説明

内燃機関の可変動弁装置

【課題】機関始動開始後にバルブタイミング可変機構の動作状態が固定状態から解除状態に速やかに変更される頻度を高くするとともに同可変機構の動作状態が解除状態から固定状態に変更されることなく内燃機関が停止する頻度を低くすることのできる内燃機関の可変動弁装置を提供する。
【解決手段】可変動弁装置は、油圧式のバルブタイミング可変機構と、同可変機構を構成する入力回転体および出力回転体の相対的な回転位相を中間位相に固定する位相固定機構とを備える。そして機関始動開始後、車速が「0km/h」よりも大きいとき、バルブタイミング可変機構の動作状態を固定状態から解除状態に切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルブタイミングを変更する油圧式のバルブタイミング可変機構と、同可変機構を構成する入力回転体および出力回転体の相対的な回転位相を特定位相に固定する位相固定機構とを備える内燃機関の可変動弁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記可変動弁装置としては、例えば特許文献1に記載のものが知られている。
この可変動弁装置では、機関停止時にバルブタイミングを中間角に固定するための中間ロック制御と、機関始動完了後にバルブタイミングが中間角に固定された状態を解除するためのロック解除制御とを行う。
【0003】
中間ロック制御では、ベーンのロックピンをハウジングのロック穴にはめ込むことにより、ハウジングとベーンとの相対回転が可能な解除状態からハウジングとベーンとの相対回転が規制された固定状態に変更する。
【0004】
ロック解除制御では、バルブタイミング可変機構のフィードバック制御の安定性を確保するため、機関始動完了後において油温が所定油温に達するまでは固定状態を維持し、油温が所定油温に達したときにバルブタイミング可変機構の動作状態を固定状態から解除状態に変更する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−210424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1の可変動弁装置を備える内燃機関においては、機関始動開始後の油温が所定油温に達するまでバルブタイミングを変更することができない。このため、燃費やエミッションを向上させるための制御を早期に開始することができない。
【0007】
一方、機関始動開始後に油温にかかわらずロック解除制御を行うようにした場合には、上記問題が生じることはない。しかし、バルブタイミング可変機構の動作状態を固定状態から解除状態に変更した直後に解除状態から固定状態に変更する要求が生じたとき、油温が低いことに起因して同変更に時間がかかる可能性がある。そのため、同固定が完了する前に内燃機関の運転が停止されてしまうおそれがある。
【0008】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、機関始動開始後にバルブタイミング可変機構の動作状態が固定状態から解除状態に速やかに変更される頻度を高くするとともに、同可変機構の動作状態が解除状態から固定状態に変更されることなく内燃機関が停止する頻度を低くすることのできる内燃機関の可変動弁装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、上記目的を達成するための手段およびその作用効果について記載する。なお、この「課題を解決するための手段」の欄においては、バルブタイミング可変機構の動作状態を「可変機構動作状態」として示す。
【0010】
(1)請求項1に記載の発明は、機関弁としての吸気弁および排気弁の少なくとも一方のバルブタイミングを変更する油圧式のバルブタイミング可変機構と、このバルブタイミング可変機構を構成する入力回転体および出力回転体の相対的な回転位相を特定位相に固定する位相固定機構とを備える内燃機関の可変動弁装置において、前記回転位相が前記特定位相に固定された前記バルブタイミング可変機構の動作状態を固定状態とし、前記回転位相が前記特定位相に固定されていない前記バルブタイミング可変機構の動作状態を解除状態として、機関始動開始後かつ車速が所定速度よりも大きいとき、前記バルブタイミング可変機構の動作状態を前記固定状態から前記解除状態に変更することを要旨とする。
【0011】
車速が所定速度よりも大きいときには、車速が所定速度よりも小さいときと比較して、内燃機関の運転が直ちに停止される可能性は低いと予測される。すなわち、可変機構動作状態を固定状態から解除状態に変更したとしても、可変機構動作状態を直ちに解除状態から固定状態に変更することが要求される可能性は低いと予測される。
【0012】
本発明は、機関始動開始後かつ車速が所定速度よりも大きいとき、可変機構動作状態を固定状態から解除状態に変更するため、同変更の直後に可変機構動作状態を解除状態から固定状態に変更することが要求される頻度は少なくなる。すなわち、可変機構動作状態を固定状態から解除状態に変更したときの油温が低いとしても、可変機構動作状態を固定状態から解除状態に変更する要求が生じる頻度が低いため、油温が低いことに起因して可変機構動作状態が解除状態から固定状態に変更されないまま内燃機関の運転が停止する頻度を低くすることができる。
【0013】
また本発明は、上記のタイミングで可変機構動作状態を固定状態から解除状態に変更するため、すなわち油温が低いときにも可変機構動作状態が固定状態から解除状態に変更されるため、機関始動開始後に早期にバルブタイミングの変更が可能となる頻度を高くすることができる。
【0014】
(2)請求項2に記載の発明は、機関弁としての吸気弁および排気弁の少なくとも一方のバルブタイミングを変更する油圧式のバルブタイミング可変機構と、このバルブタイミング可変機構を構成する入力回転体および出力回転体の相対的な回転位相を特定位相に固定する位相固定機構とを備える内燃機関の可変動弁装置において、前記回転位相が前記特定位相に固定された前記バルブタイミング可変機構の動作状態を固定状態とし、前記回転位相が前記特定位相に固定されていない前記バルブタイミング可変機構の動作状態を解除状態とし、前記バルブタイミング可変機構の作動油の温度を油温として、機関始動開始後かつ車速が所定速度よりも小さいときには、前記油温が所定油温よりも高いときに前記バルブタイミング可変機構の動作状態を前記固定状態から前記解除状態に変更し、前記車速が前記所定速度よりも大きいときには、前記油温が前記所定油温よりも低いときでも前記バルブタイミング可変機構の動作状態を前記固定状態から前記解除状態に変更することを要旨とする。
【0015】
車速が所定速度よりも大きいときには、可変機構動作状態を固定状態から解除状態に変更したとしても、その後に直ちに可変機構動作状態を解除状態から固定状態に変更することが要求される可能性が低いと予測される。すなわち、可変機構動作状態が固定状態に変更されないまま内燃機関が停止する頻度は低いと予測される。
【0016】
一方、油温が低いときに可変機構動作状態を解除状態から固定状態に変更する要求が生じたとき、この要求に基づいて可変機構動作状態を変更する制御を実行したとしても、油温が低いことに起因して可変機構動作状態が固定状態に変更される前に内燃機関が停止する頻度が高い。他方、機関始動開始後において油温が低いときに可変機構動作状態を固定状態から解除状態に変更した場合には、機関始動開始後において油温が高いときに可変機構動作状態を固定状態から解除状態に変更した場合と比較して、機関始動開始後のより早い時期にバルブタイミングの変更が可能となるため燃費の向上等を図ることができる。
【0017】
本発明では、機関始動開始後かつ車速が所定速度よりも小さいときには、油温が所定油温よりも高いときに可変機構動作状態を固定状態から解除状態に変更し、また車速が所定速度よりも大きいときには、油温が所定油温よりも低いときでも可変機構動作を固定状態から解除状態に変更している。すなわち、車速が所定速度よりも高いときには車速が所定速度よりも低いときと比較して、より低い油温のときに可変機構動作状態が固定状態から解除状態に変更されるようにしている。
【0018】
したがって、機関始動開始後に可変機構動作状態が固定状態から解除状態に速やかに変更される頻度を高くするとともに、可変機構動作状態が解除状態から固定状態に変更されることなく内燃機関が停止する頻度を低くすることができる。
【0019】
(3)請求項3に記載の発明は、機関弁としての吸気弁および排気弁の少なくとも一方のバルブタイミングを変更する油圧式のバルブタイミング可変機構と、このバルブタイミング可変機構を構成する入力回転体および出力回転体の相対的な回転位相を特定位相に固定する位相固定機構とを備える内燃機関の可変動弁装置において、前記回転位相が前記特定位相に固定された前記バルブタイミング可変機構の動作状態を固定状態とし、前記回転位相が前記特定位相に固定されていない前記バルブタイミング可変機構の動作状態を解除状態とし、前記バルブタイミング可変機構の作動油の温度を油温とし、機関停止が直ちに行われる可能性が高いと予測される状態を停止予測状態とし、機関停止が直ちに行われる可能性が低いと予測される状態を非停止予測状態として、機関始動開始後かつ前記停止予測状態にあるときには前記油温が所定油温よりも高いときに前記バルブタイミング可変機構の動作状態を前記固定状態から前記解除状態に変更し、機関始動開始後かつ前記非停止予測状態にあるときには前記油温が前記所定油温よりも低いときでも前記バルブタイミング可変機構の動作状態を前記固定状態から前記解除状態に変更することを要旨とする。
【0020】
停止予測状態において可変機構動作状態を固定状態から解除状態に変更したときには、その後に直ちに可変機構動作状態を解除状態から固定状態に変更することが要求される可能性が高いと予測される。すなわち、可変機構動作状態が固定状態に変更されないまま内燃機関が停止する頻度が高いと予測される。
【0021】
非停止予測状態において可変機構動作状態を固定状態から解除状態に変更したときには、その後に直ちに可変機構動作状態を解除状態から固定状態に変更することが要求される可能性が低いと予測される。すなわち、可変機構動作状態が固定状態に変更されないまま内燃機関が停止する頻度が低いと予測される。
【0022】
一方、油温が低いときに可変機構動作状態を解除状態から固定状態に変更する要求が生じたとき、この要求に基づいて可変機構動作状態を変更する制御を実行したとしても、油温が低いことに起因して可変機構動作状態が固定状態に変更される前に内燃機関が停止する頻度が高い。他方、機関始動開始後において油温が低いときに可変機構動作状態を固定状態から解除状態に変更した場合には、機関始動開始後において油温が高いときに可変機構動作状態を固定状態から解除状態に変更した場合と比較して、機関始動開始後のより早い時期にバルブタイミングの変更が可能となるため燃費の向上等を図ることができる。
【0023】
本発明では、機関始動開始後かつ停止予測状態のときには、油温が所定油温よりも高いときに可変機構動作状態を固定状態から解除状態に変更し、また機関始動開始後かつ非停止予測状態のときには、油温が所定油温よりも低いときでも可変機構動作状態を固定状態から解除状態に変更している。すなわち、非停止予測状態のときには停止予測状態のときと比較して、より低い油温のときに可変機構動作状態が固定状態から解除状態に変更されるようにしている。
【0024】
したがって、機関始動開始後に可変機構動作状態が固定状態から解除状態に速やかに変更される頻度を高くするとともに、可変機構動作状態が解除状態から固定状態に変更されることなく内燃機関が停止する頻度を低くすることができる。
【0025】
(4)請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の内燃機関の可変動弁装置において、前記非停止予測状態は、変速機のシフトポジションがドライブにあること、およびシフトブレーキが解除されていること、および車速が所定速度よりも大きいことの少なくとも1つを満たす状態であることを要旨とする。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1実施形態について、可変動弁装置を含む内燃機関の構造を模式的に示す模式図。
【図2】同実施形態のバルブタイミング可変機構について、(a)は同機構の平面構造を示す平面図、(b)は同機構のA−A線に沿う断面構造を示す断面図。
【図3】同実施形態の電子制御装置により実行される「ロック解除判定処理」の手順を示すフローチャート。
【図4】同実施形態の「ロック解除判定処理」の実行態様の一例を示すタイムチャート。
【図5】本発明の第2実施形態について、電子制御装置により実行される「ロック解除判定処理」の手順を示すフローチャート。
【図6】同実施形態の「ロック解除判定処理」の実行態様の一例を示すタイムチャート。
【図7】本発明の第3実施形態について、電子制御装置により実行される「ロック解除判定処理」の手順を示すフローチャート。
【図8】本発明の第4実施形態について、電子制御装置により実行される「ロック解除判定処理」の手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(第1実施形態)
図1〜図4を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。
図1に内燃機関1の全体構成を示す。
【0028】
内燃機関1には、シリンダブロック11、シリンダヘッド12およびオイルパン13を含む機関本体10と、シリンダヘッド12に設けられた動弁系の各要素を含む可変動弁装置20と、機関本体10等に潤滑油を供給する潤滑装置40と、これら装置を統括的に制御する制御装置70とが設けられている。
【0029】
可変動弁装置20は、燃焼室14を開閉する吸気バルブ21および排気バルブ23と、これらバルブを押し下げる吸気カムシャフト22および排気カムシャフト24と、クランクシャフト15の回転位相に対する吸気カムシャフト22の回転位相(以下、「バルブタイミングVT」)を変更するバルブタイミング可変機構30とを含む。
【0030】
潤滑装置40は、オイルパン13の潤滑油を吐出するオイルポンプ41と、オイルポンプ41から吐出された潤滑油を内燃機関1の各部位に供給する潤滑通路50と、バルブタイミング可変機構30への潤滑油の供給態様を制御するオイルコントロールバルブ42とを含む。
【0031】
制御装置70は、内燃機関1を制御するための各種の演算処理等を行う電子制御装置71と、各種のセンサとを含む。各種のセンサとしては、冷却水温センサ72、車速センサ73、シフトポジションセンサ74、クランクポジションセンサ75、およびカムポジションセンサ76が挙げられる。
【0032】
各センサは、電子制御装置71に以下の信号をそれぞれ出力する。すなわち、冷却水温センサ72は、機関本体10の冷却水の温度に応じた信号を出力する。車速センサ73は、車両の走行速度(以下、「車速V」)に応じた信号を出力する。シフトポジションセンサ74は、運転者により操作されるシフトレバーのシフトポジションに応じた信号を出力する。クランクポジションセンサ75は、クランクシャフト15の回転角度(以下、「クランク角度CA」)に応じた信号を出力する。カムポジションセンサ76は、吸気カムシャフト22の回転角度(以下、「吸気カム角度DA」)に応じた信号を出力する。
【0033】
電子制御装置71は、各種センサの出力に基づいて以下のバルブタイミング制御および中間ロック制御およびロック解除制御を行う。
(A)バルブタイミング制御では、クランク角度CAおよび吸気カム角度DAに基づいて、バルブタイミング可変機構30の制御によりバルブタイミングVTを最も進角側のバルブタイミング(以下、「最進角VTmax」)から最も遅角側のバルブタイミング(以下、「最遅角VTmin」)まで間で変更する。このバルブタイミング制御では、アイドル状態において最進角VTmaxと最遅角VTminとの間にある特定のバルブタイミング(以下、「中間角VTmdl」)よりも所定量だけ遅角側にバルブタイミングVTを保持する。
【0034】
(B)中間ロック制御では、機関停止時において、バルブタイミング可変機構30をバルブタイミングVTが変更可能な状態からバルブタイミングVTを中間角VTmdlに固定する状態に変更する。
【0035】
(C)ロック解除制御では、機関始動開始後において、バルブタイミング可変機構30をバルブタイミングVTを中間角VTmdlに固定する状態からバルブタイミングVTが変更可能な状態に変更する。
【0036】
図2を参照して、バルブタイミング可変機構30の詳細な構成および動作について説明する。なお、図中の矢印Xは、図1に示すクランクシャフト15(スプロケット33)および吸気カムシャフト22の回転方向を示している。
【0037】
図2(a)に示すように、バルブタイミング可変機構30は、クランクシャフト15(図1参照)に同期して回転するハウジングロータ31と、吸気カムシャフト22に同期して回転するベーンロータ35と、バルブタイミングVTを中間角VTmdlに固定する位相固定機構60とを含む。
【0038】
ハウジングロータ31は、タイミングチェーンを介してクランクシャフト15に連結されたスプロケット33と、スプロケット33の内側に組みつけられるとともにスプロケット33と一体に回転するハウジング本体32と、ハウジング本体32に取り付けられるカバー34(図2(b)参照)とを含む。ハウジング本体32には、径方向においてハウジングロータ31の回転軸(吸気カムシャフト22)に向けて突出する3つの区画壁32Aが設けられている。
【0039】
ベーンロータ35は、吸気カムシャフト22の端部に固定されるとともにハウジング本体32内の空間に配置されている。ベーンロータ35には、ハウジング本体32の隣り合う区画壁32Aの間に向けて突出した3つのベーン36が設けられている。各ベーン36は、区画壁32Aの間に形成されているベーン収容室37を進角室38および遅角室39に区画している。
【0040】
図2(b)に示すように、位相固定機構60は、ベーン36に設けられたロックピン61と、ベーン36に設けられるとともに潤滑油が供給される中間室62と、ベーン36に設けられるとともにロックピン61を一方向に向けて押すロックばね63と、ハウジングロータ31に設けられるロック穴64とを含む。
【0041】
ロックピン61は、中間室62の潤滑油の力とロックばね63の力との関係に基づいて、ベーン36から突出する方向(以下、「突出方向ZA」)またはベーン36に引き込む方向(以下、「収容方向ZB」)に向けて動作する。中間室62の油圧は、ロックピン61に対して収容方向ZBに作用する。ロックばね63の力は、ロックピン61に対して突出方向ZAに作用する。
【0042】
オイルコントロールバルブ42によるバルブタイミング可変機構30の潤滑油の供給態様について説明する。電子制御装置71(図1参照)は、オイルコントロールバルブ42の動作モードを以下に示す第1モード〜第4モードのいずれかに切り替えることにより、ハウジングロータ31とベーンロータ35との相対的な回転位相(以下、「回転位相PX」)を変更する。
【0043】
第1モードのとき、進角室38に潤滑油が供給され、かつ遅角室39から潤滑油が排出され、かつ中間室62に潤滑油が供給される。これにより、バルブタイミングVTが進角される。また、ロックピン61には収容方向ZBの力が作用する。
【0044】
第2モードのとき、進角室38および遅角室39の潤滑油の供給および排出が停止され、かつ中間室62に潤滑油が供給される。これにより、バルブタイミングVTが保持される。また、ロックピン61には収容方向ZBの力が作用する。
【0045】
第3モードのとき、進角室38から潤滑油が排出され、かつ遅角室39に潤滑油が供給され、かつ中間室62に潤滑油が供給される。これにより、バルブタイミングVTが遅角される。また、ロックピン61には収容方向ZBの力が作用する。
【0046】
第4モードのとき、進角室38に潤滑油が供給され、かつ遅角室39から潤滑油が排出され、かつ中間室62から潤滑油が排出される。これにより、バルブタイミングVTが進角される。また、ロックピン61には突出方向ZAの力が作用する。
【0047】
バルブタイミング可変機構30の動作について説明する。
進角要求があるとき、オイルコントロールバルブ42が第1モードに制御される。これにより、ベーンロータ35がハウジングロータ31に対して進角側である回転方向Xと同じ方向に回転する。すなわち、バルブタイミングVTは進角側に変化する。
【0048】
遅角要求があるとき、オイルコントロールバルブ42が第3モードに制御される。これにより、ベーンロータ35がハウジングロータ31に対して遅角側である回転方向Xとは反対方向に回転する。すなわち、バルブタイミングVTは遅角側に変化する。
【0049】
位相固定機構60の動作について説明する。
回転位相PXが中間角VTmdlに対応する特定の位相(以下、「中間位相PM」)にあり、かつ中間室62から潤滑油が排出されてロックピン61に対して突出方向ZAの力が作用しているとき、ロックピン61がロック穴64にはめ込まれる。
【0050】
一方、回転位相PXが中間位相PMにあり、かつ中間室62に潤滑油が供給されてロックピン61に対して収容方向ZBの力が作用しているとき、ロックピン61がロック穴64から離脱する。
【0051】
中間ロック制御およびロック解除制御の内容について説明する。
中間ロック制御では、内燃機関1がアイドル運転状態にあるとき、かつイグニッションスイッチの操作に基づいて機関停止要求を検出したとき、オイルコントロールバルブ42の動作モードを第1モード〜第3モードのいずれかから第4モードに変更する。これにより、回転位相PXが中間位相PMに移動するとともにロックピン61がロック穴64にはめ込まれる。これにより、回転位相PXが中間位相PMに固定される。以下では、ロックピン61がロック穴64にはめ込まれたバルブタイミング可変機構30の状態を「固定状態」とする。
【0052】
ロック解除制御では、機関始動開始後、オイルコントロールバルブ42の動作モードを第4モードから第1モード〜第3モードのいずれかに変更する。これにより、ロックピン61がロック穴64から離脱する。これにより、回転位相PXが中間位相PMの固定から解除される。以下では、ロックピン61がロック穴64から離脱した状態を「解除状態」とする。
【0053】
ところで、燃費およびエミッションの向上の観点からすると、機関始動開始後に早期にロック解除制御を行うことが望ましい。しかし、機関始動開始後かつ油温Tが低い状態のときにロック解除制御を実行した場合には次のことが懸念される。すなわち、ロック解除制御を実行した直後に機関停止要求が検出されたときには中間ロック制御が実行される。この中間ロック制御により、バルブタイミング可変機構30の動作状態(以下、「可変機構動作状態」)を固定状態とする動作が行われるものの、油温Tが低いことに起因して可変機構動作状態が固定状態とする前に内燃機関1の運転が停止してしまうこともある。この場合には、次回の機関始動時にバルブタイミング可変機構30が解除状態にあるため、始動性が十分に確保されない。
【0054】
そこでロック解除制御では、機関始動開始後に車両および内燃機関1の少なくとも一方の状態が停止予測状態と非停止予測状態とのいずれにあるかを判断し、その結果に基づいてロック解除制御を実行する時期を決定するためのロック解除判定処理を行う。なお、非停止予測状態は、機関停止が直ちに行われる可能性が低いと予測される状態である。また、停止予測状態とは、非停止予測状態ではない状態である。すなわち、機関停止が直ちに行われる可能性が高いと予測される状態である。
【0055】
このロック解除判定処理では、車両および内燃機関1の少なくとも一方の状態が停止予測状態にある旨判定したとき、ロック解除制御の実行を保留して、可変機構動作状態を固定状態に維持する。一方、車両および内燃機関1の少なくとも一方の状態が非停止予測状態にある旨判定したとき、ロック解除制御を実行して、可変機構動作状態を固定状態から解除状態に変更する。
【0056】
車速Vが「0km/h」よりも大きいとき、車速Vが「0km/h」のときと比較して、内燃機関1の運転が直ちに停止される可能性は低いと予測される。すなわち、可変機構動作状態を固定状態から解除状態に変更したとしても、可変機構動作状態を直ちに解除状態から固定状態に変更することが要求される可能性は低いと予測される。
【0057】
本実施形態では、機関始動開始後かつ車速Vが「0km/h」よりも大きいとき、可変機構動作状態を固定状態から解除状態に変更するため、同変更の直後に可変機構動作状態を解除状態から固定状態に変更することが要求される頻度は低くなる。すなわち、可変機構動作状態を固定状態から解除状態に変更したときの油温Tが低くても、可変機構動作状態を固定状態から解除状態に変更する頻度が低いため、油温Tが低いことに起因して可変機構動作状態を固定状態から解除状態に変更されないまま内燃機関1の運転が停止する頻度も低くすることができる。
【0058】
また上記のタイミングで可変機構動作状態を固定状態から解除状態に変更するため、すなわち油温Tが低いときにも可変機構動作状態が固定状態から解除状態に変更されるため、機関始動開始後に早期にバルブタイミングの変更が可能となる頻度を高くすることができる。
【0059】
図3を参照して、ロック解除判定処理の具体的な手順について説明する。本処理は、電子制御装置71(図1参照)により所定制御周期に繰り返し実行される。
ステップS10では、機関始動開始後か否かを判定する。機関始動の開始は、イグニッションスイッチの操作に基づいて判定する。
【0060】
ステップS10において機関始動開始後ではないとき、ステップS13において可変機構動作状態を固定状態に維持するための指令、すなわちオイルコントロールバルブ42の動作モードを第4モードに変更するための指令を出力する。
【0061】
ステップS10において機関始動開始後のとき、ステップS11において車速Vが「0km/h」よりも大きいか否かを判定する、すなわち、非停止予測状態か停止予測状態かを判断する。
【0062】
ステップS11において車速Vが「0km/h」よりも大きい旨判定したとき、すなわち非停止予測状態である旨判定したとき、ステップS12において可変機構動作状態を固定状態から解除状態に変更するための指令、すなわちオイルコントロールバルブ42の動作モードを第4モードから第1モードから第3モードのいずれかに変更するための指令を出力する。ここで、第1モード〜第3モードへの変更は、進角要求がある場合に第1モードに変更され、保持要求がある場合に第2モードに変更され、遅角要求がある場合に第3モードに変更される。一方、ステップS11において車速Vが「0km/h」である旨判定したとき、すなわち停止予測状態である旨判定したとき、ステップS13に移行する。
【0063】
図4を参照して、ロック解除判定処理の一実行態様について説明する。
時刻t10において、イグニッションスイッチの操作に基づいて内燃機関1の運転を停止する動作が開始される。このとき、機関停止要求が検出されたことに基づいて中間ロック制御が行われる。ここでは、中間ロック制御の実行によりバルブタイミングVTが中間角VTmdlに固定されたものとする。
【0064】
時刻t11において、イグニッションスイッチの操作に基づいて内燃機関1の運転を開始する動作が開始される。このとき、車速Vが「0km/h」であることに基づいて車両の状態が停止予測状態にある旨判定されるため、バルブタイミングVTは中間角VTmdlに固定された状態が維持される。このため、中間角VTmdlに固定されていないときよりも高い始動性のもとで機関始動が行われる。
【0065】
時刻t12において、内燃機関1の始動が完了する。このとき、車速Vは「0km/h」であることに基づいて車両の状態が停止予測状態にある旨判定されるため、バルブタイミングVTが中間角VTmdlに固定された状態が維持される。
【0066】
時刻t13において、車両の走行が開始される。このとき、車速Vが「0km/h」よりも大きいことに基づいて車両の状態が非停止予測状態にある旨判定されるため、ロック解除制御が実行される。これにより、このとき、可変機構動作状態が固定状態から解除状態に変更される。これにより、バルブタイミング可変機構30によりバルブタイミングVTが機関運転状態に応じて設定される。
【0067】
時刻t14において、車両の状態がアイドル状態となる。このとき、内燃機関1の運転状態がアイドル運転状態にあることに基づいてバルブタイミングVTが中間角VTmdlよりも所定量だけ遅角側のところに保持される。また、機関停止要求が検出されていないため、中間ロック制御は行われない。
【0068】
本実施形態では、以下の効果を奏することができる。
(1)本実施形態は、ロック解除制御において、機関始動開始後かつ車速Vが「0km/h」よりも大きい旨判定したときに可変機構動作状態を固定状態から解除状態に変更するため、油温Tが低いことに起因して可変機構動作状態を解除状態から固定状態に変更されないまま内燃機関1の運転が停止する頻度を少なくなる。
【0069】
また、ロック解除制御において、上記のタイミングで可変機構動作状態を固定状態から解除状態に変更するため、すなわち油温Tが低いときにも可変機構動作状態が固定状態から解除状態に変更されるため、機関始動開始後に早期にバルブタイミングVTの変更が可能となる頻度を高くすることができる。
【0070】
(2)本実施形態では、機関停止時に中間ロック制御を実行し、次に機関始動開始後にロック解除制御を実行する。これにより、バルブタイミングVTが中間角VTmdlに固定された状態で機関始動が行われる頻度が高くなるため、始動不良が生じる頻度を低減することができる。
【0071】
(第2実施形態)
図5および図6を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。以下では、第1実施形態と異なる点についての詳細を説明し、第1実施形態と共通する構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0072】
第1実施形態では、ロック解除制御において、車速Vが「0km/h」より大きいか否かに基づいて可変機構動作状態を固定状態から解除状態への変更を制御している。これに対して、本実施形態では、ロック解除制御において、車速Vの条件を変更するとともに油温Tに基づいて可変機構動作状態を固定状態から解除状態への変更を制御する。
【0073】
油温Tが低いときに可変機構動作状態を解除状態から固定状態に変更する要求が生じたとき、この要求に基づいて中間ロック制御を実行したとしても、油温Tが低いことに起因して可変機構動作状態が固定状態に変更されないまま内燃機関1の運転が停止する頻度が高い。また、機関始動開始後において油温Tが低いときに可変機構動作状態を固定状態から解除状態に変更した場合には、機関始動開始後において油温Tが高いときに可変機構動作状態を固定状態から解除状態に変更した場合と比較して、機関始動開始後のより早い時期にバルブタイミングVTの変更が可能となるため、燃費の向上等を図ることができる。
【0074】
そこで本実施形態では、車速Vが30km/hのときの可変機構動作状態を固定状態から解除状態に変更するための油温(以下、「判定油温TX」)を第1油温TX1に設定する。そして車速Vが30km/hよりも大きいときの判定油温TXを第1油温TX1よりも低い第2油温TX2に設定している(TX1>TX2)。
【0075】
そしてロック解除制御は、機関始動開始後、かつ車速Vが30km/hよりも大きいとき、かつ油温Tが第2油温TX2よりも高いとき、可変機構動作状態を固定状態から解除状態に変更し、また機関始動開始後、かつ車速Vが30km/hのとき、かつ油温Tが第1油温TX1よりも高いとき、可変機構動作状態を固定状態から解除状態に変更している。すなわち、車速Vが30km/hよりも大きいときには、車速Vが30km/h以下のときと比較して、より低い油温Tのときに可変機構動作状態が固定状態から解除状態に変更されるようにしている。
【0076】
また、油温Tは冷却水の温度に基づいて算出する。第1油温TX1は、中間ロック制御を実行しても可変機構動作状態が解除状態から固定状態に適切に変更される温度のうちの最も低い温度である。この第1油温TX1は実験等により予め設定される。
【0077】
第2油温TX2は、第1油温TX1よりも所定温度だけ低い温度、かつバルブタイミング制御が著しく不安定にならない温度である。この第2油温TX2は、実験等により予め設定される。
【0078】
図5を参照して、ロック解除判定処理の具体的な手順について説明する。本処理は、電子制御装置71(図1参照)により所定時間周期にて繰り返し実行される。
ステップS20では、機関始動開始後か否かを判定する。この判定は、第1実施形態のロック解除判定処理と同様である。
【0079】
ステップS20において機関始動開始後ではないとき、ステップS27において可変機構動作状態を固定状態に維持するための指令、すなわちオイルコントロールバルブ42の動作モードを第4モードに維持するための指令を出力する。
【0080】
ステップS20において機関始動開始後のとき、ステップS21において車速Vが30km/hよりも大きいか否かを判定する、すなわち、非停止予測状態か停止予測状態かを判定する。
【0081】
ステップS21において車速Vが30km/hよりも大きい旨判定したとき、すなわち非停止予測状態である旨判定したとき、ステップS22において油温Tが第2油温TX2以上か否かを判定する。
【0082】
ステップS22において油温Tが第2油温TX2以上のとき、ステップS23において可変機構動作状態を固定状態から解除状態に変更するための指令、すなわちオイルコントロールバルブ42の動作モードを第4モードから第1モードから第3モードのいずれかに変更するための指令を出力する。一方、ステップS22において油温Tが第2油温TX2を下回るとき、ステップS24において可変機構動作状態を固定状態に維持するための指令を出力する。
【0083】
ステップS21において車速Vが30km/h以下である旨判定したとき、すなわち停止予測状態である旨判定したとき、ステップS25において油温Tが第1油温TX1以上か否かを判定する。
【0084】
ステップS25において油温Tが第1油温TX1以上のとき、ステップS26において可変機構動作状態を固定状態から解除状態に変更するための指令を出力する。一方、ステップS25において油温Tが第1油温TX1よりも小さいとき、ステップS27に移行する。
【0085】
図6を参照して、ロック解除判定処理の一実行態様について説明する。
時刻t20において、イグニッションスイッチの操作に基づいて内燃機関1の運転を停止する動作が開始される。このとき、機関停止要求が検出されたことに基づいて中間ロック制御が行われる。ここでは、中間ロック制御の実行によりバルブタイミングVTは中間角VTmdlに固定されたものとする。
【0086】
時刻t21において、イグニッションスイッチの操作に基づいて内燃機関1の運転を開始する動作が開始される。このとき、車速Vが30km/h以下であることに基づいて停止予測状態にある旨判定されるため、バルブタイミングVTが中間角VTmdlに固定された状態が維持される。このため、バルブタイミングVTが中間角VTmdlに固定されていないときよりも高い始動性のもとで機関始動が行われる。
【0087】
時刻t22において、機関始動が完了する。このとき、車速Vは30km/hよりも小さいことに基づいて停止予測状態である旨判定されるため、判定油温TXが第1油温TX1に設定される。そしてこのときの油温Tは、第1油温TX1を下回るため、バルブタイミングVTは中間角VTmdlに維持される。
【0088】
時刻t23において、油温Tが第2油温TX2に到達する。このとき、車速Vは30km/h以下であることに基づいて停止予測状態である旨判定されるため、判定油温TXが第1油温TX1に維持される。そして、このときの油温Tは第1油温TX1を下回るため、バルブタイミングVTは中間角VTmdlに維持される。
【0089】
時刻t24において、車両の走行が開始される。このとき、車速Vが30km/hよりも大きくなることに基づいて、判定油温TXが第1油温TX1から第2油温TX2に変更される。そしてこのときの油温Tは、第2油温TX2以上であるため、ロック解除制御が実行される。これにより、可変機構動作状態が固定状態から解除状態に変更される。そしてバルブタイミングVTが機関運転状態に応じて設定される。そして時刻t24以降では、機関停止要求が検出されていないため、可変機構動作状態が解除状態に維持される。このようにロック解除判定処理では、油温Tが第1油温TX1に達する時刻t25よりも前に可変機構動作状態を固定状態から解除状態に変更されている。
【0090】
本実施形態では、第1実施形態の効果(2)に加え以下の効果を奏することができる。
(1)本実施形態では、ロック解除制御において、機関始動開始後かつ車速Vが30km/hよりも大きい旨判定したときには、判定油温TXを第1油温TX1よりも低い第2油温TX2に変更する。そしてそのときの油温Tが第2油温TX2以上のとき、可変機構動作状態を固定状態から解除状態に変更する。したがって、機関始動開始後に早期に可変機構動作状態を固定状態から解除状態に変更する頻度を高くすることができる。
【0091】
またロック解除制御において、機関始動開始後かつ車速Vが30km/h以下である旨判定したときには、判定油温TXを第1油温TX1とする。そしてそのときの油温Tが第1油温TX1を下回るとき、可変機構動作状態を固定状態に維持する。したがって、可変機構動作状態が解除状態から固定状態に変更されないまま内燃機関1の運転が停止する頻度を低くすることができる。
【0092】
(第3実施形態)
図7を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。以下では、第1実施形態と異なる点についての詳細を説明し、第1実施形態と共通する構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0093】
第1実施形態では、ロック解除制御において、車速Vが「0km/h」より大きいか否かに基づいて停止予測状態か否かを判定している。これに対して、本実施形態では、ロック解除制御において、油温Tに応じて停止予測状態の条件を変更している。
【0094】
本実施形態のロック解除制御では、油温Tが低いときの停止予測状態を判定するための判定条件(以下、「停止予測判定条件」)を油温Tが高いときの停止予測判定条件よりも成立しやすいものを用いている。すなわち、油温Tが低いときには停止予測状態である旨判定される頻度が高くなるように停止予測判定条件の内容を変更している。したがって、機関停止時に可変機構動作状態が解除状態から固定状態に変更されることなく内燃機関1が停止する頻度を低くすることができる。
【0095】
また、油温Tが高いときの停止予測判定条件を油温Tが低いときの停止予測判定条件よりも成立しにくいものを用いている。すなわち、油温Tが高いときには停止予測状態である旨判定される頻度が低くなるように停止予測判定条件の内容を変更している。したがって、機関始動開始後に可変機構動作状態が固定状態から解除状態に速やかに変更される頻度を高くしている。
【0096】
ロック解除制御は、具体的には以下の油温Tに応じて判定条件1〜判定条件3を設定している。そして油温Tに対応した判定条件を満たしたとき、停止予測状態である旨判定する。なお、第1基準油温T1および第2基準油温T2は、実験等により予め設定される。
【0097】
(A)油温Tが最も低い第1基準油温T1よりも低いとき、判定条件1に設定する。判定条件1では、車速Vが「0km/h」であることを条件とする。
(B)油温Tが第1基準油温T1以上かつ第2基準油温T2よりも低いとき、判定条件2に設定する。判定条件2では、車速Vが「0km/h」であることおよびシフトポジションがパーキングPであることを条件とする。
【0098】
(C)油温Tが第2基準油温T2以上かつ第3基準油温T3よりも低いとき、判定条件3に設定する。判定条件3では、車速Vが「0km/h」であること、シフトポジションがパーキングPであることおよびシフトブレーキが作動していることを条件とする。
【0099】
また、油温Tが第3基準油温T3以上のとき、停止予測状態である旨を判定しない。すなわち、油温Tが第3基準油温T3以上に基づいて可変機構動作状態を固定状態から解除状態に変更する。なお、第3基準油温T3は、中間ロック制御を実行しても可変機構動作状態が解除状態から固定状態に適切に変更される温度のうちの最も低い温度である。この第3基準油温T3は実験等により予め設定される。
【0100】
次にロック解除判定処理の具体的な手順について説明する。本処理は、電子制御装置71により所定時間周期にて繰り返し実行される。
ステップS30において、機関始動開始後か否かを判定する。この判定は、第1実施形態のロック解除判定処理と同様である。
【0101】
ステップS30において機関始動開始後ではないとき、ステップS33において可変機構動作状態を固定状態に維持するための指令、すなわちオイルコントロールバルブ42の動作モードを第4モードに維持するための指令を出力する。
【0102】
ステップS30において機関始動開始後のとき、ステップS31以降の処理を行う。
すなわち、ステップS31において油温Tが第1基準油温T1以上か否かを判定する。ステップS31において油温Tが第1基準油温T1より低い旨判定したとき、ステップS32において判定条件1を満たすか否かを判定する。
【0103】
ステップS32において判定条件1を満たす旨判定したとき、すなわち停止予測状態である旨判定したとき、ステップS33に移行する。
ステップS32において判定条件1を満たさない旨判定したとき、すなわち非停止予測状態である旨判定したとき、ステップS34において可変機構動作状態を固定状態から解除状態に変更するための指令、すなわちオイルコントロールバルブ42の動作モードを第4モードから第1モードから第3モードのいずれかに変更するための指令を出力する。
【0104】
ステップS31において油温Tが第1基準油温T1以上である旨判定したとき、ステップS35において油温Tが第2基準油温T2以上か否かを判定する。ステップS35において油温Tが第2基準油温T2よりも低い旨判定したとき、ステップS36において判定条件2を満たすか否かを判定する。
【0105】
ステップS36において判定条件2を満たすとき、すなわち停止予測状態である旨判定したとき、ステップS37において可変機構動作状態を固定状態に維持するための指令を出力する。
【0106】
ステップS36において判定条件2を満たしていない旨判定したとき、すなわち非停止予測状態である旨判定したとき、ステップS38において可変機構動作状態を固定状態から解除状態に変更するための指令を出力する。
【0107】
ステップS35において油温Tが第2基準油温T2以上である旨判定したとき、ステップS39において油温Tが第3基準油温T3以上か否かを判定する。ステップS39において油温Tが第3基準油温T3よりも低い旨判定したとき、ステップS40において判定条件3を満たすか否かを判定する。
【0108】
ステップS40において判定条件3を満たしているとき、すなわち停止予測状態である旨判定したとき、ステップS41において可変機構動作状態を固定状態に維持するための指令を出力する。
【0109】
ステップS40において判定条件3を満たしていないとき、すなわち非停止予測状態である旨判定したとき、ステップS42において可変機構動作状態を固定状態から解除状態に変更するための指令を出力する。ステップS39において油温Tが第3基準油温T3以上である旨判定したとき、停止予測状態か否かを判定せずにステップS42に移行する。
【0110】
本実施形態では、第1実施形態の効果(2)に加え以下の効果を奏することができる。
(1)本実施形態では、油温Tが低いときの停止予測判定条件を油温Tが高いときの停止予測判定条件よりも成立しやすいものを用いている。これにより、機関始動開始後に可変機構動作状態が固定状態から解除状態に速やかに変更される頻度を高くすることができる。また、油温Tが高いときの停止予測判定条件を油温Tが低いときの停止予測判定状態よりも成立しにくいものを用いている。これにより、可変機構動作状態が解除状態から固定状態に変更されることなく内燃機関1が停止する頻度を低くすることができる。
【0111】
(第4実施形態)
図8を参照して、本発明の第4実施形態について説明する。以下では、第2実施形態と異なる点についての詳細を説明し、第2実施形態と共通する構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0112】
第2実施形態では、ロック解除制御において、車速Vに基づいて判定油温TXを変更していた。これに対して、本実施形態では、そのときどきの油温Tに対して可変機構動作状態を固定状態から解除状態に変更するための車速Vを変更する。
【0113】
本実施形態のロック解除制御では、油温Tが高いときの非停止予測状態と判定する判定条件(以下、「非停止予測判定条件」)を油温Tが低いときの非停止予測判定条件よりも成立しやすいものを用いている。すなわち油温Tが高いときには非停止予測状態である旨判定される頻度が高くなるように非停止予測判定条件の内容を変更している。したがって、機関始動開始後に可変機構動作状態が固定状態から解除状態に速やかに変更される頻度を高くすることができる。
【0114】
また、油温Tが低いときの非停止予測判定条件を油温Tが高いときの非停止予測判定条件よりも成立しにくいものを用いている。すなわち、油温Tが高いときには、非停止予測状態である旨判定される頻度が低くなるように非停止予測判定条件の内容を変更している。したがって、機関停止時に可変機構動作状態が解除状態から固定状態に変更されることなく内燃機関1が停止する頻度を低くすることができる。
【0115】
次にロック解除判定処理の具体的な手順について説明する。本処理は、電子制御装置71により所定時間周期にて繰り返し実行される。
ステップS50において、機関始動開始後か否かを判定する。この判定は、第1実施形態のロック解除判定処理と同様である。
【0116】
ステップS50において機関始動開始後ではないとき、ステップS57においてバルブタイミング可変機構30の動作状態を固定状態に維持するための指令、すなわちオイルコントロールバルブ42の動作モードを第4モードに維持するための指令を出力する。
【0117】
ステップS50において機関始動開始後のとき、ステップS51以降の処理を行う。
すなわちステップS51において油温Tが予め設定された判定油温TY以上か否かを判定する。この判定油温TYは、機関停止時において油温Tが中間ロックを行うために適した油温よりも低い油温であるとともに、実験等により予め設定されている。
【0118】
ステップS51において油温Tが判定油温TYよりも小さい旨判定したとき、ステップS52において車速Vが予め設定された第1基準速度V1以上か否かを判定する。そして車速Vが第1基準速度V1以上である旨判定したとき、ステップS53において可変機構動作状態を固定状態から解除状態に変更するための指令、すなわちオイルコントロールバルブ42の動作モードを第4モードから第1モードから第3モードのいずれかに変更するための指令を出力する。
【0119】
ステップS52において車速Vが第1基準速度V1より小さい旨判定したとき、ステップS54において可変機構動作状態を固定状態に維持するための指令を出力する。
ステップS51において油温Tが判定油温TY以上である旨判定したとき、ステップS55において車速Vが予め設定された第2基準速度V2(<第1基準速度V1)以上か否かを判定する。ステップ55において車速Vが第2基準速度V2以上である旨判定したとき、ステップS56において可変機構動作状態を固定状態から解除状態に切り替えるための指令を出力する。一方、ステップS55において車速Vが第2基準速度V2よりも小さい旨判定したとき、ステップS57において可変機構動作状態を固定状態に維持するための指令を出力する。
【0120】
本実施形態では、第1実施形態の効果(2)に加え以下の効果を奏することができる。
(1)本実施形態では、ロック解除制御において、油温Tが判定油温TY以上のとき、かつ車速Vが第1基準速度V1よりも低い第2基準速度V2以上のとき、可変機構動作状態を固定状態から解除状態に変更する。これにより、機関始動開始後に可変機構動作状態が固定状態から解除状態に速やかに変更される頻度を高くすることができる。また油温Tが判定油温TYよりも低いとき、かつ車速Vが第1基準速度V1以上のとき、可変機構動作状態を固定状態から解除状態に変更する。これにより、可変機構動作状態が解除状態から固定状態に変更されることなく内燃機関1が停止する頻度を低くすることができる。
【0121】
(その他の実施形態)
本発明の内燃機関の可変動弁装置の具体的な構成は、上記各実施形態に例示した構成に限定されることなく、例えば以下のように変更することもできる。また以下の変形例は、上記各実施形態についてのみ適用されるものではなく、異なる変形例同士を互いに組み合わせて実施することもできる。
【0122】
・第1実施形態では、ロック解除判定処理において車速Vが「0km/h」よりも大きいことに基づいて非停止予測状態であると判定したが、非停止予測状態はこれに限られない。例えば、以下の条件(A)または(B)が成立したことに基づいて中間ロックを解除することもできる。また、車速Vが「0km/h」よりも大きいこと(以下、条件(C))、条件(A)および条件(B)の少なくとも一方を満たすことを条件とすることもできる。
(A)シフトポジションがドライブDに設定されていること
(B)シフトブレーキが解除されていること
また、非停止予測状態として、条件(A)および条件(B)の両方を満たすこと、条件(A)および条件(C)の両方を満たすこと、条件(B)および条件(C)の両方を満たすことを条件とすることもできる。加えて、条件(A)および条件(B)の一方を満たすこと、条件(A)および条件(C)の一方を満たすこと、および条件(B)および条件(C)の一方を満たすことを条件とすることもできる。
【0123】
・また、条件(A)に代えて、シフトポジションがパーキングP以外に設定されていることを条件とすることもできる。
・第1実施形態では、ロック解除判定処理において車速Vが「0km/h」であることに基づいて停止予測状態である旨判定したが、停止予測状態である旨判定する条件はこれに限られない。例えば、停止予測状態として以下の条件(a)または(b)のいずれかとすることもできる。また、シフトポジションがパーキングPであること(以下、条件(c))、条件(a)および条件(c)の少なくとも一方を満たすことを条件とすることもできる。
(a)車速Vが「0km/h」であること
(b)パーキングブレーキが作動されていること
また、停止予測状態として、条件(a)および条件(b)の両方を満たすこと、条件(a)および条件(c)の両方を満たすこと、条件(b)および条件(c)の両方を満たすことを条件とすることもできる。加えて、条件(a)および条件(b)の一方を満たすこと、条件(a)および条件(c)の一方を満たすこと、および条件(b)および条件(c)の一方を満たすことを条件とすることもできる。
【0124】
・また、手動変速機の場合には、シフトポジションをパーキングPに代えてニュートラルNであることを条件に停止予測状態である旨判定することもできる。
・第2実施形態において、ロック解除判定処理は図5に示すように第1油温TX1および第2油温TX2に基づいて可変機構動作状態を固定状態から解除状態に変更したが、油温Tはこれに限定されることはない。例えば、車速Vの閾値を複数設定するとともに、その閾値に対応する油温Tの基準温度を設定することもできる。また例えば、車速Vが増大するにつれて油温Tの基準温度が減少する関係のマップを予め用意しておくとともにマップを用いることにより、そのときどきの車速Vから同基準温度を設定することもできる。
【0125】
・第1および第2実施形態において、ロック解除判定処理は車速Vが「0km/h」よりも大きいことを条件に可変機構動作状態の固定状態から解除状態への変更(第1実施形態)または可変機構動作状態を固定状態から解除状態に変更するための油温Tの変更(第2実施形態)を行ったが車速Vの閾値である所定速度はこれに限られない。車速Vの所定速度は、「0km/h」を超える値であれば、どのような値にしてもよい。
【0126】
・第1および第2実施形態において、ロック解除判定処理において車速Vが「0km/h」よりも大きいか否かの判定に代えて、シフトポジションがパーキングPであるか否かの判定とすることもできる。
【0127】
具体的には、停止予測状態であるとき、すなわちシフトポジションがパーキングPである場合、第1実施形態では可変機構動作状態の固定状態の維持するための指令を出力する。また第2実施形態では第1油温TX1を維持する。
【0128】
一方、非停止予測状態であるとき、すなわちシフトポジションがパーキングP以外である場合、第1実施形態では、可変機構動作状態を固定状態から解除状態に変更するための指令を出力する。また第2実施形態では第1油温TX1から第2油温TX2に変更する。
【0129】
・第2実施形態では、車速Vが「30km/h」よりも大きいときに非停止予測状態である旨判定し、車速Vが「30km/h」以下のときに停止予測状態である旨判定したが、車速Vが「30km/h」以上であるときに非停止予測状態である旨判定し、車速Vが「30km/h」よりも小さいときに停止予測状態である旨判定することもできる。
【0130】
・第2実施形態では、車速Vが「30km/h」よりも大きいか否かに基づいて停止予測状態か非停止予測状態かを判定したが、車速Vの判定値となる所定速度はこれに限られない。例えば、車速Vは「30km/h」よりも小さくてもよい。要するに、車速Vが「0km/h」よりも大きい所定速度であればよい。
【0131】
・第3実施形態では、ロック解除判定処理において停止予測判定条件を油温Tに応じて変更したが、非停止予測判定条件を油温Tに応じて変更してもよい。この場合、油温Tが低くなるにつれて非停止予測判定条件が厳しくなる。すなわち非停止予測判定条件の数が多くなる。具体的には、第1基準油温T1においては、車速Vが「0km/h」よりも大きいこと、シフトポジションがドライブDにあることおよびシフトブレーキが解除されていることの全てを満たしたとき、非停止予測状態とする。第2基準油温T2においては、シフトポジションがドライブDにあることおよびシフトブレーキが解除されていることの両方を満たしたとき、非停止予測状態とする。第3基準油温T3においては、シフトポジションがドライブDにあることを満たしたとき、非停止予測状態とする。
【0132】
・第3実施形態では、ロック解除判定処理において停止予測判定条件の数を油温Tに応じて変更したが、停止予測状態の条件の種類を変更することもできる。すなわち、油温Tが第1基準油温T1のときには停止予測判定条件として車速Vが「0km/h」であること、油温Tが第2基準油温T2のときには停止予測判定条件としてシフトブレーキが作動していること、および油温Tが第3基準油温T3のときには停止予測判定条件としてシフトポジションがパーキングPであることとする。
【0133】
・また、ロック解除判定処理において停止予測状態に代えて非停止予測状態とするとともに、油温Tに応じて非停止予測判定条件の種類を変更することもできる。すなわち、油温Tが第1基準油温T1のときには非停止予測判定条件として車速Vが「0km/h」より大きいこと、油温Tが第2基準油温T2のときには非停止予測判定条件としてシフトブレーキが解除されていること、および油温Tが第3基準油温T3のときには非停止予測判定条件としてシフトポジションがドライブDであることとする。
【0134】
・上記各実施形態では、バルブタイミング可変機構30は1つのロックピン61によりハウジングロータ31とベーンロータ35とを含む構成であったが、同可変機構30の構成はこれに限られない。例えば、2つのロックピン61によりハウジングロータ31とベーンロータ35とを固定する位相固定機構60を有する構成とすることもできる。
【0135】
・上記各実施形態では、ロックピン61をベーンロータ35に設け、ロック穴64をハウジングロータ31に設ける構成としたが、これに代えてロックピン61をハウジングロータ31に設けるとともにロック穴64をベーンロータ35に設ける構成としてもよい。
【0136】
・上記各実施形態では、ロックピン61の突出方向ZAおよび収容方向ZBをベーンロータ35の回転軸の軸線と同じ方向に設定しているが、ロックピン61の配置態様はこれに限られるものではない。例えば、ロックピン61の突出方向ZAおよび収容方向ZBをハウジングロータ31の径方向に設定することもできる。この場合には、ロックピン61と対応するようにロック穴64の形成位置も変更される。
【0137】
・上記各実施形態では、位相固定機構60はロックピン61とこれに係合するロック穴64とを含む。しかし、これに代えて、ベーンロータ35に設けられて進角室38側に突出可能に設けられたロックピン61と、遅角室39に設けられてハウジングロータ31を遅角側に押すばねを含めてもよい。位相固定機構60は、進角室38および遅角室39および中間室62に潤滑油が充填されていないとき、ばねの力によりベーンロータ35が遅角側に押されるとともにロックピン61が突出する。ロックピン61は、進角室38の端面に当たることによりばねの力に抗してベーンロータ35を中間位相PMに維持する。
【0138】
・上記各実施形態では、バルブタイミング可変機構30と位相固定機構60とを1つのオイルコントロールバルブ42により制御しているが、両機構を個別のオイルコントロールバルブにより制御することもできる。
【0139】
・上記各実施形態では、油温Tを冷却水の温度に基づいて算出したが、油温Tの取得方法はこれに限られない。例えばトランスミッションの潤滑油の温度および吸気温に基づいて推定することもできる。また、油温Tを潤滑油温度センサにより直接測定することもできる。
【0140】
・上記各実施形態では、ロック解除判定処理において、機関始動を開始したか否かを判定したが、この機関始動の開始の判定に代えて機関始動を完了したか否かを判定することもできる。
【0141】
・上記各実施形態では、中間ロック制御によって可変機構動作状態を解除状態から固定状態に変更したが、中間ロック制御以外にアイドル運転要求があることに基づいて、可変機構動作状態を解除状態から固定状態に変更することもできる。このとき、アイドル運転状態は、車両が停止した状態かつ機関負荷が低負荷の状態である。
【0142】
・上記各実施形態では、バルブタイミング可変機構30はバルブタイミングVTを中間角VTmdlで固定したが、バルブタイミングVTを最進角VTmaxで固定する、あるいはバルブタイミングVTを最遅角VTminで固定することもできる。
【0143】
・上記各実施形態では、バルブタイミング可変機構30は、吸気バルブ21のバルブタイミングVTを変更したが、排気バルブ23のバルブタイミングVTを変更することもできる。加えて、吸気バルブ21および排気バルブ23の両方のバルブタイミングを変更することもできる。
【符号の説明】
【0144】
1…内燃機関、10…機関本体、11…シリンダブロック、12…シリンダヘッド、13…オイルパン、14…燃焼室、15…クランクシャフト、20…可変動弁装置、21…吸気バルブ(機関バルブ)、22…吸気カムシャフト、23…排気バルブ(機関バルブ)、24…排気カムシャフト、30…バルブタイミング可変機構、31…ハウジングロータ(入力回転体)、32…ハウジング本体、32A…区画壁、33…スプロケット、34…カバー、35…ベーンロータ(出力回転体)、36…ベーン、37…ベーン収容室、38…進角室、39…遅角室、40…潤滑装置、41…オイルポンプ、42…油圧制御装置、50…潤滑通路、60…位相固定機構、61…ロックピン、62…中間室、63…ロックばね、64…ロック穴、70…制御装置、71…電子制御装置、72…冷却水温センサ、73…車速センサ、74…シフトポジションセンサ、75…クランクポジションセンサ、76…カムポジションセンサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機関弁としての吸気弁および排気弁の少なくとも一方のバルブタイミングを変更する油圧式のバルブタイミング可変機構と、このバルブタイミング可変機構を構成する入力回転体および出力回転体の相対的な回転位相を特定位相に固定する位相固定機構とを備える内燃機関の可変動弁装置において、
前記回転位相が前記特定位相に固定された前記バルブタイミング可変機構の動作状態を固定状態とし、前記回転位相が前記特定位相に固定されていない前記バルブタイミング可変機構の動作状態を解除状態として、
機関始動開始後かつ車速が所定速度よりも大きいとき、前記バルブタイミング可変機構の動作状態を前記固定状態から前記解除状態に変更する
ことを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
【請求項2】
機関弁としての吸気弁および排気弁の少なくとも一方のバルブタイミングを変更する油圧式のバルブタイミング可変機構と、このバルブタイミング可変機構を構成する入力回転体および出力回転体の相対的な回転位相を特定位相に固定する位相固定機構とを備える内燃機関の可変動弁装置において、
前記回転位相が前記特定位相に固定された前記バルブタイミング可変機構の動作状態を固定状態とし、前記回転位相が前記特定位相に固定されていない前記バルブタイミング可変機構の動作状態を解除状態とし、前記バルブタイミング可変機構の作動油の温度を油温として、
機関始動開始後かつ車速が所定速度よりも小さいときには、前記油温が所定油温よりも高いときに前記バルブタイミング可変機構の動作状態を前記固定状態から前記解除状態に変更し、
前記車速が前記所定速度よりも大きいときには、前記油温が前記所定油温よりも低いときでも前記バルブタイミング可変機構の動作状態を前記固定状態から前記解除状態に変更する
ことを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
【請求項3】
機関弁としての吸気弁および排気弁の少なくとも一方のバルブタイミングを変更する油圧式のバルブタイミング可変機構と、このバルブタイミング可変機構を構成する入力回転体および出力回転体の相対的な回転位相を特定位相に固定する位相固定機構とを備える内燃機関の可変動弁装置において、
前記回転位相が前記特定位相に固定された前記バルブタイミング可変機構の動作状態を固定状態とし、前記回転位相が前記特定位相に固定されていない前記バルブタイミング可変機構の動作状態を解除状態とし、前記バルブタイミング可変機構の作動油の温度を油温とし、機関停止が直ちに行われる可能性が高いと予測される状態を停止予測状態とし、機関停止が直ちに行われる可能性が低いと予測される状態を非停止予測状態として、
機関始動開始後かつ前記停止予測状態にあるときには、前記油温が所定油温よりも高いときに前記バルブタイミング可変機構の動作状態を前記固定状態から前記解除状態に変更し、
機関始動開始後かつ前記非停止予測状態にあるときには、前記油温が前記所定油温よりも低いときでも前記バルブタイミング可変機構の動作状態を前記固定状態から前記解除状態に変更する
ことを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
【請求項4】
請求項3に記載の内燃機関の可変動弁装置において、
前記非停止予測状態は、変速機のシフトポジションがドライブにあること、およびシフトブレーキが解除されていること、および車速が所定速度よりも大きいことの少なくとも1つを満たす状態である
ことを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−256771(P2011−256771A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−131502(P2010−131502)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】