説明

光学装置、スキャン方法、リソグラフィ装置及びデバイス製造方法

【課題】センサのコスト及び嵩増大、及び/又は測定の精度不良を回避又は低減する光学スキャン機構を提供する。
【解決手段】装置は、リソグラフィ基板W上のマーク202の位置を測定する。測定光学システムは、マークを放射スポットで照明する照明サブシステムと、マークによって回折した放射を検出する検出サブシステム580とを備える。傾斜ミラー562は、放射スポットを、マーク自体のスキャン運動と同期して測定光学システムの基準フレームに対して移動させて、正確な位置測定値を取得するより多くの時間を提供する。ミラー傾斜軸568は、ミラー平面と対物レンズ524の瞳面Pとの交点に沿って配置され、スキャンのアーティファクトを最小限にする。他のタイプの装置、例えば共焦顕微鏡におけるスキャンのために同じ幾何学的構成を使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明は、光学装置、オブジェクトを放射ビームでスキャンする方法、リソグラフィ装置、及びデバイス製造方法に関する。本発明は、リソグラフィ装置で使用される測定方法を、これに限定されないが含む、測定方法に適用できる。
【背景技術】
【0002】
[0002] オブジェクトを光学的にスキャンする能力は多くの用途で有用である。「光学的にスキャンする」という表現は、オブジェクトのある地点に放射を照明し及び/又はそこからの放射を検出する一方で、オブジェクトを横切る1つ又は複数の方向に上記地点をスキャンすることを意味する。光学スキャンの用途の例は、関連出願US61444373号(den Boef他)に記載されているリソグラフィ装置のための新規のアライメントセンサでの使用である。別の用途の例は共焦顕微鏡である。
【0003】
[0003] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板に、通常は基板のターゲット部分に適用する機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に使用可能である。このような場合、代替的にマスク又はレチクルとも呼ばれるパターニングデバイスを使用して、ICの個々の層上に形成すべき回路パターンを生成することができる。このパターンを、基板(例えばシリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば1つ又は幾つかのダイの一部を含む)に転写することができる。パターンの転写は通常、基板に設けた放射感応性材料(レジスト)の層への結像により行われる。一般的に、1枚の基板は、順次パターンが与えられる隣接したターゲット部分のネットワークを含んでいる。従来のリソグラフィ装置は、パターン全体をターゲット部分に1回で露光することによって各ターゲット部分が照射される、いわゆるステッパと、基板を所与の方向(「スキャン」方向)と平行あるいは逆平行に同期的にスキャンしながら、パターンを所与の方向(「スキャン」方向)に放射ビームでスキャンすることにより、各ターゲット部分が照射される、いわゆるスキャナとを含む。パターンを基板にインプリントすることによっても、パターニングデバイスから基板へとパターンを転写することが可能である。
【0004】
[0004] リソグラフィ工程を制御してデバイス特徴を正確に基板上に配置するために、基板上には一般にアライメントマークが提供され、リソグラフィ装置は基板上のマークの位置を正確に測定するための1つ又は複数のアライメントセンサを含む。これらの測定にかかる時間は、リソグラフィ装置のスループットを最大限にする必要性と矛盾する。その他の点では、デバイス生産のコスト効率が低下する。例えば、US6297876号(Bornebroek)、US6961116号(den Boef)及び公開特許出願US2009195768A号(Bijnen他)に開示されたアライメントセンサ及びマークを含む様々なタイプのアライメントセンサ及びマークが知られている。これらの例の各々で、位置測定値は、基板とアライメントセンサとを停止させることなく基板とアライメントセンサとを互いに対して移動させることで捕捉される。アライメントセンサの(既知の)位置に対するマークの位置は、マークを光学スポットでスキャンすることで光学的に測定される。(基板が停止している間にセンサが移動するか、又は基板が移動するか、又は両方が移動するかは問題ではない。)アライメントセンサは最適なスループットを目指して可能な限り迅速にマークをスキャンするはずであるが、この速度への要求によって、得られる位置測定の精度が制約される。短時間に位置を正確に把握することは本来より困難である。さらに、測定それ自体が完璧に正確であったとしても短時間に得た測定値は、基板及びアライメントセンサの位置決め時の動的な位置決めエラー(振動、サーボエラーなど)による外乱の影響を受けやすい。
【0005】
[0005] 取得時間を増大させるために、センサ自体のスキャンに加えてスポットの光学スキャンが有用であることが分かっている。しかし、従来の光学スキャン機構はセンサのコスト及び嵩を増大させ、及び/又は測定の精度不良を引き起こし、光学スキャンの目的にかなわない結果となる。
【発明の概要】
【0006】
[0006] 第1の態様では、既知の機構で上記欠点の1つ以上を回避又は低減する光学スキャン機構を提供することが本発明の目的である。
【0007】
[0007] 本発明は、第1の態様では、装置の光学システムとオブジェクトとの間で放射線を伝送する対物レンズを備える光学装置であって、前記光学システムと対物レンズとの間に配置され、対物レンズを放射線が通過する際に前記放射線の方向を変化させるように傾斜するミラーを備える、少なくとも1つの可動素子をさらに備え、前記ミラーが、前記対物レンズの瞳面と前記ミラーの平面との間の交点にほぼ沿った軸を中心に傾斜するように強制される、光学装置を提供する。この文脈における「ミラー」は通常平面か又は湾曲した反射素子を含む。
【0008】
[0008] 本発明は、いかなる特定のタイプ又は目的の光学装置にも限定されない。下記の実施形態では、本発明は例えば上記のタイプのアライメントセンサであってもよく、又は共焦顕微鏡であってもよい。
【0009】
[0009] 本発明は、パターニングデバイスから基板上にパターンを転写するように構成されたリソグラフィ装置であって、基板を保持するように構築された基板テーブルと、リソグラフィ装置の基準フレームに対する基板上のマークの位置を測定するアライメントセンサとを備え、アライメントセンサが上記の本発明による光学装置を備え、リソグラフィ装置が上記測定装置を用いて測定される基板上のマークの位置を基準にして基板上へのパターンの転写を制御するように構成された、リソグラフィ装置を提供する。
【0010】
[0010] 本発明は、オブジェクトを対物レンズを介して放射線でスキャンする方法であって、前記対物レンズの前に前記放射線の経路内にミラーを配置すること、及び放射線が対物レンズを通過する際に前記放射線の方向を変更するようにミラーを傾斜させて、それによりミラーの傾斜角に従って前記放射線をオブジェクトの異なる部分に入射させることを含み、前記ミラーが、前記対物レンズの瞳面と前記ミラーの平面との間の交点にほぼ沿った軸を中心に傾斜するように強制される、方法をさらに提供する。
【0011】
[0011] 本発明は、リソグラフィ工程がパターニングデバイスから基板上にパターンを転写するために使用され、基板上へのパターンの転写が、上記スキャン方法を用いてマークをスキャンすることを含む方法によって測定される基板上のマークの位置を基準にして制御される、デバイス製造方法をさらに提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
[0012] 対応する参照符号が対応する部分を示す添付の概略図を参照しながら以下に本発明の実施形態について説明するが、これは単に例示としてのものに過ぎない。
【図1】本発明のある実施形態による測定装置を形成するアライメントセンサを含む例示的なリソグラフィ装置を示す図である。
【図2】図2(a)及び図2(b)を含み、図1の装置内の基板上に提供できる様々な形態のアライメントマークを示す。
【図3】アライメントマークをスキャンする既知のアライメントセンサの概略ブロック図である。
【図4】図4(a)及び図4(b)を含み、本発明のある実施形態におけるアライメントマークをスキャンする新規のアライメントセンサの動作を示す。
【図5】図1のリソグラフィ装置内の新規のアライメントセンサの光学システムを示すより詳細な例示的概略図である。
【図6】図5のアライメントセンサのスキャンサブシステム内の可動ミラーの具体的な幾何学的構成を示す。
【図7】図5〜図6のアライメントセンサのスキャンサブシステム内のミラーの傾斜角対時間のグラフである。
【図8】図5の装置内の可動ミラーに関連付けられた傾斜センサの概略図である。
【図9】本発明の代替実施形態の測定装置を形成する新規の共焦顕微鏡の概略図である。
【図10】(a)本発明の実施形態で使用可能な可動光学素子の一般的な形状を示し、(b)異なる傾斜角の光学経路の特性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[0013] 本発明は、その原理を適用して様々な装置に光学スキャン機能を提供する機構に関する。以下の実施形態に示す例は、リソグラフィ装置内のアライメントセンサと共焦顕微鏡などを含む。ミラーがミラー表面の平面と光学システムの瞳面との間の交点に沿った軸を中心に傾斜するように構成される簡単な原理を適用して、様々な他の用途範囲で非可動式照明の利益を得ることができるが、これらの例に限定されない。
【0014】
[0014] 図1は、本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置を概略的に示したものである。この装置は、
− 放射ビームB(例えばUV放射又はEUV放射)を調節するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、
− パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持するように構築され、特定のパラメータに従ってパターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1のポジショナPMに接続された支持構造(例えばマスクテーブル)MTと、
− 基板(例えばレジストコートウェーハ)Wを保持するように構築され、特定のパラメータに従って基板を正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPWに接続された基板テーブル(例えばウェーハテーブル)WTと、
− パターニングデバイスMAによって放射ビームBに与えられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば1つ又は複数のダイを含む)に投影するように構成された投影システム(例えば屈折投影レンズシステム)PSとを備える。
【0015】
[0015] 照明システムは、放射の誘導、整形、又は制御を行うための、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型等の光学コンポーネント、又はその任意の組合せなどの種々のタイプの光学コンポーネントを含んでいてもよい。
【0016】
[0016] 支持構造は、パターニングデバイスを支持、すなわちその重量を支えている。支持構造は、パターニングデバイスの方向、リソグラフィ装置の設計等の条件、例えばパターニングデバイスが真空環境で保持されているか否かに応じた方法で、パターニングデバイスを保持する。この支持構造は、パターニングデバイスを保持するために、機械式、真空式、静電式等のクランプ技術を使用することができる。支持構造は、例えばフレーム又はテーブルでよく、必要に応じて固定式又は可動式でよい。支持構造は、パターニングデバイスが例えば投影システムなどに対して確実に所望の位置にくるようにできる。本明細書において「レチクル」又は「マスク」という用語を使用した場合、その用語は、より一般的な用語である「パターニングデバイス」と同義と見なすことができる。
【0017】
[0017] 本明細書において使用する「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分にパターンを生成するように、放射ビームの断面にパターンを与えるために使用し得る任意のデバイスを指すものとして広義に解釈されるべきである。ここで、放射ビームに与えられるパターンは、例えばパターンが位相シフトフィーチャ又はいわゆるアシストフィーチャを含む場合、基板のターゲット部分における所望のパターンに正確には対応しないことがある点に留意されたい。一般的に、放射ビームに与えられるパターンは、集積回路などのターゲット部分に生成されるデバイスの特定の機能層に相当する。
【0018】
[0018] パターニングデバイスは透過性又は反射性でよい。パターニングデバイスの例には、マスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブルLCDパネルがある。マスクはリソグラフィにおいて周知のものであり、これには、バイナリマスク、レベンソン型(alternating)位相シフトマスク、ハーフトーン型(attenuated)位相シフトマスクのようなマスクタイプ、さらには様々なハイブリッドマスクタイプも含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例として、小さなミラーのマトリクス配列を使用し、そのミラーは各々、入射する放射ビームを異なる方向に反射するよう個々に傾斜することができる。傾斜したミラーは、ミラーマトリクスによって反射する放射ビームにパターンを与える。
【0019】
[0019] 本明細書において使用する「投影システム」という用語は、例えば使用する露光放射、又は液浸液の使用や真空の使用などの他の要因に合わせて適宜、例えば屈折型光学システム、反射型光学システム、反射屈折型光学システム、磁気型光学システム、電磁型光学システム及び静電型光学システム、又はその任意の組合せを含む任意のタイプの投影システムを網羅するものとして広義に解釈されるべきである。本明細書において「投影レンズ」という用語を使用した場合、これはさらに一般的な「投影システム」という用語と同義と見なすことができる。
【0020】
[0020] 本明細書で示すように、本装置は透過タイプである(例えば透過マスクを使用する)。あるいは、装置は反射タイプでもよい(例えば上記で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイを使用する、又は反射マスクを使用する)。
【0021】
[0021] リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)又はそれ以上の基板テーブル(及び/又は2つ以上のマスクテーブル)を有するタイプでよい。このような「マルチステージ」機械においては、追加のテーブルを並行して使用するか、1つ又は複数の他のテーブルを露光に使用している間に1つ又は複数のテーブルで予備工程を実行することができる。図10を参照しながら一例について説明する。本明細書に開示された本発明は自立して使用できるが、本発明は特にシングル又はマルチステージ装置の露光前測定ステージに追加の機能を提供できる。
【0022】
[0022] リソグラフィ装置は、投影システムと基板との間の空間を充填するように、基板の少なくとも一部を水などの比較的高い屈折率を有する液体で覆うことができるタイプでもよい。液浸液は、例えばマスクと投影システムの間など、リソグラフィ装置の他の空間に適用することもできる。液浸技術は、投影システムの開口数を増加させるために当技術分野で周知である。本明細書で使用する「液浸」という用語は、基板などの構造を液体に沈めなければならないという意味ではなく、露光中に投影システムと基板の間に液体が存在するというほどの意味である。
【0023】
[0023] 図1を参照すると、イルミネータILは放射源SOから放射ビームを受ける。放射源とリソグラフィ装置とは、例えば放射源がエキシマレーザである場合に、別々の構成要素であってもよい。このような場合、放射源はリソグラフィ装置の一部を形成すると見なされず、放射ビームは、例えば適切な誘導ミラー及び/又はビームエクスパンダなどを備えるビームデリバリシステムBDの助けにより、放射源SOからイルミネータILへと渡される。他の事例では、例えば放射源が水銀ランプの場合は、放射源がリソグラフィ装置の一体部分であってもよい。放射源SO及びイルミネータILは、必要に応じてビームデリバリシステムBDとともに放射システムと呼ぶことができる。
【0024】
[0024] イルミネータILは、放射ビームの角度強度分布を調整するアジャスタADを備えていてもよい。通常、少なくともイルミネータILの瞳面における強度分布の外側及び/又は内側半径範囲(一般にそれぞれ、σ-outer及びσ-innerと呼ばれる)を調整することができる。また、イルミネータILは、インテグレータIN及びコンデンサCOなどの他の種々のコンポーネントを備えていてもよい。イルミネータILを用いて放射ビームを調節し、その断面にわたって所望の均一性と強度分布とが得られるようにしてもよい。
【0025】
[0025] 放射ビームBは、支持構造(例えば、マスクテーブルMT)上に保持されたパターニングデバイス(例えば、マスクMA)に入射し、パターニングデバイスによってパターン形成される。マスクMAを横断した放射ビームBは、投影システムPSを通過し、投影システムPSは、ビームを基板Wのターゲット部分C上に合焦させる。第2の位置決めデバイスPW及び位置センサIF(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ又は容量センサ)の助けにより、基板テーブルWTa/WTbを、例えば、様々なターゲット部分Cを放射ビームBの経路に位置決めするように正確に移動できる。同様に、第1の位置決めデバイスPMと別の位置センサ(図1には明示されていない)を用いて、マスクライブラリからの機械的な取り出し後又はスキャン中などに放射ビームBの経路に対してマスクMAを正確に位置決めできる。一般に、マスクテーブルMTの移動は、第1の位置決めデバイスPMの部分を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)及びショートストロークモジュール(微動位置決め)の助けにより実現できる。同様に、基板テーブルWTa/WTbの移動は、第2のポジショナPWの部分を形成するロングストロークモジュール及びショートストロークモジュールを用いて実現できる。ステッパの場合(スキャナとは対照的に)、マスクテーブルMTをショートストロークアクチュエータのみに接続するか、又は固定してもよい。マスクMA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を使用して位置合わせすることができる。図示のような基板アライメントマークは専用のターゲット部分を占有するが、ターゲット部分の間の空間に位置してもよい(スクライブレーンアライメントマークとして知られている)。同様に、マスクMA上に複数のダイを設ける状況では、マスクアライメントマークをダイ間に配置してもよい。
【0026】
[0026] 図示のリソグラフィ装置は、以下のモードのうち少なくとも1つにて使用可能である。
1.ステップモードにおいては、マスクテーブルMT及び基板テーブルWTa/WTbは、基本的に静止状態に維持される一方、放射ビームに与えたパターン全体が1回でターゲット部分Cに投影される(すなわち単一静的露光)。次に、別のターゲット部分Cを露光できるように、基板テーブルWTa/WTbがX方向及び/又はY方向に移動される。ステップモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、単一静的露光で像が形成されるターゲット部分Cのサイズが制限される。
2.スキャンモードにおいては、マスクテーブルMT及び基板テーブルWTa/WTbは同期的にスキャンされる一方、放射ビームに与えられるパターンがターゲット部分Cに投影される(すなわち単一動的露光)。マスクテーブルMTに対する基板テーブルWTa/WTbの速度及び方向は、投影システムPSの拡大(縮小)及び像反転特性によって求めることができる。スキャンモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、単一動的露光におけるターゲット部分の(非スキャン方向における)幅が制限され、スキャン動作の長さによってターゲット部分の(スキャン方向における)高さが決まる。
3.別のモードでは、マスクテーブルMTはプログラマブルパターニングデバイスを保持して基本的に静止状態に維持され、基板テーブルWTa/WTbを移動又はスキャンさせながら、放射ビームに与えられたパターンをターゲット部分Cに投影する。このモードでは、一般にパルス状放射源を使用して、基板テーブルWTa/WTbを移動させる毎に、又はスキャン中に連続する放射パルスの間で、プログラマブルパターニングデバイスを必要に応じて更新する。この動作モードは、以上で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイなどのプログラマブルパターニングデバイスを使用するマスクレスリソグラフィに容易に利用できる。
【0027】
[0027] 上述した使用モードの組合せ及び/又は変形、又は全く異なる使用モードも利用できる。
【0028】
[0028] リソグラフィ装置LAは、2つの基板テーブルWTa及びWTbと基板テーブルをその間で交換できる2つのステーション(露光ステーション及び測定ステーション)とを有するいわゆるデュアルステージタイプである。露光ステーションで一方の基板テーブル上の1つの基板が露光されている間に、測定ステーションで他方の基板テーブル上に別の基板を装着でき、したがって、様々な準備ステップを実行できる。準備ステップは、レベルセンサLSを用いた基板表面のマッピングと、アライメントセンサASを用いた基板上のアライメントマーカの位置の測定とを含んでいてもよい。これによって装置のスループットが大幅に増大する。位置センサIFが基板テーブルが測定ステーション及び露光ステーションにあるときの基板テーブルの位置を測定できない場合、第2の位置センサを提供して両方のステーションで基板テーブルの位置の追跡を可能にすることができる。
【0029】
[0029] この装置は、本明細書に記載する様々なアクチュエータ及びセンサのすべての移動及び測定を制御するリソグラフィ装置制御ユニットLACUを含む。LACUは、また装置の動作に関連する所望の計算を実施する信号処理及びデータ処理能力を含む。実際、制御ユニットLACUは、各々が装置内のサブシステム又はコンポーネントのリアルタイムデータ取得、処理及び制御を扱う多数のサブユニットのシステムとして実現されるであろう。例えば、1つの処理サブシステムを基板ポジショナPWのサーボ制御専用にしてもよい。別々のユニットを用いて粗動及び微動アクチュエータ、又は異なる軸を扱ってもよい。別のユニットを位置センサIFの読み出し専用にしてもよい。装置の全体の制御を上記サブシステム処理ユニットと通信する中央制御ユニットによって実行させ、オペレータとその他の装置をリソグラフィ製造工程に従事させることができる。
【0030】
[0030] 図2は、X位置及びY位置をそれぞれ測定する基板W上に提供されたアライメントマーク202、204の例を示す。この例の各々のマークは、基板に与えられるか又はエッチングされる製品層又はその他の層に形成される一連のバーを含む。X方向のマーク202上のバーはY軸に平行で、Y方向のマーク204上のバーはX軸に平行である。アライメントセンサAS(図1に示す)は、放射スポット206、208で各々のマークを光学的にスキャンして、装置に対する基板Wの位置を測定する。スキャン運動は太い矢印で概略的に示され、スポット206又は208の漸進的位置が点線で示されている。アライメントパターン内のバーのピッチは、通常、基板上に形成される製品フィーチャのピッチよりもはるかに大きく、アライメントセンサASは、基板にパターンを付与するのに使用される露光放射よりもはるかに長い放射波長(又は普通複数の波長)を使用する。しかし、多数のバーによって繰り返しパターンの位相を正確に測定できるため、微細位置情報を得ることができる。
【0031】
[0031] 粗及び微細マークを提供でき、したがってアライメントセンサはパターンのどの周期が所与の位置にあるか、またその周期内の正確な位置(位相)を計算できる。このために異なるピッチのマークを使用することができる。これらの技術も当業者には周知であり、本明細書では詳述しない。そのようなセンサの設計及び動作は当技術分野で周知であり、各々のリソグラフィ装置は専用に設計されたセンサを有する。本発明の説明では、アライメントセンサASはUS6961116号(den Boef)に記載の形態のアライメントシステムを備える。図2(b)は、1回のスキャンでX及びY位置が得られる同様のアライメントシステムと併用する改良されたマークを示す。マーク210は、X軸及びY軸の両方に対して45度の角度に配置されたバーを有する。その内容が参照により本明細書に組み込まれている公開特許出願US2009195768A号(Bijnen他)に記載されている技術を用いてこのX軸及びY軸方向の組合せ測定を実行できる。なお、US’768は、X−Yアライメントマークが本出願で新しく提示されるマークにやや類似した、異なるピッチの部分を有する幾つかの実施形態を開示している。しかし、図2(b)に示すより簡単なマークが商用実施形態で通常使用される形態であり、US’768の実施形態の異なるピッチ間で観察できるモアレ効果は固定し、工程性能の尺度を提供しない。
【0032】
[0032] 図3は、アライメントセンサASの概略ブロック図である。照明源220は、対物レンズ224を通して基板W上に位置するマーク202などのマークに向けられる1つ又は複数の波長の放射ビーム222を提供する。図2に概略を示すように、上記のUS6961116号に基づく本発明のアライメントセンサの例では、それによってマーク202が照明される照明スポット206は、マーク自体の幅よりも直径がわずかに小さくてもよい。
【0033】
[0033] マーク202によって散乱された放射は対物レンズ224によって集められ、コリメートされて情報搬送ビーム226になる。自己参照型干渉計228は、ビーム226を処理し、センサアレイ230上に別々のビームを出力する。センサグリッド230内の個々のセンサからの強度信号232が処理ユニットPUに提供される。ブロック228内の光学処理とユニットPU内の演算処理との組合せによって、センサに対する基板上のX及びY位置の値が出力される。処理ユニットPUは図1に示す制御ユニットLACUとは別個のものであってもよく、又は設計選択及び便宜の問題として、同じ処理ハードウェアを共用していてもよい。ユニットPUが別個の場合、信号処理の一部がユニットPU内で実行され、別の部分がユニットLACU内で実行されてもよい。
【0034】
[0034] 上記のように、図示の特定の測定は、マークの1つのピッチに対応する一定範囲内にマークの位置を固定する。これに関連して粗測定技術が使用され、正弦波のどの周期がマークされた位置を含む周期であるかが識別される。粗及び/又は微細レベルでの同じ工程を異なる周波数で繰り返して精度を高め、マークの製造材料又はマークの下の材料とは無関係にマークの検出を堅牢にすることができる。各波長を光学的に多重化及び多重分離して同時に処理できるようにし、及び/又は各波長を時分割多重化してもよい。本開示内の例は1つの波長での1回の測定のみについて述べているが、当業者であればその教示を拡張して局所区域的で堅牢な測定装置(アライメントセンサ)を提供するのに必要な変更を容易に理解できよう。
【0035】
[0035] 測定工程を詳細に説明すると、図3のvの標識を付けた矢印は、スポット206がマーク202の全長Lを横断するスキャン速度を示す。この例では、アライメントセンサASとスポット206とは実際には静止しているが、速度vで移動するのは基板Wである。よってアライメントセンサは堅固に且つ正確に基準フレームRF(図1)に装着でき、基板Wの移動方向と逆の方向にマーク202を効率的にスキャンできる。基板は、この移動において基板テーブルWT上への装着と基板位置決めシステムPWとによって制御される。最初に説明したように、高価なリソグラフィ装置に要求される高い生産性要件では、基板上の多数の位置のアライメントマークの測定をできるだけ迅速に実行することが要求される。これは、スキャン速度vが高速で、各々のマーク位置の取得に使用できる時間TACQがそれに応じて短いということを意味する。単純化した用語では、式TACQ=L/vが適用される。
【0036】
[0036] 残念なことに、取得時間が短いため、測定位置x及びyの精度は低下する。これは測定工程自体が困難であるというだけでなく、取得時間が基板テーブルWT及びその上に支持される基板Wの移動時の動的位置決めエラーを取り除くには短すぎるということにもよる。単純には振動と考えられ得るこれらの動的位置決めエラーは、当技術分野でMSDエラー(MSDは移動標準偏差を表す)と呼ばれる。これらのMSDエラーを除去するために、測定を繰り返して平均の結果を使用してもよいが、測定時間全体が増加するため、スループットを増大させるという目的にそぐわない。要するに、既知のタイプのスキャンアライメントセンサで達成可能な精度を制限する競合する要因が存在する。本明細書で開示される新規の構成では、スポット206がアライメントセンサと基準フレームに対してスキャン運動をする。したがって、動作全体を低速化することなく取得時間を延ばすことができる。この技術について以下に詳述する。
【0037】
[0037] 図4に、好都合には上記と同じマークであるマーク202上の改良型アライメントセンサASのスキャン動作の開始(a)と終了(b)とを示す。マークの全長はここでもLで、基板Wはここでも速度vでアライメントセンサの下を移動する。しかし、この改良動作では、照明スポット406、又はより一般的には、スキャン動作中の任意の所与の瞬間にアライメントセンサによって読み出されるマーク202上の地点が速度vSPOTで基準フレームRFに対して移動するよう制御される。このスポット速度vSPOTは基板速度vより幾分小さい。スポット406のこの光学スキャン運動の効果は、基板速度vとスポット速度vSPOTとの間の差分であるスキャンの有効速度vEFFが基板速度自体よりもはるかに小さいということである。したがって、取得時間TACQ=L/vEFFは、全体スキャン速度の意味するところよりも長い。これによって、マーク202上の位置測定の精度が上がり、特に全体の測定時間を増加させることなくMSDエラーを除去することができる。
【0038】
[0038] 取得時間を長くすることの効果がどれだけ大きく達成可能か又は所望されるかに限界があることは当然である。これらの限界は第1に、スキャン運動全体をカバーするのに十分な幅の視界(FOV, Field of View)を有する必要があり、また全スポット位置で一定の均一性、安定性及び/又は応答予測可能性を有する必要があるアライメントセンサ光学システムの光学特性に依存する。図5を参照しながら実際の構成について説明する。
【0039】
[0039] 図5は、その動作原理を図4を参照しながら上に図示し説明したスキャンスポットを実施する改良型アライメントセンサの光学システム500を示す。光学システム500は、上記の先行公開であるUS6961116号に記載のシステムの改良版である。特に本出願に関連する第1の改良は、上記のスキャン照明スポットである。第2の改良は、とりわけ精度向上のためにアライメントマークのピッチの低減を可能にさせ、また、個別のスキャトロメータ装置ではなくアライメントセンサでスキャトロメトリタイプの測定を実行できる、特定のセグメント化照明モードの使用である。上記のUS2009/195768号の開示に基づいてさらに改良を加えることができ、X及びY位置の同時測定が可能である。本説明の目的としては、位置測定は一方向のみとする。
【0040】
[0040] 図3の概略図との比較を容易にするために、光学システム500の幾つかの部品は図3で使用したのに類似する参照符号を付けているが、プレフィックスは「2」ではなく「5」である。したがって、光源520、照明ビーム522、対物レンズ524、情報搬送ビーム526、干渉計528及び検出器530a及び530bが示されている。これらの検出器からの信号532a及び532bは、下記の新規の特徴を適宜実施するために改良された処理ユニットPUによって処理される。幾つかの枝を有する光軸Oは、光学システム500を通り抜ける破線によって示されている。この詳細概略図に示す追加のコンポーネントは以下の通りである。照明サブシステム540では、光源520からの放射が、光ファイバ542を介してレンズ544及び546を備える光学システムに進入する地点へ送達される。各々のレンズが単一の素子で概略的に示されている場合、実際の実施形態は現実には素子のグループを含んでもよく、又は反射光学素子が使用されてもよいことは当然である。レンズ544と546との間では、ビームは平行で、対物レンズ524の瞳面Pの逆投影である平面P’を通過する。この平面には、固定式又は構成可能な照明アパーチャ548が提供され、図5に示す対称のセグメント化照明パターンなどの特定の照明モードを可能にしている。a及びbとラベル付けられた2つの直径方向に対向する象限がこのアパーチャパターン内では明るい(透明である)が、他方の2つの象限は暗い(不透明である)。このタイプのアパーチャは特許出願US2010/201963号のスキャトロメトリ装置で既知である。この改良型照明アパーチャの利点は以下にさらに説明される。固定ミラー550による回折とレンズ552によるコリメーションの後で、照明ビーム522は照明サブシステム540からビームスプリッタ554へ送達され、ビームスプリッタ554は既知の装置におけるのと同様、照明ビーム522を情報搬送ビーム526から分離する。
【0041】
[0041] しかし、既知のアライメントセンサとは異なり、照明ビーム522と情報搬送ビーム526とは、直接対物レンズ524を通して基板Wまで固定した形で基板Wとの間を往復しない。むしろ、この改良型装置では、スキャンサブシステム560が対物レンズ524と光学システム500の残りの部分との間に介在して、照明スポット506に基板W自体のスキャン運動に加えてスキャン運動を実施させる。このスキャン運動は、図4の概略図でスポット406について示す速度vSPOTを持つ運動である。この実施形態のスキャンサブシステム560は、ビーム522及び526を小さい可変角度で偏向させる可動、具体的には傾斜ミラー562に基づいている。ミラー562は、ヒンジ点568で支持体566に接続されたアーム564上に装着されて、ある角度範囲内の所望の角度まで枢動する。ミラー562又はその支持体への機械的接触を有しない磁気アクチュエータなどのアクチュエータ570によって、ミラー562は所望の角度まで移動してスポット506をスキャン運動のための所望の位置まで移動させる。この実施形態では、アーム564とヒンジ点568は、以下に詳述する固有共振周波数を有する質量スプリング振動系を、ミラー562を用いて実施する。そのような実施形態では、アクチュエータ570は、比較的明確な周波数でのミラーの平滑な揺動を引き起こすように、適当な周波数での極めてわずかなエネルギー入力のみを提供することができる。光学測定によって傾斜角を正確にモニタする傾斜センサ572が提供される。アクチュエータ570は、傾斜センサ572からの信号も受信し、位置決めサブシステムPWによる基板テーブルWTのスキャン運動を含む通常アライメントセンサの測定動作に同期したコントローラ(ユニットPUの一部であってもよい)の制御下にある。
【0042】
[0042] スキャンサブシステム560について図6〜図8を参照しながら以下に詳述する。情報搬送ビーム526の処理について説明すると、これはUS6961116号の既知のアライメントセンサと同様に干渉計528内に進入する。干渉計528は、簡略化された2次元構成で示されているが、実際には上記先行特許に記載するようにプリズムとその他の素子の3次元構成を備える。同様に、干渉計の一部である偏光素子はここでは図を見やすくするために省略されている。自己参照型干渉計528の機能は、既知の例と同様、情報搬送ビーム526を受光し、それを2つの等しい部分に分割し、それらの部分を互いに180度回転させ、それらの部分を再度組み合わせて出射ビーム582を形成する。ビーム582は、検出サブシステム580へ誘導される。レンズ584及び586は、固定偏向ミラー588と共に、このビームを偏光ビームスプリッタ590を介して検出器530a及び530bへ送達する。
【0043】
[0043] ビームスプリッタ590は、互いに逆相の2つの干渉パターンを生成する。したがって、干渉計528が検出器530a上の一地点で破壊的な干渉を生成すると、検出器530bの対応する地点に建設的干渉が同時に生成される。2つの検出器から信号を減算することで、共通モード強度雑音の影響を低減し、アライメントセンサから全体としてより高精度の出力を得ることができる。
【0044】
[0044] 図3の既知のアライメントセンサでは検出器230は基板Wの平面に対応する像平面に配置される一方、改良型光学システム500内の検出器530a及び530bは対物レンズ524の瞳面Pと共役の平面P”内に配置されている。この例の各々の検出器530a及び530bは、画像センサ、例えばCCDカメラセンサである。代替実施形態では、画像センサの代わりに個別の地点検出器を配備してもよい。いずれにせよ、平面P”の放射電磁界は基板の像ではなく、照明アパーチャ548と共役のマーク202の回折スペクトルである。このタイプの検出システムでは、マーク202の位置情報を得るのに必要なアライメント信号は依然として取得可能であるが、さらに、検出器530a及び530bによって検出される瞳面の像を用いて基板W上のマーク又はその他の特徴の追加の特徴を解析してスキャトロメトリを実行できる。例えば、アライメント及び/又はオーバレイターゲットの対称性を解析でき、それによって例えばデバイス層間のオーバレイエラーの測定が容易になる。別個の装置ではなくアライメントセンサを用いてターゲットの対称性を測定することの利益は、アライメントセンサとオーバレイ測定装置との間の位置決めエラーが解消されるということである。
【0045】
[0045] アパーチャ548によって提供される照明パターンが図5でa及びbとラベルされた明るい象限を有する一方で、アライメントマーク202のラインによる所与の方向の回折から発生する回折パターンが548’のパターンによって表されている。このパターンでは、a及びbとラベル付けられたゼロ次反射に加えて、a−1、a+1、b−1及びb+1とラベル付けられた可視1次回折信号が存在する。照明アパーチャのその他の象限は暗いため、またより一般的には照明パターンが180°回転対称を有するため、回折次数a−1及びb+1は「フリー」(“free”)状態である。これは、それらの次数がゼロ次数又は照明アパーチャの他の部分からの高次信号と重ならないということを意味する。セグメント化された照明パターンのこの特性を活用して、従来の円形対称照明アパーチャを使用した場合に結像可能な最小ピッチの半分のピッチを有する回折格子(アライメントマーク)から明瞭な1次信号を得ることができる。この回折パターン548’とそれをスキャトロメトリに活用できる方法が、既知の出願US2010/201963号に記載されている。アライメントセンサ光学システム500の干渉計528では、図5に示され548”とラベル付けられた回折パターン548’の回転コピーも形成され、パターン548’と混合される。これらのパターンは、アライメントマーク202のスキャン中に互いに干渉して、位置信号を提供する。
【0046】
[0046] スキャンサブシステム560に関して、ここに示す特定の形態のスキャンサブシステムは、以下に説明する幾つかの有利な特徴を有する。
【0047】
[0047] 図5及び図6に示すように、傾斜ミラー562の取付けのジオメトリは、枢動ポイント568が対物レンズ524の瞳面Pと同じ平面内に位置する。ミラー562の前後の傾斜は、ビーム522が対物レンズ524に進入するビームの方向の偏向を引き起こし、その結果、所望の速度vSPOTでのスポット506の前後のスキャン運動が実行される。より具体的には、ミラー562はミラーの本体内にはなく、ミラー562の平面と対物レンズ524の瞳面Pとが交差する線内の、又はその付近の軸を中心に傾斜するように装着される。背景として、逆投影された平面P’の照明アパーチャが移動することなく、照明スポット506を形成する光線の方向が移動してスキャン速度vSPOTを実施することが望ましい。例えば、傾斜ミラーが一般にそうであるように、ミラー562がその中心軸を中心に傾斜した場合、照明源は逆投影された瞳面P’内を前後に移動し、基板上の照明スポットの平均入射角が変動することになるであろう。
【0048】
[0048] 基板上の正常な入射角を維持することでアライメントの精度が向上する。これを達成するための従来の解決策は、光学システムの共役瞳面内に傾斜ミラーを配置して、照明スポット又は視界のスキャン運動を達成することであろう。しかし、ここに示すアライメントセンサなどの実際の装置では、市販の対物レンズ524は、通常、小型で自立型のサブアセンブリ内に収容され、傾斜ミラー又はその他の可動素子を介在させるスペースは瞳面P内には存在しない。瞳面内に傾斜ミラーを含むようにカスタム設計アセンブリを作ることができ、又は追加の光学素子を提供して光学経路内の混雑していない地点に共役瞳面を生成できるが、アセンブリのコストは以前よりもはるかに高くなり、精度が低下する可能性がある。
【0049】
[0049] 図6を参照すると、光線522及びミラー表面562のジオメトリが、第1にミラーの中央又は中間位置(562(0)とラベルされている)に関して、次に対物レンズ524の瞳面Pと同じ平面にある枢動ポイント568を中心に回転するミラーが入射波522から角度θだけ離れて傾いた偏向位置562(θ)に関して、示されている。この例でのミラーの静止位置は、瞳面と入射光線の方向に対して45°である。角移動θが一方向に示されている一方、同じ運動を逆方向に(光線522の光源のより近くに)ミラーに付与してもよい。これは、ミラー562が角度範囲θだけ前後に揺れ動いているからである。破線の円内の拡大図は、光線522が静止位置及び偏向位置のミラー562によって反射する領域内のジオメトリを示す。実際の実施形態でミラーが偏向する角度範囲θは数ミリラド又は数十ミリラド程度であってもよく、ミラーの傾斜によって引き起こされる光学経路の変化を計算するときに「微小角近似」(“small angle approximation”)を適用できる。図に示すように、瞳面P及び入射光線522の経路は距離Dだけ離間しているが、ミラー562のデフォルト位置は光線522を直角に偏向させる45°である。ミラーが角度θ傾斜するとき、偏向した光線522’は角度2θ傾斜するが、ミラーとの交差点も距離2θD左に移動する。したがって、偏向した光線522が瞳面Pと交差する地点600は、少なくともほぼ、ミラーの傾斜角θから独立している。このことから、照明アパーチャ548の有効位置は変化しないが、光線の方向、したがって照明スポット506の位置は角度θに応じて前後に移動する。(線速度vSPOTは対物レンズ524の倍率掛ける角度2θに関連する。)
【0050】
[0050] 図7は、例示的実施形態での時間tにわたるミラー562の傾斜角θの変化を表す正弦曲線700を示す。トレース700は、上述したように、傾斜角562とその取付物が共振振動子として駆動されるため、通常、正弦形状を持つ。言い換えれば、ミラーは単振動(simple harmonic motion)で傾斜する。ミラーの揺動の期間はTOSCとラベル付けられ、揺動の角度θで表す振幅はθOSCである。この駆動モードの利点は、最小のエネルギー入力を必要とし、したがって、アクチュエータとミラー機構内の最小の熱放散を必要とするということである。この駆動モードの欠点は、所望の速度と方向のスキャン運動が、特定の間隔で、且つ運動の限られた直線性しか伴わずに実行されるということである。しかし、このミラーの揺動を基板Wにわたる一連のアライメントマーク202のスキャン中に基板が移動する方法と同期化させる処理を含む測定工程の慎重な設計によって、アライメントマーク位置の測定を図7にてM1、M2、M3とラベルされた期間実行できるように、ミラー揺動の周期を選択できる。これらは、ミラーの運動、及びよってアライメントマーク202に沿ったスポット506の運動が比較的直線的で予測可能であるトレース700の部分である。スキャン測定が実行される角度範囲はθとラベルされ、スポット506のスキャン運動を用いて1回又は複数回の測定を実行できる時間ウィンドウはTとラベルされている。装置は、この期間中に1つのアライメントマークを測定する動作に限定されず、基板W上のその位置と基板テーブルWT上の基板の運動とに応じて、幾つかのマークを測定できる。図8は、傾斜センサ572の構造と動作原理を概略的に示す。図5に関連して述べたように、傾斜センサは、常時、傾斜562の正確な測定値を提供するために提供される。この測定値は、ユニットPU又はその他のコントローラによって、スキャン運動、アクチュエータ570による駆動、測定期間M1、M2、M3などにおける非直線性の補正及び適宜その他の測定を必要に応じて制御し同期化するために、用いられることができる。この例では、傾斜センサ572は、周知の位相格子検出器に基づいている。放射源802からの放射ビーム800は、ピッチPINを有する第1の位相格子によって回折させられる。図で+1及び−1とラベル付けられた1次光線だけが任意の強度で伝送されるように、位相格子を使用できる。これらの光線は、図示のように発散している。傾斜センサ光学システム806は光線が平行になるようにコリメートし、したがって、+1次及び−1次光線は距離dだけ離間した別個の地点でミラー562の表面に入射する。(例えば、この距離dは数ミリメートル程度であってもよい。)回折した光線は光学システム806を通して反射し、検出格子808上に合焦する。検出格子808は、入力格子804のピッチの半分のピッチPdetを有する。ミラー562内の傾斜角は、+1及び−1回折次数について異なる経路長を生じさせ、これは、それらが格子808で再度結合されるときにそれらの位相に影響する。検出器810は、検出格子808を通過する回折放射を受光する。ミラーが一方向、次に他の方向に傾斜すると、810で検出される放射強度の急速な変動は、傾斜角の微小な変動のカウントを可能ならしめる。これらの変動をカウントする(フリンジカウント)ことで、比較的広範囲の傾斜角にわたって傾斜の極めて高い解像度の測定値を得ることができる。傾斜角の絶対的知識を得るために、幾つかの異なる格子システム804、808及び検出器810をピッチを変えて並列に提供することができる。この曖昧性解消方法は当業者には周知であり、詳細の説明は割愛する。
【0051】
アライメントセンサの変形形態
[0051] 例示的実施形態の検出器530a及び530bはその領域にわたってピクセルを有する画像センサとして記述されているが、検出器が瞳像平面P”の一定の地点にだけ提供される代替実施形態も可能である。特に、1次回折照明が予想される周辺位置に数個の検出器を配置することでアライメント信号を入手できる。瞳像の周辺全体に一組の検出器を離間させることができ、マーク202がX方向かY方向か、又は図2(b)に示すタイプのX−Yマークかに従って、位置測定値を生成する処理を実行するために適当な検出器からの信号を選択することができる。
【0052】
[0052] 当業者であれば、本発明の範囲を逸脱することなく上記の各実施形態の多数の修正及び変更を容易に思い付くであろう。上記のように、例えば、図示のアライメントセンサを図2(b)のマークと併用するように構成させて、X及びY方向の位置情報を同時に入手することができる。そのような実施形態でセグメント化照明アパーチャ548を使用したい場合、マーク210(図2(b))の格子線が45°に配置されているのと同様に、明るいセグメントa及びbがX及びY軸の両方に対して45°の角度をなすように照明アパーチャ548を回転させる必要がある。
【0053】
[0053] この簡単な例では、揺動ミラー562はスポットを一方向にしか移動させず、マークの一方向だけが低減された有効速度でスキャンできる。2次元スキャンを所望する場合、直交する枢動軸を備えた2つの別々のミラーか、又は2つの直交枢動軸の周囲で傾斜可能な1つのミラーを使用できる。当業者であれば、いずれかの方法でこの例を2次元にまで拡張できる。
【0054】
[0054] 冒頭部分などで述べたように、スキャン照明スポット406、506などを備えたアライメントセンサの文脈で開示されたある特定の特徴を他の用途で独立して使用できる。図5の実施形態の特徴である共役瞳面内の検出と組み合わせたセグメント化アパーチャを、スキャンサブシステム560を用いずに、アライメントセンサで使用してもよい。上述したように、そのようなアパーチャの使用によって、アライメントマーク内でより高密度の格子線を使用でき、位置精度を高め、及び/又はマークが必要とする基板領域を低減する可能性が生まれる。
【0055】
[0055] アライメントセンサを制御する処理ユニットPUは、検出した信号を処理し、これらの信号からリソグラフィパターニング工程を制御する際に使用するのに好適な位置測定値を計算し、詳述はしないがある種のコンピュータアセンブリを一般に含むことを理解されたい。コンピュータアセンブリは装置外部の専用コンピュータであってもよく、アライメントセンサ専用の1つ又は複数の処理ユニットであってもよく、又は、リソグラフィ装置全体を制御する中央制御ユニットLACUであってもよい。コンピュータアセンブリは、コンピュータ実行可能コードを含むコンピュータプログラムプロダクトを読み込むように構成されていてもよい。これによって、コンピュータプログラムプロダクトがダウンロードされると、コンピュータアセンブリはリソグラフィ装置とアライメントセンサASの上記併用を制御することができる。
【0056】
[0056] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることを理解されたい。例えば、これは、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用誘導及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造である。こうした代替的な用途に照らして、本明細書で「ウェーハ」又は「ダイ」という用語を使用している場合、それぞれ、「基板」又は「ターゲット部分」という、より一般的な用語と同義と見なしてよいことが、当業者には認識される。本明細書に述べている基板は、露光前又は露光後に、例えばトラック(通常はレジストの層を基板に塗布し、露光したレジストを現像するツール)、メトロロジーツール及び/又はインスペクションツールで処理することができる。適宜、本明細書の開示は、以上及びその他の基板処理ツールに適用することができる。さらに基板は、例えば多層ICを生成するために、複数回処理することができ、したがって本明細書で使用する基板という用語は、既に複数の処理済み層を含む基板も指すことができる。
【0057】
用途例:共焦顕微鏡
[0057] アライメントセンサは、ミラーとミラーが使用される光学システムの瞳面と同じ平面に位置するように枢動軸が変位される傾斜ミラーの用途例である。この構成は、基板上への平均入射角を変更することなく照明スポットを基板平面内で偏向させる特殊な能力を有する。アライメントセンサ以外の用途にこの原理を適用でき、共焦顕微鏡は別の例である。
【0058】
[0058] 図9に、傾斜ミラーの用途を共焦顕微鏡1500の文脈で示す。システムの多数の部品が、少なくとも原則として上記のアライメントセンサの例に共通であり、対物レンズ1524などの部品は図5の対応する部品524と同じであるがプレフィックス「1」を付加した数字になっている。幾つかの主要な差異を以下に説明する。図示の共焦顕微鏡では、照明ビーム1522が図の上部からビームスプリッタ1554に進入する。一方、情報搬送ビーム1526は、右手に向かってビームスプリッタ1554から抜ける。この配置が実際の実施態様であり、動作原理を変更していないことは当然である。情報搬送ビーム1526はまず狭いピンホール1580上に合焦し、ピンホール1580は次に検出器1582上に結像され、検出器1582はピンホールを通過する放射の強度を記録する。共焦顕微鏡の原理から周知のように、ピンホール1580の機能は、照明がそこから検出器1582に到達する照明スポット1506内の位置と深さとの両方を選択することである。したがって、検出された放射の強度は、特定の位置でのターゲット構造1202の組成と対物レンズ1524の下の深さとに依存する。2次元のスキャン運動が実施され、検出器1582によって検出された時間変動強度信号を処理ユニット1584内で処理してターゲット1202の2次元像を得ることができる。図では、ディスプレイ1586は、結果として得られた情報が与えられて、所望の深さでのターゲット1202の特徴を極めて高い解像度で示す画像1588を提供する。
【0059】
[0059] 図示の例では、上記の図3の揺動ミラーとまさしく同様に装着され、駆動されモニタされる揺動ミラー1562によって、少なくとも1つの方向でのスポットのスキャンが実行される。共焦顕微鏡の動作では典型的に、一方向、例えばX軸方向のスキャンがスポット1506の何らかの光学スキャンによって実施される一方、Y方向のスキャンが対物レンズ1524の下のターゲット1202の遅い進行によって実施される。可動ミラーによる2次元スキャンを所望する場合、直交する枢動軸を備えた2つの別々のミラーか、又は2つの直交枢動軸の周囲で傾斜可能な1つのミラーを使用できる。当業者であれば、いずれかの方法でこの例を2次元にまで拡張できる。
【0060】
[0060] 実施制御及び共焦顕微鏡内の信号処理のその他の特徴は既知の例から構成できるため、ここでは詳述する必要はない。
【0061】
追加の変形形態
[0061] 上記の例では、揺動ミラーは約90°の角度で光学経路を方向転換させ、対物レンズ524又は1524の瞳面に対して45°の角度に装着される。ミラー平面と対物レンズ524/1524の瞳面Pとの交点にミラー562/1562の枢動軸を配置するという同じ原理を45°以外の角度に拡張することができる。
【0062】
図10(a)は、図6の構成と同様であるが角度45°を一般的な角度αに変更した一般化された構成を示す。枢動軸568から照明光線522の反射地点までのミラーに沿った長さにラベルLが付けられ、Lはα=45°のときの図6の例における2の平方根のD倍の距離に等しかった。この一般化された例における様々な長さと角度との関係は、距離L、距離D、並びに角度α(静止位置)及び揺動によるθ(偏差)に関する以下の式によって表される。
【数1】


【数2】


【数3】


【数4】

【0063】
[0062] 式(1)は、偏差θが安息角αよりもはるかに小さい場合に式(2)で近似できる正確な長さLの公式である。スキャン機構の設計のための最良の角度αを決定するために、式(3)はθで表した長さLの導関数を提示する。式(4)は、θがゼロのときのθに関するLの導関数の特殊な例を提示する。
【0064】
図10(b)は、安息角αの様々な値について距離Dに関して正規化した式(4)の描画である。図から分かるように、このグラフはαが値45°を有する値0を備えた変曲点を有する。これから、α=45°の場合、揺動θに対する距離Lの感度が他のいかなる角度αよりも広い範囲のθにわたって最小化されると推定する。したがって、照明源の見かけ上の位置の不変性は図6に関連して提示された解析での微小角近似に依存するため、安息角α=45°は角度θの使用可能な範囲にわたって上記近似が実質的に確実に真であるようにする上で最適である。にもかかわらず、特定の配置上の制約を考慮するために45°以外の角度を使用することは興味深い。わずか数ミリラド又は数十ミリラドの揺動で本明細書に記載する用途には十分であることに留意されたい。
【0065】
[0063] 光リソグラフィの分野での本発明の実施形態の使用に特に言及してきたが、本発明は文脈によってはその他の分野、例えばインプリントリソグラフィでも使用することができ、光リソグラフィに限定されないことを理解されたい。インプリントリソグラフィでは、パターニングデバイス内のトポグラフィが基板上に作成されたパターンを画定する。パターニングデバイスのトポグラフィは基板に供給されたレジスト層内に刻印され、電磁放射、熱、圧力又はそれらの組合せを印加することでレジストは硬化する。パターニングデバイスはレジストから取り除かれ、レジストが硬化すると、内部にパターンが残される。共焦顕微鏡検査法を適用してリソグラフィ工程で使用される、又は製造される物品を検査でき、また範囲のその他の検査作業に適用できる。
【0066】
[0064] 本明細書で使用する「放射」及び「ビーム」という用語は、イオンビーム又は電子ビームなどの粒子ビームのみならず、紫外線(UV)放射(例えば、365nm、355nm、248nm、193nm、157nm若しくは126nm、又はこれら辺りの波長を有する)及び極端紫外線(EUV)放射(例えば、5nm〜20nmの範囲の波長を有する)を含むあらゆるタイプの電磁放射を網羅する。
【0067】
[0065] 「レンズ」という用語は、状況が許せば、屈折型、反射型、磁気型、電磁型及び静電型光学コンポーネントを含む様々なタイプの光学コンポーネントのいずれか一つ、又はその組合せを指すことができる。
【0068】
[0066] 以上、本発明の特定の実施形態を説明したが、説明とは異なる方法でも本発明を実践できることが理解される。例えば、本発明は、上記で開示したような方法を述べる機械読み取り式命令の1つ又は複数のシーケンスを含むコンピュータプログラム、又はこのようなコンピュータプログラムを内部に記憶したデータ記憶媒体(例えば半導体メモリ、磁気又は光ディスク)の形態をとることができる。
【0069】
[0067] 上記の説明は例示的であり、限定的ではない。それ故、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、記載されたような本発明を変更できることが当業者には明白である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
該装置の光学システムとオブジェクトとの間で放射線を伝送する対物レンズを備える光学装置であって、
前記光学システムと前記対物レンズとの間に配置され、前記対物レンズを前記放射線が通過する際に前記放射線の方向を変えるように傾斜するミラーを備える、少なくとも1つの可動素子をさらに備え、
前記ミラーが、前記対物レンズの瞳面と前記ミラーの平面との間の交点にほぼ沿った軸を中心に傾斜するように強制される、光学装置。
【請求項2】
前記可動素子は、揺動して前記放射線に繰り返しスキャン運動を付与するように装着される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記可動光学素子は、共振周波数で揺動するように装着される、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
基板上のマークの位置を測定する請求項1乃至3のいずれかに記載の装置であって、
前記マークを前記対物レンズを介して放射スポットで照明する照明サブシステムと、前記マークによって回折した放射を前記対物レンズを介して検出する検出サブシステムとを備える前記光学システムと、
前記基板と測定光学システムの動きを互いに対して第1の速度で制御して、前記マークを前記放射スポットでスキャンしながら、前記回折放射を表す信号を検出し処理して前記測定光学システムの基準フレームに対する前記マークの位置を計算する第1の位置決めサブシステムと、
前記放射スポットを前記測定光学システムの前記基準フレームに対して第2の速度で移動させるために前記第1の位置決めサブシステムと同期して動作可能な前記可動光学素子とを備え、
前記第1及び第2の速度が、前記信号が検出されている間に前記第1の速度より低い第3の速度で前記スポットが前記マークをスキャンする関係にある、装置。
【請求項5】
動作時に前記第1及び第2の速度が並列であり、前記第2の速度が前記第1の速度より低く、前記第3の速度が前記第1の速度から前記第2の速度を引いたものに等しい、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記対物レンズは、前記測定光学システムの前記基準フレームとの関係で固定されている、請求項4又は5に記載の装置。
【請求項7】
前記光学システムは、前記回折放射の2つの部分を回転させ再結合する自己参照型干渉計を含む、請求項4、5又は6に記載の装置。
【請求項8】
オブジェクトの検査のための共焦顕微鏡を備える、請求項1、2又は3に記載の装置であって、
オブジェクトを前記対物レンズを介して放射スポットで照明する照明サブシステムと、前記オブジェクトによって前記放射スポットにおける特定の地点で反射された放射を前記対物レンズを介して検出する検出サブシステムとを備える前記光学システムと、
前記放射スポットと前記特定の地点とを少なくとも第1のスキャン方向にスキャンして、前記オブジェクトにわたって地点の線から検出された放射強度を記録するように動作可能な前記可動光学素子と
を備える装置。
【請求項9】
前記オブジェクトと前記対物レンズとを互いに対して第2のスキャン方向に移動させて、前記オブジェクトにわたって一連の地点の線からの放射強度を記録する位置決めサブシステムをさらに備える、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
パターニングデバイスから基板上にパターンを転写するように構成されたリソグラフィ装置であって、
基板を保持する基板テーブルと、前記リソグラフィ装置の基準フレームに対する前記基板上のマークの位置を測定するアライメントセンサとを備え、
前記アライメントセンサが、請求項4から7のいずれかに記載の測定装置を備え、
前記リソグラフィ装置が、前記測定装置を用いて測定される前記基板上のマークの位置を基準にして前記基板上へのパターンの転写を制御するように構成された、リソグラフィ装置。
【請求項11】
オブジェクトを対物レンズを介して放射線でスキャンする方法であって、
前記対物レンズの前に前記放射線の経路内にミラーを配置すること、及び
前記放射線が対物レンズを通過する際に前記放射線の方向を変更するようにミラーを傾斜させて、それにより前記ミラーの傾斜角に従って前記放射線を前記オブジェクトの異なる部分に入射させることを含み、
前記ミラーが、前記対物レンズの瞳面と前記ミラーの平面との間の交点にほぼ沿った軸を中心に傾斜するように強制される、方法。
【請求項12】
前記ミラーは、揺動して前記放射線に繰り返しスキャン運動を付与するように装着される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記可動光学素子は、共振周波数で揺動するように装着され駆動される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記スキャンが、基板上のマークの位置を測定する工程の一部として実行される、請求項11、12又は13に記載の方法。
【請求項15】
リソグラフィ工程が、パターニングデバイスから基板上にパターンを転写するために使用され、前記基板上へのパターンの転写が、請求項14に記載の方法を用いて測定される前記基板上のマークの位置を基準にして制御される、デバイス製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−175103(P2012−175103A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−27606(P2012−27606)
【出願日】平成24年2月10日(2012.2.10)
【出願人】(504151804)エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ. (1,856)
【Fターム(参考)】