説明

内燃機関の燃焼モード切替制御装置

【課題】燃費とドライバビリティの両立を実現することのできる内燃機関の燃焼モード切替制御装置を提供すること。
【解決手段】シフトチェンジが行われると(ステップS31)、燃焼モード切替条件の設定制御で設定された燃焼モード切替条件を解除し、初期状態である燃焼モードマップのみに基づく燃焼モード切替に一旦リセットする(ステップS35)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼モードを選択可能な内燃機関の燃焼モード切替制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、理論空燃比よりも希薄側(リーン)の空燃比で燃焼させることで低燃費を実現させることのできる希薄燃焼内燃機関(リーンバーンエンジン)が知られている。
当該リーンバーンエンジンでは、負荷が高くなった場合には十分な出力を実現するため、上記リーン空燃比よりも過濃側の空燃比で燃焼を行う通常燃焼モードへの切り替えを行っている。
【0003】
そして通常、当該燃焼モード切替条件は所定の負荷やエンジン回転数で設定されている。
しかし、このような設定だけでは、実走行において頻繁に燃焼モードの切り替えが行われることとなる。燃焼モードの切り替えは、噴射時期や点火時期、吸入空気量、EGR量等を瞬時に切り替える動作であるため、運転状態によっては燃焼が不安定となりやすく、そのため外乱に弱く失火やエンスト等を引き起こし易い上、トルクショックも生じる。このような燃焼モードの切り替えが頻繁に行われると、燃費や排ガスの悪化、ドライバビリティの悪化等を招くという問題がある。
【0004】
このため一般には、加速時は通常燃焼モードとし、定速走行や緩加速時に希薄燃焼モードで運転するよう制御することで、燃焼モード切替を過度に制限したり、複雑な制御を入れてトルクショック等を軽減させたりしていた。
しかし、実走行条件では一定速度での走行はごく稀であり、希薄燃焼モードでの運転割合が非常に小さくなってしまい、燃費のメリットを十分に享受することができなかった。
【0005】
そこで、所定の負荷やエンジン回転数で設定されている燃焼モードの切替条件にヒステリシスを持たせることで、頻繁な燃焼モード切替を防止する技術が開発されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−132497号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に開示された技術では、負荷とエンジン回転数とからなる燃焼モード切替条件にヒステリシスを持たせており、このようなヒステリシスを常に持たせた状態でいると例えば希薄燃焼モードで運転している際に運転者が強い加速を要求しているときであっても負荷とエンジン回転数がヒステリシスの領域を越えて通常燃焼モードの領域に入らないと通常燃焼モードへの切り替えが行われず、通常燃焼モードへの切り替えが遅れてしまい十分な加速を得られなかったり、ヒステリシスの領域において通常燃焼モードで運転している際に運転者が強い加速を要求していない緩加速状態となっても所定時間経過しなければ希薄燃焼モードに切り換わり難いため希薄燃焼による燃費メリットを享受できないという問題がある。また、加速途中や定常走行中に燃焼モードの切り替えが行われる可能性が高く、トルクショックによるドライバビリティの悪化を伴う。
【0007】
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、燃費とドライバビリティの両立を実現することのできる内燃機関の燃焼モード切替制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的を達成するために、請求項1の内燃機関の燃焼モード切替制御装置では、理論空燃比より希薄側の空燃比で燃焼を行う第1の燃焼モードと、該第1の燃焼モードより過濃側の空燃比で燃焼を行う第2の燃焼モードとを切替可能な内燃機関の燃焼モード切替制御装置であって、前記第1の燃焼モードと前記第2の燃焼モードとの切替条件を、前記内燃機関の所定の運転状態に応じて可変設定する燃焼モード切替条件可変手段と、前記車両のシフトチェンジを検出するシフトチェンジ検出手段と、該シフトチェンジ検出手段によりシフトチェンジが検出されると、前記燃焼モード切替条件可変手段により可変設定された燃焼モードの切替条件を一旦初期の状態に戻すリセット手段とを備えたことを特徴としている。
【0009】
つまり、内燃機関の所定の運転状態に応じて可変設定される燃焼モードの切替条件が、シフトチェンジが検出されると一旦初期の状態にリセットされる。
【発明の効果】
【0010】
上記手段を用いる本発明の請求項1の内燃機関の燃焼モード切替制御装置によれば、可変設定される燃焼モード切替条件が、シフトチェンジにより初期状態に戻されることで、燃焼モードの切り替えがシフトチェンジと同時に行われる機会が増え、同一シフト内での加速中には燃焼モード切替が起こり難くなり、複雑なモード切替を抑制させることができ、燃費を向上させることができる。
【0011】
さらに、シフトチェンジ時は動力が遮断されているので、燃焼モード切替によるショックは低減される上、シフトチェンジによるショックと重なり、運転者に不意なショックを与えず、ドライバビリティを向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1を参照すると、本発明に係る内燃機関の燃焼モード切替制御装置の概略構成図が示されている。
エンジン1(内燃機関)は、筒内噴射型の4サイクル直列4気筒型エンジンであり、図1にはそのうちの1つの気筒についての縦断面が示されている。なお、他の気筒についても同様の構成をしているものとして図示及び説明を省略する。
【0013】
図1に示すように、エンジン1の燃焼室2には、点火を行う点火プラグ4と、燃料を燃焼室2内に直接噴射可能な燃料噴射弁6とが臨んでいる。
また、燃焼室2には、エンジン1の略上下方向に延びる吸気ポート8と、エンジン1の略幅方向に延びる排気ポート10とが連通している。当該吸気ポート8と排気ポート10には、燃焼室2と吸気ポート8、排気ポート10との連通と遮断を行う吸気弁12、排気弁14がそれぞれ設けられている。さらに、エンジン1の気筒内には上下摺動可能なピストン16が設けられ、凹部が形成された当該ピストン16の頂面は燃焼室2の下面をなしている。
【0014】
ピストン16はコンロッド18を介してクランクシャフト20に連結されている。また、エンジン1にはクランクシャフト20の回転角、即ちクランク角を検出するクランク角センサ22が設けられている。
そして、点火プラグ4、燃料噴射弁6、クランク角センサ22等の各種装置や各種センサ類はECU(電子コントロールユニット)30と電気的に接続されており、当該ECU30は各種センサ類からの各情報に基づき各種装置を作動制御する。
【0015】
また、ECU30は車速を検出する車速センサ32、アクセル開度を検出するアクセルポジションセンサ(APS)34と電気的に接続されている。
以上のような構成のエンジン1は、空燃比を理論空燃比(ストイキ)よりも希薄側の空燃比とし圧縮行程中に燃料噴射を行い層状燃焼させる希薄燃焼モード(第1の燃焼モード)と、当該希薄燃焼モードよりも過濃(理論空燃比近傍)条件で吸気行程中に燃料噴射を行い均一混合燃焼させる通常燃焼モード(第2の燃焼モード)の2つの燃焼モードを切替可能であり、ECU30によってこれら2つの燃焼モードの切替制御が行われる。
【0016】
なお、エンジン1は吸気行程後半に燃料を噴射もしくは吸気行程・圧縮行程の2回に分けて燃料を噴射して弱成層燃焼を成立させ希薄燃焼モードとすることができる。また、吸気ポートに燃料を噴射するMPIのリーンバーンエンジンにおいては吸気行程後半に燃料噴射をして弱成層燃焼を成立させ希薄燃焼モードとすることができる。
ここで、本発明に係る内燃機関の燃焼モード切替制御装置の燃焼モード切替制御についての第1実施例及び第2実施例を説明する。
【0017】
まず、第1実施例について説明する。
図2にはエンジン1の負荷及びエンジン回転数に基づき設定された燃焼モードマップが、図3には第1実施例における燃焼モード切替条件の設定制御ルーチン(燃焼モード切替条件可変手段)のフローチャートが、図4には第1実施例における燃焼モード切替制御ルーチンのフローチャートが、図5には第1実施例における燃焼モード切替制御により10・15モード試験を行った際のタイムチャートがそれぞれ示されており、以下同図に基づき説明する。
【0018】
図2の燃焼モードマップには、負荷及びエンジン回転数に基づき希薄燃焼可能な領域が示されている。主に低負荷低回転数側が希薄燃焼モード領域に設定されており、希薄燃焼が不可能な高負荷高回転数側は通常燃焼モード領域に設定されている。
そして、図3に示す燃焼モード切替条件設定制御のフローチャートでは、まず、ステップS1において、クランク角センサ22、APS34等からエンジン1のエンジン回転数、負荷を算出し、当該エンジン回転数、負荷が図2に示されている燃焼モードマップの希薄燃焼モード領域内にあるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)である場合、即ちエンジン回転数、負荷が希薄燃焼モードでの運転が可能な領域内にある場合はステップS2に進む。
【0019】
ステップS2では、APS34より検出されるアクセル開度に基づきアクセル開度の変化率ΔAPS(以下、アクセル開度変化率ΔAPSという)を算出し、当該アクセル開度変化率ΔAPSが、予め設定されている規定値未満であるか否かを判別する。当該判別により、運転者の加速要求度合いを検出する。判別結果が真(Yes)である場合、即ち運転者が強い加速を望んでない場合は、ステップS3に進む。
【0020】
ステップS3では、エンジン1の現在の燃焼モードが希薄燃焼モードまたは車両が停車中であるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)である場合はステップS4に進む。
ステップS4では、燃焼モードの切替条件を第1の切替条件に設定し、当該ルーチンを抜ける。燃焼モードの切替条件は車速の変化率ΔVs(以下、切替ΔVsという)と、エンジン回転数の変化率ΔNe(以下、切替ΔNeという)に基づいて設定され、第1の切替条件では切替ΔVsを所定のΔVs1に、切替ΔNeを所定のΔNe1に設定される。なお、当該ΔVs1及びΔNe1は、比較的高い値、即ち希薄燃焼モードを維持する方向の値に設定されている。例えば当該ΔVs1及びΔNe1の値を無限大に設定し希薄燃焼モードを確実に維持するようにしても構わない。
【0021】
一方、上記ステップS1またはステップS2の判別結果が偽(No)である場合、即ち負荷が図2の燃焼モードマップにおける希薄燃焼モード領域外にある場合、またはアクセル開度変化率ΔAPSが規定値以上の強い加速を運転者が望んでいるような場合は、ステップS5に進む。
ステップS5では、燃焼モードの切替条件を第2の切替条件に設定し、当該ルーチンを抜ける。当該第2の切替条件は切替ΔVsを所定のΔVs2に、切替ΔNeを所定のΔNe2に設定する。なお、当該第2の切替条件ΔVs2、ΔNe2は上記第1の切替条件ΔVs1、ΔNe1よりも低い値、即ち希薄燃焼モードに切り替わり難くなるよう設定されている。例えば当該ΔVs2及びΔNe2の値を0に設定し希薄燃焼モードには切り替らないようにしても構わない。
【0022】
また、上記ステップS3において、判別結果が偽(No)である場合、即ち負荷が希薄燃焼モード領域内にありアクセル開度変化率ΔAPSが規定値未満である場合に、通常燃焼モードで運転しているときには、ステップS6に進む。
ステップS6では、シフトチェンジが行われたか否かを判別する。当該シフトチェンジの判別は、例えばクランク角センサ22から検出されるエンジン回転数が一時的に急低下(例えば100m秒間に200rpm以上低下)したことで判定したり、図示しないクラッチスイッチやトランスミッションECU等から検出することで行われる(シフトチェンジ検出手段)。
【0023】
そして、当該判別結果が真(Yes)である場合、即ちシフトチェンジが行われた場合は、上記ステップS4に進み燃焼モード切替条件が第1の切替条件に設定され、当該ルーチンを終了する。一方、判別結果が偽(No)である場合は、上記ステップS5に進み燃焼モード切替条件が第2の切替条件に設定され当該ルーチンを終了する。
負荷は希薄燃焼モード領域内にあり、強い加速を望んでいないような場合に通常燃焼モードで運転しているときには、シフトチェンジが行われることで燃焼モード切替条件が第1の切替条件にリセットされる(リセット手段)。
【0024】
続いて、図4に示す燃焼モード切替制御のフローチャートでは、まずステップS10において、負荷が図2に示されている燃焼モードマップの希薄燃焼モード領域内にあるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)である場合はステップS11に進む。
ステップS11では、実際の車速変化率ΔVs(以下、実ΔVsという)及び実際の回転数変化率ΔNe(以下、実ΔNeという)が、上記燃焼モード切替条件の設定制御によって設定された切替ΔVs及び切替ΔNe未満であるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)である場合、即ち実ΔVsが切替ΔVs未満且つ実ΔNeが切替ΔNe未満である場合は、ステップS12に進む。
【0025】
ステップS12では、燃焼モードを希薄燃焼モードに設定し当該ルーチンを抜ける。
一方、上記ステップS10、S11のいずれかが偽(No)である場合、即ち負荷が希薄燃焼モード領域外にある場合や、燃焼モード切替条件を満たしていない場合は、ステップS13に進む。
ステップS13では、燃焼モードを通常燃焼モードに設定し当該ルーチンを抜ける。
【0026】
ここで、図5に示すように、当該第1実施例の燃焼モード切替制御により10・15モード相当の走行を行うと、まず、図5(a)に示すように理想的な走行(加速・定常・減速走行を明確にして走行)を行った場合、定速時と、ほとんどの加速時において希薄燃焼モードで走行される。なお、減速時は燃料カット状態となっている。
そして、図5(b)に示すように実走行、即ち加速・定常・減速走行を曖昧にして走行した場合でも、定速時と、加速初期と急加速時を除いた加速時に希薄燃焼モードで走行され、上記理想的な走行に近い割合で希薄燃焼モードの走行がなされている。従来制御でこの走行を行った場合には、希薄燃焼モードでの走行はほとんどなされかったため、本制御では実走行条件においても大幅な燃費改善を得ることができる。
【0027】
以上のように、本発明に係る第1実施例では、燃焼モードマップやアクセル開度変化率ΔAPSによって2つの燃焼モード切替条件に可変設定されており、シフトチェンジが検出されると、燃焼モードマップが希薄燃焼領域内であってアクセル開度変化率が規定値未満であるときに通常燃焼モードで走行している場合であっても、第1の切替条件、即ち初期の状態に一旦リセットされる。
【0028】
これにより、燃焼モードの切り替えがシフトチェンジと同時に行われる機会が増え、同一シフト内での加速中には燃焼モード切替が起こり難くなり、複雑なモード切替を抑制させることができ、燃費を向上させることができる。
さらに、シフトチェンジ時は動力が遮断されているので、燃焼モード切替によるショックは低減される上、シフトチェンジによるショックと重なり、運転者に不意なショックを与えず、ドライバビリティを向上させることができる。
【0029】
また、アクセル開度変化率ΔAPSより運転者の要求する加速度を読み取り、運転者が強い加速を望んでいない場合は、燃焼モードの切替条件が比較的低い値の第1の切替条件とすることで、希薄燃焼モードが維持されやすくなり、希薄燃焼モードでの運転割合を増加させることができ、より燃費を向上させることができる。
また、運転者が強い加速を望んでいるときには燃焼モード切替条件を比較的厳しい第2の切替条件とすることで、希薄燃焼モードに切り替わり難くなり、十分な加速性能を確保することができる。
【0030】
このように運転者の加速要求度合いに応じて切替条件を可変させることで、運転者の要求に適した燃焼モードが選択・維持されるため、不必要な燃焼モードの切替の回数をさらに低減させることができる。これにより、燃焼モード切替による燃焼不安定や燃費、排ガス悪化、トルクショック等を一層抑制させることができる。
以上のことから、燃費及びドライバビリティの両立を実現させることができる。
【0031】
次に、第2実施例について説明する。
図6には第2実施例における燃焼モード切替条件の設定制御ルーチンのフローチャートが、図7には第2実施例における燃焼モード切替制御ルーチンのフローチャートがそれぞれ示されており、以下同図に基づき説明する。
図6に示す第2実施例における燃焼モード切替条件設定制御のフローチャートでは、上記第1実施例における図3のフローチャートのシフトチェンジの判別(ステップS6)を行わないようにしたものであり、その他の部分は上記実施例1における燃焼モード切替条件の設定制御と共通している。
【0032】
つまり、図2の燃焼モードマップより負荷が希薄燃焼モード領域内にあり(ステップS20)、アクセル開度変化率が規定値未満であって(ステップS21)、希薄燃焼モードまたは車両停止中であれば(ステップS22)、第1の切替条件ΔVs1、ΔNe1に設定される(ステップS23)。一方、これらの条件(ステップS20〜S22)を満たさなければ、第2の切替条件ΔVs2、ΔNe2に設定される。
【0033】
そして、図7に示す第2実施例における燃焼モード切替制御のフローチャートでは、まずステップS30において、上記図2に示されている燃焼モードマップから負荷が希薄燃焼モード領域内にあるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)である場合はステップS31に進む。
ステップS31では、シフトチェンジが行われたか否かを判別する。判別結果が偽(No)である場合、即ちシフトチェンジが行われていない場合は、ステップS32に進む。
【0034】
ステップS32では、実ΔVs及び実ΔNeが、上記燃焼モード切替条件の設定制御によって設定された切替ΔVs及び切替ΔNe未満であるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)であれば、ステップS33に進み。
ステップS33では、燃焼モードを希薄燃焼モードに設定し当該ルーチンを抜ける。
そして、上記ステップS30またはステップS32の判別結果が偽(No)である場合、即ち負荷が希薄燃焼モード領域外にある場合、または燃焼モード切替条件を満たしていない場合は、ステップS34に進み燃焼モードを通常燃焼モードにセットして、当該ルーチンを抜ける。
【0035】
一方、上記ステップS31の判別結果が真(Yes)である場合、即ちシフトチェンジが行われた場合は、ステップS35に進む。
ステップS35では、燃焼モード切替条件の設定を初期状態にリセット、即ち上記燃焼モード切替条件の設定制御で設定された燃焼モード切替条件を解除し、燃焼モードマップのみに基づく燃焼モード切替とする。したがって、当該ステップS35では上記ステップS30における希薄燃焼モード領域の判別が真(Yes)であることから、ステップS33に進み希薄燃焼モードに設定して、当該ルーチンを抜ける。
【0036】
そして、再度上記燃焼モード切替条件の設定制御により燃焼モード切替条件が設定される。
以上のように、本発明に係る第2実施例では、燃焼モードマップにのみに基づく燃焼モード切替条件を初期の状態とし、燃焼モードマップやアクセル開度変化率ΔAPSによって当該初期の状態から2つの燃焼モード切替条件に可変設定されている。そして、シフトチェンジが検出されると、初期の状態である燃焼モードマップにのみに基づく燃焼モード切替条件に一旦リセットされる。
【0037】
これにより第2実施例においても上記第1実施例を同様の効果を奏することができる。
以上で本発明に係る内燃機関の燃焼モード切替制御装置の実施形態についての説明を終えるが、実施形態は上記実施形態に限られるものではない。
例えば、上記実施形態では、燃焼モードの切替条件をアクセル開度の変化率ΔAPSによって可変設定させているが、これに限られるものではなく、他の運転状態に応じて可変設定されても構わない。
【0038】
また、燃焼モードの切替条件は車速の変化率ΔVsと、エンジン回転数の変化率ΔNeに基づいて行われているが、これに限られるものではなく他の運転状態に基づいて設定されても構わない。
また、上記実施形態では、運転者の加速要求度合いをアクセル開度の変化率ΔAPSより検出しているが、これに限られるものではなく、例えばスロットル開度から検出しても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に係る内燃機関の燃焼モード切替制御装置の概略構成図である。
【図2】エンジン負荷及びエンジン回転数に基づき設定された燃焼モードマップである。
【図3】第1実施例における燃焼モード切替条件の設定制御ルーチンのフローチャートである。
【図4】第1実施例における燃焼モード切替制御ルーチンのフローチャートである。
【図5】第1実施例における燃焼モード切替制御により10・15モード試験を行った際のタイムチャートである。
【図6】第2実施例における燃焼モード切替条件の設定制御ルーチンのフローチャートである。
【図7】第2実施例における燃焼モード切替制御ルーチンのフローチャートである。
【符号の説明】
【0040】
1 エンジン(内燃機関)
4 点火プラグ
6 燃料噴射弁
22 クランク角センサ
30 ECU
32 車速センサ
34 アクセル開度センサ(APS)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
理論空燃比より希薄側の空燃比で燃焼を行う第1の燃焼モードと、該第1の燃焼モードより過濃側の空燃比で燃焼を行う第2の燃焼モードとを切替可能な内燃機関の燃焼モード切替制御装置であって、
前記第1の燃焼モードと前記第2の燃焼モードとの切替条件を、前記内燃機関の所定の運転状態に応じて可変設定する燃焼モード切替条件可変手段と、
前記車両のシフトチェンジを検出するシフトチェンジ検出手段と、
該シフトチェンジ検出手段によりシフトチェンジが検出されると、前記燃焼モード切替条件可変手段により可変設定された燃焼モードの切替条件を一旦初期の状態に戻すリセット手段とを備えたことを特徴とする内燃機関の燃焼モード切替制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−138896(P2007−138896A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−337123(P2005−337123)
【出願日】平成17年11月22日(2005.11.22)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】