説明

光受信モジュールおよび光受信モジュールの製造方法

【課題】光受信モジュールにおいて、同一設計の受光素子を用いながら入力インピーダンスの異なるプリアンプを用いた場合にでも良好な周波数通過特性(S21)を実現する。
【解決手段】受光素子を搭載した半導体チップ6と、受光素子の出力信号を増幅するプリアンプ2と、受光素子を搭載する絶縁性キャリア基板3と、受光素子の出力信号がキャリア基板上の電極5を介してプリアンプに入力されるように接続し、受光素子を搭載しない状態でキャリア基板上の2電極間の容量値を40fF以上とした2電極4、5を有することより解決できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光受信モジュールにかかり、特に概ね10Gbit/sの高速伝送レートを有する光受信モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体フォトダイオードを受信素子として用いた光受信モジュールは光ファイバー伝送用トランシーバのキーデバイスの一つである。光受信モジュールは近年のブロードバンドネットワークの普及とともに高速化がはかられ、ビットレートが10Gbit/sまでのものが広く用いられるようになっている。上記用途に適した光受信モジュールは、小型・低コスト・低消費電力であるとともに、良好な周波数帯域特性を実現することが強く要求されている。
【0003】
特許文献1には、半導体フォトダイオードとプリアンプをTOパッケージに搭載することで小型化、低コスト化を図り、プリアンプの接地パッドへのインダクタンス低減することで10GHzの高速信号に対するインピーダンスを低くし、これにより良好な周波数特性の確保を図った光受信モジュールが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−254125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ユーザの要求として、特に長距離伝送用途ではトランシーバの設計方式により、受信モジュールに対しリニアリティを必要とする場合と、受信モジュールに対し高い受信感度を必要とする場合とがある。
【0006】
上記背景技術において低消費電力化を図った場合、搭載するプリアンプの品種に応じ設計を変えた複数の品種の半導体フォトダイオードを作成する必要が生じる。その結果、半導体ウエハの利用効率が悪くなり、半導体フォトダイオードの低コスト化が困難になるという問題があった。
【0007】
従来は、300pinMSAトランシーバ用途ではプリアンプの電源として−5.2Vと+3.3Vの正負2電源が使用でき、動作電圧に充分余裕があったため、1種類のプリアンプを用いることで両者の要求を満足することができていた。これに対し、近年主流になりつつあるXFPトランシーバ用途では低消費電力化のため、受信モジュールの駆動電圧も+3.3V単一に低電圧化している。
【0008】
プリアンプは+3.3V単一電源の場合、リニアリティと高受信感度とを同時に満足する設計が困難である。そこで、受信モジュールには高リニアリティ版と高感度版とで設計の異なる別種のプリアンプICを用いる必要が生じる。
【0009】
発明者等の検討によると、2電源版のプリアンプの入力インピーダンスは30Ω(ohm)程度であったのに対し、+3.3V単一電源化に伴い入力インピーダンスの点でもプリアンプは分化している。すなわち、高リニアリティ版のプリアンプは、低利得化に伴い入力インピーダンスが70Ω程度と高い。一方、高受信感度版のプリアンプは、初段低雑音化に伴い入力インピーダンスが20−30Ωと低い。
【0010】
プリアンプの入力インピーダンスを入力抵抗Rinで近似とすると、フォトダイオードからプリアンプ入力部までの高周波等価回路は、図1に示す通りである。図1において、Cpdはフォトダイオードの容量、Rpdはフォトダイオードの直列抵抗、Lはボンディングワイヤによるインダクタンスである。光受信モジュールにおいて所望の良好な周波数特性を得るには、Rpd、Cpd、Lの値を選択し、フォトダイオードに生ずるフォトカレントIph(ω)が入力抵抗Rinの両端に電圧Vin(ω)を生ずる周波数依存性(すなわち角周波数ω(omega)依存性)を最適にすれば良い。
【0011】
【数1】

【0012】

式1より、例えば入力インピーダンスが30Ωの高感度版プリアンプを用いて光受信モジュールの周波数特性を最適化したのち、プリアンプを入力インピーダンス70Ωの高リニアリティ版プリアンプへ変更する場合を考える。この場合、RpdおよびLをRinに比例して2.3倍(70/30)、CpdをRinに反比例して0.43倍(30/70)に変更すれば良いことがわかる。Lはボンディングワイヤ長で容易に変更可能である。一方フォトダイオードにおいてはほぼ受光面積と容量Cpdとが比例、直列抵抗Rpdとは反比例との関係にあることより、Rpd、Cpdの両者を満足するには受光径を0.65倍(√(30/70))に縮小することが必要である。
【0013】
このように光受信モジュールにおいて入力インピーダンスの異なる2種類のプリアンプを用い、それぞれに同等の良好な周波数特性を得るには、従来の光受信モジュール構造では受光径の異なる2種類の受光素子を用意する必要があった。しかし重要部品である受光素子、特に長距離用に用いられるアバランシェフォトダイオードは高価であり、フォトダイオードを製造する観点からはプリアンプの種類によらずフォトダイオードの品種を統一することで半導体ウエハの利用効率を上げ、チップ単価の低減/生産在庫の削減を図りたいという強い要求がある。
【0014】
しかし、特許文献1に記載された発明おいてはこの要求を満足することができず、半導体フォトダイオードの低コスト化、ひいては光受信モジュールの低コスト化が困難になるという問題が生じる。
【0015】
本発明の目的は、同一設計の受光素子を用いながら入力インピーダンスの異なるプリアンプを用いた場合にでも良好な周波数通過特性(S21)を実現できる光受信モジュール提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的は、光信号を受光して電気信号に変換する受光素子と、受光素子の出力信号を増幅するプリアンプと、受光素子を搭載する絶縁性キャリア基板と、受光素子の出力信号がキャリア基板上の電極を介してプリアンプに入力されるように接続し、受光素子を搭載しない状態でキャリア基板上の2電極間の容量値を40fF(フェムトファラッド)以上とした2電極を有することより達成できる。
【0017】
また、上記目的は、光信号を受光して電気信号に変換する受光素子と、受光素子の出力信号を増幅するプリアンプと、受光素子を搭載する絶縁性キャリア基板と、受光素子の出力信号がキャリア基板上の電極を介してプリアンプに入力されるように接続し、受光素子を搭載しない状態でのキャリア基板の2電極間の容量値が受光素子のアノード電極−カソード電極間の容量値の40%以上とすることにより達成できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、同一設計の受光素子を用いながら入力インピーダンスの異なるプリアンプを用いた場合にでも良好な周波数通過特性(S21)を実現できる光受信モジュールを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】フォトダイオードからプリアンプ入力部までの高周波等価回路図である。
【図2】光受信モジュールの主要部分を示す平面図である。
【図3】キャリア基板部分の部分透視平面図である。
【図4】キャリア基板の斜視断面図である。
【図5】フォトダイオードからプリアンプ入力部までの高周波等価回路図である。
【図6】入力インピーダンスと容量値の関係を示すグラフである。
【図7】効果を説明する受信モジュールの周波数特性である。
【図8】光受信モジュールの主要部分を示す平面図である。
【図9】キャリア基板部分の部分透視平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下本発明の実施の形態に付いて、実施例を用いて図面を参照しながら説明する。なお、同じ部分には同じ参照番号を振り、説明は繰り返さない。
【実施例1】
【0021】
実施例1を図2ないし図7により説明する。ここで、図2は光受信モジュールの主要部分を示す平面図である。図3はキャリア基板部分の部分透視平面図である。図4はキャリア基板の斜視断面図である。図5はフォトダイオードからプリアンプ入力部までの高周波等価回路図である。図6は入力インピーダンスと容量値の関係を示すグラフである。図7は効果を説明する受信モジュールの周波数特性である。
【0022】
まず図2を用いて光受信モジュールの構成を説明する。光受信モジュールは筐体としてCAN型のパッケージ筐体を用いる。金属ステム1は、CAN型筐体の主要部搭載用台座である。金属ステム1には円筒状の貫通穴を通して円柱状のリードピン10〜14を設け、封止ガラス20〜24により固定する。金属ステム1上にはプリアンプICチップ2とキャリア基板3を搭載する。金属ステム1は電気的には接地電位として使用する。キャリア基板3の表面には金属電極4、5を設ける。キャリア基板3には半導体チップ6を、フェイスダウン実装であるフリップチップ実装により搭載する。
【0023】
半導体チップ6は、その表面に半導体フォトダイオード素子およびそのアノード電極とカソード電極を設けた裏面入射型フォトダイオードチップである。光ファイバーより光受信モジュールに入射された光変調信号は、結合レンズ(図中省略)を介して、金属ステム1の中央付近に配置した半導体チップ6に、紙面に垂直上方より入射される。半導体チップ6上の半導体フォトダイオード素子は受光した光変調信号を、フォトカレントの生成により電気変調信号に変換する。半導体チップ6のアノード電極より出力された電気変調信号は、金属電極5、ボンディングワイヤ7を介してプリアンプICチップ2の入力端子に入力される。プリアンプICチップ2は微弱な電気変調信号を増幅し、出力信号として差動インピーダンス100Ωの差動信号をボンディングワイヤ18、19を介して出力リードピン10、11に出力する。半導体チップ6のカソード電極は金属電極4、ボンディングワイヤ8を介して平行平板容量9に接続し、この平行平板容量9により高周波的に金属ステム1に接地する。直流的にはさらにボンディングワイヤ31を介してリードピン14に接続し、ここから半導体フォトダイオード素子のバイアス電圧の供給を受ける。
【0024】
プリアンプICチップ2の接地端子電極はボンディングワイヤ32を介して金属ステム1に接続し、電源端子電極はバイパスコンデンサである平行平板容量17を経由してリードピン12に接続する。プリアンプICの電源電圧は+3.3Vであり、リードピン12より外部供給を受ける。プリアンプ2の温度測定用サーミスタ15は、ボンディングワイヤ33を介してリードピン13に接続する。平行平板容量16は、ボンディングワイヤ34を介してプリアンプICチップ2の電極に接続する。このプリアンプICチップ2の電極は、平行平板容量16によって、高周波的に接地される。
【0025】
CAN型のパッケージ筐体としては例えばφ(phi)5.3mmのTO−CAN型の筐体などを用いる。金属ステム1の材料としては安価な鉄を用いると低コスト化に好適である。キャリア基板3は厚さ200μmの窒化アルミで構成する。キャリア基板3の材料としてはアルミナなど他の誘電体材料を用いても良いが、特にキャリア基板3に窒化アルミを用いた場合、半導体チップ6にInP基板を用いた時の両者の熱膨張係数差を小さくでき、受信モジュール特性の温度変動を抑えるのに好適である。半導体チップ6上の半導体フォトダイオード素子としてはアバランシェフォトダイオードやPINフォトダイオードを用いる。アバランシェフォトダイオードは高い受信感度を得られるため、特に長距離用途の受信モジュールを実現するのに好適である。
【0026】
次に図3および図4を用いてキャリア基板部の構成を説明する。図3(a)のキャリア基板3は入力インピーダンスが20−30Ωと低いプリアンプを実装する場合に用いる。一方、図3(b)のキャリア基板103は入力インピーダンスが70Ω程度と高いプリアンプを実装する場合に、キャリア基板3に替えて用いるものである。
【0027】
キャリア基板3においては金属電極4と金属電極5に近接対向部分を設け、この部分で容量を形成する。図4にキャリア基板3の近接対向部分の断面構造図を示す。キャリア基板3の内部に内部電極25を設け、直流的にフロート電位とする。金属電極4−内部電極25間の平行平板型容量と内部電極25−金属電極5間の平行平板型容量とを直列接続する方式で金属電極4−5間の容量を形成し、その値を40fF以上にする。
【0028】
一方、キャリア基板103には金属電極104と金属電極105との間には近接対向部分および内部電極を設けず、両電極間の容量値を極力小さくする。半導体チップ6はキャリア基板3およびキャリア基板103に対し共通であり、その接続部はキャリア基板3とキャリア基板103との共通部分に設ける。半導体チップ6は、そのアノード電極とカソード電極間のダイオード容量は100fF以下にする。
【0029】
次に図5および図6を用いて回路構成と動作を説明する。キャリア基板3の近接対向部分の容量値をCpadとすると、フォトダイオードからプリアンプ入力部までの高周波等価回路は図5に示すとおりになる。図5において、Cpdはフォトダイオードの容量、Rpdはフォトダイオードの直列抵抗、Lはボンディングワイヤによるインダクタンス、Rinはプリアンプの入力抵抗である。入力抵抗Rinの両端に生じる電圧Vin(ω)のは、周波数をω、フォトダイオードに生ずるフォトカレントをIph(ω)として式2で記述される。
【0030】
【数2】

【0031】

式2において、容量Cpadおよび周波数(ω/2π)が比較的小さいと仮定し、式3を得る。
【0032】
【数3】

【0033】

式3を用い、入力インピーダンスが70Ωの高リニアリティ版プリアンプを用いて光受信モジュールの周波数特性を最適化したのち、プリアンプを入力インピーダンス30Ωの高感度版プリアンプへ変更することを考える。
【0034】
素子容量に対しては電気的CR帯域確保のため、入力インピーダンスが高いほど小さな容量値が要求される。さらにアバランシェフォトダイオード素子を用いる場合には、増倍率が大きいほど増倍率の周波数依存性増加による帯域低下が生じるため、この帯域低下を補償すべく素子容量としてはさらに小さな容量値が要求される。発明者等の検討によると入力インピーダンス70Ωの高リニアリティ版プリアンプを用い、光受信モジュールをビットレートが10Gbit/sへの適用する場合には、キャリア基板103を用いて金属電極間容量を極力小さくし、かつ容量Cpdが100fF以下のフォトダイオードを用いることが高い周波数までの帯域を確保する上で必要である。この条件下で、最適な周波数特性を得るのに好適であった。
【0035】
ここで、概ね10Gbit/sのビットレートとは、ビットレート9.95Gbit/s、10.7Gbit/sおよび11.1Gbit/sのSONET仕様、ビットレート11.3Gbit/sのEther仕様を含み、これらに限定されない。
【0036】
次に同一のフォトダイオードを用いながらプリアンプを入力インピーダンス30Ωの高感度版プリアンプへ変更し、さらに先と同様の良好な周波数特性を得るには、上記の関係式よりLを(Rin+Rpd)に比例して変更し、(Cpd+Cpad)を(Rin+Rpd)に反比例して変更すれば良い。具体的には、フォトダイオードの直列抵抗Rpdが60Ωの場合には、Lを0.69倍((30+60)/(70+60))、(Cpd+Cpad)を1.44倍((70+60)/(30+60))にすることで良好な周波数特性を実現できる。Lはボンディングワイヤ長で容易に変更可能である。一方(Cpd+Cpad)は同一の受光素子(容量Cpd不変)を用いてもキャリア基板の近接対向部分の容量値Cpadを増加することで変更可能である。
【0037】
プリアンプの入力インピーダンスRinの変化に対し、同様の周波数特性を得るために必要な容量値(Cpd+Cpad)の値の関係を図6のグラフに示す。図6において、容量値(Cpd+Cpad)はRinが70Ωの場合の容量値を1とし、規格化している。発明者等の知見では、光モジュールに用いられるほとんどのフォトダイオードの直列抵抗Rpdは60Ω以下の範囲にある。図6のグラフより、入力インピーダンス70Ωのプリアンプを用いて光受信モジュールの周波数特性を最適化したのち、同一の受光素子と入力インピーダンス30Ω以下のプリアンプを用いて光受信モジュールの周波数特性を最適化するには、容量値(Cpd+Cpad)を1.4倍以上にする必要があるという結果が得られている。
【0038】
次に図7により本実施例1の効果を説明する。図7(a)、(b)は共に入力インピーダンス30Ωの高感度版プリアンプを用いた光受信モジュールの小信号利得(S21)特性である。半導体チップ6にはアバランシェダイオード素子を搭載し、増倍率が10となるバイアス条件で動作させている。Cpdが100fF以下の高感度版プリアンプをキャリア基板3に実装し、容量値(Cpd+Cpad)を100fFとした場合は、図7(a)に示す特性となる。図7(a)に示す特性は、1GHzから8GHzまでの帯域内利得減少量が−1.35dBと大きく、特に長距離伝送時のパワーペナルティに悪影響を及ぼした。
【0039】
これに対し、高感度版プリアンプをキャリア基板103に実装した場合、容量値(Cpd+Cpad)を140fFとした場合は、図7(b)に示す特性となる。図7(b)に示す特性は、1GHzから8GHzまでの帯域内利得変化を+0.15dBに改善でき、長距離伝送時のパワーペナルティの低減に効果的であった。
【0040】
本実施例に拠れば、同一設計の受光素子を用いながら入力インピーダンスの異なるプリアンプを用いた場合にでも良好な周波数通過特性(S21)を実現できる光受信モジュールを得ることができた。
【0041】
実施例1において、内部電極25を設け、金属電極4と金属電極5の間の容量を平行平板形の容量で構成したが、内部電極を設けず金属電極4と金属電極5の間の容量を2枚のくしの歯を交互に組み合わせたインタディジタル形の容量で構成しても良い。この場合、キャリア基板3をコストの低い単層セラミックで製造でき、キャリア基板の製造コスト低減に好適である。
【実施例2】
【0042】
本発明の実施例2を図8および図9により説明する。図8は光受信モジュールの主要部分を示す平面図である。図9はキャリア基板部分の部分透視平面図である。図8において、実施例1の図2との主要な違いはキャリア基板203に半導体チップ6を搭載するパタンを複数設けた点にある。
【0043】
図9において、キャリア基板203上には第一の半導体チップ搭載パタンとして金属電極204、205を、第二の半導体チップ搭載パタンとして金属電極206、207を設ける。金属電極204と金属電極205との間には近接対向部分および内部電極を設けることで容量を形成し、その値を40fF以上にする。一方金属電極206と金属電極207との間には近接対向部分および内部電極を設けず、両電極間の容量値を極力小さく(40fF未満、更に好ましくは10fF未満)する。
【0044】
図9(a)に示すように半導体チップ6を金属電極204、205上に搭載することで、入力インピーダンス30Ωの高感度版プリアンプを用いたときの周波数特性を最適にできる。また、図9(b)に示すようにキャリア基板203の向きを180°回転し、半導体チップ6を金属電極206、207上に搭載することで、入力インピーダンス70Ωの高リニアリティ版プリアンプを用いたときの周波数特性を最適にできる。これら図9(a)、(b)において、キャリア基板203の外形に対する半導体チップ6の相対位置を同一にすることによって、図8に示す各部品の配置を変更することなく光受信モジュールを製造することができる。
【0045】
本実施例2によれば、同一設計の受光素子および同一設計のキャリア基板を用いながら入力インピーダンスの異なるプリアンプを用いた場合にでも良好な周波数通過特性(S21)を実現できる光受信モジュール構造を得ることができ、製造コストを低減する上でさらに効果的である。
なお、実施例2では金属電極を4つ設けているが、金属電極206と金属電極204とを接続して、3つの金属電極とすることもできる。
【符号の説明】
【0046】
1…金属ステム、2…プリアンプICチップ、3…キャリア基板、4…金属電極、5…金属電極、6…半導体チップ、7…ボンディングワイヤ、8…ボンディングワイヤ、9…平行平板容量、10〜14…リードピン、15…サーミスタ、16…平行平板容量、17…平行平板容量、18…ボンディングワイヤ、19…ボンディングワイヤ、20〜24…封止ガラス、25…内部電極、31〜34…ボンディングワイヤ、103…キャリア基板、104、105…金属電極、203…キャリア基板、204〜207…金属電極。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光信号を電気信号に変換するフォトダイオード素子と、
前記フォトダイオード素子が搭載されたキャリア基板と、
前記電気信号を増幅するプリアンプと、を備えた光受信モジュールであって、
前記プリアンプは、第1の入力インピーダンスを持つ第1のプリアンプまたは前記第1のプリアンプよりも高い第2の入力インピーダンスを持つ第2のプリアンプのいずれかから選択され、
前記キャリア基板は、前記第1のプリアンプを接続するための第1のフォトダイオード素子搭載位置と前記第2のプリアンプを接続するための第2のフォトダイオード素子搭載位置とを有し、ビットレートが概ね10Gbit/sの光信号で動作することを特徴とする光受信モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の光受信モジュールであって、
前記フォトダイオード素子の容量値は、100fF以下であることを特徴とする光受信モジュール。
【請求項3】
請求項2に記載の光受信モジュールであって、
前記第1のフォトダイオード素子搭載位置は第1と第2の電極を備え、前記第1と前記第2の電極間の2電極間の容量値は、40fF以上であり、
前記第2のフォトダイオード素子搭載位置は第3と第4の電極を備え、前記第3と前記第4の電極間の2電極間の容量値は、40fF未満であることを特徴とする光受信モジュール。
【請求項4】
請求項3に記載の光受信モジュールであって、
前記第3と前記第4の2電極間の容量値は、10fF未満であることを特徴とする光受信モジュール。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか一つに記載の光受信モジュールであって、
前記第1の入力インピーダンスが30Ω以下であることを特徴とする光受信モジュール。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか一つに記載の光受信モジュールであって、
前記プリアンプの電源電圧が3.3V以下であることを特徴とする光受信モジュール。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか一つに記載の光受信モジュールであって、
前記フォトダイオード素子は、前記キャリア基板にフェイスダウン搭載された裏面入射型であることを特徴とする光受信モジュール。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれか一つに記載の光受信モジュールであって、
CAN型筐体を更に有し、
前記キャリア基板および前記第1のプリアンプまたは前記第2のプリアンプは、前記CAN型筐体内の金属ステム上に搭載されたことを特徴とする光受信モジュール。
【請求項9】
光信号を電気信号に変換するフォトダイオード素子を準備する工程と、
前記電気信号を増幅する第1の入力インピーダンスを持つ第1のプリアンプを準備する工程と、
前記電気信号を増幅する前記第1のプリアンプより高い第2の入力インピーダンスを持つ第2のプリアンプを準備する工程と、
第1のフォトダイオード素子搭載位置と第2のフォトダイオード素子搭載位置、を備えたキャリア基板を準備する工程と、
前記第1のプリアンプと前記第2のプリアンプのいずれかを選択する工程と、
前記第1のプリアンプを選択した場合は、前記第1のフォトダイオード素子搭載位置に前記フォトダイオード素子を搭載し,前記第1のプリアンプを前記第1のフォトダイオード素子搭載位置に接続する工程と、
前記第2のプリアンプを選択した場合は、前記第2のフォトダイオード素子搭載位置に前記フォトダイオード素子を搭載し,前記第2のプリアンプを前記第2のフォトダイオード素子搭載位置に接続する工程と、
を有する光受信モジュールの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−138601(P2012−138601A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−38282(P2012−38282)
【出願日】平成24年2月24日(2012.2.24)
【分割の表示】特願2006−18448(P2006−18448)の分割
【原出願日】平成18年1月27日(2006.1.27)
【出願人】(301005371)日本オプネクスト株式会社 (311)
【Fターム(参考)】