説明

再現性がありかつ比較可能な流れ取得のためのシステム、装置および方法

患者の血管システムの関心領域中の造影剤の流れに対する脈動性の影響を測定し、除去するためのシステム、装置および方法が提供される。ひとたび心臓サイクルにわたる血液速度の変化が知られると(脈動性)、結果制御のためにこの影響が取得された画像シーケンスから除去される。それにより「準静的な」規則的な流れ取得像がその後の可視化および解析プロセスに渡される。心臓サイクル上の固定点で既知の造影剤を注入するために、あるいは既知の量の造影剤が既知の時刻に患者の脈管構造中の関心領域に到着するよう、同時にECGを測定し、使用する造影剤注入器も提供される。それにより、血流シーケンスの取得における主要な望ましくない変量の一つが制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再現性がありかつ比較可能な血流についての情報を取得するシステム、装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
血液が身体を通じて送り出されるのは、心臓の収縮によって血液に圧力が加えられるからである。血液に加えられる瞬時圧力は心臓の収縮状態に、すなわち心臓サイクルの位相に依存する。収縮期には圧力は高く、一方、拡張期には圧力はほぼ0のこともある。心臓から始まって、時間変動する圧力波は血管システムを伝搬し、血管システムにおける変動する速度v(t)=v平均p(t)につながる。人間の血管システムにおける瞬時血液伝搬速度は、心臓の収縮状態に、すなわち心臓サイクルの位相に強く依存する。この現象は、血流の脈動性p(t)と呼ばれている。本稿では心臓サイクルを通じた流れ速度の変動の強さとして定義される脈動度(degree of pulsatility)は、重要な機能的パラメータであり、医師に血管システムの実際の状態についての根本的な情報を与える。そうした情報は、これに限られないが次のものを含む:
動脈硬化/血管壁コンプライアンスの度合い:高い脈動度は、血管壁がもはや柔軟でないことを示し、石灰化の指標となる;
動脈瘤についてのリスク因子:高い脈動度は、弱まった血管壁に影響を及ぼす、強い変動する圧力波につながる。
【0003】
さらに、脈動性p(t)は、血流および灌流の他の諸側面を記述する機能パラメータに影響し、これを見えにくくする。これらの他の機能パラメータの、脈動性への依存性が記述可能であれば、脈動性の効果を補償できる。結果として、そのような機能パラメータの測定はより信頼でき、かつ再現性があるものになり、たとえば処置前と処置後のパラメータのよりよい比較を許容する。一例は、瞬時体積血流Q(t)=Q平均p(t)である。
【0004】
臨床的な重要性にもかかわらず、これまで、日常的に取得される血管造影画像シーケンスから脈動度を推定する確立された方法はなかった。すなわち、医師/インターベンション実施者が、主として造影媒質の注入から帰結する造影剤の密度変動から脈動性および/または脈動度の信頼できかつ再現性のある推定をするために、取得されたデータを使用するための一般的に受け容れられている方法はない。そのような技法またはモデルを提供する際、血液と造影剤の混合にとっての脈動性の影響および脈動性の影響のもとでの血管システムにおけるこの混合体の輸送を記述するモデルは、血管システムを通じた造影剤の前進を示す取得された観察に合うよう適応されなければならない。それにより、モデル・パラメータが脈動性を特徴付ける。一つの可能性として、造影剤注入点またはその近くにおいて抽出された造影剤の濃度の時間‐強度曲線を、この解析に入力される特徴として使うことができる。
【0005】
血流の可視化および測定は、動脈における疾病(たとえば狭窄症または動脈瘤)の重症度を評価するために本質的である。一つの重要な応用は、脈管構造の造影された診断取得像における動脈内の造影ボーラスの可視化に基づく、血流評価である。インターベンションX線の場合について例を与えるが、記載される方法および装置の適用可能性をこの臨床用途に制限することは意図されていない。この低侵襲手順では、インターベンション放射線医はカテーテルを関心のある血管に挿入し、造影剤を注入して、画像のシーケンスにおいて血流を可視にする。その後、記録された画像シーケンスにおける造影剤の広がりの目視検査によって血流を評価する。血流の脈動的な性質のため、ボーラスの瞬時伝搬速度は、心臓サイクルの位相に強く依存する。収縮期には、造影剤は速く押し進められ、一方、拡張期にはボーラスは止まることさえありうる。心拍の影響を減じることは、関連する生理学的情報の評価を容易にする。結果として、医師にとって血流評価がより簡単になり、より信頼できるようになる。さらに、注入点および時間への依存性が低下し、血流評価がより再現性があるものとなり、結果制御(outcome control)のための処置前と処置後の血管造影像のよりよい比較を許容する。
【0006】
臨床データに対する実験は、造影剤(CA: contrast agent)ダイナミクスを定量化する従来技術の画像解析方法が、必ずしも再現性のある結果を与えてくれないことを示している。しかしながら、そのような再現性なしでは、結果制御としてのインターベンション前とインターベンション後の比較さえ有効ではない。非再現性の主要な原因として、CAダイナミクスの心臓脈動性への依存性が検知された。特に、動脈硬化の度合いが進みつつある高齢患者については、血管壁コンプライアンスが低下し、その結果、動脈内の血流が心臓サイクルを通じて、大動脈における変動する駆動圧力に対応して強い変動を示す。
【0007】
この条件および造影剤注入の任意の開始のもとでは、血流ダイナミクスのビデオ濃度測定評価は、CAボーラス・フロントが血管構造中で診断的に有意な関心領域を通過したときの心臓サイクル中の位相に依存する。大動脈において、低下したコンプライアンスをもつ血管中の振動する流速v(t)1202が推定される。
【0008】
医師/インターベンション実施者に、作業フローおよびセットアップに何の変更もなく脈動性を測定でき、この脈動性の測定を使って、画像から、ボーラス伝搬の、心拍の瞬時位相への依存性を正しく引き去る技法を提供し、患者の心拍の効果が低下するようCA注入のタイミングを取る手段を提供する技法が必要とされている。さらに、インターベンション・ステップ前後の取得像を比較し、総血流量と心臓サイクルを通じたその脈動性の影響を分離するために使うことができる技法が必要とされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、再現性がありかつ比較可能な血流についての情報を取得するためのシステム、装置および方法を提供する。そのような血流の取得において、医師/インターベンション実施者にとって、脈動度は重要な機能パラメータである。それは、他の臨床的情報のうちでも:
・血管システムの実際の状態、たとえば動脈硬化の度合いまたは血管壁コンプライアンスの指標となり;
・動脈瘤についての一つのリスク因子を提供し;
・体積血流のような他の機能パラメータに影響し、これを見えにくくする。
よって、脈動性を考慮に入れ、これらの機能パラメータをより信頼でき、再現性があるものにし、たとえば処置前と処置後のパラメータのよりよい比較を許容することが本質的に重要である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第一実施形態は、医師に、作業フローおよびセットアップの何らの変更もなしに、血管造影から脈動性を測定できるシステム、装置および方法を提供する。本発明は、臨床的なシーケンスに簡単に適用可能であり、全自動で実行されうる、血管造影からの脈動性の測定を提供する。さらに、脈動性の推定は、信頼でき、再現性のある血流評価のための必須要件である。
【0011】
ある好ましい第一実施形態では、脈動性および/または脈動度は、主として、造影媒質の注入から帰結する造影剤密度変動から推定される。脈動性の影響のもとでの血管システムにおける血液と造影剤の混合および造影剤の輸送を記述するモデルが、時間‐強度曲線に合うよう適応される。前記モデルは、脈動性の特徴付けのためのすべての関連するパラメータを含み、特に脈動性の、血液と造影剤の混合に対する影響、および、患者の流れる血液による、変動する速度をもつ造影剤の輸送にとっての影響を取り込む。
【0012】
代替的な第一実施形態では、同時に記録されたECG信号から抽出された各心臓サイクルの継続期間を含む追加的な情報が考慮に入れられる。
【0013】
第二実施形態の基本的発想は、取得されたX線シーケンスを、時間軸変換に従って再生し、このボーラス伝搬の可視化およびその後の処理の、心拍の瞬時位相への依存性を下げることである。脈動性の影響は、結果制御のために、取得された画像シーケンスから除去され、それにより「準静的な」規則的な流れ取得がその後の可視化および解析プロセスに渡される。特徴的なパラメータは、自動的に決定されることができ(たとえば、好ましくは上記の第一実施形態を使った、あるいはECG情報を使った画像処理によって)、あるいはエンドユーザーによって選択されることができる。再生の最適な画像品質のために、そして患者の最低限の線量照射のために、時間変動するフレームレートまたは変動線量を伴う高フレームレートが血管造影像の取得のために使われるべきである。そうするにあたって、再生についてと同じ時間軸較正が活用できる。
【0014】
提案されるアプローチのある拡張では、改良された結果制御が、調整された処置前および処置後の血管造影像の比較によって実施される。この目的に向け、脈動性を補償してボーラスが所与の基準位置(たとえば注入点)から同時に出発するようにするために、両方の再生シーケンスが時間的に調整される必要がある。その後、両シーケンスは、比較において、あるいはインターベンション・ステップ後の血流における差の可視化が望まれる場合にはそれぞれの減算後に、医師に対して再生される。
【0015】
血流の評価において、医師はボーラスの表示された伝搬が、疾病の度合い(狭窄症、すなわち局所的な断面縮小によって妨害される血流のような)および心拍の位相を示す両方の生理学的パラメータによって影響されることを考慮に入れる必要がある。両者の重ね合わせおよび血流の脈動的な性質に起因する異なる時間スケールが流れシーケンスの評価および診断を複雑にする。よって、第二実施形態は、ボーラス伝搬の、心臓サイクルの瞬時位相への依存性を低下させることによって、医師に、流れシーケンスの改良された表示を提供する。ボーラス伝搬の、注入点および時刻への依存性も下がるので、手順はより再現性があるものとなり、処置前と処置後の血管造影像の比較によるよりよい結果制御を許容する。
【0016】
機能情報についての増え続ける需要があるので、第二実施形態およびその代替の機能性は、第一実施形態の適用範囲の重要な拡張となる。新しい時間軸変換は、計画された灌流および流れソフトウェア・パッケージに簡単に追加でき、診断および結果制御のための血管造影像の価値を高める。提案される方法の最も重要な用途の一つは、インターベンション前とインターベンション後の血流の差を可視化することである。提案されるシーケンスが単に互いに減算されるだけではこの比較が不可能であることを注意しておく。その場合には、シーケンスは、患者の心拍の効果のため、異なる周波数で遅い流れと速い流れの時間スパンが混ざり合うという事実によって、重度に見えにくくされるであろう。
【0017】
第三実施形態では、CA注入の制御がECG解析に基づく。医師/インターベンション実施者が造影剤注入を開始するとき、注入器はすぐ開始せず、むしろライブ観察されるECGにおいて所定の心臓位相の次の出現時に自動的に開始する。
【0018】
この第三実施形態は、次のことを達成するために使用できる:
・インターベンション前およびインターベンション後のCAダイナミクスの比較に基づく結果制御。これが可能なのは、再現性のあるCA注入が提供される場合である。
・異なる注入器パターンが現在の心拍数に合うよう適応されることができ、評価アルゴリズムが、観察されるボーラス・フロントが血管サブシステムにおける関心領域に到着するときの心臓サイクル中の位相を要求できる。
・短い造影剤バーストの自動化された制御。それにより心臓サイクル中の事前選択された位相における流れダイナミックが評価されることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
当業者は、以下の記述が限定ではなく例示の目的で与えられていることを理解するであろう。当業者は、本発明の精神および付属の特許請求の範囲内にはいる数多くの変形があることを理解するものである。既知の機能および構造の無用な詳細は、本発明を埋没させないよう、本記載からは省略されることがある。これは、実装の詳細について特に当てはまる。そのような実装の詳細が注入ポンプの図面に含められてはいるが、これはある好ましい機構である。しかしながら、そのようなポンプが唯一の制御機構ではなく、本稿においては単に解説の目的で使われている。
【0020】
画像のシーケンスにおいて血流を可視にするため、医師/インターベンション実施者は造影剤を関心のある血管に注入する。それはその後、十分な時間的解像度をもって取得モダリティで撮像される。そのようなモダリティは、これに限られないが、X線血管造影、超音波、計算機断層撮影および磁気共鳴撮像を含む。そのような取得において、画像シーケンスにおける造影剤の現れ方は、種々の脈動性機構によって影響される。
【0021】
A.注入点における元の注入パターンの変換:注入点において、造影剤と血液が混合される。これらの成分の比に従って、血管はX線画像上に、ある強度I0(t)をもって現れる。しかしながら、成分の比は、瞬時体積血流
Qフィード(t)=Q平均p(t)
(1)
に応じて変化する。よって、この量が高ければ、血液の割合は高くなり、したがってX線上での血管の減衰は少なくなる。瞬時体積血流が小さいときは、血液の割合も少なくなり、血管の減衰は大きくなる(図1)。
【0022】
B.変動する速度での造影剤の輸送:瞬時速度は心臓サイクルの現在の位相および血管の中心線への距離に依存するので、造影剤は変動する速度で輸送される。結果として、造影剤の現れ方は、注入点から観察点までのその途上で拡散のような効果によって修正されるばかりでなく、脈動性に起因しても修正される。
【0023】
本発明のある好ましい第一実施形態のための方法は、以下のステップを含む。
【0024】
1.造影剤の注入:カテーテルを介して関心のある血管樹に注入される。注入点はX線画像上では可視ではないことがある。注入と好適に選ばれた観察点との間の距離Lは追加的なモデル・パラメータであることができる(図2)。
【0025】
2.ECGの記録:これは必ずしも要求されない。しかしながら、ECG信号から各心臓サイクルの継続期間を抽出することによって、脈動性モデルのパラメータ数が減る。
【0026】
3.観察点における時間‐強度曲線I1(t)の抽出。これは、この点における造影剤の濃度の時間変化を決定する。それは、ノイズの影響を減らすため、血管中の観察点のまわりのあるエリア内で強度を平均することによる。
【0027】
4.脈動性p(t)の影響下での造影剤の輸送のための適切なモデルのセットアップ:好適なモデルは脈動性の種々の影響を含む必要がある。たとえば:
・脈動性の初期注入および
・脈動性の造影剤移送(CAT: contrast agent transfer)である。
【0028】
結果として得られるモデルを介して、観察点における時間‐強度曲線の予測が可能である。ある例示的な脈動性モデルを以下に述べる。
【0029】
a)脈動性の注入I0(t)は注入点における時間‐強度曲線(図2)であるが、これは造影剤(CA)と全体的な流体(血液およびCA)の量との比に依存する。
【0030】
【数1】

脈動性のため、注入点における式(1)に基づく血液量Qフィード(t)は時間依存であるのに対し、CAの量QCA(t)が時間変動するのは、注入パターンが方形パルスでない場合のみである。心臓サイクルにおける位相φECGに依存する脈動性p(φECG)のための諸テンプレートが、人体におけるすべての観察可能な血管サブシステムのために容易に利用可能である。総血流の変化、脈動度およびECG信号からの時間的なオフセットを観察された曲線に反映するために、各観察について、これらのテンプレートはスケーリングされ、pおよびφ方向にシフトされる必要がある。目標p(t)を構築するため、心臓サイクルにおける位相は、観察自身または追加的に取得されたECGから、観察の各時点についてφECG(t)として決定できる。cCAのようなパラメータは、造影剤の画像値への影響をさらに記述する(システムが前もって較正されていない場合)。QCA(注入ポンプが体積造影剤流を与えない場合)およびQ平均は、脈動性に直接関係しない、最適化ルーチンにおける追加的なパラメータである。造影が細長い柔軟なカテーテルを通じて注入されるとき、注入部位における造影剤は、減衰およびT1制御要素によって表される遅延をもって、造影剤注入器に追従する。ここで、カテーテルが既知であるときは、この効果の強さは前もって決定できる。
【0031】
b)脈動性の注入I0(t)ののち、CAは脈動性の造影剤移送を受ける。任意の観察時刻tOにおける観察点での強度I1(tO)は、血管腔にわたって強度値I(r,tO)を積分することによって得られる(図3、上)。強度I(r,tO)は基本的には、注入(injection)時刻tiに注入され、観察(observation)時刻tOまでに注入点と観察点との間の距離Lをカバーした造影物質(関連する強度I0(t)をもつ)によって決定される。こうして、それぞれの注入時刻tiが方程式
【0032】
【数2】

を解くことによって得られる。ここで、κ(r)は、血管の断面積にわたる血液および造影剤の変動する速度を表す。しかしながら、造影剤の輸送は脈動性のみならず拡散によっても影響される。造影剤の拡散は、ガウス分布曲線G(γ,Δt)によってシミュレートされる。ここで、γは拡散の強さを表し、Δtは拡散の継続期間を表す(図3、要素301)。よって、脈動性の造影剤移送の効果をモデル化するためには、追加的なモデル・パラメータが要求される。これらのパラメータはγ、L、v平均およびκ(r)である。好ましくは、脈動度Πが、Π=0が脈動性の修正のない定常流を表し、Π=1が拡張期における流れの完全な停止を示すように定義される。すると、1より大きな脈動度は逆流を示し、0より小さな何らかの値p(t)によって特徴付けられることになる。
【0033】
5.モデル・パラメータの最適化:脈動性モデルは、観察点における時間‐強度曲線の予測をする。ある最適化手順では、予測と観察が比較され、測定された時間‐強度曲線とモデル予測との間の誤差が最小化されるようにモデル・パラメータが調整される(図4参照)。
【0034】
6.結果の表示:結果が適切な仕方で医師/インターベンション実施者に対して表示される。あるいはまた、結果は脈動性の補償を要求するアルゴリズムに渡されることもできる。
【0035】
代替的な第一実施形態は、脈動性に起因する造影剤の輸送に影響する機構の数を減らす。結果として、関連するモデル・パラメータが余剰になり、脈動性モデルによる予測はより精密になる。特に、注入点および観察点が同一になる。よって、モデルによって表される必要があるのは血液と造影剤の混合だけになる。造影剤プローブを撮像することによって前もってシステムが較正されている場合、および注入ポンプが体積造影剤流を提供する場合、モデルの適応は全く要求されない。今述べたこの代替的な実施形態では、観察I0(t)と、脈動性の体積血流Qフィード(t)以外のすべてのモデル・パラメータ(cCAおよびQCA(t))は既知である。よって、Qフィード(t)の直接計算が可能である(式(2)または上記の方法のステップ4を使って計算される)。
【0036】
体積流、脈動度、血管断面積にわたる変動する速度および拡散のパラメータは、これらを自動的に決定し、ユーザーに提供するよう、コンピュータ・プログラムによって適応される。
【0037】
脈動性の推定は、それ自身、重要な情報を提供する。さらに、信頼でき、再現性のある血流評価をサポートする。
【0038】
ここで図7を参照すると、取得された画像のシーケンス712から脈動性を抽出する装置703が示されている。該装置は、ECG信号703および画像シーケンス702を受領し、いくつかのモジュールによるそれらからの脈動性の抽出を制御するよう構成されている。それらのモジュールに含まれるものとしては、予測シーケンスを提供するCA予測器モジュール704と、人体におけるすべての観察可能な血管サブシステムをカバーするあらかじめ定義されたテンプレートのデータベース707から適切なテンプレートを取得して変換し、それを適切にスケーリングおよびシフトするテンプレート・スケーリング/シフト・モジュール709と、取得されたシーケンスを予測されたシーケンスと比較し、両者の間の誤差が最小になるモデルを導出する脈動性抽出モジュール705とがある。取得されたシーケンスおよびECGに基づく、よって実行される手順についてのみ有効な、患者の脈動性のモデルが出力710される。
【0039】
ある好ましい第二実施形態は、取得された画像シーケンスを、心拍依存の時間軸変換に従って再生する。そうする際、表示される流れシーケンスに対する脈動性の影響が低下させられる。その特徴的なパラメータは、シーケンスから画像処理方法によって推定されるか、エンドユーザーによって選択される。心臓サイクルについての要求される情報は、たとえば、ECG信号から抽出される。
【0040】
ある代替的な第二実施形態では、処置前と処置後の血管造影像が、それらから導出される両方の調整された再生シーケンスの比較により、改良された結果制御を提供する。この目的のため、両方の再生シーケンスは、ボーラスが所与の基準位置(たとえば注入点)から同時に出発するよう時間的に調整され、脈動性の影響は時間軸変換を使って除去される。その後、両シーケンスは比較のために医師に対して再生される。
【0041】
さらにもう一つの代替的な第二実施形態では、調整された再生シーケンスの最適な画質のため、時間変動するフレームレートまたは変動する管電流(tube current)と組み合わせた高フレームレート(取得後の所望される画像フレームの生成を許容する)の少なくとも一方が、血管造影像の取得のために使われる。そうする際、血流シーケンスの再生において活用されたのと同じまたは類似の時間軸較正が、フレームレートまたは管電流の変動のために利用されるべきである。この取得プロトコルのメリットは:
・再生されるフレームがX線手順において直接得られるか、あるいは少なくとも十分な数のフレーム/高線量血管造影像が、心臓サイクルの本質的な諸位相の間にそれぞれ取得される。
・余剰な取得を回避することによって、あるいは線量を最小にすることによって、患者の線量照射が減らされる。さらに、X線管のウォーミングアップが簡単にされる。
【0042】
第二実施形態に基づく方法が図5に示されている。この図では、調整された処置前および処置後の血管造影像の再生が、関係する処理ステップをマークする破線によって示されている。本方法は以下のステップを有する。
【0043】
1.時間軸変換(time axis transformation)を指定502.5:血流は、心臓サイクルにわたる流速の変化によって特徴付けられ、該変化は曲線p(φECG)によって表されており、これが患者の心臓活動の観察を介して、たとえばECGによって曲線p(t)に変換される。この曲線は適切にスケーリングされる必要がある。平均速度が加えられる必要がある。そして、位相シフトまたはそれぞれの遅延が適用される必要がある。それにより、修正されたテンプレート曲線p(t)が所与の観察における血流を表すようになる。この修正は、平均して、脈動度Πをもって流れる体積流Qが得られるような、テンプレート曲線の線形変換である。好ましくは、脈動度Πは、Π=0が脈動性の修正のない定常流を表し、Π=1が拡張期における流れの完全な停止を示すように定義される。すると、1より大きな脈動度は逆流を示し、0より小さな何らかの値p(t)によって特徴付けられることになる。
【0044】
2.画像のシーケンスの取得502.6:時間軸変換後の再生のために一定のフレームレートを得るために、実世界の時間の非等間隔のサンプリングが要求される。より精確には、実世界の軸のサンプリングは収縮期には密だが等間隔であり、拡張期にはより広くなる。時間変換は取得の時間インスタンスに影響するので、時間軸変換は取得をも操縦しうる。この目的のため、二つの異なる可能性が存在する:
a.フレームレートが適応可能である。よって、画像が、所定の時間インスタンスにおいてまたはその近くにおいてのみ取得される。
b.取得後にビン分け(binning)/総合(integrating)によって所望される画像フレームが生成されるような高フレームレート。追加的に、フレームレート補間がより簡単になる。というのも、フレームレート補間は取得されたフレームの修正されたビン分けに帰着するからである。
【0045】
3.収縮期および拡張期の始まりの決定502.4:時間軸変換は各心臓サイクルについて別個に実施される必要がある。この目的に向け、心臓サイクル上での位相φECG(t)がまず決定される必要がある。要求されるφECG(t)を得る一つの可能性は、ECG信号の活用にある。好ましくは、前記位相は、このECGにおけるその後のRピークどうしの間の均等な離間によって割り当てられる。この方法が適用されるとき、観察における結果として得られる流速へのECG信号の位相シフトまたは遅延は、予測される時間‐強度曲線が抽出された時間‐強度曲線に最もよくマッチするよう手動で調節されるか自動的に決定されることのできる一つのパラメータである。
【0046】
4.時間軸変換に基づくフレームの補間および再生502.7:時間軸変換t→t′は今、
【0047】
【数3】

に従って定義される。提案される時間軸変換のため、取得の時間インスタンスはもはや等間隔ではない。一般には、フレームはこれらの要求される時間インスタンスにおいて撮られていないので(可能性としては、修正された取得プロトコルの場合でさえも)、中間フレームの計算が必要とされる。この目的に向け、フレームレート補間が利用できる。しかしながら、変動する管電流と組み合わせた高フレームレートが使われる場合は、フレームレート補間は取得されたフレームの修正されたビン分けに帰着する。その後、フレームレート補間後に、画像が新しい時間スケールt′に関して表示される。
【0048】
5.パラメータの洗練502.8:時間スケールt′に関して再生を検査する際、観察者は、非最適に推定された脈動度およびテンプレートp(φECG)の位相シフトに起因する不完全性に気がつくことがありうる。結果として、ユーザー対話によってこれらのパラメータを修正する可能性が、再生システムによって提供されることができる。
【0049】
6.結果の制御501:追加的に、処置後の血管造影像が利用可能であれば、上記のアプローチは改良された結果制御のために利用されることもできる。この目的に向け、次のステップが要求される。
【0050】
i.再生の時間インスタンスの決定501.5:両シーケンスにおけるボーラス伝搬の比較のために、ボーラスは、脈管構造中のカテーテルの位置によって定義されるある基準位置(たとえば、動脈瘤の始まり)から同時に出発する必要がある。両シーケンスの注入点および注入時刻ならびに平均血流速度は異なるので、この要求は、一般には、取得/調整されたシーケンスにはあてはまらない。よって、時間変換が実施できる前に、処置後のシーケンスについての再生の要求される時間インスタンスをまず決定する必要がある。
【0051】
ii.再生を通じた時間軸の変換501.3および調整された時間シーケンスの比較501.8:これを達成するために、両シーケンスが好ましくはステップ1〜5について上記した処理に従って、ただし個別の時間軸変換t→t1′およびt→t2′をもって処理される。ステップ501.5では、最後の自由度として、好ましくは病理のフィードのところに選択されたあるコントロール点についての観察された時間‐強度曲線(time-intensity curve)どうしが最大の重なりをもつよう、シーケンス間の時間的なオフセットが調整される。
【0052】
第二実施形態およびその代替の適用の一例として、多くの血管インターベンションの目標は、血流を有益に修正すること、たとえば、狭窄した区間を通じた流れを増すこと、あるいは動脈瘤における血流を減らすことである。したがって、診断用およびインターベンション後の取得の比較が、インターベンションの影響を判断するために望まれる。差の可視化が、「造影剤が今ではこの区間により速く到達する」または「この区間における減衰の量が常に低下されている」といった型の貴重な情報を与えることができる。こうした情報は、インターベンション前後のデータの減算から得られる。
【0053】
この減算を可能にするために、脈動性および造影注入時点の影響が補償される必要がある。この補償のために、まずは、前記第一実施形態を使うことによる、有意な関心のある区間の流れ解析が要求される。
【0054】
以下の例では、平均流量Q1およびQ2がともに、心拍および造影注入に起因するそれぞれp1(t)およびp2(t)というその時間変動とともに抽出されていると想定する。さらに、有意な血管サブ構造への流入のところでのTICが利用可能でなければならない。比較可能な動的血管造影像のため、不規則な再サンプリングt→t1′およびt→t2′が
【0055】
【数4】

となるように生成される。
【0056】
この時間的な再サンプリングは、両方の取得を、変動するのが血流の総量のみである準静的な取得に変換する。二つのシーケンス間の時間的なオフセットで、有意な血管サブ構造への流入のところで読まれたTICの最大相関につながるようなものが決定される。二つの診断的な血管造影像の比較は、同じ注入時間にわたって同じ量の造影剤が加えられるときにさらに高められる。好ましくは、注入は心臓サイクル上の同じ位相で始まる。この時間的位置合わせおよび規則化ののち、差が、グレースケールのオーバーレイおよびカラーのオーバーレイをもって、インターベンション後のシーケンス上で可視化できる。
【0057】
図6のa−1ないしa−4を参照すると、神経血管動脈における動脈瘤が、ステント挿入のインターベンションとともにシミュレートされている。インターベンション後のシミュレーションでは動脈瘤の流れ割合が低下している。インターベンション後の取得からのフレームが図6のa−1ないしa−4に示されている。上記の時間的な調整および位置合わせ後は、減算画像が、インターベンション前の取得との比較を許容し、インターベンション前のほうが造影剤がより早く動脈瘤に到着したことを明らかにする。これは図6のb−1ないしb−4において明るいオーバーレイとしてコードされており、インターベンション・ステップの効果、すなわち動脈瘤を通じたより遅い血流を可視化している。
【0058】
第三実施形態は、再現性があり、比較可能な流れ取得を可能にするための造影剤注入器を提供する。提供される造影剤注入器は、ECGを測定し、造影剤を常に心臓サイクル上の固定点において注入する。すると、少なくとも注入部位におけるTICは同様であり、これは、流れシーケンスの取得における主要な望ましくない変量の一つを除去する。
【0059】
ある第三実施形態では、CA注入の制御は、ECG解析に基づく。医師/インターベンション実施者が造影剤注入を開始するとき、注入器はすぐには開始せず、むしろライブ観察されるECGにおいて所定の心臓位相の次の出現時に自動的に開始する。
【0060】
この第三実施形態は、次のことを達成するために使用できる:
・再現性のあるCA注入が提供されるなら、インターベンション前およびインターベンション後のCAダイナミクスの比較に基づく結果制御。
・異なる注入器パターンが現在の心拍数に合うよう適応されることができ、評価アルゴリズムが、観察されるボーラス・フロントが血管サブシステムにおける関心領域に到着するときの心臓サイクル中の位相を要求できる。
・短い造影剤バースト。それにより心臓サイクル中の事前選択された位相における流れダイナミックが評価されることができる。
【0061】
第三実施形態を実装する装置800の例が図8に示されており、ビデオ濃度測定解析の注入時間への依存を回避する方法を提供する。好ましい第三実施形態では、造影剤注入の時間の制御は、CA注入制御モジュール802により、ECG取得708に基づく。QRS群または同様の特性が、取得されたECG信号708上で検出され、その結果、心拍数および心臓サイクル中の位相が知られる。後者は位相決定モジュール803の使用による。この情報をもって、血管システムにおける収縮期と拡張期の駆動圧力の交替も、前もって知られる。医師/インターベンション実施者によって作動させられたとき、CA制御機構804(好ましくは注入ポンプ)はすぐには開始せず、開始は制御モジュール802によって、心臓サイクルの事前選択された位相の次の到着時に生起するよう、制御される。該事前選択された位相は、同時に取得されたECG信号708から位相決定モジュール803によって決定される。この第三実施形態は、注入点713の再現される位置を要求する。これは好ましくは、カテーテル自身の撮像およびカテーテルが繰り出された長さの観察の少なくとも一方によって与えられる。
【0062】
解析システム実施形態900は、CAダイナミクスの定量解析または比較解析のための統合されたワークステーション901を有し、選択された本発明の第一ないし第三実施形態およびそれらの代替の統合されたアーキテクチャを含む。たとえば、図9に示されるワークステーションは、ECG取得システム712、CA注入器のための開始コマンドおよび停止コマンドを与えるCA注入制御システム800および現在の取得712に合うよう調整し、その逆もする専用の画像解析サブシステム910を含む。ワークステーション901はさらに、ライブECG取得712から心臓サイクル中の現在位相の推定を更新するよう構成されている。制御はCA注入制御システム800に含められており、該CA注入制御システム800は、ワークステーション901が、特定の解析タスクのために事前決定された要件に従って、推定された現在の心臓位相に同期する造影注入ポンプを開始および停止できるよう、ワークステーション901にインターフェースされている。
【0063】
解析実施形態の適用は次のものを含む。
【0064】
・心拍に比較して高い周波数をもつ造影剤注入QCA(t)におけるパターンの導入により、解析アルゴリズムに、改良された信号品質の諸特徴を与えることができる。そのような注入パターンのパラメータは、解析アルゴリズムおよびそのそれぞれの注入パターンの改良された調整を許容するよう、ECGおよび関係した情報(たとえば心拍数)に基づいて制御できる。
【0065】
・定義された位相における短い注入器バーストは、CAボーラスが心臓サイクルにおける事前選択された位相のところで関心領域に到着することを制御できる。そのような小さなバーストの注入の系統的な調整は、関心領域における心臓サイクル全体にわたる血流ダイナミクスに関する、定量的な情報を与えることができる。ある専用プロトコルでは、血管システムおよびCAダイナミクスがまだ人間の観察者にとって可視であるよう、この短いバーストにはより長いCA注入が続くことができる。
【0066】
本発明の好ましい実施形態が図示され、説明されてきたが、当業者は、ここに記載されるシステム、装置および方法が例示的であり、本発明の真の範囲から外れることなくさまざまな変更および修正がなされてもよく、その要素について等価物が代用されてもよいことは理解するであろう。さらに、本発明の教示を特定の状況に適応するために、その中心的な範囲から外れることなく数多くの修正がなされうる。したがって、本発明は、本発明を実施するための最良の形態として開示される個別的な実施形態に限定されることは意図されておらず、本発明は付属の特許請求の範囲内にはいるあらゆる実施形態およびあらゆる実装技法を含み、単に例として個々で使われているさまざまな実装アーキテクチャだけを含むのではないことが意図されている。

【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】注入パターン(黒)および注入点における時間強度曲線(脈動性の初期注入、灰色)の比較を示す図である。
【図2】脈動性測定のためのセットアップを示す図である。
【図3】注入部位の下流の観察点における時間強度曲線I1(t)の計算を示す図である。
【図4】測定された時間強度曲線および好ましい解析方法の対応するモデルあてはめの例を示す図である。
【図5】X線流れシーケンスの高められた表示のための修正された作業フロー(TAT=時間軸変換[time axis transformation])を示す図である。
【図6】a、bは、第二実施形態によって提供される減算を使ってインターベンション前とインターベンション後の画像の比較を示す図である。
【図7】本発明に基づく、取得された画像のシーケンスから脈動性を抽出する装置を示す図である。
【図8】第三実施形態に基づく装置800を示す図である。
【図9】解析システムの実施形態を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像シーケンスから脈動度を決定する方法であって:
撮像システムにより、患者の血管システムを通じた血液と既知の造影剤との混合物の輸送から帰結する、前記既知の造影剤の濃度の時間‐強度画像シーケンスを取得する段階と;
前記既知の造影剤と観察された時間依存血流との混合の関数に基づく造影剤予測モデルを提供する段階と;
前記の提供された造影剤予測モデルを使って、取得された画像シーケンスから脈動度を抽出する段階とを有する、
方法。
【請求項2】
前記撮像システムが、インターベンションX線、超音波ならびに計算機断層撮影または磁気共鳴撮像による血管造影を使った反復的な取得からなる群より選択される、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記取得する段階がさらに:
a.前記造影剤の、その注入部位における濃度を時間とともに変動させる段階と;
b.前記注入部位における前記既知の造影剤を、その濃度の観察されたシーケンスを得るために撮像する段階と;
c.前記造影剤予測モデルの使用により、前記注入部位における前記既知の造影剤の濃度の予測されたシーケンスを得る段階とを有し;
前記抽出する段階がさらに、前記観察されたシーケンスを前記予測されたシーケンスとマッチさせる段階を有する、
請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記撮像する段階がさらに、前記既知の造影剤を、その観察されたシーケンスを得るために、関心領域における前記注入部位の下流で撮像する段階を有する、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記取得する段階がさらに、同時に前記患者から心電図(ECG)信号を取得する段階を有しており、
当該方法がさらに:
a.前記ECGから前記患者の心臓サイクルの位相φECGを識別する段階と;
b.識別された位相φECGの関数として流速をもつ、脈動性p(φECG)についてのテンプレートを用いて心臓サイクルにわたる時間依存の血流を決定する段階とを有する、
請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記マッチさせる段階がさらに:
前記テンプレートをスケーリングする段階と;
前記スケーリングされたテンプレートを定常流のオフセットに加えて修正された定常流を得る段階と;
前記修正された定常流を心臓サイクル上でシフトさせる段階、
とを実行することによって、最適なマッチを得る段階を有する、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記テンプレートが、収縮期においては高い平均流速を、拡張期においては低い平均流速をもつ簡略化されたテンプレートである、請求項5記載の方法。
【請求項8】
前記マッチさせる段階がさらに:
前記テンプレートをスケーリングする段階と;
前記スケーリングされたテンプレートを定常流のオフセットに加えて修正された定常流を得る段階と;
前記修正された定常流を心臓サイクル上でシフトさせる段階、
とを実行することによって、最適なマッチを得る段階を有する、請求項7記載の方法。
【請求項9】
患者の血管システム中の関心領域を通じた造影剤の前進の血流の取得された画像シーケンスの可視化および解析の方法であって:
前記血流の脈動性の性質についての情報を得る段階と;
前記得られた情報を使って前記画像シーケンスを修正して、該画像シーケンスから脈動性の流れの影響を除去する段階と;
前記の取得された画像シーケンスおよび前記の修正された画像シーケンスの両方を血流可視化および解析システムに与える段階とを有する、
方法。
【請求項10】
前記血流の脈動性の性質についての情報が、手動の対話および請求項6記載の方法からなる群より選択される技法の一つによって得られる、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記血流の脈動性の性質についての情報が、手動の対話および請求項8記載の方法からなる群より選択される技法の一つによって得られる、請求項9記載の方法。
【請求項12】
前記の取得されたシーケンスが、インターベンション・ステップ前に取得されたシーケンスおよびインターベンション・ステップ後に取得されたシーケンスを含む二つのシーケンスを有する、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記の可視化および解析する段階が、前記二つのシーケンスの間の差を可視化する段階を有する、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記の差を可視化する段階がさらに、前記二つのシーケンスのうちの一方についてカラーのオーバーレイを使用する段階を有する、請求項13記載の方法。
【請求項15】
ある事前選択された時点における造影剤の濃度が前記二つのシーケンス間で最大の類似性を有するよう、前記二つのシーケンスの間の時間的オフセットを決定する段階をさらに有する、請求項14記載の方法。
【請求項16】
患者の血管システム中の関心領域への造影剤注入を制御する方法であって:
前記患者の心臓サイクル中の位相を判別する段階と;
前記判別された位相に基づいて、ある注入点において、前記造影剤を前記血管システムの前記関心領域中に注入する段階とを有する、
方法。
【請求項17】
前記判別する段階がさらに:
前記注入する段階と並行して前記患者から心電図信号を得る段階と;
前記ECG信号から前記患者の心臓サイクルの位相を判別する段階とを有する、
請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記関心領域が前記注入点より下流であり;
前記判別する段階がさらに、前記注入された造影剤が前記関心領域に到着するときの心臓サイクル中での位相を判別する段階を有する、
請求項17記載の方法。
【請求項19】
心臓サイクルに関して注入時を系統的に変える段階と;
系統的に変えられた注入時において短い造影剤注入を与える段階とをさらに有する、
請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記系統的に変える段階が、造影剤注入の高周波パターンが達成されるような高周波数である、請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記パターンが前記患者の心拍と同期される、請求項20記載の方法。
【請求項22】
患者の血管システムへの造影剤注入の制御のための装置であって:
造影剤注入手段を制御する造影剤注入制御モジュールと;
心電図(ECG)信号を受領し、前記ECG信号に基づく所定の方法を使って前記造影剤注入制御モジュールに前記造影剤注入手段をオンにしたりオフにしたりする指令をするプロセッサとを有する、
装置。
【請求項23】
前記所定の方法が請求項21記載の方法である、請求項22記載の装置。
【請求項24】
前記造影剤注入手段が注入ポンプである、請求項23記載の装置。
【請求項25】
請求項22記載の装置であって:
当該装置がさらに、前記ECG信号の心臓サイクルの位相を判別する位相判別モジュールを有しており;
前記所定の関数が、心臓サイクルの判別された位相の関数である、
装置。
【請求項26】
前記造影剤注入手段が注入ポンプである、請求項25記載の装置。
【請求項27】
患者の血管システム中の造影剤の輸送の画像シーケンスから脈動度を抽出する装置であって:
観察可能な諸血管システムについて心臓位相の関数としてあらかじめ決定された諸テンプレートを含む脈動性テンプレート・データベースと;
心電図(ECG)信号および前記画像シーケンスを受領し、前記データベースを使って請求項8記載の方法を実行し、前記画像シーケンスから脈動度を抽出するプロセッサとを有する、
装置。
【請求項28】
患者の血管システム中の関心領域を通じた造影剤の前進の血流の元の画像シーケンスの可視化および解析のためのシステムであって:
前記患者の心臓サイクルのECG信号を取得し、出力する心電図(ECG)取得システムと;
前記ECGシステムに接続され、請求項26記載のように構成されている造影注入制御システムと;
前記ECGシステムに接続され、請求項27記載のように構成されている脈動性抽出システムと;
前記ECGシステムに接続され、
・前記元の画像シーケンスから脈動性の効果を除去して第二の画像シーケンスを生じる画像脈動性除去モジュール;
・前記元の画像シーケンスからの前記第二の画像シーケンスをオフセットさせる時間的オフセット決定モジュール;
・前記元の画像シーケンスおよびオフセットされた画像シーケンスを画像解析システムのディスプレイ上に同時に可視化する可視化モジュール;ならびに
・当該サブシステムによる可視化および解析のためのその後の少なくとも一つのさらなる画像シーケンスの取得に先立って、前記造影注入制御システムによって造影剤の注入を制御する画像解析サブシステム、
を含む可視化および解析サブシステムとを有する、
システム。
【請求項29】
患者の血管システム中の関心領域を通じた造影剤の前進の血流の元の画像シーケンスの可視化および解析のためのシステムであって:
前記患者の心臓サイクルのECG信号を取得し、出力する心電図(ECG)取得システムと;
前記ECGシステムに接続され、請求項26記載のように構成されている造影注入制御システムと;
前記ECGシステムに接続され、請求項27記載のように構成されている脈動性抽出システムと;
前記ECGシステムに接続され、請求項9記載の方法を実行するよう構成されている可視化および解析サブシステムとを有する、
システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2009−519082(P2009−519082A)
【公表日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−545202(P2008−545202)
【出願日】平成18年12月8日(2006.12.8)
【国際出願番号】PCT/IB2006/054713
【国際公開番号】WO2007/069166
【国際公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】