説明

信号生成装置、直交変調器および直交復調器

【課題】直交変調器において、IQ不整合を補償する技術を提供する。
【解決手段】予め定められた位相差を有する第1信号および第2信号を生成する信号生成装置であって、被変更信号を受け取り、被変更信号のバイアスレベルを、第1信号および第2信号が有するべき位相差に応じて調整するバイアス調整部と、バイアス調整部によりバイアスレベルが調整された被変更信号の論理値の変化点の間隔に応じた位相差を有する第1信号および第2信号を出力する信号出力部と、を備える信号生成装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号生成装置、直交変調器および直交復調器に関する。本発明は、特に、位相差を調整して第1信号および第2信号を生成できる信号生成装置、直交変調器および直交復調器に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、特許文献1に記載の通り、差動の伝送系を通過するパルス信号において通過するパルスのパルス幅を可変可能とする差動伝送回路、これを用いるパルス幅可変回路が知られている。当該特許文献1の差動伝送回路では、単一若しくは差動の入力パルス信号を受けて正負の差動信号に変換して出力する差動ドライバと、差動ドライバからの差動信号を正負の差動の両受信端で受けて、単一若しくは差動の出力パルスを出力する差動レシーバとを備える。さらに当該差動伝送回路は、差動レシーバの正負の両受信端の受信波形である正側受信波形と負側受信波形の一方若しくは両方の静的電圧レベルを所定電圧レベルにシフトさせて通過する入力パルス信号の両受信波形がクロスするクロスポイントのタイミング位置を移動させるクロスポイント可変手段を備える。
【特許文献1】特開2001−060854号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
直交変調器において、ベクトル変調信号の各直交成分IとQに誤差、不整合あるいはミスマッチがある場合、変調精度が低下する。変調精度の低下は伝送エラーを生じる可能性が高くなり好ましくない。よって、直交変調器において、IQ不整合を補償する技術が望まれる。
【0004】
また、信号発生装置において、矩形波信号のデューティー比を50%からずらすと、2次高調波が増加して3次高調波が減少する。矩形波信号のデューティー比を変えることにより、信号の高調波成分を制御することが可能になる。よって、矩形波信号のデューティー比を簡便に変化できる技術が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の第1の形態においては、予め定められた位相差を有する第1信号および第2信号を生成する信号生成装置であって、被変更信号を受け取り、被変更信号のバイアスレベルを、第1信号および第2信号が有するべき位相差に応じて調整するバイアス調整部と、バイアス調整部によりバイアスレベルが調整された被変更信号の論理値の変化点の間隔に応じた位相差を有する第1信号および第2信号を出力する信号出力部と、を備える信号生成装置を提供する。
【0006】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0008】
図1は、本実施形態の信号生成装置101の機能構成例を示す。信号生成装置101は、たとえば90度等の予め定められた位相差を有する第1信号S1および第2信号S2を生成する。そして信号生成装置101は、この位相差を調整可能とする。
【0009】
信号生成装置101は、バイアス調整部102と、信号出力部104とを備える。信号出力部104は、信号変換部106と、第1ラッチ108と、第2ラッチ110と、ループ経路112とを有する。信号生成装置101は、さらに位相差検出部114を備える。
【0010】
バイアス調整部102は、被変更信号を受け取り、被変更信号のバイアスレベルを、第1信号および第2信号が有するべき位相差に応じて調整する。被変更信号は、バイアス調整部102によって変更される信号であってよく、たとえば差動信号またはシングルエンド信号とすることができる。以下被変更信号が差動信号である場合について主に説明する。
【0011】
被変更信号が差動信号である場合、バイアス調整部102は、差動信号を受け取り、差動信号の反転側信号Snまたは非反転側信号Spの少なくとも一方のバイアスレベルを、第1信号S1および第2信号S2が有するべき位相差に応じて調整する。たとえばバイアス調整部102は、差動信号の反転側信号Snに直流バイアスを印加して、バイアスレベルが調整された差動信号の反転側信号Sn'を生成できる。これによりバイアス調整部102は、反転側信号Snと非反転側信号Spとのクロスポイントを時間軸方向にシフトできる。すなわち、反転側信号Snと非反転側信号Spとのクロスポイントを、調整された反転側信号Sn'と非反転側信号Spとのクロスポイントにシフトできる。バイアス調整部102は、バイアスレベルが調整された差動信号の反転側信号Sn'と非反転側信号Spとを信号出力部104の信号変換部106に供給する。
【0012】
被変更信号が差動信号である場合、バイアス調整部102は、シングルエンド信号を受け取り、シングルエンド信号のバイアスレベルを、第1信号S1および第2信号S2が有するべき位相差に応じて調整できる。たとえばバイアス調整部102は、シングルエンド信号に直流バイアスを印加して、バイアスレベルが調整されたシングルエンド信号を生成できる。シングルエンド信号がスルーレートの低い矩形波あるいは正弦波である場合には、既定のDCレベルとのクロスポイントを時間軸方向にシフトできる。
【0013】
信号出力部104は、バイアス調整部102によりバイアスレベルが調整された被変更信号の論理値の変化点の間隔に応じた位相差を有する第1信号S1および前記第2信号S2を出力する。被変更信号が差動信号である場合、論理値の変化としてクロスポイントが例示できる。被変更信号がシングルエンド信号である場合、論理値の変化は正論理から負論理への変化またはその逆の変化であってよい。
【0014】
被変更信号が差動信号である場合、信号出力部104は、バイアス調整部102によりバイアスレベルが調整された差動信号の、たとえば反転側信号Sn'と非反転側信号Spとのクロスポイントの間隔に応じた位相差を有する第1信号S1および第2信号S2を出力する。信号出力部104は、バイアス調整部102によりバイアスレベルが調整された差動信号の、たとえば反転側信号Sn'と非反転側信号Spとの奇数番目のクロスポイントに応じて値が遷移する信号を第1信号S1として出力できる。そして信号出力部104は、偶数番目のクロスポイントに応じて値が遷移する信号を第2信号S2として出力できる。なお、被変更信号がシングルエンド信号である場合、信号出力部104は、バイアス調整部102によりバイアスレベルが調整されたシングルエンド信号と予めレベルを定めたDCレベルとのクロスポイントの間隔に応じた位相差を有する第1信号S1および第2信号S2を出力できる。
【0015】
信号変換部106は、バイアス調整部102によりバイアスレベルが調整された差動信号(反転側信号Sn'および非反転側信号Sp)を、差動信号のクロスポイントに応じたエッジを有する第3信号Sseに変換する。第3信号としては、シングルエンド信号を例示できる。信号出力部104は、第3信号Sseの立ち上がりエッジに応じて値が遷移する信号を第1信号S1として出力して、シングルエンド信号の立ち下がりエッジに応じて値が遷移する信号を第2信号S2として出力する。
【0016】
第1ラッチ108は、第3信号Sseの立ち下がりエッジまたは立ち上がりエッジのいずれか一方に応じて、入力Dに入力される入力信号の値を取り込む。そして第1ラッチ108は、出力Qからの出力を第1信号S1として出力する。第3信号Sseは、第1ラッチ108のクロック入力CLKに入力されてもよい。
【0017】
第2ラッチ110は、第3信号Sseの立ち下がりエッジまたは立ち上がりエッジのうち、第1ラッチ108とは異なるエッジに応じて、第1ラッチ108の反転出力Qバーが出力する、第1信号S1の反転信号の値を入力Dに取り込む。そして第2ラッチ110は、出力Qからの出力を第2信号S2として出力する。第3信号Sseの反転信号は、第2ラッチ110のクロック入力CLKに入力されてもよい。第1ラッチ108および第2ラッチ110を組み合わせてD型フリップフロップとすることができる。
【0018】
ループ経路112は、第2ラッチ110の出力Qから出力する第2信号S2を、入力信号として第1ラッチ108の入力Dに入力する。ループ経路112によって第2信号S2を第1ラッチ108に入力することにより、差動信号の奇数番目のクロスポイントに応じて値が遷移する信号を第1信号S1として出力でき、偶数番目のクロスポイントに応じて値が遷移する信号を第2信号S2として出力できる。
【0019】
位相差検出部114は、信号出力部104が出力する第1信号S1および第2信号S2の位相差を検出する。位相差検出部114で検出した位相差を受けて、バイアス調整部102は、位相差検出部114が検出した位相差に基づいて、バイアスレベルを調整できる。
【0020】
なお、前記の説明では第3信号としてシングルエンド信号の場合を例示した。しかし、第3信号は差動信号であってもよい。第3信号が差動信号である場合、差動信号の反転信号前記第1ラッチ108および第2ラッチ110に入力できる。
【0021】
図2は、バイアス調整部102の回路構成例を示す。差動信号の非反転側信号Spは、抵抗R1および抵抗R2を介して電源電圧Vccに接続される。差動信号の反転側信号Snは、抵抗R3および抵抗R4を介して電源電圧Vccに接続され、抵抗R3および抵抗R4の中点Pには、抵抗R5を介してバイアスレベル調整信号Saが印加される。バイアスレベル調整信号Saと電源電圧Vccとの間はコンデンサCで接続される。
【0022】
図2の回路構成例において、抵抗R1および抵抗R3、抵抗R2および抵抗R4の抵抗値は同じにすることができる。抵抗R5の値を抵抗R1〜R4の値より十分大きくして、バイアスレベル調整信号Saに電圧を加えない場合、抵抗R1と抵抗R3および抵抗R2と抵抗R4はバランスしているから、差動信号の非反転側信号Spおよび反転側信号Snのバイアスレベルは同じになる。
【0023】
バイアスレベル調整信号Saに電圧を加えると、抵抗R5を介したバイアスレベル調整信号Saの電圧によって中点Pの電圧が変化して、抵抗R1と抵抗R3および抵抗R2と抵抗R4に加わる電圧のバランスが崩れ、反転側信号Snのバイアスレベルは非反転信号Spのバイアスレベルに対して変化する。よって、バイアス調整部102は、バイアスレベル制御信号Saに電圧を加えることにより、その電圧値に応じて、差動信号(反転側信号Snおよび非反転側信号Sp)のバイアスレベルを調整できる。
【0024】
図3は、信号生成装置101における各信号のタイミング例として、差動信号の反転側信号Sn、非反転側信号Sp、第3信号Sse、第1信号S1および第2信号S2の時間変化を示す。以下の説明では、差動信号の反転側信号Snのバイアスレベルを調整した場合を説明する。しかし、バイアスレベルの調整は差動信号の非反転側信号Spに対しても実施することが可能であり、反転側信号Snおよび非反転側信号Spの両方に対して実施することもできる。
【0025】
バイアス調整部102は、差動信号の反転側信号Snにマイナスの直流バイアスを印加することにより、反転側信号Snのバイアスレベルをマイナス側にシフトさせ、信号Sn−に変化させることができる。逆にバイアス調整部102は、差動信号の反転側信号Snにプラスの直流バイアスを印加することにより、反転側信号Snのバイアスレベルがプラス側にシフトさせ、信号Sn+に変化させることができる。これによりバイアス調整部102は、差動信号の非反転側信号Spとのクロスポイントを時間軸方向にシフトさせることができる。すなわち、バイアスレベルを調整しない場合の非反転区間Tp0は、バイアスレベルをマイナス側にシフトさせたときにTp−に拡大され、バイアスレベルをプラス側にシフトさせたときにTp+に縮小される。一方、バイアスレベルを調整しない場合の反転区間Tn0は、バイアスレベルをマイナス側にシフトさせたときにTn−に縮小され、バイアスレベルをプラス側にシフトさせたときにTn+に拡大される。
【0026】
信号変換部106は、差動信号のクロスポイントが検出されたときに値が反転する第3信号Sseを出力することにより、差動信号のクロスポイントの変化すなわちバイアスレベルの調整に応じて、デューティー比が変化する第3信号Sseを出力することができる。信号出力部104すなわち第1ラッチ108および第2ラッチ110は、第3信号Sseの奇数番目のエッジ(立ち上がり)のタイミングで第1信号S1の値を遷移させ、偶数番目のエッジ(立ち下がり)で第2信号S2の値を遷移させる。よって、第1信号S1と第2信号S2との位相差を略90度を中心にして調整することができる。なお、信号変換部106は、差動信号のバイアスレベルの調整によってデューティー比が変化する第3信号Sseを生成するから、バイアスレベルの調整により、矩形波信号の一例であってよい第3信号Sseの高調波成分を制御できる。
【0027】
本実施形態の信号生成装置101によれば、差動信号のバイアスレベルを調整することにより、出力信号である第1信号S1と第2信号S2との位相差を調整できる。なお、上記した実施形態では、差動信号としてスルーレートの低い矩形波を例示したが、正弦波を提供することもできる。また、前記実施形態では、位相差検出部114によって第1信号S1と第2信号S2との位相差を検出して、バイアスレベルを調整する例を示しているが、事前にバイアスレベルと位相差との関係を測定して、任意の位相差に調整されるようバイアスレベルを調整およびプリセットすることもできる。
【0028】
図4は、信号生成装置101を適用した直交変調器201の機能構成例を示す。直交変調器201は、I成分入力信号INiおよびQ成分入力信号INqを直交変調する。直交変調器201は、ローカル信号生成部202と、バイアス調整部204および信号出力部206と、第1乗算部208と、第2乗算部210と、合成部212と、デューティー比検出部214とを備える。
【0029】
ローカル信号生成部202は、互いに位相が90度異なる第1ローカル信号LS1および第2ローカル信号LS2を生成する。ローカル信号生成部202に有するバイアス調整部204は、差動信号(反転側信号Snおよび非反転側信号Sp)を受け取り、差動信号の反転側信号Snまたは非反転側信号Spの少なくとも一方のバイアスレベルを、差動信号のデューティー比が略50%となる値に調整する。ローカル信号生成部202に有する信号出力部206は、バイアス調整部204によりバイアスレベルが調整された差動信号(反転側信号Sn'および非反転側信号Sp)のクロスポイントの間隔に応じた位相差を有する第1ローカル信号LS1および第2ローカル信号LS2を出力する。これら第1ローカル信号LS1および第2ローカル信号LS2の生成には前記した信号生成装置101が適用できることは言うまでもない。
【0030】
第1乗算部208は、第1ローカル信号LS1およびI成分入力信号INiを乗算する。第2乗算部210は、第2ローカル信号LS2およびQ成分入力信号INqを乗算する。合成部212は、第1乗算部208および第2乗算部210が出力する信号を合成する。これら第1乗算部208、第2乗算部210および合成部212の動作はたとえばQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)としてよく知られており、当該部材の動作によって入力信号(I成分入力信号INiおよびQ成分入力信号INq)がデジタル変調される。
【0031】
デューティー比検出部214は、バイアス調整部204によりバイアスレベルが調整された差動信号(反転側信号Sn'および非反転側信号Sp)のデューティー比と、50%との差分を検出する。このとき、バイアス調整部204は、デューティー比検出部214が検出した差分に基づいて、バイアスレベルを調整できる。
【0032】
直交変調器201により、入力信号INをデジタル変調できる。ここで、入力信号INのI成分とQ成分とに不整合がある場合でも、第1ローカル信号LS1と第2ローカル信号LS2との位相差を調整してIQ不整合を補償できる場合がある。この結果、デジタル変調の変調精度を向上できる場合がある。
【0033】
図5は、信号生成装置101を適用した直交復調器301の機能構成例を示す。直交復調器301は、入力信号INを直交復調してI成分出力信号OUTiおよびQ成分出力信号OUTqを出力する。直交復調器301は、バイアス調整部304および信号出力部306を有するローカル信号生成部302と、第1乗算部308と、第2乗算部310とを備える。
【0034】
ローカル信号生成部302は、互いに位相が90度異なる第1ローカル信号LS1および第2ローカル信号LS2を生成する。バイアス調整部304は、差動信号(反転側信号Snおよび非反転側信号Sp)を受け取り、差動信号の反転側信号Snまたは非反転側信号Spの少なくとも一方のバイアスレベルを制御することにより、差動信号のデューティー比を略50%に調整する。信号出力部306は、バイアス調整部304によりバイアスレベルが調整された差動信号(反転側信号Sn'および非反転側信号Sp)のクロスポイントの間隔に応じた位相差を有する第1ローカル信号LS1および第2ローカル信号LS2を出力する。
【0035】
第1乗算部308は、第1ローカル信号LS1および入力信号INを乗算して、I成分出力信号OUTiを出力する。第2乗算部310は、第2ローカル信号LS2および入力信号INを乗算して、Q成分出力信号OUTqを出力する。これら第1乗算部308および第2乗算部310の動作は、たとえばQPSKとしてよく知られており、当該部材の動作によって入力信号INがデジタル復調される。直交復調器301によれば、直交変調器201で変調された信号をデジタル復調することができる。
【0036】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本実施形態の信号生成装置101の機能構成例を示す。
【図2】バイアス調整部102の回路構成例を示す。
【図3】信号生成装置101における各信号のタイミング例を示す。
【図4】信号生成装置101を適用できる直交変調器201の機能構成例を示す。
【図5】信号生成装置101を適用できる直交復調器301の機能構成例を示す。
【符号の説明】
【0038】
101 信号生成装置
102 バイアス調整部
104 信号出力部
106 信号変換部
108 第1ラッチ
110 第2ラッチ
112 ループ経路
114 位相差検出部
201 直交変調器
202 ローカル信号生成部
204 バイアス調整部
206 信号出力部
208 第1乗算部
210 第2乗算部
212 合成部
214 デューティー比検出部
301 直交復調器
302 ローカル信号生成部
304 バイアス調整部
306 信号出力部
308 第1乗算部
310 第2乗算部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められた位相差を有する第1信号および第2信号を生成する信号生成装置であって、
被変更信号を受け取り、前記被変更信号のバイアスレベルを、前記第1信号および第2信号が有するべき位相差に応じて調整するバイアス調整部と、
前記バイアス調整部によりバイアスレベルが調整された前記被変更信号の論理値の変化点の間隔に応じた位相差を有する前記第1信号および前記第2信号を出力する信号出力部と、
を備える信号生成装置。
【請求項2】
前記バイアス調整部は、差動信号を受け取り、前記差動信号の反転側または非反転側の少なくとも一方のバイアスレベルを、前記第1信号および第2信号が有するべき位相差に応じて調整し、
前記信号出力部は、前記バイアス調整部によりバイアスレベルが調整された前記差動信号のクロスポイントの間隔に応じた位相差を有する前記第1信号および前記第2信号を出力する、
請求項1に記載の信号生成装置。
【請求項3】
前記信号出力部は、前記バイアス調整部によりバイアスレベルが調整された前記差動信号の奇数番目のクロスポイントに応じて値が遷移する信号を前記第1信号として出力し、偶数番目のクロスポイントに応じて値が遷移する信号を前記第2信号として出力する、
請求項2に記載の信号生成装置。
【請求項4】
前記信号出力部は、前記バイアス調整部によりバイアスレベルが調整された前記差動信号を、前記差動信号のクロスポイントに応じたエッジを有する第3信号に変換する信号変換部を更に有し、
前記信号出力部は、前記第3信号の立ち上がりエッジに応じて値が遷移する信号を前記第1信号として出力し、前記第3信号の立ち下がりエッジに応じて値が遷移する信号を前記第2信号として出力する、
請求項3に記載の信号生成装置。
【請求項5】
前記信号出力部は、
前記第3信号の立ち下がりエッジまたは立ち上がりエッジのいずれか一方に応じて入力信号の値を取り込み、前記第1信号として出力する第1ラッチと、
前記第3信号の立ち下がりエッジまたは立ち上がりエッジのうち、前記第1ラッチとは異なるエッジに応じて、前記第1ラッチが出力する前記第1信号の反転信号の値を取り込み、前記第2信号として出力する第2ラッチと、
前記第2ラッチが出力する前記第2信号を、前記入力信号として前記第1ラッチに入力するループ経路と、
を有する請求項4に記載の信号生成装置。
【請求項6】
前記信号出力部が出力する前記第1信号および前記第2信号の位相差を検出する位相差検出部を更に備え、
前記バイアス調整部は、前記位相差検出部が検出した位相差に基づいて、前記バイアスレベルを調整する、
請求項1に記載の信号生成装置。
【請求項7】
前記バイアス調整部は、シングルエンド信号を受け取り、前記シングルエンド信号のバイアスレベルを、前記第1信号および第2信号が有するべき位相差に応じて調整し、
前記信号出力部は、前記バイアス調整部によりバイアスレベルが調整された前記シングルエンド信号と予めレベルを定めたDCレベルとのクロスポイントの間隔に応じた位相差を有する前記第1信号および前記第2信号を出力する、
請求項1に記載の信号生成装置。
【請求項8】
入力信号を直交変調する直交変調器であって、
互いに位相が90度異なる第1ローカル信号および第2ローカル信号を生成するローカル信号生成部と、
前記第1ローカル信号および前記入力信号を乗算する第1乗算部と、
前記第2ローカル信号および前記入力信号を乗算する第2乗算部と、
前記第1乗算部および前記第2乗算部が出力する信号を合成する合成部と、
を備え、
前記ローカル信号生成部は、
被変更信号を受け取り、前記被変更信号のバイアスレベルを、前記被変更信号のデューティー比が略50%となる値に調整するバイアス調整部と、
前記バイアス調整部によりバイアスレベルが調整された前記被変更信号の論理値の変化点の間隔に応じた位相差を有する前記第1ローカル信号および前記第2ローカル信号を出力する信号出力部と、
を有する直交変調器。
【請求項9】
前記バイアス調整部によりバイアスレベルが調整された前記被変更信号のデューティー比と、50%との差分を検出するデューティー比検出部を更に備え、
前記バイアス調整部は、前記デューティー比検出部が検出した差分に基づいて、前記バイアスレベルを調整する、
請求項8に記載の直交変調器。
【請求項10】
入力信号を直交復調する直交復調器であって、
互いに位相が90度異なる第1ローカル信号および第2ローカル信号を生成するローカル信号生成部と、
前記第1ローカル信号および前記入力信号を乗算する第1乗算部と、
前記第2ローカル信号および前記入力信号を乗算する第2乗算部と、
を備え、
前記ローカル信号生成部は、
被変更信号を受け取り、前記被変更信号のバイアスレベルを制御することにより、前記被変更信号のデューティー比を略50%に調整するバイアス調整部と、
前記バイアス調整部によりバイアスレベルが調整された前記被変更信号の論理値の変化点の間隔に応じた位相差を有する前記第1ローカル信号および前記第2ローカル信号を出力する信号出力部と、
を有する直交復調器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−105508(P2009−105508A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−273139(P2007−273139)
【出願日】平成19年10月19日(2007.10.19)
【出願人】(390005175)株式会社アドバンテスト (1,005)
【Fターム(参考)】