説明

保護回路

【課題】負荷にショートなどの異常が発生した場合に、温度保護回路が動作する前に異常を検出することで回路を保護する保護回路を提供する。
【解決手段】第1電圧が印加され、前記第1電圧に基づく電圧を負荷の一端に印加する第1インピーダンス変換器と、第2電圧が印加され、前記第2電圧に基づく電圧を前記負荷の他端に印加する第2インピーダンス変換器と、前記負荷の一端の電圧と前記負荷の他端の電圧との差電圧が所定値より小であるか否かを判別し、前記差電圧が前記所定値より小であると判別した場合、回路保護用の判別信号を出力する判別回路と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護回路に関する。
【背景技術】
【0002】
DCモータや、光ディスクにおける光ピックアップ部のアクチュエータなどを駆動する手段としてBTL(balanced trancefomerless)駆動が知られている。BTL駆動は、所定の電圧を中心とした相反する電圧を負荷の両端に印加することによって負荷を駆動させる駆動方式である。
【0003】
DCモータのモータドライバにBTL駆動を行う回路(以下、BTL回路とする)を使用した場合、負荷となるコイルの両端には、所定の電圧を中心とした相反する電圧が印加され、コイルの両端の差電圧に応じてモータが回転する。例えば、コイルの両端の差電圧が大きくなるとモータの回転が速くなり、差電圧が小さくなるとモータの回転が遅くなる。また、コイルの両端の電圧の大小関係が逆になると、モータは逆に回転する。
【0004】
このようなBTL回路は、コイルの両端へ電圧を印加する出力段として、例えば電源電圧VCCと接地VSS間に直列接続され、その接続点にコイルの一端が接続された、電源側のトランジスタTAと接地側のトランジスタTBを有している。また、電源電圧VCCと接地VSS間に直列接続され、その接続点にコイルの他端が接続された、電源側のトランジスタTCと接地側のトランジスタTDを有している。そして、トランジスタTAをオンし、トランジスタTDをオンすることで、電源電圧VCC→トランジスタTA→コイルL→トランジスタTD→接地VSSの径路の電流を流すことができる。また、トランジスタTCをオンし、トランジスタTBをオンすることで、電源電圧VCC→トランジスタTC→コイルL→トランジスタTB→接地VSSの径路の電流を流すことができる。このコイルに流れる電流に応じてモータが駆動することになる。なお、BTL回路は、例えばコイルを除く部分が集積化されている(以下、集積回路をICとする)。
【0005】
ところが、負荷であるコイルに、例えばショートなどの異常が発生し、コイルの両端の電位が所定値より小となった場合(例えばコイルの両端の電位が等しい場合)、BTL回路に大電流が流れることがある。そして、大電流が流れることによってICが発熱し、最悪の場合ICが破壊することがある。そのため、通常BTL回路を用いたICには、温度保護回路が内蔵されている。(例えば、特許文献1参照)
温度保護回路は、大電流が流れることに従って生じるICの温度上昇を検出し、ICの温度が所定温度より高くなる場合に、コイルへの電流供給を停止する機能を有している。このように、従来、温度保護回路を用いることによってICが所定温度を越えないように回路の保護を行っていた。
【特許文献1】特開2003−111263号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
温度保護回路はICが所定温度より高くなることを検出し、検出した場合に回路の保護を行う。したがって、例えばBTL回路において、温度保護回路が働いて、コイルにショートなどの異常が発生したことを検出するときには、すでにICの温度が上昇していることになる。また、温度保護回路が動作する温度が、例えばICで保障されるチップ上のPN接合のジャンクション温度を越えている場合がある。そのため、従来の温度保護回路は、負荷の異常を検出して動作する時には、温度の上昇によって、すでにICが破壊されている可能性があるという問題点があった。
【0007】
そこで、本発明は負荷にショートなどの異常が発生した場合に、温度保護回路が動作する前に異常を検出することで回路を保護する保護回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための主たる発明は、第1電圧が印加され、前記第1電圧に基づく電圧を負荷の一端に印加する第1インピーダンス変換器と、第2電圧が印加され、前記第2電圧に基づく電圧を前記負荷の他端に印加する第2インピーダンス変換器と、前記負荷の一端の電圧と前記負荷の他端の電圧との差電圧が所定値より小であるか否かを判別し、前記差電圧が前記所定値より小であると判別した場合、回路保護用の判別信号を出力する判別回路と、を備えたことを特徴とする。
本発明の他の特徴については、添付図面及び本明細書の記載により明らかとなる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、負荷の一端の電圧と負荷の他端の電圧との差電圧が所定値より小であることを判別することで、負荷の異常を早急に検出することができ、回路を保護することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
===全体構成===
図1を参照しつつ、本発明の保護回路について説明する。図1は、本発明の保護回路を説明するための回路ブロック図である。図1に示す回路は、例えばコイルLを除く部分が集積化されている。
【0011】
図1における保護回路は、判別回路100と、抵抗102、104、108、110と、オペアンプ106、112と、を有している。また、制御回路120は、任意の入力電圧からBTL駆動の出力電圧を発生する回路であり、所定の電圧を中心とした相反する電圧を図1中のC点とD点にそれぞれ印加する。例えば所定の電圧を5ボルトとした場合、C点の印加電圧(『第1電圧』)が7ボルトの時には、D点の印加電圧(『第2電圧』)は3ボルトとなる。また、逆にC点の印加電圧が3ボルトの時には、D点の印加電圧は7ボルトとなる。
【0012】
オペアンプ106(『第1インピーダンス変換器』)は、抵抗102を入力抵抗とし、抵抗104を帰還抵抗とする反転増幅器である。抵抗102はC点とオペアンプ106の−端子間に接続され、抵抗104はオペアンプ106の出力と−端子間に接続されている。そして、オペアンプ106の+端子には基準電圧Vrefが印加される。そしてオペアンプ106の出力はコイルLの一端が接続されるA点に印加される。このオペアンプ106は、抵抗102と抵抗104の抵抗値の比に応じて、基準電圧VrefとC点の電圧との差電圧を反転増幅する。例えば抵抗102と抵抗104の抵抗値が等しい場合はゲインが1となり、基準電圧Vrefが5ボルトで、C点の電圧が7ボルトとするとオペアンプ106の出力は3ボルトとなる。
【0013】
オペアンプ112(『第2インピーダンス変換器』)は、抵抗108を入力抵抗とし、抵抗110を帰還抵抗とする反転増幅器である。抵抗108はD点とオペアンプ112の−端子間に接続され、抵抗110はオペアンプ112の出力と−端子間に接続されている。そして、オペアンプ112の+端子には基準電圧Vrefが印加される。また、オペアンプ112の出力はコイルLの他端が接続されるB点に印加される。このオペアンプ112は抵抗108と抵抗110の抵抗値の比に応じて、基準電圧VrefとD点の電圧との差電圧を反転増幅する。例えば抵抗108と抵抗110抵抗値が等しい場合はゲインが1となり、基準電圧Vrefが5ボルトで、C点の電圧が3ボルトとするとオペアンプ106の出力は7ボルトとなる。
【0014】
判別回路100は、コイルLの一端が接続されるA点とコイルLの他端が接続されるB点の電圧の比較を行う。また制御回路120の出力電圧が印加されるC点およびD点の電圧の比較を行う。そしてその比較結果に基づいた判別信号を出力する。
【0015】
次に図1に示す回路の動作について説明する。まず、BTL駆動するため制御回路120から出力される所定の電圧を中心とした相反する電圧が、C点とD点にそれぞれ印加される。そしてC点の電圧は、基準電圧Vrefとの差電圧で反転増幅されA点に印加される。また、D点の電圧は、基準電圧Vrefとの差電圧で反転増幅されB点に印加される。コイルLには、A点の電圧とB点の電圧の差電圧に応じた電流が流れる。
【0016】
A点の電圧とB点の電圧の差が所定値より小の場合(例えば、A点とB点の電圧が等しい場合)は、コイルLにショート等の異常が発生している可能性がある。なお、C点の電圧とD点の電圧が等しい場合、例えば所定の電圧が5ボルトでC点の電圧およびD点の電圧が5ボルトの場合、A点の電圧とB点の電圧も5ボルトとなる。この場合、コイルLにショートなどの異常が発生していないにもかかわらず、A点の電圧とB点の電圧が等しくなる。よって判別回路100は、A点の電圧とB点電圧の差電圧が所定値より小(以下、便宜上、差電圧が所定値より小のことを、電圧が等しいとする)で、かつC点の電圧とD点の電圧の差電圧が所定値より大(以下、便宜上、差電圧が所定値より大のことを、電圧が異なるとする)の場合に、コイルLに異常が発生していることを示す信号(『回路保護用の判別信号』)を出力する。
【0017】
なお、当該信号はIC外部に出力され、外部からシステムリセットするようにしてもよいし、または当該信号の発生によってモータドライバの動作を停止するようにしてもよい。
【0018】
また、本発明の実施の形態では、コイルLの両端に電圧を印加する回路としてオペアンプ106、112を用いているが、オペアンプ以外、例えばバッファ回路がコイルLの一端と他端にそれぞれ接続された回路でも、バッファ回路に印加される電圧の差電圧と、コイルLの両端の差電圧の関係を同様に判別することでコイルLの異常を検出することができる。
【0019】
===判別回路の構成===
図2は、判別回路100の構成の一例を示す回路ブロック図である。判別回路100は差電圧検出回路(『第1差電圧検出回路』)200と、差電圧検出回路(『第2差電圧検出回路』)202と、AND回路(『論理回路』)204と、を有している。
差電圧検出回路200には、図1に示すA点の電圧とB点の電圧が印加される。そして、差電圧検出回路200は、例えばA点の電圧とB点の電圧が等しい場合にはハイレベルの電圧を出力し、それ以外の場合にはローレベルの電圧を出力する。
差電圧検出回路202には、図1に示すC点の電圧とD点の電圧が印加される。そして、差電圧検出回路202は、例えばC点の電圧とD点の電圧が等しい場合にはハイレベルの電圧を出力し、それ以外の場合にはローレベルの電圧を出力する。
AND回路204は、差電圧検出回路200から出力される論理値と、差電圧検出回路202から出力される論理値の反転と、を入力し、その論理積を判別結果として出力する。
【0020】
図3は、差電圧検出回路200の構成の一例を示す回路図である。
差電圧検出回路200は、第1定電流回路I1、第2定電流回路I2、第3定電流回路I3と、PNP型バイポーラトランジスタ(以下PNPトランジスタとする)302、304と、NPN型バイポーラトランジスタ(以下NPNトランジスタとする)306、308、310、312、314、316と、抵抗320と、を有している。
第1定電流回路I1は、電源電圧VCCに接続され、所定の定電流(『第1定電流』)を発生する。
第2定電流回路I2は、電源電圧VCCに接続され、定電流回路I1で発生する定電流の2分の1未満の定電流(『第2定電流』)を発生する。
第3定電流回路I3は、電源電圧VCCに接続され、定電流回路I1で発生する定電流の2分の1未満の定電流(『第3定電流』)を発生する。
【0021】
PNPトランジスタ302およびPNPトランジスタ304(『差動回路』)は、共通に接続されたエミッタに定電流回路I1から定電流が供給され、PNPトランジスタ302のベースに印加されるA点の電圧と、PNPトランジスタ304のベースに印加されるB点の電圧の大小に応じて差動動作する。
【0022】
NPNトランジスタ306とNPNトランジスタ314は電流ミラー接続されている(『第1電流ミラー回路』)。また、ダイオード接続されたNPNトランジスタ306のコレクタは、PNPトランジスタ302のコレクタと接続され、NPNトランジスタ306のエミッタは接地されている。
NPNトランジスタ314のコレクタは第3定電流回路I3の出力と接続され、NPNトランジスタ314のエミッタは接地されている。このNPNトランジスタ314は電流ミラー回路の出力側となり、NPNトランジスタ314のコレクタ・エミッタ間に電流ミラー回路の出力電流が流れる。
NPNトランジスタ316は、ベースがNPNトランジスタ314のコレクタと接続され、コレクタが差電圧検出回路200の出力となるE点と接続され、エミッタが接地されている。
【0023】
NPNトランジスタ308とNPNトランジスタ310は電流ミラー接続されている(『第2電流ミラー回路』)。また、ダイオード接続されたNPNトランジスタ308のコレクタは、PNPトランジスタ304のコレクタと接続され、NPNトランジスタ308のエミッタは接地されている。
NPNトランジスタ310のコレクタは第2定電流回路I2の出力と接続され、NPNトランジスタ310のエミッタは接地されている。このNPNトランジスタ310は電流ミラー回路の出力側となり、NPNトランジスタ310のコレクタ・エミッタ間に電流ミラー回路の出力電流が流れる。
【0024】
NPNトランジスタ312は、ベースがNPNトランジスタ310のコレクタと接続され、コレクタがE点と接続され、エミッタが接地されている。なお、NPNトランジスタ312とNPNトランジスタ316は出力回路を構成する。
抵抗320は、電源電圧VCCとE点との間に接続される。
【0025】
次に、差電圧検出回路200の動作について説明する。なお、第1定電流回路I1で発生する定電流を、例えば50μAとし、第2定電流回路I2および第3定電流回路I3で発生する定電流を、例えば20μAとする。またPNPトランジスタ302とPNPトランジスタ304はトランジスタサイズが等しいとし、NPNトランジスタ306、NPNトランジスタ314およびNPNトランジスタ308、NPNトランジスタ310もトランジスタサイズが等しいとする。
【0026】
≪A点の電圧とB点の電圧が等しい場合≫
A点の電圧とB点の電圧が等しい場合には、PNPトランジスタ302とPNPトランジスタ304のエミッタ・コレクタ間には等しい電流が流れる。第1定電流回路I1から供給される電流が50μAなので、PNPトランジスタ302とPNPトランジスタ304のエミッタ・コレクタ間に流れる電流は、ともに25μAとなる。NPNトランジスタ306のコレクタに電流が流れることでNPNトランジスタ306および当該NPNトランジスタ306と電流ミラー接続されたNPNトランジスタ314がオンする。NPNトランジスタ314はコレクタ・エミッタ間に25μAの電流を流そうとする。一方、NPNトランジスタ314のコレクタに第3定電流回路I3から供給される電流は20μAなので、NPNトランジスタ316のベースには電流が供給されず、NPNトランジスタ316はオフとなる。
【0027】
また、NPNトランジスタ308のコレクタに電流が流れることでNPNトランジスタ308および当該NPNトランジスタ308と電流ミラー接続されたNPNトランジスタ310がオンする。NPNトランジスタ310はコレクタ・エミッタ間に25μAの電流を流そうとする。一方、NPNトランジスタ310のコレクタに第2定電流回路I2から供給される電流は20μAなので、NPNトランジスタ312のベースには電流が供給されず、NPNトランジスタ312はオフとなる。
NPNトランジスタ312、316がともにオフとなるので、E点には電源電圧VCCが抵抗320を介して印加される。
したがって、A点とB点の電圧が等しい場合では、差電圧検出回路200からハイレベルの電圧が出力される。
【0028】
≪A点の電圧とB点の電圧が異なる場合≫
例えばA点の電圧がB点の電圧より低いとすると、PNPトランジスタ302がオンとなり第1定電流回路I1の出力電流の50μAはNPNトランジスタ306のコレクタに供給される。一方、PNPトランジスタ304はオフとなる。
そして、NPNトランジスタ306のコレクタに電流が流れることでNPNトランジスタ306および当該NPNトランジスタ306と電流ミラー接続されたNPNトランジスタ314がオンする。NPNトランジスタ314のコレクタ・エミッタ間には、NPNトランジスタ306のコレクタ・エミッタ間に流れる50μAと等しい電流を流そうとする。一方、NPNトランジスタ314のコレクタに定電流回路I3から供給される電流は20μAなので、NPNトランジスタ316のベースには電流が供給されず、NPNトランジスタ316はオフとなる。
また、PNPトランジスタ304がオフとなることで、NPNトランジスタ308およびNPNトランジスタ310はオフとなる。NPNトランジスタ312のベースには低電流回路I2からの20μAの電流が供給される。したがってNPNトランジスタ312がオンとなる。
B点の電圧がA点より低い場合は、A点の電圧がB点の電圧より低い場合と逆の動作によって、NPNトランジスタ312がオフで、NPNトランジスタ316がオンとなる。
【0029】
このように、A点とB点の電圧が異なる場合にはNPNトランジスタ312またはNPNトランジスタ316の一方がオンすることで、E点と電源電圧VCC間のインピーダンスより、E点と接地VCC間のインピーダンスの方が小さくなる。よってE点の電圧が低下し、差電圧検出回路200はローレベルの電圧を出力する。
以上、説明したように、差電圧検出回路200はA点とB点の電圧が等しい場合にハイレベルの電圧を出力し、A点とB点の電圧が異なる場合にローレベルの電圧を出力する。
【0030】
なお、差電圧検出回路202も差電圧検出回路200と同様の構成とし、入力電圧としてC点の電圧とD点の電圧が印加されるものとする。よって、差電圧検出回路202は、C点とD点の電圧が等しい場合にハイレベルの電圧を出力し、C点とD点の電圧が異なる場合にはローレベルの電圧を出力する。
【0031】
===判別回路の動作===
次に、図2に示す判別回路100の動作について説明する。
【0032】
≪A点の電圧とB点の電圧が等しく、C点とD点の電圧が異なる場合≫
差電圧検出回路200からハイレベルの電圧が出力され、差電圧検出回路202からローレベルの電圧が出力される。したがってAND回路204からはハイレベルの電圧が出力される。
【0033】
≪A点の電圧とB点の電圧が等しく、C点とD点の電圧が等しい場合≫
差電圧検出回路200はハイレベルの電圧が出力され、差電圧検出回路202はハイレベルの電圧が出力される。したがってAND回路204からはローレベルの電圧が出力される。
【0034】
≪A点の電圧とB点の電圧が異なる場合≫
差電圧検出回路200からローレベルの電圧が出力されるので、差電圧検出回路202の出力にかかわらず、AND回路204からはローレベルの電圧が出力される。
したがって、判別回路100の出力は、A点とB点の電圧が等しくC点とD点の電圧が異なるときにハイレベルとなり、それ以外の場合はローレベルとなる。
このように、判別回路100は差動回路および電流ミラー回路を用いた安易な構成でコイルLの異常の検出を行うので、コイルLに異常が発生するとすぐに、例えばICの温度が上昇して温度保護回路が動作する前に、異常を示すハイレベルの信号を出力することができる。また、このハイレベルの出力を回路保護用の信号とし、当該信号を、例えばIC外部に出力して外部からシステムリセットするなどの対策をすることで回路を保護することが可能となる。
【0035】
なお、判別回路100は、A点の電圧とB点の電圧が等しく、C点の電圧とD点の電圧が異なるときに出力の論理値が同じとなる他の構成としてもよい。また、A点の電圧とB点の電圧の差電圧を検出する差電圧検出回路200のみを用いて、A点の電圧とB点の電圧が等しいときのハイレベルの出力を回路保護用の信号としてもよい。
【0036】
以上、説明したように本発明の保護回路は、コイルLにショートなどの異常が発生した場合、コイルLの一端のA点と他端のB点の差電圧によって、温度保護回路が動作する前にコイルLの異常を検出することができる。そして、例えば外部にコイルLの異常を示す回路保護用の信号を出力し、外部からシステムリセットを行うことで、温度上昇によるICの破壊を防止でき、回路を保護することができる。さらに、制御回路の出力電圧が印加されるC点の電圧とD点の電圧が異なり、A点の電圧とB点の電圧が等しくなることを判別した場合に回路保護用の信号を出力するようにすると、コイルLの異常を、より正確に検出することができる。
【0037】
また、差電圧検出回路200はA点の電圧とB点の電圧が等しい時にはハイレベルを出力し、A点の電圧とB点の電圧が異なる時にはローレベルを出力するので、差電圧検出回路200の出力によって、コイルLの異常を検出することができる。さらに、差電圧検出回路200の出力と、C点とD点の差電圧を判別する差電圧検出回路202の出力と、に基づいてコイルLの異常を検出すると、より正確にコイルLの異常を検出できる。
【0038】
また、一方に差電圧検出回路200の出力の論理値が入力され、他方に差電圧検出回路202の出力の論理値の反転が入力されるAND回路204を用いると、AND回路204の出力のハイレベルによってA点とB点の電圧が等しく、C点とD点の電圧が異なることを判別することができる。
【0039】
本発明の保護回路は、C点の電圧とD点の電圧が異なり、A点の電圧とB点の電圧が等しくなることを判別しているので、DCモータやアクチュエータなどの、所定の電圧を中心とした相反する電圧が負荷に印加されるBTL回路を効果的に保護することができる。
【0040】
そして、オペアンプ106の出力側のA点とオペアンプ112の出力側のB点の差電圧、およびオペアンプ106の入力側のC点とオペアンプ112の入力側のD点の差電圧に基づきコイルLの異常を検出することによって簡易に回路を保護することができる。
【0041】
また、オペアンプを使用せず、例えばバッファ回路の出力を負荷の両端に印加する場合でも同様に、負荷の両端のバッファ回路への印加電圧の差電圧とバッファ回路の出力の差電圧を比較することによって回路を保護することができる。
【0042】
以上、本実施の形態について、その実施の形態に基づき具体的に説明したが、これに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の保護回路を示す回路ブロック図である。
【図2】判別回路の構成の一例を示す回路ブロック図である。
【図3】差電圧検出回路の構成の一例を示す回路図である。
【符号の説明】
【0044】
100 判別回路
102、104、108、110、320 抵抗
106、112 オペアンプ
120 制御回路
200、202 差電圧検出回路
204 AND回路
302、304 PNPトランジスタ
306、308、310、312、314、316 NPNトランジスタ
I1、I2、I3 定電流回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電圧が印加され、前記第1電圧に基づく電圧を負荷の一端に印加する第1インピーダンス変換器と、
第2電圧が印加され、前記第2電圧に基づく電圧を前記負荷の他端に印加する第2インピーダンス変換器と、
前記負荷の一端の電圧と前記負荷の他端の電圧との差電圧が所定値より小であるか否かを判別し、前記差電圧が前記所定値より小であると判別した場合、回路保護用の判別信号を出力する判別回路と、
を備えたことを特徴とする保護回路。
【請求項2】
前記判別回路は、
前記第1電圧と前記第2電圧の差電圧が所定値より大であるか否かを判別し、
前記第1電圧と前記第2電圧の差電圧が前記所定値より大であると判別し、かつ前記負荷の一端の電圧と前記負荷の他端の電圧との差電圧が前記所定値より小であると判別した場合に、前記回路保護用の判別信号を出力することを特徴とする請求項1に記載の保護回路。
【請求項3】
前記判別回路は、
第1定電流を発生する第1定電流回路と、
前記第1定電流の2分の1未満の第2定電流を発生する第2定電流回路と、
前記第1定電流の2分の1未満の第3定電流を発生する第3定電流回路と、
前記第1定電流が供給され、前記負荷の一端の電圧と前記負荷の他端の電圧の大小に応じて差動動作する差動回路と、
前記第1差動回路の一方の出力電流が供給されて動作し、出力側に前記第2定電流が供給される第1電流ミラー回路と、
前記第1差動回路の他方の出力電流が供給されて動作し、出力側に前記第3定電流が供給される第2電流ミラー回路と、
前記第1電流ミラー回路および前記第2電流ミラー回路がともに動作する場合に一方の論理値を前記回路保護用の判別信号として出力する出力回路と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の保護回路。
【請求項4】
前記判別回路は、
第1定電流を発生する第1定電流回路と、
前記第1定電流の2分の1未満の第2定電流を発生する第2定電流回路と、
前記第1定電流の2分の1未満の第3定電流を発生する第3定電流回路と、
前記第1定電流が供給され、前記負荷の一端の電圧と前記負荷の他端の電圧の大小に応じて差動動作する第1差動回路と、
前記第1差動回路の一方の出力電流が供給されて動作し、出力側に前記第2定電流が供給される第1電流ミラー回路と、
前記第1差動回路の他方の出力電流が供給されて動作し、出力側に前記第3定電流が供給される第2電流ミラー回路と、
前記第1電流ミラー回路および前記第2電流ミラー回路がともに動作する場合に一方の論理値を出力し、前記第1電流ミラー回路と前記第2電流ミラー回路の一方が動作しない場合に他方の論理値を出力する第1出力回路と、
を有する第1差電圧検出回路と、
第4定電流を発生する第4定電流回路と、
前記4定電流の2分の1未満の第5定電流を発生する第5定電流回路と、
前記4定電流の2分の1未満の第6定電流を発生する第6定電流回路と、
前記4定電流が供給され、前記第1電圧と前記第2電圧の大小に応じて差動動作する第2差動回路と、
前記第2差動回路の一方の出力電流が供給されて動作し、出力側に前記第5定電流が供給される第3電流ミラー回路と、
前記第2差動回路の他方の出力電流が供給されて動作し、出力側に前記第6定電流が供給される第4電流ミラー回路と、
前記第3電流ミラー回路および前記第4電流ミラー回路がともに動作する場合に一方の論理値を出力し、前記第3電流ミラー回路と前記第4電流ミラー回路の一方が動作しない場合に他方の論理値を出力する第2出力回路と、
を有する第2差電圧検出回路と、を備え、
前記第1差電圧検出回路から出力される論理値と前記第2差電圧検出回路から出力される論理値に基づいて、前記回路保護用の判別信号を出力することを特徴とする請求項2に記載の保護回路。
【請求項5】
前記判別回路は、
前記第1差電圧検出回路から出力される論理値と、前記第2差電圧検出回路から出力される論理値に基づいて、前記回路保護用の判別信号を出力する論理回路を備えたことを特徴とする請求項4に記載の保護回路。
【請求項6】
前記第1電圧と前記第2電圧は、
所定の電圧を中心とした相反する電圧であることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の保護回路。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−33975(P2006−33975A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−207678(P2004−207678)
【出願日】平成16年7月14日(2004.7.14)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】