23、カバー部61及び62によって、シャーシ100に対する動きが規制されるため、取付け状態が維持される。
【0061】
この状態の保持具3に、例えば、図27に示すように、斜め上方(垂直方向に対し角度θ1で傾いた方向)に向けた外力F1がかけられると、保持具3は、当接部115の先端が段部105に当接した状態で、押圧部13が外力F1方向に引っ張られることになる。この時、側壁32及び押圧部13が弾性変形すると共に、当接部115は、側壁32の基端を支点として弾性変形することになる。なお、この動作は、当接部116についても同様である。
【0062】
また、例えば、図28に示すように、保持具3に、図27に示す外力F1よりも垂直方向に対しさらに傾いた方向(垂直方向に対し角度θ2で傾いた方向:θ1<θ2)に向けた外力F2がかけられると、保持具3は、当接部115の先端が段部105に当接した状態で、押圧部13が外力F2方向に引っ張られることになる。この時、側壁32及び押圧部13は、図27に示す状態よりもさらに弾性変形すると共に、当接部115は、側壁32の基端を支点としてさらに弾性変形することになるが、前述したように当接部115は、支持壁52Aに干渉されることがない。したがって、支持壁52Aが図28でいう反時計回りに回動するように弾性変形しても、当接部115が、支持壁52Aによって反時計回り(すなわち、当接部115が段部105から外れる方向)に押されることがなく、当接部115の先端が段部105に当接した状態を維持することができる。このため、保持具3がシャーシ100から不意に外れることを防止することができる。なお、この動作は、当接部116についても同様である。
【0063】
また、例えば、図29に示すように、保持具3に、図28に示す外力F2よりも垂直方向に対しさらに傾いた方向(垂直方向に対し角度θ3で傾いた方向:θ2<θ3)に向けた外力F3がかけられて、支持壁52Aが図29でいう反時計回りに回動するように弾性変形しても、前記と同様に、当接部115が、支持壁52Aによって、当接部115が段部105から外れる方向に押されることがなく、当接部115の先端が段部105に当接した状態を維持することができる。このため、この場合も、保持具3がシャーシ100から不意に外れることを防止することができる。なお、この動作は、当接部116についても同様である。
【0064】
また、押圧片51Aの先端は、例えば、図4に示すように側壁32から独立しているため、保持具3に、外力F2及び外力F3がかけられ、押圧部13が外力F2及び外力F3方向に引っ張られた際に、押圧片51Aがこの方向に引っ張られることを抑制することができる。したがって、当接部115は、押圧片51Aに干渉されることがなく、反時計回りに押されることはない。なお、この動作は、当接部116についても同様である。
【0065】
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4にかかる保持具4について図面を参照して説明する。
【0066】
図30は、本発明の実施の形態4にかかる保持具の斜視図、図31は、図30に示す保持具の正面図、図32は、図31に示す保持具の右側面図、図33は、図31に示す保持具の上面図、図34は、図30に示す保持具を被固定部材としてのシャーシに取付け、配線を保持させた状態を示す斜視図である。なお、前記各図では、説明を判り易くするため、各部材の厚さやサイズ、拡大・縮小率等は、実際のものとは一致させずに記載した。また、実施の形態4では、実施の形態1と同様の部材には、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0067】
図30〜図34に示すように、実施の形態4にかかる保持具4と、実施の形態1にかかる保持具1との異なる主な点は、押圧部213及び214の構成と、当接部215及び216の構成と、開閉部34に代えて揺動部234A及び234Bを配設した点である。
【0068】
実施の形態4にかかる保持具4の押圧部213は、側壁32の上部に位置すると共に、シャーシ100の正面100Aを押圧する押圧片251Aと、押圧片251Aとの間にシャーシ100を挿入可能な空間をおいて押圧片251Aの押圧方向に配設され、シャーシ100の背面100Bを支持する支持壁252Aと、支持壁252Aの下部に支持壁252Aと間隔を置いて位置する下部支持片253Aと、を備えている。
【0069】
押圧片251Aは、ベース11の接触片23の一端から連続して立設されており、特に図32に示すように、先端側が、基端側(ベース11側)よりも支持壁252Aに近設するよう傾斜した形状を有している。この押圧片251Aは、図32に示す初期状態から、先端側が支持壁252Aから離れる方向に弾性変形可能となっており、保持具4が貫通溝101に挿入された際に、この弾性復元力によって、シャーシ100の正面100Aを押圧可能となっている。なお、実施の形態4では、接触片23の高さが実施の形態1よりも高くなっており、このため、この押圧片251Aの先端は、側壁32とほぼ同じ高さに位置している。そして、この押圧片251Aは、側壁32と間隔をおいて配設されている。
【0070】
支持壁252Aは、保持具4が貫通溝101に挿入された際に、シャーシ100の背面100B側に位置するよう、側壁32の上部に連続して形成されている。この支持壁252Aは、側壁32と間隔をおいて配設されている。また、支持壁252Aと押圧片251Aは、両者間の距離が、シャーシ100の厚さよりも短くなるよう配設されており、押圧片251Aと支持壁252Aとの間にシャーシ100が挿入された際(図34参照)に、押圧片251Aが弾性復元力によって、シャーシ100の正面100Aを押圧し、支持壁252Aに背面100Bが当接することで、シャーシ100を把持している。
【0071】
下部支持片253Aは、保持具4が貫通溝101に挿入された際に、シャーシ100の背面100B側に位置するよう、ベース11の下面からシャーシ100の壁部103方向に向けて延出されている。
【0072】
なお、押圧部214は、押圧部213と対称な構成を有しているため、押圧部214の構成要素である押圧片251B、支持壁252B、下部支持片253Bは、押圧片251A、支持壁252A、下部支持片253Aに準じた構成を備えている。したがって、これらの説明は省略する。
【0073】
当接部215は、実施の形態1で説明した当接部15と同様に、側壁32の基端から、側壁32及びベース11と離れるよう斜め外方に延出しており、その先端は、保持具4が貫通溝101に挿入された際に、シャーシ100の段部105に当接するよう構成されている。また、当接部215は、保持具4が貫通溝101に挿入された際に、当接部215の先端が側壁32に近づく方向に弾性変形し、この弾性復元力によって、シャーシ100の壁部103の段部105付近を押圧するようになっている。また、当接部215は、保持具4が貫通溝101に挿入された際に、接触片23との間に隙間が形成されるよう構成されており、側壁32の基端を支点として、当接部215の先端が側壁32に近づく方向あるいは遠ざかる方向に弾性変形する際に、接触片23に干渉されることがない。また、支持壁252Aは、当接部215よりも上方に位置しているため、支持壁252Aが当接部215に干渉することもない。
【0074】
なお、当接部216は、当接部215と対称な構成を有しているため、その説明は省略する。
【0075】
揺動部234A及び234Bは、側壁32及び33の各々の先端にヒンジ241A及び241Bを介して連続的に形成されている。これらの揺動部234A及び234Bは、特に図30及び図31に示すように、通常の状態では、ベース11のベース板21と略平行に且つ揺動部234A及び234Bの先端が互いに近づく方向に延出されており、部品保持部を閉じた状態にしている。なお、揺動部234Aの先端と、揺動部234Bの先端との間には、所定の隙間が形成されていてもよく、揺動部234Aの先端と揺動部234Bの先端は接触していてもよく、あるいは、ある程度重なっていてもよい。
【0076】
これらの揺動部234A及び234Bに対し、外側から貫通孔31に向けた力がかかると、揺動部234A及び234Bは、ヒンジ241A及び241Bを介して貫通孔31側に揺動し、揺動部234Aの先端と、揺動部234Bの先端との間(空間)が拡げられるようになっている。そして、部品としての電線150を、この拡げられた空間から貫通孔31内に挿入することで、配線150を部品保持部12に保持させることができる。一方、例えば、部品保持部12に保持された配線150によって、揺動部234A及び234Bを外側に向けて(図34でいう上方に向けて)押圧する等して、揺動部234A及び234Bに対し、貫通孔31側から外側に向けた力がかかると、揺動部234A及び234Bは、ヒンジ241A及び241Bを介して外側に揺動し、揺動部234Aの先端と、揺動部234Bの先端との間(空間)が拡げられる。そして、部品保持部12に保持されている配線150を、この空間から取出すことができる。
【0077】
このように、実施の形態1にかかる保持具1の開閉部34に代えて揺動部234A及び234Bを配設したことで、ヒンジ241A及び241Bを介して揺動部234A及び234Bを開閉させるという簡単な動作で、部品保持部12に部品(例えば、配線150)を保持させる作業、あるいは、部品保持部12に保持されている部品を取外す作業を行うことができ、作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる保持具の斜視図である。
【図2】図1に示す保持具を被固定部材としてのシャーシに取付け、配線を保持させた状態を示す斜視図である。
【図3】図1に示す保持具の正面図である。
【図4】図3に示す保持具の背面図である。
【図5】図3に示す保持具の左側面図である。
【図6】図3に示す保持具の右側面図である。
【図7】図3に示す保持具の上面図である。
【図8】図3に示す保持具の底面図である。
【図9】図3に示すIX−IX線に沿った断面図である。
【図10】図5に示すX−X線に沿った断面図である。
【図11】図2に示すシャーシの正面図である。
【図12】図2に示すXII−XII線に沿った断面図である。
【図13】図12に示すXIII−XIII線に沿った断面図である。
【図14】本発明の他の実施の形態にかかる保持具の図12と同様の断面図である。
【図15】本発明の実施の形態2にかかる保持具の斜視図である。
【図16】図15に示す保持具を被固定部材としてのシャーシに取付け、配線を保持させた状態を示す斜視図である。
【図17】図15に示す保持具の正面図である。
【図18】図17に示す保持具の背面図である。
【図19】図17に示す保持具の左側面図である。
【図20】図17に示す保持具の右側面図である。
【図21】図17に示す保持具の上面図である。
【図22】図17に示す保持具の底面図である。
【図23】図17に示すXXIII−XXIII線に沿った断面図である。
【図24】図19に示すXXIV−XXIV線に沿った断面図である。
【図25】図13と同様の断面図である。
【図26】本発明の実施の形態3にかかる保持具の斜視図である。
【図27】図26に示す保持具がシャーシに取付けられた際に、当該保持具に斜め上方に向けた外力が加えられた状態を示す正面図である。
【図28】図26に示す保持具がシャーシに取付けられた際に、当該保持具に斜め上方に向けた外力が加えられた状態を示す正面図である。
【図29】図26に示す保持具がシャーシに取付けられた際に、当該保持具に斜め上方に向けた外力が加えられた状態を示す正面図である。
【図30】本発明の実施の形態4にかかる保持具の斜視図である。
【図31】図30に示す保持具の正面図である。
【図32】図31に示す保持具の右側面図である。
【図33】図31に示す保持具の上面図である。
【図34】図30に示す保持具を被固定部材としてのシャーシに取付け、配線を保持させた状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0079】
1、2、3、4 保持具
11 ベース
12 部品保持部
13、14、113、114、213、214 押圧部
15、16、115、116、215、216 当接部
24 凸部
31 貫通孔
32、33 側壁
34 開閉部
35 受容部
51A、51B 押圧片
52A、52B 支持壁
100 シャーシ
101 貫通溝
151 第1の押圧片
152 第2の押圧片
234A、234B 揺動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を保持する部品保持部を有し、被固定部材に形成された貫通溝に少なくとも一部が挿入されて当該被固定部材に着脱可能に取付けられる保持具であって、
前記貫通溝に挿入された際に、当該貫通溝の底面に対向して配設されるベースと、
前記ベースの略中央部に形成され、前記部品が挿入される貫通孔を有し、当該貫通孔に挿入された部品を保持する部品保持部と、
前記貫通溝に挿入された際に、前記ベースの前記部品挿入方向と略平行な両端部に互いに対向して形成され、前記被固定部材の厚さ方向に位置する面の少なくとも一方を押圧する押圧部と、
を備え、
前記部品保持部は、前記ベースから互いに対向して立設され、前記貫通孔の一部を画定する一対の側壁と、当該一方の側壁の先端から延出し且つ他方の側壁の先端側に着脱可能に係合することで、当該部品保持部を開閉する開閉部と、
を有し、
前記押圧部は、前記側壁と間隔をおいて配設されてなる保持具。
【請求項2】
前記貫通溝の底面から互いに対向して立設されて当該貫通溝を画定する一対の壁部は、互いに近づく方向に突出し、当該底面と略水平に形成された段部を有し、
前記ベースに立設された側壁と押圧部との間に、前記貫通溝に挿入された際に、前記段部に当接する当接部が形成されてなる請求項1記載の保持具。
【請求項3】
前記当接部は、前記ベース部または前記側壁の当該ベース部近傍から、当該ベース部と離れるよう斜め外方に延出し、当該当接部の先端は、前記側壁と間隔をおいて位置すると共に、前記被固定部材の貫通溝を画定する一対の壁部を押圧する請求項2記載の保持具。
【請求項4】
前記押圧部は、前記被固定部材の厚さ方向に位置する一方の面を押圧する押圧片と、当該押圧片との間に前記被固定部材を挿入可能な空間をおいて当該押圧片の押圧方向に配設され、当該被固定部材の厚さ方向に位置する他方の面を支持する支持壁と、
を備え、
前記支持壁は、前記側壁と間隔をおいて配設されてなる請求項1記載の保持具。
【請求項5】
前記押圧片は、前記支持壁との距離が、前記被固定部材の厚さよりも短くなる位置に配設されており、当該押圧片と支持壁との間に当該被固定部材が挿入された際に、当該距離が長くなる方向に弾性変形し、その弾性復元力により、前記被固定部材を押圧する請求項4記載の保持具。
【請求項6】
前記押圧部は、前記被固定部材の厚さ方向に位置する一方の面を押圧する第1の押圧片と、当該第1の押圧片との間に前記被固定部材を挿入可能な空間をおいて、当該第1の押圧片に対し対向して配設され、当該被固定部材の厚さ方向に位置する他方の面を押圧する第2の押圧片と、を備えてなる請求項1記載の保持具。
【請求項7】
前記第1の押圧片及び第2の押圧片は、両者の距離が、前記被固定部材の厚さよりも短くなる位置に配設されており、当該前記第1の押圧片と第2の押圧片との間に当該被固定部材が挿入された際に、前記距離が長くなる方向に各々弾性変形し、その弾性復元力により、前記被固定部材を各々押圧する請求項6記載の保持具。
【請求項8】
前記ベースの、前記被固定部材に形成された貫通溝の底面に対向する面に、当該底面に接触する凸部を形成してなる請求項1記載の保持具。
【請求項9】
前記押圧部は、前記被固定部材の厚さ方向に位置する一方の面を押圧する押圧片と、当該押圧片との間に前記被固定部材を挿入可能な空間をおいて当該押圧片の押圧方向に配設され、当該被固定部材の厚さ方向に位置する他方の面を支持する支持壁と、
を備え、
前記支持壁は、前記側壁と間隔をおいて配設されてなり、
前記当接部は、前記支持壁よりも前記押圧片側に配設されてなる請求項2記載の保持具。
【請求項10】
部品を保持する部品保持部を有し、被固定部材に形成された貫通溝に少なくとも一部が挿入されて当該被固定部材に着脱可能に取付けられる保持具であって、
前記貫通溝に挿入された際に、当該貫通溝の底面に対向して配設されるベースと、
前記ベースの略中央部に形成され、前記部品が挿入される貫通孔を有し、当該貫通孔に挿入された部品を保持する部品保持部と、
前記貫通溝に挿入された際に、前記ベースの前記部品挿入方向と略平行な両端部に互いに対向して形成され、前記被固定部材の厚さ方向に位置する面の少なくとも一方を押圧する押圧部と、
を備え、
前記部品保持部は、前記ベースから互いに対向して立設され、前記貫通孔の一部を画定する一対の側壁と、当該一対の側壁の先端に揺動可能に設けられた一対の揺動部と、を有し、
前記各々の揺動部は、当該揺動部の各々の先端が互いに近づく方向に延出されてなり、前記揺動により前記部品保持部を開閉し、
前記押圧部は、前記側壁と間隔をおいて配設されてなる保持具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【公開番号】特開2010−11723(P2010−11723A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−329075(P2008−329075)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000226507)株式会社ニックス (96)
【Fターム(参考)】