説明

保管システム

飲酒検知装置と、飲酒検知装置によって行われた測定に基づいて保管物品を選択的に解放する保管ユニットに保管物品を保管するための保管ユニットとを備えた自動保管システム。一つの構成において、飲酒検知装置は血中アルコール含量分析値を与え、保管ユニットは前記血中アルコール含量分析値が所定の値よりも低いときに保管物品を解放する。反対に、保管ユニットは血中アルコール含量分析値が所定の値に達したときに保管物品を保持する。別の構成において、飲酒検知装置によって行われた測定に基づいて送迎サービスに連絡を取るための回路構成を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して飲酒ドライバーの数を制限するためのシステムに関し、特に飲酒検知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
合衆国やほかの多くの国において、飲酒運転は大きな問題となっている。多くの機関や組織の努力にもかかわらず、人々は飲酒運転を続ける。この努力の例として、取締官は、酔っていると疑われるドライバーに対して実地飲酒検査を実施し、飲酒検問所を設置するといった、飲酒運転との戦いにおいて受身の対策を採用してきた。これらの受身の対策は、道路から飲酒ドライバーを排除するには多少効果的ではあるが、酔ったドライバーが実際に車を運転してほかの人の安全を脅かすまで用いることができないという点で、固有の欠陥を有している。
【0003】
これに対し、警察およびマザーズ・アゲインスト・ドランク・ドライビング(MADD)のような組織は、酒酔い運転の問題に対抗する積極的な対策を採用している。例えば、警察官は、ときどき国民学校やコミュニティセンターを訪問して酒酔い運転が引き起こす法律上と道徳上の問題を説明し、MADDは、このような無責任な行為の結末について一般市民に警告する公共サービス情報を放送している。一部の人たちは飲みすぎて運転できないときはタクシーに乗って帰宅するが、多くの人はほかの人を車で家へ送るために飲酒しないドライバーを懇親会のグループの中から指名することから、これらの方法は、民衆への効果が多少あるように見える。
【0004】
これらの積極的な対策は確かに酒酔い運転の流行を規制するのに役立つが、欠点がある。すなわち、多くの状況において、飲酒ドライバーはそれでもなおキーに手を伸ばす。その結果、飲酒運転によって引き起こされる事故や死者の数は、非常に多いままである。したがって、必要とされているものは、飲酒ドライバーがキーを使用することを防止し、ドライバーが飲酒していないときにのみキーを解除するシステムである。
【発明の開示】
【0005】
本発明は、自動保管システムに関する。このシステムは、飲酒検知装置と、キーなどの保管物品を保管するための保管ユニットを備えている。保管ユニットは、飲酒検知装置によって行われた測定に基づいて保管物品を選択的に解放する。一つの構成として、飲酒検出装置は血中アルコール含量分析装置を備えていてもよい。この構成においては、保管ユニットは、血中アルコール含量分析値が所定の値よりも低いときに保管物品を解放し、血中アルコール含量分析値が所定の値に達したときに保管物品を保持することができる。
【0006】
このシステムはまた、飲酒検知装置によって行われた測定に基づいて送迎サービスに連絡を取るための回路構成を有していてもよい。一つの配置として、飲酒検知装置は血中アルコール含量分析装置を備えており、その回路構成は、血中アルコール含量分析値が所定の値に達したときに送迎サービスに連絡を取ることができる。一形態において、送迎サービスはタクシー、牽引トラック、配送サービスであってもよい。
【0007】
このシステムはさらに、ユーザーから支払いを受け取るための構成を有していてもよい。一つの構成として、その構成は電子取引カードからデータを受け取るための回路構成を備えている。さらに、このシステムは、ユーザーインターフェースを有していてもよい。そのユーザーインターフェースは、飲酒検知装置により行われた測定結果を表示し、少なくとも一つの測定値は血中アルコール含量分析値である。
【0008】
このシステムはまた、このシステムを用いる個人の少なくとも一つの生物測定の特徴を識別するための生物測定識別装置を有していてもよい。一形態において、少なくとも一つの生物測定の特徴は、指紋、網膜スキャン、または虹彩スキャンである。
【0009】
本発明はまた、物品の保管方法に関する。この方法は、少なくとも一つの物品を受け入れるステップと、この物品を保管ユニットに保管するステップと、飲酒検知装置により測定を行って飲酒検知装置によって行われた測定に基づいて保管された物品を選択的に解放するステップを含んでいる。一形態において、この方法はさらに、飲酒検知装置により行われた測定に基づいて送迎サービスに連絡を取るステップを含んでいてもよい。この方法はまた、生物測定識別装置を準備するステップと、生物測定識別装置で個人の少なくとも一つの生物測定の特徴を識別するステップを含んでいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1は、本発明の構成による自動保管システムを示す。
【0011】
図2は、本発明の構成による飲酒検知装置を示す。
【0012】
図3は、本発明の構成による別の飲酒検知装置を示す。
【0013】
図4は、本発明の構成による別の飲酒検知装置を示す。
【0014】
図5は、本発明の構成による生物測定識別装置を示す。
【0015】
図6は、本発明の構成による別の生物測定識別装置を示す。
【0016】
図7は、本発明の構成によるさらに別の生物測定識別装置を示す。
【0017】
図8は、本発明の構成による自動保管システムに物品を自動的に保管する方法を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の構成による自動保管システム100を図1に示す。このシステム100は、一つ以上の物品112を保管するための保管ユニット110を備えている。一例として図1に示すように、物品112は一組のキーであってもよく、少なくともその一つは車両や船舶のイグニッションキーであってもよい。しかし、本発明はそれに限定されるものではなく、物品112は銃器などの保管に適したほかのアイテムであってもよい。保管ユニット100は、物品112を保管するための一つ以上の保管容器114を収納していてもよい。
【0019】
システム100はまた、中枢マイクロプロセッサ116、ユーザーインターフェース118、生物測定識別装置120、飲酒検知装置122、支払受領装置124、通信回路126を有していてもよい。制御インターフェースとデータインターフェースは、中枢マイクロプロセッサ116が保管ユニット110、ユーザーインターフェース118、生物測定識別装置120、飲酒検知装置122、支払受領装置124、通信回路126の動作を制御することを可能にするために備えられていてもよい。
【0020】
飲酒検知装置122は、システム100のユーザーが酔っているか、アルコールや薬物の影響を受けていないかどうかを判断するために構成されていてもよい。一つの構成において、飲酒検知装置122は、ユーザーから呼気サンプル受け取り、例えば、アルコールの存在についてそのサンプルを分析することができる。あるいは、飲酒検知装置122は、ユーザーから指などの体の一部を受け入れ、その体の一部を通した光の屈折を分析してその人の血中アルコール濃度(BAC)を決定することができる。しかし、当業者は、飲酒検知装置122がユーザーのシステムにおいてほかのアルコール飲料の存在を検知するために設計可能であることを理解するだろう。本発明の構成によるいくつかの飲酒検知装置122の例については、以下で論ずる。
【0021】
生物測定識別装置120は、ユーザーの少なくとも一つの生物測定の特徴を測定するために用いることができる。システム100へ生物測定識別装置120を導入することで、二つの目的が果たされる:(1)ユーザーから生物測定データを収集することができ、確実に保管物品112が許可されていない人に解放されないようにするために、その後に収集されたデータを照合することができる;そして(2)生物測定識別装置120へサンプルを提供する人がサンプルを与える意向がある人であることを保障することができる。測定可能な生物測定の特徴の例は、ユーザーの指紋、網膜スキャン、または虹彩スキャンである。当業者ならば、生物測定識別装置120がほかの独自の生物測定の特徴を識別、分析するために設計可能であることを理解するであろう。好適な生物測定識別装置120のいくつかの例についても、以下で提示する。
【0022】
支払受領装置124は、システム100の動作のための支払いを保障するために使用可能である。処理を開始または完了するために、支払受領装置124は、システム100の動作のための支払いとして、紙幣と硬貨を受入れ可能である。さらに、支払受領装置124は、クレジットカード、デビットカード、記憶された対価カードなどの電子取引カードから支払を受入れ可能である。このような装置の設計や実装はよく知られているので、当業者であれば、支払受領装置124が特定のモデルやシステムに限定されないことを理解するであろう。
【0023】
通信回路126は、中枢マイクロプロセッサ116から信号を受信したときに、一つ以上の構成要素と連絡を取るのに適した通信システムであればよい。一例として、通信回路126は、一次切替電話機回路網(PSTN)(図示せず)上で電話信号を送受信することのできる標準的な電話システムであってもよい。あるいは、通信回路126は、無線通信回線128を経由して信号の送受信が可能な無線通信システムであってもよい。いずれのラジオ周波数(RF)規格でも、無線通信回線128上の信号の送信に用いることができる。ここで定義すると、RFは、適切な媒体を介して無線で伝搬することのできる電磁波を意味する。別の構成において、通信回線126は、インターネットなどの通信ネットワーク上でデータを送受信するためのモデムを備えていてもよい。
【0024】
どちらの実施例でも、通信回路126は、送迎サービス受信装置130などの受信用の構成要素へサービス信号を送信することができる。このサービス信号は、システム100のユーザーが支援を必要とする、例えば、タクシー、牽引トラック、配送サービスなどの送迎サービスに連絡するための予め録音されたメッセージであってもよい。配送サービスは、例えば、目的地へ無料乗車できない人を援助する組織であってもよい。本発明は、これらの例に限定されるものではなく、通信回路126は、乗客を輸送するのに適したどのようなサービスや団体に連絡してもよい。予め録音されたメッセージは、送迎サービス受信装置130により受信可能な音声録音であってもよい。あるいは、予め録音されたメッセージは、モニターにより表示可能な視覚メッセージであってもよい。どちらの実施例においても、メッセージはシステム100の位置、したがって、支援を必要とする人の位置を含んでもよい。
【0025】
ユーザーインターフェース118は、システム100のユーザーへ情報を表示することができる。例えば、ユーザーインターフェース118は、ユーザーへシステム100の操作についての指示を表示することができ、飲酒検知装置120により行われた測定の結果を表示することができる。一つの構成において、ユーザーインターフェース118は、明るく点灯された領域でその操作を可能にする液晶ディスプレイ(LCD)であってもよい。
【0026】
図1と図2に、本発明の構成による飲酒検知装置122を示す。この特定の例は、一般にブレサライザーと呼ばれる呼気アルコール試験装置としての飲酒検知装置122を図解している。このような装置は、人のBACを測定するためのアルコールを含んだ化学反応剤に依存している。飲酒検知装置122は、マウスピース210、チューブ212、サンプル室214、圧力スイッチ216、飲酒検知マイクロプロセッサ218、光電セルシステム220、呼気分析で用いられる化学薬品を保管するための複数のバイアル222を含んでいる。チューブ212は、マウスピース210に取り付けられ、ユーザーからサンプル室214へ吐き出された空気を導くことができる。伝染病の拡散を防止し、全面的に衛生的な状態を確保するために、マウスピース210は、プラスチックストローのような、使用後に便利に取り外しできる使い捨ての細長いチューブであってもよい。
【0027】
さらに、光電セルシステム220とバイアル222は、サンプル室214内に収容されており、圧力スイッチ216は、チューブ212内に位置している。一つの構成において、圧力スイッチ216は、その入口の圧力が所定の閾値に達したときに電気的に閉じるように構成されていてもよい。飲酒検知マイクロプロセッサ218は、光電セルシステム220の動作を制御し、圧力スイッチ216からの信号を受信することができる。飲酒検知マイクロプロセッサ218はまた、中枢マイクロプロセッサ116から信号を受信し、信号を送信することができる。
【0028】
ユーザーの呼気がチューブ212を通過すると、圧力スイッチ216の入口の圧力が増加する。その圧力が所定の閾値に達すると、圧力スイッチ216は電気的に閉じ、その結果、条件を満たした呼気サンプルを受領したという信号を飲酒検知マイクロプロセッサ218へ送る。飲酒検知マイクロプロセッサ218が所定の時間内に圧力スイッチ216から信号を受信しないときは、飲酒検知マイクロプロセッサ218は中枢マイクロプロセッサ116へ信号を送る。それに応答して、中枢マイクロプロセッサ116は、ユーザーへ別の呼気サンプルを提供することを要求するように、ユーザーインターフェース118へ指示する。飲酒検知マイクロプロセッサ218が圧力スイッチ216から信号を受信した後、マイクロプロセッサ218は光電セルシステム220へ信号を送る。
【0029】
呼気サンプルはサンプル室214へ入り、少なくとも一つのバイアル222中の化学混合物を通してバブリングされ、その結果、化学反応を起こす。一例として、呼気サンプルは、硫酸、重クロム酸カリウム、硝酸銀、水を含む混合物を通してバブリングされる。この反応の副生成物には、硫酸クロム、硫酸カリウム、酢酸が含まれる。この反応中、呼気サンプル中に存在するアルコールと反応して、赤みを帯びた橙色の重クロム酸イオンが緑色のクロムイオンに変化する。この色の変化の程度は、吐き出された空気中のアルコールのレベルに直接関係する。
【0030】
光電セルシステム220は、反応済の混合物を含むバイアル222を未反応の混合物を含むバイアル222と比較する。その二つの混合物の色の違いに基づき、光電セルシステム220は電気的信号を発生してその信号を飲酒検知マイクロプロセッサ218へ送信する。飲酒検知マイクロプロセッサ218は、その電気的信号に基づきBAC値を出し、その値を中枢マイクロプロセッサ116へ送る。
【0031】
図3に本発明の構成による別の飲酒検知装置122を示す。この例では、BACを測定するために、飲酒検知装置122は、分子が光を吸収することに基づいて分子を同定する技術である赤外分光法を用いている。この種の装置は、通常、イントキシライザーと呼ばれる。図2と関連させて説明した呼気アルコール試験装置と同様に、図3の飲酒検知装置122はマウスピース210、マウスピース210に取り付けられたチューブ212、サンプル室214を含んでおり、チューブ212はユーザーの吐いた呼気をサンプル室214へ導くことができる。さらに、飲酒検知システム122は、圧力スイッチ216、飲酒検知マイクロプロセッサ218、光電セルシステム220を含んでいる。
【0032】
飲酒検知装置122はまた、赤外光を放射する光源224、光源224から放射された赤外光の焦点を合わせるための一つ以上のレンズ226、回転可能なフィルターホイール228を有している。一つの構成において、光源224は、広帯域(または複数波長)の赤外線を放射できる石英灯である。飲酒検知マイクロプロセッサ218は、光源224、光電セルシステム220、フィルターホイール228の動作を制御し、圧力スイッチ216から信号を受信する。
【0033】
この技術において知られているように、分子中のそれぞれのタイプの化学結合は、異なった波長の赤外光を吸収する。呼気サンプル中のエタノール−アルコール飲料に含まれるアルコール−の量は、赤外光がエタノール結合により吸収される波長と、この結合によって吸収される赤外光の量に正比例する。結果として、フィルターホイール228は、エタノール中の化学結合が赤外光を吸収する波長に限定された複数の狭帯域フィルター230を含んでいる。
【0034】
動作中、ユーザーは呼気サンプルを提供し、呼気サンプルからの圧力上昇が所定の閾値に達すると圧力スイッチ216は飲酒検知マイクロプロセッサ218へ信号を送る。もしそうならば、飲酒検知マイクロプロセッサ218は光源224、フィルターホイール228、光電セルシステム220を起動させる。赤外光はサンプル室214(および呼気サンプル)を通過し、レンズ226はその光をフィルターホイール228上に収束させる。フィルターホイール228が回転すると、その赤外光は狭帯域フィルター230を通過して光電セルシステム220上に進む。
【0035】
光電セルシステム220に達した赤外光の量は、呼気サンプル中のエタノールのレベルに反比例する。例えば、光電セルシステム220に達した赤外光の量が少ないほど、呼気サンプル中のエタノールの量は多い。光電セルシステム220は、受信した赤外光を電気的信号に変換し、この信号を飲酒検知マイクロプロセッサ218へ送信し、飲酒検知マイクロプロセッサ218はこの信号からBACを生成してその値を中枢マイクロプロセッサ116へ送る。
【0036】
図4に、本発明の構成による飲酒検知装置122のさらに別の例を示す。この特定の例において、飲酒検知装置122は、人のBACを測定するために燃料電池技術を採用している。飲酒検知装置122は、チューブ212に取り付けられるマウスピース210を含み、それはユーザーの呼気サンプルをサンプル室214へ導く。飲酒検知装置122はまた、圧力スイッチ216と飲酒検知マイクロプロセッサ218を有している。
【0037】
一つの構成において、飲酒検知装置122は、好ましくは白金から構成された少なくとも二つの電極232、電極232の間に挟まれた酸電解質234を含んでいる。飲酒検知装置218は、圧力スイッチ216、中枢マイクロプロセッサ116、二つの電極232と電気的に接続している;飲酒検知マイクロプロセッサ218は、ワイヤー234を通じて二つの電極に接続している。
【0038】
ユーザーが息を吐くと、サンプルが所定の閾値に達したときに圧力スイッチ216が飲酒検知マイクロプロセッサ218へ信号を発する。呼気サンプルはチューブ212からサンプル室214に入り、吐き出された空気は一つの電極232を横切って流れ、その電極232はサンプル中に存在するすべてのエタノールを酸化して、酢酸、水素イオン、電子を生成させる。この電子はワイヤー234を通って、ほかの電極232上へ流れる。水素イオンは酸電解質234を通って移動し、呼気サンプルに由来する電子と酸素と結合して水を生成する。
【0039】
呼気サンプル中のアルコールの量は、ワイヤー234を通って流れる電流に正比例する。例えば、サンプル室214で酸化されるアルコールが多いほど、ワイヤー234を通って流れる電子の数が多くなる。この電流に基づいて、飲酒検知マイクロプロセッサ218はBAC値を算出し、この値を中枢マイクロプロセッサ116へ送信する。
【0040】
本発明で用いられる別の飲酒検知装置の例は、図3を用いて説明した飲酒検知装置122と同様の原理にしたがって動作するものであるが、呼気サンプルを必要としない。この飲酒検知装置は、指などの体の一部を受け入れるための一つ以上の開口部を有する筐体を備えている。この筐体は、少なくとも一つの光源と、分光検出器を備えており、光源と分光検出器は実質的に相互に対向して位置している。筐体はまた、飲酒検知マイクロプロセッサを備えており、この飲酒検知マイクロプロセッサは光源と分光検出器に接続してこれらの動作を制御する。
【0041】
光源は、多色光線を照射し、例えば、タングステン−ハロゲンランプまたは一つ以上の発光ダイオードである。この構成の目的のために、光という用語は可視スペクトルの内側と外側の両方の電磁放射を包含する。一つの構成において、光源は約650nmから2700nmの波長を有する近赤外領域の光を照射する。分光検出器は光源から放射された光の異なった波長の強度を感知し、この強度の情報を飲酒検知マイクロプロセッサへ送信する。限定されない一例として、分光検出器はこれらの強度を感知するための回折格子を採用してもよい。
【0042】
動作において、中枢マイクロプロセッサ116(図1参照)は飲酒検知マイクロプロセッサへ信号を送り、光源と分光検出器を起動させる。ユーザーは開口部にその体の一部を置く。光源から照射された光は体の一部を透過し、分光検出器は受信した照射光の強度を測定する。当業者ならばエタノールが約1190nmにはっきりとした分光吸光度を有しており、この周波数の近傍で体の一部から現れた光の強度は、照射光の経路におけるアルコール量に比例することを知っている。したがって、分光検出器で検出したときに、その周波数の近傍の低強度の光は、高いBACを示す。
【0043】
分光検出器は、その強度の情報を飲酒検知マイクロプロセッサへ送信し、それは光源により照射されたその波長の強度とその測定された強度の情報を比較する。この比較に基づいて、飲酒検知マイクロプロセッサはBACを生成し、この値を中枢マイクロプロセッサ116(図1を参照)へ送信する。
【0044】
本発明は前述の例に決して限定されるものではなく、人が酔っているか、あるいは精神状態を変化させる薬物やアルコール飲料から実質的に影響を受けていないかどうかを判断するためにあらゆる適切な装置を用いることができる。実際に、当業者は、上述の一つ以上の飲酒検知装置がアルコール以外の物質を検出するために構成可能であることを理解するだろう。
【0045】
図5に、本発明の構成による生物測定識別装置120の一例を示す。この例において、生物測定識別装置120は、指紋のデジタル化されたイメージを生成し、そのイメージを保存して、その後に取得された指紋のイメージと比較する。生物測定識別装置120は、少なくとも一部が不揮発性であるメモリー312を備えた生物測定マイクロプロセッサ310、プラテン314、光源316、指紋スキャナー318、圧力スイッチ320を備えている。
【0046】
光源316は、プラテン314に向いた直接光であって、例えば、発光ダイオードである。プラテン314はまた、照射光の波長に対して透明であり、生物測定マイクロプロセッサ310に電気的に接続した圧力スイッチ320を備えている。圧力スイッチ320は、ユーザーが指をプラテン314に載せたときに感知し、生物測定マイクロプロセッサ310に信号を送る。さらに、生物測定マイクロプロセッサ310は、光源316と指紋スキャナー318の動作を制御する。指紋スキャナー318は、指紋のイメージをスキャン可能などのような生物測定装置であってもよく、もし必要であれば、このイメージをデジタル化されたイメージへ変換可能である。
【0047】
動作において、ユーザーが指をプラテン314上に置き、圧力スイッチ320が生物測定マイクロプロセッサ310に信号を送る。生物測定マイクロプロセッサ310は、指紋スキャナー318と光源316に信号を送り、光源はユーザーの指紋のスキャンされたイメージを作成するのに必要な光を照射する。その光はプラテン314を透過し、ユーザーの指に当たり、指紋スキャナー318へ反射された光を与える。
【0048】
その反射光から、指紋スキャナー318はユーザーの指紋のスキャンされたイメージを作成し、そのイメージをデジタル信号に変換する。指紋スキャナー318は、この信号を生物測定マイクロプロセッサ310へ送り、生物測定マイクロプロセッサ310はそのデジタルイメージをメモリー312へ保存する。生物測定マイクロプロセッサ310は、上の記述にしたがって得た次のデジタルイメージを、メモリー312に保存されているデジタル化されたイメージと比較する。生物測定マイクロプロセッサ310は、中枢マイクロプロセッサ116(図1参照)へその比較結果を送信する。
【0049】
別の構成においては、生物測定識別装置120は、測定される生物測定の特徴として用いるために、ユーザーの虹彩のイメージを得る。この生物測定識別装置120の例を図6に示す。ここで、生物測定識別装置120は、不揮発性のメモリー312を有する生物測定マイクロプロセッサ310、カメラ322、カメラ322を保護するためのスクリーン324を備えている。生物測定マイクロプロセッサ310は、カメラ322の動作を制御する。
【0050】
生物測定識別装置120がユーザーの虹彩を測定する準備ができると、生物測定マイクロプロセッサ310はカメラ322へ信号を送り、カメラ322はユーザーの虹彩のイメージを得てこのイメージをデジタル信号へ変換する。カメラ322は、人の虹彩のイメージを記録してこのイメージを必要に応じてデジタル信号へ変換するのに好適であればどのようなカメラであってもよい。カメラ322は、ユーザーの虹彩のデジタル化された信号を生物測定マイクロプロセッサ310へ送信し、生物測定マイクロプロセッサはその信号をメモリー312に保存する。図5に関連して説明したシステムと同様に、生物測定マイクロプロセッサ310は保存されたデジタル化イメージをその後に取得されたイメージと比較して、その比較の結果を中枢マイクロプロセッサ116(図1を参照)へ送信する。
【0051】
本発明の構成による生物測定識別装置120のさらに別の例を図7に示す。図5、図6に関連して説明した前の二つの例のように、図7の生物測定識別装置120は、生物測定マイクロプロセッサ310とメモリー312を備えている。しかし、この例においては、生物測定識別装置120は人の網膜の奥の毛細血管パターンをマッピングするための赤外スキャナー324を備えている。その赤外スキャナー324はまた、このイメージをデジタル信号へ変換する。赤外スキャナー324は、網膜スキャンを実行してスキャンされたイメージを必要に応じてデジタル信号へ変換するのに好適であればどのようなスキャナーであってもよい。
【0052】
最初の網膜スキャン(ユーザーの網膜に関する情報がメモリー312にその時点で保存されていない場合)のために、赤外スキャナー324はディスプレイ326も備えている。ディスプレイ326は、赤外スキャナー324が毛細血管パターンをマッピングすることを可能にするために、ユーザーが目を追跡記録する必要がある標的のイメージと、この技術でよく知られておりさらなる説明に値しない処理方法を映し出す。生物測定マイクロプロセッサ310は、赤外スキャナー324とディスプレイ326の動作を制御する。
【0053】
動作において、生物測定マイクロプロセッサ310は、網膜スキャンを行うために赤外スキャナー324へ信号を送る。一旦それがなされると、赤外スキャナー324はイメージをデジタルに変換し、このイメージを生物測定マイクロプロセッサ310へ送信し、生物測定マイクロプロセッサはデジタルイメージをメモリー312に保存する。生物測定マイクロプロセッサ310は、保存されたデジタル化イメージをその後にデジタル化された網膜イメージと比較し、その比較の結果を中枢マイクロプロセッサ116に送信する。
【0054】
生物測定識別装置120のいくつかの例を示したが、本発明はこれらの特定のシステムに決して限定されるものではない。当業者であれば、生物測定の特徴を測定するのに適したほかのシステムが使用可能であることを理解するだろう。実際、本発明は生物測定識別装置を使用する必要がなく、図1のシステム100はそのようなシステムがなくとも動作可能である。
【0055】
図8に示すように、図1のシステム100の動作例を示す方法400を紹介する。図1のシステム100は、方法400の動作の説明を補助するために用いられる;しかし、方法400は、システム100における使用に限定されるものではなく、方法400はどのようなほかの適切なシステムでも使用可能である。ステップ410において、このプロセスが開始し、ユーザーインターフェース118がユーザーへ支払指示を与える。ステップ412において、支払受領装置124が支払情報を受け取る。いったん支払情報が認証されると、ユーザーインターフェース118がユーザーへしかるべき生物測定サンプルを提供するように促し、生物測識別装置120がステップ414に示すように生物測定の特徴を測定する。この時点で、ユーザーが以前にこのシステム100を使用したことがなければ、生物測定の特徴の測定がメモリーに保存される。
【0056】
ステップ416において、ユーザーインターフェースはユーザーにシステム100に保管する物品112を預けるように促し、物品112はステップ418に示すように保管ユニット110に保存される。ステップ420において、ユーザーが保管された物品112の取り出しの準備ができると、ユーザーインターフェース118はユーザーにもう一度生物測定サンプルを提供するように指示する。ステップ422において、生物測定識別装置は生物測定の特徴を測定して、ステップ424に図示するように、この測定をメモリーに保存されたほかのサンプルと比較する。
【0057】
判定ブロック426において、測定された特徴が保存されたどの生物測定ファイルとも一致しない場合、方法400はステップ422へ戻り、ユーザーインターフェース118はユーザーへ別の生物測定サンプルを提供するように要求する。一致した場合、方法400はステップ418へ進み、そこでユーザーインターフェースはユーザーへ飲酒検知装置122によって分析されるしかるべき飲酒サンプルを提供するように指示する。判定ブロック430において、飲酒検知装置122が測定された飲酒サンプルは規定の値よりも低いと判断すると、飲酒検知装置122は中枢マイクロプロセッサ116へ信号を送り、ステップ432に示すように、中枢マイクロプロセッサは保管ユニット110へ物品112を解放する信号を送る。
【0058】
一例では、所定の値は、特定の州の議会によって定められたBAC法律規制値に一致するBAC値である。もちろん、その所定の値はこの例に限定されず、ユーザーが酔っているか、さもなければ精神安定剤の影響下にあるかどうかを決定するための適切な値であってもよい。ユーザーインターフェース118は、飲酒測定値を表示し、ユーザーへ物品112が解放されることを通知する。方法400はステップ434で停止する。
【0059】
判定ブロック430へ戻って、飲酒サンプルが所定の値を満足させるか超過した値を生じさせると、飲酒検知装置122は中枢マイクロプロセッサ116へ信号を発し、ステップ436に示すように、中枢マイクロプロセッサは保管ユニット110へ物品112を保持する信号を送る。さらに、ユーザーインターフェース118は、飲酒測定値を表示し、ユーザーへ物品1112が保持されることを通知する。ステップ438において、中枢マイクロプロセッサ116は、適切な送迎サービスへ連絡を取るために通信回路126へ信号を送る。最後に、方法400は、ステップ434で停止する。
【0060】
本発明は、ここで開示した実施形態を結合して説明したが、前記記載は説明のために意図されたものであり、請求の範囲で規定された発明の範囲を限定するものではない。

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲酒検知装置と、保管物品を保管するための保管ユニットとを備え、前記保管ユニットは前記飲酒検知装置によって行われた測定に基づいて前記保管物品を選択的に解放することを特徴とする自動保管システム。
【請求項2】
前記飲酒検知装置は血中アルコール含量分析値を与え、前記保管ユニットは前記血中アルコール含量分析値が所定の値よりも低いときに前記保管物品を解放することを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記飲酒検知装置は血中アルコール含量分析値を与え、前記保管ユニットは前記血中アルコール含量分析値が所定の値に達したときに前記保管物品を保持することを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項4】
さらに前記飲酒検知装置によって行われた測定に基づいて送迎サービスに連絡を取るための回路構成を備えたことを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項5】
前記飲酒検知装置は血中アルコール分析値を与え、前記回路構成は血中アルコール分析値が所定の値に達したときに送迎サービスに連絡を取ることを特徴とする請求項4記載のシステム。
【請求項6】
前記送迎サービスはタクシーであることを特徴とする請求項4記載のシステム。
【請求項7】
前記送迎サービスは牽引トラックであることを特徴とする請求項4記載のシステム。
【請求項8】
前記送迎サービスは配送サービスあることを特徴とする請求項4記載のシステム。
【請求項9】
さらにユーザーから支払いを受け取るための構成を備えたことを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項10】
前記構成は電子取引カードからデータを受け取るための回路構成を備えたことを特徴とする請求項9記載のシステム。
【請求項11】
さらにユーザーインターフェースを備えたことを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項12】
前記ユーザーインターフェースは前記飲酒検知装置により行われた測定値を表示することを特徴とする請求項11記載のシステム。
【請求項13】
前記測定値の少なくとも一つは血中アルコール含量分析値であることを特徴とする請求項12記載のシステム。
【請求項14】
さらに前記システムを用いる個人の少なくとも一つの生物測定の特徴を識別するための生物測定識別装置を備えたことを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項15】
前記生物測定の特徴の少なくとも一つは指紋であることを特徴とする請求項14記載のシステム。
【請求項16】
前記生物測定の特徴の少なくとも一つは網膜スキャンであることを特徴とする請求項14記載のシステム。
【請求項17】
前記生物測定の特徴の少なくとも一つは虹彩スキャンであることを特徴とする請求項14記載のシステム。
【請求項18】
前記物品はキーであることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項19】
少なくとも一つの物品を保管ユニットに保管するステップと、飲酒検知装置により個人の測定を行うステップと、前記飲酒検知装置によって行われた測定値に基づいて保管された物品を選択的に解放するステップを備えたことを特徴とする物品の自動保管方法。
【請求項20】
さらに前記飲酒検知装置により行われた測定値により保証されたときに送迎サービスに連絡を取るステップを備えたことを特徴とする請求項19記載の方法。
【請求項21】
さらに生物測定識別装置を準備するステップと、前記生物測定識別装置で個人の少なくとも一つの生物測定の特徴を識別するステップを備えたことを特徴とする請求項19記載の方法。


【公表番号】特表2006−509932(P2006−509932A)
【公表日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−550171(P2004−550171)
【出願日】平成15年10月29日(2003.10.29)
【国際出願番号】PCT/US2003/034255
【国際公開番号】WO2004/042979
【国際公開日】平成16年5月21日(2004.5.21)
【出願人】(502215030)
【出願人】(505161127)
【Fターム(参考)】