説明

処理装置

【課題】被処理基板に対して処理ユニットを一定の距離に保って、均一な処理を容易に行なうことができる処理装置を提供する。
【解決手段】処理装置は、被処理基板1を搬送するための搬送コロ8と、搬送コロ8を回転可能に支持するためのシャフト3とを備える。処理装置は、被処理基板1に対して処理を行なうための処理ユニット2と、地面から立設するように形成されたベース部材5とを備える。処理ユニット2は、搬送コロ8によって被処理基板1が搬送されるときに処理を行なうように配置されている。シャフト3および処理ユニット2は、共通のベース部材5に支持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被処理基板に対してプラズマ処理や洗浄などを行なう処理装置には、搬送を行ないながら処理を行なう装置がある。被処理基板を搬送するための手段としては、搬送コロを備える装置がある。被処理基板は、搬送コロに載置され、搬送コロが回転することによって水平方向に搬送される。被処理基板の搬送経路の上側および下側のうち少なくとも一方の側には、プラズマ処理や洗浄を行なうための処理ユニットが配置されている。このような処理装置においては、被処理基板の搬送と被処理基板に対するプラズマ処理や洗浄などの処理とを同時に行なうことができる。
【0003】
図11に、従来の技術に基づく処理装置の概略断面図を示す。図12に、図11におけるXII−XII線に関する矢視断面図を示す。従来の技術に基づく処理装置は、ベース部材24およびベース部材25を備える。ベース部材24は、床45から立設するように形成された立設部24aを備える。ベース部材24は、互いに対向する立設部24a同士を接続するように形成された渡し部24bを含む。渡し部24bは、立設部24aの上部に配置されている。
【0004】
ベース部材24の上面には、位置調整部材23が配置されている。位置調整部材23の上面には、処理ユニット支持部材27が配置されている。位置調整部材23は、処理ユニット支持部材27の上下方向の高さを調整できるように形成されている。位置調整部材23は、被処理基板1の搬送方向にほぼ垂直な方向における処理ユニット支持部材27の両端部に配置されている。位置調整部材23は、たとえば、押し引きボルトを含む。
【0005】
処理ユニット2は、下部ユニット2aと上部ユニット2bとを含む。処理ユニット2は、ギャップスペーサ28a,28bを介して処理ユニット支持部材27に支持されている。処理ユニット支持部材27の表面には、シャフト21を支持するための中間支持部材7が形成されている。中間支持部材7は、処理ユニット支持部材27に支持されている。
【0006】
このように、処理ユニット2および中間支持部材7は、処理ユニット支持部材27に支持されている。処理ユニット支持部材27は、位置調整部材23を介してベース部材24に支持されている。
【0007】
ベース部材25は、ベース部材24の外側に配置されている。ベース部材25は、床45から立設するように形成されている。ベース部材25には、ベアリング11が配置されている。
【0008】
シャフト21には、複数の搬送コロ8が固定されている。シャフト21は、ベース部材25に配置されたベアリング11を挿通している。シャフト21は、シャフト駆動装置22に接続されている。シャフト駆動装置22は、シャフト21を回転させるように形成されている。このように、シャフト21は、中間支持部材7のほかにベース部材25に支持されている。
【0009】
図12を参照して、被処理基板1は、搬送コロ8に載置される。搬送コロ8が回転することにより、矢印31に示すように被処理基板1が水平方向に移動する。被処理基板1の上下には、処理ユニット2の下部ユニット2aおよび上部ユニット2bが配置されている。被処理基板1は、搬送されながら処理が行なわれる。
【0010】
特開2003−51529号公報においては、搬送装置で基板を搬送する際に、搬送ローラ上の基板の両端を押圧ローラにより押圧しながら搬送する搬送装置が開示されている。この搬送装置によれば、基板をスリップさせることなく安定して搬送を行なうことができ、しかも、液処理における液切りや乾燥処理などを的確に行なうことができると開示されている。
【0011】
特開2004−352427号公報においては、搬送ローラの軸として凹型または凸型にたわんだ軸を用いて、同一の直径を持つ複数のコロを、各取付位置において軸に垂直に交わるように固定した搬送装置が開示されている。この搬送装置によれば、被搬送物の波打ちが端面の垂れ下がりを抑制することにより、搬送ローラの磨耗や端面の処理装置との衝突を回避でき、制御が容易な搬送装置を提供することができると開示されている。
【特許文献1】特開2003−51529号公報
【特許文献2】特開2004−352427号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
近年においては、処理を行なう被処理基板の大きさが大型化する傾向にある。たとえば、テレビジョン受像機などの表示装置においては画面が大きくなる傾向にある。また、小型の装置を製造する場合においても、大型の被処理基板から複数の部品を形成する、いわゆる多面取りによる方法がある。多面取りによる方法を行なうと、1枚の被処理基板から複数の製品を一度に製造することができて生産効率が向上する。
【0013】
被処理基板が大型化することに伴って、被処理基板の搬送時の撓みの問題が深刻になってきている。たとえば、被処理基板を吸着ロボットなどで搬送しようとすると、搬送時の被処理基板の撓みを防止するために、多くの部分において被処理基板を支持しなければならない。このため、装置が大型化するとともに、搬送に時間がかかるという問題がある。このため、近年においては、コロを用いた搬送装置が益々重要になりつつある。
【0014】
図11および図12に示した装置においては、被処理基板の搬送方向に垂直な方向に処理が行なわれる。被処理基板は、搬送経路に沿って移動することにより、被処理基板の主表面全体に対して処理が行なわれる。
【0015】
従来の技術に基づく処理装置においては、位置調整部材23を駆動して、処理ユニット支持部材27の高さを調整することにより、処理ユニット2の位置を調整していた。または、ギャップスペーサ28a,28bの高さを調整することにより、処理ユニット2の下部ユニット2aおよび上部ユニット2bの位置を調整していた。処理ユニット2の位置を調整することにより、被処理基板1と処理ユニット2との隙間の調整を行なっていた。
【0016】
従来の技術における処理装置においては、処理ユニット支持部材27に大きな荷重がかかる。特に、近年においては、被処理基板の大型化に伴って、処理装置が大型化している。たとえば、処理ユニット2、シャフト3および処理ユニット支持部材27が大型化して、処理装置自体が重たくなってきている。処理装置の使用を継続すると、位置調整部材23によって定められた処理ユニット支持部材27の位置が下降する場合があった。または、ベース部材24が沈み込む場合があった。ベース部材25とベース部材24との相対的な位置関係が変わってしまい、被処理基板1と処理ユニット2との距離が変わってしまう場合があった。この結果、被処理基板1の処理効果が変動してしまうという問題があった。
【0017】
さらに、被処理基板1と処理ユニット2との距離の調整においては、位置調整部材23を駆動したり、ギャップスペーサ28a,28bを取り替えたりするために、非常に時間がかかったり、または、位置調整が実質的に困難な場合があった。
【0018】
また、処理装置の大型化に伴って大きな設置面積が必要となっている。設置面積を低減するためには、ガスボンベ等の関連設備を処理装置の内部に配置することが有効である。このためには処理ユニットの位置を高くして、処理ユニットの下側に空間を確保することが必要になる。一方で、処理に際してダストが侵入することを防ぐ観点からも、処理装置の設置面から高い位置に処理ユニットを配置することが好ましく、例としては設置面から被処理基板の処理面までの高さが略1700mmになるように形成する。このような高い位置に処理ユニットが配置される場合には、処理ユニット支持部材27に大きな荷重がかかることに起因するベース部材24の沈み込みも大きくなり、処理ユニット支持部材27の下降が顕著になる。
【0019】
また、処理ユニットと被処理基板との距離は、被処理基板の処理を処理面で均一に行なうために、搬送方向と垂直な方向に亘って一定であることが好ましい。被処理基板と処理ユニットとの隙間が一定に保てないと、搬送方向に垂直な方向における処理が不均一になり、製品の品質が悪化するという問題がある。
【0020】
特に、処理ユニットと被処理基板との間の距離が小さい場合には、厳密な精度が要求されている。たとえば、被処理基板と処理ユニットとの距離が略2mm以下の場合がある。このような場合には、被処理基板と処理ユニットとの距離が一定であることが厳密に要求される。また、被処理基板と処理ユニットとが接触しないようにするためにも、搬送方向に垂直な方向において、被処理基板と処理ユニットとの距離が均一であることが好ましい。
【0021】
本発明は、被処理基板と処理ユニットとの距離の変化を抑制して、被処理基板に対しての処理効果の変動を回避するとともに、被処理基板の処理面内で均一な処理を容易に行なうことができる処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明に基づく処理装置は、被処理基板を搬送するための搬送コロを備える。上記搬送コロを回転可能に支持するためのシャフトを備える。上記被処理基板に対して処理を行なうための処理ユニットを備える。設置面から立設するように形成されたベース部材を備える。上記処理ユニットは、上記搬送コロによって上記被処理基板が搬送されるときに処理を行なうように配置されている。一の上記シャフトおよび一の上記処理ユニットは、共通の一の上記ベース部材に支持されている。
【0023】
上記発明において好ましくは、一の上記ベース部材に支持された中間支持部材を備える。上記シャフトは、両側の端部が一の上記ベース部材に支持されている。上記シャフトは、上記両側の端部を避けた部分が上記中間支持部材に支持されている。
【0024】
上記発明において好ましくは、上記シャフトは、両側の端部が一の上記ベース部材に支持されている。上記シャフトは、上記両側の端部同士の間の長さが略1.5m以上になるように形成されている。
【0025】
上記発明において好ましくは、上記被処理基板の搬送方向において、上記搬送コロ同士の間に配置された補助コロを備える。上記搬送コロは、上記シャフトを介して上記搬送コロを回転させるための駆動装置に接続されている。上記補助コロは、上記補助コロを回転させるための駆動装置に接続されずに、自由に回転するように形成されている。
【0026】
上記発明において好ましくは、上記補助コロは、上記処理ユニットに支持されている。上記補助コロは、上記処理ユニットに隣接するように配置されている。
【0027】
上記発明において好ましくは、複数の上記処理ユニットと、複数の上記シャフトとを備える。複数の上記処理ユニットと複数の上記シャフトとが、共通の一の上記ベース部材に支持されている。
【0028】
上記発明において好ましくは、複数の上記処理ユニットは、上記被処理基板の搬送方向における長さがほぼ同じになるように形成されている。
【0029】
上記発明において好ましくは、上記処理ユニットは、上記被処理基板の搬送経路の上側に配置された上部ユニットと、上記被処理基板の搬送経路の下側に配置された下部ユニットとを含む。
【0030】
上記発明において好ましくは、上記処理ユニットは、塗布ユニット、プラズマ処理ユニットおよび乾燥ユニットのうち少なくとも一のユニットを含む。
【0031】
上記発明において好ましくは、上記処理ユニットは、プラズマ処理ユニットを含み、上記プラズマ処理ユニットは、大気圧で処理を行なうように形成されている。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、被処理基板と処理ユニットとの距離の変化を抑制して、被処理基板に対しての処理効果の変動を回避するとともに、被処理基板の処理面内で均一な処理を容易に行なうことができる処理装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
(実施の形態1)
図1から図5を参照して、本発明に基づく実施の形態1における処理装置について説明する。本実施の形態における処理装置は、被処理基板の主表面に対してプラズマ処理を行なうための装置である。
【0034】
図1は、本実施の形態における処理装置の概略断面図である。図2は、図1におけるII−II線に関する矢視断面図である。図3は、図1におけるIII−III線に関する矢視断面図である。
【0035】
図1は、被処理基板の搬送方向に垂直な方向(処理装置の幅方向)に沿って切断したときの概略断面図である。本実施の形態における処理装置は、ベース部材5を備える。ベース部材5は、設置面である床45から立設するように形成されている。
【0036】
ベース部材5は、立設部5aを含む。立設部5aは、床45から立設するように形成されている。立設部5aは、板状に形成されている。2個の立設部5aは、互いに対向するように配置されている。ベース部材5は、互いに対向する立設部5a同士を橋渡すように形成された渡し部5bを有する。渡し部5bは、立設部5aに固定されている。渡し部5bは、立設部5aに支持されている。
【0037】
本実施の形態における処理装置は、被処理基板1を搬送するための搬送コロ8を備える。搬送コロ8は、円盤状に形成されている。搬送コロ8は、一定の間隔を空けて配置されている。処理装置は、搬送コロ8に挿通され、搬送コロ8を支持するためのシャフト3を備える。シャフト3は、棒状に形成されている。1本のシャフト3には、複数の搬送コロ8が固定されている。シャフト3が回転することにより、搬送コロ8が回転するように形成されている。
【0038】
それぞれの立設部5aには、ベアリング11が配置されている。ベアリング11の内側には、シャフト3が挿通している。シャフト3は、水平方向に延びるように形成されている。シャフト3は、両側の端部がベアリング11によって支持されている。シャフト3は、両側の端部がベース部材5の立設部5aに支持されている。
【0039】
本実施の形態における処理装置は、中間支持部材7を備える。中間支持部材7は、ベース部材5の渡し部5bの表面から立設している。中間支持部材7は、渡し部5bに支持されている。シャフト3は、両側の端部を避けた領域で中間支持部材7に支持されている。シャフト3は、搬送コロを回転させるための駆動装置としてのシャフト駆動装置12に接続されている。シャフト駆動装置12は、シャフト3を回転させるように形成されている。シャフト駆動装置12は、ベース部材5の立設部5aに支持されている。
【0040】
本実施の形態における処理装置は、被処理基板1に対して処理を行なうための処理ユニット2を備える。本実施の形態における処理ユニット2は、大気圧で処理を行なうプラズマ処理ユニットである。処理ユニット2は、下部ユニット2aと上部ユニット2bとを含む。処理ユニット2は、下部ユニット2aおよび上部ユニット2bで被処理基板1の搬送経路を挟むように配置されている。下部ユニット2aは、被処理基板1の搬送経路の下側に配置されている。上部ユニット2bは、被処理基板1の搬送経路の上側に配置されている。
【0041】
被処理基板の処理ユニットとしては、プラズマ処理装置のほかに、紫外線照射装置、エアカーテンを形成するための噴射装置、真空クリーナまたは塗布装置などを採用することができる。処理ユニットとしては、この形態に限られず、搬送経路を移動する被処理基板に対して処理を行なうように形成されていれば構わない。
【0042】
下部ユニット2aは、ベース部材5の立設部5aに支持されている。下部ユニット2aの上面には、ギャップスペーサ4が配置されている。ギャップスペーサ4の上面には、上部ユニット2bが配置されている。
【0043】
このように、本実施の形態における処理装置は、シャフト3および処理ユニット2が、同一のベース部材5に支持されている。
【0044】
図2は、被処理基板の搬送方向に沿って切断したときの処理装置の概略断面図である。本実施の形態における処理装置は、2列のシャフト3および搬送コロ8を備える。それぞれのシャフト3および搬送コロ8の列は、互いに離れて配置されている。それぞれのシャフト3および搬送コロ8は、被処理基板1の搬送方向における処理ユニット2の下流側および上流側に配置されている。シャフト3および搬送コロ8は、被処理基板1の主表面が水平方向に平行な状態で、被処理基板1を搬送できるように形成されている。
【0045】
被処理基板1は、搬送コロ8に載置されて移動する。矢印31に示す向きが、被処理基板1が搬送される向きである。被処理基板1は、水平方向に搬送される。処理ユニット2が駆動することにより、被処理基板1の主表面に対して処理が行なわれる。
【0046】
図3は、処理装置を水平面で切断したときの概略断面図である。シャフト3は、矢印31に示す被処理基板1の搬送方向に対して、ほぼ垂直な方向に延びるように形成されている。下部ユニット2aは、被処理基板1の搬送方向にほぼ垂直な方向に延びるように形成されている。下部ユニット2aは、搬送方向にほぼ垂直な方向に亘って処理を行なうように形成されている。上部ユニットについても同様に、搬送方向にほぼ垂直な方向に処理を行なうように形成されている。
【0047】
本実施の形態における処理ユニット2は、被処理基板1に対して処理を行なうことができる搬送方向にほぼ垂直な方向の長さL1が、略1.5m以上に形成されている。すなわち、処理装置は、たとえば、被処理基板1の平面形状が長方形であるときに、幅が1.5mの被処理基板に対して処理を行なうことができるように形成されている。
【0048】
本実施の形態における処理装置は、シャフトが、一のベース部材に支持されている。図11および図12に示した従来の技術に基づく処理装置においては、シャフトを支持するためのベース部材が、内側のベース部材と外側のベース部材とに分かれていたが、本実施の形態における処理装置は、一のベース部材に支持されている。すなわち、ベアリング11および中間支持部材7は、同一のベース部材に支持されている。このため、ベアリング11の軸および中間支持部材7の軸を製造時に合致させておくと、後の調整が不要になる。
【0049】
従来の技術における処理装置においては、主に処理ユニットの重量により、処理ユニット支持部材27の位置が下降してきたり、ベース部材24,25のうちベース部材24が沈み込んだりする場合があった。この結果、被処理基板1と処理ユニット2との距離が変わってしまう場合があった(図11参照)。しかしながら、図1を参照して、本実施の形態における処理装置においては、処理ユニット2とシャフト3とが同一のベース部材5に支持されているため、処理ユニット2と被処理基板1との距離が変化することを防止できる。たとえば、処理ユニット2が大型で重量が大きな場合においても、共通のベース部材5全体が沈み込むため、処理ユニット2と被処理基板1との処理に影響を与えるような相対的な位置変化は生じない。このため、長期間にわたって処理ユニット2と被処理基板1との位置調整を行なわなくても、均一なプラズマ処理を行なうことができる。
【0050】
また、本実施の形態における処理装置は、被処理基板に対する処理ユニットの位置を調整する機構が不要であり、構成を簡単にできる。
【0051】
図4に、シャフトの撓みを検討したときの模式図を示す。本実施の形態における検討においては、自重によるシャフトの撓みを検討している。検討においては、シャフトの両端が固定されている状態で解析を行なっている。解析には、直径が20mmのステンレス製のシャフトを使用している。被処理基板としては、平面形状が長方形のものを使用している。
【0052】
シャフト3aの状態は、撓みがない状態である。シャフト3bの状態は、自重で撓んだ状態である。シャフト3a,3bは、両側の端部がベース部材の立設部5aのベアリング11に固定されている。撓み量d1は、シャフト3aの状態からシャフト3bの状態になったときのシャフトの長手方向の中央の変位である。
【0053】
図5に、シャフトの長さとシャフトの撓み量との解析結果のグラフを示す。横軸は、シャフトの長さ(両端のベアリング11同士の間の距離)であり、縦軸は、シャフトの長手方向における中央の撓み量d1である。
【0054】
グラフの上部に記載している記号G6〜G8は、平面形状が四角形の被処理基板の大きさを示す。たとえば、記号G6の被処理基板は、平面視したときの大きさが1.5m×1.8mであり、記号G7の被処理基板は、平面視したときの大きさが1.8m×2.2mであり、記号G8の被処理基板は、平面視したときの大きさが2.2m×2.5mである。
【0055】
大型の被処理基板を処理するために、シャフトを長くすると、シャフトの自重による撓み量も多くなることが分かる。シャフトが長くなると、指数関数状に撓み量が大きくなることが分かる。
【0056】
シャフトが撓むと、被処理基板の中央部における処理ユニットおよび被処理基板の距離と、被処理基板の外周部における処理ユニットおよび被処理基板の距離とに差が生じてしまい、処理量に分布が生じてしまう。または、シャフトの撓み量が大きいと、被処理基板と処理ユニットとが接触してしまうことが生じる。
【0057】
処理装置のうち、本実施の形態における大気圧のプラズマ処理装置は、被処理基板を処理する際にシャフトの中央部分が略0.2mm撓むと、実質的に被処理基板の処理面内における処理の均一性に影響を与える。したがって、図5を参照して、シャフトが支持されている両側の端部同士の長さが略1.5m以上になるように形成されている場合には、実質的な処理に影響を与える。
【0058】
このため、記号G6以上の大きな被処理基板に対しては、シャフトの撓みの問題が顕在化する。さらに、記号G7または記号G8以上の大きな被処理基板に対しては、シャフトの撓みの問題が顕著になる。シャフトの中央部における撓みを0.2mm以下になるように形成することによって、多くの処理装置においてシャフトの中央部の撓みによる、被処理基板の処理面内における処理の均一性への影響が許容範囲内になる。
【0059】
シャフトの撓みを確実に抑止するためには、シャフトの中央部分を支持するための中間支持部材を配置することが好ましい(図1参照)。特に、大型の被処理基板を処理するための処理装置は、中間支持部材を備えることが好ましい。
【0060】
図11および図12を参照して、従来の技術においては、中間支持部材7の挿通軸と、ベース部材25に配置されたベアリング11の挿通軸とが一直線状になるように、位置調整部材23を駆動して処理ユニット支持部材27の高さを定めていた。
【0061】
しかし、被処理基板の大型化に伴って、シャフト3が太くなり、中間支持部材7が配置され、さらに、処理ユニット2が大きくなるため、処理ユニット支持部材27に大きな荷重がかかる。このため、処理ユニット支持部材27自体が撓む場合があり、中間支持部材7とベアリング11との軸合せが難しいという問題があった。
【0062】
または、処理ユニット支持部材27に大きな荷重がかかるため、位置調整部材23で高さの調整をすることが困難であるという問題があった。または、処理ユニット2、処理ユニット支持部材27およびベアリング11の位置合せを行なうために多大な時間を要していた。このように、装置の大型化に伴って位置調整が困難になるという問題があった。
【0063】
たとえば、処理ユニット2のみの重量でも1tを超える場合があり、位置の調整に多大な時間を要していた。または、処理ユニットとしてプラズマ処理装置が配置されている場合には、処理ユニットと被処理基板との間隔が2mm程度であり、さらに間隔のずれの許容範囲は略±0.2mmであり、実質的に調整が困難な場合があった。
【0064】
これに対して、図1を参照して、本実施の形態における処理装置は、ベアリング11および中間支持部材7が同一のベース部材5に支持されている。このため、ベアリング11の軸および中間支持部材7の軸を製造時に合せておくと、後の調整が不要であり、処理ユニットと被処理基板との距離を一定に保ちながら処理を繰り返し行なうことができる。
【0065】
本実施の形態における処理装置は、下部ユニット2aと上部ユニット2bとを含む。この構成により、被処理基板1の表裏の主面を一度に処理することができ、処理時間を短縮することができる。また、下部ユニット2aおよび上部ユニット2bが共通のベース部材5に支持されているために、下部ユニットと被処理基板との距離、および上部ユニットと被処理基板との距離を一定に保つことができ、被処理基板1の表裏の主面ともに処理効果の変動を回避した両面処理を行なうことができる。
【0066】
本実施の形態における処理装置は、プラズマ処理ユニットを含み、大気圧で処理を行なうように形成されている。大気圧で処理を行なうプラズマ処理装置は、プラズマを生じさせるための真空チャンバなどの容器が不要であり、特に、大型の基板を処理する場合には有用である。一方で、大気圧で処理を行なうプラズマ処理装置は、被処理基板と処理ユニットとの距離が小さく、隙間の許容範囲が狭い。本発明における処理装置は、このような隙間の許容範囲の狭い処理装置においても処理効果の変動を回避した処理を行なうことができる。または、被処理基板と処理ユニットとが接触してしまうことを防止できる。
【0067】
本実施の形態においては、平面形状が長方形の被処理基板を例に採り上げて説明を行なったが、この形態に限られず、任意の被処理基板を処理するための装置に本発明を適用することができる。
【0068】
また、本実施の形態における処理装置は、平面視したときに被処理基板の搬送経路が直線状になるように形成されているが、この形態に限られず、被処理基板の搬送経路が曲線を含むように形成されていても構わない。
【0069】
(実施の形態2)
図6から図8を参照して、本発明に基づく実施の形態2における処理装置について説明する。図6は、本実施の形態における処理装置の概略断面図である。図7は、図6におけるVII−VII線に関する矢視断面図である。図8は、図6におけるVIII−VIII線に関する矢視断面図である。
【0070】
本実施の形態における処理装置は、被処理基板を処理するための処理ユニットが、複数配置されている。
【0071】
図6は、被処理基板の搬送方向に垂直な方向に沿って切断したときの処理装置の概略断面図である。本実施の形態における処理装置は、ベース部材15を備える。ベース部材15は、立設部5aを有する。ベース部材15は、渡し部15bを有する。渡し部15bは、互いに対向する立設部15aに支持されている。
【0072】
本実施の形態における処理装置は、処理ユニット2を備える。本実施の形態における処理ユニット2は、プラズマ処理装置である。処理ユニット2は、下部ユニット2aおよび上部ユニット2bを含む。下部ユニット2aおよび上部ユニット2bは、ギャップスペーサ4を挟んで配置されている。
【0073】
本実施の形態における処理装置は、シャフト3および搬送コロ8を備える。処理装置は、搬送コロ8を駆動するための駆動装置としてのシャフト駆動装置17を備える。本実施の形態におけるシャフト駆動装置17は、シャフト3を一定の速度で回転させることにより、被処理基板1を一定の速度で搬送できるように形成されている。
【0074】
図7は、被処理基板の搬送方向に沿って切断したときの処理装置の概略断面図である。本実施の形態における処理装置は、処理ユニット2が複数配置されている。処理ユニット2は、一定の間隔を空けて配置されている。処理ユニット2は、搬送方向の長さがそれぞれほぼ同じになるように形成されている。すなわち被処理基板1に対して処理を行なう幅がほぼ同じになるように形成されている。
【0075】
本実施の形態における処理装置は、処理ユニット6を備える。本実施の形態における処理ユニット6は、エアカーテンユニットである。処理ユニット6は、平面視したときに、複数の処理ユニット2の両側に配置されている。処理ユニット6は、下部ユニット6aおよび上部ユニット6bを含む。下部ユニット6aおよび上部ユニット6bは、ギャップスペーサ9を挟んで配置されている。
【0076】
それぞれの処理ユニット2,6は、ベース部材15の立設部15aに支持されている。渡し部15bは、矢印31に示す被処理基板1の搬送方向に延びるように形成されている。搬送コロ8は、被処理基板1の搬送方向において、一定の間隔を空けて配置されている。本実施の形態においては、処理ユニット2,6と搬送コロ8とが交互に配置されるように形成されている。
【0077】
被処理基板1は、矢印31に示す向きに移動する。被処理基板1は、搬送経路41に沿って移動する。被処理基板1は、下部ユニット6aと上部ユニット6bとに挟まれる領域を通過するときに表面に対して処理が行なわれる。また、被処理基板1は、下部ユニット2aと上部ユニット2bとに挟まれる領域を通過するときに表面に対して処理が行なわれる。
【0078】
図8は、処理装置を水平面で切断したときの概略断面図である。本実施の形態においては、平面形状が長方形の被処理基板1を用いている。下部ユニット2a,6aは、矢印31に示す被処理基板1の搬送方向に対して、ほぼ垂直な方向に延びるように形成されている。下部ユニット2a,6a同士は、互いに延びる方向がほぼ平行になるように形成されている。
【0079】
上部ユニットは、下部ユニットとほぼ平行になるように配置されている。このように、本実施の形態における処理ユニット2,6は、それぞれが被処理基板の進行方向に対してほぼ垂直な方向に延びるように形成されている。処理ユニット2,6は、延びる方向が互いに平行になるように配置されている。
【0080】
本実施の形態においては、一のベース部材5が、複数の処理ユニット2,6およびシャフト3を支持している。すなわち、複数の処理ユニットと複数のシャフトとが共通のベース部材に支持されている。この構成により、処理ユニットが複数配置されている処理装置においても、処理を均一に行なうことができる。
【0081】
本実施の形態における処理装置は、同一の処理ユニット2を複数備える。この構成により、被処理基板の搬送速度を上げることができて、処理時間の短縮を図ることができる。
【0082】
本実施の形態における処理ユニットは、一定の間隔を空けて配置されている。処理ユニット2は、それぞれの搬送方向における長さが、ほぼ同じになるように形成されている。この構成により、被処理基板に対して、一定の間隔で一定の処理量の処理を行なうことができ、処理の均一性が向上する。
【0083】
本実施の形態においては、同一の処理を行なう処理ユニットが複数配置され、これらの処理ユニットの両側に異なる処理を行なう処理ユニットが配置されているが、この形態に限られず、たとえば、複数の処理ユニットは、すべてが同じ処理を行なう処理ユニットであっても構わない。または、互いに異なる処理を行なう処理ユニットが交互に配置されていても構わない。
【0084】
その他の構成、作用および効果については実施の形態1と同様であるのでここでは説明を繰り返さない。
【0085】
(実施の形態3)
図9および図10を参照して、本発明に基づく実施の形態3における処理装置について説明する。図9は、本実施の形態における処理装置の概略断面図である。図10は、図9におけるX−X線に関する矢視断面図である。処理装置が、被処理基板を処理するための処理ユニットを複数備えることは、実施の形態2における処理装置と同様である。本実施の形態における処理装置は、搬送コロの他に補助コロを備える。
【0086】
図9は、被処理基板の搬送方向に垂直な方向に沿って切断したときの処理装置の概略断面図である。本実施の形態における処理装置は、補助コロ10を備える。補助コロ10は、被処理基板1の幅方向において、複数配置されている。補助コロ10は、搬送コロ8と略同じ高さで被処理基板1を支持するように形成されている。
【0087】
搬送コロ8は、シャフト3を介して駆動装置としてのシャフト駆動装置17に接続されている。搬送コロ8は、シャフト駆動装置17が駆動して回転することにより、被処理基板1を移動させることができるように形成されている。補助コロ10は、補助コロ10を回転させるための駆動装置に接続されずに、自由に回転するように形成されている。
【0088】
図10は、被処理基板の搬送方向に沿って切断したときの処理装置の概略断面図である。本実施の形態における処理装置は、処理ユニット2と、処理ユニット6とを備える。本実施の形態における処理ユニット2は、プラズマ処理ユニットである。処理ユニット6は、エアカーテンユニットである。
【0089】
補助コロ10は、処理ユニット2,6のうち処理ユニット2に支持されている。補助コロ10は、処理ユニット2に隣接するように配置されている。補助コロ10は、処理ユニット2の入口部と出口部とに配置されている。補助コロ10は、被処理基板1の搬送方向において搬送コロ8同士の間に配置されている。
【0090】
被処理基板1は、板状に形成されているために、搬送方向の先端部分が撓むことが生じる。たとえば、被処理基板1の先端が搬送コロ8同士の間に配置されているときには、先端部が下側に向かって撓む場合がある。この状態で、被処理基板の先端部が処理ユニットに侵入すると、先端部における処理ユニットとの距離が設計から離れてしまう場合がある。
【0091】
本実施の形態のように、被処理基板の搬送方向において搬送コロ同士の間に配置された補助コロを備えることによって、被処理基板の先端部が下側に向かって撓むことを抑制できる。この結果、被処理基板の先端部においても均一な処理を行なうことができる。この結果、基板の端部までの利用が可能になり、被処理基板の有効利用面積を拡大することができる。
【0092】
また、本実施の形態においては、処理ユニットに隣接するように補助コロが配置されている。この構成により、処理ユニットの内部において被処理基板の先端部の位置が設計からずれることをより確実に抑制できる。
【0093】
また、本実施の形態においては、補助コロに駆動装置が接続されず、自由に回転するように形成されている。この構成により、装置の構成が複雑化することを抑制できる。または、搬送コロ同士の小さな空間に補助コロを配置することができる。
【0094】
その他の構成、作用および効果については実施の形態1または2と同様であるのでここでは説明を繰り返さない。
【0095】
上記の実施の形態に係るそれぞれの図面において、同一または相当する部分には、同一の符号を付している。
【0096】
なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】実施の形態1における処理装置の第1の概略断面図である。
【図2】実施の形態1における処理装置の第2の概略断面図である。
【図3】実施の形態1における処理装置の第3の概略断面図である。
【図4】シャフトがたわむときの模式図である。
【図5】シャフトの長さと撓み量との関係を示すグラフである。
【図6】実施の形態2における処理装置の第1の概略断面図である。
【図7】実施の形態2における処理装置の第2の概略断面図である。
【図8】実施の形態2における処理装置の第3の概略断面図である。
【図9】実施の形態3における処理装置の第1の概略断面図である。
【図10】実施の形態3における処理装置の第2の概略断面図である。
【図11】従来の技術に基づく処理装置の第1の概略断面図である。
【図12】従来の技術に基づく処理装置の第2の概略断面図である。
【符号の説明】
【0098】
1 被処理基板、2,6 処理ユニット、2a,6a 下部ユニット、2b,6b 上部ユニット、3,3a,3b シャフト、4,9 ギャップスペーサ、5,15 ベース部材、5a,15a 立設部、5b,15b 渡し部、7 中間支持部材、8 搬送コロ、10 補助コロ、11 ベアリング、12,17,22 シャフト駆動装置、21 シャフト、23 位置調整部材、24,25 ベース部材、24a 立設部、24b 渡し部、27 処理ユニット支持部材、28a,28b ギャップスペーサ、31 矢印、41 搬送経路、45 床、d1 撓み量、L1 長さ、G6〜G8 記号。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理基板を搬送するための搬送コロと、
前記搬送コロを回転可能に支持するためのシャフトと、
前記被処理基板に対して処理を行なうための処理ユニットと、
設置面から立設するように形成されたベース部材と
を備え、
前記処理ユニットは、前記搬送コロによって前記被処理基板が搬送されるときに処理を行なうように配置され、
一の前記シャフトおよび一の前記処理ユニットは、共通の一の前記ベース部材に支持された、処理装置。
【請求項2】
一の前記ベース部材に支持された中間支持部材を備え、
前記シャフトは、両側の端部が一の前記ベース部材に支持され、
前記シャフトは、前記両側の端部を避けた部分が前記中間支持部材に支持された、請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記シャフトは、両側の端部が一の前記ベース部材に支持され、
前記シャフトは、前記両側の端部同士の間の長さが略1.5m以上になるように形成された、請求項1に記載の処理装置。
【請求項4】
前記被処理基板の搬送方向において、前記搬送コロ同士の間に配置された補助コロを備え、
前記搬送コロは、前記シャフトを介して前記搬送コロを回転させるための駆動装置に接続され、
前記補助コロは、前記補助コロを回転させるための駆動装置に接続されずに、自由に回転するように形成された、請求項1に記載の処理装置。
【請求項5】
前記補助コロは、前記処理ユニットに支持され、
前記補助コロは、前記処理ユニットに隣接するように配置された、請求項1に記載の処理装置。
【請求項6】
複数の前記処理ユニットと、
複数の前記シャフトと
を備え、
複数の前記処理ユニットと複数の前記シャフトとが、共通の一の前記ベース部材に支持された、請求項1に記載の処理装置。
【請求項7】
複数の前記処理ユニットは、前記被処理基板の搬送方向における長さがほぼ同じになるように形成された、請求項6に記載の処理装置。
【請求項8】
前記処理ユニットは、前記被処理基板の搬送経路の上側に配置された上部ユニットと、
前記被処理基板の搬送経路の下側に配置された下部ユニットと
を含む、請求項1に記載の処理装置。
【請求項9】
前記処理ユニットは、塗布ユニット、プラズマ処理ユニットおよび乾燥ユニットのうち少なくとも一のユニットを含む、請求項1に記載の処理装置。
【請求項10】
前記処理ユニットは、プラズマ処理ユニットを含み、
前記プラズマ処理ユニットは、大気圧で処理を行なうように形成された、請求項1に記載の処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−314323(P2007−314323A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−146998(P2006−146998)
【出願日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】