説明

切断装置

【課題】
生産性を改善した切断装置を提供する。
【解決手段】
切断装置1は、ワークを切断する切断装置であって、複数のワーク10を搬送するローダ40と、複数の切断刃71、72を備え、ローダ40により搬送された複数のワーク10のうちのワーク10aを切断ステージ51の上で切断する切断部210と、複数の切断刃73、74を備え、ローダ40により搬送された複数のワーク10のうちのワーク10bを切断ステージ52の上で切断する切断部220と、切断部210で切断されたワーク11a及び切断部220で切断されたワーク11bを搬送するアンローダ41とを有し、切断部210及び切断部220は同時に動作して複数のワーク10を切断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産性を改善した切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の組立工程(後工程)には、半導体ウエハや樹脂封止基板等のワークを一括処理により切断して、多数の半導体装置(個片化ワーク)を得るダイシング加工工程がある。続いて、ダイシング加工工程の後には、洗浄工程や検査工程等が実行される。
【0003】
しかしながら、半導体装置のダイシング加工は、ワークによって加工時間が異なるが、近年の傾向として半導体装置の洗浄や検査等に比べて多くの時間を要するようになってきている。このため、半導体装置の製造時における生産性を向上させることができない状況が多く発生するようになってきた。そこで、ダイシング加工を効率的に実行可能な切断装置が望まれていた。
【0004】
従来から、ダイシング加工を効率的に実施するため、対向位置に設けられた2つの切断刃を用いてダイシング加工を行う切断装置、及び、2つの切断刃を用いて切断する切断部を2つ備えた切断装置がある。
【0005】
例えば、特許文献1には、2つの切断部ユニットを対向配置したマルチダイシング装置が開示されている。特許文献1には、それぞれの切断部ユニットが2枚の切断刃を有し、合計で4枚の切断刃による複雑なマルチ加工が可能であることが開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、それぞれ2つの回転刃を有する2つの切断機構を直列配置することにより、加工効率を向上させた個片化装置が開示されている。
【特許文献1】特開2002−280328号公報(0024〜0026段落、図5)
【特許文献2】特開2008−153565号公報(0050段落、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に開示されたダイシング装置(切断装置)は、2つの切断部を備えているものの、生産効率を向上させるための具体的な構成及びその制御方法については開示されていない。このため、特許文献1及び特許文献2における装置では、生産効率を十分に向上させることができない。
【0008】
また、生産効率を向上させるためには、一度に複数のワークを切断ステージに載置して切断することが好ましい。しかしながら、特許文献1及び特許文献2のダイシング装置(切断装置)は、一度に一つのワーク(ウエハ、封止済基板)を切断するものであり、一度に複数のワークを切断することができない。このため、これらの装置でさらに生産効率を改善させるのは困難である。
【0009】
そこで本発明は、上記の点に鑑み、生産性を改善した切断装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一側面としての切断装置は、ワークを切断する切断装置であって、前記ワークを順次搬送するローダと、複数の切断刃を備え、前記ローダにより搬送された前記ワークを第1の切断ステージの上で切断する第1の切断部と、複数の切断刃を備え、前記ローダにより搬送された前記ワークを第2の切断ステージの上で切断する第2の切断部と、前記第1の切断部及び前記第2の切断部で切断された前記ワークを搬送するアンローダとを有し、前記ローダ及び前記アンローダは、搬送用の軌道を共用して前記第1の切断部及び前記第2の切断部の少なくとも一つに交互に移動し、前記第1の切断部及び前記第2の切断部は同時に動作して、前記ローダにより順次搬送された前記ワークを切断する。
【0011】
本発明の他の側面としての切断装置は、ワークを切断する切断装置であって、複数のワークを搬送するローダと、複数の切断刃を備え、前記ローダにより搬送された前記複数のワークのうちの第1のワークを第1の切断ステージの上で切断する第1の切断部と、複数の切断刃を備え、前記ローダにより搬送された前記複数のワークのうちの第2のワークを第2の切断ステージの上で切断する第2の切断部と、前記第1の切断部で切断された第1のワーク及び前記第2の切断部で切断された第2のワークを搬送するアンローダとを有し、前記第1の切断部及び前記第2の切断部は同時に動作して前記複数のワークを切断する。
【0012】
本発明のその他の目的及び効果は、以下の実施例において説明される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、生産性を改善した切断装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
【実施例1】
【0015】
まず、本発明の実施例1における切断装置の構成について説明する。
【0016】
図1A〜図1Dは、本実施例における切断装置1の平面配置を示す概略構成図である。図1A〜図1Dには、切断装置1の状態が時系列的に示されている。
【0017】
図1Aは、一点鎖線で示したローダ40が複数のワーク10を搭載して搬送する状態を示している。図1Bは、ワーク10を切断ステージ51、52に載置した後、ローダ40が供給部100へ戻る状態を示している。また、図1Cは、二点鎖線で示したアンローダ41が、加工済みの製品であるワーク11(11a、11b)を搭載して搬送する状態を示している。なお、ワーク11a、11bは、例えばCPUなどのように加工がそこで完了しているものであってもよいし、後の工程でさらに加工される半製品であってもよい。図1Dは、ローダ40が次のワーク10を搭載して搬送するとともに、検査などが行われる状態を示している。
【0018】
切断装置1は、半導体ウエハや樹脂封止基板等のワーク10を切断することにより、ワーク(切断された半導体装置)を製造する装置である。図1Aに示されるように、切断装置1は、供給部100、加工部200、及び、収納部300から構成されている。
【0019】
供給部100は、加工部200へ供給するための複数のワーク10を有する。供給部100において、不図示の外部装置からスタック状態で搬入されたトレイ12の上には、複数のワーク10が配列されている。なお、図1Aにおいて、トレイ12の上には平面視が略正方形の10個のワーク10が5行2列のマトリックス状(行列状)に等間隔で配列されているが、複数のワーク10の個数や配置の形態は、これに限定されるものではなく、所定の行数及び列数として10個以外の数のワーク10を異なる形態で配列させてもよく、ワーク10を異なる間隔で配列させてもよい。
【0020】
トレイ12は、供給部100の内部において、不図示の移動部材により、Y軸方向に搬送される。トレイ12は、複数のワーク10を配列した状態でY軸方向に移動し、供給部100の引渡し位置(ローダ40の軌道上の位置)において、複数のワーク10をローダ40(ワーク搬送装置)に引き渡す。具体的には、トレイ12の中のワーク10は、ローダ40により吸着され、ローダ40の吸着部の下側に保持される。
【0021】
トレイ12は、複数のワーク10をローダ40に引き渡した後、ワーク10が搭載されていない空のトレイ12aとなって、供給部100のトレイ12の搬入位置とは反対側の所定位置(同図の上部)に移動する。このような処理は、切断装置1の加工部200による一度の切断処理が完了するごとに、繰り返される。このため、ワーク10がローダ40に引き渡された空のトレイ12aは、供給部100の所定位置において積み上げられていく。
【0022】
ローダ40は、トレイ12から複数のワーク10を吸着して引き受けた後、X軸方向(図中の右方向)において、供給部100から収納部300まで延在する軌道上を移動してワーク10を搬送する。このため、ローダ40は、複数のワーク10を吸着し、供給部100と加工部200との間を移動可能に構成されている。
【0023】
ローダ40に吸着された複数のワーク10は、X軸方向に搬送される。ローダ40は、切断ステージ51(第1の切断ステージ)の上に到達すると、複数のワーク10の一部であるワーク10a(第1のワーク)の吸引を止め、ワーク10aを切断ステージ51の上に載置する。
【0024】
なお、図1Aにおいて、切断ステージ51の上に載置されるワーク10aとして、マトリックス状に配列されたワーク10のうち、行列方向において一個おきのワーク10aで構成された千鳥配置の5個のワーク10aが示されているが、これに限定されるものではない。ローダ40(ワーク搬送装置)は、単数又は複数個のワーク10aを吸着して搬送し、切断ステージ51の上に載置するように構成されていてもよい。また、ワーク10aの配置形態も千鳥配置に限定されるものではなく、他の配置でもよい。
【0025】
ローダ40は、切断ステージ51の上にワーク10aを載置した後、さらにX軸方向に移動して、残りのワーク10b(第2のワーク)を搬送する。この間、ワーク10bは、ローダ40に吸着された状態を維持する。ワーク10bは、ローダ40に吸着された複数のワーク10のうち、ワーク10aを除いた複数(5個)のワークであり、千鳥配置に吸着された状態となっている。
【0026】
ローダ40は、ワーク10bを吸着したままX軸方向に移動し、切断ステージ52(第2の切断ステージ)の上に到達すると、ローダ40に吸着されたワーク10bの吸引を止め、ワーク10bを切断ステージ52の上に載置する。
【0027】
なお、図1Aにおいて、切断ステージ52の上に載置されるワーク10bとして、千鳥配置の5個のワーク10bが示されているが、これに限定されるものではない。ローダ40は、単数又は複数個のワーク10bを吸着して、切断ステージ52の上に載置するように構成されていてもよい。また、ワーク10bの配置形態も千鳥配置に限定されるものではなく、他の配置でもよい。これらの点は、ワーク10aと同様である。
【0028】
このように、ローダ40に吸着された複数のワーク10のうち、ワーク10aは切断ステージ51の上に載置され、ワーク10bは切断ステージ52の上に載置される。このため、本実施例において、ローダ40は供給部100と加工部200の切断ステージ52との間をX軸方向(左右方向)に移動可能に構成されている。
【0029】
加工部200は、ワーク10aを切断するための切断部210(第1の切断部)、及び、ワーク10bを切断するための切断部220(第2の切断部)を備える。
【0030】
切断部210は、切断ステージ51、スピンドル61、切断刃71、及び、撮像装置35(第1の撮像装置)を有する。切断部210は、切断ステージ51の上に載置されたワーク10aを切断するため、切断ステージ51をY軸方向(矢印方向)に移動する。
【0031】
切断刃71は、スピンドル61の先端部に取り付けられている。スピンドル61は、不図示の駆動手段(モータ)により回転可能に構成されている。スピンドル61が回転することにより、その先端部に取り付けられた切断刃71が回転し、ワーク10aを切断することが可能となる。また、スピンドル61はX軸方向に移動可能に構成されており、ワーク10aの切断位置をX軸方向において変えることができる。ワーク10aの切断位置は、撮像装置35により得られる位置情報(画像情報)に基づいて決定される。
【0032】
また、切断部210には、切断刃71と対向して回転軸が同軸線上(又は平行)となるように、切断刃72が設けられている。切断刃72は、スピンドル62の先端部に取り付けられている。スピンドル62は、スピンドル61と同様に、不図示の駆動手段(モータ)により回転可能に構成されている。スピンドル62が回転することにより、その先端部に取り付けられた切断刃72が回転し、ワーク10aを切断することが可能となる。
【0033】
切断部220は、切断部210と同様に、切断ステージ52、2本のスピンドル63、64、2個の切断刃73、74、及び、撮像装置36(第2の撮像装置)を有する。切断部220は、切断部210と同等の構成を有し、切断ステージ52上のワーク10bを切断刃73,74によって切断可能に構成されている。
【0034】
図1Bに示されるように、切断ステージ51、52は、複数のワークをエア吸引などによって、所定位置に固定可能に構成されている。なお、同図では5個のワークが載置された切断ステージ51、52が図示されているが、複数行複数列の千鳥配置や複数行複数列の行列配置(マトリックス状)に固定可能な切断ステージを採用することも可能である。また、切断ステージ51、52は、X軸およびY軸と直交するZ軸を中心としてそれぞれ回転可能に構成されている。このため、切断ステージ51、52に載置されたワーク10a、10bの切断方向を任意に設定することができる。
【0035】
切断ステージ51、52における回転位置は、不図示の制御手段のメモリに記憶された切断プログラムに基づいて制御される。また、切断ステージ51、52における回転位置は、撮像装置35、36から得られた位置情報(画像情報)に基づいて微調整される。例えば、切断ステージ51、52は、切断刃71〜74によりワーク10a、10bの向かい合う二辺が切断された後に90度回転し、ワーク10a、10bの他の二辺を切断するように構成される。撮像装置35、36に基づく制御方法については後述する。
【0036】
ローダ40は、ワーク10a、10bを切断ステージ51、52にそれぞれ載置した後、図1B中の左側方向(矢印方向)に進み、次の複数のワーク10を加工部200へ搬送するため、供給部100へ戻る。供給部100には、次のワーク10を配列したトレイ12が準備されており、供給部100の引渡し位置に戻ったローダ40は、このトレイ12から次のワーク10を吸着する。このように、ローダ40に吸着された半分のワークを各切断ステージ51、52にそれぞれ千鳥配置に配置するため、1台のローダ40が供給部100と加工部200との間を一往復するだけで2個の切断ステージ51、52にワーク10a、10bを搬送することが可能となっている。
【0037】
続いて、切断部210、220が同時に動作することで、ワーク10a、10bは切断部210、220において同時に切断され、それぞれ、所望の外形寸法に加工される。なお、本明細書における「同時」とは、動作の開始時及び終了時が一致している状態のみならず、動作の開始時および終了時が一致していなくても動作が並行して行われるときがある状態をいう。
【0038】
一方、ワーク11aが載置された切断ステージ51は、図1Cの下方向すなわちローダ40及びアンローダ41の搬送位置に移動する。同様に、ワーク11bが載置された切断ステージ52もまた、図中の下方向すなわちローダ40及びアンローダ41の搬送位置に移動する。
【0039】
アンローダ41(ワーク搬送装置)は、切断部210及び切断部220のそれぞれにおいて切断されたワーク11a、11bを吸着して、収納部300(ハンドラ)に搬送する。このため、本実施例において、アンローダ41は、加工部200の切断ステージ51と収納部300との間をX軸方向(左右方向)に延在する軌道上、換言すれば、ローダ40の移動する軸線と同じ軸線上において移動可能に構成されている。
【0040】
アンローダ41は、ワーク11a、11bを搬送する際には、例えば図1Bに図示した待機位置から切断ステージ51の上に移動し、切断ステージ51の上に載置された5個のワーク11aを吸着部に吸着する。次いで、アンローダ41は、ワーク11aを吸着した状態でX軸方向において収納部300側に向かって移動する。この際に、アンローダ41は、切断ステージ52の上に到達すると、切断ステージ52の上に載置された5個のワーク11bを吸着部に吸着する。
【0041】
このとき、アンローダ41の吸着部には、ローダ40によって載置された10個の全てのワーク11(11a、11b)が吸着されていることになる。このように、ワーク11a、11bが各切断ステージ51、52に千鳥配置に配置されているため、これらを互いに組み合わせることで、ワーク11はマトリックス状に再配列されることとなる。このように、1台のアンローダ41が加工部200と収納部300との間を一往復するだけで、2個の切断ステージ51、52からワーク11a、11bを搬送することが可能である。
【0042】
アンローダ41は10個のワーク11を吸着した状態で、さらに同方向に移動し、ワーク11を収納部300へ搬送する。このように、アンローダ41は切断ステージ51、52で吸着したワーク11a、11bを収納部300に搬送するため、加工部200の切断ステージ51と収納部300との間を移動することができるように構成されている。
【0043】
収納部300に搬入されたワーク11(11a、11b)は、収納部300の内部に設けられた洗浄部80において洗浄される。洗浄部80により、ワーク11の切断面等が洗浄される。
【0044】
洗浄部80により洗浄されたワーク11は、収納部300の内部に設けられた検査部90において検査される。検査部90は、ワーク11の一つ一つについて、例えば、外観検査や導通検査等の検査を実施し、それぞれのワーク11が良品か否かを判定する。
【0045】
図1Cに示されるように、ローダ40は、供給部100において、トレイ12の上に配列された次の複数のワーク10を吸着し、次の複数のワーク10を加工部200(切断ステージ51、52)へ搬送する。このように、本実施例では、切断前のワーク10を搬送するローダ40と、切断後のワーク11を搬送するアンローダ41とが別に設けられており、それぞれ独立して動作可能に構成されている。このため、本実施例の切断装置によれば、スループットをより向上させることができ、半導体装置の生産性を改善することができる。
【0046】
また、ローダ40及びアンローダ41は、搬送用の軌道を共用し、切断部210及び切断部220上に交互に移動する。このため、ローダ40及びアンローダ41は、その軸線上において交差することがない。したがって、ワーク搬送用の軌道を1個設けるだけでこれらの搬送装置に別個の動作をさせることが可能となり、簡易な構成で効率的にワークを搬送することができる。
【0047】
図1Dに示されるように、ワーク11(11a、11b)は、収納部300内の洗浄部80による洗浄が完了した後、不図示の搬送部材により収納部300内の検査部90へ搬送される。ワーク11は、検査部90において検査され、検査に合格したワーク11は、トレイ14の中に収納される。
【0048】
一方、このとき、ローダ40により搬送された次の複数のワーク10a、10bは、それぞれ切断ステージ51、52の上に載置される。ワーク10a、10bが載置された切断ステージ51、52は、切断刃71〜74の位置(切断位置)までY軸方向に移動する。この後、図1A等を参照して説明した方法と同様の方法により、次のワーク10a、10bが切断される。
【0049】
本実施例では、複数のワーク10a、10bはそれぞれ千鳥配置で切断ステージ51、52の上に載置される。このため、切断刃71〜74のそれぞれで所望の一つのワークを切断する際に、近接して載置されている他のワークに切断刃71〜74が触れることなく、所望の一つのワークだけを切断することが可能になる。
【0050】
トレイ12には、収納数を多くするためにマトリックス状に詰めて複数のワーク10が配列されており、それぞれのワークの間隔が狭い。このため、ワークをトレイ12に配列されたマトリックス状の配列のまま切断ステージ51、52に載置すると、切断刃71〜74は、所定の一のワークを切断する場合に、切断刃71〜74の切断方向において、隣接する他のワークに触れて切断してしまう。そこで、本実施例では、切断刃71〜74による一のワーク切断時に、切断刃71〜74が隣接する他のワークが切断されるのを防止するため、ワーク10を千鳥配置に載置することで、近接するワークの間隔を切断刃71〜74の大きさに依存した所定の間隔以上に広げている。したがって、マトリックス状に収納することで搬送や収納時の面積を小さく抑えながら切断時の千鳥配列とすることで配列間隔を広げることができる。このため、複数のワークを所望の外形寸法に加工可能な切断装置の小型化が可能となる。また、2つの切断部210、220において切断される各ワーク10a、10bを一度に搬送することができるため、ワークの搬送を高速かつ効率的に行うことが可能となる。
【0051】
ただし、切断ステージ51、52における複数のワーク10a、10bの載置方法は、千鳥配置に限定されるものではない。所望の一つのワークを切断する際に、近接する他のワークに触れないように、すなわち影響を与えないように配置されていれば、他の配置でもよい。例えば、切断ステージ51、52の上に複数のワーク10a、10bを所定の間隔をもって載置するようにしてもよい。また、切断刃71〜74による切断線が他のワークの外側を通過するように、複数のワーク10a、10bをジグザグ配置にしてもよい。
【0052】
このとき、所定の間隔として満たされるべき条件は、切断刃71〜74の大きさ(直径、幅)に依存する。隣り合うワークは、少なくとも切断開始時および切断完了時におけるワーク端面からの切断刃71〜74の突出幅より離して配置することが望ましい。
【0053】
本実施例の切断装置は、2つの切断刃71、72(切断刃73、74)を備えた2つの切断部210、220を用いて、複数のワーク10a、10bを切断することができる。そして、複数のワーク10a、10bを切断ステージ51、52に載置する際には、これらを千鳥配置等の所定配置とする。
【0054】
このような配置により、複数のワークを同一の切断ステージ上で切断する場合に、近接した他のワークに影響を与えることなく所望の一つのワークを切断することができる。このため、本実施例の切断装置によれば、スループットの向上すなわち生産性の向上を図ることが可能となる。
【0055】
次に、本実施例におけるローダ40(ワーク搬送装置)ついて、詳細に説明する。なお、本実施例におけるアンローダ41もローダ40と同様の構成を有している。
【0056】
図2は、本実施例におけるローダ40の概略構成図であり、ローダ40の側面図である。図2(a)は、ローダ40の吸着パッド401が全て上昇している状態を示し、図2(b)は、ローダ40の一部の吸着パッド401aのみが下降している状態を示している。本実施例において、ローダ40は、供給部100内のトレイ12に配列されたワーク10をピックアップするピックアップ手段として用いられる。
【0057】
図2(a)、(b)に示されるように、ローダ40には、ワーク10を吸着するための複数の吸着パッド401(吸着部)が設けられている。本実施例において、切断ステージ51、52に載置されるワーク10a、10bの個数は、それぞれ5個である。このため、本実施例のローダ40には、ワーク10aの吸着に用いられる5個の吸着パッド401a、及び、ワーク10bの吸着に用いられる5個の吸着パッド401bの合計10個の吸着パッド401が設けられている。ただし、本実施例はこれに限定されるものではない。切断ステージ51、52に載置されるべきワーク10a、10bの個数に応じて、吸着パッド401の個数は適宜変更可能である。また、吸着パッド401の配列は、トレイ12に収納されたワーク10の配列に応じて、変更可能である。
【0058】
ローダ40は、吸引部405を介して不図示の吸引手段(真空系)に接続されると共に、吸引部405の上部において上述の軌道に吊り下げられてX軸方向に移動可能に保持されている。吸引手段により空気を吸引することにより、吸着パッド401にワーク10を吸着させることができる。また、吸引手段による空気の吸引を停止することにより、吸着パッド401に吸着されたワーク10を離して、ワーク10を切断ステージ51、52の上に載置することができる。
【0059】
ローダ40には、軸411、412が設けられている。軸411、412は、不図示の駆動手段により、上下方向にそれぞれ独立して移動可能に構成されている。軸411の下端部(接続部411a)はプレート421に接続されており、軸411が上下方向に移動することにより、プレート421も上下方向に移動する。
【0060】
また、軸412の下端部(接続部412a)はプレート422に接続されており、軸412が上下方向に移動することにより、プレート422も上下方向に移動する。軸411、412はそれぞれ独立に移動可能に構成されているため、プレート421、422もそれぞれ独立に移動できる。
【0061】
プレート421の下面と吸着パッド401aとの間は、軸431aにより接続されている。また、プレート422の下面と吸着パッド401bとの間は、軸431bにより接続されている。このため、プレート421、422が上下方向に移動することにより、軸431a、431b、及び、吸着パッド401a、401bも上下方向に移動する。
【0062】
図3(a)、(b)、(c)は、それぞれ、図2(a)中のローダ40のA−A断面、B−B断面及びC−C面(下から見上げた図)を示している。
【0063】
図3(a)に示されるように、プレート421は、接続部411aにより軸411に接続されているため、軸411と連動して移動するように構成されている。また、プレート421は、5本の軸431aに接続されているため、5本の軸431aのそれぞれに接続された5個の吸着パッド401aに連動して移動する。
【0064】
また、プレート421には、5個の孔部461aが形成されている。5個の孔部461aは、5個の吸着パッド401bのそれぞれに接続された5本の軸431bが通る箇所に形成されている。5本の軸431bは、5個の孔部461aの内部を通って延びている。
【0065】
このように、プレート421には5個の孔部461aが設けられており、これらの孔部461aの内部に5本の軸431bが通っているため、プレート421は5本の軸431bと接触しない。このため、プレート421又は軸431bのいずれかが上下方向に移動する場合でも、これらは互いに干渉し合うことなく独立して移動が可能である。
【0066】
また、プレート421には、孔部412bが形成されている。孔部412bの内部には、プレート422に接続される軸412が通っており、プレート421は軸412に接触しない。このため、プレート422に接続される軸412が上下方向に移動する場合でも、プレート421は軸412による干渉を受けることがなく動作することができる。
【0067】
図3(b)に示されるように、プレート422は、接続部412aにより軸412と接続されており、軸412と連動して移動するように構成されている。また、プレート422は、5本の軸431bに接続されているため、軸431bに接続されたそれぞれの吸着パッド401bと連動して移動する。
【0068】
また、プレート422には、5個の孔部461bが形成されている。5個の孔部461bは、吸着パッド401aに接続された5本の軸431aのそれぞれが通る箇所に形成されている。5本の軸431aは、5個の孔部461bの内部を通って延びている。
【0069】
このため、プレート422に孔部461bが設けられていることにより、プレート422は軸431aと接触しない。このため、プレート422又は軸431aのいずれかが上下方向に移動する場合でも、これらが互いに干渉し合うことなく独立して移動が可能である。
【0070】
図3(c)に示されるように、吸着パッド401a、401bには、それぞれ、4つの空気孔402が設けられている。不図示の吸引手段がこの空気孔402を介して空気を吸引することにより、吸着パッド401a、401bは、ワーク10a、10bを吸着することができる。一方、吸着手段が空気孔402からの吸引を停止することにより、ワーク10a、10bを吸着した吸着パッド401a、401bは、ワーク10a、10bを離す。なお、空気孔402は例えば中央に1つ(または複数個)形成されているような構成であってもよく、ワークを適切に吸着可能な位置に適切な個数だけ配置されていることが好ましい。
【0071】
本実施例のローダ40は、吸着パッド401aの空気孔402及び吸着パッド401bの空気孔402のそれぞれにおいて独立した2つの真空系に接続されており、これらの吸引制御及び吸引停止制御が可能に構成されている。すなわち、ローダ40は、吸着パッド401aの空気孔402からのみ空気を吸引するように制御可能であり、また、吸着パッド401bの空気孔402からのみ空気を吸引するように制御することができる。
【0072】
吸着パッド401a、401bは、上述したような効果のためにそれぞれ千鳥配置になるように構成されているが、これに限定されるものではない。切断ステージ51、52の上に載置する形態に応じて適宜変更可能である。
【0073】
図4は、図3(c)と同様にローダ40における吸着パッド及びワークの関係を示す概略構成図であり、吸着パッドを下から見た平面図である。
【0074】
図4(a)は、吸着パッド401a、401bのいずれにもワーク10が吸着されていない状態を示している。この状態は、ワーク10の載置が完了してからワーク10を引き渡されるまでの間の状態に相当する。
【0075】
図4(b)は、ワーク10のうちのワーク10aのみが吸着パッド401aにより吸着された状態を示している。これは、例えば、トレイ12上の複数のワーク10を吸着する際に図2(b)に示されるように軸411を下降させると共に、吸着パッド401aの空気孔402から空気を吸引してワーク10aを吸着した状態に相当する。この場合、軸411を下降させると、軸411の移動に連動して、プレート421も下方向に移動する。そして、プレート421が下方向に移動することに連動して、軸431aに接続された吸着パッド401aのみが下方向に移動する。
【0076】
このとき、軸431bに接続された吸着パッド401bは移動することなくそのままの位置に保持されている。また、吸着パッド401bの空気孔402からは空気は吸引されていない。このため、ワーク10のうちワーク10aのみが吸着パッド401aに吸着される。
【0077】
図4(c)は、ワーク10の全てが吸着パッド401a、401bにより吸着された状態を示している。これは、例えば、ワーク10aを吸着した後に、軸412を下降させると共に吸着パッド401bの空気孔402から空気を吸引してワーク10bも吸着した状態に相当する。なお、軸411、412を別々に下降させずに両方を一括して下降させれば、それに連動して吸着パッド401a、401の両方が下方向に移動する。このとき、全ての空気孔402から空気を吸引すれば、10個のワーク10の全てが吸着パッド401a、401bにより吸着される。
【0078】
続いて、加工部200にワーク10を搬送するときには、ローダ40を切断ステージ51の直上まで移動させ、軸411を駆動させて下動させることでワーク10aが吸着された吸着パッド401aを下降させると共に、空気の吸引を停止して切断ステージ51にワーク10aを載置する。次いで、軸411を上動させることで吸着パッド401aを上昇してから、ローダ40を切断ステージ52の直上まで移動させる。
【0079】
続いて、軸412を駆動させて下動させることでワーク10bが吸着された吸着パッド401bを下降させると共に、切断ステージ52にワーク10bを載置する。次いで、吸着パッド401bを上昇してから、図4(a)に示されるようにワーク10を吸着していない状態となったローダ40を供給部100に移動させる。
【0080】
このように、千鳥配置に配列された吸着パッド401a、401bを独立して上下動および空気の吸引などを行えるようにしたことにより、千鳥配置のワーク10a、10bを簡易な構成で確実に切断ステージ51、52に載置することができる。
【0081】
なお、吸着パッド401は一括して上下動させる構成とし、真空系については上述の構成と同様にしながら空気の吸引を制御することで、ワークを千鳥配置に載置することもできる。さらには、個別の吸着パッド401の上下動および空気の吸引を独立させて制御する構成を採用することもできる。
【0082】
次に、本実施例の切断装置における切断部の構成について説明する。図5は、切断部210の拡大平面図である。
【0083】
ワーク10aを切断するときには、まず、図5(a)に示されるように、切断ステージ51は、切断前の複数のワーク10a(図中では5個)を載置した状態で、切断開始位置までY軸方向(上下の矢印方向)に移動する。また、切断刃71、72が取り付けられたスピンドル61、62は、切断開始位置までX軸方向(左右の矢印方向)に移動する。
【0084】
このとき、切断ステージ51の移動前にスピンドル62を予めスピンドル61に近接させるように移動させておくことにより、切断ステージ51が撮像装置35の直下を通過させることができる。この際に、直下に位置したワーク10aを撮像装置35で撮像することで、現在の位置情報を生成するための画像を撮像することができる。制御手段は、撮像装置35により得られた画像によってワーク10aの傾きなどを含む位置情報を生成し、切断ステージ51の回転位置を微調整することでワーク10aのアライメント(位置合わせ)を行う。このように、制御手段は、ワーク10aの位置を一つずつ補正しながら切断する。このため、切断刃71、72は、撮像装置35により得られる位置情報(画像)に基づいて、常に正確な位置に制御される。
【0085】
本実施例において、ワーク10aと切断刃71、72との間の位置関係は補正可能に構成されている。このため、これらの位置関係が正しい値から外れてワーク10aが傾いたりずれたりして載置された場合であっても、そのずれや傾きが補正されて常に正確な位置関係に制御される。
【0086】
なお、本実施例の切断部210には、一つの撮像装置35のみが設けられている。このため、撮像装置35と切断刃71、72との間の位置関係の補正は容易である。ただし、必要に応じて、例えばスピンドル61(切断刃71)の側にも撮像装置を設け、全体で二つ以上の撮像装置を備えるように構成してもよい。
【0087】
ワーク10aの切断を開始するときには、不図示の制御手段は、撮像装置35により得られた位置情報に基づいて上述のアライメントを行った後に、切断刃71、72がワーク10aの切断開始位置にくるように、切断ステージ51をY軸方向に移動制御し、スピンドル61、62をX軸方向に移動制御する。図5(a)において、切断刃71、72により切断されるワーク10aの切断位置の一例が点線で表されている。このように、本実施形態では、対向配置された切断刃71、72によってワーク10aを挟む一対の辺における縁部が切り落とされ、両辺間が規定の間隔に加工される。残りの4個のワーク10aにも同様に加工されることにより、全ワーク10aにおいて2辺の切断処理が完了する。
【0088】
切断ステージ51は、不図示の制御手段により回転可能に構成されており、次の2辺の切断加工を行う際には、図5(b)に示されるように、図5(a)の向きの切断ステージ51を90度回転させる。
【0089】
この状態で、制御手段は、上述したような切断処理を再度実行し、図5(b)において点線で表された先に加工した2辺と直交(交差)する残りの2辺の縁部を切り落とす。これにより、全ワーク10aは、全ての辺が所定の形状に切断されることで所望の外形寸法に加工される。
【0090】
このように、切断ステージ51は、切断位置を変えるためにY軸方向に移動可能に構成されており、かつ、切断方向を変えるためにZ軸を中心として回転可能に構成されている。また、切断刃71、72が取り付けられたスピンドル61、62は、切断位置を変えるためにX軸方向に移動可能に構成されている。なお、上述の切断部210についての構成および動作等は、図5の括弧内の符号で示されるように、切断部220についても同様であるためここでの説明は省略する。
【0091】
不図示の制御手段は、撮像装置35による位置情報に基づいて、一つのワークを切断する毎に切断ステージ51の位置及び角度を調整するように制御する。本実施例では、切断ステージの上に載置されたワークは千鳥配置であるため、隣接するワークを誤って切断してしまうような事態を効率的に回避することができ、互いに隣り合うワークに影響を与えることなく、柔軟な位置及び角度の調整が可能となる。
【0092】
本実施例の切断部210、220において、切断刃71〜74として、全て同じ切断刃を用いることができる。また、切断部210の切断刃71、72には同じ切断刃を用い、切断部220の切断刃73、74には切断刃71、72とは異なる種類の切断刃を用いてもよい。また、切断刃71〜74の4つの切断刃の全てを異なる切断刃にすることも可能である。切断刃71〜74は、スピンドル61〜64から着脱可能に構成されている。これらは、ワーク10a、10bの切断の仕様や効率改善等を目的として、適宜変更可能である。このため、本実施例の構成によれば、ワークの種々の加工に柔軟に対応可能であるとともに、生産性を改善することができる。
【0093】
また、本実施例の切断装置1では、ローダ40、アンローダ41、切断部210、220、及び、収納部300におけるワークの受渡位置が一直線上(X軸方向)に直列配置されている。このため、本実施例によれば、ワークの受渡手段としてのローダ及びアンローダを簡易に構成することが可能になる。
【0094】
以上のとおり、切断部210及び切断部220は同時に動作して、複数のワーク10a、10bを切断(加工)する。このため、本実施例によれば、生産性を改善した切断装置を提供することができる。
【実施例2】
【0095】
次に、本発明の実施例2における切断装置について説明する。本実施例において、実施例1の切断装置と同様の部分についての説明は省略する。
【0096】
図6は、本実施例における切断装置2の概略構成図である。切断装置2は、実施例1の切断装置1と同様に、対向配置の2つの切断刃を備えた切断部が2つ設けられている。このため、切断装置2の基本的な動作は、実施例1の切断装置1と同様である。
【0097】
ただし、本実施例の切断装置2は、供給部101側に設けられた一方の切断部において加工されたワークが収納部301側に設けられたもう一方の切断部に搬送されてさらに加工される点で、異なるワークをそれぞれ別の切断部において加工する切断装置1とは異なる。
【0098】
切断装置2は、供給部101、加工部201、及び、収納部301から構成される。
【0099】
供給部101には、平面視が長方形のワーク13aが2枚配列されたトレイ16が、不図示の外部装置から搬入される(図6中の左下)。トレイ16に配列されたワーク13aは、ワーク13aを吸着可能な形状に構成された吸着パッドが2個設けられた不図示のローダにより、供給部101から加工部201へ搬送される。
【0100】
加工部201には、切断部211(第1の切断部)、及び、切断部221(第2の切断部)が設けられている。
【0101】
切断部211には2つのスピンドル65、66が備えられており、スピンドル65、66にはそれぞれ切断刃75、76が取り付けられている。切断刃75、76は対向配置されている。同様に、切断部221には、2つのスピンドル67、68が備えられており、スピンドル67、68にはそれぞれ切断刃77、78が取り付けられている。切断刃77、78は対向配置されている。
【0102】
不図示のローダにより供給部101から搬送されたワーク13aは、切断部211内の切断ステージ53(第1の切断ステージ)の上に載置される。切断ステージ53は、ワーク13aが載置された後、同図の上方(切断刃75、76の位置)に移動して加工される。
【0103】
ここで、本実施例の切断部211では、ワーク13aの面取り加工が行われ、ワーク13aに面取り部21が形成される。なお、切断部211において面取り加工に加えてワーク13aを切断する工程を加えてもよい。
【0104】
次に、ワークの面取り加工について説明する。
【0105】
図7は、切断刃75、76によりワーク13aが加工されている状態を示している。切断刃75、76は、ワーク13aを面取り加工するための切断刃の一例である。切断刃75、76の先端部は両端面における直径が異なるように傾斜しており、このような先端部を備えた切断刃75、76がワーク13aの上面を切削することにより、ワーク13aの上面に傾斜部が形成される。これを後述するように切断することで、面取り部21が形成される。
【0106】
図6に示されるように、ワーク13aは、切断部211により切断ステージ53上で面取り加工されることにより、面取り部21(傾斜部)を備えたワーク13bとなる。不図示のローダは、切断ステージ53からワーク13bを吸着し、X軸方向(右方向)に移動する。
【0107】
ローダは、切断ステージ54の位置に到達すると、ワーク13bを切断ステージ54に載置する。ワーク13bが載置された切断ステージ54は、同図の上方(切断刃77、78の位置)に移動して加工される。ワーク13bは切断部221の切断刃77、78で切断されてワーク13cとなる。具体的には、切断部221では、上述した実施形態と同様に切断加工することで4辺を切り落として所望の外形寸法とすると共に、図7に示した破線の部分を切断刃77、78のいずれかで切断することで各ワーク13bを分割して製品であるワーク13cに加工する。
【0108】
一方、ワーク13bの載置を終えたローダは、供給部101に戻ってワーク13aを吸着して切断部211へ搬送する。これにより、切断部211におけるワーク13aの切断が開始され、両切断部211、221によるワーク13a、13bの切断が同時に行われることとなる。続いて、不図示のアンローダは、切断ステージ54からワーク13cを吸着してX軸方向(右方向)に移動し、ワーク13cを収納部300へ搬送する。収納部300に搬送されたワーク13cは、洗浄・検査部95にて、切断部の洗浄及び外観検査等の検査が行われる。ワーク13cの洗浄及び検査完了後、ワーク13cは収納部300内のトレイ18に収納される。
【0109】
上述のとおり、本実施例では、切断部211で加工されたワーク13bはさらに切断部221で加工されてワーク13cとなる。すなわち、ワーク13aは二つの切断部の両方で加工されて、ワーク13cへ加工される。このように、本実施形態の切断装置によれば、従来は複数の切断装置を用いて行っていた多種の切削加工や切断加工を1台の切断装置で行うことが可能となっている。
【0110】
このため、図6に示されるように、本実施例におけるローダは、供給部101と加工部201の切断ステージ54との間(ローダの搬送範囲R1)で移動可能に構成されている。また、本実施例におけるアンローダは、加工部201の切断ステージ54と収納部301との間(アンローダの搬送範囲R2)において合計で4個に分割されたワーク13cを移動可能に構成されている。
【0111】
なお、ローダの搬送範囲R1及びアンローダの搬送範囲R2は適宜変更可能である。例えば、アンローダの搬送範囲を切断ステージ53と収納部301との間で移動可能に構成してもよい。このとき、アンローダは、切断ステージ53に載置されたワーク13bを切断ステージ54へ搬送することができる。ローダは、この間に、次のワーク13aを供給部101から切断ステージ53へ搬送することができるため、さらに生産性を向上させることが可能になる。
【0112】
また、本実施例の切断装置2では、ローダ40及びアンローダ41は、搬送用の軌道を共用し、切断部221上に交互に移動する。このように、本実施例の切断装置2では、切断部211、221、及び、供給部101及び収納部300におけるワークの受渡位置が一直線上(X軸方向)に直列配置されている。このため、本実施例においても、軌道を1個設けるだけでよく、ワークの受渡手段としてのローダ及びアンローダを簡易に構成することが可能になる。
【0113】
以上のとおり、切断部211及び切断部221は同時に動作して、ローダにより順次搬送されたワーク13a、13bを切断(加工)する。本実施例の切断装置2は、複数の切断部211、221において、個々のワークを切断する等の加工を行うことができる。複数の切断部211、221における加工は、ローダによりワークが搬送されることにより、順次実行される。このため、本実施例の切断装置によれば、半導体装置の生産性を向上させることが可能となる。
【0114】
上記各実施例によれば、生産性を改善した切断装置を提供することができる。
【0115】
以上、本発明の実施例を具体的に説明した。ただし、本発明は、上記各実施例にて説明した事項に限定されるものではなく、本発明の技術思想を逸脱しない範囲内で適宜変更可能である。
【0116】
例えば、上記各実施例では、各切断部に2つの切断刃が設けられているが、これに限定されるものではなく、各切断部に3つ以上の複数の切断刃が設けられていてもよい。また、上記各実施例の切断装置は、2つの切断部が設けられているが、これに限定されるものではなく、3つ以上の切断部を設けてもよい。このような構成により、さらに生産性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1A】実施例1における切断装置の概略構成図である。
【図1B】実施例1における切断装置の概略構成図である。
【図1C】実施例1における切断装置の概略構成図である。
【図1D】実施例1における切断装置の概略構成図である。
【図2】実施例1におけるワーク搬送装置の概略構成図である。
【図3】実施例1におけるワーク搬送装置について、図2中のA−A断面、B−B断面及びC−C面である。
【図4】実施例1におけるワーク搬送装置における吸着パッド及びワークの関係を示す概略構成図である。
【図5】実施例1における切断部の拡大平面図である。
【図6】実施例2における切断装置の概略構成図である。
【図7】実施例2において、切断刃によるワークの加工状態を示す概略図である。
【符号の説明】
【0118】
1、2:切断装置
10、10a、10b、11、11a、11b:ワーク
12、14:トレイ
12a:空トレイ
35、36:撮像装置
40:ローダ
41:アンローダ
51、52:切断ステージ
61、62、63、64:スピンドル
71、72、73、74:切断刃
80:洗浄部
90:検査部
100、101:供給部
200、201:加工部
210、211、220、221:切断部
300、301:収納部
401、401a、401b:吸着パッド
405:吸引部
411、412:軸
421、422:プレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを切断する切断装置であって、
前記ワークを順次搬送するローダと、
複数の切断刃を備え、前記ローダにより搬送された前記ワークを第1の切断ステージの上で切断する第1の切断部と、
複数の切断刃を備え、前記ローダにより搬送された前記ワークを第2の切断ステージの上で切断する第2の切断部と、
前記第1の切断部及び前記第2の切断部で切断された前記ワークを搬送するアンローダと、を有し、
前記ローダ及び前記アンローダは、搬送用の軌道を共用して、前記第1の切断部及び前記第2の切断部の少なくとも一つに交互に移動し、
前記第1の切断部及び前記第2の切断部は同時に動作して、前記ローダにより順次搬送された前記ワークを切断することを特徴とする切断装置。
【請求項2】
ワークを切断する切断装置であって、
複数のワークを搬送するローダと、
複数の切断刃を備え、前記ローダにより搬送された前記複数のワークのうちの第1のワークを第1の切断ステージの上で切断する第1の切断部と、
複数の切断刃を備え、前記ローダにより搬送された前記複数のワークのうちの第2のワークを第2の切断ステージの上で切断する第2の切断部と、
前記第1の切断部で切断された第1のワーク及び前記第2の切断部で切断された第2のワークを搬送するアンローダと、を有し、
前記第1の切断部及び前記第2の切断部は同時に動作して前記複数のワークを切断することを特徴とする切断装置。
【請求項3】
前記ローダは、前記第1のワークを千鳥配置で前記第1の切断ステージの上に載置し、前記第2のワークを千鳥配置で前記第2の切断ステージの上に載置し、
前記第1の切断部及び前記第2の切断部の前記切断刃は、前記複数のワークのうちの1つのワークを、近接して載置されている他のワークに触れることなく切断することを特徴とする請求項2記載の切断装置。
【請求項4】
前記ローダは、
供給部のトレイに配列された複数のワークを吸着し、
吸着した前記複数のワークのうちの前記第1のワークを搬送して前記第1の切断ステージの上に載置し、
吸着した前記複数のワークのうちの前記第2のワークを搬送して前記第2の切断ステージの上に載置し、
前記アンローダは、
前記第1の切断部で切断された前記第1のワーク及び前記第2の切断部で切断された前記第2のワークを吸着し、
前記第1の切断部で切断された前記第1のワーク及び前記第2の切断部で切断された前記第2のワークを、前記供給部のトレイに配列された状態で収納部に搬送する、ことを特徴とする請求項2又は3記載の切断装置。
【請求項5】
前記第1の切断部は第1の撮像装置を備え、
前記第2の切断部は第2の撮像装置を備え、
前記第1の切断ステージ、前記第2の切断ステージ、及び、前記複数の切断刃の位置は、前記第1の撮像装置及び前記第2の撮像装置からの画像情報に基づいて補正されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一に記載の切断装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−114281(P2010−114281A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−286022(P2008−286022)
【出願日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【出願人】(000144821)アピックヤマダ株式会社 (194)
【Fターム(参考)】