説明

内燃機関の排気ガス処理方法及び装置

【課題】アーリポスト噴射後、前段酸化触媒が活性温度に達するまでの間に、未燃HC成分が外部に大量に放出されるのを防止する。
【解決手段】オイル通路72に設けられた可変絞り機構77の絞り開度を低下されるか、又は可変絞り機構77の下流側に設けられた油圧センサ78で検出する油圧レベルの設定値を上げることによって、アーリポスト噴射開始時tまでにオイル循環ポンプ74の動力を増大させる。これによって、ディーゼル機関10の負荷を増大させ、前段酸化触媒昇温ステージにおける排気ガス昇温勾配を増大させることにより、前段酸化触媒50が活性温度に到達するまでに外部に放出される未燃HC成分を抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関、特に、例えばフォークリフト等の駆動機関に適用されるディーゼル機関の排気ガス通路に、前段酸化触媒と粒子状物質を捕集するフィルタとを備えた排ガス処理方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼル機関の排気ガス規制では、NO低減と同様に重要なのが粒子状物質(PM;Particulate Matter。以下「PM」と言う。)の低減である。排気ガスからPMを除去する有効な手段として、DPFフィルタ(Diesel Particulate Filter)と称されるフィルタを用いたPM捕集手段が知られている。
DPFは、排気ガス温度が低い運転状態では、DPFにPMが溜まり続けるので、排気ガスの温度を強制的に上昇させて、PMを燃焼除去する強制再生を行なう必要がある。
【0003】
この強制再生工程を図11及び図12により説明する。DPFフィルタの上流側排気ガス通路には、前段酸化触媒(DOC;Diesel Oxidation Catalyst)が設けられる。
図11に示すように、燃焼シリンダに燃.料が主噴射され、主噴射された燃料が燃焼してエンジン出力を発生する。主噴射後、燃料がアーリポスト噴射される。図12に示すように、アーリポスト噴射は、強制再生工程の開始時点t1で行なわれる。アーリポスト噴射された燃料は、燃焼シリンダ内の高温雰囲気で燃焼し、この燃焼で生じた高温により、前段酸化触媒が活性温度(例えば250℃以上)まで昇温される。
【0004】
次に、下死点の手前(図12中、t2の時点)でさらに燃料をレイトポスト噴射する。レイトポスト噴射された燃料は、活性化された前段酸化触媒の触媒作用で酸化され、その時発生する反応熱で排気ガスの温度を例えば600℃以上に昇温する。排気ガスの温度を600℃以上にすることで、DPFフィルタで捕集されたPMが燃焼し、DPFフィルタから除去される。
【0005】
特許文献1には、ディーゼル機関の排気ガス通路に前段酸化触媒及びDPFフィルタ装置を備え、排気ガス中のPMをDPFフィルタ装置で捕集すると共に、捕集されたPMを前述の手段で強制再生する排気ガス浄化装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−29092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
かかる排ガス処理装置では、図12に示すように、前段酸化触媒昇温ステージにおいて、燃料をアーリポスト噴射した後、前段酸化触媒を活性温度以上に昇温させるまでに、大量の未燃HC成分がマフラー出口から放出される場合がある。即ち、ディーゼル機関が低温環境にある場合や、低負荷運転の時に、排気ガス温度が低い状態となる。
【0008】
このような場合、前段酸化触媒が活性温度まで昇温されるまでに時間がかかり、その間に大量の未燃HC成分がマフラー出口から放出されてしまうという問題がある。特に、オペレータが、ディーゼル機関をアイドリング状態として、手動で行なう強制再生時に、排気ガス温度が低く、未燃HC成分が大量に放出されてしまう。
【0009】
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、内燃機関の排気ガス通路に前段酸化触媒及びDPFフィルタを設けて、排気ガス中のPMを除去する排ガス処理装置において、アーリポスト噴射後、前段酸化触媒が活性温度に達するまでの間に、未燃HC成分が外部に大量に放出されるのを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成するため、本発明の内燃機関の排気ガス処理方法は、
内燃機関から排出された排気ガス中の粒子状物質をフィルタで捕集する捕集工程と、燃料をポスト噴射し、前段酸化触媒で排気ガスを粒子状物質の燃焼温度まで昇温させ、昇温した排気ガスで前記フィルタに捕集された粒子状物質を燃焼除去する強制再生工程と、からなる内燃機関の排気ガス処理方法において、
前記強制再生工程の開始時までに、捕機動力を増大させて内燃機関の負荷を増大させる負荷増大ステップと、
増大した負荷により強制再生工程における排気ガスの昇温勾配を増大させ、前記前段酸化触媒が活性温度に達するまでに放出される未燃炭化水素量を低減する排気ガス昇温ステップと、からなるものである。
【0011】
本発明方法では、フィルタの強制再生工程開始時点までに、内燃機関の捕機動力を増大させて内燃機関の負荷を増大させるようにする。これによって、内燃機関の燃料噴射量を増大させ、該再生工程での排気ガスの昇温勾配を増大させることができるため、前段酸化触媒が活性温度に達するまでに放出される未燃HC成分を低減できる。
なお、内燃機関の通常運転時には、前記負荷増大ステップを行なわないので、捕機動力を低減した低燃費運転が可能になる。
【0012】
本発明方法において、前記負荷増大ステップが、内燃機関の潤滑油通路に絞りを設けて潤滑油の流動抵抗を増大させ、これによって、潤滑油循環ポンプの動力を増大させるものであるとよい。
これによって、既設の内燃機関の潤滑油循環系統に、可変絞り機構の付設等、小規模な改造を加えただけで、本発明方法を実施できるようになり、改造費が安価で済む。
【0013】
強制再生工程が、内燃機関がアイドリング状態を含む低負荷運転状態である時に、オペレータのマニュアル操作で行なわれるものであるとき、本発明方法により強制再生工程を実施することにより、未燃HC成分の放出を低減できる。
【0014】
前記本発明方法の実施に直接使用可能な本発明の内燃機関の排気ガス処理装置は、
内燃機関の排気ガス通路に前段酸化触媒及びフィルタを備え、排気ガス中の粒子状物質を該フィルタで捕集すると共に、燃料をポスト噴射し、該前段酸化触媒で排気ガスを粒子状物質の燃焼温度まで昇温させ、昇温した排気ガスで前記フィルタに捕集された粒子状物質を燃焼除去する内燃機関の排気ガス処理装置において、
捕機動力を増大させて内燃機関の負荷を増大させる負荷増大手段と、該負荷増大手段を制御するコントローラと、を備え、
該コントローラによって該負荷増大手段を制御して、前記ポスト噴射の開始時までに捕機動力を増大させることにより、内燃機関の負荷を増大させるように構成したものである。
【0015】
本発明装置では、ポスト噴射の開始時(強制再生工程の開始時)までに、内燃機関の負荷を増大させて、強制再生工程における排気ガスの昇温勾配を増大させ、前記前段酸化触媒が活性温度に達するまでに放出される未燃炭化水素量を低減できる。また、内燃機関の通常運転時には、捕機動力を低減した低燃費運転が可能になる。
【0016】
本発明装置において、前記負荷増大手段が、内燃機関の潤滑油通路に設けられた可変絞り機構と、該可変絞り機構の下流側潤滑油通路に設けられた油圧センサと、を備え、前記コントローラが、該可変絞り機構で潤滑油通路の開度を絞って潤滑油の流動抵抗を増大させながら、該油圧センサで検出する油圧レベルを設定値以上に維持するように潤滑油循環ポンプの動力を増大させるものであるとよい。
これによって、既設の内燃機関の潤滑油循環系統に、可変絞り機構及び油圧センサの付設等、小規模な改造を加えただけでよく、改造費が安価で済む。
【0017】
本発明装置において、油圧センサで検出される油圧レベルの設定値を潤滑油通路の開度を絞らないときの油圧レベルに維持するようにするとよい。これによって、該油圧レベルを変えず、可変絞り機構の絞り開度を低下させながら、内燃機関が適正な負荷をなったところで、該絞り開度を固定すればよい。そのため、コントローラによる絞り開度の選択が容易になる。
この操作を行なう場合、可変絞り機構は、2段階の開度制御のみが可能な簡単な構成の可変絞り機構を用いることができ、低コストとなる。
【0018】
本発明装置において、潤滑油通路の潤滑油の油温を検出する油温センサを備え、前記コントローラが、該油温センサの検出値に応じて前記油圧レベルの設定値を変えるか、又は該油温センサの検出値に応じて前記可変絞り機構の絞り開度を調整するものであるとよい。
潤滑油は、油温によって粘度が異なり、粘度が異なると、流動抵抗が異なる。内燃機関が低温環境にある場合、潤滑油の粘度が増大し、流動抵抗が増大して、油圧が高くなる。そのため、低温環境では、通常より設定油圧レベルを高くして内燃機関の負荷を増大させる必要がある。高温環境にある場合は、逆に、設定油圧レベルを低下させても、内燃機関の負荷を増大できる。
【0019】
潤滑油の油温によって、設定油圧レベルを調整する代わりに、可変絞り機構の潤滑油通路の絞り開度を調整するようにしてもよい。このように、潤滑油の油温によって設定油圧レベル又は潤滑油通路の絞り開度を調整することにより、内燃機関の負荷を適切な負荷とし、これによって、前段酸化触媒昇温ステージにおける前段酸化触媒の昇温勾配を増大させて、未燃HC成分の放出を抑制できる。
【0020】
本発明装置において、前記コントローラが、前段酸化触媒を通過する排気ガスの空間速度(排気ガスの流量(m/h)/前段酸化触媒充填体積(m))を求め、該空間速度と前段酸化触媒の反応速度とから前段酸化触媒の出口排気ガス温度を推定し、この推定値と該出口排気ガス温度とを比較して前段酸化触媒の劣化度を判定するものであってもよい。
前段酸化触媒は、経年劣化が生じ、それによって酸化機能が劣化し、初期の温度まで排気ガスを昇温できなくなる。そのため、前段酸化触媒が劣化した場合、前段酸化触媒に流入する排気ガスの温度を上げるか、あるいは油圧センサで検出される設定油圧レベルを高くするか、あるいは潤滑油通路の絞り開度を低下させる必要がある。
【0021】
排気ガスの空間速度と前段酸化触媒の下流側排気ガス温度とは相関関係がある。排気ガスの空間速度が低下すると、前段酸化触媒の下流側排気ガスの温度上昇は大きくなり、前段酸化触媒の上下流側排気ガス温度差は増加する。一方、排気ガスの空間速度が増加すると、前段酸化触媒の下流側排気ガスの温度上昇は小さくなり、前段酸化触媒の上下流側排気ガス温度差は低減する。
【0022】
同様に、前段酸化触媒の反応速度と前段酸化触媒の下流側排気ガス温度とは相関関係があり、前段酸化触媒の反応速度が速いと、前段酸化触媒の下流側排気ガスの温度上昇は大きくなり、前段酸化触媒の上下流側排気ガス温度差は増加する。一方、前段酸化触媒の反応速度が遅いと、前段酸化触媒の下流側排気ガスの温度上昇は小さくなり、前段酸化触媒の上下流側排気ガス温度差は低減する。
【0023】
そのため、前段酸化触媒の空間速度と既知の劣化前の反応速度とから、前段酸化触媒の劣化前の下流側排気ガス温度を推定できる。この推定温度に対し、実測温度が推定温度より低ければ、前段酸化触媒に経年劣化が起きていることなり、そのため、推定温度と実測温度とを比較することにより、前段酸化触媒の経年劣化度を判定できる。
こうして、推定温度と実測温度との差に基づいて、前段酸化触媒の経年劣化度がわかる。そのため、判定した経年劣化度に応じて、捕機動力を増大させることにより、前段酸化触媒昇温ステージにおける前段酸化触媒の昇温勾配を増大させ、未燃HC成分の排出量を抑制できる。
【0024】
また、本発明装置において、前記コントローラが、気温、気圧、内燃機関の回転数、負荷及び運転時間、及びフィルタに捕集された粒子状物質の燃焼除去に要した積算時間から潤滑油の劣化度を判定し、判定された潤滑油の劣化度に応じて、潤滑油循環ポンプの動力を増大させるものであるとよい。
【0025】
レイトポスト噴射による燃料の一部は、シリンダの内壁に付着し、ピストンが下降する際に、ピストンリングによって掻き落されてオイルパンに至る。燃料がオイルパンの潤滑油に混じることで、潤滑油が希釈される現象、所謂オイルダイリューションが生じる。オイルダイリューションが進行すると、潤滑油の粘度が下がり潤滑性が低下する。加えて、潤滑油量が増加して、潤滑油の噴き出し等の不具合が起こる。
【0026】
このようなオイルダイリューションや、潤滑油の熱劣化が進行した場合、潤滑油の粘度が低下し、潤滑油通路を流れる油圧が低下する。このような場合、潤滑油通路を流れる潤滑油に絞りを加えても、設定油圧レベルに達しないおそれがある。
そのため、DPFフィルタの再生に要した積算時間から、オイルダイリューションによる粘度低下度を算出する。また、気温及び気圧から燃焼シリンダに供給される吸気の温度及び圧力を演算し、これら演算値と、内燃機関の回転数、負荷及び運転時間とから、潤滑油の熱劣化度を算出する。
【0027】
算出された潤滑油の粘度低下度及び熱劣化度に応じて、潤滑油循環ポンプの動力を調整することにより、前段酸化触媒昇温ステージでの前段酸化触媒の昇温勾配を増大させて、未燃HC成分の放出を抑制できる。
【0028】
前記構成に加えて、潤滑油の交換時期を検出するセンサを設け、前記コントローラが、該センサで潤滑油の交換時期を検出したとき、潤滑油の劣化度をリセットするものであるとよい。
内燃機関の潤滑油を交換した時点で、潤滑油の劣化度はリセットされる。そのため、前記センサにより潤滑油の交換時期を検出し、潤滑油の交換がなされた時に、コントローラによって潤滑油の劣化度をリセットすることにより、潤滑油循環ポンプの動力を潤滑油の性状に合った最適な値にできる。これによって、前段酸化触媒昇温ステージでの前段酸化触媒の昇温勾配を増大させて、未燃HC成分の放出を抑制できる。
【発明の効果】
【0029】
本発明方法によれば、内燃機関から排出された排気ガス中の粒子状物質をフィルタで捕集する捕集工程と、燃料をポスト噴射し、前段酸化触媒で排気ガスを粒子状物質の燃焼温度まで昇温させ、昇温した排気ガスで該フィルタに捕集された粒子状物質を燃焼除去する強制再生工程と、からなる内燃機関の排ガス処理方法において、強制再生工程の開始時までに、捕機動力を増大させて内燃機関の負荷を増大させる負荷増大ステップと、増大した負荷により強制再生工程における排気ガスの昇温勾配を増大させ、前段酸化触媒が活性温度に達するまでに放出される未燃炭化水素量を低減する排気ガス昇温ステップと、からなるので、再生工程での排気ガスの昇温勾配を増大させ、前段酸化触媒が活性温度に達するまでに放出される未燃HC成分を低減できると共に、内燃機関の通常運転時には、負荷増大ステップを行なわないので、捕機動力を低減した低燃費運転が可能になる。
【0030】
本発明装置によれば、内燃機関の排気ガス通路に前段酸化触媒及びフィルタを備え、排気ガス中の粒子状物質を該フィルタで捕集すると共に、燃料をポスト噴射し、該前段酸化触媒で排気ガスを粒子状物質の燃焼温度まで昇温させ、昇温した排気ガスで前記フィルタに捕集された粒子状物質を燃焼除去する内燃機関の排ガス処理装置において、捕機動力を増大させて内燃機関の負荷を増大させる負荷増大手段と、該負荷増大手段を制御するコントローラと、を備え、該コントローラによって該負荷増大手段を制御して、ポスト噴射の開始時までに捕機動力を増大させることにより、内燃機関の負荷を増大させるように構成したので、前記本発明方法と同様の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明方法及び装置の第1実施形態に係るディーゼル機関の系統図である。
【図2】前記ディーゼル機関の潤滑油の循環系統を示す系統図である。
【図3】前記第1実施形態の未燃HC成分の放出抑制手順を示す線図である。
【図4】本発明方法及び装置の第2実施形態に係る未燃HC成分の放出抑制手順を示す線図である。
【図5】本発明方法及び装置の第3実施形態に係る未燃HC成分の放出抑制手順を示す線図である。
【図6】本発明方法及び装置の第4実施形態に係る未燃HC成分の放出抑制手順を示すフローチャートである。
【図7】本発明方法及び装置の第5実施形態に係る未燃HC成分の放出抑制手順を示すフローチャートである。
【図8】潤滑油の熱劣化による粘度低下を示す線図である。
【図9】潤滑油のダイリューションによる粘度低下を示す線図である。
【図10】本発明方法及び装置の第6実施形態に係る未燃HC成分の放出抑制手順を示すフローチャートである。
【図11】ディーゼル機関の燃料噴射工程を示す線図である。
【図12】ディーゼル機関のDPFフィルタの再生工程を示す線図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではない。
【0033】
(第1実施形態)
本発明方法及び装置を、例えばフォークリフト等に搭載されるディーゼル機関に適用した第1実施形態を図1〜図3により説明する。図1において、ディーゼル機関10の燃焼シリンダ12の内部にピストン14が内蔵され、ピストン14の上方に燃焼室16が形成されている。燃焼シリンダ12のシリンダヘッドには、吸気管18及び排気管20が接続され、これらの接続部には、吸気弁22及び排気弁24が設けられている。
【0034】
また、シリンダヘッドの上部中央には、燃料を燃焼室16に噴射するインジェクタ26が設けられている。インジェクタ26には、インジェクタポンプ28から、コモンレール(蓄圧器)30を介して軽油や重油などの燃料が高圧で供給され、燃料が燃焼室16に噴射される。燃料の噴射時期及び噴射量は、ECU32によって精密に制御されている。噴射された燃料は、吸気管18から供給された空気と混合し、その混合気は、燃焼室16内で圧縮されて着火し燃焼する。
【0035】
ディーゼル機関10は、排気管20内に配置された排気タービン36と、吸気管18内に配置され該排気タービン36と同軸で駆動されるコンプレッサ38とからなる排気ターボ過給機34を備えている。排気ターボ過給機34のコンプレッサ38から吐出された空気aは、吸気管18を通ってインタークーラ40で冷却された後、吸気室42に入る。吸気室42の入口側には、吸気管18の開度制御を行なうスロットルバルブ44が設けられている。また、吸気室42には、吸気圧センサ46及び吸気温度センサ48が設けられている。
【0036】
排気タービン36の下流側排気管20には、前段酸化触媒50と、前段酸化触媒50の下流側にDPFフィルタ装置52が設けられている。燃焼室16で燃焼した燃焼ガス、即ち、排気ガスeは、排気管20に排出され、排気ターボ過給機34の排気タービン36を駆動してコンプレッサ38の動力源となる。その後、排気ガスeは、前段酸化触媒50及びDPFフィルタ装置52を通り、DPFフィルタ装置52で排気ガスe中に含まれるPMが捕集される。DPFフィルタ装置52でPMを除去された排気ガスeは、図示省略のマフラー出口から外部に排出される。
【0037】
なお、前段酸化触媒50の入口側及びDPFフィルタ装置52の入口側及び出口側の排気管20には、夫々排気ガスeの温度を検出する排温センサ54、56及び58が設けられている。また、前段酸化触媒50の入口側排気管20に排気ガスeの圧力を検出する排圧センサ59が設けられている。また、DPFフィルタ装置52の入口と出口との排気ガスeの圧力差を検出する差圧センサ66が設けられ、吸気管18の入口部には、吸気流量計68が設けられている。
【0038】
吸気管18と排気管20間には、EGR管60が接続されている。EGR管60には、EGRクーラ62及びEGR管60の開度を制御するEGRバルブ64が設けられている。排気ガスeの一部は、EGR管60を通り、EGRクーラ62で冷却された後、吸気室42に戻される。これによって、吸気中の酸素量を減らし、ピーク時の燃焼温度を下げ、NOの発生を抑制している。
【0039】
排温センサ54、56,58、排圧センサ59、差圧センサ66及び吸気流量計68の検出値はECU32に送られ、これらの検出値に基づいて、ECU32が、インジェクタ26、インジェクタポンプ28、スロットルバルブ44及びEGRバルブ64等を制御する。
【0040】
DPFフィルタ装置52に捕集されたPMを燃焼除去する強制再生工程は、ECU32が、インジェクタ26、インジェクタポンプ28、スロットルバルブ44を操作して、自動的に次の手順で行なわれる。図11に示すように、燃焼室16に燃料を主噴射した後、強制再生工程の開始点t1で、燃料をアーリポスト噴射する。アーリポスト噴射された燃料は、燃焼室16の温度で燃焼し、図12に示すように、前段酸化触媒昇温ステージで、前段酸化触媒50を250℃以上の活性温度まで昇温する。
【0041】
次に、下死点の手前(図12中、t2の時点)で燃料をレイトポスト噴射する。レイトポスト噴射された未燃HC成分は、前段酸化触媒50の触媒作用で酸化し、その時発生する反応熱で排気ガスeの温度を600℃以上に昇温する。
【0042】
排気ガスeを600℃以上にすることで、DPFフィルタ装置52の捕集されたPMが燃焼し、DPFフィルタ装置52から除去される。
アーリポスト噴射を行なっても前段酸化触媒50が活性温度以上にならないときは、スロットルバルブ44による吸気管18の絞り、及びアーリポスト噴射条件の変化により、前段酸化触媒50を昇温させるようにする。図12に示すように、前段酸化触媒50が活性温度以上になっても、スロットルバルブ44による絞り及びアーリポスト噴射条件の変化を継続して行なう。
【0043】
図2において、オイル通路72にオイル循環ポンプ74が設けられ、オイル循環ポンプ74によってオイルパン70から潤滑油を汲み上げる。オイル循環ポンプ74の下流側に、オイル通路72の絞り開度を調節可能な可変絞り機構77が設けられ、可変絞り機構77の下流側に、オイル通路72を流れる潤滑油の油圧を検出する油圧センサ78が設けられている。可変絞り機構77と油圧センサ78とで負荷増大手段76を構成している。
【0044】
オイル通路72を流れる潤滑油は、オイルフィルタ80、オイルクーラ82及び排気ターボ過給機34を経て、オイルパン70に戻る。潤滑油の一部は、オイル分岐路84から、ディーゼル機関10のシリンダヘッド、動弁機構、カム、ピストン、クランク軸、ギア等の摺動部を経て、オイルパン70に戻る。また、排気ターボ過給機34を通った潤滑油の一部は、ブリーザ86を経て、ディーゼル機関10のシリンダヘッド等に達する。なお、可変絞り機構76の下流側には安全弁88が設けられ、オイルクーラ82の下流側には、リリーフ弁90が設けられている。また、オイルパン70に貯留された潤滑油の油温を検出する油温センサ92が設けられている。
【0045】
かかる構成において、本実施形態では、前段酸化触媒昇温ステージの開始時点tに合わせて、図3に示すように、可変絞り機構77によりオイル通路72の開度がA%となるように絞る。同時に、油圧センサ78で検出される油圧が、オイル通路72の開度100%時に検出される油圧レベルSとなるように、オイル循環ポンプ74の動力を増大させる。
これによって、ディーゼル機関10の負荷が増大するため、インジェクタ26に供給される燃料噴射量が増大する。
【0046】
そのため、燃焼室16から排気管20に排出される排気ガスeの温度が、矢印で示すように上昇する。従って、前段酸化触媒昇温ステージにおける前段酸化触媒50の昇温勾配パターンXは、オイル通路72の開度が100%である場合の昇温勾配パターンYと比べて、昇温勾配が増大する。
また、DPFフィルタ装置52を通る排気ガスeの昇温勾配パターンでも、オイル通路72を絞った場合の昇温勾配パターンXが開度100%の場合の昇温勾配パターンYと比べて、昇温勾配が増大する。
【0047】
このように、ディーゼル機関10の負荷が増大させ、排気ガスeの温度上昇勾配を増大させることによって、前段酸化触媒50が早期に活性温度に達するため、アーリポスト噴射によって噴射された燃料が早い段階で酸化燃焼される。そのため、マフラーに放出される未燃HC成分を大幅に低減できる(Y→X)。
なお、ディーゼル機関10の通常運転時には、可変絞り機構77での絞りを行わないため、捕機動力を低減した低燃費運転が可能になる。
【0048】
前記第1実施形態における強制再生工程は、ECU32によって自動的に行なわれたものである。これに対し、強制再生工程がディーゼル機関10がアイドリング状態等の低負荷運転状態である時に、オペレータのマニュアル操作で行なわれる場合でも、本発明方法を採用することにより、未燃HC成分の放出を効果的に低減できる。
【0049】
(第2実施形態)
次に、本発明方法及び装置の第2実施形態を図4により説明する。本実施形態は、第1実施形態と装置構成は同一である。本実施形態は、潤滑油の油温を考慮し、これに応じて設定油圧レベルをSより増大させ、これによって、ディーゼル機関10の負荷を増大させるようにしたものである。
【0050】
ディーゼル機関10が低温環境にあるとき、潤滑油の粘度が高くなる。そのため、油圧センサ78で検出する油圧をSより高くしないと、ディーゼル機関10の負荷を増大させることができない。そのため、油温センサ92で潤滑油の温度を検出し、この検出値を
ECU32に入力する。ECU32で潤滑油の油温が低いと判定した場合には、油圧センサ78で検出する油圧レベルを通常の設定油圧レベルSより高いSに設定する。そして、この油圧レベルSとなるように、ディーゼル機関10の負荷を増大させる。なお、高温環境の場合は、逆に、設定油圧レベルをSより低い油圧レベルを設定する。
【0051】
このように、本実施形態によれば、潤滑油の油温に応じて設定油圧レベルを変更するようにしたので、ディーゼル機関10の負荷増大量を適正に設定できる。これによって、排気ガスeの温度上昇勾配が増大し、前段酸化触媒50が早期に活性温度に達するため、
前段酸化触媒昇温ステージにおける未燃HC成分の放出量を抑制できる。
【0052】
(第3実施形態)
次に、本発明方法及び装置の第3実施形態を図5により説明する。本実施形態では、ディーゼル機関10が低温環境にあるとき、油温センサ92で潤滑油温度を検出し、この検出値が低ければ、可変絞り機構76の絞り開度をA%よりさらに小さいB%に設定する。この絞り開度のもとで、油圧センサ78で検出される油圧が設定油圧レベルSとなるように、ディーゼル機関10の負荷を増大させるようにする。これによって、ディーゼル機関10の負荷を適正に増大できる。
なお、高温環境のときは、逆に、可変絞り機構76の絞り開度をA%より大きい絞り開度とすることで、ディーゼル機関10の負荷を適正にすることができる。
【0053】
本実施形態によれば、潤滑油の油温に応じて可変絞り機構76の絞り開度を変更するようにしたので、前記第2実施形態と同様に、ディーゼル機関10の負荷増大量を適正に設定できる。そのため、前段酸化触媒昇温ステージにおける未燃HC成分の放出量を抑制できる。
【0054】
(第4実施形態)
次に、本発明方法及び装置の第4実施形態を図6により説明する。前段酸化触媒50は経年劣化によって酸化機能が低下するため、排気ガスeを昇温させる機能が低下する。そのため、前段酸化触媒50の経年劣化を考慮して、ディーゼル機関10の負荷を増大させる必要がある。
【0055】
図6に示すように、本実施形態では、排温センサ54でその運転状態における前段酸化触媒50の入口排気ガス温度を検出する。次に、ECU32のSV算出手段320で、該DOC入口排気ガス温度、温度吸気流量計68で検出した吸気流量、レイトポスト噴射量を含めた燃料噴射量、及び排圧センサ59で検出した前段酸化触媒50の入口排気ガス圧力から、排気管20を流れる排気ガスeの空間速度SV(SV=排気ガスの流量(m/h)/前段酸化触媒充填体積(m))を求める。
【0056】
次に、DOC出口排気ガス温度推定手段322で、SV算出手段320で求めたSV値と、前段酸化触媒50の反応速度とから、前段酸化触媒50の出口排気ガス温度を推定する。前述のように、SV値と前段酸化触媒50の劣化前の反応速度とから、前段酸化触媒50の下流側排気ガス温度が推定でき、この推定温度と実測温度とを比較することにより、前段酸化触媒50の経年劣化度を判定できる。
【0057】
DOC出口排気ガス温度推定手段322で推定した推定温度を、排温センサ56で検出した前段酸化触媒50の出口排気ガス温度の実測値と図示省略の比較器で比較する。推定温度が実測温度より大であれば、前段酸化触媒50が経年劣化していることがわかり、これらの差によって経年劣化度を判定できる。前段酸化触媒50が劣化していることがわかったとき、ECU32により、油圧センサ78で検出される油圧レベルの設定値を高くするか、あるいは可変絞り機構77によるオイル通路72の絞り開度を低下させる。
【0058】
これによって、オイル循環ポンプ74の動力が増大し、ディーゼル機関10の負荷が増大するため、インジェクタ26に供給される燃料噴射量が増大する。そのため、燃焼室16から排気管20に排出される排気ガスeの温度が上昇し、前段酸化触媒昇温ステージにおいて、前段酸化触媒50が早期に活性温度に達する。なお、推定温度と実測温度とが同等であれば、前段酸化触媒50の経年劣化がないと判定し、油圧レベルの設定値又はオイル通路72の絞り開度を変更しない。
従って、前段酸化触媒50が劣化しているときでも、マフラーに放出される未燃HC成分を抑制できる。
【0059】
本実施形態によれば、前段酸化触媒50の経年劣化度に応じて、ディーゼル機関10の負荷増大量を調整することにより、前段酸化触媒50の入口排気ガス温度を該経年劣化度に見合った温度にできる。そのため、前段酸化触媒50が経年劣化した場合でも、前段酸化触媒昇温ステージにおける未燃HC成分の放出量を抑制できる。
【0060】
(第5実施形態)
次に、本発明方法及び装置の第5実施形態を図7〜図9により説明する。前述のように、ポスト噴射等によりオイルダイリューションが進行した場合や、潤滑油の熱劣化が進行した場合、潤滑油の粘度が低下する。そのため、油圧センサ78で検出する油圧レベルが低下する。従って、該油圧レベルを増大させようとして、徒にディーゼル機関10の負荷を増大させてしまうおそれがある。本実施形態は、この不具合を解消するため、潤滑油の劣化度を判定し、潤滑油の劣化度に応じて、設定油圧レベル又は可変絞り機構76の絞り開度を調整するようにしたものである。
【0061】
図7に示すように、本実施形態では、ディーゼル機関周囲の気圧、気温、ディーゼル機関10の回転数、負荷(アクセル開度)及び運転時間、及びDPFフィルタ装置52の再生工程積算時間から、潤滑油の劣化度を判定する。図8に示すように、潤滑油の粘度低下はディーゼル機関10の運転時間と相関をなしている。また、図9に示すように、潤滑油のダイリューションによる粘度低下は、DPFフィルタ装置52の再生工程積算時間と相関している。従って、前記パラメータにより潤滑油の劣化度を判定できる。
【0062】
判定した劣化度から、潤滑油が劣化していないときは、設定油圧レベル又は可変絞り機構76の絞り開度を調整しない。潤滑油が劣化しているときは、劣化度に応じて設定油圧レベルを低下させるか、あるいは可変絞り機構76の絞り開度を増大させる。
これによって、ディーゼル機関10の負荷を過度に増大させることがなくなるので、前段酸化触媒50の入口排気ガス温度を適正に保持でき、前段酸化触媒昇温ステージにおける未燃HC成分の放出を抑制できる。また、ディーゼル機関10の省エネ運転が可能になる。
【0063】
(第6実施形態)
次に、本発明方法及び装置の第6実施形態を図10により説明する。潤滑油は定期的に交換されることで、その劣化度はリセットされ、劣化しない新鮮な潤滑油となる。本実施形態は、第5実施形態で用いられたパラメータに、さらに潤滑油の交換時期を加えるようにしたものである。即ち、潤滑油の交換時期を検出するセンサを設け、潤滑油の劣化度判定に際し、潤滑油の交換時期を考慮するようにしている。
【0064】
該センサは、例えば、図2に図示されるオイルパン70の蓋開閉を検出するセンサであってもよい。該センサによって潤滑油の交換時に行なわれる蓋の開閉を検出することで、潤滑油の交換時期を検出する。
本実施形態によれば、前記第5実施形態で得られる作用効果に加えて、潤滑油の交換時期を考慮することで、潤滑油の劣化度をより正確に判定できる。そのため、前段酸化触媒昇温ステージにおいて排気ガス温度を適切に昇温でき、未燃HC成分の放出を抑制できる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明によれば、内燃機関、特にディーゼル機関において、前段酸化触媒昇温ステージにおける未燃HC成分の放出を低減して、さらなる排気ガスの浄化を可能にし、環境汚染を解消できる。
【符号の説明】
【0066】
10 ディーゼル機関
12 燃焼シリンダ
14 ピストン
16 燃焼室
18 吸気管
20 排気管
22 吸気弁
24 排気弁
26 インジェクタ
28 インジェクタポンプ
30 コモンレール
32 ECU
34 排気ターボ過給機
36 排気タービン
38 コンプレッサ
40 インタークーラ
42 吸気室
44 スロットルバルブ
46 吸気圧センサ
48 吸気温度センサ
50 前段酸化触媒
52 DPFフィルタ装置
54,56,58 排温センサ
59 排圧センサ
60 EGR管
62 EGRクーラ
64 EGRバルブ
66 差圧センサ
68 吸気流量計
70 オイルパン
72 オイル通路
74 オイル循環ポンプ
76 負荷増大手段
77 可変絞り機構
78 油圧センサ
80 オイルフィルタ
82 オイルクーラ
84 オイル分岐路
86 ブリーザ
88 安全弁
90 リリーフ弁
92 油温センサ
320 SV算出手段
322 DOC出口排気ガス温度推定手段
、S 設定油圧レベル
、X、Y、Y 排気ガス温度勾配パターン
、Y 未燃HC成分
a 吸気
e 排気ガス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関から排出された排気ガス中の粒子状物質をフィルタで捕集する捕集工程と、燃料をポスト噴射し、前段酸化触媒で排気ガスを粒子状物質の燃焼温度まで昇温させ、昇温した排気ガスで前記フィルタに捕集された粒子状物質を燃焼除去する強制再生工程と、からなる内燃機関の排気ガス処理方法において、
前記強制再生工程の開始時までに、捕機動力を増大させて内燃機関の負荷を増大させる負荷増大ステップと、
増大した負荷により強制再生工程における排気ガスの昇温勾配を増大させ、前記前段酸化触媒が活性温度に達するまでに放出される未燃炭化水素量を低減する排気ガス昇温ステップと、からなることを特徴とする内燃機関の排気ガス処理方法。
【請求項2】
前記負荷増大ステップが、内燃機関の潤滑油通路に絞りを設けて潤滑油の流動抵抗を増大させ、これによって、潤滑油循環ポンプの動力を増大させるものであることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気ガス処理方法。
【請求項3】
前記強制再生工程が、内燃機関がアイドリング状態を含む低負荷運転状態である時に、マニュアル操作で行なわれるものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の排気ガス処理方法。
【請求項4】
内燃機関の排気ガス通路に前段酸化触媒及びフィルタを備え、排気ガス中の粒子状物質を該フィルタで捕集すると共に、燃料をポスト噴射し、該前段酸化触媒で排気ガスを粒子状物質の燃焼温度まで昇温させ、昇温した排気ガスで前記フィルタに捕集された粒子状物質を燃焼除去する内燃機関の排気ガス処理装置において、
捕機動力を増大させて内燃機関の負荷を増大させる負荷増大手段と、該負荷増大手段を制御するコントローラと、を備え、
該コントローラによって該負荷増大手段を制御して、前記ポスト噴射の開始時までに捕機動力を増大させることにより、内燃機関の負荷を増大させるように構成したことを特徴とする内燃機関の排気ガス処理装置。
【請求項5】
前記負荷増大手段が、内燃機関の潤滑油通路に設けられた可変絞り機構と、該可変絞り機構の下流側潤滑油通路に設けられた油圧センサと、を備え、
前記コントローラが、該可変絞り機構で潤滑油通路の開度を絞って潤滑油の流動抵抗を増大させながら、該油圧センサで検出する油圧レベルを設定値以上に維持するように潤滑油循環ポンプの動力を増大させるものであることを特徴とする請求項4に記載の内燃機関の排気ガス処理装置。
【請求項6】
前記油圧レベルの設定値を潤滑油通路の開度を絞らないときの油圧レベルに維持するようにしたことを特徴とする請求項5に記載の内燃機関の排気ガス処理装置。
【請求項7】
前記潤滑油通路の潤滑油の油温を検出する油温センサを備え、前記コントローラが、該油温センサの検出値に応じて前記油圧レベルの設定値を変えるか、又は該油温センサの検出値に応じて前記可変絞り機構の絞り開度を調整するものであることを特徴とする請求項5に記載の内燃機関の排気ガス処理装置。
【請求項8】
前記コントローラが、前段酸化触媒を通過する排気ガスの空間速度を求め、該空間速度と前段酸化触媒の反応速度とから前段酸化触媒の出口排気ガス温度を推定し、この推定値と該出口排気ガス温度とを比較して前段酸化触媒の劣化度を判定するものであることを特徴とする請求項4に記載の内燃機関の排気ガス処理装置。
【請求項9】
前記コントローラが、気温、気圧、内燃機関の回転数、負荷及び運転時間、及び前記フィルタに捕集された粒子状物質の燃焼除去に要した積算時間から潤滑油の劣化度を判定し、判定された潤滑油の劣化度に応じて潤滑油循環ポンプの動力を増大させるものであることを特徴とする請求項5に記載の内燃機関の排気ガス処理装置。
【請求項10】
さらに潤滑油の交換時期を検出するセンサを設け、前記コントローラが、該センサで潤滑油の交換時期を検出したとき潤滑油の劣化度をリセットするものであることを特徴とする請求項9に記載の内燃機関の排気ガス処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−163250(P2011−163250A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−28417(P2010−28417)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】