説明

分注装置、試薬分注装置および検体分析装置

【課題】様々な試薬の量に対してでも、所望の温度まで加温する時間のばらつきを抑制することができ、概ね同じ時間で略一定の温度に加温することができる分注装置を提供する。
【解決手段】分注装置は、液体を保持するための液体保持部と、前記液体の吸引量を特定する吸引量特定手段と、特定された吸引量の液体を前記液体保持部に吸引し、前記液体保持部から前記液体を吐出する吸引・吐出部と、前記液体保持部に保持された前記液体を加温するヒータと、前記液体保持部に保持された前記液体の温度を検出する温度センサと、前記吸引量特定手段により特定された吸引量に対応した液体の目標温度を決定する目標温度決定手段と、前記温度センサにより検出された前記液体の温度が前記目標温度決定手段により決定された目標温度に近づくよう前記ヒータを制御する制御手段とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分注装置、試薬分注装置および検体分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
尿や血液などの検体の測定、分析を行うとき、当該検体に試薬を加え、得られた測定試料について光学的特性などを測定することが一般に行われている。また、血液凝固測定においては、主として血液の凝固反応を安定して進行させるために、検体を所定の時間加温することがある。
【0003】
例えば、血液凝固測定装置では、血液検体(血漿)を所定時間加温して所定の温度(通常、37℃)にした後、当該検体にPT試薬やAPTT試薬などの試薬を分注し、得られた測定試料の吸光度を測定することにより血液凝固を測定している。しかし、試薬は通常10℃程度の低温にて冷却保存されていることから、冷たい試薬をそのまま加温された検体に分注すると、検体の温度が下がってしまい、血液凝固反応が正常に行われなくなるおそれがある。
【0004】
そこで、吸引した試薬を加温するヒータを設けた加温ピペットが、例えば特許文献1に開示されている。かかる加温ピペットは、37℃を目標設定温度として、吸引した試薬を加温し、加温された状態で試薬を検体に分注している。
【0005】
【特許文献1】登録実用新案第3037641号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、血液凝固の測定には複数の測定項目があり、測定項目によって試薬の種類及びその吸引量が異なり、また、環境温度によっても必要な加温の程度が左右されることから、すべての試薬を所定範囲の温度に加温するのは困難である。試薬の吸引量が大きいときには37℃に満たない状態で試薬が分注され、逆に吸引量が小さいときには37℃を超える状態で試薬が分注されることがある。
【0007】
また、高価な試薬の蒸発を抑制するためには、試薬容器の開口部の面積をできるだけ小さくする必要がある。試薬容器の開口部の面積を小さくすると、当該開口部に挿入される加温ピペットの外径を小さく必要がある。さらに、前記試薬のデッドボリューム(容器の底部に残って吸引できない液量)を減らして試薬容器内の試薬を有効利用するために、当該試薬容器を若干傾けて配置し、この状態で加温ピペットを用いて試薬容器内の試薬を吸引することが考えられる。しかし、この場合も、試薬容器の開口部を水平面に対して傾斜させた結果、上方向から見た開口面積(実際の開口面積を水平面上に投影した面積)が小さくなることから、当該開口部に挿入される加温ピペット(加温ピペットは垂直方向に挿入される)の外径を小さくする必要がある。加温ピペットは、細長い筒状のピペットの内部にヒータが配置されているという構造である。また、ヒータの大きさを小さくしなければ、その外径を小さくすることは困難である。そして、ヒータの大きさが小さくなると、加温能力が低くなるため、37℃の目標温度に到達するまでに長時間を要し、高速処理化のニーズに応えることができない。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、加温ピペットで吸引する試薬の量に応じて、温度制御の設定温度を調整することにより、様々な試薬の量に対してでも、所望の温度まで加温する時間のばらつきを抑制することができ、概ね同じ時間で略一定の温度に加温することができる分注装置、試薬分注装置および検体分析装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の局面による分注装置は、液体を保持するための液体保持部と、前記液体の吸引量を特定する吸引量特定手段と、特定された吸引量の液体を前記液体保持部に吸引し、前記液体保持部から前記液体を吐出する吸引・吐出部と、前記液体保持部に保持された前記液体を加温するヒータと、前記液体保持部に保持された前記液体の温度を検出する温度センサと、前記吸引量特定手段により特定された吸引量に対応した液体の目標温度を決定する目標温度決定手段と、前記温度センサにより検出された前記液体の温度が前記目標温度決定手段により決定された目標温度に近づくよう前記ヒータを制御する制御手段とを備える。
【0010】
また、本発明の第2の局面による試薬分注装置は、分注対象の試薬の種類を特定する試薬種類特定手段と、試薬を保持する試薬ピペットと、前記試薬種類特定手段により特定された種類の試薬を前記試薬ピペットに吸引し、前記試薬ピペットから前記試薬を吐出する吸引・吐出部と、前記試薬ピペットにより保持された前記試薬を加温するヒータと、前記試薬ピペットにより保持された前記試薬の温度を検出する温度センサと、前記試薬種類特定手段により特定された試薬の種類に対応した試薬の目標温度を決定する目標温度決定手段と、前記温度センサにより検出された前記試薬の温度が前記目標温度決定手段により決定された目標温度に近づくよう前記ヒータを制御する制御手段とを備える。
【0011】
また、本発明の第3の局面による検体分析装置は、容器に検体を分注する検体分注部と、前記検体と試薬とを混和して測定試料を調製するために前記容器に前記試薬を分注する試薬分注部と、前記測定試料から光学的情報を検出するための検出部と、を備え、前記試薬分注部は、前記試薬を保持する試薬ピペットと、前記試薬の吸引量を特定する吸引量特定手段と、特定された吸引量の試薬を前記試薬ピペットに吸引し、前記試薬ピペットから前記試薬を吐出する吸引・吐出部と、前記試薬ピペットに保持された前記試薬を加温するヒータと、前記試薬ピペットに保持された前記試薬の温度を検出するための温度センサと、前記吸引量特定手段により特定された吸引量に対応した試薬の目標温度を決定する目標温度決定手段と、前記温度センサにより検出された前記試薬の温度が前記目標温度決定手段により決定された目標温度に近づくよう前記ヒータを制御する制御手段とを備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、様々な試薬の量に対してでも、所望の温度まで加温する時間のばらつきを抑制することができ、概ね同じ時間で略一定の温度に加温することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面に基づき説明する。
【0014】
[検体分析装置の全体構成]
まず、本発明の実施の形態に係る検体分析装置1の全体構成について説明する。
検体分析装置1は、血液の凝固・線溶機能に関連する特定の物質の量や活性の度合いを光学的に測定して分析するための装置であり、検体としては血液(血漿)を用いている。検体分析装置1では、凝固時間法、合成基質法及び免疫比濁法を用いて検体の光学的な測定(本測定)を行っている。本実施の形態で用いる凝固時間法は、検体が凝固する過程を透過光の変化として検出する測定方法である。そして、測定項目としては、PT(プロトロンビン時間)、APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)やFbg(フィブリノーゲン量)などがある。また、合成基質法の測定項目としてはATIIIなどがあり、免疫比濁法の測定項目としてはDダイマー、FDPなどがある。
【0015】
検体分析装置1は、図1に示されるように、測定装置2、測定装置2の前面側に配置された搬送部3、測定装置2に電気的に接続された制御装置4とで主に構成されている。また、測定装置2は、測定装置2及び搬送部3における各機構の動作制御を行う制御部25(図5参照)を備えている。なお、本実施の形態では、搬送部3が測定装置2と一体となり分析装置1の一部を構成しているが、搬送部3は、検体分析装置1と別体とすることもできる。例えば、複数の分析装置を含む大規模なシステムにおいて、搬送部を各分析装置に設けずに、大型の搬送ラインに複数の分析装置が接続された形態を採用することができる。
【0016】
制御装置4は、パーソナルコンピュータ401(PC)などからなり、図1に示されるように、制御部4aと、表示部4bと、キーボード4cとを含んでいる。制御部4aは、測定装置2および搬送部3の動作制御を行うとともに、測定装置2で得られた検体の光学的な情報を分析するための機能を有している。この制御部4aは、CPU、ROM、RAMなどからなる。また、表示部4bは、検体中に存在する干渉物質(ヘモグロビン、乳び(脂質)及びビリルビン)に関する情報と、制御部4aで得られた分析結果とを表示するために設けられている。
【0017】
次に、制御装置4の構成について説明する。制御部4aは、図3に示されるように、CPU401aと、ROM401bと、RAM401cと、ハードディスク401dと、読出装置401eと、入出力インタフェース401fと、通信インタフェース401gと、画像出力インタフェース401hとから主として構成されている。CPU401a、ROM401b、RAM401c、ハードディスク401d、読出装置401e、入出力インタフェース401f、通信インタフェース401g、および画像出力インタフェース401hは、バス401iによって接続されている。
【0018】
CPU401aは、ROM401bに記憶されているコンピュータプログラムおよびRAM401cにロードされたコンピュータプログラムを実行することが可能である。そして、後述するようなアプリケーションプログラム404aをCPU401aが実行することにより、コンピュータ401が制御装置4として機能する。
【0019】
ROM401bは、マスクROM、PROM、EPROM、EEPROMなどによって構成されており、CPU401aに実行されるコンピュータプログラム及びこれに用いるデータなどが記録されている。
【0020】
RAM401cは、SRAM又はDRAMなどによって構成されている。RAM401cは、ROM401b及びハードディスク401dに記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU401aの作業領域として利用される。
【0021】
ハードディスク401dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラムなど、CPU401aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及びそのコンピュータプログラムの実行に用いるデータがインストールされている。本実施の形態における干渉物質の有無や濃度を算出するためのアプリケーションプログラム404aも、このハードディスク401dにインストールされている。
【0022】
読出装置401eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、又はDVD−ROMドライブなどによって構成されており、可搬型記録媒体404に記録されたコンピュータプログラム又はデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体404には、本実施の形態におけるアプリケーションプログラム404aが格納されており、コンピュータ401が、その可搬型記録媒体404からアプリケーションプログラム404aを読み出し、そのアプリケーションプログラム404aをハードディスク401dにインストールすることが可能である。
【0023】
なお、アプリケーションプログラム404aは、可搬型記録媒体404によって提供されるのみならず、電気通信回線(有線、無線を問わない)によってコンピュータ401と通信可能に接続された外部の機器から前記電気通信回線を通じて提供することも可能である。例えば、アプリケーションプログラム404aがインターネット上のサーバコンピュータのハードディスク内に格納されており、このサーバコンピュータにコンピュータ401がアクセスして、そのアプリケーションプログラム404aをダウンロードし、これをハードディスク401dにインストールすることも可能である。
【0024】
また、ハードディスク401dには、例えば、米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)などのグラフィカルユーザインタフェース環境を提供するオペレーティングシステムがインストールされている。以下の説明においては、本実施の形態におけるアプリケーションプログラム404aは前記オペレーティングシステム上で動作するものとしている。
【0025】
出力インタフェース401fは、例えば、USB、IEEE1394、RS−232Cなどのシリアルインタフェース、SCSI、IDE、IEEE1284などのパラレルインタフェース、及びD/A変換器、A/D変換器などからなるアナログインタフェースなどから構成されている。入出力インタフェース401fには、キーボード4cが接続されており、ユーザがそのキーボード4cを使用することにより、コンピュータ401にデータを入力することが可能である。
【0026】
通信インタフェース401gは、例えば、Ethernet(登録商標)インタフェースである。コンピュータ401は、その通信インタフェース401gにより、所定の通信プロトコルを使用して測定装置2との間でデータの送受信が可能である。
【0027】
画像出力インタフェース401hは、LCD又はCRTなどで構成された表示部4bに接続されており、CPU401aから与えられた画像データに応じた映像信号を表示部4bに出力するようになっている。表示部4bは、入力された映像信号にしたがって、画像(画面)を表示する。
【0028】
搬送部3は、測定装置2に検体を供給するために、検体を収容した複数(本実施の形態では、10本)の試験管150が載置されたラック151を測定装置2の吸引位置2a(図2参照)に搬送する機能を有している。また、搬送部3は、未処理の検体を収容した試験管150が収納されたラック151をセットするためのラックセット領域3aと、処理済みの検体を収容した試験管150が収納されたラック151を収容するためのラック収容領域3bとを有している。
【0029】
測定装置2は、搬送部3から供給された検体に対して光学的な測定を行うことにより、供給された検体に関する光学的な情報を取得することが可能なように構成されている。本実施の形態では、搬送部3のラック151に載置された試験管150から測定装置2のキュベット152(図2参照)内に分注された検体に対して光学的な測定が行われる。また、測定装置2は、図1〜2に示されるように、キュベット供給部10と、回転搬送部20と、検体分注部である検体分注アーム30と、HIL検出部40と、ランプユニット50と、試薬分注部である2つの試薬分注アーム60と、キュベット移送部70と、検出部80と、緊急検体セット部90と、キュベット廃棄部100と、流体部110とを備えている。
【0030】
キュベット供給部10は、ユーザによって無造作に投入された複数のキュベット152を回転搬送部20に順次供給することが可能なように構成されている。このキュベット供給部10は、図2に示されるように、ブラケット11(図1参照)を介して装置本体に取り付けられたホッパ12と、ホッパ12の下方に設けられた2つの誘導板13と、2つの誘導板13の下端に配置された支持台14と、支持台14から所定の間隔を隔てて設けられた供給用キャッチャ部15とを含んでいる。2つの誘導板13は、キュベット152のつば部の直径よりも小さく、かつ、キュベット152の胴部の直径よりも大きくなるような間隔を隔てて互いに平行に配置されている。ホッパ12内に供給されたキュベット152は、つば部が2つの誘導板13の上面に係合した状態で、支持台14に向かって滑り落ちながら移動するように構成されている。また、支持台14は、誘導板13を滑り落ちて移動したキュベット152を、供給用キャッチャ部15が把持可能な位置まで回転移送する機能を有している。そして、供給用キャッチャ部15は、支持台14により回転移送されたキュベット152を回転搬送部20に供給するために設けられている。
【0031】
回転搬送部20は、キュベット供給部10から供給されたキュベット152と、キュベット152内の検体に添加される試薬を収容した試薬容器(図示せず)とを回転方向に搬送するために設けられている。また、回転搬送部20は、回転搬送部20を覆うための蓋部(図示せず)を備え、試薬容器を低温(約10℃)で冷蔵保存する機能も有している。つまり、回転搬送部20は、試薬を冷却保存する試薬保存部を構成している。試薬を低温で保存することにより、試薬が変質することが抑制される。この回転搬送部20は、図2に示されるように、円形状の試薬テーブル21と、円形状の試薬テーブル21の外側に配置された円環形状の試薬テーブル22と、円環形状の試薬テーブル22の外側に配置された円環形状の二次分注テーブル23と、円環形状の二次分注テーブル23の外側に配置された円環形状の一次分注テーブル24とにより構成されている。これらの一次分注テーブル24、二次分注テーブル23、試薬テーブル21及び試薬テーブル22は、それぞれ、時計回り方向及び反時計回り方向の両方に回転可能で、かつ、各々のテーブルが互いに独立して回転可能なように構成されている。
【0032】
試薬テーブル21及び22は、図2に示されるように、それぞれ、円周方向に沿って所定の間隔を隔てて設けられた複数の孔部21a及び22aを含んでいる。試薬テーブル21及び22の孔部21a及び22aは、検体から測定試料を調製する際に添加される種々の試薬を収容した複数の試薬容器(図示せず)を載置するために設けられている。また、一次分注テーブル24及び二次分注テーブル23は、それぞれ、円周方向に沿って所定の間隔を隔てて設けられた円筒形状の複数の保持部24a及び23aを含んでいる。保持部24a及び23aは、キュベット供給部10から供給されたキュベット152を保持するために設けられている。一次分注テーブル24の保持部24aに保持されたキュベット152には、一次分注処理の際に、搬送部3の試験管150に収容される検体が分注される。また、二次分注テーブル23の保持部23aに保持されたキュベット152には、二次分注処理の際に、一次分注テーブル24に保持されたキュベット152に収容される検体が分注される。また、保持部24aには、当該保持部24aの側方の互いに対向する位置に一対の小孔が形成されている。この一対の小孔は、後述するランプユニット50の分岐光ファイバ58から出射された光を通過させるために設けられている。
【0033】
検体分注アーム30は、搬送部3により吸引位置2aに搬送された試験管150に収容される検体を吸引するとともに、吸引した検体を回転搬送部20に移送されたキュベット152内に分注する機能を有している。
【0034】
HIL検出部40は、試薬を添加する前の検体中の干渉物質(乳び、ヘモグロビンおよびビリルビン)の有無およびその濃度を測定するために、検体から光学的な情報を取得するように構成されている。具体的には、後述するランプユニット50から照射される5種類の光(340nm、405nm、575nm、660nmおよび800nm)の内の4種類の光(405nm、575nm、660nmおよび800nm)を用いて、干渉物質の有無およびその濃度を測定している。なお、405nmの波長を有する光は、乳び、ヘモグロビン及びビリルビンのいずれにも吸収される光である。すなわち、405nmの波長を有する光により測定された光学的な情報には、乳び、ヘモグロビン及びビリルビンの影響が寄与している。また、575nmの波長を有する光は、ビリルビンには実質的に吸収されず、かつ、乳び及びヘモグロビンに吸収される光である。すなわち、575nmの波長を有する光により測定された光学的な情報には、乳び及びヘモグロビンの影響が寄与している。そして、660nm及び800nmの波長を有する光は、ビリルビン及びヘモグロビンには実質的に吸収されず、かつ、乳びに吸収される光である。すなわち、660nm及び800nmの波長を有する光により測定された光学的な情報には、乳びの影響が寄与している。また、乳びは、低波長域の405nmから高波長域の800nmまでの波長の光を吸収しており、660nmの波長を有する光の方が、800nmの波長を有する光に比べて、乳びによる吸収が多い。すなわち、800nmの波長を有する光で測定した光学的な情報の方が、660nmの波長を有する光で測定した光学的な情報より、乳びの影響が小さい。
【0035】
このHIL検出部40による検体の光学的な情報の取得は、検出部80による測定試料の光学的な測定(本測定)の前に行われる。HIL検出部40は、図2に示されるように、一次分注テーブル24の保持部24aに保持されたキュベット152内の検体から光学的な情報を取得する。
【0036】
本実施の形態では、ランプユニット50は、図2に示されるように、HIL検出部40及び検出部80で行われる光学的な測定に用いられる光を供給するために設けられている。すなわち、1つのランプユニット50が、HIL検出部40及び検出部80に対して共通に用いられるように構成されている。
【0037】
試薬分注アーム60は、図1〜2に示されるように、回転搬送部20に載置された試薬容器(図示せず)内の試薬を、回転搬送部20に保持されたキュベット152に分注するために設けられている。これにより、HIL検出部40による光学的な測定が終了した検体に試薬を添加して測定試料が調製される。また、キュベット移送部70は、キュベット152を回転搬送部20と検出部80との間を移送させるために設けられている。図11に示すように、試薬分注アーム60の先端には、後に詳述する、加温機能付き分注装置を構成する加温ピペット61が取り付けられており、加温ピペット61は、試薬分注アーム60内に設けられたシリンジポンプ67に接続されている。シリンジポンプ67は、シリンダ68と、シリンダ68の穴68aに挿入されるピストン69と、リニアアクチュエータ71とを備え、リニアアクチュエータ71は内蔵するステッピングモータによりピストン69をシリンダ68の穴68aの内部で往復移動させるようになっている。
【0038】
検出部80は、検体に試薬を添加して調製された測定試料の加温を行うとともに、その測定試料から光学的な情報を測定するための機能を有している。この検出部80は、図2に示されるように、キュベット載置部81と、キュベット載置部81の下方に配置された検出部82とにより構成されている。
【0039】
緊急検体セット部90は、図1〜2に示されるように、緊急を要する検体に対しての検体分析処理を行うために設けられている。この緊急検体セット部90は、搬送部3から供給された検体に対しての検体分析処理が行われている際に、緊急検体を割り込ませることが可能なように構成されている。キュベット廃棄部100は、回転搬送部20のキュベット152を廃棄するために設けられている。キュベット廃棄部100は、図2に示されるように、廃棄用キャッチャ部101と、廃棄用キャッチャ部101から所定の間隔を隔てて設けられた廃棄用孔102(図1参照)と、廃棄用孔102の下方に設置された廃棄ボックス103とにより構成されている。廃棄用キャッチャ部101は、回転搬送部20のキュベット152を、廃棄用孔102(図1参照)を介して廃棄ボックス103に移動させるために設けられている。流体部110は、検体分析装置1のシャットダウン処理の際に、各分注アームに設けられるノズルに洗浄液などの液体を供給するために設けられている。
【0040】
[加温機能付き分注装置の構成]
本実施の形態に係る加温機能付き分注装置は、試薬を吸引及び吐出することができる加温ピペット(液体保持部;被加温物質保持部)61と、この加温ピペット61に吸引された試薬を加温するヒータ64と、吸引した試薬が目標温度になるように当該ヒータ64の温度を制御する制御部25とで構成されている。なお、制御部25は、CPU25a、フラッシュメモリ25b、RAM25c等を備えている。
【0041】
加温ピペット61は、図4に示されるように、全体が筒状を呈しており、試薬分注アーム60に取り付けられる側の大径のノズルケース61aと、試薬の注入・吐出口を有する先端側の小径のノズルパイプ61bと、ノズルケース61a及びノズルパイプ61b内に配設されたピペット61cとからなっている。
【0042】
ノズルケース61aは、一端に雄ネジ部62が形成されており、この雄ネジ部62を試薬分注アーム60に形成された雌ネジ部(図示せず)に螺入することにより、加温ピペット61を試薬分注アーム60に取り付けることができる。また、ノズルケース61aの他端は縮径されており、この縮径された部分にノズルパイプ61bが挿入され、固定されている。ノズルパイプ61bの先端内周には、スリーブキャップ63が挿入され、固定されている。
【0043】
ピペット61cは、ノズルケース61a内に配設される大径部分61c1と、ノズルパイプ61b内に配設される小径部分61c2と、この小径部分61c2の先端に配設される注入・吐出部(吸引・吐出部)61c3とからなっている。大径部分61c1の先端側は縮径されて小径部分61c2に接続されており、同様に、小径部分61c2の先端側も縮径されて注入・吐出部61c3に接続されている。注入・吐出部61c3は、略円弧状を呈しており、試薬をキュベット内に分注する際に、注入・吐出部61c3の先端から試薬が斜め下方へ吐出され、試薬がキュベットの内壁に当たってこの内壁に沿って降下するようになっている。これにより、キュベット内の試料に直接試薬が分注され、気泡が発生するのを防止することができる。試料に気泡が発生すると、この気泡が外乱となり正確な光学的測定を行うことができなくなり、試料分析の精度が低下してしまう。
【0044】
ピペット61cの大径部分61c1及び小径部分61c2(ただし、先端の3mm程度を除く)の外周には、当該ピペット61c内に吸引されて保持される試薬を加温するためのヒータ64(発熱線)が巻回されている。ピペット61cの小径部分61c2の先端付近には、ピペット61c内の試薬の温度を検出するためのサーミスタ(温度センサ)65が配設されており、またピペット61cの大径部分61c1に巻回された発熱線64の外周には、発熱線64の過熱を防止するための温度ヒューズ66が配設されている。なお、本実施の形態における注入・吐出部61c3には、構造上の制約により、発熱線64が巻回されていない。
【0045】
発熱線64に通電することで、ピペット61c内に保持されている試薬が加温されるが、本実施の形態では、発熱線64の温度を制御する制御部25が、試薬の吸引量(ピペット61c内に保持されている試薬の量)に応じて発熱線64の目標温度を調整するように構成されている。本実施の形態においては、この発熱線64の温度を制御する制御部25は、測定装置2側に設けられているが、前述した制御装置4の制御部4aに含ませてもよい。
【0046】
本実施の形態に係る加温機能付き分注装置では、試薬の吸引量に応じて発熱線64の目標温度を調整することにより、発熱線64の発生熱量を調整するように構成されている。そのため、試薬の吸引量が大きくなったり、小さくなったりしても、所望の温度まで加温する時間のばらつきを抑制することができ、概ね同じ時間で略一定の温度に試薬を加温することができる。
【0047】
図7は、試薬吸引量に応じて発熱線64の目標温度を調整していない、換言すれば、目標温度が試薬吸引量にかかわらず一定である従来の加温ピペット(制御部の構成を除き、ピペットや発熱線などの構成は図4に示されるものと同じである)における試薬の吸引量と吐出温度との関係の一例を示す図である。この例において、吸引前の試薬の温度は10℃であり、また加温時間は3秒であった。目標温度は37℃に設定されていたが、図より明らかなように、吸引量50μLをピーク(約37.6℃)として、吸引量が多くなっても、少なくなっても、試薬の吐出温度は低下しており、全体として目標温度からはずれている場合が多い。試薬を吸引してから吐出するまでの時間(すなわち、加温時間)は一定であるため、試薬の吸引量が多くなると、目標温度に達する前に(換言すれば、定常状態になる前に)加温が終了し、吐出温度が目標温度よりも低くなると考えられる。一方、試薬の吸引量が所定値(図7に示される例では50μL)よりも少ない場合は、発熱線により加温できない部分(ピペットの小径部分61c2の先端部分及び注入・吐出部61c3の廻りには発熱線が配設されていない)の全体に占める割合が多くなり、換言すれば加温できない試薬の全体に占める割合が多くなることから、吸引量が少なくなるほど、試薬の吐出温度は低くなっている。
【0048】
これに対し、本実施の形態にかかわる加温機能付き分注装置によれば、図8に示されるように、試薬の吸引量に応じて目標温度を調整していることから、試薬の吐出温度を実質的に一定にすることができる。なお、図8に示される例において、吸引前の試薬の温度は10℃であり、また加温時間は3秒であった。この例では、試薬吸引前に目標温度を変更し、発熱線の温度が定常状態になった後に試薬を吸引した。また、吸引量100μLのときの目標温度を37℃とし、それ以外の吸引量のときの目標温度については、以下の表1になるように調整した。
【0049】
なお、表1において、「制御量」は、発熱線に印加される電圧値に比例する量であり、10℃の試薬100μLを3秒間加温したときに当該試薬の温度が37℃になる制御量を基準制御量(=1)とし、この基準制御量に対する比で表している。この制御量を大きくするということは、目標温度を高く設定することになる。
【0050】
【表1】

【0051】
図8に示される例においては、吸引量が基準値である100μLよりも多くなるほど、発熱線の目標温度が高く設定されている(制御量が大きく設定されている)。本実施の形態における制御方式であるPID制御や比例制御等では、試薬の温度が目標温度に近づくにつれて(目標温度と試薬の温度との偏差が小さくなるにつれて)加温速度が小さくなるが、発熱線の目標温度を高く設定することで、発熱線の目標温度を高く設定しない場合に比べて、実際の目標温度に近づいても加温速度の減少を少なくすることができる。その結果、試薬の量が多い程、試薬に大きい熱量が与えられることとなり、試薬の量が多くなった場合であっても、3秒間の加温時間で当該試薬を一定の温度(約37℃)に加温することができる。
【0052】
また、吸引量が基準値(100μL)より少ない所定量である約45μLよりもさらに少ない場合には、吸引量が少なくなるほど、発熱線の目標温度が高く設定されている。その理由は、図7の例に関して前述したように、試薬の吸引量が所定量よりも少ない場合は、発熱線により加温できない部分の全体に占める割合が多くなるからであり、換言すれば、加温できない試薬の全体に占める割合が多くなることから、目標温度が一定のままであると、吸引量が少なくなるほど、試薬の吐出温度は低くなるからである。
【0053】
つぎに加温ピペットの温度制御について詳細に説明する。
図5(a)は本実施の形態における加温ピペットの制御部を説明する図であり、図6は加温ピペットのヒータ駆動回路を示す図である。加温ピペット61の制御部は、前述した測定ユニットの制御部25からなっており、この測定ユニットの制御部25に加温ピペット61のヒータ(発熱線)64を駆動させるヒータ駆動回路が設けられている。すなわち、測定ユニットの制御部25が、吸引した試薬が目標温度になるように当該ヒータの温度を制御する役割を果たしている。
また、図5(b)は、加温ピペット61のヒータ64を駆動させるヒータ駆動回路26の他の例を示す図である。図5(b)に示すように、ヒータ駆動回路26は、制御部25とは別に設けても良い。この場合、制御部25は、加温ピペット61のヒータ64を駆動させるヒータ駆動回路26を制御する。
【0054】
図6に示されるように、ヒータ駆動回路26において、サーミスタ65の抵抗122と所定の抵抗121からなる分圧回路に第1基準電圧120が付与されており、このうち非反転増幅器123を経た抵抗122の分圧と第2基準電圧124との差が差動増幅器125により増幅される。そして、この差動増幅器125からの出力と、設定温度(目標温度)に対応する第3基準電圧126との差を入力バイアス回路127で演算し、ついでコンパレータ129において、三角波発生器128を用いたパルス幅制御により、そのパルス幅がヒータ132の通電時間に対応する矩形波を生成する。そして、生成された矩形波に対応してスイッチング手段131がオンオフ動作を行い、ヒータ132への通電を制御する。なお、サーミスタ65の抵抗122の分圧と、第4基準電圧133との差はコンパレータ134において常時監視されている。サーミスタ65が断線をして抵抗122が無限大になり、その結果、前記電圧差が閾値を超えたときや、ヒータイネイブル信号が出力されたときは、ゲート130のAND回路機能によりヒータ132への通電が遮断されるようになっている。
【0055】
このように、図8に示される例では、試薬の温度が定常状態になる前に当該試薬の加温が終了されている。通常のフィードバック制御の場合、試薬の量が多くなると、それに応じて当該試薬の温度が目標温度に達して定常状態になるまでに掛かる時間も多くなる。しかし、試薬の量に応じて目標温度を調整し、試薬の温度が定常状態になる前に当該試薬の加温が終了するように構成することで、短時間で試薬を目標温度に加温することができる。例えば、フィードバック制御における目標温度を、試薬の量が多くなるほど高く設定する(試薬の実際の目標温度(37℃)よりも高い38℃に設定する)ことで、試薬の量が多い場合には、実際の目標温度の37℃に近づいても38℃までには差があるため、その差に応じたデューティー比のパルス信号がコンパレータ129から発生される。これにより、ヒータ132の発生熱量が試薬の量に応じて制御され、限られた時間内において、試薬を目標温度である37℃にすることができる。すなわち、定常温度状態に至る途中(過渡期)において目標温度が達成される。
【0056】
なお、前記実施の形態において、発熱線の制御部は、試薬が適用される検体の測定シーケンスを制御するものとし、この測定シーケンスにおける試薬の種類によって前記目標温度を調整させることができる。血液凝固の分析においては、使用する試薬の種類によりその使用量が決められているが、そのような場合に、予め試薬の種類と吸引量との関係を記憶させておくことで、検体の測定手順である測定シーケンスにおける試薬の種類によって前記目標温度を調整することができる。例えば、PTを測定するシーケンスにおいては、血漿50μLを3分間インキュベートし、ついでこの血漿に100μLのPT試薬を分注したのちにPTの検出が行われる。また、APTTを測定するシーケンスにおいては、血漿50μLを1分間インキュベートし、ついでこの血漿に50μLのAPTT試薬を分注し、さらに2分間インキュベートしたのちに50μLの塩化カルシウム溶液(20mM又は25mM)を分注してAPTTの検出が行われる。これらの場合に、予め試薬の種類と吸引量との関係を記憶させておくことで、検体の測定手順である測定シーケンスにおける試薬の種類によって前記目標温度を調整することができる。これにより、試薬の種類が変わった場合でも、一定の温度に加温された試薬を加温ピペットから吐出することができる。
【0057】
また、測定シーケンスにおける試薬の種類によって前記目標温度を調整するための制御部の処理を、図5(b)に従って説明すると次の通りである。
すなわち、発熱線の制御部25は、測定の際に用いられる試薬の吸引量によって前記目標温度を調整することができる。血液凝固の分析においては、使用される試薬の種類によりその使用量が決められている。制御部25のフラッシュメモリ25bには、試薬の吸引量と前記目標温度との関係を表す関係式が予め記憶されており、制御部25は、フラッシュメモリ25bに記憶されている前記関係式に基づき、測定の際に用いられる試薬の吸引量によって前記目標温度を調整することができる。例えば、PTを測定する場合には、血漿50μLを3分間加温し、ついでこの血漿に100μLのPT試薬を分注したのちにPTの測定が行われる。また、APTTを測定する場合には、血漿50μLを1分間加温し、ついでこの血漿に50μLのAPTT試薬を分注し、さらに2分間加温したのちに50μLの塩化カルシウム溶液(20mM又は25mM)を分注してAPTTの測定が行われる。このように、制御部25は、試薬の吸引量と目標温度との関係を予めフラッシュメモリ25bに記憶しておくことで、測定の際に用いられる試薬の吸引量によって前記目標温度を調整することができる。これにより、試薬の種類が変わった場合でも、一定の温度に加温された試薬を加温ピペットから吐出することができる。
【0058】
また、検体に分注されるときの試薬の温度は環境温度の影響を受けることから、この環境温度も考慮して、発熱線の目標温度を設定することもできる。この場合、前記目標温度には、試薬の吸引量と環境温度の2つのパラメーターが関与することから、例えば、目標温度を、両パラメーターを変数とする1次式で表現し、試薬の吸引量と環境温度とから簡便に目標温度を求め得るようにすることができる。
【0059】
[検体分析のプロセス]
次に、前述した検体分析装置1を用いた検体の分析動作について、簡単に説明をする。
【0060】
図9は、図1に示される検体分析装置の検体分析動作の手順を示すフローチャートである。まず、図1に示される検体分析装置1の測定装置2および制御装置4の電源をそれぞれオン状態にすることにより、検体分析装置1の初期設定が行われる。これにより、キュベット152を移動させるための機構と各分注アームとを初期位置に戻すための動作や、制御装置4の制御部4aに記憶されているソフトウェアの初期化などが行われる。
【0061】
そして、図2に示される搬送部3によって、検体(血漿)を収容した試験管150が載置されたラック151の搬送が行われる。これにより、ラックセット領域3aのラック151が測定装置2の吸引位置2aに対応する位置まで搬送される。各試験管150に貼付されたバーコードラベルのバーコードを検体分析装置に設けられたバーコードリーダ(図示せず)が読み取る。図示しないホストコンピュータ(検体や患者の情報や、検体毎に対象の分析項目を記憶し、管理するコンピュータ)がネットワークを介して制御装置4に接続されており、制御装置4は、前記バーコードが示す検体のIDにより前記ホストコンピュータにその検体の分析対象となる分析項目を問い合わせる。ホストコンピュータから分析項目を含むオーダ情報が送信され、これにより制御装置4は、オーダを取得する(ステップS1)。制御装置4は、このオーダにより、分析項目を特定し、検体の吸引量、試薬の吸引量、加温時間等を特定する。なお、この他にも、オペレータが制御装置4のキーボードを操作して直接オーダを入力してもよい。この場合には、オペレータは、検体のID及び分析項目等を入力し、これらの情報がハードディスク401dに記憶される。そして、バーコードリーダによりバーコードが読み取られたときに、このバーコードの情報に含まれる検体IDに対応する分析項目がハードディスクから読み出され、オーダを取得することとなる。
【0062】
そして、ステップS2において、検体分注アーム30により試験管150から所定量の検体の吸引が行われる。そして、検体分注アーム30を回転搬送部20の一次分注テーブル24に保持されたキュベット152の上方に移動させる。その後、検体分注アーム30から一次分注テーブル24のキュベット152内に検体が吐出されることにより、キュベット152内に検体が分取される。
【0063】
そして、一次分注テーブル24を回転させて、検体が分注されたキュベット152をHIL検出部40による測定が可能な位置に搬送する。これにより、ステップS3において、HIL検出部40による検体に対する光学的な測定が行われて、検体から光学的な情報が取得される。
そして、ステップS4において、制御装置4の制御部4aは、受信したデジタル信号のデータ(第1光学的情報)を用いて、検体の吸光度を算出するとともに、検体中の干渉物質(乳び、ヘモグロビン、ビリルビン)の有無およびその濃度を算出する。
その後、ステップS5において、RAM401cに記憶されている吸光度が閾値以下か否かが判断される。
【0064】
そして、ステップS5において、HIL検出部40で測定された第1光学的情報から算出した吸光度が閾値以下の場合には、ステップS6において、検体分注アーム30により一次分注テーブル24の保持部24aに保持されたキュベット152から所定量の検体が吸引される。その後、検体分注アーム30から二次分注テーブル23の複数のキュベット152に前記オーダから特定される量の検体が各々吐出されることにより二次分注処理が行われる。
【0065】
ついで、ステップS7において、定量した検体を前記オーダから特定される時間インキュベートする。このインキュベーションの時間は、測定項目により異なるが、通常、1〜3分間程度である。
その後、ステップS8において、制御部25前記オーダから特定される試薬の種類(試薬の吸引量)に応じて試薬加温の目標温度を設定する。次に、ステップS9において、試薬分注アーム60を駆動させて、試薬テーブル21及び22に載置された試薬容器(図示せず)内の試薬を二次分注テーブル23のキュベット152内の検体に添加する。これにより、測定試料の調製が行われる。そして、キュベット移送部70を用いて、測定試料が収容された二次分注テーブル23のキュベット152を検出部80のキュベット載置部81の挿入孔81aに移動させる。
【0066】
そして、ステップS10において、検出部80の検出部82によりキュベット152内の測定試料に対して光学的な測定(本測定)が行われることによって、測定試料から光学的な情報(第2光学的情報)が取得される。
そして、ステップS11の制御装置4の制御部4aによる分析が終了した後には、ステップS12において、前記ステップS11で得られた分析結果を制御装置4の表示部4bに表示する。このようにして、検体分析装置1の検体の分析動作が終了する。
【0067】
図10は、図9フローチャートをさらに詳細に説明したものである。まず、図1に示される検体分析装置1の測定装置2および制御装置4の電源をそれぞれオン状態にすることにより、測定装置2および制御装置4の初期設定が行われる(ステップS1−1、S2−1)。これにより、キュベット152を移動させるための機構と各分注アームとを初期位置に戻すための動作や、制御装置4の制御部4aに記憶されているソフトウェアの初期化などが行われる。
【0068】
次に、制御装置4のCPU401aは、オペレータから測定開始指示を受け付けたか否かを判断し(ステップS1−2)、測定開始指示を受け付けた場合には、測定開始指示を測定装置2の制御部25に送信する(ステップS1−3)。測定開始指示を受け付けなかった場合には、CPU401aは、ステップS1−11の処理に移行する。
【0069】
次に、測定装置2のCPU25aは、CPU401aからの測定開始指示を受信したか否かを判断する(ステップS2−2)。測定開始指示を受信した場合には、CPU25aは、図2に示される搬送部3を制御して、検体(血漿)を収容した試験管150が載置されたラック151を、吸引位置2aに対応する位置まで搬送させた後、各試験管150に貼付されたバーコードを測定装置2に設けられたバーコードリーダ(図示せず)に読み取らせる。その後、CPU25aは、バーコードが示す検体IDに対応するオーダ情報を制御装置4に対して要求する(ステップS2−3)。
【0070】
次に、制御装置4のCPU401aは、CPU25aからのオーダ情報の要求を受け付けたか否かを判断し(ステップS1−4)、オーダ情報の要求を受け付けた場合には、制御装置4にネットワークを介して接続された図示しないホストコンピュータ(検体や患者の情報や、検体毎の分析項目を記憶し、管理するコンピュータ)に、バーコードが示す検体のIDに基づいて、検体の分析項目を含むオーダ情報を問い合わせる(ステップS1−5;オーダ取得手段としての機能)。そして、CPU401aは、ホストコンピュータから分析項目を含むオーダ情報を受信したか否かを判断し(ステップS1−6)、オーダ情報を受信した場合には、オーダ情報に含まれる検体の分析項目に対応した試薬の種類と、その試薬の吸引量とを特定する(ステップS1−7;試薬種類特定手段及び吸引量特定手段としての機能)。なお、各分析項目に対応する試薬の種類と、その試薬の吸引量とを含むデータは、予めオペレータにより、制御装置4のハードディスク401dに格納されてある。CPU401aは、当該データに基づいて、オーダ情報に含まれる検体の分析項目に対応した試薬の種類とその吸引量とを特定する。続いて、CPU401aは、ステップS1−7において特定された情報を含むオーダ情報を、測定装置2の制御部25に対して送信する(ステップS1−8)。なお、このオーダ情報には、検体の吸引量や検体の加温時間等も含まれている。
【0071】
なお、オペレータは、制御装置4のキーボードを操作して直接オーダを入力してもよい。この場合には、オペレータは、検体のID及び分析項目等を入力し、これらの情報がハードディスク401dに記憶される。そして、バーコードリーダによりバーコードが読み取られたときに、このバーコードの情報に含まれる検体IDに対応する分析項目がハードディスクから読み出され、オーダを取得することとなる。
【0072】
次に、測定装置2のCPU25aは、CPU401aからオーダ情報を受信したか否かを判断し(ステップS2−4)、オーダ情報を受信した場合には、受信したオーダ情報をRAM25cに記憶する(ステップS2−5)。続いて、CPU25aは、検体分注アーム30を制御して試験管150から所定量の検体を吸引し、検体分注アーム30を回転搬送部20の一次分注テーブル24に保持されたキュベット152の上方に移動させる。その後、CPU401aは、検体分注アーム30により一次分注テーブル24のキュベット152内に検体を吐出することにより、一次分注処理を行う(ステップS2−6)。
【0073】
次に、CPU25aは、一次分注テーブル24を回転させて、検体が分注されたキュベット152をHIL検出部40による測定が可能な位置に搬送する。これにより、ステップS2−7において、HIL検出部40による検体に対する光学的な測定が行われて、検体から光学的な情報(第1光学的情報)が取得される。
【0074】
次に、CPU25aは、検体分注アーム30を制御して、一次分注テーブル24の保持部24aに保持されたキュベット152から所定量の検体を吸引する。その後、CPU25aは、検体分注アーム30を制御して、オーダ情報から特定される量の検体を二次分注テーブル23の複数のキュベット152に各々吐出することにより、二次分注処理を行う(ステップS2−8)。
【0075】
次に、CPU25aは、分注された検体をオーダ情報から特定される時間加温する(ステップS2−9)。この加温の時間は、測定項目により異なるが、通常、1〜3分間程度である。
【0076】
その後、CPU25aは、フラッシュメモリ25bに記憶されてある関係式(試薬の吸引量とヒータ64の目標温度との関係を表す式)に、オーダ情報から特定された試薬の吸引量を代入することにより、ヒータ64の目標温度を設定する(ステップS2−10;目標温度決定手段としての機能)。
【0077】
次に、CPU25aは、ヒータ64を加熱するとともに、試薬分注アーム60を駆動させて、試薬テーブル21及び22に載置された試薬容器(図示せず)内の試薬を吸引し、吸引した試薬を二次分注テーブル23のキュベット152内の検体に添加する(ステップS2−11)。これにより、測定試料の調製が行われる。そして、CPU25aは、キュベット移送部70を制御して、測定試料が収容された二次分注テーブル23のキュベット152を検出部80のキュベット載置部81の挿入孔81aに移動させる。
【0078】
そして、CPU25aは、検出部80の検出部82によりキュベット152内の測定試料に対して光学的な測定(本測定)を行い、測定試料から光学的な情報(第2光学的情報)を取得する(ステップS2−12)。CPU25aは、ステップS2−7において取得された第1光学的情報と、ステップS2−12において取得された第2光学的情報を制御装置4に送信する(ステップS2−13)。
【0079】
制御装置4のCPU401aは、CPU25aから光学的情報を受信したか否かを判断し(ステップS1−9)、光学的情報を受信した場合には、受信した光学的情報の分析を行う(ステップS1−10)。なお、分析後は、得られた分析結果が制御装置4の表示部4bに表示される。次に、CPU401aは、オペレータからシャットダウン指示を受け付けたか否かを判断し(ステップS1−11)、シャットダウン指示を受け付けた場合には、シャットダウン信号を測定装置2のCPU25aに送信する(ステップS1−12)。シャットダウン指示を受け付けなかった場合には、CPU401aはステップS1−2の処理に移行する。
【0080】
測定装置2のCPU25aは、CPU401aからシャットダウン信号を受信したか否かを判断し(ステップS2−14)、シャットダウン信号を受信した場合には、測定装置2のシャットダウンを実行する(ステップS2−15)。シャットダウン信号を受信しなかった場合には、CPU25aはステップS2−2の処理に移行する。このようにして、検体分析装置1の検体の分析動作が終了する。
【0081】
なお、本実施の形態においては、試薬の温度と目標温度との差に応じてヒータの発生熱量を制御する様にし、試薬の量に応じて目標温度を調整する構成について述べたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、複数のヒータを設け、駆動されるヒータの数を試薬の量に応じて調整する等、試薬の量に応じてヒータの発生熱量を制御する構成であれば、他の構成であってもよい。また、本実施の形態においては、PWM制御によりヒータを制御する構成について述べたが、これに限定されるものではなく、PAM(パルス振幅変調)制御によりヒータを制御してもよいし、PWMとPAMとを組み合わせたハイブリッドインバータ方式によりヒータを制御してもよい。
【0082】
また、本実施の形態においては、フラッシュメモリ25bに格納された関係式に試薬の吸引量を代入することにより、ヒータ64の目標温度を設定する構成について述べたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、フラッシュメモリ25bに、試薬の種類と目標温度とが対応付けられた表形式のデータを格納しておき、オーダ情報に含まれる試薬の種類と当該表形式のデータとに基づいて、ヒータ64の目標温度を設定する構成であってもよい。
【0083】
また、本実施の形態では、オーダ情報に含まれる検体の分析項目に対応した試薬の種類とその試薬の吸引量とが、制御装置4のCPU401aにより特定される構成について述べたが、本発明はこれに限定されるものではなく、試薬の種類とその試薬の吸引量とが、測定装置2のCPU25aにより特定される構成であってもよい。
【0084】
また、本実施の形態では、フラッシュメモリ25bに格納された関係式に試薬の吸引量を代入することにより、ヒータ64の目標温度が設定される構成について述べたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、分析に使用される試薬の種類、又はその試薬の吸引量が、検体の分析項目と1対1に対応している場合には、検体の分析項目のみに基づいてヒータ64の目標温度を設定する構成であってもよい。
【0085】
また、本実施形態では、試薬を吸引および吐出するためのシリンジポンプ67が試薬分注アーム60の内部に設けられているが、本発明はこれに限定されるものではなく、試薬を吸引および吐出するためのシリンジポンプは、試薬分注アーム60以外に設けられてもよい。
【0086】
[参考的な開示]
なお、本発明を、別の観点からみると、次のようにとらえることができる。すなわち、第1の観点からみると、加温機能付き分注装置は、被加温物質を吸引及び吐出することができる被加温物質保持部と、このヒータの発生熱量を、被加温物質の吸引量に応じて制御する温度制御部とを備えることを特徴としている。
【0087】
上記加温機能付き分注装置では、被加温物質の吸引量に応じてヒータの発生熱量を調整するように構成されているので、被加温物質の吸引量が大きくなったり、小さくなったりしても所望の温度まで加温する時間のばらつきを抑制することができ、概ね同じ時間で略一定の温度に被加温物質を加温することができる。
【0088】
前記温度制御部は、前記被加温物質の温度と目標温度とを比較して、比較結果に応じて前記ヒータの発生熱量を制御する熱量制御手段と、被加温物質の吸引量に応じて前記目標温度を調整する目標温度調整手段とを備えることができる。これにより、被加温物質の吸引量に応じてヒータの目標温度が調整されるので、被加温物質の吸引量が大きくなったり、小さくなったりしても所望の温度まで加温する時間のばらつきを抑制することができ、概ね同じ時間で略一定の温度に被加温物質を加温することができる。
【0089】
前記被加温物質保持部を、試薬を吸引及び吐出することができる加温ピペットとし、前記ヒータをこの加温ピペット内に配設することができる。この場合、試薬の吸引量に応じてヒータの発生熱量を調整することで、概ね同じ時間で略一定の温度に加温された試薬を加温ピペットから吐出することができる。
【0090】
前記制御部を、検体と試薬とを混合させて測定試料を調製し、この測定試料を測定する測定シーケンスを制御するものとし、この測定シーケンスにおける試料の種類によって前記発生熱量を調整させることができる。検体測定によっては、使用する試薬の種類によりその使用量が決められているケースがあるが、そのような場合に、予め試料の種類と吸引量との関係を記憶させておくことで、検体の測定手順である測定シーケンスにおける試料の種類によって前記発生熱量を調整することができる。これにより、試薬の種類が変わった場合でも、所望の温度まで加温する時間のばらつきを抑制することができ、概ね同じ時間で略一定の温度に加温された試薬を加温ピペットから吐出することができる。
【0091】
被加温物質の量が多くなるほど、前記ヒータの目標温度を高く設定することができる。この場合、ヒータの目標温度を高く設定することで、ヒータの発生熱量を制御し、被加温物質の量が多くなるほど加温速度を大きくすることができる。その結果、被加温物質の量が多くなった場合であっても、短時間で当該被加温物質を所望の温度まで加温することができる。
【0092】
前記ヒータが、前記加温ピペットの吸引口近傍を除く当該加温ピペット内の試薬通路に沿って配設されており、
前記温度制御部は、試薬の量が基準量よりも多くなるほど、前記ヒータの発生熱量が大きくなるように制御し、試薬の量が、前記基準量よりも少ない所定量より少ない範囲では、少なくなるほど前記ヒータの発生熱量が大きくなるように制御することができる。試薬の量が基準量よりも多くなるほど、ヒータの発生熱量が大きくなるように制御する理由は前述した通りであるが、加温ピペットの吸引口近傍にヒータが配置されていない場合、試薬の吸引量が所定量よりも少なくなると、ヒータにより加温できない部分の割合が大きくなり、長時間かけないと試薬を所望の温度に加温することができない。そこで、試薬の量が基準量よりも多い場合と同様にヒータの発生熱量が大きくなるように制御することで、試薬を短時間に所望の温度に加温することができる。なお、「基準量」とは、常温において、標準試薬を所定時間(例えば、3秒)で目標温度(例えば、37℃)に加温できる量(例えば、100μL)のことをいう。
【0093】
被加温物質の温度が定常状態になる前に当該被加温物質の加温が終了するように構成することができる。通常のフィードバック制御の場合、被加温物質の量が多くなると、その量に応じて当該被加温物質の温度が目標温度に達して定常状態になるまでに掛かる時間も多くなるが、被加温物質の量に応じてヒータの発生熱量を調整し、被加温物質の温度が定常状態になる前に当該被加温物質の加温が終了するように構成することで、短時間で被加温物質を所望の温度に加温することができる。例えば、フィードバック制御における目標温度を、被加温物質の量が多くなるほど高く設定する(被加温物質の実際の目標温度(37℃)よりも高い38℃に設定する)ことで、当該被加温物質の加温速度を大きくして、限られた時間内において、被加温物質を目標温度である37℃にすることができる。すなわち、定常温度状態に至る途中(過渡期)に加温が終了することを前提にして、かかる途中において目標温度が達成できるようにしたものである。
【0094】
また、別の観点からみた検体分析装置は、所定量の検体を容器内に分注する検体分注部と、前記記載の加温機能付き分注装置と、検体と試薬とが混合された測定試料の光学的特性を含む物理的特性を測定する検出部と、を備えたことを特徴としている。
【0095】
上記検体分析装置では、前述した加温機能付き分注装置を用いていることから、被加温物質の吸引量が大きくなったり、小さくなったりしても所望の温度まで加温する時間のばらつきを抑制することができ、概ね同じ時間で略一定の温度に被加温物質を加温することができる。
【0096】
さらに、別の観点からみた分注方法は、試薬の吸引量を取得し、
取得された吸引量に応じて、ヒータ付きピペットのヒータの発生熱量を制御すると共に、前記取得された吸引量の試薬を前記ピペット内に吸引し、
前記試薬の温度が定常状態になる前に、前記ピペットから前記試薬を分注することを特徴としている。
【0097】
上記分注方法では、試薬の吸引量に応じてヒータの発生熱量を制御するように構成されているので、試薬の吸引量が大きくなったり、小さくなったりしても所望の温度まで加温する時間のばらつきを抑制することができ、概ね同じ時間で略一定の温度に試薬を加温することができる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の検体分析装置の一実施の形態の全体構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示される検体分析装置における検出部及び搬送部を示す平面図である。
【図3】図1に示される検体分析装置における制御装置のブロック図である。
【図4】加温ピペットの一例の軸方向断面図である。
【図5】加温ピペットのヒータを駆動するヒータ駆動回路を制御する制御部の説明図である。
【図6】加温ピペットのヒータを駆動するヒータ駆動回路を示す図である。
【図7】従来の加温ピペットにおける試薬の吸引量と吐出温度との関係の一例を示す図である。
【図8】本発明に係る加温ピペットにおける試薬の吸引量と吐出温度との関係を示す図である。
【図9】図1に示される検体分析装置の検体分析動作の手順を示すフローチャートである。
【図10】図9のフローチャートの更に詳細なフローチャートである。
【図11】試薬分注アームの構造を示す垂直断面図である.
【符号の説明】
【0099】
1 検体分析装置
2 測定装置
3 搬送部
4 制御装置
4a 制御部
10 キュベット供給部
20 回転搬送部
21 試薬テーブル
22 試薬テーブル
23 二次分注テーブル
24 一次分注テーブル
25 制御部
26 ヒータ駆動回路
30 検体分注アーム
40 HIL検出部
50 ランプユニット
60 試薬分注アーム
61 加温ピペット
64 発熱線
65 サーミスタ
80 検出部
152 キュベット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を保持するための液体保持部と、
前記液体の吸引量を特定する吸引量特定手段と、
特定された吸引量の液体を前記液体保持部に吸引し、前記液体保持部から前記液体を吐出する吸引・吐出部と、
前記液体保持部に保持された前記液体を加温するヒータと、
前記液体保持部に保持された前記液体の温度を検出する温度センサと、
前記吸引量特定手段により特定された吸引量に対応した液体の目標温度を決定する目標温度決定手段と、
前記温度センサにより検出された前記液体の温度が前記目標温度決定手段により決定された目標温度に近づくよう前記ヒータを制御する制御手段とを備えた分注装置。
【請求項2】
前記液体保持部は、前記液体として試薬を保持するピペットであり、
前記ヒータは、前記ピペット内に配設されている請求項1に記載の分注装置。
【請求項3】
前記吸引・吐出部により吸引される液体の量と、液体の目標温度との関係を記憶する記憶部をさらに備え、
前記目標温度決定手段は、前記吸引量特定手段により特定された液体の吸引量と前記記憶部に記憶されている前記関係とに基づいて、前記液体の目標温度を決定する請求項1又は2に記載の分注装置。
【請求項4】
前記目標温度決定手段は、前記吸引量特定手段により特定された液体の吸引量が大きくなるほど、前記液体の目標温度を高く決定する請求項1〜3のいずれか1項に記載の分注装置。
【請求項5】
前記ピペットは、ピペットの吸引口側に位置し、所定量の試薬を保持可能な小径部分と、前記小径部分より径の大きい大径部分とを備え、
前記目標温度決定手段は、前記吸引量特定手段により特定された試薬の吸引量が前記所定量より大きい場合には、前記吸引量が大きくなるほど、前記試薬の目標温度を高く決定する請求項2に記載の分注装置。
【請求項6】
前記ヒータは、前記ピペットの吸引口近傍を除くピペット内の試薬通路に沿って配設されており、
前記目標温度決定手段は、前記吸引量特定手段により特定された試薬の吸引量が所定の基準量よりも小さい場合には、前記吸引量が小さくなるほど、前記試薬の目標温度を低く決定する請求項2又は5に記載の分注装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記液体の温度が定常状態になる前に、前記液体保持部に保持された液体を吐出するよう前記吸引・吐出部を制御する請求項1〜6のいずれか1項に記載の分注装置。
【請求項8】
分注対象の試薬の種類を特定する試薬種類特定手段と、
試薬を保持する試薬ピペットと、
前記試薬種類特定手段により特定された種類の試薬を前記試薬ピペットに吸引し、前記試薬ピペットから前記試薬を吐出する吸引・吐出部と、
前記試薬ピペットにより保持された前記試薬を加温するヒータと、
前記試薬ピペットにより保持された前記試薬の温度を検出する温度センサと、
前記試薬種類特定手段により特定された試薬の種類に対応した試薬の目標温度を決定する目標温度決定手段と、
前記温度センサにより検出された前記試薬の温度が前記目標温度決定手段により決定された目標温度に近づくよう前記ヒータを制御する制御手段とを備えた試薬分注装置。
【請求項9】
試薬の種類と、試薬の目標温度との関係を記憶する記憶部をさらに備え、
前記目標温度決定手段は、前記試薬種類特定手段により特定された試薬の種類と前記記憶部に記憶されている前記関係とに基づいて、試薬の目標温度を決定する請求項8に記載の試薬分注装置。
【請求項10】
容器に検体を分注する検体分注部と、
前記検体と試薬とを混和して測定試料を調製するために前記容器に前記試薬を分注する試薬分注部と、
前記測定試料から光学的情報を検出するための検出部と、を備え、
前記試薬分注部は、
前記試薬を保持する試薬ピペットと、
前記試薬の吸引量を特定する吸引量特定手段と、
特定された吸引量の試薬を前記試薬ピペットに吸引し、前記試薬ピペットから前記試薬を吐出する吸引・吐出部と、
前記試薬ピペットに保持された前記試薬を加温するヒータと、
前記試薬ピペットに保持された前記試薬の温度を検出するための温度センサと、
前記吸引量特定手段により特定された吸引量に対応した試薬の目標温度を決定する目標温度決定手段と、
前記温度センサにより検出された前記試薬の温度が前記目標温度決定手段により決定された目標温度に近づくよう前記ヒータを制御する制御手段とを備えた検体分析装置。
【請求項11】
検体の分析項目を含むオーダ情報を取得するオーダ取得手段と、
前記オーダ取得手段により取得されたオーダ情報に含まれる分析項目と、前記分析項目の検体の分析において使用される試薬の種類と、前記吸引・吐出部により吸引される試薬の量とを対応付けた対応データを記憶する記憶部とをさらに備え、
前記吸引量特定手段は、前記オーダ取得手段により取得されたオーダ情報と前記対応データとに基づいて、試薬の吸引量を特定する請求項10に記載の検体分析装置。
【請求項12】
前記検体分注部は、前記検体として血液を分注するよう構成されており、
前記検出部は、前記血液の凝固に関する光学的情報を検出するよう構成されている請求項10又は11に記載の検体分析装置。
【請求項13】
前記試薬を冷却した状態で保存する試薬保存部をさらに備える請求項10〜12のいずれか1項に記載の検体分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−70355(P2008−70355A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−198586(P2007−198586)
【出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】