説明

化粧用組成物または医薬組成物を調製するための、有機変性シロキサンブロックコポリマーの使用

【課題】有機変性シロキサンブロックコポリマーを含む乳化剤システムを提供する。
【解決手段】本発明は、有機変性シロキサンブロックコポリマーを含む乳化剤システム、それらの使用、特に、化粧用製剤、皮膚外用製剤または医薬製剤の調製、ならびにケアおよび洗浄用組成物の調製、また該乳化剤システムの助けを借りて調製される製品そのものにも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機変性シロキサンブロックコポリマーを含む乳化剤システム、およびこれらの乳化剤システムを含む化粧用製剤、皮膚外用製剤または医薬製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
有機変性シロキサンは、極めて多種多様な用途で使用される。それらの特性は、とりわけ、変性の種類によって、また変性密度によっても、調整することができる。
【0003】
したがって、たとえば、アリルポリエーテルを使用して、有機親和性基または非イオン性親水基をシロキサン骨格に結びつけることが可能である。この種の化合物は、たとえば、ポリウレタンフォーム安定剤として、燃料の消泡剤として、または塗料やコーティングの添加物として、使用される。
【0004】
したがって、たとえば、ドイツ特許第102005001041号は、官能化ポリ有機シロキサンおよび、燃料用消泡剤としてのそれらの使用について記述している。ここに記載のシロキサンにおけるアリルポリエーテルは、適切であれば、炭化水素基により合成を変更することによって、代替することができる。
【0005】
概して、シロキサンは、たとえば、疎水基を有するα−オレフィンとの反応によって連結され得る。このようにして得られるシリコーンワックスは、たとえば、パーソナルケア用途で、添加物の役割を果たす。
【0006】
シロキサンの作用が、当該製剤との相溶性に決定的に依存することは、多くの利用分野で明らかである。
【0007】
好適な化粧用乳化剤は、たとえば、α−オレフィンを基本とする脂肪族基に加えてポリエーテルを担持するシロキサンである。ここでの代表例は、Evonik Goldschmidt GmbH (ドイツ)から販売されている商品ABIL EM 90であり、特に油中水型(W/O)乳化物の優れた安定化という理由で、卓越している。
【0008】
水中油型(O/W)乳化物用のシロキサン系乳化剤は、比較的親水性でなければならず、そのため、これらの製品は、一般に純粋なポリエーテルシロキサンである。
【0009】
欧州特許第1125574号は、O/W乳化剤として、ポリエーテル基がシロキサン骨格上のα−ω位または末端位にある、比較的疎水性のポリエーテルシロキサンについて記述している。こうした構造物は、特にビロードや絹のような(velvety silky)皮膚感触のため卓越しており、化粧用乳化物に組み入れることが可能である。
【0010】
これらの構造物を使用する欠点は、乳化性がしばしば不十分なことである。
【0011】
欧州特許第0298402号は、油中水型乳化物における乳化剤としての有機ポリシロキサン−ポリオキシアルキレンの使用について記述しており、また既知の最も密接な先行技術である。上述の有機ポリシロキサン−ポリオキシアルキレンは、可能な限り短い非加水分解性架橋剤によって、2つの有機ポリシロキサン−ポリオキシアルキレン分子が結合される点で区別される。こうしたポリマーを調製する間、ビニル系架橋剤の、連結される有機ポリシロキサン−ポリオキシアルキレン分子に対するモル比は、非常に大きい。このことが、不利益となる副生成物をもたらす。このような理由でも、欧州特許第0298402号に記載の乳化剤システムは、とりわけ、制限付きでのみ化粧品用途に適する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明の目的は、O/W乳化物およびW/O乳化物の両者で、高性能乳化剤として使用することができ、特に、O/W乳化物では、ビロードや絹のような皮膚感触と優れた乳化特性を兼備することができる、新型の有機変性シロキサンを開発することであった。
【0013】
さらに、これらのシロキサンは、好ましくは当然処理しやすく(室温で液体)、また製剤の中で、従来のシロキサンと混合できる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
驚くべきことに、請求項1に記載の方法で調製される有機変性シロキサンブロックコポリマーは、特に化粧用製剤、皮膚外用製剤または医薬製剤用の高性能乳化剤であり、本目的を達成することができることが分かった。
【0015】
本発明はしたがって、請求項1に記載の方法で調製される有機変性シロキサンブロックコポリマーを含む、乳化剤システムを提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明による乳化剤システムの具体的な利点は、それらの優れた乳化特性および安定化特性である。
【0017】
さらなる利点は、ビロードや絹のような皮膚感触を化粧用製剤に組み入れることを可能にすることである。化粧用製剤が容易に広げられて皮膚によく吸収されるばかりではなく、吸収後、滑らかで、柔らかく、ビロードのような印象が残ることをますます重要であると消費者が考えている限りは、このことは重要である。
【0018】
本発明による乳化剤システムのさらなる利点は、ラテラルに変性されたシロキサンの特性およびα,ω−変性されたシロキサンの特性を兼備すること、したがって、多数の置換選択肢という意味で、変性の度合いがより高いことである。
【0019】
本発明をこれらの典型的な実施態様に限定することを少しも意図せずに、例として、本発明の乳化剤システムを以下に説明する。範囲、一般式または化合物クラスが後述される場合、これらは明確に記述された化合物の対応する範囲または群ばかりではなく、個々の値(範囲)または化合物を外すことによって得られる化合物の全ての範囲および亜群もまた含むことを意図する。本記述の文脈で文献を引用する場合、それらの内容全体が本発明の開示内容に属するものとする。本発明の文脈で、化合物、たとえば、異なるユニットを数倍有する可能性がある有機変性ポリシロキサンを記述する場合、こうしたユニットは、これらの化合物にランダム分布で出現することもあり(ランダムオリゴマー)、整列していることもある(ブロックオリゴマー)。このような化合物中のユニット数に関連するデータは、対応する化合物全てを平均した平均値と理解されたい。本発明の文脈で、乳化剤システムは、少なくとも1つの一般式(I)の物質および場合により少なくとも1つの共乳化剤を含む乳化剤を意味すると理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明はしたがって、
A)一般式I
【化1】

(式中、
は、同一かまたは異なる、分岐または非分岐の、1〜20個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基であり、
は、RまたはHであり、但し少なくとも3つの基RはHであり、
aは、5〜500、好ましくは10〜250、特に15〜75であり、
bは、1〜50、好ましくは1〜20、特に3〜15であり、
cは、0〜5、好ましくは0〜1、特に0である)
の有機ポリシロキサンの、
二重結合を含む一般式II
【化2】

(式中、
dは、10〜1000、好ましくは101〜750、特に201〜500であり、かつ
は、互いに独立に、2〜12個、好ましくは2〜8個、特に2個の炭素原子を有し、かつ少なくとも1つの二重結合を含む、同一かまたは異なる炭化水素基である)
のシロキサンへの、白金触媒またはロジウム触媒の存在下での付加反応
(但し、一般式Iの有機ポリシロキサンは、二重結合を含む一般式IIのシロキサンを基準にして少なくとも6倍モル過剰で存在し、これによりSi−H基を有する反応生成物が得られ、かつ反応段階の少なくとも1つでその反応生成物がさらに反応する)、
B)遷移金属触媒による、アルケニル化合物および/またはアルキニル化合物への、好ましくは二重結合含有ポリエーテルおよびα−オレフィンへの、特にアリルポリエーテルへの、SiH基の部分的または完全付加
あるいは
C)触媒の存在下、直鎖または分岐の、飽和、一価不飽和または多価不飽和の、芳香族、脂肪族―芳香族、場合によりハロゲン原子含有の、モノアルコール、ポリエーテルモノアルコール、ポリエステルモノアルコール、アミノアルコールの群からの少なくとも1つのアルコールと、上述の反応後に残っているSi−H基の、部分的反応または完全反応
によって調製されている有機変性シロキサンブロックコポリマーを含む乳化剤システムを提供する。
【0021】
基Rは、好ましくは、同一かまたは異なる、1〜20個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基であり、さらに好ましくは、同一かまたは異なる非分岐の、1〜9個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基であり、特に好ましくはメチル、エチルまたはフェニルである。
【0022】
一般式IのSiH基担持有機ポリシロキサンが、一般式IIの二重結合含有シロキサンを基準にして、少なくとも6倍モル過剰で存在するという条件は、ネットワークの形成および生じる高粘性生成物の形成を防止する。一般に、前述の2つ方法のうち1つで調製される有機シロキサンは、10000mPasまでの粘度を有する。ある一定の割合の有機シロキサンが、櫛形変性シロキサンの形で生成物に存在してもよい。
【0023】
選択された反応条件のため、二重結合含有シロキサンおよびSi官能性シロキサンは、第一段階で、下式III(c=0、R=Me、R=R=MeまたはH):
【化3】

(式中、m、n、o、pおよびqは、正の整数である。)
で示される理想化された「H構造」のシロキサンを形成する。
【0024】
このシロキサン骨格は、次の反応段階の間ずっと保持される。本シロキサンポリマーの合成は、溶剤があってもなくても行うことができる。起こり得る発泡は、溶媒の使用により抑制することができる。好適な溶剤は、たとえば、トルエンおよびシクロヘキサンである。
【0025】
第1ステップ、二重結合含有シロキサンA)のヒドロシリル化に、使用できる有効な触媒は、ヒドロシリル化−活性触媒として当業者に周知のPt含有錯体およびRh含有錯体、たとえば:HPtCl、Pt[(CH=CH−SiMeO]またはRh(CO)(C)である。
【0026】
結果として生じたSiH−含有シロキサンへの、工程段階C)におけるアルコールの付加反応には、たとえば、ルイス酸、好ましくはホウ素含有ルイス酸を使用することが可能である。使用することが可能な触媒システムのホウ素含有化合物は、フッ素化有機ホウ素化合物および/または非フッ素化有機ホウ素化合物、特に、(C)(CB;(CB;(C)BF;BF(C;B(C;BCl(C);BCl(C;B(C)(C;B(C(C);[C(m−CF)]B;[C(p−OCF)]B;(C)B(OH);(CBOH;(CBH;(C)BH;(C11)B(C;(C14B)(C);(CB(OC);(CB−CHCHSi(CH
【化4】

から選択されるものであり、特に好ましくはトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン[CAS No.1109−15−5]、および上記触媒の混合物である。
【0027】
これらのホウ素含有触媒を使用するとき、さらに、相乗的に有効な化合物を使用することが可能である。これらの中には、第4、第6、第7および第8亜族ならびに第4族主族の元素の塩の群から選択される、塩または陽イオンとの錯体が含まれる。使用することが可能な触媒システムの相乗的に活性な化合物の陰イオンは、好ましくはアルコキシレート、酸性陰イオン、特にカルボキシレート、サルフェート、ニトレートまたはホフェート、ハライド、特に塩化物、酸化物または錯体リガンド、特にアセチルアセトネートまたはカルボニルである。
【0028】
加えて、ドイツ特許第10312634.1号は、少なくとも1つのカルボン酸および少なくとも1つのカルボン酸の塩を含む触媒混合物を使用して、水素シロキサンとアルコールを連結することにより、有機変性したポリ有機シロキサンを調製する方法を記述している。これらの触媒は、工程段階C)でも使用することができる。
【0029】
好適なアルコールは、たとえば、直鎖または分岐の、飽和、一価不飽和または多価不飽和の、芳香族、脂肪族−芳香族の、モノアルコールまたは多価アルコール、ポリエーテルモノアルコール、ポリエーテル多価アルコール、ポリエステルモノアルコール、ポリエステル多価アルコール、アミノアルコール、特にN−アルキル−、アリールアミノ−EO−、−PO−アルコール(EOは、ポリエチレンオキシド基を表し、POは、ポリプロピレンオキシド基を表す)、N−アルキル−またはアリールアミノアルコール、およびそれらの混合物である。ポリエーテルモノアルコールは特に好適である。
【0030】
第一ステップで調製されたシロキサンのSiH基を、工程段階B)において、遷移金属触媒により、CC多重結合に付加するために使用することができる有効な触媒は、既知のヒドロシリル化触媒、たとえば:HPtCl、Pt[(CH=CH−SiMeO]またはRh(CO)(C)である。
【0031】
好適なアルケニル/アルキニル化合物は、たとえば、多重結合を有するポリエーテル、たとえばブタンジオールアルコキシレートまたはアリル官能性ポリエーテル、オレフィン、エテン、エチン、プロペン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ドデセン、1−ヘキサデセン、アリルアルコール、ヘクス−5−エン−1−オール、スチレン、オイゲノール、アリルフェノール、メチルウンデシルネートである。特に好適なものは、二重結合を含むポリエーテル、特にアリル官能性ポリエーテルである。
【0032】
本発明による乳化剤システムは、好ましくは、水中油型乳化剤、油中水型乳化剤またはシリコーン中水型乳化剤あるいは分散助剤として使用される。本発明はしたがって、本発明による乳化剤システムの少なくとも1つを含む分散物または乳化物もまた提供する。
【0033】
本乳化剤システムは好ましくは、織物用O/W含浸乳化物の調製にも使用される。その織物は好ましくは、ウェットワイプ、特に好ましくは化粧用ウェットワイプである。
【0034】
全質量を基準にして、本発明による乳化物および分散物は、乳化剤、界面活性剤および場合により共乳化剤の質量パーセントより多い質量パーセントの油成分を含む。
【0035】
本発明による乳化剤システムの助けをかりて得られる水中油型乳化物、油中水型乳化物およびシリコーン中水型乳化物ならびに分散物、さらに織物用O/W含浸乳化物も、本発明により同様に提供される。本発明によるO/W含浸乳化物を含浸した織物は、本発明により同様に提供される。これらは、すぐれた洗浄力および心地よくビロードのように滑らかな皮膚感触によって区別される。
【0036】
本発明はさらに、化粧用製剤、皮膚外用製剤または医薬製剤を調製するための、本発明による乳化剤システムの使用を提供する。本発明は同様に、化粧用製剤、皮膚外用製剤または医薬製剤を調製するための本発明による乳化物および分散物の使用を提供する。
【0037】
少なくとも1つの本発明の乳化剤システムあるいは少なくとも1つの本発明の乳化物または分散物を含む化粧用製剤、皮膚外用製剤または医薬製剤は同様に、本発明によって提供される。
【0038】
本発明はさらに、家庭用または産業用、特に硬表面用、皮革用または織物用の、場合により分散した固体を含む、ケアおよび洗浄用組成物を調製するための、本発明による乳化剤システム、あるいは乳化物または分散物の使用を提供する。家庭用または産業用のケアおよび洗浄用組成物ならびに硬表面用、皮革用または織物用のケアおよび洗浄用組成物は同様に、本発明によって提供される。
【0039】
本化粧用製剤、皮膚外用製剤または医薬製剤ならびに本ケアおよび洗浄用組成物は、たとえば、
皮膚軟化剤、
乳化剤および界面活性剤、
増粘剤/粘度調節剤/安定剤、
UV光防御用フィルター、
酸化防止剤、
ヒドロトロープ(またはポリオール)、
固体およびフィラー、
膜形成剤、
真珠光沢添加物、
消臭および制汗有効成分、
防虫剤、
セルフタンニング剤、
保存料、
コンディショナー、
香料、
染料、
化粧用有効成分、
ケア用添加物、
過脂肪剤、
溶剤、
の群から選択される少なくとも1つの追加的成分を含むことができる。
【0040】
使用できる皮膚軟化剤は、全ての化粧オイル、特に2〜44個の炭素原子を有する直鎖および/または分岐したモノカルボン酸および/またはジカルボン酸と、1〜22個の炭素原子を有する直鎖および/または分岐した飽和または不飽和のアルコールとのモノエステルまたはジエステルである。同様に、2〜36個の炭素原子を有する脂肪族二官能性アルコールと、1〜22個の炭素原子を有する単官能性脂肪族カルボン酸との、エステル化生成物を使用することが可能である。長鎖アリール酸エステル、たとえば、安息香酸のエステル、たとえば1〜22個の炭素原子を有する直鎖または分岐した、飽和または不飽和のアルコールの安息香酸エステル、あるいは安息香酸イソステアリルまたは安息香酸オクチルドデシルも好適である。皮膚軟化剤および油成分として好適なさらなるモノエステルは、たとえば、12〜22個の炭素原子を有する脂肪酸のメチルエステルおよびイソプロピルエステル、たとえば、ラウリン酸メチル、ステアリン酸メチル、オレインン酸メチル、エルカ酸メチル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、オレイン酸イソプロピル等である。その他の好適なモノエステルは、たとえば、ステアリン酸n−ブチル、ラウリン酸n−ヘキシル、オレイン酸n−デシル、ステアリン酸イソオクチル、パルミチン酸イソノニル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ラウリン酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−オクチルドデシル、オレイン酸オレイル、エルカ酸オレイル、オレイン酸エルシル、ならびにテクニカルグレードの脂肪族アルコール留分およびテクニカルグレードの脂肪族カルボン酸混合物から得られるエステル、たとえば、動物脂肪および植物脂肪から入手できるような12〜22個の炭素原子を有する不飽和脂肪アルコールと12〜22個の炭素原子を有する飽和および不飽和脂肪酸のエステルである。しかし、たとえばホホバオイルまたはマッコウ鯨油中に存在する、天然のモノエステルおよび/またはワックスエステル混合物も好適である。好適なジカルボン酸エステルは、たとえば、アジピン酸ジ−n−ブチル、セバシン酸ジ−n−ブチル、アジピン酸ジ(2−エチルヘキシル)、コハク酸ジ(2−ヘキシルデシル)、アゼライン酸ジイソトリデシルである。好適なジオールエステルは、たとえば、ジオレイン酸エチレングリコール、ジイソトリデカン酸エチレングリコール、ジ(2−エチルヘキサン酸)プロピレングリコール、ジイソステアリン酸ブタンジオール、(ジカプリル酸/カプリン酸)ブタンジオールおよびジカプリル酸ネオペンチルグリコールである。皮膚軟化剤として使用できるさらなる脂肪酸エステルは、たとえば、C12〜15安息香酸アルキル、炭酸ジカプリリル、炭酸ジエチルヘキシルである。同様に使用できる皮膚軟化剤および油成分は、長鎖トリグリセリド、すなわち、グリセロールと、少なくとも1つが比較的長鎖である、3分子の酸とのトリプルエステルである。例として、ここでは脂肪酸トリグリセリドに言及する;皮膚軟化剤および油成分として使用することが可能なこのような例は、天然の、植物油、たとえばオリーブ油、ひまわり油、大豆油、ピーナッツ油、菜種油、アーモンドオイル、ゴマ油、アボカド油、ヒマシ油、カカオバター、ヤシ油、さらにヤシ油またはパーム核油の液体画分、ならびに動物油たとえば、サメ肝油、タラ肝油、鯨油、牛脂およびバター脂肪等、蜜蝋、カルナウバヤシワックス、鯨蝋、ラノリンおよび牛脚油等のワックス、牛脂の液体画分、さらにカプリン酸/カプリル酸混合物の合成トリグリセリド、テクニカルグレードオレイン酸のトリグリセリド、イソステアリン酸とのトリグリセリド、またはパルミチン酸/オレイン酸混合物からのトリグリセリドである。さらに、炭化水素、特に流動パラフィンおよびイソパラフィンもまた、使用できる。使用できる炭化水素の例は、パラフィンオイル、イソヘキサデカン、ポリデセン、ワセリン、流動パラフィン(Paraffinum perliquidum)、スクワラン、セレシンである。さらに、直鎖または分岐した脂肪アルコール、たとえばオレイルアルコールまたはオクチルドデカノール等、および脂肪アルコールエーテル、たとえばジカプリリルエーテル等も、使用することが可能である。好適なシリコーンオイルおよびシリコーンワックスは、たとえば、ポリジメチルシロキサン、シクロメチルシロキサン、ならびにアリール置換またはアルキルアリール置換またはアルコキシアリール置換されたポリメチルシロキサンまたはシクロメチルシロキサンである。好適なさらなる油体は、たとえば、6〜18、好ましくは8〜10個の炭素原子を有する脂肪アルコールを基本とするゲルベ(Guerbet)アルコール、直鎖C〜C22−脂肪酸と直鎖C〜C22−脂肪アルコールとのエステル、分岐したC〜C13−カルボン酸と直鎖C〜C22−脂肪アルコールとのエステル、直鎖C〜C22−脂肪酸と分岐したC〜C18−アルコール、特に2−エチルヘキサノールまたはイソノナノールとのエステル、分岐したC〜C13−カルボン酸と分岐したアルコール、特に2−エチルヘキサノールまたはイソノナノールとの、エステル、直鎖および/または分岐した脂肪酸と多価アルコール(たとえば、プロピレングリコール、ダイマージオールまたはトリマートリオール等)および/またはゲルベアルコールとのエステル、C〜C10脂肪酸を基本とするトリグリセリド、C〜C18−脂肪酸を基本とする液体モノ−/ジ−/トリグリセリド混合物、C〜C22−脂肪アルコールおよび/またはゲルベアルコールと芳香族カルボン酸、特に安息香酸とのエステル、植物油、分岐した一級アルコール、置換シクロヘキサン、直鎖C〜C22−脂肪アルコールカーボネート、ゲルベカーボネート、安息香酸と直鎖および/または分岐したC〜C22−アルコールとのエステル(たとえばFinsolvTM TN)、ジアルキルエーテル、ポリオールを用いたエポキシ化脂肪酸エステルの開環生成物、シリコーンオイルおよび/または脂肪族炭化水素またはナフテン炭化水素である。
【0041】
使用することが可能な乳化剤または界面活性剤は、非イオン性、陰イオン性、陽イオン性または両性の界面活性剤である。
【0042】
使用できる非イオン性乳化剤または界面活性剤は、以下の群の少なくとも1つからの化合物である:
8〜22個の炭素原子を有する直鎖脂肪アルコールへの、12〜22個の炭素原子を有する脂肪酸への、およびアルキル基中に8〜15個の炭素原子を有するアルキルフェノールへの、エチレンオキシド2〜100モルおよび/またはプロピレンオキシド0〜5モルの、付加生成物、
エチレンオキシド1〜100モルの、グリセロールへの付加生成物の、C12/18−脂肪酸モノエステルおよびジエステル、
6〜22個の炭素原子を有する飽和および不飽和脂肪酸の、グリセロールモノエステルおよびジエステル、ならびにソルビタンモノエステルおよびジエステル、およびそれらのエチレンオキシド付加生成物、
8〜22個の炭素原子をアルキル基中に有するアルキルモノグリコシドおよびアルキルオリゴグリコシドならびにそれらのエチレンオキシド付加生成物、
エチレンオキシド2〜200モルの、ヒマシ油および/または水素化ヒマシ油への、付加生成物、
直鎖、分岐した、不飽和または飽和の、C〜C22−脂肪酸、リシノール酸、および12−ヒドロキシステアリン酸およびグリセロール、ポリグリセロール、ペンタエリトリトール、ジペンタエリスリトール、糖アルコール(たとえばソルビトール)、アルキルグルコシド(たとえばメチルグルコシド、ブチルグルコシド、ラウリルグルコシド)およびポリグルコシド(たとえばセルロース)を基本とする、部分エステル、
モノ−、ジ−およびトリアルキルリン酸、ならびにモノ−、ジ−および/またはトリ−PEGアルキルリン酸およびそれらの塩、
ポリシロキサン−ポリエーテルコポリマー(ジメチコンコポリオール)、たとえばPEG/PPG−20/6ジメチコン、PEG/PPG−20/20ジメチコン、ビス−PEG/PPG−20/20ジメチコン、PEG−12ジメチコン、PEG−14ジメチコン、PEG/PPG−14/4、PEG/PPG−4/12、PEG/PPG−20/20、PEG/PPG−18/18、PEG/PPG−17/18またはPEG/PPG−15/15等、
ポリシロキサン−ポリアルキル−ポリエーテルコポリマーおよび対応する誘導体、たとえば、ラウリルジメチコンコポリオールまたはセチルジメチコンコポリオール等、特にセチルPEG/PPG−10/1ジメチコン(ABIL(登録商標)EM90(Evonik))、
ドイツ特許第1165574号に記載のペンタエリトリトール、脂肪酸、クエン酸および脂肪アルコールの混合エステルおよび/または6〜22個の炭素原子を有する脂肪酸、メチルグルコースおよびポリオール、たとえば、グリセロールまたはポリグリセロール等の、混合エステル、
クエン酸エステル、たとえば、クエン酸ステアリン酸グリセリル、クエン酸オレイン酸グリセリルおよびクエン酸ジラウリル等。
【0043】
陰イオン性乳化剤または界面活性剤は、水可溶化陰イオン性基、たとえば、カルボキシレート基、サルフェート基、スルホネート基またはホスフェート基等、および親油性基を含むことができる。皮膚適合性陰イオン性界面活性剤は、当業者に数多く知られており、また市販されている。ここで皮膚適合性陰イオン性界面活性剤は、アルカリ金属塩、アンモニウム塩またはアルカノールアンモニウム塩の形のアルキル硫酸またはアルキルリン酸、アルキルエーテルサルフェート、アルキルエーテルカルボキシレート、サルコシン酸アシル、ならびにアルカリ金属塩またはアンモニウム塩の形のスルホサクシネートおよびアシルグルタメートであってもよい。
【0044】
陽イオン性乳化剤および界面活性剤も添加することができる。使用できるものは、特に、第4級アンモニウム化合物、特に8〜22個の炭素原子を有する少なくとも1つの直鎖および/または分岐した、飽和または不飽和アルキル鎖が付いているもの、たとえば、アルキルトリメチルアンモニウムハロゲン化物等、たとえば、セチルトリメチルアンモニウム塩化物または臭化物あるいはベヘニルトリメチルアンモニウム塩化物等、さらにジアルキルジメチルアンモニウムハロゲン化物、たとえば、ジステアリルジメチルアンモニウム塩化物等である。
【0045】
さらに、モノアルキルアミドコート(amidoquat)、たとえば、パルミトアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩化物または対応するジアルキルアミドコート等を、使用することができる。
【0046】
さらに、易生分解性第4級エステル化合物を使用することができる;これらは、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンまたはトリエタノールアミンを基本とする四級化脂肪酸エステルであってもよい。さらに、陽イオン性乳化剤として、アルキルグアニジニウム塩を添加することができる。
【0047】
マイルドな、すなわち、特に皮膚適合性の、界面活性剤の代表例は、脂肪アルコールポリグリコールエーテルサルフェート、モノグリセリドサルフェート、モノ−および/またはジアルキルスルホサクシネート、脂肪酸イセチオネート、脂肪酸サルコシネート、脂肪酸タウリド、脂肪酸グルタメート、エーテルカルボン酸、アルキルオリゴグルコシド、脂肪酸グルカミド、アルキルアミドベタインおよび/または蛋白質脂肪酸縮合物であり、後者は、たとえば小麦蛋白質を基本とする。
【0048】
さらに、両性界面活性剤、たとえば、ベタイン、アンホアセテートまたはアンホプロピオネート等、したがって、たとえば、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムグリシネート、たとえばココアルキルジメチルアンモニウムグリシネート、N−アシルアミノプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムグリシネート、たとえばココアシルアミノプロピルジメチルアンモニウムグリシネート、およびいずれの場合にも8〜18個の炭素原子をアルキル基またはアシル基中に有する2−アルキル−3−カルボキシメチル−3−ヒドロキシエチルイミダゾリン、さらにココアシルアミノエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルグリシネート等の物質を使用することが可能である。
【0049】
両電界質界面活性剤の中で、分子内のC8/18−アルキル基またはC8/18−アシル基は別として、少なくとも1つの遊離アミノ基および少なくとも1つの−COOH基または−SOH基を含み、かつ内部塩を形成することができる界面活性化合物を使用することが可能である。好適な両電界質界面活性剤の例は、それぞれの場合に約8〜18個の炭素原子をアルキル基中に有する、N−アルキルグリシン、N−アルキルプロピオン酸、N−アルキルアミノ酪酸、N−アルキルイミノジプロピオン酸、N−ヒドロキシエチル−N−アルキルアミドプロピルグリシン、N−アルキルタウリン、N−アルキルサルコシン、2−アルキルアミノプロピオン酸およびアルキルアミノ酢酸である。両電界質界面活性剤のさらなる例は、N−ココアルキルアミノプロピオネート、ココアシルアミノエチルアミノプロピオネートおよびC12/18−アシルサルコシンである。
【0050】
好適な増粘剤は、たとえば、多糖類、特にキサンタンガム、グアー、寒天、アルギネートおよびチロース、カルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロース、ならびに比較的高分子量の、脂肪酸のポリエチレングリコールモノエステルおよびジエステル、ポリアクリレート(たとえば、Carbopols TMまたはSynthalens TM)、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコールおよびポリビニルピロリドン、界面活性剤、たとえば、エトキシル化脂肪酸グリセリド、脂肪酸と、たとえば、ペンタエリトリトールまたはトリメチロールプロパン等のポリオールとのエステル、同族体分布の狭い脂肪アルコールエトキシレートまたはアルキルオリゴグルコシド等、ならびに塩化ナトリウムおよび塩化アンモニウム等の電解質である。
【0051】
油相を増粘するのに好適な増粘剤は、当業者に周知の全ての増粘剤である。特に、ここでは、水素化ヒマシ油ワックス、蜜蝋またはマイクロワックス等の、ワックスに言及する。さらに、シリカ、アルミナまたはシート状ケイ酸塩(たとえばヘクトライト、ラポナイト、サポナイト)等の、無機増粘剤も使用することができる。これに関連して、こうした無機油相増粘剤は、疎水的に変性することが可能である。油中水型乳化物を増粘/安定化するために、特にアエロジル、シート状ケイ酸塩および/または脂肪酸の金属塩、たとえば、ステアリン酸亜鉛等を、ここで使用することができる。
【0052】
存在してもよい水性界面活性剤システム用の粘度調節剤は、たとえばNaCl、ココアミドDEA/MEAおよびラウレス−3等の低分子量非イオン性界面活性剤、または水添パーム油脂肪酸PEG−200グリセリル等の重合体、高分子量、会合性、高エトキシル化脂肪誘導体である。
【0053】
使用できるUV光防御用フィルターは、たとえば、紫外線を吸収することができ、また吸収したエネルギーを、より長い波長の放射、たとえば熱の形で、再び放出する有機物である。UVBフィルターは、油溶性であってもよく、水溶性であってもよい。油溶性UVB光防御用フィルターの例は:
3―ベンジリデンカンファーおよびその誘導体、たとえば3―(4―メチルベンジリデン)カンファー、
4−アミノ安息香酸誘導体、たとえば、4−(ジメチルアミノ)安息香酸2−エチルヘキシルおよび4−(ジメチルアミノ)安息香酸アミル等、
桂皮酸のエステル、たとえば4−メトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル、4−メトキシ桂皮酸イソペンチル、2−シアノ−3−フェニル桂皮酸2−エチルヘキシル(オクトクリレン)等、
サリチル酸のエステル、たとえば、2−サリチル酸エチルヘキシル、サリチル酸4−イソプロピルベンジル、サリチル酸ホモメンチル等、
ベンゾフェノンの誘導体、たとえば、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’―メチルベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等、
ベンザルマロン酸のエステル、たとえば、4−メトキシベンザルマロン酸ジ−2−エチルヘキシル等、
トリアジン誘導体、たとえば、2,4,6−トリアニリノ−(p−カルボ−2’−エチル−1’−ヘキシルオキシ)−1,3,5−トリアジンおよびオクチルトリアゾン等、
プロパン-1,3-ジオン、たとえば、1ー(4-tert-ブチルフェニル)−3−(4’−メトキシフェニル)プロパン−1,3−ジオン等、
である。
【0054】
好適な水溶性UVB光防御用フィルターは:
2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸およびそのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アルキルアンモニウム塩、アルカノールアンモニウム塩およびグルカンモニウム塩、
ベンゾフェノンのスルホン酸誘導体、たとえば、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸およびその塩等、
3−ベンジリデンカンファーのスルホン酸誘導体、たとえば、4−(2−オキソ−3−ボルニリデンメチル)ベンゼンスルホン酸および2−メチル−5−(2−オキソ−3−ボルニリデン)スルホン酸ならびにそれらの塩等、
である。
【0055】
好適な代表的UVA光防御用フィルターは、特にベンゾイルメタンの誘導体、たとえば、1−(4’−tert−ブチルフェニル)−3−(4’−メトキシフェニル)プロパン−1、3−ジオンまたは1−フェニル−3−(4’−イソプロピルフェニル)プロパン−1,3−ジオン等である。UV−AおよびUV−Bフィルターは、もちろん混合物で使用することもできる。
【0056】
明記された可溶性物質に加えて、不溶性顔料、すなわち微細分散金属酸化物または塩、たとえば、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、ケイ酸塩(タルク)、硫酸バリウムおよびステアリン酸亜鉛もまた、この目的に適する。本明細書の粒子は、100nm未満、たとえば5〜50nm、特に15〜30nmの、平均直径を有することが望ましい。本粒子は球形をもつことができるが、楕円形または何か他の方法で球形から逸脱する形をもつ粒子を使用することも可能である。比較的新しいクラスの光防御用フィルターは、微粒子化有機顔料、たとえば、50%強度の水分散液として得られる、粒径<200nmの、2,2’−メチレンビス{6−(2H-ベンゾトリアゾール-2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール}等である。
【0057】
さらなる好適なUV光防御用フィルターは、SOEFW-Journal 122, 543 (1996)のP. Finkel による概説にある。前述の2群の第一次UV光防御用フィルターに加えて、紫外線放射が皮膚に浸透したときに誘発される光化学反応連鎖を中断する酸化防止剤型の、二次的な光防御剤を使用することも可能である。使用できる酸化防止剤は、たとえば、スーパーオキシドジスムターゼ、トコフェロール(ビタミンE)、ジブチルヒドロキシトルエンおよびアスコルビン酸(ビタミンC)である。
【0058】
流動挙動および適用特性を改良するために使用することができるヒドロトロープは、たとえば、エタノール、イソプロピルアルコールまたはポリオールである。本明細書で好適なポリオールは、2〜15個の炭素原子および少なくとも2つのヒドロキシル基を有することができる。
【0059】
代表例は:
グリセロールアルキレングリコール、たとえば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、および平均分子量が100〜1000ダルトンのポリエチレングリコール等、自己縮合度が1.5〜10のテクニカルグレードオリゴグリセロール混合物、たとえば、ジグリセロール含量が40〜50重量%のテクニカルグレードジグリセロール混合物等、メチロール化合物、特にトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ペンタエリトリトールおよびジペンタエリスリトール等、低級アルキルグルコシド、特に1〜4個の炭素原子がアルキル基中にあるもの、たとえば、メチルグルコシドおよびブチルグルコシド等、5〜12個の炭素原子を有する糖アルコール、たとえば、ソルビトールまたはマンニトール、5〜12個の炭素原子を有する糖、たとえば、グルコースまたはスクロース等、アミノ糖、たとえば、グルカミン等、
である。
【0060】
使用できる固体は、たとえば、酸化鉄顔料、二酸化チタン粒子または酸化亜鉛粒子および「UV保護剤」の中で追加的に明記されたものである。さらに、特殊感覚効果をもたらす粒子、たとえば、ナイロン―12、窒化ホウ素、ポリマー粒子、たとえば、ポリアクリレート粒子またはポリメチルアクリレート粒子等、あるいはシリコーンエラストマー等を、使用することも可能である。使用できるフィラーとしては、デンプンおよびデンプン誘導体、たとえばタピオカデンプン、リン酸架橋デンプン(distarch phosphate)、アルミニウムデンプンまたはナトリウムデンプン等、コハク酸オクテニル、および紫外フィルター作用も着色作用も主として持たない顔料、たとえばAerosils(登録商標) (CAS No. 7631-86-9)などがある。
【0061】
たとえば、耐水性を改良するために使用できる膜形成剤の例は:ポリウレタン、ジメチコン、コポリオール、ポリアクリレートまたはPVP/VAコポリマー(PVP=ポリビニルピロリドン、VA=酢酸ビニル)である。使用できる脂溶性膜形成剤は:たとえばポリビニルピロリドン(PVP)を基本とするポリマー、ポリビニルピロリドンのコポリマー、PVP/ヘキサデセンコポリマーまたはPVP/エイコセンコポリマーである。
【0062】
使用できる真珠光沢添加物は、たとえば、ジステアリン酸グリコールまたはジステアリン酸PEG−3である。
【0063】
好適な消臭有効成分は、たとえば、通例の芳香成分等の臭気コンシーラー、臭気吸収体、たとえばドイツ公開特許第4009347号明細書に記載のシート状ケイ酸塩等であり、これらの中でも、特にモンモリロナイト、カオリナイト、イライト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ベントナイト、スメクタイト、またはたとえば、リシノール酸の亜鉛塩である。抗菌剤は同様に、組み入れるのに適する。抗菌物質は、たとえば、2,4,4’―トリクロロ―2’―ヒドロキシジフェニルエーテル(イルガサン(Irgasan))、1,6―ジ―(4―クロロフェニルビグアニド)ヘキサン(クロルヘキシジン)、3,4,4’―トリクロロカルボニリド、第四級アンモニウム化合物、クローブオイル、ハッカ油、タイムオイル、クエン酸トリエチル、ファルネソール(3,7,11―トリメチル―2,6,10―ドデカトリエン―1―オール)、エチルヘキシルグリセリルエーテル、カプリル酸ポリグリセリル―3(TEGO(登録商標) Cosmo P813, Evonik)、およびドイツ公開特許第19855934号明細書、ドイツ公開特許第3740186号明細書、ドイツ公開特許第3938140号明細書、ドイツ公開特許第4204321号明細書、ドイツ公開特許第4229707号明細書、ドイツ公開特許第4229737号明細書、ドイツ公開特許第4238081号明細書、ドイツ公開特許第4309372号明細書、ドイツ公開特許第4324219号明細書および欧州公開特許第666732号明細書に記載の有効な薬剤である。
【0064】
使用可能な制汗有効成分は、収斂剤、たとえばクロルヒドロキシアンモニウム(「ACH」)およびアルミニウムジルコニウムグリシン塩(「ZAG」)等の、塩基性塩化アルミニウムである。
【0065】
使用可能な防虫剤は、たとえば、N,N−ジエチル−m−トルアミド、1,2−ペンタンジオールまたはInsect Repellent 3535である。
【0066】
使用できるセルフタンニング剤は、たとえば、ジヒドロキシアセトンおよびエリスルロースである。
【0067】
使用できる保存料は、たとえば、フェノキシエタノールとの1つ以上のアルキルパラベンエステルの混合物である。このアルキルパラベンエステルは、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベンおよび/またはブチルパラベンであってもよい。フェノキシエタノールの代わりに、他のアルコール、たとえば、ベンジルアルコールまたはエタノール等を使用することも可能である。さらに、他の通例の保存料、たとえば、ソルビン酸または安息香酸、サリチル酸、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、クロロアセトアミド、ジアゾリジニルウレア、DMDMヒダントイン、ヨードプロピニルブチルカルバメート、ヒドロキシメチルグリシンナトリウム、メチルイソチアゾリン、クロロメチルイソチアゾリン、エチルヘキシルグリセロールまたはカプリリルグリコールを使用することも可能である。
【0068】
使用できるコンディショニング剤は、たとえば、有機第四級化合物、たとえば塩化セトリモニウム、塩化ジセチルジモニウム、塩化ベヘントリモニウム、塩化ジステアリルジモニウム、ベヘントリモニウムメトサルフェート、塩化ジステアロイルエチルジモニウム、塩化パルミトアミドプロピルトリモニウム、塩化グアーヒドロキシプロピルトリモニウム、ヒドロキシプロピルグアー、塩化ヒドロキシプロピルトリモニウム、またはクォタニウム―80等、あるいはアミン誘導体、たとえば、アミノプロピルジメチコンまたはステアラミドプロピルジメチルアミン等である。
【0069】
使用できる香料は、天然または合成の着臭剤またはそれらの混合物である。天然の着臭剤は、花(ゆり、ラベンダー、ばら、ジャスミン、ネロリ、イランイラン)、茎および葉(ゼラニウム、パチョリ、プチグレン)、実(アニス、コリアンダー、キャラウェー、ジュニパー)、フルーツピール(ベルガモット、レモン、オレンジ)、根(トウモロコシ、アンゼリカ、セロリ、カルダモン、コスツス(costus)、アイリス、タイム)、針葉および枝(トウヒ、モミ、マツ、ハイマツ)、樹脂およびバルサム(ガルバヌム、エレミ、ベンゾイン、ミルラ、オリバナム、オポポナックス)からの抽出物である。動物原材料は、たとえば、ジャコウネコおよびカストリウム等も好適である。代表的な合成着臭剤化合物は、エステル、エーテル、アルデヒド、ケトン、アルコールおよび炭化水素型の生成物である。エステル型の着臭化合物は、たとえば、酢酸ベンジル、フェノキシエチルイソブチレート、酢酸p−tert−ブチルシクロヘキシル、酢酸リナリル、酢酸ジメチルベンジルカルビニル、酢酸フェニルエチル、安息香酸リナリル、ギ酸ベンジル、エチルメチルフェニルグリシネート、アリルシクロヘキシルプロピオネート、プロピオン酸スチラリルおよびサリチル酸ベンジルである。エーテルとしては、たとえば、ベンジルエチルエーテルなどがあり、アルデヒドとしては、たとえば、8〜18個の炭素原子を有する直鎖アルカナール、シトラール、シトロネラール、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、シクラメンアルデヒド、ヒドロキシシトロネラール、リリアルおよびブルゲオナールなどがあり、ケトンとしては、たとえば、イオノン、α−イソメチルイオノンおよびメチルセドリルケトンなどがあり、アルコールとしてはアネトール、シトロネロール、オイゲノール、イソオイゲノール、ゲラニオール、リナロール、フェニルエチルアルコールおよびテルピネオールなどがあり、かつ炭化水素としては、主としてテルペンおよびバルサムなどがある。心地よい香のノートを醸し出す異なる着臭剤の混合物を使用することが可能である。芳香成分として大抵使用される、低揮発性の精油、たとえば、セージオイル、カモミールオイル、クローブオイル、メリッサオイル、ハッカ油、桂皮油、リンデンブロッサムオイル、ジュニパーベリーオイル、ベチバーオイル、オリバナムオイル、ガルバヌムオイル、ラボラナム(labolanum)オイルおよびラバンジン(lavandin)オイルもまた、香料として好適である。ベルガモットオイル、ジヒドロミルセノール、リリアル、ライラル(lyral)、シトロネロール、フェニルエチルアルコール、α−ヘキシルシンナムアルデヒド、ゲラニオール、ベンジルアセトン、シクラメンアルデヒド、リナロール、ボイサムブレン・フォルテ、アンブロキサン、インドール、ヘジオン、サンデリス、レモンオイル、マンダリンオイル、オレンジオイル、アリルアミルグリコレート、シクロバータル、ラバンジンオイル、クラリーセージオイル、β−ダマスコン、ゼラニウムオイルバーボン、サリチル酸シクロヘキシル、バートフィックスクール、イソ−E−スーパー、フィキソリド NP、エバーニル、イラルデインガンマ、フェニル酢酸、酢酸ゲラニル、酢酸ベンジル、ローズオキシド、ロミラット、イロチルおよびフロラマットを、単独でまたは混合して、使用することもできる。
【0070】
使用できる色素は、たとえば、出版物"Cosmetic Colorants" of the Dyes Commission of the German Research Society, Verlag Chemie, Weinheim, 1984, pp. 81〜106に記載されているような、化粧用目的に認可されかつ好適な物質である。これらの色素は、全混合物を基準にして0.001〜0.1重量%の濃度で通常使用される。
【0071】
化粧用有効成分は、たとえば、トコフェロール、酢酸トコフェロール、パルミチン酸トコフェロール、アスコルビン酸、デオキシリボ核酸、コエンザイムQ10、レチノール、ビサボロール、アラントイン、パンテノール、フィタントリオール、AHA酸、アミノ酸、ヒアルロン酸、α-ヒドロキシ酸、ポリグルタミン酸、クレアチン(およびクレアチン誘導体)、グアニジン(およびグアニジン誘導体)、セラミド、フィトスフィンゴシン(およびフィトスフィンゴシン誘導体)、スフィンゴシン(およびスフィンゴシン誘導体)、擬似セラミド、スフィンゴ脂質、精油、ペプチドおよびオリゴペプチド、蛋白質加水分解物、植物エキスおよびビタミン錯体を意味すると理解されたい。
【0072】
存在してもよいケア添加物は、たとえば、PEG−7グリセロールココエート等のエトキシル化グリセロール脂肪酸エステル、または、たとえば、ポリクオタニウム―7またはポリグリセロールエステル等の陽イオン性ポリマーである。
【0073】
使用することができる過脂肪剤は、たとえば、ラノリンおよびレシチン等の物質、さらにポリエトキシル化またはアシル化したラノリン誘導体およびレシチン誘導体、ポリオール脂肪酸エステル、モノグリセリドおよび脂肪酸アルカノールアミドであり、後者は同時にフォーム安定剤の役割を果たす。
【0074】
使用できる溶剤は、たとえば、エタノール、プロパノールまたは1,3−プロパンジオール等の脂肪族アルコール、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、グリセロールカーボネート等の環状炭酸エステル、モノカルボン酸またはポリカルボン酸のエステルたとえば酢酸エチル、乳酸エチル、アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジエチル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセロール、グリセロールカーボネート等、または水である。
【0075】
好ましい実施態様では、本発明による化粧用製剤、皮膚外用製剤または医薬製剤、ならびに本ケアおよび洗浄用組成物は、追加成分として、顔料(たとえばTiO、FeO、ZnO、マイカおよび、たとえば、紫外フィルター物質および固体の中で列挙されたもの)または粒子(たとえばシリコーンエラストマー、ナイロン―12、PMMA、窒化ホウ素および、たとえば、紫外フィルター物質および固体の中で列挙されたもの)を含む。
【0076】
同様に好ましい実施態様では、本発明による化粧用製剤、皮膚外用製剤または医薬製剤、ならびに本ケアおよび洗浄用組成物は、化粧用有効成分を追加成分として含む。
【0077】
化粧用製剤または医薬製剤を調製するための、本発明による乳化剤システムの使用または本発明による乳化物または分散物の使用は、好ましい。
【0078】
本発明による乳化剤システムは、それらの親水性に応じて、O/W乳化剤の形、またはW/O乳化剤の形の、いずれでも使用することができる。
【0079】
本発明による乳化剤システムを含む乳化物および分散物の剤形は、したがって、スプレー剤、ローション剤、クリ−ム剤、軟膏剤であり、したがって、水のようなさらさら状から非常にペースト状まで、極端な場合には固体まで、非常に広い粘度範囲にわたって、使用することが可能である。
【0080】
結果として、本乳化剤システムは、たとえば、顔、体および手のためのケアクリームおよびローションで、サンスクリーン乳液で、メイクアップで、たとえば制汗/消臭部門におけるエアロゾル、ロールオン、ポンプスプレー、スティックで、ベビーケア製品で、インティメートケア(intimate care)製品、フットケア製品、ヘアケア製品、ネイルケア製品、デンタルケア製品または口腔ケア製品で、さらに皮膚外用軟膏で、使用することができる。
【0081】
本発明、全記述から生じる適用範囲、および特許請求の範囲を、実施例に明記された実施態様に限定することを意図せずに、本発明を、例として、下記の実施例に記述する。
【実施例】
【0082】
実施例:
乳化剤実施例:
乳化剤1(本発明による)(O/W乳化剤):
調製:先ず第一に、一般式MeSiO(SiMeO)28(SiMeHO)10SiMeのSi−H官能性シロキサン183gを、一般式CH=CH−SiMeO−(SiMeO)348−SiMe−CH=CHのビニルシロキサン143gと混合し、120℃に加熱して、1ppmのRh触媒を加えた。30分後、次には一般式CH=CH−CH−O−(CHCHO)25(CHCH(CH)O)Meのアリルポリエーテル1322gを加え、その混合物を94℃まで冷却し、8ppmの白金触媒を加えた。次いで、その混合物をさらに、120℃で2時間撹拌した。
【0083】
乳化剤2(本発明による)(O/W乳化剤):
調製:まず第一に、一般式MeSiO(SiMeO)38−(SiMeHO)SiMeのSi−H官能性シロキサン42gを、一般式CH=CH−SiMeO−(SiMeO)280−SiMe−CH=CHのビニルシロキサン21gと混合し、120℃に加熱し、さらに1ppmのRh触媒を加えた。30分後、次には一般式CH=CH−CH−O−(CHCHO)25(CHCH(CH)O)Meのアリルポリエーテル148gを加え、その混合物を90℃まで冷却し、10ppmのPt触媒を加えた。次いで、その混合物をさらに、120℃で2時間撹拌し、生成物を濾過した。
【0084】
乳化剤3(本発明による)(W/O乳化剤)
調製:先ず第一に、一般式MeSiO(SiMeO)73−(SiMeHO)25SiMeのSi−H官能性シロキサン144gを、一般式CH=CH−SiMeO−(SiMeO)348−SiMe−CH=CHのビニルシロキサン26gと混合し、90℃に加熱して、5ppmのRh触媒を加えた。次に、一般式CH=CH−CH−O―(CHCHO)OHのアリルポリエーテル32gおよび1−ヘキサデセン117gを加えた。この間に、温度は113℃に上昇した。次いで、この混合物をさらに、110℃で2時間撹拌し、真空で生成物から揮発性成分を除去した。
【0085】
比較例1〜6(本発明によらない、先行技術と区別するため):
比較用乳化剤1〜5の構造は、一般式:
(CHSiO−[(CHSiO]−[(CH)RSiO]−Si(CH
(式中:R,R=CHまたは−(CH−O−(CO)−(CO)−R(式中R=HまたはCH)型のポリエーテル(「PE」)
に対応する。
【0086】
【表1】

【0087】
比較用乳化剤1〜4は、欧州特許第1125574号の実施例1〜4に相当する。
【0088】
比較用乳化剤5は、櫛形構造をもつ代表的シリコーンポリエーテルである。
【0089】
d=0のときは、本発明の特許請求の範囲外である架橋シロキサンの、シロキサン鎖長は非常に短いため、さらなる比較用乳化剤6は、本発明による乳化剤と異なる。
【0090】
比較用乳化剤6(本発明によらない)(O/W乳化剤)の調製:
先ず第一に、一般式MeSiO(SiMeO)28(SiMeHO)10SiMeのSi−H官能性シロキサン240gを、一般式CH=CH−SiMeO−SiMe−CH=CHのビニルシロキサン1.3gと混合し、120℃に加熱し、その混合物に1ppmのRh触媒を加えた。30分後、次には一般式CH=CH−CH−O−(CHCHO)25(CHCH(CH)O)Meのアリルポリエーテル1732gを加え、その混合物を94℃まで冷却し、8ppmの白金触媒を加えた。次いでその混合物をさらに、120℃で2時間撹拌した。
【0091】
適用例:
適用例に示されている濃度は全て、重量%による。乳化物を調製するために、当業者に周知の通例の均質化方法を使用した。
【0092】
乳化力
O/W乳化物における乳化力を調査するために、まさしく臨界条件下で(僅か0.5%の乳化剤)、どの構造が優れた乳化活性で際立っているかを非常に迅速に示す、迅速試験を使用した。
【0093】
通例の油および安定剤を使用して、50℃で24時間保存した後の安定性は特に、乳化剤が非常に優れた安定化特性を備えているかどうかを非常に明確に示す。
【0094】
比較用乳化剤1〜5の結果と比べた、本発明による乳化剤1および2の結果を、表1にまとめる。
【0095】
ここで乳化物の調製を、下記の方法に従って実施した:
相Aおよび相Bを室温で混合し、撹拌せずにCを加える。次いで、この混合物を1分間均質化する。相Dおよび相Eを加え、次いで、再度1分間均質化する。
【0096】
乳化物実施例1および2の結果から、本発明による乳化剤は、比較用乳化剤1〜4(欧州特許第1125574号からのα−ω変性シロキサン)または比較用乳化剤5(代表的な櫛型変性ポリエーテルシロキサン)よりかなり高い安定化特性を有することが分かる。
【0097】
【表2】

【0098】
皮膚感触および乳化物安定性:
本発明による2つの乳化剤実施例1および実施例2の皮膚感触および安定性を調査するために、化粧用製剤(乳化物実施例3および4)中に2%濃度でこれらを使用した。
【0099】
使用した比較例は、比較用乳化剤1,2,4,5および6(比較用乳化物例C6〜C10)であった。
【0100】
対応する乳化物の皮膚感触は、いずれの場合にも、10名の被験者団で、比較用乳化剤1を含む処方物と比較して評価した。
【0101】
試験結果を表2にまとめる。
【0102】
こうした実施例処方物で、本発明による乳化剤を含むものだけが、安定でかつ皮膚感触の観点から有益な製剤を調製できることが明白である。
【0103】
特に、C10から、請求項1の範囲外の架橋シロキサンは、比較的良い乳化物安定性をもたらすが、処方物の皮膚感触は、本発明による実施例に著しく劣ることが、分かる。
【0104】
【表3】

【0105】
さらなる乳化物実施例
これらの例は、本発明による乳化剤を、多数の化粧用製剤で使用できることを示すためである。本発明による乳化剤の親水性に応じて、O/W乳化物またはW/O乳化物を調製することが可能である。さらに、本発明による乳化剤の助けを借りて、顔料または固体を、乳化物調製物に安定に組み入れることが可能である。さらに、実施例は、代表的な共乳化剤、油、増粘剤、および安定剤と、良好な相溶性を示す。
【0106】
O/W乳化物実施例
【0107】
【表4】

【0108】
【表5】

【0109】
【表6】

【0110】
【表7】

【0111】
【表8】

【0112】
W/O乳化物実施例
【0113】
【表9】

【0114】
【表10】

【0115】
【表11】

【0116】
【表12】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)一般式I
【化1】

(式中、
は、同一かまたは異なる、1〜20個の炭素原子を有する、脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基であり、
は、RまたはHであり、但し少なくとも3つの基RはHであり、
aは、5〜500であり、
bは、1〜50であり、
cは、0〜5である)
の有機ポリシロキサンの、
二重結合を含む一般式II
【化2】

(式中、
dは、10〜1000であり、かつ、Rは、互いに独立に、2〜12個の炭素原子を有し、かつ少なくとも1つの二重結合を含む、同一かまたは異なる炭化水素基である)
のシロキサンへの、白金触媒またはロジウム触媒の存在下での付加反応
(但し、一般式Iの有機ポリシロキサンは、二重結合を含む一般式IIのシロキサンを基準にして少なくとも6倍モル過剰で存在し、これによりSi−H基を有する反応生成物が得られ、かつ反応段階の少なくとも1つでその反応生成物がさらに反応する)、
B)遷移金属触媒による、アルケニル化合物および/またはアルキニル化合物への、SiH基の部分的または完全付加
または
C)触媒の存在下、直鎖または分岐の、飽和、一価不飽和または多価不飽和の、芳香族、脂肪族−芳香族、場合によりハロゲン原子含有の、モノアルコール、ポリエーテルモノアルコール、ポリエステルモノアルコール、アミノアルコールの群からの少なくとも1つのアルコールと、上述の反応後に残っているSi−H基の、部分的反応または完全反応
によって調製される有機変性シロキサンブロックコポリマーを含む乳化剤システム。
【請求項2】
が、同一かまたは異なる、非分岐の、1〜9個の炭素原子を有する、脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基であることを特徴とする、請求項1に記載の乳化剤システム。
【請求項3】
ステップB)において、前記付加が、二重結合を含むポリエーテルへの付加であることを特徴とする、請求項1または2に記載の乳化剤システム。
【請求項4】
ステップB)において、前記付加が、アリルポリエーテルへの付加であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の乳化剤システム。
【請求項5】
段階C)において、ホウ素含有ルイス酸が触媒として使用されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の乳化剤システム。
【請求項6】
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(CBがホウ素含有ルイス酸として使用されることを特徴とする、請求項5に記載の乳化剤システム。
【請求項7】
段階C)において、ホウ素含有ルイス酸に加えて相乗的に有効な化合物が使用されることを特徴とする、請求項5または6に記載の乳化剤システム。
【請求項8】
第4、第6、第7および第8亜族ならびに第4族主族の元素の塩の群から選択される塩または陽イオンとの錯体が、相乗的に有効な化合物として使用されることを特徴とする、請求項7に記載の乳化剤システム。
【請求項9】
ステップC)において、少なくとも1つのカルボン酸および少なくとも1つのカルボン酸の塩を含む触媒混合物が触媒として使用されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の乳化剤システム。
【請求項10】
前記シロキサンブロックコポリマーの粘度が10000mPas未満であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の乳化剤システム。
【請求項11】
油中水型乳化剤、水中油型乳化剤またはシリコーン中水型乳化剤としての、または分散助剤としての、請求項1〜10のいずれか1項に記載の乳化剤システムの少なくとも1つの使用。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の乳化剤システムの少なくとも1つを含む、分散物または乳化物。
【請求項13】
前記乳化物が、油中水型乳化物、水中油型乳化物またはシリコーン中水型乳化物であることを特徴とする、請求項12に記載の乳化物。
【請求項14】
化粧用製剤、皮膚外用製剤または医薬製剤を調製するための、請求項1〜10のいずれか1項に記載の乳化剤システムの少なくとも1つ、あるいは少なくとも請求項12または13に記載の乳化物または分散物の使用。
【請求項15】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の乳化剤システムの少なくとも1つ、あるいは少なくとも請求項12または13に記載の乳化物または分散物を含む、化粧用製剤、皮膚外用製剤または医薬製剤。
【請求項16】
家庭用、産業用、特に硬表面用、皮革用または織物用の、ケアおよび洗浄用組成物を調製するための、請求項1〜10のいずれか1項に記載の乳化剤システムの少なくとも1つ、あるいは少なくとも請求項12または13に記載の乳化物または分散物の使用。
【請求項17】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の乳化剤システムの少なくとも1つ、あるいは請求項12または13に記載の乳化物または分散物を含む、家庭用、硬表面用、皮革用または織物用のケアおよび洗浄用組成物。
【請求項18】
粒子または顔料を追加成分として含む、請求項15に記載の化粧用製剤、皮膚外用製剤または医薬製剤、あるいは請求項17に記載のケアおよび洗浄用組成物。
【請求項19】
化粧用有効成分を追加成分として含む、請求項15に記載の化粧用製剤、皮膚外用製剤または医薬製剤、あるいは請求項17に記載のケアおよび洗浄用組成物。

【公表番号】特表2011−520823(P2011−520823A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−508858(P2011−508858)
【出願日】平成21年4月15日(2009.4.15)
【国際出願番号】PCT/EP2009/054426
【国際公開番号】WO2009/138306
【国際公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(507375465)エヴォニク ゴールドシュミット ゲーエムベーハー (100)
【Fターム(参考)】