説明

内燃機関の燃料噴射装置

【課題】この発明は、内燃機関の燃料噴射装置に関し、油圧制御時に作動油のリークを防止しつつ、2種類の燃料を別々に噴射可能とすることを目的とする。
【解決手段】液体燃料用ニードル201の上部に設けられた減圧開弁室203の圧力を制御する三方弁構造の減圧式油圧制御弁4と、気体燃料用ニードル202の上部に設けられた加圧開弁室204の圧力を制御する三方弁構造の加圧式油圧制御弁3とを備える。加圧式油圧制御弁3では、バランスリング314の油圧面積と、フラットバルブシート部306aの油圧面積(フラットバルブ312のシート当接部312aとの接触部位の内側の面積)と、ピストンバルブシート部310aの油圧面積(ピストンバルブ305のシート当接部305eとの接触部位の内側の面積)とが、略等しくなるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、内燃機関の燃料噴射装置に係り、特に、2種類の燃料を別々に噴射可能な油圧制御式の内燃機関の燃料噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1には、内燃機関の燃焼室内へ気体燃料と液体燃料とを別々に噴射する複式燃料噴射器が開示されている。この従来の燃料噴射器では、気体燃料および液体燃料のそれぞれの噴射を担うニードル弁を駆動するために、作動油の流量を制御する油圧制御弁をそれぞれ備えており、これらの油圧制御弁を二方弁で構成している。
【0003】
【特許文献1】特表2004−501306号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の技術のように、作動油の流量を制御するための制御弁を二方弁で構成するようにすると、二方弁の構造上、作動油のリーク量が多くなってしまう。より具体的には、二方弁では、開弁時には高圧側の油路と低圧側の油路とが連通状態となるため、開弁時に高圧側から低圧側に作動油が流れ出てしまう。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、油圧制御時に作動油のリークを防止しつつ、2種類の燃料を別々に噴射し得る内燃機関の燃料噴射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、内燃機関の燃料噴射装置であって、
第1燃料の噴射を担う第1噴射弁と、
前記第1噴射弁の同心外側に配置され、第2燃料の噴射を担う第2噴射弁と、
前記第1噴射弁を駆動するための油圧を制御する第1油圧制御弁と、
前記第2噴射弁を駆動するための油圧を制御する第2油圧制御弁とを備え、
前記第1油圧制御弁および/または前記第2油圧制御弁は、油圧源からの供給油圧により加圧側で制御する加圧式油圧制御弁であり、
前記加圧式油圧制御弁は、
油圧源から作動油の供給を受ける高圧側油圧室と、
前記高圧側油圧室と連通可能に形成され、前記第1噴射弁および/または前記第2噴射弁に作動油を供給するための制御油圧室と、
前記制御油圧室と連通可能に形成され、前記制御油圧室内から作動油を排出するための低圧側油圧室と、
前記高圧側油圧室と前記制御油圧室との連通および遮断、並びに、前記制御油圧室と前記低圧側油圧室との連通および遮断を担う開閉体と、
前記高圧側油圧室内に作用する油圧力を受けて前記高圧側油圧室と前記制御油圧室とを閉塞するように付勢される前記開閉体に対して、当該開閉体に作用する油圧力に抗する方向に付勢力を付与可能な付勢力発生手段と、
前記油圧源から作動油の供給を受け、前記付勢力発生手段による前記付勢力と同方向に前記開閉体を付勢する油圧力を発するバランス油圧発生部とを備え、
前記加圧式油圧制御弁は、前記開閉体が前記高圧側油圧室の高圧側シート部に向けて付勢されたことで前記高圧側油圧室と前記制御油圧室とが閉塞された際に前記制御油圧室と前記低圧側油圧室とが連通され、一方、前記開閉体が前記低圧側油圧室の低圧側シート部に向けて付勢されたことで前記制御油圧室と前記低圧側油圧室が閉塞された際に前記高圧側油圧室と前記制御油圧室とが連通されるように構成されており、
前記バランス油圧発生部における油圧面積と、前記高圧側シート部の油圧面積と、前記低圧側シート部の油圧面積とが、略等しくなるように構成されていることを特徴とする。
【0007】
また、第2の発明は、第1の発明において、
前記開閉体は、
前記高圧側油圧室内に配置され、前記高圧側油圧室内に作用する油圧力を受けて、前記高圧側シート部に向けて付勢される第1開閉体と、
中央の大径部に比して小径となるように両端側に形成された第1小径部および第2小径部とを有し、前記第1小径部が前記第1開閉体と当接するようにして前記低圧側油圧室側に配置された第2開閉体とを備え、
前記第2開閉体は、
前記大径部と前記第1小径部との間に形成された第1段付き部と、前記大径部と前記第2小径部との間に形成された第2段付き部とを有し、前記付勢力発生手段による付勢力を受けて、当該第1段付き部において前記低圧側シート部に向けて付勢され、
前記バランス油圧発生部は、
前記第2小径部の挿入を受ける環状のバランスリングを備え、当該バランスリングと前記第2段付き部との間で油圧室を構成していることを特徴とする。
【0008】
また、第3の発明は、第1または第2の発明において、
前記第2噴射弁と当該第2噴射弁を収納するボディとの嵌合部を挟むようにして、前記第1燃料が流通する第1燃料流路と、前記第2燃料が流通する第2燃料流路とが形成されており、
前記第1燃料は、前記第2燃料よりも高い圧力で供給されており、
前記第2燃料の圧力よりは高くかつ当該第2燃料に近い圧力に設定された前記第1燃料を、前記嵌合部に供給するシール燃料供給手段を更に備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
第1の発明によれば、第1油圧制御弁および第2油圧制御弁の少なくとも一方が、三方弁構造が採用された加圧式油圧制御弁として構成されることになる。このため、制御油圧室が低圧側油圧室と連通されていない状態で、高圧側油圧室側から制御油圧室側に作動油を供給して、制御油圧を高めることができるようになる。このため、従来の二方弁構造が採用されたものと比べ、油圧制御時に作動油のリークを防止しつつ、2種類の燃料を別々に噴射することが可能となる。また、本発明によれば、バランス油圧発生部における油圧面積と、高圧側シート部の油圧面積と、低圧側シート部の油圧面積とが、略等しくなるように構成されている。このため、開閉体に作用する作動油の油圧力を良好にバランス(相殺)させることができる。これにより、加圧式油圧制御弁の駆動時に、付勢力発生手段によって開閉体を押す力を低減させることができ、当該付勢力発生手段の小型化が可能となる。
【0010】
第2の発明によれば、第1開閉体および第2開閉体からなる開閉体を備えるとともにバランス油圧発生部にバランスリングを備えた構成において、第1開閉体および第2開閉体に作用する作動油の油圧力を良好にバランス(相殺)させることができるようになる。
【0011】
第3の発明によれば、第1燃料流路側から嵌合部を通って第2燃料流路側に向かって第1燃料がリークしてしまうのを良好に防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
実施の形態1.
[気液燃料噴射弁の全体構成]
図1は、本発明の実施の形態1における気液燃料噴射弁1の全体的な構成を説明するための断面図である。本実施形態における内燃機関の燃料噴射装置は、図1に示す気液燃料噴射弁1として構成されている。気液燃料噴射弁1は、内燃機関の燃焼室内へ気体燃料と液体燃料を別々に噴射可能な燃料噴射弁である。
【0013】
図1に示すように、気液燃料噴射弁1は、その中心部に、第1ボディ101を備えている。第1ボディ101には、液体燃料の供給を受ける液体燃料入口102、気体燃料の供給を受ける気体燃料入口103、およびリターン燃料出口104がそれぞれ設けられている。気液燃料噴射弁1では、液体燃料が作動油としても機能するように使用されている。尚、気液燃料噴射弁1には、燃料ポンプ(図示省略)によって気体燃料および液体燃料がそれぞれ供給されるようになっている。
【0014】
リターン燃料出口104は、気液燃料噴射弁1の内部を流通した燃料の排出口であり、ここでは詳細な図示を省略しているが、液体燃料は燃料タンクに戻されるようになっている。尚、図1においては、第1ボディ101内における気体燃料流路、液体燃料流路、および、リターン燃料流路の詳細についても省略されている。
【0015】
また、第1ボディ101の一方(図1では下方)には、ダブルニードル駆動部2が設けられている。ダブルニードル駆動部2には、液体燃料の噴射を制御するための液体燃料用ニードル201が設けられている。ダブルニードル駆動部2には、当該液体燃料用ニードル201の外周側に同心状に設けられ、気体燃料の噴射を制御するため気体燃料用ニードル202が設けられている。
【0016】
更に、第1ボディ101の他方(図1では上方)には、加圧式油圧制御弁3と減圧式油圧制御弁4とが設けられている。加圧式油圧制御弁3は、気体燃料用ニードル202の後端部周辺に設けられた加圧開弁室204内の油圧を、油圧源(上記燃料ポンプが相当)からの供給油圧により加圧側で制御するための制御弁である。減圧式油圧制御弁4は、液体燃料用ニードル201の後端部周辺に設けられた減圧開弁室203の圧力を、上記油圧源からの供給油圧よりも減圧側で制御するための制御弁である。
【0017】
[気液燃料噴射弁の各部の構成]
以下、図2乃至図4を参照して、気液燃料噴射弁1の各部の構成について詳述する。
図2は、図1に示すダブルニードル駆動部2の詳細な構造を説明するための断面図である。図2に示すダブルニードル駆動部2は、上記第1ボディ101の下方に配置された第2ボディ205と、当該第2ボディ205の下方に配置された第3ボディ206とを備えている。これらの第2ボディ205と第3ボディ206は、リテーナ207によって第1ボディ101と締結されている。
【0018】
(気体燃料の噴射制御に関する構成の説明)
第3ボディ206における非第2ボディ205側の面には、突起状に形成された突起部206aが形成されている。突起部206aには、気体燃料を噴射するための噴孔208が形成されている。また、当該突起部206aの内部には、上述した気体燃料用ニードル202が摺動可能に配置されている。気体燃料用ニードル202の先端部の外周には、第3ボディ206との間で、気体燃料流路209が形成されている。
【0019】
気体燃料流路209には、各ボディ101等に形成された気体燃料流路210を介して、気体燃料入口103から気体燃料が供給されるようになっている。また、気体燃料用ニードル202の先端部は、テーパー状に形成された段付き部202aを有しており、第3ボディ206の突起部206aにも、段付き部202aに対応するようにテーパー状に形成された気体燃料用シート部206bが形成されている。
【0020】
気体燃料用ニードル202の後端部には、フランジ202bが形成されている。また、当該ニードル202の後端側には、フランジ211aを有するピストン211が配置されている。当該ニードル202とピストン211とは、両者のフランジ202b、211aがストッパ212によって締結されることによって、一体的に往復運動できるようになっている。
【0021】
ピストン211は、段付き状に形成され、第2ボディ205に二重嵌合されている。ピストン211における段付き状に形成された部位には、第2ボディ205との間で、上述した加圧開弁室204が形成されている。加圧開弁室204は、絞り212が途中に設けられた液体燃料流路213を介して、加圧式油圧制御弁3と連通している。このため、加圧開弁室204内の油圧は、加圧式油圧制御弁3により制御されることとなる。
【0022】
ストッパ212の周辺部位には、第2ボディ205と第3ボディ206によって、スプリング室214が形成されている。スプリング室214には、スプリング215が設置されている。スプリング215は、ストッパ212を介して、着座方向(図2の下方向)に気体燃料用ニードル202を付勢している。また、スプリング室214は、リターン燃料流路216を介してリターン燃料出口104に連通している。
【0023】
以上のように構成された気体燃料用ニードル202では、当該ニードル202の着座方向(図2の下方向)の作用力としては、第1に、液体燃料用ニードル201を介して減圧開弁室203内の油圧力が作用し、第2に、スプリング215の付勢力が作用する。一方、当該ニードル202の離座方向(図2の上方向)の作用力としては、加圧開弁室204内の油圧力が作用する。
【0024】
このため、加圧開弁室204内の油圧が上記着座方向の作用力に打ち勝つ程度にまで加圧式油圧制御弁3によって高められていない間は、気体燃料用ニードル202の段付き部202aが気体燃料用シート部206bに着座した状態となり、噴孔208から気体燃料が噴射されない。一方、加圧開弁室204内の油圧が上記離座方向の作用力に打ち勝つ程度にまで高められた場合には、当該段付き部202aが気体燃料用シート部206bから離座し、噴孔208から気体燃料が噴射される。このように、加圧式油圧制御弁3によって加圧開弁室204内の油圧を制御することで、気体燃料用ニードル202を用いて気体燃料の噴射を制御することが可能となる。
【0025】
(液体燃料の噴射制御に関する構成の説明)
気体燃料用ニードル202の内部には、液体燃料用ニードル201が当該ニードル202と同心状かつ摺動可能に嵌合されている。また、気体燃料用ニードル202の先端部には、液体燃料を噴射するための噴孔217が形成されている。更に、気体燃料用ニードル202の内部には、液体燃料用ニードル201との間で、液体燃料流路218が形成されている。
【0026】
液体燃料流路218には、気体燃料用ニードル202に形成された液体燃料流路219、更には各ボディ101等に形成された液体燃料流路220を介して、液体燃料入口102から液体燃料が供給されるようになっている。また、液体燃料用ニードル201の先端部201aと対向する気体燃料用ニードル202の内周面には、液体燃料用シート部202cが形成されている。
【0027】
液体燃料用ニードル201の後端部は、自動調芯パイプ221と摺動可能に嵌合されている。自動調芯パイプ221は、自動調芯リング222を介して第1ボディ101に固定されている。これらの自動調芯パイプ221、自動調芯リング222、および第1ボディ101の下面によって囲まれた空間として、上述した減圧開弁室203が形成されている。減圧開弁室203は、絞り223を介して液体燃料入口102と連通しているとともに、絞り224を介して減圧式油圧制御弁4と連通している。このため、減圧開弁室203内の油圧は、減圧式油圧制御弁4により制御されることとなる。
【0028】
液体燃料用ニードル201の後端部の周辺部位には、第2ボディ205、ピストン211、および第1ボディ101によって、スプリング室225が形成されている。スプリング室225には、スプリング226が設置されている。スプリング226は、液体燃料用ニードル201の後端部に設けられたフランジ201bを介して、着座方向(図2の下方向)に液体燃料用ニードル201を付勢しているとともに、図2の上方向に自動調芯パイプ221および自動調芯リング222を付勢している。また、スプリング室225は、リターン燃料流路227を介してリターン燃料出口104に連通している。
【0029】
以上のように構成された液体燃料用ニードル201では、当該ニードル201の着座方向の作用力としては、第1に、減圧開弁室203内の油圧力が作用し、第2に、スプリング226の付勢力が作用する。一方、当該ニードル201の離座方向の作用力としては、液体燃料用シート部202c周辺の液体燃料流路218内の油圧力が作用する。
【0030】
このため、減圧式油圧制御弁4によって減圧開弁室203内の油圧が下げられていない場合には、上記着座方向の作用力が上記離座方向の作用力に打ち勝つので、液体燃料用ニードル201が液体燃料用シート部202cに着座した状態となり、噴孔217から液体燃料が噴射されない。一方、減圧式油圧制御弁4によって減圧開弁室203内の油圧が下げられた場合には、上記着座方向の作用力が弱まることで、上記離座方向の作用力が上記着座方向の作用力に打ち勝つので、液体燃料用ニードル201が液体燃料用シート部202cから離座し、噴孔217から液体燃料が噴射される。このように、減圧式油圧制御弁4によって減圧開弁室203内の油圧を制御することで、液体燃料用ニードル201を用いて液体燃料の噴射を制御することが可能となる。
【0031】
(気体燃料側への液体燃料のリーク防止構造)
液体燃料流路220に供給される液体燃料の圧力は、180MPa程度と非常に高いのに対し、気体燃料流路209に供給される気体燃料の圧力は、20MPa程度と液体燃料よりは低くなる。このため、液体燃料流路220と気体燃料流路209との間の部位における第3ボディ206の内周と気体燃料用ニードル202の外周との嵌合部228では、何らの配慮もなされていなければ、これらの燃料の圧力差により、液体燃料流路220側から気体燃料流路209側に向かって液体燃料がリークしてしまうことになる。
【0032】
そこで、本実施形態では、そのような液体燃料のリークを防止すべく、第2ボディ205に、気体燃料圧バランス弁229を備えている。より具体的には、気体燃料圧バランス弁229は、第2ボディ205内に摺動可能に配置されたチェック弁ピストン230と、第2ボディ205内に形成されたチェック弁室231内に移動可能に配置されたチェック弁球232とを備えている。
【0033】
チェック弁球232は、チェック弁室231におけるチェック弁シート部231aに当接するように配置されている。チェック弁シート部231aの中央部には、途中に絞り233が設けられたガスシール燃料流路234が連通している。ガスシール燃料流路234は、上記嵌合部228において気体燃料用ニードル202に設けられた座ぐり穴235に連通している。このため、ガスシール燃料流路234には、嵌合部228を通って液体燃料流路220側からリークしてきた液体燃料が流通することになる。ここでは、この燃料のことを「ガスシール燃料」と称する。
【0034】
この気体燃料圧バランス弁229では、更に、チェック弁ピストン230の径方向の面積と、チェック弁球232に作用するガスシール圧力の受圧面積とが等しくなるように構成されている。また、チェック弁室231は、リターン燃料流路216に連通している。
【0035】
チェック弁ピストン230における非チェック弁球232側の面には、スプリング室236が形成されている。スプリング室236には、スプリング237が配置されている。スプリング237は、チェック弁ピストン230を介して、チェック弁球232をチェック弁シート部231aに向けて付勢している。また、スプリング室236には、気体燃料流路238を介して気体燃料が供給されている。更に、チェック弁ピストン230は、その胴体部において、ガスシール部材239によって気体燃料が気体燃料流路238側からチェック弁室231側にリークしないようにシールされている。
【0036】
以上のように構成された気体燃料圧バランス弁229では、チェック弁ピストン230には、スプリング室236内の気体燃料圧力とスプリング237の付勢力との合力が、チェック弁球232をチェック弁シート部231aに押し付ける力として作用する。一方、チェック弁球232には、ガスシール燃料の油圧力がチェック弁ピストン230の付勢力に抗する方向に作用する。
【0037】
上述したように、気体燃料圧バランス弁229では、チェック弁ピストン230の径方向の面積と、チェック弁球232に作用するガスシール圧力の受圧面積とが等しくなるように構成されている。このため、気体燃料圧バランス弁229は、ガスシール燃料の油圧力が、スプリング室236内の気体燃料圧力とスプリング237の付勢力の合力と等しくなった状態でバランスするようになる。また、嵌合部228を通ってガスシール燃料流路234に流れ出るガスシール燃料が増えたことで、ガスシール燃料の油圧力が高まった場合には、チェック弁球232がチェック弁シート部231aから離座することで、ガスシール燃料がリターン燃料流路216を通ってリターン燃料出口104に逃がされるようになる。
【0038】
このため、気体燃料圧バランス弁229によれば、スプリング237の付勢力を所望の値に設定することで、ガスシール燃料流路234内の油圧力を所望の値に維持することができるようになる。本実施形態では、ガスシール燃料圧力が、気体燃料圧力よりも僅かに高い圧力となるように、スプリング237の付勢力を調整している。このような設定によれば、液体燃料流路220側から嵌合部228を通って気体燃料流路209側に向かって液体燃料がリークしてしまうのを良好に防止することが可能となる。
【0039】
(加圧式油圧制御弁の詳細構造)
図3は、図1に示す加圧式油圧制御弁3の詳細な構造を説明するための断面図である。
図3に示す加圧式油圧制御弁3は、上記第1ボディ101の上方に配置された第4ボディ301と、当該第4ボディ301の上方に配置された第5ボディ302と、当該第5ボディ302の上方に配置された第6ボディ303とを備えている。これらの第4ボディ301、第5ボディ302、および第6ボディ303は、リテーナ304によって第1ボディ101と締結されている。
【0040】
図3に示すように、加圧式油圧制御弁3の中央部には、加圧式油圧制御弁3内の燃料流路を切り替えるためのピストンバルブ305が配置されている。ピストンバルブ305は、中央の大径部305aと、図3の下方側の第1小径部305bと、図3の上方側の第2小径部305cとを有している。ピストンバルブ305は、大径部305aにおいて、第4ボディ301に摺動可能に嵌合されている。
【0041】
ピストンバルブ305の下方側の第4ボディ301の内部には、高圧側油圧室306が形成されている。高圧側油圧室306は、液体燃料流路307を介して液体燃料入口102と連通している。また、高圧側油圧室306は、バルブ穴308を介して制御油圧室309と低圧側油圧室310とに連通している。制御油圧室309は、加圧燃料流路311を介してダブルニードル駆動部2の加圧開弁室204と連通している。
【0042】
また、高圧側油圧室306の内部には、当該油圧室306とバルブ穴308との間の連通と遮断を切り替えるためのフラットバルブ312が組み込まれている。より具体的には、フラットバルブ312の表面には、円周状に突出したシート当接部312aが形成されている。このシート当接部312aとこれに対向する第4ボディ301側のフラットバルブシート部306aとが当接した際に、高圧側油圧室306とバルブ穴308との連通が遮断されるようになっている。
【0043】
フラットバルブ312は、また、高圧側油圧室306内に配置されたスプリング313によって、フラットバルブシート部306a側に向けて付勢されている。更に、フラットバルブ312は、高圧側油圧室306内に作用する液体燃料の油圧によって、フラットバルブシート部306a側に向けて付勢されている。
【0044】
ピストンバルブ305の第1小径部305bは、その先端部がフラットバルブ312と当接するようにしてバルブ穴308に挿入されている。バルブ穴308の内周と第1小径部305bの外周との間には、高圧側油圧室306と制御油圧室309、または、制御油圧室309と低圧側油圧室310との連通を許容するクリアランスが設けられている。
【0045】
ピストンバルブ305における第1小径部305bと大径部305aとの段付き部305dには、低圧側油圧室310側のバルブ穴308近傍に設けられたテーパー状のピストンバルブシート部310aと当接するシート当接部305eが設けられている。シート当接部305eとピストンバルブシート部310aとが当接することで、制御油圧室309と低圧側油圧室310との連通が遮断するようになっている。
【0046】
また、ピストンバルブ305の第2小径部305cは、第4ボディ301内に嵌め込まれたバランスリング314内に摺動可能に嵌合されている。バランスリング314は、ストッパ315として機能する第5ボディ302によって上方への移動が規制されている。
【0047】
また、大径部305aと第2小径部305cとの段付き部305fとバランスリング314との間には、バランス室316が形成されている。バランス室316は、液体燃料流路317を介して液体燃料入口102と連通している。このため、ピストンバルブ305は、バランス室316内の液体燃料の油圧力によって、ピストンバルブシート部310aの方向に付勢されている。
【0048】
更に、ピストンバルブ305の第2小径部305c側(図3の上方側)には、ピストンバルブ305をピストンバルブシート部310aの方向に付勢するための付勢機構318が設置されている。付勢機構318は、蓄積される電荷の量に応じて伸縮する圧電素子319を利用してピストンバルブ305を駆動するための機構である。
【0049】
第6ボディ303の非第5ボディ302側端部には、キャップ320が固定されている。第6ボディ303には、このキャップ320およびカラー321を介して上記圧電素子319が収納されている。圧電素子319は、図示省略する電力源から電力の供給を受けられるようになっている。
【0050】
第6ボディ303の内側には、フランジ322が形成されている。圧電素子319は、そのフランジ322によって一端が規制されたスプリング323によって、ピストン324を介してキャップ320の方向に付勢されている。
【0051】
ピストン324の下方側の第6ボディ303には、Oリング325によって第6ボディ303の内面とシールされた状態で摺動可能に嵌合された大径ピストン326が配置されている。大径ピストン326の更に下方には、ピストンバルブ305と当接する小径ピストン327が第5ボディ302によって摺動可能に嵌合されている。
【0052】
大径ピストン326と小径ピストン327との間には、液体燃料が充満した変位加圧室328が形成されている。上記圧電素子319の伸びは、ピストン324から大径ピストン326に伝達され、これにより、変位加圧室328が加圧される。これにより、小径ピストン327において、大径ピストン326の変位が拡大されたうえで、当該変位がピストンバルブ305に伝達される。
【0053】
小径ピストン327とピストンバルブ305との当接部の周辺には、第5ボディ302、バランスリング314、および第4ボディ301とによって囲まれたリターン室329が形成されている。リターン室329は、リターン燃料流路330を介して低圧側油圧室310と連通している。また、リターン室329および低圧側油圧室310は、リターン燃料出口104と連通している。
【0054】
更に、本実施形態の加圧式油圧制御弁3は、次のような構成を採用したことに主な特徴を有している。すなわち、本実施形態では、バランスリング314の油圧面積と、フラットバルブシート部306aの油圧面積(フラットバルブ312のシート当接部312aとの接触部位の内側の面積)と、ピストンバルブシート部310aの油圧面積(ピストンバルブ305のシート当接部305eとの接触部位の内側の面積)とが、略等しくなるように構成されている。
【0055】
以上のように構成された加圧式油圧制御弁3では、当該制御弁3が駆動していない状態、つまり、圧電素子319に電荷が注入されていないために圧電素子319の伸びが生じていない状態では、フラットバルブ312は、フラットバルブシート部306aに当接(着座)した状態となり、高圧側油圧室306と制御油圧室309との連通が遮断される。
【0056】
また、この場合には、ピストンバルブ305のシート当接部305eは、ピストンバルブシート部310aから離座した状態となり、制御油圧室309と低圧側油圧室310とが連通される。これにより、制御油圧室309側から低圧側油圧室310側に液体燃料(作動油)が流れることで、制御油圧室309内の油圧が低下し、その結果、加圧開弁室204内の油圧が下がるようになる。その結果、気体燃料用ニードル202を下方向に付勢する力が上方向に付勢する力を上回り、気体燃料用ニードル202が着座する。
【0057】
一方、加圧式油圧制御弁3が駆動された状態、つまり、圧電素子319に電荷が注入されていることで圧電素子319に伸びが発生した状態では、ピストンバルブ305のシート当接部305eは、ピストンバルブシート部310aに着座した状態となり、制御油圧室309と低圧側油圧室310との連通が遮断される。
【0058】
また、この場合には、フラットバルブ312は、フラットバルブシート部306aから離座した状態となり、高圧側油圧室306と制御油圧室309とが連通される。これにより、高圧側油圧室306側から制御油圧室309側に高圧の液体燃料(作動油)が流れることで、制御油圧室309内の油圧が高められる。その結果、加圧開弁室204には、高圧の液体燃料が絞り212により規制された速度で流入し、加圧開弁室204内の油圧が油圧源からの作動油圧力(高圧)方向に高められる。その結果、気体燃料用ニードル202を上方向に付勢する力が下方向に付勢する力を上回り、気体燃料用ニードル202がリフトする。
【0059】
以上説明した加圧式油圧制御弁3によれば、三方弁構造を用いたことで、制御油圧室309が低圧側油圧室310と連通されていない状態で、高圧側油圧室306側から制御油圧室309側に作動油を供給して、加圧開弁室204内の油圧を高めることのできる構成が得られる。このため、従来の二方弁構造が採用されたものと比べ、加圧開弁室204内の油圧制御時の液体燃料(作動油)のリークを防止しつつ、気体燃料用ニードル202の噴射制御を行うことが可能となる。
【0060】
液体燃料の圧力は、180MPa程度と非常に高く、上記付勢機構318は、この油圧に基づく力に抗して、ピストンバルブ305を駆動しなければならなくなる。本実施形態の加圧式油圧制御弁3によれば、バランスリング314の油圧面積と、フラットバルブシート部306aの油圧面積と、ピストンバルブシート部310aの油圧面積とが略等しくなるように構成されている。このため、ピストンバルブ305に作用する液体燃料の油圧力をバランス(相殺)させることができる。これにより、加圧式油圧制御弁3の駆動時に、付勢機構318によってピストンバルブ305を押す力を低減させることができ、当該付勢機構318の小型化が可能となる。
【0061】
(減圧式油圧制御弁の詳細構造)
図4は、図1に示す減圧式油圧制御弁4の詳細な構造を説明するための断面図である。
図4に示す減圧式油圧制御弁4は、上記第1ボディ101の上方に順に配置された、第7ボディ401、第8ボディ402、および第9ボディ403を備えている。これらの各ボディ401等は、リテーナ404によって第1ボディ101と締結されている。
【0062】
図4に示すように、第7ボディ401の中央部には、液体燃料流路405を介して液体燃料の供給を受ける高圧側油圧室406が形成されている。また、高圧側油圧室406の下方には、リターン燃料流路407を介してリターン燃料出口104と連通されたスプリング室408が形成されている。更に、高圧側油圧室406の上方には、減圧燃料流路409を介して減圧開弁室203と連通された制御油圧室410が形成されている。
【0063】
第7ボディ401には、高圧側油圧室406と制御油圧室410とを仕切るようにして、ピストンバルブ411のピストンバルブピラー部411aが嵌合されている。スプリング室408の内部には、ピストンバルブピラー部411aを制御油圧室410側に向けて付勢するスプリング412が配置されている。
【0064】
ピストンバルブ411の中央部には、制御油圧室410に設けられたピストンバルブシート部410aと当接するシート当接部411bが形成されている。また、ピストンバルブ411の非ピラー部411a側の端部には、円周状に突出したシート当接部411cが形成されている。シート当接部411cは、ピストンバルブ411が上方向に付勢された際に、第8ボディ402内に設けられたフラットバルブシート部402aに当接することで、第8ボディ402内に形成された低圧側油圧室413と制御油圧室410とを閉塞させられるようになっている。低圧側油圧室413は、リターン燃料流路414を介してリターン燃料出口104と連通している。
【0065】
更に、ピストンバルブ411のシート当接部411c側(図4の上方側)には、ピストンバルブ411をピストンバルブシート部410aの方向に付勢するための付勢機構415が設置されている。付勢機構415は、圧電素子416を利用した付勢機構318と同様の構成を有している。このため、ここではその詳細な説明を省略することとする。
【0066】
また、減圧式油圧制御弁4では、フラットバルブシート部402aの油圧面積(ピストンバルブ411のシート当接部411cとの接触部位の内側の面積)と、ピストンバルブシート部410aの油圧面積(ピストンバルブ411のシート当接部411bとの接触部位の内側の面積)と、ピストンバルブピラー部411aの油圧面積とが、略等しくなるように構成されている。これにより、ピストンバルブ411に作用する液体燃料の油圧力をバランス(相殺)させることができる。
【0067】
以上のように構成された減圧式油圧制御弁4では、当該制御弁4が駆動していない状態、つまり、圧電素子416に電荷が注入されていないために圧電素子416の伸びが生じていない状態では、ピストンバルブ411のシート当接部411cは、フラットバルブシート部402aに当接した状態となり、高圧側油圧室406と制御油圧室410とが連通される。この場合には、その結果、液体燃料用ニードル201を下方向に付勢する力が上方向に付勢する力を上回っているので、液体燃料用ニードル201が着座する。
【0068】
一方、減圧式油圧制御弁4が駆動された状態、つまり、圧電素子416に電荷が注入されていることで圧電素子416に伸びが発生した状態では、ピストンバルブ411のシート当接部411bは、ピストンバルブシート部410aに着座した状態となり、高圧側油圧室406と制御油圧室410との連通が遮断される。
【0069】
また、この場合には、ピストンバルブ411のシート当接部411cは、フラットバルブシート部402aから離座した状態となり、制御油圧室410と低圧側油圧室413とが連通される。これにより、減圧開弁室203には、液体燃料入口102から高圧の液体燃料が絞り223によって規制された速度で流入すると同時に、減圧開弁室203から、絞り224により規制された速度で液体燃料の流出が生ずることとなる。その結果、トータルとしては、減圧開弁室203からは規制された速度で液体燃料(作動油)が流失することとなる。その結果、液体燃料用ニードル201を上方向に付勢する力が下方向に付勢する力を上回り、液体燃料用ニードル201がリフトする。
【0070】
以上説明した減圧式油圧制御弁4によれば、三方弁構造を用いたことで、制御油圧室410が高圧側油圧室406と連通されていない状態で、制御油圧室410側から低圧側油圧室413側に作動油を排出して、減圧開弁室203内の油圧力を下げることのできる構成が得られる。このため、従来の二方弁構造が採用されたものと比べ、減圧開弁室203内の油圧制御時の液体燃料(作動油)のリークを防止しつつ、液体燃料用ニードル201の噴射制御を行うことが可能となる。
【0071】
ところで、上述した実施の形態1においては、液体燃料用ニードル201と、当該液体燃料用ニードル201の同心外側に配置された気体燃料用ニードル202とを備えるようにし、気体燃料と液体燃料を別々に噴射するようにしている。しかしながら、本発明における内燃機関の燃料噴射装置の構成はこれに限定されるものではない。すなわち、上記の構成とは逆に、気体燃料用ニードルと、当該気体燃料用ニードルの同心外側に配置された液体燃料用ニードルとを備えるようにしてもよい。
【0072】
また、上述した実施の形態1においては、気体燃料用ニードル202を駆動するための油圧を加圧式油圧制御弁3で制御するようにするとともに、液体燃料用ニードル201を駆動するための油圧を減圧式油圧制御弁4で制御するようにしている。しかしながら、本発明における内燃機関の燃料噴射装置の構成はこれに限定されるものではない。すなわち、上記の構成とは逆に、気体燃料用ニードルを減圧式油圧制御弁で制御するとともに、液体燃料用ニードルを加圧式油圧制御弁で制御するようにしてもよく、更には、双方のニードルを加圧式油圧制御弁で制御するようにしてもよい。
【0073】
また、上述した実施の形態1においては、第1燃料として液体燃料を使用するとともに、第2燃料として気体燃料を使用するようにしている。しかしながら、本発明における内燃機関の燃料噴射装置に適用可能な燃料の構成は、これに限定されるものではない。すなわち、例えば、双方のニードルから噴射される燃料を異種の液体燃料もしくは異種の気体燃料としてもよい。
【0074】
尚、上述した実施の形態1においては、液体燃料が前記第1の発明における「第1燃料
」に、液体燃料用ニードル201が前記第1の発明における「第1噴射弁」に、気体燃料が前記第1の発明における「第2燃料」に、気体燃料用ニードル202が前記第1の発明における「第2噴射弁」に、減圧式油圧制御弁4が前記第1の発明における「第1油圧制御弁」に、加圧式油圧制御弁3が前記第1の発明における「第2油圧制御弁」に、ピストンバルブ305およびフラットバルブ312が前記第1の発明における「開閉体」に、付勢機構318が前記第1の発明における「付勢力発生手段」に、液体燃料の供給を受けるバランス室316が前記第1の発明における」「バランス油圧発生部」に、フラットバルブシート部306aが前記第1の発明における「高圧側シート部」に、ピストンバルブシート部310aが前記第1の発明における「低圧側シート部」に、それぞれ相当している。
また、フラットバルブ312が前記第2の発明における「第1開閉体」に、ピストンバルブ305が前記第2の発明における「第2開閉体」に、シート当接部305eを含む段付き部305dが前記第2の発明における「第1段付き部」に、段付き部305fが前記第2の発明における「第2段付き部」に、バランス室316が前記第2の発明における「油圧室」に、それぞれ相当している。
また、第3ボディ206が前記第3の発明における「第2噴射弁を収納するボディ」に、液体燃料流路220が前記第3の発明における「第1燃料流路」に、気体燃料流路209が前記第3の発明における「第2燃料流路」に、それぞれ相当している。また、気体燃料圧バランス弁229により圧力調整された液体燃料をガスシール燃料流路234を介して嵌合部228に供給することにより前記第3の発明における「シール燃料供給手段」が実現されている。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の実施の形態1における気液燃料噴射弁の全体的な構成を説明するための断面図である。
【図2】図1に示すダブルニードル駆動部の詳細な構造を説明するための断面図である。
【図3】図1に示す加圧式油圧制御弁の詳細な構造を説明するための断面図である。
【図4】図1に示す減圧式油圧制御弁の詳細な構造を説明するための断面図である。
【符号の説明】
【0076】
1 気液燃料噴射弁
2 ダブルニードル駆動部
3 加圧式油圧制御弁
4 減圧式油圧制御弁
101 第1ボディ
102 液体燃料入口
103 気体燃料入口
104 リターン燃料出口
201 液体燃料用ニードル
202 気体燃料用ニードル
202a 段付き部
202c 液体燃料用シート部
203 減圧開弁室
204 加圧開弁室
205 第2ボディ
206 第3ボディ
206b 気体燃料用シート部
208、217 噴孔
209、210、238 気体燃料流路
213、218、219、220 液体燃料流路
216、227 リターン燃料流路
228 嵌合部
229 気体燃料圧バランス弁
230 チェック弁ピストン
231 チェック弁室
231a チェック弁シート部
232 チェック弁球
234 ガスシール燃料流路
235 座ぐり穴
237 スプリング
239 ガスシール部材
301 第4ボディ
302 第5ボディ
303 第6ボディ
305 ピストンバルブ
305a 大径部
305b 小径部
305c 小径部
305d 段付き部
305e シート当接部
305f 段付き部
306 高圧側油圧室
306a フラットバルブシート部
307 液体燃料流路
308 バルブ穴
309 制御油圧室
310 低圧側油圧室
310a ピストンバルブシート部
311 加圧燃料流路
312 フラットバルブ
312a シート当接部
313 スプリング
314 バランスリング
315 ストッパ
316 バランス室
317 液体燃料流路
318 付勢機構
319 圧電素子
324 ピストン
326 大径ピストン
327 小径ピストン
328 変位加圧室
329 リターン室
330 リターン燃料流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1燃料の噴射を担う第1噴射弁と、
前記第1噴射弁の同心外側に配置され、第2燃料の噴射を担う第2噴射弁と、
前記第1噴射弁を駆動するための油圧を制御する第1油圧制御弁と、
前記第2噴射弁を駆動するための油圧を制御する第2油圧制御弁とを備え、
前記第1油圧制御弁および/または前記第2油圧制御弁は、油圧源からの供給油圧により加圧側で制御する加圧式油圧制御弁であり、
前記加圧式油圧制御弁は、
油圧源から作動油の供給を受ける高圧側油圧室と、
前記高圧側油圧室と連通可能に形成され、前記第1噴射弁および/または前記第2噴射弁に作動油を供給するための制御油圧室と、
前記制御油圧室と連通可能に形成され、前記制御油圧室内から作動油を排出するための低圧側油圧室と、
前記高圧側油圧室と前記制御油圧室との連通および遮断、並びに、前記制御油圧室と前記低圧側油圧室との連通および遮断を担う開閉体と、
前記高圧側油圧室内に作用する油圧力を受けて前記高圧側油圧室と前記制御油圧室とを閉塞するように付勢される前記開閉体に対して、当該開閉体に作用する油圧力に抗する方向に付勢力を付与可能な付勢力発生手段と、
前記油圧源から作動油の供給を受け、前記付勢力発生手段による前記付勢力と同方向に前記開閉体を付勢する油圧力を発するバランス油圧発生部とを備え、
前記加圧式油圧制御弁は、前記開閉体が前記高圧側油圧室の高圧側シート部に向けて付勢されたことで前記高圧側油圧室と前記制御油圧室とが閉塞された際に前記制御油圧室と前記低圧側油圧室とが連通され、一方、前記開閉体が前記低圧側油圧室の低圧側シート部に向けて付勢されたことで前記制御油圧室と前記低圧側油圧室が閉塞された際に前記高圧側油圧室と前記制御油圧室とが連通されるように構成されており、
前記バランス油圧発生部における油圧面積と、前記高圧側シート部の油圧面積と、前記低圧側シート部の油圧面積とが、略等しくなるように構成されていることを特徴とする内燃機関の燃料噴射装置。
【請求項2】
前記開閉体は、
前記高圧側油圧室内に配置され、前記高圧側油圧室内に作用する油圧力を受けて、前記高圧側シート部に向けて付勢される第1開閉体と、
中央の大径部に比して小径となるように両端側に形成された第1小径部および第2小径部とを有し、前記第1小径部が前記第1開閉体と当接するようにして前記低圧側油圧室側に配置された第2開閉体とを備え、
前記第2開閉体は、
前記大径部と前記第1小径部との間に形成された第1段付き部と、前記大径部と前記第2小径部との間に形成された第2段付き部とを有し、前記付勢力発生手段による付勢力を受けて、当該第1段付き部において前記低圧側シート部に向けて付勢され、
前記バランス油圧発生部は、
前記第2小径部の挿入を受ける環状のバランスリングを備え、当該バランスリングと前記第2段付き部との間で油圧室を構成していることを特徴とする請求項1記載の内燃機関の燃料噴射装置。
【請求項3】
前記第2噴射弁と当該第2噴射弁を収納するボディとの嵌合部を挟むようにして、前記第1燃料が流通する第1燃料流路と、前記第2燃料が流通する第2燃料流路とが形成されており、
前記第1燃料は、前記第2燃料よりも高い圧力で供給されており、
前記第2燃料の圧力よりは高くかつ当該第2燃料に近い圧力に設定された前記第1燃料を、前記嵌合部に供給するシール燃料供給手段を更に備えることを特徴とする請求項1または2記載の内燃機関の燃料噴射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−250156(P2009−250156A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−101016(P2008−101016)
【出願日】平成20年4月9日(2008.4.9)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】