説明

保持部材の姿勢判定装置、その方法、基板処理装置及び記憶媒体

【課題】 保持部材の姿勢に異常があるか否かを確実かつ容易に検出すること。
【解決手段】 保持部材であるフォーク3Aを前進させたときに、当該フォーク3Aがその前を通過するように、フォーク3Aの進行方向に対して側方にラインセンサ4を設ける。そして、フォーク3Aをラインセンサ4に対して進退させたときに、当該フォーク3Aの上下方向の位置と、フォーク3Aの進退方向の位置とを対応付けたデータを取得する。この取得されたデータに基づいて前記進退方向の位置に対して上下方向の位置を二次微分した値を演算し、この値に基づいて保持部材の姿勢の異常の有無を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を保持して搬送する保持部材が進退自在に搬送基体に設けられた基板搬送装置において、前記保持部材の姿勢に異常があるか否かを判定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスやLCD基板の製造プロセスにおいては、基板処理装置内に基板に対して処理を行うモジュールを複数個設け、これらモジュールに基板搬送装置により基板である半導体ウエハ(以下「ウエハ」という)を順次搬送して所定の処理を行うことが実施されている。前記基板搬送装置は、例えば基板の周縁を保持するフォークが搬送基体に沿って進退自在に設けられると共に、前記搬送基体が鉛直軸周りに回転自在、昇降自在に構成されている。
【0003】
前記基板処理装置内においては、予めモジュール毎に、基板搬送装置が当該モジュールに対してウエハの受け渡しを行う受け渡し位置が設定されており、基板搬送装置が前記受け渡し位置に移動して、当該モジュールとの間でウエハの受け渡しが行われる。しかしながら、例えば前記受け渡し位置の設定ミスにより、フォークがモジュール等の構造物に衝突してしまう場合がある。また、モジュール側におけるウエハの受け渡し位置のずれやウエハの反り、薬液による滑り等が要因となって、フォーク上の適切な位置にウエハを保持できず、ウエハを介して構造物に衝突してしまう場合もある。このような衝突が起こると、フォークに力が加わり、上下方向への曲がりや、左右方向への広がりや狭まり等、フォークの変形が発生するおそれが高くなる。
【0004】
このようにフォークの変形が発生した場合、そのまま基板搬送装置の動作を続行すると、フォークからウエハが落下して、ウエハや基板搬送装置を破損してしまうおそれがあり、またフォークが再度構造物に衝突してフォークの変形の程度が大きくなる等、さらなる2次災害を引き起こす懸念がある。
【0005】
このため、従来ではフォークが構造物に衝突してアラームが出力されると、作業者が基板処理装置内に進入し、フォークの変形状態を所定の確認工程に従って目視にて確認し、フォークが変形している場合にはメンテナンスを行うようにしていた。しかしながら、装置内における作業者の処理空間は閉所かつ暗所であるため、フォークの状態を正確に把握するためには厳しい環境であり、しかも確認工程数が多いことから作業者の負担が大きくなってしまうという問題があった。また、目視での確認作業であるため、作業者の個人差があり、フォークの変形程度を定量的に判断することは困難であった。
【0006】
ところで、特許文献1には、搬送基体に略水平な保持アームを進退自在に設けて構成した基板搬送手段において、保持アームの水平面に対する前後の姿勢が正常であるか否かを判断する構成が記載されている。この文献1では、水平な光軸を形成する光センサを設け、搬送基体を光センサに対して相対的に昇降させることにより取得した前記光センサからの受光ー非受光の検出結果と、前記搬送基体の高さ位置とに基づいて、前記保持アームの姿勢が正常であるか否かを判断している。
【0007】
このような構成は、上下方向に配列された複数の保持アームについて同時に姿勢が正常であるか否かを判定できる点において有効であるが、保持アームの進退方向の一部の姿勢に変形部位があるときには姿勢の異常を検出することは難しく、この特許文献1の構成を用いても、本発明の課題を解決することは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−235841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような事情の下になされたものであり、保持部材の姿勢に異常があるか否かを確実かつ容易に検出することができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、基板を保持して搬送する保持部材が搬送基体に進退自在に設けられた基板搬送装置において、前記保持部材の異常の有無を判定する装置において、
前記保持部材を前進させたときに当該保持部材がその前を通過するように、保持部材の進行方向に対して側方に設けられ、当該保持部材の上下方向の位置及び進退方向に対して左右方向の位置の少なくとも一方を光学的に検出する光検出部と、
前記保持部材を前記光検出部に対して進退させたときに、当該保持部材の上下方向の位置と保持部材の進退方向の位置とを対応付けたデータ、及び前記左右方向の位置と保持部材の進退方向の位置とを対応付けたデータの少なくとも一方のデータを取得するデータ取得部と、を備え、
この取得されたデータに基づいて前記保持部材の姿勢に異常があるか否かが判定されることを特徴とする。
【0011】
ここで保持部材の姿勢に異常がある否かについては、保持部材の進退方向の位置に対して上下方向の位置を二次微分した値を演算し、この値に基づいて保持部材の姿勢の異常の有無を判定する判定部を設けて判定するようにしてもよいし、保持部材の上下方向の位置と進退方向の位置を対応付けた波形及び保持部材の前記左右方向の位置と進退方向の位置とを対応付けた波形の少なくとも一方を表示する表示部を備え、作業者が前記波形に基づいて判定するようにしてもよい。
【0012】
また、本発明の基板処理装置は、基板に対して処理を行う基板処理部と、
進退自在に設けられた保持部材により基板を保持して、前記基板処理部に対して基板の搬送を行う基板搬送装置と、
前記保持部材の姿勢判定装置と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明は、基板を保持して搬送する保持部材が搬送基体に進退自在に設けられた基板搬送装置において、前記保持部材の異常の有無を判定する方法において、
前記保持部材を前進させたときに当該保持部材がその前を通過するように、保持部材の進行方向に対して側方に設けられた光検出部により、当該保持部材の上下方向の位置及び進退方向に対して左右方向の位置の少なくとも一方を光学的に検出する検出工程と、
前記保持部材を前記光検出部に対して進退させたときに、当該保持部材の上下方向の位置と保持部材の進退方向の位置とを対応付けたデータ、及び前記左右方向の位置と保持部材の進退方向の位置とを対応付けたデータの少なくとも一方のデータを取得するデータ取得工程と、を含み、
前記取得されたデータに基づいて前記保持部材の姿勢に異常があるか否かが判定されることを特徴とする。
【0014】
さらにまた、本発明の記憶媒体は、基板を保持して搬送する保持部材が搬送基体に進退自在に設けられた基板搬送装置において、前記保持部材の異常の有無を判定する装置に用いられるコンピュータプログラムを格納した記憶媒体であって、前記プログラムは、前記保持部材の姿勢判定方法を実行するようにステップ群が組まれていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、前記保持部材を光検出部に対して進退させたときに、当該光検出部により当該保持部材の上下方向の位置及び進退方向に対する左右方向の位置の少なくとも一方を検出し、前記上下方向の位置と前記進退方向の位置とを対応付けたデータ及び前記左右方向の位置と前記進退方向の位置とを対応付けたデータの少なくとも一方を取得している。そして、この取得されたデータに基づいて、保持部材の姿勢に異常があるか否かが判定されるので、保持部材における姿勢の異常を確実、かつ容易に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る基板処理装置の一例を示す概略斜視図である。
【図2】本発明の基板搬送装置及び光検出部を示す斜視図である。
【図3】前記基板搬送装置及び光検出部を示す平面図である。
【図4】光検出部と保持部材との関係を示す正面図である。
【図5】前記基板処理装置に設けられた制御部を示す構成図である。
【図6】姿勢が正常な保持部材の側面図及び、光検出部の遮断量と時間とを対応付けた波形を示す特性図である。
【図7】姿勢が正常な保持部材の側面図及び、光検出部の遮断量と時間とを対応付けた波形を示す特性図である。
【図8】姿勢に異常がある保持部材の側面図及び、光検出部の遮断量と時間とを対応付けた波形を示す特性図である。
【図9】姿勢に異常がある保持部材の側面図及び、光検出部の遮断量と時間とを対応付けた波形を示す特性図である。
【図10】光検出部の遮断量と時間とを対応付けた波形を示す特性図である。
【図11】本発明の他の実施の形態に係る基板搬送装置と光検出部を示す斜視図である。
【図12】前記他の実施の形態に係る基板搬送装置と光検出部を示す平面図である。
【図13】姿勢が正常な保持部材を示す平面図である。
【図14】図13の保持部材を検査したときの、光検出部の遮断量と時間とを対応付けた波形を示す特性図である。
【図15】姿勢に異常がある保持部材を示す平面図である。
【図16】図15の保持部材を検査したときの、光検出部の遮断量と時間とを対応付けた波形を示す特性図である。
【図17】姿勢に異常がある保持部材を示す平面図である。
【図18】図17の保持部材を検査したときの、光検出部の遮断量と時間とを対応付けた波形を示す特性図である。
【図19】本発明のさらに他の実施の形態に係る基板搬送装置と光検出部を示す平面図と側面図である。
【図20】本発明のさらに他の実施の形態に係る基板搬送装置と光検出部を示す平面図と側面図である。
【図21】本発明のさらに他の実施の形態に係る保持部材と光検出部を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の保持部材の姿勢判定装置の一実施の形態について説明するが、先ず、この姿勢判定装置を備えた基板処理装置の一例について簡単に説明する。図1は、基板処理装置に設けられた処理ブロックの一例を示すものであり、この処理ブロックには、基板に対して処理を行う基板処理部をなすモジュール1を多数備えた棚ユニットU1と、この棚ユニットU1に対向するように設けられた基板処理部2と、が設けられている。これら棚ユニットU1に設けられたモジュール1及び基板処理部2に対しては、基板搬送装置をなす搬送アーム3により、基板であるウエハWの受け渡しが行われるように構成されている。
【0018】
例えば棚ユニットU1には、加熱モジュールや冷却モジュール等の複数のモジュールが積層して設けられ、基板処理部2は例えばウエハWにレジスト液を塗布する基板処理や、ウエハWに現像液を供給する基板処理等が行われるように構成されている。図1中11は、各モジュール1と搬送アーム3との間でウエハWの受け渡しを行うための搬送口である。
【0019】
前記搬送アーム3は、図1〜図3に示すように、ウエハWの周囲を囲むように設けられた保持枠をなす複数枚例えば2枚のフォーク3(3A,3B)が夫々搬送基体31に沿って進退自在(図1中X軸方向に移動自在)に構成されると共に、前記搬送基体31が回転機構32により鉛直軸まわりに回転自在に構成されている。前記フォーク3A,3Bは、その基端側に設けられた進退駆動部33(33A,33B)により、例えば搬送基体31内部に設けられたタイミングベルトを用いた駆動機構(図示せず)により搬送基体31に沿って進退移動するように構成されている。また、この駆動機構のモータMはエンコーダEに接続され、このエンコーダEのパルス値は後述する制御部5に出力されるように構成されている。
【0020】
前記回転機構32の下方側には昇降台34が設けられており、この昇降台34は上下方向(図1中Z軸方向)に直線状に伸びる図示しないZ軸ガイドレールに沿って昇降自在に設けられている。この例ではZ軸ガイドレール及び昇降機構は夫々カバー体35により覆われており、このカバー体35はY軸方向に直線状に伸びるY軸ガイドレール36に沿って摺動移動するように構成されている。
【0021】
前記フォーク3A,3Bは例えば円弧状に形成され、図2及び図3に示すように、このフォーク3A,3Bの内縁から各々内側に突出すると共に、当該内縁に沿って互いに間隔を開けて設けられ、前記ウエハWの裏面側周縁部を載置するための3個以上の保持爪30が設けられている。この例では、フォーク3A,3Bと保持爪30とにより保持部材が構成されている。
【0022】
さらに、前記基板処理装置には、フォーク3A,3Bの変形を検出するための光検出部が設けられている。この光検出部としては、フォーク3A,3Bの上下方向の位置を光学的に検出するセンサが用いられ、この例では、水平かつ上下方向に幅を持つ光軸を形成するラインセンサ4により構成されている。このラインセンサは、例えばLED等からなる発光部41と受光部42とにより透過型センサとして構成されている。
【0023】
これら発光部41と受光部42は、搬送基体31を検査位置に配置して検査対象のフォーク3A(3B)を前方に伸び出させたときに、当該フォーク3A(3B)がその前を通過するように、フォーク3A(3B)の進行方向に対して側方に設けられ、フォーク3A(3B)を挟んで左右に対向するように配置されている。この例では、前記発光部41及び受光部42は、前記棚ユニットU1に組み込まれたモジュールの内、例えば一つのモジュール12の搬送口11の左右方向の両側近傍に夫々設けられている。
【0024】
また、ラインセンサ4は、発光部41及び受光部42が上下方向(図2中Z方向)に配列され、例えば図4に示すように、光軸40の上下方向の幅がフォーク3A(3B)の厚さと同じか大きくなるように構成されている。図4では、図示の便宜上光軸40の上下方向の幅がフォーク3A(3B)の厚さと同じである場合を描いている。前記発光部41からの光は、フォーク3A(3B)が光軸40の手前側(搬送基体31側)にあるときには、図4(a)に示すように受光部42に全て入射するが、フォーク3A(3B)がラインセンサ4の前を通過したときには、光軸40の全部又は一部がフォーク3A(3B)により遮断される。ここで、フォーク3A(3B)の姿勢が正常である場合とは、フォーク3A(3B)がその進退方向において略水平に伸びる状態であり、このように正常である場合には、フォーク3A(3B)がラインセンサ4を通過する間中、図4(b)に示すように光軸40の全部が遮断される。
【0025】
また、この例におけるフォーク3A(3B)の姿勢が異常である場合とは、フォーク3A(3B)がその進退方向において水平面から上下方向に曲がるように変形している状態をいう。この場合、図4(c)に示すように、フォーク3A(3B)の変形箇所がラインセンサ4を通過するときには、光軸40の一部が遮断される状態になる。このようにフォーク3A(3B)の変形の有無によって、フォーク3A(3B)が光軸40を遮断する程度が異なり、受光部42に入射する光量が変化するため、フォーク3A(3B)の上下方向の位置が検出できるように構成されている。
【0026】
前記受光部42は、具体的には受光素子が既述のように上下方向に例えば100個並んでおり、受光した受光素子の数に対応する大きさだけ電圧降下が起こり、その電圧降下分の電圧値が図5に示すA/D(アナログ/ディジタル変換部)43を介して制御部5に送られることになる。
【0027】
続いて、前記制御部5について図5を参照して説明する。この制御部5は、例えばコンピュータからなり、プログラム51、メモリ52、CPU53からなるデータ処理部を備えていて、前記プログラムには制御部5から基板処理装置の各部に制御信号を送り、所定の基板処理例えばレジストパターンの形成処理や、後述のフォーク3A,3Bの姿勢の検査処理を進行させるように命令(各ステップ)が組み込まれている。このプログラムは、コンピュータ記憶媒体例えばフレキシブルディスク、コンパクトディスク、ハードディスク、MO(光磁気ディスク)等の記憶部に格納されて制御部5にインストールされる。
【0028】
前記プログラムには、フォーク3A,3Bの姿勢を検査するモードである検査モードを実行するためのプログラムや、所定の基板処理を行うモードである処理モードを実行するためのプログラム等が含まれている。また、バス50には、アラーム出力部54や、A/D変換部43を介してラインセンサ4が接続されると共に、搬送アーム3の駆動機構、表示部55が接続されている。前記表示部55は例えばコンピュータの画面よりなり、この表示部55上において作業者が検査モードや処理モードを選択できるようになっている。また、この表示部55には、後述する検査結果や波形等が表示されるようになっている。
【0029】
さらに、前記検査モードを実行するプログラムには、データ取得プログラムや検査プログラム、判定プログラム等が含まれている。前記データ取得プログラムは、検査対象のフォーク3A(3B)をラインセンサ4に対して進退させたときに、当該フォーク3A(3B)の上下方向の位置と進退方向の位置とを対応付けたデータを取得するデータ取得部をなすものである。
【0030】
具体的には、このデータ取得プログラムは、搬送基体31を検査位置に配置し、対象となるフォーク3A(3B)をラインセンサ4の光軸40に向って前進させ、当該フォーク3A(3B)を駆動したときから、所定間隔でラインセンサ4からA/D変換部43を介して取り込んだ電圧値である受光出力を読み取り、上下方向の位置(光軸の遮断量)と進退方向の位置(時間)とを対応付けた関係データを作成してメモリ52に記憶するステップ群を有している。
【0031】
前記判定プログラムは、前記データ取得部により取得されたデータに基づいて、フォーク3A(3B)の姿勢に異常があるか否かを判定するステップ群を備えた判定部をなすものである。具体的には、前記フォーク3A(3B)の進退方向の位置に対して上下方向の位置を二次微分した値を演算し、この値に基づいてフォーク3A(3B)の姿勢が異常であるか否かを判定するように構成されている。
【0032】
前記アラーム出力部54は、判定プログラムにおいて、フォークの姿勢に異常があると判定されたときに、所定のアラーム出力を行うステップ群を備えている。前記アラーム出力は、表示部55への出力や、アラームランプの点灯、アラーム音の発生等である。
【0033】
前記取得データの一例について図6〜図9に示す。この例では、前記進退方向の位置を時間により取得している。検査対象のフォーク3Aをラインセンサ4に向けて前進移動させる開始時から等速でフォーク3Aを前進させているため、時間の測定により前記進退方向の位置が取得できるためである。また、前記上下方向の位置は、既述のように光軸40の遮断量により取得している。そして、図6〜図9に示す波形では、横軸が時間、縦軸が遮断量を示し、図6及び図7に示すデータは、フォークの姿勢に異常がない正常時のデータ、図8及び図9に示すデータは、フォークの姿勢に異常がある異常時のデータを夫々示している。また、図6(a)及び図8(a)は、搬送基体31を検査位置に配置し、検査対象のフォーク3Aをラインセンサ4に向けて前進移動の開始時の状態、図6(b)、図7(a)、図8(b)、図9(a)は夫々フォーク3Aを前進させている途中の状態、図7(b)、図9(b)はフォーク3Aの前進移動の終了時の状態を夫々示している。
【0034】
先ず、正常時のデータについて説明する。フォーク3Aの姿勢が正常である場合には、図6(a)に示すように、フォーク3Aの先端がラインセンサ4の手前側にあるときには、光軸40が遮断されないので遮断量がゼロとなり、フォーク3Aの先端が光軸40に差し掛かると、フォーク3Aの側面により、光軸40の上下方向の幅においてフォーク3Aの厚さに相当する幅の光軸が遮られる。このため、遮断量と時間とを対応付けたデータを取得して、これら遮断量と時間とを対応付けた波形(図6、図7)を作成すると、遮断量は当初はゼロであり、フォーク3Aの先端がラインセンサの光軸40に差し掛かかるタイミングで遮断量が最大量Paまで階段状に大きくなる(図6(b)参照)。それ以降は、当該光軸40がフォーク3Aの側面により遮られる状態が続くため、遮断量は最大量Paのままになる(図7(a)、(b)参照)。以降、遮断量がゼロのときを「OFF」といい、遮断量がゼロより大きい状態を「ON」という。
【0035】
一方、フォーク3Aの姿勢が異常である場合、例えば図8に示すように、フォーク3Aの先端側が上に向けて曲がっている場合には、フォーク3Aの先端が光軸40に差し掛かると、当該上下方向に幅のある光軸40の上部側から徐々にフォーク3Aにより遮られる。このため、遮断量と時間とを対応付けた波形(図8及び図9)を作成すると、遮断量はフォーク3Aの先端が光軸40に差し掛かかるタイミングでON状態となり、曲線を描いて大きくなる(図8(b)参照)。それ以降、フォーク3Aが略水平になっている部分については、当該光軸40はフォーク3Aの厚さに相当する分だけ遮られるため、遮断量は最大量Paになる(図9(a)、(b)参照)。
【0036】
また、フォーク3Aの先端側が下に向けて曲がっている場合には、フォーク3Aの先端が光軸40に差し掛かると、当該光軸40の下部側から徐々にフォーク3Aにより遮られる。このため、遮断量と時間とを対応付けた波形を作成すると、遮断量はフォーク3Aの先端が光軸40に差し掛かかるタイミングでON状態になり、曲線を描いて大きくなる。
【0037】
さらに、フォーク3Aの中央部に水平面から上下方向に曲がっている部位が存在する場合には、フォーク3Aの変形部位が光軸40に差し掛かると、光軸40の一部にフォーク3Aにより遮られない部分が発生する。従って、遮断量と時間とを対応付けた波形を作成すると、遮断量はフォーク3Aの変形部位が光軸40に差し掛かかるタイミングから、曲線状に変化する区間が存在する。
【0038】
つまり、フォーク3Aが水平面から上下方向に曲がるという姿勢の異常があるときには、既述の遮断量と時間とを対応付けたデータを取得して、これらを対応させた波形を作成すると、遮断量が曲線状に変化する区間が発生することになる。ここで、遮断量が曲線状に変化する区間は、時間(フォーク3A(3B)の進退方向の位置)に対して遮断量(フォーク3A(3B)の上下方向の位置)を二次微分した値が正となる。一方、図10(a)、(c)に示す波形のように遮断量が階段状に変化する場合には、時間(前記進退方向の位置)に対して遮断量(上下方向の位置)を一次微分した値は0になり、図10(b)に示す波形のように遮断量が時間に比例して変化する場合には前記一次微分した値は一定値となる。
【0039】
なお、図10(b)のような波形が得られる場合は、フォーク3Aのレベルが要因であり、このレベルとは部品寸法公差の積み上げによるものであるので、このような場合はフォーク3Aの姿勢が異常であるとは判定しない。また、図10(c)のように遮断量の最大量Paを越える波形が得られる場合は、フォーク3Aの移動時の揺れ等によるノイズが要因であるので、これらの場合には、フォーク3Aの姿勢の異常とは判定しない。従って、判定プログラムでは、図10(a)〜(c)の波形が得られる場合にはフォーク3Aの姿勢が正常であると判定し、図10(d)の波形が得られる場合にはフォーク3Aの姿勢が異常であると判定する。
【0040】
前記判定プログラムでは、具体的には、例えば0.1秒間隔でサンプリングを行い、前記遮断量がオン状態になった段階で、n番目のサンプリング時の遮断量Pnと、(n−1)番目のサンプリング時の遮断量P(n−1)とから、時間(前記進退方向の位置)に対して遮断量(前記上下方向の位置)を一次微分して得られる一次微分値dを(1)式により演算し、さらに二次微分して得られる二次微分値Dを(2)式により演算する。
【0041】
dn=Pn−P(n−1) ・・・(1)
Dn=dn−d(n−1) ・・・(2)
そして、二次微分値Dnが正となるサンプリング数をカウントし、このサンプリング数が設定値以上であればフォーク3Aの姿勢に異常があると判定する。また、サンプリング間隔を大きく設定しておき、二次微分値Dnが正となったときには、フォーク3Aの姿勢に異常があると判定するようにしてもよい。このようにすることにより、フォーク3Aの移動時の揺れやラインセンサ4のノイズにより、前記データにフォーク3Aの姿勢以外に起因する乱れが生じたとしても、この乱れは判定対象から除外されるため、フォーク3Aの姿勢異常を精度良く判定することができる。
【0042】
続いて、本発明において検査モードを実行する場合の作用を説明する。この検査モードは、例えば予め設定されたタイミングでモジュールとの間でウエハの搬送ができない場合等に基板処理装置から搬送エラーのアラームが出力されるが、この場合に選択される。このように検査モードが選択されると、検査プログラムが実行される。
【0043】
先ず、搬送アーム3の搬送基体31を検査位置まで移動する。この検査位置とは、搬送基体31が棚ユニットU1のモジュール12に臨み、フォーク3Aを前進させたときに、フォーク3Aが正常な姿勢であればラインセンサ4の光軸40を遮る位置である。そして、フォーク3Aを前進させると共に、このタイミングでデータのサンプリングを開始し、既述のように、フォーク3Aの上下方向の位置(光軸40の遮断量)と進退方向の位置(時間)とを対応付けたデータを取得し、このデータに基づいて、判定プログラムにより、フォーク3Aの姿勢に異常があるか否かを判定し、その評価を表示部55により出力する。
【0044】
そして、フォーク3Aの姿勢が正常であれば、フォーク3Aを後退させ、搬送基体31をフォーク3Bを検査する検査位置まで上昇させて、同様にフォーク3Bの姿勢について検査を行う。一方、フォーク3Aの姿勢に異常があれば、アラーム出力部54により所定のアラームを出力し、例えば装置を停止してフォーク3Aのメンテナンスを行う。また、フォーク3Bの姿勢について検査を行ってから、フォーク3Aのメンテナンスを行うようにしてもよい。
【0045】
フォーク3Bの検査についても同様に、姿勢の評価を表示部55により出力し、異常があればアラーム出力部54により所定のアラームを出力し、例えば装置を停止してメンテナンスを行う。フォーク3A,3B共に正常な場合や、メンテナンスにより姿勢が正常な状態に回復したときには、例えば表示部55により処理モードを選択して、既述の基板処理を再開する。
【0046】
以上において、上述の実施の形態では、フォーク3A(3B)をラインセンサ4に向けて前進させ、当該フォーク3A(3B)の上下方向の位置(光軸40の遮断量)と進退方向の位置(時間)とを対応付けたデータを取得して、このデータに基づいてフォーク3A(3B)の姿勢に異常があるか否かを判定している。このため、フォーク3A(3B)の姿勢について定量的な判定を行うことができ、確実に姿勢検査を行うことができる。
【0047】
さらに、フォーク3A(3B)をラインセンサ4に向けて前進させ、前記データを取得しているため、フォーク3A(3B)の先端側から基端側まで進退方向全体に亘って変形の有無を検出することができる。このため、フォーク3A(3B)の進退方向の一部に変形部位があったとしても、変形部位の検出を確実に行うことができる。
【0048】
さらにまた、作業者が検査モードを選択することにより、自動的にフォーク3A(3B)の姿勢に異常があるか否かを検査することができるため、作業者が基板処理装置内の狭い暗所で検査工程の多い作業を行なう必要がなく、作業者の負担が軽減し、容易にフォーク3A(3B)の姿勢検査を行うことができる。また、フォーク3A(3B)の姿勢検査に要する時間が短縮されることから、平均修復時間の削減を図ることができる。さらにまた、フォーク3A(3B)の上下方向の位置を検出しているため、フォーク3A(3B)の姿勢検査と同時に、フォーク3A(3B)の高さ位置の確認を行うことができる。
【0049】
続いて、本発明の他の実施の形態について図11〜図18を参照して説明する。この実施の形態は、フォーク3A,3Bの進退方向における左右方向の位置(図11中Y方向)を光学的に検出する光検出部を用い、フォーク3A,3Bの前記左右方向の位置と進退方向の位置とを対応付けたデータを取得し、このデータに基づいて、フォーク3A,3Bの姿勢に異常があるか否かを判定するものである。なお、図示の便宜上、図11ではフォーク3Bの図示を省略している。
【0050】
前記光検出部としては例えばラインセンサ6が用いられ、このラインセンサ6はフォーク3A,3Bの進退方向の左右両側に夫々設けられている。これらラインセンサ6A,6Bは、夫々LED等からなる発光部61A,61Bと受光部62A,62Bとを備え、鉛直かつ前記左右方向に幅を持つ光軸60A,60Bを形成する透過型センサとして構成されている。
【0051】
これら発光部61(61A,61B)と受光部62(62A,62B)は、搬送基体31を検査位置に配置して検査対象のフォーク3A(3B)を前方に伸び出させたときに、当該フォーク3A(3B)がその前を通過するように、フォーク3A(3B)の進行方向に対して側方に設けられ、フォーク3A(3B)を挟んで上下に対向するように配置されている。この例では、前記発光部61A,61B及び受光部62A,62Bは、棚ユニットU1に組み込まれたモジュール1の内、例えば一つのモジュール12の搬送口11近傍に夫々設けられている。
【0052】
ここで、前記フォーク3A,3Bは、図12に示すように、その外縁がフォーク3A,3Bの進退方向と略平行に伸びる部位34A,34Bを備えている。そして、フォーク3A,3Bの前記部位34A,34Bがラインセンサ6A,6Bの下方側を通過するときには、前記光軸60A,60Bの左右方向の幅の一部が前記部位34A.34Bにより夫々遮られるように構成されている。
【0053】
また、この例における制御部は、前記フォーク3A(3B)を前記ラインセンサ6に対して前進させたときに、当該フォーク3A,3Bの前記左右方向の位置と進退方向とを対応付けたデータを取得するデータ取得部と、姿勢が正常であるフォーク3A(3B)を前記ラインセンサ6に対して前進させたときに、当該フォーク3A(3B)の前記左右方向の位置と進退方向の位置を対応付けたデータを基準データとして記憶するデータ記憶部と、前記取得されたデータと前記基準データとを比較して、フォーク3A(3B)の姿勢に異常があるか否かを判定する判定部と、を備えている。
【0054】
ここで、姿勢が正常であるフォーク3Aを前記ラインセンサ6に対して前進させた場合について、図13及び図14を用いて説明する。図14は、当該フォーク3Aの前記左右方向の位置と進退方向の位置とを対応付けた基準データに基づく波形であり、図14(a)はラインセンサ6Aにより検出されたデータに基づく波形、図14(b)はラインセンサ6Bにより検出されたデータに基づく波形を夫々示す。この例においても、前記左右方向の位置は光軸60A,60Bの遮断量により、前記進退方向の位置は時間により夫々取得している。図中時刻T1から時刻T2までの時間は、フォーク3Aの前記部位34A,34Bがラインセンサ6A,6Bの下方側を通過する時間に相当する。このように、フォーク3Aの姿勢が正常である場合、前記部位34A,34Bがラインセンサ6A,6Bの下方側を通過するときには、光軸60A,60Bを遮断量Pbで遮断する。
【0055】
一方、姿勢に異常があるフォーク3Aを前記ラインセンサ6に対して前進させた場合について、図15〜図18を用いて説明する。この例における姿勢の異常とはフォーク3Aの開度の異常をいい、図15及び図16はフォーク3Aが左右方向に開くように変形した状態、図17及び図18はフォーク3Aが左右方向に閉じるように変形した状態を夫々示す。
【0056】
図15の例では、フォーク3Aの基端側から見て右側が開くように変形しているため、図16に示す当該フォーク3Aの前記左右方向の位置(遮断量)と前記進退方向の位置(時間)とを対応付けたデータを示す波形では、ラインセンサ6Aにより検出されたデータに基づく波形(図16(a))は正常時の波形と同様であるが、ラインセンサ6Bにより検出されたデータに基づく波形(図16(b))は正常時の波形とは大きく異なり、時刻T1〜時刻T2において、遮断量が前記遮断量Pbよりも大きくなる区間が存在する。
【0057】
また、図17の例では、フォーク3Aの基端側から見て左側が閉じるように変形しているため、図18に示す当該フォーク3Aの前記左右方向の位置と時間とを対応付けたデータを示す波形では、ラインセンサ6Bにより検出されたデータに基づく波形(図18(b))は正常時の波形と同様であるが、ラインセンサ6Aにより検出されたデータに基づく波形(図18(a))は正常時の波形とは大きく異なり、時刻T1〜時刻T2においては、遮断量が前記遮断量Pbよりも小さくなっている。
【0058】
従って、判定部にて、取得されたデータと基準データとを比較することによって、フォーク3A(3B)の姿勢に異常があるか否かが判定できる。具体的には、例えば時刻T1と時刻T2との間の遮断量に基づいて、これらの間における遮断量がしきい値の範囲内であればフォーク3A(3B)の姿勢が正常であると判定し、前記の間においてしきい値を超える区間があればフォーク3A(3B)の姿勢が異常であると判定する。前記しきい値は基準データに基づいて決定され、例えば遮断量Pbを基準としてPbの±5%以内に設定される。
【0059】
この例においても、フォーク3Aの姿勢を検査した後、フォーク3Aを後退させ、フォーク3Bを検査するときの検査位置に搬送基体31を移動して、フォーク3Bの姿勢の検査が行われる。当該実施の形態によれば、上述の実施の形態と同様に、フォーク3A,3Bの左右方向の姿勢の異常について、定量的に確実かつ容易に検出することができる。
【0060】
以上において、本発明では、図19に示すように、搬送基体31にラインセンサ4,6を取り付けるようにしてもよい。この例は、搬送基体31にフォーク3A,3Bの上下方向の位置を検出するラインセンサ4を設ける構成であるが、例えばラインセンサ4は、フォーク3A,3Bの進行方向の前方側におけるフォーク3A,3Bの通過領域の側方に支持部材44、45により夫々設けられている。また、光軸40の上下方向の幅は、例えば搬送基体31からフォーク3A,3Bを夫々前進させたときに、夫々のフォーク3A,3Bが光軸40を遮ることができるように設定され、例えばフォーク3A,3Bを同時に進退させて、これらフォーク3A,3Bの姿勢の異常を検査できるようになっている。
【0061】
さらに、搬送基体31にフォーク3A,3Bの前記左右方向の位置を検出するラインセンサ6を設ける場合には、例えばラインセンサ6を、図示しない支持部材により、フォーク3A,3Bの進行方向の前方側におけるフォーク3A,3Bの通過領域の側方に、ラインセンサ6が搬送基体31に近付く位置と離れる位置との間で移動自在に設ける。そして、基板処理を行う場合には、ラインセンサ6をウエハの受け渡し動作を阻害しない位置に設定し、フォーク3A,3Bの姿勢検査を行うときには、ラインセンサ6をフォーク3A,3Bの通過領域に移動させる。
【0062】
この実施の形態によれば、上述の実施の形態と同様に、フォーク3A,3Bの姿勢の異常について、定量的に確実かつ容易に検出することができる。また、ラインセンサ4,6が搬送基体31に取り付けられているので、搬送基体31を検査位置に移動させずにフォーク3A,3Bの姿勢検査を行うことができ、より姿勢検査に要する時間を短縮することができる。
【0063】
さらに、本発明では、光検出部として反射型の光センサ71を用いるようにしてもよい。この場合、フォーク3A,3Bの上下方向の位置を検出するときには、例えば図20(a)に示すように、フォーク3A,3Bの進行方向の前方側の側方に光センサ71を設ける。この光センサ71は、発光部72と受光部73がフォーク3A,3Bの進行方向に沿って並ぶように設けられており、発光部72からは水平かつ上下方向に幅のある光軸が発光され、フォーク3A,3Bが光センサ71の前を通過するときには、フォーク3A,3Bの側面により反射された光が受光部73に入射するように構成される。例えばフォーク3A,3Bが水平面から上向きに曲がっているときや下向きに曲がっているときには、受光量が少なくなるので、この受光部73における受光量により、フォーク3A,3Bの上下方向の位置を検出することができる。
【0064】
また、フォーク3A,3Bの前記左右方向の位置を検出する光検出部として反射型の光センサ74を用いた場合には、例えば図20(b)に示すように、鉛直かつ進退方向に対して左右方向に幅のある光軸を形成する発光部75及び受光部76を、フォーク3A,3Bの上方側又は下方側に、フォーク3A,3Bの進退方向に並ぶように設ける。このようにすると、フォーク3A,3Bが光センサ74の前を通過するときには、フォーク3A,3Bにより反射された光が受光部76に入射する。例えばフォーク3A,3Bの開度に異常があるときには受光量が変化するので、フォーク3A,3Bの左右方向の位置を検出することができる。
【0065】
さらにまた、本発明では、光検出部として、例えばレーザ光を利用する距離センサ81を用いるようにしてもよい。この場合、フォーク3A,3Bの上下方向の位置を検出するときには、例えば図21(a)に示すように、フォーク3A,3Bの進行方向の前方側の側方に距離センサ8を設ける。この距離センサ81は上下方向に多段に複数の距離センサが配置され、多数のレーザ光が出力されるように構成されている。この場合、フォーク3A,3Bが距離センサ81の前を通過するときには、フォーク3A,3Bの側面によりレーザ光が反射され、フォーク3A,3Bの側面までの距離が測定される。従って、図21(a)に示すように、フォーク3A,3Bの姿勢が正常である場合には、上下方向に配置された多数の距離センサ81の内、所定の距離センサ81による測定距離がほぼ同じとなる。一方、フォーク3A,3Bが水平面から上下方向に曲がっているときには、前記所定の距離センサ81による測定距離が異なって来るので、この上下方向の距離の違いにより、フォーク3A,3Bの上下方向の位置が検出できる。
【0066】
また、フォーク3A,3Bの前記左右方向の位置を検出するときには、例えば図21(b)に示すように、鉛直なレーザ光を出力する距離センサ82をフォーク3A,3Bの上下方向のいずれか一方に、フォーク3A,3Bの進行方向に対して左右方向に多数配列し、前記左右方向に多数のレーザ光を出力する。このようにすると、フォーク3A,3Bが距離センサ82の前を通過するときには、フォーク3A,3Bにより反射されたレーザ光によりフォーク3A,3Bまでの距離が測定される。フォーク3A,3Bが存在する箇所と存在しない箇所とでは測定距離が異なってくるので、この距離の違いにより、フォーク3A,3Bの左右方向の位置を検出することができる。
【0067】
さらに、光検出部としてCCDカメラを用いて、フォーク3A,3Bを光検出部に対して前進させたときに、当該フォーク3A,3Bを光学的に撮像して、フォーク3A,3Bの上下方向の位置又は進退方向に対して左右方向の位置を光学的に検出するようにしてもよい。
【0068】
また本発明では、保持部材を光検出部に対して後退させて、保持部材の上下方向の位置又は進退方向に対して左右方向の位置の少なくとも一方を取得するようにしてもよい。ここで、保持部材を光検出部に対して進退させるときの速度は、必ずしも一定である必要はなく、途中で変化させるようにしてもよい。例えば保持部材の速度を変化させる場合には、保持部材の進退方向の位置は、エンコーダのパルス値により取得することができる。
【0069】
さらに本発明では、データ取得部により取得された保持部材の上下方向の位置と進退方向の位置とを対応付けたデータに基づいて、前記進退方向の位置に対して上下方向の位置を一次微分した値を演算し、この値がしきい値を超えている場合には、保持部材の姿勢に異常と判定する判定部を設けて、この判定部により、保持部材の姿勢に異常があるか否かについて判定してもよい。
【0070】
さらに、データ取得部により取得されたデータに基づいて、保持部材の上下方向の位置と進退方向の位置とを対応付けた波形又は、保持部材の前記左右方向の位置と進退方向の位置とを対応付けた波形の少なくとも一方を表示する表示部を備えるようにしてもよい。この場合には、表示部に表示された波形を作業者が確認することにより、保持部材の姿勢に異常があるか否かを判定するようにしてもよい。このように波形により姿勢に異常があるか否かを判定する場合には、変形部位が保持部材の進退方向のどこにあるかを判断しやすく、仮に保持部材に変形部位があっとしても、メンテナンスが容易となる。
【0071】
また、本発明では、保持部材の上下方向の位置を検出する上下方向位置光検出部と、保持部材の進行方向に対する左右方向の位置を検出する左右方向位置光検出部の少なくとも一方を設ければよく、これら上下方向位置光検出部と左右方向位置光検出部を両方設けるようにしてもよい。
【0072】
さらに、保持部材の進行方向に対する左右方向の位置を検出する場合であっても、前記左右方向位置と進退方向位置とを対応付けたデータを取得し、この取得されたデータに基づいて、前記進退方向位置に対して前記左右方向の位置を微分した値に基づいて保持部材の姿勢に異常があると判定する判定部を設けて、保持部材の姿勢の検査を行うようにしてもよい。
【0073】
さらにまた、保持部材の姿勢の検査は、定期的に行うようにしてもよいし、メンテナンス終了後に、保持部材の姿勢の確認目的で行うようにしてもよい。さらに、保持部材の高さ位置の確認のために当該姿勢検査を行うようにしてもよい。
【0074】
さらに本発明は、基板を処理する基板処理部と、この基板処理部に対して基板の受け渡しを行う基板搬送装置を備えた全ての基板処理装置に適用できる。
【符号の説明】
【0075】
W 半導体ウエハ
1 モジュール
3 基板搬送装置
3A,3B フォーク
4、6 ラインセンサ
5 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持して搬送する保持部材が搬送基体に進退自在に設けられた基板搬送装置において、前記保持部材の異常の有無を判定する装置において、
前記保持部材を前進させたときに当該保持部材がその前を通過するように、保持部材の進行方向に対して側方に設けられ、当該保持部材の上下方向の位置及び前記進退方向に対して左右方向の位置の少なくとも一方を光学的に検出する光検出部と、
前記保持部材を前記光検出部に対して進退させたときに、当該保持部材の上下方向の位置と保持部材の進退方向の位置とを対応付けたデータ、及び保持部材の左右方向の位置と保持部材の進退方向の位置とを対応付けたデータの少なくとも一方のデータを取得するデータ取得部と、を備え、
前記取得されたデータに基づいて前記保持部材の姿勢に異常があるか否かが判定されることを特徴とする保持部材の姿勢判定装置。
【請求項2】
前記光検出部は保持部材の上下方向の位置を光学的に検出し、
前記データ取得部は保持部材の上下方向の位置と進退方向の位置とを対応付けたデータを取得するものであり、
前記取得されたデータに基づいて前記進退方向の位置に対して上下方向の位置を二次微分した値を演算し、この値に基づいて保持部材の姿勢の異常の有無を判定する判定部を備えたことを特徴とする請求項1記載の保持部材の姿勢判定装置。
【請求項3】
保持部材の上下方向の位置を光学的に検出する光検出部は、水平かつ上下方向に幅のある光軸を形成する光センサであり、前記光軸を保持部材により遮断するときの遮断量により、保持部材の上下方向の位置を検出することを特徴とする請求項1又は2記載の保持部材の姿勢判定装置。
【請求項4】
前記保持部材は基板の周囲を囲むように設けられた保持枠を備え、
前記光検出部は保持部材の前記左右方向の位置を光学的に検出し、
前記データ取得部は保持部材の前記左右方向の位置と進退方向の位置とを対応付けたデータを取得するものであり、
この取得されたデータに基づいて、前記保持枠の開度に異常があるか否かが判断されることを特徴とする請求項1記載の保持部材の姿勢判定装置。
【請求項5】
前記保持部材の前記左右方向の位置を検出する光検出部は鉛直かつ前記左右方向に幅のある光軸を形成する光センサであり、光軸を保持部材により遮断するときの遮断量により、保持部材の前記左右方向の位置を検出することを特徴とする請求項1又は4記載の保持部材の姿勢判定装置。
【請求項6】
前記データ取得部により取得されたデータに基づいて、保持部材の上下方向の位置と進退方向の位置を対応付けた波形及び保持部材の前記左右方向の位置と進退方向の位置とを対応付けた波形の少なくとも一方を表示する表示部を備えたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一つに記載の保持部材の姿勢判定装置。
【請求項7】
基板に対して処理を行う基板処理部と、
進退自在に設けられた保持部材により基板を保持して、前記基板処理部に対して基板の搬送を行う基板搬送装置と、
請求項1ないし6のいずれか一つに記載の保持部材の姿勢判定装置と、を備えたことを特徴とする基板処理装置。
【請求項8】
基板を保持して搬送する保持部材が搬送基体に進退自在に設けられた基板搬送装置において、前記保持部材の異常の有無を判定する方法において、
前記保持部材を前進させたときに当該保持部材がその前を通過するように、保持部材の進行方向に対して側方に設けられた光検出部により、当該保持部材の上下方向の位置及び前記進退方向に対して左右方向の位置の少なくとも一方を光学的に検出する検出工程と、
前記保持部材を前記光検出部に対して進退させたときに、当該保持部材の上下方向の位置と保持部材の進退方向の位置とを対応付けたデータ、及び保持部材の前記左右方向の位置と保持部材の進退方向の位置とを対応付けたデータの少なくとも一方のデータを取得するデータ取得工程と、を含み、
前記取得されたデータに基づいて前記保持部材の姿勢に異常があるか否かが判定されることを特徴とする保持部材の姿勢判定方法。
【請求項9】
前記検出工程は保持部材の上下方向の位置を光学的に検出するものであり、
前記データ取得工程は保持部材の上下方向の位置と進退方向の位置とを対応付けたデータを取得するものであり、
前記取得されたデータに基づいて進退方向の位置に対して上下方向の位置を二次微分した値を演算し、この値に基づいて保持部材の姿勢の異常の有無を判定する判定工程を含むことを特徴とする請求項8記載の保持部材の姿勢判定方法。
【請求項10】
保持部材の上下方向の位置を光学的に検出する光検出部は水平かつ上下方向に幅のある光軸を形成する光センサであり、前記光軸を保持部材により遮断するときの遮断量により、保持部材の上下方向の位置を検出することを特徴とする請求項8又は9記載の保持部材の姿勢判定方法。
【請求項11】
基板を保持して搬送する保持部材が搬送基体に進退自在に設けられた基板搬送装置において、前記保持部材の異常の有無を判定する装置に用いられるコンピュータプログラムを格納した記憶媒体であって、前記プログラムは、請求項9又は10記載の保持部材の姿勢判定方法を実行するようにステップ群が組まれていることを特徴とする記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−89809(P2012−89809A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−237843(P2010−237843)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】