説明

包装用資材及びこれを使用して形成した包装箱

【課題】青果物の保護が十分に行えることは勿論、青果物の形態や性質に応じた包装用箱が簡単にかつ低コストで製造することができ、ゴミ化した包装用箱の分別処理も簡単に行えるようにすることのできる、包装用資材を提供すること。
【解決手段】厚さ1mm〜8mmの板紙材11と、この板紙材11の全面に微粘着接着剤12を介して貼着したシート状緩衝材13とにより構成するとともに、微粘着接着剤12を、アクリルと変性酢酸ビニールとの共重合体を主成分としたこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装用資材及びこれを使用した包装箱に関し、特に、果物やイチゴ等の青果物を包装するのに適した包装用資材及びこれを使用して形成した包装箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
イチゴのような青果物は、非常に傷み易くて変質のし易いものであるため、例えば販売のための運搬や陳列を行う場合、種々な包装資材を使って保護してやらなければならない。
【0003】
このような包装資材は、「商品」そのものではないため、それ程コストを掛ける訳にはいかないが、かといって、青果物の保護を蔑ろにすることもできない。そのために、この種の包装用資材としては、特許文献1〜3に示されているように、種々なものが提案されてきているのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−301350号公報、要約
【特許文献2】特開平9−132274号公報、要約
【特許文献3】特開平10−158990号公報、要約
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された「包装材およびその製造方法」は、「包装される果物等の物品に傷が付きにくく、箱詰めが容易で、箱詰めされた物品が箱の中で片寄るようなことがなく、しかも通気性に富んで果物等の保管にも好適な包装材を提供する」ことを目的としてなされたもので、図9にも示すように、「柔軟性を有する発泡合成樹脂材製にして、経・緯の樹脂部が適度の太さをなすネットに、ネットの下面側に突出し、上面側に開口する籠状のポケット2が多数形成され、ポケットの開口部2aのまわりに、ネットを構成する発泡合成樹脂材を加圧により押し潰して硬化せしめた仕切枠3a、3bを形成した」ものである。
【0006】
しかしながら、この特許文献1に記載された包装材は、「多数形成されたポケット2の開口部2aのまわりに仕切枠3a、3bを形成した」ものであるから、包装すべき対象が異なる毎の形状や大きさの「ポケット」を用意しなければならないから、製造や保管が煩雑となるだけでなく、「ネットを構成する発泡合成樹脂材を加圧により押し潰して硬化せしめた仕切枠3a、3b」は、当該包装材がゴミとなったとき、固い物であるからその処理が困難になると考えられる。
【0007】
また、特許文献2にて提案されている「包装材及び包装材用ネット」は、「包装される果物等の物品に傷が付きにくく、箱詰めが容易で、箱詰めされた物品が箱の中で片寄るようなことがなく、しかも通気性に富んで果物等の保管にも好適な包装材及び同包装材用のネットを提供する」ことを目的としてなされ、図10に示すように、「適度の太さをなす合成樹脂材製の複数本の経・緯の紐2、3で構成され、経紐を上面側、緯紐を下面側にして経紐と緯紐とを融着してなるネットの、上面側の前記経紐2を柔軟性を有する合成樹脂材で構成し、かつ下面側の前記緯紐3を保型性を有する合成樹脂材で構成した」ものである。
【0008】
しかしながら、この特許文献2の包装材は、「経紐2を柔軟性を有する合成樹脂材で構成し、かつ下面側の前記緯紐3を保型性を有する合成樹脂材で構成した」ものであるから、当該包装材がゴミとなったとき、保形性を有する緯紐3によってその処理が困難になると考えられる。
【0009】
そして、特許文献3に記載された「青果物等の包装材料及びその製造方法」は、「鮮度保持性、老化防止性、更に消臭、抗菌・抗黴作用を有する上に、特に果物の糖度をその果肉硬度を保持したままで向上させる青果物等の包装材料及びその製造方法を提供する」ことを目的としてなされたもので、図11に示すように、「青果物等の包装材料は、紙の繊維成分100重量部に対して、トルマリン鉱石粉末を1重量部以上含有させた」ものであることから、このトルマリン鉱石粉末によって青果物が汚損される可能性があると考えられる。
【0010】
また、以上の特許文献1〜3に記載された包装材では、製造上のコスト低減は勿論、対象物である青果物の種類や大きさ、あるいは性質に対する適応性、そして、使用後に単なる「ゴミ化」した場合のことが十分考慮されていない。
【0011】
近年、ゴミの問題は由々しきものがあり、「量」もさることながら「質」も十分考慮しなければならない時代になってきている。ゴミ回収を行っている自治体の中には、非常に厳しい「分別収集」を励行しているところがあり、青果物を包装する包装材あるいは包装箱についても例外ではない。
【0012】
特に、青果物を包装する場合、青果物を直接包装する包装材を柔らかい「合成樹脂」を材料とすると、さらにその外側はある程度の「硬さ」を有する「段ボール」等によって形成した「箱体」で保護しなければならないが、これらの「合成樹脂」と「箱体」とを別々にしておけば分離がし易くなると考えられる。しかしながら、特許文献1や2のような柔らかい合成樹脂からなる包装材を使用して青果物の個別の包装を行えば、分別は行い易いが、包装材が二重になる部分も多く出てくることになるから、無駄な部分、つまりコスト高の原因部分も多く出てくることになるのである。
【0013】
そこで、本発明者等は、対象物である青果物の種類や大きさ、あるいは性質に対する適応性を十分備えた包装用箱を、如何に低コストで製造できるようにするか、ゴミ化したときの分別処理が簡単に行えるようにするにはどうしたらよいか、について種々検討を重ねてきた結果、本発明を完成したのである。
【0014】
すなわち、本発明の目的とするところは、まず、第1に、青果物の保護が十分に行えることは勿論、青果物の形態や性質に応じた包装用箱が簡単にかつ低コストで製造することができ、ゴミ化した包装用箱の分別処理も簡単に行えるようにすることのできる、包装用資材を提供することにある。
【0015】
また、本発明の第2に目的とするところは、青果物の保護が十分に行えることは勿論、青果物の形態や性質に応じたものとして簡単にかつ低コストで製造することができ、ゴミ化した場合の分別処理も簡単に行えるようにすることのできる、包装用箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
以上の課題を解決するために、まず、請求項1に係る発明の採った手段は、後述する最良形態の説明中で使用する符号を付して説明すると、
「青果物を保護しながら収納する包装用箱20を製造するための包装用資材10であって、
厚さ1mm〜8mmの板紙材11と、この板紙材11の全面に微粘着接着剤12を介して貼着したシート状緩衝材13とにより構成するとともに、
微粘着接着剤12を、アクリルと変性酢酸ビニールとの共重合体を主成分としたことを特徴とする包装用資材10」
である。
【0017】
すなわち、この請求項1に係る包装用資材10は、例えば、図5に示すような請求項2に係る包装用箱20を製造するための材料であって、図1〜図3に示すように、板紙材11に微粘着接着剤12を介してシート状緩衝材13を貼着したものである。
【0018】
板紙材11は、所謂板紙または段ボールといった紙材料によって形成したものが採用されるものであり、厚さが1mm〜8mmのものが必要である。その理由は、この板紙材11の厚さが1mmより薄いと、後述するシート状緩衝材13では確保できない箱体として必要な剛性が確保できないからであり、一方、厚さが8mmより厚くても、材料費が掛かって必要以上に重くなるだけで、青果物の保護効果には殆ど影響がないからである。
【0019】
以上の板紙材11に後述するシート状緩衝材13を貼着するための微粘着接着剤12は、当該包装用資材10がゴミになったとき、板紙材11とシート状緩衝材13とを簡単に分離するために是非必要なもので、この分離が手作業で行えるようにするとともに、板紙材11やシート状緩衝材13が引きちぎれないようにするために、文字通り「微粘着性」である必要がある。
【0020】
この微粘着接着剤12が「微粘着性」を有するものとなるようにするためには、アクリルと変性酢酸ビニールとの共重合体を主成分とすることが必要である。その理由は、このような微粘着接着剤12は、接着が完了するまで板紙材11に変化を与えないようにすることができるからであり、「グルアマシン」のような接着機械に掛け易いからである。また、このような微粘着接着剤12は、樹脂皮膜が柔軟で、同じく柔軟性を有する後述のシート状緩衝材13に対する弾力性も十分だからである。
【0021】
さて、シート状緩衝材13としては、例えば図1に示すようなエアーマット、図2に示すようなミラーマット、あるいは図3に示すような線材緩衝材が採用されるが、エアーマットは、二重の樹脂シートの間に多数の空気室を形成した、所謂「プチプチ」とも通称されているものである。ミラーマットは、発泡させた薄い樹脂シートであり、線材緩衝材は、発泡させた樹脂紐の多数を、図3に示したような交差状に配置して、その各交点で各樹脂紐を接着または溶着したものである。
【0022】
いずれにしても、これらのエアーマット、ミラーマット、あるいは線材緩衝材からなるシート状緩衝材13は、文字通り「シート状」になっているものであり、これを微粘着接着剤12によって板紙材11に貼着して形成した包装用資材10全体も「シート状」にするものである。包装用資材10全体がシート状であることは、当該包装用資材10を汎用性に優れたものとするために、つまりあらゆる青果物に適用できる緩衝材とするために必要なことである。
【0023】
以上のように構成した包装用資材10は、その全体がシート状になっているから、あらゆる加工が可能になっている。特に、この包装用資材10を「トムソン刃」による打ち抜き加工することは、当該包装用資材10が、板紙材11、微粘着接着剤12及びシート状緩衝材13よりなっていることから、非常に簡単に行えるのであり、例えば、図4に示すようなものに打ち抜くことは、当該包装用資材10が「シート状」であることによって確実に行えるのである。
【0024】
図4に示したものは、後述する請求項2に係る包装用箱20を展開したものであり、シート状緩衝材13が内側になるように組み立てることにより、当該シート状緩衝材13によって青果物を保護するようにするものである。勿論、この包装用箱20は、図4に示した展開状態の大きさを適宜決定することにより、青果物の大きさや量に応じた包装用箱20とすることができることは言うまでもない。
【0025】
さらに、この包装用資材10を使用して構成した包装用箱20がゴミとなったとき、これを再び図4に示すような状態に展開すれば「シート状」のものとなるから、シート状緩衝材13を板紙材11から剥がすことによって、これらの「分別」が簡単に行えることは前述した通りである。
【0026】
従って、この請求項1に係る包装用資材10は、包装用箱20としたときに青果物の保護が十分に行えることは勿論、青果物の形態や性質に応じた包装用箱20が簡単にかつ低コストで製造することができ、ゴミ化した包装用箱20の分別処理も簡単に行えるものとなっているのである。
【0027】
また、上記課題を解決するために、請求項2に係る発明の採った手段は、後述する実施の形態の説明中で使用する符号を付して説明すると、
「厚さ1mm〜8mmの板紙材11と、この板紙材11の全面に微粘着接着剤12を介して貼着したシート状緩衝材13とにより構成した包装用資材10によって形成されて、青果物を保護しながら収納する包装用箱20であって、
長方形状の底板21と、この底板21から立ち上がり第1通気孔22aを有した一対の第1側壁22と、底板21から立ち上がる一対の第2側壁23とを備え、
これらの第2側壁23を、底板21に連続する側壁本体23aと、この側壁本体23aに連続して第2通気孔23cを有した折り込み辺23bと、側壁本体23aに形成されて折り込み辺23bの第2通気孔23c内に折り込まれる係止部23dとにより構成したことを特徴とする包装用箱20」
である。
【0028】
すなわち、この請求項2に係る包装用箱20は、上記請求項1の包装用資材10を使用して形成されるもので、その展開した状態は、前述したように図4で示してあるが、この展開したものを、図6及び図7等の段階を経て各部を折り込むことにより、図5に示すような包装用箱20とするものである。なお、この図4に示した実線は、トムソン刃による切断部分を示し、点線は折り込み部分を示しており、この点線部分では他の部分と離れない状態になっている。
【0029】
この図5に示す包装用箱20は、その第1側壁22aに複数の第1通気孔22aが形成され、その第2側壁23に第2通気孔23cが形成されたものとなって通気性に優れたものとなっており、内側のシート状緩衝材13が、当該包装用箱20内に収容した青果物の保護面を形成している。特に、第2側壁23に形成された第2通気孔23c内には、当該第2側壁23の側壁本体23aに設けておいた係止部23dが無理嵌めされるものであり、これにより、当該第2側壁23の側壁本体23aに第2折り込み辺23bが固定され、包装用箱20が自然に展開しないようにしている。
【0030】
勿論、この包装用箱20は、板紙材11、微粘着接着剤12、及びシート状緩衝材13からなる包装用資材10を使用して形成したものであるから、それ以外の物、例えば「固定用ステープル」や他の包装材は、一切ない。このため、この包装用箱20をゴミとして捨てたいとき、板紙材11とシート状緩衝材13とに分離可能であるだけでなく、他に余分なゴミを一切出さないで処分できるのである。
【0031】
また、この包装用箱20は、図4に示した展開図の状態での大きさを適宜決定することにより、青果物の形態に応じたものを簡単に製造することができるのであり、この種の包装用箱20を低コストで提供することができるのである。
【0032】
特に、この包装用箱20では、その内面だけにシート状緩衝材13が存在しているのであるから、例えばイチゴのように、一個一個をシート状緩衝材13等で保護する訳にはいかない青果物の保護を簡単かつ十分に行えるものとなっている。また、この包装用箱20は、上述したように、第1通気孔22aや第2通気孔23cを積極的に形成したものであるから、当該包装用箱20に収納したイチゴを冷蔵庫に入れた場合に、冷気の流通が良好になるだけでなく、冷蔵庫から出したときの結露を早急に蒸散させることもできて、水分付着によるイチゴの変色や変質を防止することができるのである。
【0033】
青果物は、上記のイチゴに限らず、所謂「蒸れ」が生ずると、変色や変質し易くなるものが一般的であり、その点、この包装用箱20は、複数の第1通気孔22aや第2通気孔23cを積極的に形成したことから、この「蒸れ」を防止することができて、当該包装用箱20を使用した青果物の陳列を長時間行えるものとなっているのである。
【0034】
従って、この請求項2に係る包装用箱20は、青果物の保護が十分に行えることは勿論、青果物の形態や性質に応じたものとして簡単にかつ低コストで製造することができ、ゴミ化した場合の分別処理も簡単に行えるものとなっているのである。
【発明の効果】
【0035】
以上、説明した通り、請求項1に係る発明においては、
「青果物を保護しながら収納する包装用箱20を製造するための包装用資材10であって、
厚さ1mm〜8mmの板紙材11と、この板紙材11の全面に微粘着接着剤12を介して貼着したシート状緩衝材13とにより構成するとともに、
微粘着接着剤12を、アクリルと変性酢酸ビニールとの共重合体を主成分としたこと」
にその構成上の特徴があり、これにより、青果物の保護が十分に行えることは勿論、青果物の形態や性質に応じた包装用箱が簡単にかつ低コストで製造することができ、ゴミ化した包装用箱の分別処理も簡単に行えるようにすることのできる、包装用資材10を提供することができるのである。
【0036】
また、請求項2に係る発明においては、
「厚さ1mm〜8mmの板紙材11と、この板紙材11の全面に微粘着接着剤12を介して貼着したシート状緩衝材13とにより構成した包装用資材10によって形成されて、青果物を保護しながら収納する包装用箱20であって、
長方形状の底板21と、この底板21から立ち上がり第1通気孔22aを有した一対の第1側壁22と、底板21から立ち上がる一対の第2側壁23とを備え、
これらの第2側壁23を、底板21に連続する側壁本体23aと、この側壁本体23aに連続して第2通気孔23cを有した折り込み辺23bと、側壁本体23aに形成されて折り込み辺23bの第2通気孔23c内に折り込まれる係止部23dとにより構成したこと」
にその構成上の特徴があり、これにより、青果物の保護が十分に行えることは勿論、青果物の形態や性質に応じたものとして簡単にかつ低コストで製造することができ、ゴミ化した場合の分別処理も簡単に行えるようにすることのできる、包装用箱20を提供することができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係る包装用資材10を示すもので、(a)はシート状緩衝材13を部分的に剥がした状態の部分斜視図、(b)は部分拡大縦断面図である。
【図2】ミラーマットとしたシート状緩衝材13を部分的に剥がした状態の包装用資材10の部分斜視図である。
【図3】線材緩衝材としたシート状緩衝材13を部分的に剥がした状態の包装用資材10の部分斜視図である。
【図4】本発明に係る包装用箱20の展開平面図である。
【図5】同包装用箱20の斜視図である。
【図6】図4に示した包装用箱20の組み立て初期を示す斜視図である。
【図7】図4に示した包装用箱20の組み立て中期を示す斜視図である。
【図8】同包装用箱20の他の実施例を示す分解斜視図である。
【図9】特許文献1に示された技術を示す断面図である。
【図10】特許文献2に示された技術を示す拡大断面図である。
【図11】特許文献3に示された技術を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
次に、上記のように構成した本発明を、図面に示した実施の形態である包装用箱20に基づいて説明するが、この包装用箱20は、請求項1に係る包装用資材10を使用して形成したものであるので、包装用資材10自体の説明は、この包装用箱20の説明中で行うこととする。
【0039】
さて、図4には、本発明に係る包装用箱20を展開した状態が示してあり、この包装用箱20は、包装用資材10を使用して形成したものである。包装用資材10は、図5に示した包装用箱20を製造するための材料であって、図1〜図3に示したように、板紙材11に微粘着接着剤12を介してシート状緩衝材13を貼着したものである。
【0040】
板紙材11は、所謂板紙または段ボールといった紙材料によって形成したものが採用されるものであり、厚さが1mm〜8mmのものが必要である。この板紙材11に後述するシート状緩衝材13を貼着するための微粘着接着剤12は、当該包装用資材10がゴミになったとき、板紙材11とシート状緩衝材13とを簡単に分離するために是非必要なもので、この分離が手作業で行えるようにするとともに、板紙材11やシート状緩衝材13が引きちぎれないようにするために、文字通り「微粘着性」である必要がある。
【0041】
さて、シート状緩衝材13としては、例えば図1に示したようなエアーマット、図2に示したようなミラーマット、あるいは図3に示したような線材緩衝材が採用されるが、これらのエアーマット、ミラーマット、あるいは線材緩衝材からなるシート状緩衝材13は、文字通り「シート状」になているものであり、これを微粘着接着剤12によって板紙材11に貼着して形成した包装用資材10全体も「シート状」にするものである。
【0042】
微粘着接着剤12は、アクリルと変性酢酸ビニールとの共重合体を主成分としたもので、不揮発分が56.0±2.0%、粘度が2000±500mPa・s/25℃、ペーハー(pH)が5.5±1.0のノニオン系の水分散型エマルジョン樹脂(日栄化工株式会社製 商品名:ライフボンド AV−788N)で、グルアマシンによってシート状緩衝材13に展着される。この微粘着接着剤12が展着されたシート状緩衝材13は、プレス機に掛けて、100〜150キロの圧力で、板紙材11上に貼着される。
【0043】
以上のように構成した包装用資材10は、その全体がシート状になっているから、あらゆる加工が可能になっている。特に、この包装用資材10を「トムソン刃」による打ち抜き加工することは、当該包装用資材10が、板紙材11、微粘着接着剤12及びシート状緩衝材13よりなっていることから、非常に簡単に行え、図4に示したようなものに打ち抜くことは確実に行われる。
【0044】
包装用箱20の展開図である図4に示したように、この包装用箱20は、長方形状の底板21と、この底板21から立ち上がり第1通気孔22aを有した一対の第1側壁22と、底板21から立ち上がる一対の第2側壁23とを備えたものである。
【0045】
底板21は、当該包装用箱20の収納底を形成するものであり、図4に示したように、第1側壁22aの糸尻部22bや第2側壁23の糸尻部23eが入り込んで来ている第3通気孔21aを有しているものである。各第3通気孔21aは、第1側壁22aや第2側壁23が起こされたときに、図6に示したように開口することになる。換言すれば、各第3通気孔21aを形成する第1側壁22aの糸尻部22bや第2側壁23の糸尻部23eは、図5に示したように、棚や机上から底板21を少し持ち上げることになるもので、当該底板21下に冷蔵のための冷気の流通を良好にするものである。
【0046】
上記のような底板21の各長側辺には第1側壁22が形成してあるが、これら各第1側壁22は、図5にも示したように、複数の第1通気孔22aを形成したものであり、その上縁には、カバー部22cが形成してある。このカバー部22cは、図8に示したように大きく形成して当該包装用箱20の上を自身で包み込んだり、図8に示したセロファン33を貼付する部分にしたりするものである。また、各第1側壁22の底板21側下縁には、図6等に示したように、前述した糸尻部22bも形成してある。
【0047】
そして、各第1側壁22の側縁には、図4に示したように、第1折り込み辺22dがそれぞれ形成してあるが、これら各第1折り込み辺22dは、図6に示したように、立ち上げた各第2側壁23の外側に折り込んで、この第2側壁23と連結された隅角部を形成するものである。なお、これらの第1折り込み辺22dの先端部は、第2側壁23に折り込んだとき、第2側壁23の第2通気孔23cや係止部23dに重ならないようにするための切り欠きが形成してある。
【0048】
一方、各第2側壁23は、図4に示したように、底板21に連続する側壁本体23aと、この側壁本体23aに連続して第2通気孔23cを有した折り込み辺23bと、側壁本体23aに形成されて折り込み辺23bの第2通気孔23c内に折り込まれる係止部23dとを備えている。
【0049】
すなわち、各第2側壁23の側壁本体23aは、図6にも示したように底板21から立ち上げられるものであり、この側壁本体23aの外側に上述した第1側壁22の第1折り込み辺22dを折り込んでから、これらのさらに外側に第2折り込み辺23bを折り込んで、当該包装用箱20の側壁を構成するようにするものである。そして、側壁本体23aに形成してある係止部23dを、例えば図5に示したように、第2折り込み辺23bに形成してある第2通気孔23c内に強制嵌合することにより、図7中の点線にて示した第1側壁22の第1折り込み辺22dの挟み込みと、第2折り込み辺23bの側壁本体23aからの開きを防止するのである。このため、係止部23dは、第2通気孔23cよりも少し大きめに形成してある。
【0050】
以上の結果、図5に示した包装用箱20が完成するのであるが、この包装用箱20に対しては、図8に示したような支持台30が採用されることもある。この支持台30を採用するのは、青果物としてイチゴより大きいリンゴや柿等を対象とする場合であり、支持台30は、これらのリンゴや柿を直接載置する部分となるものである。
【0051】
勿論、この支持台30も、前述した包装用資材10を使用して形成したものであり、シート状緩衝材13が図示上面側になるように使用されて、複数の収納部30aを有するものである。各収納部30aは、多数の支持片31を放射状に形成したものであり、各支持片31は包装用資材10を構成している板紙材11自身の弾力性、及びシート状緩衝材13の緩衝性を利用して、青果物を弾力的に支持できるようにしたものである。
【0052】
なお、この支持台30は、その周囲に折り込み可能に形成した折り込み台32によって、包装用箱20の底板21から少し浮き上がった状態にされるものであり、これにより、収納部30aを構成している各支持片31の上下方向の弾性移動が可能となるようになされる。また、この支持台30の上は、前述した第1側壁22のカバー部22c自身によって覆うこともあるが、図8に示したように、カバー部22cに一端を貼付したセロファン33によって覆うようにすることもなされる。
【符号の説明】
【0053】
10 包装用資材
11 板紙材
12 微粘着接着剤
13 シート状緩衝材
20 包装用箱
21 セロファン
21a 第3通気孔
22 第1側壁
22a 第1通気孔
22b 糸尻部
22c カバー部
22d 第1折り込み辺
23 第2側壁
23a 側壁本体
23b 第2折り込み辺
23c 第2通気孔
23d 係止部
23e 糸尻部
23d 係止部
30 支持台
30a 収納部
31 支持片
32 折り込み台
33 セロファン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
青果物を保護しながら収納する包装用箱を製造するための包装用資材であって、
厚さ1mm〜8mmの板紙材と、この板紙材の全面に微粘着接着剤を介して貼着したシート状緩衝材とにより構成するとともに、
前記微粘着接着剤を、アクリルと変性酢酸ビニールとの共重合体を主成分としたことを特徴とする包装用資材。
【請求項2】
厚さ1mm〜8mmの板紙材と、この板紙材の全面に微粘着接着剤を介して貼着したシート状緩衝材とにより構成した包装用資材によって形成されて、青果物を保護しながら収納する包装用箱であって、
長方形状の底板と、この底板から立ち上がり第1通気孔を有した一対の第1側壁と、前記底板から立ち上がる一対の第2側壁とを備え、
これらの第2側壁を、前記底板に連続する側壁本体と、この側壁本体に連続して第2通気孔を有した折り込み辺と、前記側壁本体に形成されて前記折り込み辺の第2通気孔内に折り込まれる係止部とにより構成したことを特徴とする包装用箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−25959(P2011−25959A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−173320(P2009−173320)
【出願日】平成21年7月24日(2009.7.24)
【出願人】(509208745)株式会社山清 (2)
【Fターム(参考)】