説明

信号機認識装置

【課題】昼夜の区別に拘わらずに信号機を的確に認識する。
【解決手段】信号機判定部29は、高さ算出部26により算出された円形状の地上高が、信号機の設置に対する所定の基準高さHpよりも高く、かつ、距離算出部25により算出された自車両から円形状までの距離(水平距離Ldist)が、交差点距離算出部22により算出された自車両から交差点までの距離(自車両Pから交差点の中心位置までの距離Ldb)に交差道路の幅員Widthの1/2を加算して得た距離(Ldb+Width/2)よりも大きい場合には、赤色灯火状態の信号機が自車両の進行方向前方に検出されたと判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、信号機認識装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばカメラの撮影により得られた画像から交差点の存在を検出した場合、この画像上において交差点の斜め上方に探索領域を設定して、この探索領域において信号機と同等の外形形状および色彩を有する対象物を探索する車両用標識認識装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第2570378号公報 (第4頁、第7−8図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来技術の一例に係る車両用標識認識装置においては、例えば夜間等での撮影により得られる画像上において所定形状および所定色彩の認識が困難である場合には信号機を認識することができない虞がある。
本発明は、上記記事情に鑑みてなされたもので、昼夜の区別に拘わらずに信号機を的確に認識することが可能な信号機認識装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決して係る目的を達成するために、請求項1に記載の本発明の信号機認識装置は、信号機の存在が予測される領域を撮影する撮影手段(例えば、実施の形態での外界カメラ14)と、該撮影手段により撮像された画像において円形状を抽出する円抽出手段(例えば、実施の形態での円形状抽出部24)と、前記撮影手段と、前記円抽出手段により抽出された前記円形状との距離(例えば、実施の形態での水平距離Ldist)および前記円形状の地上高(例えば、実施の形態での地上高H)を算出する算出手段(例えば、実施の形態での距離算出部25および高さ算出部26)と、前記算出手段により算出された前記距離および前記地上高に基づき、前記円抽出手段により抽出された前記円形状が信号機の灯火であるか否かを判定し、この判定結果に応じて前記信号機を認識する認識手段(例えば、実施の形態での信号機判定部29)とを備えることを特徴としている。
【0005】
上記の信号機認識装置によれば、相対的に単純な形状である円形状を画像から抽出し、この円形状に対して、昼夜に拘わらずに精度の高い算出精度を確保することができる地上高および距離を算出することにより、所定道路構造の周辺に所定の基準高さを有するように設置される信号機を的確に認識することができる。
【0006】
さらに、請求項2に記載の本発明の信号機認識装置では、前記円抽出手段は、赤色または所定輝度以上の前記円形状を抽出することを特徴としている。
【0007】
上記の信号機認識装置によれば、赤色または所定輝度以上の円形状の灯火を認識することにより、少なくとも信号機の赤色灯火あるいは信号機の各灯体のうちの点灯中の灯体を的確に抽出することができる。
【0008】
さらに、請求項3に記載の本発明の信号機認識装置では、前記円抽出手段は、所定真円度以上の前記円形状を抽出することを特徴としている。
【0009】
上記の信号機認識装置によれば、所定真円度以上の円形状を抽出することにより、信号機の認識精度を向上させることができる。
【0010】
さらに、請求項4に記載の本発明の信号機認識装置では、前記算出手段は、予め設定された信号機の灯火部分の径および前記撮影手段に対して前記円抽出手段により抽出された円形状が成す視角(例えば、実施の形態での視角AV)に基づき、前記円形状までの前記距離を算出することを特徴としている。
【0011】
上記の信号機認識装置によれば、予め設定された信号機の灯火部分の径および撮影手段に対して円形状が成す視角に基づき、円形状までの距離を幾何学的に精度良く算出することができる。
【0012】
さらに、請求項5に記載の本発明の信号機認識装置では、前記算出手段は、前記撮影手段の地上高と、算出した前記距離と、前記撮影手段に対する前記円抽出手段により抽出された円形状の仰角(例えば、実施の形態での仰角AE)とに基づき、前記円形状の地上高を算出することを特徴としている。
【0013】
上記の信号機認識装置によれば、撮影手段の地上高と、円形状までの距離と、撮影手段に対する円形状の仰角とに基づき、円形状の地上高を幾何学的に精度良く算出することができる。
【0014】
さらに、請求項6に記載の本発明の信号機認識装置では、前記認識手段は、前記算出手段により算出された前記円形状の前記地上高が所定値(例えば、実施の形態での所定の基準高さHp)以下の場合に、前記円形状を信号機であると認識することを禁止することを特徴としている。
【0015】
上記の信号機認識装置によれば、円形状の地上高が、例えば信号機の設置に対する所定の基準高さ以下である場合には、この円形状は信号機の灯火ではないと判断することができ、信号機の認識精度を向上させることができる。
【0016】
さらに、請求項7に記載の本発明の信号機認識装置は、交差点の存在を認知する交差点認知手段を備え、前記認識手段は、前記交差点認知手段により認知された前記交差点が前記撮影手段の撮影領域に含まれる場合に、前記信号機を認識することを特徴としている。
【0017】
上記の信号機認識装置によれば、信号機は交差点周辺に設置されることから、撮影手段の撮影領域に交差点が含まれる場合には、画像から抽出される円形状の距離および地上高に基づく信号機の認識結果の信頼性を向上させることができる。
【0018】
さらに、請求項8に記載の本発明の信号機認識装置は、前記交差点までの距離(例えば、実施の形態での距離Ldb)を算出する交差点距離算出手段(例えば、実施の形態での交差点距離算出部22)を備え、前記認識手段は、前記算出手段により算出された前記撮影手段と前記円形状との距離が、前記交差点距離算出手段により算出された前記交差点までの距離よりも、所定値(例えば、実施の形態での(Width/2))以上長い場合に、前記円形状を信号機であると認識することを特徴としている。
【0019】
上記の信号機認識装置によれば、信号機の設置位置は、例えば交差点までの距離(例えば、交差点の中心位置までの距離等)に所定値以上の距離を加算して得た位置等に設定されることから、信号機を適切に認識することができる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明の信号機認識装置によれば、相対的に単純な形状である円形状を画像から抽出し、この円形状に対して、昼夜に拘わらずに精度の高い算出精度を確保することができる地上高および距離を算出することにより、所定道路構造の周辺に所定の基準高さを有するように設置される信号機を的確に認識することができる。
さらに、請求項2に記載の本発明の信号機認識装置によれば、赤色または所定輝度以上の円形状の灯火を認識することにより、少なくとも信号機の赤色灯火あるいは信号機の各灯体のうちの点灯中の灯体を的確に抽出することができる。
【0021】
さらに、請求項3に記載の本発明の信号機認識装置によれば、所定真円度以上の円形状を抽出することにより、信号機の認識精度を向上させることができる。
さらに、請求項4に記載の本発明の信号機認識装置によれば、予め設定された信号機の灯火部分の径および撮影手段に対して円形状が成す視角に基づき、円形状までの距離を幾何学的に精度良く算出することができる。
【0022】
さらに、請求項5に記載の本発明の信号機認識装置によれば、撮影手段の地上高と、円形状までの距離と、撮影手段に対する円形状の仰角とに基づき、円形状の地上高を幾何学的に精度良く算出することができる。
さらに、請求項6に記載の本発明の信号機認識装置によれば、円形状の地上高が、例えば信号機の設置に対する所定の基準高さ以下である場合には、この円形状は信号機の灯火ではないと判断することができ、信号機の認識精度を向上させることができる。
【0023】
さらに、請求項7に記載の本発明の信号機認識装置によれば、信号機は交差点周辺に設置されることから、撮影手段の撮影領域に交差点が含まれる場合には、画像から抽出される円形状の距離および地上高に基づく信号機の認識結果の信頼性を向上させることができる。
さらに、請求項8に記載の本発明の信号機認識装置によれば、信号機の設置位置は、例えば交差点までの距離(例えば、交差点の中心位置までの距離等)に所定値以上の距離を加算して得た位置等に設定されることから、信号機を適切に認識することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態に係る信号機認識装置について添付図面を参照しながら説明する。
本実施の形態による信号機認識装置1を具備する車両制御装置10は、例えば図1に示すように、ナビゲーション装置11と、地図データ記憶装置12と、通信装置13と、外界カメラ14と、自車両状態センサ16と、制動装置17と、警報装置18と、処理装置19とを備えて構成されている。
【0025】
ナビゲーション装置11は、例えば人工衛星を利用して車両の位置を測定するためのGPS(Global Positioning System)信号等の測位信号あるいはジャイロセンサおよび加速度センサ等の各検出結果に基づいて自車両の現在位置および進行方向を検知し、この検知結果に基づき、地図データ記憶装置12に格納された地図データに対してマップマッチングを行い、表示画面上での自車両の現在位置の表示位置を制御すると共に、検出された自車両の現在位置あるいは各種スイッチやキーボード等を介して操作者により入力された適宜の車両位置に対して、表示画面上での地図表示を制御する。
【0026】
地図データ記憶装置12は、ナビゲーション装置11の表示画面上に地図を表示するための地図表示用のデータおよび自車両の現在位置に基づくマップマッチングの処理に必要とされる道路座標データに加えて、経路探索や経路誘導等の処理に必要とされるデータ、例えば交差点等の所定位置の緯度および経度からなる点であるノードと、各ノード間を結ぶ線であるリンクとの各データを地図データとして備えており、さらに、ノードおよびリンクには各種の情報が付加されている。
例えば図2に示すように、自車両Aの進行方向前方の道路上に交差点が存在する場合、複数のノードN1,…,N4と、各ノードN1,…,N4間を接続するリンクL1,L2,L3とが設定されている。そして、例えば交差点の位置を示すノードN2に対しては、緯度および経度に加えて、信号機の有無や複数の道路の交差角度や形状等の交差点情報が付加され、各リンクL1,L2,L3には、道路種別(例えば、国道、県道、市道等)、道路幅員情報(例えば、幅員データ等)、道路構造情報(例えば、車線数等)が付加されている。
【0027】
通信装置13は、例えば自車両の外部の情報発信装置から発信される各種の情報(例えば、交差点の位置および交差点情報、道路種別、道路幅員情報、道路構造情報等)や、例えば先行車両や対向車両等の他車両との間の車車間通信により発信される各種の情報(例えば、他車両の走行状態や走行路に関する情報等)を受信する。
【0028】
外界カメラ14は、例えば可視光領域にて撮影可能なCCDカメラやCMOSカメラ等のカメラおよび画像処理部を備えて構成され、例えば車室内に配置されたカメラはフロントウィンドウ越しに自車両の進行方向前方の所定検知範囲の外界(例えば、自車両の走行状態や外界の環境等に応じた所定距離よりも前方の領域であって、自車両の走行路の道路構造に応じて信号機が存在すると推定される位置周辺の領域等)を所定時間間隔で撮影する。そして、画像処理部は、カメラの撮影により得られた画像に対して、例えばフィルタリング等の所定の画像処理を行い、二次元配列の画素からなる画像データを生成して処理装置19へ出力する。
【0029】
レーダ装置15は、例えばミリ波レーダ等のレーダおよびレーダ制御部が一体的に設けられて構成されている。レーダ制御部は、例えば自車両の進行方向前方に設定された検知対象領域を走査するようにしてレーダからミリ波の発信信号を発信させると共に、発信信号が物体によって反射されることで生じた反射信号をレーダにより受信させ、反射信号と発信信号とを混合してビート信号を生成して処理装置19へ出力する。
【0030】
自車両状態センサ16は、自車両の車両情報として、例えば自車両の速度(車速)を検出する車速センサや、ヨー角(車両重心の上下方向軸回りの回転角度)やヨーレート(車両重心の上下方向軸回りの回転角速度)を検出するヨーレートセンサや、操舵角(運転者が入力した操舵角度の方向と大きさ)や操舵角に応じた実舵角(転舵角)を検出する舵角センサや、車両の灯体(例えば、制動灯や車幅灯や尾灯等)の点灯状態や、方向指示器やブレーキのオン/オフ状態を検知する各センサ等を備えて構成されている。
【0031】
制動装置17は、例えばブレーキ制御装置や変速制御装置やエンジン出力制御装置等であって、処理装置19から入力される制御信号に応じて、例えばブレーキ液圧や変速比やエンジン出力等を制御して自車両に制動力を作用させる。
警報装置18は、例えば、触覚的伝達装置と、視覚的伝達装置と、聴覚的伝達装置とを備えて構成されている。
触覚的伝達装置は、例えばシートベルト装置や操舵制御装置等であって、処理装置19から入力される制御信号に応じて、例えばシートベルトに所定の張力を発生させて自車両の乗員が触覚的に知覚可能な締め付け力を作用させたり、例えばステアリングホイールに自車両の運転者が触覚的に知覚可能な振動(ステアリング振動)を発生させることによって、交差点での自車両の停止の必要性を乗員に認識させる。
視覚的伝達装置は、例えば表示装置等であって、処理装置19から入力される制御信号に応じて、例えば表示装置に所定の警報情報を表示したり、所定の警報灯を点滅させることによって、交差点での自車両の停止の必要性を乗員に認識させる。
聴覚的伝達装置は、例えばスピーカ等であって、処理装置19から入力される制御信号に応じて所定の警報音や音声等を出力することによって、交差点での自車両の停止の必要性を乗員に認識させる。
【0032】
処理装置19は、例えば交差点認知部21と、交差点距離算出部22と、色情報抽出部23と、円形状抽出部24と、距離算出部25と、高さ算出部26と、信号機判定部29と、走行制御部30とを備えて構成されている。
【0033】
交差点認知部21は、ナビゲーション装置11により検出された自車両の現在位置および進行方向と、地図データ記憶装置12に格納された地図データまたは通信装置13により受信された各種の情報とに基づき、自車両の進行方向に交差点が存在することを認知する。さらに、交差点認知部21は、存在を認知した交差点に対する交差点情報に基づき、交差点に信号機が存在するか否かを判定する。
交差点距離算出部22は、交差点認知部21により認知した自車両の前方の交差点と自車両との間の距離を算出する。
【0034】
色情報抽出部23は、外界カメラ14から出力された画像データに対し、例えばRGB(赤:red,緑:green,青:blue)色空間からHSV(HSB)(色相:hue,彩度:saturation,輝度:value(brightness))表色系への変換を行う。そして、変換された画像データにHSV(HSB)表色系での二値化処理を実行し、所定の赤色あるいは所定輝度以上の画素を抽出する。
例えば図3(a)に示すように、外界カメラ14から出力された赤色灯火状態の信号機を含む画像データは、HSV(HSB)表色系での二値化処理によって、例えば図3(b)に示すように、所定の赤色あるいは所定輝度以上の画素が抽出された画像データとなる。
【0035】
円形状抽出部24は、色情報抽出部23により抽出された所定の赤色あるいは所定輝度以上の画素による所定真円度以上の円形状を抽出する。
例えば図3(b)に示すように、所定の赤色あるいは所定輝度以上の画素が抽出された画像データからは、例えば図3(c)に示すように、信号機の赤色灯火に対応する円形状Cが抽出される。
【0036】
距離算出部25は、円形状抽出部24により抽出された円形状(例えば、円形状の中心位置等)と自車両との間の距離を算出する。
例えば距離算出部25は、予め記憶している信号機の各灯火の所定の径(例えば、直径D)と、外界カメラ14に対して、抽出された円形状がなす視角AVおよび仰角AEとにより、例えば図4に示すように、幾何学的に下記数式(1)に基づき、自車両から円形状までの距離Lcircleおよび自車両から円形状までの水平距離Ldistを算出する。
【0037】
【数1】

【0038】
高さ算出部26は、円形状抽出部24により抽出された円形状(例えば、円形状の中心位置等)の地上高を算出する。
例えば高さ算出部26は、予め記憶している外界カメラ14の地上高Hcameraと、外界カメラ14に対して、抽出された円形状がなす仰角AEと、自車両から円形状までの水平距離Ldistとにより、例えば図5に示すように、幾何学的に下記数式(2)に基づき、外界カメラ14に対する円形状の高さHsignalおよび円形状の地上高Hを算出する。
【0039】
【数2】

【0040】
信号機判定部29は、交差点距離算出部22により算出された自車両から交差点までの距離と、距離算出部25により算出された自車両から円形状までの距離(例えば、水平距離Ldist)と、高さ算出部26により算出された円形状の地上高(例えば、地上高H)とに基づき、例えば赤色灯火状態の信号機が自車両の進行方向前方に検出されたか否かを判定する。
【0041】
例えば信号機判定部29は、高さ算出部26により算出された円形状の地上高が、信号機の設置に対する所定の基準高さHp(例えば、4.5m等)よりも高く、かつ、例えば図6に示すように、距離算出部25により算出された自車両から円形状までの距離(例えば、水平距離Ldist)が、交差点距離算出部22により算出された自車両から交差点までの距離(例えば、自車両Pから交差点の中心位置までの距離Ldb等)に交差道路の幅員Widthの1/2を加算して得た距離(Ldb+Width/2)よりも大きい場合には、赤色灯火状態の信号機が自車両の進行方向前方に検出されたと判定する。
なお、交差点距離算出部22および距離算出部25により算出される各距離に対して、自車両の外界カメラ14およびGPSアンテナの各搭載位置の差異は、無視できる程度に小さいものとみなすことができる。
【0042】
つまり、信号機判定部29は、高さ算出部26により算出された円形状の地上高に基づいて、円形状抽出部24により抽出された円形状のうち、地上高が所定の基準高さHp以下の円形状を信号機であると認識することを禁止する。
【0043】
そして、走行制御部30は、信号機判定部29による判定結果に基づき、自車両の走行状態に対する走行支援レベルを設定し、この走行支援レベルに応じて制動装置17および警報装置18を作動させる。例えば、走行制御部30は、自車両状態センサ16の出力に基づく運転者の減速意志が検出されていない状態で、自車両が交差点の手前の所定の警報位置に到達したときに、停止の実行を促す警報を出力し、さらに、自車両の速度が所定速度以上の状態で所定の減速位置に到達したときに、自動的に自車両を減速させる。
【0044】
本実施の形態による信号機認識装置1は上記構成を備えており、次に、この信号機認識装置1の動作について説明する。
【0045】
先ず、例えば図7に示すステップS01においては、ナビゲーション装置11により検出された自車両の現在位置および進行方向と、地図データ記憶装置12に格納された地図データまたは通信装置13により受信された各種の情報とに基づき、自車両の進行方向前方の交差点を認知し、自車両から交差点までの距離を算出する。
【0046】
そして、ステップS02においては、外界カメラ14から出力される画像データを取得する。
そして、ステップS03においては、外界カメラ14から出力された画像データに対し、RGB色空間からHSV(HSB)表色系への変換を行い、変換された画像データにHSV(HSB)表色系での二値化処理を実行し、所定の赤色あるいは所定輝度以上の画素を抽出する。
そして、ステップS04においては、二値化処理により抽出された所定の赤色あるいは所定輝度以上の画素による所定真円度以上の円形状を抽出する。
【0047】
そして、ステップS05においては、例えば上記数式(1)に基づき、自車両から円形状までの距離Lcircleおよび自車両から円形状までの水平距離Ldistを算出する。
そして、ステップS06においては、例えば上記数式(2)に基づき、、外界カメラ14に対する円形状の高さHsignalおよび円形状の地上高Hを算出する。
【0048】
そして、ステップS07においては、後述する信号機判定処理を実行する。
そして、ステップS08においては、赤色灯火状態の信号機が自車両の進行方向前方に検出されたか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、上述したステップS01に戻る。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、検出された信号機に応じた所定の走行制御を実行し、一連の処理を終了する。
【0049】
以下に、上述したステップS07での信号機判定処理について説明する。
先ず、例えば図8に示すステップS11においては、高さ算出部26により算出された円形状の地上高Hが、信号機の設置に対する所定の基準高さHp(例えば、4.5m等)よりも高く、かつ、距離算出部25により算出された水平距離Ldistが、交差点距離算出部22により算出された自車両Pから交差点の中心位置までの距離Ldbに交差道路の幅員Widthの1/2を加算して得た距離(Ldb+Width/2)よりも大きいか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合には、ステップS12に進む。
そして、ステップS12においては、円形状抽出部24により抽出された円形状は信号機の灯火であると判断して、一連の処理を終了する。
一方、この判定結果が「NO」の場合には、一連の処理を終了する。
【0050】
上述したように、本実施の形態による信号機認識装置1によれば、外界カメラ14から出力された画像データ上において、HSV(HSB)表色系での二値化処理によって、相対的に単純な形状である円形状を画像から抽出し、この円形状に対して、昼夜に拘わらずに精度の高い算出精度を確保することができる地上高Hおよび水平距離Ldistを算出することにより、交差点等の所定道路構造の周辺に所定の基準高さHpを有するように設置される信号機を的確に認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施の形態に係る信号機認識装置を具備する車両制御装置の構成図である。
【図2】地図データを構成するノードおよびリンクの一例を示す図である。
【図3】図3(a)は信号機の画像データを示す図であり、図3(b)はHSV(HSB)表色系での二値化処理によって所定の赤色あるいは所定輝度以上の画素が抽出された画像データであり、図3(c)は所定の赤色あるいは所定輝度以上の画素による所定真円度以上の円形状が抽出された画像データである。
【図4】自車両から円形状までの距離Lcircleおよび自車両から円形状までの水平距離Ldistの一例を示す図である。
【図5】外界カメラに対する円形状の高さHsignalおよび円形状の地上高Hの一例を示す図である。
【図6】自車両から円形状までの水平距離Ldistと、自車両から交差点の中心位置までの距離Ldbと、交差道路の幅員Widthとの関係を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る信号機認識装置の動作を示すフローチャートである。
【図8】図7に示す信号機判定処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0052】
1 信号機認識装置
10 車両制御装置
14 外界カメラ(撮影手段)
22 交差点距離算出部(交差点距離算出手段)
24 円形状抽出部(円抽出手段)
25 距離算出部(算出手段)
26 高さ算出部(算出手段)
29 信号機判定部(認識手段)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号機の存在が予測される領域を撮影する撮影手段と、
該撮影手段により撮像された画像において円形状を抽出する円抽出手段と、
前記撮影手段と、前記円抽出手段により抽出された前記円形状との距離および前記円形状の地上高を算出する算出手段と、
前記算出手段により算出された前記距離および前記地上高に基づき、前記円抽出手段により抽出された前記円形状が信号機の灯火であるか否かを判定し、この判定結果に応じて前記信号機を認識する認識手段と
を備えることを特徴とする信号機認識装置。
【請求項2】
前記円抽出手段は、赤色または所定輝度以上の前記円形状を抽出することを特徴とする請求項1に記載の信号機認識装置。
【請求項3】
前記円抽出手段は、所定真円度以上の前記円形状を抽出することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の信号機認識装置。
【請求項4】
前記算出手段は、予め設定された信号機の灯火部分の径および前記撮影手段に対して前記円抽出手段により抽出された円形状が成す視角に基づき、前記円形状までの前記距離を算出することを特徴とする請求項1から請求項3の何れかひとつに記載の信号機認識装置。
【請求項5】
前記算出手段は、前記撮影手段の地上高と、算出した前記距離と、前記撮影手段に対する前記円抽出手段により抽出された円形状の仰角とに基づき、前記円形状の地上高を算出することを特徴とする請求項4に記載の信号機認識装置。
【請求項6】
前記認識手段は、前記算出手段により算出された前記円形状の前記地上高が所定値以下の場合に、前記円形状を信号機であると認識することを禁止することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかひとつに記載の信号機認識装置。
【請求項7】
交差点の存在を認知する交差点認知手段を備え、
前記認識手段は、前記交差点認知手段により認知された前記交差点が前記撮影手段の撮影領域に含まれる場合に、前記信号機を認識することを特徴とする請求項1から請求項6の何れかひとつに記載の信号機認識装置。
【請求項8】
前記交差点までの距離を算出する交差点距離算出手段を備え、
前記認識手段は、前記算出手段により算出された前記撮影手段と前記円形状との距離が、前記交差点距離算出手段により算出された前記交差点までの距離よりも、所定値以上長い場合に、前記円形状を信号機であると認識することを特徴とする請求項1から請求項7の何れかひとつに記載の信号機認識装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−257303(P2007−257303A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−80888(P2006−80888)
【出願日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】