光コンセント
【課題】周辺部での作業をしやすくすることができ、しかも配線の省スペース化が可能な光コンセントを提供する。
【解決手段】光ファイバ2が引き込まれる取付ユニット1と、光ファイバ2をコネクタ接続可能に成端する成端用光コネクタ30を収納するコネクタ収納ケース5とを備えた光コンセント20。取付ユニット1は、光ファイバ2を収納する光ファイバ収納部6と、光ファイバ収納部6内の光ファイバ2を取付壁4の前面4a側に導く光ファイバ通過口7a、10eが形成された取付ベース8とを有する。コネクタ収納ケース5は、取付ベース8の前面側に回動自在に取り付けられている。
【解決手段】光ファイバ2が引き込まれる取付ユニット1と、光ファイバ2をコネクタ接続可能に成端する成端用光コネクタ30を収納するコネクタ収納ケース5とを備えた光コンセント20。取付ユニット1は、光ファイバ2を収納する光ファイバ収納部6と、光ファイバ収納部6内の光ファイバ2を取付壁4の前面4a側に導く光ファイバ通過口7a、10eが形成された取付ベース8とを有する。コネクタ収納ケース5は、取付ベース8の前面側に回動自在に取り付けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光コネクタ用アウトレットなどの光コンセントに関する。
【背景技術】
【0002】
建物の壁等に設けられる光アウトレット等の光コンセントは、壁に光コネクタアダプタを組み込み、プラグを前面側(室内側)から前記アダプタに差し込んで接続する構造が一般的である。
プラグをアダプタに接続する構造としては、プラグを壁に垂直な方向からアダプタに差し込む構造もあるが(例えば特許文献1を参照)、プラグを下方からアダプタに差し込むものが広く用いられている(例えば特許文献2を参照)。
プラグが下方からアダプタに接続される構造は、プラグが壁に垂直に接続される構造に比べて、プラグの壁からの突出寸法を抑えることができるなどの利点がある。
しかしながら、この構造の光コンセントは、アダプタに接続したプラグが下方に突出するうえ、プラグ後端から延びる光ファイバが、光コンセントの下方で引き回されるため、光コンセントの下方における作業(例えば、壁紙貼り、光ファイバ配線等)の支障になるといった不都合があった。
特許文献3には、壁面に取り付けられるベースと、第1および第2カバー部材からなるカバーとを備え、第2カバー部材が回動可能とされた光コンセントが開示されている。
この構造の光コンセントでは、光ファイバが第1カバー部材を経て第2カバー部材に導入されるため、配線の省スペース化が難しいという問題があった。
【特許文献1】特開平7−335347号公報
【特許文献2】実開平5−90840号公報
【特許文献3】特開2006−323290号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上述した従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、周辺での作業をしやすくすることができ、しかも配線の省スペース化が可能な光コンセントを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の請求項1にかかる光コンセントは、取付壁の前面より奥側に配線された光ファイバをコネクタ接続可能とする光コンセントであって、前記光ファイバが引き込まれる取付ユニットと、前記光ファイバをコネクタ接続可能に成端する成端用光コネクタを収納するコネクタ収納ケースとを備え、前記取付ユニットは、前記取付壁の前面より奥側に設けられて前記光ファイバを収納する光ファイバ収納部と、前記光ファイバ収納部内の光ファイバを前記取付壁の前面側に導く光ファイバ通過口が形成された取付ベースとを有し、前記コネクタ収納ケースは、前記取付ベースの前面側に回動自在に取り付けられていることを特徴とする。
本発明の請求項2にかかる光コンセントは、請求項1において、前記コネクタ収納ケースは、前記取付ベースに回動自在に取り付けられる一端部とは逆の他端部に、前記成端用光コネクタに接続される別の光コネクタが挿入される挿入口が形成され、前記一端部が上、かつ前記他端部が下になる向きに取り付けられていることを特徴とする。
本発明の請求項3にかかる光コンセントは、請求項1において、前記取付ベースは、取付枠と、前記コネクタ収納ケースが回動自在に取り付けられるケースホルダとを有し、前記取付枠に対する前記ケースホルダの取り付け位置が変更可能であることを特徴とする。
本発明の請求項4にかかる光コンセントは、請求項1において、前記成端用光コネクタは、フェルールと、前記フェルールに内挿固定された内蔵光ファイバを、前記取付壁の前面側に導かれた光ファイバに突き合わせ接続させる接続機構とを備え、前記成端用光コネクタには、前記取付壁の前面側に導かれた光ファイバを前記成端用光コネクタに引き留める引留部品を取付け可能であることを特徴とする。
本発明の請求項5にかかる光コンセントは、請求項4において、前記取付壁の前面側に導かれた光ファイバは、扁平な形状の光ファイバケーブルであり、前記光ファイバケーブルの断面長手方向が、前記コネクタ収納ケースの回動軸に沿う方向に揃えられていることを特徴とする。
本発明の請求項6にかかる光コンセントは、請求項1において、前記成端用光コネクタは、光コネクタアダプタを介して、別の光コネクタに接続可能であることを特徴とする。
本発明の請求項7にかかる光コンセントは、請求項3において、前記取付枠には、メタル線接続用のチップが取付け可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明の光コンセントは、成端用光コネクタを収納するコネクタ収納ケースが取付ベースに回動可能に取り付けられているため、必要に応じてコネクタ収納ケースを回動させ、成端用光コネクタに接続された光ファイバを移動させることができる。
よって、光コンセントの周辺に十分な作業スペースを確保し、配線や壁紙貼りなどの作業を容易にすることができる。
また、本発明の光コンセントでは、光ファイバ通過口を有する取付ベースを備えているので、光ファイバ通過口を通して、光ファイバをコネクタ収納ケースに直接導入することができる。このため、光ファイバの配線の省スペース化が可能となり、他の配線のためのスペースを確保でき、例えば電話線などのメタル線が併用可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る光コンセントの第1の実施形態の構造の概要を示す断面図である。図2は、図1に示す光コンセント20の外観を示す図であって、(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は下面図、(d)は一部断面状態の側面図である。図3は、コネクタ収納ケース5のカバー16を外した状態を示す正面図である。図4は、取付枠7および取付ベース8を示す正面図である。図5は、ケースホルダ10を示す斜視図である。図6は、ブランクチップ14を示す斜視図である。図7は、コネクタ収納ケース5を回動させた状態を示す側面図である。図8は、インドアケーブルの一例を示す断面図である。図7は、ドロップケーブルの一例を示す断面図である。
以下の説明において、図1における左方を前方といい、右方を後方ということがある。また、上下は、図1における上下をいう。
【0007】
図1に示すように、この実施形態の光コンセント20は、建物等の壁4(取付壁)の後面4b側に配線された光ファイバ2を、前面4a側(室内側)の光ファイバ13とコネクタ接続できるようにする光アウトレットである。
光コンセント20は、壁4に取り付けられた取付ユニット1と、光ファイバ2の先端に設けられた成端用光コネクタ30を収納するコネクタ収納ケース5とを備えている。
【0008】
取付ユニット1は、光ファイバ2が引き込まれる光ファイバ収納部6と、取付ベース8とを備えている。
光ファイバ収納部6は、室内側が開口した箱状とされ、光ファイバ2の余長2aを収納できるように形成するのが好ましい。
光ファイバ収納部6は、壁4の後面4b側に設けられている。なお、光ファイバ収納部6の設置位置は、前面4aより奥側であればよく、例えば壁4の内部に形成してもよい。符号4cは壁4に形成された開口部であり、この開口部4cを通して光ファイバ2は壁4の前面4a側に導かれている。
なお、発明における取付壁は、建物の壁に限定されず、例えば、建物の柱、天井、床であってもよいし、光配線盤、パーティションなどであってもよい。
【0009】
図1に示すように、取付ベース8は、壁4に取り付けられる取付枠7と、取付枠7に取り付けられるケースホルダ10とを有する。
図1および図4に示すように、取付枠7は、略矩形の板状に形成され、略中央には、光ファイバ2が通過可能な長方形状の光ファイバ通過口7aが形成されている。
光ファイバ通過口7aは、チップ等を取り付け可能に形成することができる。図示例の光ファイバ通過口7aは、チップ等を取り付け可能な3つの取付部を有し、これらを上から下にかけて第1〜第3取付部7b〜7dと呼ぶ(図4を参照)。
図1に示すように、取付枠7は、ボルトなどの固定具7eによって壁4の前面に取り付けることができる。
図4に示すように、取付枠7は、光ファイバ通過口7aが形成された内枠7Aと、その外側に設けられた外枠7Bとから構成されていてもよい。内枠7Aと外枠7Bはネジ止め等により互いに固定することができる。
【0010】
図1および図5に示すように、ケースホルダ10は、略矩形状の前板10aと、前板10aの上縁および下縁から後方に延びる上板10b1および下板10b2と、前板10aの側縁から後方に延びる側板10b3、10b3とを有する直方体状とされている。
前板10aの上部には、光ファイバ2が通過可能な光ファイバ通過口10eが形成されている。
ケースホルダ10は、取付枠7の光ファイバ通過口7a内に設けられている。
【0011】
図1および図4に示すように、図示例のケースホルダ10は、取付枠7の3つの取付部7b〜7dのうち2つに相当する形状となっている。すなわち、ケースホルダ10は、第1および第2取付部7b、7cに即した形状となっており、これら取付部7b、7cに設けられている。
ケースホルダ10は、光ファイバ通過口7aの3つの取付部7b〜7dのうち2つ分に相当する大きさであるため、その位置を変えることができる。図示例では、ケースホルダ10は第1および第2取付部7b、7cに取り付けられているが、後述するように、第2および第3取付部7c、7dに取り付けることもできる。
光ファイバ通過口7aの第3取付部7dには、ブランクチップ14が嵌め込まれている(図6を参照)。
【0012】
図1、図5および図7に示すように、前板10aの上部の前面には、コネクタ収納ケース5が回動する際の支点となる回動支持部10cが形成されている。
回動支持部10cは、コネクタ収納ケース5を回動可能に支持するものであればよく、例えば、軸、ブラケットなどが採用できる。図示例では、コネクタ収納ケース5に形成された回動軸(図示略)を支持する板状の支持部である。コネクタ収納ケース5の回動軸は、図1において紙面に対し垂直な方向に沿う。
図1、図2(b)、図5および図7に示すように、前板10aの前面には、コネクタ収納ケース5の回動を制限するストッパ10dが形成されている。ストッパ10dは、前板10aの前面から前方に板状に突出して形成されている。ストッパ10dは、回動支持部10cより高い位置に形成されており、コネクタ収納ケース5が前方(図1の時計回り方向)に回動した位置(図1に仮想線で示す前方回動位置)において当接するようになっている。
【0013】
図1に示すように、取付枠7の前面側には、取付枠7を覆うように、外装プレート9が設けられている。
図4に示すように、外装プレート9は、略矩形の板状に形成され、略中央には、光ファイバ2が通過可能な長方形状の光ファイバ通過口9aが形成されている。
図示例の光ファイバ通過口9aは、取付枠7の光ファイバ通過口7aと同様に、上から下にかけて、チップ等を取り付け可能な第1〜第3取付部9b〜9dに区画できる。
【0014】
コネクタ収納ケース5は、ベース15と、ベース15に被せられるカバー16とを備えている。
図1および図3に示すように、ベース15は、略長方形の板状とされており、上端部(一端部)が、ケースホルダ10の回動支持部10cに回動自在に取り付けられ、この上端部を支点として回動するようになっている。
ベース15の上部には、光ファイバ2をコネクタ収納ケース5内に導入する導入口15aが形成されている。
ベース15の後面には、ケースホルダ10の前板10aに形成された嵌合穴10fに嵌合して係脱可能に係止する嵌合突起(図示略)が形成されている。
【0015】
カバー16は、成端用光コネクタ30を収容可能に形成されている。
カバー16の下端部(他端部)には、成端用光コネクタ30に接続される光ファイバ13が挿入される挿入口16aが形成されている。図1に示すように、挿入口16aは、下方に向けて開口するように形成されている。
カバー16の下端部には、挿入口16aを開閉する蓋16bが形成されている。蓋16bは、挿入口16aの周縁部にヒンジ結合されている。
コネクタ収納ケース5は、ケースホルダ10の光ファイバ通過口10eを覆うように設けるのが好ましい。
【0016】
図1および図7に示すように、コネクタ収納ケース5は、上端部の回動軸(図示略)を支点として、下端部が取付ベース8に対し接近および離間する方向に回動可能であり、図1に実線で示すように、成端用光コネクタ30が壁4に沿う方向(上下方向)を向く通常位置から、図1に仮想線で示す前方回動位置まで回動可能となっている。
通常位置では、コネクタ収納ケース5のベース15は、壁4の前面4aにほぼ平行である。
図7に示すように、通常位置から前方回動位置までのコネクタ収納ケース5の回動角度αは90度未満が好ましい。
【0017】
光ファイバ2としては、例えば、いわゆるインドアケーブル(屋内配線用光ファイバケーブル)を採用することができる。
光ファイバ収納部6に引き込まれる光ファイバ2としては、インドアケーブルに限定されず、インドアケーブル以外の各種光ファイバケーブル(例えばドロップケーブル)、光ファイバ心線、光ファイバ素線等、各種採用可能である。光ファイバ2としては、単心の光ファイバに限らず、多心の光ファイバも可能である。
【0018】
図8は、インドアケーブルの一例の断面構造を示すもので、インドアケーブル11は、光ファイバ11aとその両側に配置した抗張力体11bを被覆樹脂11cで一括被覆して断面略矩形状に形成したものである。符号11dはノッチである。被覆樹脂11cは、ノッチ11dで2つに分割することで光ファイバ11aを露出させることができる。
図9は、光ドロップケーブルの一例の断面構造を示すもので、光ドロップケーブル12は、断面略矩形状の光ファイバエレメント部12dと、この光ファイバエレメント部12dの側部に添えられた金属線12eを被覆樹脂12cによって被覆した支持線部12fとを備えている。光ファイバエレメント部12dは、光ファイバ12aとその両側に配置した抗張力体12bとを被覆樹脂12cで一括被覆したものであり、インドアケーブル11とほぼ同様の構成である。被覆樹脂12cは、ノッチ12hで2つに分割することで光ファイバ12aを露出させることができる。
光ファイバエレメント部12dと支持線部12fとの間は、被覆樹脂12cの薄肉部12gを介して繋がっており、薄肉部12gを切り裂くように切断することで、支持線部12fを光ファイバエレメント部12dから分離できる。
光ファイバ11a、12aは、ここでは光ファイバ素線であるが、単心の光ファイバ心線、多心の光ファイバテープ心線などであってよい。
インドアケーブル11および光ドロップケーブル12は、幅が高さより大きくされている。すなわち扁平な形状の光ファイバケーブルである。
【0019】
図示例では、光ファイバ2は、壁4の後面4b側に配線されているが、本発明の対象となる光ファイバは、壁4の前面4aより奥側に配線されているもの、例えば壁4の内部に配線されているものを含む。
【0020】
次に、コネクタ収納ケース5内に設けられる成端用光コネクタ30の構成について説明する。図10は、成端用光コネクタ30を示す断面図である。図11は、成端用光コネクタ30のクランプ部付きフェルール37を示す斜視図である。図12は、成端用光コネクタ30のクランプ部付きフェルール37のクランプ部32を構成する各素子の合わせ面を示す図である。図13は、成端用光コネクタ30のクランプ部付きフェルール37を示す断面図である。図14は、成端用光コネクタ30に取り付けられる引留部品3の構造を示す断面図である。図15は、成端用光コネクタ30への引留部品3の組み込み、引き留め作業を説明する工程図である。
以下の説明において、図10における左方を前方といい、右方を後方ということがある。
【0021】
成端用光コネクタ30は、いわゆる現場付け光コネクタであり、光ファイバ2をコネクタ接続可能に成端するものである。
図1に示すように、光ファイバ収納部6に引き込まれた光ファイバ2は、壁4の開口部4c、光ファイバ通過口7a、10eを通して壁4の前面4a側に導かれ、コネクタ収納ケース5に導入され、この光ファイバ2の先端に成端用光コネクタ30が取り付けられている。
【0022】
図10に示すように、光コネクタ30は、クランプ部付きフェルール37をハウジング33(プラグハウジング)内に収納してなるコネクタ本体34と、ハウジング33に前後動可能に設けられコネクタ本体34の後端側に引き出すことができる可動受け片35と、引留部品3をコネクタ本体34の後端に引き留める引き留めカバー36とを具備する。
【0023】
クランプ部付きフェルール37は、フェルール31と、その後端側(接続端面31aとは反対の側)に設けられたクランプ部32(接続機構)を備えており、フェルール31の接続端面31aが前、クランプ部32が後、となる向きでハウジング33に収納される。
図12、図13に示すように、クランプ部32は、スリーブ状のバネ322内に一対の半割り素子31c、321を収納した構造になっている。
クランプ部32の一対の素子31c、321間には、フェルール31に予め内挿固定された光ファイバ38(以下、内蔵光ファイバ)のフェルール31後端から突出された突出部38aが挿入されている。
【0024】
クランプ部32の一対の素子31c、321間に、介挿部材付き工具40の介挿部材41を割り込ませた状態では、バネ322の弾性に抗して一対の素子31c、321間が僅かに押し拡げられ、コネクタ本体34に後端側から挿入した光ファイバ201(詳細には、光ファイバ201先端に口出ししておいた裸光ファイバ201aの先端)を、クランプ部32の一対の素子31c、321間にて、前記内蔵光ファイバ38の突出部38aの後端に突き合わせ接続できる。
【0025】
図10に示すように、光ファイバ38、201a同士の突き合わせ状態を保ったまま、クランプ部32の一対の素子31c、321間から、介挿部材付き工具40の介挿部材41を引き抜くことで、バネ322の弾性によって一対の素子31c、321間に光ファイバ38、201aが突き合わせ状態のまま挟み込まれて固定され、光ファイバ38、201a同士の突き合わせ状態を安定に維持できる。
光ファイバ201は、光ファイバケーブルである光ファイバ2から口出しされた光ファイバ心線、光ファイバ素線等である。
【0026】
図12、図13に示すように、クランプ部32は、具体的には、フェルール31のフランジ部31bから延びる延出部31cと、この延出部31cの合わせ面324aに面して配置された蓋側素子321a、321bとを、断面C形のスリーブ状のバネ322(C形バネ)の内側に収容した構造になっている。延出部31cは、クランプ部32を構成する半割りの素子の一方(以下、素子31cと称する場合もある)を構成し、二つの蓋側素子321a、321bは、クランプ部32を構成する半割りの素子の他方(素子321)を構成している。
クランプ部32は、一対の半割り素子31c、321の間で、光ファイバをクランプする構造になっている。
二つの蓋側素子321a、321bは、一方(素子321a)が他方(素子321b)よりもフェルール31側となるようにして、光コネクタ30の前後方向に配列されている。
【0027】
図11、図13に示すように、バネ322は、該バネ322の軸方向中央部に形成されたスリット322aによって分割されている。スリット322aは、二つの蓋側素子321a、321bの間の境界付近に位置合わせされているため、バネ322のスリット322aを介して軸方向両側の各部分は、該バネ322の弾性を二つの蓋側素子321a、321bに別個に作用させる独立したバネとして機能するようになっている。このため、一方の蓋側素子321aと延出部31cの組、他方の蓋側素子321bと延出部31cの組は、それぞれ、独立のクランプ部としても機能し得る。
なお、バネ322の形状は図示例に限らず、他の形状、例えば断面コ字形などが採用できる。
【0028】
図12、図13に示すように、フェルール31に内挿固定されている内蔵光ファイバ38のフェルール後端から突出された部分である突出部38aは、クランプ部32の一対の素子31c、321の間に挿入されており、クランプ部32の一対の素子31c、321の一方又は両方の合わせ面(ここでは、素子31cの合わせ面324aのみ)に形成されている調心溝323に収納されて精密に位置決め調心される。
前記調心溝323の断面形状は、V字状、U字状、半円形等、各種構成が採用可能である。
【0029】
図示例のクランプ部付きフェルール37のフェルール31は、例えば、SC形光コネクタ(JIS C 5973に制定されるF04形光コネクタ。SC:Single fiber Coupling optical fiber connector)、MU形光コネクタ(JIS C 5983に制定されるF14形光コネクタ。MU:Miniature-unit Coupling optical fiber connector)等にて採用されているものと同様の、キャピラリタイプの単心用フェルールである。フェルール31の材質は、例えば、ジルコニアセラミック、ガラス、ステンレス等を採用できる。フェルール31は、微細孔31eが貫通されたスリーブ(円筒状)であり、内蔵光ファイバ38は前記微細孔31eに内挿されて、接着剤による接着等によって固定される。また、内蔵光ファイバ38は、先端(前端)の位置が、フェルール31の接続端面31aに揃えられている。
光ファイバ38(内蔵光ファイバ)としては、例えば石英系光ファイバが採用される。
光ファイバ201の裸光ファイバ201aとしても、石英系光ファイバ等が採用される。
【0030】
図12、図13に示すように、クランプ部32には、該クランプ部32の後端部から一対の素子31c、321の間に挿入される光ファイバ201の先端を調心溝323に導く溝325a、325bが形成されている。前記溝325a、325bは、調心溝323よりもクランプ部32の後端側にずれた位置にて、クランプ部32の一対の素子31c、321の一方又は両方の合わせ面に形成されている。この溝325a、325bは、クランプ部32の後端部に開口する開口部325cを有し、この開口部325cから、フェルール31に向かって延在するように形成されている。
【0031】
この溝325a、325bは、調心溝323よりも幅広(溝幅が大きい)に形成された断面V字状、断面U字状などの細溝であり、溝325a、325bのフェルール31側の端部(前端部)は、調心溝323側に行くほど次第に溝幅が狭くなるテーパ状に形成され、調心溝323と連通されている。
図示例の光コネクタ30では、溝325a、325bは、素子31cの合わせ面324aと、素子321bの合わせ面324bの両方に、一対の素子31c、321の間でちょうど対面する位置に形成されている。
【0032】
光コネクタ30には、クランプ部32を構成する二つ割りの素子31c、321間に割り込ませた薄板状の介挿部材41を備えた介挿部材付き工具40が組み付けられている。
以下、介挿部材付き工具40を組み付けた光コネクタ30を、工具付き光コネクタ30Aと称する。
【0033】
クランプ部32は、介挿部材41を素子31c、321間に割り込ませて、バネ322の弾性に抗してクランプ部32の一対の素子31c、321間を押し広げておくことで、光ファイバ201の裸光ファイバ201aを、ハウジング33(詳細にはストップリング331)の後端部の開口部である光ファイバ挿入孔331aを介して、クランプ部32の後端部に開口する開口部325c(溝325a、325bの開口部)から、溝325a、325bに押し込むことができる。
裸光ファイバ201aをさらに押し込むことによって、溝325a、325bから調心溝323に押し込んで、内蔵光ファイバ38と突き合わせ接続することができる。内蔵光ファイバ38は、調心溝323のフェルール31側の端部から長手方向中央部までの範囲に収納されており、光ファイバ201先端の裸光ファイバ201aは、調心溝323に挿入されることで、調心溝323に誘導されるようにして、内蔵光ファイバ38(詳細には突出部38aの先端)に対して突き合わせ接続させることができる。
【0034】
裸光ファイバ201aと内蔵光ファイバ38との突き合わせ状態を保ったまま、素子31c、321間に介挿されている介挿部材41を素子31c、321間から引き抜くと、バネ322の弾性によって素子31c、321間が閉じられ、一対の素子31c、321間に、内蔵光ファイバ38と光ファイバ201とがクランプ固定される。
これにより、光ファイバ201先端の裸光ファイバ201aと内蔵光ファイバ38とが、調心溝323の調心精度によって精密に位置決め調心して突き合わせ接続された状態が維持される。
【0035】
図10、図13において、符号39は、内蔵光ファイバ38と裸光ファイバ201aとを突き合わせ接続した接続点を示す。
光ファイバ201の被覆部分は、溝325a、325b内にクランプ固定され、クランプ部32からの光ファイバ201の引き抜きが規制される。これにより、光ファイバ201に作用する引っ張り力等の外力が、裸光ファイバ201aと内蔵光ファイバ38との突き合わせ状態に影響を与えることを防止できる。
【0036】
図10に示すように、光コネクタ30のハウジング33(プラグハウジング)は、筒状のストップリング331と、このストップリング331の前端部に外嵌めして装着された筒状のプラグフレーム332と、ストップリング331内に設けられた付勢手段333とを備えている。
付勢手段333は、クランプ部32を介してフェルール31を前方へ付勢するようになっている。付勢手段333としてはコイルスプリングが好適であり、付勢手段333はクランプ部32の後端と、ストップリング331との間に圧縮状態で配置される。
ストップリング331とプラグフレーム332とは、クランプ部付きフェルール37を収納する内ハウジングを構成する。
【0037】
内ハウジングに収納されたクランプ部付きフェルール37は、フェルール31が、プラグフレーム332の前後方向中央部にて内側に周設されたストッパ用突壁332bの内側のフェルール孔332aに挿入されて、ストッパ用突壁332bから前側へ突出されている。また、フェルール31の周囲に突出するフランジ部31bが、前記ストッパ用突壁332bとストップリング331の前端部との間に挟み込まれるようにして保持されている。
また、前記クランプ部付きフェルール37は、プラグフレーム332のストッパ用突壁332bから後側に突設されたキー(図示略)を、クランプ部付きフェルール37のフランジ部31bのキー溝31d(図11参照)に収納することで、内ハウジングに対する軸回り回転が規制されている。
【0038】
図13に示すように、クランプ部付きフェルール37は、後端の開口部325cが、ストップリング331後端の光ファイバ挿入孔331aに連通する位置で内ハウジングに収納される。このため、光コネクタ30の後端側から光ファイバ挿入孔331aを介してクランプ部32に光ファイバ201を挿入することができる。
【0039】
成端用光コネクタ30としては、いわゆるSC2形光コネクタ(光コネクタプラグ)が使用できる。SC2形光コネクタは、SC形光コネクタ(例えばJIS C 5973に制定されるF04形光コネクタ。SC:Single fiber Coupling optical fiber connector)からツマミ(カップリング)(図示略)を外した構成である。また、ルーセントテクノロジー社が開発したものとして知られる、いわゆるLC形光コネクタを採用することもできる。
また、プラグフレームとして、レセプタクル等の受け光コネクタ用のハウジングも採用可能である。
【0040】
図10に示すように、可動受け片35は細長板状の部材である。
この可動受け片35は、ストップリング331の後端部の後端ブロック部331dを前後に貫通する案内孔334に挿入されており、案内孔334によって案内されて光コネクタ30の前後方向に沿ってスライド移動できる。
この可動受け片35は、光コネクタ30の前後方向に沿ったスライド移動によって、コネクタ本体34から後側への突出長が可変になっている。
【0041】
図10および図14に示すように、引留部品3は、光ファイバ201を成端用光コネクタ30に引き留めるものであって、光コネクタ30に取り付け可能とされている。
引留部品3は、台座部3bに前後に貫通して形成された可動受け片収納孔3mに可動受け片35を収納して、可動受け片35に差し込んだ状態で、可動受け片35に案内されながら、該可動受け片35の長手方向に沿ってスライド移動できる。
【0042】
図14に示すように、引留部品3は、引留部品本体3aと、引留部品本体3aに回動自在に設けられた側壁部3eとを備えており、断面矩形状に形成されている。
引留部品本体3aは、プレート状の台座部3bと、台座部3bの側縁から立設された側壁部3cと、側壁部3cの上端から台座部3bに平行に延びる天壁部3dとからなる断面コ字形とされている。側壁部3eは、天壁部3dの延出先端に回動自在に設けられている。
図10および図14に示すように、台座部3bと天壁部3dには、光ファイバ2の被覆先端が当接するストッパ用突起3g、3gが形成されている。
台座部3bと天壁部3dには、それぞれ複数の固定用爪3fが形成され、固定用爪3fが光ファイバ2の被覆に当接することによって光ファイバ2が固定されるようになっている。
【0043】
図14に示すように、光ファイバ2として、扁平な形状の光ファイバケーブルを用いる場合には、この光ファイバケーブルは、断面長手方向が引留部品3の台座部3bに沿う姿勢とするのが好ましい。
図1に示す例では、コネクタ収納ケース5は、紙面に垂直な方向の回動軸(図示略)をもって回動するため、前記光ファイバケーブルを上記姿勢とするとコネクタ収納ケース5が回動する際に、この光ファイバケーブルは厚さ方向に曲げられることになる。
したがって、断面長手方向に曲げられる場合に比べ、光ファイバケーブルに無理な力が加えられることがなく、接続などの作業が容易となる。
【0044】
図15(a)、図15(b)に示すように、コネクタ本体34の後側へ引き出した可動受け片35に差し込んだ引留部品3を、コネクタ本体34に向けて押し込んでいくと、引留部品3が、可動受け片35の長手方向中央部に突設されている引留部品当接突起35aに当接する。可動受け片35をコネクタ本体34の後側へ引き出したとき、引留部品当接突起35aは、コネクタ本体34から後側に離隔した位置に配置される。
引留部品3の押し込みを継続することで、引留部品3が引留部品当接突起35aを押圧して、可動受け片35を案内孔334に押し込みつつ、コネクタ本体34に接近していく。
引留部品当接突起35aが、ストップリング331後端(具体的には、後端ブロック部331d)に後側から当接することで、引留部品3のストップリング331に対するそれ以上の押し込みが規制され、押し込み限界位置となる(図10、図15(c)参照)。
この際、光ファイバ201には、撓み部201bが形成されるのが好ましい。
【0045】
図1、図10、図15に示すように、引き留めカバー36は、ストップリング331後端の後端ブロック部331dに枢着されており、後端ブロック部331dを中心とする回転によって、コネクタ本体34後側に突出する可動受け片35上を開閉する(以下、図10、図15において、上側を「上」、下側を「下」として説明する)。つまり、可動受け片35上に被せた位置(閉位置)と、この閉位置から上方に回転して可動受け片35に対して開いた位置(可動受け片35に対して垂直に立てた状態。開位置)とを、回転によって切り替えることができる。
【0046】
図10に示すように、引き留めカバー36は、細長板状の天板36aの両側に、天板36aの長手方向に沿って側板36bが突設された断面コ字形に形成されている。
引き留めカバー36は、長手方向一端部の両側板36bに開口された軸孔36cに、後端ブロック部331dの両側に突設された枢軸331eが嵌め込まれて、枢軸331eを中心として、光コネクタ30のコネクタ本体34の前後方向に直交する軸線回り(可動受け片35を横切る向きの軸線回り)に回転できるようになっている。
【0047】
図15(d)、図15(e)に示すように、可動受け片35に差し込んだ引留部品3を押し込み限界位置に設置した状態で、開位置にあった引き留めカバー36を可動受け片35上に被せるように閉じると、引き留めカバー36内に引留部品3を収納できる。
可動受け片35上に被せるように閉じた引き留めカバー36は、天板36aが引留部品3上に当接され、両側板36bが引留部品3の両側に当接される。
引き留めカバー36を閉じて引留部品3を収納すると、該引き留めカバー36の長手方向他端部、すなわち、枢軸331eから最も遠い端部の内面側に突設されている引留用突起36dが、引留部品3の後端側に配置される。
この引留用突起36dは、引留部品3が当接されることで、引留部品3の光コネクタ30の後側への移動を規制するストッパとして機能する。このため、引留部品3を収納した引き留めカバー36は、引留部品3を引き留めて、光コネクタ30後側への離脱を規制する引き留め手段として機能する。
【0048】
図15(e)に示すように、引き留めカバー36が閉じた状態では、側板36bに形成された嵌合用窓36eに、引留部品3の側壁部3c、3eの外面に形成された嵌合用突爪3hが嵌合することで、光ファイバ2は引留部品3内にガタつかずに保持される(図10、図14参照)。
【0049】
図10に示すように、介挿部材付き工具40は、介挿部材41を、光コネクタ30のコネクタ本体34のハウジング33の側部に開口する介挿部材挿通孔336に通され、クランプ部付きフェルール37のクランプ部32の一対の素子31c、321間に割り込ませてある。
介挿部材付き工具40は、介挿部材41の先端部がクランプ部32のバネ322の弾性によって一対の素子31c、321間に挟み込まれることで、光コネクタ30のコネクタ本体34に組み付けられる。
介挿部材挿通孔336は、ストップリング331の側面に窓状に形成された孔331f(介挿部材挿通孔)と、プラグフレーム332の側面に窓状に形成された孔332cを含む。
【0050】
図1に示すように、成端用光コネクタ30は、光コネクタアダプタ17に接続されている。
光コネクタアダプタ17は、両端から光コネクタを挿入することでこれら光コネクタを互いに接続することができるようになっている。
光コネクタアダプタ17の一端側接続部17aには成端用光コネクタ30が接続され、他端側接続部17bには、光ファイバ13の先端に設けられた光コネクタ18が接続され、これによって光コネクタ30と光コネクタ18とが接続されるようになっている。
光コネクタアダプタ17は、コネクタ収納ケース5内に収納可能とされ、他端側接続部17bが挿入口16aに近接して配置されており、挿入口16aを通して光コネクタ18を他端側接続部17bに接続できるようになっている。
【0051】
光コンセント20は、コネクタ収納ケース5が取付ベース8に回動可能に取り付けられているため、必要に応じて、下端部が取付ベース8から離れる方向に回動させることによって、コネクタ収納ケース5を前方回動位置(図7を参照)に配置することができる。
この前方回動位置では、光ファイバ13も壁4から離れた位置に配置されるため、光コンセント20の下方に十分な作業スペースを確保し、光ファイバ配線や壁紙貼りなどの作業を容易にすることができる。
【0052】
光コンセント20では、コネクタ収納ケース5が光ファイバ通過口10eを覆うように設けられているため、壁4の前面側からは光ファイバ2が見えなくなる。このため、美観の点でも優れている。また、コネクタ収納ケース5が壁4の前面側に位置するため、光ファイバ収納部6内にスペースが確保され、十分な長さの余長2aを収納できる点でも好ましい。
【0053】
また、コネクタ収納ケース5が回動自在であるため、コネクタ収納ケース5を前方回動位置に配置した状態で、光コネクタ18を成端用光コネクタ30に接続することができる。このため、接続作業が容易となる。
また、現場付け光コネクタである成端用光コネクタ30を用いるので、現場における設置作業が容易である。
【0054】
次に、本発明の光コンセントの第2の実施形態を説明する。
図16は、本発明に係る光コンセントの第2の実施形態の外観を示す図であって、(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は下面図、(d)は一部断面状態の側面図である。図17は、メタル線接続用のチップ51を示す斜視図である。図18は、図16に示す光コンセントを示す断面図である。
上述のように、取付枠7に対するケースホルダ10の取付け位置は、変更可能である。
ここに示す光コンセント50は、ケースホルダ10が、取付枠7の第2および第3取付部7c、7dに取り付けられている点で、図1に示す光コンセント20と異なる。
取付枠7の第1取付部7bには、電話線などのメタル線接続用のチップ51を取り付けることができる。チップ51の接続部51bには、メタル線51aが接続可能である。符号51cは、接続部51bを開閉可能に覆うカバーである。
【0055】
光コンセント20、50では、光ファイバ通過口7a、10eを有する取付ベース8を備えているので、光ファイバ通過口7a、10eを通して、光ファイバ2をコネクタ収納ケース5に直接導入することができる。
このため、光ファイバが第1カバー部材を経由して第2カバー部材に導入される従来品に比べ、光ファイバ配線の省スペース化が可能となり、他の配線のためのスペースを確保でき、例えば電話線などのメタル線51aが併用可能となる。
光コンセント20、50では、取付ベース8に対するケースホルダ10の取り付け位置を変更可能であるので、ケースホルダ10の位置の調整によって、電話線などのメタル線51a用のスペースを確保できる。
また、図18に示すように、コネクタ収納ケース5を前方に回動させることによって、ドライバなどの工具52を用いた取り付け作業等が容易となる。
図示例では、コネクタ収納ケース5は、一端部を支点とした回動により下端部が取付ベース8に対し接近および離間する方向に移動するが、コネクタ収納ケース5の支点の位置は端部に限定されない。また、回動方向についても、成端用光コネクタに接続される光ファイバを移動させることができる方向であれば図示例に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明に係る光コンセントの第1の実施形態の構造の概要を示す断面図である。
【図2】図1に示す光コンセントの外観を示す図であって、(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は下面図、(d)は一部断面状態の側面図である。
【図3】図1に示す光コンセントのコネクタ収納ケースのカバーを外した状態を示す正面図である。
【図4】図1に示す光コンセントの取付枠および取付ベースを示す正面図である。
【図5】図1に示す光コンセントのケースホルダを示す斜視図である。
【図6】図1に示す光コンセントに用いられるブランクチップを示す斜視図である。
【図7】図1に示す光コンセントのコネクタ収納ケースを回動させた状態を示す側面図である。
【図8】インドアケーブルの一例を示す断面図である。
【図9】ドロップケーブルの一例を示す断面図である。
【図10】図1に示す光コンセントの成端用光コネクタを示す断面図である。
【図11】図1に示す光コンセントの成端用光コネクタのクランプ部付きフェルールを示す斜視図である。
【図12】図10に示す成端用光コネクタのクランプ部付きフェルールのクランプ部を構成する各素子の合わせ面を示す図である。
【図13】図10に示す成端用光コネクタのクランプ部付きフェルールを示す断面図である。
【図14】図10に示す成端用光コネクタに取り付けられる引留部品の構造を示す断面図である。
【図15】成端用光コネクタへの引留部品の組み込み、引き留め作業を説明する工程図である。
【図16】本発明に係る光コンセントの第2の実施形態の外観を示す図であって、(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は下面図、(d)は一部断面状態の側面図である。
【図17】図16に示す光コンセントに用いられるメタル線接続用のチップを示す斜視図である。
【図18】図16に示す光コンセントを示す断面図である。
【符号の説明】
【0057】
1・・・取付ユニット、2・・・光ファイバ、3・・・引留部品、5・・・コネクタ収納ケース、6・・・光ファイバ収納部、7・・・取付枠、7a、10e・・・光ファイバ通過口、8・・・取付ベース、10・・・ケースホルダ、17・・・光コネクタアダプタ、18・・・光コネクタ(別の光コネクタ)、30・・・成端用光コネクタ、31・・・フェルール、32・・・クランプ部(接続機構)、51・・・メタル線接続用のチップ、51a・・・メタル線。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光コネクタ用アウトレットなどの光コンセントに関する。
【背景技術】
【0002】
建物の壁等に設けられる光アウトレット等の光コンセントは、壁に光コネクタアダプタを組み込み、プラグを前面側(室内側)から前記アダプタに差し込んで接続する構造が一般的である。
プラグをアダプタに接続する構造としては、プラグを壁に垂直な方向からアダプタに差し込む構造もあるが(例えば特許文献1を参照)、プラグを下方からアダプタに差し込むものが広く用いられている(例えば特許文献2を参照)。
プラグが下方からアダプタに接続される構造は、プラグが壁に垂直に接続される構造に比べて、プラグの壁からの突出寸法を抑えることができるなどの利点がある。
しかしながら、この構造の光コンセントは、アダプタに接続したプラグが下方に突出するうえ、プラグ後端から延びる光ファイバが、光コンセントの下方で引き回されるため、光コンセントの下方における作業(例えば、壁紙貼り、光ファイバ配線等)の支障になるといった不都合があった。
特許文献3には、壁面に取り付けられるベースと、第1および第2カバー部材からなるカバーとを備え、第2カバー部材が回動可能とされた光コンセントが開示されている。
この構造の光コンセントでは、光ファイバが第1カバー部材を経て第2カバー部材に導入されるため、配線の省スペース化が難しいという問題があった。
【特許文献1】特開平7−335347号公報
【特許文献2】実開平5−90840号公報
【特許文献3】特開2006−323290号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上述した従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、周辺での作業をしやすくすることができ、しかも配線の省スペース化が可能な光コンセントを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の請求項1にかかる光コンセントは、取付壁の前面より奥側に配線された光ファイバをコネクタ接続可能とする光コンセントであって、前記光ファイバが引き込まれる取付ユニットと、前記光ファイバをコネクタ接続可能に成端する成端用光コネクタを収納するコネクタ収納ケースとを備え、前記取付ユニットは、前記取付壁の前面より奥側に設けられて前記光ファイバを収納する光ファイバ収納部と、前記光ファイバ収納部内の光ファイバを前記取付壁の前面側に導く光ファイバ通過口が形成された取付ベースとを有し、前記コネクタ収納ケースは、前記取付ベースの前面側に回動自在に取り付けられていることを特徴とする。
本発明の請求項2にかかる光コンセントは、請求項1において、前記コネクタ収納ケースは、前記取付ベースに回動自在に取り付けられる一端部とは逆の他端部に、前記成端用光コネクタに接続される別の光コネクタが挿入される挿入口が形成され、前記一端部が上、かつ前記他端部が下になる向きに取り付けられていることを特徴とする。
本発明の請求項3にかかる光コンセントは、請求項1において、前記取付ベースは、取付枠と、前記コネクタ収納ケースが回動自在に取り付けられるケースホルダとを有し、前記取付枠に対する前記ケースホルダの取り付け位置が変更可能であることを特徴とする。
本発明の請求項4にかかる光コンセントは、請求項1において、前記成端用光コネクタは、フェルールと、前記フェルールに内挿固定された内蔵光ファイバを、前記取付壁の前面側に導かれた光ファイバに突き合わせ接続させる接続機構とを備え、前記成端用光コネクタには、前記取付壁の前面側に導かれた光ファイバを前記成端用光コネクタに引き留める引留部品を取付け可能であることを特徴とする。
本発明の請求項5にかかる光コンセントは、請求項4において、前記取付壁の前面側に導かれた光ファイバは、扁平な形状の光ファイバケーブルであり、前記光ファイバケーブルの断面長手方向が、前記コネクタ収納ケースの回動軸に沿う方向に揃えられていることを特徴とする。
本発明の請求項6にかかる光コンセントは、請求項1において、前記成端用光コネクタは、光コネクタアダプタを介して、別の光コネクタに接続可能であることを特徴とする。
本発明の請求項7にかかる光コンセントは、請求項3において、前記取付枠には、メタル線接続用のチップが取付け可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明の光コンセントは、成端用光コネクタを収納するコネクタ収納ケースが取付ベースに回動可能に取り付けられているため、必要に応じてコネクタ収納ケースを回動させ、成端用光コネクタに接続された光ファイバを移動させることができる。
よって、光コンセントの周辺に十分な作業スペースを確保し、配線や壁紙貼りなどの作業を容易にすることができる。
また、本発明の光コンセントでは、光ファイバ通過口を有する取付ベースを備えているので、光ファイバ通過口を通して、光ファイバをコネクタ収納ケースに直接導入することができる。このため、光ファイバの配線の省スペース化が可能となり、他の配線のためのスペースを確保でき、例えば電話線などのメタル線が併用可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る光コンセントの第1の実施形態の構造の概要を示す断面図である。図2は、図1に示す光コンセント20の外観を示す図であって、(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は下面図、(d)は一部断面状態の側面図である。図3は、コネクタ収納ケース5のカバー16を外した状態を示す正面図である。図4は、取付枠7および取付ベース8を示す正面図である。図5は、ケースホルダ10を示す斜視図である。図6は、ブランクチップ14を示す斜視図である。図7は、コネクタ収納ケース5を回動させた状態を示す側面図である。図8は、インドアケーブルの一例を示す断面図である。図7は、ドロップケーブルの一例を示す断面図である。
以下の説明において、図1における左方を前方といい、右方を後方ということがある。また、上下は、図1における上下をいう。
【0007】
図1に示すように、この実施形態の光コンセント20は、建物等の壁4(取付壁)の後面4b側に配線された光ファイバ2を、前面4a側(室内側)の光ファイバ13とコネクタ接続できるようにする光アウトレットである。
光コンセント20は、壁4に取り付けられた取付ユニット1と、光ファイバ2の先端に設けられた成端用光コネクタ30を収納するコネクタ収納ケース5とを備えている。
【0008】
取付ユニット1は、光ファイバ2が引き込まれる光ファイバ収納部6と、取付ベース8とを備えている。
光ファイバ収納部6は、室内側が開口した箱状とされ、光ファイバ2の余長2aを収納できるように形成するのが好ましい。
光ファイバ収納部6は、壁4の後面4b側に設けられている。なお、光ファイバ収納部6の設置位置は、前面4aより奥側であればよく、例えば壁4の内部に形成してもよい。符号4cは壁4に形成された開口部であり、この開口部4cを通して光ファイバ2は壁4の前面4a側に導かれている。
なお、発明における取付壁は、建物の壁に限定されず、例えば、建物の柱、天井、床であってもよいし、光配線盤、パーティションなどであってもよい。
【0009】
図1に示すように、取付ベース8は、壁4に取り付けられる取付枠7と、取付枠7に取り付けられるケースホルダ10とを有する。
図1および図4に示すように、取付枠7は、略矩形の板状に形成され、略中央には、光ファイバ2が通過可能な長方形状の光ファイバ通過口7aが形成されている。
光ファイバ通過口7aは、チップ等を取り付け可能に形成することができる。図示例の光ファイバ通過口7aは、チップ等を取り付け可能な3つの取付部を有し、これらを上から下にかけて第1〜第3取付部7b〜7dと呼ぶ(図4を参照)。
図1に示すように、取付枠7は、ボルトなどの固定具7eによって壁4の前面に取り付けることができる。
図4に示すように、取付枠7は、光ファイバ通過口7aが形成された内枠7Aと、その外側に設けられた外枠7Bとから構成されていてもよい。内枠7Aと外枠7Bはネジ止め等により互いに固定することができる。
【0010】
図1および図5に示すように、ケースホルダ10は、略矩形状の前板10aと、前板10aの上縁および下縁から後方に延びる上板10b1および下板10b2と、前板10aの側縁から後方に延びる側板10b3、10b3とを有する直方体状とされている。
前板10aの上部には、光ファイバ2が通過可能な光ファイバ通過口10eが形成されている。
ケースホルダ10は、取付枠7の光ファイバ通過口7a内に設けられている。
【0011】
図1および図4に示すように、図示例のケースホルダ10は、取付枠7の3つの取付部7b〜7dのうち2つに相当する形状となっている。すなわち、ケースホルダ10は、第1および第2取付部7b、7cに即した形状となっており、これら取付部7b、7cに設けられている。
ケースホルダ10は、光ファイバ通過口7aの3つの取付部7b〜7dのうち2つ分に相当する大きさであるため、その位置を変えることができる。図示例では、ケースホルダ10は第1および第2取付部7b、7cに取り付けられているが、後述するように、第2および第3取付部7c、7dに取り付けることもできる。
光ファイバ通過口7aの第3取付部7dには、ブランクチップ14が嵌め込まれている(図6を参照)。
【0012】
図1、図5および図7に示すように、前板10aの上部の前面には、コネクタ収納ケース5が回動する際の支点となる回動支持部10cが形成されている。
回動支持部10cは、コネクタ収納ケース5を回動可能に支持するものであればよく、例えば、軸、ブラケットなどが採用できる。図示例では、コネクタ収納ケース5に形成された回動軸(図示略)を支持する板状の支持部である。コネクタ収納ケース5の回動軸は、図1において紙面に対し垂直な方向に沿う。
図1、図2(b)、図5および図7に示すように、前板10aの前面には、コネクタ収納ケース5の回動を制限するストッパ10dが形成されている。ストッパ10dは、前板10aの前面から前方に板状に突出して形成されている。ストッパ10dは、回動支持部10cより高い位置に形成されており、コネクタ収納ケース5が前方(図1の時計回り方向)に回動した位置(図1に仮想線で示す前方回動位置)において当接するようになっている。
【0013】
図1に示すように、取付枠7の前面側には、取付枠7を覆うように、外装プレート9が設けられている。
図4に示すように、外装プレート9は、略矩形の板状に形成され、略中央には、光ファイバ2が通過可能な長方形状の光ファイバ通過口9aが形成されている。
図示例の光ファイバ通過口9aは、取付枠7の光ファイバ通過口7aと同様に、上から下にかけて、チップ等を取り付け可能な第1〜第3取付部9b〜9dに区画できる。
【0014】
コネクタ収納ケース5は、ベース15と、ベース15に被せられるカバー16とを備えている。
図1および図3に示すように、ベース15は、略長方形の板状とされており、上端部(一端部)が、ケースホルダ10の回動支持部10cに回動自在に取り付けられ、この上端部を支点として回動するようになっている。
ベース15の上部には、光ファイバ2をコネクタ収納ケース5内に導入する導入口15aが形成されている。
ベース15の後面には、ケースホルダ10の前板10aに形成された嵌合穴10fに嵌合して係脱可能に係止する嵌合突起(図示略)が形成されている。
【0015】
カバー16は、成端用光コネクタ30を収容可能に形成されている。
カバー16の下端部(他端部)には、成端用光コネクタ30に接続される光ファイバ13が挿入される挿入口16aが形成されている。図1に示すように、挿入口16aは、下方に向けて開口するように形成されている。
カバー16の下端部には、挿入口16aを開閉する蓋16bが形成されている。蓋16bは、挿入口16aの周縁部にヒンジ結合されている。
コネクタ収納ケース5は、ケースホルダ10の光ファイバ通過口10eを覆うように設けるのが好ましい。
【0016】
図1および図7に示すように、コネクタ収納ケース5は、上端部の回動軸(図示略)を支点として、下端部が取付ベース8に対し接近および離間する方向に回動可能であり、図1に実線で示すように、成端用光コネクタ30が壁4に沿う方向(上下方向)を向く通常位置から、図1に仮想線で示す前方回動位置まで回動可能となっている。
通常位置では、コネクタ収納ケース5のベース15は、壁4の前面4aにほぼ平行である。
図7に示すように、通常位置から前方回動位置までのコネクタ収納ケース5の回動角度αは90度未満が好ましい。
【0017】
光ファイバ2としては、例えば、いわゆるインドアケーブル(屋内配線用光ファイバケーブル)を採用することができる。
光ファイバ収納部6に引き込まれる光ファイバ2としては、インドアケーブルに限定されず、インドアケーブル以外の各種光ファイバケーブル(例えばドロップケーブル)、光ファイバ心線、光ファイバ素線等、各種採用可能である。光ファイバ2としては、単心の光ファイバに限らず、多心の光ファイバも可能である。
【0018】
図8は、インドアケーブルの一例の断面構造を示すもので、インドアケーブル11は、光ファイバ11aとその両側に配置した抗張力体11bを被覆樹脂11cで一括被覆して断面略矩形状に形成したものである。符号11dはノッチである。被覆樹脂11cは、ノッチ11dで2つに分割することで光ファイバ11aを露出させることができる。
図9は、光ドロップケーブルの一例の断面構造を示すもので、光ドロップケーブル12は、断面略矩形状の光ファイバエレメント部12dと、この光ファイバエレメント部12dの側部に添えられた金属線12eを被覆樹脂12cによって被覆した支持線部12fとを備えている。光ファイバエレメント部12dは、光ファイバ12aとその両側に配置した抗張力体12bとを被覆樹脂12cで一括被覆したものであり、インドアケーブル11とほぼ同様の構成である。被覆樹脂12cは、ノッチ12hで2つに分割することで光ファイバ12aを露出させることができる。
光ファイバエレメント部12dと支持線部12fとの間は、被覆樹脂12cの薄肉部12gを介して繋がっており、薄肉部12gを切り裂くように切断することで、支持線部12fを光ファイバエレメント部12dから分離できる。
光ファイバ11a、12aは、ここでは光ファイバ素線であるが、単心の光ファイバ心線、多心の光ファイバテープ心線などであってよい。
インドアケーブル11および光ドロップケーブル12は、幅が高さより大きくされている。すなわち扁平な形状の光ファイバケーブルである。
【0019】
図示例では、光ファイバ2は、壁4の後面4b側に配線されているが、本発明の対象となる光ファイバは、壁4の前面4aより奥側に配線されているもの、例えば壁4の内部に配線されているものを含む。
【0020】
次に、コネクタ収納ケース5内に設けられる成端用光コネクタ30の構成について説明する。図10は、成端用光コネクタ30を示す断面図である。図11は、成端用光コネクタ30のクランプ部付きフェルール37を示す斜視図である。図12は、成端用光コネクタ30のクランプ部付きフェルール37のクランプ部32を構成する各素子の合わせ面を示す図である。図13は、成端用光コネクタ30のクランプ部付きフェルール37を示す断面図である。図14は、成端用光コネクタ30に取り付けられる引留部品3の構造を示す断面図である。図15は、成端用光コネクタ30への引留部品3の組み込み、引き留め作業を説明する工程図である。
以下の説明において、図10における左方を前方といい、右方を後方ということがある。
【0021】
成端用光コネクタ30は、いわゆる現場付け光コネクタであり、光ファイバ2をコネクタ接続可能に成端するものである。
図1に示すように、光ファイバ収納部6に引き込まれた光ファイバ2は、壁4の開口部4c、光ファイバ通過口7a、10eを通して壁4の前面4a側に導かれ、コネクタ収納ケース5に導入され、この光ファイバ2の先端に成端用光コネクタ30が取り付けられている。
【0022】
図10に示すように、光コネクタ30は、クランプ部付きフェルール37をハウジング33(プラグハウジング)内に収納してなるコネクタ本体34と、ハウジング33に前後動可能に設けられコネクタ本体34の後端側に引き出すことができる可動受け片35と、引留部品3をコネクタ本体34の後端に引き留める引き留めカバー36とを具備する。
【0023】
クランプ部付きフェルール37は、フェルール31と、その後端側(接続端面31aとは反対の側)に設けられたクランプ部32(接続機構)を備えており、フェルール31の接続端面31aが前、クランプ部32が後、となる向きでハウジング33に収納される。
図12、図13に示すように、クランプ部32は、スリーブ状のバネ322内に一対の半割り素子31c、321を収納した構造になっている。
クランプ部32の一対の素子31c、321間には、フェルール31に予め内挿固定された光ファイバ38(以下、内蔵光ファイバ)のフェルール31後端から突出された突出部38aが挿入されている。
【0024】
クランプ部32の一対の素子31c、321間に、介挿部材付き工具40の介挿部材41を割り込ませた状態では、バネ322の弾性に抗して一対の素子31c、321間が僅かに押し拡げられ、コネクタ本体34に後端側から挿入した光ファイバ201(詳細には、光ファイバ201先端に口出ししておいた裸光ファイバ201aの先端)を、クランプ部32の一対の素子31c、321間にて、前記内蔵光ファイバ38の突出部38aの後端に突き合わせ接続できる。
【0025】
図10に示すように、光ファイバ38、201a同士の突き合わせ状態を保ったまま、クランプ部32の一対の素子31c、321間から、介挿部材付き工具40の介挿部材41を引き抜くことで、バネ322の弾性によって一対の素子31c、321間に光ファイバ38、201aが突き合わせ状態のまま挟み込まれて固定され、光ファイバ38、201a同士の突き合わせ状態を安定に維持できる。
光ファイバ201は、光ファイバケーブルである光ファイバ2から口出しされた光ファイバ心線、光ファイバ素線等である。
【0026】
図12、図13に示すように、クランプ部32は、具体的には、フェルール31のフランジ部31bから延びる延出部31cと、この延出部31cの合わせ面324aに面して配置された蓋側素子321a、321bとを、断面C形のスリーブ状のバネ322(C形バネ)の内側に収容した構造になっている。延出部31cは、クランプ部32を構成する半割りの素子の一方(以下、素子31cと称する場合もある)を構成し、二つの蓋側素子321a、321bは、クランプ部32を構成する半割りの素子の他方(素子321)を構成している。
クランプ部32は、一対の半割り素子31c、321の間で、光ファイバをクランプする構造になっている。
二つの蓋側素子321a、321bは、一方(素子321a)が他方(素子321b)よりもフェルール31側となるようにして、光コネクタ30の前後方向に配列されている。
【0027】
図11、図13に示すように、バネ322は、該バネ322の軸方向中央部に形成されたスリット322aによって分割されている。スリット322aは、二つの蓋側素子321a、321bの間の境界付近に位置合わせされているため、バネ322のスリット322aを介して軸方向両側の各部分は、該バネ322の弾性を二つの蓋側素子321a、321bに別個に作用させる独立したバネとして機能するようになっている。このため、一方の蓋側素子321aと延出部31cの組、他方の蓋側素子321bと延出部31cの組は、それぞれ、独立のクランプ部としても機能し得る。
なお、バネ322の形状は図示例に限らず、他の形状、例えば断面コ字形などが採用できる。
【0028】
図12、図13に示すように、フェルール31に内挿固定されている内蔵光ファイバ38のフェルール後端から突出された部分である突出部38aは、クランプ部32の一対の素子31c、321の間に挿入されており、クランプ部32の一対の素子31c、321の一方又は両方の合わせ面(ここでは、素子31cの合わせ面324aのみ)に形成されている調心溝323に収納されて精密に位置決め調心される。
前記調心溝323の断面形状は、V字状、U字状、半円形等、各種構成が採用可能である。
【0029】
図示例のクランプ部付きフェルール37のフェルール31は、例えば、SC形光コネクタ(JIS C 5973に制定されるF04形光コネクタ。SC:Single fiber Coupling optical fiber connector)、MU形光コネクタ(JIS C 5983に制定されるF14形光コネクタ。MU:Miniature-unit Coupling optical fiber connector)等にて採用されているものと同様の、キャピラリタイプの単心用フェルールである。フェルール31の材質は、例えば、ジルコニアセラミック、ガラス、ステンレス等を採用できる。フェルール31は、微細孔31eが貫通されたスリーブ(円筒状)であり、内蔵光ファイバ38は前記微細孔31eに内挿されて、接着剤による接着等によって固定される。また、内蔵光ファイバ38は、先端(前端)の位置が、フェルール31の接続端面31aに揃えられている。
光ファイバ38(内蔵光ファイバ)としては、例えば石英系光ファイバが採用される。
光ファイバ201の裸光ファイバ201aとしても、石英系光ファイバ等が採用される。
【0030】
図12、図13に示すように、クランプ部32には、該クランプ部32の後端部から一対の素子31c、321の間に挿入される光ファイバ201の先端を調心溝323に導く溝325a、325bが形成されている。前記溝325a、325bは、調心溝323よりもクランプ部32の後端側にずれた位置にて、クランプ部32の一対の素子31c、321の一方又は両方の合わせ面に形成されている。この溝325a、325bは、クランプ部32の後端部に開口する開口部325cを有し、この開口部325cから、フェルール31に向かって延在するように形成されている。
【0031】
この溝325a、325bは、調心溝323よりも幅広(溝幅が大きい)に形成された断面V字状、断面U字状などの細溝であり、溝325a、325bのフェルール31側の端部(前端部)は、調心溝323側に行くほど次第に溝幅が狭くなるテーパ状に形成され、調心溝323と連通されている。
図示例の光コネクタ30では、溝325a、325bは、素子31cの合わせ面324aと、素子321bの合わせ面324bの両方に、一対の素子31c、321の間でちょうど対面する位置に形成されている。
【0032】
光コネクタ30には、クランプ部32を構成する二つ割りの素子31c、321間に割り込ませた薄板状の介挿部材41を備えた介挿部材付き工具40が組み付けられている。
以下、介挿部材付き工具40を組み付けた光コネクタ30を、工具付き光コネクタ30Aと称する。
【0033】
クランプ部32は、介挿部材41を素子31c、321間に割り込ませて、バネ322の弾性に抗してクランプ部32の一対の素子31c、321間を押し広げておくことで、光ファイバ201の裸光ファイバ201aを、ハウジング33(詳細にはストップリング331)の後端部の開口部である光ファイバ挿入孔331aを介して、クランプ部32の後端部に開口する開口部325c(溝325a、325bの開口部)から、溝325a、325bに押し込むことができる。
裸光ファイバ201aをさらに押し込むことによって、溝325a、325bから調心溝323に押し込んで、内蔵光ファイバ38と突き合わせ接続することができる。内蔵光ファイバ38は、調心溝323のフェルール31側の端部から長手方向中央部までの範囲に収納されており、光ファイバ201先端の裸光ファイバ201aは、調心溝323に挿入されることで、調心溝323に誘導されるようにして、内蔵光ファイバ38(詳細には突出部38aの先端)に対して突き合わせ接続させることができる。
【0034】
裸光ファイバ201aと内蔵光ファイバ38との突き合わせ状態を保ったまま、素子31c、321間に介挿されている介挿部材41を素子31c、321間から引き抜くと、バネ322の弾性によって素子31c、321間が閉じられ、一対の素子31c、321間に、内蔵光ファイバ38と光ファイバ201とがクランプ固定される。
これにより、光ファイバ201先端の裸光ファイバ201aと内蔵光ファイバ38とが、調心溝323の調心精度によって精密に位置決め調心して突き合わせ接続された状態が維持される。
【0035】
図10、図13において、符号39は、内蔵光ファイバ38と裸光ファイバ201aとを突き合わせ接続した接続点を示す。
光ファイバ201の被覆部分は、溝325a、325b内にクランプ固定され、クランプ部32からの光ファイバ201の引き抜きが規制される。これにより、光ファイバ201に作用する引っ張り力等の外力が、裸光ファイバ201aと内蔵光ファイバ38との突き合わせ状態に影響を与えることを防止できる。
【0036】
図10に示すように、光コネクタ30のハウジング33(プラグハウジング)は、筒状のストップリング331と、このストップリング331の前端部に外嵌めして装着された筒状のプラグフレーム332と、ストップリング331内に設けられた付勢手段333とを備えている。
付勢手段333は、クランプ部32を介してフェルール31を前方へ付勢するようになっている。付勢手段333としてはコイルスプリングが好適であり、付勢手段333はクランプ部32の後端と、ストップリング331との間に圧縮状態で配置される。
ストップリング331とプラグフレーム332とは、クランプ部付きフェルール37を収納する内ハウジングを構成する。
【0037】
内ハウジングに収納されたクランプ部付きフェルール37は、フェルール31が、プラグフレーム332の前後方向中央部にて内側に周設されたストッパ用突壁332bの内側のフェルール孔332aに挿入されて、ストッパ用突壁332bから前側へ突出されている。また、フェルール31の周囲に突出するフランジ部31bが、前記ストッパ用突壁332bとストップリング331の前端部との間に挟み込まれるようにして保持されている。
また、前記クランプ部付きフェルール37は、プラグフレーム332のストッパ用突壁332bから後側に突設されたキー(図示略)を、クランプ部付きフェルール37のフランジ部31bのキー溝31d(図11参照)に収納することで、内ハウジングに対する軸回り回転が規制されている。
【0038】
図13に示すように、クランプ部付きフェルール37は、後端の開口部325cが、ストップリング331後端の光ファイバ挿入孔331aに連通する位置で内ハウジングに収納される。このため、光コネクタ30の後端側から光ファイバ挿入孔331aを介してクランプ部32に光ファイバ201を挿入することができる。
【0039】
成端用光コネクタ30としては、いわゆるSC2形光コネクタ(光コネクタプラグ)が使用できる。SC2形光コネクタは、SC形光コネクタ(例えばJIS C 5973に制定されるF04形光コネクタ。SC:Single fiber Coupling optical fiber connector)からツマミ(カップリング)(図示略)を外した構成である。また、ルーセントテクノロジー社が開発したものとして知られる、いわゆるLC形光コネクタを採用することもできる。
また、プラグフレームとして、レセプタクル等の受け光コネクタ用のハウジングも採用可能である。
【0040】
図10に示すように、可動受け片35は細長板状の部材である。
この可動受け片35は、ストップリング331の後端部の後端ブロック部331dを前後に貫通する案内孔334に挿入されており、案内孔334によって案内されて光コネクタ30の前後方向に沿ってスライド移動できる。
この可動受け片35は、光コネクタ30の前後方向に沿ったスライド移動によって、コネクタ本体34から後側への突出長が可変になっている。
【0041】
図10および図14に示すように、引留部品3は、光ファイバ201を成端用光コネクタ30に引き留めるものであって、光コネクタ30に取り付け可能とされている。
引留部品3は、台座部3bに前後に貫通して形成された可動受け片収納孔3mに可動受け片35を収納して、可動受け片35に差し込んだ状態で、可動受け片35に案内されながら、該可動受け片35の長手方向に沿ってスライド移動できる。
【0042】
図14に示すように、引留部品3は、引留部品本体3aと、引留部品本体3aに回動自在に設けられた側壁部3eとを備えており、断面矩形状に形成されている。
引留部品本体3aは、プレート状の台座部3bと、台座部3bの側縁から立設された側壁部3cと、側壁部3cの上端から台座部3bに平行に延びる天壁部3dとからなる断面コ字形とされている。側壁部3eは、天壁部3dの延出先端に回動自在に設けられている。
図10および図14に示すように、台座部3bと天壁部3dには、光ファイバ2の被覆先端が当接するストッパ用突起3g、3gが形成されている。
台座部3bと天壁部3dには、それぞれ複数の固定用爪3fが形成され、固定用爪3fが光ファイバ2の被覆に当接することによって光ファイバ2が固定されるようになっている。
【0043】
図14に示すように、光ファイバ2として、扁平な形状の光ファイバケーブルを用いる場合には、この光ファイバケーブルは、断面長手方向が引留部品3の台座部3bに沿う姿勢とするのが好ましい。
図1に示す例では、コネクタ収納ケース5は、紙面に垂直な方向の回動軸(図示略)をもって回動するため、前記光ファイバケーブルを上記姿勢とするとコネクタ収納ケース5が回動する際に、この光ファイバケーブルは厚さ方向に曲げられることになる。
したがって、断面長手方向に曲げられる場合に比べ、光ファイバケーブルに無理な力が加えられることがなく、接続などの作業が容易となる。
【0044】
図15(a)、図15(b)に示すように、コネクタ本体34の後側へ引き出した可動受け片35に差し込んだ引留部品3を、コネクタ本体34に向けて押し込んでいくと、引留部品3が、可動受け片35の長手方向中央部に突設されている引留部品当接突起35aに当接する。可動受け片35をコネクタ本体34の後側へ引き出したとき、引留部品当接突起35aは、コネクタ本体34から後側に離隔した位置に配置される。
引留部品3の押し込みを継続することで、引留部品3が引留部品当接突起35aを押圧して、可動受け片35を案内孔334に押し込みつつ、コネクタ本体34に接近していく。
引留部品当接突起35aが、ストップリング331後端(具体的には、後端ブロック部331d)に後側から当接することで、引留部品3のストップリング331に対するそれ以上の押し込みが規制され、押し込み限界位置となる(図10、図15(c)参照)。
この際、光ファイバ201には、撓み部201bが形成されるのが好ましい。
【0045】
図1、図10、図15に示すように、引き留めカバー36は、ストップリング331後端の後端ブロック部331dに枢着されており、後端ブロック部331dを中心とする回転によって、コネクタ本体34後側に突出する可動受け片35上を開閉する(以下、図10、図15において、上側を「上」、下側を「下」として説明する)。つまり、可動受け片35上に被せた位置(閉位置)と、この閉位置から上方に回転して可動受け片35に対して開いた位置(可動受け片35に対して垂直に立てた状態。開位置)とを、回転によって切り替えることができる。
【0046】
図10に示すように、引き留めカバー36は、細長板状の天板36aの両側に、天板36aの長手方向に沿って側板36bが突設された断面コ字形に形成されている。
引き留めカバー36は、長手方向一端部の両側板36bに開口された軸孔36cに、後端ブロック部331dの両側に突設された枢軸331eが嵌め込まれて、枢軸331eを中心として、光コネクタ30のコネクタ本体34の前後方向に直交する軸線回り(可動受け片35を横切る向きの軸線回り)に回転できるようになっている。
【0047】
図15(d)、図15(e)に示すように、可動受け片35に差し込んだ引留部品3を押し込み限界位置に設置した状態で、開位置にあった引き留めカバー36を可動受け片35上に被せるように閉じると、引き留めカバー36内に引留部品3を収納できる。
可動受け片35上に被せるように閉じた引き留めカバー36は、天板36aが引留部品3上に当接され、両側板36bが引留部品3の両側に当接される。
引き留めカバー36を閉じて引留部品3を収納すると、該引き留めカバー36の長手方向他端部、すなわち、枢軸331eから最も遠い端部の内面側に突設されている引留用突起36dが、引留部品3の後端側に配置される。
この引留用突起36dは、引留部品3が当接されることで、引留部品3の光コネクタ30の後側への移動を規制するストッパとして機能する。このため、引留部品3を収納した引き留めカバー36は、引留部品3を引き留めて、光コネクタ30後側への離脱を規制する引き留め手段として機能する。
【0048】
図15(e)に示すように、引き留めカバー36が閉じた状態では、側板36bに形成された嵌合用窓36eに、引留部品3の側壁部3c、3eの外面に形成された嵌合用突爪3hが嵌合することで、光ファイバ2は引留部品3内にガタつかずに保持される(図10、図14参照)。
【0049】
図10に示すように、介挿部材付き工具40は、介挿部材41を、光コネクタ30のコネクタ本体34のハウジング33の側部に開口する介挿部材挿通孔336に通され、クランプ部付きフェルール37のクランプ部32の一対の素子31c、321間に割り込ませてある。
介挿部材付き工具40は、介挿部材41の先端部がクランプ部32のバネ322の弾性によって一対の素子31c、321間に挟み込まれることで、光コネクタ30のコネクタ本体34に組み付けられる。
介挿部材挿通孔336は、ストップリング331の側面に窓状に形成された孔331f(介挿部材挿通孔)と、プラグフレーム332の側面に窓状に形成された孔332cを含む。
【0050】
図1に示すように、成端用光コネクタ30は、光コネクタアダプタ17に接続されている。
光コネクタアダプタ17は、両端から光コネクタを挿入することでこれら光コネクタを互いに接続することができるようになっている。
光コネクタアダプタ17の一端側接続部17aには成端用光コネクタ30が接続され、他端側接続部17bには、光ファイバ13の先端に設けられた光コネクタ18が接続され、これによって光コネクタ30と光コネクタ18とが接続されるようになっている。
光コネクタアダプタ17は、コネクタ収納ケース5内に収納可能とされ、他端側接続部17bが挿入口16aに近接して配置されており、挿入口16aを通して光コネクタ18を他端側接続部17bに接続できるようになっている。
【0051】
光コンセント20は、コネクタ収納ケース5が取付ベース8に回動可能に取り付けられているため、必要に応じて、下端部が取付ベース8から離れる方向に回動させることによって、コネクタ収納ケース5を前方回動位置(図7を参照)に配置することができる。
この前方回動位置では、光ファイバ13も壁4から離れた位置に配置されるため、光コンセント20の下方に十分な作業スペースを確保し、光ファイバ配線や壁紙貼りなどの作業を容易にすることができる。
【0052】
光コンセント20では、コネクタ収納ケース5が光ファイバ通過口10eを覆うように設けられているため、壁4の前面側からは光ファイバ2が見えなくなる。このため、美観の点でも優れている。また、コネクタ収納ケース5が壁4の前面側に位置するため、光ファイバ収納部6内にスペースが確保され、十分な長さの余長2aを収納できる点でも好ましい。
【0053】
また、コネクタ収納ケース5が回動自在であるため、コネクタ収納ケース5を前方回動位置に配置した状態で、光コネクタ18を成端用光コネクタ30に接続することができる。このため、接続作業が容易となる。
また、現場付け光コネクタである成端用光コネクタ30を用いるので、現場における設置作業が容易である。
【0054】
次に、本発明の光コンセントの第2の実施形態を説明する。
図16は、本発明に係る光コンセントの第2の実施形態の外観を示す図であって、(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は下面図、(d)は一部断面状態の側面図である。図17は、メタル線接続用のチップ51を示す斜視図である。図18は、図16に示す光コンセントを示す断面図である。
上述のように、取付枠7に対するケースホルダ10の取付け位置は、変更可能である。
ここに示す光コンセント50は、ケースホルダ10が、取付枠7の第2および第3取付部7c、7dに取り付けられている点で、図1に示す光コンセント20と異なる。
取付枠7の第1取付部7bには、電話線などのメタル線接続用のチップ51を取り付けることができる。チップ51の接続部51bには、メタル線51aが接続可能である。符号51cは、接続部51bを開閉可能に覆うカバーである。
【0055】
光コンセント20、50では、光ファイバ通過口7a、10eを有する取付ベース8を備えているので、光ファイバ通過口7a、10eを通して、光ファイバ2をコネクタ収納ケース5に直接導入することができる。
このため、光ファイバが第1カバー部材を経由して第2カバー部材に導入される従来品に比べ、光ファイバ配線の省スペース化が可能となり、他の配線のためのスペースを確保でき、例えば電話線などのメタル線51aが併用可能となる。
光コンセント20、50では、取付ベース8に対するケースホルダ10の取り付け位置を変更可能であるので、ケースホルダ10の位置の調整によって、電話線などのメタル線51a用のスペースを確保できる。
また、図18に示すように、コネクタ収納ケース5を前方に回動させることによって、ドライバなどの工具52を用いた取り付け作業等が容易となる。
図示例では、コネクタ収納ケース5は、一端部を支点とした回動により下端部が取付ベース8に対し接近および離間する方向に移動するが、コネクタ収納ケース5の支点の位置は端部に限定されない。また、回動方向についても、成端用光コネクタに接続される光ファイバを移動させることができる方向であれば図示例に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明に係る光コンセントの第1の実施形態の構造の概要を示す断面図である。
【図2】図1に示す光コンセントの外観を示す図であって、(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は下面図、(d)は一部断面状態の側面図である。
【図3】図1に示す光コンセントのコネクタ収納ケースのカバーを外した状態を示す正面図である。
【図4】図1に示す光コンセントの取付枠および取付ベースを示す正面図である。
【図5】図1に示す光コンセントのケースホルダを示す斜視図である。
【図6】図1に示す光コンセントに用いられるブランクチップを示す斜視図である。
【図7】図1に示す光コンセントのコネクタ収納ケースを回動させた状態を示す側面図である。
【図8】インドアケーブルの一例を示す断面図である。
【図9】ドロップケーブルの一例を示す断面図である。
【図10】図1に示す光コンセントの成端用光コネクタを示す断面図である。
【図11】図1に示す光コンセントの成端用光コネクタのクランプ部付きフェルールを示す斜視図である。
【図12】図10に示す成端用光コネクタのクランプ部付きフェルールのクランプ部を構成する各素子の合わせ面を示す図である。
【図13】図10に示す成端用光コネクタのクランプ部付きフェルールを示す断面図である。
【図14】図10に示す成端用光コネクタに取り付けられる引留部品の構造を示す断面図である。
【図15】成端用光コネクタへの引留部品の組み込み、引き留め作業を説明する工程図である。
【図16】本発明に係る光コンセントの第2の実施形態の外観を示す図であって、(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は下面図、(d)は一部断面状態の側面図である。
【図17】図16に示す光コンセントに用いられるメタル線接続用のチップを示す斜視図である。
【図18】図16に示す光コンセントを示す断面図である。
【符号の説明】
【0057】
1・・・取付ユニット、2・・・光ファイバ、3・・・引留部品、5・・・コネクタ収納ケース、6・・・光ファイバ収納部、7・・・取付枠、7a、10e・・・光ファイバ通過口、8・・・取付ベース、10・・・ケースホルダ、17・・・光コネクタアダプタ、18・・・光コネクタ(別の光コネクタ)、30・・・成端用光コネクタ、31・・・フェルール、32・・・クランプ部(接続機構)、51・・・メタル線接続用のチップ、51a・・・メタル線。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付壁(4)の前面(4a)より奥側に配線された光ファイバ(2)をコネクタ接続可能とする光コンセントであって、
前記光ファイバが引き込まれる取付ユニット(1)と、前記光ファイバをコネクタ接続可能に成端する成端用光コネクタ(30)を収納するコネクタ収納ケース(5)とを備え、
前記取付ユニットは、前記取付壁の前面より奥側に設けられて前記光ファイバを収納する光ファイバ収納部(6)と、前記光ファイバ収納部内の光ファイバを前記取付壁の前面側に導く光ファイバ通過口(7a、10e)が形成された取付ベース(8)とを有し、
前記コネクタ収納ケースは、前記取付ベースの前面側に回動自在に取り付けられていることを特徴とする光コンセント(20)。
【請求項2】
前記コネクタ収納ケースは、前記取付ベースに回動自在に取り付けられる一端部とは逆の他端部に、前記成端用光コネクタに接続される別の光コネクタ(18)が挿入される挿入口(16a)が形成され、
前記一端部が上、かつ前記他端部が下になる向きに取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の光コンセント。
【請求項3】
前記取付ベースは、取付枠(7)と、前記コネクタ収納ケースが回動自在に取り付けられるケースホルダ(10)とを有し、
前記取付枠に対する前記ケースホルダの取り付け位置が変更可能であることを特徴とする請求項1に記載の光コンセント。
【請求項4】
前記成端用光コネクタは、フェルール(31)と、前記フェルールに内挿固定された内蔵光ファイバ(38)を、前記取付壁の前面側に導かれた光ファイバに突き合わせ接続させる接続機構(32)とを備え、
前記成端用光コネクタには、前記取付壁の前面側に導かれた光ファイバを前記成端用光コネクタに引き留める引留部品(3)を取付け可能であることを特徴とする請求項1に記載の光コンセント。
【請求項5】
前記取付壁の前面側に導かれた光ファイバは、扁平な形状の光ファイバケーブルであり、
前記光ファイバケーブルの断面長手方向が、前記コネクタ収納ケースの回動軸に沿う方向に揃えられていることを特徴とする請求項4に記載の光コンセント。
【請求項6】
前記成端用光コネクタは、光コネクタアダプタ(17)を介して、別の光コネクタ(18)に接続可能であることを特徴とする請求項1に記載の光コンセント。
【請求項7】
前記取付枠には、メタル線接続用のチップ(51)が取付け可能であることを特徴とする請求項3に記載の光コンセント。
【請求項1】
取付壁(4)の前面(4a)より奥側に配線された光ファイバ(2)をコネクタ接続可能とする光コンセントであって、
前記光ファイバが引き込まれる取付ユニット(1)と、前記光ファイバをコネクタ接続可能に成端する成端用光コネクタ(30)を収納するコネクタ収納ケース(5)とを備え、
前記取付ユニットは、前記取付壁の前面より奥側に設けられて前記光ファイバを収納する光ファイバ収納部(6)と、前記光ファイバ収納部内の光ファイバを前記取付壁の前面側に導く光ファイバ通過口(7a、10e)が形成された取付ベース(8)とを有し、
前記コネクタ収納ケースは、前記取付ベースの前面側に回動自在に取り付けられていることを特徴とする光コンセント(20)。
【請求項2】
前記コネクタ収納ケースは、前記取付ベースに回動自在に取り付けられる一端部とは逆の他端部に、前記成端用光コネクタに接続される別の光コネクタ(18)が挿入される挿入口(16a)が形成され、
前記一端部が上、かつ前記他端部が下になる向きに取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の光コンセント。
【請求項3】
前記取付ベースは、取付枠(7)と、前記コネクタ収納ケースが回動自在に取り付けられるケースホルダ(10)とを有し、
前記取付枠に対する前記ケースホルダの取り付け位置が変更可能であることを特徴とする請求項1に記載の光コンセント。
【請求項4】
前記成端用光コネクタは、フェルール(31)と、前記フェルールに内挿固定された内蔵光ファイバ(38)を、前記取付壁の前面側に導かれた光ファイバに突き合わせ接続させる接続機構(32)とを備え、
前記成端用光コネクタには、前記取付壁の前面側に導かれた光ファイバを前記成端用光コネクタに引き留める引留部品(3)を取付け可能であることを特徴とする請求項1に記載の光コンセント。
【請求項5】
前記取付壁の前面側に導かれた光ファイバは、扁平な形状の光ファイバケーブルであり、
前記光ファイバケーブルの断面長手方向が、前記コネクタ収納ケースの回動軸に沿う方向に揃えられていることを特徴とする請求項4に記載の光コンセント。
【請求項6】
前記成端用光コネクタは、光コネクタアダプタ(17)を介して、別の光コネクタ(18)に接続可能であることを特徴とする請求項1に記載の光コンセント。
【請求項7】
前記取付枠には、メタル線接続用のチップ(51)が取付け可能であることを特徴とする請求項3に記載の光コンセント。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2008−281751(P2008−281751A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−125554(P2007−125554)
【出願日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
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