説明

光インプリント用被膜形成用組成物

【課題】
モールドを離型した後にクラックが発生せず、当該モールドのパターン痕が残る膜が得られ、さらに高弾性率の膜を形成可能な、光インプリント用被膜形成用組成物を提供すること。
【解決手段】
(A)成分:少なくとも1種の所定の加水分解性シランの加水分解縮合物、又は前記加水分解性シランの加水分解物と前記加水分解縮合物との混合物、(B)成分:重合性基を少なくとも2個有する化合物、及び(C)成分:光重合開始剤を含み、必要に応じてさらにその他の成分を含む光インプリント用被膜形成用組成物を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光インプリント用被膜形成用組成物、及び当該組成物から作製され、パターンが転写された膜に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から半導体デバイスの製造において、フォトレジスト組成物を用いたリソグラフィーによる微細加工が行われている。近年、半導体デバイスの高集積度化が進み、使用される活性光線もi線(波長365nm)、KrFエキシマレーザー(波長248nm)からArFエキシマレーザー(波長193nm)へと短波長化される傾向にあり、リソグラフィーによる微細加工に関する技術は超微細化への一途を辿っている。
【0003】
これらの状況の中で1995年にプリンストン大学のChouらによって、ナノインプリントリソグラフィーが提案された(特許文献1参照)。ナノインプリントリソグラフィーは、任意のパターンを有したモールドを樹脂膜が形成された基材と接触させ、当該樹脂膜を加圧すると共に、熱若しくは光を外部刺激として用いて、目的のパターンをその樹脂膜に形成する技術であり、数百nmオーダーの微細パターンを形成することが可能との報告がある(例えば非特許文献1参照)。
【0004】
ナノインプリントは外部刺激として熱を用いる技術と光を用いる技術とに大きく分類される。熱を用いる技術を熱ナノインプリント、光を用いる技術を光ナノインプリントと称する。加熱しながら露光することによってパターンを形成する例も報告されている。光を用いない熱ナノインプリントは、パターンを形成するまでの熱の履歴に時間がかかり、スループットが悪いことが多く、これに対比してスループットが良い光ナノインプリントが中心に検討されるようになってきた(例えば特許文献2及び特許文献3参照)。
【0005】
これまでに報告されている光ナノインプリント用組成物は、パターンが形成できることに主目的が置かれており、材料の持つ機能性にまで言及した組成物が少ないのが現状である。特に、硬度が高く且つ弾性率が高い膜を形成できる光ナノインプリント用組成物に関する報告は皆無であり、高弾性率な光ナノインプリント用の膜を形成できる組成物が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5772905号明細書
【特許文献2】特開2007−72374号公報
【特許文献3】特開2008−202022号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】The 7th International Conference on Nanoimprint and Nanoprint Technology(NNT2008)予稿集 p.128−129、14B2−5−51
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
テトラエトキシシランのような4官能シラン化合物を含む加水分解性シランを、加水分解及び縮合させて得られる生成物を含有する被膜形成用組成物を用いると、高弾性率の膜が得られるが、1)膜の弾性率が高すぎるために膜が割れる現象(クラック)が発生する、2)膜表面のタッキネス(粘着性)が発現しない、3)モールドのパターンの痕跡(パターン痕)が膜に残りにくい、という課題がある。また、アルケニル基を含む有機基等の重合性基を有する化合物と光重合開始剤とが併用された従来の組成物から形成される膜は、高い弾性率を得るのが困難である。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、モールドを離型した後にクラックが発生せず、当該モールドのパターン痕が残る膜が得られることを必須要件とし、さらに高弾性率の膜を形成可能な、光インプリント用被膜形成用組成物を提供することを目的とする。本明細書では、形成されるパターンサイズがナノメートルオーダーに限らず、例えばマイクロメートルオーダーである場合を含む光ナノインプリント技術を、光インプリントと称する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、アルケニル基を含む有機基等の重合性基を有さない、少なくとも1種の加水分解性シランの加水分解縮合物及び/又は加水分解物と、重合性基を2個以上有する化合物と、光重合開始剤、及び必要により溶剤を組み合わせることで、上記課題が解決され、光インプリント用被膜形成用組成物として有効であることを見出した。
【0011】
本発明は、
(A)成分:下記式(1)で表される少なくとも1種の加水分解性シランの加水分解縮合物、又は前記加水分解性シランの加水分解物と前記加水分解縮合物との混合物、
【化1】


(式中、Rは炭素原子数1乃至6のアルキル基を示し、Rは炭素原子数1乃至18のアルキル基又はアリール基を示し、aは0乃至3の整数を示す。)
(B)成分:重合性基を少なくとも2個有する化合物、及び
(C)成分:光重合開始剤、
を含む光インプリント用被膜形成用組成物である。
この(A)成分における加水分解縮合物は、Si−O−Si結合を主鎖に有するポリシロキサンである。
【0012】
前記加水分解性シランは、前記式(1)においてaが0である4官能シラン化合物、すなわち下記式(2):
【化2】


(式中、Rは前記式(1)と同義である。)
で表されるシラン化合物とすることができる。
【0013】
前記加水分解性シランはまた、前記式(2)で表されるシラン化合物、及び前記式(1)においてaが1、2又は3である少なくとも1種のシラン化合物とすることもできる。
【0014】
前記(B)成分において重合性基は、例えばアクリロイルオキシ基、メタアクリロイルオキシ基、ビニル基及びアリル基からなる群から選択される有機基である。アクリロイルオキシ基はアクリロキシ基と表現されることがあり、メタアクリロイルオキシ基はメタクリロキシ基と表現されることがある。
【発明の効果】
【0015】
本発明の光インプリント用被膜形成用組成物を採用することにより、モールドを離型した後にクラックが発生せず、当該モールドのパターン痕が残るため所望のパターンが形成される膜が得られ、さらに高弾性率の膜を形成可能なので、良好な光インプリントが可能となった。
【0016】
さらに、本発明の光インプリント用被膜形成用組成物を採用することにより、光インプリントによるパターン作製のタクトタイム(Tact Time)を短縮させ、デバイス製造のスループットを向上させることができる。また、光インプリントは、加熱工程を必須とせず、加熱工程を設ける場合でも焼成温度を任意に変更できることから、高温焼成に対応できないプラスチック等のフレキシブル基材を適用することができる。
【0017】
本発明の光インプリント用被膜形成用組成物は、重合性基を2個以上有する化合物の種類を変更することで、硬化速度、動的粘度、膜厚をコントロールすることができる。したがって本発明の光インプリント用被膜形成用組成物は、製造するデバイス種と各種の露光プロセス及び焼成プロセスに対応した組成物の設計が可能であり、プロセスマージンを拡大できるため、光学部材の製造に好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
光インプリントのプロセスは、
工程1:膜形成用組成物を基材に塗布する、
工程2:塗布した膜形成用組成物(以下、塗膜と称する)を必要に応じて仮乾燥させる、
工程3:塗膜にモールドを押し付け加圧する、その際、必要に応じて熱を加える、
工程4:塗膜とモールドとが接した状態で、その塗膜を硬化させる光を照射する、
工程5:光照射後に、硬化膜とモールドとを離型する、
工程6:離型後、モールドのパターンが転写された硬化膜に対し、必要に応じて本焼成を行う、
以上の工程により構成される。
【0019】
工程1及び工程2の後の塗膜の状態はタッキネスを発現していることが好ましく、重合性基を2個以上有する化合物を含むことからタッキネスを発現できる。工程4の後に、塗膜は光硬化していることが好ましく、光重合開始剤を含むことから塗膜の光硬化を達成できる。工程5若しくは工程6の後に、硬化膜は高弾性率を有していることが好ましく、本発明の光インプリント用被膜形成用組成物を用いることによって、非常に高い弾性率を達成できる。
【0020】
本発明の光インプリント用被膜形成用組成物に含まれる(A)成分において、加水分解縮合物は本明細書に記載の式(1)で表される少なくとも1種の加水分解性シラン(4官能のシラン化合物を含むことが好ましい)を出発物質として得られるポリシロキサンであり、加水分解物は上記シラン化合物の加水分解基が加水分解してシラノール基を生成したものである。その加水分解縮合物は加水分解物中のシラノール基同士が脱水縮合を起こし、ポリシロキサンを形成したものであり、縮合物の末端は通常、シラノール基を有している。未反応の末端が存在する場合は、式(1)で表される加水分解性シランの“OR”に相当するアルコキシ基を有している。
【0021】
アルコキシ基としては炭素原子数1〜6のアルコキシ基が例示され、直鎖、分岐、環状のアルキル部分を有するアルコキシ基として、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペントキシ基、1−メチル−n−ブトキシ基、2−メチル−n−ブトキシ基、3−メチル−n−ブトキシ基、1,1−ジメチル−n−プロポキシ基、1,2−ジメチル−n−プロポキシ基、2,2−ジメチル−n−プロポキシ基、1−エチル−n−プロポキシ基、n−ヘキシルオキシ基、1−メチル−n−ペンチルオキシ基、2−メチル−n−ペンチルオキシ基、3−メチル−n−ペンチルオキシ基、4−メチル−n−ペンチルオキシ基、1,1−ジメチル−n−ブトキシ基、1,2−ジメチル−n−ブトキシ基、1,3−ジメチル−n−ブトキシ基、2,2−ジメチル−n−ブトキシ基、2,3−ジメチル−n−ブトキシ基、3,3−ジメチル−n−ブトキシ基、1−エチル−n−ブトキシ基、2−エチル−n−ブトキシ基、1,1,2−トリメチル−n−プロポキシ基、1,2,2,−トリメチル−n−プロポキシ基、1−エチル−1−メチル−n−プロポキシ基、及び1−エチル−2−メチル−n−プロポキシ基等が挙げられる。
【0022】
上記式(1)で表される加水分解性シランは、例えばテトラメトキシシラン、テトラアセトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラn−ブトキシシラン、テトラアセトキシシラン、等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。式(1)で表される加水分解性シランに代えて、又は当該加水分解性シランと共に、テトラクロロシラン等の、加水分解基としてハロゲン原子を有するシラン化合物を用いてもよい。加水分解性シランは、市販品を用いることができる。
【0023】
式(1)で表される少なくとも1種の加水分解性シランを加水分解し、その加水分解物を縮合して得られるポリシロキサンの重量平均分子量は、例えば1000〜100000である。これらの分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCと略称する)分析による標準ポリスチレン換算で得られる平均分子量である。
【0024】
式(1)で表される加水分解性シランの“R”は、アルキル基又はアリール基を示し、前記アルキル基は、直鎖状又は分岐状に限定されず、環状構造であってもよい。アルキル基又はアリール基の例として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、ドデシル基(−(CH11CH基)、オクタデシル基(−(CH17CH基)、フェニル基、ベンジル基等が挙げられる。
【0025】
ポリシロキサンを合成する際の加水分解用触媒として、有機酸、無機酸、有機塩基、無機塩基を挙げることができる。
有機酸として、例えば酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、シュウ酸(蓚酸)、マレイン酸、メチルマロン酸、アジピン酸、セバシン酸、没食子酸、酪酸、メリット酸、アラキドン酸、2−エチルヘキサン酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、サリチル酸、安息香酸、p−アミノ安息香酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、マロン酸、スルホン酸、フタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸等を挙げることができる。無機酸として、例えば塩酸、硝酸、硫酸、リン酸等を挙げることができる。有機塩基として、例えばピリジン、ピロール、ピペラジン、ピロリジン、ピペリジン、ピコリン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルモノエタノールアミン、モノメチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジアザビシクロオクタン、ジアザビシクロノナン、ジアザビシクロウンデセン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン等を挙げることができる。無機塩基としては、例えばアンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム等を挙げることができる。これら触媒の内、有機酸、無機酸が好ましく、1種又は2種以上の触媒を同時に使用してもよい。
【0026】
加水分解性シランの珪素原子と結合したアルコキシ基(以下、加水分解基と称する)の加水分解には、これら加水分解基1モル当たり、0.1〜100モル、又は0.1〜10モル、又は1〜5モル、又は2〜3.5モルの水を用いる。さらに、加水分解基1モル当たり0.0001〜10モル、好ましくは0.001〜2モルの加水分解用触媒を用いることができる。
【0027】
加水分解及び縮合を行う際の反応温度は、通常は23℃(室温)以上、加水分解に用いられる有機溶剤の常圧での還流温度以下の範囲で行われる。
【0028】
加水分解は完全に行う(全ての加水分解基をシラノール基に変える)ことでも、または部分加水分解する(未反応の加水分解基が残る)ことでもよい。また、加水分解及び縮合反応後に加水分解物が残存していてもよい。
【0029】
ポリシロキサンを得る方法としては特に限定されないが、例えば、シラン化合物、有機溶剤、水及び加水分解用触媒である蓚酸の混合物を加熱する方法が挙げられる。具体的には、あらかじめアルコールに蓚酸及び水を加えて蓚酸の溶液とした後、当該溶液とシラン化合物を混合し、加熱する方法である。その際、蓚酸の量は、シラン化合物が有する全加水分解基(アルコキシ基等)1モルに対して0.2〜2モルとすることが一般的である。この方法における加熱は、液温50〜180℃で行うことができ、好ましくは、液の蒸発、揮散等が起こらないように、例えば、密閉容器中の還流下で10分〜12時間行われる。また、ポリシロキサンの合成はシラン化合物中に有機溶剤、水及び蓚酸の混合物を加え反応させる順序でもよく、有機溶剤、水及び蓚酸の混合物中にシラン化合物を加えて反応させる順序でもよい。ポリシロキサンを合成する際の反応温度は、均一なポリマーを安定して合成する目的で0〜50℃の反応温度で24〜2000時間反応させてもよい。
【0030】
加水分解に用いられる有機溶剤としては、例えばトルエン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、ジアセトンアルコール、メチルエチルケトン、メチル−イソブチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、乳酸エチル、N−メチルピロリドン等を挙げることができる。これらの溶剤は1種又は2種以上の組み合わせで用いることができる。
【0031】
加水分解反応によりアルコールが生成するため、上記有機溶剤としては一般的には、アルコール類やアルコール類と相溶性の良好な有機溶剤が用いられる。このような有機溶剤の具体例としては、特にメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、n−プロピルアセテート、乳酸エチル、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテル、シクロヘキサノン等が好ましく挙げられる。
【0032】
加水分解性シランを有機溶剤中で加水分解し、その加水分解物を縮合反応させることによって縮合物(ポリシロキサン)が得られ、その縮合物は有機溶剤中に溶解しているポリシロキサンワニスとして得られる。
【0033】
得られたポリシロキサンワニスは溶剤置換してもよい。具体的には、加水分解及び縮合反応時の有機溶剤(合成時溶剤)にエタノールを選択した場合、エタノール中でポリシロキサンが得られた後に置換用溶剤を加え、エバポレーター等で共沸させエタノールを留去してもよい。溶剤置換の際、合成時溶剤は、共沸して留去するため、置換用溶剤よりも沸点が低いことが好ましい。例えば、合成時溶剤はメタノール、エタノール、イソプロパノール等が挙げられ、置換用溶剤はプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン等が挙げられる。
【0034】
また、得られたポリシロキサンワニスは、その保存安定性が悪くなければ、有機溶剤を留去し、固形分濃度100%とすることもできる。
【0035】
上記ポリシロキサンワニスの希釈等に用いる有機溶剤は、加水分解性シランの加水分解及び縮合反応に用いた有機溶剤と同じでも異なってもよい。この希釈用溶剤は、ポリシロキサン、重合性基を少なくとも2個有する化合物、及び光重合開始剤との相溶性を損なわなければ特に限定されず、一種でも複数種でも任意に選択して用いることができる。
【0036】
このような有機溶剤の具体例としては、トルエン、p−キシレン、o−キシレン、スチレン、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、1−オクタノール、エチレングリコール、ヘキシレングリコール、トリメチレングリコール、1−メトキシ−2−ブタノール、シクロヘキサノール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、プロピレングリコール、ベンジルアルコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、γ−ブチルラクトン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルノーマルブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸イソプロピルケトン、酢酸ノーマルプロピル、酢酸イソブチル、酢酸ノーマルブチル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、tert−ブタノール、アリルアルコール、ノーマルプロパノール、2−メチル−2−ブタノール、イソブタノール、ノーマルブタノール、2−メチル−1−ブタノール、1−ペンタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−エチルヘキサノール、1−オクタノール、エチレングリコール、ヘキシレングリコール、トリメチレングリコール、1−メトキシ−2−ブタノール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、プロピレングリコール、ベンジルアルコール、イソプロピルエーテル、1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、N−シクロヘキシル−2−ピロリジノンが挙げられる。ポリシロキサンワニス、重合性基を少なくとも2個有する化合物、及び光重合開始剤との相溶性の観点から、より好ましくは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチレングリコール、プロピレングリコール、へキシレングリコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、シクロヘキサノン、酢酸メチルエステル、酢酸エチルエステル、乳酸エチルエステル等が挙げられる。
【0037】
本発明の光インプリント用被膜形成用組成物に含まれる(B)成分である「重合性基を少なくとも2個有する化合物」とは、一分子中に重合性基を2個以上有し、且つそれらの重合性基が分子末端にある化合物のことを表し、その重合性基とは、例えばアクリロイルオキシ基、メタアクリロイルオキシ基、ビニル基及びアリル基からなる群より選択される少なくとも1種類の有機基のことを指す。(B)成分は、一分子中に前記重合性基を例えば5個有する化合物と6個有する化合物との混合物であってもよい。また、(B)成分の化合物一分子中の前記重合性基の数は、代表的には2個乃至6個であるが、6個を超えてもよい。この(B)成分は、本発明の光インプリント用被膜形成用組成物において、各成分との相溶性が良好で、且つ形成される膜にタッキネスを与えるという観点から、分子量が1,000以下の化合物が好ましい。
【0038】
このような化合物の具体例としては、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、テトラメチロールプロパンテトラアクリレート、テトラメチロールプロパンテトラメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,3,5−トリアクリロイルヘキサヒドロ−S−トリアジン、1,3,5−トリメタクリロイルヘキサヒドロ−S−トリアジン、トリス(ヒドロキシエチルアクリロイル)イソシアヌレート、トリス(ヒドロキシエチルメタクリロイル)イソシアヌレート、トリアクリロイルホルマール、トリメタクリロイルホルマール、1,6−ヘキサンジオールアクリレート、1,6−ヘキサンジオールメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、エタンジオールジアクリレート、エタンジオールジメタクリレート、2−ヒドロキシプロパンジオールジアクリレート、2−ヒドロキシプロパンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、イソプロピレングリコールジアクリレート、イソプロピレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、N,N´−ビス(アクリロイル)システイン、N,N´−ビス(メタクリロイル)システイン、チオジグリコールジアクリレート、チオジグリコールジメタクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート、ビスフェノールFジアクリレート、ビスフェノールFジメタクリレート、ビスフェノールSジアクリレート、ビスフェノールSジメタクリレート、ビスフェノキシエタノールフルオレンジアクリレート、ビスフェノキシエタノールフルオレンジメタクリレート、ジアリルエーテルビスフェノールA、o−ジアリルビスフェノールA、マレイン酸ジアリル、トリアリルトリメリテート等が挙げられる。
【0039】
上記化合物は、市販品として容易に入手が可能であり、その具体例としては、例えば、KAYARAD T−1420、同DPHA、同DPHA−2C、同D−310、同D−330、同DPCA−20、同DPCA−30、同DPCA−60、同DPCA−120、同DN−0075、同DN−2475、同R−526、同NPGDA、同PEG400DA、同MANDA、同R−167、同HX−220、同HX620、同R−551、同R−712、同R−604、同R−684、同GPO−303、同TMPTA、同THE−330、同TPA−320、同TPA−330、同PET−30、同RP−1040(以上、日本化薬株式会社製)、アロニックスM−210、同M−240、同M−6200、同M−309、同M−400、同M−402、同M−405、同M−450、同M−7100、同M−8030、同M−8060、同M−1310、同M−1600、同M−1960、同M−8100、同M−8530、同M−8560、同M−9050(以上、東亞合成株式会社製)、ビスコート295、同300、同360、同GPT、同3PA、同400、同260、同312、同335HP(以上、大阪有機化学工業株式会社製)等を挙げることができる。
【0040】
これら化合物は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。(B)成分の使用割合は、(A)成分の100質量部に対して0.1乃至500質量部であることが好ましく、より好ましくは1乃至200質量部であり、特に好ましくは3乃至100質量部である。この割合が過小である場合には、膜のタッキネスが低下し、この割合が過大である場合には膜の硬化速度が低下し、弾性率が低下する場合がある。
【0041】
本発明の光インプリント用被膜形成用組成物に含まれる(C)成分である光重合開始剤は、光硬化時に使用する光源に吸収をもつものであれば特に限定されるものではない。例えば、tert−ブチルペルオキシ−iso−ブタレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルジオキシ)へキサン、1,4−ビス[α−(tert−ブチルジオキシ)−iso−プロポキシ]ベンゼン、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルジオキシ)へキセンヒドロペルオキシド、α−(iso−プロピルフェニル)−iso−プロピルヒドロペルオキシド、2,5−ジメチルへキサン、tert−ブチルヒドロペルオキシド、1,1−ビス(tert−ブチルジオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロへキサン、ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルジオキシ)バレレート、シクロへキサノンペルオキシド、2,2´,5,5´−テトラ(tert−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3´,4,4´−テトラ(tert−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3´,4,4´−テトラ(tert−アミルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3´,4,4´−テトラ(tert−ヘキシルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3´−ビス(tert−ブチルペルオキシカルボニル)−4,4´−ジカルボキシベンゾフェノン、tert−ブチルペルオキシベンゾエート、ジ−tert−ブチルジペルオキシイソフタレート等の有機過酸化物や、9,10−アントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−クロロアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン等のキノン類や、ベンゾインメチル、ベンゾインエチルエーテル、α−メチルベンゾイン、α−フェニルベンゾイン等のベンゾイン誘導体、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチル−ベンジル)−1−(4−モリフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(o−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(o−アセチルオキシム)、等が挙げられる。
【0042】
上記化合物は、市販品として容易に入手が可能であり、その具体例としては、IRGACURE(登録商標)651、同184、同500、同2959、同127、同754、同907、同369、同379、同379EG、同819、同819DW、同1800、同1870、同784、同OXE01、同OXE02、同250、DAROCUR(登録商標)1173、同MBF、同TPO、同4265(以上、チバ・ジャパン株式会社製)、KAYACURE−DETX、同MBP、同DMBI、同EPA、同OA(以上、日本化薬株式会社製)、VICURE−10、同55(以上、STAUFFER Co.LTD製)、ESACURE KIP150、同TZT、同1001、同KTO46、同KB1、同KL200、同KS300、同EB3、トリアジン−PMS、トリアジンA、トリアジンB(以上、日本シイベルヘグナー株式会社製)、アデカオプトマ−N−1717、同N−1414、同N−1606(株式会社ADEKA(旧旭電化工業株式会社)製)、等が挙げられる。
【0043】
これら光重合開始剤は単独で用いることも、2種類以上組み合わせて用いることもできる。また、その導入量は、(A)成分及び(B)成分との相溶性が良い範囲であれば、特に限定されないが、(A)成分100質量部に対して1〜300質量部、好ましくは1〜100質量部の範囲で選ばれる。この量が1質量部未満の場合では、架橋反応が十分に進行せず、高弾性率が得られにくい場合がある。
【0044】
本発明の光インプリント用被膜形成用組成物においては、本発明の効果を損なわない限りにおいて、(A)成分、(B)成分及び(C)成分以外の成分(その他の成分)が含まれていてもよい。その他の成分として、例えば前述の置換用溶剤若しくは希釈用溶剤又は後述する各種添加剤が挙げられる。
【0045】
(A)成分、(B)成分及び(C)成分以外に、さらに光増感剤を用いてもよい。光増感剤として、例えば、チオキサンテン系、キサンテン系、ケトン系、チオピリリウム塩系、ベーススチリル系、メロシアニン系、3−置換クマリン系、3,4−置換クマリン系、シアニン系、アクリジン系、チアジン系、フェノチアジン系、アントラセン系、コロネン系、ベンズアントラセン系、ペリレン系、メロシアニン系、ケトクマリン系、フマリン系、ボレート系が挙げられる。これらは、単独で用いることも、2種類以上組み合わせて用いることもできる。
【0046】
(A)成分、(B)成分及び(C)成分以外に、さらに紫外線吸収剤を用いてもよい。紫外線吸収剤として、TINUVIN(登録商標)PS、同99−2、同109、同328、同384−2、同400、同405、同460、同477、同479、同900、同928、同1130、同111FDL、同123、同144、同152、同292、同5100、同400−DW、同477−DW、同99−DW、同123−DW、同5050、同5060、同5151(以上、チバ・ジャパン株式会社製)が挙げられる。これらは、単独で用いることも、2種類以上組み合わせて用いることもでき、光硬化時に膜の最表面の硬化速度をコントロールでき、離型性を向上できる場合がある。
【0047】
(A)成分、(B)成分及び(C)成分以外に、さらに酸化防止剤を用いてもよい。酸化防止剤として、IRGANOX(登録商標)1010、同1035、同1076、同1135、同1520L(以上、チバ・ジャパン株式会社製)が挙げられる。これらは、単独で用いることも、2種類以上組み合わせて用いることもでき、酸化によって膜が黄色に変色することを防止できる場合がある。
【0048】
(A)成分、(B)成分及び(C)成分以外に、さらに界面活性剤を用いてもよい。界面活性剤として、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフエノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフエノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロツクコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤、商品名エフトップEF301、EF303、EF352(三菱マテリアル電子化成株式会社(旧株式会社ジェムコ製)、商品名メガファックF171、F173、R−08、R−30(DIC株式会社製)、フロラードFC430、FC431(住友スリーエム株式会社)製)、商品名アサヒガードAG710,サーフロンS−382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106(旭硝子株式会社製)等のフッ素系界面活性剤、及びオルガノシロキサンポリマ−KP341(信越化学工業株式会社製)、BYK−302、BYK−307、BYK−322、BYK−323、BYK−330、BYK−333、BYK−370、BYK−375、BYK−378(ビックケミー・ジャパン株式会社製)、等を挙げることができる。これらの界面活性剤は単独で使用してもよいし、また二種以上の組み合わせで使用することもできる。界面活性剤が使用される場合、その割合は、(A)成分100質量部に対して0.0001〜5質量部、または0.001〜1質量部、または0.01〜0.5質量部である。
【0049】
本発明の光インプリント用被膜形成用組成物を調製する方法は特に限定されない。(A)成分、(B)成分及び(C)成分が均一に混合した状態であればよい。(A)成分乃至(C)成分を混合する際の順序は均一なワニスが得られれば問題なく、特に限定されない。その際、被膜形成用組成物の固形分濃度は、目的の膜厚を得られるように調製されていればよく、0.1〜100%の濃度範囲がよい。固形分濃度が100%とは、溶剤を含まないことを示し、100%以外は溶剤を含むことを示している。溶剤の有無は光インプリントする際の装置及び基材に合わせて選択され、例えば、装置及び基材の一部が特定の溶剤に溶解し、光ナノインプリントを実施する上で不具合が発生する場合は、この不具合を引き起こす溶剤を選択しない、若しくは無溶剤とすればよい。
【0050】
(A)成分、(B)成分及び(C)成分に上記その他の成分を混合する方法は、(A)成分に(B)成分及び(C)成分を添加すると同時でも、(A)成分乃至(C)成分混合後であってもよく、特に限定されない。
【0051】
本発明の光インプリント用被膜形成用組成物は、基材に塗布し光硬化し、その後必要に応じて加熱することで所望の被膜を得ることができる。塗布方法は、公知又は周知の方法を採用できる。例えば、スピンコート法、ディップ法、フローコート法、インクジェット法、スプレー法、バーコート法、グラビアコート法、スリットコート法、ロールコート法、転写印刷法、刷毛塗り、ブレードコート法、エアーナイフコート法等の方法を採用できる。その際に用いる基材は、シリコン、インジウム錫酸化物(ITO)が成膜されたガラス、インジウム亜鉛酸化物(IZO)が成膜されたガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET)、プラスチック、ガラス、石英、セラミックス等からなる基材を挙げることができ、可撓性を有するフレキシブル基材を用いることが可能である。
【0052】
光インプリントで使用する光源は、光照射によって膜が硬化し、タッキネスを失わせる光(ビーム)を発生させれば特に限定されないが、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、KrFエキシマーレーザー、ArFエキシマーレーザー、Fエキシマーレーザー、電子線(EB)、極端紫外線(EUV)等を用いることができる。波長は一般的には、436nmのG線、405nmのH線、365nmのI線、若しくはGHI混合線を用い、露光量は30乃至2000mJ/cmの範囲が好ましく、より好ましくは30乃至1000mJ/cmの範囲が好ましい。
【0053】
光照射を行った後の膜に対し、弾性率をコントロールする意味で焼成(加熱)してもよい。焼成機器としては、特に限定されるものではなく、例えば、ホットプレート、オーブン、ファーネスを用いて、適切な雰囲気下、すなわち大気、窒素等の不活性ガス、真空中等で焼成させればよい。焼成温度は、弾性率をコントロールする目的では、特に限定されないが、例えば、40〜200℃で行うことができる。これらの場合、基材上で反応を進行させたりする目的で2段階以上の温度変化をつけてもよい。
【0054】
光インプリントを行う装置は、目的のパターンが得られれば特に限定されないが、東芝機械株式会社製のST50、Obducat製のSindre(登録商標)60、明昌機構株式会社製のNM−0801HB、等の市販されている装置を用いることができる。
【0055】
光インプリントに使用するモールドは、石英、シリコン、ニッケル、カルボニルシラン、グラッシーカーボン、等の材質から選択でき、目的のパターンが得られれば特に限定されない。モールドは、離型性を高めるために、その表面にフッ素化合物等の薄膜を形成する離型処理をしてもよい。離型処理に用いる離型剤として、例えばダイキン工業株式会社製のオプツールHD等が挙げられるが、目的のパターンを得られれば特に限定されない。
【0056】
光インプリントのパターンは、目的の電子デバイスに適合したパターンを選択すればよく、パターンサイズもこれに準ずる。パターンサイズは、例えばナノメートルオーダー及びマイクロメートルオーダーである。ディスプレイ、太陽電池等の反射防止膜に用いられるモスアイ(蛾の目)構造を形成する場合は、直径が200nm、高さが200nmの円錐構造を繰り返すパターンができればよい。
【0057】
本発明の光インプリント用被膜形成用組成物を用いることで得られる膜は、高弾性率を達成でき、さらに、当該組成物が重合性基を少なくとも2個有する化合物を含むことから、タッキネスを発現し、良好な光インプリントが可能である。そして、任意の基材上に成膜することができ、インプリント後に形成される、パターンが転写された膜は、光学部材に好適に用いられる。具体的には、ディスプレイ用(液晶ディスプレイ、ELディスプレイ等)又は太陽電池用の反射防止部材、太陽電池用の集光部材、光学レンズ、光導波路として用いることで、優れた機能を発現する。反射防止部材及び集光部材用途には、モスアイ構造のパターンが好ましい。さらに上記パターンが転写された膜は、半導体素子、例えば電界効果トランジスタの、層間絶縁膜及び/又はゲート絶縁膜に用いることができる。
【実施例】
【0058】
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。なお、実施例で用いた各測定装置は以下のとおりである。
ポリマーの平均分子量測定は東ソー株式会社製、商品名:Eco SEC HLC−8320GPCを使用した。
ガスクロマトグラフ測定(以下、GCと略称する)は、島津製作所株式会社製、商品名:Shimadzu GC−14Bを用い、下記の条件で測定した。
カラム:キャピラリーカラム CBP1−W25−100(25mm×0.53mmφ×1μm)
カラム温度:開始温度50℃から15℃/分で昇温して到達温度290℃(3分)とした。
サンプル注入量:1μL、インジェクション温度:240℃、検出器温度:290℃、キャリヤーガス:窒素(流量30mL/min)、検出方法:FID法で行った。
ナノインプリント装置は、明昌機構株式会社製、NM−0801HBを使用した。
鉛筆硬度試験はJIS K 5400に規定の方法を用いて測定した。
弾性率の測定は株式会社エリオニクス製、超微小押し込み硬さ試験機 ENT−2100を用いた。
【0059】
<ポリシロキサンの合成>
[合成例1]
還流管を備えた4つ口反応フラスコに、104.15g(0.5mol)のテトラエトキシシラン(以下、TEOSと略称する)と100.27gのエタノールを加えた。次いで、50.13gのエタノール、45.00g(2.5mol;TEOSのモル比に対して5eq.)の純水、0.45g(5mmol;TEOSのモル比に対して0.01eq.)の蓚酸を事前に混合し、完全に溶解させたものを30分かけて、一定の速度で滴下した。滴下終了後、23℃で30分間攪拌した。次いで、オイルバスを用いて昇温し、還流を開始してから1時間反応させた。反応終了後、オイルバスを除去し、23℃まで放冷した。最後に200gのエタノールを加え、SiO固形分換算濃度が6質量%になるように調製し、ポリシロキサンワニス(以下、PTS1と略す)を得た。
【0060】
本合成例で得られたポリシロキサンのGPC測定による分子量は、重量平均分子量Mwが3650、数平均分子量Mnが2530であった。PTS1をGCで測定したところ、アルコキシシランモノマーは検出されなかった。
【0061】
[合成例2]
還流管を備えた4つ口反応フラスコに、50.36gのエタノールを加え、次いで、10.8g(0.6mol;シランモノマーのモル比に対して3eq.)の純水、0.18g(2mmol;シランモノマーのモル比に対して0.01eq.)の蓚酸を加え均一になるまで、23℃で攪拌した。その後、20.83g(0.1mol)のTEOS、17.83g(0.1mol;TEOSのモル比に対して1eq.)のメチルトリエトキシシラン(以下、MTESと略称する)を加え、23℃で1時間攪拌した。次いで、オイルバスを用いて昇温し、還流を開始してから3時間反応させ、SiO固形分換算濃度が12質量%になるように調製し、ポリシロキサンワニス(以下、PTS2と略す)を得た。
【0062】
GPC測定によるPTS2の分子量は、重量平均分子量Mwが1889、数平均分子量Mnが1372であった。PTS2をGCで測定したところ、アルコキシシランモノマーは検出されなかった。
【0063】
[合成例3]
還流管を備えた4つ口反応フラスコに、53.36gのエタノールを加え、次いで、10.8g(0.6mol;MTESのモル比に対して3eq.)の純水、0.18g(2mmol;MTESのモル比に対して0.01eq.)の蓚酸を加え均一になるまで、23℃で攪拌した。その後、35.66g(0.2mol)のMTESを加え、23℃で1時間攪拌した。次いで、オイルバスを用いて昇温し、還流を開始してから3時間反応させ、SiO固形分換算濃度が12質量%になるように調製し、ポリシロキサンワニス(以下、PMS1と略す)を得た。
【0064】
GPC測定によるPMS1の分子量は、重量平均分子量Mwが1646、数平均分子量Mnが1148であった。PTS3をGCで測定したところ、アルコキシシランモノマーは検出されなかった。
【0065】
<光インプリント用被膜形成用塗布液の調製>
[実施例1]
合成例1で得た10gのPTS1(SiO固形分換算濃度が6質量%)に、0.6g(PTS1のSiO固形分換算濃度を100質量部としたときに100質量部;1eq.)のKAYARAD DPHA(日本化薬株式会社製)(以下、DPHAと略す)、0.12g(DPHAの加えた量100質量部としたときに20質量部;0.2eq.)のDAROCUR(登録商標)1173(チバ・ジャパン株式会社製)(以下、DAR1173と略す)、2.48gのプロピレングリコールモノメチルエーテル(以下、PGMEと略称する)を加え、光インプリント用被膜形成用組成物PTS1−Aを調製した。
【0066】
[実施例2]
合成例2で得た10gのPTS2(SiO固形分換算濃度が12質量%)に、1.2g(PTS2のSiO固形分換算濃度を100質量部としたときに100質量部;1eq.)のDPHA、0.24g(DPHAの加えた量100質量部とした時に20質量部;0.2eq.)のDAR1173、14.96gのPGMEを加え、光インプリント用被膜形成用組成物PTS2−Aを調製した。
【0067】
[実施例3]
合成例3で得た10gのPMS1(SiO固形分換算濃度が12質量%)に、1.2g(PMS1のSiO固形分換算濃度を100質量部とした時に100質量部;1eq.)のDPHA、0.24g(DPHAの加えた量100質量部とした時に20質量部;0.2eq.)のDAR1173、14.96gのPGMEを加え、光インプリント用被膜形成用組成物PMS1−Aを調製した。
【0068】
[比較例1]
合成例1で得た10gのPTS1(SiO固形分換算濃度が6質量%)に、0.12gのDAR1173、2.48gのPGMEを加え、重合性基を2個以上有する化合物を含まない光インプリント用被膜形成用組成物PTS1−Bを調製した。
【0069】
[比較例2]
合成例1で得た10gのPTS1(SiO固形分換算濃度が6質量%)に、0.6g(PTS1のSiO固形分換算濃度を100質量部とした時に100質量部;1eq.)のDPHA、1.4gのPGMEを加え、光重合開始剤を含まない光インプリント用被膜形成用組成物PTS1−Cを調製した。
【0070】
[比較例3]
合成例1で得たPTS1をそのまま光インプリント用被膜形成用組成物とした。
【0071】
<光インプリント用被膜の作製>
実施例1で得たPTS1−Aを石英基板上にスピンコーターを用いてスピンコートし、100℃のホットプレートで2分間の仮焼成を行い、光インプリント用被膜(PTS1−AF)を得た。
【0072】
実施例2で得たPTS2−Aを用いた以外は上記と同様に、光インプリント用被膜(PTS2−AF)を得た。
【0073】
実施例3で得たPMS1−Aを用いた以外は上記と同様に、光インプリント用被膜(PMS1−AF)を得た。
【0074】
比較例1で得たPTS1−Bを用いた以外は上記と同様に、光インプリント用被膜(PTS1−BF)を得た。
【0075】
比較例2で得たPTS1−Cを用いた以外は上記と同様に、光インプリント用被膜(PTS1−CF)を得た。
【0076】
比較例3のPTS1を用いた以外は上記と同様に、光インプリント用被膜(PTS1−F)を得た。
【0077】
<光インプリント>
実施例1乃至実施例3、比較例1乃至比較例3で得られた各光インプリント用被膜をパターニング試験した。用いたモールドはシリコン製であり、パターンは120nmのラインアンドスペースとした。モールドは事前にオプツールHD(ダイキン工業株式会社製)に浸漬し、温度が90℃、湿度が90RH%の高温高湿装置を用いて2時間処理し、純水でリンス後、エアーで乾燥させたものを使用した。
【0078】
実施例1で得たPTS1−Aから形成されたPTS1−AFにシリコンモールドを接着させた状態で、光インプリント装置に設置した。光インプリントは、常時23℃の条件で、a)10秒間かけて1000Nまで加圧、b)高圧水銀ランプを用いて1J/cmの露光、c)10秒間かけて除圧、d)モールドと基板を離型、というシーケンスで行った。光インプリントの結果を表1に示す。
【0079】
実施例2で得たPTS2−Aから形成されたPTS2−AFを用いた以外は上記と同様に光インプリントを行った。光インプリントの結果を表1に示す。
【0080】
実施例3で得たPMS1−Aから形成されたPMS1−AFを用いた以外は上記と同様に光インプリントを行った。光インプリントの結果を表1に示す。
【0081】
比較例1で得たPTS1−Bから形成されたPTS1−BFを用いた以外は上記と同様に光インプリントを行った。光インプリントの結果を表1に示す。
【0082】
比較例2で得たPTS1−Cから形成されたPTS1−CFを用いた以外は上記と同様に光インプリントを行った。光インプリントの結果を表1に示す。
【0083】
比較例3のPTS1から形成されたPTS1−Fを用いた以外は上記と同様に光インプリントを行った。光インプリントの結果を表1に示す。
【0084】
[表1]
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光インプリント用被膜 パ タ ー ン の 様 子
光硬化 痕跡 クラック 形状
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
実施例1 PTS1−AF ○ ○ ○ ○
実施例2 PTS2−AF ○ ○ ○ ○
実施例3 PMS1−AF ○ ○ ○ ○
比較例1 PTS1−BF ○ × × ×
比較例2 PTS1−CF × × − ×
比較例3 PTS1−F − × ○ ×
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
上記表1において、「光硬化」とは露光後に膜が硬化したかどうかを示し、“○”は硬化した、“×”は硬化しなかった、“−”は露光前に硬化した、を示す。「痕跡」とは、モールドのパターンが膜に転写され、パターン痕が残ったかどうかを示し、“○”は痕跡が残った、“×”は痕跡が残らなかった、を示す。「クラック」とは、離型後の膜にクラックが発生していたかどうかを示し、“○”は発生しなかった、“×”は発生した、“−”は評価不能、を示す。「形状」とは、離型後の膜にモールドのパターンが良好に転写されたかどうかを示し、“○”は良好に転写された、“×”は良好に転写されなかった、を示す。
【0085】
表1の結果から、PTS1−AF、PTS2−AF及びPMS1−AFは良好な光インプリントが可能であったのに対し、(B)成分であるDPHAを除いたPTS1−Bから形成されたPTS1−BFはパターン痕跡が残らず、クラックが発生し、良好なパターン形状を得られなかった。また、(C)成分であるDAR1173を除いたPTS1−Cから形成されたPTS1−CFは、露光により光硬化が起こらず、膜が硬化しないまま良好なパターン形状を得られなかった。この場合、膜が硬化しないため、クラックの発生について評価できなかった。また、DPHA及びDAR1173を含まないPTS1から形成されたPTS1−Fは、パターン痕跡が残らず、パターンを得られなかった。
【0086】
これらの結果から、良好な光インプリントが可能な光インプリント用被膜形成用組成物の構成は、ポリシロキサン、重合性基を2個以上有する化合物及び光重合開始剤が必須であることが明確化した。
【0087】
<膜の硬さの比較>
以上の実験結果から、PTS1−AF、PTS2−AF及びPMS1−AFは良好な光インプリントが可能であったが、硬度及び弾性率の違いがあるのかを検討した。
【0088】
光インプリント後のPTS1−AFの硬さを、鉛筆硬度試験及び弾性率測定を行うことで評価した。硬さを評価した膜の部分は、ナノインプリントのパターンが形成されていない平坦な部分である。
鉛筆硬度試験はJIS K 5400 に規定の方法を用いて測定した。
弾性率の測定は、押し込み荷重が100μN、押し込み荷重の分割数が500、ステップインターバルが20msec、圧子はビッカース圧子を用い、測定回数は5回でその平均値を採用した。硬さ試験の結果を表2に示す。
【0089】
光インプリント後のPTS2−AFを用いた以外は上記と同様に硬さ試験を行い、その結果を表2に示す。
【0090】
光インプリント後のPMS1−AFを用いた以外は上記と同様に硬さ試験を行い、その結果を表2に示す。
【0091】
[表2]
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
光インプリント用被膜 鉛筆硬度 弾性率
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
実施例1 PTS1−AF 5H 59840N/mm
実施例2 PTS2−AF 4H 48750N/mm
実施例3 PMS1−AF HB 8942N/mm
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【0092】
鉛筆硬度試験において、硬さの指標は、(硬い)9H>8H>7H>6H>5H>4H>3H>2H>H>F>HB>B>2B>3B>4B>5B>6B(軟らかい)で示される。また、弾性率はその値が大きければ硬いことを示している。表2の結果から、PTS1−AF及びPTS2−AFの鉛筆硬度はそれぞれ5H及び4Hとなり、PMS1−AFはHBとなった。したがって、前二者は後者よりも硬いことがわかった。さらに、PTS1−AF及びPTS2−AFの弾性率はそれぞれ59840N/mm及び48750N/mmとなり、PMS1−AFは8942N/mmとなり、前二者は後者よりも高弾性率であることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明の光インプリント用被膜形成用組成物から作製され、パターンが転写された膜は、ディスプレイ用又は太陽電池用の反射防止部材、太陽電池用の集光部材、光学レンズ、光導波路等の光学部材に適用できる。さらに、電界効果トランジスタ等の半導体素子に適用してもよい。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)成分:下記式(1)で表される少なくとも1種の加水分解性シランの加水分解縮合物、又は前記加水分解性シランの加水分解物と前記加水分解縮合物との混合物、
【化1】


(式中、Rは炭素原子数1乃至6のアルキル基を示し、Rは炭素原子数1乃至18のアルキル基又はアリール基を示し、aは0乃至3の整数を示す。)
(B)成分:重合性基を少なくとも2個有する化合物、及び
(C)成分:光重合開始剤、
を含む光インプリント用被膜形成用組成物。
【請求項2】
前記加水分解性シランが、前記式(1)においてaが0である4官能シラン化合物であることを特徴とする請求項1に記載の光インプリント用被膜形成用組成物。
【請求項3】
前記加水分解性シランが、前記式(1)においてaが0である4官能シラン化合物、及び前記式(1)においてaが1乃至3である少なくとも1種のシラン化合物であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光インプリント用被膜形成用組成物。
【請求項4】
前記重合性基は、アクリロイルオキシ基、メタアクリロイルオキシ基、ビニル基及びアリル基からなる群から選択される有機基であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の光インプリント用被膜形成用組成物。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の被膜形成組成物から作製され、パターンが転写された膜。
【請求項6】
モスアイ構造を有する請求項5に記載のパターンが転写された膜。
【請求項7】
請求項5又は請求項6に記載のパターンが転写された膜を基材上に備えた光学部材。
【請求項8】
請求項5に記載のパターンが転写された膜を備えた半導体素子。


【公開番号】特開2010−251434(P2010−251434A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−97545(P2009−97545)
【出願日】平成21年4月14日(2009.4.14)
【出願人】(000003986)日産化学工業株式会社 (510)
【Fターム(参考)】