説明

半導体ウェーハを処理する方法

【課題】半導体ウェーハ5を処理する方法。
【解決手段】半導体ウェーハ5を、
・フッ化水素を含有する溶液91が少なくとも部分的に充填された液体容器11中で処理して、半導体ウェーハ5の表面にある酸化物を溶解させ、
・溶液91から輸送方向81に沿って輸送して取り出し、かつ乾燥させ、かつ
・乾燥後に、オゾン含有ガス93で処理して、半導体ウェーハ5の表面を酸化させ、
ここで、半導体ウェーハ5の表面の一方の部分が既にオゾン含有ガス93と接触しているのに対し、半導体ウェーハ5の表面の他方の部分がなお溶液91と接触しており、かつ溶液91及びオゾン含有ガス93は、これらが互いに接触していないように、空間的に分離されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェーハを、フッ化水素を含有する溶液で処理し、乾燥させ、引き続き前記半導体ウェーハの表面をオゾン含有ガスで酸化する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多数の清浄化方法が、半導体ウェーハ、例えばシリコンウェーハを清浄化するために開発されている。これらの清浄化方法の1つは、前記ウェーハ表面を、フッ化水素(HF)の水溶液で、引き続きオゾン(O3)で処理することに基づいている。HFでの前記処理の間に、自然酸化物は前記表面から除去される。新しい酸化物層が、オゾンでの前記処理により前記表面の上に形成される。こびりついたパーティクル及び他の不純物は、前記処理により、前記ウェーハ表面から除去されることができる。HF中での前記酸性処理は、前記ウェーハ表面からの金属イオンの極めて効果的な除去も引き起こす。
【0003】
米国特許(US)第5714203号明細書には、シリコンウェーハが、HF溶液の充填された液体タンクから直接、オゾンガス雰囲気中へ引き出される方法が記載されている。この場合に、前記シリコン表面は、前記HF溶液中では表面酸化物を全く含んでおらず、かつ前記シリコンウェーハが前記オゾン雰囲気中へ引き出される際に、前記シリコンウェーハは同時に乾燥され、かつ親水化される、すなわち、新しい酸化物層が前記表面上に生成される。故に、前記液体タンクの外部での前記シリコン表面は、酸化物層により常に保護されている。前記方法は、異なる清浄溶液での完全な浴清浄設備内で使用される場合に、1回又は2、3回のみ使用されることができるに過ぎないという欠点を有する、それというのも、さもなければ前記プロセスコストは高くなりすぎるからである(追加的なタンクのコスト及び累積プロセス時間)。
【0004】
このコストの欠点は、300mmよりも大きい直径を有するシリコンウェーハの場合に、よりいっそう重要になってくる。別の欠点は、この方法の場合に、前記シリコン表面へのフッ素の望ましくない結合が起こることである。さらに、この方法は、高められたマイクロラフネスを、かつヘーズ及び光散乱欠陥(いわゆる"localized light scatterers", LLS)の発生をまねく。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許(US)第5714203号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第(EP-A2)第817246号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、改良された、フッ化水素溶液及びオゾンを使用した清浄化方法を提供するという課題に基づいており、前記方法は、前記半導体ウェーハの表面へのフッ素の結合をまねかず、マイクロラフネスの増大をまねかず、かつヘーズ及び光散乱欠陥の発生をまねかず、かつ − 何度も使用する場合にも − 前記設備の短いプロセス時間及び小さい場所の必要性により特徴付けられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、半導体ウェーハを処理する方法により解決され、前記方法において、
前記半導体ウェーハを、
・フッ化水素を含有する溶液が少なくとも部分的に充填された液体容器中で処理して、前記半導体ウェーハの表面上にある酸化物を溶解させ、
・前記溶液から輸送方向に沿って輸送して取り出し、かつ乾燥させ、かつ
・乾燥後に、オゾン含有ガスで処理して、前記半導体ウェーハの表面を酸化させ、
ここで、前記半導体ウェーハの表面の一方の部分が既に前記オゾン含有ガスと接触しているのに対し、前記半導体ウェーハの表面の他方の部分がなお前記溶液と接触し、かつ前記溶液及び前記オゾン含有ガスは、これらが互いに接触していないように空間的に分離されている。
【0008】
本発明による方法の場合に、前記半導体ウェーハは、液体容器中にあるフッ化水素を含有する溶液で処理される。この場合に、前記半導体ウェーハは、前記溶液中へ完全に浸漬されることができるか、又は前記溶液を通り輸送されることができる。後者の場合に、全ての前記半導体ウェーハが、同時に前記溶液と接触していてよいか、又は全ての前記半導体ウェーハが任意の時点で前記溶液と接触するのではなく、前記半導体ウェーハの異なる領域が、輸送の過程で前記液体容器を通り前記溶液と順次接触する。
【0009】
前記液体容器は、前記清浄化作用を改善する補助手段を備えていてよい:
前記液体容器は、メガサウンドを導入するための装置、いわゆるトランスデューサーを有していてよい。メガサウンドは、前記清浄化作用を補助する。前記半導体ウェーハの輸送方向へのパーティクルの同伴に対抗するために、輸送方向とメガサウンド推進方向との間の90°〜170°の角度に、好ましくは調節される。前記メガサウンドは、90°の角度で前記輸送方向に対して垂直に、170°の角度で前記輸送方向に対して大体において逆方向に広がり、ここで小さい成分はなお、前記輸送方向に対して垂直に、ひいては前記半導体ウェーハの表面に対して垂直に存在している。
【0010】
別の変法は、多様なサイズ及び密度の気泡を発生させ、かつ前記液体容器中へ導入することを備える。これは、液体及びガスを混合するポンプを用いて、又はマイクロ気泡発生装置(いわゆるマイクロバブラー)により行われることができる。前記半導体ウェーハの輸送方向とは逆への前記泡の運動は有利である。
【0011】
さらに、前記液体容器内部で前記液体中に溶解されるガス量を調節することが有利であり、そのために、ガス(例えば酸素又は窒素)の意図的な導通のため又は意図的な脱気のための装置が使用されることができる。
【0012】
前記清浄化作用をさらに改善するために挙げられた全ての措置は、前記半導体ウェーハのおもて面又は裏面に、しかし特に好ましくは両面に、講じられることができる。
【0013】
前記溶液は好ましくはフッ化水素(フッ化水素酸)の水溶液である。前記フッ化水素の濃度は、前記半導体ウェーハがシリコンからなる場合には、好ましくは0.1〜1質量%(質量パーセント)である。前記溶液は別の成分を含有していてよい。好ましくは0.2〜5質量%、特に好ましくは1〜2質量%の濃度の塩化水素(HCl)の添加が特に好ましい。これは、例えば、鉄がより前記表面から良好に除去され、かつ銅が再び前記表面上に吸着されないという効果を有する。全体として、塩化水素の前記添加は、より効果的な金属清浄化をもたらす。前記溶液は好ましくは界面活性剤を含有しない。
【0014】
前記フッ化水素溶液からの輸送取り出し直後の前記半導体ウェーハの乾燥は、傾けた状態での輸送により達成されることができる。この場合に、前記溶液は、前記ウェーハ表面から重力に基づいて流出する。前記半導体ウェーハを前記フッ化水素溶液から垂直に引き出すことも可能であるので、前記溶液は既に、乾燥のための別の措置が講じられることなく、前記半導体ウェーハを引き出す際にそれらの表面から完全に流れ去る。
【0015】
しかしながら、ガスが、1つ又はそれ以上のノズルを介して前記半導体ウェーハの表面に向いた流れ中に供給されることによって、前記半導体ウェーハの乾燥が補助されることが好ましい。不活性ガス(例えば窒素、アルゴンのような希ガス又はそれらの混合物)がこのために好ましくは使用され、窒素(N2)が入手可能性及びコストの理由から特に好ましい。前記ガスの供給は、例えば前記輸送方向に対して垂直に取り付けられた一連のノズルを用いて、完全な乾燥を可能にするために十分な密度で行われる。例えば、いわゆるフラットジェットノズルが考慮に値する。また、前記輸送方向に対して垂直に配置された連続スロットも使用されることができる。必要な場合には、より良好な乾燥作用を達成するために、複数の一連のノズル又は複数のスロットが、前記輸送方向に連続して取り付けられることができる。好ましくは、ガス流方向とウェーハ輸送方向との間の角度は、前記溶液をより効果的に押し戻すために、90°(垂直)〜180°(逆平行)、特に好ましくは112°〜135°に調節される。特に高いガス流速度は必要ない、それというのも、前記液体は、疎水性表面上で容易に移動することができるからである。追加的に、前記ガスの吸い取り除去も設けられることができる。
【0016】
前記オゾン含有ガスも、同様にして、1つ又はそれ以上のノズルを介して、前記半導体ウェーハの表面に向いた流れ中に供給されることができる。これは同様に好ましい。選択的に、複数のスロットノズル又は複数の一連のノズルの代わりに、前記ウェーハ表面へのオゾンの供給を高め、ひいてはより効果的な酸化を達成するために、輸送方向で見てより長い開口部も使用されることができる。
【0017】
好ましくは前記オゾン含有ガスは、隔壁により空間的に分離された領域内に存在する。この場合に、乾燥状態の前記半導体ウェーハは、前記輸送方向で前記隔壁中の開口部を通りこの領域へ輸送される。前記開口部は、前記開口部を通りオゾンが拡散又は対流するのを最小限にするために、前記輸送方向で見て前記半導体ウェーハの最大断面積よりも好ましくはごく僅かにのみ大きい。
【0018】
前記液体容器中へ及びフッ化水素溶液がなお前記ウェーハ表面上に存在する領域中へのオゾンの侵入を防止するために、好ましくは追加的な措置が講じられる。例えば、乾燥させるためにガスノズルを使用する場合に、これらのノズルは、前記液体容器と前記隔壁との間に取り付けられる。ガス流を前記開口部の方向で発生させる一連のノズル又はスロットノズルが少なくとも(及び好ましくは前記ウェーハ輸送方向とは逆に向いたノズルに追加して)設けられていてよいので、前記ガスは、前記開口部を通りオゾンを含有する空間領域内へ流れ、かつ逆は起こらない。例えば、これらのノズルにより発生されるガス流が、前記ウェーハ輸送方向との0°(平行)〜90°(垂直)の角度を形成することができ、その際に22°〜67°の角度が好ましい。前記オゾン含有ガスの供給のために、同様に、前記ウェーハ輸送方向に対して垂直に取り付けられた一連のノズル又は連続的なスロットノズルが使用される場合に、これらは、前記隔壁の他方の面に取り付けられ、かつ好ましくは前記開口部の方向へ向いたガス流が発生されないように配向される。例えば、これらのノズルにより発生されるガス流が、同様に前記ウェーハ輸送方向と0°(平行)〜90°(垂直)の角度を形成することができ、その際に22°〜67°の角度が好ましい。
【0019】
追加的に、オゾン含有ガス及びフッ化水素溶液の前記分離は、双方のガス(すなわち乾燥に使用されるガス及び親水化のためのオゾン含有ガス)の適した吸い取り除去により補助されることができる。こうして、例えば、より高い減圧での前記オゾン含有ガスの吸い取り除去が実施されることができる。
【0020】
本発明による方法の場合に、フッ化水素溶液での前記処理及びオゾン含有ガスでの前記処理は、空間的に分離された領域内で行われる。前記半導体ウェーハの表面の各領域は、この領域が完全に乾燥されている場合にはじめてオゾンと接触され、かつフッ化水素溶液は、もはやその領域上に存在しない。フッ化水素及びオゾンが同時に前記表面に作用する場合にのみ、フッ素が前記半導体ウェーハの表面上へ結合されることが分かった。故に、フッ化水素溶液及びオゾン含有ガスの本発明による空間的な分離により、前記ウェーハ表面上へのフッ素の結合は確実に回避されることができる。
【0021】
さらに、オゾンが前記フッ化水素溶液中に溶解する場合に、前記半導体ウェーハが局所的にエッチングされうることが分かった、それというのも、オゾン及びフッ化水素の同時の作用は、酸化物層だけでなく、前記半導体材料自体の除去もまねくからである。オゾン及びフッ化水素を混合する際に、しばしば局所的に異なる酸化速度及び酸化物除去速度となり、これらは、不均一な材料除去、ひいては高められたマイクロラフネスを、かつヘーズ及び光散乱欠陥の発生をまねく。この問題も、オゾン及びフッ化水素の空間的な分離により解決される。
【0022】
双方のリスクは、高いオゾン濃度が存在する場合に特に大きいが、しかしこのことは、効果的な親水化のために望ましい。例えば、オゾン発生器を用いて、200l/時のオゾンガス流及び80〜100g/m3のオゾンガス濃度が発生される。前記問題は、前記フッ化水素溶液が相対的に長時間使用される場合に追加的に増強される、それというのも、時間が経過するにつれてますますオゾンが前記溶液中に溶解するからである。相対的に長期の使用は、しかしながら、コストの理由から望ましい。本発明は、オゾン及びフッ化水素の空間的な分離により、高いオゾン濃度の前記使用並びにフッ化水素溶液の相対的に長期の使用を、例えば前記溶液のろ過及び再循環下に、可能にする。
【0023】
フッ化水素溶液及びオゾン含有ガスの空間的な分離にも拘わらず、前記方法の全ての工程が最狭の空間中で行われるので、前記フッ化水素溶液からの前記半導体ウェーハの輸送取り出しの際に、前記ウェーハ表面の他の領域がなおフッ化水素溶液と接触して存在する場合に、既に前記ウェーハ表面の第一の(乾燥した)領域がオゾン含有ガスと接触している。このようにして同時に複数の効果が達成される:
前記期間は、前記半導体ウェーハの乾燥した表面が疎水性であり、故にパーティクルでの新たな汚染に対して極めて感受性である一方で、極めて短く、好ましくは1〜5秒の範囲内である。故に、前記疎水性表面が新たにパーティクルで汚染されるという危険は低い。パーティクル清浄化効率はそれにより上昇する。前記プロセス期間は全体として極めて短く、このことは前記方法の経済性を改善する。使用される前記方法を実施するための特定の装置は、場所を極めて節約して実現されることができる。このことは再度前記方法の改善された経済性をもたらす。前記方法の繰り返しの使用の場合にも、プロセス期間及び場所の必要性は、前記方法がもはや経済的に実施されることができないほど著しく上昇しない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第二の好ましい実施態様による半導体ウェーハを処理するための装置の水平断面図。
【図2】図1からの装置の長軸方向の垂直断面図。
【図3】第一の好ましい実施態様による半導体ウェーハを処理するための装置の垂直断面図。
【0025】
本発明の好ましい実施態様は以下に記載される:
本発明の第一の実施態様は図3に示されている。この場合に、個々の半導体ウェーハ5は好ましくは垂直位置で、フッ化水素を含有する溶液91の充填されている液体容器11中へ浸漬される。引き続き、半導体ウェーハ5は、好ましくは垂直の輸送方向81で溶液91から引き出されるので、溶液91は既に、半導体ウェーハ5を引き出す際に、乾燥のための別の措置が講じられることなく、半導体ウェーハ5の表面から完全に流れ去り、このことは好ましい。この手順は、米国特許(US)第5714203号明細書の教示に対応する。他方では、オゾンがフッ化水素酸溶液と接触していることを防止する追加的な措置が、好ましくは講じられる。これらの措置はさらに以下に記載されている。
【0026】
必要な場合には、この実施態様の場合にも、半導体ウェーハ5の乾燥を補助するために、ガス92が、1つ又はそれ以上のノズル35を介して、半導体ウェーハ5の表面に向いた流れ中に供給されることができる。ガス92の供給は、例えば輸送方向81に対して垂直に配置された1つ又はそれ以上の一連のノズル、又は1つ又はそれ以上の連続的なスロットノズルを用いて行われる。好ましくは、ガス流方向とウェーハ輸送方向81との間の角度は、前記溶液をより効果的に押し戻すために、90°(垂直)〜180°(逆平行)、特に好ましくは112°〜135°に調節される。追加的に、ガス92の吸い取り除去も設けられることができる。
【0027】
オゾン含有ガス93は、好ましくは1つ又はそれ以上のノズル36を介して、半導体ウェーハ5の表面に向いた流れ中に供給される。このためにも、輸送方向81に対して垂直に配置された1つ又はそれ以上の一連のノズル、又は1つ又はそれ以上のスロットノズルが使用されることができる。選択的に、複数のスロットノズル又は複数の一連のノズルの代わりに、前記ウェーハ表面へのオゾンの供給を高め、ひいてはより効果的な酸化を達成するために、輸送方向81で見てより長い開口部も使用されることができる。
【0028】
好ましくはオゾン含有ガス93は、垂直に配置された隔壁33により空間的に分離された領域内に存在する。この場合に、乾燥状態の半導体ウェーハ5は、隔壁33中の開口部34を通り輸送方向81でこの領域へ輸送される。開口部34は、開口部34を通りオゾンが拡散又は対流するのを最小限にするために、輸送方向81で見て半導体ウェーハ5の最大断面積よりも好ましくはごく僅かにのみ大きい。この実施態様の場合に、隔壁33は、同時に液体容器11の上部境界(ふた)であるか、又は追加的に液体容器11の上部境界を上回って取り付けられていてよい。後者の変法は図3に示されている。オゾン含有ガス93を供給するためのノズル36は、いずれにせよ、隔壁33の上部、好ましくはすぐ上部に取り付けられている。
【0029】
好ましくは、上記で本発明のために一般的に記載されたように、前記液体容器中へ、かつフッ化水素溶液がなお前記ウェーハ表面上に存在する領域中へのオゾンの侵入を防止するために、追加的な措置が講じられる。
【0030】
図1及び2に示されている特に好ましい第二の実施態様において、向かい合っている2つの側壁中に、フッ化水素溶液91の表面のそれぞれ下方にある入口開口部31及び出口開口部32を有する、液体容器11が使用される。この種の液体容器は、欧州特許出願公開第(EP-A2)第817246号明細書に記載されている。液体容器11は、フッ化水素溶液91で、完全に又は部分的にのみ、充填されていてよい。半導体ウェーハ5は、輸送方向81に沿って輸送装置21、22により液体容器11を通り輸送される。特に、半導体ウェーハ5は、第一輸送装置21により輸送方向81で液体容器11の入口開口部31に及びこの開口部を通り液体容器11中へ輸送される。その後、このウェーハは、液体容器11を通り入口開口部31から出口開口部32まで輸送され、かつ最後に第二輸送装置22により輸送方向81で液体容器11の出口開口部32から輸送して取り出される。
【0031】
オゾン含有ガス93及びフッ化水素溶液91の信頼できる空間的な分離を保証するために、好ましくは、フッ化水素溶液91が、出口開口部32を通り流出しないことが配慮される。故に、出口開口部32は、輸送方向81で見て半導体ウェーハ5の最大断面積よりも好ましくはごく僅かにのみ大きい。さらに、半導体ウェーハ5は本質的に水平の位置で好ましくは輸送される。この場合に、入口開口部31及び出口開口部32は本質的に水平に配置されたスロットであり、かつそれらの高さが、半導体ウェーハ5の厚さよりも好ましくはごく僅かに大きく、かつそれらの長さは、半導体ウェーハ5の幅よりもごく僅かに大きい。出口開口部32の水平配置の場合に、フッ化水素溶液91の流出が、より容易に防止されることができる。
【0032】
追加的に、出口開口部32からのフッ化水素溶液91の流出を防止し、かつ乾燥状態での液体容器11からの半導体ウェーハ5の流出を保証するために、欧州特許出願公開(EP-A2)第817246号明細書に記載された措置が講じられることができる。
【0033】
好ましくはこれは、半導体ウェーハ5の乾燥を補助するために、ガス92が、1つ又はそれ以上のノズル35を介して、半導体ウェーハ5の表面に向いた流れ中に供給されることによって行われる。ガス92の供給は、例えば輸送方向81に対して垂直に配置された1つ又はそれ以上の一連のノズル、又は1つ又はそれ以上の連続的なスロットノズルを用いて行われる(図1に示された通り)。好ましくは、ガス流方向とウェーハ輸送方向81との間の角度は、前記溶液をより効果的に押し戻すために、90°(垂直)〜180°(逆平行)、特に好ましくは112°〜135°に調節される。ノズル35は、好ましくは出口開口部32のすぐそばに取り付けられている。追加的に、ガス92の吸い取り除去も設けられることができる。
【0034】
また、オゾン含有ガス93は、好ましくは1つ又はそれ以上のノズル36を介して、半導体ウェーハ5の表面に向いた流れ中に供給される。このためにも、輸送方向81に対して垂直に配置された1つ又はそれ以上の一連のノズル、又は1つ又はそれ以上のスロットノズルが使用されることができる(図1に示された通り)。
【0035】
好ましくはオゾン含有ガス93は、垂直に配置された隔壁33により空間的に分離された領域内に存在する。この場合に、乾燥状態の半導体ウェーハ5は、隔壁33中の開口部34を通り輸送方向81でこの領域へ輸送される。開口部34は、開口部34を通りオゾンが拡散又は対流するのを最小限にするために、輸送方向81で見て半導体ウェーハ5の最大断面積よりも好ましくはごく僅かにのみ大きい。この実施態様の場合に、隔壁33は液体容器11の側部境界に追加して取り付けられている。オゾン含有ガス93を供給するためのノズル36は、いずれにせよ、隔壁33の、液体容器11から離れた面上に取り付けられている。半導体ウェーハ5の乾燥を補助するために場合により使用されるノズル35は、いずれにせよ、液体容器11及び隔壁33の側部境界間に取り付けられている。
【0036】
液体容器11中へ、かつフッ化水素溶液91がなお半導体ウェーハ5の表面上に存在する領域中へのオゾンの侵入を防止するために、好ましくは追加的な措置が講じられる。ガス92の流れを開口部34の方向で発生させる一連のノズル又はスロットノズル(示されていない)が少なくとも、及び好ましくは前記ウェーハ輸送方向とは逆に向いたノズル35に追加して、設けられていてよいので、ガス92は、開口部34を通りオゾンを含有する空間領域内へ流れ、かつ逆は起こらない。例えば、これらのノズルにより発生されるガス流が、輸送方向81と0°(平行)〜90°(垂直)の角度を形成することができ、その際に22°〜67°の角度が好ましい。オゾン含有ガス93の供給のために、同様に輸送方向81に対して垂直に取り付けられた一連のノズル36又は連続的なスロットノズル36が使用される場合には、これらは、隔壁33の他の面に取り付けられ、かつ好ましくは、開口部34の方向へ向いたオゾン含有ガス93の流れが発生されないように配向される。例えば、これらのノズル36により発生されるガス流が、同様に前記ウェーハ輸送方向と0°(平行)〜90°(垂直)の角度を形成することができ、その際に22°〜67°の角度が好ましい。オゾン含有ガス93の適した吸い取り除去は、同様に、隔壁33中の開口部34を通りオゾン含有ガス93が拡散又は対流するのを回避することに寄与することができる。
【0037】
液体容器11の出口開口部32へのパーティクルの同伴に対抗するために、輸送方向81に対して逆方向の前記フッ化水素溶液の流れが、液体容器11中で好ましくは発生される。これは、液体容器11内の相応して配向されたノズル(示されていない)によって達成されることができる。
【0038】
そのうえ、フッ化水素溶液91を、入口開口部31を通り流出させるか又は液体容器11の内部で入口開口部31の近くで導出することが好ましい。この溶液はこの場合に捕集され、ろ過され、かつ再び液体容器11中へ返送されることができる。複数の液体容器が、直列に接続される場合には、前記フッ化水素溶液は好ましくは各液体容器のために別個に捕集され、ろ過され、かつ再び当該液体容器中へ返送される。図2は、液体容器11から流れ出るフッ化水素溶液91を捕集する付属する捕集槽64を略示的に示す。捕集槽64から、フッ化水素溶液91は、貯蔵容器61中へ導通され、かつポンプ62及びフィルター63を介して、再び液体容器11中へ返送されることができる。前記ろ過及び返送により、パーティクル濃度は、長時間に亘って低い水準に維持されることができる。各液体容器のための別個の捕集、ろ過及び返送は有利である、それというのも、このようにして前記半導体ウェーハが通り抜ける最後の液体容器中で、特に低いパーティクル濃度及び金属濃度が維持されることができるからである。こうして、フッ化水素溶液91の改めての完全交換が行われるまでの前記液体充填物の利用期間は、清浄結果を劣悪化させることなく、延長されることができる。逆に、完全交換のための同じ時間インターバルで、前記清浄結果は改善されることができる。
【0039】
半導体ウェーハ5の輸送方向81に対して垂直に測定される液体容器11の幅は、輸送方向81への測定されるその長さよりも好ましくは大きい。特に、液体容器11は、その幅が、その中で処理すべき半導体ウェーハ5の幅よりも大きいように寸法決定されているので、半導体ウェーハ5は液体容器11中で幅に関して空間が存在する。それに反して、液体容器11の長さは、半導体ウェーハ5の輸送方向81で半導体ウェーハ5の長さよりも好ましくは小さいので、半導体ウェーハ5が、その長さの方向で液体容器11内に決して完全に存在することはできない。半導体ウェーハ5が本質的に丸い場合には、半導体ウェーハ5の"長さ"及び"幅"はその直径とそれぞれ同一視されることができる。
【0040】
これらの好ましいサイズ比は、液体容器11内に配置されるガイドエレメントを放棄することを可能にする、それというのも、液体容器11を通り輸送される半導体ウェーハ5は、各時点で、液体容器11と境界を接する2つの輸送装置21、22の少なくとも1つにより保持され、かつさらに輸送されることができるからである。
【0041】
本方法の最初に、半導体ウェーハ5は、例えばカセットから取り出され、かつ第一輸送装置21上に配置される。これは、好ましくはロボットにより自動的に行われる。このウェーハは、引き続き、好ましくは第一輸送装置21により輸送方向81に対して垂直に固定され、かつ輸送方向81で、第一液体容器11の入口開口部31へ及びこれを通り第一液体容器11中へ輸送される。
【0042】
このウェーハが、入口開口部31から出口開口部32へ、第一液体容器11を通り輸送されるのに対し、液体容器11内にある半導体ウェーハ5の部分は、専らフッ化水素溶液91と好ましくは接触している、それというのも、液体容器11中には、半導体ウェーハ5を支え、ひいてはフッ化水素溶液91を場所的に遮るガイドエレメントが、好ましくは存在していないからである。これは、液体容器11が、前記のように輸送方向81へ見て半導体ウェーハ5よりも小さい場合に可能であるので、半導体ウェーハ5が、その輸送中に、液体容器11を通り、各時点で第一輸送装置21又は第二輸送装置22により又は双方の輸送装置により輸送方向81に対して垂直に固定されることができ、かつ同時に輸送方向81でさらに輸送されることができる。半導体ウェーハ5が、液体容器11を通り輸送される一方で、このウェーハは既に、これがなお第一輸送装置21と接触している限り、第二輸送装置22の役割を引き受けることができる。液体容器11の向かい合った面上にある第二輸送装置22は、半導体ウェーハ5を輸送方向81に対して再び垂直に好ましくは固定し、かつこれを輸送方向81で液体容器11の出口開口部32から輸送して取り出す。第二液体容器が存在している場合には、輸送装置22は、半導体ウェーハ5を第二液体容器の入口開口部へ及びこれを通り第二液体容器中へ輸送する。
【0043】
必要な清浄化性能に応じて、本発明の第二の実施態様において、任意の数の清浄化ユニット(相応する乾燥装置を備えた液体容器、前記オゾン含有ガス用の供給装置及び輸送装置)は、直列に接続されることができ、その際に過剰の数は前記経済性の負担となり、かつ前記清浄化性能の特記すべき改善を必然的に伴わない。前記清浄化ユニットの数は、好ましくは少なくとも2及び多くとも10であり、かつ同じ種類の4〜8の清浄化ユニットが特に好ましい。複数の清浄化ユニットが使用される場合には、これらは、前記半導体ウェーハが前記装置により輸送される輸送経路に沿って配置されている。前記輸送経路は、必ずしも直線である必要はなく、一般的に曲がっていてよく、又は特定の位置で曲がっていてよい。前記輸送経路は、前記液体容器により、及び第一の液体容器の前、それぞれ2つの液体容器の間及び最後の液体容器の後にある輸送装置により、定義される。"前"及び"後"という概念は、前記半導体ウェーハが、個々の液体容器を通り輸送される時間的順序から誘導されているに過ぎないが、しかしこれらは、空間配置の説明のために使用される。
【0044】
第二液体容器中の液体は、第一液体容器中よりも常に低くパーティクル及び金属で汚染されている。別の各液体容器中では、パーティクル濃度及び金属濃度はさらに低下する。前記酸化物は何度も前記半導体ウェーハの表面上で除去され、かつ再び新しい酸化物層が生成され、ひいては全体として、前記半導体ウェーハの表面からより厚い層が除去されるので、金属清浄化は、同様に改善される。2つの別個の液体容器中で進行する少なくとも2つの同じ種類の清浄化工程の直列接続により、故に、清浄化作用は、全体として変わらないプロセス期間の場合に、技術水準に比較して有意に改善されることができる。複数の液体容器の直列接続は − 前記方法の経済性を特記して妨げることなく − 本発明のこの実施態様によりはじめて可能になる、それというのも、個々の液体容器の小さい長さに基づいて、場所の必要性は全体として上昇しないか又は非本質的にのみ上昇するからである。同時に、個々の液体容器の小さい長さは、前記半導体ウェーハを、前記液体容器内のガイドエレメントなしで輸送することを可能にする。前記半導体ウェーハは個々に処理され、そのうえ、前記液体容器内で、ガイド装置又は保持装置によって遮られないので、清浄化効率が再度 − 処理期間又は場所の必要性を高めることなく、高められる。本発明による方法は、連続的に操作されることができ、このことは、スループットにプラスの効果を及ぼす。そのうえ、前記半導体ウェーハのおもて面及び裏面は、同じ方法で処理されることができる。
【0045】
この実施態様の別の利点は、この実施態様が、前記プロセス期間の特記すべき延長なしに、300mm又はそれ以上、例えば450mmの大きな直径を有する半導体ウェーハにも、適用されることができることである。
【0046】
輸送装置21、22として、好ましくは適した材料(例えばポリビニルアルコール、PVA)製の輸送ローラーが使用され、これらは、好ましくは湿った状態で、半導体ウェーハ5を両面で軽く押し付け、かつモーターを用いて輸送方向81へさらに動かす。液体容器11(もしくは複数の液体容器)は、この実施態様において、半導体ウェーハ5の長さの半分未満に好ましくは寸法決定され、そのために個々のローラー対(一方のローラーは半導体ウェーハ5の上に、他方のローラーは半導体ウェーハ5の下に)で、液体容器11の前及び後もしくは複数の前記液体容器の間で、各時点で半導体ウェーハ5の十分な補助を可能にし、かつそれにより液体容器11内の半導体ウェーハ5の非接触輸送を可能にするために、十分である。この実施態様は図2に例示的に示されている。輸送装置は、2つ又はそれ以上のローラー対からなっていてもよく、しかしながら、好ましくは、それぞれまさに1つのローラー対が、液体容器11の前及び後もしくはそれぞれ2つの液体容器の間で使用される。各輸送装置の少なくとも1つのローラーは、前記半導体ウェーハを輸送できるように、モーターにより駆動されなければならない。前記輸送装置の他のローラーは、同様に、モーターにより駆動されることができ、かつ前記半導体ウェーハを能動的に輸送することができるか、又はこれらが駆動されないで、かつ前記半導体ウェーハを輸送方向に対して垂直に単に固定することができる。
【0047】
前記ローラーとは選択的に、他の輸送機構が使用されることができる。こうして、前記半導体ウェーハは、前記液体容器の両側への機械的な把持具によって送られることができる。また、ウォータークッションを介しての輸送は、前記半導体ウェーハが液膜上にあり、かつノズルを用いて前もって駆動される場合に可能である。
【0048】
前記半導体ウェーハの(最後の)酸化後に、これは好ましくは非接触で又は少なくともできるだけ小さい接触面積で、取り出される。こうして、前記半導体ウェーハは例えばいわゆる超音波把持具を用いて取り出されることができ、これを用いて前記半導体ウェーハは非接触で浮遊する。
【0049】
記載された全ての種類の輸送装置は、一定速度又は可変速度で操作されることができる。前記半導体ウェーハは、好ましくは狭い間隔ですぐに次々に輸送される。
【0050】
本発明は、全ての種類の半導体ウェーハに、多結晶半導体ウェーハ又はポリクリスタリン半導体ウェーハ(これらは例えば光起電用途に使用される)に、単結晶半導体ウェーハ(例えばマイクロエレクトロニクスに)と同じように、使用されることができる。前記半導体ウェーハは、オゾンにより酸化され、かつそれらの酸化物がフッ化水素により溶解される任意の半導体材料、例えばシリコンからなっていてよい。
【符号の説明】
【0051】
5 半導体ウェーハ、 11 液体容器、 21 第一輸送装置、 22 第二輸送装置、 31 入口開口部、 32 出口開口部、 33 隔壁、 34 開口部、 35 ノズル、 36 ノズル、 61 貯蔵容器、 62 ポンプ、 63 フィルター、 64 捕集槽、 81 輸送方向、 91 溶液、 92 ガス、 93 オゾン含有ガス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウェーハ(5)を処理する方法であって、
前記半導体ウェーハ(5)を、
・フッ化水素を含有する溶液(91)が少なくとも部分的に充填された液体容器(11)中で処理して、前記半導体ウェーハ(5)の表面にある酸化物を溶解させ、
・前記溶液(91)から輸送方向(81)に沿って輸送して取り出し、かつ乾燥させ、かつ
・乾燥後に、オゾン含有ガス(93)で処理して、前記半導体ウェーハ(5)の表面を酸化させ、
前記半導体ウェーハ(5)の表面の一方の部分が既に前記オゾン含有ガス(93)と接触しているのに対し、前記半導体ウェーハ(5)の表面の他方の部分がなお前記溶液(91)と接触しており、かつ前記溶液(91)及び前記オゾン含有ガス(93)は、これらが互いに接触していないように、空間的に分離されていることを特徴とする、
半導体ウェーハ(5)を処理する方法。
【請求項2】
前記オゾン含有ガス(93)が、隔壁(33)によって空間的に分離された領域内に存在し、かつ乾燥状態の前記半導体ウェーハ(5)が、前記隔壁(33)中の開口部(34)を通り輸送方向(81)でこの領域へ輸送される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記半導体ウェーハ(5)の乾燥を、不活性ガスが1つ又はそれ以上のノズル(35)を介して前記半導体ウェーハ(5)の表面に向いた流れ中へ供給されることによって、補助する、請求項1又は2のいずれか1項記載の方法。
【請求項4】
前記オゾン含有ガス(93)を、1つ又はそれ以上のノズル(36)を介して前記半導体ウェーハ(5)の表面に向いた流れ中に供給する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記半導体ウェーハ(5)が、輸送方向(81)に沿って輸送装置(21、22)により、前記液体容器(11)を通り輸送され、ここで前記液体容器(11)は、向かい合った2つの側壁中で、前記溶液(91)の表面のそれぞれ下方にある入口開口部(31)及び出口開口部(32)を有する、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記半導体ウェーハ(5)が、本質的に水平の位置で輸送され、かつ前記入口開口部(31)及び前記出口開口部(32)が、本質的に水平に配置されたスロットであり、かつそれらの高さが、前記半導体ウェーハ(5)の厚さよりもごく僅かに大きく、かつそれらの長さが、前記半導体ウェーハ(5)の幅よりもごく僅かに大きい、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記溶液(91)を、
・ 前記入口開口部(31)を通り流出させるか又は前記液体容器(11)内で前記入口開口部(31)の近くで導出し、かつ
・引き続き捕集し、ろ過し、かつ再び前記液体容器(11)中へ返送する、
請求項5から6までのいずれか1項記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−141316(P2010−141316A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−274260(P2009−274260)
【出願日】平成21年12月2日(2009.12.2)
【出願人】(599119503)ジルトロニック アクチエンゲゼルシャフト (223)
【氏名又は名称原語表記】Siltronic AG
【住所又は居所原語表記】Hanns−Seidel−Platz 4, D−81737 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】