説明

光学活性フルオロマロン酸エステルの製造方法

【課題】光学活性フルオロマロン酸エステルを効率良く製造する方法を提供することを解決すべき課題とする。
【解決手段】DBFOX−Ph、ルイス酸錯体を触媒として用いた光学活性フルオロマロン酸エステルの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光学活性フルオロマロン酸エステルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医農薬品候補化合物へのフッ素原子の導入は生理活性の改善、増進する最も有効な方法のひとつである。また、不斉な薬品の生理活性は現代創薬化学における重要な課題であり、不斉純度の高いフッ素化有機化合物の合成方法が望まれている。現在まで、シンコナアルカロイド、金属錯体、または有機触媒を用いた不斉フッ素化反応は多く報告されているが、これまでにα位にフッ素を有する非対称マロン酸エステル化合物の合成方法はジアステレオ選択的な合成法しかなく、またその選択性も中程度に留まっている。
【非特許文献1】Shibata, N.; Kohno, J.; Takai, K.; Ishimaru, T.; Nakamura, S.; Toru, T.; Kanemasa, S. Angew. Chem. Int. Ed. 2005, 44, 4204.
【非特許文献2】Shibata, N.; Suzuki, E.; Takeuchi, Y. J. Am. Chem. Soc. 2000, 122, 10728.
【非特許文献3】Shibata, N.; Suzuki, E.; Asahi, T.; Shiro, M. J. Am. Chem. Soc. 2001, 123, 7001.
【非特許文献4】Shibata, N.; Ishimaru, T.; Suzuki, E.; Kirk, K. L. J. Org. Chem. 2003, 68,2494.
【非特許文献5】Shibata, N.; Ishimaru, T.; Nagai, T.; Kohno, J.; Toru, T. Synlett 2004, 1703.
【非特許文献6】Shibata, N.; Ishimaru, T.; Nakamura, M.; Toru, T. Synlett 2004, 2509.
【非特許文献7】Hintermann, L.; Togni, A. Angew. Chem. Int. Ed. 2000, 39, 4359.
【非特許文献8】Cahard, D.; Audouard, C.; Plaquevent, J. -C.; Roques, N. Org. Lett. 2000, 2, 3699.
【非特許文献9】Greedy, B.; Paris, J.-M.; Vidal, T.; Gouverneur, V. Angew. Chem. Int. Ed. 2003, 42, 3291.
【非特許文献10】Hamashima, Y.; Yagi, K.; Takano, H.; Tamas, L.; Sodeoka, M. J. Am. Chem. Soc. 2002, 124, 14530.
【非特許文献11】Hamashima, Y.; Suzuki, T.; Takano, H.; Shimura, Y.; Sodeoka, M. J. Am. Chem. Soc. 2005, 127, 10164.
【非特許文献12】Enders, D.; Huttl, M. R. M. Synlett 2005, 991.
【非特許文献13】Marigo, M.; Fielenbach, D.; Braunton, A.; Kjarsgaard, A.; Jorgensen, K. A. Angew. Chem. Int. Ed. 2005, 44, 3703.
【非特許文献14】Steiner, D. D.; Mase, N.; Barbas, C. F. III Angew. Chem. Int. Ed. 2005, 44, 3706.
【非特許文献15】Beeson, T. D.; MacMillan, D. W. C. J. Am. Chem. Soc. 2005, 127, 8826.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】

解決する課題は、不斉ビスオキサゾリン配位子、ルイス酸錯体を触媒として用いた光学活性フルオロマロン酸エステル、一般式(3)
【0004】
【化3】

【0005】
を簡便に合成できる製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、不斉ビスオキサゾリン系配位子、及びルイス酸錯体触媒存在下で、フッ素化試薬を用いて様々な基質で反応が進行し、簡便に光学活性フルオロマロン酸エステルを得ることができるという知見を得た。そして、更に研究を重ね遂に本発明を完成させた。
即ち、第1発明の光学活性フルオロマロン酸エステルの製造方法は、一般式(1)
【0007】
【化4】


【0008】
(式中R、R及びRは、各々独立して、置換基を有してもよい鎖状または環状の炭化水素基、置換基を有してもよい複素環基を示し、R及びRは互いに異なる炭化水素基である。)
で表されるマロン酸エステルを、下記一般式(2)
[MLA] (2)
(式中、Lは配位子を示し、Aは一価のアニオン性配位子を示し、Mはアルカリ土類金属又は遷移金属を示し、qは2である。)で表される不斉金属錯体触媒の存在下にフッ素化剤と反応させることを特徴とする、一般式(3)
【0009】
【化5】

【0010】
(R、R、Rは、各々、前記と同様のものを示す)で表される光学活性フルオロマロン酸エステルの製造方法である。
また、配位子が不斉ビスオキサゾリン配位子である光学活性フルオロマロン酸エステルの製造方法が、第2発明の製造方法である。
さらに、第3発明は、遷移金属錯体が亜鉛の錯体である請求項1、即ち第1発明に記載の、光学活性フルオロマロン酸エステルの製造方法であり、第4発明は、Rl及びRが、異なる低級アルキル基、芳香族炭化水素基からから選ばれる基である請求項1、即ち第1発明に記載の、光学活性フルオロマロン酸エステルの製造方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を詳述する。
まずこの発明における出発原料、あるいは基質となる一般式(1)記載の化合物を説明する。この一般式(1)において、R、R及びRは、各々独立して、置換基を有してもよい鎖状または環状の炭化水素基、置換基を有してもよい複素環基を示し、R及びRは互いに異なる炭化水素基である。
上記、置換基を有してもよい鎖状または環状の炭化水素基は、脂肪族、脂環族、芳香族の飽和または不飽和の炭化水素基、あるいは置換基を持つこれらの各種の基であってよい。具体的には、例えばアルキル基、アリール基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基等の炭化水素基が挙げられ、これら炭化水素基には、さらに、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、シクロアルキル基、アシル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基等の許容される各種置換基を有していてもよい。
ここで、アルキル基とは、直鎖状、分岐状のいずれでもよく、例えば炭素数1乃至30のアルキル基、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、へキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、14−メチルペンタデシル基、6−メチルペンタデシル基、オクタデシル基、イコシル基、テトラコシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基を挙げることができる。
ここで、アルケニル基とは、直鎖状、分岐状のいずれでもよく、例えば炭素数2乃至30のアルケニル基、具体的にはアリル基、ビニル基、クロチル基、シンナミル基、1−ペンテン−1−イル基、2−ペンテン−1−イル基、3−ペンテン−1−イル基、1−ヘキセン−1−イル基、2−ヘキセン−1−イル基、3−ヘキセン−1−イル基、8−ヘプタデセン−1−イル基、8,11,14−ヘプタデカトリエン−1−イル基、4,7,10,13−ノナデカテトラエン−1−イル基などが挙げられる。また、シクロアルケニル基の具体例としては、2−シクロヘキセニル基、2−シクロペンテニル基を挙げることができる。
ここで、アルキニル基としては、例えば炭素数2乃至30のアルキニル基、具体的にはエチニル基、プロパギル基、1−ペンチン−1−イル基、2−ペンチン−1−イル基、3−ペンチン−1−イル基、1−オクチン−1−イル基、8−ヘプタデシン−1−イル基などが挙げられる。
ここで、アリール基とは、ヘテロアリール基も包含し、具体例としては、例えば炭素数2乃至30のアリール基、具体的にはフェニル基、ナフチル基、アンスラニル基、ピレニル基、ビフェニル基、インデニル基、テトラヒドロナフチル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピリダニジル基、ピペラジニル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、キニリル基、ピロリル基、インドリル基、フリル基などが挙げられる。
ここで、アシル基とは、アロイル基をも包有し、例えば炭素数2乃至30のアシル基、具体的にはアセチル基、プロピオニル基、イソプロピオニル基、ビバロイル基、オレオイル基、シクロヘキシルカルボニル基、アクロイル基、クロトノイル基、ベンゾイル基、ナフトイル基、ニコチノイル基などが挙げられる。
ここで、アルコキシ基とは、アリールオキシ基やアラルキルオキシ基をも包有し、直鎖状、分岐状、環状、いずれでもよく、例えば炭素数1乃至30のアルコキシ基、具体的にはメトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、t−ブトキシ基、ベンジルオキシ基、フェノキシ基などが挙げられる。
ここで、アルコキシカルボニル基とは、アルコキシ基とカルボニル基が結合した原子団で、アルコキシ基としては前記と同様の基であってもよい。具体的にはメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロピルオキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基などが挙げられる。
ここで、アシルオキシ基とは、アシル基と酸素原子が結合した原子団で、アシル基としては前記と同様の基であってもよい。具体的には、例えば炭素数2乃至30のアシルオキシ基、具体的にはアセトキシ基、プロピオニルオキシ基、イソプロピオニルオキシ基、ピバロイルオキシ基、オレオイルオキシ基、シクロヘキシルカルボニルオキシ基、アクロイルオキシ基、クロトノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、ナフトイルオキシ基、ニコチノイルオキシ基などが挙げられる。
また、置換基を有してもよい鎖状または環状の炭化水素基として、置換基を有してもよい芳香族炭化水素基も含まれる。この芳香族炭化水素基は、単環または多環の芳香族もしくは芳香脂肪族の炭化水素基、あるいは置換基を持つこれらの各種のものであってよい。例えば、フェニル基、ナフチル基、フェニルアルキル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基等の許容される各種置換基を有するもののうちから選択される。
また、置換基を有してもよい複素環基は、脂肪族、脂環族の飽和または不飽和の炭化水素環基、あるいは単環または多環の芳香族もしくは芳香脂肪族の炭化水素環基中に、炭素原子以外に他の原子1個以上を含む環基、あるいは置換基を持つこれらの各種のものであってよい。例えば環状エーテル、ラクトン、ラクタム、ピリジン、ピリミジン、フラン、チオフェン、ピロール等の複素環化合物に対応する残基である複素環基を例示できる。これら複素環基には、さらにアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アシルオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基等の許容される各種置換基を有していてもよい。
ここで、置換基を有してもよいアルコキシ基とは、アリールオキシ基やアルキルオキシ基をも包有し、例えば炭素数1乃至30のアルコキシ基、アリールオキシ基またはアルキルオキシ基と、これらアルコキシ基に、さらにアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アシルオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基等の許容される各種置換基を有するもののうちから選択されるものである。具体的にはメトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、t−ブトキシ基、ベンジルオキシ基、フェノキシ基などが挙げられる。
ここで、置換基を有してもよいアミノ基とは、無置換アミノ基、あるいはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基等の炭化水素基や芳香族基で置換されたアミノ基、あるいはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基等の炭化水素基や芳香族基で置換されたアシル基で置換されたアミノ基、あるいはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基等の炭化水素基や芳香族基で置換されたスルホニル基で置換されたアミノ基や、その他イミド基およびその誘導体をも包有する。具体的にはアミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ベンジルアミノ基、フェニルアミノ基、ピリジルアミノ基、イミド基、スルホンイミド基、スルホンアミド基など電子吸引性を有するアミノ基がとくに好ましい。
ここで、置換基を有してもよいアシルオキシ基とは、アシル基とカルボニル基が結合した原子団,あるいはこれらのアシルオキシ基に、さらにアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アシルオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基等の許容される各種置換基を有するもののうちから選択されるものである。具体的にはアセトキシ基、プロピオニルオキシ基、イソプロピオニルオキシ基、ピバロイルオキシ基、オレオイルオキシ基、シクロヘキシルカルボニルオキシ基、アクロイルオキシ基、クロトノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、ナフトイルオキシ基、ニコチノイルオキシ基などが挙げられる。
また,電子吸引基とは,水素原子と比べて,結合原子側から電子をひきつけやすい基を示す。例えばホルミル基,アシル基,シアノ基,アシルオキシ基,アミド基,ニトロ基,ニトロソ基,イミノ基,スルフリル基,スルフリルアミド基などが挙げられる。本発明においては,これら電子吸引基は置換基を有していてもよいが,電子吸引基が置換基を有する例として,上記電子吸引基を含む,アルキル基,アルケニル基,アルキニル基,アリール基,シクロアルキル基,アルコキシ基,アルコキシカルボニル基,アシルオキシ基等を示すことができる。
本発明では一般式(1)で表される化合物において、Rはメチル基、Rはt−ブチル基が好ましい。
また、本発明で用いるフッ素化剤は、求電子的フッ素化剤を用いるが市販されていて入手が容易なN−フルオロベンゼンスルホンイミド(NFSI)が望ましい。その使用量はカルボニル化合物に対して理論量以上であれば特に限定されるものではないが、好ましくはカルボニル化合物1モルに対して、1乃至10モルであり、さらに好ましくは1.1乃至2モルである。
本発明で用いる不斉配位子としては光学活性ビスオキサゾリン配位子があげられ、また、二座不斉配位子あるいは三座不斉配位子が好ましい。
光学活性ビスオキサゾリン配位子としては、DBFOX−Ph:4,6−ジベンゾフランジイル−2,2’−ビス(4−フェニルオキサゾリン)、2,2’−ビス[[4−tert−ブチル]−オキサゾール2−イル]−1,1’−ビナフチル、2,2’−ビス[[4−イソプロピル]−オキサゾール2−イル]−1,1’−ビナフチル、2,2’−ビス[[4−フェニル]−オキサゾール2−イル]−1,1’−ビナフチル、2,2’−ビス[[4−ベンジル]−オキサゾール2−イル]−1,1’−ビナフチル、2,2’−ビス[2−[4−フェニル−1,3−オキサゾリニル]]プロパン、2,2’−イソプロピリデンビス(4−フェニルオキサゾリン)、2,2’−イソプロピリデンビス(4−tert−ブチルオキサゾリン)などが挙げられるが、その中でも、DBFOX−Ph:4,6−ジベンゾフランジイル−2,2’−ビス(4−フェニルオキサゾリン)
【0012】
【化6】


【0013】
が好ましい。
本発明における[MLA]の金属Mは2乃至12族の元素から選ばれる。例えば、Mg,Au,Ag,Cu,Fe,Co,Ir,Ni,Pd,Ru,Rh,Pt,Znから挙げられるが、そのなかでもZnが好ましい。またアニオン性配位子のAとしてはOAc ,NO,ClO4,OSO2CF3,Cl,SO4が挙げられるがOAcが好ましい。
本発明において,反応に用いられる溶媒は,反応に関与しない不活性な溶媒であればよく、例えば、ジクロロメタン,ジブロモメタン,クロロホルム,ブロモホルム,四塩化炭素,1,2-ジクロロエタン,1,1,2-トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素,ジメチルエ-テル,ジエチルエ-テル,t-ブチルメチルエーテル,1,4-ジオキサン,テトラヒドロフラン等のエーテル類,ベンゼン,トルエン,キシレン等の芳香族炭化水素類等が挙げられる。これらのうち,ジクロロメタンが好ましい。
反応温度は,特に限定されるものではないが,通常−80℃から溶媒の沸点までの適切な温度で行うことができ,より好ましくは溶媒の沸点である。攪拌方法は,攪拌が十分行われるように適宜選択される。反応時間は,特に限定されるものではないが,通常12乃至36時間で反応は完結する。この反応液から,定法により所望の光学活性な反応生成物を得ることができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0014】
(S)−2−ベンジル−2−フルオロマロン酸 1−tert−ブチル 3−メチル
【0015】
【化7】

【0016】
Zn(OAc)2 (2.4 mg, 0.0150 mmol),DBFOX-Ph (7.6 mg, 0.0165 mmol)を入れ,減圧下2時間攪拌した後,塩化メチレン (0.2 ml),モルキュラーシーブズ4A (75 mg)を加え,攪拌した。1時間後,2−ベンジル−マロン酸 1−tert−ブチル 3−メチル (39.6 mg, 0.150 mmol),塩化メチレン (0.2 ml)を加え,30分攪拌した後,N−フルオロベンゼンスルホンイミド (56.8 mg, 0.180 mmol)を加え,40℃で攪拌した。15時間後,飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え,塩化メチレンで抽出し、有機層をbrineで洗浄し,無水硫酸マグネシウムで乾燥した。エバポレーターで溶媒を留去した後,シリカゲルクロマトグラフィー (ヘキサン:酢酸エチル)で精製し,収率90% (38.1 mg),98% eeで目的の化合物を得た。

【0017】
M.W.: 282.31
1H-NMR (CDCl3, 200 MHz): d 1.41(s, 9H), 3.42 (d, J = 25.8 Hz, 2H), 3.76 (s, 3H), 7.17-7.25 (m, 5H); 19F-NMR (CDCl3, 188 MHz): -163.4 (t, J=26.3 Hz)
HPLC (DAICEL CHIRALCEL OJ-H, Hexane/IPA=90/10, 1.0 ml/min, 254 nm) tR(major isomer)=13.4 min, tR (minor isomer)=11.2 min (98% ee)
【実施例2】
【0018】
(S)−2−エチル−2−フルオロマロン酸 1−tert−ブチル 3−メチル
【0019】
【化8】

【0020】
Zn(OAc)2 (2.4 mg, 0.0150 mmol),DBFOX-Ph (7.6 mg, 0.0165 mmol)を入れ,減圧下2時間攪拌した後,塩化メチレン (0.2 ml),モルキュラーシーブズ4A (75 mg)を加え,攪拌した。1時間後,2−エチル−マロン酸 1−tert−ブチル 3−メチル (30.3 mg, 0.150 mmol),塩化メチレン (0.2 ml)を加え,30分攪拌した後,N−フルオロベンゼンスルホンイミド (56.8 mg, 0.180 mmol)を加え,40℃で攪拌した。24時間後,飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え,塩化メチレンで抽出し、有機層をbrineで洗浄し,無水硫酸マグネシウムで乾燥した。エバポレーターで溶媒を留去した後,シリカゲルクロマトグラフィー (ヘキサン:酢酸エチル)で精製し,収率94% (31.1 mg),96% eeで目的の化合物を得た。

【0021】
M.W.: 220.24
1H-NMR (CDCl3, 200 MHz): d 0.99 (t, J=7.6 Hz, 3H), 1.49 (s, 9H), 1.85-1.92 (m, 2H), 3.84 (s, 3H); 19F NMR (CDCl3, 188 MHz): -167.2 (t, J=23.7 Hz)
GC (CHIRALDEX G-TA, 100°C) tR (major isomer)=20.7 min, tR (minor isomer)=22.7 min (96% ee)
【実施例3】
【0022】
(S)−2−メチル−2−フルオロマロン酸 1−tert−ブチル 3−メチル
【0023】
【化9】


【0024】
Zn(OAc)2(2.4 mg, 0.0150 mmol),DBFOX-Ph (7.6 mg, 0.0165 mmol)を入れ,減圧下2時間攪拌した後,塩化メチレン (0.2 ml),モルキュラーシーブズ4A (75 mg)を加え,攪拌した。1時間後,2−メチル−マロン酸 1−tert−ブチル 3−メチル (28.2 mg, 0.150 mmol),塩化メチレン (0.2 ml)を加え,30分攪拌した後,N−フルオロベンゼンスルホンイミド (56.8 mg, 0.180 mmol)を加え,40℃で攪拌した。24時間後,飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え,塩化メチレンで抽出し、有機層をbrineで洗浄し,無水硫酸マグネシウムで乾燥した。エバポレーターで溶媒を留去した後,シリカゲルクロマトグラフィー (ヘキサン:酢酸エチル)で精製し,収率90% (27.8 mg),99% eeで目的の化合物を得た。

【0025】
M.W.: 206.21
1H-NMR (CDCl3, 200 MHz): d 1.49 (s, 9H), 1.74 (d, J = 22.0 Hz, 3H), 3.82 (s, 3H); 19F NMR (CDCl3, 188 MHz): -155.8 (q, J=22.3 Hz)
GC (HYDRODEX- β-TBDAc, 65 °C) tR (major isomer)=61.5 min, tR (minor isomer)=58.1 min (99% ee)
【実施例4】
【0026】
(S)−2−n−ブチル−2−フルオロマロン酸 1−tert−ブチル 3−メチル
【0027】
【化10】


【0028】
Zn(OAc)2(2.4 mg, 0.0150 mmol),DBFOX-Ph (7.6 mg, 0.0165 mmol)を入れ,減圧下2時間攪拌した後,塩化メチレン (0.2 ml),モルキュラーシーブズ4A (75 mg)を加え,攪拌した。1時間後,2−n−ブチル−マロン酸 1−tert−ブチル 3−メチル (34.5 mg, 0.150 mmol),塩化メチレン (0.2 ml)を加え,30分攪拌した後,N−フルオロベンゼンスルホンイミド (56.8 mg, 0.180 mmol)を加え,40℃で攪拌した。36時間後,飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え,塩化メチレンで抽出し、有機層をbrineで洗浄し,無水硫酸マグネシウムで乾燥した。エバポレーターで溶媒を留去した後,シリカゲルクロマトグラフィー (ヘキサン:酢酸エチル)で精製し,収率93% (34.6 mg),99% eeで目的の化合物を得た。

【0029】
M.W.: 248.29
1H-NMR (CDCl3, 200 MHz): d 0.91 (t, J=6.6 Hz, 3H), 1.33-1.46 (m, 4H), 1.49 (s, 9H), 2.01- 2.20 (m, 2H), 3.82 (s, 3H); 19F NMR (CDCl3, 188 MHz): -165.4 (t, J=22.3 Hz)
GC (CP CHIRASIL-DEX CB, 85 °C) tR (major isomer)=115.6 min, tR (minor isomer)=113.3 min (99% ee)
【実施例5】
【0030】
(S)−2−フェニル−2−フルオロマロン酸 1−tert−ブチル 3−メチル
【0031】
【化11】


【0032】
Zn(OAc)2(2.4 mg, 0.0150 mmol),DBFOX-Ph (7.6 mg, 0.0165 mmol)を入れ,減圧下2時間攪拌した後,塩化メチレン (0.2 ml),モルキュラーシーブズ4A (75 mg)を加え,攪拌した。1時間後,2−フェニル−マロン酸 1−tert−ブチル 3−メチル (37.5 mg, 0.150 mmol),塩化メチレン (0.2 ml)を加え,30分攪拌した後,N−フルオロベンゼンスルホンイミド (56.8 mg, 0.180 mmol)を加え,40℃で攪拌した。24時間後,飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え,塩化メチレンで抽出し、有機層をbrineで洗浄し,無水硫酸マグネシウムで乾燥した。エバポレーターで溶媒を留去した後,シリカゲルクロマトグラフィー (ヘキサン:酢酸エチル)で精製し,収率95% (38.2 mg),99% eeで目的の化合物を得た。

【0033】
M.W.: 268.21
1H-NMR (CDCl3, 200 MHz): 1.49 (s, 9H), 3.84 (s, 3H), 7.39-7.43 (m, 3H), 7.55-7.60 (m, 2H); 19F-NMR (CDCl3, 188 MHz): -159.2 (s)
HPLC (DAICEL CHIRALCEL OJ-H, Hexane/IPA=95/5, 0.5 ml/min, 254 nm) tR(major isomer)=24.3 min, tR (minor isomer)=22.3 min (99% ee)
【実施例6】
【0034】
(S)−2−フェノキシ−2−フルオロマロン酸 1−tert−ブチル 3−メチル
【0035】
【化12】


【0036】
Zn(OAc)2(2.4 mg, 0.0150 mmol),DBFOX-Ph (7.6 mg, 0.0165 mmol)を入れ,減圧下2時間攪拌した後,塩化メチレン (0.2 ml),モルキュラーシーブズ4A (75 mg)を加え,攪拌した。1時間後,2−フェノキシ−マロン酸 1−tert−ブチル 3−メチル (39.9 mg, 0.150 mmol),塩化メチレン (0.2 ml)を加え,30分攪拌した後,N−フルオロベンゼンスルホンイミド (56.8 mg, 0.180 mmol)を加え,40℃で攪拌した。15時間後,飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え,塩化メチレンで抽出し、有機層をbrineで洗浄し,無水硫酸マグネシウムで乾燥した。エバポレーターで溶媒を留去した後,シリカゲルクロマトグラフィー (ヘキサン:酢酸エチル)で精製し,収率85% (36.2 mg),98% eeで目的の化合物を得た。

【0037】
M.W.: 284.28
1H-NMR (CDCl3, 200 MHz): 1.37 (s, 9H), 3.86 (s, 3H), 7.15-7.31 (m, 5H); 19F-NMR (CDCl3, 188 MHz): -110.8 (s)
HPLC (DAICEL CHIRALCEL OD-H, Hexane/IPA=98/2, 0.5 ml/min, 254 nm) tR(major isomer)=14.4 min, tR (minor isomer)=16.2 min (98% ee)
【実施例7】
【0038】
(S)−2−(フェニルチオ)−2−フルオロマロン酸 1−tert−ブチル 3−メチル
【0039】
【化13】



【0040】
Zn(OAc)2(2.4 mg, 0.0150 mmol),DBFOX-Ph (7.6 mg, 0.0165 mmol)を入れ,減圧下2時間攪拌した後,塩化メチレン (0.2 ml),モルキュラーシーブズ4A (75 mg)を加え,攪拌した。1時間後,2−(フェニルチオ)−マロン酸 1−tert−ブチル 3−メチル (42.3 mg, 0.150 mmol),塩化メチレン (0.2 ml)を加え,30分攪拌した後,N−フルオロベンゼンスルホンイミド (56.8 mg, 0.180 mmol)を加え,40℃で攪拌した。24時間後,飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え,塩化メチレンで抽出し、有機層をbrineで洗浄し,無水硫酸マグネシウムで乾燥した。エバポレーターで溶媒を留去した後,シリカゲルクロマトグラフィー (ヘキサン:酢酸エチル)で精製し,収率81% (36.5 mg),90% eeで目的の化合物を得た。

【0041】
M.W.: 300.35
1H-NMR (CDCl3, 200 MHz): 1.39 (s, 9H), 3.75 (s, 3H), 7.33-7.59 (m, 5H); 19F-NMR (CDCl3, 188 MHz): -130.7 (s)
HPLC (DAICEL CHIRALCEL OJ-H, Hexane/IPA=90/10, 0.5 ml/min, 254 nm) tR(major isomer)=44.2 min, tR (minor isomer)=41.3 min (90% ee)
【実施例8】
【0042】
(S)−2−(N−フタロイミド)−2−フルオロマロン酸 1−tert−ブチル 3−メチル
【0043】
【化14】

【0044】
Zn(OAc)2(2.4 mg, 0.0150 mmol),DBFOX-Ph (7.6 mg, 0.0165 mmol)を入れ,減圧下2時間攪拌した後,塩化メチレン (0.2 ml),モルキュラーシーブズ4A (75 mg)を加え,攪拌した。1時間後,2−(N−フタロイミド)−マロン酸 1−tert−ブチル 3−メチル (47.9 mg, 0.150 mmol),塩化メチレン (0.2 ml)を加え,30分攪拌した後,N−フルオロベンゼンスルホンイミド (56.8 mg, 0.180 mmol)を加え,40℃で攪拌した。18時間後,飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え,塩化メチレンで抽出し、有機層をbrineで洗浄し,無水硫酸マグネシウムで乾燥した。エバポレーターで溶媒を留去した後,シリカゲルクロマトグラフィー (ヘキサン:酢酸エチル)で精製し,収率91% (46.0 mg),95% eeで目的の化合物を得た。

【0045】
M.W.: 337.30
1H-NMR (CDCl3, 200 MHz): 1.56 (s, 9H), 3.95 (s, 3H), 7.80-7.91 (m, 4H); 19F-NMR (CDCl3, 188 MHz): -127.4 (s)
HPLC (DAICEL CHIRALCEL OJ-H, Hexane/IPA=90/10, 0.5 ml/min, 254 nm) tR(major isomer)=48.2 min, tR (minor isomer)=42.2 min (95% ee)
【実施例9】
【0046】
(S)−2−(N−(4−ブロモフタロイミド))−2−フルオロマロン酸 1−tert−ブチル 3−メチル
【0047】
【化15】

【0048】
Zn(OAc)2(2.4 mg, 0.0150 mmol),DBFOX-Ph (7.6 mg, 0.0165 mmol)を入れ,減圧下2時間攪拌した後,塩化メチレン (0.2 ml),モルキュラーシーブズ4A (75 mg)を加え,攪拌した。1時間後,2−(N−(4−ブロモフタロイミド))−マロン酸 1−tert−ブチル 3−メチル (59.7 mg, 0.150 mmol),塩化メチレン (0.2 ml)を加え,30分攪拌した後,N−フルオロベンゼンスルホンイミド (56.8 mg, 0.180 mmol)を加え,40℃で攪拌した。24時間後,飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え,塩化メチレンで抽出し、有機層をbrineで洗浄し,無水硫酸マグネシウムで乾燥した。エバポレーターで溶媒を留去した後,シリカゲルクロマトグラフィー (ヘキサン:酢酸エチル)で精製し,収率93% (58.1 mg),95% eeで目的の化合物を得た。

【0049】
M.W.: 416.20
1H-NMR (CDCl3, 200 MHz): 1.55 (s, 9H), 3.94 (s, 3H), 7.79 (t, J=7.4 Hz 1H), 7.96 (dd, J=8.0, 1.6 Hz, 1H), 8.04 (d, J=1.2 Hz, 1H); 19F-NMR (CDCl3, 188 MHz): -127.8 (s)
HPLC (DAICEL CHIRALCEL OJ-H, Hexane/IPA=95/5, 1.0 ml/min, 254 nm) tR(major isomer)=43.8 min, tR (minor isomer)=34.8 min (95% ee)

以下、実施例により本発明をACE阻害作用を有する医薬品であるAlaceprilのフルオロイソスター、α位にフッ素原子を有するβ−ラクタム化合物、HIV-1プロテアーゼ阻害剤のキラルフルオロイソスター、及び非天然型アミノ酸のフルオロイソスターへの応用を具体的に説明する。
【実施例10】
【0050】
(S)−2−フルオロ−2−(ヒドロキシメチル)プロピオン酸 tert−ブチル
【0051】
【化16】

【0052】
−80℃に冷却した2−メチル−2−フルオロマロン酸 1−tert−ブチル 3−メチル(200 mg, 0.970 mmol)のTHF (5.0 ml)溶液にリチウム トリtert−ブトキシアルミニウム ヒドリド (1.0 M in THF 溶液, 3.81 mmol)を20分かけてゆっくり加えた。その後,室温まで昇温し,1時間攪拌した。飽和酒石酸カリウム,ナトリウム水溶液を加え,反応を止め,酢酸エチルで抽出し,有機層をbrineで洗浄し,無水硫酸ナトリウムで乾燥した。エバポレーターで溶媒を留去した後,シリカゲルクロマトグラフィー (ヘキサン:酢酸エチル= 5:1)で精製し,収率85% (140 mg)で目的の化合物を得た。
M.W.: 178.20
1H-NMR (CDCl3, 200 MHz): 1.50 (d, J = 20.2 Hz, 3H), 1.51 (s, 9H), 2.07-2.13 (m, 1H), 3.70-3.94 (m, 2H); 19F NMR (CDCl3, 188 MHz): -163.4--162.9 (m)
[α]D22 = -12.48 (c=1.0, CHCl3)
【実施例11】
【0053】
(S)−2−(tert−ブトキシカルボニル)−2−フルオロプロピル 4−メタンスルホン酸
【0054】
【化17】

【0055】
2−フルオロ−2−(ヒドロキシメチル)プロピオン酸 tert−ブチル (250 mg, 1.30 mmol)のクロロホルム (3.0 ml)溶液にピリジン (0.20 ml, 2.60 mmol)を加え,0℃に冷却した後,p−トルエンスルホン酸クロリド (290 mg, 1.56 mmol)を加え,その後、室温まで昇温し,12時間攪拌した。反応終了後1N塩酸を加え,塩化メチレンで抽出し,有機層を水、brineで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。エバポレーターで溶媒を留去した後,シリカゲルクロマトグラフィー (ヘキサン:酢酸エチル= 10:1)で精製し,収率81% (350 mg)で目的の化合物を得た。
M.W.: 332.39
1H-NMR (CDCl3, 200 MHz): 1.44 (s, 9H), 1.49 (d, J = 20.8 Hz, 3H), 2.45 (s, 3H), 4.06-4.38 (m, 2H), 7.34 (d, J=8.6 Hz, 2H), 7.78 (d, J=8.6 Hz, 2H); 19F NMR (CDCl3, 188 MHz): -160.3--159.7 (m)
[α]D23 = -6.50 (c=1.0, CHCl3)
【実施例12】
【0056】
(S)−3−(4−メチルベンゼンスルホニル)−2−フルオロメチルプロピオン酸
【0057】
【化18】

【0058】
2−(tert−ブトキシカルボニル)−2−フルオロプロピル 4−メタンスルホン酸 (100 mg, 0.300 mmol)の塩化メチレン (1.0 ml)溶液にトリフルオロ酢酸 (0.17 ml, 1.50 mmol)を加え,3時間攪拌した。エバポレーターでトルエンと共沸させた後,シリカゲルクロマトグラフィー (ヘキサン:酢酸エチル= 1:1)で精製し,収率90% (74.6 mg)で目的の化合物を得た。
M.W.: 276.28
1H-NMR (CDCl3, 200 MHz): 1.60 (d, J=21.0 Hz, 3H), 2.45 (s, 3H), 4.19-4.35 (m, 2H), 7.35 (d, J=8.0 Hz, 2H), 7.78 (d, J=8.2 Hz, 2H), 8.15 (bs, 1H); 19F NMR (CDCl3, 188 MHz): -161.2--160.8 (m)
[α]D24 = +6.55 (c=1.0, EtOH)
【実施例13】
【0059】
(S)−3−(4−メチルベンゼンスルホニル)−2−フルオロ−2−(メチルプロパノイル)−1−ピロリジノ−2−カルボン酸 tert−ブチル
【0060】
【化19】

【0061】
3−(4−メチルベンゼンスルホニル)−2−フルオロメチルプロピオン酸 (120 mg, 0.508 mmol)の塩化メチレン (1.0 ml)溶液にL−プロリン tert−ブチルエステル (83.8 mg, 0.508 mmol)の塩化メチレン (0.5 ml)溶液を加え、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド 塩酸塩 (116 mg, 0.609 mmol),1−ヒドロキシベンゾトリアゾール (83 mg, 0.609 mmol)を加え,0℃に冷却した後,ジイソプロピルエチルアミンをゆっくり加えた後,室温まで昇温し,24時間攪拌した。反応終了後,1N塩酸を加え,塩化メチレンで抽出し,有機層を水,brineで洗浄し,無水硫酸ナトリウムで乾燥した。エバポレーターで溶媒を留去した後,シリカゲルクロマトグラフィー (ヘキサン:酢酸エチル= 2:1)で精製し,収率67% (146 mg)で目的の化合物を得た。
M.W.: 429.50
1H-NMR (CDCl3, 200 MHz): 1.43 (s, 9H), 1.57 (d, J=21.2 Hz, 3H), 1.87-2.04 (m, 4H), 2.44 (s, 3H), 3.74-3.76 (m, 2H), 4.18-4.44 (m, 2H), 4.57 (t, J=7.8 Hz, 1H), 7.32 (d, J=8.2 Hz, 2H), 7.76 (d, J=8.4 Hz, 2H); 19F NMR (CDCl3, 188 MHz): -160.5 (q, J=21.1 Hz)
[α]D25 = -39.44 (c=1.0, EtOH)
【実施例14】
【0062】
(S)−3−(アセチルチオ)−2−フルオロ−2−(メチルプロパノイル)−1−ピロリジノ−2−カルボン酸 tert−ブチル
【0063】
【化20】

【0064】
0℃に冷却した水素化ナトリウム (13.0 mg, 0.325 mmol)のDMF (0.5 ml)溶液にチオ酢酸 (8.2 mg, 0.108 mmol)をゆっくり加え,30分攪拌した後、3−(4−メチルベンゼンスルホニル)−2−フルオロ−2−(メチルプロパノイル)−1−ピロリジノ−2−カルボン酸 tert−ブチルのDMF (0.5 ml)溶液を加え,70℃まで昇温し,4時間攪拌した。反応終了後,室温まで冷却してから水を加え,酢酸エチルで抽出し,有機層をbrineで洗浄し,無水硫酸ナトリウムで乾燥した。エバポレーターで溶媒を留去した後、シリカゲルクロマトグラフィー (ヘキサン:酢酸エチル= 2:1)で精製し,収率77% (27.7 mg)で目的の化合物を得た。
M.W.: 333.42
1H-NMR (CDCl3, 200 MHz): 1.45 (s, 9H), 1.66 (d, J=21.4 Hz, 3H), 2.02-2.13 (m, 4H), 2.35 (s, 3H), 3.39-3.80 (m, 4H), 4.53-4.58 (m, 1H); 19F NMR (CDCl3, 188 MHz): -154.8 (q, J=21.1 Hz)
[α]D25 = -84.5 (c=1.0, EtOH)
【実施例15】
【0065】
(S)−3−(アセチルチオ)−2−フルオロ−2−(メチルプロパノイル)−1−ピロリジノ−2−カルボン酸
【0066】
【化21】

【0067】
3−(アセチルチオ)−2−フルオロ−2−(メチルプロパノイル)−1−ピロリジノ−2−カルボン酸 (100 mg, 0.300 mmol)の塩化メチレン (1.0 ml)溶液にトリフルオロ酢酸 (0.17 ml, 1.50 mmol)を加え,3時間攪拌した。エバポレーターでトルエンと共沸させた後,シリカゲルクロマトグラフィー (塩化メチレン:メタノール= 95:5)で精製し,収率90% (79.0 mg)で目的の化合物を得た。
M.W.: 277.31
1H-NMR (CDCl3, 200 MHz): 1.65 (d, J=21.4 Hz, 3H), 2.01-2.15 (m, 4H), 2.36 (s, 3H), 3.49 (d, J=20.6 Hz, 2H), 3.76-3.85 (m, 2H), 4.54-4.59 (m, 1H); 19F NMR (CDCl3, 188 MHz): -154.3 (q, J=19.7 Hz)
[α]D25 = -77.3 (c=1.0, EtOH)
【実施例16】
【0068】
(S)−1−[3−(アセチルチオ)−2−フルオロ−2−(メチルプロパノイル)]−L−プロリル−L−フェニルアラニン tert−ブチルエステル
【0069】
【化22】

【0070】
0℃に冷却した3−(アセチルチオ)−2−フルオロ−2−(メチルプロパノイル)−1−ピロリジノ−2−カルボン酸 (48.3 mg, 0.174 mmol)の塩化メチレン (2.0 ml)溶液にL−フェニルアラニン tert−ブチルエステル塩酸塩 (44.9 mg, 0.174 mmol),1−ヒドロキシベンゾトリアゾール (30.5 mg, 0.226 mmol),トリエチルアミン (0.061 ml, 0.435 mmol),1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド 塩酸塩 (43.3 mg, 0.226 mmol),を加え,室温に昇温してから5時間攪拌した。反応終了後,飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え,塩化メチレンで抽出し,有機層をbrineで洗浄し,無水硫酸マグネシウムで乾燥した。エバポレーターで溶媒を留去した後、シリカゲルクロマトグラフィー (塩化メチレン:メタノール= 95:5)で精製し,収率82% (68.4 mg)で目的の化合物を得た。
M.W.: 480.59
1H-NMR (CDCl3, 200 MHz): 1.55 (d, J=21.6 Hz, 3H); 1.87-1.98 (m, 4H); 2.35 (s, 3H); 3.06-3.10 (m, 2H); 3.46 (d, J=20.4 Hz, 2H); 3.67-3.79 (m, 2H); 4.54-4.70 (m, 2H); 6.82 (d, J=7.4 Hz, 1H); 7.12-7.26 (m, 5H); 19F-NMR (CDCl3, 188 MHz): -153.7 (q, J=19.7 Hz)
[α]D25 = -59.9 (c=0.82, EtOH)
【実施例17】
【0071】
(S)−1−[3−(アセチルチオ)−2−フルオロ−2−(メチルプロパノイル)]−L−プロリル−L−フェニルアラニン (F−Alacepril)
【0072】
【化23】

【0073】
1−[3−(アセチルチオ)−2−フルオロ−2−(メチルプロパノイル)]−L−プロリル−L−フェニルアラニン tert−ブチルエステル (68.4 mg, 0.142 mmol)の塩化メチレン (1.0 ml)溶液にトリフルオロ酢酸 (0.1 ml)を加え,16時間攪拌した。エバポレーターでトルエンと共沸させた後,シリカゲルクロマトグラフィー (塩化メチレン:メタノール= 90:10)で精製し,収率73% (44.0 mg)で目的の化合物を得た。
M.W.: 424.49
1H-NMR (CDCl3, 200 MHz): 1.50 (d, J=21.8 Hz, 3H); 1.91-2.17 (m, 4H), 3.01-3.27 (m, 2H); 3.44 (d, J=20.8 Hz, 2H); 3.65-3.74 (m, 2H); 4.52-4.76 (m, 2H); 6.92 (d, J=7.4 Hz, 1H); 7.14-7.25 (m,5H); 19F-NMR (CDCl3, 188 MHz): -153.6 (q, J=21.1 Hz)
[α]D25 = -22.8 (c=0.88, EtOH)
【実施例18】
【0074】
(S)−2−フルオロ−2−(ヒドロキシメチル)ブタン酸 tert−ブチル
【0075】
【化23】

【0076】
−80℃に冷却した2−エチル−2−フルオロマロン酸 1−tert−ブチル 3−メチル(180 mg, 0.818 mmol)のTHF (5.0 ml)溶液にリチウム トリtert−ブトキシアルミニウム ヒドリド (1.0 M in THF 溶液, 4.05 mmol)を20分かけてゆっくり加えた。その後,室温まで昇温し,1時間攪拌した。飽和酒石酸カリウム,ナトリウム水溶液を加え反応を止め,酢酸エチルで抽出し,有機層をbrineで洗浄し,無水硫酸ナトリウムで乾燥した。エバポレーターで溶媒を留去した後,シリカゲルクロマトグラフィー (ヘキサン:酢酸エチル= 8:2)で精製し,収率80% (157 mg)で目的の化合物を得た。
M.W.: 192.23
1H-NMR (CDCl3, 200 MHz): 0.98 (t, J= 7.4 Hz, 3H); 1.52 (s, 9H); 1.72-1.97 (m, 2H), 2.02-2.04 (m, 1H), 3.75-3.92 (m, 2H); 19F NMR (CDCl3, 188 MHz): -173.9--173.4 (m)
[α]D25 = -5.42 (c=1.0, CHCl3)
【実施例19】
【0077】
(S)−2−(tert−ブトキシカルボニル)−2−フルオロブチル 4−メタンスルホン酸
【0078】
【化24】

【0079】
2−フルオロ−2−(ヒドロキシメチル)ブタン酸 tert−ブチル (120 mg, 0.625 mmol)のクロロホルム (2.0 mL)溶液にピリジン (0.5 ml)を加え,0℃に冷却した後,p−トルエンスルホン酸クロリド (142.9 mg, 0.750 mmol)を加え,その後,室温まで昇温し,12時間攪拌した。反応終了後1N塩酸を加え,塩化メチレンで抽出し,有機層を水、brineで洗浄し,無水硫酸マグネシウムで乾燥した。エバポレーターで溶媒を留去した後,シリカゲルクロマトグラフィー (ヘキサン:酢酸エチル= 9:1)で精製し,収率85% (184 mg)で目的の化合物を得た。
M.W.: 346.41
1H-NMR (CDCl3, 200 MHz): 0.93 (t, J=7.4 Hz, 3H), 1.47 (s, 9H), 1.74-1.87 (m, 2H), 2.44 (s, 3H), 4.15-4.34 (m, 2H), 7.33 (d, J=8.2 Hz, 2H), 7.77 (d, J=8.4 Hz, 2H); 19F NMR (CDCl3, 188 MHz): -171.1--170.6 (m)
[α]D24 =+0.63 (c=1.0, CHCl3)
【実施例20】
【0080】
(S)−2−((ベンジルアミノ)メチル)−2−フルオロブタン酸 tert−ブチル
【0081】
【化25】

【0082】
2−フルオロ−2−(ヒドロキシメチル)ブタン酸 tert−ブチル (180 mg, 0.520 mmol)のトルエン (1.0 mL)溶液に炭酸水素ナトリウム (131 mg, 1.56 mmol),ベンジルアミン (0.56 ml, 5.20 mmol)を加え,80℃まで昇温し,48時間攪拌した。反応終了後,室温まで冷却し,炭酸水素ナトリウムをろ過により除去し,ろ液をエバポレーターで溶媒を留去した後,シリカゲルクロマトグラフィー (ヘキサン:酢酸エチル= 10:1)で精製し,収率72% (105 mg)で目的の化合物を得た。
M.W.: 281.37
1H-NMR (CDCl3, 200 MHz): 0.94 (t, J=7.6 Hz, 3H), 1.49 (s, 9H), 1.74-1.91 (m, 2H), 2.87 (s, 1H), 2.93 (d, J=14.8 Hz, 1H), 3.04 (d, J=14.8 Hz, 1H), 3.74 (d, J=13.4 Hz, 1H), 3.87 (d, J=13.4 Hz, 1H), 7.24-7.31 (m, 5H); 19F NMR (CDCl3, 188 MHz): -170.54--170.1 (m)
[α]D24 =-12.1 (c=1.0, EtOH)
【実施例21】
【0083】
(S)−2−((ベンジルアミノ)メチル)−2−フルオロブタン酸
【0084】
【化26】

【0085】
2−((ベンジルアミノ)メチル)−2−フルオロブタン酸 tert−ブチル (100 mg, 0.355 mmol)の塩化メチレン (1.0 ml)溶液にトリフルオロ酢酸 (0.17 ml, 1.50 mmol)を加え,3時間攪拌した。エバポレーターでトルエンと共沸させた後,シリカゲルクロマトグラフィー (塩化メチレン:メタノール= 90:10)で精製し,収率87% (85.3 mg)で目的の化合物を得た。
M.W.: 276.28
1H-NMR (CDCl3, 200 MHz): 0.78 (t, J=7.2 Hz, 3H), 1.55-1.85 (m, 2H), 3.10-3.46 (m, 2H), 4.19 (d, J=12.8 Hz, 1H), 4.33 (d, J=12.6 Hz, 1H), 7.25-7.44 (m, 5H), 9.00 (bs, 1H); 19F NMR (CDCl3, 188 MHz): -167.8 (br)
[α]D23 = -1.72 (c=1.0, MeOH)
【実施例22】
【0086】
(S)−1−ベンジル−3−エチル−3−フルオロアゼチジン−2−オン
【0087】
【化27】

【0088】
2−((ベンジルアミノ)メチル)−2−フルオロブタン酸 (50.0 mg, 0.222 mol)の塩化メチレン (10.0 ml)溶液に2−クロロ−1−メチルピリジニウム ヨージド (62.4 mg, 0.244 mmol)加え,15分攪拌した後,トリエチルアミン (0.090 ml, 0.666 mmol)を加え,6時間攪拌した。反応終了後,エバポレーターで溶媒を留去した後,シリカゲルクロマトグラフィー (ヘキサン:酢酸エチル= 15:1)で精製し,収率70% (32.2 mg)で目的の化合物を得た。
M.W.: 207.24
1H-NMR (CDCl3, 300 MHz): 1.05 (t, J=7.5 Hz, 3H), 1.87-2.04 (m, 2H), 3.28 (dddd, J=37.5, 6.3, 8.4, 11.1 Hz, 2H), 4.39 (d, J=17.7 Hz, 1H), 4.46 (d, J=11.4 Hz, 1H), 7.22-7.25 (m, 2H), 7.32-7.40 (m, 3H); 19F NMR (CDCl3, 188 MHz): -165.00--164.7 (m)
[α]D23 = -70.1 (c=1.0, MeOH)
【実施例23】
【0089】
(S)−2−フルオロ2−ベンジルアミド−3−フェニルプロピオン酸 tert−ブチル
【0090】
【化28】

【0091】
(S)−2−ベンジル−2−フルオロマロン酸 1−tert−ブチル 3−メチル (100 mg, 0.354 mmol),ベンジルアミン (36.0 mg, 0.337 mmol)のトルエン (1.0 ml)溶液に1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール (24.0 mg, 0.177 mmol),ジルコニウムテトラ−tert−ブトキシド (67.0 mg, 0.177 mmol)を加え,60℃で24時間攪拌した。反応をメタノールと塩化メチレンを加えて止め,シリカゲルでろ過し,エバポレーターで溶媒を留去した後,シリカゲルクロマトグラフィー (ヘキサン:酢酸エチル= 85:15)で精製し,収率55% (69.6 mg)で目的の化合物を得た。
M.W.: 357.42
1H-NMR (CDCl3, 200 MHz): 1.46 (s, 9H), 3.48 (dd, J=10.0, 20.4 Hz, 2H), 4.36 (d, J=5.8 Hz, 2H), 6.48 (s, 1H), 6.96-7.01 (m, 2H), 7.20-7.25 (m, 8H); 19F-NMR (CDCl3, 188 MHz): -163.17 (ddd, J=22.2, 11.0, 3.9 Hz)
【実施例24】
【0092】
(S)−2−フルオロ−2−(ベンジロキシ−L−バリルカルボニル)−3−フェニルプロパン酸 ベンジルアミド
【0093】
【化29】

【0094】
(S)−2−フルオロ2−ベンジルアミド−3−フェニルプロピオン酸 tert−ブチル (28.0 mg, 0.072 mmol)の塩化メチレン (1.0 ml)溶液にトリフルオロ酢酸 (0.054 ml, 0.727 mmol)を加え,室温下3時間攪拌した。エバポレーターで溶媒を留去した後,粗生成物 (16.0 mg, 0.053 mmol),L−バリン ベンジルエステル p−トルエンスルホン酸塩 (15.3 mg, 0.053 mmol),1−ヒドロキシベンゾトリアゾール (7.3 mg, 0.053 mmol),N−メチルモルフォリン (0.05 ml, 0.053 mmol)のTHF溶液に,氷冷下でジシクロヘキシルカルボジイミド (10.9 mg, 0.053 mmol)を加え,0℃で2時間攪拌した後,室温で20時間攪拌した。反応終了後,尿素をろ別し,ろ液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え,酢酸エチルで水層を抽出し,有機層を10%クエン酸飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し,無水硫酸ナトリウムで乾燥した。エバポレーターで溶媒を留去した後,シリカゲルクロマトグラフィーで精製し,収率77% (20.5 mg)で目的の化合物を得た。
M.W.: 490.57
1H-NMR (CDCl3, 200 MHz): 0.87 (d, J=6.8 Hz, 3H), 0.92 (d, J=6.8 Hz, 3H), 2.13-2.29 (m, 1H), 3.37 (d, J=4.4 Hz, 1H), 3.49 (d, J=15.2 Hz, 1H), 4.24 (dd, J=14.8, 5.2 Hz, 1H), 4.44 (dd, J=14.9, 6.4 Hz, 1H), 4.53 (dd, J=8.8, 5.0 Hz, 1H), 5.12 (s, 2H), 6.82 (bs, 1H), 6.93-6.98 (m, 2H), 7.23-7.36 (m, 12H), 7.55 (d, J=8.6 Hz, 1H); 19F-NMR (CDCl3, 188 MHz): -168.20 (dd, J=30.9, 21.1 Hz)
[α]D25 = -3.09 (c=0.5, CH2Cl2)
【実施例25】
【0095】
2−フルオロ−2−(ヒドロキシメチル)−3−フェニルプロピオン酸 tert−ブチル
【0096】
【化30】

【0097】
−80℃に冷却した2−フェニル−2−フルオロマロン酸 1−tert−ブチル 3−メチル(179 mg, 0.635 mmol)のTHF (5.0 ml)溶液にリチウム トリtert−ブトキシアルミニウム ヒドリド (1.0 M in THF 溶液, 3.18 mmol)を20分かけてゆっくり加えた。その後,室温まで昇温し,1時間攪拌した。飽和酒石酸カリウム,ナトリウム水溶液を加え反応を止め,酢酸エチルで抽出し,有機層をbrineで洗浄し,無水硫酸ナトリウムで乾燥した。エバポレーターで溶媒を留去した後,シリカゲルクロマトグラフィー (ヘキサン:酢酸エチル= 8:2)で精製し,収率74% (119.0 mg)で目的の化合物を得た。
M.W.: 254.30
1H-NMR (CDCl3, 200 MHz): 1.38 (s, 9H); 2.02-2.10 (m, 1H), 3.13 (d, J=24.0 Hz, 2H); 3.74-3.99 (m, 2H); 7.24-7.27 (m,5H); 19F-NMR (CDCl3, 188 MHz): -169.2--168.9 (m)
[α]D25 = +9.05 (c=0.35, CHCl3)
【実施例26】
【0098】
2−(tert−ブトキシカルボニル)−2−フルオロ−3−フェニル−プロピル 4−メタンスルホン酸
【0099】
【化31】

【0100】
2−フルオロ−2−(ヒドロキシメチル)−3−フェニルプロピオン酸 tert−ブチル (96.7 mg, 0.380 mmol)のクロロホルム (1.0 ml)溶液にピリジン (0.5 ml)を加え,0℃に冷却した後,p−トルエンスルホン酸クロリド (86.9 mg, 0.456 mmol)を加え,その後、室温まで昇温し,12時間攪拌した。反応終了後1N塩酸を加え,塩化メチレンで抽出し,有機層を水、brineで洗浄し,無水硫酸マグネシウムで乾燥した。エバポレーターで溶媒を留去した後,シリカゲルクロマトグラフィー (ヘキサン:酢酸エチル= 9:1)で精製し,収率90% (139.7 mg)で目的の化合物を得た。
M.W.: 408.48
1H-NMR (CDCl3, 200 MHz): 1.34 (s, 9H); 2.45 (s, 3H), 3.04 (d, J=3.0 Hz, 1H); 3.16 (s, 1H); 4.16-4.39 (m, 2H); 7.17-7.35 (m, 5H); 19F-NMR (CDCl3, 188 MHz): -167.5--167.0 (m)
[α]D24 = -1.08 (c=0.23, CHCl3)
【実施例27】
【0101】
3−アジド−2−ベンジル−2−フルオロ−プロピオン酸 tert−ブチル
【0102】
【化32】

【0103】
2−(tert−ブトキシカルボニル)−2−フルオロ−3−フェニル−プロピル 4−メタンスルホン酸 (48.2 mg, 0.118 mmol)のDMF (2.0 ml)溶液にアジ化ナトリウム (23.0 mg, 0.354 mmol)を加え,80℃まで昇温し,24時間攪拌した。反応終了後,室温まで冷却し水を加え,酢酸エチルで抽出し,有機層をbrineで洗浄し,無水硫酸マグネシウムで乾燥した。エバポレーターで溶媒を留去した後,シリカゲルクロマトグラフィー (ヘキサン:酢酸エチル= 9:1)で精製し,収率95% (31.4 mg)で目的の化合物を得た。
M.W.: 279.31
1H-NMR (CDCl3, 200 MHz): 1.39 (s, 9H); 3.08 (d, J=2.2 Hz, 1H), 3.20 (s, 1H); 3.50-3.70 (m, 2H); 7.20-7.30 (m, 5H); 19F-NMR (CDCl3, 188 MHz); -164.1--163.6 (m)
[α]D24 = -40.5 (c=0.31, CHCl3)
【実施例28】
【0104】
tert−ブチル 2−(tert−ブトキシカルボニル)−2−フルオロ−3−フェニルプロピルカルバメート
【0105】
【化33】

【0106】
3−アジド−2−ベンジル−2−フルオロ−プロピオン酸 tert−ブチル (47.7 mg, 0.171 mmol)の酢酸エチル (2.0 ml)溶液にジtert-ブチトキシジカルボネート (56.1 mg, 0.257 mmol)の酢酸エチル (0.5 ml)溶液,Pd/C (5.0 mg)を加え,水素雰囲気下で2時間攪拌した。反応終了後,セライトでろ過し,ろ液をエバポレーターで溶媒を留去した後,シリカゲルクロマトグラフィー (ヘキサン:酢酸エチル= 8:2)で精製し,収率95% (57.2 mg)で目的の化合物を得た。
M.W.: 353.43
1H-NMR (CDCl3, 200 MHz): 1.36 (s, 9H); 1.43 (s, 9H); 3.07 (s, 1H); 3.19 (d, J=2.2 Hz, 1H); 3.41 (td, J=14.8, 4.8 Hz, 1H), 3.70-3.79 (m, 1H); 4.84 (s, 1H); 7.24-7.25 (m, 5H); 19F-NMR (CDCl3, 188 MHz); -165.0--164.5 (m)
[α]D24 = +23.6 (c=0.35, CHCl3)
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明のDBFOX−Ph、ルイス酸錯体を触媒として用いた光学活性フルオロマロン酸エステルの製造方法は医農薬産業に利用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化1】


(式中R、R及びRは、各々独立して、置換基を有してもよい鎖状または環状の炭化水素基、置換基を有してもよい複素環基を示し、R及びRは互いに異なる炭化水素基である。)
で表されるマロン酸エステルを、下記一般式(2)
[MLA] (2)
(式中、Lは配位子を示し、Aは一価のアニオン性配位子を示し、Mはアルカリ土類金属又は遷移金属を示し、qは2である。)で表される不斉金属錯体触媒の存在下にフッ素化剤と反応させることを特徴とする、一般式(3)
【化2】


(R、R、Rは、各々、前記と同様のものを示す)で表される光学活性フルオロマロン酸エステルの製造方法。
【請求項2】
不斉配位子が不斉ビスオキサゾリン配位子である請求項1記載の光学活性フルオロマロン酸エステルの製造方法。
【請求項3】
遷移金属錯体が亜鉛の錯体である請求項1記載の光学活性フルオロマロン酸エステルの製造方法。
【請求項4】
及びRが異なる低級アルキル基、芳香族炭化水素基から選ばれる基である請求項1記載の光学活性フルオロマロン酸エステルの製造方法。

【公開番号】特開2009−91331(P2009−91331A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−265800(P2007−265800)
【出願日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(304021277)国立大学法人 名古屋工業大学 (784)
【Fターム(参考)】