半導体レーザ装置および光ピックアップ装置
【課題】 光ピックアップ装置の小型化を可能にする半導体レーザ装置を提供し、小型化が可能な光ピックアップ装置を提供する。
【解決手段】 半導体レーザ装置1000Aの青紫色発光点11、赤外発光点31および赤色発光点21は、この順でY方向に沿って略直線上に並ぶように配置されている。青紫色発光点11から出射される青紫色レーザ光および赤色発光点21から出射される赤色レーザ光は、偏光BS902、コリメータレンズ903、ビームエキスパンダ904、λ/4板905、対物レンズ906、シリンダレンズ907および光軸補正素子908からなる光学系により光ディスクDIに入射し、光ディスクDIから帰還し、ともに光検出器909aに導かれる。赤外発光点31から出射される赤外レーザ光は、上記の光学系により光ディスクDIに入射し、光ディスクDIから帰還し、光検出器909bに導かれる。
【解決手段】 半導体レーザ装置1000Aの青紫色発光点11、赤外発光点31および赤色発光点21は、この順でY方向に沿って略直線上に並ぶように配置されている。青紫色発光点11から出射される青紫色レーザ光および赤色発光点21から出射される赤色レーザ光は、偏光BS902、コリメータレンズ903、ビームエキスパンダ904、λ/4板905、対物レンズ906、シリンダレンズ907および光軸補正素子908からなる光学系により光ディスクDIに入射し、光ディスクDIから帰還し、ともに光検出器909aに導かれる。赤外発光点31から出射される赤外レーザ光は、上記の光学系により光ディスクDIに入射し、光ディスクDIから帰還し、光検出器909bに導かれる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は波長の異なる複数の光を出射可能な半導体レーザ装置およびそれを備える光ピックアップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、CD(コンパクトディスク)ドライブには、光源として波長780nm程度の赤外光を出射する半導体レーザ素子(赤外半導体レーザ素子)が用いられてきた。また、従来のDVD(デジタルバーサタイルディスク)ドライブには、光源として波長650nm程度の赤色光を出射する半導体レーザ素子(赤色半導体レーザ素子)が用いられてきた。
【0003】
一方、近年、波長405nm程度の青紫色光を用いて記録および再生可能なDVDの開発が進められている。このようなDVDの記録および再生のために、波長405nm程度の青紫色光を出射する半導体レーザ素子(青紫色半導体レーザ素子)を用いたDVDドライブも同時に開発が進められている。このDVDドライブにおいては、従来のCDおよびDVDに対する互換性が必要とされる。
【0004】
この場合、DVDドライブに赤外光、赤色光および青紫色光をそれぞれ出射する複数の光ピックアップ装置を設ける方法、または1つの光ピックアップ装置内に赤外半導体レーザ素子、赤色半導体レーザ素子および青紫色半導体レーザ素子を設ける方法により、従来のCD、DVDおよび新しいDVDに対する互換性が実現される。しかしながら、これらの方法では部品点数の増加を招くため、DVDドライブの小型化、構成の簡単化および低コスト化が困難となる。
【0005】
このような部品点数の増加を防止するために、赤外半導体レーザ素子と赤色半導体レーザ素子とを1チップに集積化した半導体レーザ素子が実用化されている。
【0006】
赤外半導体レーザ素子および赤色半導体レーザ素子はともにGaAs基板上に形成されるため1チップ化が可能であるが、青紫色半導体レーザ素子はGaAs基板上に形成されないため、青紫色半導体レーザ素子を赤外半導体レーザ素子および赤色半導体レーザ素子とともに1チップに集積化することは非常に困難である。
【0007】
そこで、赤外半導体レーザ素子および赤色半導体レーザ素子を同一チップに形成することによりモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子を作製するとともに、青紫色半導体レーザ素子を別個のチップに形成した後、青紫色半導体レーザ素子のチップとモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子のチップとを積み重ねた構造を有する発光装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0008】
この発光装置を光ピックアップ装置内に実装する場合、その光ピックアップ装置における青紫色半導体レーザ素子、赤外半導体レーザ素子および赤色半導体レーザ素子の占有スペースが低減される。
【特許文献1】特開2001−230502号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上記のような発光装置において、それぞれの半導体レーザ素子の発光点は互いに離間している。したがって、複数の半導体レーザ素子を内蔵する光ピックアップ装置は、各半導体レーザ素子に対応する光学系および受光素子を設けることが好ましい。この場合、複数の半導体レーザ素子から出射される光を正確に光学記録媒体へ導くとともに、光学記録媒体からの反射光を正確に受光素子へ導くことができる。しかしながら、光ピックアップ装置に各半導体レーザ素子に対応する光学系および受光素子を設けると、光ピックアップ装置が大型化する。
【0010】
特許文献1においては、青紫色半導体レーザ素子、赤外半導体レーザ素子および赤色半導体レーザ素子を備える発光装置を、3つの半導体レーザ素子に共通の光学系および共通の受光素子が設けられた光ディスク記録再生装置内に実装する例が示されている。
【0011】
しかしながら、青紫色半導体レーザ素子、赤色半導体レーザ素子および赤外半導体レーザ素子から出射されるレーザ光の光路は一致しない。そのため、正確な信号再生、トラッキング制御、フォーカス制御およびチルト制御を行うためには、実際には、光ディスク記録再生装置に3つのレーザ光に対応した3つの受光素子を設ける必要がある。したがって、上記の光ディスク記録再生装置は小型化が困難である。
【0012】
本発明の目的は、光ピックアップ装置の小型化を可能にする半導体レーザ装置を提供することである。
【0013】
本発明の他の目的は、小型化が可能な光ピックアップ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
(1)
第1の発明に係る半導体レーザ装置は、第1の方向と略平行な方向に第1の波長の光を出射する第1の発光点を有する第1の半導体レーザ素子と、第1の方向と略平行な方向に第1の波長の自然数倍と異なる第2の波長の光を出射する第2の発光点を有する第2の半導体レーザ素子と、第1の方向と略平行な方向に第1の波長の略自然数倍の第3の波長の光を出射する第3の発光点を有する第3の半導体レーザ素子とを備え、第1の方向に直交する第1の面内において、第1の発光点と第3の発光点との間の距離が、第1の発光点と第2の発光点との間の距離および第2の発光点と第3の発光点との間の距離の少なくとも一方よりも小さいものである。
【0015】
この発明に係る半導体レーザ装置においては、第1の半導体レーザ素子の第1の発光点から第1の方向と略平行な方向に第1の波長の光が出射され、第2の半導体レーザ素子の第2の発光点から第1の方向と略平行な方向に第1の波長の自然数倍と異なる第2の波長の光が出射され、第3の半導体レーザ素子の第3の発光点から第1の方向と略平行な方向に第1の波長の略自然数倍の第3の波長の光が出射される。
【0016】
第3の波長は、第1の波長の略自然数倍であるので、第1の波長の光を回折格子に入射させた場合の回折作用と、第3の波長の光を回折格子に入射させた場合の回折作用とは略同一となる。一方、第2の波長は、第1の波長の自然数倍と異なるので、第1の波長の光を回折格子に入射させた場合の回折作用と、第2の波長の光を回折格子に入射させた場合の回折作用とは異なる。
【0017】
ここで、第1の発光点と第3の発光点とは異なる位置に存在するので、第1の波長の光の光路と、第3の波長の光の光路とは正確には一致しない。
【0018】
したがって、この半導体レーザ装置を光ピックアップ装置に用いる場合、光ピックアップ装置には、第1の波長の光を受光する第1の光検出器と第3の波長の光を受光する第2の光検出器とを設ける必要がある。
【0019】
一方、第2の波長の光を回折格子に入射させることにより、第2の波長の光を第1および第2の光検出器の一方に導くことができる。したがって、第1および第2の光検出器により、第1、第2および第3の波長の光を受光することが可能となる。
【0020】
この場合、第1の面内において、第1の発光点と第3の発光点との間の距離が、第1の発光点と第2の発光点との間の距離および第2の発光点と第3の発光点との間の距離の少なくとも一方よりも小さいことにより、第1の波長の光の光路と第3の波長の光の光路との間の距離が、第1の波長の光の光路と第2の波長の光の光路との間の距離および第2の波長の光の光路と第3の波長の光の光路との間の距離の少なくとも一方よりも小さくなる。
【0021】
それにより、光ピックアップ装置内において、第1および第2光検出器を互いに近接して配置することができる。その結果、光ピックアップ装置における第1および第2の光検出器の配置スペースが低減され、光ピックアップ装置の小型化が可能となる。
【0022】
(2)
第1、第2および第3の発光点は、第1の方向に交差する第2の方向に沿って配置され、第3の発光点は、第1の発光点と第2の発光点との間に位置してもよい。この場合、第1、第3および第2の発光点がこの順で第2の方向に沿って略直線上に配置される。これにより、この半導体レーザ装置を光ピックアップ装置に用いる場合に、光ピックアップ装置の設計が容易となる。
【0023】
(3)
第1の半導体レーザ素子は、第1の基板を備え、第2の方向は、第1の基板の一面に略平行であってもよい。この場合、第1の発光点、第3の発光点および第2の発光点が第1の基板の一面に略平行な直線に沿って並ぶ。これにより、この半導体レーザ装置を光ピックアップ装置に用いる場合に、光ピックアップ装置の設計が容易となる。
【0024】
(4)
第1の半導体レーザ素子上に、第2および第3の半導体レーザ素子が接合されてもよい。この場合、第1、第2および第3の半導体レーザ素子を一体化させることができる。それにより、半導体レーザ装置の小型化が可能となる。
【0025】
(5)
第1の半導体レーザ素子は、第1の発光点を有する第1の半導体層と、第1の半導体層上に形成される第1の電極とを備え、第2の半導体レーザ素子は、第2の発光点を有する第2の半導体層と、第2の半導体層上に形成される第2の電極とを備え、第3の半導体レーザ素子は、第3の発光点を備える第3の半導体層と、第3の半導体層上に形成される第3の電極とを備え、第1の電極上に第2および第3の電極が接合されてもよい。
【0026】
この場合、第1の発光点と第2および第3の発光点との間の距離を、第1の半導体層に垂直な方向において短くすることができる。その結果、第1、第2および第3の発光点を、第1の半導体層と平行な方向において略直線上に配置することが容易となる。
【0027】
(6)
第1の電極上に第2および第3の電極が絶縁層を介して接合されてもよい。これにより、第1、第2および第3の電極を互いに電気的に分離することができる。それにより、第1、第2および第3の電極にそれぞれ任意の電圧を与えることができる。したがって、第1、第2および第3の半導体レーザ素子の駆動方式を任意に選択することが可能となる。
【0028】
(7)
第2の半導体レーザ素子と第3の半導体レーザ素子とを連結する連結部をさらに備えてもよい。この場合、第2の半導体レーザ素子と第3の半導体レーザ素子とが連結部により互いに連結されるので、第1の発光点に対する第2および第3の発光点の位置決めが容易となる。
【0029】
(8)
第2の方向に平行な一面を有するサブマウントをさらに備え、第1、第2および第3の半導体レーザ素子はサブマウントの一面上に接合されてもよい。この場合、第1、第2および第3の半導体レーザ素子がサブマウントの一面上に接合されるので、第1、第2および第3の発光点をサブマウントの一面上で容易に略直線上に配置することができる。それにより、この半導体レーザ装置を光ピックアップ装置に用いる場合に、光ピックアップ装置の設計が容易となる。
【0030】
(9)
第1の波長の光は青紫色光であり、第2の波長の光は赤色光であり、第3の波長の光は赤外光であってもよい。この場合、1つの半導体レーザ装置から複数の色の光を出射することができる。
【0031】
(10)
第1の半導体層は窒化物系半導体からなってもよい。この場合、第1の半導体レーザ素子は青紫色光を出射することができる。
【0032】
第2の半導体層はガリウムインジウムリン系半導体からなってもよい。この場合、第2の半導体レーザ素子は赤色光を出射することができる。
【0033】
第3の半導体層はガリウムヒ素系半導体からなってもよい。この場合、第3の半導体レーザ素子は、赤外光を出射することができる。
【0034】
(11)
第2の発明に係る光ピックアップ装置は、光学記録媒体に光を照射し、その光学記録媒体から帰還する光を検出する光ピックアップ装置であって、第1の発明に係る半導体レーザ装置を備えるものである。
【0035】
この発明に係る光ピックアップ装置においては、第1の発明に係る半導体レーザ装置から第1、第2または第3の波長の光が選択的に出射される。ここで、第1の発明に係る半導体レーザ装置によれば、第1、第2および第3の波長の光を2つの光検出器に導くことができる。したがって、光ピックアップ装置に第1、第2および第3の波長の光に対応する3つの光検出器を設ける必要がない。その結果、光ピックアップ装置における光検出器の配置スペースが低減され、光ピックアップ装置の小型化が可能となる。
【0036】
(12)
第1および第2の光検出器と、半導体レーザ装置から出射される第1、第2または第3の波長の光を光学記録媒体に導くとともに、光学記録媒体から帰還する第1、第2または第3の波長の光を第1または第2の光検出器に導く光学系とをさらに備えてもよい。
【0037】
この場合、光学記録媒体から帰還する第1、第2および第3の波長の光の各々が、第1および第2の光検出器のいずれか一方の光検出器に導かれる。その結果、光ピックアップ装置における光検出器の配置スペースが低減され、光ピックアップ装置の小型化が可能となる。
【0038】
(13)
光学系は、第1および第3の波長の光をそれぞれ第1および第2の光検出器に導き、第2の波長の光を第1および第2の光検出器の一方に導くように、第1、第2および第3の波長の光を透過する回折格子を含んでもよい。
【0039】
この場合、第1の発明に係る半導体レーザ装置から第1、第2または第3の波長の光が選択的に出射される。半導体レーザ装置から出射された第1の波長の光は、光学系により光学記録媒体に導かれ、光学記録媒体から帰還して第1の光検出器に導かれる。
【0040】
また、半導体レーザ装置から出射された第3の波長の光は、光学系により光学記録媒体に導かれ、光学記録媒体から帰還して第2の光検出器に導かれる。さらに、半導体レーザ装置から出射された第2の波長の光は、光学系により光学記録媒体に導かれ、光学記録媒体から帰還して第1および第2の光検出器の一方に導かれる。
【0041】
第3の波長は、第1の波長の略自然数倍であるので、第1の波長の光が回折格子を透過する際の回折作用と、第3の波長の光が回折格子を透過する際の回折作用とは略同一となる。一方、第2の波長は、第1の波長の自然数倍と異なるので、第1の波長の光が回折格子を透過する際の回折作用と、第2の波長の光が回折格子を透過する際の回折作用とは異なる。
【0042】
ここで、第1の発光点と第3の発光点とは異なる位置に存在するので、第1の波長の光の光路と、第3の波長の光の光路とは正確には一致しない。
【0043】
そこで、この発明に係る光ピックアップ装置においては、第1の波長の光を受光する第1の光検出器と第3の波長の光を受光する第2の光検出器とを設けている。
【0044】
一方、第2の波長の光が回折格子を透過することにより、第2の波長の光が第1および第2の光検出器の一方に導かれる。したがって、第1および第2の光検出器により、第1、第2および第3の波長の光を受光することが可能となっている。その結果、この発明に係る光ピックアップ装置には、第1、第2および第3の3つの波長の光を受光するために2つの光検出器が設けられるので、小型化が実現されている。
【0045】
また、第1の面内において、第1の発光点と第3の発光点との間の距離が、第1の発光点と第2の発光点との間の距離および第2の発光点と第3の発光点との間の距離の少なくとも一方よりも小さいことにより、第1の波長の光の光路と第3の波長の光の光路との間の距離が、第1の波長の光の光路と第2の波長の光の光路との間の距離および第2の波長の光の光路と第3の波長の光の光路との間の距離の少なくとも一方よりも小さくなる。
【0046】
それにより、光ピックアップ装置内において、第1および第2光検出器を互いに近接して配置することができる。その結果、光ピックアップ装置における第1および第2の光検出器の配置スペースが低減され、光ピックアップ装置の小型化が可能となる。
【0047】
(14)
第1の半導体レーザ素子により出射される第1の波長の光の軸が光学系の光軸に一致するように半導体レーザ装置が配置されてもよい。この場合、半導体レーザ装置の第1の波長の光が光学系の光軸に沿って出射される。それにより、第1の波長の光が光学系を通過する際の効率を、第2および第3の波長の光が光学系を通過する際の効率よりも向上させることができる。
【発明の効果】
【0048】
本発明に係る半導体レーザ装置は、第1の波長の光を出射する第1の発光点を有する第1の半導体レーザ素子と、第1の波長の自然数倍と異なる第2の波長の光を出射する第2の発光点を有する第2の半導体レーザ素子と、第1の波長の略自然数倍の第3の波長の光を出射する第3の発光点を有する第3の半導体レーザ素子とを備え、第1の発光点と第3の発光点との間の距離が、第1の発光点と第2の発光点との間の距離および第2の発光点と第3の発光点との間の距離の少なくとも一方よりも小さいものである。これにより、この発明に係る半導体レーザ装置を光ピックアップ装置に用いる場合に、光ピックアップ装置の小型化が可能となる。
【0049】
また、本発明に係る光ピックアップ装置は、光学記録媒体に光を照射し、その光学記録媒体から帰還する光を検出する光ピックアップ装置であって、第1の発明に係る半導体レーザ装置と、第1および第2の光検出器と、半導体レーザ装置から出射される第1、第2または第3の波長の光を光学記録媒体に導くとともに、光学記録媒体から帰還する第1、第2または第3の波長の光を第1または第2の光検出器に導く光学系とを備え、光学系は、第1および第3の波長の光がそれぞれ第1および第2の光検出器に導かれ、第2の波長の光が第1および第2の光検出器の一方に導かれるように、第1、第2および第3の波長の光を透過する回折格子を含むものである。
【0050】
この発明に係る光ピックアップ装置には、第1、第2および第3の3つの波長の光を受光するために2つの光検出器が設けられるので、小型化が実現されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
以下、本発明の一実施の形態に係る半導体レーザ装置およびそれを備える光ピックアップ装置について説明する。
【0052】
(1) 第1の実施の形態
本発明の一実施の形態に係る半導体レーザ装置は、波長約405nmのレーザ光を出射する半導体レーザ素子(以下、青紫色半導体レーザ素子と呼ぶ。)、波長約650nmのレーザ光を出射する半導体レーザ素子(以下、赤色半導体レーザ素子と呼ぶ。)および波長約780nmのレーザ光を出射する半導体レーザ素子(以下、赤外半導体レーザ素子と呼ぶ。)を備える。
【0053】
(a) 半導体レーザ装置の構造
図1は、第1の実施の形態に係る半導体レーザ装置の構造を説明するための模式図である。図1(a)に第1の実施の形態に係る半導体レーザ装置の一例を示す上面図が示され、図1(b)に図1(a)のA1−A1線断面図が示されている。図2は、図1の半導体レーザ装置における青紫色半導体レーザ素子と赤色半導体レーザ素子および赤外半導体レーザ素子との接合面の模式図である。
【0054】
図1および図2においては、矢印X,Y,Zで示すように互いに直交する3方向をX方向、Y方向およびZ方向とする。X方向およびY方向は、後述する青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3のpn接合面10,20,30に平行な方向である。Z方向は青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3のpn接合面10,20,30に垂直な方向である。
【0055】
図1(a)および図1(b)に示すように、青紫色半導体レーザ素子1の上面にはX方向に延びるストライプ状のリッジ部Riが形成されている。このリッジ部Riは、Y方向における青紫色半導体レーザ素子1の中心から偏った箇所に位置する。リッジ部Riの側面およびリッジ部Riの両側には青紫色半導体レーザ素子1の上面を覆うように絶縁膜4aが形成されている。リッジ部Riの上面にはp型オーミック電極621が形成されている。
【0056】
p型オーミック電極621の上面およびリッジ部Ri周辺の絶縁膜4aを覆うようにp側パッド電極12が形成されている。青紫色半導体レーザ素子1の下面にはn電極15が形成されている。青紫色半導体レーザ素子1にはp型半導体とn型半導体との接合面であるpn接合面10が形成されている。
【0057】
本実施の形態において、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3は一体的に形成されている。以下、一体的に形成された赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3をモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xと呼ぶ。
【0058】
このモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xにおいては、赤色半導体レーザ素子2と赤外半導体レーザ素子3とが共通の基板上に作製されている。詳細は後述する。
【0059】
赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3の上面には、共通n電極233が形成されている。赤色半導体レーザ素子2の下面にはp側パッド電極22が形成されている。赤色半導体レーザ素子2にはp型半導体とn型半導体との接合面であるpn接合面20が形成されている。赤外半導体レーザ素子3の下面にはp側パッド電極32が形成されている。赤外半導体レーザ素子3にはp型半導体とn型半導体との接合面であるpn接合面30が形成されている。
【0060】
なお、図1(b)には図示しないが赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ3にもX方向に延びるストライプ状のリッジ部が形成されている。したがって、それぞれのリッジ部にも図示しないp型オーミック電極が形成されている。
【0061】
Y方向において、モノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xは、赤外半導体レーザ素子3が青紫色半導体レーザ素子1の略中心に位置するように、かつ赤色半導体レーザ素子2が赤外半導体レーザ素子3を基準として青紫色半導体レーザ素子1のリッジ部Riと反対側に位置するように、青紫色半導体レーザ素子1上に接合されている。
【0062】
青紫色半導体レーザ素子1とモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xとの接合部について説明する。
【0063】
図2(a)に示すように、青紫色半導体レーザ素子1の絶縁膜4a上には、上述のp側パッド電極12の他、p側パッド電極13,14が形成されている。
【0064】
p側パッド電極12は、青紫色半導体レーザ素子1のリッジ部Riに沿うようにX方向に延びるとともに、その一部がY方向に延びている。
【0065】
p側パッド電極14は、p側パッド電極12に隣接するように形成されている。p側パッド電極14は、青紫色半導体レーザ素子1の略中央部でX方向に延びるとともに、その一部がp側パッド電極12と同様にY方向に延びている。
【0066】
p側パッド電極13は、p側パッド電極14に隣接するように形成されている。p側パッド電極13は、青紫色半導体レーザ素子1の角部近傍でX方向に延びるとともに、その一部がp側パッド電極12と同様にY方向に延びている。
【0067】
p側パッド電極12,13,14の各々は、絶縁膜4a上で互いに離間するように形成されている。これにより、p側パッド電極12,13,14の各々は、互いに電気的に分離されている。
【0068】
図2(b)に示すように、絶縁膜4aおよびp側パッド電極12,13,14上に所定のパターンで絶縁膜4bが形成されている。絶縁膜4bは、Y方向に延びるp側パッド電極12,13,14の一端が露出するように形成されている。露出するp側パッド電極12,13,14の一端には各半導体レーザ素子を駆動するためのワイヤがボンディングされる。なお、Y方向に延びるp側パッド電極12,13,14の一端の幅約100μmおよび長さ約100μmの領域が露出している。
【0069】
また、絶縁膜4bは、青紫色半導体レーザ素子1の略中央部でp側パッド電極14の一部が露出するように形成されている。このp側パッド電極14の露出部には、Au−Snからなるはんだ膜Hが形成されている。
【0070】
さらに、絶縁膜4bは、p側パッド電極13の略中央部が露出するように形成されている。このp側パッド電極13の露出部にも、Au−Snからなるはんだ膜Hが形成されている。
【0071】
図1の青紫色半導体レーザ素子1へのモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xの接合は、赤色半導体レーザ素子2のp側パッド電極22がはんだ膜Hを介してp側パッド電極13に接合され、赤外半導体レーザ素子3のp側パッド電極32がはんだ膜Hを介してp側パッド電極14に接合されるように行われる。
【0072】
これにより、赤色半導体レーザ素子2のp側パッド電極22がp側パッド電極13と電気的に接続され、赤外半導体レーザ素子3のp側パッド電極32がp側パッド電極14と電気的に接続される。
【0073】
また、上記では、パターニングされた絶縁膜4b上にモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xが接合されるので、赤外半導体レーザ素子3のp側パッド電極32とp側パッド電極12,13との接触が防止され、赤色半導体レーザ素子2のp側パッド電極22とp側パッド電極12,14との接触が防止されている。
【0074】
青紫色半導体レーザ素子1のp側パッド電極12とn電極15との間に電圧が印加されることにより、pn接合面10におけるリッジ部Riの下方の領域(以下、青紫色発光点と呼ぶ。)11から波長約405nmのレーザ光がX方向に出射される。
【0075】
赤色半導体レーザ素子2のp側パッド電極22(青紫色半導体レーザ素子1上のp側パッド電極13)と共通n電極233との間に電圧が印加されることにより、pn接合面20における所定の領域(以下、赤色発光点と呼ぶ。)21から波長約650nmのレーザ光がX方向に出射される。
【0076】
赤外半導体レーザ素子3のp側パッド電極32(青紫色半導体レーザ素子1上のp側パッド電極14)と共通n電極233との間に電圧が印加されることにより、pn接合面30における所定の領域(以下、赤外発光点と呼ぶ。)31から波長約780nmのレーザ光がX方向に出射される。
【0077】
本実施の形態においては、Y方向における青紫色半導体レーザ素子1のリッジ部Riの側方に、赤外半導体レーザ素子3および赤色半導体レーザ素子2が順に配置されている。これにより、青紫色発光点11と赤色発光点21との間の距離が、青紫色発光点11と赤外発光点31との間の距離ならびに赤外発光点31と赤色発光点21との間の距離のいずれよりも長い。さらに、Y方向において、赤外発光点31は青紫色発光点11と赤色発光点21との間に位置する。
【0078】
本実施の形態において、Y方向における青紫色発光点11と赤外発光点31との間の間隔は、例えば約110μmに調整される。また、Y方向における赤色発光点21と赤外発光点31との間の間隔は、例えば約90μmに調整される。
【0079】
Y方向における青紫色半導体レーザ素子1の幅は、例えば約400μmである。Y方向におけるモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xの幅は、例えば約200μmである。
【0080】
なお、図1(b)の断面図はZ方向に拡大されている。実際には、Z方向における各発光点の間隔はY方向における各発光点の間隔と比べて非常に小さい。したがって、実際の半導体レーザ装置1000Aにおいては、青紫色発光点11、赤色発光点21および赤外発光点31がY方向に平行な軸に沿って略直線上に位置している。
【0081】
(b) 半導体レーザ装置の効果
図1(a)に示すように、本実施の形態に係る半導体レーザ装置1000Aにおいては、Y方向に延びるp側パッド電極12,13,14の一端が、青紫色半導体レーザ素子1の絶縁膜4a上で、青紫色半導体レーザ素子1とモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xとの間を通って、Y方向におけるモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xの側面から突出し、露出している。これにより、Y方向に延びるp側パッド電極12,13,14の露出部がX方向において略直線上に並ぶので、青紫色半導体レーザ素子1のY方向における幅を小さくすることができる。
【0082】
また、Y方向に延びるp側パッド電極12,13,14の露出部がX方向において略直線上に並ぶことにより、Y方向における青紫色半導体レーザ素子1上のモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xの配置スペースを大きくすることができる。したがって、Y方向におけるモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xの幅を大きくすることができる。
【0083】
さらに、青紫色半導体レーザ素子1上でモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xの配置位置を青紫色半導体レーザ素子1のリッジ部Riに近づけることができる。この場合、青紫色発光点11と赤外発光点31との間の間隔を小さくすることができる。
【0084】
上述のように、半導体レーザ装置1000Aにおけるp側パッド電極12,13,14の露出部は、ワイヤをボンディングするための所定の大きさが必要とされる。したがって、p側パッド電極12,13,14の露出部を、青紫色半導体レーザ素子1のリッジ部Riとモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xとの間に配置した場合には、青紫色発光点11と赤外発光点31との間の間隔を小さくすることができない。
【0085】
ここで、p側パッド電極12,13,14の各々は、Y方向において青紫色半導体レーザ素子1のリッジ部Riに関してモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xと反対側で露出してもよい。しかしながら、この場合、赤外半導体レーザ素子3のp側パッド電極14はX方向に延びるp側パッド電極12と交差する。また、赤色半導体レーザ素子2のp側パッド電極13は、X方向に延びるp側パッド電極12,14と交差する。この場合、各p側パッド電極の交差部に新たに絶縁膜を設ける必要がある。
【0086】
これに対して、本実施の形態に係る半導体レーザ装置1000Aにおいては、青紫色半導体レーザ素子1の絶縁膜4a上でp側パッド電極12,13,14がそれぞれ交差しない。したがって、絶縁膜4a上へのp側パッド電極12,13,14の形成を同時に行うことができる。その結果、製造工程が単純となり、構造が単純となっている。
【0087】
また、半導体レーザ装置1000Aにおいては、青紫色半導体レーザ素子1の半導体層1t上に形成されたp側パッド電極12と、モノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xの半導体層2t,3t上に形成されたp側パッド電極22,32とがはんだ膜Hを介して接合されている。これにより、青紫色発光点11と赤色発光点21および赤外発光点31との間の距離を、Z方向において短くすることができる。その結果、青紫色発光点11、赤色発光点21および赤外発光点31を、Y方向において略直線上に配置することが容易となっている。
【0088】
(c) レーザ用パッケージへの半導体レーザ装置の実装状態
図1の半導体レーザ装置1000Aは、レーザ用パッケージ内に実装される。図3は図1の半導体レーザ装置1000Aが実装されたレーザ用略丸型キャンパッケージの外観斜視図である。
【0089】
図3において、レーザ用略丸型キャンパッケージ500は、導電性の略丸型キャンパッケージ本体503、給電ピン501a,501b,501c,502および蓋体504を備える。
【0090】
略丸型キャンパッケージ本体503には、図1の半導体レーザ装置1000Aが設けられ、蓋体504により封止されている。蓋体504には、取り出し窓504aが設けられている。取り出し窓504aは、レーザ光を透過する材料からなる。また、給電ピン502は、機械的および電気的に略丸型キャンパッケージ本体503と接続されている。給電ピン502は接地端子として用いられる。
【0091】
略丸型キャンパッケージ本体503の外部に延びる給電ピン501a,501b,501c,502の一端は、それぞれ図示しない駆動回路に接続される。
【0092】
レーザ用略丸型キャンパッケージ500内に実装される半導体レーザ装置1000Aのワイヤを用いた配線について説明する。以下、半導体レーザ素子からのレーザ光が出射される方向を正面として説明する。
【0093】
図4は図3のレーザ用略丸型キャンパッケージ500の蓋体504を外した状態を示す模式的正面図であり、図5は図3のレーザ用略丸型キャンパッケージ500の蓋体504を外した状態を示す模式的上面図である。なお、図4では、レーザ用略丸型キャンパッケージ500に設けられる半導体レーザ装置1000Aが図1(a)のA1−A1線の断面により示されている。図4および図5においても、図1と同様にX方向、Y方向およびZ方向を定義する。
【0094】
図4に示すように、略丸型キャンパッケージ本体503と一体化された導電性の支持部材505上に導電性のサブマウント505Sが設けられている。支持部材505およびサブマウント505Sは導電性および熱伝導性に優れた材料からなる。
【0095】
サブマウント505S上に融着層505Hを介して図1の半導体レーザ装置1000Aが接合されている。サブマウント505S(融着層505H)への半導体レーザ装置1000Aの接着は、青紫色半導体レーザ素子1の青紫色発光点11が、YZ平面におけるレーザ用略丸型キャンパッケージ500の略中央部、すなわち蓋体504の取り出し窓504a(図3参照)の中央部に位置するように行われる。
【0096】
図4および図5に示すように、給電ピン501a,501b,501cは、それぞれ絶縁リング501zにより略丸型キャンパッケージ本体503と電気的に絶縁されている。
【0097】
給電ピン501aはワイヤW1を介して半導体レーザ装置1000Aのp側パッド電極12の一端に接続されている。給電ピン501bはワイヤW2を介して半導体レーザ装置1000Aのp側パッド電極14の一端に接続されている。給電ピン501cはワイヤW3を介して半導体レーザ装置1000Aのp側パッド電極13の一端に接続されている。
【0098】
一方、支持部材505の露出した上面と半導体レーザ装置1000Aの共通n電極233とがワイヤW4により電気的に接続されている。
【0099】
ここで、支持部材505はサブマウント505Sおよび融着層505Hを通じて電気的に接続されている。これにより、給電ピン502は青紫色半導体レーザ素子1のn電極15、ならびに赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3の共通n電極233と電気的に接続されている。すなわち、青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3のカソードコモンの結線が実現されている。
【0100】
給電ピン501aと給電ピン502との間に電圧を印加することにより青紫色半導体レーザ素子1を駆動することができる。給電ピン501bと給電ピン502との間に電圧を印加することにより赤外半導体レーザ素子3を駆動することができる。給電ピン501cと給電ピン502との間に電圧を印加することにより赤色半導体レーザ素子2を駆動することができる。このように、青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3をそれぞれ独立に駆動することができる。
【0101】
本実施の形態に係る半導体レーザ装置1000Aにおいては、上述のように、p側パッド電極12,13,14の各々が、互いに電気的に分離されている。それにより、青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3のそれぞれのp側パッド電極12,13,14に、任意の電圧を与えることができる。したがって、青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3の駆動方式を任意に選択することが可能となっている。
【0102】
(d) 半導体レーザ装置のレーザ用パッケージへの実装状態での効果
青紫色半導体レーザ素子1のレーザ光の強度は、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3のレーザ光の強度よりも弱い。本例では、青紫色半導体レーザ素子1の青紫色発光点11が、蓋体504の取り出し窓504aの中央部に位置する。これにより、青紫色半導体レーザ素子1のレーザ光がレーザ用略丸型キャンパッケージ500の中央から出射される。それにより、レーザ用略丸型キャンパッケージ500の中心軸に関して、レーザ用略丸型キャンパッケージ500を回転させても、青紫色半導体レーザ素子1から出射されるレーザ光の軸の位置の変化を小さくすることができる。
【0103】
したがって、青紫色半導体レーザ素子1の光の取り出し効率を大きくしつつ、レーザ用略丸型キャンパッケージ500の中心軸に関して、レンズ等の光学系の角度調整と、レーザ用略丸型キャンパッケージ500の角度調整とを容易に行うことができる。その結果、光学系の設計が容易となる。
【0104】
一般に、青紫色半導体レーザ素子1のレーザ光は次世代のDVD(デジタルバーサタイルディスク)の記録および再生に用いられ、赤色半導体レーザ素子2のレーザ光は従来のDVDの記録および再生に用いられ、赤外半導体レーザ素子3のレーザ光はCD(コンパクトディスク)の記録および再生に用いられる。
【0105】
ここで、上記の各光学記録媒体は、表面に形成されるピットの密度が互いに異なる。例えば、次世代および従来のDVDに形成されるピットの密度はCDに形成されるピットの密度よりも高い。したがって、次世代および従来のDVDの記録および再生を行う際には、CDの記録および再生時に比べて高速で信号処理を行う必要がある。
【0106】
このように、次世代および従来のDVDに対応する青紫色半導体レーザ素子1および赤色半導体レーザ素子2には、高い応答特性が要求されている。
【0107】
図4および図5に示すように、本例では、赤外半導体レーザ素子3のp側パッド電極14が最も遠い箇所に位置する給電ピン501bに接続されている。一方、青紫色半導体レーザ素子1および赤色半導体レーザ素子2のp側パッド電極12,13はともに近くに位置する給電ピン501a,501cにそれぞれ接続されている。
【0108】
このように、本例では、青紫色半導体レーザ素子1および赤色半導体レーザ素子2に対応するワイヤW1,W3の長さを短くしているので、青紫色半導体レーザ素子1および赤色半導体レーザ素子2の応答特性が向上している。
【0109】
さらに、図5に示すように、本例では、半導体レーザ装置1000Aのレーザ光の出射面から最も離れた箇所に位置するp側パッド電極13がワイヤW3を介して、支持部材505に対向する給電ピン501cに接続されている。換言すれば、X方向において最も略丸型キャンパッケージ本体503に近いp側パッド電極13と給電ピン501cとがワイヤW3により接続されている。これにより、各p側パッド電極12,13,14と、各給電ピン501a,501b,501cとの間に接続されるワイヤW1〜W3が交差することが防止される。
【0110】
本例においては、青紫色半導体レーザ素子1のp側パッド電極12の露出部を、X方向における半導体レーザ装置1000Aのレーザ光の出射面側に配置しているが、青紫色半導体レーザ素子1のp側パッド電極12の露出部を、X方向における半導体レーザ装置1000Aのレーザ光の出射面と反対側に配置してもよい。この場合、青紫色半導体レーザ素子1のp側パッド電極12と給電ピン501cとをワイヤにより接続する。また、赤色半導体レーザ素子2のp側パッド電極13と給電ピン501aとをワイヤにより接続する。
【0111】
(e) 半導体レーザ装置の製造方法
本実施の形態に係る半導体レーザ装置1000Aの製造方法について説明する。図6〜図8は第1の実施の形態に係る半導体レーザ装置1000Aの製造方法の一例を示す模式的工程断面図である。図6〜図8においても、図1のX,Y,Z方向が定義されている。
【0112】
なお、図6〜図8に示される断面は、図1のA1−A1線における断面に相当する。また、後述するn−GaN基板1sはn−GaNウェハであり、n−GaAs基板50はn−GaAsウェハである。これらn−GaNウェハおよびn−GaAsウェハには、それぞれ複数の青紫色半導体レーザ素子1およびモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xが形成される。したがって、図6〜図8では、これらn−GaNウェハおよびn−GaAsウェハの一部が図示されている。
【0113】
図6(a)に示すように、青紫色半導体レーザ素子1を作製するために、第1の成長基板であるn−GaN基板1sの一方の面上に積層構造を有する半導体層1tを形成し、半導体層1tにX方向に延びる断面凸状のリッジ部Riを形成する。その後、リッジ部Riの形成された半導体層1tの上面に、SiO2 からなる絶縁膜4aを形成する。さらに、リッジ部Riの上面における絶縁膜4aを除去し、露出したリッジ部Ri上にp型オーミック電極621を形成する。
【0114】
続いて、図6(b)に示すように、p型オーミック電極621の上面およびリッジ部Riの両側の絶縁膜4a上にp側パッド電極12,13,14をパターニングして形成する(図2(a)参照)。
【0115】
次に、図6(c)に示すように、絶縁膜4a上およびp側パッド電極12,13,14上の所定の領域に絶縁膜4bをパターニングして形成する(図2(b)参照)。そこで、露出したp側パッド電極13,14の上面にAu−Snからなるはんだ膜Hを形成する。なお、青紫色半導体レーザ素子1のn電極15は後の工程で形成される。
【0116】
一方、図7(d)に示すように、モノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xを作製するために、第2の成長基板であるn−GaAs基板50の一方の面上にAlGaAsからなるエッチングストップ層51を形成し、エッチングストップ層51上にn−GaAsコンタクト層5を形成する。
【0117】
そして、n−GaAsコンタクト層5上にAlGaInP系の積層構造を有する半導体層2tおよびAlGaAs系の積層構造を有する半導体層3tを互いに離間するように形成する。さらに、半導体層2t上にp側パッド電極22を形成し、半導体層3t上にp側パッド電極32を形成する。図では省略しているが、半導体層2tとp側パッド電極22との間および半導体層3tとp側パッド電極32との間には、それぞれp型オーミック電極が形成される。なお、モノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xの共通n電極233は後の工程で形成される。なお、図7(d)では図示しないが、上述のように赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ3にもリッジ部が形成されている。
【0118】
次に、図7(e)に示すように、絶縁膜4a上に形成されたp側パッド電極13と半導体層2t上に形成されたp側パッド電極22とをはんだ膜Hを介して接合するとともに、絶縁膜4a上に形成されたp側パッド電極14と半導体層3t上に形成されたp側パッド電極32とをはんだ膜Hを介して接合して積層基板を形成する。
【0119】
なお、このとき、n−GaN基板1sおよびn−GaAs基板50はともに約300〜500μm程度の厚みを有する。これにより、n−GaN基板1sおよびn−GaAs基板50の取り扱いが容易となり、p側パッド電極13,14へのp側パッド電極22,32の接合が容易に行われる。
【0120】
また、青紫色半導体レーザ素子1のn−GaN基板1sは透明である。n−GaN基板1sは、このn−GaN基板1sを通してモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xを目視することができる透過率および厚みを有する。
【0121】
これにより、p側パッド電極13,14へのp側パッド電極22,32の接合位置をn−GaN基板1sを通して目視により確認することができる。それにより、青紫色半導体レーザ素子1上のモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23X(赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3)の位置決めが容易となる。
【0122】
なお、本実施の形態において、青紫色半導体レーザ素子1の基板はn−GaN基板1sに限らず、他の透光性でかつ導電性の基板を用いてもよい。他の透光性基板として、例えば、n−ZnO基板を用いることができる。この場合、上述のように、青紫色半導体レーザ素子1上のモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xの位置決めが容易となる。
【0123】
ここで、n−GaAs基板50をエッチングまたは研磨等により所定の薄さに加工した後、エッチングストップ層51までエッチングする。
【0124】
例えば、n−GaAs基板50は、初めにn−GaAs基板50を所定の厚みとなるまで研磨し、その後、RIE(Reactive Ion Etching:反応性イオンエッチング)等のドライエッチングにより除去する。
【0125】
そして、エッチングストップ層51をさらに除去する。例えば、エッチングストップ層51は、フッ酸または塩酸からなるエッチング液を用いてウェットエッチングすることにより除去する。
【0126】
その後、図8(f)に示すように、エッチングストップ層51が除去された後、半導体層2t,3tの上方におけるn−GaAsコンタクト層5上の領域およびその間の所定の領域に共通n電極233をパターニングにより形成する。
【0127】
図8(g)に示すように、共通n電極233が形成されていない部分のn−GaAsコンタクト層5をドライエッチングにより除去する。これにより、モノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23X(赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3)が作製される。赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3の構造の詳細は後述する。
【0128】
さらに、n−GaN基板1sを研磨により薄くした後、n−GaN基板1sの下面側に、n電極15を形成する。これにより、青紫色半導体レーザ素子1が作製される。青紫色半導体レーザ素子1の構造の詳細は後述する。
【0129】
最後に、上記のように作製された青紫色半導体レーザ素子1およびモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xからなる積層基板を、Y方向に平行な複数の線に沿ってへき開して、共振器端面を形成する。ここで、Y方向に沿ったへき開は、例えば青紫色半導体レーザ素子1およびモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xのそれぞれの共振器長(X方向)が約700μmとなるように行う。
【0130】
共振器端面に保護膜を形成した後、X方向に平行な複数の線に沿って裁断することにより複数の半導体レーザ装置1000Aのチップに分割する。X方向に沿った積層基板の裁断は、例えば図8(g)の一点鎖線CT1で行う。
【0131】
なお、予め青紫色半導体レーザ素子1のチップおよびモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xのチップを個別に作製し、それらのチップを互いに貼り合わせることにより半導体レーザ装置1000Aを作製してもよい。
【0132】
(f) 青紫色半導体レーザ素子の構造
図9に基づいて青紫色半導体レーザ素子1の構造の詳細について作製方法とともに説明する。
【0133】
図9は青紫色半導体レーザ素子1の構造の詳細を説明するための模式的断面図である。以下の説明においても、図1と同様にX方向、Y方向およびZ方向を定義する。
【0134】
青紫色半導体レーザ素子1の製造時においては、上述のようにn−GaN基板1s上に積層構造を有する半導体層1tが形成される。
【0135】
図9(a)に示すように、n−GaN基板1s上には、積層構造を有する半導体層1tとして、n−GaN層101、n−AlGaNクラッド層102、n−GaN光ガイド層103、MQW(多重量子井戸)活性層104、アンドープAlGaNキャップ層105、アンドープGaN光ガイド層106、p−AlGaNクラッド層107およびアンドープGaInNコンタクト層108が順に形成される。これら各層の形成は、例えば、MOCVD法(有機金属化学気相成長法)により行われる。
【0136】
図9(b)に示すように、MQW活性層104は4つのアンドープGaInN障壁層104aと3つのアンドープGaInN井戸層104bとが、交互に積層された構造を有する。
【0137】
ここで、例えば、n−AlGaNクラッド層102のAl組成は0.15であり、Ga組成は0.85である。n−GaN層101、n−AlGaNクラッド層102およびn−GaN光ガイド層103にはSiがドープされている。
【0138】
また、アンドープGaInN障壁層104aのGa組成は0.95であり、In組成は0.05である。アンドープGaInN井戸層104bのGa組成は0.90であり、In組成は0.10である。p−AlGaNキャップ層105のAl組成は0.30であり、Ga組成は0.70である。
【0139】
さらに、p−AlGaNクラッド層107のAl組成は0.15であり、Ga組成は0.85である。p−AlGaNクラッド層107にはMgがドープされている。アンドープGaInNコンタクト層108のGa組成は0.95であり、In組成は0.05である。
【0140】
上記の半導体層1tのうち、p−AlGaNクラッド層107には、X方向に延びるストライプ状のリッジ部Riが形成される。p−AlGaNクラッド層107のリッジ部Riは約1.5μmの幅を有する。
【0141】
アンドープGaInNコンタクト層108は、p−AlGaNクラッド層107のリッジ部Riの上面に形成される。
【0142】
p−AlGaNクラッド層107およびアンドープGaInNコンタクト層108の上面に、SiO2 からなる絶縁膜4aが形成され、アンドープGaInNコンタクト層108上に形成された絶縁膜4aがエッチングにより除去される。そして、外部に露出したアンドープGaInNコンタクト層108上にPd/Pt/Auからなるp型オーミック電極621が形成される。さらに、p型オーミック電極621および絶縁膜4aの上面を覆うように、スパッタ法、真空蒸着法または電子ビーム蒸着法によりp側パッド電極12が形成される。なお、ここでは図1のp側パッド電極13,14の説明については省略している。
【0143】
このように、n−GaN基板1sの一面側に積層構造を有する半導体層1tが形成される。さらに、n−GaN基板1sの他面側にはTi/Pt/Auからなるn電極15が形成される。
【0144】
この青紫色半導体レーザ素子1では、リッジ部Riの下方におけるMQW活性層104の位置に青紫色発光点11が形成される。なお、本例では、MQW活性層104が図1のpn接合面10に相当する。
【0145】
(g) 赤色半導体レーザ素子の構造
図10に基づいて赤色半導体レーザ素子2の構造の詳細について作製方法とともに説明する。
【0146】
図10はモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xの赤色半導体レーザ素子2の構造の詳細を説明するための模式的断面図である。以下の説明においても、図1と同様にX方向、Y方向およびZ方向を定義する。また、本実施の形態では、赤色半導体レーザ素子2はn−GaAsコンタクト層5上に半導体層2tを形成することにより作製するとしているが、以下の説明では、n−GaAsコンタクト層5に代えてn−GaAs基板5X上に半導体層2tを形成する。このn−GaAs基板5XにはSiがドープされている。
【0147】
図10(a)に示すように、n−GaAs基板5X上には、積層構造を有する半導体層2tとして、n−GaAs層201、n−AlGaInPクラッド層202、アンドープAlGaInP光ガイド層203、MQW活性層204、アンドープAlGaInP光ガイド層205、p−AlGaInP第1クラッド層206、p−InGaPエッチングストップ層207、p−AlGaInP第2クラッド層208およびp−コンタクト層209が順に形成される。これら各層の形成は、例えば、MOCVD法により行われる。
【0148】
図10(b)に示すように、MQW活性層204は2つのアンドープAlGaInP障壁層204aと3つのアンドープInGaP井戸層204bとが、交互に積層された構造を有する。
【0149】
ここで、例えば、n−AlGaInPクラッド層202のAl組成は0.70であり、Ga組成は0.30であり、In組成は0.50であり、P組成は0.50である。n−GaAs層201およびn−AlGaInPクラッド層202にはSiがドープされている。
【0150】
アンドープAlGaInP光ガイド層203のAl組成は0.50であり、Ga組成は0.50であり、In組成は0.50であり、P組成は0.50である。
【0151】
また、アンドープAlGaInP障壁層204aのAl組成は0.50であり、Ga組成は0.50であり、In組成は0.50であり、P組成は0.50である。アンドープInGaP井戸層204bのIn組成は0.50であり、Ga組成は0.50である。アンドープAlGaInP光ガイド層205のAl組成は0.50であり、Ga組成は0.50であり、In組成は0.50であり、P組成は0.50である。
【0152】
さらに、p−AlGaInP第1クラッド層206のAl組成は0.70であり、Ga組成は0.30であり、In組成は0.50であり、P組成は0.50である。p−InGaPエッチングストップ層207のIn組成は0.50であり、Ga組成は0.50である。
【0153】
p−AlGaInP第2クラッド層208のAl組成は0.70であり、Ga組成は0.30であり、In組成は0.50であり、P組成は0.50である。
【0154】
p−コンタクト層209は、p−GaInP層とp−GaAs層との積層構造を有する。このp−GaInPのGa組成は0.5であり、In組成は0.5である。
【0155】
なお、上記したAlGaInP系材料の組成は、一般式(Ala Gab )0.5 Inc Pd で表した時のaがAl組成であり、bがGa組成であり、cがIn組成であり、dがP組成である。
【0156】
p−AlGaInP第1クラッド層206、p−InGaPエッチングストップ層207、p−AlGaInP第2クラッド層208およびp−コンタクト層209のp−GaInPおよびp−GaAsにはZnがドープされている。
【0157】
上記において、p−InGaPエッチングストップ層207上へのp−AlGaInP第2クラッド層208の形成は、p−InGaPエッチングストップ層207の一部(中央部)にのみ行われる。そして、p−AlGaInP第2クラッド層208の上面にp−コンタクト層209が形成される。
【0158】
これにより、上記の半導体層2tのうち、p−AlGaInP第2クラッド層208およびp−コンタクト層209により、X方向に延びるストライプ状のリッジ部Riが形成される。p−AlGaInP第2クラッド層208およびp−コンタクト層209からなるリッジ部Riは約2.5μmの幅を有する。
【0159】
p−InGaPエッチングストップ層207の上面、p−AlGaInP第2クラッド層208の側面ならびにp−コンタクト層209の上面および側面に、SiO2 からなる絶縁膜210が形成され、p−コンタクト層209上に形成された絶縁膜210がエッチングにより除去される。そして、外部に露出したp−コンタクト層209上にCr/Auからなるp型オーミック電極211が形成される。さらに、p型オーミック電極211の上面および絶縁膜210の上面を覆うように、スパッタ法、真空蒸着法または電子ビーム蒸着法によりp側パッド電極22が形成される。
【0160】
このように、n−GaAs基板5Xの一面側に積層構造を有する半導体層2tが形成される。さらに、n−GaAs基板5Xの他面側にはAuGe/Ni/Auからなるn電極23(共通n電極233)が形成される。
【0161】
この赤色半導体レーザ素子2では、リッジ部Riの下方におけるMQW活性層204の位置に赤色発光点21が形成される。なお、本例では、MQW活性層204が図1のpn接合面20に相当する。
【0162】
(h) 赤外半導体レーザ素子の構造
図11に基づいて赤外半導体レーザ素子3の構造の詳細について作製方法とともに説明する。
【0163】
図11はモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xの赤外半導体レーザ素子3の構造の詳細を説明するための模式的断面図である。以下の説明においても、図1と同様にX方向、Y方向およびZ方向を定義する。また、本実施の形態では、赤外半導体レーザ素子3はn−GaAsコンタクト層5上に半導体層3tを形成することにより作製するとしているが、以下の説明では、n−GaAsコンタクト層5に代えてn−GaAs基板5X上に半導体層3tを形成する。このn−GaAs基板5XにはSiがドープされている。
【0164】
図11(a)に示すように、n−GaAs基板5X上には、積層構造を有する半導体層3tとして、n−GaAs層301、n−AlGaAsクラッド層302、アンドープAlGaAs光ガイド層303、MQW活性層304、アンドープAlGaAs光ガイド層305、p−AlGaAs第1クラッド層306、p−AlGaAsエッチングストップ層307、p−AlGaAs第2クラッド層308およびp−GaAsコンタクト層309が順に形成される。これら各層の形成は、例えば、MOCVD法により行われる。
【0165】
図11(b)に示すように、MQW活性層304は2つのアンドープAlGaAs障壁層304aと3つのアンドープAlGaAs井戸層304bとが、交互に積層された構造を有する。
【0166】
ここで、例えば、n−AlGaAsクラッド層302のAl組成は0.45であり、Ga組成は0.55である。n−GaAs層301およびn−AlGaAsクラッド層302にはSiがドープされている。
【0167】
アンドープAlGaAs光ガイド層303のAl組成は0.35であり、Ga組成は0.65である。また、アンドープAlGaAs障壁層304aのAl組成は0.35であり、Ga組成は0.65である。アンドープAlGaAs井戸層304bのAl組成は0.10であり、Ga組成は0.90である。アンドープAlGaAs光ガイド層305のAl組成は0.35であり、Ga組成は0.65である。
【0168】
さらに、p−AlGaAs第1クラッド層306のAl組成は0.45であり、Ga組成は0.55である。p−AlGaAsエッチングストップ層307のAl組成は0.70であり、Ga組成は0.30である。
【0169】
p−AlGaAs第2クラッド層308のAl組成は0.45であり、Ga組成は0.55である。
【0170】
p−AlGaAs第1クラッド層306、p−AlGaAsエッチングストップ層307、p−AlGaAs第2クラッド層308およびp−GaAsコンタクト層309にはZnがドープされている。
【0171】
上記において、p−AlGaAsエッチングストップ層307上へのp−AlGaAs第2クラッド層308の形成は、p−AlGaAsエッチングストップ層307の一部(中央部)にのみ行われる。そして、p−AlGaAs第2クラッド層308の上面にp−GaAsコンタクト層309が形成される。
【0172】
これにより、上記の半導体層3tのうち、p−AlGaAs第2クラッド層308およびp−GaAsコンタクト層309により、X方向に延びるストライプ状のリッジ部Riが形成される。p−AlGaAs第2クラッド層308およびp−GaAsコンタクト層309からなるリッジ部Riは約2.8μmの幅を有する。
【0173】
p−AlGaAsエッチングストップ層307の上面、p−AlGaAs第2クラッド層308の側面ならびにp−GaAsコンタクト層309の上面および側面に、SiNからなる絶縁膜310が形成され、p−GaAsコンタクト層309上に形成された絶縁膜310がエッチングにより除去される。そして、外部に露出したp−GaAsコンタクト層309上にCr/Auからなるp型オーミック電極311が形成される。さらに、p型オーミック電極311の上面および絶縁膜310の上面を覆うように、スパッタ法、真空蒸着法または電子ビーム蒸着法によりp側パッド電極32が形成される。
【0174】
このように、n−GaAs基板5Xの一面側に積層構造を有する半導体層3tが形成される。さらに、n−GaAs基板5Xの他面側にはAuGe/Ni/Auからなるn電極33(共通n電極233)が形成される。
【0175】
この赤外半導体レーザ素子3では、リッジ部Riの下方におけるMQW活性層304の位置に赤外発光点31が形成される。なお、本例では、MQW活性層304が図1のpn接合面30に相当する。
【0176】
(i) 半導体レーザ装置が内蔵された光ピックアップ装置の構成
図12は本実施の形態に係る光ピックアップ装置の構成を示す図である。以下の説明においては、半導体レーザ装置1000Aの青紫色発光点11から出射される波長約405nmのレーザ光を青紫色レーザ光と呼び、赤色発光点21から出射される波長約650nmのレーザ光を赤色レーザ光と呼び、赤外発光点31から出射される波長約780nmのレーザ光を赤外レーザ光と呼ぶ。図12では、青紫色レーザ光が実線で示され、赤外レーザ光が点線で示され、赤色レーザ光が一点鎖線で示されている。
【0177】
図12に示すように、本実施の形態に係る光ピックアップ装置900は、半導体レーザ装置1000Aが実装されたレーザ用略丸型キャンパッケージ500、偏光ビームスプリッタ(以下、偏光BSと略記する。)902、コリメータレンズ903、ビームエキスパンダ904、λ/4板905、対物レンズ906、シリンダレンズ907、光軸補正素子908および2つの光検出器909a,909bを備える。
【0178】
図12においては、矢印X,Y,Zで示すように互いに直交する3方向をX方向、Y方向およびZ方向とする。X方向は再生対象となる光学記録媒体(以下、光ディスクと呼ぶ。)DIに直交する方向である。また、Y方向およびZ方向は、光ディスクDIの一面に平行でかつ互いに直交する方向である。
【0179】
本実施の形態において、半導体レーザ装置1000Aが実装されたレーザ用略丸型キャンパッケージ500は、半導体レーザ装置1000Aの青紫色発光点11、赤色発光点21および赤外発光点31が、Y方向に沿って略直線上に並ぶように配置されている。青紫色発光点11、赤色発光点21および赤外発光点31から出射されるレーザ光の偏光面は互いに平行となっている。
【0180】
上述のように、半導体レーザ装置1000Aの青紫色発光点11は、レーザ用略丸型キャンパッケージ500のYZ平面における略中央部に位置する。
【0181】
本例では、偏光BS902、コリメータレンズ903、ビームエキスパンダ904、λ/4板905および対物レンズ906からなる光学系が青紫色発光点11(レーザ用略丸型キャンパッケージ500の中央部)からX方向に出射される青紫色レーザ光の光軸に沿って順に配置されている。すなわち、偏光BS902から対物レンズ906までの光学系の光軸は青紫色レーザ光の光軸に位置合わせされている。
【0182】
偏光BS902は、半導体レーザ装置1000Aから出射される各レーザ光を全透過するとともに、光ディスクDIから帰還するレーザ光を全反射する。
【0183】
コリメータレンズ903は、偏光BS902を透過した半導体レーザ装置1000Aからの青紫色レーザ光、赤色レーザ光または赤外レーザ光を平行光に変換する。
【0184】
ビームエキスパンダ904は、凹レンズ、凸レンズおよびアクチュエータ(図示せず)から構成されている。アクチュエータは図示しないサーボ回路からのサーボ信号に応じて凹レンズおよび凸レンズの距離を変化させる。これにより、半導体レーザ装置1000Aから出射された各レーザ光の波面状態が補正される。
【0185】
λ/4板905は、コリメータレンズ903によって平行光に変換された直線偏光のレーザ光を円偏光に変換する。また、λ/4板905は光ディスクDIから帰還する円偏光のレーザ光を直線偏光に変換する。この場合の直線偏光の偏光方向は、半導体レーザ装置1000Aから出射されるレーザ光の直線偏光の偏光方向に直交する。それにより、光ディスクDIから帰還するレーザ光は、偏光BS902によってほぼ全反射される。
【0186】
対物レンズ906は、λ/4板905を透過したレーザ光を光ディスクDIの表面(記録層)上に収束させる。
【0187】
なお、対物レンズ906は、サーボ回路からのサーボ信号(トラッキングサーボ信号、フォーカスサーボ信号およびチルトサーボ信号)に応じて図示しない対物レンズアクチュエータにより、フォーカス方向、トラッキング方向およびチルト方向に移動可能である。
【0188】
偏光BS902により全反射されるレーザ光の光軸に沿うようにシリンダレンズ907、光軸補正素子908および光検出器909a,909bが配置されている。
【0189】
シリンダレンズ907は、入射されるレーザ光に非点収差作用を付与する。光軸補正素子908は、回折格子により形成されている。光軸補正素子908は、シリンダレンズ907を透過した青紫色レーザ光(0次回折光)を光検出器909aへ導く。また、光軸補正素子908は、赤外レーザ光(0次回折光)を光検出器909bへ導く。
【0190】
さらに、光軸補正素子908はシリンダレンズ907を透過した赤色レーザ光を回折し、赤色レーザ光(1次回折光)を光検出器909aへ導く。この場合、青紫レーザ光により光検出器909aの受光面に形成される集光スポットの位置と、赤色レーザ光により光検出器909aの受光面に形成される集光スポットの位置とが、一致するように光軸補正素子908が位置決めされる。
【0191】
光検出器909a,909bの各々は、受光したレーザ光の強度分布に基づいて再生信号を出力する。ここで、光検出器909a,909bは再生信号とともに、フォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号およびチルトエラー信号が得られるように所定のパターンの検出領域を有する。フォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号およびチルトエラー信号により、ビームエキスパンダ904のアクチュエータおよび対物レンズアクチュエータがフィードバック制御される。
【0192】
(j) 半導体レーザ装置の構造による光ピックアップ装置の効果
図12に示すように、光ピックアップ装置900において、回折格子により形成された光軸補正素子908には、青紫色レーザ光、赤外レーザ光または赤色レーザ光が入射する。
【0193】
ここで、回折格子において、ある波長の光とその波長のn倍(nは自然数)の波長の光に対する回折作用は同一である。すなわち、回折格子にある波長の光が入射した場合の回折作用と、その波長のn倍の波長の光が入射した場合の回折作用は同一である。
【0194】
青紫色レーザ光は波長約405nmのレーザ光であり、赤外レーザ光は波長約780nmのレーザ光である。これにより、赤外レーザ光は青紫色レーザ光の約2倍の波長を有する。したがって、青紫色レーザ光を回折格子に入射させた場合の回折作用と、赤外レーザ光を回折格子に入射させた場合の回折作用とは、ほぼ同一となる。
【0195】
そのため、青紫色レーザ光と赤外レーザ光とを、共通の回折格子を用いて異なる方向に回折させることはできない。その結果、青紫色レーザ光による集光スポットの位置と、赤外レーザ光による集光スポットの位置とを回折により一致させることはできない。
【0196】
そこで、本実施の形態においては、光軸補正素子908を通過する青紫色レーザ光および赤外レーザ光の各々に対応して光検出器909a,909bを設けている。
【0197】
一方、赤色レーザ光の波長は、青紫色レーザ光および赤外レーザ光の波長のn倍(nは自然数)ではない。したがって、光軸補正素子908は赤色レーザ光について、青紫色レーザ光および赤外レーザ光と異なる回折作用を与えることができる。
【0198】
それにより、光軸補正素子908は赤色レーザ光による集光スポットの位置を容易に青紫色レーザ光および赤外レーザ光による集光スポットの位置に一致させることができる。その結果、青紫色レーザ光および赤色レーザ光を共通の光検出器909aにより受光することができる。
【0199】
このように、本実施の形態に係る光ピックアップ装置900においては、青紫色レーザ光および赤色レーザ光に共通の光検出器909aが用いられている。これにより、青紫色レーザ光、赤色レーザ光および赤外レーザ光のそれぞれに対応して3つの光検出器を設ける必要がないので、光ピックアップ装置900の小型化が実現されている。
【0200】
また、本実施の形態に係る半導体レーザ装置1000Aにおいて、青紫色発光点11、赤外発光点31および赤色発光点21はY方向において順に略直線上に並ぶように配置され、青紫色発光点11および赤外発光点31の間隔が短くなっている。
【0201】
それにより、半導体レーザ装置1000Aを光ピックアップ装置900に内蔵した場合、光ピックアップ装置900内での青紫色レーザ光および赤外レーザ光の光路の間隔が小さくなる。その結果、青紫色レーザ光および赤外レーザ光に対応する2つの光検出器909a,909bを互いに近接して配置することができる。その結果、光ピックアップ装置900における2つの光検出器909a,909bの配置スペースが低減され、光ピックアップ装置900の小型化が実現される。
【0202】
さらに、半導体レーザ装置1000Aにおいて、青紫色発光点11、赤外発光点31および赤色発光点21は、この順でY方向に沿って略直線上に並ぶ。これにより、半導体レーザ装置1000Aを光ピックアップ装置900に用いる場合に光ピックアップ装置900の設計が容易となっている。
【0203】
(k) 光ピックアップ装置の他の構成例
本実施の形態に係る光ピックアップ装置900において、フォーカスエラー信号の生成は、非点収差法を用いて行われる。また、トラッキングエラー信号の生成は、例えばDPD(Differential Phase Detection)法を用いて行われる。
【0204】
上記では、青紫色レーザ光により光検出器909aに形成される集光スポットの位置と、赤色レーザ光により光検出器909aに形成される集光スポットの位置とが、シリンダレンズ907と光検出器909a,909bとの間に配置された光軸補正素子908により一致される。
【0205】
ここで、光軸補正素子908は偏光BS902から対物レンズ906までの光学系に設けてもよい。例えば、光軸補正素子908を半導体レーザ装置1000Aと偏光BS902との間に配置する。この場合においても、青紫色レーザ光により光検出器909aに形成される集光スポットの位置と、赤色レーザ光により光検出器909aに形成される集光スポットの位置とを一致させることができる。
【0206】
さらに、本例では、青紫色レーザ光により光検出器909aに形成される集光スポットの位置と、赤色レーザ光により光検出器909aに形成される集光スポットの位置とを一致させているが、赤色レーザ光を光検出器909bに導き、赤外レーザ光により光検出器909bに形成される集光スポットの位置に、赤色レーザ光により光検出器909bに形成される集光スポットの位置を一致させてもよい。この場合、光検出器909bが赤外レーザ光および赤色レーザ光の共通の光検出器となる。
【0207】
(2) 第2の実施の形態
第2の実施の形態に係る半導体レーザ装置は、以下の点を除き第1の実施の形態に係る半導体レーザ装置1000Aと同様の構造を有する。
【0208】
(a) 半導体レーザ装置の構造
図13は、第2の実施の形態に係る半導体レーザ装置の構造を説明するための模式図である。図13(a)に第2の実施の形態に係る半導体レーザ装置の一例を示す上面図が示され、図13(b)に図13(a)のA2−A2線断面図が示されている。図13においても、図1と同様にX方向、Y方向およびZ方向を定義する。
【0209】
図13(a)および図13(b)に示すように、本実施の形態に係る半導体レーザ装置1000Bの青紫色半導体レーザ素子1においては、p型オーミック電極621および絶縁膜4aの上面全体を覆うように、p側パッド電極12が形成されている。そして、p側パッド電極12上の所定の領域にはんだ膜Hが形成されている。さらに、はんだ膜H上に赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3が一体的に形成されたモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Yが接合されている。
【0210】
ここで、図13のモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Yは、図1のモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xと構造が異なる。図13のモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Yにおいては、赤色半導体レーザ素子2の半導体層2t(図10参照)と、赤外半導体レーザ素子3の半導体層3t(図11参照)とが連結部BRにより連結されている。
【0211】
連結部BRは、赤色半導体レーザ素子2の半導体層2tまたは赤外半導体レーザ素子3の半導体層3tの一部を含んでいてもよい。例えば、連結部BRは赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3において電流の流れを制限する電流狭窄層(例えば、図10および図11の絶縁膜210,310)であってもよいし、p型のコンタクト層であってもよい。
【0212】
これにより、赤色半導体レーザ素子2の半導体層2t、赤外半導体レーザ素子3の半導体層3tおよび連結部BRは互いに連続する平面を有する。そこで、モノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Yにおいては、その連続する平面に共通p側パッド電極232が形成されている。
【0213】
青紫色半導体レーザ素子1上のはんだ膜Hに、モノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Yの共通p側パッド電極232が接合される。ここで、青紫色半導体レーザ素子1とモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Yとの接合は、Y方向において赤外半導体レーザ素子3が赤色半導体レーザ素子2よりも青紫色半導体レーザ素子1のリッジ部Riに近づくように行われる。
【0214】
モノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Yの赤色半導体レーザ素子2において、共通p側パッド電極232と反対側の面にはn電極23が形成されている。また、赤外半導体レーザ素子3において、共通p側パッド電極232と反対側の面にはn電極33が形成されている。
【0215】
(b) レーザ用パッケージへの半導体レーザ装置の実装状態
図14は図13の半導体レーザ装置1000Bを図3のレーザ用略丸型キャンパッケージ500内に実装して蓋体504を外した状態を示す模式的正面図である。図14においても、図1と同様にX方向、Y方向およびZ方向が定義されている。
【0216】
本実施の形態において、レーザ用略丸型キャンパッケージ500の支持部材505上には絶縁性のサブマウント505Zが形成されている。
【0217】
図14に示すように、絶縁性のサブマウント505Z上に融着層505Hを介して図13の半導体レーザ装置1000Bが接着されている。
【0218】
給電ピン501aはワイヤW1を介して半導体レーザ装置1000Bのn電極23(赤色半導体レーザ素子2のn電極23)に接続されている。給電ピン501bはワイヤW2を介してサブマウント505Z上で露出する融着層505Hに接続されている。給電ピン501cはワイヤW3を介して半導体レーザ装置1000Bのn電極33(赤外半導体レーザ素子3のn電極33)に接続されている。
【0219】
一方、青紫色半導体レーザ素子1上で露出するp側パッド電極12と支持部材505とがワイヤW4により電気的に接続されている。
【0220】
ここで、青紫色半導体レーザ素子1上のp側パッド電極12は、モノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Yの共通p側パッド電極232と電気的に接続されている。これにより、青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3のアノードコモンの結線が実現されている。
【0221】
給電ピン501aと給電ピン502との間に電圧を印加することにより赤色半導体レーザ素子2を駆動することができる。給電ピン501bと給電ピン502との間に電圧を印加することにより青紫色半導体レーザ素子1を駆動することができる。給電ピン501cと給電ピン502との間に電圧を印加することにより赤外半導体レーザ素子3を駆動することができる。このように、青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3をそれぞれ独立に駆動することができる。
【0222】
本実施の形態において、Y方向における青紫色発光点11と赤外発光点31との間の間隔は、例えば約110μmに調整される。また、Y方向における赤色発光点21と赤外発光点31との間の間隔は、例えば約40μmに調整される。
【0223】
Y方向における青紫色半導体レーザ素子1の幅は、例えば約400μmである。Y方向におけるモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Yの幅は、例えば約200μmである。
【0224】
(c) 半導体レーザ装置のレーザ用パッケージへの実装状態での効果
本実施の形態においても、サブマウント505Zへの半導体レーザ装置1000Bの接着は、青紫色半導体レーザ素子1の青紫色発光点11が、蓋体504の取り出し窓504a(図3参照)の中央部に位置するように行われる。それにより、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0225】
本実施の形態では、半導体レーザ装置1000Bのレーザ用略丸型キャンパッケージ500への実装時に、給電ピン501a〜501cがワイヤW1〜W3により半導体レーザ装置1000Bの上部で露出するn電極23,33および露出する融着層505Hに接続されている。これにより、半導体レーザ装置1000BについてのワイヤW1〜W3の接続が容易となっている。
【0226】
本実施の形態に係る半導体レーザ装置1000Bを図12の光ピックアップ装置900に用いることができる。これにより、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0227】
なお、図13(b)および図14には図示しないが、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ3にも共通p側パッド電極232の形成箇所に、X方向に延びるストライプ状のリッジ部が形成されている。したがって、それぞれのリッジ部にも図示しないp型オーミック電極が形成されている。
【0228】
本実施の形態においては、予め青紫色半導体レーザ素子1のチップおよびモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Yのチップを個別に作製し、それらのチップを互いに貼り合わせることにより半導体レーザ装置1000Bを作製してもよい。
【0229】
(3) 第3の実施の形態
第3の実施の形態に係る半導体レーザ装置は、以下の点を除き第1の実施の形態に係る半導体レーザ装置1000Aと同様の構造を有する。
【0230】
(a) 半導体レーザ装置の構造
図15は、第3の実施の形態に係る半導体レーザ装置の構造を説明するための模式図である。図15(a)に第3の実施の形態に係る半導体レーザ装置の一例を示す上面図が示され、図15(b)に図15(a)のA3−A3線断面図が示されている。図16は、図15の半導体レーザ装置における青紫色半導体レーザ素子1と赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3との接合面の模式図である。図15および図16においても、図1と同様にX方向、Y方向およびZ方向を定義する。
【0231】
図15(a)および図15(b)に示すように、青紫色半導体レーザ素子1のリッジ部Riは、Y方向における青紫色半導体レーザ素子1の中心から偏った箇所に位置する。そして、青紫色半導体レーザ素子1上で、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3が個別に接合されている。
【0232】
Y方向において、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3は、赤外半導体レーザ素子3が青紫色半導体レーザ素子1の略中心に位置するように、かつ赤色半導体レーザ素子2が赤外半導体レーザ素子3を基準として青紫色半導体レーザ素子1のリッジ部Riの反対側に位置するように、青紫色半導体レーザ素子1上に接合されている。
【0233】
青紫色半導体レーザ素子1と赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3との接合部について説明する。
【0234】
図16(a)に示すように、青紫色半導体レーザ素子1の絶縁膜4a上には、青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3の各々に対応してp側パッド電極12,13,14が形成されている。
【0235】
p側パッド電極12は、青紫色半導体レーザ素子1のリッジ部Riに沿うようにX方向に延びるとともに、その一部がY方向に延びている。
【0236】
p側パッド電極14は、p側パッド電極12に隣接するように形成されている。p側パッド電極14は、青紫色半導体レーザ素子1の略中央部でX方向に延びるとともに、その一部がp側パッド電極12と反対側のY方向に延びている。
【0237】
p側パッド電極13は、p側パッド電極14に隣接するように形成されている。p側パッド電極13は、青紫色半導体レーザ素子1の角部近傍でX方向に延びるとともに、その一部がp側パッド電極12と反対側のY方向に延びている。
【0238】
p側パッド電極12,13,14の各々は、絶縁膜4a上で互いに離間するように形成されている。これにより、p側パッド電極12,13,14の各々は、互いに電気的に分離されている。
【0239】
図16(b)に示すように、絶縁膜4aおよびp側パッド電極12,13,14上に所定のパターンで絶縁膜4bが形成されている。絶縁膜4bは、Y方向に延びるp側パッド電極12,13,14の一端が露出するように形成されている。
【0240】
ここで、p側パッド電極12はp側パッド電極13,14と反対側のY方向に延び、p側パッド電極14,13はp側パッド電極12と反対側のY方向に延びている。したがって、p側パッド電極12の露出部がY方向における青紫色半導体レーザ素子1の一側面側に位置し、p側パッド電極13,14の露出部はY方向における青紫色半導体レーザ素子1の他側面側に位置する。
【0241】
露出するp側パッド電極12,13,14の一端には各半導体レーザ素子を駆動するためのワイヤがボンディングされる。なお、Y方向に延びるp側パッド電極12,13,14の一端の幅約100μmおよび長さ約100μmの領域が露出している。
【0242】
また、絶縁膜4bは、青紫色半導体レーザ素子1の略中央部でX方向に沿ってp側パッド電極14の一部が露出するように形成されている。このp側パッド電極14の露出部には、Au−Snからなるはんだ膜Hが形成されている。
【0243】
さらに、絶縁膜4bは、p側パッド電極13の略中央部が露出するように形成されている。このp側パッド電極13の露出部にも、Au−Snからなるはんだ膜Hが形成されている。
【0244】
そこで、図15に示すように赤色半導体レーザ素子2のp側パッド電極22がはんだ膜Hを介してp側パッド電極13に接合され、赤外半導体レーザ素子3のp側パッド電極32がはんだ膜Hを介してp側パッド電極14に接合される。
【0245】
これにより、赤色半導体レーザ素子2のp側パッド電極22がp側パッド電極13と電気的に接続され、赤外半導体レーザ素子3のp側パッド電極32がp側パッド電極14と電気的に接続される。
【0246】
また、上記では、パターニングされた絶縁膜4b上に赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3が接合されるので、赤外半導体レーザ素子3のp側パッド電極32とp側パッド電極12,13との接触が防止され、赤色半導体レーザ素子2のp側パッド電極22とp側パッド電極14との接触が防止されている。
【0247】
(b) レーザ用パッケージへの半導体レーザ装置の実装状態
図17は図15の半導体レーザ装置1000Cを図3のレーザ用略丸型キャンパッケージ500内に実装して蓋体504を外した状態を示す模式的正面図であり、図18は図15の半導体レーザ装置1000Cを図3のレーザ用略丸型キャンパッケージ500内に実装して蓋体504を外した状態を示す模式的上面図である。なお、図17では、レーザ用略丸型キャンパッケージ500に設けられる半導体レーザ装置1000Cが図15(a)のA3−A3線の断面により示されている。図17および図18においても、図1と同様にX方向、Y方向およびZ方向を定義する。
【0248】
図17および図18に示すように、略丸型キャンパッケージ本体503と一体化された導電性の支持部材505上に第1の実施の形態と同様の導電性のサブマウント505Sが設けられている。
【0249】
サブマウント505S上に融着層505Hを介して図15の半導体レーザ装置1000Cが接着されている。本例においても、サブマウント505Sへの半導体レーザ装置1000Cの接着は、青紫色半導体レーザ素子1の青紫色発光点11が、蓋体504の取り出し窓504a(図3参照)の中央部に位置するように行われる。
【0250】
給電ピン501aはワイヤW1を介して半導体レーザ装置1000Cのp側パッド電極14の一端に接続されている。給電ピン501bはワイヤW2を介して半導体レーザ装置1000Cのp側パッド電極12の一端に接続されている。給電ピン501cはワイヤW3を介して半導体レーザ装置1000Cのp側パッド電極13の一端に接続されている。
【0251】
一方、支持部材505の露出した上面と半導体レーザ装置1000Cのn電極23,33とがワイヤW4a,W4bにより電気的に接続されている。
【0252】
支持部材505はサブマウント505Sおよび融着層505Hを通じて電気的に接続されている。これにより、給電ピン502は青紫色半導体レーザ素子1のn電極15、ならびに赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3のn電極23,33と電気的に接続されている。すなわち、青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3のカソードコモンの結線が実現されている。
【0253】
給電ピン501aと給電ピン502との間に電圧を印加することにより赤外半導体レーザ素子3を駆動することができる。給電ピン501bと給電ピン502との間に電圧を印加することにより青紫色半導体レーザ素子1を駆動することができる。給電ピン501cと給電ピン502との間に電圧を印加することにより赤色半導体レーザ素子2を駆動することができる。このように、青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3をそれぞれ独立に駆動することができる。
【0254】
本実施の形態に係る半導体レーザ装置1000Cにおいては、上述のように、p側パッド電極12,13,14の各々が、互いに電気的に分離されている。それにより、青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3のそれぞれのp側パッド電極12,13,14に、任意の電圧を与えることができる。したがって、青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3の駆動方式を任意に選択することが可能となっている。
【0255】
本実施の形態において、Y方向における青紫色発光点11と赤外発光点31との間の間隔は、例えば約110μmに調整される。また、Y方向における赤色発光点21と赤外発光点31との間の間隔は、例えば約190μmに調整される。
【0256】
Y方向における青紫色半導体レーザ素子1の幅は、例えば約700μmである。Y方向における赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3の各々の幅は、例えば約200μmである。
【0257】
(c) 半導体レーザ装置のレーザ用パッケージへの実装状態での効果
本実施の形態においても、サブマウント505S(融着層505H)への半導体レーザ装置1000Cの接着は、青紫色半導体レーザ素子1の青紫色発光点11が、蓋体504の取り出し窓504a(図3参照)の中央部に位置するように行われる。それにより、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0258】
図15(a)に示すように、本実施の形態に係る半導体レーザ装置1000Cにおいては、Y方向に延びるp側パッド電極13,14の一端が、青紫色半導体レーザ素子1の絶縁膜4a上で、青紫色半導体レーザ素子1と赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3との間を通って、Y方向における赤色半導体レーザ素子2の側面から突出し、露出している。これにより、Y方向に延びるp側パッド電極13,14の露出部がX方向において略直線上に並ぶので、青紫色半導体レーザ素子1のY方向における幅を小さくすることができる。
【0259】
また、Y方向に延びるp側パッド電極13,14の露出部がX方向において略直線上に並ぶことにより、Y方向における青紫色半導体レーザ素子1上の赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3の配置スペースを大きくすることができる。したがって、Y方向における赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3の幅を大きくすることができる。
【0260】
さらに、本実施の形態では、p側パッド電極12がp側パッド電極13,14と反対側のY方向に延びている。そして、Y方向において青紫色半導体レーザ素子1のリッジ部Riに関して、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3と反対側の箇所でp側パッド電極12が露出している。
【0261】
したがって、Y方向において、青紫色発光点11、赤色発光点21および赤外発光点31は、p側パッド電極12,13,14の露出部間に位置する。それにより、ワイヤをボンディンクする箇所がY方向における各発光点間に位置しないので、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3の配置位置を青紫色半導体レーザ素子1のリッジ部Riに近づけることができる。この場合、青紫色発光点11と赤外発光点31との間の間隔を小さくすることができる。
【0262】
p側パッド電極12,13,14の露出部は、ワイヤをボンディングするための所定の大きさが必要とされる。したがって、p側パッド電極12,13,14の露出部を、青紫色半導体レーザ素子1のリッジ部Riと赤外半導体レーザ素子3との間に配置した場合、青紫色発光点11と赤外発光点31との間の間隔を小さくすることができない。
【0263】
本実施の形態に係る半導体レーザ装置1000Cにおいては、青紫色半導体レーザ素子1の絶縁膜4a上でp側パッド電極12,13,14がそれぞれ交差しない。したがって、絶縁膜4a上へのp側パッド電極12,13,14の形成を同時に行うことができる。その結果、製造工程が単純となり、構造が単純となっている。
【0264】
図18に示すように、本例では、半導体レーザ装置1000Cのレーザ光の出射面からp側パッド電極14よりも離れた箇所に位置するp側パッド電極13がワイヤW3を介して、支持部材505に対向する給電ピン501cに接続されている。換言すれば、X方向に並ぶp側パッド電極13,14の露出部のうち、略丸型キャンパッケージ本体503に近いp側パッド電極13と給電ピン501cとがワイヤW3により接続されている。これにより、各p側パッド電極13,14と、各給電ピン501a,501cとの間に接続されるワイヤW1〜W3が交差することが防止される。
【0265】
X方向におけるp側パッド電極13,14の露出部の配置を入れ替えてもよい。この場合、赤外半導体レーザ素子3のp側パッド電極14と給電ピン501cとをワイヤにより接続する。また、赤色半導体レーザ素子2のp側パッド電極13と給電ピン501aとをワイヤにより接続する。
【0266】
本実施の形態に係る半導体レーザ装置1000Cを図12の光ピックアップ装置900に用いることができる。これにより、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0267】
なお、図15(b)および図17には図示しないが、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ3にもp側パッド電極22,32の形成箇所に、X方向に延びるストライプ状のリッジ部が形成されている。したがって、それぞれのリッジ部にも図示しないp型オーミック電極が形成されている。
【0268】
本実施の形態においては、予め青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3のチップを個別に作製し、それらのチップを互いに貼り合わせることにより半導体レーザ装置1000Cを作製してもよい。
【0269】
(4) 第4の実施の形態
第4の実施の形態に係る半導体レーザ装置は、以下の点を除き第1の実施の形態に係る半導体レーザ装置1000Aと同様の構造を有する。
【0270】
(a) 半導体レーザ装置の構造
図19は、第4の実施の形態に係る半導体レーザ装置の構造を説明するための模式図である。図19(a)に第4の実施の形態に係る半導体レーザ装置の一例を示す上面図が示され、図19(b)に図19(a)のA4−A4線断面図が示されている。図20は、図19の半導体レーザ装置における青紫色半導体レーザ素子およびモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子とサブマウントとの接合部の模式図である。図19および図20においても、図1と同様にX方向、Y方向およびZ方向を定義する。
【0271】
図19(a)および図19(b)に示すように、本実施の形態に係る半導体レーザ装置1000Dは、青紫色半導体レーザ素子1、モノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23X、はんだ膜H、3つのp側パッド電極12z,13z,14z、絶縁膜4cおよび絶縁性のサブマウント505Zを含む。
【0272】
本実施の形態において、サブマウント505Zは長方形状を有する板状の部材であり、XY平面に対して平行に配置される。以下の説明では、図19(a)および図19(b)に示すように、X方向におけるサブマウント505Zの一端面をレーザ端面505Xと呼ぶ。
【0273】
図19(b)に示すように、絶縁性のサブマウント505Z上に青紫色半導体レーザ素子1のp側パッド電極12が接合されている。また、絶縁性のサブマウント505Z上でかつY方向における青紫色半導体レーザ素子1の側方にモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xのp側パッド電極22,32が接合されている。
【0274】
すなわち、本実施の形態において、半導体レーザ装置1000Dは、サブマウント505Z上に青紫色半導体レーザ素子1およびモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xの各p側パッド電極が接合されたジャンクションダウン構造を有する。
【0275】
図19(b)では、青紫色半導体レーザ素子1にのみ、リッジ部Riを図示しているが、モノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xの赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3にも同様に、図示しないリッジ部が形成されている。
【0276】
サブマウント505Zと青紫色半導体レーザ素子1およびモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xとの接合部について説明する。
【0277】
図20(a)に示すように、青紫色半導体レーザ素子1の絶縁膜4a上には、青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3の各々に対応してp側パッド電極12z,13z,14zが形成されている。
【0278】
p側パッド電極12zは、Y方向におけるサブマウント505Zの一側方でX方向に延びるように形成されている。p側パッド電極13zは、Y方向におけるサブマウント505Zの他側方でX方向に延びるように形成されている。
【0279】
p側パッド電極14zは、Y方向におけるサブマウント505Zの略中央部でX方向に延びるように、かつ、X方向におけるサブマウント505Zの一端側でY方向に延びるように形成されている。
【0280】
ここで、p側パッド電極12z,13z,14zの各々は、絶縁性のサブマウント505Z上で互いに離間している。これにより、p側パッド電極12z,13z,14zの各々は、互いに電気的に分離されている。
【0281】
図20(b)に示すように、p側パッド電極12z,13z,14z上の所定の領域にはんだ膜Hが形成されている。p側パッド電極12z上のはんだ膜H上には、さらにX方向に延びる絶縁膜4cが形成されている。はんだ膜Hは、p側パッド電極12z,13z,14z上で予め設定された各半導体レーザ素子の接合箇所に応じて形成される。
【0282】
サブマウント505Z上への青紫色半導体レーザ素子1の接合時には、青紫色半導体レーザ素子1がp側パッド電極12z上のはんだ膜H上に位置合わせされ、かつ青紫色半導体レーザ素子1のリッジ部Riが絶縁膜4c上に位置合わせされる。
【0283】
また、サブマウント505Z上へのモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xの接合時には、赤色半導体レーザ素子2がp側パッド電極13z上のはんだ膜H上に位置合わせされ、赤外半導体レーザ素子3がp側パッド電極14z上のはんだ膜H上に位置合わせされる。
【0284】
その結果、サブマウント505Z上では、レーザ端面505X側で青紫色半導体レーザ素子1、赤外半導体レーザ素子3および赤色半導体レーザ素子2がY方向へ順に並ぶように配置される。そして、p側パッド電極12とp側パッド電極12zとの間、p側パッド電極22とp側パッド電極13zとの間、ならびにp側パッド電極32とp側パッド電極14zとの間の各々が互いに電気的に接続される。
【0285】
青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3のp側パッド電極12,22,32は、絶縁性のサブマウント505Z上で互いに電気的に分離されている。
【0286】
ここで、上述のように、青紫色半導体レーザ素子1のリッジ部Riは絶縁膜4c上に位置する。このように、はんだ膜Hとリッジ部Riの形成領域に位置するp側パッド電極12およびp型オーミック電極621との間に絶縁膜4cが配置されることにより、はんだ膜Hとp側パッド電極12およびp型オーミック電極621との合金化が防止される。その結果、青紫色半導体レーザ素子1の半導体層1t(図11参照)におけるコンタクト抵抗の増大が防止される。この絶縁膜4cは、例えばSiO2 からなる。
【0287】
本実施の形態において、Y方向における青紫色発光点11と赤外発光点31との間の間隔は、例えば約110μmに調整される。また、Y方向における赤色発光点21と赤外発光点31との間の間隔は、例えば約190μmに調整される。
【0288】
ここで、図19(b)に示すように、Y方向において、青紫色発光点11は青紫色半導体レーザ素子1の中心よりも赤外発光点31側に位置するように形成されている。このように青紫色発光点11が形成されることにより、青紫色発光点11と赤外発光点31との間の間隔を小さくすることができる。
【0289】
本実施の形態において、X方向に延びる青紫色半導体レーザ素子1の共振器長は、例えば約600μmである。また、X方向に延びるモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xの共振器長は、例えば約1200μmである。
【0290】
(b) レーザ用パッケージへの半導体レーザ装置の実装状態
図21は図19の半導体レーザ装置1000Dを図3のレーザ用略丸型キャンパッケージ500内に実装して蓋体504を外した状態を示す模式的正面図である。図21においても、図1と同様にX方向、Y方向およびZ方向を定義する。
【0291】
図21に示すように、レーザ用略丸型キャンパッケージ500の支持部材505上には、図19の半導体レーザ装置1000Dのサブマウント505Zが設けられている。
【0292】
ここで、サブマウント505Z上へのp側パッド電極12z,13z,14zの形成、およびp側パッド電極12z,13z,14z上への青紫色半導体レーザ素子1およびモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xの接合は、青紫色半導体レーザ素子1の青紫色発光点11が、蓋体504の取り出し窓504a(図3参照)の中央部に位置するように行われる。
【0293】
さらに、半導体レーザ装置1000Dは、サブマウント505Zのレーザ端面505Xがレーザ用略丸型キャンパッケージ500の光出射面側(蓋体504の取り出し窓504a側)に位置するように支持部材505上に配置される。
【0294】
この半導体レーザ装置1000Dにおいては、図19に示すように、Y方向における青紫色半導体レーザ素子1の側方のp側パッド電極12zの露出部にワイヤがボンディングされる。また、Y方向におけるモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xの側方のp側パッド電極13zの露出部にワイヤがボンディングされる。さらに、X方向におけるモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xの一端側のp側パッド電極14zの露出部にワイヤがボンディングされる。
【0295】
給電ピン501aはワイヤW1を介して半導体レーザ装置1000Dのp側パッド電極13zに接続されている。給電ピン501bはワイヤW2を介して半導体レーザ装置1000Dのp側パッド電極12zに接続されている。給電ピン501cはワイヤW3を介して半導体レーザ装置1000Dのp側パッド電極14zに接続されている。
【0296】
一方、支持部材505の露出した上面と半導体レーザ装置1000Dのn電極15および共通n電極233とがワイヤW4a,W4bにより電気的に接続されている。
【0297】
導電性の支持部材505は絶縁性のサブマウント505Zにより、半導体レーザ装置1000Dのp側パッド電極12z、13z、14zと電気的に分離されている。
【0298】
一方、支持部材505は、ワイヤW4a,W4bにより半導体レーザ装置1000Dのn電極15および共通n電極233と電気的に接続されているので、給電ピン502は青紫色半導体レーザ素子1のn電極15およびモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xの共通n電極233と電気的に接続されている。すなわち、青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3のカソードコモンの結線が実現されている。
【0299】
給電ピン501aと給電ピン502との間に電圧を印加することにより赤色半導体レーザ素子2を駆動することができる。給電ピン501bと給電ピン502との間に電圧を印加することにより青紫色半導体レーザ素子1を駆動することができる。給電ピン501cと給電ピン502との間に電圧を印加することにより赤外半導体レーザ素子3を駆動することができる。このように、青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3をそれぞれ独立に駆動することができる。
【0300】
(c) 半導体レーザ装置のレーザ用パッケージへの実装状態での効果
本実施の形態においても、半導体レーザ装置1000Dのレーザ用略丸型キャンパッケージ500への実装は、青紫色半導体レーザ素子1の青紫色発光点11が、蓋体504の取り出し窓504a(図3参照)の中央部に位置するように行われる。それにより、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0301】
本実施の形態では、サブマウント505Z上に形成されるp側パッド電極12z,13z,14zが互いに交差しない。したがって、サブマウント505Z上へのp側パッド電極12z,13z,14zの形成を同時に行うことができる。その結果、製造工程が単純となり、構造が単純となっている。
【0302】
本実施の形態に係る半導体レーザ装置1000Dを図12の光ピックアップ装置900に用いることができる。これにより、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0303】
本実施の形態では、半導体レーザ装置1000Dは、サブマウント505Z上でジャンクションダウン構造を有する。しかしながら、半導体レーザ装置1000Dは、青紫色半導体レーザ素子1およびモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xの各基板の厚みを略同一とし、サブマウント505Z上に青紫色半導体レーザ素子1およびモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xのn電極15および共通n電極233が接合されるジャンクションアップ構造を有してもよい。
【0304】
(5) 第5の実施の形態
第5の実施の形態に係る半導体レーザ装置は、以下の点を除き第1の実施の形態に係る半導体レーザ装置1000Aと同様の構造を有する。
【0305】
(a) 半導体レーザ装置の構造
図22は、第5の実施の形態に係る半導体レーザ装置の構造を説明するための模式図である。図22(a)に第4の実施の形態に係る半導体レーザ装置の一例を示す上面図が示され、図22(b)に図22(a)のA5−A5線断面図が示されている。
【0306】
図22(a)および図22(b)に示すように、本実施の形態に係る半導体レーザ装置1000Eは、青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2、赤外半導体レーザ素子3、はんだ膜H、融着層505Hおよび導電性のサブマウント505Sを含む。
【0307】
本実施の形態において、サブマウント505Sは長方形状を有する板状の部材であり、XY平面に対して平行に配置される。以下の説明では、図22(a)および図22(b)に示すように、X方向におけるサブマウント505Sの一端面をレーザ端面505Xと呼ぶ。
【0308】
図19(b)に示すように、導電性のサブマウント505S(融着層505H)上に青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3のそれぞれのn電極15,23,33が接合されている。
【0309】
すなわち、本実施の形態において、半導体レーザ装置1000Eは、サブマウント505S上に青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3の各n電極が接合されたジャンクションアップ構造を有する。
【0310】
青紫色半導体レーザ素子1の基本構造は、第1の実施の形態において用いられる青紫色半導体レーザ素子1と同じである。図22において、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3は、以下の構造を有する。
【0311】
図22(a)および図22(b)に示すように、赤色半導体レーザ素子2の上面にはX方向に延びるストライプ状のリッジ部Riが形成されている。リッジ部Riの側面およびリッジ部Riの両側には赤色半導体レーザ素子2の上面を覆うように絶縁膜4dが形成されている。リッジ部Riの上面にはp型オーミック電極621bが形成されている。p型オーミック電極621bの上面およびリッジ部Ri周辺の絶縁膜4dを覆うようにp側パッド電極22が形成されている。
【0312】
赤外半導体レーザ素子3は、上記の赤色半導体レーザ素子2と同様に絶縁膜4dを含む。赤外半導体レーザ素子3のリッジ部Riの上面にはp型オーミック電極621cが形成されている。
【0313】
サブマウント505S(融着層505H)上の青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3の接合部には、はんだ膜Hが形成されている。これにより、各半導体レーザ素子のn電極が互いに電気的に接続されている。
【0314】
ここで、融着層505H上では、青紫色半導体レーザ素子1、赤外半導体レーザ素子3および赤色半導体レーザ素子2がレーザ端面505X側でY方向に順に並ぶように配置されている。
【0315】
本実施の形態において、Y方向における青紫色発光点11と赤外発光点31との間の間隔は、例えば約110μmに調整される。また、Y方向における赤色発光点21と赤外発光点31との間の間隔は、例えば約400μmに調整される。
【0316】
ここで、図22(b)に示すように、Y方向において、青紫色発光点11は青紫色半導体レーザ素子1の中心よりも赤外発光点31側に位置するように形成されている。また、Y方向において、赤外発光点31は赤外半導体レーザ素子3の中心よりも青紫色発光点11側に位置するように形成されている。さらに、Y方向において、赤色発光点21は赤色半導体レーザ素子2の中心よりも赤外発光点31側に位置するように形成されている。
【0317】
このように青紫色発光点11および赤外発光点31が形成されることにより、青紫色発光点11と赤外発光点31との間の間隔を小さくすることができる。
【0318】
本実施の形態において、X方向に延びる青紫色半導体レーザ素子1の共振器長は、例えば約800μmである。また、X方向に延びる赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3の共振器長は、例えば約1200μmである。
【0319】
(b) レーザ用パッケージへの半導体レーザ装置の実装状態
図23は図22の半導体レーザ装置1000Eを図3のレーザ用略丸型キャンパッケージ500内に実装して蓋体504を外した状態を示す模式的正面図である。図23においても、図1と同様にX方向、Y方向およびZ方向を定義する。
【0320】
図23に示すように、レーザ用略丸型キャンパッケージ500の支持部材505上には、半導体レーザ装置1000Dのサブマウント505Sが設けられている。
【0321】
ここで、サブマウント505S上の融着層505Hへの青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3の接合は、青紫色半導体レーザ素子1の青紫色発光点11が、蓋体504の取り出し窓504a(図3参照)の中央部に位置するように行われる。
【0322】
さらに、半導体レーザ装置1000Eは、サブマウント505Sのレーザ端面505Xがレーザ用略丸型キャンパッケージ500の光出射面側(蓋体504の取り出し窓504a側)に位置するように支持部材505上に配置される。
【0323】
給電ピン501aはワイヤW1を介して半導体レーザ装置1000Eのp側パッド電極22の一端に接続されている。給電ピン501bはワイヤW2を介して半導体レーザ装置1000Eのp側パッド電極12の一端に接続されている。給電ピン501cはワイヤW3を介して半導体レーザ装置1000Eのp側パッド電極33の一端に接続されている。
【0324】
支持部材505はサブマウント505S、融着層505Hおよびはんだ膜Hを通じてn電極15,23,33と電気的に接続されている。これにより、給電ピン502は青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3のn電極15,23,33と電気的に接続されている。すなわち、青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3のカソードコモンの結線が実現されている。
【0325】
給電ピン501aと給電ピン502との間に電圧を印加することにより赤色半導体レーザ素子2を駆動することができる。給電ピン501bと給電ピン502との間に電圧を印加することにより青紫色半導体レーザ素子1を駆動することができる。給電ピン501cと給電ピン502との間に電圧を印加することにより赤外半導体レーザ素子3を駆動することができる。このように、青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3をそれぞれ独立に駆動することができる。
【0326】
(c) 半導体レーザ装置のレーザ用パッケージへの実装状態での効果
本実施の形態においても、半導体レーザ装置1000Eのレーザ用略丸型キャンパッケージ500への実装は、青紫色半導体レーザ素子1の青紫色発光点11が、蓋体504の取り出し窓504a(図3参照)の中央部に位置するように行われる。それにより、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0327】
本実施の形態に係る半導体レーザ装置1000Eを図12の光ピックアップ装置900に用いることができる。これにより、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0328】
本実施の形態では、半導体レーザ装置1000Eは、サブマウント505S上でジャンクションアップ構造を有する。しかしながら、半導体レーザ装置1000Eは、青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3の各基板の厚みを略同一とし、サブマウント505S上に青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3のp側パッド電極12,22,32が接合されるジャンクションダウン構造を有してもよい。
【0329】
(6) 特許請求の範囲との対応関係
上記第1〜第5の実施の形態においては、X方向が第1の方向に相当し、波長約405nmのレーザ光および青紫色レーザ光が第1の波長の光に相当し、青紫色発光点11が第1の発光点に相当し、青紫色半導体レーザ素子1が第1の半導体レーザ素子に相当し、波長約650nmのレーザ光および赤色レーザ光が第2の波長の光に相当し、赤色発光点21が第2の発光点に相当し、赤色半導体レーザ素子2が第2の半導体レーザ素子に相当し、波長約780nmのレーザ光および赤外レーザ光が第3の波長の光に相当し、赤外発光点31が第3の発光点に相当し、赤外半導体レーザ素子3が第3の半導体レーザ素子に相当し、YZ平面が第1の方向に直交する第1の面に相当する。
【0330】
また、Y方向が第2の方向に相当し、n−GaN基板1sが第1の基板に相当し、半導体層1tが第1の半導体層に相当し、p側パッド電極12が第1の電極に相当し、半導体層2tが第2の半導体層に相当し、p側パッド電極22が第2の電極に相当し、半導体層3tが第3の半導体層に相当し、p側パッド電極32が第3の電極に相当し、絶縁膜4aが絶縁層に相当する。
【0331】
さらに、光ディスクDIが光学記録媒体に相当し、光検出器909aが第1の光検出器に相当し、光検出器909bが第2の光検出器に相当し、偏光BS902、コリメータレンズ903、ビームエキスパンダ904、λ/4板905、対物レンズ906、シリンダレンズ907および光軸補正素子908が光学系に相当し、光軸補正素子908が回折格子に相当する。
【0332】
上記第1〜第5の実施形態では、レーザ用略丸型キャンパッケージへ半導体レーザ装置を実装する例を示したが、本発明はこれに限らず、フレーム型のレーザ用パッケージなどの他のパッケージへ半導体レーザ装置を実装する場合にも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0333】
本発明に係る半導体レーザ装置および光ピックアップ装置は、複数種類の光学記録媒体の記録および再生を行うことが可能な光学記録媒体駆動装置およびその製造に有効に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0334】
【図1】第1の実施の形態に係る半導体レーザ装置の構造を説明するための模式図である。
【図2】図1の半導体レーザ装置における青紫色半導体レーザ素子と赤色半導体レーザ素子および赤外半導体レーザ素子との接合面の模式図である。
【図3】図1の半導体レーザ装置が実装されたレーザ用略丸型キャンパッケージの外観斜視図である。
【図4】図3のレーザ用略丸型キャンパッケージの蓋体を外した状態を示す模式的正面図である。
【図5】半導体レーザ装置の蓋体を外した状態を示す模式的上面図である。
【図6】第1の実施の形態に係る半導体レーザ装置の製造方法の一例を示す模式的工程断面図である。
【図7】第1の実施の形態に係る半導体レーザ装置の製造方法の一例を示す模式的工程断面図である。
【図8】第1の実施の形態に係る半導体レーザ装置の製造方法の一例を示す模式的工程断面図である。
【図9】青紫色半導体レーザ素子の構造の詳細を説明するための模式的断面図である。
【図10】モノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子の赤色半導体レーザ素子の構造の詳細を説明するための模式的断面図である。
【図11】モノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子の赤外半導体レーザ素子の構造の詳細を説明するための模式的断面図である。
【図12】本実施の形態に係る光ピックアップ装置の構成を示す図である。
【図13】第2の実施の形態に係る半導体レーザ装置の構造を説明するための模式図である。
【図14】図13の半導体レーザ装置を図3のレーザ用略丸型キャンパッケージ内に実装して蓋体を外した状態を示す模式的正面図である。
【図15】第3の実施の形態に係る半導体レーザ装置の構造を説明するための模式図である。
【図16】図15の半導体レーザ装置における青紫色半導体レーザ素子と赤色半導体レーザ素子および赤外半導体レーザ素子との接合面の模式図である。
【図17】図15の半導体レーザ装置を図3のレーザ用略丸型キャンパッケージ内に実装して蓋体を外した状態を示す模式的正面図である。
【図18】図15の半導体レーザ装置を図3のレーザ用略丸型キャンパッケージ内に実装して蓋体を外した状態を示す模式的上面図である。
【図19】第4の実施の形態に係る半導体レーザ装置の構造を説明するための模式図である。
【図20】図19の半導体レーザ装置における青紫色半導体レーザ素子およびモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子とサブマウントとの接合部の模式図である。
【図21】図19の半導体レーザ装置を図3のレーザ用略丸型キャンパッケージ内に実装して蓋体を外した状態を示す模式的正面図である。
【図22】第5の実施の形態に係る半導体レーザ装置の構造を説明するための模式図である。
【図23】図22の半導体レーザ装置を図3のレーザ用略丸型キャンパッケージ内に実装して蓋体を外した状態を示す模式的正面図である。
【符号の説明】
【0335】
1 青紫色半導体レーザ素子
1s n−GaN基板
1t 半導体層
2 赤色半導体レーザ素子
2t 半導体層
3 赤外半導体レーザ素子
3t 半導体層
4a 絶縁膜
11 青紫色発光点
12 p側パッド電極
21 赤色発光点
22 p側パッド電極
31 赤外発光点
32 p側パッド電極
505S,505Z サブマウント
900 光ピックアップ装置
909a,909b 光検出器
902 偏光BS
903 コリメータレンズ
904 ビームエキスパンダ
905 λ/4板
906 対物レンズ
907 シリンダレンズ
908 光軸補正素子
1000A〜1000E 半導体レーザ装置
BR 連結部
DI 光ディスク
【技術分野】
【0001】
本発明は波長の異なる複数の光を出射可能な半導体レーザ装置およびそれを備える光ピックアップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、CD(コンパクトディスク)ドライブには、光源として波長780nm程度の赤外光を出射する半導体レーザ素子(赤外半導体レーザ素子)が用いられてきた。また、従来のDVD(デジタルバーサタイルディスク)ドライブには、光源として波長650nm程度の赤色光を出射する半導体レーザ素子(赤色半導体レーザ素子)が用いられてきた。
【0003】
一方、近年、波長405nm程度の青紫色光を用いて記録および再生可能なDVDの開発が進められている。このようなDVDの記録および再生のために、波長405nm程度の青紫色光を出射する半導体レーザ素子(青紫色半導体レーザ素子)を用いたDVDドライブも同時に開発が進められている。このDVDドライブにおいては、従来のCDおよびDVDに対する互換性が必要とされる。
【0004】
この場合、DVDドライブに赤外光、赤色光および青紫色光をそれぞれ出射する複数の光ピックアップ装置を設ける方法、または1つの光ピックアップ装置内に赤外半導体レーザ素子、赤色半導体レーザ素子および青紫色半導体レーザ素子を設ける方法により、従来のCD、DVDおよび新しいDVDに対する互換性が実現される。しかしながら、これらの方法では部品点数の増加を招くため、DVDドライブの小型化、構成の簡単化および低コスト化が困難となる。
【0005】
このような部品点数の増加を防止するために、赤外半導体レーザ素子と赤色半導体レーザ素子とを1チップに集積化した半導体レーザ素子が実用化されている。
【0006】
赤外半導体レーザ素子および赤色半導体レーザ素子はともにGaAs基板上に形成されるため1チップ化が可能であるが、青紫色半導体レーザ素子はGaAs基板上に形成されないため、青紫色半導体レーザ素子を赤外半導体レーザ素子および赤色半導体レーザ素子とともに1チップに集積化することは非常に困難である。
【0007】
そこで、赤外半導体レーザ素子および赤色半導体レーザ素子を同一チップに形成することによりモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子を作製するとともに、青紫色半導体レーザ素子を別個のチップに形成した後、青紫色半導体レーザ素子のチップとモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子のチップとを積み重ねた構造を有する発光装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0008】
この発光装置を光ピックアップ装置内に実装する場合、その光ピックアップ装置における青紫色半導体レーザ素子、赤外半導体レーザ素子および赤色半導体レーザ素子の占有スペースが低減される。
【特許文献1】特開2001−230502号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上記のような発光装置において、それぞれの半導体レーザ素子の発光点は互いに離間している。したがって、複数の半導体レーザ素子を内蔵する光ピックアップ装置は、各半導体レーザ素子に対応する光学系および受光素子を設けることが好ましい。この場合、複数の半導体レーザ素子から出射される光を正確に光学記録媒体へ導くとともに、光学記録媒体からの反射光を正確に受光素子へ導くことができる。しかしながら、光ピックアップ装置に各半導体レーザ素子に対応する光学系および受光素子を設けると、光ピックアップ装置が大型化する。
【0010】
特許文献1においては、青紫色半導体レーザ素子、赤外半導体レーザ素子および赤色半導体レーザ素子を備える発光装置を、3つの半導体レーザ素子に共通の光学系および共通の受光素子が設けられた光ディスク記録再生装置内に実装する例が示されている。
【0011】
しかしながら、青紫色半導体レーザ素子、赤色半導体レーザ素子および赤外半導体レーザ素子から出射されるレーザ光の光路は一致しない。そのため、正確な信号再生、トラッキング制御、フォーカス制御およびチルト制御を行うためには、実際には、光ディスク記録再生装置に3つのレーザ光に対応した3つの受光素子を設ける必要がある。したがって、上記の光ディスク記録再生装置は小型化が困難である。
【0012】
本発明の目的は、光ピックアップ装置の小型化を可能にする半導体レーザ装置を提供することである。
【0013】
本発明の他の目的は、小型化が可能な光ピックアップ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
(1)
第1の発明に係る半導体レーザ装置は、第1の方向と略平行な方向に第1の波長の光を出射する第1の発光点を有する第1の半導体レーザ素子と、第1の方向と略平行な方向に第1の波長の自然数倍と異なる第2の波長の光を出射する第2の発光点を有する第2の半導体レーザ素子と、第1の方向と略平行な方向に第1の波長の略自然数倍の第3の波長の光を出射する第3の発光点を有する第3の半導体レーザ素子とを備え、第1の方向に直交する第1の面内において、第1の発光点と第3の発光点との間の距離が、第1の発光点と第2の発光点との間の距離および第2の発光点と第3の発光点との間の距離の少なくとも一方よりも小さいものである。
【0015】
この発明に係る半導体レーザ装置においては、第1の半導体レーザ素子の第1の発光点から第1の方向と略平行な方向に第1の波長の光が出射され、第2の半導体レーザ素子の第2の発光点から第1の方向と略平行な方向に第1の波長の自然数倍と異なる第2の波長の光が出射され、第3の半導体レーザ素子の第3の発光点から第1の方向と略平行な方向に第1の波長の略自然数倍の第3の波長の光が出射される。
【0016】
第3の波長は、第1の波長の略自然数倍であるので、第1の波長の光を回折格子に入射させた場合の回折作用と、第3の波長の光を回折格子に入射させた場合の回折作用とは略同一となる。一方、第2の波長は、第1の波長の自然数倍と異なるので、第1の波長の光を回折格子に入射させた場合の回折作用と、第2の波長の光を回折格子に入射させた場合の回折作用とは異なる。
【0017】
ここで、第1の発光点と第3の発光点とは異なる位置に存在するので、第1の波長の光の光路と、第3の波長の光の光路とは正確には一致しない。
【0018】
したがって、この半導体レーザ装置を光ピックアップ装置に用いる場合、光ピックアップ装置には、第1の波長の光を受光する第1の光検出器と第3の波長の光を受光する第2の光検出器とを設ける必要がある。
【0019】
一方、第2の波長の光を回折格子に入射させることにより、第2の波長の光を第1および第2の光検出器の一方に導くことができる。したがって、第1および第2の光検出器により、第1、第2および第3の波長の光を受光することが可能となる。
【0020】
この場合、第1の面内において、第1の発光点と第3の発光点との間の距離が、第1の発光点と第2の発光点との間の距離および第2の発光点と第3の発光点との間の距離の少なくとも一方よりも小さいことにより、第1の波長の光の光路と第3の波長の光の光路との間の距離が、第1の波長の光の光路と第2の波長の光の光路との間の距離および第2の波長の光の光路と第3の波長の光の光路との間の距離の少なくとも一方よりも小さくなる。
【0021】
それにより、光ピックアップ装置内において、第1および第2光検出器を互いに近接して配置することができる。その結果、光ピックアップ装置における第1および第2の光検出器の配置スペースが低減され、光ピックアップ装置の小型化が可能となる。
【0022】
(2)
第1、第2および第3の発光点は、第1の方向に交差する第2の方向に沿って配置され、第3の発光点は、第1の発光点と第2の発光点との間に位置してもよい。この場合、第1、第3および第2の発光点がこの順で第2の方向に沿って略直線上に配置される。これにより、この半導体レーザ装置を光ピックアップ装置に用いる場合に、光ピックアップ装置の設計が容易となる。
【0023】
(3)
第1の半導体レーザ素子は、第1の基板を備え、第2の方向は、第1の基板の一面に略平行であってもよい。この場合、第1の発光点、第3の発光点および第2の発光点が第1の基板の一面に略平行な直線に沿って並ぶ。これにより、この半導体レーザ装置を光ピックアップ装置に用いる場合に、光ピックアップ装置の設計が容易となる。
【0024】
(4)
第1の半導体レーザ素子上に、第2および第3の半導体レーザ素子が接合されてもよい。この場合、第1、第2および第3の半導体レーザ素子を一体化させることができる。それにより、半導体レーザ装置の小型化が可能となる。
【0025】
(5)
第1の半導体レーザ素子は、第1の発光点を有する第1の半導体層と、第1の半導体層上に形成される第1の電極とを備え、第2の半導体レーザ素子は、第2の発光点を有する第2の半導体層と、第2の半導体層上に形成される第2の電極とを備え、第3の半導体レーザ素子は、第3の発光点を備える第3の半導体層と、第3の半導体層上に形成される第3の電極とを備え、第1の電極上に第2および第3の電極が接合されてもよい。
【0026】
この場合、第1の発光点と第2および第3の発光点との間の距離を、第1の半導体層に垂直な方向において短くすることができる。その結果、第1、第2および第3の発光点を、第1の半導体層と平行な方向において略直線上に配置することが容易となる。
【0027】
(6)
第1の電極上に第2および第3の電極が絶縁層を介して接合されてもよい。これにより、第1、第2および第3の電極を互いに電気的に分離することができる。それにより、第1、第2および第3の電極にそれぞれ任意の電圧を与えることができる。したがって、第1、第2および第3の半導体レーザ素子の駆動方式を任意に選択することが可能となる。
【0028】
(7)
第2の半導体レーザ素子と第3の半導体レーザ素子とを連結する連結部をさらに備えてもよい。この場合、第2の半導体レーザ素子と第3の半導体レーザ素子とが連結部により互いに連結されるので、第1の発光点に対する第2および第3の発光点の位置決めが容易となる。
【0029】
(8)
第2の方向に平行な一面を有するサブマウントをさらに備え、第1、第2および第3の半導体レーザ素子はサブマウントの一面上に接合されてもよい。この場合、第1、第2および第3の半導体レーザ素子がサブマウントの一面上に接合されるので、第1、第2および第3の発光点をサブマウントの一面上で容易に略直線上に配置することができる。それにより、この半導体レーザ装置を光ピックアップ装置に用いる場合に、光ピックアップ装置の設計が容易となる。
【0030】
(9)
第1の波長の光は青紫色光であり、第2の波長の光は赤色光であり、第3の波長の光は赤外光であってもよい。この場合、1つの半導体レーザ装置から複数の色の光を出射することができる。
【0031】
(10)
第1の半導体層は窒化物系半導体からなってもよい。この場合、第1の半導体レーザ素子は青紫色光を出射することができる。
【0032】
第2の半導体層はガリウムインジウムリン系半導体からなってもよい。この場合、第2の半導体レーザ素子は赤色光を出射することができる。
【0033】
第3の半導体層はガリウムヒ素系半導体からなってもよい。この場合、第3の半導体レーザ素子は、赤外光を出射することができる。
【0034】
(11)
第2の発明に係る光ピックアップ装置は、光学記録媒体に光を照射し、その光学記録媒体から帰還する光を検出する光ピックアップ装置であって、第1の発明に係る半導体レーザ装置を備えるものである。
【0035】
この発明に係る光ピックアップ装置においては、第1の発明に係る半導体レーザ装置から第1、第2または第3の波長の光が選択的に出射される。ここで、第1の発明に係る半導体レーザ装置によれば、第1、第2および第3の波長の光を2つの光検出器に導くことができる。したがって、光ピックアップ装置に第1、第2および第3の波長の光に対応する3つの光検出器を設ける必要がない。その結果、光ピックアップ装置における光検出器の配置スペースが低減され、光ピックアップ装置の小型化が可能となる。
【0036】
(12)
第1および第2の光検出器と、半導体レーザ装置から出射される第1、第2または第3の波長の光を光学記録媒体に導くとともに、光学記録媒体から帰還する第1、第2または第3の波長の光を第1または第2の光検出器に導く光学系とをさらに備えてもよい。
【0037】
この場合、光学記録媒体から帰還する第1、第2および第3の波長の光の各々が、第1および第2の光検出器のいずれか一方の光検出器に導かれる。その結果、光ピックアップ装置における光検出器の配置スペースが低減され、光ピックアップ装置の小型化が可能となる。
【0038】
(13)
光学系は、第1および第3の波長の光をそれぞれ第1および第2の光検出器に導き、第2の波長の光を第1および第2の光検出器の一方に導くように、第1、第2および第3の波長の光を透過する回折格子を含んでもよい。
【0039】
この場合、第1の発明に係る半導体レーザ装置から第1、第2または第3の波長の光が選択的に出射される。半導体レーザ装置から出射された第1の波長の光は、光学系により光学記録媒体に導かれ、光学記録媒体から帰還して第1の光検出器に導かれる。
【0040】
また、半導体レーザ装置から出射された第3の波長の光は、光学系により光学記録媒体に導かれ、光学記録媒体から帰還して第2の光検出器に導かれる。さらに、半導体レーザ装置から出射された第2の波長の光は、光学系により光学記録媒体に導かれ、光学記録媒体から帰還して第1および第2の光検出器の一方に導かれる。
【0041】
第3の波長は、第1の波長の略自然数倍であるので、第1の波長の光が回折格子を透過する際の回折作用と、第3の波長の光が回折格子を透過する際の回折作用とは略同一となる。一方、第2の波長は、第1の波長の自然数倍と異なるので、第1の波長の光が回折格子を透過する際の回折作用と、第2の波長の光が回折格子を透過する際の回折作用とは異なる。
【0042】
ここで、第1の発光点と第3の発光点とは異なる位置に存在するので、第1の波長の光の光路と、第3の波長の光の光路とは正確には一致しない。
【0043】
そこで、この発明に係る光ピックアップ装置においては、第1の波長の光を受光する第1の光検出器と第3の波長の光を受光する第2の光検出器とを設けている。
【0044】
一方、第2の波長の光が回折格子を透過することにより、第2の波長の光が第1および第2の光検出器の一方に導かれる。したがって、第1および第2の光検出器により、第1、第2および第3の波長の光を受光することが可能となっている。その結果、この発明に係る光ピックアップ装置には、第1、第2および第3の3つの波長の光を受光するために2つの光検出器が設けられるので、小型化が実現されている。
【0045】
また、第1の面内において、第1の発光点と第3の発光点との間の距離が、第1の発光点と第2の発光点との間の距離および第2の発光点と第3の発光点との間の距離の少なくとも一方よりも小さいことにより、第1の波長の光の光路と第3の波長の光の光路との間の距離が、第1の波長の光の光路と第2の波長の光の光路との間の距離および第2の波長の光の光路と第3の波長の光の光路との間の距離の少なくとも一方よりも小さくなる。
【0046】
それにより、光ピックアップ装置内において、第1および第2光検出器を互いに近接して配置することができる。その結果、光ピックアップ装置における第1および第2の光検出器の配置スペースが低減され、光ピックアップ装置の小型化が可能となる。
【0047】
(14)
第1の半導体レーザ素子により出射される第1の波長の光の軸が光学系の光軸に一致するように半導体レーザ装置が配置されてもよい。この場合、半導体レーザ装置の第1の波長の光が光学系の光軸に沿って出射される。それにより、第1の波長の光が光学系を通過する際の効率を、第2および第3の波長の光が光学系を通過する際の効率よりも向上させることができる。
【発明の効果】
【0048】
本発明に係る半導体レーザ装置は、第1の波長の光を出射する第1の発光点を有する第1の半導体レーザ素子と、第1の波長の自然数倍と異なる第2の波長の光を出射する第2の発光点を有する第2の半導体レーザ素子と、第1の波長の略自然数倍の第3の波長の光を出射する第3の発光点を有する第3の半導体レーザ素子とを備え、第1の発光点と第3の発光点との間の距離が、第1の発光点と第2の発光点との間の距離および第2の発光点と第3の発光点との間の距離の少なくとも一方よりも小さいものである。これにより、この発明に係る半導体レーザ装置を光ピックアップ装置に用いる場合に、光ピックアップ装置の小型化が可能となる。
【0049】
また、本発明に係る光ピックアップ装置は、光学記録媒体に光を照射し、その光学記録媒体から帰還する光を検出する光ピックアップ装置であって、第1の発明に係る半導体レーザ装置と、第1および第2の光検出器と、半導体レーザ装置から出射される第1、第2または第3の波長の光を光学記録媒体に導くとともに、光学記録媒体から帰還する第1、第2または第3の波長の光を第1または第2の光検出器に導く光学系とを備え、光学系は、第1および第3の波長の光がそれぞれ第1および第2の光検出器に導かれ、第2の波長の光が第1および第2の光検出器の一方に導かれるように、第1、第2および第3の波長の光を透過する回折格子を含むものである。
【0050】
この発明に係る光ピックアップ装置には、第1、第2および第3の3つの波長の光を受光するために2つの光検出器が設けられるので、小型化が実現されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
以下、本発明の一実施の形態に係る半導体レーザ装置およびそれを備える光ピックアップ装置について説明する。
【0052】
(1) 第1の実施の形態
本発明の一実施の形態に係る半導体レーザ装置は、波長約405nmのレーザ光を出射する半導体レーザ素子(以下、青紫色半導体レーザ素子と呼ぶ。)、波長約650nmのレーザ光を出射する半導体レーザ素子(以下、赤色半導体レーザ素子と呼ぶ。)および波長約780nmのレーザ光を出射する半導体レーザ素子(以下、赤外半導体レーザ素子と呼ぶ。)を備える。
【0053】
(a) 半導体レーザ装置の構造
図1は、第1の実施の形態に係る半導体レーザ装置の構造を説明するための模式図である。図1(a)に第1の実施の形態に係る半導体レーザ装置の一例を示す上面図が示され、図1(b)に図1(a)のA1−A1線断面図が示されている。図2は、図1の半導体レーザ装置における青紫色半導体レーザ素子と赤色半導体レーザ素子および赤外半導体レーザ素子との接合面の模式図である。
【0054】
図1および図2においては、矢印X,Y,Zで示すように互いに直交する3方向をX方向、Y方向およびZ方向とする。X方向およびY方向は、後述する青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3のpn接合面10,20,30に平行な方向である。Z方向は青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3のpn接合面10,20,30に垂直な方向である。
【0055】
図1(a)および図1(b)に示すように、青紫色半導体レーザ素子1の上面にはX方向に延びるストライプ状のリッジ部Riが形成されている。このリッジ部Riは、Y方向における青紫色半導体レーザ素子1の中心から偏った箇所に位置する。リッジ部Riの側面およびリッジ部Riの両側には青紫色半導体レーザ素子1の上面を覆うように絶縁膜4aが形成されている。リッジ部Riの上面にはp型オーミック電極621が形成されている。
【0056】
p型オーミック電極621の上面およびリッジ部Ri周辺の絶縁膜4aを覆うようにp側パッド電極12が形成されている。青紫色半導体レーザ素子1の下面にはn電極15が形成されている。青紫色半導体レーザ素子1にはp型半導体とn型半導体との接合面であるpn接合面10が形成されている。
【0057】
本実施の形態において、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3は一体的に形成されている。以下、一体的に形成された赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3をモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xと呼ぶ。
【0058】
このモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xにおいては、赤色半導体レーザ素子2と赤外半導体レーザ素子3とが共通の基板上に作製されている。詳細は後述する。
【0059】
赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3の上面には、共通n電極233が形成されている。赤色半導体レーザ素子2の下面にはp側パッド電極22が形成されている。赤色半導体レーザ素子2にはp型半導体とn型半導体との接合面であるpn接合面20が形成されている。赤外半導体レーザ素子3の下面にはp側パッド電極32が形成されている。赤外半導体レーザ素子3にはp型半導体とn型半導体との接合面であるpn接合面30が形成されている。
【0060】
なお、図1(b)には図示しないが赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ3にもX方向に延びるストライプ状のリッジ部が形成されている。したがって、それぞれのリッジ部にも図示しないp型オーミック電極が形成されている。
【0061】
Y方向において、モノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xは、赤外半導体レーザ素子3が青紫色半導体レーザ素子1の略中心に位置するように、かつ赤色半導体レーザ素子2が赤外半導体レーザ素子3を基準として青紫色半導体レーザ素子1のリッジ部Riと反対側に位置するように、青紫色半導体レーザ素子1上に接合されている。
【0062】
青紫色半導体レーザ素子1とモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xとの接合部について説明する。
【0063】
図2(a)に示すように、青紫色半導体レーザ素子1の絶縁膜4a上には、上述のp側パッド電極12の他、p側パッド電極13,14が形成されている。
【0064】
p側パッド電極12は、青紫色半導体レーザ素子1のリッジ部Riに沿うようにX方向に延びるとともに、その一部がY方向に延びている。
【0065】
p側パッド電極14は、p側パッド電極12に隣接するように形成されている。p側パッド電極14は、青紫色半導体レーザ素子1の略中央部でX方向に延びるとともに、その一部がp側パッド電極12と同様にY方向に延びている。
【0066】
p側パッド電極13は、p側パッド電極14に隣接するように形成されている。p側パッド電極13は、青紫色半導体レーザ素子1の角部近傍でX方向に延びるとともに、その一部がp側パッド電極12と同様にY方向に延びている。
【0067】
p側パッド電極12,13,14の各々は、絶縁膜4a上で互いに離間するように形成されている。これにより、p側パッド電極12,13,14の各々は、互いに電気的に分離されている。
【0068】
図2(b)に示すように、絶縁膜4aおよびp側パッド電極12,13,14上に所定のパターンで絶縁膜4bが形成されている。絶縁膜4bは、Y方向に延びるp側パッド電極12,13,14の一端が露出するように形成されている。露出するp側パッド電極12,13,14の一端には各半導体レーザ素子を駆動するためのワイヤがボンディングされる。なお、Y方向に延びるp側パッド電極12,13,14の一端の幅約100μmおよび長さ約100μmの領域が露出している。
【0069】
また、絶縁膜4bは、青紫色半導体レーザ素子1の略中央部でp側パッド電極14の一部が露出するように形成されている。このp側パッド電極14の露出部には、Au−Snからなるはんだ膜Hが形成されている。
【0070】
さらに、絶縁膜4bは、p側パッド電極13の略中央部が露出するように形成されている。このp側パッド電極13の露出部にも、Au−Snからなるはんだ膜Hが形成されている。
【0071】
図1の青紫色半導体レーザ素子1へのモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xの接合は、赤色半導体レーザ素子2のp側パッド電極22がはんだ膜Hを介してp側パッド電極13に接合され、赤外半導体レーザ素子3のp側パッド電極32がはんだ膜Hを介してp側パッド電極14に接合されるように行われる。
【0072】
これにより、赤色半導体レーザ素子2のp側パッド電極22がp側パッド電極13と電気的に接続され、赤外半導体レーザ素子3のp側パッド電極32がp側パッド電極14と電気的に接続される。
【0073】
また、上記では、パターニングされた絶縁膜4b上にモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xが接合されるので、赤外半導体レーザ素子3のp側パッド電極32とp側パッド電極12,13との接触が防止され、赤色半導体レーザ素子2のp側パッド電極22とp側パッド電極12,14との接触が防止されている。
【0074】
青紫色半導体レーザ素子1のp側パッド電極12とn電極15との間に電圧が印加されることにより、pn接合面10におけるリッジ部Riの下方の領域(以下、青紫色発光点と呼ぶ。)11から波長約405nmのレーザ光がX方向に出射される。
【0075】
赤色半導体レーザ素子2のp側パッド電極22(青紫色半導体レーザ素子1上のp側パッド電極13)と共通n電極233との間に電圧が印加されることにより、pn接合面20における所定の領域(以下、赤色発光点と呼ぶ。)21から波長約650nmのレーザ光がX方向に出射される。
【0076】
赤外半導体レーザ素子3のp側パッド電極32(青紫色半導体レーザ素子1上のp側パッド電極14)と共通n電極233との間に電圧が印加されることにより、pn接合面30における所定の領域(以下、赤外発光点と呼ぶ。)31から波長約780nmのレーザ光がX方向に出射される。
【0077】
本実施の形態においては、Y方向における青紫色半導体レーザ素子1のリッジ部Riの側方に、赤外半導体レーザ素子3および赤色半導体レーザ素子2が順に配置されている。これにより、青紫色発光点11と赤色発光点21との間の距離が、青紫色発光点11と赤外発光点31との間の距離ならびに赤外発光点31と赤色発光点21との間の距離のいずれよりも長い。さらに、Y方向において、赤外発光点31は青紫色発光点11と赤色発光点21との間に位置する。
【0078】
本実施の形態において、Y方向における青紫色発光点11と赤外発光点31との間の間隔は、例えば約110μmに調整される。また、Y方向における赤色発光点21と赤外発光点31との間の間隔は、例えば約90μmに調整される。
【0079】
Y方向における青紫色半導体レーザ素子1の幅は、例えば約400μmである。Y方向におけるモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xの幅は、例えば約200μmである。
【0080】
なお、図1(b)の断面図はZ方向に拡大されている。実際には、Z方向における各発光点の間隔はY方向における各発光点の間隔と比べて非常に小さい。したがって、実際の半導体レーザ装置1000Aにおいては、青紫色発光点11、赤色発光点21および赤外発光点31がY方向に平行な軸に沿って略直線上に位置している。
【0081】
(b) 半導体レーザ装置の効果
図1(a)に示すように、本実施の形態に係る半導体レーザ装置1000Aにおいては、Y方向に延びるp側パッド電極12,13,14の一端が、青紫色半導体レーザ素子1の絶縁膜4a上で、青紫色半導体レーザ素子1とモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xとの間を通って、Y方向におけるモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xの側面から突出し、露出している。これにより、Y方向に延びるp側パッド電極12,13,14の露出部がX方向において略直線上に並ぶので、青紫色半導体レーザ素子1のY方向における幅を小さくすることができる。
【0082】
また、Y方向に延びるp側パッド電極12,13,14の露出部がX方向において略直線上に並ぶことにより、Y方向における青紫色半導体レーザ素子1上のモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xの配置スペースを大きくすることができる。したがって、Y方向におけるモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xの幅を大きくすることができる。
【0083】
さらに、青紫色半導体レーザ素子1上でモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xの配置位置を青紫色半導体レーザ素子1のリッジ部Riに近づけることができる。この場合、青紫色発光点11と赤外発光点31との間の間隔を小さくすることができる。
【0084】
上述のように、半導体レーザ装置1000Aにおけるp側パッド電極12,13,14の露出部は、ワイヤをボンディングするための所定の大きさが必要とされる。したがって、p側パッド電極12,13,14の露出部を、青紫色半導体レーザ素子1のリッジ部Riとモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xとの間に配置した場合には、青紫色発光点11と赤外発光点31との間の間隔を小さくすることができない。
【0085】
ここで、p側パッド電極12,13,14の各々は、Y方向において青紫色半導体レーザ素子1のリッジ部Riに関してモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xと反対側で露出してもよい。しかしながら、この場合、赤外半導体レーザ素子3のp側パッド電極14はX方向に延びるp側パッド電極12と交差する。また、赤色半導体レーザ素子2のp側パッド電極13は、X方向に延びるp側パッド電極12,14と交差する。この場合、各p側パッド電極の交差部に新たに絶縁膜を設ける必要がある。
【0086】
これに対して、本実施の形態に係る半導体レーザ装置1000Aにおいては、青紫色半導体レーザ素子1の絶縁膜4a上でp側パッド電極12,13,14がそれぞれ交差しない。したがって、絶縁膜4a上へのp側パッド電極12,13,14の形成を同時に行うことができる。その結果、製造工程が単純となり、構造が単純となっている。
【0087】
また、半導体レーザ装置1000Aにおいては、青紫色半導体レーザ素子1の半導体層1t上に形成されたp側パッド電極12と、モノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xの半導体層2t,3t上に形成されたp側パッド電極22,32とがはんだ膜Hを介して接合されている。これにより、青紫色発光点11と赤色発光点21および赤外発光点31との間の距離を、Z方向において短くすることができる。その結果、青紫色発光点11、赤色発光点21および赤外発光点31を、Y方向において略直線上に配置することが容易となっている。
【0088】
(c) レーザ用パッケージへの半導体レーザ装置の実装状態
図1の半導体レーザ装置1000Aは、レーザ用パッケージ内に実装される。図3は図1の半導体レーザ装置1000Aが実装されたレーザ用略丸型キャンパッケージの外観斜視図である。
【0089】
図3において、レーザ用略丸型キャンパッケージ500は、導電性の略丸型キャンパッケージ本体503、給電ピン501a,501b,501c,502および蓋体504を備える。
【0090】
略丸型キャンパッケージ本体503には、図1の半導体レーザ装置1000Aが設けられ、蓋体504により封止されている。蓋体504には、取り出し窓504aが設けられている。取り出し窓504aは、レーザ光を透過する材料からなる。また、給電ピン502は、機械的および電気的に略丸型キャンパッケージ本体503と接続されている。給電ピン502は接地端子として用いられる。
【0091】
略丸型キャンパッケージ本体503の外部に延びる給電ピン501a,501b,501c,502の一端は、それぞれ図示しない駆動回路に接続される。
【0092】
レーザ用略丸型キャンパッケージ500内に実装される半導体レーザ装置1000Aのワイヤを用いた配線について説明する。以下、半導体レーザ素子からのレーザ光が出射される方向を正面として説明する。
【0093】
図4は図3のレーザ用略丸型キャンパッケージ500の蓋体504を外した状態を示す模式的正面図であり、図5は図3のレーザ用略丸型キャンパッケージ500の蓋体504を外した状態を示す模式的上面図である。なお、図4では、レーザ用略丸型キャンパッケージ500に設けられる半導体レーザ装置1000Aが図1(a)のA1−A1線の断面により示されている。図4および図5においても、図1と同様にX方向、Y方向およびZ方向を定義する。
【0094】
図4に示すように、略丸型キャンパッケージ本体503と一体化された導電性の支持部材505上に導電性のサブマウント505Sが設けられている。支持部材505およびサブマウント505Sは導電性および熱伝導性に優れた材料からなる。
【0095】
サブマウント505S上に融着層505Hを介して図1の半導体レーザ装置1000Aが接合されている。サブマウント505S(融着層505H)への半導体レーザ装置1000Aの接着は、青紫色半導体レーザ素子1の青紫色発光点11が、YZ平面におけるレーザ用略丸型キャンパッケージ500の略中央部、すなわち蓋体504の取り出し窓504a(図3参照)の中央部に位置するように行われる。
【0096】
図4および図5に示すように、給電ピン501a,501b,501cは、それぞれ絶縁リング501zにより略丸型キャンパッケージ本体503と電気的に絶縁されている。
【0097】
給電ピン501aはワイヤW1を介して半導体レーザ装置1000Aのp側パッド電極12の一端に接続されている。給電ピン501bはワイヤW2を介して半導体レーザ装置1000Aのp側パッド電極14の一端に接続されている。給電ピン501cはワイヤW3を介して半導体レーザ装置1000Aのp側パッド電極13の一端に接続されている。
【0098】
一方、支持部材505の露出した上面と半導体レーザ装置1000Aの共通n電極233とがワイヤW4により電気的に接続されている。
【0099】
ここで、支持部材505はサブマウント505Sおよび融着層505Hを通じて電気的に接続されている。これにより、給電ピン502は青紫色半導体レーザ素子1のn電極15、ならびに赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3の共通n電極233と電気的に接続されている。すなわち、青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3のカソードコモンの結線が実現されている。
【0100】
給電ピン501aと給電ピン502との間に電圧を印加することにより青紫色半導体レーザ素子1を駆動することができる。給電ピン501bと給電ピン502との間に電圧を印加することにより赤外半導体レーザ素子3を駆動することができる。給電ピン501cと給電ピン502との間に電圧を印加することにより赤色半導体レーザ素子2を駆動することができる。このように、青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3をそれぞれ独立に駆動することができる。
【0101】
本実施の形態に係る半導体レーザ装置1000Aにおいては、上述のように、p側パッド電極12,13,14の各々が、互いに電気的に分離されている。それにより、青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3のそれぞれのp側パッド電極12,13,14に、任意の電圧を与えることができる。したがって、青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3の駆動方式を任意に選択することが可能となっている。
【0102】
(d) 半導体レーザ装置のレーザ用パッケージへの実装状態での効果
青紫色半導体レーザ素子1のレーザ光の強度は、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3のレーザ光の強度よりも弱い。本例では、青紫色半導体レーザ素子1の青紫色発光点11が、蓋体504の取り出し窓504aの中央部に位置する。これにより、青紫色半導体レーザ素子1のレーザ光がレーザ用略丸型キャンパッケージ500の中央から出射される。それにより、レーザ用略丸型キャンパッケージ500の中心軸に関して、レーザ用略丸型キャンパッケージ500を回転させても、青紫色半導体レーザ素子1から出射されるレーザ光の軸の位置の変化を小さくすることができる。
【0103】
したがって、青紫色半導体レーザ素子1の光の取り出し効率を大きくしつつ、レーザ用略丸型キャンパッケージ500の中心軸に関して、レンズ等の光学系の角度調整と、レーザ用略丸型キャンパッケージ500の角度調整とを容易に行うことができる。その結果、光学系の設計が容易となる。
【0104】
一般に、青紫色半導体レーザ素子1のレーザ光は次世代のDVD(デジタルバーサタイルディスク)の記録および再生に用いられ、赤色半導体レーザ素子2のレーザ光は従来のDVDの記録および再生に用いられ、赤外半導体レーザ素子3のレーザ光はCD(コンパクトディスク)の記録および再生に用いられる。
【0105】
ここで、上記の各光学記録媒体は、表面に形成されるピットの密度が互いに異なる。例えば、次世代および従来のDVDに形成されるピットの密度はCDに形成されるピットの密度よりも高い。したがって、次世代および従来のDVDの記録および再生を行う際には、CDの記録および再生時に比べて高速で信号処理を行う必要がある。
【0106】
このように、次世代および従来のDVDに対応する青紫色半導体レーザ素子1および赤色半導体レーザ素子2には、高い応答特性が要求されている。
【0107】
図4および図5に示すように、本例では、赤外半導体レーザ素子3のp側パッド電極14が最も遠い箇所に位置する給電ピン501bに接続されている。一方、青紫色半導体レーザ素子1および赤色半導体レーザ素子2のp側パッド電極12,13はともに近くに位置する給電ピン501a,501cにそれぞれ接続されている。
【0108】
このように、本例では、青紫色半導体レーザ素子1および赤色半導体レーザ素子2に対応するワイヤW1,W3の長さを短くしているので、青紫色半導体レーザ素子1および赤色半導体レーザ素子2の応答特性が向上している。
【0109】
さらに、図5に示すように、本例では、半導体レーザ装置1000Aのレーザ光の出射面から最も離れた箇所に位置するp側パッド電極13がワイヤW3を介して、支持部材505に対向する給電ピン501cに接続されている。換言すれば、X方向において最も略丸型キャンパッケージ本体503に近いp側パッド電極13と給電ピン501cとがワイヤW3により接続されている。これにより、各p側パッド電極12,13,14と、各給電ピン501a,501b,501cとの間に接続されるワイヤW1〜W3が交差することが防止される。
【0110】
本例においては、青紫色半導体レーザ素子1のp側パッド電極12の露出部を、X方向における半導体レーザ装置1000Aのレーザ光の出射面側に配置しているが、青紫色半導体レーザ素子1のp側パッド電極12の露出部を、X方向における半導体レーザ装置1000Aのレーザ光の出射面と反対側に配置してもよい。この場合、青紫色半導体レーザ素子1のp側パッド電極12と給電ピン501cとをワイヤにより接続する。また、赤色半導体レーザ素子2のp側パッド電極13と給電ピン501aとをワイヤにより接続する。
【0111】
(e) 半導体レーザ装置の製造方法
本実施の形態に係る半導体レーザ装置1000Aの製造方法について説明する。図6〜図8は第1の実施の形態に係る半導体レーザ装置1000Aの製造方法の一例を示す模式的工程断面図である。図6〜図8においても、図1のX,Y,Z方向が定義されている。
【0112】
なお、図6〜図8に示される断面は、図1のA1−A1線における断面に相当する。また、後述するn−GaN基板1sはn−GaNウェハであり、n−GaAs基板50はn−GaAsウェハである。これらn−GaNウェハおよびn−GaAsウェハには、それぞれ複数の青紫色半導体レーザ素子1およびモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xが形成される。したがって、図6〜図8では、これらn−GaNウェハおよびn−GaAsウェハの一部が図示されている。
【0113】
図6(a)に示すように、青紫色半導体レーザ素子1を作製するために、第1の成長基板であるn−GaN基板1sの一方の面上に積層構造を有する半導体層1tを形成し、半導体層1tにX方向に延びる断面凸状のリッジ部Riを形成する。その後、リッジ部Riの形成された半導体層1tの上面に、SiO2 からなる絶縁膜4aを形成する。さらに、リッジ部Riの上面における絶縁膜4aを除去し、露出したリッジ部Ri上にp型オーミック電極621を形成する。
【0114】
続いて、図6(b)に示すように、p型オーミック電極621の上面およびリッジ部Riの両側の絶縁膜4a上にp側パッド電極12,13,14をパターニングして形成する(図2(a)参照)。
【0115】
次に、図6(c)に示すように、絶縁膜4a上およびp側パッド電極12,13,14上の所定の領域に絶縁膜4bをパターニングして形成する(図2(b)参照)。そこで、露出したp側パッド電極13,14の上面にAu−Snからなるはんだ膜Hを形成する。なお、青紫色半導体レーザ素子1のn電極15は後の工程で形成される。
【0116】
一方、図7(d)に示すように、モノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xを作製するために、第2の成長基板であるn−GaAs基板50の一方の面上にAlGaAsからなるエッチングストップ層51を形成し、エッチングストップ層51上にn−GaAsコンタクト層5を形成する。
【0117】
そして、n−GaAsコンタクト層5上にAlGaInP系の積層構造を有する半導体層2tおよびAlGaAs系の積層構造を有する半導体層3tを互いに離間するように形成する。さらに、半導体層2t上にp側パッド電極22を形成し、半導体層3t上にp側パッド電極32を形成する。図では省略しているが、半導体層2tとp側パッド電極22との間および半導体層3tとp側パッド電極32との間には、それぞれp型オーミック電極が形成される。なお、モノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xの共通n電極233は後の工程で形成される。なお、図7(d)では図示しないが、上述のように赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ3にもリッジ部が形成されている。
【0118】
次に、図7(e)に示すように、絶縁膜4a上に形成されたp側パッド電極13と半導体層2t上に形成されたp側パッド電極22とをはんだ膜Hを介して接合するとともに、絶縁膜4a上に形成されたp側パッド電極14と半導体層3t上に形成されたp側パッド電極32とをはんだ膜Hを介して接合して積層基板を形成する。
【0119】
なお、このとき、n−GaN基板1sおよびn−GaAs基板50はともに約300〜500μm程度の厚みを有する。これにより、n−GaN基板1sおよびn−GaAs基板50の取り扱いが容易となり、p側パッド電極13,14へのp側パッド電極22,32の接合が容易に行われる。
【0120】
また、青紫色半導体レーザ素子1のn−GaN基板1sは透明である。n−GaN基板1sは、このn−GaN基板1sを通してモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xを目視することができる透過率および厚みを有する。
【0121】
これにより、p側パッド電極13,14へのp側パッド電極22,32の接合位置をn−GaN基板1sを通して目視により確認することができる。それにより、青紫色半導体レーザ素子1上のモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23X(赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3)の位置決めが容易となる。
【0122】
なお、本実施の形態において、青紫色半導体レーザ素子1の基板はn−GaN基板1sに限らず、他の透光性でかつ導電性の基板を用いてもよい。他の透光性基板として、例えば、n−ZnO基板を用いることができる。この場合、上述のように、青紫色半導体レーザ素子1上のモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xの位置決めが容易となる。
【0123】
ここで、n−GaAs基板50をエッチングまたは研磨等により所定の薄さに加工した後、エッチングストップ層51までエッチングする。
【0124】
例えば、n−GaAs基板50は、初めにn−GaAs基板50を所定の厚みとなるまで研磨し、その後、RIE(Reactive Ion Etching:反応性イオンエッチング)等のドライエッチングにより除去する。
【0125】
そして、エッチングストップ層51をさらに除去する。例えば、エッチングストップ層51は、フッ酸または塩酸からなるエッチング液を用いてウェットエッチングすることにより除去する。
【0126】
その後、図8(f)に示すように、エッチングストップ層51が除去された後、半導体層2t,3tの上方におけるn−GaAsコンタクト層5上の領域およびその間の所定の領域に共通n電極233をパターニングにより形成する。
【0127】
図8(g)に示すように、共通n電極233が形成されていない部分のn−GaAsコンタクト層5をドライエッチングにより除去する。これにより、モノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23X(赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3)が作製される。赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3の構造の詳細は後述する。
【0128】
さらに、n−GaN基板1sを研磨により薄くした後、n−GaN基板1sの下面側に、n電極15を形成する。これにより、青紫色半導体レーザ素子1が作製される。青紫色半導体レーザ素子1の構造の詳細は後述する。
【0129】
最後に、上記のように作製された青紫色半導体レーザ素子1およびモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xからなる積層基板を、Y方向に平行な複数の線に沿ってへき開して、共振器端面を形成する。ここで、Y方向に沿ったへき開は、例えば青紫色半導体レーザ素子1およびモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xのそれぞれの共振器長(X方向)が約700μmとなるように行う。
【0130】
共振器端面に保護膜を形成した後、X方向に平行な複数の線に沿って裁断することにより複数の半導体レーザ装置1000Aのチップに分割する。X方向に沿った積層基板の裁断は、例えば図8(g)の一点鎖線CT1で行う。
【0131】
なお、予め青紫色半導体レーザ素子1のチップおよびモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xのチップを個別に作製し、それらのチップを互いに貼り合わせることにより半導体レーザ装置1000Aを作製してもよい。
【0132】
(f) 青紫色半導体レーザ素子の構造
図9に基づいて青紫色半導体レーザ素子1の構造の詳細について作製方法とともに説明する。
【0133】
図9は青紫色半導体レーザ素子1の構造の詳細を説明するための模式的断面図である。以下の説明においても、図1と同様にX方向、Y方向およびZ方向を定義する。
【0134】
青紫色半導体レーザ素子1の製造時においては、上述のようにn−GaN基板1s上に積層構造を有する半導体層1tが形成される。
【0135】
図9(a)に示すように、n−GaN基板1s上には、積層構造を有する半導体層1tとして、n−GaN層101、n−AlGaNクラッド層102、n−GaN光ガイド層103、MQW(多重量子井戸)活性層104、アンドープAlGaNキャップ層105、アンドープGaN光ガイド層106、p−AlGaNクラッド層107およびアンドープGaInNコンタクト層108が順に形成される。これら各層の形成は、例えば、MOCVD法(有機金属化学気相成長法)により行われる。
【0136】
図9(b)に示すように、MQW活性層104は4つのアンドープGaInN障壁層104aと3つのアンドープGaInN井戸層104bとが、交互に積層された構造を有する。
【0137】
ここで、例えば、n−AlGaNクラッド層102のAl組成は0.15であり、Ga組成は0.85である。n−GaN層101、n−AlGaNクラッド層102およびn−GaN光ガイド層103にはSiがドープされている。
【0138】
また、アンドープGaInN障壁層104aのGa組成は0.95であり、In組成は0.05である。アンドープGaInN井戸層104bのGa組成は0.90であり、In組成は0.10である。p−AlGaNキャップ層105のAl組成は0.30であり、Ga組成は0.70である。
【0139】
さらに、p−AlGaNクラッド層107のAl組成は0.15であり、Ga組成は0.85である。p−AlGaNクラッド層107にはMgがドープされている。アンドープGaInNコンタクト層108のGa組成は0.95であり、In組成は0.05である。
【0140】
上記の半導体層1tのうち、p−AlGaNクラッド層107には、X方向に延びるストライプ状のリッジ部Riが形成される。p−AlGaNクラッド層107のリッジ部Riは約1.5μmの幅を有する。
【0141】
アンドープGaInNコンタクト層108は、p−AlGaNクラッド層107のリッジ部Riの上面に形成される。
【0142】
p−AlGaNクラッド層107およびアンドープGaInNコンタクト層108の上面に、SiO2 からなる絶縁膜4aが形成され、アンドープGaInNコンタクト層108上に形成された絶縁膜4aがエッチングにより除去される。そして、外部に露出したアンドープGaInNコンタクト層108上にPd/Pt/Auからなるp型オーミック電極621が形成される。さらに、p型オーミック電極621および絶縁膜4aの上面を覆うように、スパッタ法、真空蒸着法または電子ビーム蒸着法によりp側パッド電極12が形成される。なお、ここでは図1のp側パッド電極13,14の説明については省略している。
【0143】
このように、n−GaN基板1sの一面側に積層構造を有する半導体層1tが形成される。さらに、n−GaN基板1sの他面側にはTi/Pt/Auからなるn電極15が形成される。
【0144】
この青紫色半導体レーザ素子1では、リッジ部Riの下方におけるMQW活性層104の位置に青紫色発光点11が形成される。なお、本例では、MQW活性層104が図1のpn接合面10に相当する。
【0145】
(g) 赤色半導体レーザ素子の構造
図10に基づいて赤色半導体レーザ素子2の構造の詳細について作製方法とともに説明する。
【0146】
図10はモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xの赤色半導体レーザ素子2の構造の詳細を説明するための模式的断面図である。以下の説明においても、図1と同様にX方向、Y方向およびZ方向を定義する。また、本実施の形態では、赤色半導体レーザ素子2はn−GaAsコンタクト層5上に半導体層2tを形成することにより作製するとしているが、以下の説明では、n−GaAsコンタクト層5に代えてn−GaAs基板5X上に半導体層2tを形成する。このn−GaAs基板5XにはSiがドープされている。
【0147】
図10(a)に示すように、n−GaAs基板5X上には、積層構造を有する半導体層2tとして、n−GaAs層201、n−AlGaInPクラッド層202、アンドープAlGaInP光ガイド層203、MQW活性層204、アンドープAlGaInP光ガイド層205、p−AlGaInP第1クラッド層206、p−InGaPエッチングストップ層207、p−AlGaInP第2クラッド層208およびp−コンタクト層209が順に形成される。これら各層の形成は、例えば、MOCVD法により行われる。
【0148】
図10(b)に示すように、MQW活性層204は2つのアンドープAlGaInP障壁層204aと3つのアンドープInGaP井戸層204bとが、交互に積層された構造を有する。
【0149】
ここで、例えば、n−AlGaInPクラッド層202のAl組成は0.70であり、Ga組成は0.30であり、In組成は0.50であり、P組成は0.50である。n−GaAs層201およびn−AlGaInPクラッド層202にはSiがドープされている。
【0150】
アンドープAlGaInP光ガイド層203のAl組成は0.50であり、Ga組成は0.50であり、In組成は0.50であり、P組成は0.50である。
【0151】
また、アンドープAlGaInP障壁層204aのAl組成は0.50であり、Ga組成は0.50であり、In組成は0.50であり、P組成は0.50である。アンドープInGaP井戸層204bのIn組成は0.50であり、Ga組成は0.50である。アンドープAlGaInP光ガイド層205のAl組成は0.50であり、Ga組成は0.50であり、In組成は0.50であり、P組成は0.50である。
【0152】
さらに、p−AlGaInP第1クラッド層206のAl組成は0.70であり、Ga組成は0.30であり、In組成は0.50であり、P組成は0.50である。p−InGaPエッチングストップ層207のIn組成は0.50であり、Ga組成は0.50である。
【0153】
p−AlGaInP第2クラッド層208のAl組成は0.70であり、Ga組成は0.30であり、In組成は0.50であり、P組成は0.50である。
【0154】
p−コンタクト層209は、p−GaInP層とp−GaAs層との積層構造を有する。このp−GaInPのGa組成は0.5であり、In組成は0.5である。
【0155】
なお、上記したAlGaInP系材料の組成は、一般式(Ala Gab )0.5 Inc Pd で表した時のaがAl組成であり、bがGa組成であり、cがIn組成であり、dがP組成である。
【0156】
p−AlGaInP第1クラッド層206、p−InGaPエッチングストップ層207、p−AlGaInP第2クラッド層208およびp−コンタクト層209のp−GaInPおよびp−GaAsにはZnがドープされている。
【0157】
上記において、p−InGaPエッチングストップ層207上へのp−AlGaInP第2クラッド層208の形成は、p−InGaPエッチングストップ層207の一部(中央部)にのみ行われる。そして、p−AlGaInP第2クラッド層208の上面にp−コンタクト層209が形成される。
【0158】
これにより、上記の半導体層2tのうち、p−AlGaInP第2クラッド層208およびp−コンタクト層209により、X方向に延びるストライプ状のリッジ部Riが形成される。p−AlGaInP第2クラッド層208およびp−コンタクト層209からなるリッジ部Riは約2.5μmの幅を有する。
【0159】
p−InGaPエッチングストップ層207の上面、p−AlGaInP第2クラッド層208の側面ならびにp−コンタクト層209の上面および側面に、SiO2 からなる絶縁膜210が形成され、p−コンタクト層209上に形成された絶縁膜210がエッチングにより除去される。そして、外部に露出したp−コンタクト層209上にCr/Auからなるp型オーミック電極211が形成される。さらに、p型オーミック電極211の上面および絶縁膜210の上面を覆うように、スパッタ法、真空蒸着法または電子ビーム蒸着法によりp側パッド電極22が形成される。
【0160】
このように、n−GaAs基板5Xの一面側に積層構造を有する半導体層2tが形成される。さらに、n−GaAs基板5Xの他面側にはAuGe/Ni/Auからなるn電極23(共通n電極233)が形成される。
【0161】
この赤色半導体レーザ素子2では、リッジ部Riの下方におけるMQW活性層204の位置に赤色発光点21が形成される。なお、本例では、MQW活性層204が図1のpn接合面20に相当する。
【0162】
(h) 赤外半導体レーザ素子の構造
図11に基づいて赤外半導体レーザ素子3の構造の詳細について作製方法とともに説明する。
【0163】
図11はモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xの赤外半導体レーザ素子3の構造の詳細を説明するための模式的断面図である。以下の説明においても、図1と同様にX方向、Y方向およびZ方向を定義する。また、本実施の形態では、赤外半導体レーザ素子3はn−GaAsコンタクト層5上に半導体層3tを形成することにより作製するとしているが、以下の説明では、n−GaAsコンタクト層5に代えてn−GaAs基板5X上に半導体層3tを形成する。このn−GaAs基板5XにはSiがドープされている。
【0164】
図11(a)に示すように、n−GaAs基板5X上には、積層構造を有する半導体層3tとして、n−GaAs層301、n−AlGaAsクラッド層302、アンドープAlGaAs光ガイド層303、MQW活性層304、アンドープAlGaAs光ガイド層305、p−AlGaAs第1クラッド層306、p−AlGaAsエッチングストップ層307、p−AlGaAs第2クラッド層308およびp−GaAsコンタクト層309が順に形成される。これら各層の形成は、例えば、MOCVD法により行われる。
【0165】
図11(b)に示すように、MQW活性層304は2つのアンドープAlGaAs障壁層304aと3つのアンドープAlGaAs井戸層304bとが、交互に積層された構造を有する。
【0166】
ここで、例えば、n−AlGaAsクラッド層302のAl組成は0.45であり、Ga組成は0.55である。n−GaAs層301およびn−AlGaAsクラッド層302にはSiがドープされている。
【0167】
アンドープAlGaAs光ガイド層303のAl組成は0.35であり、Ga組成は0.65である。また、アンドープAlGaAs障壁層304aのAl組成は0.35であり、Ga組成は0.65である。アンドープAlGaAs井戸層304bのAl組成は0.10であり、Ga組成は0.90である。アンドープAlGaAs光ガイド層305のAl組成は0.35であり、Ga組成は0.65である。
【0168】
さらに、p−AlGaAs第1クラッド層306のAl組成は0.45であり、Ga組成は0.55である。p−AlGaAsエッチングストップ層307のAl組成は0.70であり、Ga組成は0.30である。
【0169】
p−AlGaAs第2クラッド層308のAl組成は0.45であり、Ga組成は0.55である。
【0170】
p−AlGaAs第1クラッド層306、p−AlGaAsエッチングストップ層307、p−AlGaAs第2クラッド層308およびp−GaAsコンタクト層309にはZnがドープされている。
【0171】
上記において、p−AlGaAsエッチングストップ層307上へのp−AlGaAs第2クラッド層308の形成は、p−AlGaAsエッチングストップ層307の一部(中央部)にのみ行われる。そして、p−AlGaAs第2クラッド層308の上面にp−GaAsコンタクト層309が形成される。
【0172】
これにより、上記の半導体層3tのうち、p−AlGaAs第2クラッド層308およびp−GaAsコンタクト層309により、X方向に延びるストライプ状のリッジ部Riが形成される。p−AlGaAs第2クラッド層308およびp−GaAsコンタクト層309からなるリッジ部Riは約2.8μmの幅を有する。
【0173】
p−AlGaAsエッチングストップ層307の上面、p−AlGaAs第2クラッド層308の側面ならびにp−GaAsコンタクト層309の上面および側面に、SiNからなる絶縁膜310が形成され、p−GaAsコンタクト層309上に形成された絶縁膜310がエッチングにより除去される。そして、外部に露出したp−GaAsコンタクト層309上にCr/Auからなるp型オーミック電極311が形成される。さらに、p型オーミック電極311の上面および絶縁膜310の上面を覆うように、スパッタ法、真空蒸着法または電子ビーム蒸着法によりp側パッド電極32が形成される。
【0174】
このように、n−GaAs基板5Xの一面側に積層構造を有する半導体層3tが形成される。さらに、n−GaAs基板5Xの他面側にはAuGe/Ni/Auからなるn電極33(共通n電極233)が形成される。
【0175】
この赤外半導体レーザ素子3では、リッジ部Riの下方におけるMQW活性層304の位置に赤外発光点31が形成される。なお、本例では、MQW活性層304が図1のpn接合面30に相当する。
【0176】
(i) 半導体レーザ装置が内蔵された光ピックアップ装置の構成
図12は本実施の形態に係る光ピックアップ装置の構成を示す図である。以下の説明においては、半導体レーザ装置1000Aの青紫色発光点11から出射される波長約405nmのレーザ光を青紫色レーザ光と呼び、赤色発光点21から出射される波長約650nmのレーザ光を赤色レーザ光と呼び、赤外発光点31から出射される波長約780nmのレーザ光を赤外レーザ光と呼ぶ。図12では、青紫色レーザ光が実線で示され、赤外レーザ光が点線で示され、赤色レーザ光が一点鎖線で示されている。
【0177】
図12に示すように、本実施の形態に係る光ピックアップ装置900は、半導体レーザ装置1000Aが実装されたレーザ用略丸型キャンパッケージ500、偏光ビームスプリッタ(以下、偏光BSと略記する。)902、コリメータレンズ903、ビームエキスパンダ904、λ/4板905、対物レンズ906、シリンダレンズ907、光軸補正素子908および2つの光検出器909a,909bを備える。
【0178】
図12においては、矢印X,Y,Zで示すように互いに直交する3方向をX方向、Y方向およびZ方向とする。X方向は再生対象となる光学記録媒体(以下、光ディスクと呼ぶ。)DIに直交する方向である。また、Y方向およびZ方向は、光ディスクDIの一面に平行でかつ互いに直交する方向である。
【0179】
本実施の形態において、半導体レーザ装置1000Aが実装されたレーザ用略丸型キャンパッケージ500は、半導体レーザ装置1000Aの青紫色発光点11、赤色発光点21および赤外発光点31が、Y方向に沿って略直線上に並ぶように配置されている。青紫色発光点11、赤色発光点21および赤外発光点31から出射されるレーザ光の偏光面は互いに平行となっている。
【0180】
上述のように、半導体レーザ装置1000Aの青紫色発光点11は、レーザ用略丸型キャンパッケージ500のYZ平面における略中央部に位置する。
【0181】
本例では、偏光BS902、コリメータレンズ903、ビームエキスパンダ904、λ/4板905および対物レンズ906からなる光学系が青紫色発光点11(レーザ用略丸型キャンパッケージ500の中央部)からX方向に出射される青紫色レーザ光の光軸に沿って順に配置されている。すなわち、偏光BS902から対物レンズ906までの光学系の光軸は青紫色レーザ光の光軸に位置合わせされている。
【0182】
偏光BS902は、半導体レーザ装置1000Aから出射される各レーザ光を全透過するとともに、光ディスクDIから帰還するレーザ光を全反射する。
【0183】
コリメータレンズ903は、偏光BS902を透過した半導体レーザ装置1000Aからの青紫色レーザ光、赤色レーザ光または赤外レーザ光を平行光に変換する。
【0184】
ビームエキスパンダ904は、凹レンズ、凸レンズおよびアクチュエータ(図示せず)から構成されている。アクチュエータは図示しないサーボ回路からのサーボ信号に応じて凹レンズおよび凸レンズの距離を変化させる。これにより、半導体レーザ装置1000Aから出射された各レーザ光の波面状態が補正される。
【0185】
λ/4板905は、コリメータレンズ903によって平行光に変換された直線偏光のレーザ光を円偏光に変換する。また、λ/4板905は光ディスクDIから帰還する円偏光のレーザ光を直線偏光に変換する。この場合の直線偏光の偏光方向は、半導体レーザ装置1000Aから出射されるレーザ光の直線偏光の偏光方向に直交する。それにより、光ディスクDIから帰還するレーザ光は、偏光BS902によってほぼ全反射される。
【0186】
対物レンズ906は、λ/4板905を透過したレーザ光を光ディスクDIの表面(記録層)上に収束させる。
【0187】
なお、対物レンズ906は、サーボ回路からのサーボ信号(トラッキングサーボ信号、フォーカスサーボ信号およびチルトサーボ信号)に応じて図示しない対物レンズアクチュエータにより、フォーカス方向、トラッキング方向およびチルト方向に移動可能である。
【0188】
偏光BS902により全反射されるレーザ光の光軸に沿うようにシリンダレンズ907、光軸補正素子908および光検出器909a,909bが配置されている。
【0189】
シリンダレンズ907は、入射されるレーザ光に非点収差作用を付与する。光軸補正素子908は、回折格子により形成されている。光軸補正素子908は、シリンダレンズ907を透過した青紫色レーザ光(0次回折光)を光検出器909aへ導く。また、光軸補正素子908は、赤外レーザ光(0次回折光)を光検出器909bへ導く。
【0190】
さらに、光軸補正素子908はシリンダレンズ907を透過した赤色レーザ光を回折し、赤色レーザ光(1次回折光)を光検出器909aへ導く。この場合、青紫レーザ光により光検出器909aの受光面に形成される集光スポットの位置と、赤色レーザ光により光検出器909aの受光面に形成される集光スポットの位置とが、一致するように光軸補正素子908が位置決めされる。
【0191】
光検出器909a,909bの各々は、受光したレーザ光の強度分布に基づいて再生信号を出力する。ここで、光検出器909a,909bは再生信号とともに、フォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号およびチルトエラー信号が得られるように所定のパターンの検出領域を有する。フォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号およびチルトエラー信号により、ビームエキスパンダ904のアクチュエータおよび対物レンズアクチュエータがフィードバック制御される。
【0192】
(j) 半導体レーザ装置の構造による光ピックアップ装置の効果
図12に示すように、光ピックアップ装置900において、回折格子により形成された光軸補正素子908には、青紫色レーザ光、赤外レーザ光または赤色レーザ光が入射する。
【0193】
ここで、回折格子において、ある波長の光とその波長のn倍(nは自然数)の波長の光に対する回折作用は同一である。すなわち、回折格子にある波長の光が入射した場合の回折作用と、その波長のn倍の波長の光が入射した場合の回折作用は同一である。
【0194】
青紫色レーザ光は波長約405nmのレーザ光であり、赤外レーザ光は波長約780nmのレーザ光である。これにより、赤外レーザ光は青紫色レーザ光の約2倍の波長を有する。したがって、青紫色レーザ光を回折格子に入射させた場合の回折作用と、赤外レーザ光を回折格子に入射させた場合の回折作用とは、ほぼ同一となる。
【0195】
そのため、青紫色レーザ光と赤外レーザ光とを、共通の回折格子を用いて異なる方向に回折させることはできない。その結果、青紫色レーザ光による集光スポットの位置と、赤外レーザ光による集光スポットの位置とを回折により一致させることはできない。
【0196】
そこで、本実施の形態においては、光軸補正素子908を通過する青紫色レーザ光および赤外レーザ光の各々に対応して光検出器909a,909bを設けている。
【0197】
一方、赤色レーザ光の波長は、青紫色レーザ光および赤外レーザ光の波長のn倍(nは自然数)ではない。したがって、光軸補正素子908は赤色レーザ光について、青紫色レーザ光および赤外レーザ光と異なる回折作用を与えることができる。
【0198】
それにより、光軸補正素子908は赤色レーザ光による集光スポットの位置を容易に青紫色レーザ光および赤外レーザ光による集光スポットの位置に一致させることができる。その結果、青紫色レーザ光および赤色レーザ光を共通の光検出器909aにより受光することができる。
【0199】
このように、本実施の形態に係る光ピックアップ装置900においては、青紫色レーザ光および赤色レーザ光に共通の光検出器909aが用いられている。これにより、青紫色レーザ光、赤色レーザ光および赤外レーザ光のそれぞれに対応して3つの光検出器を設ける必要がないので、光ピックアップ装置900の小型化が実現されている。
【0200】
また、本実施の形態に係る半導体レーザ装置1000Aにおいて、青紫色発光点11、赤外発光点31および赤色発光点21はY方向において順に略直線上に並ぶように配置され、青紫色発光点11および赤外発光点31の間隔が短くなっている。
【0201】
それにより、半導体レーザ装置1000Aを光ピックアップ装置900に内蔵した場合、光ピックアップ装置900内での青紫色レーザ光および赤外レーザ光の光路の間隔が小さくなる。その結果、青紫色レーザ光および赤外レーザ光に対応する2つの光検出器909a,909bを互いに近接して配置することができる。その結果、光ピックアップ装置900における2つの光検出器909a,909bの配置スペースが低減され、光ピックアップ装置900の小型化が実現される。
【0202】
さらに、半導体レーザ装置1000Aにおいて、青紫色発光点11、赤外発光点31および赤色発光点21は、この順でY方向に沿って略直線上に並ぶ。これにより、半導体レーザ装置1000Aを光ピックアップ装置900に用いる場合に光ピックアップ装置900の設計が容易となっている。
【0203】
(k) 光ピックアップ装置の他の構成例
本実施の形態に係る光ピックアップ装置900において、フォーカスエラー信号の生成は、非点収差法を用いて行われる。また、トラッキングエラー信号の生成は、例えばDPD(Differential Phase Detection)法を用いて行われる。
【0204】
上記では、青紫色レーザ光により光検出器909aに形成される集光スポットの位置と、赤色レーザ光により光検出器909aに形成される集光スポットの位置とが、シリンダレンズ907と光検出器909a,909bとの間に配置された光軸補正素子908により一致される。
【0205】
ここで、光軸補正素子908は偏光BS902から対物レンズ906までの光学系に設けてもよい。例えば、光軸補正素子908を半導体レーザ装置1000Aと偏光BS902との間に配置する。この場合においても、青紫色レーザ光により光検出器909aに形成される集光スポットの位置と、赤色レーザ光により光検出器909aに形成される集光スポットの位置とを一致させることができる。
【0206】
さらに、本例では、青紫色レーザ光により光検出器909aに形成される集光スポットの位置と、赤色レーザ光により光検出器909aに形成される集光スポットの位置とを一致させているが、赤色レーザ光を光検出器909bに導き、赤外レーザ光により光検出器909bに形成される集光スポットの位置に、赤色レーザ光により光検出器909bに形成される集光スポットの位置を一致させてもよい。この場合、光検出器909bが赤外レーザ光および赤色レーザ光の共通の光検出器となる。
【0207】
(2) 第2の実施の形態
第2の実施の形態に係る半導体レーザ装置は、以下の点を除き第1の実施の形態に係る半導体レーザ装置1000Aと同様の構造を有する。
【0208】
(a) 半導体レーザ装置の構造
図13は、第2の実施の形態に係る半導体レーザ装置の構造を説明するための模式図である。図13(a)に第2の実施の形態に係る半導体レーザ装置の一例を示す上面図が示され、図13(b)に図13(a)のA2−A2線断面図が示されている。図13においても、図1と同様にX方向、Y方向およびZ方向を定義する。
【0209】
図13(a)および図13(b)に示すように、本実施の形態に係る半導体レーザ装置1000Bの青紫色半導体レーザ素子1においては、p型オーミック電極621および絶縁膜4aの上面全体を覆うように、p側パッド電極12が形成されている。そして、p側パッド電極12上の所定の領域にはんだ膜Hが形成されている。さらに、はんだ膜H上に赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3が一体的に形成されたモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Yが接合されている。
【0210】
ここで、図13のモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Yは、図1のモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xと構造が異なる。図13のモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Yにおいては、赤色半導体レーザ素子2の半導体層2t(図10参照)と、赤外半導体レーザ素子3の半導体層3t(図11参照)とが連結部BRにより連結されている。
【0211】
連結部BRは、赤色半導体レーザ素子2の半導体層2tまたは赤外半導体レーザ素子3の半導体層3tの一部を含んでいてもよい。例えば、連結部BRは赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3において電流の流れを制限する電流狭窄層(例えば、図10および図11の絶縁膜210,310)であってもよいし、p型のコンタクト層であってもよい。
【0212】
これにより、赤色半導体レーザ素子2の半導体層2t、赤外半導体レーザ素子3の半導体層3tおよび連結部BRは互いに連続する平面を有する。そこで、モノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Yにおいては、その連続する平面に共通p側パッド電極232が形成されている。
【0213】
青紫色半導体レーザ素子1上のはんだ膜Hに、モノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Yの共通p側パッド電極232が接合される。ここで、青紫色半導体レーザ素子1とモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Yとの接合は、Y方向において赤外半導体レーザ素子3が赤色半導体レーザ素子2よりも青紫色半導体レーザ素子1のリッジ部Riに近づくように行われる。
【0214】
モノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Yの赤色半導体レーザ素子2において、共通p側パッド電極232と反対側の面にはn電極23が形成されている。また、赤外半導体レーザ素子3において、共通p側パッド電極232と反対側の面にはn電極33が形成されている。
【0215】
(b) レーザ用パッケージへの半導体レーザ装置の実装状態
図14は図13の半導体レーザ装置1000Bを図3のレーザ用略丸型キャンパッケージ500内に実装して蓋体504を外した状態を示す模式的正面図である。図14においても、図1と同様にX方向、Y方向およびZ方向が定義されている。
【0216】
本実施の形態において、レーザ用略丸型キャンパッケージ500の支持部材505上には絶縁性のサブマウント505Zが形成されている。
【0217】
図14に示すように、絶縁性のサブマウント505Z上に融着層505Hを介して図13の半導体レーザ装置1000Bが接着されている。
【0218】
給電ピン501aはワイヤW1を介して半導体レーザ装置1000Bのn電極23(赤色半導体レーザ素子2のn電極23)に接続されている。給電ピン501bはワイヤW2を介してサブマウント505Z上で露出する融着層505Hに接続されている。給電ピン501cはワイヤW3を介して半導体レーザ装置1000Bのn電極33(赤外半導体レーザ素子3のn電極33)に接続されている。
【0219】
一方、青紫色半導体レーザ素子1上で露出するp側パッド電極12と支持部材505とがワイヤW4により電気的に接続されている。
【0220】
ここで、青紫色半導体レーザ素子1上のp側パッド電極12は、モノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Yの共通p側パッド電極232と電気的に接続されている。これにより、青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3のアノードコモンの結線が実現されている。
【0221】
給電ピン501aと給電ピン502との間に電圧を印加することにより赤色半導体レーザ素子2を駆動することができる。給電ピン501bと給電ピン502との間に電圧を印加することにより青紫色半導体レーザ素子1を駆動することができる。給電ピン501cと給電ピン502との間に電圧を印加することにより赤外半導体レーザ素子3を駆動することができる。このように、青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3をそれぞれ独立に駆動することができる。
【0222】
本実施の形態において、Y方向における青紫色発光点11と赤外発光点31との間の間隔は、例えば約110μmに調整される。また、Y方向における赤色発光点21と赤外発光点31との間の間隔は、例えば約40μmに調整される。
【0223】
Y方向における青紫色半導体レーザ素子1の幅は、例えば約400μmである。Y方向におけるモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Yの幅は、例えば約200μmである。
【0224】
(c) 半導体レーザ装置のレーザ用パッケージへの実装状態での効果
本実施の形態においても、サブマウント505Zへの半導体レーザ装置1000Bの接着は、青紫色半導体レーザ素子1の青紫色発光点11が、蓋体504の取り出し窓504a(図3参照)の中央部に位置するように行われる。それにより、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0225】
本実施の形態では、半導体レーザ装置1000Bのレーザ用略丸型キャンパッケージ500への実装時に、給電ピン501a〜501cがワイヤW1〜W3により半導体レーザ装置1000Bの上部で露出するn電極23,33および露出する融着層505Hに接続されている。これにより、半導体レーザ装置1000BについてのワイヤW1〜W3の接続が容易となっている。
【0226】
本実施の形態に係る半導体レーザ装置1000Bを図12の光ピックアップ装置900に用いることができる。これにより、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0227】
なお、図13(b)および図14には図示しないが、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ3にも共通p側パッド電極232の形成箇所に、X方向に延びるストライプ状のリッジ部が形成されている。したがって、それぞれのリッジ部にも図示しないp型オーミック電極が形成されている。
【0228】
本実施の形態においては、予め青紫色半導体レーザ素子1のチップおよびモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Yのチップを個別に作製し、それらのチップを互いに貼り合わせることにより半導体レーザ装置1000Bを作製してもよい。
【0229】
(3) 第3の実施の形態
第3の実施の形態に係る半導体レーザ装置は、以下の点を除き第1の実施の形態に係る半導体レーザ装置1000Aと同様の構造を有する。
【0230】
(a) 半導体レーザ装置の構造
図15は、第3の実施の形態に係る半導体レーザ装置の構造を説明するための模式図である。図15(a)に第3の実施の形態に係る半導体レーザ装置の一例を示す上面図が示され、図15(b)に図15(a)のA3−A3線断面図が示されている。図16は、図15の半導体レーザ装置における青紫色半導体レーザ素子1と赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3との接合面の模式図である。図15および図16においても、図1と同様にX方向、Y方向およびZ方向を定義する。
【0231】
図15(a)および図15(b)に示すように、青紫色半導体レーザ素子1のリッジ部Riは、Y方向における青紫色半導体レーザ素子1の中心から偏った箇所に位置する。そして、青紫色半導体レーザ素子1上で、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3が個別に接合されている。
【0232】
Y方向において、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3は、赤外半導体レーザ素子3が青紫色半導体レーザ素子1の略中心に位置するように、かつ赤色半導体レーザ素子2が赤外半導体レーザ素子3を基準として青紫色半導体レーザ素子1のリッジ部Riの反対側に位置するように、青紫色半導体レーザ素子1上に接合されている。
【0233】
青紫色半導体レーザ素子1と赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3との接合部について説明する。
【0234】
図16(a)に示すように、青紫色半導体レーザ素子1の絶縁膜4a上には、青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3の各々に対応してp側パッド電極12,13,14が形成されている。
【0235】
p側パッド電極12は、青紫色半導体レーザ素子1のリッジ部Riに沿うようにX方向に延びるとともに、その一部がY方向に延びている。
【0236】
p側パッド電極14は、p側パッド電極12に隣接するように形成されている。p側パッド電極14は、青紫色半導体レーザ素子1の略中央部でX方向に延びるとともに、その一部がp側パッド電極12と反対側のY方向に延びている。
【0237】
p側パッド電極13は、p側パッド電極14に隣接するように形成されている。p側パッド電極13は、青紫色半導体レーザ素子1の角部近傍でX方向に延びるとともに、その一部がp側パッド電極12と反対側のY方向に延びている。
【0238】
p側パッド電極12,13,14の各々は、絶縁膜4a上で互いに離間するように形成されている。これにより、p側パッド電極12,13,14の各々は、互いに電気的に分離されている。
【0239】
図16(b)に示すように、絶縁膜4aおよびp側パッド電極12,13,14上に所定のパターンで絶縁膜4bが形成されている。絶縁膜4bは、Y方向に延びるp側パッド電極12,13,14の一端が露出するように形成されている。
【0240】
ここで、p側パッド電極12はp側パッド電極13,14と反対側のY方向に延び、p側パッド電極14,13はp側パッド電極12と反対側のY方向に延びている。したがって、p側パッド電極12の露出部がY方向における青紫色半導体レーザ素子1の一側面側に位置し、p側パッド電極13,14の露出部はY方向における青紫色半導体レーザ素子1の他側面側に位置する。
【0241】
露出するp側パッド電極12,13,14の一端には各半導体レーザ素子を駆動するためのワイヤがボンディングされる。なお、Y方向に延びるp側パッド電極12,13,14の一端の幅約100μmおよび長さ約100μmの領域が露出している。
【0242】
また、絶縁膜4bは、青紫色半導体レーザ素子1の略中央部でX方向に沿ってp側パッド電極14の一部が露出するように形成されている。このp側パッド電極14の露出部には、Au−Snからなるはんだ膜Hが形成されている。
【0243】
さらに、絶縁膜4bは、p側パッド電極13の略中央部が露出するように形成されている。このp側パッド電極13の露出部にも、Au−Snからなるはんだ膜Hが形成されている。
【0244】
そこで、図15に示すように赤色半導体レーザ素子2のp側パッド電極22がはんだ膜Hを介してp側パッド電極13に接合され、赤外半導体レーザ素子3のp側パッド電極32がはんだ膜Hを介してp側パッド電極14に接合される。
【0245】
これにより、赤色半導体レーザ素子2のp側パッド電極22がp側パッド電極13と電気的に接続され、赤外半導体レーザ素子3のp側パッド電極32がp側パッド電極14と電気的に接続される。
【0246】
また、上記では、パターニングされた絶縁膜4b上に赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3が接合されるので、赤外半導体レーザ素子3のp側パッド電極32とp側パッド電極12,13との接触が防止され、赤色半導体レーザ素子2のp側パッド電極22とp側パッド電極14との接触が防止されている。
【0247】
(b) レーザ用パッケージへの半導体レーザ装置の実装状態
図17は図15の半導体レーザ装置1000Cを図3のレーザ用略丸型キャンパッケージ500内に実装して蓋体504を外した状態を示す模式的正面図であり、図18は図15の半導体レーザ装置1000Cを図3のレーザ用略丸型キャンパッケージ500内に実装して蓋体504を外した状態を示す模式的上面図である。なお、図17では、レーザ用略丸型キャンパッケージ500に設けられる半導体レーザ装置1000Cが図15(a)のA3−A3線の断面により示されている。図17および図18においても、図1と同様にX方向、Y方向およびZ方向を定義する。
【0248】
図17および図18に示すように、略丸型キャンパッケージ本体503と一体化された導電性の支持部材505上に第1の実施の形態と同様の導電性のサブマウント505Sが設けられている。
【0249】
サブマウント505S上に融着層505Hを介して図15の半導体レーザ装置1000Cが接着されている。本例においても、サブマウント505Sへの半導体レーザ装置1000Cの接着は、青紫色半導体レーザ素子1の青紫色発光点11が、蓋体504の取り出し窓504a(図3参照)の中央部に位置するように行われる。
【0250】
給電ピン501aはワイヤW1を介して半導体レーザ装置1000Cのp側パッド電極14の一端に接続されている。給電ピン501bはワイヤW2を介して半導体レーザ装置1000Cのp側パッド電極12の一端に接続されている。給電ピン501cはワイヤW3を介して半導体レーザ装置1000Cのp側パッド電極13の一端に接続されている。
【0251】
一方、支持部材505の露出した上面と半導体レーザ装置1000Cのn電極23,33とがワイヤW4a,W4bにより電気的に接続されている。
【0252】
支持部材505はサブマウント505Sおよび融着層505Hを通じて電気的に接続されている。これにより、給電ピン502は青紫色半導体レーザ素子1のn電極15、ならびに赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3のn電極23,33と電気的に接続されている。すなわち、青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3のカソードコモンの結線が実現されている。
【0253】
給電ピン501aと給電ピン502との間に電圧を印加することにより赤外半導体レーザ素子3を駆動することができる。給電ピン501bと給電ピン502との間に電圧を印加することにより青紫色半導体レーザ素子1を駆動することができる。給電ピン501cと給電ピン502との間に電圧を印加することにより赤色半導体レーザ素子2を駆動することができる。このように、青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3をそれぞれ独立に駆動することができる。
【0254】
本実施の形態に係る半導体レーザ装置1000Cにおいては、上述のように、p側パッド電極12,13,14の各々が、互いに電気的に分離されている。それにより、青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3のそれぞれのp側パッド電極12,13,14に、任意の電圧を与えることができる。したがって、青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3の駆動方式を任意に選択することが可能となっている。
【0255】
本実施の形態において、Y方向における青紫色発光点11と赤外発光点31との間の間隔は、例えば約110μmに調整される。また、Y方向における赤色発光点21と赤外発光点31との間の間隔は、例えば約190μmに調整される。
【0256】
Y方向における青紫色半導体レーザ素子1の幅は、例えば約700μmである。Y方向における赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3の各々の幅は、例えば約200μmである。
【0257】
(c) 半導体レーザ装置のレーザ用パッケージへの実装状態での効果
本実施の形態においても、サブマウント505S(融着層505H)への半導体レーザ装置1000Cの接着は、青紫色半導体レーザ素子1の青紫色発光点11が、蓋体504の取り出し窓504a(図3参照)の中央部に位置するように行われる。それにより、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0258】
図15(a)に示すように、本実施の形態に係る半導体レーザ装置1000Cにおいては、Y方向に延びるp側パッド電極13,14の一端が、青紫色半導体レーザ素子1の絶縁膜4a上で、青紫色半導体レーザ素子1と赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3との間を通って、Y方向における赤色半導体レーザ素子2の側面から突出し、露出している。これにより、Y方向に延びるp側パッド電極13,14の露出部がX方向において略直線上に並ぶので、青紫色半導体レーザ素子1のY方向における幅を小さくすることができる。
【0259】
また、Y方向に延びるp側パッド電極13,14の露出部がX方向において略直線上に並ぶことにより、Y方向における青紫色半導体レーザ素子1上の赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3の配置スペースを大きくすることができる。したがって、Y方向における赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3の幅を大きくすることができる。
【0260】
さらに、本実施の形態では、p側パッド電極12がp側パッド電極13,14と反対側のY方向に延びている。そして、Y方向において青紫色半導体レーザ素子1のリッジ部Riに関して、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3と反対側の箇所でp側パッド電極12が露出している。
【0261】
したがって、Y方向において、青紫色発光点11、赤色発光点21および赤外発光点31は、p側パッド電極12,13,14の露出部間に位置する。それにより、ワイヤをボンディンクする箇所がY方向における各発光点間に位置しないので、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3の配置位置を青紫色半導体レーザ素子1のリッジ部Riに近づけることができる。この場合、青紫色発光点11と赤外発光点31との間の間隔を小さくすることができる。
【0262】
p側パッド電極12,13,14の露出部は、ワイヤをボンディングするための所定の大きさが必要とされる。したがって、p側パッド電極12,13,14の露出部を、青紫色半導体レーザ素子1のリッジ部Riと赤外半導体レーザ素子3との間に配置した場合、青紫色発光点11と赤外発光点31との間の間隔を小さくすることができない。
【0263】
本実施の形態に係る半導体レーザ装置1000Cにおいては、青紫色半導体レーザ素子1の絶縁膜4a上でp側パッド電極12,13,14がそれぞれ交差しない。したがって、絶縁膜4a上へのp側パッド電極12,13,14の形成を同時に行うことができる。その結果、製造工程が単純となり、構造が単純となっている。
【0264】
図18に示すように、本例では、半導体レーザ装置1000Cのレーザ光の出射面からp側パッド電極14よりも離れた箇所に位置するp側パッド電極13がワイヤW3を介して、支持部材505に対向する給電ピン501cに接続されている。換言すれば、X方向に並ぶp側パッド電極13,14の露出部のうち、略丸型キャンパッケージ本体503に近いp側パッド電極13と給電ピン501cとがワイヤW3により接続されている。これにより、各p側パッド電極13,14と、各給電ピン501a,501cとの間に接続されるワイヤW1〜W3が交差することが防止される。
【0265】
X方向におけるp側パッド電極13,14の露出部の配置を入れ替えてもよい。この場合、赤外半導体レーザ素子3のp側パッド電極14と給電ピン501cとをワイヤにより接続する。また、赤色半導体レーザ素子2のp側パッド電極13と給電ピン501aとをワイヤにより接続する。
【0266】
本実施の形態に係る半導体レーザ装置1000Cを図12の光ピックアップ装置900に用いることができる。これにより、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0267】
なお、図15(b)および図17には図示しないが、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ3にもp側パッド電極22,32の形成箇所に、X方向に延びるストライプ状のリッジ部が形成されている。したがって、それぞれのリッジ部にも図示しないp型オーミック電極が形成されている。
【0268】
本実施の形態においては、予め青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3のチップを個別に作製し、それらのチップを互いに貼り合わせることにより半導体レーザ装置1000Cを作製してもよい。
【0269】
(4) 第4の実施の形態
第4の実施の形態に係る半導体レーザ装置は、以下の点を除き第1の実施の形態に係る半導体レーザ装置1000Aと同様の構造を有する。
【0270】
(a) 半導体レーザ装置の構造
図19は、第4の実施の形態に係る半導体レーザ装置の構造を説明するための模式図である。図19(a)に第4の実施の形態に係る半導体レーザ装置の一例を示す上面図が示され、図19(b)に図19(a)のA4−A4線断面図が示されている。図20は、図19の半導体レーザ装置における青紫色半導体レーザ素子およびモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子とサブマウントとの接合部の模式図である。図19および図20においても、図1と同様にX方向、Y方向およびZ方向を定義する。
【0271】
図19(a)および図19(b)に示すように、本実施の形態に係る半導体レーザ装置1000Dは、青紫色半導体レーザ素子1、モノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23X、はんだ膜H、3つのp側パッド電極12z,13z,14z、絶縁膜4cおよび絶縁性のサブマウント505Zを含む。
【0272】
本実施の形態において、サブマウント505Zは長方形状を有する板状の部材であり、XY平面に対して平行に配置される。以下の説明では、図19(a)および図19(b)に示すように、X方向におけるサブマウント505Zの一端面をレーザ端面505Xと呼ぶ。
【0273】
図19(b)に示すように、絶縁性のサブマウント505Z上に青紫色半導体レーザ素子1のp側パッド電極12が接合されている。また、絶縁性のサブマウント505Z上でかつY方向における青紫色半導体レーザ素子1の側方にモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xのp側パッド電極22,32が接合されている。
【0274】
すなわち、本実施の形態において、半導体レーザ装置1000Dは、サブマウント505Z上に青紫色半導体レーザ素子1およびモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xの各p側パッド電極が接合されたジャンクションダウン構造を有する。
【0275】
図19(b)では、青紫色半導体レーザ素子1にのみ、リッジ部Riを図示しているが、モノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xの赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3にも同様に、図示しないリッジ部が形成されている。
【0276】
サブマウント505Zと青紫色半導体レーザ素子1およびモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xとの接合部について説明する。
【0277】
図20(a)に示すように、青紫色半導体レーザ素子1の絶縁膜4a上には、青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3の各々に対応してp側パッド電極12z,13z,14zが形成されている。
【0278】
p側パッド電極12zは、Y方向におけるサブマウント505Zの一側方でX方向に延びるように形成されている。p側パッド電極13zは、Y方向におけるサブマウント505Zの他側方でX方向に延びるように形成されている。
【0279】
p側パッド電極14zは、Y方向におけるサブマウント505Zの略中央部でX方向に延びるように、かつ、X方向におけるサブマウント505Zの一端側でY方向に延びるように形成されている。
【0280】
ここで、p側パッド電極12z,13z,14zの各々は、絶縁性のサブマウント505Z上で互いに離間している。これにより、p側パッド電極12z,13z,14zの各々は、互いに電気的に分離されている。
【0281】
図20(b)に示すように、p側パッド電極12z,13z,14z上の所定の領域にはんだ膜Hが形成されている。p側パッド電極12z上のはんだ膜H上には、さらにX方向に延びる絶縁膜4cが形成されている。はんだ膜Hは、p側パッド電極12z,13z,14z上で予め設定された各半導体レーザ素子の接合箇所に応じて形成される。
【0282】
サブマウント505Z上への青紫色半導体レーザ素子1の接合時には、青紫色半導体レーザ素子1がp側パッド電極12z上のはんだ膜H上に位置合わせされ、かつ青紫色半導体レーザ素子1のリッジ部Riが絶縁膜4c上に位置合わせされる。
【0283】
また、サブマウント505Z上へのモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xの接合時には、赤色半導体レーザ素子2がp側パッド電極13z上のはんだ膜H上に位置合わせされ、赤外半導体レーザ素子3がp側パッド電極14z上のはんだ膜H上に位置合わせされる。
【0284】
その結果、サブマウント505Z上では、レーザ端面505X側で青紫色半導体レーザ素子1、赤外半導体レーザ素子3および赤色半導体レーザ素子2がY方向へ順に並ぶように配置される。そして、p側パッド電極12とp側パッド電極12zとの間、p側パッド電極22とp側パッド電極13zとの間、ならびにp側パッド電極32とp側パッド電極14zとの間の各々が互いに電気的に接続される。
【0285】
青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3のp側パッド電極12,22,32は、絶縁性のサブマウント505Z上で互いに電気的に分離されている。
【0286】
ここで、上述のように、青紫色半導体レーザ素子1のリッジ部Riは絶縁膜4c上に位置する。このように、はんだ膜Hとリッジ部Riの形成領域に位置するp側パッド電極12およびp型オーミック電極621との間に絶縁膜4cが配置されることにより、はんだ膜Hとp側パッド電極12およびp型オーミック電極621との合金化が防止される。その結果、青紫色半導体レーザ素子1の半導体層1t(図11参照)におけるコンタクト抵抗の増大が防止される。この絶縁膜4cは、例えばSiO2 からなる。
【0287】
本実施の形態において、Y方向における青紫色発光点11と赤外発光点31との間の間隔は、例えば約110μmに調整される。また、Y方向における赤色発光点21と赤外発光点31との間の間隔は、例えば約190μmに調整される。
【0288】
ここで、図19(b)に示すように、Y方向において、青紫色発光点11は青紫色半導体レーザ素子1の中心よりも赤外発光点31側に位置するように形成されている。このように青紫色発光点11が形成されることにより、青紫色発光点11と赤外発光点31との間の間隔を小さくすることができる。
【0289】
本実施の形態において、X方向に延びる青紫色半導体レーザ素子1の共振器長は、例えば約600μmである。また、X方向に延びるモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xの共振器長は、例えば約1200μmである。
【0290】
(b) レーザ用パッケージへの半導体レーザ装置の実装状態
図21は図19の半導体レーザ装置1000Dを図3のレーザ用略丸型キャンパッケージ500内に実装して蓋体504を外した状態を示す模式的正面図である。図21においても、図1と同様にX方向、Y方向およびZ方向を定義する。
【0291】
図21に示すように、レーザ用略丸型キャンパッケージ500の支持部材505上には、図19の半導体レーザ装置1000Dのサブマウント505Zが設けられている。
【0292】
ここで、サブマウント505Z上へのp側パッド電極12z,13z,14zの形成、およびp側パッド電極12z,13z,14z上への青紫色半導体レーザ素子1およびモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xの接合は、青紫色半導体レーザ素子1の青紫色発光点11が、蓋体504の取り出し窓504a(図3参照)の中央部に位置するように行われる。
【0293】
さらに、半導体レーザ装置1000Dは、サブマウント505Zのレーザ端面505Xがレーザ用略丸型キャンパッケージ500の光出射面側(蓋体504の取り出し窓504a側)に位置するように支持部材505上に配置される。
【0294】
この半導体レーザ装置1000Dにおいては、図19に示すように、Y方向における青紫色半導体レーザ素子1の側方のp側パッド電極12zの露出部にワイヤがボンディングされる。また、Y方向におけるモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xの側方のp側パッド電極13zの露出部にワイヤがボンディングされる。さらに、X方向におけるモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xの一端側のp側パッド電極14zの露出部にワイヤがボンディングされる。
【0295】
給電ピン501aはワイヤW1を介して半導体レーザ装置1000Dのp側パッド電極13zに接続されている。給電ピン501bはワイヤW2を介して半導体レーザ装置1000Dのp側パッド電極12zに接続されている。給電ピン501cはワイヤW3を介して半導体レーザ装置1000Dのp側パッド電極14zに接続されている。
【0296】
一方、支持部材505の露出した上面と半導体レーザ装置1000Dのn電極15および共通n電極233とがワイヤW4a,W4bにより電気的に接続されている。
【0297】
導電性の支持部材505は絶縁性のサブマウント505Zにより、半導体レーザ装置1000Dのp側パッド電極12z、13z、14zと電気的に分離されている。
【0298】
一方、支持部材505は、ワイヤW4a,W4bにより半導体レーザ装置1000Dのn電極15および共通n電極233と電気的に接続されているので、給電ピン502は青紫色半導体レーザ素子1のn電極15およびモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xの共通n電極233と電気的に接続されている。すなわち、青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3のカソードコモンの結線が実現されている。
【0299】
給電ピン501aと給電ピン502との間に電圧を印加することにより赤色半導体レーザ素子2を駆動することができる。給電ピン501bと給電ピン502との間に電圧を印加することにより青紫色半導体レーザ素子1を駆動することができる。給電ピン501cと給電ピン502との間に電圧を印加することにより赤外半導体レーザ素子3を駆動することができる。このように、青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3をそれぞれ独立に駆動することができる。
【0300】
(c) 半導体レーザ装置のレーザ用パッケージへの実装状態での効果
本実施の形態においても、半導体レーザ装置1000Dのレーザ用略丸型キャンパッケージ500への実装は、青紫色半導体レーザ素子1の青紫色発光点11が、蓋体504の取り出し窓504a(図3参照)の中央部に位置するように行われる。それにより、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0301】
本実施の形態では、サブマウント505Z上に形成されるp側パッド電極12z,13z,14zが互いに交差しない。したがって、サブマウント505Z上へのp側パッド電極12z,13z,14zの形成を同時に行うことができる。その結果、製造工程が単純となり、構造が単純となっている。
【0302】
本実施の形態に係る半導体レーザ装置1000Dを図12の光ピックアップ装置900に用いることができる。これにより、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0303】
本実施の形態では、半導体レーザ装置1000Dは、サブマウント505Z上でジャンクションダウン構造を有する。しかしながら、半導体レーザ装置1000Dは、青紫色半導体レーザ素子1およびモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xの各基板の厚みを略同一とし、サブマウント505Z上に青紫色半導体レーザ素子1およびモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子23Xのn電極15および共通n電極233が接合されるジャンクションアップ構造を有してもよい。
【0304】
(5) 第5の実施の形態
第5の実施の形態に係る半導体レーザ装置は、以下の点を除き第1の実施の形態に係る半導体レーザ装置1000Aと同様の構造を有する。
【0305】
(a) 半導体レーザ装置の構造
図22は、第5の実施の形態に係る半導体レーザ装置の構造を説明するための模式図である。図22(a)に第4の実施の形態に係る半導体レーザ装置の一例を示す上面図が示され、図22(b)に図22(a)のA5−A5線断面図が示されている。
【0306】
図22(a)および図22(b)に示すように、本実施の形態に係る半導体レーザ装置1000Eは、青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2、赤外半導体レーザ素子3、はんだ膜H、融着層505Hおよび導電性のサブマウント505Sを含む。
【0307】
本実施の形態において、サブマウント505Sは長方形状を有する板状の部材であり、XY平面に対して平行に配置される。以下の説明では、図22(a)および図22(b)に示すように、X方向におけるサブマウント505Sの一端面をレーザ端面505Xと呼ぶ。
【0308】
図19(b)に示すように、導電性のサブマウント505S(融着層505H)上に青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3のそれぞれのn電極15,23,33が接合されている。
【0309】
すなわち、本実施の形態において、半導体レーザ装置1000Eは、サブマウント505S上に青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3の各n電極が接合されたジャンクションアップ構造を有する。
【0310】
青紫色半導体レーザ素子1の基本構造は、第1の実施の形態において用いられる青紫色半導体レーザ素子1と同じである。図22において、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3は、以下の構造を有する。
【0311】
図22(a)および図22(b)に示すように、赤色半導体レーザ素子2の上面にはX方向に延びるストライプ状のリッジ部Riが形成されている。リッジ部Riの側面およびリッジ部Riの両側には赤色半導体レーザ素子2の上面を覆うように絶縁膜4dが形成されている。リッジ部Riの上面にはp型オーミック電極621bが形成されている。p型オーミック電極621bの上面およびリッジ部Ri周辺の絶縁膜4dを覆うようにp側パッド電極22が形成されている。
【0312】
赤外半導体レーザ素子3は、上記の赤色半導体レーザ素子2と同様に絶縁膜4dを含む。赤外半導体レーザ素子3のリッジ部Riの上面にはp型オーミック電極621cが形成されている。
【0313】
サブマウント505S(融着層505H)上の青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3の接合部には、はんだ膜Hが形成されている。これにより、各半導体レーザ素子のn電極が互いに電気的に接続されている。
【0314】
ここで、融着層505H上では、青紫色半導体レーザ素子1、赤外半導体レーザ素子3および赤色半導体レーザ素子2がレーザ端面505X側でY方向に順に並ぶように配置されている。
【0315】
本実施の形態において、Y方向における青紫色発光点11と赤外発光点31との間の間隔は、例えば約110μmに調整される。また、Y方向における赤色発光点21と赤外発光点31との間の間隔は、例えば約400μmに調整される。
【0316】
ここで、図22(b)に示すように、Y方向において、青紫色発光点11は青紫色半導体レーザ素子1の中心よりも赤外発光点31側に位置するように形成されている。また、Y方向において、赤外発光点31は赤外半導体レーザ素子3の中心よりも青紫色発光点11側に位置するように形成されている。さらに、Y方向において、赤色発光点21は赤色半導体レーザ素子2の中心よりも赤外発光点31側に位置するように形成されている。
【0317】
このように青紫色発光点11および赤外発光点31が形成されることにより、青紫色発光点11と赤外発光点31との間の間隔を小さくすることができる。
【0318】
本実施の形態において、X方向に延びる青紫色半導体レーザ素子1の共振器長は、例えば約800μmである。また、X方向に延びる赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3の共振器長は、例えば約1200μmである。
【0319】
(b) レーザ用パッケージへの半導体レーザ装置の実装状態
図23は図22の半導体レーザ装置1000Eを図3のレーザ用略丸型キャンパッケージ500内に実装して蓋体504を外した状態を示す模式的正面図である。図23においても、図1と同様にX方向、Y方向およびZ方向を定義する。
【0320】
図23に示すように、レーザ用略丸型キャンパッケージ500の支持部材505上には、半導体レーザ装置1000Dのサブマウント505Sが設けられている。
【0321】
ここで、サブマウント505S上の融着層505Hへの青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3の接合は、青紫色半導体レーザ素子1の青紫色発光点11が、蓋体504の取り出し窓504a(図3参照)の中央部に位置するように行われる。
【0322】
さらに、半導体レーザ装置1000Eは、サブマウント505Sのレーザ端面505Xがレーザ用略丸型キャンパッケージ500の光出射面側(蓋体504の取り出し窓504a側)に位置するように支持部材505上に配置される。
【0323】
給電ピン501aはワイヤW1を介して半導体レーザ装置1000Eのp側パッド電極22の一端に接続されている。給電ピン501bはワイヤW2を介して半導体レーザ装置1000Eのp側パッド電極12の一端に接続されている。給電ピン501cはワイヤW3を介して半導体レーザ装置1000Eのp側パッド電極33の一端に接続されている。
【0324】
支持部材505はサブマウント505S、融着層505Hおよびはんだ膜Hを通じてn電極15,23,33と電気的に接続されている。これにより、給電ピン502は青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3のn電極15,23,33と電気的に接続されている。すなわち、青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3のカソードコモンの結線が実現されている。
【0325】
給電ピン501aと給電ピン502との間に電圧を印加することにより赤色半導体レーザ素子2を駆動することができる。給電ピン501bと給電ピン502との間に電圧を印加することにより青紫色半導体レーザ素子1を駆動することができる。給電ピン501cと給電ピン502との間に電圧を印加することにより赤外半導体レーザ素子3を駆動することができる。このように、青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3をそれぞれ独立に駆動することができる。
【0326】
(c) 半導体レーザ装置のレーザ用パッケージへの実装状態での効果
本実施の形態においても、半導体レーザ装置1000Eのレーザ用略丸型キャンパッケージ500への実装は、青紫色半導体レーザ素子1の青紫色発光点11が、蓋体504の取り出し窓504a(図3参照)の中央部に位置するように行われる。それにより、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0327】
本実施の形態に係る半導体レーザ装置1000Eを図12の光ピックアップ装置900に用いることができる。これにより、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0328】
本実施の形態では、半導体レーザ装置1000Eは、サブマウント505S上でジャンクションアップ構造を有する。しかしながら、半導体レーザ装置1000Eは、青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3の各基板の厚みを略同一とし、サブマウント505S上に青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3のp側パッド電極12,22,32が接合されるジャンクションダウン構造を有してもよい。
【0329】
(6) 特許請求の範囲との対応関係
上記第1〜第5の実施の形態においては、X方向が第1の方向に相当し、波長約405nmのレーザ光および青紫色レーザ光が第1の波長の光に相当し、青紫色発光点11が第1の発光点に相当し、青紫色半導体レーザ素子1が第1の半導体レーザ素子に相当し、波長約650nmのレーザ光および赤色レーザ光が第2の波長の光に相当し、赤色発光点21が第2の発光点に相当し、赤色半導体レーザ素子2が第2の半導体レーザ素子に相当し、波長約780nmのレーザ光および赤外レーザ光が第3の波長の光に相当し、赤外発光点31が第3の発光点に相当し、赤外半導体レーザ素子3が第3の半導体レーザ素子に相当し、YZ平面が第1の方向に直交する第1の面に相当する。
【0330】
また、Y方向が第2の方向に相当し、n−GaN基板1sが第1の基板に相当し、半導体層1tが第1の半導体層に相当し、p側パッド電極12が第1の電極に相当し、半導体層2tが第2の半導体層に相当し、p側パッド電極22が第2の電極に相当し、半導体層3tが第3の半導体層に相当し、p側パッド電極32が第3の電極に相当し、絶縁膜4aが絶縁層に相当する。
【0331】
さらに、光ディスクDIが光学記録媒体に相当し、光検出器909aが第1の光検出器に相当し、光検出器909bが第2の光検出器に相当し、偏光BS902、コリメータレンズ903、ビームエキスパンダ904、λ/4板905、対物レンズ906、シリンダレンズ907および光軸補正素子908が光学系に相当し、光軸補正素子908が回折格子に相当する。
【0332】
上記第1〜第5の実施形態では、レーザ用略丸型キャンパッケージへ半導体レーザ装置を実装する例を示したが、本発明はこれに限らず、フレーム型のレーザ用パッケージなどの他のパッケージへ半導体レーザ装置を実装する場合にも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0333】
本発明に係る半導体レーザ装置および光ピックアップ装置は、複数種類の光学記録媒体の記録および再生を行うことが可能な光学記録媒体駆動装置およびその製造に有効に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0334】
【図1】第1の実施の形態に係る半導体レーザ装置の構造を説明するための模式図である。
【図2】図1の半導体レーザ装置における青紫色半導体レーザ素子と赤色半導体レーザ素子および赤外半導体レーザ素子との接合面の模式図である。
【図3】図1の半導体レーザ装置が実装されたレーザ用略丸型キャンパッケージの外観斜視図である。
【図4】図3のレーザ用略丸型キャンパッケージの蓋体を外した状態を示す模式的正面図である。
【図5】半導体レーザ装置の蓋体を外した状態を示す模式的上面図である。
【図6】第1の実施の形態に係る半導体レーザ装置の製造方法の一例を示す模式的工程断面図である。
【図7】第1の実施の形態に係る半導体レーザ装置の製造方法の一例を示す模式的工程断面図である。
【図8】第1の実施の形態に係る半導体レーザ装置の製造方法の一例を示す模式的工程断面図である。
【図9】青紫色半導体レーザ素子の構造の詳細を説明するための模式的断面図である。
【図10】モノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子の赤色半導体レーザ素子の構造の詳細を説明するための模式的断面図である。
【図11】モノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子の赤外半導体レーザ素子の構造の詳細を説明するための模式的断面図である。
【図12】本実施の形態に係る光ピックアップ装置の構成を示す図である。
【図13】第2の実施の形態に係る半導体レーザ装置の構造を説明するための模式図である。
【図14】図13の半導体レーザ装置を図3のレーザ用略丸型キャンパッケージ内に実装して蓋体を外した状態を示す模式的正面図である。
【図15】第3の実施の形態に係る半導体レーザ装置の構造を説明するための模式図である。
【図16】図15の半導体レーザ装置における青紫色半導体レーザ素子と赤色半導体レーザ素子および赤外半導体レーザ素子との接合面の模式図である。
【図17】図15の半導体レーザ装置を図3のレーザ用略丸型キャンパッケージ内に実装して蓋体を外した状態を示す模式的正面図である。
【図18】図15の半導体レーザ装置を図3のレーザ用略丸型キャンパッケージ内に実装して蓋体を外した状態を示す模式的上面図である。
【図19】第4の実施の形態に係る半導体レーザ装置の構造を説明するための模式図である。
【図20】図19の半導体レーザ装置における青紫色半導体レーザ素子およびモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子とサブマウントとの接合部の模式図である。
【図21】図19の半導体レーザ装置を図3のレーザ用略丸型キャンパッケージ内に実装して蓋体を外した状態を示す模式的正面図である。
【図22】第5の実施の形態に係る半導体レーザ装置の構造を説明するための模式図である。
【図23】図22の半導体レーザ装置を図3のレーザ用略丸型キャンパッケージ内に実装して蓋体を外した状態を示す模式的正面図である。
【符号の説明】
【0335】
1 青紫色半導体レーザ素子
1s n−GaN基板
1t 半導体層
2 赤色半導体レーザ素子
2t 半導体層
3 赤外半導体レーザ素子
3t 半導体層
4a 絶縁膜
11 青紫色発光点
12 p側パッド電極
21 赤色発光点
22 p側パッド電極
31 赤外発光点
32 p側パッド電極
505S,505Z サブマウント
900 光ピックアップ装置
909a,909b 光検出器
902 偏光BS
903 コリメータレンズ
904 ビームエキスパンダ
905 λ/4板
906 対物レンズ
907 シリンダレンズ
908 光軸補正素子
1000A〜1000E 半導体レーザ装置
BR 連結部
DI 光ディスク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向と略平行な方向に第1の波長の光を出射する第1の発光点と、前記第1の発光点を有する第1の半導体層と、前記第1の半導体層上に形成される第1の電極とを有する第1の半導体レーザ素子と、
第1の方向と略平行な方向に第2の波長の光を出射する第2の発光点と、前記第2の発光点を有する第2の半導体層と、前記第2の半導体層上に形成される第2の電極とを有する第2の半導体レーザ素子と、
第1の方向と略平行な方向に第3の波長の光を出射する第3の発光点と、前記第3の発光点を備える第3の半導体層と、前記第3の半導体層上に形成される第3の電極とを有する第3の半導体レーザ素子と、
前記第1、第2及び第3の半導体レーザ素子が一面上に設置されるサブマウントとを備え、
前記サブマウントの前記一面上の第2の方向における一側方に、第1のパッド電極が形成され、
前記サブマウントの前記一面上の第2の方向における他側方に、第2のパッド電極が形成され、
前記サブマウントの前記一面上の第2の方向における略中央部に、第3のパッド電極が形成され、
前記第1のパッド電極と前記第2のパッド電極と前記第3のパッド電極は、前記サブマウントの前記一面上で互いに離間されて配置されることにより、互いに電気的に分離されており、
前記第1の半導体レーザ素子の前記第1の電極は、前記第1のパッド電極上に接合され、
前記第2の半導体レーザ素子の前記第2の電極は、前記第2のパッド電極上に接合され、
前記第3の半導体レーザ素子の前記第3の電極は、前記第3のパッド電極上に接合され、
前記第2の方向における前記第1の半導体レーザ素子の一側方の前記第1のパッド電極にワイヤがボンディングされ、
前記第2の方向における前記第2の半導体レーザ素子の他側方の前記第2のパッド電極にワイヤがボンディングされることを特徴とする半導体レーザ装置。
【請求項2】
前記第2の波長は、前記第1の波長の自然数倍と異なり、
前記第3の波長は、前記第1の波長の略自然数倍であることを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ装置。
【請求項3】
第1の方向と略平行な方向に第1の波長の光を出射する第1の発光点と、前記第1の発光点を有する第1の半導体層と、前記第1の半導体層上に形成される第1の電極とを有する第1の半導体レーザ素子と、
第1の方向と略平行な方向に前記第1の波長の自然数倍と異なる第2の波長の光を出射する第2の発光点と、前記第2の発光点を有する第2の半導体層と、前記第2の半導体層上に形成される第2の電極とを有する第2の半導体レーザ素子と、
第1の方向と略平行な方向に前記第1の波長の略自然数倍の第3の波長の光を出射する第3の発光点と、前記第3の発光点を備える第3の半導体層と、前記第3の半導体層上に形成される第3の電極とを有する第3の半導体レーザ素子と、
前記第1、第2及び第3の半導体レーザ素子が一面上に設置されるサブマウントとを備え、
前記サブマウントの前記一面上の第2の方向における一側方に、第1のパッド電極が形成され、
前記サブマウントの前記一面上の第2の方向における他側方に、第2のパッド電極が形成され、
前記サブマウントの前記一面上の第2の方向における略中央部に、第3のパッド電極が形成され、
前記第1のパッド電極と前記第2のパッド電極と前記第3のパッド電極は、前記サブマウントの前記一面上で互いに離間されて配置されることにより、互いに電気的に分離されており、
前記第1の半導体レーザ素子の前記第1の電極は、前記第1のパッド電極上に接合され、
前記第2の半導体レーザ素子の前記第2の電極は、前記第2のパッド電極上に接合され、
前記第3の半導体レーザ素子の前記第3の電極は、前記第3のパッド電極上に接合されることを特徴とする半導体レーザ装置。
【請求項4】
前記第1の方向における前記第3の半導体レーザ素子の出射面と反対側の前記第3のパッド電極の露出部にワイヤがボンディングされることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
【請求項5】
前記第3のパッド電極は、前記第2の方向における前記サブマウントの前記一面の略中央部で前記第1の方向に延びるように、かつ、前記第1の方向における前記サブマウントの前記一面の出射面と反対側で前記第2の方向に延びるように形成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に半導体レーザ装置。
【請求項6】
前記第1の半導体レーザ素子は、第1の基板上に形成され、
前記第2の半導体レーザ素子及び前記第3の半導体レーザ素子は、共通の第2の基板上に形成され、
前記第1の基板と前記第2の基板とは材料が異なっていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
【請求項7】
前記第1、第2及び第3の半導体レーザ素子は、ジャンクションダウン構造でそれぞれ前記第1、第2及び第3のパッド電極上に接合されていることを特徴とする請求項6に記載の半導体レーザ装置。
【請求項8】
光学記録媒体に光を照射し、その光学記録媒体から帰還する光を検出する光ピックアップ装置であって、
請求項1〜7のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置を備えることを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項9】
第1および第2の光検出器と、
前記半導体レーザ装置から出射される前記第1、第2または第3の波長の光を前記光学記録媒体に導くとともに、前記光学記録媒体から帰還する前記第1、第2または第3の波長の光を前記第1または第2の光検出器に導く光学系とをさらに備えることを特徴とする請求項8に記載の光ピックアップ装置。
【請求項10】
前記光学系は、
前記第1および第3の波長の光をそれぞれ前記第1および第2の光検出器に導き、前記第2の波長の光を前記第1および第2の光検出器の一方に導くように、前記第1、第2および第3の波長の光を透過する回折格子を含むことを特徴とする請求項9に記載の光ピックアップ装置。
【請求項1】
第1の方向と略平行な方向に第1の波長の光を出射する第1の発光点と、前記第1の発光点を有する第1の半導体層と、前記第1の半導体層上に形成される第1の電極とを有する第1の半導体レーザ素子と、
第1の方向と略平行な方向に第2の波長の光を出射する第2の発光点と、前記第2の発光点を有する第2の半導体層と、前記第2の半導体層上に形成される第2の電極とを有する第2の半導体レーザ素子と、
第1の方向と略平行な方向に第3の波長の光を出射する第3の発光点と、前記第3の発光点を備える第3の半導体層と、前記第3の半導体層上に形成される第3の電極とを有する第3の半導体レーザ素子と、
前記第1、第2及び第3の半導体レーザ素子が一面上に設置されるサブマウントとを備え、
前記サブマウントの前記一面上の第2の方向における一側方に、第1のパッド電極が形成され、
前記サブマウントの前記一面上の第2の方向における他側方に、第2のパッド電極が形成され、
前記サブマウントの前記一面上の第2の方向における略中央部に、第3のパッド電極が形成され、
前記第1のパッド電極と前記第2のパッド電極と前記第3のパッド電極は、前記サブマウントの前記一面上で互いに離間されて配置されることにより、互いに電気的に分離されており、
前記第1の半導体レーザ素子の前記第1の電極は、前記第1のパッド電極上に接合され、
前記第2の半導体レーザ素子の前記第2の電極は、前記第2のパッド電極上に接合され、
前記第3の半導体レーザ素子の前記第3の電極は、前記第3のパッド電極上に接合され、
前記第2の方向における前記第1の半導体レーザ素子の一側方の前記第1のパッド電極にワイヤがボンディングされ、
前記第2の方向における前記第2の半導体レーザ素子の他側方の前記第2のパッド電極にワイヤがボンディングされることを特徴とする半導体レーザ装置。
【請求項2】
前記第2の波長は、前記第1の波長の自然数倍と異なり、
前記第3の波長は、前記第1の波長の略自然数倍であることを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ装置。
【請求項3】
第1の方向と略平行な方向に第1の波長の光を出射する第1の発光点と、前記第1の発光点を有する第1の半導体層と、前記第1の半導体層上に形成される第1の電極とを有する第1の半導体レーザ素子と、
第1の方向と略平行な方向に前記第1の波長の自然数倍と異なる第2の波長の光を出射する第2の発光点と、前記第2の発光点を有する第2の半導体層と、前記第2の半導体層上に形成される第2の電極とを有する第2の半導体レーザ素子と、
第1の方向と略平行な方向に前記第1の波長の略自然数倍の第3の波長の光を出射する第3の発光点と、前記第3の発光点を備える第3の半導体層と、前記第3の半導体層上に形成される第3の電極とを有する第3の半導体レーザ素子と、
前記第1、第2及び第3の半導体レーザ素子が一面上に設置されるサブマウントとを備え、
前記サブマウントの前記一面上の第2の方向における一側方に、第1のパッド電極が形成され、
前記サブマウントの前記一面上の第2の方向における他側方に、第2のパッド電極が形成され、
前記サブマウントの前記一面上の第2の方向における略中央部に、第3のパッド電極が形成され、
前記第1のパッド電極と前記第2のパッド電極と前記第3のパッド電極は、前記サブマウントの前記一面上で互いに離間されて配置されることにより、互いに電気的に分離されており、
前記第1の半導体レーザ素子の前記第1の電極は、前記第1のパッド電極上に接合され、
前記第2の半導体レーザ素子の前記第2の電極は、前記第2のパッド電極上に接合され、
前記第3の半導体レーザ素子の前記第3の電極は、前記第3のパッド電極上に接合されることを特徴とする半導体レーザ装置。
【請求項4】
前記第1の方向における前記第3の半導体レーザ素子の出射面と反対側の前記第3のパッド電極の露出部にワイヤがボンディングされることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
【請求項5】
前記第3のパッド電極は、前記第2の方向における前記サブマウントの前記一面の略中央部で前記第1の方向に延びるように、かつ、前記第1の方向における前記サブマウントの前記一面の出射面と反対側で前記第2の方向に延びるように形成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に半導体レーザ装置。
【請求項6】
前記第1の半導体レーザ素子は、第1の基板上に形成され、
前記第2の半導体レーザ素子及び前記第3の半導体レーザ素子は、共通の第2の基板上に形成され、
前記第1の基板と前記第2の基板とは材料が異なっていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
【請求項7】
前記第1、第2及び第3の半導体レーザ素子は、ジャンクションダウン構造でそれぞれ前記第1、第2及び第3のパッド電極上に接合されていることを特徴とする請求項6に記載の半導体レーザ装置。
【請求項8】
光学記録媒体に光を照射し、その光学記録媒体から帰還する光を検出する光ピックアップ装置であって、
請求項1〜7のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置を備えることを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項9】
第1および第2の光検出器と、
前記半導体レーザ装置から出射される前記第1、第2または第3の波長の光を前記光学記録媒体に導くとともに、前記光学記録媒体から帰還する前記第1、第2または第3の波長の光を前記第1または第2の光検出器に導く光学系とをさらに備えることを特徴とする請求項8に記載の光ピックアップ装置。
【請求項10】
前記光学系は、
前記第1および第3の波長の光をそれぞれ前記第1および第2の光検出器に導き、前記第2の波長の光を前記第1および第2の光検出器の一方に導くように、前記第1、第2および第3の波長の光を透過する回折格子を含むことを特徴とする請求項9に記載の光ピックアップ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2010−258467(P2010−258467A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−144904(P2010−144904)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【分割の表示】特願2005−89784(P2005−89784)の分割
【原出願日】平成17年3月25日(2005.3.25)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【分割の表示】特願2005−89784(P2005−89784)の分割
【原出願日】平成17年3月25日(2005.3.25)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
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