説明

化合物半導体素子およびその製造方法

【課題】電解メッキ法により電極・配線層を形成する化合物半導体素子において、メッキ液がバリアメタル層を物理的に通り抜けたり、エッチングして化合物半導体層に浸入し、発振不良や電気特性不良などの素子特性不良が生じることを抑制する。
【解決手段】スパッタリングによりバリアメタル層としてMo層、Ti層、Pt層およびW層のいずれかを形成する際に、何れも、スパッタリング時の入力パワーが2000W以上5000W以下に設定することによって、スパッタリング時の入力パワーを1000Wとした従来技術の場合に比べて、バリアメタル層13の膜質を、従来技術のような多孔質ではなく、緻密な繊維状の多結晶膜とし、バリアメタル層13の金属粒径を50nm以下として金属粒径が半分以下に小さくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CD−R/RWおよびDVD−R/RWなどに使用される高出力半導体レーザ素子などの化合物半導体素子およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、CD−R/RWに使用される高出力半導体レーザ素子としては、GaAs/GaAlAs系赤外レーザ素子が用いられている。以下に、従来のGaAs/GaAlAs系赤外レーザ素子の製造方法について、図6(a)〜図6(g)を用いて詳細に説明する。
【0003】
まず、図6(a)に示すように、n型GaAs基板1上にバッファ層2、下層クラッド層である第1n型GaAlAsクラッド層3と第2n型GaAlAsクラッド層4、活性層5、上層クラッド層である第1p型GaAlAsクラッド層6、GaAsエッチングストップ層7、上層クラッド層である第2p型GaAlAsクラッド層8およびp型GaAsキャップ層9をこの順に、各層をMOCVD成長方法などにより成長させる。
【0004】
次に、図6(b)に示すように、p型GaAsキャップ層9上にリッジ(電流通路)形成のために帯状のマスク10を形成する。このマスク10の材料としては、用いられるエッチング液に耐性を有するものが使用される。
【0005】
さらに、図6(c)に示すように、ウェットエッチング法によって、p型GaAsキャップ層9および第2p型GaAlAsクラッド層8をGaAs層からなるエッチングストップ層7の近傍までエッチングして、おおまかなリッジ形状を形成する。ここまでが第1エッチング工程である。なお、このリッジ部は、レーザ発振を行うための電流通路となるものである。
【0006】
続いて、図6(d)に示すように、第2p型GaAlAsクラッド層8のみをエッチング可能でGaAs層からなるエッチングストップ層7はエッチングされないエッチング液であるHFを用いて第2p型GaAlAsクラッド層8をさらにエッチングし、所望のレーザ特性が得られるようなリッジ形状(リッジ幅)に仕上げる。この場合、HFによるエッチングは、GaAsからなるエッチングストップ層7で阻止されるため、リッジ幅はHFによるエッチング時間に依存する。ここまでが第2エッチング工程である。
【0007】
さらに、図6(e)に示すように、図5(d)の積層構造上にn型GaAs電流ブロック層11を積層してリッジ部(リッジストライプ構造)を埋め込む。
【0008】
続いて、図6(f)に示すように、リッジ部上に積層されたn型GaAs電流ブロック層11を、例えばアンモニアと過酸化水素水および純水の混合液などのエッチング液によってエッチングする。このとき、エッチングレートの面方位依存性があるため、図6(f)に矢印部で示すような、えぐれが生じることが多い。
【0009】
図6(g)に示すように、AuZn金属電極層12およびバリアメタル層13をスパッタリング法によりスパッタリング時の入力パワー(RFパワー)1000Wで積層し、その上にAuメッキ電極層14を電解メッキ法により積層する。
【0010】
その後、さらにウェハのn型GaAs基板1側(裏面側)を研削し、所望の厚みに仕上げた後、このn型GaAs基板1の裏面側にn側電極を形成してレーザウェハが完成する。このレーザウェハを所定の共振器長となるようにレーザバーに分割した後、互いに対向する両光出射端面に所定の反射率を有する保護膜を成膜する。さらに、レーザバーを個別のチップに分割して化合物半導体素子としての半導体レーザチップを完成させる。
【0011】
この種の従来の化合物半導体素子の他の事例として、例えば特許文献1〜6にそれぞれ開示されている。
【0012】
特許文献1には、シリサイドなどからなる島状領域とそれを被覆するシリコンなどからなる薄膜とからなる複合膜において、基本単位面積当たりの島状領域の面積を制御することによって、下地である基体との界面における仕事関数が所望の値に制御された複合膜が開示されている。
【0013】
特許文献2には、半導体基板上に形成されたSiO膜の溝にCuからなる埋め込み配線が設けられた半導体装置において、Cu配線の底面および側面にTi(高融点金属)とSi(半導体)とN(窒素)の3元化合物からなるバリアメタル層を形成し、そのSi組成比をTi組成比よりも大きくすることによって、バリアメタル層のバリア性を向上させた半導体装置が開示されている。
【0014】
特許文献3には、スパッタリングの入力パワーを高くして成膜速度を速くすることにより、金属粒径を小さくすることが開示されている。
【0015】
特許文献4には、セラミックス部材の組織中にアルミニウム系材料が融点された母材と、その母材の表面に設けられたセラミックス層とからなる複合材料から構成され、静電チャック機能を有し、温度制御手段を備えた基体載置ステージに基体を載置して、高融点金属またはその化合物からなるバリアメタル層をプラズマCVD法によって形成することにより、優れた特性を有するバリアメタル層を形成する方法が開示されている。
【0016】
特許文献5には、化合物半導体からなる半導体積層構造上にスパッタリング法により電極層を形成する際に、高周波パワーを大きくして電極材料をスパッタリングしながら熱処理を行う半導体発光素子の電極形成方法が開示されている。具体的には、スパッタリングによりオーミックメタル層を形成し、その上に蒸着またはスパッタリングによりバリアメタル層を形成し、その上に高周波パワーを大きくしたスパッタリングによりボンディングパッド層を形成すると共にオーミックメタル層を熱処理している。
【0017】
特許文献6には、リッジ部のコンタクト層の厚みを、リッジ部の側面を覆う誘電体膜の厚みより厚くして素子特性悪化を防止した半導体レーザ素子が開示されている。
【特許文献1】特開平7−211896号公報
【特許文献2】特開平8−139092号公報
【特許文献3】特開平9−143711号公報
【特許文献4】特開平11−312653号公報
【特許文献5】特開2001−217501号公報
【特許文献6】特開2006−59881号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、上記従来の半導体レーザ素子の製造方法には、以下のような問題がある。
【0019】
バリアメタル層13をスパッタリング法により積層した際に、スパッタリングの入力パワーを1000Wとすると、図7に示すように、結晶構造が多孔性の柱状構造となっており、その粒径は平均して100nm以上あることが断面観察により分かっている。
【0020】
このバリアメタル層13上にAuメッキ電極層14を電解メッキ法により積層すると、特に、図6(g)に点線部15で示す部分(図7の隙間部分X)からAuメッキ液が入って行きバリアメタル層13を物理的に通り抜け、またはバリアメタル層13をエッチングして、その下の化合物半導体層まで到達する。これは、図7に矢印部で示す孔をメッキ液が通り抜けていくためである。その結果、化合物半導体層がメッキ液によりエッチングされてしまい、全チップ数に対して約20%の発振不良やショートなどの電気特性不良が生じている。
【0021】
次に、他の事例として特許文献1〜6に開示された従来の化合物半導体素子について念のために説明する。
【0022】
特許文献1には、前述したように、シリサイドなどからなる島状領域とそれを被覆するシリコンなどからなる薄膜とからなる複合膜がCVD法により形成されているが、この複合膜の金属粒径を小さくしたり、メッキ液の浸透を防止することについては何ら記載されていない。
【0023】
特許文献2には、前述したようにバリアメタル層が形成されているが、このバリアメタル層が高温まで非晶質であり、バリアメタル層の金属粒径を小さくしたり、メッキ液の浸透を防止することについては記載されていない。
【0024】
特許文献3には、前述したように、スパッタリングの入力パワーを高くして成膜速度を速くすることにより、金属粒径を小さくすることが開示されているが、ウェットエッチングにより断面形状が滑らかなパターンの金属電極層を形成し、金属電極上の層間絶縁膜の耐圧不良を抑制することを目的としており、メッキ液の浸透を防止することについては記載されていない。また、RFパワーは1.0kWまで上げられており、それ以上に高くすることについては記載されていない。
【0025】
特許文献4には、前述したように、プラズマCVD法によりバリアメタル層が形成されているが、ハロゲンの残存を少なくするためのものであり、バリアメタル層の金属粒径を小さくしたり、メッキ液の浸透を防止することについては記載されていない。
【0026】
特許文献5では、高周波パワーによりプラズマ領域の温度を上昇させて電極層の形成と同時にオーミックコンタクトを形成し、処理工程を減らすことを目的としているため、バリアメタル層の金属粒径を小さくしたり、メッキ液の浸透を防止することについては記載されていない。
【0027】
特許文献6には、前述したように、リッジ部のコンタクト層の厚みを、リッジ部の側面を覆う誘電体膜の厚みより厚くして素子特性悪化を防止した半導体レーザ素子が開示されているだけであり、バリアメタル層の金属粒径を小さくしたり、メッキ液の浸透を防止することについては記載されていない。
【0028】
本発明は、上記従来の問題を解決するもので、メッキ法により電極層または配線層を形成しても、メッキ液がバリアメタル層を物理的に通り抜けたり、エッチングして化合物半導体層に浸入し、発振不良や電気特性不良などの素子特性不良が生じることを抑制することができる化合物半導体素子の製造方法および、この化合物半導体素子の製造方法により製造された化合物半導体素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明の化合物半導体素子の製造方法は、化合物半導体からなる積層構造上にバリアメタル層を介して導電層が設けられた化合物半導体素子を製造する化合物半導体素子の製造方法において、該バリアメタル層を、1500W以上5000W以下の入力パワーでスパッタリング法により形成するバリアメタル層形成工程を有するものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0030】
また、好ましくは、本発明の化合物半導体素子の製造方法におけるバリアメタル層形成工程は、2000W以上5000W以下の入力パワーで前記バリアメタル層を形成する。
【0031】
さらに、好ましくは、本発明の化合物半導体素子の製造方法におけるバリアメタル層上に、メッキ法により前記導電層を形成する導電層形成工程をさらに有する。
【0032】
さらに、好ましくは、本発明の化合物半導体素子の製造方法における導電層は、電極層および配線層の少なくともいずれかである。
【0033】
さらに、好ましくは、本発明の化合物半導体素子の製造方法における導電層は、Au層である。
【0034】
さらに、好ましくは、本発明の化合物半導体素子の製造方法におけるバリアメタル層を、段差を有する半導体基板または段差を有する半導体積層構造上に形成する。
【0035】
さらに、好ましくは、本発明の化合物半導体素子の製造方法におけるバリアメタル層形成工程の前に、前記化合物半導体からなる積層構造上に前記バリアメタル層の下地層としてAuZn金属層またはAuBe金属層を形成する金属層形成工程をさらに有する。
【0036】
さらに、好ましくは、本発明の化合物半導体素子の製造方法におけるバリアメタル層の層厚は、0.5μm以上2μm以下である。
【0037】
本発明の化合物半導体素子は、本発明の上記化合物半導体素子の製造方法によって製造された化合物半導体素子であって、前記化合物半導体からなる積層構造上に、結晶の粒径が10nm以上50nm以下で緻密な繊維状組織構造を有するバリアメタル層を介して前記導電層が設けられているものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0038】
また、好ましくは、本発明の化合物半導体素子におけるバリアメタル層は、高融点金属材料からなっている。
【0039】
さらに、好ましくは、本発明の化合物半導体素子におけるバリアメタル層は、Mo、Ti、Pt、W、ZrおよびHfの材料のうちから選択された少なくとも1種類以上の材料からなっている。
【0040】
さらに、好ましくは、本発明の化合物半導体素子におけるバリアメタル層の下地層としてAuZn金属層またはAuBe金属層が設けられている。
【0041】
さらに、好ましくは、本発明の化合物半導体素子におけるバリアメタル層上に前記導電層としてAu層が形成されている。
【0042】
さらに、好ましくは、本発明の化合物半導体素子において、レーザ発振を行うための電流通路となるリッジストライプ構造の側面が埋め込み半導体層によって埋め込まれ、該リッジストライプ構造および該埋め込み半導体層上にわたって前記バリアメタル層を介して前記導電層が設けられた半導体レーザ素子が構成されている。
【0043】
さらに、好ましくは、本発明の化合物半導体素子において、前記半導体基板上に活性層を下部クラッド層および上部クラッド層で挟んだ発光部が設けられ、該上部クラッド層上にリッジ形状の上部クラッド層が設けられ、該リッジ形状の上部クラッド層の側面が前記埋め込み半導体層によって埋め込まれ、該リッジ形状の上部クラッド層および該埋め込み半導体層の積層構造上にわたって前記バリアメタル層を介して前記導電層が設けられて前記リッジストライプ構造の半導体レーザ素子が構成されている。
【0044】
上記構成により、以下に、本発明の作用について説明する。
【0045】
導電層として電極層や配線層を形成する際に、メッキ液がその下のバリアメタル層を物理的に通り抜けて化合物半導体層に浸入することを防ぐためには、バリアメタル層の膜質を、従来技術のような多孔質ではなく、緻密な繊維状の多結晶膜にすることが必要である。さらに、バリアメタル層を構成する高融点金属材料の粒径が小さい方が、メッキ液によるバリアメタル層のエッチングレートが遅くなるため、形状が正確に形成でき、このためにも粒径も小さくする必要がある。そこで、本発明では、スパッタリングによりバリアメタル層を形成する際に、その入力パワーを1500W以上5000W以下に設定する。より好ましくは、2000W以上5000W以下に設定する。
【0046】
スパッタリング時の入力パワー(RFパワー)を高くすると、バリアメタル層の金属粒径が小さくなる理由は、現在良く分かっていないが、以下のようなことが考えられる。
【0047】
スパッタリング時の入力パワーを高くすることによりスパッタリングエネルギーが高くなり、スパッタリングエネルギーが高くなると単位時間にターゲットから飛ばされる粒子の数が多くなる。これにより、薄膜の成長レートが速くなると共に、単位時間当たりに基板に到達する粒子の数が多くなり、バリアメタル層の金属粒径が小さくなるものと考えられる。
【発明の効果】
【0048】
以上により、本発明によれば、バリアメタル層をスパッタリングにより形成する際に、スパッタリング時の入力パワーを1500W以上5000W以下に設定し、より好ましくは、2000W以上5000W以下に設定することにより、バリアメタル層の膜質を緻密な繊維状構造にして、バリアメタル層の高融点金属の粒径を10nm以上50nm以下に小さくすることができる。これにより、その上に電極層または配線層をメッキ法により形成する際に、メッキ液のバリアメタル層への物理的侵入と、メッキ液によるバリアメタル層のエッチングをより防いで、素子特性不良がより少なく、信頼性に優れた化合物半導体素子を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
以下に、本発明の化合物半導体素子の製造方法をリッジストライプ構造のGaAs/GaAlAs系赤外レーザ素子の製造方法の実施形態1,2に適用した場合について、図面を参照しながら詳細に説明する。
(実施形態1)
本発明の実施形態1に係る化合物半導体素子の一例として、GaAs/GaAlAs系赤外レーザ素子の製造方法について、図1を用いて詳細に説明する。
【0050】
図1(a)〜図1(g)は、本発明の実施形態1に係るGaAs/GaAlAs系赤外レーザ素子の各製造工程を説明するための要部縦断面図である。
【0051】
まず、図1(a)に示すように、n型GaAs基板1上に、バッファ層2、下層クラッド層である第1n型GaAlAsクラッド層3と第2n型GaAlAsクラッド層4、活性層5、上層クラッド層である第1p型GaAlAsクラッド層6、GaAsエッチングストップ層7、上層クラッド層である第2p型GaAlAsクラッド層8およびp型GaAsキャップ層9をこの順に、各層をMOCVD成長方法などにより成長させる。
【0052】
次に、図1(b)に示すように、p型GaAsキャップ層9上にリッジストライプ構造(電流通路)の形成のために帯状のマスク10を形成する。このマスク10の材料としては、用いられるエッチング液に耐性を有するものが使用される。
【0053】
さらに、図1(c)に示すように、ウェットエッチング法によって、p型GaAsキャップ層9および第2p型GaAlAsクラッド層8をGaAs層からなるエッチングストップ層7の近傍までエッチング(第2p型GaAlAsクラッド層8が薄く残っている)して、おおまかなリッジストライプ構造の形状を形成する。ここまでが第1エッチング工程である。なお、このリッジ部(リッジストライプ構造)は、レーザ発振を行うための電流通路となるものである。
【0054】
続いて、図1(d)に示すように、第2p型GaAlAsクラッド層8のみをエッチング可能でGaAs層からなるエッチングストップ層7はエッチングされないエッチング液であるHFを用いて第2p型GaAlAsクラッド層8をさらにエッチングし、所望のレーザ特性が得られるような所定リッジ幅のリッジストライプ形状に仕上げる。この場合、HFによるエッチング処理は、GaAsからなるエッチングストップ層7で阻止されるため、第2p型GaAlAsクラッド層8の厚さ方向のエッチング時間よりも、リッジ幅を所定幅にするために、所定のリッジ幅になるようにエッチング時間を管理する。リッジ幅はHFによるエッチング時間に依存する。ここまでが第2エッチング工程である。
【0055】
さらに、図1(e)に示すように、リッジ部(リッジストライプ構造)が形成された図1(d)の積層構造上にn型GaAs電流ブロック層11を積層してリッジ部(リッジストライプ構造)を内部に埋め込む。
【0056】
続いて、図1(f)に示すように、リッジ部上に積層されたn型GaAs電流ブロック層11を、例えばアンモニアと過酸化水素水および純水の混合液などのエッチング液によってエッチングする。このとき、エッチングレートの面方位依存性があるため、リッジ部(リッジストライプ構造)の根元など段差がある部分では、図1(f)に矢印部で示すようなえぐれ(凹み)が生じることが多い。
【0057】
これらの図1(a)〜図1(f)までの工程は、従来のGaAs/GaAlAs系赤外レーザ素子の製造方法と同様であって、n型GaAs基板1上に、バッファ層2、第1のn型GaAlAsクラッド層3、第2のn型GaAlAsクラッド層4、活性層5、第1のp型GaAlAsクラッド層6、GaAsエッチングストップ層7、第2のp型GaAlAsクラッド層8およびp型GaAsキャップ層9を形成し、p型GaAsキャップ層9および第2のp型GaAlAsクラッド層8をエッチングしてリッジ形状(リッジストライプ構造)を形成した後、n型GaAs電流ブロック層11によりリッジ部(リッジストライプ構造)を埋め込むことにより図1(f)に示す積層構造を形成する。
【0058】
次に、図1(g)に示すように、Moバリアメタル層13Aの下地層としてAuZn金属電極層12をスパッタリング法により形成し、さらに、その上にMoバリアメタル層13をスパッタリング法により形成する。このとき、AuZn金属電極層12(AuZn金属層)は従来と同様にスパッタリング時の入力パワー(RFパワー)1000W(ワット)で積層し、Moバリアメタル層13A(バリアメタル層13AとしてのMo層)は、スパッタリング時の入力パワー(RFパワー)2000W(ワット)で積層する。この場合、バリアメタル層13Aの層厚は、0.5μm以上2μm以下とする。なお、金・亜鉛合金層であるAuZn金属電極層12に代えて金・ベリリウム合金層であるAuBe金属電極層であってもよい。
【0059】
このようにして得られたバリアメタル層13Aの断面を観察すると、従来技術による図7の場合とは異なり、図2に示すように、結晶構造が緻密な繊維状組織構造となり、その粒径は約50nm以下で揃っていることが分かった。この粒径の範囲は少なくとも10nm以上50nm以下の範囲内である。
【0060】
その上に、従来技術と同様にして導電層としてのAuメッキ電極層14(Au層)を電解メッキ法により積層してn側電極を形成した後、レーザウェハをレーザバーに分割して保護膜を成膜し、レーザバーをチップに分割してGaAs/GaAlAs系赤外レーザ素子20A(レーザチップ)を完成させる。
【0061】
このようにして得られたレーザチップ20Aにおいて、n型GaAs電流ブロック層11に生じた段差によるえぐれ(凹み)上のバリアメタル層13Aに膜厚が薄くなっている部分15が発生しているが、膜厚が薄くなっている部分15において、メッキ液がバリアメタル層13Aを物理的に通り抜けたり、エッチングして化合物半導体層に浸入して、発振不良や電気特性不良などの素子特性不良が生じ易くなっている。このような条件において、パルス電流での発振実験を行った結果、全チップ数に対して発振不良は約8パーセントであり、従来技術では発振不良が約20パーセントであったのに比べて、大幅に発振不良率を低減することができた。
【0062】
なお、本実施形態1では、バリアメタル層13AとしてMo層を形成した場合について説明したが、これに限らず、バリアメタル層13AとしてMo層の他に、Ti層、Pt層およびW層のいずれかを形成した場合についても同様の効果を奏する。
【0063】
下記表1に、バリアメタル層13AとしてMo層、Ti層、Pt層およびW層のいずれかを形成した場合について、バリアメタル層13Aの金属粒径(nm)とその発振不良率(パーセント)を示している。
【0064】
【表1】

上記表1に示すように、バリアメタル層13AとしてMo層を形成した場合、スパッタリング時の入力パワーを1000Wとした従来技術では、金属粒径が106nmであり、発振不良率が20.3パーセントであった。これに対して、スパッタリング時の入力パワーを2000Wとした本実施形態1では、金属粒径が43nmであり、発振不良率が8.2パーセントであった。
【0065】
バリアメタル層13AとしてTi層を形成した場合、スパッタリング時の入力パワーを1000Wとした従来技術では、金属粒径が110nmであり、発振不良率が19.8パーセントであった。これに対して、スパッタリング時の入力パワーを2000Wとした場合には、金属粒径が45nmであり、この発振不良率が8.1パーセントであった。
【0066】
さらに、バリアメタル層13AとしてPt層を形成した場合、スパッタリング時の入力パワーを1000Wとした従来技術では、金属粒径が108nmであり、発振不良率が19.6パーセントであった。これに対して、スパッタリング時の入力パワーを2000Wとした場合には、金属粒径が42nmであり、この発振不良率が7.9パーセントであった。
【0067】
さらに、バリアメタル層13AとしてW層を形成した場合、スパッタリング時の入力パワーを1000Wとした従来技術では、金属粒径が112nmであり、発振不良率が19.4パーセントであった。これに対して、スパッタリング時の入力パワーを2000Wとした場合には、金属粒径が46nmであり、この発振不良率が7.8パーセントであった。
【0068】
このように、バリアメタル層13AとしてMo、Ti、PtおよびWを用いた場合、いずれも、金属粒径が50nm以下であり、発振不良率を従来技術よりも大幅に低減することができた。また、発振不良が生じたチップの断面観察を行った結果、メッキ液の侵入による化合物半導体層のエッチングは確認されなかった。
(実施形態2)
上記実施形態1では、スパッタリング時の入力パワーを2000Wとしてバリアメタル層13Aを形成下場合について説明したが、本実施形態2では、バリアメタル層13Bのスパッタリング時の入力パワーを5000Wで積層する場合について説明する。
【0069】
本実施形態2を図1(g)を用いて説明すると、AuZn電極層12までの積層構造は、上記実施形態1の場合と同様に行い(図1(a)〜図1(g))、AuZn金属電極層12上にMoバリアメタル層13Bをスパッタリング法により形成する。このとき、AuZn金属電極層12は従来と同様にスパッタリング時の入力パワー(RFパワー)1000Wで積層し、Moバリアメタル層13B(バリアメタル層13BとしてのMo層)は、スパッタリング時の入力パワー(RFパワー)5000Wで積層する。
【0070】
このようにして、スパッタリング時の入力パワー5000Wで積層して得られたバリアメタル層13Bの断面を観察すると、従来技術による図7の場合とは異なり、図3に示すように、図2の上記実施形態1の場合よりも更に緻密な繊維状組織構造であり、その粒径は約40nmで揃っていることが分かった。この粒径の範囲は少なくとも10nm以上40nm以下の範囲内である。
【0071】
その上に、従来技術と同様にして導電層としてAuメッキ電極層14(Au層)を電解メッキ法により積層してn側電極を形成した後、レーザウェハをレーザバーに分割して保護膜を成膜し、レーザバーをチップに分割してGaAs/GaAlAs系赤外レーザ素子20B(レーザチップ)を完成させる。
【0072】
このようにして得られたレーザチップ20Bに対して、パルス電流での発振実験を行った結果、全チップ数に対して発振不良は約7パーセントであり、従来技術では発振不良が約20パーセントであったのに比べて、大幅に発振不良率を低減することができた。
【0073】
上記表1に示すように、バリアメタル層としてMo層を形成した場合、スパッタリング時の入力パワーを1000Wとした従来技術では、金属粒径が106nmであり、発振不良率が20.3パーセントであった。これに対して、スパッタリング時の入力パワーを5000Wとした本実施形態2では、金属粒径が34nmであり、発振不良率が7.8パーセントであった。
【0074】
なお、本実施形態2では、バリアメタル層13BとしてMo層を形成した場合について説明したが、これに限らず、バリアメタル層13BとしてMo層の他に、Ti層、Pt層およびW層のいずれかを形成した場合についても同様の効果を奏する。
【0075】
バリアメタル層としてTi層を形成した場合、スパッタリング時の入力パワーを1000Wとした従来技術では、金属粒径が110nmであり、発振不良率が19.8パーセントであった。これに対して、スパッタリング時の入力パワーを5000Wとした場合には、金属粒径が38nmであり、発振不良率が7.9パーセントであった。
【0076】
また、バリアメタル層としてPt層を形成した場合、スパッタリング時の入力パワーを1000Wとした従来技術では、金属粒径が108nmであり、発振不良率が19.6パーセントであった。これに対して、スパッタリング時の入力パワーを5000Wとした場合には、金属粒径が38nmであり、発振不良率が7.3%であった。
【0077】
さらに、バリアメタル層としてW層を形成した場合、スパッタリング時の入力パワーを1000Wとした従来技術では、金属粒径が112nmであり、発振不良率が19.4%であった。これに対して、スパッタリング時の入力パワーを5000Wとした場合には、金属粒径が33nmであり、発振不良率が7.2%であった。
【0078】
このように、バリアメタル層13BとしてMo、Ti、PtおよびWのいずれかを用いた場合、何れも、金属粒径が40nm以下であり、発振不良率を従来技術よりも大幅に低減することができた。また、発振不良が生じたチップの断面観察を行った結果、メッキ液の侵入による化合物半導体層のエッチングは確認されなかった。
【0079】
図4(a)〜図4(d)および図5(a)〜図5(d)は、Mo層、Ti層、Pt層およびW層の何れかからなるバリアメタル層13をスパッタリングする際に、入力パワーを1000W、2000W、3000W、4000Wおよび5000Wに変化させて、バリアメタル層13の金属粒径(nm)および発振不良率(パーセント)を測定した結果を示すグラフである。
【0080】
図4において、縦軸はバリアメタル層の金属粒径(nm)、横軸はスパッタリング時の入力パワー(W)を示している。また、図5において、縦軸は半導体レーザ素子の発振不良率(パーセント)、横軸はスパッタリング時の入力パワー(W)を示している。
【0081】
図4および図5に示すように、スパッタリングによりバリアメタル層としてMo層、Ti層、Pt層およびW層のいずれかを形成する際に、何れも、スパッタリング時の入力パワーが2000W以上5000W以下に設定することによって、スパッタリング時の入力パワーを1000Wとした従来技術の場合に比べて、バリアメタル層13の膜質を、従来技術のような多孔質ではなく、上記実施形態1,2のバリアメタル層13A,13Bのように緻密な繊維状の多結晶膜とし、バリアメタル層13A,13Bのように金属粒径を50nm以下として金属粒径が半分以下に小さくすることができる。これによって、電解メッキ法により電極層や配線層を形成する化合物半導体素子において、メッキ液がバリアメタル層13A,13Bを物理的に通り抜けたり、エッチングして化合物半導体層に浸入し、発振不良や電気特性不良などの素子特性不良を抑制して、発振不良率も大幅に低減することができる。
【0082】
なお、上記実施形態1,2では、GaAs/GaAlAs系赤外レーザ素子20A,20Bの製造に本発明を適用した例について説明したが、メッキ法としての電解メッキ法により導電層としての電極層または/および配線層を形成する化合物半導体素子であれば、半導体レーザ素子に限らず、粒径が小さく、結晶構造が繊維状組織構造であるバリアメタル層13(上記実施形態1,2ではバリアメタル層13Aまたは13B)を形成して、メッキ液の通り抜けやバリアメタル層13Aまたは13Bのエッチングによる電気的特性不良を防ぐことができる。特に、本発明はリッジストライプ構造のような段差を有するバリアメタル層に有効である。
【0083】
また、上記実施形態1,2では、特に説明しなかったが、本発明の化合物半導体素子の製造方法は、バリアメタル層を、1500W以上5000W以下の入力パワー、より好ましくは、2000W以上5000W以下の入力パワーでスパッタリング法により形成するバリアメタル層形成工程を有していれば、メッキ液がバリアメタル層を物理的に通り抜けたり、エッチングして化合物半導体層に浸入して、発振不良や電気特性不良などの素子特性不良が生じることを抑制する本発明の目的を達成することができる。
【0084】
本発明の化合物半導体素子の製造方法については、化合物半導体からなる積層構造上にバリアメタル層13Aまたは13Bの下地層としてAuZn金属層14(またはAuBe金属層)を形成する金属層形成工程と、このバリアメタル層13Aまたは13Bを、1500W以上5000W以下の入力パワーでスパッタリング法により形成するバリアメタル層形成工程と、このバリアメタル層13Aまたは13B上に、メッキ法により導電層(Auメッキ層14)を形成する導電層形成工程とを有している。これを半導体レーザ素子に適用すると、レーザ発振を行うための電流通路となるリッジストライプ構造の側面が埋め込み半導体層(n−GaAs電流ブロック層11)によって埋め込まれ、リッジストライプ構造および埋め込み半導体層(n−GaAs電流ブロック層11)上にわたってバリアメタル層13Aまたは13Bを介して導電層(Auメッキ層14)が設けられた半導体レーザ素子20Aまたは20Bを構成することができる。具体的に説明すると、半導体基板(n−GaAs基板1)上に活性層5を下部クラッド層(第1n−GaAlAsクラッド層3および第2n−GaAlAsクラッド層4)および上部クラッド層(第1p−GaAlAsクラッド層6)で挟んだ発光部が設けられ、上部クラッド層(第1p−GaAlAsクラッド層6)上にリッジ形状の上部クラッド層(第2p−GaAlAsクラッド層8)が設けられ、リッジ形状の上部クラッド層(第2p−GaAlAsクラッド層8)の側面が埋め込み半導体層(n−GaAs電流ブロック層11)によって埋め込まれ、リッジ形状の上部クラッド層(第2p−GaAlAsクラッド層8)および埋め込み半導体層(n−GaAs電流ブロック層11)の積層構造上にわたってバリアメタル層13Aまたは13Bを介して導電層(Auメッキ層14)が設けられてリッジストライプ構造の半導体レーザ素子20Aまたは20Bを構成することができる。
【0085】
さらに、上記実施形態1,2では、本発明の化合物半導体素子の製造方法において、バリアメタル層13Aまたは13Bは、高融点金属材料として、Mo、Ti、PtおよびWの材料のうちから選択された少なくとも1種類以上の材料からなっていることについて説明したが、ZrおよびHfの材料をさらに含んで、バリアメタル層13Aまたは13Bは、高融点金属材料として、Mo、Ti、Pt、W、ZrおよびHfのうちから選択された少なくとも1種類以上の材料からなっていてもよい。
【0086】
以上のように、本発明の好ましい実施形態1,2を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態1,2に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態1,2の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明は、CD−R/RWおよびDVD−R/RWなどに使用される化合物半導体素子およびその製造方法、この化合物半導体素子の製造方法により製造された化合物半導体素子としての半導体レーザ素子の分野において、バリアメタル層をスパッタリングにより形成する際に、スパッタリング時の入力パワーを2000W以上5000W以下に設定することにより、バリアメタル層の膜質を緻密な繊維状構造にして、金属粒径を50nm以下に小さくすることができる。これにより、その上に電極層または配線層を電解メッキ法により形成する際に、メッキ液のバリアメタル層への物理的侵入と、メッキ液によるバリアメタル層のエッチングを防いで、特性不良が少なく、信頼性に優れた化合物半導体素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】(a)〜(g)は、本発明の実施形態1に係るGaAs/GaAlAs系赤外レーザ素子の各製造工程を説明するための要部縦断面図である。
【図2】本発明の実施形態1に係る化合物半導体素子の製造方法により形成されるバリアメタル層の要部縦断面模式図である。
【図3】本発明の実施形態2に係る化合物半導体素子の製造方法により形成されるバリアメタル層の要部縦断面模式図である。
【図4】(a)〜(d)はそれぞれ、Mo層、Ti層、Pt層およびW層のいずれかからなるバリアメタル層をスパッタリングする際に、入力パワーを1000W、2000W、3000W、4000Wおよび5000Wに変化させて、バリアメタル層の金属粒径(nm)を測定した結果を示すグラフである。
【図5】(a)〜(d)はそれぞれ、Mo層、Ti層、Pt層およびW層のいずれかからなるバリアメタル層をスパッタリングする際に、入力パワーを1000W、2000W、3000W、4000Wおよび5000Wに変化させて、発振不良率(パーセント)を測定した結果を示すグラフである。
【図6】(a)〜(g)は、従来のGaAs/GaAlAs系赤外レーザ素子の各製造工程を説明するための要部縦断面図である。
【図7】従来の化合物半導体素子の製造方法により形成されるバリアメタル層の要部縦断面模式図である。
【符号の説明】
【0089】
1 n−GaAs基板
2 GaAsバッファ層
3 第1n−GaAlAsクラッド層
4 第2n−GaAlAsクラッド層
5 活性層
6 第1p−GaAlAsクラッド層
7 GaAsエッチングストップ層
8 第2p−GaAlAsクラッド層
9 p−GaAsキャップ層
10 レジストマスク
11 n−GaAs電流ブロック層
12 AuZn電極層
13A、13B バリアメタル層
14 Auメッキ層
15 バリアメタルが薄くなっている部分(凹み部)
20A、20B GaAs/GaAlAs系赤外レーザ素子(レーザチップ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物半導体からなる積層構造上にバリアメタル層を介して導電層が設けられた化合物半導体素子を製造する化合物半導体素子の製造方法において、
該バリアメタル層を、1500W以上5000W以下の入力パワーでスパッタリング法により形成するバリアメタル層形成工程を有する化合物半導体素子の製造方法。
【請求項2】
前記バリアメタル層形成工程は、2000W以上5000W以下の入力パワーで前記バリアメタル層を形成する請求項1に記載の化合物半導体素子の製造方法。
【請求項3】
前記バリアメタル層上に、メッキ法により前記導電層を形成する導電層形成工程をさらに有する請求項1に記載の化合物半導体素子の製造方法。
【請求項4】
前記導電層は、電極層および配線層の少なくともいずれかである請求項1または3に記載の化合物半導体素子の製造方法。
【請求項5】
前記導電層は、Au層である請求項1、3および4のいずれかに記載の化合物半導体素子の製造方法。
【請求項6】
前記バリアメタル層を、段差を有する半導体基板または段差を有する半導体積層構造上に形成する請求項1〜3のいずれかに記載の化合物半導体素子の製造方法。
【請求項7】
前記バリアメタル層形成工程の前に、前記化合物半導体からなる積層構造上に前記バリアメタル層の下地層としてAuZn金属層またはAuBe金属層を形成する金属層形成工程をさらに有する請求項1に記載の化合物半導体素子の製造方法。
【請求項8】
前記バリアメタル層の層厚は、0.5μm以上2μm以下である請求項1〜3および6のいずれかに記載の化合物半導体素子の製造方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の化合物半導体素子の製造方法によって製造された化合物半導体素子であって、
前記化合物半導体からなる積層構造上に、結晶の粒径が10nm以上50nm以下で緻密な繊維状組織構造を有するバリアメタル層を介して前記導電層が設けられている化合物半導体素子。
【請求項10】
前記バリアメタル層は、高融点金属材料からなっている請求項9に記載の化合物半導体素子。
【請求項11】
前記バリアメタル層は、Mo、Ti、Pt、W、ZrおよびHfの材料のうちから選択された少なくとも1種類以上の材料からなっている請求項9または10に記載の化合物半導体素子。
【請求項12】
前記バリアメタル層の下地層としてAuZn金属層またはAuBe金属層が設けられている請求項9〜11のいずれかに記載の化合物半導体素子。
【請求項13】
前記バリアメタル層上に前記導電層としてAu層が形成されている請求項9に記載の化合物半導体素子。
【請求項14】
レーザ発振を行うための電流通路となるリッジストライプ構造の側面が埋め込み半導体層によって埋め込まれ、該リッジストライプ構造および該埋め込み半導体層上にわたって前記バリアメタル層を介して前記導電層が設けられた半導体レーザ素子が構成されている請求項9〜13のいずれかに記載の化合物半導体素子。
【請求項15】
半導体基板上に活性層を下部クラッド層および上部クラッド層で挟んだ発光部が設けられ、該上部クラッド層上にリッジ形状の上部クラッド層が設けられ、該リッジ形状の上部クラッド層の側面が前記埋め込み半導体層によって埋め込まれ、該リッジ形状の上部クラッド層および該埋め込み半導体層の積層構造上にわたって前記バリアメタル層を介して前記導電層が設けられて前記リッジストライプ構造の半導体レーザ素子が構成されている請求項14に記載の化合物半導体素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−16563(P2008−16563A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−184815(P2006−184815)
【出願日】平成18年7月4日(2006.7.4)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】