説明

充電支援システム

【課題】翌日の自動車の利用に支障が生じないように、ユーザの充電作業を支援する「充電支援システム」を提供する。
【解決手段】制御装置2は、自動車が充電基地への帰着のために移動中である場合に、充電基地への帰着時のバッテリの残容量の推定値から推定される充電基地帰着後の充電所要時間が、推定した充電基地への帰着時刻から明日の出発時刻の間の時間より大きい場合には、ナビゲーション装置1に、現在位置最寄りの急速充電施設への経路案内を行わせる。充電所要時間は、充電基地における過去の充電の充電速度の平均に基づいて推定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部充電される蓄電池の電力を用いて走行する自動車において、ユーザの蓄電池の充電を支援する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラグイン電気自動車やプラグインハイブリッド車などと呼ばれる、外部充電される蓄電池の電力を用いて走行する自動車において、ユーザの蓄電池の充電を支援する技術としては、ユーザが指定した目的地近傍の充電施設を案内する技術(たとえば、特許文献1)や、充電施設の位置と共に充電施設における要充電時間を提示する技術(たとえば、特許文献2)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-294463号公報
【特許文献2】特開2009-030993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さて、外部充電される蓄電池の電力を用いて走行する自動車の充電は、自宅や勤務している会社などの自動車の拠点に設置された充電設備を用いて、自動車を使用しない夜間に行われることが一般的であると考えられる。
そして、このような場合において、通常は当該夜間における充電のみで翌日の自動車の利用を支障なく行えていたとしても、拠点への帰着が遅くなってしまったような日には、充分な充電時間を確保できずに、翌日の自動車の利用に支障が生じてしまう場合がある。
そこで、本発明は、翌日の自動車の利用に支障が生じないように、ユーザの充電作業を支援することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題達成のために、本発明は、外部充電されるバッテリの電力を用いて走行する自動車に搭載される充電支援システムに、現在位置から、日常的にユーザが夜間に前記バッテリの充電を行う施設である充電基地に移動した場合の、前記充電基地への到着時刻と、前記充電基地に到着時の前記バッテリの残容量を推定する帰着時状態推定手段と、前記充電基地からの翌日の出発時刻を推定する出発時刻推定手段と、前記帰着時状態推定手段が推定した前記バッテリの残容量に基づいて、当該残容量の前記バッテリをフル充電するのに要する充電所用時間を、前記帰着時状態推定手段が推定した前記充電基地への到着時刻と、前記出発時刻推定手段が推定した翌日の出発時刻の間に確保できない場合に、ユーザに急速充電施設の利用を促す急速充電勧奨手段とを備えたものである。
【0006】
ここで、前記急速充電勧奨手段は、前記充電所用時間を、前記帰着時状態推定手段が推定した前記充電基地への到着時刻と、前記出発時刻推定手段が推定した翌日の出発時刻の間に確保できない場合に、さらに、現在位置最寄りの急速充電施設までの経路を案内するように構成してもよい。
【0007】
このような充電支援システムによれば、日常的にユーザが夜間に前記バッテリの充電を行う施設である充電基地に帰着した後に、翌日の出発時刻までにバッテリをフル充電できない場合には、ユーザに急速充電施設の利用を促したり、現在位置最寄りの急速充電施設までの経路を案内することができる。よって、翌日の自動車の利用に支障が生じないように、ユーザがバッテリの充電を行うことを支援することができる。
【0008】
なお、以上の充電支援システムにおいて、前記出発時刻推定手段は、過去における本日の曜日と同じ曜日である各日の、前記自動車の前記充電基地からの出発時刻の平均時刻を、前記翌日の出発時刻として推定するようにしてもよい。または、充電支援システムに、ユーザの各日の予定が登録されたスケジュールデータを記憶したスケジュール記憶手段を設け、前記出発時刻推定手段において、前記スケジュールデータに登録された翌日の予定に基づいて、前記翌日の出発時刻を推定するようにしてもよい。
【0009】
また、以上の充電支援システムにおいて、急速充電勧奨手段は、前記帰着時状態推定手段が推定した前記バッテリの残容量と、過去所定期間中における前記充電基地での前記バッテリの各日の充電速度の平均速度に基づいて、前記充電所用時間を推定するようにしてもよい。
このようにすることにより、バッテリの充電特性の経時変化を反映した前記充電所用時間の算出を行えるようになる。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明によれば、翌日の自動車の利用に支障が生じないように、ユーザの充電作業を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る車載システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る車載システムの表示画面例を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る統計データとスケジュールデータを示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る充電支援処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1に、本実施形態に係る車載システムの構成を示す。
本実施形態に係る車載システムは、プラグイン電気自動車やプラグインハイブリッド車などと呼ばれる、外部充電されるバッテリ(蓄電池)電力を用いて走行する自動車に搭載されるシステムであり、図示するように、ナビゲーション装置1、制御装置2、表示装置3、入力装置4、バッテリの残容量やバッテリの充電開始や終了を検出するバッテリ管理装置5、統計データ記憶部6、スケジュール記憶部7、外部インタフェース8とを備えている。
【0013】
但し、以上の車載システムは、ハードウエア的には、マイクロプロセッサや、メモリや、その他の周辺デバイスを有する一般的な構成を備えたコンピュータを用いて構成されるものであって良く、この場合、以上に示した車載システムの各部は、マイクロプロセッサが予め用意されたプログラムを実行することにより具現化するプロセス、リソースとして実現される。また、この場合、このようなプログラムは、記録媒体や適当な通信路を介して、車載システムに提供されるものであって良い。
【0014】
さて、次に、このような車載システムのナビゲーション装置1は、地図データを記憶した地図データ記憶部11、GPSセンサや方位センサ車速センサなどを備え、これらセンサの出力と地図データとに基づいて自動車の現在位置や現在の進行方向を算出する現在位置算出部12、ユーザによって指定された目的地までの現在位置からの経路を地図データを参照して探索し誘導ルートとして設定する経路算出部13、各種施設の種別や名称や位置を表す施設データを記憶した施設データ記憶部14、これら各部を統括制御すると共に、ユーザの走行を案内する案内画像を生成し、制御装置2を介して表示装置3に表示するナビゲーション制御部15とを備えている。
【0015】
ここで、このようにナビゲーション制御部15が生成する案内画像は、図2aに示すように、地図表示範囲内の地図を表す地図211上に、現在位置を表す現在位置マーク212や、誘導ルートを表す誘導ルート図形213や、目的地を表す目的地マーク214や、施設データが示す各施設の位置を表す施設の種別を図形形状によって表す施設マーク215が表示されたものになる。
【0016】
また、ナビゲーション制御部15は、このような案内画像の上に、制御装置2を介して、ユーザの各種指示を受け付けるボタンを表示し、制御装置2を介して、ユーザのボタンの操作を受け付け、操作されたボタンに応じた処理を行う。たとえば、図2aでは、このボタンとして、地図縮尺の変更操作を受け付けるための詳細ボタン及び広域ボタン221と、各種メニューのメニュー画面の呼出操作を受け付けるためのメニューボタン222と、ユーザの目的地の設定を受け付ける処理の呼出操作を受け付けるための目的地ボタン223とを設けている。
【0017】
さて、図1に戻り、統計データ記憶部6には、図3aに示す統計データが記憶されている。
図示するように、統計データは、月火水木金土日の各曜日毎に、平均充電基地出発時刻、平均充電基地帰着時刻、平均帰着時残容量、平均充電基地充電時間、平均充電基地充電速度、平均帰着時充電開始/終了時刻を登録したものである。
ここで、充電基地とは、日常的にユーザが夜間に充電を行う充電施設である。この充電基地は、制御装置2が、以下のようにして設定する。
すなわち、制御装置2は、自動車が走行に用いるバッテリを管理するバッテリ管理装置5が、夜間(たとえば、PM:500-AM5:00)において、バッテリの充電中を検出しているときに、ナビゲーション装置1によって現在位置として検出される時間長が最も長い位置を充電基地として設定する。ただし、充電基地は、ユーザが充電基地として設定した位置を充電基地として設定するようにしてもよいし、ナビゲーション装置1にユーザによって設定されている自宅位置を、充電基地として設定するようにしてもよい。
【0018】
次に、各曜日の平均充電基地出発時刻とは、当該曜日の各日において、自動車が充電基地を最初に出発した時刻の平均値である。ここで、制御装置2は、各日において、当日初めて、自動車の走行開始が検出されたときに、ナビゲーション装置1が現在位置として充電基地を検出している場合に、当該起動時刻を、当日の充電基地出発時刻として求めて記憶する。また、制御装置2は、当日の充電基地出発時刻が求まったならば、記憶している、当日が属する曜日の各日において求めた充電基地出発時刻を、過去所定期間分(たとえば、50日分)、平均した時刻を、当日が属する曜日の平均充電基地出発時刻として統計データを更新する。
【0019】
次に、各曜日の平均充電基地帰着時刻とは、当該曜日の各日において、自動車が充電基地に最後に帰着した時刻の平均値である。ここで、制御装置2は、各日において、当日最後に、自動車が停止したときに、ナビゲーション装置1が現在位置として充電基地を検出している場合に、当該停止時刻を、当日の充電基地帰着時刻として求めて記憶する。また、制御装置2は、当日の充電基地帰着時刻が求まったならば、記憶している、当日が属する曜日の各日において求めた充電基地帰着時刻を過去所定期間分(たとえば、50日分)、平均した時刻を、当日が属する曜日の平均充電基地帰着時刻として統計データを更新する。
【0020】
次に、各曜日の平均帰着時残容量とは、当該曜日の各日において、充電基地帰着時刻が求まったときのバッテリの残容量の平均値である。制御装置2は、当日の充電基地帰着時刻が求まったならば、バッテリ管理装置5からバッテリの残容量を取得して記憶し、当日が属する曜日の各日において求めたバッテリの残容量を過去所定期間分(たとえば、50日分)、平均した残容量を、当日が属する曜日の平均帰着時残容量として統計データを更新する。
【0021】
次に、平均充電基地充電時間とは、当該曜日の各日において、当日の充電基地帰着時刻から翌日の充電基地出発時刻の間に行われた充電によって、バッテリをフル充電するまでに要した時間の平均値である。また、平均充電基地充電速度は、当該曜日の各日において、当日の充電基地帰着時刻から翌日の充電基地出発時刻の間に行われた充電においてバッテリをフル充電したときの、充電を開始してからバッテリをフル充電するまでの期間中における充電速度(単位時間あたりの充電量)の平均値である。また、平均帰着時充電開始/終了時刻は、当該曜日の各日において、当日の充電基地帰着時刻から翌日の充電基地出発時刻の間に行われた充電によって、バッテリをフル充電したときの、充電を開始した時刻と、フル充電を完了した時刻の平均値である。
【0022】
制御装置2は、当日の充電基地帰着時刻が求まったならば、バッテリ管理装置5がバッテリの充電開始を検出した時刻を充電開始時刻として記憶する、そして、その後、翌日の充電基地出発時刻が求まる前に、バッテリ管理装置5がバッテリのフル充電完了を検出したならば、当該時刻を当日の充電終了時刻として取得し記憶する。そして、制御装置2は、当日の充電終了時刻が求まったならば、充電開始時刻と充電終了時刻との間の時間を当日の充電時間として求めて記憶し、当日が属する曜日の各日において求めた充電時間を過去所定期間分(たとえば、50日分)、平均した時間を、当日が属する曜日の平均充電基地充電時間として統計データを更新する。
【0023】
また、当日の充電時間が求まったならば、当日の充電開始時刻から充電終了時刻までの間の時間で、バッテリのフル容量から当日のバッテリの残容量を差し引いた容量を割って、当日の充電速度を求めて記憶し、当日が属する曜日の各日において求めた充電速度を過去所定期間分(たとえば、50日分)、平均した速度を、当日が属する曜日の平均充電基地充電速度として統計データを更新する。
【0024】
また、制御装置2は、当日の充電終了時刻が求まったならば、当日が属する曜日の各日において求めた充電開始時刻と充電終了時刻の過去所定期間分(たとえば、50日分)、平均し、当日が属する曜日の平均帰着時充電開始/終了時刻として、統計データを更新する。
【0025】
次に、図1に戻り、スケジュール記憶部7には、図3bに示すスケジュールデータが記憶される。
図3bに示すように、スケジュールデータは、各日のユーザの予定が登録されている。
スケジュールデータへの予定の登録は、制御装置2が、表示装置3と入力装置4を用いて適当なスケジュール編集用のGUIをユーザに提供すると共に、当該GUI上でユーザによって入力された予定をスケジュールデータに登録することにより行う。
または、外部インタフェース8を介して外部装置と接続し、接続した外部装置に登録されているスケジュールデータをスケジュール記憶部7に読み込んだり、接続した外部装置に登録されているスケジュールデータに登録されている予定を読み込んで、スケジュール記憶部7のスケジュールデータに登録することにより行うようにすることもできる。
【0026】
ここで、図示するようにスケジュールデータに登録する各予定には、予定時刻、予定内容、予定のある場所や、その住所を登録することができる。
以下、このような構成において、制御装置2が行う充電支援処理について説明する。
なお、この充電支援処理は、自動車の使用が開始され車載システムが起動される度に、その実行が開始される。
図4に、この充電支援処理の手順を示す。
図示するように、この充電支援処理では、自動車が充電基地への帰着のために移動中であるかどうかを監視する(ステップ402)。ここで、自動車が充電基地への帰着のために移動中であるかどうかは、以下の基準により判定する。
すなわち、たとえば、現在、目的地として充電基地が設定されている場合には、充電基地への帰着のために移動中であると判定する。または、たとえば、統計データに登録されている、今日が属する曜日の平均充電基地帰着時間の前後所定時間(たとえば、3時間)以内に現在時刻があり、目的地が設定されていない場合には、充電基地への帰着のために移動中であると判定する。
【0027】
そして、自動車が充電基地への帰着のために移動中である場合には、予めユーザによって、ユーザがバッテリのフル充電の完了を希望する時刻であるところの、充電完了時刻が設定されているかどうかを調べ(ステップ404)、設定されている場合には、設定されている充電完了時刻を基準時刻として設定し(ステップ420)、ステップ410に進む。
【0028】
一方、ユーザによって充電完了時刻が設定されていない場合には(ステップ404)、スケジュールデータからの明日の出発時刻を算出可能かどうかを調べる(ステップ406)。
ここで、スケジュールデータからの明日の出発時刻の算出は、スケジュールデータに
明日の出発時刻が登録されている場合には、当該出発時刻を明日の出発時刻として算出する。また、スケジュールデータに、明日の出発時刻が登録されておらず、明日の最初の予定に、予定時刻と予定のある場所の住所が登録されている場合には、ナビゲーション装置1を用いて、充電基地から登録されている住所より求まる最初の予定のある地点までの所要走行時間を算出し、算出した所要走行時間に所定のマージン(たとえば、10分)を加えた時間を、最初の予定の予定時刻から差し引いた時刻を明日の出発時刻として算出する。なお、ナビゲーション装置1は、二地点間の所要走行時間を、当該二地点間の経路を算出すると共に、経路を構成する各種別(一般道、高速道路等)の道路の道路区間の経路長と、各種別の道路の平均的な走行速度に基づいて算出する機能を備えている。
【0029】
そして、スケジュールデータに、明日の出発時刻が登録されておらず、かつ、スケジュールデータの明日の最初の予定に予定時刻と予定のある場所の住所の双方が登録されていない場合には、スケジュールデータからの明日の出発時刻の算出は不可と判定する。
そして、スケジュールデータからの明日の出発時刻の算出が不可であれば、統計データに登録されている明日の属する曜日の平均充電基地出発時刻を基準時刻に設定し(ステップ408)、ステップ410に進む。
一方、スケジュールデータからの明日の出発時刻を算出可能であれば(ステップ406)、スケジュール記憶部7のスケジュールデータから求まる明日の出発時刻が、統計データに登録されている明日の属する曜日の平均充電基地出発時刻より前であるかどうかを調べる(ステップ422)。そして、スケジュールデータから求まる明日の出発時刻が、統計データに登録されている明日の属する曜日の平均充電基地出発時刻より前であればスケジュールデータから求まる明日の出発時刻を基準時刻として設定し(ステップ424)、ステップ410に進む。一方、スケジュールデータから求まる明日の出発時刻が、統計データに登録されている明日の属する曜日の平均充電基地出発時刻より前でなければ、統計データに登録されている明日の属する曜日の平均充電基地出発時刻を基準時刻に設定し(ステップ408)、ステップ410に進む。
【0030】
そして、このようにしてステップ410に進んだならば、まず、充電基地への帰着時刻と、充電基地への帰着時のバッテリの残容量と、充電基地帰着後の充電所要時間とを推定する。充電基地への帰着時刻は、ナビゲーション装置1を用いて算出した現在位置から充電基地までの所要走行時間を現在時刻に加えることにより推定する。
【0031】
また、充電基地帰着時のバッテリの残容量は、バッテリ管理装置5から取得した現在のバッテリ残容量をA、ナビゲーション装置1を用いて求めた現在位置から充電基地までの要走行距離をL、自動車の単位走行距離あたりの消費電力をWとして、A-L×Wにより推定する。
【0032】
また、充電基地帰着後の充電所要時間(分)は、推定した充電基地帰着時のバッテリの残容量をフル容量のB%、統計データから求まる今日が属する曜日の平均充電基地充電速度(%/分)をVとして、(100-B)/Vにより推定する。但し、平均充電基地充電速度は、曜日に関わりなく求めて統計データに登録すると共に、今日が属する曜日の平均充電基地充電速度に代えて、統計データに登録されている、曜日に関わりなく求めた平均充電基地充電速度を用いて、充電基地帰着後の充電所要時間を算出するようにしてもよい。ここで、以上のように、統計的に求めた平均充電基地充電速度を用いて充電所要時間を算出することにより、充電所要時間の算出にバッテリの充電特性の経時変化を反映することができる。
【0033】
次に、推定した充電基地への帰着時刻から基準時刻までの時間が、推定した充電基地帰着後の充電所要時間に所定のマージン(たとえば、30分)を加えた時間より小さいかどうかを調べ(ステップ412)、小さくなければ、ステップ402に戻る。
一方、推定した充電基地への帰着時刻から基準時刻までの時間が、推定した充電基地帰着後の充電所要時間に所定のマージン(たとえば、30分)を加えた時間より小さい場合には(ステップ412)、図2bに示すように、表示装置3に、「帰着後、翌朝までに充電が完了しないおそれがあります。急速充電施設に行きますか。」といったような、バッテリの急速充電の実施を勧奨するメッセージ250を表示する(ステップ414)。
【0034】
そして、ユーザから、メッセージ250と共に表示した「はい」ボタン251によって、急速充電の実施が選択された場合には(ステップ416)、メッセージ250の表示を消去すると共に、ナビゲーション装置1に、現在位置最寄りの急速充電施設への経路案内を指示し(ステップ418)、充電支援処理を終了する。なお、急速充電施設とは、家庭や会社などである充電基地で家庭用電源/商用電源をそのまま利用して充電する場合よりも、バッテリの充電を高速に行える施設である。
【0035】
ここで、急速充電施設への経路案内を指示されたナビゲーション装置1は、施設データを参照して施設種別が急速充電施設であって、位置が自動車の進行方向側において現在位置最寄りの施設を抽出し、抽出した急速充電施設である施設の位置を、目的地に設定する。ただし、目的地が既に設定されている場合には、抽出した急速充電施設である施設の位置を経由地に設定する。そして、経路算出部13に、設定されている経由地を経由する目的地までの経路の探索と、探索した経路への誘導ルートの更新を行わせる。
【0036】
この結果、たとえば、図2aに示すように現在位置、目的地、誘導ルートが設定されているときに、急速充電施設への経路案内を指示された場合、ナビゲーション装置1は、誘導ルートを、図2cに示すように自動車の進行方向側において現在位置最寄りの急速充電施設215Xを経由するルートに更新する。
【0037】
一方、ステップ416において、メッセージ250と共に表示した「いいえ」ボタン252によって、急速充電を実施しないことが選択された場合には(ステップ416)、メッセージ250の表示を消去すると共に、予めユーザによって、メッセージ出力のスヌーズが設定されているかどうかを調べ(ステップ426)、設定されていなければ充電支援処理を終了し、設定されていれば所定のスヌーズ期間の経過を待って(ステップ428)、ステップ414に戻ってメッセージ250を再表示する。
【0038】
以上、本発明の実施形態について説明した。
以上のように、本実施形態によれば、日常的にユーザが夜間に前記バッテリの充電を行う施設である充電基地に帰着した後に翌日の出発時刻までにバッテリをフル充電できない場合には、ユーザに急速充電施設の利用を促したり、現在位置最寄りの急速充電施設までの経路を案内することができる。よって、翌日の自動車の利用に支障が生じないように、ユーザがバッテリの充電を行うことを支援することができる。
【符号の説明】
【0039】
1…ナビゲーション装置、2…制御装置、3…表示装置、4…入力装置、5…バッテリ管理装置、6…統計データ記憶部、7…スケジュール記憶部、8…外部インタフェース、11…地図データ記憶部、12…現在位置算出部、13…経路算出部、14…施設データ記憶部、15…ナビゲーション制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部充電されるバッテリの電力を用いて走行する自動車に搭載される充電支援システムであって、
現在位置から、日常的にユーザが夜間に前記バッテリの充電を行う施設である充電基地に移動した場合の、前記充電基地への到着時刻と、前記充電基地に到着時の前記バッテリの残容量を推定する帰着時状態推定手段と、
前記充電基地からの翌日の出発時刻を推定する出発時刻推定手段と、
前記帰着時状態推定手段が推定した前記バッテリの残容量に基づいて、当該残容量の前記バッテリをフル充電するのに要する充電所用時間を、前記帰着時状態推定手段が推定した前記充電基地への到着時刻と、前記出発時刻推定手段が推定した翌日の出発時刻の間に確保できない場合に、ユーザに急速充電施設の利用を促す急速充電勧奨手段とを有することを特徴とする充電支援システム。
【請求項2】
請求項1記載の充電支援システムであって、
前記急速充電勧奨手段は、前記充電所用時間を、前記帰着時状態推定手段が推定した前記充電基地への到着時刻と、前記出発時刻推定手段が推定した翌日の出発時刻の間に確保できない場合に、現在位置最寄りの急速充電施設までの経路を案内することを特徴とする充電支援システム。
【請求項3】
請求項1記載の充電支援システムであって、
前記出発時刻推定手段は、過去における本日の曜日と同じ曜日である各日の、前記自動車の前記充電基地からの出発時刻の平均時刻を、前記翌日の出発時刻として推定する特徴とする充電支援システム。
【請求項4】
請求項1記載の充電支援システムであって、
ユーザの各日の予定が登録されたスケジュールデータを記憶したスケジュール記憶手段を有し、
前記出発時刻推定手段は、前記スケジュールデータに登録された翌日の予定に基づいて、前記翌日の出発時刻を推定することを特徴とする充電支援システム。
【請求項5】
請求項1、2、3または4記載の充電支援システムであって、
前記急速充電勧奨手段は、前記帰着時状態推定手段が推定した前記バッテリの残容量と、過去所定期間中における前記充電基地での前記バッテリの各日の充電速度の平均速度に基づいて、前記充電所用時間を推定することを特徴とする充電支援システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−147283(P2011−147283A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−6751(P2010−6751)
【出願日】平成22年1月15日(2010.1.15)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】