説明

区間設定方法、燃費情報生成装置、及び運転支援装置

【課題】燃費を考慮して行われた車両操作のもとで、実現可能な実燃費に関する情報を算出することのできる区間設定方法を提供する。
【解決手段】複数種の車両操作のもとで得られる、車両の出発地点から目標地点までの移動に要した燃費に関する情報である燃費情報を、その都度の車両の位置情報と一緒に収集する。それら収集した燃費情報の推移部分同士を比較することによって、出発地点から目標地点までの燃費情報の推移部分同士を順次繋ぎ合わせる。この繋ぎ合わせた推移部分同士の繋合点に対応する地点で区切った区間を、実燃費の算出に用いる区間として設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の燃費情報に基づき区間を設定する区間設定方法、設定した区間での燃費情報を生成する燃費情報生成装置、および設定した区間に基づいて運転支援を行う運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のカーナビゲーションシステム等を用いた運転支援システムは、現在地から目的地までの推奨経路を案内するとともに、それぞれ経路を走行した場合の予測燃料消費量に関する情報、いわゆる燃費情報を提供することも多い。以下、「燃費」は、「単位燃料量あたりの車両の走行距離」を意味するとする。このような場合、ドライバ(車両運転者)は、提供された推奨経路と、それぞれ推奨経路ごとの燃費情報とを参照して、経路選択を行う。従来、こうした運転支援システムとして、例えば特許文献1や特許文献2に記載のシステムが知られている。
【0003】
例えば特許文献1では、燃費情報処理システムを構成するように管理センターに設けられるサーバは、不特定多数の車両それぞれの走行時の燃費情報を、それら車両の時々刻々の位置情報とともに、無線通信によって収集する。サーバは、この収集した位置情報に基づき、地図データベースに登録されている地図情報を参照することによって、燃費情報を、燃費に影響を与える上り坂やカーブといった燃費要因ごとに統計する。
【0004】
また車両には、目的地までの燃費情報を提示する燃費情報提示装置が、燃費情報処理システムを構成するために搭載されている。この燃費情報提示装置は、自車両の走行実績に基づく燃費情報を、燃費要因ごとに蓄積している。燃費情報提示装置は、蓄積した燃費情報の平均値や最頻値を、自車両の燃費要因ごとの燃費情報として扱う。燃費情報提示装置は、自車両の走行実績に基づく燃費要因ごとの燃費情報を、サーバによって統計された燃費要因ごとの燃費情報と対比することに基づいて、燃費統計に対する自車両の燃費情報の分散度を評価する。こうして燃費情報提示装置は、自車両に搭載されたカーナビゲーションシステムにドライバによって目的地が設定されると、現在地から目的地に至るまでの経路に存在する燃費要因に関する燃費統計を、サーバから取得する。同時に、燃費情報提示装置は、この取得した燃費統計と、評価した分散度とに基づき、目的地に至るまでの経路を探索するとともに、経路を走行した場合の予測燃費消費量を推測する。燃費情報提示装置は、この推測した燃費消費量と、探索した経路に存在する燃費要因と、この燃費要因が自車両の燃費に与える影響とを含む情報を、それぞれドライバに提供される。
【0005】
また特許文献2に記載のシステムは、管理センターに集約された複数の車両の実燃費情報に基づき、出発地から目的地までの燃費と、こうした燃費を、交差点間等で区切った単位区間としてのいわゆるリンクごとに算出している。システムは、この算出した燃費に関する情報と、情報を取得したときの時間帯や道路勾配等の燃費要因とに基づいて、現在地から目的地に至るまでの予測燃費情報を求め、この予測値を、例えば表示装置を介して、ドライバに提供する。
【0006】
このように、特許文献1や特許文献2に記載のシステムによれば、ドライバは、現在地から目的地に至るまでに必要な燃費情報や、燃費要因の存在を確認することができるようになる。よってドライバは、それぞれ提供される情報を指標として、経路選択や車両操作を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−250930号公報
【特許文献2】特開2006−78326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、通常のナビゲーション装置などで、燃費要因を示すように地図情報に登録されているいわゆるリンクは、単に交差点や、上り坂等の道路勾配そのものを、単位区間とするように区切った道路区間でしかない。一方、交差点や一時停止位置での減速操作や、坂道でのアクセル開度の調整といった車両操作は、交差点や坂道等に至る前段階から、交差点や坂道等を通過し終えた後段階までの一連の車両操作として行われる。このため、従来のリンクなどの区間に基づいてそれぞれ経路ごとの燃費情報を生成したとしても、それら燃費情報は、実現可能な最高燃費に関する情報とは限らない。よって、システムがこのような燃費情報に基づき、それぞれ経路ごとの実燃費をドライバに案内したとしても、エコノミードライブについての的確な燃費情報がドライバに提供されるとは限らない。
【0009】
また燃費を考慮したドライバによる車両操作は、ドライバ固有の癖によってもドライバごとに異なる。このため、この車両操作を反映した実燃費もドライバごとに相違する。よって、例えば一人のドライバの車両操作に基づく燃費情報を収集し、この収集した情報に基づき燃費情報を生成したとしても、この燃費情報は、交差点や上り坂などの燃費要因が存在する経路で実現可能な最高燃費情報とは限らない。
【0010】
一方、特許文献1に記載されているシステムのように、それぞれ収集した複数のドライバによる燃費情報を燃費要因ごとに統計値として算出した場合であれ、また特許文献2に記載されているシステムのように、複数のドライバによる燃費情報を単に集約した場合であれ、それぞれ経路において実現可能な最高燃費に関する情報が算出されるとは限らない。
【0011】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、燃費を考慮して行われた車両操作のもとで実現可能な実燃費に関する情報を算出することのできる区間設定方法を提供することにある。また本発明の目的は、設定した区間に基づく経路ごとの実燃費に関する情報を算出することのできる燃費情報生成装置を提供すること、また設定した区間に基づくより燃費の良い車両操作を支援することのできる運転支援装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、複数種の車両操作のもとで得られる車両の出発地点から目標地点までの移動に要した燃費に関する情報である燃費情報を、その都度の車両の位置情報と一緒に収集する収集ステップと、それら収集した前記燃費情報の推移同士を、前記位置情報ごとに互いに比較する比較ステップと、前記比較ステップの結果に基づき、前記推移の部分である推移部分同士を、前記出発地点から前記目標地点まで順次繋ぎ合わせる繋合ステップと、繋ぎ合わせた前記推移部分同士の繋合点に対応する地点で区切った区間を、実燃費の算出に用いる区間として設定する区間設定ステップとを備えることを要旨とする。
【0013】
ドライバがエコノミードライブを行う際には、交差点や一時停止位置での減速操作や坂道でのアクセル開度の調整といった車両操作を、交差点や坂道等に至る前段階から、交差点や坂道等を通過し終えるまで、一連の車両操作として行うのがスムーズである。こうした車両操作を反映した実燃費は、交差点や坂道等といった燃費に影響を与える燃費要因や、ドライバごとに相違する傾向があり、さらには同一のドライバであってもその時々の交通状況等によって相違する。一方、燃費要因が存在しない地点での燃費は、ドライバごとの差も小さなものとなる。こうしたことから、出発地点から目標地点までの経路の実燃費をドライバに提供すべく、出発地点から目標地点までそれぞれ位置ごとに、複数の燃費推移の任意の部分を選択して、その選択した燃費推移部分同士を、出発地点から目標地点まで順次繋ぎ合わせるとする。その繋ぎ合わせの繋ぎ目(繋合点。或る燃費推移から別の燃費推移に変化する変化点。連結点)で経路を区切ることによって、それぞれ区間を得るとする。そうすると、その得られた区間はそれぞれ、当該区間に存在する燃費要因に対して、何れかのドライバが行った区間に相当する。
【0014】
このため、上記方法によれば、或るドライバが或る燃費要因のもとで一連の車両操作を行った区間が、出発地点から目標地点までの経路を分割した複数の単位区間のうちの1つとして設定される。すなわち、このように設定した区間をもとに、燃費を算出することによって、出発地点から目的地点までのそれぞれ経路において円滑に実現可能な実燃費を算出することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の区間設定方法において、前記繋合ステップは、前記比較ステップの結果に基づき、前記出発地点から前記目標地点までの燃費が最高となるように、前記推移の部分である推移部分同士を、前記出発地点から前記目標地点まで順次繋ぎ合わせるステップであり、前記区間設定ステップは、繋ぎ合わせた前記推移部分同士の繋合点に対応する地点で区切った区間を、最高燃費の算出に用いる区間として設定するステップであることを要旨とする。
【0016】
上記方法によれば、出発地点から目標地点までの経路の最高燃費を実現すべく、出発地点から目標地点までそれぞれ位置ごとに、複数の燃費推移のうちの最高の部分を選択して、その選択した最高の燃費推移部分同士が出発地点から目標地点まで順次繋ぎ合わされる。そして、その繋ぎ合わせの繋ぎ目で経路を区切ることによって、それぞれ区間を得るとする。そうすると、その得られた区間はそれぞれ、当該区間に存在する燃費要因に対して、「最も経済的に優れた一連の車両操作」つまり最高のエコノミードライブを、何れかのドライバが行った区間に相当する。
【0017】
このため、上記方法によれば、或るドライバが或る燃費要因のもとで最も経済的に優れた一連の車両操作を行った区間が、出発地点から目標地点までの経路を分割した複数の単位区間のうちの1つとして設定される。すなわち、このように設定した区間をもとに、燃費を算出することによって、出発地点から目的地点までのそれぞれ経路において円滑に実現可能な最高燃費を算出することができる。
【0018】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の区間設定方法において、前記繋合ステップは、前記比較ステップの結果に基づき、前記出発地点から前記目標地点までの燃費が最小となるように、前記推移の部分である推移部分同士を、前記出発地点から前記目標地点まで順次繋ぎ合わせるステップであり、前記区間設定ステップは、繋ぎ合わせた前記推移部分同士の繋合点に対応する地点で区切った区間を、最小燃費の算出に用いる区間として設定するステップであることを要旨とする。
【0019】
上記方法によれば、出発地点から目標地点までの経路の最小燃費を回避すべく、出発地点から目標地点までそれぞれ位置ごとに、複数の燃費推移のうちの最小の部分を選択して、その選択した最小の燃費推移部分同士が出発地点から目標地点まで順次繋ぎ合わされる。そして、その繋ぎ合わせの繋ぎ目で経路を区切ることによって、それぞれ区間を得るとする。そうすると、その得られた区間はそれぞれ、当該区間に存在する燃費要因に対して、「最も経済性の低い一連の車両操作」つまり燃費が悪くなる車両操作を、何れかのドライバが行った区間に相当する。
【0020】
このため、上記方法によれば、或るドライバが或る燃費要因のもとで最も経済性の低い一連の車両操作を行った区間が、出発地点から目標地点までの経路を分割した複数の単位区間のうちの1つとして設定される。すなわち、このように設定した区間をもとに、燃費を算出することによって、出発地点から目的地点までのそれぞれ経路において経済性の低い車両操作が行われたときに想定される最小燃費を算出することができる。
【0021】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の区間設定方法において、前記収集ステップは、前記燃費情報を、前記燃費情報の収集のための最小単位区間である燃費情報収集区間ごとに収集し、前記比較ステップは、前記燃費情報収集区間ごとに前記推移部分同士を対比することを要旨とする。
【0022】
一般に、複数の車両から各種情報を収集する管理センター等は、燃費情報収集区間のような或る区間ごとに、それぞれ経路ごとの情報を収集する。このため、上記方法によるように、この燃費情報収集区間ごとに燃費情報を対比することによって、出発地点から目標地点までの燃費が例えば最高となる燃費情報の推移部分を順に繋ぎ合わせることとすれば、例えば「10m」ごとに収集した燃費情報を対比することができる。よって、或る坂道(燃費要因)と、この坂道に対して例えば最高燃費を実現するように一連の車両操作を行った経路部分(地点)とを含むように、例えば「30m」の区間を、設定区間として区間設定ステップで設定できる。こうして燃費情報収集区間ごとに燃費情報を対比することによって、例えば最高燃費となるように燃費情報の推移部分同士を繋ぎ合わせる。よって、現在地から目的地までのそれぞれ経路を、連続する複数の燃費情報収集区間を単位として区切ることができる。つまり、連続する複数の燃費情報収集区間を、燃費要因ごとに組み合わせた設定区間として適宜設定することができる。これによって、管理センター等に一括して収集される燃費情報に基づく設定区間の設定を、容易かつ的確に行うことができるようになる。つまり、区間設定方法としての実用性がより高められる。
【0023】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の区間設定方法において、前記区間設定方法は更に、前記繋合点に基づき区切った区間の距離が、当該区間の直前または直後の区間との近似範囲内であるか否か判別するための近似範囲判別値を定める判別値設定ステップと、前記距離が前記近似範囲判別値以下であるとき、前記繋合点の前後の区間を、1つの区間として統合する統合ステップと、前記区間が前記近似範囲判別値を超えるとき、前記繋合点の前後の区間を、そのまま各別の区間として確定する確定ステップとを有することを要旨とする。
【0024】
例えば、複数種の車両操作に基づき、出発地点から目標地点まで最高燃費になるように推移部分同士を繋ぎ合わせることによって得られる最高燃費推移は、収集した燃費情報の数が多いほど複雑になり、繋合点で区切った区間の数も多くなる。一方、或る交差点や坂道等の燃費要因に対して、一連の車両操作を行うためにドライバが必要な区間は、距離が短すぎてもドライバが追従し難いため、或る程度の距離が確保されているほうが望ましい。例えば数mごとに区間設定を区切ったとしても、実情に即した区間設定とは限らない。そこで、この方法によるように、近似範囲判別値を超える区間のみを、新たな区間として設定することにすれば、新たな区間が過度に短くなることは防止できるため、ドライバが車両操作しやすいより実情に即した区間設定を行うことができる。また、繋合点を挟む前後の区間のうちの少なくとも一方が、近似範囲判別値以下の長さの場合には、それら前後の区間が統合されて、1つの単位区間になる。よって、例えば交差点等の燃費要因の途中で、新たな設定区間に切換わってしまうようなことは抑制される。これによって、燃費要因と、当該燃費要因に対して一連の車両操作を行うのに必要な距離とを、確実に包含する区間を設定することが実現される。
【0025】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の区間設定方法において、前記判別値設定ステップは、前記近似範囲判別値を、交通環境に応じて可変とすることを要旨とする。
燃費要因に対してドライバが一連の車両操作を行うのに必要な距離は、都市部や郊外、日時等の交通環境によって影響を受け得る流動的な範囲である。例えば都市部では、交差点や一時停止位置といった燃費要因が存在する頻度が多く、それぞれ燃費要因間の距離が短い傾向にある。一方、郊外では、燃費要因が存在する頻度が少なく、それぞれ燃費要因間の距離が長い傾向にある。このため、この方法によるように、こうした交通環境に応じて近似範囲識別値を可変とすれば、この近似範囲識別値に基づく判別によって区間設定を行うことができる。そうすると、それぞれの燃費情報を収集したときの交通環境により好適に即して、区間設定を実現できる。
【0026】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の区間設定方法において、前記収集ステップは、前記燃費情報を車両ごとに取得し、前記区間設定ステップは、前記区間を車両ごとに設定することを要旨とする。
【0027】
一般に、管理センター等に収集される車両ごとの車両情報は、ドライバの癖を反映した燃費情報を含んでいる。つまり通常は、車両ごとの車両情報は、その車両の所有者の癖を反映した燃費情報を含んでいる。この方法によれば、この車両ごとに収集した燃費情報を、ドライバごとの燃費情報とみなして取り扱うことができる。例えば或るドライバは、交差点での燃料消費量が少ない一方、坂道での燃料消費量が多い傾向を示す。また別の或るドライバは、交差点での燃料消費量が多い一方、坂道での燃料消費量が少ない傾向を示す。このように燃費情報の推移は、ドライバ固有の癖によってそれぞれ変化する傾向が強い。
【0028】
このため、この方法によれば、ドライバ(車両)ごとに区間設定を行うことによって、例えば最高燃費(実燃費)を実現した車両操作と、設定される区間との関連性を高めることができるようになる。よって、燃費要因に対する一連の車両操作を反映した区間設定も容易となる。
【0029】
請求項8に記載の発明は、出発地点と目標地点の間での、車両による移動に要した燃費に関する情報である燃費情報を生成する燃費情報生成装置であって、前記出発地点から前記目標地点に至るまでの経路を探索し、請求項1〜7のいずれか一項に記載の区間設定方法に基づき設定した区間ごとに、前記燃費情報の推移部分同士を繋ぎ合わせることによって得られる燃費に関する情報に基づき、前記探索した経路ごとの実燃費を算出するように構成されていることを要旨とする。
【0030】
この構成によれば、出発地点から目的地点までの経路探索と、区間の設定に際して繋ぎ合わされている燃費に関する情報とに基づき、経路ごとの実燃費が算出される。このため、出発地点から目的地点に至るまでのそれぞれ経路において、複数種の車両情報のもとで得られたそれぞれの燃費を、組み合わせて実燃費に関する情報を算出することができる。これによって、それぞれ経路において、円滑に実現可能な実燃費に関する情報を、算出することができる。
【0031】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の燃費情報生成装置において、前記実燃費として、前記出発地点から前記目標地点までの燃費が最高となるように前記燃費情報の推移部分同士を繋ぎ合わせることによって得られる最高燃費に関する情報である最高燃費情報を算出し、この算出した最高燃費情報に基づき前記探索した経路ごとの最高燃費を算出することを要旨とする。
【0032】
この構成によれば、出発地点から目的地点までの経路探索と、区間の設定に際して繋ぎ合わされている燃費に関する情報とに基づき、経路ごとの最高燃費が算出される。このため、出発地点から目的地点に至るまでのそれぞれ経路において、複数種の車両情報のもとで得られたそれぞれの最高燃費を、組み合わせて最高燃費情報を算出することができる。これによって、それぞれ経路において、燃費を考慮して行われた車両操作のもとで実現可能な最高燃費に関する情報を、算出することができる。
【0033】
請求項10に記載の発明は、請求項8に記載の燃費情報生成装置において、前記実燃費として、前記出発地点から前記目標地点までの燃費が最小となるように前記燃費情報の推移部分同士を繋ぎ合わせることによって得られる最小燃費に関する情報である最小燃費情報を算出し、この算出した最小燃費情報に基づき前記探索した経路ごとの最小燃費を算出することを要旨とする。
【0034】
この構成によれば、出発地点から目的地点までの経路探索と、区間の設定に際して繋ぎ合わされている燃費に関する情報とに基づき、経路ごとの最小燃費が算出される。このため、出発地点から目的地点に至るまでのそれぞれ経路において、複数種の車両情報のもとで得られたそれぞれの最小燃費を、組み合わせて最小燃費情報を算出することができる。これによって、それぞれ経路において、経済性の低い車両操作が行われたときに想定される燃費を算出することができる。
【0035】
請求項11に記載の発明は、請求項8〜10のいずれか一項に記載の燃費情報生成装置において、無線通信機能を有して互いに同一の前記区間を走行する複数の車両は、プローブ情報通信システムの管理センターに情報を転送し、前記管理センターは、前記情報に基づき、前記燃費情報を算出し、前記燃費情報生成装置は、前記実燃費に関する情報を前記管理センターに要求するように構成されていることを要旨とする。
【0036】
上記構成によるように、互いに同一の区間を走行する複数の車両が、プローブ情報通信システムの管理センターに転送した情報、いわゆるプローブ情報に基づき、管理センターがそれぞれ車両の燃費情報を収集することとする。そうすれば、道路を実際に走行している複数台の車両から、燃費情報や位置情報等の各種情報を、管理センターが取得することが可能となる。こうした情報を、管理センターが管理し、この管理センターが区間の設定を行う。よって管理センターは、実燃費の算出のためのそれぞれ要素の収集と、それら要素に基づく区間の設定と、この設定した区間での燃費情報の算出と、それぞれ車両への配信までを一括して行うことができる。
【0037】
またこの構成によれば、例えば車両の無線通信機能やインターネット等からの各種通信手段を介した要求に応じて、管理センターは、区間ごとの経路探索と、探索した経路ごとの実燃費に関する情報とを、それぞれ車両の運転支援装置や各種端末に配信することが可能となる。よって、設定した区間に基づき算出した実燃費に関する情報の、実用性が高められる。
【0038】
請求項12に記載の発明は、出発地点と目標地点の間での、車両による移動に要した燃費に関する情報である燃費情報の提供によって、ドライバの運転を支援する運転支援装置であって、前記出発地点から前記目標地点に至るまでの経路を探索し、請求項1〜7のいずれか一項に記載の区間設定方法に基づき設定した区間ごとに、前記燃費情報の推移部分同士を繋ぎ合わせることによって得られる燃費に関する情報に基づき、前記探索した経路ごとの実燃費に関する情報を提供するように構成されていることを要旨とする。
【0039】
上記構成によれば、出発地点から目的地点までの経路探索を算出するのと一緒に、区間の設定に際して繋ぎ合わせた燃費に関する情報に基づき、経路ごとの実燃費が算出される。このため、出発地点から目的地点に至るまでのそれぞれ経路において、複数種の車両情報のもとで得られたそれぞれの燃費が組み合わされた燃費情報を算出することができる。これによって運転支援装置は、それぞれ経路において円滑に実現可能な実燃費に関する情報を、提供することができる。
【0040】
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の運転支援装置において、前記実燃費として、前記出発地点から前記目標地点までの燃費が最高となるように前記燃費情報の推移部分同士を繋ぎ合わせることによって得られる最高燃費に関する情報である最高燃費情報を算出し、この算出した最高燃費情報に基づき前記探索した経路ごとの最高燃費を算出することを要旨とする。
【0041】
上記構成によれば、出発地点から目的地点までの経路探索を算出するのと一緒に、区間の設定に際して繋ぎ合わせた最高燃費に関する情報に基づき、経路ごとの最高燃費が算出される。このため、出発地点から目的地点に至るまでのそれぞれ経路において、複数種の車両情報のもとで得られたそれぞれの最高燃費が組み合わされた燃費情報を算出することができる。これによって運転支援装置は、それぞれ経路において燃費を考慮して行われた車両操作のもとで実現可能な最高燃費に関する情報を、提供することができる。
【0042】
請求項14に記載の発明は、請求項12に記載の運転支援装置において、前記実燃費として、前記出発地点から前記目標地点までの燃費が最小となるように前記燃費情報の推移部分同士を繋ぎ合わせることによって得られる最小燃費に関する情報である最小燃費情報を算出し、この算出した最小燃費情報に基づき前記探索した経路ごとの最小燃費を算出することを要旨とする。
【0043】
上記構成によれば、出発地点から目的地点までの経路探索を算出するのと一緒に、区間の設定に際して繋ぎ合わせた最小燃費に関する情報に基づき、経路ごとの最小燃費が算出される。このため、出発地点から目的地点に至るまでのそれぞれ経路において、複数種の車両情報のもとで得られたそれぞれの最小燃費が組み合わされた燃費情報を算出することができる。これによって運転支援装置は、それぞれ経路において経済性の低い車両操作が行われたときに想定される最小燃費に関する情報を、提供することができる。
【0044】
請求項15に記載の発明は、請求項12〜14のいずれか一項に記載の運転支援装置において、前記燃費情報は、前記燃費情報を取得したときに行われた車両操作に関する情報としての車両操作情報を含み、前記運転支援装置は、前記運転支援の一つとして、前記実燃費に関する情報を構成するそれぞれの前記推移部分に含まれている前記車両操作情報を、ドライバに提供するように構成されていることを要旨とする。
【0045】
上記構成によれば運転支援装置は、上記繋ぎ合わせた燃費情報のそれぞれに含まれている車両操作に関する情報を、ドライバに提供することができる。すなわち、出発地点から目的地点に至るまでの実燃費として提供される情報と一緒に、この提供される実燃費を実現するための車両操作に関する情報を、運転支援装置はドライバに提供することができる。このような車両操作に関する情報の提供によって、繋ぎ合わせた実燃費の実現可能性は、好適に高められる。
【0046】
請求項16に記載の発明は、請求項15に記載の運転支援装置において、前記探索した経路において、前記実燃費に関する情報を構成するそれぞれの前記推移部分に含まれている車両操作情報を、自車両の車両操作に関する情報と比較することに基づき、ドライバに提供するための前記車両操作情報を生成するように構成されていることを要旨とする。
【0047】
一般に、個々のドライバの運転技量に応じて、実燃費の実現のために効果的な車両操作は異なる。この点、この構成によれば運転支援装置は、上記繋ぎ合わせた燃費情報のそれぞれに含まれている車両操作に関する情報を、自車両の車両操作に関する情報と比較することに基づいて、運転支援の1つとして、ドライバに提供する車両操作に関する情報を生成する。この結果、運転支援装置は、ドライバの運転技量や固有の癖に応じた、車両操作に関する情報をドライバに提供することができる。
【0048】
請求項17に記載の発明は、請求項12〜16のいずれか一項に記載の運転支援装置において、前記運転支援装置は更に、前記燃費情報を表示する表示装置を備え、前記運転支援装置は、現在地点から前記目標地点に至るまでに探索した探索経路ごとに、前記実燃費に関する情報を前記表示装置に表示させることを要旨とする。
【0049】
上記構成によれば、例えばカーナビゲーションシステム等が備える表示装置に、実燃費に関する情報を探索した経路ごとに表示する。この結果、出発地点から目的地点までの経路ごとの情報と一緒に、経路ごとの実燃費に関する情報を、ドライバに提供することができる。
【0050】
請求項18に記載の発明は、請求項12〜17のいずれか一項に記載の運転支援装置において、前記運転支援装置は、プローブ情報通信システムの管理センターを有し、前記管理センターは、互いに同一の区間を走行する複数の車両から無線通信で転送された情報に基づき、前記燃費情報を算出し、前記管理センターは、この算出した燃費情報のうち、前記実燃費に関する情報を、要求に応じて提供するように構成されていることを要旨とする。
【0051】
上記構成によれば管理センターは、互いに同一の区間を走行する複数の車両から転送された情報、いわゆるプローブ情報に基づいて、それぞれ車両の燃費情報を収集する。つまり運転支援装置は、道路を実際に走行している複数台の車両から、燃費情報や位置情報等の各種情報を容易に取得することが可能となる。こうした情報を管理センターが管理し、この管理センターが区間の設定を行うことによって、管理センターは、実燃費の算出のためのそれぞれ要素の収集と、それらそれぞれ要素に基づく区間の設定と、この設定した区間での燃費情報の算出と、それら情報の配信までを、一括して行うことができる。
【0052】
またこのような構成の運転支援装置は、無線通信機能等を介した要求によって、区間ごとの経路探索や、探索した経路ごとの実燃費に関する情報を、取得することができるようになる。よって運転支援装置は、必要最小限の算出や情報量に基づくエコノミードライブ支援を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明にかかる区間設定方法、燃費情報生成装置、および運転支援装置の第1の実施形態について、図1(a)は、燃費要因としての交差点とカーブと、車両との関係を示す図。図1(b)は、燃費要因に対する燃費推移の一例を示す図。
【図2】図2(a)は、燃費要因としての交差点とカーブと、車両との関係を示す図。図2(b)は、燃費要因に対する燃費推移の一例を示す図。
【図3】図3(a)は、燃費情報収集区間の一例を示す図。図3(b)は、出発地点から目的地点までのドライバの燃費推移例を示す図。図3(c)は、ドライバの燃費推移に基づく区間の設定態様を示す図。
【図4】図4(a)は、燃費情報収集区間の一例を示す図。図4(b)は、出発地点から目的地点までのドライバごとの燃費推移例を示す図。図4(c)は、ドライバごとの燃費推移に基づく区間の設定態様を示す図。
【図5】図5(a)は、燃費情報収集区間の一例を示す図。図5(b)は、出発地点から目的地点までのドライバごとの燃費推移例を示す図。図5(c)と図5(d)は、ドライバごとの燃費推移に基づく区間の設定態様を示す図。
【図6】図6(a)は、燃費情報収集区間の一例を示す図。図6(b)は、出発地点から目的地点までのドライバごとのアクセル開度の推移例を示す図。図6(c)は、ドライバごとの燃費推移に基づき設定した設定区間の一例を示す図。
【図7】同実施形態の区間設定方法、燃費情報生成装置、および運転支援装置が適用されるシステム概念図を示すブロック図。
【図8】同実施形態の近似範囲マップの一例を示す図。
【図9】同実施形態の車載システムと管理センターの概略構成を示す機能ブロック図。
【図10】同実施形態による運転支援手順を示すフローチャート。
【図11】同実施形態による出発地点から目的地点までの経路(走行ルート)における最高燃費の算出手順を示すフローチャート。
【図12】同実施形態による区間設定手順を示すフローチャート。
【図13】本発明にかかる区間設定方法、燃費情報生成装置、および運転支援装置の第2の実施形態について、そのシステム概念図を示すブロック図。
【図14】図14(a)と図14(b)は、同実施形態による運転支援区間の特定態様を示す図。
【図15】本発明にかかる区間設定方法、燃費情報生成装置、および運転支援装置の他の実施形態について、運転支援区間の特定態様を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0054】
(第1の実施形態)
図1〜図12は、本発明にかかる区間設定方法、燃費情報生成装置、および運転支援装置を具体化した第1の実施形態を示す。図1と図2は、本実施形態の区間設定方法の原理を示す。図1(a)は、第1車両C1や第2車両C2の燃費に影響を与える燃費要因としての、交差点A1やS字カーブA2を示す。「車両の燃費」は、「車両の単位燃料量あたりの走行距離」を意味する。図1(b)は、図1(a)の交差点A1とS字カーブA2を、第1車両C1が走行したときの燃費の推移例としての第1燃費推移L1と、第2車両C2が走行したときの燃費の推移例としての第2燃費推移L2とを示す。図2(a)は、図1(a)と同じ図を示す。図2(b)は、第1燃費推移L1と第2燃費推移L2から産み出した、最高の燃費を示す推移例としての最高燃費推移L3を示す。
【0055】
図1(a)に示すように、或る第1ドライバAが運転する第1車両C1が、信号機ASを有する交差点A1に向かって進行し、また第2ドライバBが運転する第2車両C2が、所定の曲率を有するS字カーブA2に向かって進行しているとする。第1車両C1や第2車両C2が交差点A1やS字カーブA2を通過する際に、第1ドライバAや第2ドライバBは、燃費を考慮した車両操作であるエコノミードライブを行ったとする。
【0056】
例えば第1ドライバAは、第1車両C1が交差点A1に差し掛かる前、つまり交差点A1から所定距離だけ前の第1地点P1から、交差点A1まで、第1車両C1を減速操作する。更に第1ドライバAは、交差点A1から、当該交差点A1から所定距離だけ後の第2地点P2まで、第1車両C1を加速操作する。つまり第1ドライバAは、交差点A1に進入する前から通過後まで、一連の減速操作と加速操作を行う。第1ドライバAは、交差点A1に後続するS字カーブA2では、第1車両C1がS字カーブA2に差し掛かる前の地点(例えば第2地点P2)から、減速操作を行う。第1ドライバAは、第1車両C1がS字カーブA2の最初のカーブを通過するように、右旋回操作し、次のカーブでハンドル旋回を戻す。更に第1ドライバAは、S字カーブA2の終わりから、直線道路を、S字カーブA2から所定距離離れた第3地点P3まで加速操作するという一連の車両操作を行う。
【0057】
図1(a)は、いわゆるナビゲーション装置などで扱う「リンク」として、第1リンクLi1〜第4リンクLi4を示す。例えば第1地点P1よりも前の信号機(図示略)から、交差点A1の入口の信号機までの直線道路の道路区間を、第1リンクLi1として示す。更に、交差点A1から、S字カーブA2の入口までの直線道路の道路区間を、第2リンクLi2として示す。S字カーブA2の入口から、出口までの曲線道路の道路区間を、第3リンクLi3として示す。S字カーブA2の出口から、第3地点P3よりも後の信号機(図示略)までの直線道路の道路区間を、第4リンクLi4として示す。つまりこれら第1リンクLi1〜第4リンクLi4は、信号機や交差点A1、S字カーブA2といった交通標識によってもっぱら区切られる道路区間、いわゆるナビゲーション装置などで扱う「リンク」である。
【0058】
これに対して、図1(a)は、第1地点P1から第2地点P2までの第1設定区間Sect1を示す。更に、第2地点P2から第3地点P3までの第2設定区間Sect2を示す。第1設定区間Sect1は、交差点A1に対して第1ドライバAが一連の操作を行った区間である。第2設定区間Sect2は、S字カーブA2に対して第2ドライバBが一連の操作を行った区間である。第1設定区間Sect1と第2設定区間Sect2の間の区切り(例えば第2地点P2)は、第2リンクLi2の途中に存在している。つまり、第1設定区間Sect1と第2設定区間Sect2の間の区切りは、第1リンクLi1〜第4リンクLi4の区切りとは無関係であることが、図1(a)から良く分かる。
【0059】
図1(b)に実線で示すように、第1ドライバAによる第1車両C1の燃費の推移つまり第1燃費推移L1の曲線は、第1設定区間Sect1において山を示し、第2設定区間Sect2において谷を示した。つまり第1ドライバAは、交差点A1に対して上手なエコノミードライブ操作をして高い燃費推移を実現したものの、S字カーブA2においては上手なエコノミードライブができず、低い燃費推移を示してしまった。
【0060】
一方、図1(b)に破線で示すように、第2ドライバBによる第2車両C2の燃費の推移つまり第2燃費推移L2の曲線は、第1設定区間Sect1において小さな山を示し、第2設定区間Sect2において大きな山を示した。つまり第2ドライバBは、交差点A1に対しては第1ドライバAよりも下手なエコノミードライブ操作であったが、S字カーブA2では奮起して第1ドライバAよりも上手にエコノミードライブでき、高い燃費推移を示した。
【0061】
図1(b)に示すように、第1設定区間Sect1よりも前では、第2燃費推移L2は第1燃費推移L1よりも高い。第2設定区間Sect2よりも後では、第1燃費推移L1は第2燃費推移L2よりも高い。つまり第1地点P1、第2地点P2、および第3地点P3はそれぞれ、第1燃費推移L1と第2燃費推移L2のうちの何れがより高い燃費を示すか、切り換わる地点を示す。ここで、交差点A1やS字カーブA2のように、燃費を左右する要因を、「燃費要因」と称する。
【0062】
このように、第1ドライバAと第2ドライバBそれぞれの運転技量や固有の癖によって、共通の燃費要因に対する燃費推移は、第1ドライバAと第2ドライバBで互いに異なるのが普通である。図1(b)の例では、交差点A1においては第1ドライバAの車両操作による燃費が最高燃費となり、S字カーブA2においては第2ドライバBの車両操作による燃費が最高燃費である。つまり、被検者を第1ドライバAと第2ドライバBの2人にした場合、交差点A1での第1ドライバAの車両操作に基づく第1燃費推移L1の部分(第1繋合点ch1から第2繋合点ch2までの第1最高燃費部分)に、S字カーブA2での第2ドライバBの車両操作に基づく第2燃費推移L2の部分(第2繋合点ch2から第3繋合点ch3までの第2最高燃費部分)を繋ぎ合わせる。この繋ぎ合わせた後の燃費推移が、図1(a)に示す交差点A1とS字カーブA2の連続経路(走行ルート)において、最高の燃費推移を示す最高燃費推移であることが分かる。
【0063】
そこで本実施形態では、図2(b)に示す最高燃費推移L3を設定した。最高燃費推移L3は、図2(a)に示すように交差点A1にS字カーブA2が連続する経路において、第1ドライバAの車両操作による第1設定区間Sect1の燃費推移(L1の前半部分)に、第2ドライバBの車両操作による第2設定区間の燃費推移(L2の後半部分)を継ぎ合わせた。またこの最高燃費が実現されたときに行われた減速操作、加速操作、右旋回操作、左旋回操作等の車両操作に関する情報を、図2(a)の経路において最高燃費を実現するために必要な車両操作に関する情報として用いるように設定した。
【0064】
図2(b)は、第1地点P1〜第3地点P3にそれぞれ一対一対応する、最高燃費推移L3の第1繋合点ch1〜第3繋合点ch3を示す。これら第1繋合点ch1〜第3繋合点ch3はそれぞれ、第1ドライバAの車両操作に基づく最高燃費である第1燃費推移L1と、第2ドライバBの車両操作に基づく第2燃費推移L2との繋ぎ目(変化点。連結点)を示す。
【0065】
そこで本実施形態の原理としては、複数種の車両操作つまり第1ドライバAの車両操作による最高燃費推移である第1燃費推移L1と、第2ドライバBの車両操作による最高燃費推移である第2燃費推移L2とのうち、燃費推移が高いほうと低いほうが切り換わる第1繋合点ch1〜第3繋合点ch3に対応する第1地点P1〜第3地点P3によって、経路を区切る。このように経路を区切った区間としての第1設定区間Sect1と第2設定区間Sect2を、経路における最高燃費の算出に適した区間として、設定することとする。
【0066】
つまり第1ドライバAは、最高燃費推移L3を手本として運転すれば、エコノミードライブが不得意なS字カーブA2の第2設定区間Sect2においては、S字カーブA2でのエコノミードライブを得意とする第2ドライバBの運転操作を手本として、運転操作することができる。第1ドライバAは、もともと自分がエコノミードライブを得意とする交差点A1の第1設定区間Sect1においても、最高燃費推移L3を手本として運転すれば、過去に自分が行った燃費の良い運転操作を再現しやすい。
【0067】
同様に、第2ドライバBは、最高燃費推移L3を手本として運転すれば、エコノミードライブがそれほど上手ではない交差点A1の第1設定区間Sect1においては、交差点A1でのエコノミードライブを得意とする第1ドライバAの運転操作を手本として、運転操作することができる。第2ドライバBは、もともと自分がエコノミードライブを得意とするS字カーブA2の第2設定区間Sect2においても、最高燃費推移L3を手本として運転すれば、過去に自分が行った燃費の良い運転操作を再現しやすい。
【0068】
つまり、第1設定区間Sect1や第2設定区間Sect2は、交差点A1やS字カーブA2のような燃費要因それぞれにおける一連の車両操作を分類するうえで、好適に区切られた区間であり、ドライバの車両操作の特徴を分かり易く示すことができる区間である。ドライバの一連の車両操作を途中で区切って分類することになりかねない第1リンクLi1〜第4リンクLi4とは、第1設定区間Sect1や第2設定区間Sect2は異なる。
【0069】
図3〜図6は、本実施形態の区間設定方法を示す。図3は、第1ドライバDaの運転操作による区間設定態様を示し、図4は、更に第2ドライバDbの運転操作を加味した区間設定態様を示す。図5は、更に第3ドライバDcの運転操作を加味した区間設定態様を示す。図6は、図5の「燃費」を、「アクセル開度」に換算して示す。つまり図6は、最高燃費を実現する車両操作に関する情報としてのエコ操作情報を、如何にして生成するかを示す。
【0070】
図3(a)は、燃費情報を収集するための最小単位区間としての、燃費情報収集区間s1〜snを示す。図4(a)、図5(a)、および図6(a)は、何れも図3(a)と同じである。図3(b)〜図5(b)は、燃費情報収集区間s1〜snごとに管理センター200(図7)が収集した、互いに同一もしくは近似する経路におけるドライバごとの燃費推移を示す。図3(c)〜図5(c)、図5(d)、図6(c)は、ドライバごとの燃費推移に基づき設定される、最高燃費の算出のための設定区間を示す。また図6(b)は、ドライバごとの車両操作の一例を示す。
【0071】
複数の車両は、それぞれ走行した経路、燃費情報、および車両操作に関する情報といった車両情報(プローブ情報)を、送信する。管理センター200は、これら車両情報を、図3(a)に示す燃費情報収集区間s1〜snのそれぞれごとに受信して収集し、且つ管理する。燃費情報収集区間s1〜snは、例えばそれぞれ「10m」に設定される。つまり管理センター200は、これら燃費情報収集区間s1〜sn単位で、出発地点Psから目的地点Pgまでの、互いに同一もしくは近似する経路における車両情報を、複数の車両から収集する。
【0072】
図3(b)に示す推移例としての第1燃費推移Lfaは、第1ドライバDaによる車両操作によって、出発地点Psから目的地点Pgまでの経路を車両が走行したときに得られる。つまり第1燃費推移Lfaは、この経路に存在する交差点や坂道、カーブ等の燃費要因に対して、第1ドライバDaが行った車両操作を反映した推移となっている。まず、この第1ドライバDaによる第1燃費推移Lfaが、この経路における最高燃費推移として、管理センター200に記録される。図3の場合には、この経路における燃費推移がまだ1つしかない。このため、図3(c)に示すように、出発地点Psから目的地点Pgまでの、最高燃費を算出するために用いられる設定区間は、第1ドライバDaの第1燃費推移Lfaのみに基づく、1つの設定区間D0として設定される。
【0073】
図4(b)は、出発地点Psから目的地点Pgまでの、第1ドライバDaと同一の経路を走行したときの、第2ドライバDbによる車両操作のもとで得られた第2燃費推移Lfbを示す。管理センター200がこの第2燃費推移Lfbを収集したとすると、管理センター200は、それぞれ燃費情報収集区間s1〜snごとに、第2燃費推移Lfbを、前回の最高燃費であった第1ドライバDaの第1燃費推移Lfaと比較する。
【0074】
こうした比較によって、図4(b)に破線で示す第1最高燃費推移Lfm1が得られる。つまり第1最高燃費推移Lfm1は、出発地点Psと第1地点Paの間の第1設定区間D1での第1ドライバDaによる第1燃費推移Lfaの部分と、第1地点Paと第2地点Pbの間の第2設定区間D2での第2ドライバDbによる第2燃費推移Lfbの部分と、第2地点Pbと目的地点Pgの間の第3設定区間D3での第1ドライバDaによる第1燃費推移Lfaの部分とを順に繋ぎ合わせることによって得られる。第1最高燃費推移Lfm1は、第1ドライバDaと第2ドライバDbそれぞれの車両操作のもとでの、出発地点Psから目的地点Pgまでの経路における最高燃費推移を示す。第1最高燃費推移Lfm1の第1繋合点ch1は、第1設定区間D1と第2設定区間D2の間の繋ぎ目を示す、経路上の第1地点Paに対応する。第1最高燃費推移Lfm1の第2繋合点ch2は、第2設定区間D2と第3設定区間D3の間の繋ぎ目を示す、経路上の第2地点Pbに対応する。
【0075】
そこで本実施形態は、第1ドライバDaの第1燃費推移Lfaと、第2ドライバDbの第2燃費推移Lfbとの繋ぎ目となる第1地点Paと第2地点Pbによって経路を区切ることによって得られる第1設定区間D1〜第3設定区間D3を、最高燃費の算出に用いる区間として設定する。それら第1設定区間D1〜第3設定区間D3それぞれが、交差点や坂道等の燃費要因と、これら燃費要因に対するエコノミードライブを行うために必要な一連の区間とを含む区間であることは、図1と図2で説明した通りである。
【0076】
また本実施形態では、最高の燃費推移が切換わる繋合点(燃費が高い車両操作データを提供した車両またはドライバが、変化する変化点。繋ぎ目)において新たに区間設定を行うか否かを、近似範囲判別値Xを用いて判定する。つまり本実施形態は、第1繋合点ch1や第2繋合点ch2によって区切られる区間の寸法が、近似範囲判別値Xよりも小さければ、新たな区間設定は行わず、近似範囲判別値Xよりも大きければ、新たな区間設定を行う。これによって、設定区間が極端に短くなってしまうことは抑制される。つまり、燃費要因に対するエコノミードライブを行う区間が、或る程度の距離寸法で提供されることになるため、ドライバは最高燃費推移を手本として運転しやすい。この近似範囲判別値Xは、経路の交通環境に応じて可変とされている。近似範囲判別値Xは、例えば「50m」に設定されている。
【0077】
ここの例では、第1繋合点ch1と第2繋合点ch2によって区切られた第1設定区間D1〜第3設定区間D3それぞれの距離T1〜T3は、いずれも近似範囲判別値Xを超えている。よって本実施形態は、これら第1設定区間D1〜第3設定区間D3を、最高燃費の算出のための設定区間として確定する。
【0078】
図5(b)は、更に第3ドライバDcによる車両操作のもとで得られ収集した第3燃費推移Lfcを、実線で示す。第3ドライバDcは、出発地点Psから目的地点Pgまでの、第1ドライバDaや第2ドライバDbと同一の経路を走行したとする。本実施形態は、この第3燃費推移Lfcを、前回の最高燃費である第1最高燃費推移Lfm1と、燃費情報収集区間s1〜snごとに比較する。
【0079】
図5(b)は、推移例としての第2最高燃費推移Lfm2を、破線で示す。第3ドライバDcによる第3燃費推移Lfcは、第3地点Pcから第4地点Pdまでの第4設定区間D4(図5(c))では、前回最高であった第1最高燃費推移Lfm1よりも高燃費である。このことから、本実施形態は、出発地点Psから目的地点Pgまでの経路における最高燃費推移を、部分的に第3ドライバDcによる第3燃費推移Lfcを用いる第2最高燃費推移Lfm2として、更新する。
【0080】
ただしこの例では、第3地点Pcと第4地点Pdで区切られた第4設定区間D4の距離T4は、近似範囲判別値X以下である。よって最終的には本実施形態は、第4設定区間D4を「設定区間」としては設定せず、図5(d)に示すように、第4設定区間D4に相当する経路の部分を、図5(c)において第4設定区間D4の直前に位置した第1設定区間D1に、統合する。
【0081】
このように本実施形態は、複数の車両から経路ごとの情報を取得する都度、ドライバ単位で、複数の燃費推移のうちの最も高燃費な部分同士を、適宜繋ぎ合わせる。また、これら繋ぎ合わせた燃費推移同士の繋合点(繋ぎ目)に基づき、区間設定が適宜行われる。これによって、それぞれの経路における最高燃費推移を算出する。そしてこの経路は、幾つかの所定の設定区間に区切られる。
【0082】
こうして区間設定を行うと、本実施形態は、設定したこれら第1設定区間D1〜第3設定区間D3に基づいて、経路において最高燃費を実現するために必要な車両操作に関する情報つまりエコ操作情報を、生成する。
【0083】
図6(b)は、推移例として、アクセル開度の推移をそれぞれ示す第1アクセル開度推移Lda〜第3アクセル開度推移Ldcを示す。それぞれ第1アクセル開度推移Lda〜第3アクセル開度推移Ldcは、出発地点Psから目的地点Pgまでの経路における第1ドライバDa〜第3ドライバDcによるアクセル開度の推移であり、第1燃費推移Lfa〜第3燃費推移Lfcにそれぞれ略反比例する。つまり第1アクセル開度推移Lda〜第3アクセル開度推移Ldcは、それぞれ燃費との相関性が強いことが確認できる。そこで本実施形態は、エコ操作情報の一例として、最高燃費が実現されたときのアクセル開度に関する情報を生成することとする。
【0084】
図6(b)と図6(c)に示すように、エコ操作情報の生成は、設定した第1設定区間D1〜第3設定区間D3それぞれごとに行われる。図6(b)は、最適アクセル開度推移Ldmを、破線で示す。第1設定区間D1と第3設定区間D3においては、第1ドライバDaによる第1燃費推移Lfaが最高(図6(b)では、第1設定区間D1〜第3設定区間D3のうちの最も下)であった。よって、本実施形態は、第1設定区間D1と第3設定区間D3におけるエコ操作情報には、第1ドライバDaによる第1アクセル開度推移Ldaの部分を設定する。また第2設定区間D2においては、第2ドライバDbによる第2燃費推移Lfbが最高であった。よって、第2設定区間D2におけるエコ操作情報には、第2ドライバDbによる第2アクセル開度推移Ldbを設定する。こうして最適アクセル開度推移Ldmは、繋ぎ合わせた最高燃費の推移に対応するように組み合わされたアクセル開度推移であり、最高エコ操作情報として算出される。本実施形態はこうしたエコ操作情報を、車両から収集した燃費情報に基づき、経路における最高燃費を更新する都度、この最高燃費に基づき設定した設定区間ごとに、その最高燃費が実現されたときのアクセル開度に関する情報として適宜更新する。
【0085】
図7は、本実施形態の区間設定方法、燃費情報生成装置、および運転支援装置を実現するシステム構成を示す。
図7に示すように、このシステムは、車両に搭載される車載システム100と、プローブ情報通信システムを構成する管理センター200とを備えている。管理センター200は、道路上を走行する車両の、車両情報(プローブ情報)を収集し且つ管理する。車載システム100と管理センター200は、本実施形態の運転支援装置に相当する。
【0086】
車載システム100は、車両の運転操作に関する情報である車両操作情報を取得するための車両操作情報取得部110と、自車両の位置や、自車両が走行した経路等に関する経路情報を取得するための経路情報取得部120とを備えている。車載システム100は更に、車両操作情報取得部110や経路情報取得部120からデータ受信するデータ受信装置130と、データ受信装置130や車両に搭載される各種装置を制御する車載制御装置140とを備えている。
【0087】
車両操作情報取得部110は、アクセルセンサ111、ブレーキセンサ112、加速度センサ(Gセンサ)113、ジャイロセンサ114、操舵角センサ115、および車速センサ116等の各種センサによって構成されている。これら各種センサ111〜116は、例えばCAN(Control Area Network)などの車載ネットワークを介して、様々なセンサの検出結果を集約するデータ受信装置130に電気的接続されている。
【0088】
アクセルセンサ111は、ドライバによるアクセルペダル操作によって変化するアクセル開度を検出し、この検出したアクセルの開度に応じた信号を、データ受信装置130に送信する。ブレーキセンサ112は、ドライバによるブレーキペダル操作の有無を検出し、この検出した操作の有無に応じた信号を、データ受信装置130に送信する。加速度センサ113は、車両加速度を検出し、この検出した加速度に応じた信号を、データ受信装置130に送信する。ジャイロセンサ114は、車両進行方向を検出し、この検出した進行方向に応じた信号を、データ受信装置130に送信する。操舵角センサ115は、検出したステアリング操舵角変化量に基づいて操舵角を算出し、この算出した操舵角に応じた信号を、データ受信装置130に送信する。車速センサ116は、車輪回転速度を検出し、この検出した回転速度に応じた信号を、データ受信装置130に送信する。
【0089】
また経路情報取得部120は、GPS121、カーナビゲーションシステム122、ヨーレートセンサ123、操舵角センサ115、および車速センサ116によって構成されている。
【0090】
GPS121は、車両の絶対位置を検出するためのGPS衛星信号を受信し、この受信したGPS衛星信号に基づき車両の緯度経度を検出し、そして検出した車両の緯度経度情報を、データ受信装置130に送信する。
【0091】
カーナビゲーションシステム122は、車両の運転域に対応する道路地図データを登録している。この道路地図データは、地図に関する情報であり、地図表示用データ、誘導データ(交差点名称、道路名称、方面名称、方向ガイド施設情報)などから構成される。地図表示用データは、道路や道路地図の背景を表示するためのデータである。誘導データは、交差点の名称などから成るデータであり、推奨経路に基づき、運転者などに推奨経路を誘導する際に用いられる。またこうした道路地図データには、緯度経度に関する情報が登録されている。カーナビゲーションシステム122は、ドライバによって目的地点が設定されると、この設定された目的地点の緯度経度情報を、データ受信装置130に送信する。
【0092】
ヨーレートセンサ123は、車両の旋回方向への回転角の変化速度であるヨーレートを検出し、この検出したヨーレートに応じた信号を、CANなどの車載ネットワークを介して、データ受信装置130に送信する。
【0093】
データ受信装置130は、こうしてそれぞれ受信した信号を、車載制御装置140に送信される。この車載制御装置140は、データ受信装置130を介して取得した各センサ111〜116による検出結果に基づき、車両の運転操作を数値化することによって、車両操作に関する情報としての車両操作情報を算出する。また車載制御装置140は、GPS121、カーナビゲーションシステム122、ヨーレートセンサ123、操舵角センサ115、および車速センサ116から、データ受信装置130を介して受信した情報に基づき、自車両の位置や自車両が走行した経路等に関する、経路情報を算出する。
【0094】
車載制御装置140は、自車両の燃費を算出する燃費情報算出部141を備えている。この燃費情報算出部141は、アクセルセンサ111の検出結果に基づくアクセルペダル踏込量や、エンジン制御装置(図示略)等から入力される燃料噴射信号等に基づき、自車両の燃費情報を算出する。それら各種情報は、各種情報を取得したときの時刻等に関する情報も含んでいる。
【0095】
車載システム100は更に、車載制御装置140にそれぞれ電気的接続される車両情報記録装置150と車両無線通信装置160、入力装置170、表示装置180、および音声装置190を有する。
【0096】
車載制御装置140は、算出した燃費情報に、その燃費が実現されたときの車両操作情報と、経路情報とを関連付ける。そして車載制御装置140は、それら互いに関連付けた各種情報を、車両情報記録装置150に適宜記録する。こうして車両情報記録装置150は、出発地点から目的地点に至るまでの経路において、ドライバが行った車両操作情報や、経路での燃費情報を蓄積する。車両情報記録装置150は、経路情報、車両操作情報、および燃費情報の収集のための最小単位区間である燃費情報収集区間の長さを、例えば「10m」に規定して記憶している。つまり本実施形態は、経路情報、車両操作情報、および燃費情報を、「10m」ごとに記録する。
【0097】
車載制御装置140は、車両情報記録装置150に記録してあった経路情報、車両操作情報、および燃費情報を、自車両の車両情報(プローブ情報)として扱う。そして車載制御装置140は、これら自車両の車両情報を、自車両の車両IDと一緒に、車両無線通信装置160を介して、管理センター200に無線送信する。車載制御装置140は、こうした車両情報の送信を、例えば車両の走行が終了する都度、実行する。
【0098】
車載制御装置140は、入力装置170がドライバによって操作されることによって、ドライバによる目的地点の設定や、出発地点から目的地点までの選択経路が入力される。
表示装置180は、出発地点から目的地点までの複数の推奨経路や、それぞれ推奨経路ごとの最高燃費に関する情報を表示する。音声装置190は、運転支援にかかる警報などの各種情報を出力する出力装置である。
【0099】
入力装置170は、ドライバによって目的地点が設定される、この設定された目的地点に関する情報を、車載制御装置140に出力される。車載制御装置140は、この目的地点の緯度経度情報と、現在地の緯度経度情報とを、データ受信装置130を介して、GPS121やカーナビゲーションシステム122等から取得する。車載制御装置140は、こうして目的地点と現在地の緯度経度情報を取得すると、この取得した緯度経度情報を、車両無線通信装置160を介して、管理センター200に無線送信する。
【0100】
車載制御装置140は、入力装置170がドライバによって操作されることによって、ドライバによる目的地点の設定や、出発地点から目的地点までの経路選択に関する情報が入力されると、それら情報を、車両無線通信装置160を介して、管理センター200に無線送信する。
【0101】
表示装置180は、例えば液晶ディスプレイによって構成され、車室内のセンターコンソール付近に設置される。この表示装置180は、車載制御装置140から、地図表示の画像データや、ドライバに注意を喚起するための警告表示の画像データ等が入力され、それぞれ画像データに対応した画像を表示する。例えば車載制御装置140は、自車両の現在位置を、その周辺の地図に組み合わせた画像データを、表示装置180に出力する。表示装置180は、自車両の位置が周辺の地図に組み合わされた画像を、表示する。このように表示装置180は、自車両の位置を表す自車位置マーク、目的地点までの経路情報、および誘導情報を、道路地図とともに表示する。本実施形態の表示装置180は、設定された出発地点から目的地点までの、候補経路ごとの最高燃費に関する情報を、候補経路と一緒に表示する。更に表示装置180は、例えば第1設定区間D1〜第3設定区間D3にそれぞれ進入する都度、エコ操作情報を表示される。
【0102】
音声装置190は、車載制御装置140から受信する信号に基づいて、ドライバへの注意喚起や音声案内を行う。この音声装置190も、出発地点から目的地点までの候補経路ごとの最高燃費に関する情報や、エコ操作情報を、ドライバに案内する。
【0103】
図7に示すように、管理センター200は、各種装置を制御するセンター制御装置220と、このセンター制御装置220にそれぞれ電気的接続されたセンター無線通信装置210、収集情報記録装置230、分析装置240、およびガイド情報算出部250を有する。
【0104】
管理センター200は、車載システム100をそれぞれ搭載した車両の車両情報を、複数の車両から収集する。すなわち、それぞれ車両が蓄積した車両情報は、センター無線通信装置210を介して、センター制御装置220に入力される。センター制御装置220は、入力された車両ごとの車両情報を、収集情報記録装置230に記憶する。
【0105】
この収集情報記録装置230は、入力された車両情報を車両単位(ドライバ単位)で蓄積する走行データ蓄積部231と、最高燃費蓄積部232とを備えている。最高燃費蓄積部232は、収集した車両ごとの車両情報の分析結果として得られる最高燃費推移に関する情報を、最高燃費の推移に基づき設定される設定区間(図5(d)の例では第1設定区間D1〜第3設定区間D3)ごとに、走行経路ごとに記録する。
【0106】
収集情報記録装置230は更に、区間情報蓄積部233とエコ操作情報蓄積部234を備える。区間情報蓄積部233は、車両ごとの車両情報の分析結果に基づき算出された設定区間に関する情報を、蓄積する。エコ操作情報蓄積部234は、車両ごとの車両情報の分析結果に基づき算出されたエコノミードライブ操作に関するエコ操作情報を、設定区間ごとに、且つ走行経路ごとに記録する。収集情報記録装置230も、経路情報、車両操作情報、および燃費情報の収集のための最小単位区間である燃費情報収集区間の長さを、「10m」に規定している。つまり本実施形態の管理センター200は、車両ごとの車両情報を、「10m」ごとに収集し且つ蓄積する。
【0107】
このような収集情報記録装置230は、複数の車両から収集され且つ入力された車両ごとの車両情報を、走行データ蓄積部231に取込む。走行データ蓄積部231は、それぞれ車両情報に含まれている車両IDに基づき、車両情報に含まれている燃費情報や車両操作情報を、それぞれ車両の走行データとして、車両ごとに蓄積する。一般に、或る車両を運転するドライバは、同一の人物であることが多い。そこで本実施形態は、車両ごとに蓄積した車両情報を、車両IDに基づき、それぞれ固有のドライバ単位の車両情報とみなして取扱うこととする。こうして走行データ蓄積部231は、複数種の車両操作に基づく車両情報を、蓄積する。
【0108】
走行データ蓄積部231が蓄積したドライバ毎の車両情報、つまり車両毎の車両情報は、分析装置240に送られる。分析装置240は、車載システム100から受信した車両情報を用いて、それぞれの車両の燃費推移等の分析や、最高燃費の算出のための区間設定等を行う。
【0109】
この分析装置240は、燃費推移処理部241、区間設定部242、および操作情報処理部243を有する。燃費推移処理部241は、走行データ蓄積部231が蓄積したドライバごとの燃費情報に基づき、出発地点から目的地点までの経路における燃費推移を、経路ごとに算出する。更に燃費推移処理部241は、互いに同一もしくは近似する経路同士の燃費推移を、区間ごとに互いに比較することによって、それぞれの区間において最高の燃費推移の部分を判定し、判定したそれら最高燃費推移の部分同士を、順次繋ぎ合わせる。
【0110】
区間設定部242は、この燃費推移処理部241によって繋ぎ合わせた複数の最高燃費推移部分の、互いの繋ぎ目となる繋合点(図5(b)では第2繋合点ch2と第4繋合点ch4)を抽出する。これら繋合点同士の間の区間(図5(d)では第1設定区間D1、第2設定区間D2、および第3設定区間D3)を、最高燃費の今後の算出に用いる設定区間として設定する。
【0111】
操作情報処理部243は、それぞれ経路において最高燃費を実現するために必要な、車両操作に関するエコ操作情報を生成する。本実施形態では、収集情報記録装置230と分析装置240が、燃費情報生成装置に相当する。
【0112】
ドライバ単位の車両情報は、走行データ蓄積部231から分析装置240に取込まれると、まず燃費推移処理部241に入力される。燃費推移処理部241は、走行データ蓄積部231が蓄積しているドライバごとの燃費情報推移(図1(b)の第1燃費推移L1と第2燃費推移L2のような)に基づき、最高となる燃費推移の部分同士を、それぞれ経路ごとに繋ぎ合わせる(図2(b)に推移例として示した最高燃費推移L3のように)。これによって、それぞれ経路において出発地点から目的地点に至るまでの、最高燃費推移が生成される。
【0113】
区間設定部242は、燃費推移処理部241が繋ぎ合わせた最高燃費推移のうち、燃費推移同士の切換が生じる繋合点同士の間の区間を、最高燃費の算出に用いる設定区間として決定する。繋合点は、複数のドライバそれぞれによる車両操作に基づき得られた、燃費情報推移同士の繋ぎ目である。
【0114】
図8は、区間設定部242が備える近似範囲マップ242aを示す。近似範囲マップ242aは、近似範囲判別値Xを、マップデータとして記録している。つまり近似範囲マップ242aは、複数の近似範囲判別値X1〜X21、・・・を、時間帯ごとに、且つ交通環境の要素ごとに設定している。交通環境の要素は、都市部、郊外、高速道路というように、交差点やカーブ等の燃費要因が存在する頻度の大小に相関させている。すなわち「都市部」は、交差点やカーブ等が存在する頻度が高く、燃費要因同士の間の距離が短くなる傾向にある。一方、「郊外」や「高速道路」では、燃費要因同士の間の距離は、長くなる傾向にある。また時間帯によっても、交通環境は変化する傾向にある。このため、例えば「都市部」を対象として夜間は6時間ごと、昼間は3時間ごとに設定した近似範囲判別値X1〜X7は、「郊外」を対象としてそれぞれ同じ時間帯に設定した近似範囲判別値X8〜X14よりも小さく設定されている。さらに「郊外」の近似範囲判別値X8〜X14は、「高速道路」のX15〜X21よりも小さく設定されている。つまりX1<X8<X15であり、X2<X9<X16である。近似範囲判別値Xは、交通流の多くなる時間帯ほど、小さい値に設定されている。この近似範囲判別値Xは、例えばカーナビゲーションシステム122に登録されている地図情報等に基づき、算出した値である。
【0115】
区間設定部242は、収集した経路情報に基づき、この近似範囲マップ242aから近似範囲判別値Xを選択し、この選択した近似範囲判別値Xを用いて、設定区間の再設定や統合を行う。区間情報蓄積部233は、こうして区間設定部242が設定した設定区間に関する情報と、該当する位置情報とを、一緒に蓄積する。最高燃費蓄積部232は、燃費推移処理部241が繋ぎ合わせた最高燃費推移に関する情報と、区間設定部242が設定して区間情報蓄積部233に蓄積していた設定区間ごとに該当する位置情報とを、一緒に蓄積する。
【0116】
操作情報処理部243は、最高燃費に関する情報としての最高燃費情報に、それぞれ減速操作、加速操作、右旋回操作、左旋回操作等の車両操作情報を組み合わせる。操作情報処理部243は、この組み合わせた車両操作情報を、それぞれ経路において最高燃費を実現するために必要な車両操作に関するエコ操作情報として算出する。エコ操作情報蓄積部234は、このエコ操作情報を、設定区間ごとに該当する位置情報と一緒に、それぞれ経路ごとに蓄積する。
【0117】
一方、管理センター200のガイド情報算出部250は、車載システム100から送信された、支援対象とする車両の出発地点(現在地)と目的地点とに関する情報に基づき、ドライバによる車両操作を支援するためのガイド情報を生成する。
【0118】
このガイド情報算出部250は、経路探索部251、最高燃費情報算出部252、およびエコ操作情報抽出部253を有する。経路探索部251は、支援対象とする車両から送信された、目的地点に関する情報に基づき、出発地点から目的地点までの経路探索を行う。最高燃費情報算出部252は、経路探索部251が探索した経路において実現可能な最高燃費に関する情報である最高燃費情報を、最高燃費蓄積部232から抽出した最高燃費推移に基づき算出する。エコ操作情報抽出部253は、経路探索部251が探索した経路ごとのエコ操作情報を、エコ操作情報蓄積部234から抽出する。
【0119】
このような経路探索部251は、支援対象とする車両から、センター無線通信装置210とセンター制御装置220を介して、出発地点と目的地点の緯度経度情報を受信すると、例えばダイクストラ(Dijkstra)法に基づき、出発地点から目的地点までの経路探索を行う。最高燃費情報算出部252は、この探索した経路に該当する経路での最高燃費推移情報を、最高燃費蓄積部232から抽出する。次いで、最高燃費情報算出部252は、この抽出した最高燃費推移情報に基づく積分法等による算出によって、それぞれ探索した経路に対する最高燃費情報を算出する。例えば最高燃費情報は、候補経路ごとに最高燃費を達成する際に必要な燃料量を、出発地点から目標地点まで積分した最小必要燃料量である。こうしてガイド情報算出部250は、出発地点から目的地点までの複数の候補経路と、それぞれ候補経路ごとの最高燃費情報とを算出する。
【0120】
管理センター200は、それら算出した候補経路に関する情報としての候補経路情報と、候補経路ごとの最高燃費情報とを、センター無線通信装置210を介して、支援対象とする車両に送信する。車載制御装置140は、送信された情報を、車両無線通信装置160を介して受信すると、表示装置180によって表示する。
【0121】
ドライバが、表示された候補経路情報と最高燃費情報に基づき、経路を選択するように入力装置170を操作すると、車両無線通信装置160は、この選択された経路に関する情報としての選択経路情報を、管理センター200に送信する。管理センター200のエコ操作情報抽出部253は、支援対象とする車両からの選択経路情報が入力されると、エコ操作情報蓄積部234から、選択経路に対応するエコ操作情報を抽出する。エコ操作情報抽出部253は、抽出したエコ操作情報を、センター無線通信装置210を介して、支援対象とする車両に送信する。すると、車両の表示装置180と音声装置190は、エコ操作情報を出力する。つまり、エコ操作情報をドライバに通知するための、表示装置180による画像表示や、音声装置190による音声案内が、ドライバに対するエコノミードライブ支援である。表示装置180と音声装置190は、エコノミードライブ支援のためにエコ操作情報に基づき、例えば車両が設定区間に進入したときに、アクセルペダルやブレーキペダルの踏込量、減速タイミング、および加速タイミングをドライバに案内する。
【0122】
ドライバは、車載システム100によって一緒に提供される複数の候補経路と、候補経路ごとの最高燃費情報とに基づき、目的地点までの経路を選択することができる。更にドライバは、選択した経路に対して車載システム100から提供されるエコ操作情報に基づき、車両操作を行うことができる。
【0123】
図9は、車載システム100と管理センター200の、機能ブロック図を示す。車載システム100は、第1車両ブロックBC1〜第7車両ブロックBC7を実行し、管理センター200は、第1センターブロックBS1〜第6センターブロックBS6を実行する。図9の上半分の、第1車両ブロックBC1〜第3車両ブロックBC3と、第1センターブロックBS1〜第4センターブロックBS4とは、データベース生成過程を示す。図9の下半分の第4車両ブロックBC4〜第7車両ブロックBC7と、第5センターブロックBS5〜第6センターブロックBS6とは、ドライバによる経路設定を行う過程を示す。
【0124】
図9に示すように、車載システム100の第1車両ブロックBC1は、CANなどを介して車両操作情報を取得し、そして第2車両ブロックBC2に出力する。第3車両ブロックBC3は、自車両が走行した経路や、その都度の日時等に関する経路情報を、第2車両ブロックBC2に出力する。第2車両ブロックBC2は、これら入力された情報に基づき、経路(経路)における燃費推移を生成し、記録する。第2車両ブロックBC2は、燃費推移が得られたときの減速操作や加速操作等の車両操作情報も、燃費推移と一緒に記録する。この第2車両ブロックBC2は、車両情報記録装置150に相当する。支援対象であるそれぞれ車両の第2車両ブロックBC2は、記録した燃費推移と車両操作情報を、管理センター200に送信する。
【0125】
管理センター200の第1センターブロックBS1は、それぞれ車両から収集した燃費推移のうち、互いに同一もしくは近似する経路に対する燃費推移同士を、車両ごとつまりドライバごとに比較し、燃費が最高となる燃費情報推移の部分同士を繋ぎ合わせる。第2センターブロックBS2は、燃費情報推移の部分同士の繋ぎ目(エコ操作のモデルとする車両やドライバが変化する変化点)に基づき、経路を複数の設定区画に分ける区間設定を行う。この第2センターブロックBS2は、区間設定部242に相当する。
【0126】
第3センターブロックBS3は、設定した設定区間ごとに、経路ごとの最高燃費データベースを生成する。つまり第3センターブロックBS3は、最高燃費蓄積部232に相当する。第4センターブロックBS4は、設定した設定区間ごとに、経路ごとのエコ操作情報のデータベースを生成する。つまり第4センターブロックBS4は、エコ操作情報蓄積部234に相当する。
【0127】
このようにして車載システム100と管理センター200は、ドライバに提供する燃費情報やエコ操作情報に関するデータベースを生成する。
第4車両ブロックBC4が、ドライバによる目的地点の設定を受取ると、第5センターブロックBS5は、出発地点から目的地点に至るまでの複数の候補経路と、これら候補経路ごとの最高燃費とを算出する。第5車両ブロックBCS5は、算出した候補経路と、候補経路ごとの最高燃費情報とを、表示装置180や音声装置190を介して、ドライバに提供する。するとドライバは、管理センター200から提供された幾つかの候補ルートと、これら候補ルートごとの最高燃費情報とに基づき、経路選択と経路設定を行う。第6車両ブロックBC6が、この経路選択と経路設定を受取ると、第6センターブロックBS6は、この設定経路に対応するエコ操作情報を、抽出する。第7車両ブロックBC7は、この抽出されたエコ操作情報を、表示装置180や音声装置190を介して、ドライバに提供する。
【0128】
図10は、車載システム100と管理センター200による運転支援手順を示す。
図10に示すように、車載システム100は、ドライバによって目的地点が設定されると(ステップS101)、車両の現在位置と目的地点それぞれの緯度経度情報を、管理センター200に送信する(ステップS102)。
【0129】
管理センター200は、こうした情報を受取ると(ステップS103)、車両現在位置から目的地点までの経路探索を行い、例えば5通りの候補経路を算出する(ステップS104)。更に管理センター200は、候補経路ごとの最高燃費を、最高燃費蓄積部232を参照して算出し(ステップS105)、5通りの候補経路と、候補経路ごとの最高燃費情報とを、ドライバに対するガイド情報として、車載システム100に送信する(ステップS106)。
【0130】
車載システム100は、ガイド情報を受信すると(ステップS107)、これら5通りの候補経路と、候補経路ごとの最高燃費情報とを、表示装置180に表示する(ステップS108)。車載システム100は、ドライバが選択した選択経路が入力されると(ステップS109)、この選択経路情報を、管理センター200に送信する(ステップS110)
管理センター200は、選択経路情報を受信すると(ステップS111)、この選択経路において設定されている設定区間ごとのエコ操作情報を、エコ操作情報蓄積部234を参照して算出する(ステップS112)。管理センター200は、算出したエコ操作情報を、車載システム100に送信する(ステップS113)。
【0131】
車載システム100は、このエコ操作情報を受信すると(ステップS114)、表示装置180に表示する(ステップS115)。こうしてドライバは、管理センター200から提供される候補経路ごとの最高燃費を指標として、経路選択を行うことができる。更にドライバは、選択した経路において、設定区間ごとに提供されるエコ操作情報に従って、車両操作を行うことができる。
【0132】
図11は、出発地点から目的地点までの経路における、最高燃費の算出手順を総括して示す。
図11に示すように、それぞれの車両が目的地点に向かって走行を開始すると(ステップS201)、車載システム100は、走行が続いている間(ステップS202:NO)、走行経路に関する情報、経路で行われた車両操作情報、および経路での燃費情報を適宜算出する(ステップS203)。車両情報記録装置150は、例えば「10m」ごとに、これら情報を記録する(ステップS204)。車両が目的地点に到着し、走行を終了すると(ステップS202:YES)、車載システム100は、出発地点から目的地点に到着するまでの間に記録した経路情報、経路で行われた車両操作情報、および経路での燃費情報を、自車両の車両情報として、管理センター200に送信する(ステップS205)。
【0133】
管理センター200は、これら車両情報を受信すると(ステップS206。収集ステップ)、車両情報のうちの経路情報に基づき、それぞれ車両が走行した走行経路を算出する(ステップS207)。管理センター200は、算出した走行経路に、互いに同一もしくは近似する走行経路の最高燃費推移に関する情報を、最高燃費蓄積部232から抽出し(ステップS208)、この抽出した最高燃費を、車両から受信した走行経路における燃費推移と、燃費情報収集区間(「10m」)ごとに比較する(ステップS209。比較ステップ)。
【0134】
管理センター200は、車両から送信された燃費が無くなるまで、これら車両から送信された燃費を、最高燃費蓄積部232に記録されている最高燃費と比較し続け(ステップS210:NO)、比較の結果、車両から送信された燃費の方が、最高燃費蓄積部232に記録されている最高燃費よりも燃費が高いと判断した場合(ステップS211:YES)、該当する区間における最高燃費を、車両から送信された燃費に更新する(ステップS212。繋合ステップ)。管理センター200は、最高燃費の更新位置に関する情報と、更新した前記最高燃費情報とを、一緒に最高燃費蓄積部232に記録する(ステップS213)。一方、管理センター200は、車両から送信された燃費の方が、最高燃費蓄積部232に記録されている最高燃費よりも低い場合は(ステップS211:NO)、最高燃費を更新しない。
【0135】
こうして管理センター200は、車両から送信された全ての燃費情報を比較することによって、車両から送信された車両情報に基づく経路ごとの最高燃費を算出する。管理センター200は、それぞれの車両から車両情報を収集する都度、この一連の処理を実行する。これによって管理センター200は、支援対象とする区間における最高燃費情報を生成する。
【0136】
図12は、管理センター200の区間設定部242が行う区間設定手順を示す。
図12に示すように、区間設定部242は、先の図11のステップS213で説明したように最高燃費が更新された位置を示す位置情報を、抽出すると(ステップS301)、最高燃費を算出するための設定区間を更新するための再設定処理を、実行する(ステップS302。判別値設定ステップ)。まず区間設定部242は、最高燃費が更新された区間である更新区間が、この更新区間の直前、または直後に設定されている設定区間から、近似範囲判別値Xで示す近似範囲内に収まるか否か判断する(ステップS303)。つまりステップS303は、新たな更新区間を挟む一対の設定区間の間隔、つまり更新区間の直前に設定されている設定区間と、直後に設定されている設定区間との間の距離が、近似範囲判別値Xよりも小さいか否か判断する。
【0137】
区間設定部242は、最高燃費が更新された更新区間が、更新区間の直前と直後の一対の設定区間の間隔よりも大きい場合には(ステップS303:NO)、最高燃費が更新された更新区間を、新たな設定区間として設定される(ステップS304。区画設定ステップ。確定ステップ)。一方、区間設定部242は、最高燃費が更新された更新区間が、更新区間の直前と直後の一対の設定区間の間隔以下である場合には(ステップS303:YES)、更新区間を、更新区間の直前の設定区間に統合する(ステップS305。統合ステップ)。なお、直後の区間に統合してもよい。
【0138】
こうして区間設定部242は、設定区間に関する情報を、適宜更新する。管理センター200は、新たに設定した設定区間のエコ操作情報も更新する。こうして管理センター200は、区間情報蓄積部233やエコ操作情報蓄積部234に記録している各種情報を、適宜更新する。
【0139】
以上説明したように、この第1の実施形態にかかる区間設定方法、燃費情報生成装置、および運転支援装置によれば、以下の効果が得られる。
(1)本実施形態は、複数の車両から走行経路ごとの燃費情報を収集し、それら収集したそれぞれ燃費情報の推移を、部分ごとに比較した。そして本実施形態は、出発地点から目標地点までの燃費情報推移のうち、燃費が最高となる部分同士を、順次繋ぎ合わせることとした。この繋ぎ合わせた、燃費最高となる燃費情報の推移部分同士の繋合点(繋ぎ目)に対応する地点で、経路を区切った。これら地点同士の間の経路部分を、最高燃費の算出に用いる区間として設定することとした。このため、交差点や坂道、カーブ等の燃費要因において、最も経済的に優れた一連の車両操作が行われた区間が、単位区間として設定される。このように設定した区間をもとに、燃費を算出すると、出発地点から目的地点までのそれぞれ経路において実現可能な、最高燃費を算出できる。
【0140】
(2)本実施形態は、設定区間ごとに繋ぎ合わされた最高燃費推移に関する情報に基づき、経路ごとの最高燃費を算出することとした。このため、出発地点から目的地点までのそれぞれの経路において、複数種の車両情報によって得られた燃費推移のうち、最高燃費の部分のみを組み合わせて燃費情報を算出することができる。よって、ドライバの運転技量や癖によって経路ごとの燃費推移が異なる場合でも、実現可能な最高燃費情報を算出することができる。
【0141】
(3)本実施形態は、燃費情報を、その収集のための最小単位区間である燃費情報収集区間ごとに収集し、この燃費情報収集区間での燃費情報の対比によって、出発地点から目標地点までの燃費が最高となる燃費情報の推移部分同士を繋ぎ合わせることとした。このため、管理センター200に予め規定されている例えば「10m」といった単位区間が適宜組み合わされる態様で、設定区間が設定される。これによって、管理センター200に一括して収集された燃費情報に基づく区間の設定が、容易かつ的確に行われることができる。つまり、区間設定方法としての実用性がより高められる。またこうした管理センター200が、燃費情報を収集可能な最小区間ごとに、燃費情報の推移部分同士を対比し、最高となる燃費情報の推移部分同士の繋ぎ合わせを行う。よって、燃費要因に対して行われる車両操作を反映した区間設定を、より高精度に行うことができる。これによって、それぞれ経路ごとの最高燃費の算出や、エコ操作情報の算出を、より高精度に行うことができる。
【0142】
(4)本実施形態は、最高燃費を更新するように繋合点に基づき設定した新たな更新区間が、前後の既存の設定区間の近似範囲内か否か規定する近似範囲判別値Xを定めた。そして、この近似範囲判別値Xに基づく判別結果によって、近似範囲内の更新区間を、既存の前後の設定区間に統合し、また近似範囲外の更新区間を、新規な設定区間として確定させた。このため、複数の車両から収集した燃費情報の推移部分同士の繋ぎ合わせの繋合点に基づき区間設定を行う上で、過度に短くはならない一定の長さが確保された設定区間が設定される。これによって、設定区間が過剰に細分化されることはなく、車両運転実情に即した区間設定を行うことができる。
【0143】
(5)また特に、本実施形態は、例えばそれぞれ繋合点の直前の更新区間と、直後の更新区間の少なくとも一方の距離が、近似範囲判別値X以下である場合には、それら前後の区間を、1つの区間として統合する。このことから、例えば交差点等の燃費要因の位置で経路を区切ってしまうことは、抑制される。本実施形態は、燃費要因と、燃費要因に対して一連の車両操作を行うために必要な区間とを、十分に包含する区間設定を実現しやすい。これは、エコノミードライブのための無理のない円滑な車両操作に繋がる。
【0144】
(6)本実施形態は、近似範囲判別値Xを、交通環境に応じて可変とすることとした。これによって、都市部のように燃費要因の存在頻度が高く、燃費要因間の距離が短い運転域においては、これに応じて近似範囲判別値Xを、小さい値に設定する。よって、都市部の交通環境に即した、きめ細かな設定区間が設定される。一方、郊外や高速道路のように、燃費要因の存在頻度が低く、燃費要因間の距離が長い運転域においては、これに応じて近似範囲判別値Xを大きく設定する。よって、出発地点から目的地点までのそれぞれ経路が不要に細分化されることは、抑制される。これによって、交通環境に即した設定区間を設定することができるようになる。つまり、区間設定方法、燃費情報生成装置、および運転支援装置の実用性を高めることができる。
【0145】
(7)本実施形態は、燃費情報を、車両ごとに取得し、区間の設定を車両ごとに行うこととした。このため、複数の車両から車両情報を収集する上で、それら車両情報を、車両IDに基づき容易に管理することができる。
【0146】
(8)通常、車両ごとに収集される車両情報は、車両のユーザ等、固有のドライバに関する情報である。本実施形態は、この車両ごとに収集した車両情報を、ドライバ固有の車両情報とみなして取り扱うことができる。このため、燃費情報の推移部分同士の繋ぎ合わせを、ドライバごとに行うことができる。更に、区間設定を、ドライバごとに行うことができる。これによって、最高燃費を実現した車両操作と、設定区間との関連性を高めることができるようになる。よって、この設定区間ごとに生成されるエコ操作情報は、ドライバごとの一連の操作情報を反映した情報とすることができる。
【0147】
(9)本実施形態は、設定区間ごとに、最高燃費が実現されたときのエコ操作情報を生成、蓄積した。そして蓄積したエコ操作情報を、支援対象とする車両に提供することとした。この結果、ドライバに、出発地点から目的地点に至るまでの最高燃費情報を提供すると同時に、この最高燃費を実現するために必要な車両操作情報を提供できる。これによって、繋ぎ合わせた最高燃費の実現可能性が、好適に高められる。
【0148】
(10)本実施形態の車載システム100は、燃費情報を表示する表示装置180を備える。表示装置180は、現在地から目的地に至るまでの探索した探索経路ごとに、最高燃費に関する情報を表示することとした。これによって、既存のカーナビゲーションシステム等を構成する表示装置によって、出発地点から目的地点までの候補経路と、候補経路ごとの最高燃費情報とを、提供することができる。
【0149】
(11)本実施形態のプローブ情報通信システムの管理センター200は、互いに同一の区間を走行する複数の車両から、無線通信機能によって得たそれぞれの車両情報に基づき、ガイド情報を算出することとした。管理センター200は、算出したガイド情報を、車載システム100からの要求に応じて車両に提供することとした。このため本実施形態は、区間設定や最高燃費の算出に必要な各種情報を、道路を実際に走行している複数台の車両から、容易に取得することが可能となる。また管理センター200は、車両情報の収集と、車両情報に基づく区間の設定と、この設定した区間での各種情報の生成と、配信までを、一括して行うことができる。
【0150】
(12)本実施形態の車載システム100は、車両無線通信装置160を介して要求することによって、区間ごとの経路探索情報や、探索した経路ごとの最高燃費情報を取得することができる。よって、必要最小限の算出や情報量に基づき、エコノミードライブ支援が実現される。
【0151】
(第2の実施形態)
図13と図14は、本発明にかかる区間設定方法、燃費情報生成装置、および運転支援装置を具体化した第2の実施形態を示す。この第2の実施形態は、ドライバによる車両操作を、エコ操作情報を比較することによって、ガイド情報を生成する。管理センター200の構成が、先の第1の実施形態から変更しており、基本的な構成は、先の第1の実施形態と共通になっている。図において同じ要素には同一の符号を付しており、重複説明は割愛する。
【0152】
図13は、先の図7に対応する図として、第2の実施形態にかかる区間設定方法、燃費情報生成装置、および運転支援装置に用いられる車載システム100と管理センター200を示す。
【0153】
図13に示すように、本実施形態の管理センター200の分析装置240は、操作情報比較部244と支援区間特定部245を新たに備えている。収集情報記録装置230は、支援区間情報蓄積部235を新たに備えている。
【0154】
操作情報比較部244は、ドライバごとの車両操作情報を、エコ操作情報蓄積部234に蓄積されているエコ操作情報と比較する。支援区間特定部245は、この操作情報比較部244による比較結果に基づき、ドライバに対するエコ操作情報が特に必要な区間つまり支援区間を、特定する。支援区間情報蓄積部235は、支援区間特定部245が特定した区間に関する情報を、ドライバ単位(車両単位)で蓄積する。
【0155】
管理センター200が、複数の車両情報を収集して、区間設定や、エコ操作情報の生成等を行うと、操作情報比較部244は、走行データ蓄積部231に蓄積されているドライバごとの車両操作情報を、エコ操作情報蓄積部234に蓄積されているエコ操作情報と、区間情報蓄積部233に蓄積されている設定区間ごとに比較する。例えば操作情報比較部244は、或る走行経路におけるそれぞれのドライバのアクセル開度を、エコ操作情報に含まれているアクセル開度と、設定区間ごとに比較する。こうしたアクセル開度等に基づく比較は、例えば設定区間ごとのアクセル開度の平均値や最高値、最低値同士での対比や、積分法による算出結果の対比に基づき行われる。
【0156】
つまり操作情報比較部244の比較結果は、或る走行経路において、それぞれアクセル開度の差分が最も大きくなる区間を特定する。つまり管理センター200は、ドライバによるアクセル踏込量が過大となる区間を、それぞれのドライバに対して運転支援が必要な支援区間として特定する。こうして操作情報比較部244が、運転支援が必要な支援区間をドライバごとに特定すると、支援区間情報蓄積部235は、この特定した支援区間に関する情報を、ドライバ単位(車両単位)で蓄積する。
【0157】
エコ操作情報抽出部253は、ドライバによる選択経路情報を、車載システム100から無線通信を介して取得すると、この候補経路においてエコ操作情報の提供が必要な支援区間に関する情報を、支援区間情報蓄積部235から抽出する。更にエコ操作情報抽出部253は、この抽出した支援区間に関するエコ操作情報を、エコ操作情報蓄積部234から抽出する。エコ操作情報抽出部253は、それぞれ抽出した支援区間に関する情報と、支援区間におけるエコ操作情報とを、支援対象とする車両に対するガイド情報として、無線通信を介して車載システム100に送信する。
【0158】
表示装置180と音声装置190は、管理センター200から無線通信で送信されたガイド情報を受信し、車両が支援区間に進入すると、この支援区間におけるエコ操作情報を、画像表示や音声案内によってドライバに通知する。これによってドライバは、この案内に従って、交差点等の燃費要因に対するアクセル開度の調整などといった車両操作を行うことができる。よって、この支援区間での燃費の改善が、効果的に図られる。車載システム100は、こうした走行経路でのドライバによる車両操作情報も、管理センター200に送信し、走行データ蓄積部231に適宜蓄積させる。
【0159】
こうして管理センター200は、
a)走行経路でのドライバによる車両情報と、エコ操作情報との比較による、差分値の算出、
b)走行経路において、差分値が最大となる設定区間の特定、および
c)特定した設定区間に対するエコ操作情報の提供
を回帰的に行う。これによって、ドライバに対し、最も効果的なエコ操作情報のみを提供することができるようになる。つまり、それぞれのドライバの運転技量に応じた、運転支援を段階的に実現できる。
【0160】
図14は、支援区間を特定する態様を示す。図14(a)と図14(b)において、推移例としての第1アクセル開度推移Lda1は、或る第1ドライバAの走行経路におけるアクセル開度推移を示す。図14(a)と図14(b)において、推移例としての最適アクセル開度推移Ldmは、走行経路において、最適なエコノミードライブが行われた場合を示す。これら推移は、走行データ蓄積部231とエコ操作情報蓄積部234に蓄積されている情報から得られる情報であり、第1設定区間D1〜第8設定区間D8は、本実施形態の区間設定方法に基づき設定した設定区間である。
【0161】
図14(a)に示すように、出発地点Psから目的地点Pgまでの経路において、第1設定区間D1〜第8設定区間D8それぞれごとの第1ドライバAによる第1アクセル開度推移Lda1は、第7設定区間D7で最大となっており、最適アクセル開度推移Ldmとの差分も、第7設定区間D7で最大となっている。そこで本実施形態は、この第7設定区間D7を、第1ドライバAに対してエコ操作情報の提供が最も効果的な支援区間として、規定する。車載システム100と管理センター200は、第1ドライバAが同一または近似する走行経路を走行したときには、車両が第7設定区間D7に進入したときに、第7設定区間D7におけるアクセル開度等のエコ操作情報を提供する。
【0162】
この結果、図14(b)に示すように、第1ドライバAが、第7設定区間D7において提供されたエコ操作情報に追従して車両操作を行ったことによって、修正アクセル開度推移Lda2が得られる。図14(b)から分かるように、修正アクセル開度推移Lda2は、第7設定区間D7において、最適アクセル開度推移Ldmに近似している。修正アクセル開度推移Lda2は、第2設定区間D2で最大となっており、最適アクセル開度推移Ldmとの差分も、第2設定区間D2で最大となっている。そこで管理センター200は、この第2設定区間D2を、次にエコ操作情報を提供すべき支援区間として規定する。第1ドライバAが同一または近似する走行経路を走行したときには、車両が第2設定区間D2に進入したときに、車載システム100と管理センター200は、第2設定区間D2におけるエコ操作情報を提供する。
【0163】
以上説明したように、この第2の実施形態にかかる区間設定方法、燃費情報生成装置、および運転支援装置によれば、前記(1)〜(12)の効果と一緒に、更に以下の効果が得られる。
【0164】
(13)本実施形態は、支援対象のドライバによる車両操作を、エコ操作情報と、設定区間ごとに比較することによって、それらの差分が最も大きい区間を、支援区間として特定する。そしてこの特定した支援区間におけるエコ操作情報を、ドライバに提供することとした。これによって、それぞれのドライバに対し、それぞれ経路において最も燃費の改善が期待できる区間でのエコ操作情報のみを、ピンポイントで提供できる。
【0165】
(14)本実施形態は、エコ操作情報の提供が必要とされる支援区間の特定と、支援区間でのエコ操作情報の提供とを、回帰的に行うこととした。これによって、ドライバの運転技量に応じて、段階的に運転支援することが可能となり、運転支援の実用性を高めることができる。またこれによって、必要最小限のエコ操作情報の提供による、運転支援が実現される。ドライバは、小さなステップずつ無理なく、エコノミードライブ技術を向上させることができる。
【0166】
それぞれ前記実施形態は、以下のような変更例で実施することもできる。
・前記第2の実施形態は、支援対象とするドライバによる車両操作と、エコ操作情報との設定区間ごとの差分値が、最も大きくなる区間を支援区間として特定することに限らず、差分値が所定閾値以上となった区間を、支援区間として特定するようにしてもよい。図15は、先の図14に対応する図を示す。推移例として、出発地点Psから目的地点Pgまでの走行経路を走行したときの第2アクセル開度推移Ldbは、第2アクセル開度推移Ldbである。差分閾値として、最適アクセル開度推移Ldmの「20%」に相当する値を、設定するとする。管理センター200は、この第2ドライバBによる第2アクセル開度推移Ldbを、最適アクセル開度推移Ldmと、第1設定区間D1〜第8設定区間D8ごとに比較する。この比較の結果、管理センター200は、例えば第2設定区間D2と第6設定区間D6〜第8設定区間D8においては、第2アクセル開度推移Ldbが最適アクセル開度推移Ldmよりも、最適アクセル開度推移Ldmの「20%」以上大きいと判断する。つまり管理センター200は、第2設定区間D2と第6設定区間D6〜第8設定区間D8を、第2ドライバBに対してエコ操作情報を提供すべき支援区間として特定する。
【0167】
よって、第2ドライバBが運転する車両が、第2設定区間D2と第6設定区間D6〜第8設定区間D8を含む同一または近似する走行経路を走行する場合には、管理センター200は、車両が第2設定区間D2と第6設定区間D6〜第8設定区間D8それぞれに進入する都度、該当するエコ操作情報を提供する。図15に示す第2アクセル開度推移Ldbのように、第2アクセル開度推移Ldbの経路におけるバラツキが大きい場合でも、バラツキに応じてエコ操作情報を提供できる。この場合も、ドライバの運転技量に応じた的確な運転支援を実現できる。
【0168】
・前記第2の実施形態では、比較対象とする車両操作は、アクセル開度に限らず、例えばブレーキ踏込量や右旋回動作、左旋回動作等のように、燃費に影響を与える車両操作であればよい。そしてこの比較対象とした車両操作に関するエコ操作情報を、ドライバに提供する。
【0169】
・前記第1の実施形態では、設定区間のエコ操作情報をドライバに提供するタイミングは、車両が設定区間に進入する都度であることに限らず、設定区間に至るよりも前の区間で、設定区間のエコ操作情報を前記ドライバに提供してもよい。また第2の実施形態では、設定区間のエコ操作情報をドライバに提供するタイミングは、車両が支援区間に進入する都度に限らず、支援区間に至るよりも前の区間でドライバに提供してもよい。要は、ドライバにエコ操作情報を提供するタイミングは、ドライバにエコ操作情報を提供することによって、ドライバによる燃費の改善が期待できるタイミングであればよい。
【0170】
・それぞれ前記実施形態では、ドライバに提供するガイド情報は、候補経路ごとの最高燃費と、該当する区間でのエコ操作情報とであることに限らない。候補経路ごとの最高燃費のみを、ドライバに提供するようにしてもよい。この場合でも、候補経路ごとの最高燃費を指標として、ドライバは出発地点から目的地点までの経路選択を行うことができる。
【0171】
・それぞれ前記実施形態では、エコ操作情報をドライバに提供するために車載システム100が有するのは、表示装置180と音声装置190の両方であることに限らず、いずれか一方のみでもよい。
【0172】
・それぞれ前記実施形態では、繋合点によって区切られた更新区間の距離が、近似範囲判別値X以下であるときに、更新区間を、直前に位置する設定区間に統合する際、図5に例示したように、更新区間において最高燃費推移を更新することに限らない。つまり更新区間を設定区間に統合しつつ、結局は最高燃費推移を更新しないようにしてもよい。図5(b)は、結局は更新しない最高燃費推移の例として、区間D4における第1最高燃費推移Lfm1を示す。この場合には、それぞれ設定される設定区間と、ドライバとの関連性をより高めることができる。つまり実現性の高い最高燃費が算出される。
【0173】
・それぞれ前記実施形態において、管理センター200で生成したガイド情報の提供先は、支援対象の車両に限らない。ガイド情報を、管理センター200からインターネット等の通信媒体を介して、スマートフォンや各種通信端末に提供するようにしてもよい。
【0174】
・それぞれ前記実施形態では、車両からの車両情報(プローブ情報)が転送されたり、区間設定や各種算出を行う管理センター200が、車両の外部に存在したりしていた。しかしこれに限らず、管理センター200は、例えば車車間通信や路車間通信等の通信システムを利用することによって、それぞれ車両に搭載してもよい。管理センター200は、複数種の車両操作に基づく燃費情報を、収集可能なものであればよいし、収集した燃費情報に基づき、区間設定を行うことができるものであればよい。
【0175】
・それぞれ前記実施形態では、近似範囲判別値X以下の更新区間を、更新区間の直前に位置する設定区間に統合することに限らず、更新区間の直後に位置する設定区間に統合するようにしてもよい。
【0176】
・それぞれ前記実施形態では、近似範囲判別値Xを、交通環境に応じて可変とすることに限らず、固定するようにしてもよい。この場合にも、近似範囲判別値Xの大きさは、交差点やカーブ等に対して行われる一連の車両操作が行われる区間を包含するに十分な値に設定することが好ましい。
【0177】
・またこの他、近似範囲判別値Xに基づく区間設定の要否判定を、行わないようにしてもよい。つまり、繋合点(繋ぎ目)による区切りで得られた更新区間の全てを、統合したりせずに、そのまま最高燃費の算出のための設定区間として設定するようにしてもよい。
【0178】
・それぞれ前記実施形態において、燃費情報収集区間は「10m」に設定されることに限らず、「5m」や「20m」等、任意の値に設定してもよい。高精度な燃費情報を収集するためには、この燃費情報収集区間を、数m単位等の小さい値に設定することが好ましい。また、連続する燃費情報収集区間を、所定数で組み合わせて、一単位の区間としてもよい。つまりより大きな燃費情報収集区間で、燃費情報を対比したり、この対比によって最高燃費情報の推移部分同士を繋ぎ合わせたりしてもよい。
【0179】
・それぞれ前記実施形態では、複数種の車両操作に基づく燃費情報を収集するにあたり、複数の車両(ドライバ)から提供される燃費情報を用いることに限らない。たとえ同一のドライバであっても、互いに同一もしくは近似する経路において、毎回異なる燃費推移となる燃費情報を収集可能な場合には、同一のドライバから収集した燃費情報の推移のみに基づいて、区間の設定を行うことも可能である。要は、或る出発地点から目的地点までの経路で、得られた燃費情報は、複数種の車両操作から得られるものであればよい。
【0180】
・それぞれ前記実施形態では、ドライバに提供するガイド情報としての最高燃費情報は、候補経路ごとに最高燃費を達成する際に必要な燃料量を、出発地点から目標地点まで積分した最小必要燃料量であることに限らない。ガイド情報としての最高燃費情報は、それぞれ候補経路の距離を、それぞれ候補経路ごとの最小必要燃料量で割算することによって得られる候補経路ごとの平均燃費に関する情報であってもよい。要はガイド情報は、複数種の車両操作に基づく燃費推移部分同士を繋ぎ合わせた燃費推移に基づき、生成する情報であればよい。
【0181】
・それぞれ前記実施形態では、上記ガイド情報として、候補経路に対する最高燃費情報、すなわち、最適なエコノミードライブのもとで各々の候補経路を走行したときに出発地点から目的地点に至るまでに要する燃費に関する情報を提供することとした。この他、候補経路の燃費推移を平均化し、この平均化された平均燃費に関する情報を各候補経路毎のガイド情報として提供するようにしてもよい。要は、ドライバに提供されるガイド情報とは、上記複数種の車両操作に基づく燃費推移が繋ぎ合わされた燃費推移に基づき生成される情報であればよい。
【0182】
・それぞれ前記実施形態の上記繋合ステップでは、比較ステップの結果に基づき、出発地点から前記目標地点までの燃費が最高となるように、上記推移の部分である推移部分同士を出発地点から目標地点まで順次繋ぎ合わせることとした。そして、上記区間設定ステップでは、繋ぎ合わせた上記推移部分同士の繋合点に対応する地点で区切った区間を、最高燃費の算出に用いる区間として設定することとした。これに限らず、上記繋合ステップによって、比較ステップの結果に基づき、出発地点から前記目標地点までの燃費が最小となるように、上記推移の部分である推移部分同士を出発地点から目標地点まで順次繋ぎ合わせるようにしてもよい。そして、上記区間設定ステップにより、繋ぎ合わせた上記推移部分同士の繋合点に対応する地点で区切った区間を、最小燃費の算出に用いる区間として設定するようにしてもよい。この場合には、或るドライバが或る燃費要因のもとで最も経済性の低い一連の車両操作を行った区間が、出発地点から目標地点までの経路を分割した複数の単位区間のうちの1つとして設定される。すなわち、このように設定した区間をもとに、燃費を算出することによって、出発地点から目的地点までのそれぞれ経路において経済性の低い車両操作が行われたときに想定される最小燃費を算出することができる。また、こうして算出された最小燃費に関する情報や同情報を構成する上記推移部分に含まれている車両操作情報を上記ガイド情報として、表示装置180や音声装置190を介してドライバに提供するようにしてもよい。この場合には、経済性の低い車両操作が行われる傾向にある経路情報や同経路での最小燃費情報をドライバに提供することにより、経済性の低い経路を選択的に回避することが可能となる。
【0183】
・また例えば、経路毎の最小燃費と最高燃費とを比較して上記表示装置180に表示するようにしてもよい。この場合には、経路毎の最小燃費と最高燃費との比較を通じた経路選択が可能となり、経路選択にかかる自由度が高められるようになる。
【符号の説明】
【0184】
100…車載システム、110…車両操作情報取得部、111…アクセルセンサ、112…ブレーキセンサ、113…加速度センサ、114…ジャイロセンサ、115…操舵角センサ、116…車速センサ、120…経路情報取得部、121…GPS、122…カーナビゲーションシステム、123…ヨーレートセンサ、130…データ受信装置、140…車載制御装置、141…燃費情報算出部、150…情報記録装置、160…無線通信装置(車両)、170…入力装置、180…表示装置、190…音声装置、200…管理センター、210…無線通信装置(センター)、220…センター制御装置、230…収集情報記録装置、231…走行データ蓄積部、232…最高燃費蓄積部、233…区間情報蓄積部、234…エコ操作情報蓄積部、235…支援区間情報蓄積部、240…分析装置、241…燃費推移処理部、242…区間設定部、242a…近似範囲マップ、243…操作情報処理部、244…操作情報比較部、245…支援区間特定部、250…ガイド情報算出部、251…経路探索部、252…最高燃費情報算出部、253…エコ操作情報抽出部、A1…交差点、A2…カーブ、AS…信号機、C1、C2…車両、s1〜sn…燃費情報収集区間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種の車両操作のもとで得られる車両の出発地点から目標地点までの移動に要した燃費に関する情報である燃費情報を、その都度の車両の位置情報と一緒に収集する収集ステップと、
それら収集した前記燃費情報の推移同士を、前記位置情報ごとに互いに比較する比較ステップと、
前記比較ステップの結果に基づき、前記推移の部分である推移部分同士を、前記出発地点から前記目標地点まで順次繋ぎ合わせる繋合ステップと、
繋ぎ合わせた前記推移部分同士の繋合点に対応する地点で区切った区間を、実燃費の算出に用いる区間として設定する区間設定ステップと
を備えることを特徴とする区間設定方法。
【請求項2】
前記繋合ステップは、前記比較ステップの結果に基づき、前記出発地点から前記目標地点までの燃費が最高となるように、前記推移の部分である推移部分同士を、前記出発地点から前記目標地点まで順次繋ぎ合わせるステップであり、
前記区間設定ステップは、繋ぎ合わせた前記推移部分同士の繋合点に対応する地点で区切った区間を、最高燃費の算出に用いる区間として設定するステップである
請求項1に記載の区間設定方法。
【請求項3】
前記繋合ステップは、前記比較ステップの結果に基づき、前記出発地点から前記目標地点までの燃費が最小となるように、前記推移の部分である推移部分同士を、前記出発地点から前記目標地点まで順次繋ぎ合わせるステップであり、
前記区間設定ステップは、繋ぎ合わせた前記推移部分同士の繋合点に対応する地点で区切った区間を、最小燃費の算出に用いる区間として設定するステップである
請求項1に記載の区間設定方法。
【請求項4】
前記収集ステップは、前記燃費情報を、前記燃費情報の収集のための最小単位区間である燃費情報収集区間ごとに収集し、
前記比較ステップは、前記燃費情報収集区間ごとに前記推移部分同士を対比する
請求項1〜3のいずれか一項に記載の区間設定方法。
【請求項5】
前記区間設定方法は更に、前記繋合点に基づき区切った区間の距離が、当該区間の直前または直後の区間との近似範囲内であるか否か判別するための近似範囲判別値を定める判別値設定ステップと、
前記距離が前記近似範囲判別値以下であるとき、前記繋合点の前後の区間を、1つの区間として統合する統合ステップと、
前記区間が前記近似範囲判別値を超えるとき、前記繋合点の前後の区間を、そのまま各別の区間として確定する確定ステップと
を有する
請求項1〜4のいずれか一項に記載の区間設定方法。
【請求項6】
前記判別値設定ステップは、前記近似範囲判別値を、交通環境に応じて可変とする
請求項5に記載の区間設定方法。
【請求項7】
前記収集ステップは、前記燃費情報を車両ごとに取得し、
前記区間設定ステップは、前記区間を車両ごとに設定する
請求項1〜6のいずれか一項に記載の区間設定方法。
【請求項8】
出発地点と目標地点の間での、車両による移動に要した燃費に関する情報である燃費情報を生成する燃費情報生成装置であって、
前記出発地点から前記目標地点に至るまでの経路を探索し、
請求項1〜7のいずれか一項に記載の区間設定方法に基づき設定した区間ごとに、前記燃費情報の推移部分同士を繋ぎ合わせることによって得られる燃費に関する情報に基づき、前記探索した経路ごとの実燃費を算出するように構成されている
ことを特徴とする燃費情報生成装置。
【請求項9】
前記実燃費として、前記出発地点から前記目標地点までの燃費が最高となるように前記燃費情報の推移部分同士を繋ぎ合わせることによって得られる最高燃費に関する情報である最高燃費情報を算出し、この算出した最高燃費情報に基づき前記探索した経路ごとの最高燃費を算出する
請求項8に記載の燃費情報生成装置。
【請求項10】
前記実燃費として、前記出発地点から前記目標地点までの燃費が最小となるように前記燃費情報の推移部分同士を繋ぎ合わせることによって得られる最小燃費に関する情報である最小燃費情報を算出し、この算出した最小燃費情報に基づき前記探索した経路ごとの最小燃費を算出する
請求項8に記載の燃費情報生成装置。
【請求項11】
無線通信機能を有して互いに同一の前記区間を走行する複数の車両は、プローブ情報通信システムの管理センターに情報を転送し、
前記管理センターは、前記情報に基づき、前記燃費情報を算出し、
前記燃費情報生成装置は、前記実燃費に関する情報を前記管理センターに要求するように構成されている
請求項8〜10のいずれか一項に記載の燃費情報生成装置。
【請求項12】
出発地点と目標地点の間での、車両による移動に要した燃費に関する情報である燃費情報の提供によって、ドライバの運転を支援する運転支援装置であって、
前記出発地点から前記目標地点に至るまでの経路を探索し、
請求項1〜7のいずれか一項に記載の区間設定方法に基づき設定した区間ごとに、前記燃費情報の推移部分同士を繋ぎ合わせることによって得られる燃費に関する情報に基づき、前記探索した経路ごとの実燃費に関する情報を提供するように構成されている
ことを特徴とする運転支援装置。
【請求項13】
前記実燃費として、前記出発地点から前記目標地点までの燃費が最高となるように前記燃費情報の推移部分同士を繋ぎ合わせることによって得られる最高燃費に関する情報である最高燃費情報を算出し、この算出した最高燃費情報に基づき前記探索した経路ごとの最高燃費を算出する
請求項12に記載の運転支援装置。
【請求項14】
前記実燃費として、前記出発地点から前記目標地点までの燃費が最小となるように前記燃費情報の推移部分同士を繋ぎ合わせることによって得られる最小燃費に関する情報である最小燃費情報を算出し、この算出した最小燃費情報に基づき前記探索した経路ごとの最小燃費を算出する
請求項12に記載の運転支援装置。
【請求項15】
前記燃費情報は、前記燃費情報を取得したときに行われた車両操作に関する情報としての車両操作情報を含み、
前記運転支援装置は、前記運転支援の一つとして、前記実燃費に関する情報を構成するそれぞれの前記推移部分に含まれている前記車両操作情報を、ドライバに提供するように構成されている
請求項12〜14のいずれか一項に記載の運転支援装置。
【請求項16】
前記探索した経路において、前記実燃費に関する情報を構成するそれぞれの前記推移部分に含まれている車両操作情報を、自車両の車両操作に関する情報と比較することに基づき、ドライバに提供するための前記車両操作情報を生成するように構成されている
請求項15に記載の運転支援装置。
【請求項17】
前記運転支援装置は更に、前記燃費情報を表示する表示装置を備え、
前記運転支援装置は、現在地点から前記目標地点に至るまでに探索した探索経路ごとに、前記実燃費に関する情報を前記表示装置に表示させる
請求項12〜16のいずれか一項に記載の運転支援装置。
【請求項18】
前記運転支援装置は、プローブ情報通信システムの管理センターを有し、
前記管理センターは、互いに同一の区間を走行する複数の車両から無線通信で転送された情報に基づき、前記燃費情報を算出し、
前記管理センターは、この算出した燃費情報のうち、前記実燃費に関する情報を、要求に応じて提供するように構成されている
請求項12〜17のいずれか一項に記載の運転支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−68829(P2012−68829A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−212352(P2010−212352)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】