説明

列車速度制御装置

【課題】軌道添設の設備に依らず簡便に路線全域で速度制御できるうえ制限速度の一時的な変更や回復も手軽に行える列車速度制御装置を実現する。
【解決手段】衛星航法システムを利用して車両20の位置を検知する位置検知装置を改良して列車速度制御装置30にする際、車上処理装置34に、路面軌道10の路線マップデータと、路線全域の速度照査パターンからなる第1速度照査データと、停止時速度照査パターンか発車時速度照査パターンからなる第2速度照査データと、指定箇所を含む局所の速度照査パターンからなる第3速度照査データと、各速度照査パターンに速度情報Vを照査して速度超過時にはブレーキ指令を生成する速度超過判定ルーチンとを具える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、鉄道の車両である列車や路面電車などに搭載されて安全走行のための速度制御に資する列車速度制御装置に関し、さらには衛星航法システム(Global Positioning System)による測位を行うことで車両位置を検知する列車位置検知装置を機能拡張した列車速度制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
GPS(Global Positioning Satellite)衛星を利用した位置検知システム(全地球測位システム)により常時走行中の位置を検知しその情報を無線で出力する車載装置を搭載したLRT(新型路面電車)が知られているが(例えば特許文献1参照)、GPS衛星からの情報により車両位置を特定する場合、GPS単独では誤差が大きいので、FM多重方式や中波ビーコン方式などのディファレンシャル測位(D-GPS、Differential Global Positioning System)を併用して測定位置を補正することが行われる。また、電波状況の悪い場合等にも対処するためにマップデータを用いて測位システムの位置情報を路線上・軌道上の位置情報に変換するマップマッチング方法も採用されるが、車両が止まっていてもGPSを利用して測定した車両位置は一点で止まることなく常に動いている状態になってしまうというGPSの迷走は無くすことができない。
【0003】
また、路面電車については、GPS受信機を搭載して衛星航法システムによる測位を行うとともに、速度発電機などの速度計から速度情報を取得してGPS受信機の測位結果に反映させることで位置情報を得るようになったものがある(例えば特許文献2参照)。
これは、上述したGPS迷走の不都合を緩和・解消すべく開発されたものであり、路面電車に搭載されて車両位置を検知する車載機であって、衛星航法システムによる測位を行って第1位置情報を得るGPS受信機と、電車の速度計から速度情報を取得する速度情報取得装置と、停留所に設置される地上機に適合した無線機と、位置情報を修正して発着を判定する車上処理装置とを備えている。
【0004】
車上処理装置は、電車の路線に対応した路線マップデータと、これを用いて第1位置情報を路線上の第2位置情報に変換するマップマッチング手段と、速度情報取得装置の速度情報に基づく位置情報の選択的更新によって第2位置情報から第3位置情報を得る速度反映手段と、停留所の位置に対応した停留所マップデータと、これを用いて第3位置情報から電車の出発および到着を判定する発着判定手段とを有し、出発時および到着時に無線機を介して第3位置情報を送信するようになっている。
【0005】
この装置は、マップマッチングでも抑えきれないGPSの迷走による車両位置情報への影響を速度情報での走行状態/停止状態と位置情報の更新/非更新との簡便な組み合わせで緩和抑制することにより停留所における電車の発着を車両位置情報に基づいて的確に判定しうるようになっている。衛星航法システムでの測定で得られる位置情報と、低精度ではあるが既存の速度計から安直に得られる速度情報との組み合わせ方を工夫したことにより、過大なコストを掛けないでも車載機側で電車の発着を的確に判定することができるようになっている。
【0006】
さらに、列車等の安全走行のため速度制御を行う列車搭載式の装置として、地上からの信号・速度情報により自動的にブレーキを掛けたり緩めたりする自動列車制御装置(ATC)や、地上から車上へATS情報を伝送して制限速度超過時にブレーキを掛ける自動列車停止装置(ATS)が、実用に供されている(例えば特許文献3,4参照)。何れにしても、従来は、車上装置に加えて、地上子や軌道回路といった軌道添設の地上設備も、必要としていた。例えば特許文献3記載の変周式ATSは、列車制御装置が地上子からの信号に基づいて速度照査パターンを生成しこれと列車速度を照査して列車制御を行うものであるが、基本信号とマーカ信号とを使い分けて速度照査パターンの生成ばかりか解除まで動的に行うことにより、地上子が接近して設けられている場合でも的確に自動で列車を停止させることができるようになっている。
その他(例えば特許文献5参照)、ディスプレイ画面(提示手段)に運転指示速度等の運転支援情報を表示させるようになったものもある(案内手段)。
【0007】
【特許文献1】特許第3552916号公報(P2000−43727A)
【特許文献2】特許第3888468号公報(P2006−240478A)
【特許文献3】特許第3065313号公報(P2000−302042A)
【特許文献4】特許第3369477号公報(P2000−32617A)
【特許文献5】特許第3222700号公報(P1996−133084A)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように従来の列車速度制御装置では、軌道を走行する車両に搭載された車上装置だけで列車速度を制御するのでなく、地上の軌道に沿って地上設備が敷設されていることを前提として、列車等の走行中に車上装置と地上設備とを協動させることにより、安全走行のための速度制御が行われている。
しかしながら、長距離に及ぶ軌道に地上設備を敷設したり、その設備を維持すべく管理するのは、負担が重い。
このため、ATCやATSに対応した地上設備の無い路線について、速度照査にて安全性を高める際には、軌道添設の地上設備に係る負担を軽減することが求められる。
【0009】
そして、そのような負担を軽減するには、GPS受信機の測位結果に速度情報を反映させることで精度の良い位置情報が得られるようになった技術(特許文献2参照)を車上装置に適用することにより、軌道添設の地上設備が無くても車上で速度照査が行えるように車上装置を改良することが考えられる。
しかも、そのような列車位置検知装置から列車速度制御装置への機能拡張に際しては、単に速度照査可能とするにとどまらず、安全性を大きく向上させるべく走行中は何時でも速度照査が行えるようにしたうえで、軌道の工事などに伴う臨時の速度制限にも柔軟に対処できるようにすることが望ましい。
そこで、軌道添設の設備に依らず簡便に路線全域で速度制御できるうえ制限速度の一時的な変更や回復も手軽に行える列車速度制御装置を実現することが技術的な課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の列車速度制御装置は(解決手段1)、このような課題を解決するために創案されたものであり、列車や路面電車などの車両に搭載されて車速を検出する速度計と、前記車両に搭載されて衛星航法システムによる測位を行うGPS受信機と、前記車両に搭載されて前記速度計から得た速度情報を前記GPS受信機の測位結果に反映させることで車両位置を検知する車上処理装置とを備えた列車速度制御装置であって、前記車上処理装置が、前記車両の路線に対応した路線マップデータと、前記路線の全域に亘って各位置の目標速度を定めた第1速度照査データと、前記路線のうち駅などの既定発着箇所に係る停止時速度照査パターンと発車時速度照査パターンとの何れか一方または双方を定めた第2速度照査データと、前記路線の任意箇所の指定データとその指定箇所を含む局所における目標速度を定めた第3速度照査データとが有ればそれらを記憶保持する手段と、前記車両位置に基づいて前記既定発着箇所および前記指定箇所に到達したか否かを判定する手段と、前記既定発着箇所からも前記指定箇所からも外れているときには前記第1速度照査データに前記速度情報を照査してブレーキ指令を生成し、前記既定発着箇所に達したときには前記第1速度照査データと前記第2速度照査データとの双方に前記速度情報を照査して又は前記第1速度照査データに前記第2速度照査データを反映させた速度照査パターンに前記速度情報を照査してブレーキ指令を生成し、前記指定箇所に達したときには前記第1速度照査データと前記第3速度照査データとの双方に前記速度情報を照査してブレーキ指令を生成する手段とを具備していることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の列車速度制御装置は(解決手段2)、上記解決手段1の列車速度制御装置であって、前記路線マップデータと前記第1速度照査データと前記第2速度照査データとをダウンロードする手段を備えたことを特徴とする。
【0012】
さらに、本発明の列車速度制御装置は(解決手段3)、上記解決手段2の列車速度制御装置であって、前記指定データと前記第3速度照査データとをダウンロードも手動消去もできる手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
このような本発明の列車速度制御装置にあっては(解決手段1)、列車等に搭載して用いられ、速度情報取得手段とGPS受信機と車上処理装置との協動によって、車両位置の検知がGPS迷走の不都合を緩和抑制しつつ行われるが、課題解決のため、路線マップデータに加えて第1,第2,第3速度照査データも参照しながらブレーキ制御が行われる。
具体的には、車両位置が既定発着箇所や指定箇所から外れているときには、第1速度照査データに速度情報を照査することでブレーキ指令が生成されるが、第1速度照査データは路線全域に亘って各位置の目標速度を定めているので、軌道添設の設備に依らなくても路線全域で速度制御がなされることとなる。
【0014】
また、車両位置が駅などの既定発着箇所に達したときには、第1速度照査データと第2速度照査データとの双方に速度情報を照査するか或いは第1速度照査データに第2速度照査データを反映させた速度照査パターンに速度情報を照査することでブレーキ指令が生成されるが、第2速度照査データには既定発着箇所の停止時速度照査パターンか発車時速度照査パターンが設定されていることから、発着で速度照査パターンが使い分けられるので、発着いずれの走行も円滑になされる。そのため、発着まで含めても軌道添設の設備に依らない簡便な手法にて路線全域で適切な速度制御がなされることとなる。
【0015】
さらに、任意設定データである指定データと第3速度照査データとが設定されている場合に、車両位置が指定箇所に達したときには、第1速度照査データと第3速度照査データとの双方に速度情報を照査することでブレーキ指令が生成されるが、第3速度照査データは指定箇所を含む局所における目標速度を定めているので、第1速度照査データで規定されて路線全域に亘っている速度制限が指定データ及び第3速度照査データにて局所的に変更されることとなる。しかも、その変更は、指定データ及び第3速度照査データの設定によって手軽に行えるうえ、指定データ及び第3速度照査データの消去によって手軽に取り消される。
したがって、この発明によれば、軌道添設の設備に依らず簡便に路線全域で速度制御できるうえ制限速度の一時的な変更や回復も手軽に行える列車速度制御装置を実現することができる。
【0016】
また、本発明の列車速度制御装置にあっては(解決手段2)、路線マップデータや速度照査データが車上処理装置にダウンロードされるようにしたことにより、それらのデータをデータ管理センタ等で一元管理することが可能となる。そのため、例えば各種データの作成や各列車の車上処理装置へのデータ設定作業などにかかる負担が軽減される。
【0017】
さらに、本発明の列車速度制御装置にあっては(解決手段3)、指定データや第3速度照査データまでも一元管理できるうえ、そのデータについては手動で個別に消去することも可能なので、不要になった臨時の速度制限(即ち一時的かつ局所的な速度規制)を速やかに解除することができる。例えば、予定より早く工事が終了したような場合には、ダウンロードが可能な状態になる前であっても、運転士等の操作にて素早く、臨時の速度制限が解除される。
【0018】
また、本発明の列車速度制御装置にあっては(解決手段4)、提示手段にて運転士に向けて案内を行うに際し、路線マップデータに付加されている案内データを付加位置への到達の度に提示するのに加えて、制限速度の一時的な変更のあったときにも案内のための提示がなされるが、これは指定箇所への到達を待たずに接近した段階で早めに提示されるので、うっかり失念しやすい一時的な制限速度変更であっても、運転士の注意を確実に喚起することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
このような本発明の列車速度制御装置について、これを実施するための具体的な形態を、以下の実施例1〜2により説明する。
図1〜7に示した実施例1は、上述した解決手段1〜3(出願当初の請求項1〜3)を具現化したものであり、図8に示した実施例2は、上述した解決手段4(出願当初の請求項4)を具現化したものである。
【実施例1】
【0020】
本発明の列車速度制御装置の実施例1について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。図1は、(a)が路面電車20の斜視図、(b)が列車速度制御装置となった路面電車位置検知装置30の斜視図である。また、図2は、車上処理装置34の機能ブロック図である。
【0021】
路面電車20は(図1(a)参照)、道路等に敷設された路面軌道10を走行するものであり、例えば既述したLRTでも良く、一般の路面電車でも良い。路面電車20の運転台には、制御装置21に接続された速度計22や運転方向切換スイッチ23が設けられている。速度計22は、速度発電機利用の従来品で良く、直接的であれ間接的であれ車速を検出できれば足りる。制御装置21には、ハンドル操作や自動制御に応じて生成されたブレーキ指令Bに従ってブレーキを掛けるブレーキ制御部24も、組み込まれている。
路面電車位置検知装置30は、路面電車20の車両位置を検知するために、制御装置21と共に路面電車20の運転台の内部や下に格納されている。
【0022】
この位置検知装置30は(図1(b)参照)、主要なハードウェアとして、FMアンテナ31とGPSアンテナ32とが接続されていてFM多重の補正方式を併用した衛星航法システムによる測位を行って第1位置情報としての車両位置情報(X1,Y1)を得るGPS受信機33と、速度計22から路面電車20の速度情報Vを取得するとともに運転方向切換スイッチ23から路面電車20の運転方向Dを検出する速度情報取得装置35と、後述する駅40や停留所などに設置される地上基地局装置41の無線機42に適合した小電力の無線機36と、車両位置情報(X1,Y1)と速度情報Vと運転方向Dとから第3位置情報としての車両位置情報(X3,Y3)を算出するとともに路面電車20の駅40への出発時および到着時に無線機36を介して車両位置情報(X3,Y3)を送信する車上処理装置34とを具えている。なお、X,Yは例えば経度・緯度を基準とした二次元座標の符号である。
【0023】
車上処理装置34は(図2参照)、プログラマブルなデジタルシグナルプロセッサやマイクロプロセッサシステムからなる情報処理装置であり、これには、衛星航法システムを利用して路面電車20の位置を検知するために、マップマッチングルーチン(マップマッチング手段)と、方向反映ルーチン(方向反映手段)と、速度反映ルーチン(速度反映手段)と、発着判定ルーチン(発着判定手段)とがインストールされている。路線マップデータ(路線図情報)と、駅マップデータ(駅位置情報)も、各ルーチンから参照可能な状態でデータメモリに記憶保持されている。
【0024】
また、車上処理装置34には、位置検知装置30を列車速度制御装置としても機能させるために、ダウンロードルーチン(速度照査パターン等のデータダウンロード手段)と、速度超過判定ルーチン(判定手段およびブレーキ指令生成手段)と、手動消去ルーチン(手動消去手段)とがインストールされている。さらに、第1速度照査データと第2速度照査データと指定データ及び第3速度照査データとを記憶保持するためのデータメモリ領域も、確保されている。
【0025】
路線マップデータは、路面電車20の走行している又は走行する予定の路面軌道10(路線)に対応したものであり、例えば路面軌道10を折れ線近似した場合は二次元座標点(Xm,Ym)の一連データである。これには高度や勾配が付加されることもある。
駅マップデータは、路面電車20の路線上に点在する駅40の位置に対応したものであり、例えば各駅毎に両端の二次元座標点(Xp,Yp)を規定した一連のデータからなり、既述した停留所マップデータと実質同一である。
【0026】
マップマッチングルーチンは、既述したように(特許文献2も参照)、GPS受信機33から車両位置情報(X1,Y1)を取得し、路線マップデータを用いて路線上の車両位置情報(X2,Y2)に変換するものであり、受信不能時には前回の変換位置情報(X2a,Y2a)を車両位置情報(X2,Y2)として用いるようになっている。
方向反映ルーチンは、やはり既述のように、さらに運転方向Dに応じた情報更新を行って方向反映後の車両位置情報(X22,Y22)を算出するものであり、後退状態検出時には、前回の算出位置情報(X2b,Y2b)を車両位置情報(X22,Y22)として用いるようになっている。
【0027】
速度反映ルーチンは、既述のように、速度情報Vに基づく位置情報の選択的更新によって車両位置情報(X22,Y22)から車両位置情報(X3,Y3)を得るものであり、速度情報Vが車両停止状態を示しているときは前回の算出位置情報(X3a,Y3a)を車両位置情報(X3,Y3)として用いるようになっている。
発着判定ルーチンは、既述のように、駅マップデータ(Xp,Yp)を用いて車両位置情報(X3,Y3)から路面電車20の出発および到着を判定するものであり、さらに出発判定時や到着判定時には無線機36を介して出発の旨や到着の旨と車両位置情報(X3,Y3)とを送信するようにもなっている。
【0028】
第1速度照査データは、路線全域の速度照査パターン即ち路線の全域に亘って各位置の目標速度を定めた速度照査パターンであり、例えば、上述した路線マップデータの各点毎に制限速度(P1)を規定した場合には一連の組データ(Xm,Ym,P1)等で保持され、路線に沿った走行距離(R)に対して制限速度(P1)を規定した場合には一連の組データ(R,P1)等で保持される。
第2速度照査データは、路線のうち駅などの既定発着箇所に係る停止時速度照査パターンと発車時速度照査パターンとを定めたものである。
【0029】
停止時速度照査パターンは既述した変周式ATSの速度照査パターンと同様のもので良く、発車時速度照査パターンはその前後反転パターンのようなもので良い。この例では、上記の路線全域の速度照査パターンが駅の安全通過速度を規定しているので、停止時と発車時の速度照査パターンを双方とも定めているが、路線全域の速度照査パターンが停止時速度照査パターンを規定しているのであれば第2速度照査データは発車時速度照査パターンを定めていれば足り、路線全域の速度照査パターンが発車時速度照査パターンを規定しているのであれば第2速度照査データは停止時速度照査パターンを定めていれば足りる。
【0030】
指定データ及び第3速度照査データは、上述した路線全域の速度照査パターンによる定常的な制限速度を工事等に応じて一時的に変更するためのものなので、任意の設定データであり、設定されていることも設定されていないこともあるが、設定に要する領域はデータメモリに常に確保されている。
指定データは、路線の任意箇所を指定するものであり、その指定箇所が一点なら一つの座標値や走行距離で表され、区間であれば両端の座標値や走行距離で表される。
第3速度照査データは、指定データの設定に対応して設定されるものであり、指定データの指定箇所を含む局所における目標速度を定めていれば足りる。
【0031】
ダウンロードルーチンは、外部機器たとえば後述のセンタ処理装置51から無線機36を介して路線マップデータと駅マップデータと速度照査パターンをダウンロードするものであり、第1速度照査データに路線全域の速度照査パターンを保存し、第2速度照査データに停止駅毎の停止時速度照査パターンと発車時速度照査パターンを保存し、指定データと第2速度照査データに指定箇所と局所の速度照査パターンを保存するが、指定箇所と局所の速度照査パターンが無いときは指定データと第2速度照査データの領域をクリアするようになっている。また、これらのダウンロードは、運行開始前に操車場などで安全と準備の確認されたときに一括して行い、車両の走行中は危険回避のため行わないようになっている。
【0032】
手動消去ルーチンは、運転席の適宜な操作部材25の操作に応じて指定データ及び第3速度照査データにおける指定箇所および局所の速度照査パターンを消去するものであり、運行開始前に限らず走行中も実行され、例えば、専用クリア釦などの押下操作に応じて指定箇所と局所の速度照査パターンとを一組ずつ消去するようになっている。選択釦と被選択パターン表示器なども運転席に設けられていれば、その操作に応じて特定の組を選出し、その指定箇所と局所の速度照査パターンだけ消去するようにしても良い。なお、その消去は、該当する部分のデータ領域の全体をクリアするのでも良く、該当領域の一部だけ更新してクリア済みにするのでも良く、クリアフラグを付加するようにしても良い。
【0033】
速度超過判定ルーチンは、速度照査パターンに速度情報Vを照査してブレーキ指令を生成することにより自動で速度を制御するものであり、走行中は常に実行され、車両位置情報(X3,Y3)と速度情報Vと発着判定結果と指定データ等に基づいて次のような場合分けとブレーキ指令生成処理とを行う。すなわち、発着判定結果によって駅などの既定発着箇所に達しか否かが分かるのでそれで場合分けし、車両位置情報(X3,Y3)と指定データにおける各指定箇所との突き合わせによって指定箇所に達したか否かが分かるのでそれでも場合分けし、各場合によって、第1,第2,第3速度照査データに記憶保持されている速度照査パターンを使い分けるようになっている。
【0034】
具体的には、既定発着箇所からも指定箇所からも外れているときには、第1速度照査データの路線全域の速度照査パターンに速度情報Vを照査してブレーキ指令を生成する。
また、既定発着箇所に達したときには、車両位置情報(X3,Y3)に該当する停止時速度照査パターンと発車時速度照査パターンとが第2速度照査データに存在しているので、その停止時速度照査パターンや発車時速度照査パターンを第1速度照査データの路線全域の速度照査パターンに反映させた速度照査パターンに速度情報Vを照査してブレーキ指令を生成するようになっている。
【0035】
さらに、指定データにおける何れかの指定箇所に達したときには、車両位置情報(X3,Y3)に該当する局所の速度照査パターンが第3速度照査データに存在しているので、第1速度照査データの路線全域の速度照査パターンと第3速度照査データの局所の速度照査パターンとの双方に速度情報Vを照査してブレーキ指令を生成する。なお、ブレーキ指令の生成は、速度超過時だけ行うのでも良く、常時行うが速度超過時にはブレーキ強化の値を持たせそれ以外はブレーキ解除の値を持たせるのでも良い。また、複数パターンに対する速度超過の判定は、安全強化のため双方に照らして速度超過量の多い方を採用しているが、指定箇所ではそれに限るとしても、既定発着箇所では、それ以外の部分置換や一方採択等にて一方の速度照査パターンを他方に反映させるようにしても良い。
【0036】
この実施例1の位置検知装置30(列車速度制御装置)について、その使用態様及び動作を、図面を引用して説明する。図3は、位置検知装置30を組み込んだ路面電車位置検知システムの概要構成図である。また、図4〜図7は、何れも、路面軌道10に沿った距離kmを横軸に採り縦軸に速度km/hを採ったグラフであり、路線全域の速度照査パターン(第1速度照査データ)を実線グラフで示し、速度情報Vを二点鎖線グラフで示している。さらに、図5では、停止時速度照査パターン(第2速度照査データ)を長破線グラフで示し、図6では、発車時速度照査パターン(第2速度照査データ)を長破線グラフで示し、図7では、局所の速度照査パターン(第3速度照査データ)を長破線グラフで示している。
【0037】
この路面電車位置検知システムでは(図3参照)、各々の路面電車20に列車速度制御機能付き位置検知装置30が一セットずつ搭載され、路面軌道10に臨んで所々に設けられている駅40には一台ずつ地上基地局装置41が設置されている。複数・多数の路面電車20を集中管理する運転管理センタ50は、一カ所で足り、路面軌道10に臨んでいる必要がないので適宜な建家等に確保され、そこにはセンタ処理装置51が設置されている。
【0038】
地上基地局装置41は、上述した無線機36に適合した小電力の無線機42と、電話回線やインターネット回線を利用して無線通信を行う携帯端末43と、両者42,43に接続されてプロトコル変換等を行う地上処理装置44とを具えたものであり、小型で安価な無線機36,42による近距離通信と携帯端末43による長距離通信とを中継するようになっている。具体的には、位置検知装置30から地上基地局装置41へ出発または到着の旨と車両位置情報とが送信されて来ると、それをセンタ処理装置51へ転送するようになっている。
【0039】
センタ処理装置51は、地上基地局装置41から携帯端末43にて転送されて来た車両位置情報を受信するための携帯端末52と、それで収集した車両位置情報に基づいて複数・多数の路面電車20の運転状態を管理する中央処理装置53とを具えたものであり、監視のため図示しない表示板に運行状況を表示したり、運行の円滑のため場合によっては各路面電車20に運転情報を配信することも、行うようになっている。また、センタ処理装置51は、車上処理装置34で使用される各種データをデータベースに保持するとともに、そのデータの編集支援と各路面電車20への配信も行うようになっている。
【0040】
操車場や遅くても始発駅では、路面電車20に搭載されている位置検知装置30の車上処理装置34でダウンロードルーチンが実行されるとともに、最寄りの地上基地局装置41を介してセンタ処理装置51から各種データが路面電車20へ配信されて、車上処理装置34には走行予定路線に係る各種データが記憶保存される。具体的には、路線マップデータ及び駅マップデータがそれぞれ保存され、第1速度照査データに路線全域の速度照査パターンが保存され、第2速度照査データに停止時速度照査パターンと発車時速度照査パターンとが保存され、指定箇所と局所の速度照査パターンが有れば、それらが指定データと第2速度照査データに保存される。
【0041】
それから、路面電車20が路面軌道10上を走行すると、それに搭載された位置検知装置30では、随時、車両位置情報(X1,Y1)と速度情報Vと運転方向Dとが取得され、その度に、路線マップデータを用いたマップマッチング処理が行われて車両位置情報(X1,Y1)から車両位置情報(X2,Y2)が算出され、運転方向Dに反する向きの位置情報更新を停止する方向反映処理が行われて車両位置情報(X2,Y2)から車両位置情報(X22,Y22)が算出され、速度情報Vに基づく位置情報の選択的更新によって車両位置情報(X22,Y22)から車両位置情報(X3,Y3)が算出され、さらに、駅マップデータを用いて車両位置情報(X3,Y3)から路面電車20の出発や到着が判定される。
【0042】
そして、最寄りの駅40から路面電車20が出発したと判定がなされると、位置検知装置30から地上基地局装置41を介してセンタ処理装置51へ出発の旨と車両位置情報(X3,Y3)とが送信される。また、最寄りの駅40に路面電車20が到着したと判定がなされると、位置検知装置30から地上基地局装置41を介してセンタ処理装置51へ到着の旨と車両位置情報(X3,Y3)とが送信される。それを受信したセンタ処理装置51では、それぞれの路面電車20が駅にいるのか駅間にいるのかを判別することが可能なので、運行状況を的確に把握して管理することができる。
【0043】
また(図4参照)、路面電車20の走行中には、随時、路線全域の速度照査パターンP1に速度情報Vが照査されて、速度情報Vが速度照査パターンP1を上回ると(図では破線で囲んだ部分Bを参照)、ブレーキ指令Bによって自動でブレーキが掛けられるので、運転士のブレーキ操作が不足していたような場合でも、それが補われて、路面電車20の速度が目標速度以下に下げられる。なお、ブレーキの強さは、現時点での速度超過量に単純比例するのでも良いが、一定期間前における速度超過量の時間平均や加重平均などに応じて加減するのも良い。
【0044】
さらに(図5参照)、路面電車20が例えばB駅に到着したとき正確には到着しかけたときには、路線全域の速度照査パターンP1に速度情報Vが照査されるとともに、B駅での停止時速度照査パターンP21にも速度情報Vが照査されて、速度情報Vが速度照査パターンP1,P21の何れかを上回ると(図では破線で囲んだ部分Bを参照)、やはり自動でブレーキが掛けられるので、例え運転士が停止操作を失念したような場合ですら、路面電車20の速度が目標速度以下に下げられて、必ず路面電車20がB駅で停止する。
【0045】
また(図6参照)、路面電車20が例えばB駅から出発するときには、路線全域の速度照査パターンP1に速度情報Vが照査されるとともに、B駅での発車時速度照査パターンパターンP22にも速度情報Vが照査されて、速度情報Vが速度照査パターンP1,P22の何れかを上回ると(図では破線で囲んだ部分Bを参照)、やはり自動でブレーキが掛けられる。路面電車20の停止位置は停止毎に多少変動するので、発車時速度照査パターンP22の位置は、駅マップデータの位置をそのまま使用するよりも、車両位置情報(X3,Y3)に応じて調整する方が好ましい。
【0046】
それから(図6参照)、例えばB駅とC駅との間で工事が行われており、それに対応して指定データ及び第3速度照査データに指定箇所と局所の速度照査パターンP3とが保持されている場合に、その指定箇所に路面電車20が差し掛かったときには、路線全域の速度照査パターンP1に速度情報Vが照査されるとともに、局所の速度照査パターンP3にも速度情報Vが照査されて、速度情報Vが速度照査パターンP1,P3の何れかを上回ると(図では破線で囲んだ部分Bを参照)、やはり自動でブレーキが掛けられる。
【0047】
ところで、運行前にダウンロードした指定箇所や局所の速度照査パターンP3が保持されているにも拘わらず、その速度規制の原因である工事などが路面電車20の到達以前に完了していたような場合には、運転士が運転席の操作部材25を操作して、該当する指定箇所や局所の速度照査パターンP3が消去される。
このように、この位置検知装置30にあっては、定常運転や発着時の速度規制に対する速度超過に応じて自動ブレーキが掛けられるばかりか、工事等の要求に応じて一時的かつ局所的に速度規制を重課することができ、その速度規制に対する速度超過に応じても自動ブレーキが掛けられるので、安全性が高い。しかも、一時的かつ局所的な速度規制は必要が無くなれば直ちに解除できるので、柔軟性にも優れている。
【実施例2】
【0048】
本発明の列車速度制御装置の実施例2について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。図8は、(a)が列車速度制御装置となった路面電車位置検知装置60の斜視図、(b)がディスプレイ62(画面提示手段)での案内表示の例である。
【0049】
この位置検知装置60が上述した実施例1の位置検知装置30と相違するのは、提示手段としてのスピーカ61(音声出力装置)とディスプレイ62(画面表示装置)とが路面電車20の運転席に設けられている点と、車上処理装置34に図示しない案内データと案内手段が追加されている点である。
【0050】
案内データは、例えば、注意を促す音声データや画面表示データからなり、路線マップデータに付加されて、路面電車20の走行予定路線のうち急カーブや急勾配の他,緩いカーブや勾配であっても気の弛みやすい所などに対応づけられている。
案内手段は、プログラム等で具現化されており、路線マップデータにおいて案内データの付加されている位置に車両位置情報(X3,Y3)が到達したときには、該当する案内データ例えばカーブや踏切の案内情報などをスピーカ61やディスプレイ62に送出するようになっている(図8(b)の「次曲線まで 1000m」や「次曲線半径 700m」を参照)。
【0051】
また、この案内手段は、次の運転士向け案内もディスプレイ62に表示する。すなわち、第1速度照査データを参照して現在の目標速度を表示し(図8(b)の「制限 60km」を参照)、それと対比しやすいところに現在の速度情報Vを表示し(図8(b)の「現在 55km」を参照)、指定データを参照してその指定箇所に車両位置情報(X3,Y3)が接近したときにはその旨のコメントと距離などを表示するようになっている(図8(b)の「注意区間まで 1500m」を参照)。
【0052】
この場合、現在の走行位置に関係する各種の案内情報として、実速度に加えて、制限速度ばかりか、案内データに基づく線路のカーブの情報などや,指定データや第3速度照査データに基づく臨時の制限速度変更なども、運転士に向けてアナウンスやモニタ表示される。そのため、運転士にきめ細かく注意喚起を行うことができて、運転士の負担を軽減することができる。また、運転士の教育や訓練に活用することもできる。
【0053】
[その他]
上記各実施例では、位置検知装置30(列車速度制御装置)が路面電車20に搭載されていたが、位置検知装置30(列車速度制御装置)は列車にも搭載可能である。
上記各実施例では路線マップデータと駅マップデータとが分離していたが、これらのデータは、重複する部分があるので、混在状態や併合状態で記憶保持しても良い。
上記各実施例では、速度計22が速度発電機を利用したものであったが、速度計22はスピードガンやドップラーレーダを利用したものであっても良い。
【0054】
上記各実施例では速度情報取得装置35が路面電車20の速度情報Vの取得に加えて路面電車20の運転方向Dの検出も行うようになっていたが、路面電車20の運転方向Dの検出は他の情報取得装置で行うようにしても良い。
上記各実施例ではGPS受信機33がGPSアンテナ32に加えてFMアンテナ31も接続されてFM多重方式のD-GPSを行うようになっていたが、GPS受信機33が中波ビーコン方式のD-GPSを行うようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施例1について、列車速度制御装置の構造を示し、(a)が路面電車の斜視図、(b)が列車速度制御装置となった路面電車位置検知装置の斜視図である。
【図2】車上処理装置の機能ブロック図である。
【図3】本発明の列車速度制御装置を組み込んだ路面電車位置検知システムの概要構成図である。
【図4】軌道に沿った距離kmを横軸に採り縦軸に速度km/hを採ったグラフであり、路線全域の速度照査パターンを実線グラフで示し、速度情報を二点鎖線グラフで示している。
【図5】軌道に沿った距離kmを横軸に採り縦軸に速度km/hを採ったグラフであり、路線全域の速度照査パターンを実線グラフで示し、停止時速度照査パターンを長破線グラフで示し、速度情報を二点鎖線グラフで示している。
【図6】軌道に沿った距離kmを横軸に採り縦軸に速度km/hを採ったグラフであり、路線全域の速度照査パターンを実線グラフで示し、発車時速度照査パターンを長破線グラフで示し、速度情報を二点鎖線グラフで示している。
【図7】軌道に沿った距離kmを横軸に採り縦軸に速度km/hを採ったグラフであり、路線全域の速度照査パターンを実線グラフで示し、局所の速度照査パターンを長破線グラフで示し、速度情報を二点鎖線グラフで示している。
【図8】本発明の実施例2について、列車速度制御装置の構造を示し、(a)が列車速度制御装置となった路面電車位置検知装置の斜視図、(b)が提示手段での案内表示の例である。
【符号の説明】
【0056】
10…路面軌道、20…路面電車、21…制御装置、
22…速度計、23…運転方向切換スイッチ、
24…ブレーキ制御部、25…操作部材、
30…位置検知装置(列車速度制御装置)、
31…FMアンテナ、32…GPSアンテナ、
33…GPS受信機、34…車上処理装置、
35…速度情報取得装置、36…無線機、
40…駅、41…地上基地局装置、
42…無線機、43…携帯端末、44…地上処理装置、
50…運転管理センタ、51…センタ処理装置、
52…携帯端末、53…中央処理装置、
60…位置検知装置(列車速度制御装置)、
61…スピーカ(提示)、62…ディスプレイ(提示)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
列車や路面電車などの車両に搭載されて車速を検出する速度計と、前記車両に搭載されて衛星航法システムによる測位を行うGPS受信機と、前記車両に搭載されて前記速度計から得た速度情報を前記GPS受信機の測位結果に反映させることで車両位置を検知する車上処理装置とを備えた列車速度制御装置であって、前記車上処理装置が、前記車両の路線に対応した路線マップデータと、前記路線の全域に亘って各位置の目標速度を定めた第1速度照査データと、前記路線のうち駅などの既定発着箇所に係る停止時速度照査パターンと発車時速度照査パターンとの何れか一方または双方を定めた第2速度照査データと、前記路線の任意箇所の指定データとその指定箇所を含む局所における目標速度を定めた第3速度照査データとが有ればそれらを記憶保持する手段と、前記車両位置に基づいて前記既定発着箇所および前記指定箇所に到達したか否かを判定する手段と、前記既定発着箇所からも前記指定箇所からも外れているときには前記第1速度照査データに前記速度情報を照査してブレーキ指令を生成し、前記既定発着箇所に達したときには前記第1速度照査データと前記第2速度照査データとの双方に前記速度情報を照査して又は前記第1速度照査データに前記第2速度照査データを反映させた速度照査パターンに前記速度情報を照査してブレーキ指令を生成し、前記指定箇所に達したときには前記第1速度照査データと前記第3速度照査データとの双方に前記速度情報を照査してブレーキ指令を生成する手段とを具備していることを特徴とする列車速度制御装置。
【請求項2】
前記路線マップデータと前記第1速度照査データと前記第2速度照査データとをダウンロードする手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の列車速度制御装置。
【請求項3】
前記指定データと前記第3速度照査データとをダウンロードも手動消去もできる手段を備えたことを特徴とする請求項2記載の列車速度制御装置。
【請求項4】
前記車両の運転席に提示手段が設けられており、前記路線マップデータに案内データが付加されており、その案内データの付加位置に前記車両位置が到達したとき及び前記指定箇所に前記車両位置が接近したとき前記提示手段にて運転士向け案内を行う案内手段が前記車上処理装置に組み込まれていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載された列車速度制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−247219(P2008−247219A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−91372(P2007−91372)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000207470)大同信号株式会社 (83)
【出願人】(000001292)株式会社京三製作所 (324)
【出願人】(000004651)日本信号株式会社 (720)
【Fターム(参考)】