説明

内燃機関用の燃料性状判定システム

【課題】液体燃料の多様な燃料性状を検知し、これに基づいて内燃機関を所望の運転状態に制御可能とする内燃機関用の燃料性状判定システムを提供する。
【解決手段】燃料性状の各要素を着色状態で特定可能とする規格に基づいて着色された内燃機関1用の液体燃料Lの供給を受けて、着色された液体燃料Lの着色状態を光学式検出装置5で検出し、液体燃料Lの着色状態から燃料性状を判定し、内燃機関1を燃料性状の特性に対応するよう補正した適合値に基づいて所望の運転状態となるように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、内燃機関に供給する燃料の燃料性状を判定可能とするための内燃機関用の燃料性状判定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般にガソリンエンジンの燃料となるガソリンは、軽質、中質、重質といった特定の性状を有するのが普通である。またガソリンは、軽質、中質、重質といった性状を区別することなくガソリンエンジンで使用される。
【0003】
このため、ガソリンエンジンでは、通常よりも比重が大きい重質のガソリンが使用される場合であって、始動直後のようにエンジン温度が低い冷間時に燃料が特に気化霧化しにくいことから燃焼性が悪化し、最悪の場合エンジンストールを発生するおそれがある。
【0004】
そこで、従来、ガソリンの噴射を電子制御で行うガソリンエンジンでは、軽質、中質、重質といったガソリン性状によって噴射量を補正制御するものが提案されている。
【0005】
このようなガソリンエンジンでは、ガソリン性状による補正制御を行うため、燃料の比重が概ね燃料の燃焼性状、すなわち燃焼の難易度を反映するという性質と、燃料の密度が屈折率に比例する性質とを利用して燃料の濃度(比重)を、屈折率を検出する光学式燃料センサによって検出する。
【0006】
そして、このガソリンエンジンでは、検出した燃料の燃焼性状に基づいてガソリンの噴射量の制御を行い、エンジンの点火爆発状態を最適にし、排ガス対策等に役立てるものである(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
また従来のガソリンエンジンでは、ガソリン性状の差をより正確にエンジン制御に反映させるため、運転条件に合わせてガソリンエンジンの燃料噴射量を制御する制御系に装備されたガソリン性状判別装置が提案されている。
【0008】
このガソリン性状判別装置は、エンジン始動後、一定期間内に、電圧信号としてガソリン性状検出センサにより屈折率を測定する屈折率検出手段と、屈折率を基に、屈折率変化速度を演算し、演算結果からガソリン性状を判定する屈折率変化速度演算手段と、燃料噴射量を補正する噴射量補正手段とを備える。
【0009】
このガソリン性状判別装置では、ガソリン性状検出センサで屈折率を電圧として検出し、その値を基に温度を考慮して屈折率変化速度を算出してガソリン性状を判定し、ガソリン噴射量の補正を加える。
【0010】
ところでガソリンは、揮発性が強く、ガソリンタンクに充填したとしても常温で揮発して成分が変化していき、屈折率も変化して一定時間後にどの性状のガソリンも定常値にほぼ安定する。
【0011】
この場合の屈折率変化速度は、軽質なガソリンほど大きく、重質なほど小さくなって、その変化はガソリンが新たに充填された直後から一定時間は定量的であるので、温度を考慮した屈折率変化速度からガソリン性状を区別することができる。
【0012】
よって、このガソリンエンジンでは、このガソリン性状判別装置を用いることにより、判定誤差を少なくして、適切な燃料噴射量で制御し、理想的な空燃比や排気ガス対策を実現しようとしている(例えば、特許文献2参照)。
【0013】
従来、燃料としての石油の油種の判定を行なう手段の一種として、ガソリンスタンドで扱っているレギュラーガソリン・ハイオクガソリン・軽油・灯油の色が異なる4種類の石油を、光学的な色検出器によって色の違いを測定することで判別し、各種類の石油をタンクローリーから補給する時に誤って異油種のところの貯蔵タンクに補給して混油することを防止する混油防止装置が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0014】
近年では、内燃機関の燃料として、GTL(Gas to Liquid)の開発が進んでいる。このGTLは、天然ガス、メタン等の可燃性の炭化水素のガスを原料にし、沸点が高い炭化水素に合成液化した燃料である。
【0015】
【特許文献1】特開平5−240853号公報
【特許文献2】特開平7−20047号公報
【特許文献3】特開平8−2597号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
一般に、GTLは、セタン価が高く(着火しやすい)、硫黄分および芳香族分含流量が極微量であるという性質を持つ。そのため、低温始動性の改善や燃焼騒音の低減、NOx吸蔵触媒の劣化抑制、PMの低減に有効である。
【0017】
さらにGTLは、所定の密度、所定のセタン価、所定の発熱量等の所定の燃料性状を呈するように合成液化して製造可能である。
【0018】
しかし、GTLは、無色透明な液体燃料であるので、多様な組成のGTLにおける燃料性状を判別する手段がないという問題がある。
【0019】
このため、例えばGTLを燃料とする内燃機関では、給油されたGTLの密度、セタン価、発熱量等の異なる燃料性状を検知し、これに基づいて内燃機関を所望の運転状態に制御することができないという問題がある。
【0020】
本発明は上述した点に鑑み、多様な組成の液体燃料における燃料性状を判別可能とし、内燃機関に給油された液体燃料の密度、セタン価、発熱量等の異なる燃料性状を検知し、これに基づいて内燃機関を所望の運転状態に制御可能とする内燃機関用の燃料性状判定システムを新たに提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
第1に本発明の内燃機関用の燃料性状判定システムは、燃料性状の複数の要素に対応してそれぞれ着色された内燃機関用の液体燃料の供給を受けて、着色された液体燃料の着色状態を光学式検出装置で検出し、液体燃料の着色状態から燃料性状を判定することを特徴とする。
【0022】
上述のように構成することにより、内燃機関では、光学式検出装置によって検知された液体燃料の燃料性状の特性に対応するよう補正した適合値に基づいて、内燃機関を所望の運転状態となるように制御することができる。
【0023】
第2に、本発明は、第1に記載の内燃機関用の燃料性状判定システムにおいて、液体燃料における燃料性状の各要素を特定するための着色として基本3原色の内の少なくとも2色を設定し、液体燃料に着色される各原色の濃度を燃料性状の要素の度合いとして設定した液体燃料を利用することを特徴とする。
【0024】
上述のように構成することにより、第1に記載の発明の作用、効果に加えて、複数種類の着色された液体燃料が混合された場合でも、各原色の濃度の度合いを検出して、混合された液体燃料独自の燃料性状を特定することができる。
【0025】
第3に、本発明は、第1又は第2に記載の内燃機関用の燃料性状判定システムにおいて、液体燃料における燃料性状の各要素を特定するための着色として少なくとも赤外線又は紫外線の一方を設定した、液体燃料を利用することを特徴とする。
【0026】
上述のように構成することにより、第1又は第2に記載の発明の作用、効果に加えて、燃料性状の各要素を特定するための着色の自由度を拡大できる。
【0027】
第4に、本発明は、第1に記載の内燃機関用の燃料性状判定システムにおいて、光学式検出装置が、検知用の光線を着色された液体燃料を透過させるように出射する発光部と、着色された液体燃料を透過させた検知用の光線を受光し、燃料性状の各要素を特定する色ごとに光の成分及び強度を検出する受光部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明の内燃機関用の燃料性状判定システムによれば、多様な組成の液体燃料における燃料性状を判別し、内燃機関に給油された液体燃料の密度、セタン価、発熱量等の異なる燃料性状を検知し、これに基づいて内燃機関を所望の運転状態に制御することによって、内燃機関を高い効率で運転し、良好な排気ガス対策を実現できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明の内燃機関用の燃料性状判定システムに関する実施の形態について、図1乃至図4により説明する。
【0030】
この実施の形態における内燃機関用の燃料性状判定システムでは、液体燃料固有の燃料性状の情報に対応した液体燃料の着色状態を規格化する。
【0031】
すなわち、この内燃機関用の燃料性状判定システムでは、予め設定した規格に基づいて製造時に、燃料性状の情報に対応した所定波長の光を吸収する染料等を所定量添加して、液体燃料を着色する。
【0032】
そして、この内燃機関用の燃料性状判定システムでは、着色された液体燃料に光を透過させたときに所定波長の光が、所定量だけ吸収されることにより、透過光の光の波長の分布が呈する所定パターンによって、着色された液体燃料における固有の燃料性状の情報を読み取り可能な状況を作る。
【0033】
例えば、この液体燃料(GTL、石油、アルコール等の天然又は人工の液体燃料であって着色可能なものであればよい)では、基本3原色である赤色(R)、青色(B)、緑色(G)(なお、基本3原色は、光の基本3原色である赤色(R)、青色(B)、緑色(G)であっても、着色の基本3原色である、シアン、イエロー、マゼンダであっても良い、この明細書で基本3原色というときは、光の基本3原色と着色の基本3原色との両者を含むものとする。)の染料を、それぞれ所定量づつ添加して、燃料性状の情報に対応した着色が施された液体燃料を作る。
【0034】
なお、この液体燃料は、基本3原色の染料を添加する他に、赤外線を吸収する染料、紫外線を吸収する染料又は液体燃料を透過する光の明度を調整可能な染料等をそれぞれ所定量づつ添加して、燃料性状の情報に対応して所定の波長の光だけが、所定量だけ吸収される、所定パターンの光の吸収特性を呈するように構成しても良い。
【0035】
また、この内燃機関用の燃料性状判定システムでは、着色された液体燃料を供給される内燃機関側に、着色された液体燃料から燃料性状に対応した光の吸収特性を読み取るための光学式検出装置5(着色検出手段)を設置する。
【0036】
図2に示すように、この内燃機関用の燃料性状判定システムでは、内燃機関(ディーゼルエンジン又はガソリンエンジン等)1に対して、燃料タンク2から液体燃料Lを供給するための燃料配管3の一部に、光学式検出装置5を配置する。
【0037】
なお、この燃料タンク2では、給油口4から着色された液体燃料Lを供給して貯留しておく。この燃料タンク2に貯留されている着色された液体燃料Lは、図示しないポンプで汲み上げられて燃料配管3を通り内燃機関1へ送給される。
【0038】
図2に示す内燃機関用の燃料性状判定システムでは、着色された液体燃料Lが燃料配管3内を通過する際に、光学式検出装置5によって検出した色成分とその濃度に関わる情報を、内燃機関の制御装置を兼ねる、燃料性状の要素及び度合いの判断手段であるECU(Electronic Control Unit)6へ送信する。
【0039】
この燃料性状の要素及び度合いの判断手段であるECU6では、光学式検出装置5によって検知された色成分とその濃度に関わる情報から判断した燃料性状の要素及び度合いの特性に対応するように、内燃機関の運転条件である点火時期、燃料噴射時期等の制御値を補正して適合値を求め、この適合値に基づいて、内燃機関1を所望の運転状態となるように制御する。
【0040】
着色された液体燃料Lの燃料性状を検知するための光学式検出装置5は、図3に示すように、燃料配管3の途中に一体的に形成した密閉容器9の内部に、検知用の光線の発光部7と、検知用の光線の受光部8とを、所定間隔を開けて相対向するように配置して構成する。
【0041】
すなわち、この光学式検出装置5では、発光部7から出射された検知用の光線を、着色された液体燃料L中を透過させてから、受光部8で受光するように構成する。
【0042】
図4に示すように、光学式検出装置5における検知用の光線の発光部7は、透明窓付きの密閉ハウジング10の内部に、赤色(R)用のLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)11、青色(B)用のLED12、緑色(G)用のLED13と、必要に応じて赤外線(IR)用のLED14と、紫外線(UV)用のLED15とを配置する。
【0043】
この検知用の光線の発光部7は、各LED11、12、13、14及び15から出射された光ビームを、複数(図4では4個)のハーフミラー16を利用して1本の光束に合わせて検知用の光線とし、密閉ハウジング10の透明窓から出射するように構成する。なお図4では、作図の便宜上5本の線で記載しているが、これら5本の線は、1本の光束を意味する。
【0044】
また、検知用の光線の発光部7は、各LED11、12、13、14及び15から引き出したリード線18を図示しない光源用電源に接続し、ECU6が光源用電源からの電力供給動作を制御することによって、各LED11、12、13、14及び15に電力を供給して点灯し又は消灯されるように構成されている。
【0045】
また、この検知用の光線の発光部7では、赤色(R)用のLED11、青色(B)用のLED12及び緑色(G)用のLED13の代わりに、光の3原色を含んでいる白色光を発光する白色LEDを用いても良い。
【0046】
さらに、検知用の光線の発光部7は、可視光の波長を含む光源であれば、種々の発光ダイオード若しくはエレクトロルミネッセンス又はその他の一般に用いられている光源を利用して構成しても良い。
【0047】
図4に示すように、光学式検出装置5における検知用の光線の受光部8は、透明窓付きの密閉ハウジング17の内部に、赤色(R)光受光用の光電管19、青色(B)光受光用の光電管20、緑色(G)光受光用の光電管21と、必要に応じて赤外線(IR)受光用の光電管22と、紫外線(UV)受光用の光電管23とを配置する。
【0048】
この検知用の光線の受光部8では、密閉ハウジング17の透明窓から入射した光束を、複数(図4では4個)のハーフミラー24を利用して複数本(図4では5本)の光ビームに分割して各光電管19、20、21、22、23へ入射させるように構成する。
【0049】
また、各光電管19、20、21、22、23には、それぞれの光ビームの入射光路上に、各々対応して赤色光だけを透過する分解フィルタ25、青色光だけを透過する分解フィルタ26、緑色光だけを透過する分解フィルタ27と、必要に応じて赤外線だけを透過する分解フィルタ28と、紫外線だけを透過する分解フィルタ29とを配置する。
【0050】
このように構成した検知用の光線の受光部8では、赤色(R)光受光用の光電管19が赤色光の成分及び強度を検出し、青色(B)光受光用の光電管20が青色光の成分及び強度を検出し、緑色(G)光受光用の光電管21が緑色光の成分及び強度を検出し、必要に応じて赤外線(IR)受光用の光電管22が赤外線の成分及び強度を検出し、紫外線(UV)受光用の光電管23が紫外線の成分及び強度を検出する。
【0051】
また、検知用の光線の受光部8は、各光電管19、20、21、22、23から引き出した各リード線30を、図示しない増幅器を介してECU6に接続して、各光電管19、20、21、22、23による検知信号をECU6へ入力させるように構成する。
【0052】
また、この検知用の光線の受光部8では、赤色(R)光受光用の光電管19、青色(B)光受光用の光電管20、緑色(G)光受光用の光電管21の代わりに、赤色(R)光成分、青色(B)光成分、緑色(G)光成分の受光量を分離して出力可能な、カラー画像用のCCD(Charge Coupled Device)を利用して構成しても良い。
【0053】
なお、この光学式検出装置5では、検知用の光線の発光部7と検知用の光線の受光部8との間で、赤色(R)用のLED11から赤色(R)光受光用の光電管19だけへ光ビームが入射し、青色(B)用のLED12から青色(B)光受光用の光電管20だけへ光ビームが入射し、緑色(G)用のLED13から緑色(G)光受光用の光電管21だけへ光ビームが入射し、必要に応じて赤外線(IR)用のLED14から赤外線(IR)受光用の光電管22だけへ光ビームが入射し、紫外線(UV)用のLED15から紫外線(UV)受光用の光電管23だけへ光ビームが入射するように構成しても良い。
【0054】
このように構成した場合には、ハーフミラー16、ハーフミラー24、分解フィルタ25、26、27、28、29を省略して構成を簡素化できる。
【0055】
図1に示すように、上述した内燃機関用の燃料性状判定システムでは、内燃機関1を運転するため燃料タンク2から燃料配管3を通じて内燃機関1へGTL等の液体燃料を供給する際、光学式検出装置5が検出した液体燃料の燃料性状の情報をECU6へ送信する。
【0056】
すると、ECU6は、給油された液体燃料固有の燃料性状である密度、セタン価、発熱量等に基づいて、内燃機関1の冷間始動時、低負荷運転時、高負荷運転時等の各運転条件に対応した所望の運転状態に内燃機関1を制御し、適切な運転状態を実現する。
【0057】
次に、上述した内燃機関用の燃料性状判定システムにおける、液体燃料の燃料性状の情報を判別するために行う着色の具体例について、図1により説明する。
【0058】
この図1に示す液体燃料であるGTLの着色例では、GTLの密度(g/cm3)を赤色(R)で表示するように定める。
【0059】
これと共にGTLでは、種類が異なっても密度の分布の範囲が0.7(g/cm3)から0.9(g/cm3)に納まる場合に、密度の分布を10段階に等分し、これを10段階の赤色(R)の濃さ(光電管から出力された電圧レベル)として設定する。
【0060】
これにより光学式検出装置5は、赤色(R)光受光用の光電管19の出力の度合いによって、この内燃機関1に供給されたGTLの密度を検知できる。
【0061】
また、図1に示すGTLの着色例では、GTLのセタン価を青色(B)で表示するように定める。
【0062】
これと共にGTLでは、種類が異なってもセタン価の分布の範囲が42から90に納まる場合に、セタン価の分布を10段階に等分し、これを10段階の青色(B)の濃さ(光電管から出力された電圧レベル)として設定する。
【0063】
これにより光学式検出装置5は、青色(B)光受光用の光電管20の出力の度合いによって、このGTLのセタン価を検知できる。
【0064】
さらに図1に示すGTLの着色例では、GTLの発熱量(Mj/Kg)を緑色(G)で表示するように定める。
【0065】
これと共にGTLでは、種類が異なっても発熱量の分布の範囲が38(Mj/Kg)から48(Mj/Kg)に納まる場合に、発熱量の分布を10段階に等分し、これを10段階の緑色(G)の濃さ(光電管から出力された電圧レベル)として設定する。
【0066】
これにより光学式検出装置5は、緑色(G)光受光用の光電管21の出力の度合いによって、この内燃機関1に供給されたGTLの発熱量の度合いを検知できる。
【0067】
また、この内燃機関用の燃料性状判定システムでは、液体燃料の燃料性状を示す動粘度、イオウ濃度、酸素含有割合、T90(9パーセント蒸留温度)、H/C(水素元素と炭素元素の数量の比)等の要素から選択した所要のものを、光学式検出装置5に設けた、赤外線(IR)受光用の光電管22の出力と、紫外線(UV)受光用の光電管23の出力とに対応させるように構成することができる。
【0068】
さらに、この内燃機関用の燃料性状判定システムでは、液体燃料の燃料性状を示す要素である、密度、セタン価、発熱量、動粘度、イオウ濃度、酸素含有割合、いわゆるP90、いわゆるH/CP等の要素の内から所要複数の要素を選択して、各要素の度合いを、赤色(R)、青色(B)、緑色(G)、赤外線(IR)又は紫外線(UV)の内から選択した所要のものの濃度に対応させて構成することができる。
【0069】
この内燃機関用の燃料性状判定システムでは、着色済みの複数の液体燃料が混合したときに着色剤が混ざって明度が低下する場合に、検知用の光線の受光部8における赤色(R)光受光用の光電管19、青色(B)光受光用の光電管20及び緑色(G)光受光用の光電管21の出力に対する総合的な判断から明度を検出するように構成し、検出した明度の値から混合状態の有無を検知可能に構成してもよい。
【0070】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、その他種々の構成を採り得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の内燃機関用の燃料性状判定システムの実施の形態に係る、液体燃料の燃料性状を特定するための着色例を示す説明図である。
【図2】本発明の内燃機関用の燃料性状判定システムの実施の形態に係る、光学式検出装置を備えた内燃機関の要部を示す模式図である。
【図3】本発明の内燃機関用の燃料性状判定システムの実施の形態に係る、光学式検出装置部分を取り出して示す概略構成図である。
【図4】本発明の内燃機関用の燃料性状判定システムの実施の形態に係る、光学式検出装置の内部に配置した発光部と受光部との部分を取り出して示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0072】
1 内燃機関
2 燃料タンク
3 燃料配管
5 光学式検出装置
6 ECU(Electronic Control Unit)
7 検知用の光線の発光部
8 検知用の光線の受光部
11 赤色(R)用のLED
12 青色(B)用のLED
13 緑色(G)用のLED
14 赤外線(IR)用のLED
15 紫外線(UV)用のLED
19 赤色(R)光受光用の光電管
20 青色(B)光受光用の光電管
21 緑色(G)光受光用の光電管
22 赤外線(IR)受光用の光電管
23 紫外線(UV)受光用の光電管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料性状の複数の要素に対応してそれぞれ着色された内燃機関用の液体燃料の供給を受けて、
前記着色された液体燃料の着色状態を光学式検出装置で検出し、
前記液体燃料の着色状態から燃料性状を判定することを特徴とする内燃機関用の燃料性状判定システム。
【請求項2】
前記液体燃料における前記燃料性状の各要素を特定するための着色として基本3原色の内の少なくとも2色を設定し、
前記液体燃料に着色される各原色の濃度を前記燃料性状の要素の度合いとして設定した前記液体燃料を利用することを特徴とする、請求項1に記載の内燃機関用の燃料性状判定システム。
【請求項3】
前記液体燃料における前記燃料性状の各要素を特定するための着色として少なくとも赤外線又は紫外線の一方を設定した、前記液体燃料を利用することを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の内燃機関用の燃料性状判定システム。
【請求項4】
前記光学式検出装置が、
検知用の光線を着色された液体燃料を透過させるように出射する発光部と、
着色された液体燃料を透過させた前記検知用の光線を受光し、前記燃料性状の各要素を特定する色ごとに光の成分及び強度を検出する受光部と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関用の燃料性状判定システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−122289(P2008−122289A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−308075(P2006−308075)
【出願日】平成18年11月14日(2006.11.14)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】