説明

光学積層体検査方法,光学積層体製造方法および光学積層体検査装置ならびに光学積層体製造装置

【課題】基板上に反射層と少なくとも1層以上の光透過性薄膜層を積層してなる光学積層体における各層の膜厚を簡便に検査可能にする。
【解決手段】光学積層体4を構成するAg全反射層は、可視光領域では高い反射率を示すが、短波長ではやや低く、長波長ほど高い反射率スペクトルとなる。このようなAg反射膜を、等ピッチの溝を有するプラスチック基板上に形成した場合、溝による回折に起因した反射率の低下が見られる。この反射率の低下は溝深さが深いほど反射率の低下度合いが大きくなり、溝のピッチを小さくすると、ピッチにほぼ比例して反射率が低下する波長が小さい方へとシフトする。この現象を利用して、光学積層体4を構成する光透過性薄膜層側から検査用光を入射させ、各層までの光路長の変化に応じて変化する各層からの反射光の光強度を測定し、特定波長の反射光強度に基づいて膜厚を検査する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に反射層と有機色素を順に積層してなる積層体、あるいは基板上に反射層と有機色素と誘電体を順に積層してなる積層体における色素膜厚および/または誘電体膜厚を検査する光学積層体検査方法およびその装置、ならびに光学積層体製造方法およびその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般にレーザ光により1回だけ情報の記録が可能な追記型光記録媒体としては、CD−R,DVD+R,DVD−Rなどが知られている。これら追記型光記録媒体の構造は、トラッキング用グルーブを形成した透明なポリカーボネート基板上に有機色素からなる記録層をスピンコートし、その上に金または銀などからなる光反射層をスパッタリングにより堆積し、さらに紫外線硬化樹脂製の保護層を積層したものである。DVD+R,DVD−Rは、厚さ0.6mmの基板を2枚貼り合せた構造を有し、記録容量が多いという特徴を有する。
【0003】
これら追記型光記録媒体の製造過程における有機色素記録膜の膜厚検査方法として、特許文献1には、グルーブによって回折された透過または反射光により膜厚を測定する方法が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、異なる次数の回折光からランド部膜厚とグルーブ部膜厚をそれぞれ測定し、基板上に色素膜を形成した状態で、透過率,回折光強度を測定することにより色素膜厚を検査することが開示されている。
【0005】
また、特許文献3には、色素の特性吸収波長を主成分とする光を検査光として用い、欠陥を反射光により検査する装置が開示されている。
【0006】
ところで、読み出しのDVD−ROMでは、記録容量を増大させるために、2層の情報記録層を有するものが市販されている。2層の情報記録層は、第1基板と第2基板を紫外線硬化樹脂から形成された透明中間層を挟むことにより貼り合わされており、第1基板の凹凸ピットを形成した内側の面に第1の半透明層が形成された第1の情報層記録層L0と、その上に透明中間層と第2の金属反射層で形成された第2の情報層記録層L1により構成されている。半透明層は誘電体膜または薄い金属膜を用いて形成されている。
【0007】
再生光であるレーザ光を、それぞれ第1の情報記録層または第2の情報記録層上に集光するように絞り、情報記録層からの反射光を検出することにより、それぞれの情報記録層の信号を再生することができる。2つの情報記録層から信号を読み取るため、最大8.5GB程度の記憶容量が得られる。
【0008】
近年、2つの記録層を有し、かつ2層型DVD−ROMと再生互換性があるタイプの光記録媒体の開発が進んでおり、このタイプの光記録媒体として、グルーブを形成した透明基板上に有機色素記録層を形成し、その上に半透明な反射層を形成し、さらに紫外線硬化樹脂を塗布した第1の基板とグルーブを形成した基板上に、全反射層を形成した上に有機色素記録層を形成し、透明無機薄膜を形成した第2の基板を接着剤を介して貼り合せて製作するものが実用化されつつある(特許文献4,特許文献5参照)。
【特許文献1】特表2002−510107号公報
【特許文献2】特開2002−367244号公報
【特許文献3】特開平11−66633号公報
【特許文献4】特開平10−340483号公報
【特許文献5】特開2000−311384号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、前記のように記録層と半透明な反射層を、それぞれの基板に形成して貼り合せて光記録媒体を作製する場合には、第2基板の全反射膜は光を透過しないため、全反射膜上に形成した色素膜厚および色素の上に形成した誘電体膜の膜厚を、透過光で測定することは不可能であるという問題があった。
【0010】
本発明は前記従来技術の問題を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、基板上に反射層と少なくとも1層以上の光透過性薄膜層とを積層してなる光学積層体の各層の膜厚を簡便に検査することができる光学積層体検査方法,およびその方法を採用した光学積層体製造方法、ならびに光学積層体検査装置、およびその装置を採用した光学積層体製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するため、本発明に係る光学積層体検査方法および光学積層体検査装置は、基板上に反射層と少なくとも1層以上の光透過性薄膜層とを積層してなる光学積層体に対して、前記光透過性薄膜層側から検査用光を入射させ、前記各層までの光路長の変化に応じて変化する前記各層からの反射光の光強度を測定し、特定波長の反射光強度に基づいて膜厚を検査することを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る光学積層体検査方法および光学積層体検査装置は、光学積層体が、案内溝を有する基板上に反射層と有機色素層を順に積層してなる構成であって、前記有機色素層の反射光強度を測定し、該有機色素層の膜厚を検査することを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る光学積層体検査方法および光学積層体検査装置は、光学積層体が、案内溝を有する基板上に反射層と誘電体層を順に積層してなる構成であって、前記誘電体層の反射光強度を測定し、該誘電体層の膜厚を検査することを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る光学積層体検査方法および光学積層体検査装置は、光学積層体が、基板上に反射層と有機色素層と誘電体層を順に積層してなる構成であって、前記誘電体層の反射光強度を測定し、該誘電体層の膜厚を検査することを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る光学積層体検査方法および光学積層体検査装置は、光学積層体が、基板上に反射層と誘電体層と有機色素層を順に積層してなる構成であって、前記有機色素層の反射光強度を測定し、該有機色素層の膜厚を検査することを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る光学積層体検査方法および光学積層体検査装置は、光学積層体が、案内溝を有する基板上に反射層と第1の誘電体と有機色素層と第2の誘電体層を順に積層してなる構成であって、前記第2の誘電体層の反射光強度を測定し、該第2の誘電体層の膜厚を検査することを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る光学積層体検査方法および光学積層体検査装置は、検査用光を出射する光源を特定波長の発光ダイオードとしたことを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係る光学積層体検査方法および光学積層体検査装置は、光学積層体で反射された後の光を分光手段で分光した特定波長の反射光強度を測定することを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係る光学積層体検査方法および光学積層体検査装置は、分光手段としてプリズムを用いることを特徴とする。
【0020】
また、本発明に係る光学積層体検査方法および光学積層体検査装置は、分光手段として回折格子を用いることを特徴とする。
【0021】
また、本発明に係る光学積層体検査方法および光学積層体検査装置は、光学フィルタによって波長選択した光を光学積層体に入射させ、光学積層体の反射光強度を測定することを特徴とする。
【0022】
また、本発明に係る光学積層体検査方法および光学積層体検査装置は、光積層体に対して斜めから入射して、全反射した反射光強度を測定することを特徴とする。
【0023】
また、本発明に係る光学積層体製造方法および光学積層体製造装置は、前記検査結果から得られた色素膜厚および/または誘電体膜厚の情報を受けて、膜厚を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、基板上に反射層と少なくとも1層以上の光透過性薄膜層とを積層してなる光学積層であって、各層の膜厚を透過光で測定することは不可能である光学積層体の構成であっても、光透過性薄膜側から検査用光を入射させ、前記各層までの光路長の変化に応じて変化する前記各層からの反射光の光強度を測定することにより、精度の高い膜厚検査を行うことができ、また、光学積層体の製造時、前記膜厚の情報を受けて膜厚を制御することにより、高品質の光学積層体を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0026】
図1は、本発明の光学積層体検査方法および検査装置を説明するため、2層追記型光記録媒体の製造システムにおける第2基板の検査処理に適用した本発明の実施形態1を示す概略構成図である。
【0027】
図1において、発光ダイオードからなる光源1から出射した光(矢印にて示す)は、集光レンズ2を通過し平行光となった後、ビームスプリッタ3を通って、約50%の強度の光が光学積層体4の第2基板に入射する。ビームスプリッタ3で分割された残りの光は、入射光フォトセンサ5でモニタして入射光強度を測定する。また、2層追記型光記録媒体である光学積層体4の第2基板の表面で反射した光は、再びビームスプリッタ3を通って反射光フォトセンサ6で受光され反射光強度を測定する。このときフォトセンサ5,6に光が入射する前の光路に、プリズムまたは回折格子などの分光手段7,8を配置することによって特定波長に分光することが考えられる。
【0028】
検査部9では、入射光フォトセンサ5における入射光強度と反射光フォトセンサ6の反射光強度とを比較することにより、光源1の発光ダイオードの発光波長での反射率を求める。
【0029】
前記光学積層体4である2層追記型光記録媒体は、本例では、深さ20〜200nm,0.74μmピッチのトラッキンググルーブを形成したディスク基板上にAg,Al,Auなどの金属およびCu,Pd,Pt,Zn,In,Mg,Ti,V,Taを0.1〜3wt%添加した合金からなる全反射層をスパッタで形成し、さらに膜の光吸収スペクトルの最大吸収波長が580nm〜620nmにあり、DVD用レーザ光波長(約650nm)にて所望の光学特性が得やすい色素化合物として、テトラアザポルフィラジン色素,シアニン色素,アゾ色素,スクアリリウム色素などの有機色素を塗布した基板(1)、さらに、色素,半透過反射膜を形成した基板(1)と貼り合せるための接着剤により、基板(1)に塗布された色素が溶出しないように透明誘電体を形成した基板(2)からなる。
【0030】
前記透明誘電体は、色素を接着剤から保護するために、色素に対する密着性がよく緻密な薄膜であればよいが、酸化ケイ素,酸化アルミニウム,酸化亜鉛,酸化チタン等の酸化物,窒化シリコン,窒化アルミニウムなどの窒化物,硫化亜鉛,硫化ゲルマニウム,硫化モリブデンなどの硫化物,フッ化マグネシウム,フッ化セシウム,フッ化バリウムなどのフッ化物、およびこれらの混合物を用いることができる。
【0031】
次に、本実施形態における検査部9における測定原理を具体的に説明する。
【0032】
ここで光学積層体4の吸光度および反射率は、ステアグ社製のETA−RTを用いて分光反射率を測定した。
【0033】
Ag全反射膜は、可視光領域では高い反射率を示すが、短波長ではやや低く、長波長ほど高い反射率スペクトルとなっている。このようなAg反射膜を、光学積層体4のような等ピッチの溝を有するプラスチック基板上に形成した場合、溝による回折に起因した反射率の低下が見られる。この反射率の低下は溝深さが深いほど反射率の低下度合いが大きくなり、溝のピッチを小さくするとピッチにほぼ比例して反射率が低下する波長が小さい方へとシフトする。
【0034】
図2は0.74μmピッチ,深さ33nm,幅0.25μmの溝を形成したポリカーボネート基板に、Agを140nm形成した基板におけるAg反射膜側から垂直入射/垂直反射した光の分光反射スペクトルである。この場合、750nm付近に溝の散乱により反射率が5〜6%下がる現象が見られる。
【0035】
前記Agを形成した基板上に誘電体とZnS(80%)/SiO(20%)を10〜30nm形成した基板における誘電体形成面に、垂直入射/垂直反射した光の分光反射スペクトルを図3に示す。この場合、誘電体の膜厚増加に伴って、700〜850nmの反射率低下部分での最低反射率を示す波長が高波長側にシフトし、また最低反射率の低下が見られる。
【0036】
前記Agを形成した基板上に記録層としてスクワリリウム色素をスピンコート法により塗布するが、通常の光記録媒体の製造時に用いられるように、前記基板に直接塗布した場合の吸光度スペクトルにおいて波長606nmの最大吸収波長λmaxをパラメータとして膜厚を変化させると、図4に示すように変化するスペクトルが得られた。
【0037】
同じ条件で前記Ag反射膜付き基板上に色素を塗布し、90℃15分アニール後の反射スペクトルを測定したところ、図5に示すように、図2において反射率低下が見られた750nm付近で、色素膜厚により光路長が変化するために反射率低下が生じる波長がシフトした。したがって、700〜800nmでの最低反射率波長を測定するか、740nmでの反射率を測定することによって、Ag反射膜上での色素膜厚を光学的に測定することができる。
【0038】
次に、色素上に透明誘電体を形成した場合、屈折率が1.6程度以下の低屈折率薄膜の場合には、反射スペクトルは透明誘電体における薄膜形成前後でほとんど変わらないが、1.8以上の高屈折率薄膜を形成した場合には、反射スペクトルが大きく変化する。
【0039】
前記色素上に屈折率2.1程度の透明誘電体薄膜を形成した場合、透明誘電体の薄膜の膜厚を変化させると、色素と透明誘電体薄膜との干渉によって、図6に示すように、反射スペクトルの変化が見られた。これから明らかなように、490nm付近または660nm付近の反射率ピーク波長または反射率を測定することにより、透明誘電体の薄膜の膜厚を光学的に測定することができる。
【0040】
以上のような光学積層体の反射光スペクトルによる色素膜厚、誘電体膜厚の測定方法は、色素材料,誘電体材料によらず一般的なものに用いることが可能であり、測定対象物に応じて最適な波長を適宜選択するだけでよい。
【0041】
さらに図7に示すように、前記方法および装置11によって得られた、色素塗布後の測定結果を、光学積層体の製造装置を構成するスピナー装置12にフィードバックして、振り切り回転数または振り切り時間を調整するCPU(中央演算処理ユニット)などからなる制御部13を具備することにより、色素膜厚変動が非常に少ない色素膜記録膜を得ることができる。
【0042】
また、誘電体膜スパッタリング後の測定結果を、光学積層体の製造装置を構成するスパッタリング装置にフィードバックすることにより、誘電体/色素膜厚変動が非常に少ない色素膜記録膜を得ることができる。このようにして作製した光記録媒体は未記録,記録後品質がきわめて安定したものになる。
【0043】
また、本実施形態において、ランプのような可視光波長を主に含むものを使用することが可能である。
【0044】
また、図8に示す本発明の光学積層体検査装置の実施形態2における概略構成図のように、測定波長および帯域幅が既に決定されている場合には、所望の波長を透過するバンドパスフィルタ15を使用したり、光源として発光ダイオードを用いた方が、装置コストを格段に下げることが可能である。なお、以下の説明において、図1にて説明した部材に対応する部材には、同一符号を付して詳しい説明は省略する。
【0045】
さらに、図9に示す本発明の光学積層体検査装置の実施形態3における概略構成図のように、発光ダイオード1と拡散光学系を用いた斜め入射でも同様の検査が可能である。
【0046】
以下、本発明について実施例にてより詳細に説明する。
【0047】
(実施例1)
直径120mm,厚さ0.60mmのポリカーボネート基板の表面上に、深さ約30nm,溝幅約0.25μm,トラックピッチ0.74μmの案内溝凸凹パターンを有する基板を用意し、Unaxis社製スパッタリング装置(製品名BigSprinter)でArをスパッタリングガスとして、スパッタ圧力6.0×10−3torr、DCスパッタリングパワー3.5kWの条件で、Ag0.98/Cu0.02を約140nmの厚さに設けて反射層を形成した。次に反射層上にスクアリリウム色素化合物をλmaxでの吸収光度が1.02,1.06,1.12,1.16の膜厚となるように、スピンコート製膜した。
【0048】
そして、波長740nmにて、実施例1の前記基板の色素面反射率をETA−RTで測定した結果、図10のような非常に相関が高い結果が得られた。
【0049】
(実施例2)
さらに、実施例1で作製した色素付き基板上にUnaxis社製スパッタリング装置(製品名BigSprinter)でArをスパッタガスとして、スパッタ圧力4.0×10−3torr,RFスパッタリングパワー4.0kWの条件で、スパッタ法によりZnS(80%)/SiO(20%)を120,130,140,150nmの厚さに誘電体を設けた。
【0050】
そして、波長500nmにて、実施例2の前記基板の誘電体膜面反射率を前記と同様に測定した結果、図11のような相関が高い結果が得られた。
【0051】
(実施例3)
直径120mm,厚さ0.60mmのポリカーボネート基板の表面上に、深さ約30nm,溝幅約0.25μm,トラックピッチ0.74μmの案内溝凸凹パターンを有する基板を用意し、Unaxis社製スパッタリング装置(製品名BigSprinter)でArをスパッタリングガスとして、スパッタ圧力6.0×10−3torr、DCスパッタリングパワー3.5kWの条件で、Ag0.98/Cu0.02を約120nmの厚さに設けて反射層を形成した。次に同じスパッタリング装置でArをスパッタガスとして、スパッタ圧力4.0×10−3torr,RFスパッタリングパワー4.0kWの条件で、スパッタ法によりZnS(80%)/SiO2(20%)を10,20,30nmの厚さに誘電体を設けた。
【0052】
そして、波長790nmにて、実施例3の前記基板の誘電体膜面反射率を前記と同様に測定した結果、図12のような相関が高い結果が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、基板上に反射層と有機色素を順に積層してなる積層体、あるいは基板上に反射層と有機色素と誘電体を順に積層してなる積層体構造のCD−R/RW,DVD−ROM,DVD+R/RW,DVD−R/RW,DVD−RAMなどの2層追記型光記録媒体における色素および/または誘電体の膜厚の検査に適用され、特に膜厚を透過光で測定することが不可能な光学積層体に実施して有効である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の光学積層体検査装置の実施形態1における概略構成図
【図2】反射率と波長との関係を示す図(Agを140nm形成した基板)
【図3】反射率と波長との関係を示す図(誘電体とZnS(80%)/SiO(20%)を10〜30nm形成した基板)
【図4】吸光度と波長との関係を示す図(波長606nmの最大吸収波長λmaxをパラメータとして膜厚を変化)
【図5】反射率と波長との関係を示す図(図4と同一条件でAg反射膜付き基板上に色素を塗布して90℃15分アニール)
【図6】反射率と波長との関係を示す図(色素上に屈折率2.1程度の透明誘電体薄膜を形成し、透明誘電体の薄膜の膜厚を変化)
【図7】本実施形態における制御系の簡略説明図
【図8】本発明の光学積層体検査装置の実施形態2における概略構成図
【図9】本発明の光学積層体検査装置の実施形態3における概略構成図
【図10】波長740nmの反射率と波長605nmの吸光度との関係を示す図
【図11】波長500nmの反射率と誘電体膜厚との関係を示す図
【図12】波長790nmの反射率と誘電体膜厚との関係を示す図
【符号の説明】
【0055】
1 光源
2 集光レンズ
3 ビームスプリッタ
4 光学積層体
5 入射光フォトセンサ
6 反射光フォトセンサ
7,8 分光手段
9 検査部
11 検査装置
12 製造装置
13 制御部
15 バンドパスフィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に反射層と少なくとも1層以上の光透過性薄膜層とを積層してなる光学積層体に対して、前記光透過性薄膜層側から検査用光を入射させ、前記各層までの光路長の変化に応じて変化する前記各層からの反射光の光強度を測定し、特定波長の反射光強度に基づいて膜厚を検査することを特徴とする光積層体検査方法。
【請求項2】
前記光学積層体が、案内溝を有する基板上に反射層と有機色素層を順に積層してなる構成であって、前記有機色素層の反射光強度を測定し、該有機色素層の膜厚を検査することを特徴とする請求項1記載の光学積層体検査方法。
【請求項3】
前記光学積層体が、案内溝を有する基板上に反射層と誘電体層を順に積層してなる構成であって、前記誘電体層の反射光強度を測定し、該誘電体層の膜厚を検査することを特徴とする請求項1記載の光学積層体検査方法。
【請求項4】
前記光学積層体が、基板上に反射層と有機色素層と誘電体層を順に積層してなる構成であって、前記誘電体層の反射光強度を測定し、該誘電体層の膜厚を検査することを特徴とする請求項1記載の光学積層体検査方法。
【請求項5】
前記光学積層体が、基板上に反射層と誘電体層と有機色素層を順に積層してなる構成であって、前記有機色素層の反射光強度を測定し、該有機色素層の膜厚を検査することを特徴とする請求項1記載の光学積層体検査方法。
【請求項6】
前記光学積層体が、案内溝を有する基板上に反射層と第1の誘電体と有機色素層と第2の誘電体層を順に積層してなる構成であって、前記第2の誘電体層の反射光強度を測定し、該第2の誘電体層の膜厚を検査することを特徴とする請求項1記載の光学積層体検査方法。
【請求項7】
前記検査用光を出射する光源を特定波長の発光ダイオードとしたことを特徴とする請求項1〜6いずれか1項記載の光学積層体検査方法。
【請求項8】
前記光学積層体で反射された後の光を分光手段で分光した特定波長の反射光強度を測定することを特徴とする請求項1〜6いずれか1項記載の光学積層体検査方法。
【請求項9】
前記分光手段としてプリズムを用いることを特徴とする請求項8記載の光学積層体検査方法。
【請求項10】
前記分光手段として回折格子を用いることを特徴とする請求項8記載の光学積層体検査方法。
【請求項11】
光学フィルタによって波長選択した光を光学積層体に入射させ、光学積層体の反射光強度を測定することを特徴とする請求項1〜6いずれか1項記載の光学積層体検査方法。
【請求項12】
光積層体に対して斜めから入射して、全反射した反射光強度を測定することを特徴とする請求項1〜11いずれか1項記載の光学積層体検査方法。
【請求項13】
請求項1〜12いずれか1項記載の光学積層体検査方法による検査結果から得られた色素膜厚および/または誘電体膜厚の情報を受けて、膜厚を制御することを特徴とする光学積層体製造方法。
【請求項14】
基板上に反射層と少なくとも1層以上の光透過性薄膜層とを積層してなる光学積層体に対して、前記光透過性薄膜層側から検査用光を入射させ、前記各層までの光路長の変化に応じて変化する前記各層からの反射光の光強度を測定し、特定波長の反射光強度に基づいて膜厚を検査する検査部を備えたことを特徴とする光積層体検査装置。
【請求項15】
前記検査部により、案内溝を有する基板上に反射層と有機色素層を順に積層してなる構成の光学積層体における前記有機色素層の反射光強度を測定し、該有機色素層の膜厚を検査することを特徴とする請求項14記載の光学積層体検査装置。
【請求項16】
前記検査部により、案内溝を有する基板上に反射層と誘電体層を順に積層してなる構成の光学積層体における前記誘電体層の反射光強度を測定し、該誘電体層の膜厚を検査することを特徴とする請求項14記載の光学積層体検査装置。
【請求項17】
前記検査部により、基板上に反射層と有機色素層と誘電体層を順に積層してなる構成の光学積層体における前記誘電体層の反射光強度を測定し、該誘電体層の膜厚を検査することを特徴とする請求項14記載の光学積層体検査装置。
【請求項18】
前記検査部により、基板上に反射層と誘電体層と有機色素層を順に積層してなる構成の光学積層体における前記有機色素層の反射光強度を測定し、該有機色素層の膜厚を検査することを特徴とする請求項14記載の光学積層体検査装置。
【請求項19】
前記検査部により、前記光学積層体が、案内溝を有する基板上に反射層と第1の誘電体と有機色素層と第2の誘電体層を順に積層してなる構成の光学積層体における前記第2の誘電体層の反射光強度を測定し、該第2の誘電体層の膜厚を検査することを特徴とする請求項14記載の光学積層体検査装置。
【請求項20】
前記検査用光を出射する光源を特定波長の発光ダイオードとしたことを特徴とする請求項14〜19いずれか1項記載の光学積層体検査装置。
【請求項21】
前記検査部により、前記光学積層体で反射された後の光を分光手段で分光した特定波長の反射光強度を測定することを特徴とする請求項14〜19いずれか1項記載の光学積層体検査装置。
【請求項22】
前記分光手段がプリズムであることを特徴とする請求項21記載の光学積層体検査装置。
【請求項23】
前記分光手段が回折格子であることを特徴とする請求項21記載の光学積層体検査装置。
【請求項24】
入射光の波長選択する光学フィルタを備え、該光学フィルタによって波長選択した光を前記光学積層体に前記検査用光として入射させることを特徴とする請求項14〜19いずれか1項記載の光学積層体検査装置。
【請求項25】
前記光学積層体に対して斜めから前記検査用光を入射させる光学系を備え、前記検査部により、前記光学積層体で全反射した反射光強度を測定して膜厚を検査することを特徴とする請求項14〜24いずれか1項記載の光学積層体検査装置。
【請求項26】
請求項14〜25いずれか1項記載の光学積層体検査装置による検査結果から得られた色素膜厚および/または誘電体膜厚の情報を受けて、膜厚を制御する制御部を備えたことを特徴とする光学積層体製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−313077(P2006−313077A)
【公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−134949(P2005−134949)
【出願日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】