説明

制御された後部硝子体剥離をもたらす組成物及び方法

本発明の組成物は、プラスミン又は酵素的に同等なその誘導体、及び少なくとも1の抗炎症薬を含む。当該組成物は、病的な眼の状態の潜在的な合併症を予防、治療、又は改善するために、制御された後部硝子体剥離(PVD)を誘導するために使用できる。このような組成物は、硝子体内に投与することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御された後部硝子体剥離(PVD)をもたらす組成物及び方法に関する。特に、本発明は、このような制御されたPVDの必要性を促す状態の少なくとも原因又は誘導を治療、低減、又は改善する治療用組成物及び治療方法に関する。より具体的に、本発明は、プラスミン又はその同等物、並びに抗炎症性医薬を含むこのような組成物、及びこのような組成物を用いて制御されたPVDをもたらす方法に関する。
【背景技術】
【0002】
硝子体は、レンズと網膜との間で眼の後嚢(posterior cavity)を満たす透明な物質である。硝子体は、主に水から構成され、そしてさまざまな量の塩、可溶性タンパク質、糖タンパク質、及びグリコサミノグリカン(主にヒアルロン酸)を含む。硝子体は、内境界膜として知られている構造に沿って、その後部面で網膜に接している。硝子体と網膜の接触部位は、硝子体網膜接点(vitreoretinal junction)と名づけられ、そして、網膜に近い基底膜層及び硝子体に近いコラーゲン原線維(collagen fibril)の層からなる。
【0003】
PVDは、網膜からの硝子体の分離である。硝子体における退行性変化は、PVDの前段階である。硝子体の変性は、通常の加齢の一部であるが、糖尿病、アール病(網膜外出血の病徴を示す)、及びブドウ膜炎(例えば、http://www.emedicine.com/emerg/topic504.htmlの「Retinal Detachment」を参照のこと)などの病的状態により誘導されることもある。硝子体の変性は、収縮をもたらし、網膜からの分離をもたらす。硝子体は網膜に接しているので、硝子体の後退は、網膜を強く引っ張った-トラクションと呼ばれる過程の場合、網膜の裂傷を引き起こすことがあり、次に網膜剥離を伴う。さらに、トラクションが網膜に生じると、炎症によって、硝子体が網膜に依然として接している点を組織が包囲することがもたらされることがある。
【0004】
眼の特定の病的状態は、幾つかの場合、網膜の表面上に、血管を伴った新たな(異常)膜、つまり線維性血管膜の形成を伴う。つまり、増殖性疾患である。自然に生じるPVDでは、トラクションは、これらの膜に生じ、そしてこれらのうち、新たな血管が破裂及び出血することがあり、これは、網膜内及び/又は網膜下の液体の蓄積、並びに網膜内に、網膜に、及び/又は網膜下に出血をもたらしうる。こうして、増殖性の網膜疾患は、網膜のトラクションを伴い、そして網膜剥離、網膜浮腫、並びに新たに形成された血管の破裂から生じる出血の合併症を高い確率で伴う。こうして、未制御の剥離のため生じる網膜への損傷が生じる前に制御されたPVDを誘導する利点がある。さらに、網膜から新たな線維性血管膜が異常増殖し、そして増殖性の後眼障害を患う患者の硝子体に侵入するための骨格として、血管と網膜との間の接触が機能しうるということが考えられている。こうして、制御されたPVDの誘導は、線維性血管膜の硝子体へのこのような増殖を回避又は抑制することができる。
【0005】
Verstraetenら(Arch. Ophthalmol., Vol. 11, 849-854 (1993))は、硝子体網膜の境界で分離するために、プラスミンの使用を提案した。プラスミンは、硝子体網膜接点で見られるラミニン及びフィブロネクチンを含む糖タンパク質を加水分解する。プラスミン処理は、処理後にウサギの目の硝子体茎切除術を行なって、又は行なわずになされる。その著者は、プラスミンで処理された眼は、幾らかのPVD領域を示したが、硝子体茎切除術の直後に硝子体が実質的に分離されたということに気づいた。当該著者は、プラスミン処理が機械的硝子体茎切除術の生化学的補助として有用である可能性があることを結論付けた。
【0006】
プラスミンは、網膜剥離の進行を予防、停止、又は低下させるために、制御されたPVDを誘導するために提案されてきた。共通の譲受人の米国特許出願第11/126,625号は、制御されたPVDの誘導が、非増殖性糖尿病網膜症の進行を抑制すると考えられるということを教示する。当該出願及びその中で開示された参考文献は、本明細書に援用される。しかしながら、プラスミンの患者への単独投与は、制御されたPVDを誘導する必要性を促す元の状態の原因又は効果を解決することはないし、又は病気の眼を通常の健康状態に回復することを促進することもない。
【0007】
その結果、その必要性を開始する状態の原因又は誘導を治療、低減、又は改善するために、制御されたPVDの誘導用の改良された組成物及び方法を提供する必要があった。このような制御されたPVDを誘導するために活性成分の非毒性レベルを採用するこのような組成物及び方法を提供することもかなり望ましい。
【発明の開示】
【0008】
一般的に、本発明は、プラスミン又は酵素的に同等なその誘導体、及び1以上の抗炎症医薬を含む組成物を提供する。
【0009】
一の態様では、本発明の組成物は、このような制御されたPVDの必要性を開始させる眼症状の合併症又は少なくとも誘発を予防、停止、軽減、又は改善するために、制御されたPVDを誘導することができる。
【0010】
別の態様では、本発明の組成物は、このような制御されたPVDを開始する眼症状の少なくとも潜在的原因の治療、停止、低下、又は改善を誘導することができる。
【0011】
さらに別の態様では、抗炎症医薬は、硝子体において低い可溶性(以下に定義される)を有する。
【0012】
さらに別の態様では、本発明は、このような組成物の製造及び使用方法を提供する。
【0013】
別の態様では、本発明の組成物は、プラスミン又はその酵素的に同等の誘導体、及びコルチコステロイド、非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)、ペルオキシソーム増殖活性化受容体-γ(PPARγ)リガンド、その組み合わせ、及び混合物からなる群から選ばれる少なくとも1の抗炎症薬を含む。
【0014】
さらに別の態様では、本発明は、制御されたPVDを誘導する方法を提供する。当該方法は、当該制御されたPVDを必要とする患者の眼に、プラスミン又は酵素的に有効なその誘導体、及び少なくとも抗炎症医薬を含む治療有効量の組成物を投与することを含む。
【0015】
さらなる態様では、本発明は、治療を必要とする対象において制御されたPVDを誘導するのに使用可能な組成物の製造のための、プラスミン、又は酵素的に同等なその誘導体、及び少なくとも1の抗炎症薬の使用を提供する。
【0016】
本発明の別の特徴及び利点は、以下の詳細な記載及び特許請求の範囲で明らかにされるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
一般的に、本発明は、プラスミン又は酵素的に同等なその誘導体、及び少なくとも1の抗炎症薬を含む組成物、及びこのような組成物の製造及び/又は使用方法を提供する。
【0018】
1の態様では、本発明の組成物は、制御されたPVDの必要性を開始する眼状態の少なくとも1の誘発誘導又は複合体を予防、停止、低下、又は改善するために、制御されたPVDを誘導することができる。別の実施態様では、当該少なくとも1の影響又は合併症は、硝子体がこのような制御されたPVDの前に網膜に結合している点に隣接する眼組織の炎症である。
【0019】
別の態様では、本発明の組成物は、かかる制御されたPVDの必要性を開始する眼状態の少なくとも潜在的な原因の治療、停止、低下、又は改善を誘導することができる。一の実施態様では、当該少なくとも潜在的な原因は、眼組織の炎症(例えば、硝子体炎、ぶどう膜炎、眼トキソプラスマ症、イヌ回虫症、毛様体扁平部炎、黄斑浮腫又は視覚上挫傷)、網膜外出血(例えば、アール病の結果)、血管増殖性視覚上障害(例えば、網膜血管新生、糖尿病性網膜症、湿黄斑変性症(wet macular degeneration)又は脈絡膜新生血管(CNV)、糖尿病性黄斑浮腫(DME)又は眼の傷害若しくは障害(例えば、網膜裂傷、網膜剥離、網膜上膜、マクラパッカー又は黄斑円孔)である。
【0020】
本明細書に使用される場合、プラスミンの「酵素的に同等な誘導体」という語句は、プラスミンに由来し、そしてプラスミンの機能に類似するタンパク質分解機能を有する酵素を意味する。プラスミンの誘導体は、プラスミンの機能と類似するタンパク質分解機能を有するプラスミンの断片又はバリアントであることもある。プラスミンの誘導体は、プラスミンの酵素ドメイン、並びに当該酵素ドメインのアミノ末端における短いアミノ酸配列(例えば、約20〜40のアミノ酸残基を含む)を含むマイクロプラスミン、プラスミンのクリングル-5ドメインに結合された酵素ドメインを含むミニプラスミン、又は酵素ドメインとリジン-結合性質を保持するプラスミンの1以上のクリングルドメインを含むプラスミンの他の切り詰め型であることもある。プラスミンのバリアントは、1以上のアミノ酸残基を消去、置換、又は添加することによりプラスミンの分子から生成することができる。このような置換は、例えば、保存的置換でありうる。酵素的に活性なマイクロプラスミン及びミニプラスミンは、Arg561-Val562でのペプチド結合の切断により、マイクロプラスミノーゲン及びミニプラスミノーゲン前駆体から得られる。ここで、このアミノ酸残基の番号は、791個のアミノ酸残基を有するヒトGlu-プラスミノーゲンのアミノ酸残基の番号に対応する。マイクロプラスミンは、例えば、米国特許第4,774,087号に開示され、そしてミニプラスミンは、例えば、米国特許出願公開第2005/0118158号及び第2005/0124036号に開示される。これらの文献の内容は、本明細書に援用される。
【0021】
1の態様では、切り詰め型プラスミンは、そのアミノ末端でプラスミンのクリングル-1、クリングル-2、クリングル-3、クリングル-4、又はクリングル-5ドメイン、或いはその組み合わせに結合するプラスミドの酵素ドメインを含む。1の実施態様では、2以上のクリングルドメインは、当該酵素ドメインのアミノ末端に、任意の順序で結合する。プラスミンのクリングルドメインは、三重ループ構造により特徴付けられ、そして3個のジスルフィド結合を有する75〜85のアミノ酸残基を含む。
【0022】
別の態様では、酵素的に同等なプラスミンの誘導体は、マイクロプラスミン、ミニプラスミン、又は切り詰め型プラスミンである。一の実施態様では、切り詰め型プラスミンは、酵素ドメインのアミノ末端においてプラスミンの酵素ドメインに結合されたプラスミンのクリングル-1ドメインを含む。別の実施態様では、切り詰め型プラスミンにおけるクリングル-1ドメインは、クリングル-2、クリングル-3、クリングル-4、又はクリングル-5ドメインに置換される。さらに別の実施態様では、切り詰め型プラスミンは、酵素ドメインのアミノ末端に任意の順序で結合された2以上、5以下のクリングルドメインを含む。
【0023】
「組み合わせ」という語句は、非限定的に、結合、引力、又は相互作用(例えば非限定的に、水素結合、イオン結合、物理(例えばファンデルワールス力)又は化学吸着、共有結合、又は有機金属相互作用)により結合され、引き付けられ、維持され、又は接着された2以上の分子又は分子の断片、2個の相互陥入分子、又は例えば結合又は構造相互作用による2以上の分子を含む複合体を包含する。
【0024】
プラスミンは、線溶過程を媒介し、そして細胞外マトリックスを調節するセリンプロテアーゼである。プラスミンは、ラミニン及びフィブロネクチンを含むさまざまな糖タンパク質を加水分解する。ラミニン及びフィブロネクチンは、硝子体網膜の界面で存在し、そして硝子体網膜の結合において主要な役割を果たすと考えられている。プラスミンは、基底膜および内境界膜(ILM)の主要構成要素であるIV型コラーゲンを分解することはない(例えば、Gandorferら、Investigative Ophthalmology & Visual Science, Vol. 45, No. 2, 641-47 (2004)を参照のこと)。プラスミンの酵素ドメインを有するプラスミンの酵素的に同等の誘導体は、同じタイプのポリペプチド基質を加水分解できる。その結果、出願人は特定の理論に束縛されることを望まないが、ILM及び網膜に損傷を与えることなく制御されたPVDの誘導を約束すると信じる。その結果、本発明の1の態様では、プラスミン及び/又は酵素的に同等なその誘導体は、硝子体網膜境界面で、ラミニン及びフィブロネクチンを含む選択されたタンパク質を加水分解することにより、制御されたPVDを誘導するために硝子体内に投与することができる。
【0025】
通常の加齢過程のほかに、多くの生理的条件は、未制御PVDを開始し、又は促進することがある。例えば、人生のうちの最初の10年及び次の10年において、網膜炎、非網膜血管障害、及び眼の打撲傷は、一般的に未制御のPVDを開始しうる一般的な状態である。20代の最初は、増殖性の糖尿病網膜症及びその関連する合併症は、未制御のPVDを引き起こすことが知られている。さらに、多くの眼内炎症又はさまざまな病因の感染性疾患は、硝子体の混濁及び/又は液化をもたらし、そして最終的に未制御のPVDをもたらし、網膜裂傷を導く。これらの疾患状態の非制限的な例は、眼のトキソプラズマ症、イヌ回虫症、及び毛様体扁平部炎である。未制御のPVDを示す他の眼の病的状態(例えば、増殖性眼障害)は、それ自体では炎症状態であるとは見えないが、未制御のPVDの位置に隣接する組織において炎症応答を誘発することがある。炎症応答は、血管新生を導き、そうしてこれらの障害の増殖性を導きうる。
【0026】
血管新生及び慢性炎症が、共依存性であることが知られている(例えば、J. R. Jackson et al., The FASEB J., Vol. 11, 457-65 (1997)を参照のこと)。慢性炎症は、組織及び炎症細胞の増殖、移動、及びリクルートに関し、これらは通常組織にかなりの損傷を与えることがある。全ての場合、増殖している組織は、炎症細胞の増加、新生血管、及び炎症メディエーターを含む。組織増殖が血管増殖より早い相対的な低酸素領域が存在し、このことは、さらに毛細管の発達を誘導する。例えば、マクロファージは、低酸素条件下で大量の血管新生因子の放出を誘導する。炎症メディエーターは、直接又は間接的に血管新生を促進することができる。次に、血管新生は、炎症病状に寄与する。新規の血管は、炎症細胞を炎症部位に移動させることにより、そして増殖性の炎症組織に栄養及び酸素を供給することにより、慢性炎症状態を維持することができる。内皮表面積の増加は、サイトカイン、接着分子、及び他野炎症刺激の産生のため莫大な容量を作り出す。
【0027】
多くのタイプの細胞は、血管新生因子を産生することができる。これらのタイプの全ての細胞のうち、炎症性単球/マクロファージのタイプは、怪我及び疾患組織を含む異常環境において血管新生が生じる多くの部位で見ることができる。一般的に、マクロファージは、異なるメカニズムを介して血管新生を誘導することができる。第一に、マクロファージは、因子(例えば、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)、血管内皮細胞成長因子(VEGF)、形質転換成長因子(TGF-α及びTGF-β)、及び血小板由来成長因子(PDGF))を分泌することができ、これらは新たな血管増殖を直接誘導することができるか、又は他の細胞型を間接的に刺激して、さらに又はより高いレベルの血管新生因子を分泌する。マクロファージは、低酸素条件下で活性化されて血管新生を引き起こすことができる。第二に、マクロファージは、結合組織マトリクスを分解し得る因子を分泌することができ、これは内皮細胞生物学において致命的である。こうして、多くの増殖性眼疾患が炎症発生性であるとみなすことが完全に妥当である。
【0028】
例えば、増殖性の糖尿病網膜症は、網膜血管における血液循環の悪化から始まる。これらの血管の細胞が、栄養及び酸素供給の低下のため飢餓状態になるので、これらは損傷を受け、そして死滅し、そして血管が閉鎖される。この過程は、網膜の虚血及び低酸素状態を招き、増殖性糖尿病網膜症(PDR)の発達の第一ステップである。虚血及び低酸素状態は、炎症細胞、例えばマクロファージの障害部位へのリクルートを刺激する事ができ、その後に、組織が恒常性を再び保とうとするので、新たな血管の増殖を刺激することができる。重要なことに、新たな血管は、網膜の表面及び視神経において増殖することが多い。これらの新たな血管はもろく、透過性が高く、そして出血しやすい。これらの血管が増殖するにつれ、血管は、網膜上にトラクションを発生させ、網膜上で引っ張られ、そしてさらに網膜剥離を導く。さらに、これらの新たな血管の増殖を促進する幾つかの因子又は酵素(例えば、網膜の支持組織を分解することにより)は、それらのタンパク質分解作用を介して未制御の病的PVDを開始させる。
【0029】
その結果、未制御の病的PVDと、このような未制御病的PVDをもたらす多くの疾患状態の潜在的な根本原因との間の複雑な関係を認識したので、出願人は、未制御の病的PVDが進行した場合に生じる有害な合併症を予防、停止、又は低減するために、制御されたPVDを誘導又は誘発する組成物及び方法を提供する。出願人は、特定の理論に束縛されることを望まないが、本発明の組成物は、内境界膜から硝子体の制御された分離を生じさせるか又は誘導するプラスミン又は酵素的にその同等物の誘導体(上で開示される)、並びに、少なくとも潜在的な原因を治療、低下、又は改善し、及び/又はこのような制御された分離の必要性を開始する眼の状態の少なくとも誘導を予防、停止、低下、又は改善するための少なくとも1の抗炎症薬を提供する。
【0030】
こうして、1の態様では、本発明の組成物及び方法は、炎症を発生する眼の状態を予防、治療、停止、低下、又は改善するのに有用である。このような条件は、炎症により引き起こされるか、又は当該疾患状態の構成要素として炎症を有している。このような眼の状態として、非限定的に、網膜疾患(例えば、糖尿病網膜症、鎌状赤血球網膜症、未熟児網膜症、黄斑変性症(例えば、早発型黄斑変性症、血管新生黄斑変性症、加齢性黄斑変性症))、虹彩ルベオーシス、炎症性疾患(例えば、ブドウ膜炎、例えば前部ブドウ膜炎、中間部ブドウ膜炎、及び後部ブドウ膜炎、慢性ブドウ膜炎、眼トキソプラズマ症、イヌ回虫症、及び毛様体扁平部炎)、新生物(レチノプラストーマ、シュードグリオーマ)、フックス異色虹彩毛様体炎、血管新生緑内障、角膜血管新生、続発症血管病(網膜虚血、脈絡叢血行不全、脈絡叢血栓症、頚動脈虚血)、脈絡膜新生血管、翼状片、視神経血管新生、眼の浸透のため生じる血管新生、又は打撲性眼傷害及び滲出性網膜症、例えば近視性網膜症、様々な病因から生じる嚢胞様黄斑浮腫、滲出性黄斑変性症、糖尿病性黄斑浮腫、中心静脈閉塞、及び分岐状静脈閉塞が挙げられる。
【0031】
当該少なくとも1の抗炎症医薬の非限定的な例は、コルチコステロイド(例えば、グルココルチコステロイド)、非ステロイド抗炎症薬(NSAID)、及びペルオキシソーム増殖剤活性化受容体-γ(PPARγ)リガンド、それらの組み合わせ、及びそれらの混合物である。
【0032】
グルココルチコイドの非限定的な例は、21-アセトキシプレゲノロン、アルクロメタゾン、アルゲストン、アムシノニド、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、クロロプレドニソン、クロベタゾール、クロベタゾン、クロコルトロン、クロプレドノール、コルチコステロン、コルチゾン、コルチバゾール、デフラザコート、デソニド、デスオキシメタゾン、デキサメサゾン、ジフロラゾン、ジフルコルトロン、ジフルプレドナート、エノキソロン、フルアザコート(Fluazacort)、フルクロロニド(flucloronide)、フルメタゾン、フルニソリド、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルオコルチン・ブチル、フルオコルトロン、フルオロメトロン、フルペロロン酢酸塩、フルプレドニデン酢酸塩、フルプレドニソロン(fluprednisolone)、フルランドレノリド、プロピオン酸フルチカゾン、ホルモコータル、ハルシノニド、プロピオン酸ハロベタソール、ハロメタゾン、酢酸ハロプレドン、ヒドロコルタルナート(hydrocortarnate)、ヒドロコルチゾン、ロテプレドノール・エタボナート、マジプレドン(mazipredone)、メドリゾン、メプレドニゾン、メチルプレドニゾロン、フロ酸モメタゾン、パラメタゾン、プレドニカルベート、プレドニゾロン、25-ジエチルアミノ-酢酸プレドニゾロン、プレドニゾロン・リン酸ナトリウム、プレドニゾン、プレドニバル(prednival)、プレドニリデン、リメキソロン、チキソコルトール、トリアムシノロン、トリアムシノロン・アセトニド、トリアムシノロン・ベネトニド、トリアムシノロン・ヘキサセトニド、その生理的に許容される塩、組み合わせ、及びその混合物である。
【0033】
NSAIDsの非制限的な例は、アミノアリールカルボン酸誘導体(例えば、エンフェナム酸、エトフェナメート、フルフェナム酸、イソニキシン、メクロフェナム酸、メフェナム酸、ニフルミン酸、タルニフルマート、テロフェナマート、トルフェナム酸)、アリール酢酸誘導体(例えば、アセクロフェナク、アセメタシン、アルクロフェナク、アンフェナク、アムトルメチングアシル、プロンフェナク、ブフェキサマク、シンメタシン、クロピラク、ジクロフェナク・ナトリウム、エトドラク、フェルビナク、フェンクロジン酸、フェンチアザク、グルカメタシン、イブフェナク、インドメタシン、イソフェゾラク、イソキセパク、ロナゾラク、メチアジン酸、モフェゾラク、オキサメタシン、ピラゾラク、プログルメタシン、スリンダク、チアラミド、トルメチン、トロペシン(tropesin)、ゾメピラック)、アリール酪酸誘導体(例えば、ブマジゾン(bumadizon)、ブチブフェン、フェンブフェン、キセンブシン)、アリールカルボン酸(例えば、クリダナク、ケトロラック、チノリジン)、アリールプロピオン酸誘導体(例えば、アルミノプロフェン、ベノキサプロフェン、ベルモプロフェン、ブクロキシン酸、カルプロフェン、フェノプロフェン、フルノキサプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、イブプロキサム、インドプロフェン、ケトプロフェン、ロキソプロフェン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピケトプロレン(piketoprolen)、ピルプロフェン、プラノプロフェン、プロチジン酸、スプロフェン、チアプロフェン酸、キシモプロフェン、ザルトプロフェン)、ピラゾール(例えば、ジフェナミゾール、エピリゾール)、ピラゾロン(例えば、アパゾン、ベンズピペリロン(benzpiperylon)、フェプラゾン、モフェブタゾン、モラゾン、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン、ピペブゾン、プロピフェナゾン、ラミフェナゾン、スキシブゾン、チアゾリンブタゾン(thiazolinobutazone))、サリチル酸誘導体(例えば、アセトアミノサロール、アスピリン、ベノリレート(benorylate)、ブロモサリゲニン(bromoサリゲニン)、アセチルサリチル酸カルシウム、ジフルニサル、エテルサラート、フェンドサール、ゲンチシン酸、サリチル酸グリコール、サリチル酸イミダゾール、アセチルサリチル酸リジン、メサラミン、サリチル酸モルホリン、サリチル酸1-ナフチル、オルサラジン、パルサルミド、アセチルサリチル酸フェニル、サリチル酸フェニル、サラセタミド、サリチルアミドo-酢酸、サリチル硫酸、サルサラート、スルファサラジン)、チアジンカルボキサミド(例えば、アンピロキシカム、ドロキシカム、イソキシカム、ロモキシカム(lomoxicam)、ピロキシカム、テノキシカム)、ε-アセトアミドカプロン酸、S-(5'アデノシル)-L-メチオニン、3-アミノ-4-ヒドロキシ酪酸、アミキセトリン、ベンダザック、ベンジダミン、α-ビスボロール、ブコローム、ジフェンピラミド、ジタゾール(ditazol)、エモルファゾン、フェプラジノール、グアイアズレン、ナブメトン、ニメスリド、オキサセプロール、パラニリン(paranyline)、ペリソキサール,プロカゾン、スーパーオキシドジスムターゼ、テニダップ、ジロートン、それらの生理的に許容される塩、その組み合わせ、及び混合物を含む。
【0034】
本発明の別の態様では、抗炎症性薬は、PPARγ結合分子である。1の実施態様では、かかるPPARγ結合分子は、PPARγアゴニストであるPPARγリガンドである。このようなPPARγリガンドは、PPARγに結合し、そして活性化して、そのプロモーター領域において適切なペルオキシソーム増殖因子応答エレメントを含む遺伝子の発現を調節した。
【0035】
PPARγアゴニストは、ヒト・マクロファージにより(C-Y. Jiangら、Nature, Vol. 391,82-86 (1998))及び Tリンパ球(A.E. Giorginiら、Horm. Metab. Res. Vol. 31, 1-4 (1999))により、TNF-α及び他の炎症性サイトカインの産生を抑制することができる。近年、天然PPARγアゴニスト15-デオキシ-Δ-12,14-プロスタグランジンJ2(つまり、15-デオキシΔ-12,14-PG J2)は、ラット角膜において新血管形成及び血管新生(X.Xinら、J. Biol. Chem. Vol. 274:9116-9121 (1999))を抑制することが示された。Spiegelmanらの米国特許第6,242,196号は、PPARγアゴニストを用いることにより、PPARγ応答性の過剰増殖性を抑制する方法を開示する。多くの合成PPARγアゴニスト、並びにPPARγ応答性過剰増殖細胞を診断する方法が、Spiegelmanらにより開示されている。本明細書に言及される全ての文献は援用される。PPARは、罹患細胞と通常細胞との間で異なって発現される。PPARγは、眼の様々な組織、例えば網膜及び角膜の幾つかの層、脈絡毛細管、ブドウ膜管、結膜表皮、及び眼内筋において異なる程度に発現されている(例えば、米国特許第6,316,465号を参照のこと)。
【0036】
一の態様では、本発明の組成物又は方法において使用されるPPARγは、チアゾリジンジオン、その誘導体、又はそのアナログである。チアゾリジンに基づくPPARγアゴニストの非限定的な例は、ピオグリタゾン、トログリタゾン、シグリタゾン、エングリタゾン、ロシグリタゾン、及びそれらの化学的誘導体である。他のPPARγアゴニストは、クロフィブラート(エチル2-(4-クロロフェノキシ)-2-メチルプロピオナート)、クロフィブリン酸(2-(4-クロロフェノキシ)-2-メチルプロパン酸)、GW1929(N-(2-ベンゾイルフェニル)-O-{2-(メチル-2-ピリジニルアミノ)エチル}-L-チロシン)、GW7647(2-{{4-{2-{{(シクロヘキシルアミノ)カルボニル}(4-シクロヘキシルブチル)アミノ}エチル}フェニル}チオ}-2-メチルプロパン酸)、及びWY14643({{4-クロロ-6-{(2,3-ジメチルフェニル)アミノ}-2-ピリミジニル}チオ}酢酸)を含む。GW1929、GW7647、及びWY14643は、例えば、Koma Biotechnology. Inc.(Seoulk Korea)から市販されている。1の実施態様では、PPARγアゴニストは、15-デオキシΔ-12,14-PG J2である。
【0037】
別の態様では、本発明の組成物又は方法に適している抗炎症医薬は、硝子体内で低い溶解度しか有さない。「低い溶解度」は、25℃で50mg/100ml(好ましくは、約30mg/100ml未満;より好ましくは、約20mg/100ml;又はさらにより好ましくは、約10mg/100ml未満)を意味する。
【0038】
1の実施態様では、抗炎症薬は、約10μm〜約600μmの範囲の大きさを有する固体粒子の形態である。あるいは、粒子サイズは、約50μm〜約400μmの範囲である(又は約50μm〜約200μm)。これらの範囲のサイズを有する粒子は、不活性研磨媒質(例えばジルコニア又はアルミナ)の助けを借りて、不活性媒体中で大きな粒子をウェットミルすることにより調製することができる。或いは、これらの粒子は、飽和又は懸濁溶液から再結晶されてもよい。そして粒子集合は、所望される分画を得るために分類することができる。別の実施態様では、飽和溶液を噴霧化し、そして急激に乾燥させて、マイクロメーターサイズの粒子を生成してもよい。
【0039】
本発明の1の態様では、マイクロメーターサイズの粒子は、プラスミン又は酵素的に同等なその誘導体と硝子体内に共投与される。粒子は、後部硝子体においてコラーゲン原線維に位置し、そしてこれらの原線維に付着することができる。これらの付着された粒子は、原線維の移動について不活発性を提供し、そして内境界膜からの物理的分離を促進することができ、そうしてプラスミン又は酵素的に同等なその誘導体のタンパク質分解作用により誘導される制御されたPVDを促進する。
【0040】
プラスミン及び/又は酵素的に同等な誘導体を得るか又は製造する方法が以下に開示される。
【0041】
プラスミンは、血漿から得ることができるプラスミノーゲン前駆体を活性化することにより製造できる。例えば、高純度プラスミンの製造方法は、米国特許出願第2004/0171103 A1号に開示されている。当該文献は、本明細書にその全てが援用される。開始物質であるプラスミノーゲンは、D.G. Deutsch 及び E.T. Mertzの「Plasminogen: purification from human plasma by affinity chromatography」 Science 170(962): 1095-6 (1970)に記載されるように、LysSEPHAROSE(登録商標)上でアフィニティークロマトグラフィーをすることにより、Cohn FractionII+IIIペーストから抽出することができる(SEPHAROSE(登録商標)は、Pharmacia, Inc., New Jersey.の商標名である)。
【0042】
Cohn Fraction II+IIIペーストからプラスミノーゲンを抽出した後に、脂質及びタンパク質不純物、及び感染性海綿状脳症(TSE)汚染物は、約1〜約10%重量/体積の範囲のポリエチレン・グリコール(PEG)を添加し、又は約80〜約120g/lの硫酸アンモニウムを添加して沈殿させることにより低減される。PEG又は硫酸アンモニウム沈殿物は、深層ろ過により取り除き、そして得られた溶液をリジンアフィニティーレジンカラムに入れた。「リジンアフィニティーレジン」とは、リジン若しくはその誘導体又はε-アミノカプロン酸をリガンドとして含むアフィニティーレジンについて一般的に使用される。約1〜4の低pHを有する溶液でカラムを溶出することができる。
【0043】
アフィニティーカラムから溶出後に得られたタンパク質は、一般的に少なくとも80%のプラスミノーゲンである。精製済みのプラスミノーゲンを、グリシン及びリジン、又はω-アミノ酸などの単純な緩衝液の存在下で低pHにて貯蔵した。
【0044】
次に、プラスミノーゲン活性化因子を添加することにより、溶液中のプラスミノーゲンをプラスミンへと活性化させる。プラスミノーゲンの活性化は、非限定的に、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、組織プラスミノーゲン・アクチベーター(tPA)、又はレジン上に固定されたウロキナーゼの使用、及びレジン上に固定されたストレプトキナーゼの使用を含む多くの方法で達成することができる。1の実施態様では、プラスミノーゲン活性化因子は、可溶性のストレプトキナーゼである。安定剤又は賦形剤、例えばグリセロール、ωアミノ酸、例えばリジン、ポリリジン、アルギニン、イプシロンアミノカプロン酸、及びトラネキサム酸、及び塩などの添加は、プラスミンの収量を増加させることができる。
【0045】
プラスミンは、リガンドとしてベンズアミジンを有するレジン上でアフィニティークロマトグラフィーを行なうことにより、不活性化プラスミノーゲンから精製することができ、そして好ましくは、低pH溶液(例えば、pH<4、又は約2.5〜約4のpH)で溶出される。このステップは、実質的に全ての劣化プラスミン、並びにストレプトキナーゼの大部分を除くことができる。
【0046】
残存するストレプトキナーゼを取り除く洗練ステップとして、低pHでの疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)が行なわれる(例えば、pH<4)。HICステップの後に、プラスミンを、限外ろ過及び膜分離、及び0.22μmろ過により滅菌タンパク質溶液として剤形する。
【0047】
このような洗練ステップからえた溶出プラスミンは、低pH(例えばpH<4)で、低緩衝キャパシティー剤で緩衝化することができる。低pH低緩衝キャパシティー剤は、一般的に、アミノ酸、少なくとも1のアミノ酸の誘導体、オリゴペプチドであって、少なくとも1のアミノ酸又はそれらの組み合わせを含むオリゴペプチドを含む。さらに、低pH、低緩衝キャパシティー剤は、酢酸、クエン酸、塩酸、カルボン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、安息香酸、セリン、スレオニン、メチオニン、グルタミン、アラニン、グリシン、イソロイシン、バリン、アラニン、アスパラギン酸、誘導体、及びそれらの組み合わせ、並びにその混合物から選択される緩衝液を含むことができる。緩衝溶液中のプラスミンの濃度は、全溶液の約0.01mg/ml〜約50mg/mlの範囲であってもよい。緩衝剤の濃度は、約1nM〜約50mMの範囲であってもよい。もちろん、これらの範囲は、選択された緩衝液に依存して、又は添加剤又は安定剤などの他の成分に依存して、広げてもよいし狭めてもよい。添加された緩衝液の量は、一般的にpH約2.5〜4、又は約3〜約3.5の間で酸性化プラスミンを可逆的に不活性化する量である。
【0048】
上に開示されるように得られた可逆的に不活性化された酸性プラスミン溶液に安定剤又は増量剤を加えることは利点がある。このような安定剤又は増量剤の非限定的な例は、多価アルコール、医薬として許容される炭水化物、塩、グルコサミン、チアミン、ナイアシンアミド、及びその組み合わせ及びその混合物である。安定化塩は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、及びその組み合わせ及びその混合物からなる群から選ぶことができる。糖又は糖アルコール、例えばグルコース、マルトース、マンニトール、ソルビトール、スクロース、ラクトース、トレハロース、及びそれらの組み合わせ及びそれらの混合物などが加えられてもよい。使用されうる他の炭水化物は、多糖、例えば、デキストリン、デキストラン、グリコーゲン、デンプン、カルボキシメチルセルロース、その誘導体、及びその組み合わせ、及びその混合物である。増量するために可逆的に不活性な酸性プラスミン溶液に加えられる炭水化物の濃度は、約0.2%重量/体積(%w/v)〜約20%w/vである。塩、グルコサミン、チアミン、ナイアシンアミド、及びそれらの組み合わせ、及び混合物についての濃度は、約0.001〜約1Mの範囲である。
【0049】
炭水化物などの増量剤を含む不活性酸性化プラスミン組成物は、場合により、例えば約0℃〜約-50℃で、又は好ましくは約0℃〜約20℃の範囲の温度で凍結乾燥されて、長期間貯蔵用の粉末を生成する。
【0050】
別の態様では、プラスミン又はそのバリアントは、組換え技術により製造することができる。例えば、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)酵母システム中の組換えマイクロプラスミノーゲン(上で開示されたプラスミノーゲン・アクチベーターのうちの1つを用いてArg561-Val562のペプチド結合を切断することにより、マイクロプラスミンへと活性化することができる)の製造は、米国特許出願2004/007167 A1号に開示され、当該文献は、本明細書に援用される。ピキア・パストリス(Pichia pastoris)酵母システムにおけるプラスミノーゲン及びミニプラスミノーゲン(これらは、上で開示されたプラスミノーゲン・活性化因子のうちの1を使用し得、Arg561-Val562でペプチド結合を切断することにより、ミニプラスミンに活性化することができる)は、米国特許出願公開2005/0124036A1号に開示され、当該文献は本明細書に援用される。
【0051】
組換えプラスミン又はそのバリアントは、約5未満(又は、約4又は約2.5〜3.5)のpHで酸性化され、そして貯蔵される。こうして製造された酸性化プラスミン又はそのバリアントは、さらに長期間貯蔵用に凍結乾燥することができる。
【0052】
1の態様では、血漿から産生されるか、又は組換え技術により産生される酸性化プラスミン又はそのバリアントは、ほぼ中性のpHを有する製剤に酵素を加えることにより再構成して、酵素を使用する直前に剤形された酵素をもたらすことができる。
【0053】
本発明の組成物中のプラスミン又はその酵素的に同等な誘導体の各々の濃度は、約10-4〜約5、又は10-3〜約5、又は10-2〜約5、約10-2〜約2、又は約10-2〜約1重量%の範囲でありうる。
【0054】
抗炎症医薬の濃度は、約0.01〜約1000mg/ml(又は、約0.1〜約500mg/ml、約1〜約300mg/ml、又は約1〜約250mg/ml)の範囲でありうる。
【0055】
1の実施態様では、本発明の組成物は、懸濁液又は分散液の形態である。別の実施態様では、懸濁液又は分散液は、水溶液に基づいている。例えば、本発明の組成物は、滅菌生理食塩水を含むことがある。さらに別の実施態様では、低溶解性抗炎症医薬のマイクロメーターサイズの粒子は、生理的に許容される界面活性剤(非限定的な例は、以下に開示される)で被膜され、次に当該被膜粒子は水性溶媒に分散される。被膜は、懸濁状態に粒子を維持することができる。
【0056】
さらなる態様では、本発明の組成物は、存在する場合、プラスミン又はその酵素的に同等な誘導体を安定化する機能を有する化合物をさらに含む。このような化合物は、以後、「安定剤」と呼ぶ。安定剤は、溶液が中性付近のpH(例えば、約6.5〜約8.5)を有する場合、溶液中においてプラスミン又はその誘導体を自然分解する割合を緩める能力を有する。安定剤の濃度は、約0.001〜約5重量%(或いは、約0.01〜4、又は約0.01〜約2、又は約0.01〜約1重量%)の範囲でありうる。安定剤は、トラネキサム酸、ε-アミノカプロン酸、L-リジン、L-リジンのアナログ、L-アルギニン、L-オルチニン、γ-アミノ酪酸、グリシルグリシン、ゲラチン、ヒト結成アルブミン(HSA)、グリセリン、それらの組み合わせ、及びそれらの混合物からなる群から選ぶことができる。L-リジンの非限定的なアナログとして、L-2-アミノ-3-グアニジノプロピオン酸、L-シトルリン、D-シトルリン、2,6-ジアミノヘプタン酸、ε,ε-ジメチル-L-リジン、α-メチル-DL-オルチニン、δ-ベンジルオキシカルボニル-L-オルニチン、(N-d-4-メチルトリチル)-L-オルニチン、N-δ-1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキサ-1-イリデン)エチル)-D-オルニチン、p-アミノメチル安息香酸、及び2-アミノエチルシステインからなる群から選ぶことができる。
【0057】
別の態様では、本発明の組成物は、さらに、非イオン性界面活性剤、例えばポリソルベート(例えば、ポリソルベート80(ポリオキシエチレン・ソルビタン・モノオレエート)、ポリソルベート60(ポリオキシエチレン・ソルビタン・モノステアレート)、ポリソルベート20(ポリオキシエチレン・ソルビタン・モノラウレート)、一般的に商標名Tween(登録商標)80、Tween(登録商標)60、Tween(登録商標)20で知られているポリソルベート)、ポロキサマー(エチレンオキシド及びプロピレンオキシド、例えばその商標名Pluronic(登録商標)で知られているポロキサマー、例えばPluronic(登録商標)F127又はPluronic(登録商標)F108)、又はポロキサミン(エチレンジアミンに結合されたエチレンオキシド及びプロピレンオキシドの合成ブロックポリマー、例えば商標名Tetronic(登録商標)で知られているポロキサミン、例えばTetronic(登録商標)1508又はTetronic(登録商標)908など、他の非イオン性界面活性剤、例えばBrij(登録商標)、Myrj(登録商標)、及び約12以上の炭素原子を有する炭素鎖(例えば、約12〜約24の炭素原子)の長鎖脂肪アルコール(つまり、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、ミリスチル・アルコール、ドコソヘキサノイル・アルコールなど)をさらに含むことができる。このような化合物は、Martindale、第34版、pp1411-1416 (Martindale、「The Complete Drug Reference」S. C. Sweetman (Ed.), Pharmaceutical Press, London, 2005)及び Remington、「The Science and Practice of Pharmacy」第21版、pp 291、及び22章、Lippincott Williams & Wilkins, New York, 2006) に記載される。これらの章の内容は本明細書に援用される。本発明の組成物中の非イオン性界面活性剤の濃度は、存在する場合、約0.001〜約5重量%(或いは、約0.01〜約4、又は約0.01〜約2、又は約0.01〜約1重量%)の範囲である。
【0058】
さらに、本発明の組成物は、添加物、例えば緩衝液、希釈液、担体、アジュバント、又は賦形剤を含むことができる。眼への適用に適した任意の医薬として許容される緩衝液が使用されてもよい。他の薬剤は、様々な目的のために組成物中で使用されてもよい。例えば、緩衝剤、保存剤、共溶媒、オイル、保湿剤、皮膚軟化剤、安定剤、又は抗酸化剤が使用されてもよい。使用されうる水溶性保存剤は、亜硫酸水素ナトリウム、重硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、チメロサール、エチルアルコール、メチルパラベン、ポリビニルアルコール、ベンジルアルコール及びフェニルエチルアルコールが挙げられる。これらの薬剤は、別個に約0.001〜約5重量%(好ましくは、約0.01%〜約2重量%)の量で存在してもよい。使用されうる適切な水溶性緩衝剤は、所望される投与経路について米国FDAにより承認された炭酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどである。これらの薬剤は、当該システムのpHを約2〜約11に維持するために十分な量で存在し得る。このようなものとして、緩衝剤は、組成物の総重量に基づいて、最大で約5重量%でありうる。電解質、例えば非限定的に、塩化ナトリウム、塩化カリウムは、製剤中に含まれてもよい。
【0059】
1の態様では、当該組成物のpHは、約6.5〜約11の範囲である。或いは、組成物のpHは、約6.5〜約9の範囲であり、約6.5〜約8の範囲である。別の態様では、組成物は、当該pH範囲のうちの1のpHを有する緩衝液を含む。
【0060】
別の態様では、当該組成物は、約7のpHを有する。或いは、当該組成物は、約7〜約7.5の範囲のpHを有する。
【0061】
さらに別の態様では、組成物は、約7.4のpHを有する。
【0062】
さらに別の態様では、本組成物は、リン酸緩衝液又はTris-HCl緩衝液(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン及びHClを含む)を含む。例えば、pH7.4を有するTris-HCl緩衝液は、3g/lのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン及び0.76g/lのHClを含む。さらに別の態様では、緩衝液は、10×リン酸緩衝生理食塩水(PBS)又は5×PBS溶液である。
【0063】
幾つかの状況では他の緩衝剤、例えば、25℃で7.5のpKaを有し、そして約6.8〜8.2の範囲のpHを有するHEPES(N-{2-ヒドロキシエチル}ピペラジン-N'-{2-エタンスルホン酸})、25℃で7.1のpKaを有し、そして約6.4〜7.8の範囲のpHを有するBES(N,N-ビス{2-ヒドロキシエチル}2-アミノエタンスルホン酸);25℃で7.2のpKaを有し、そして約6.5〜7.9の範囲のpHを有するMOPS(3-{N-モルホリノ}プロパンスルホン酸);25℃で7.4のpKaを有し、そして6.8〜8.2の範囲のpHを有するTES(N-トリス{ヒドロキシメチル}-メチル-2-アミノエタンスルホン酸);25℃で7.6のpKaを有し、そして約6.9〜8.3の範囲のpHを有するMOBS(4-{N-モルホリノ}ブタンスルホン酸);25℃で7.52のpKaを有し、そして約7〜9.2の範囲のpHを有するDIPSO(3-(N,N-ビス{2-ヒドロキシエチル}アミノ)-2-ヒドロキシプロパン));25℃で7.61のpKaを有し、そして約7〜8.2の範囲のpHを有するTAPSO(2-ヒドロキシ-3{トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ}-1-プロパンスルホン酸));25℃で8.4のpKaを有し、そして約7.7〜9.1の範囲のpHを有するTAPS({(2-ヒドロキシ-1,1-ビス(ヒドロキシメチル)エチル)アミノ}-1-プロパンスルホン酸));25℃で8.9のpKaを有し、そして約8.2〜9.6の範囲のpHを有するTABS(N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-4-アミノブタンスルホン酸);25℃で9.0のpKaを有し、そして約8.3〜9.7の範囲のpHを有するAMPSO(N-(1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル)-3-アミノ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸));25℃で9.5のpKaを有し、そして約8.6〜10.0の範囲のpHを有するCHES(2-シクロヘキシルアミノ)エタンスルホン酸);25℃で9.6のpKaを有し、そして約8.9〜10.3の範囲のpHを有するCAPSO(3-(シクロヘキシルアミノ)-2-ヒドロキシ-1-プロパンスルホン酸);25℃で10.4のpKaを有し、そして約9.7〜11.1の範囲のpHを有するCAPS(3-(シクロヘキシルアミノ)-1-プロパンスルホン酸)などに基づく緩衝液も適切であるか又は望ましいことが発見されることがある。
【0064】
別の態様では、本発明は、制御されたPVDを誘導するのに使用するための組成物を製造する方法であって、プラスミン又は酵素的同等物を少なくとも1の抗炎症医薬に添加することを含む、前記方法を提供する。1の実施態様では、当該方法はさらに、当該組成物の成分を一緒に混合することをさらに含む。別の実施態様では、上記少なくとも1の抗炎症医薬は、コルチコステロイド、NSAID、又はPPARγアゴニストである。さらに別の実施態様では、混合は、約6.5〜約8.5の範囲のpHを有する緩衝液を含む溶媒中で行なわれる。さらに別の実施態様では、当該少なくとも抗炎症医薬は、約10μm〜約600μmの大きさを有する固体粒子の形態である。さらに別の実施態様では、当該少なくとも抗炎症医薬は、トリアムシノロン・アセトニドである。
【0065】
別の態様では、制御されたPVD誘導するのに使用するための医薬を製造する方法であって、当該方法が、(a)プラスミン又は酵素的に同等なその誘導体を約5未満のpHに貯蔵し;そして(b)当該貯蔵されたプラスミン又は酵素的に同等なその誘導体を、少なくとも1の抗炎症医薬を含む製剤に加えることを含む、前記方法を提供する。
【0066】
本方法のさらなる態様では、当該少なくとも1の抗炎症医薬が、グルココルチコステロイド、NSAID、及びPPARγリガンド、それらの組み合わせ、及びそれらの混合物からなる群から選ばれる。1の実施態様では、当該抗炎症医薬は、硝子体内で低い溶解性を有し、そして約10μm〜約600μm(或いは、約10μm〜約400μm、又は約50μm〜約400μm、又は約50μm〜約200μm)の範囲のマイクロメーターサイズの粒子の形態である。
【0067】
1の実施態様では、当該製剤はさらに、約6.5〜約11(又は約6.5〜約9、又は約6.5〜約8)の範囲のpHを有する緩衝液を含む。
【0068】
別の態様では、本製剤は、さらに、トラネキサム酸、ε-アミノカプロン酸、L-リジン、L-リジンのアナログ、L-アルギニン、L-オルニチン、γ-アミノ酪酸、グリシルグリシン、ゼラチン、HSA、グリセリン、これらの組み合わせ、及びこれらの混合物からなる群から選ばれる安定化薬剤をさらに含む。L-リジンアナログの非制限的例として、L-2-アミノ-3-グアニジノプロピオン酸、L-シトルリン、D-シトルリン、2,6-ジアミノヘプタン酸、ε,ε-ジメチル-L-リジン、α-メチル-DL-オルニチン、δ-ベンジルオキシカルボニル-L-オルチニン、(N-d-4-メチルトリチル)-L-オルチニン、N-δ-1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキサ-1-イリデン)エチル)-D-オルニチン、p-アミノメチル安息香酸、及び2-アミノエチルシステインからなる群から選ばれる安定剤をさらに含む。
【0069】
別の実施態様では、当該製剤は、さらに、非イオン性界面活性剤をさらに含む。適切な非イオン界面活性剤の非制限的な例が、上に開示されている。
【0070】
別の態様では、当該プラスミン又は酵素的に同等なその誘導体を貯蔵するステップは、約4.5未満のpHで行なわれる。あるいは、当該pHは、4未満であるか、約2.5〜約4.5、又は約2.5〜約4、又は約3〜約4の範囲である。
【0071】
さらに別の態様では、本発明は、製造後に長期間貯蔵した後に、活性プラスミン又は酵素的に同等なその誘導体を含む組成物であって、治療を必要とする患者において制御されたPVDを誘導するのに使用するための組成物の製造において有用である。
【0072】
さらに別の態様では、本発明の組成物は、このような制御されたPVDの必要性を開始する眼の状態の少なくとも1の効果又は合併症を予防、停止、軽減、又は改善するために、制御されたPVDを誘導することができる。
【0073】
さらなる態様では、本発明の組成物は、このような制御されたPVDの必要性を開始させる眼の状態の少なくとも1の潜在的な原因の治療、停止、軽減、又は改善をもたらすことができる。
【0074】
さらに別の態様では、本発明は、制御されたPVDを誘導するのに使用するための組成物を製造するためのキットを提供する。組成物は、プラスミン又は酵素的に同等なその誘導体、及び少なくとも1の抗炎症薬を含む。当該キットは、(a)約5未満のpHで貯蔵されたプラスミン又は酵素的に同等なその誘導体、及び(b)当該少なくとも1の抗炎症医薬を含む製剤であって、別々の容器又はパッケージに提供される前記製剤を含む。1の実施態様では、当該少なくとも1の抗炎症薬は、上で開示された抗炎症薬の群から選ばれる。別の実施態様では、当該製剤は、約10μm〜約600μmの範囲の大きさを有する固体粒子の形態の少なくとも1の抗炎症薬であって、当該固体粒子が液体溶媒中に分散されている抗炎症薬を含む。
【0075】
さらに別の実施態様では、当該製剤はさらに、トラネキサム酸、ε-アミノカプロン酸、L-リジン、L-リジンのアナログ、L-アルギニン、L-オルニチン、γ-アミノ酪酸、グリシルグリシン、ゼラチン、HSA、グリセリン、それらの組み合わせ、及びそれらの混合物からなる群から選ばれる安定剤を含む。L-リジンのアナログの非制限的な例として、L-2-アミノ-3-グアニジノプロピオン酸、L-シトルリン、D-シトルリン、2,6-ジアミノヘプタン酸、ε,ε-ジメチル-L-リジン、α-メチル-DL-オルニチン、δ-ベンジルオキシカルボニル-L-オルニチン、(N-d-4-メチルトリチル)-L-オルニチン、N-δ-1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキサ-1-イリデン)エチル)-D-オルニチン、p-アミノメチル安息香酸、及び2-アミノエチルシステインが挙げられる。
【0076】
さらに別の態様では、本発明は、患者の眼において制御されたPVDを誘導する方法であって、当該方法が(a)プラスミン又は酵素的に同等なその誘導体、及び少なくとも1の抗炎症薬を含む組成物を提供し、そして(b)当該組成物を眼の硝子体液に投与し、それにより当該制御されたPVDを当該眼に誘導するを含む、前記方法を提供する。1の実施態様では、当該少なくとも1の抗炎症医薬は、以下の:グルココルチコステロイド、NSAID、及びPPARγリガンド、それらの組み合わせ、そしてそれらの混合物からなる群から選ばれる。1の実施態様では、当該抗炎症医薬は、硝子体において低い溶解性しか有さず、そして約10μm〜約600μmの範囲のマイクロメーターサイズの粒子の形態である。別の実施態様では、当該組成物は、懸濁液又は分散液の形態である。
【0077】
1の実施態様では、組成物は、約3〜約11(或いは、約3〜約9、又は約3〜約8)の範囲のpHを有する緩衝液をさらに含む。
【0078】
別の実施態様では、当該組成物は、トラネキサム酸、ε-アミノカプロン酸、L-リジン、L-リジンアナログ、L-アルギニン、L-オルニチン、γ-アミノ酪酸、グリシルグリシン、ゼラチン、HSA、グリセリン、それらの組み合わせ、及びそれらの混合物をさらに含む。L-リジンの非制限的な例として、L-2-アミノ-3-グアニジノプロピオン酸、L-シトルリン、D-シトルリン、2,6-ジアミノヘプタン酸、ε,ε-ジメチル-L-リジン、α-メチル-DL-オルニチン、δ-ベンジルオキシカルボニル-L-オルニチン、(N-d-4-メチルトリチル)-L-オルニチン、N-δ-1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキサ-1-イリデン)エチル)-D-オルニチン、p-アミノメチル安息香酸、及び2-アミノエチルシステインからなる群から選ばれる化合物をさらに含む。
【0079】
上で開示される様々な物質又は化合物の非制限的な量又は濃度は、本明細書に開示される本発明の様々な方法に適用できる。
【0080】
さらなる態様では、当該組成物を提供するステップは、(i)約5未満のpHで貯蔵されたプラスミン又は酵素的に同等なその誘導体を準備し;(ii)少なくとも1の抗炎症薬を準備し;そして(iii)上記プラスミン又は酵素的に同等なその誘導体、及び上記少なくとも1の抗炎症薬から上記組成物を製造する、を含む。
【0081】
さらに別の態様では、患者は、病的PVDを開始する1以上の症状を有する患者であり、そして当該方法が、制御されたPVDを誘導する。このような制御されたPVDは、病的未制御のPVDを継続させた場合に生じうる網膜の損傷を停止又は予防することができる。
【0082】
別の実施態様では、当該組成物は、治療有効量のプラスミン又は酵素的に同等なその誘導体を含む量で投与されて、当該制御されたPVDを誘導する。
【0083】
制御されたPVDのためにプラスミン又はその誘導体を眼に注射する方法は、本明細書に記載されている。
【0084】
プラスミン又は酵素的に同等なその誘導体、及び少なくとも1の抗炎症薬を含む組成物は、細いゲージ、例えば25〜30ゲージの針を用いて、例えば毛様体の扁平部を通して硝子体内注射して、制御されたPVDを誘導することができる。このような組成物の投与は、潜在的に眼を見えなくする目の状態の合併症、例えば、糖尿病盲目症、網膜剥離、黄班浮腫、黄班円孔、及び網膜裂傷などを、予防、治療、又は改善するために使用することができる。一般的に、50μlの製剤あたり約1〜5IUのプラスミン又はその誘導体を含む約25μl〜約200μlの量の組成物は、硝子体内に投与される。あるいは、組成物は、約0.001〜50mg/ml(又は約0.2〜20mg/ml、又は約0.2〜10mg/ml、又は約0.5〜8mg/ml)のプラスミン又はその誘導体を含むことができる。プラスミン又はその誘導体の投与は、治療結果の評価について完全な効果を達成するために繰り返すことができ、そして医療技術者により推薦される。
【0085】
表1〜16は、本発明の組成物の非限定的な例を示し、これは、上で開示された本発明の方法の実施において使用することができる。
【0086】
【表1】

【0087】
【表2】

【0088】
【表3】

【0089】
【表4】

【0090】
【表5】

【0091】
【表6】

【0092】
【表7】

【0093】
【表8】

【0094】
【表9】

【0095】
【表10】

【0096】
【表11】

【0097】
【表12】

【0098】
【表13】

【0099】
【表14】

【0100】
【表15】

【0101】
【表16】

【0102】
PVDについての本発明の組成物の効力の実験
このex vivo研究の目的は、走査電子顕微鏡を用いて、Dutch Belted RabbitsのPVDについて、200μgのヒト由来プラスミン(Bausch & Lomb Incorporatedの化合物名"BOL- 303209-X")単独とトリアミシノロン・アセトニド(「TA」、グルココルチコイド抗炎症医薬)との組み合わせの効力を比較した。本研究は、PVDの明確な同定のための臨床観察を高めるために、潜在的な炎症応答を最小化するために、そして改善された効力が、BOL-303209-XとTAの組み合わせた使用により達成することができるかを評価するために、TAの硝子体内注射を使用するように設計された。
【0103】
実験デザイン
6匹のDutch Belted Rabbits(雄雌の両方)から得た12個の通常の眼を用いた。6匹のウサギから得た右目に、BOL-303209+ビヒクル(群1、n=6眼)を注射し、そして左眼に、BOL-303209+TA(群2、n=3、2mgのTA/眼;群3、n=3、4mgのTA/眼)を注射した。BOL-303209-Xを新たに調製し、そして使用するまで氷上に置いた。
【0104】
手術の日に、ウサギを麻酔し、眼を消毒し、そして注射前15〜20分に瞳孔を拡大させた。各ウサギは、2つの静脈内注射を受けた。群1、2、及び3では、1つの眼あたり、200μgの用量のBOL-303209-Xを含む5mMのε-アミノカプロン酸(EACA)/0.05%Tween80/0.9%生理食塩水の製剤(50μl)を、最初に右目及び左眼の両方に硝子体内に注射した。群1(対照)では、最初の注射の5分後に、右目に50μlの製剤ビヒクル(0.05%Tween80/0.05%ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)/0.9%生理食塩水)を注射した。群2及び3では、2mg(群2)又は4mg(群3)の用量でTAを含む製剤を、同様に左眼に注射した。右眼の下側頭四分円(inferior temporal quadrant)における縁及び左眼の下側鼻四分円(inferior nasal quadrant)の縁の約3〜4mm後部に、手術顕微鏡の下、30ゲージの針を用いて注射を行った。試験物質を硝子体の下側中央(mid inferior vitreous)にデリバリーした。
【0105】
ベースラインドキュメンテーション(baseline documentation)の注射の四日前にVolkレンズで支援されたスリットランプ生体顕微鏡を用いて試験した。BOL-303209-Xの効力を評価するために、全ての眼を直接、硝子体網膜における生じうる変化について注射後の五分間、外科顕微鏡下で直接観察した。注射された眼を、注射後7〜14日間追跡した。スリットランプ試験のあいだに、PVDの徴候について硝子体網膜境界に対して、そして毒性の徴候について網膜に対して特に注意を払った。
【0106】
注射後14日目に当該研究の生存フェーズを終え、ウサギを、ペントバルビタールの大量投与により安楽死させ、眼を摘出し、そして少なくとも24時間Karnovsky溶液中で固定した。固定された眼をさらにSEMで処理した。各眼の後極(posterior pole)を試験した。各標本の100〜2500倍の範囲の倍率での顕微鏡写真は、後極硝子体内剥離の程度を評価するために試験された。残存する硝子体の量を、0〜4のスケールで記録し、4は、標準プロトコルに従って内部網膜からの硝子体の完全な剥離を示す。
【0107】
【表17】

【0108】
サンプル調製
摘出後、外側の筋肉、脂肪、及び結合組織を切り取り、そして剃刀の刃を用いて縁の後方約3mmを切って、固定液の浸透を促した。2%ホルムアルデヒド(パラホルムアルデヒド由来)、2.5%グルタルアルデヒドを含み、0.1Mスクロース及び0.5mM・CaCl2が添加された0.1リン酸緩衝液、pH7.2からなる氷冷固定液中に眼をいれた。各眼を約40mlの固定液中に浸漬した。1時間後、固定液を新たな固定液と交換し、そして眼をB&Lに移し、そして固定液中で冷蔵した。
【0109】
SEM処理
強膜、脈絡膜、視神経を伴う網膜を含んだ組織標本(約1cmの標本)を、各眼から外科的に取り出した。これらを、希釈あたり30分間で段階的エタノール系列(30%、50%、70%、85%、95%、100%)を通して脱水した。脱水されたサンプルを臨界点まで乾燥させ(Samdri-PVT-3B、Tousimis、Rockville、MD)、そしてコロイドグラファイトで、アルミニウムSEM パックにマウントした(Ted Pella, Inc, Redding, CA)。マウントされたサンプルを15nm金/パラジウムでスパッタ被膜した(Hummer X、Anatech LTD、Alexandria、VA)。標本を、走査電子顕微鏡で画像を取得した(Model Quanta 400、FEI、Hillsboro、OR)。
【0110】
SEM評価
各標本の顕微鏡写真を観察し、そして残存する硝子体の存在について評価した。12の視野について写真をとった。3枚は視神経の上についてであり、次の3枚は視神経と隣接する鼻及び側頭髄放射(nasal and temporal medullary rays)、次の3枚は視神経の下側であり、そして次の3枚はさらにその下である。下側の視野の各々は、以下の評価システム(表II)に従って一人の実験者により評価され、そして平均が計算される。グレード3超のスコアを有する各の眼の数を決定した。グレード3又はそれ以上のスコアを有する眼の最も高い割合を有する群が、最良の製剤と考えられる。
【0111】
【表18】

【0112】
データ分析
各群の平均スコア及び標準偏差が測定される。最も高い平均スコアを有する群が、最も有効な製剤であると考えられた。
【0113】
結果
1つの眼あたり200μgの用量のBOL-303209-Xの50μlを1回目の注射で処理し、そして2回目50μlの製剤ビヒクル(0.05%Tween80/0.05%HPMC/0.9%生理食塩水)を2回目の注射で処理した対照の眼(n=6)についての平均スコアは2.6であった(表III)。1つの眼あたり200μgの用量のBOL-303209-Xの50μlを1回目の注射で処理し、そして1つの眼あたり2mgの用量のTAの50μlを2回目の注射で処理した眼(n=3)についての平均スコアは3.3であった(表IV)。1つの眼あたり200μgの用量のBOL-303209-X、50μlを1回目の注射で処理し、そして1つの目あたり4mgの用量のTAの50μlを2回目の注射で処理した眼(n=3)についての平均スコアは3.3であった(表4)。1つの眼あたり200μgの用量でBOL-303202-Xの50μlを一回目の注射で処理し、そして1つの眼あたり2又は4mgの用量のいずれかのTA、50μlを2回目の注射で処理した眼(n=6)についての平均スコアも3.3であった(表4)。この結果により、2mgと4mgのTA用量は同等の効果を有するということが示唆された。
【0114】
【表19】

【0115】
【表20】

【0116】
結論
走査電子顕微鏡を用いた後部極の試験に基づく結果により、BOL-303209-X単独で処理された眼と比較して、ヒト血漿由来プラスミン(BOL-303209-X)及び2mg又は4mgのトリアムシノロン・アセトニドの組み合わせでの処理された眼において後部硝子体剥離の程度が大きいことが示唆される。
【0117】
本発明の具体的な実施態様が、上に記載されてきた一方、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の本質及び範囲から逸脱することなく、多くの同等物、変更、置換、及びバリエーションがなされうるということが当業者に認められよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)プラスミン又は酵素的に同等なその誘導体;及び(b)少なくとも1の抗炎症薬を含む組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1の抗炎症薬が、コルチコステロイド、 非ステロイド抗炎症薬(NSAID)、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体γ(PPARγ)リガンド、それらの組み合わせ、及びそれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1の抗炎症薬が、約10μm〜約600μmの範囲のサイズを有する固体粒子の形態である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1の抗炎症薬が、約50μm〜約400μmの範囲のサイズを有する固体粒子の形態である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1の抗炎症薬が、21-アセトキシプレゲノロン、アルクロメタゾン、アルゲストン、アムシノニド、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、クロロプレドニソン、クロベタゾール、クロベタゾン、クロコルトロン、クロプレドノール、コルチコステロン、コルチゾン、コルチバゾール、デフラザコート、デソニド、デスオキシメタゾン、デキサメサゾン、ジフロラゾン、ジフルコルトロン、ジフルプレドナート、エノキソロン、フルアザコート、フルクロロニド、フルメタゾン、フルニソリド、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルオコルチン・ブチル、フルオコルトロン、フルオロメトロン、酢酸フルペロロン、酢酸フルプレドニデン、フルプレドニソロン、フルランドレノリド、プロピオン酸フルチカゾン、ホルモコータル、ハルシノニド、プロピオン酸ハロベタソール、ハロメタゾン、酢酸ハロプレドン、ヒドロコルタルナート、ヒドロコルチゾン、ロテプレドノール・エタボナート、マジプレドン、メドリゾン、メプレドニゾン、メチルプレドニゾロン、フロ酸モメタゾン、パラメタゾン、プレドニカルベート、プレドニゾロン、25-ジエチルアミノ-酢酸プレドニゾロン、リン酸ナトリウムプレドニゾロン、プレドニゾン、プレドニバル、プレドニリデン、リメキソロン、チキソコルトール、トリアムシノロン、トリアムシノロン・アセトニド、トリアムシノロン・ベネトニド、トリアムシノロン・ヘキサセトニド、それらの生理的に許容される塩、それらの組み合わせ、及びそれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1の抗炎症薬が、アミノアリールカルボン酸誘導体、アリール酢酸誘導体、アリール酪酸誘導体、アリールカルボン酸、アリールプロピオン酸誘導体、ピラゾール、ピラゾロン、サリチル酸誘導体、チアジンカルボキサミド、εーアセトアミドカプロン酸、S-(5'アデノシル)-L-メチオニン、3-アミノ-4-ヒドロキシ酪酸、アミキセトリン、ベンダザック、ベンジダミン、α-ビスボロール、ブコローム、ジフェンピラミド、ジタゾール、エモルファゾン、フェプラジノール、グアイアズレン、ナブメトン、ニメスリド、オキサセプロール、パラニリン、ペリソキサール、プロカゾン、スーパーオキシドジスムターゼ、テニダップ、ジロートン、それらの生理的に許容される塩、それらの組み合わせ、及びそれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1の抗炎症薬が、エンフェナム酸、エトフェナメート、フルフェナム酸、イソニキシン、メクロフェナム酸、メフェナム酸、ニフルミン酸、タルニフルマート、テロフェナマート、トルフェナム酸、アセクロフェナク、アセメタシン、アルクロフェナク、アンフェナク、アムトルメチングアシル、ブロムフェナク、ブフェキサマク、シンメタシン、クロピラク、ジクロフェナク・ナトリウム、エトドラク、フェルビナク、フェンクロジン酸、フェンチアザク、グルカメタシン、イブフェナク、インドメタシン、イソフェゾラク、イソキセパク、ロナゾラク、メチアジン酸、モフェゾラク、オキサメタシン、ピラゾラク、プログルメタシン、スリンダク、チアラミド、トルメチン、トロペシン、ゾメピラック、ブマジゾン、ブチブフェン、フェンブフェン、キセンブシン、クリダナク、ケトロラック、チノリジン、アルミノプロフェン、ベノキサプロフェン、ベルモプロフェン、ブクロキシン酸、カルプロフェン、フェノプロフェン、フルノキサプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、イブプロキサム、インドプロフェン、ケトプロフェン、ロキソプロフェン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピケトプロレン、ピルプロフェン、プラノプロフェン、プロチジン酸、スプロフェン、チアプロフェン酸、キシモプロフェン、ザルトプロフェン、ジフェナミゾール、エピリゾール、アパゾン、ベンズピペリロン、フェプラゾン、モフェブタゾン、モラゾン、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン、ピペブゾン、プロピフェナゾン、ラミフェナゾン、スキシブゾン、チアゾリンブタゾン、アセトアミノサロール、アスピリン、ベノリレート、ブロモサリゲニン、アセチルサリチル酸カルシウム、ジフルニサル、エテルサラート、フェンドサール、ゲンチシン酸、サリチル酸グリコール、サリチル酸イミダゾール、アセチルサリチル酸リジン、メサラミン、サリチル酸モルホリン、サリチル酸1-ナフチル、オルサラジン、パルサルミド、アセチルサリチル酸フェニル、サリチル酸フェニル、サラセタミド、サリチルアミドo-酢酸、サリチル硫酸、サルサラート、スルファサラジン、アンピロキシカム、ドロキシカム、イソキシカム、ロモキシカム、ピロキシカム、テノキシカム、ε-アセトアミドカプロン酸、S-(5'アデノシル)-L-メチオニン、3-アミノ-4-ヒドロキシ酪酸、アミキセトリン、ベンダザック、ベンジダミン、α-ビスボロール、ブコローム、ジフェンピラミド、ジタゾール、エモルファゾン、フェプラジノール、グアイアズレン、ナブメトン、ニメスリド、オキサセプロール、パラニリン、ペリソキサール、プロカゾン、スーパーオキシドジスムターゼ、テニダップ、ジロートン、それらの生理的に許容される塩、それらの組み合わせ、及びそれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記少なくとも1の抗炎症薬が、チアゾリジンジオン;その誘導体、そのアナログ;エチル2-(4-クロロフェノキシ)-2-メチルプロピオナート);クロフィブリン酸;(N-(2-ベンゾイルフェニル)-O-{2-(メチル-2-ピリジニルアミノ)エチル}-L-チロシン);2-{{4-{2-{{(シクロヘキシルアミノ)カルボニル}(4-シクロヘキシルブチル)アミノ}エチル}フェニル}チオ}-2-メチルプロパン酸);{{4-クロロ-6-{(2,3-ジメチルフェニル)アミノ}-2-ピリミジニル}チオ}酢酸;15-デオキシ-Δ-12,14-PG J2、それらの組み合わせ;及びそれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記プラスミンの酵素的に同等な誘導体が、マイクロプラスミン、ミニプラスミン、プラスミンの切り詰め型、プラスミンのバリアント、それらの組み合わせ、及びそれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物が、前記プラスミン又は前記酵素的に同等なその誘導体用の安定剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記安定剤が、トラネキサム酸、εーアミノカプロン酸、L-リジン、L-リジンアナログ、L-アルギニン、L-オルチニン、γーアミノ酪酸、グリシルグリシン、ゼラチン、ヒト血清アルブミン(HSA)、グリセリン、それらの組み合わせ、及びそれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記L-リジンアナログが、L-2-アミノ-3-グアニジノプロピオン酸、L-シトルリン、D-シトルリン、2,6-ジアミノヘプタン酸、ε,ε-ジメチル-L-リジン、α-メチル-DL-オルチニン、δ-ベンジルオキシカルボニル-L-オルチニン、(N-d-4-メチルトリチル)-L-オルニチン、N-δ-1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキサ-1-イリデン)エチル)-D-オルニチン、p-アミノメチル安息香酸、及び2-アミノエチルシステインからなる群から選ばれる、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
(a)プラスミン又は酵素的に同等なその誘導体;及び(b)コルチコステロイド、NSAID、PPARγアゴニスト、それらの組み合わせ、及びそれらの混合物からなる群から選ばれる少なくとも1の抗炎症薬を含む組成物であって、当該プラスミンの酵素的に同等な誘導体が、マイクロプラスミン、ミニプラスミン、切り詰め型プラスミン、それらの組み合わせ、及びそれらの混合物からなる群から選ばれ;そして少なくとも1の抗炎症薬が、約10μm〜約600μmの範囲の大きさを有する固体粒子の形態であり;そして当該組成物が懸濁液の形態である、前記組成物。
【請求項14】
前記少なくとも1の抗炎症薬が、硝子体内で約50mg/100ml未満の溶解度を有する、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記プラスミン、前記プラスミンの酵素的に同等な誘導体、及び前記少なくとも1の抗炎症薬の各自の濃度が、約10-4〜約5重量%の範囲である、請求項13に記載の組成物。
【請求項16】
前記プラスミン又は酵素的に同等なその誘導体のための安定剤をさらに含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項17】
制御された後部硝子体剥離(PVD)を誘導するのに使用するための組成物の製造方法であって、当該方法が、以下の:
(a)プラスミン又は酵素的に同等なその誘導体を準備し;そして
(b)当該プラスミン又は酵素的に同等なその誘導体を、少なくとも1の抗炎症薬に加える
を含む前記方法。
【請求項18】
前記プラスミン又は酵素的に同等なその誘導体が、約5未満のpHで保存された、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
トラネキサム酸、ε-アミノカプロン酸、L-リジン、L-リジンのアナログ、L-アルギニン、L-オルニチン、γーアミノ酪酸、グリシルグリシン、ゼラチン、HSA、グリセリン、それらの組み合わせ、及びそれらの混合物からなる群から選ばれる安定剤を添加することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも1の抗炎症薬が、コルチコステロイド、NSAID、PPARγアゴニスト、それらの組み合わせ、及びそれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
治療を必要とする対象において制御されたPVDを誘導する組成物の製造のための、プラスミン又は酵素的に同等なその誘導体および少なくとも1の抗炎症薬の使用。
【請求項22】
前記少なくとも1の抗炎症薬が、コルチコステロイド、NSAID、PPARγアゴニスト、それらの組み合わせ、及びそれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項21に記載の使用。
【請求項23】
患者の眼において制御されたPVDを誘導する方法であって、当該方法が以下の:
(a) プラスミン又は酵素的に同等なその誘導体、並びに、コルチコステロイド、NSAID、PPARγアゴニスト、それらの組み合わせ、及びそれらの混合物からなる群から選ばれる少なくとも1の抗炎症薬を含む組成物を準備し、
(b) 当該組成物を眼の硝子体液に投与し、それにより当該制御されたPVDを当該眼に誘導する
を含む、前記方法。
【請求項24】
前記組成物が、前記プラスミン又は酵素的に同等なその誘導体を含む液体溶媒中で、マイクロメーターサイズの粒子の前記抗炎症薬の懸濁形態である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記酵素的に同等なプラスミンの誘導体が、マイクロプラスミン、ミニプラスミン、切り詰め型のプラスミン、それらの組み合わせ、及びそれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記組成物が、前記プラスミン又はその酵素的に同等な誘導体についての安定剤をさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記プラスミン又は酵素的に同等なその誘導体が、約5未満のpHで保存された、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
前記制御されたPVDが、糖尿病性網膜症、鎌状赤血球網膜症、未熟児網膜症、早発型黄斑変性症、新生血管黄斑変性症、加齢黄斑変性症、虹彩ルベオーシス、前部ぶどう膜炎、中間部ぶどう膜炎、後部ぶどう膜炎、慢性ぶどう膜炎、眼トキソプラスマ症、イヌ回虫症、毛様体扁平部炎、レチノプラストーマ、シュードグリオーマ、フックス異色性虹彩毛様体炎、血管新生緑内障、角膜血管新生、網膜虚血、脈絡叢血行不全、脈絡叢血栓症、頚動脈虚血、脈絡膜新生血管、翼状片、視神経血管新生、眼の浸透のため生じる血管新生、打撲性眼障害及び滲出性網膜症、滲出性黄斑変性症、糖尿病性黄斑浮腫、中心静脈閉塞、分岐状静脈閉塞、及びそれらの組み合わせを予防、治療、又は改善するために誘導される、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
前記組成物が、前記制御されたPVDを誘導するために十分な量で投与される、請求項23に記載の方法。
【請求項30】
前記組成物が、硝子体内に投与される、請求項23に記載の方法。
【請求項31】
制御されたPVDを誘導するために有用な組成物を製造するためのキットであって、当該キットが以下の:
(a) 第一容器内に配置されたプラスミン又は酵素的に同等なその誘導体;及び
(b) 第二容器に配置された少なくとも1の抗炎症薬
を含み、ここで当該第一容器及び第二容器の内容物混合されて上記組成物をもたらす、前記キット。
【請求項32】
前記少なくとも1の抗炎症薬が、コルチコステロイド、NSAID、又はPPARγアゴニストを含む、請求項31に記載のキット。
【請求項33】
前記少なくとも1の抗炎症薬が、液体溶媒中に懸濁されたマイクロメーターサイズの固体粒子の形態である、請求項31に記載のキット。
【請求項34】
前記第一容器の内容物が、約5未満のpHを有する、請求項31に記載のキット。
【請求項35】
前記酵素的に同等なプラスミンの誘導体が、マイクロプラスミン、ミニプラスミン、切り詰め型のプラスミン、プラス印のバリアント、それらの組み合わせ、及びそれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項31に記載のキット。
【請求項36】
前記第二容器が、前記プラスミン又は酵素的に同等なその誘導体のための安定剤をさらに含む、請求項31に記載のキット。

【公表番号】特表2009−527580(P2009−527580A)
【公表日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−556508(P2008−556508)
【出願日】平成19年2月20日(2007.2.20)
【国際出願番号】PCT/US2007/062402
【国際公開番号】WO2007/101005
【国際公開日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(506076640)ボーシュ アンド ローム インコーポレイティド (99)
【Fターム(参考)】