説明

半導体受光素子、半導体受光素子を備えた光ピックアップ装置

【課題】本発明の目的は、波長の異なる複数の光を効率良く受光することのできる半導体受光素子、当該半導体受光素子を備えた光ピックアップ装置を提供することである。
【解決手段】本発明の半導体受光素子、半導体受光素子を備えた光ピックアップ装置は、同一半導体基板上に形成され、それぞれ異なる複数の波長に対応したフォトダイオードを有する半導体受光素子、半導体受光素子を備えたピックアップ装置である。特に、本発明の半導体受光素子においては、異なる複数の波長に対応したフォトダイオードそれぞれの受光面上に、最適化された積層構成を有する反射防止膜が一体形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトダイオード、若しくはフォトダイオードICを有する半導体受光素子に関し、特に、光ピックアップ装置に搭載されて複数の異なる波長の光を受光する半導体受光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、映像や音楽を再生するDVDプレーヤー、DVD−ROMや記録が可能なDVDレコーダー、およびDVD記録ドライブの光ピックアップ装置は、図1に示すように、DVDに対応し、波長が655nm程度のDVD用赤色半導体レーザ2と、CDに対応し、波長が780nm程度のCD用近赤外半導体レーザ1とを備えている。また、上記光ピックアップ装置は、DVD、およびCD用それぞれの半導体レーザから出力され、情報の記録されている当該DVD、およびCDのディスク表層部で変調されて戻ってくる反射光を受光するための、赤色光、および近赤外光用のフォトダイオード(以下、PDと記載)を有する光半導体素子を備えている。上記光半導体素子は、PDと、電流信号を電圧信号に変換し、増幅、信号演算を行うICとを1つの半導体基板上に集積したフォトダイオードIC(PDIC)として形成されるのが一般的である。また、PDの形状は、当該光半導体素子が搭載される光ピックアップ装置のフォーカス、トラッキング機能を得るためにCDプレーヤのような1波長の半導体レーザのみを使用している装置においても、図1に示すように複数に分割されている。
【0003】
PDICは、図2に示されるように、n型シリコン4を母材料として形成されており、PD部分5、6は、PN接合を持った光−電流変換素子である。PD部分の受光面上部には、シリコン酸化膜8とシリコン窒化膜9とによる反射防止膜が積層され、DVDおよびCDからの反射光の信号変換効率を高める設計がされている。2つの異なった波長の光に対応する反射防止膜を1つの膜構成で実現する場合、当該反射防止膜の膜厚設計値を、2つの異なった波長の光のうち、いずれか一方の波長に対する最適値からずらさざるを得ない。しかしながら、DVDとCD(655nmと780nm)の2波長の場合、いずれの効率の実用範囲に収めることのできる膜厚設計値が存在しており、この値で設計することにより、2つの波長のレーザ光に基づく反射光を効率良く受光していた。
【0004】
ところが近年、青色(405nm)のレーザの実用化が実現し、Blu−ray、HD−DVDといった青色レーザを用いたさらなる大容量光ディスクが製品化されてきた。現在、実用化されている製品では、1つのドライブに光ピックアップ装置を2つ(CD/DVD用とBlu−ray用)搭載したり、ドライブ自体を2つ(CD/DVD用とBlu−ray用)搭載しているため青色レーザ光は専用のPDICで受光している。しかし、今後は製品の小型化および低価格化のために、405nm/655nm/780nmの3波長を1つの光ピクアップ装置で処理することが求められる。このため、1つのPDICでこれら3波長を受光し、いずれの波長においても十分な変換効率を得る必要性がある。このため、従来の反射膜構造では、全ての波長において高い受光効率を実現することが困難となる。
【0005】
上記した技術に関連して、以下に示すような提案がなされている。
【0006】
特開2001−307361に開示されている「光ピックアップ装置」では、同一光軸上に位置していない発光点からレーザ光を出射する第1および第2の光源と、これらの光源から出射された第1および第2のレーザ光を光記録媒体の記録面に収束させる対物レンズと、記録面で反射された第1および第2のレーザ光の戻り光を受光する共通受光素子とを有する光ピックアップ装置において、共通受光素子は、第1のレーザ光の戻り光を受光する第1の受光面と、第2のレーザ光の戻り光を受光する第2の受光面とを備える光ピックアップ装置が提案されている。
【0007】
また、特開2001−307362に開示されている「光ピックアップ装置」では、レーザー波長の異なる第1レーザー素子及び第2レーザー素子から出射される各レーザービームを選択的に単一の対物レンズに入射して異種の第1記録媒体及び第2記録媒体の信号読み取りを行う光ピックアップ装置であって、第1レーザー素子から出射されて第1記録媒体で変調されるレーザービームを受光する第1受光部と第2レーザー素子から出射されて第2記録媒体で変調されるレーザービームを受光する第2受光部とが同一半導体基板上に形成される光検出器を備え、第1受光部と第2受光部とで所定の受光出力において光検出器の同一の出力端子を共用するべく第1受光部及び第2受光部の所定の受光出力を同一の出力端子から選択的に導出するようにしたことを特徴とする光ピックアップ装置が提案されている。
【0008】
また、特開2002−118281に開示されている「多波長用光ピックアップ装置」では、レーザ光を出射する発光素子と、レーザ光を光ディスク媒体に結像する結像光学系と、レーザ光を受光して電流に変換する受光素子と、受光素子で受光した光電流を増幅するアンプ回路とを有する光ピックアップ装置において、CD用に700〜800nmの波長のレーザ光を出射する第1の発光素子と、DVD用に600〜700nmの波長のレーザ光を出射する第2の発光素子と、高密度DVD用に500nm以下の波長のレーザ光を出射する第3の発光素子と、第1の発光素子に対応する第1の受光素子と、第2の発光素子に対応する第2の受光素子と、第3の発光素子に対応する第3の受光素子とを有し、第1と第2と第3の受光素子の何れか2つ、或いは全てが同一Si基板上に集積され、少なくとも集積された受光素子は、一方の電極が埋め込み層及びコンタクトホールを介して、基板表面から取り出され、それぞれの埋め込み層の深さが異なる光ピックアップ装置が提案されている。
【0009】
【特許文献1】特開2001−307361
【特許文献2】特開2001−307362
【特許文献3】特開2002−118281
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、波長の異なる複数の光を効率良く受光することのできる単一の半導体受光素子、当該半導体受光素子を備えた光ピックアップ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下に、発明を実施するための最良の形態・実施例で使用される符号を括弧付きで用いて、課題を解決するための手段を記載する。この符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための最良の形態・実施例の記載との対応を明らかにするために付加されたものであり、特許請求の範囲に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0012】
本発明の半導体受光素子は、半導体基板(4)と、半導体基板上に形成され、それぞれ異なる複数の波長の光に対応した複数のフォトダイオード(1、2、3)と、複数のフォトダイオード毎に設けられた反射防止膜(8、9、10)とを備え、複数のフォトダイオードのなかで、少なくともひとつのフォトダイオードの反射防止膜の構造が、他のいずれかのフォトダイオードの反射防止膜の構造と異なる。
【0013】
また、本発明の半導体受光素子における複数のフォトダイオードは、青色(400nm帯)の光に対応する青色フォトダイオード(3)と、赤色(600nm帯)の光に対応する赤色フォトダイオード(2)と、近赤外(700nm帯)の光に対応する近赤外フォトダイオード(1)とを備える。
【0014】
また、本発明の半導体受光素子における赤色フォトダイオード(2)と近赤外フォトダイオード(1)との受光面上に形成される反射防止膜は、受光面の上に形成されるシリコン酸化膜(8)と、シリコン酸化膜の上に形成されるシリコン窒化膜(9)との2層構造を有し、青色フォトダイオード(3)の受光面上に形成される反射防止膜は、受光面の上に形成されるシリコン酸化膜(8)と、シリコン酸化膜の上に形成されるシリコン窒化膜(9)と、シリコン窒化膜の上に形成されるシリコン酸化窒化膜(10)との3層構造を有する。
【0015】
また、本発明の半導体受光素子において、特に、シリコン酸化窒化膜(10)の膜厚は、35nm〜80nmに設定される。
【0016】
また、本発明の半導体受光素子には、赤色フォトダイオード(2)と近赤外フォトダイオード(1)と青色フォトダイオード(3)とで生成される電流信号を電圧信号に変換し、増幅、信号演算を行うICが集積されている。
【0017】
また、本発明の光ピックアップ装置は、請求項1から5までのいずれか一項に記載の半導体受光素子と、半導体受光素子の対応する、それぞれ異なる波長の光を出力するための発光部と、それぞれ異なる波長の光を、CDおよびDVDディスクなどの情報記憶媒体に入射させるための第1光学系と、情報記憶媒体で反射された反射光を半導体受光素子に出力するための第2光学系と、半導体素子により取得された、フォーカシング用およびトラッキング用の制御信号に基づき、第1光学系あるいは第2光学系に備わる、フォーカシング用およびトラッキング用の駆動機構、あるいは、情報記憶媒体の回転駆動機構に制御信号を出力し、フォーカシング制御およびトラッキング制御を行うための制御部とを備える。
【発明の効果】
【0018】
本発明により、波長の異なる複数の光を効率良く受光することのできる半導体受光素子、当該半導体受光素子を備えた光ピックアップ装置を提供することができる。
【0019】
特に、本発明の半導体受光素子により、青色(405nm)、赤色(655nm)、近赤外(780nm)の3波長のいずれに対しても、実用上十分な変換効率で光電変換することができ、1つの光ピックアップ装置で、近赤外、赤色はもとより、青色対応のDVD、およびCDの処理を行うことが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の半導体受光素子、半導体受光素子を備えた光ピックアップ装置は、同一半導体基板上に形成され、それぞれ異なる複数の波長に対応したフォトダイオードを有する半導体受光素子、半導体受光素子を備えたピックアップ装置である。特に、本発明の半導体受光素子においては、異なる複数の波長に対応したフォトダイオードそれぞれの受光面上に、最適化された積層構成を有する反射防止膜が一体形成される。
【0021】
これにより、上記異なる複数の波長に対応したフォトダイオードのいずれにおいても実用上十分な変換効率で光電変換することが可能となる。そして、当該フォトダイオードを含んだ半導体受光素子を備えた光ピックアップ装置により、近赤外、赤色はもとより、青色対応のDVD、およびCDの処理を行うことが出来る。
【0022】
このように、本発明の半導体受光素子、半導体受光素子を備えた光ピックアップ装置では、特に、青色(405nm)、赤色(655nm)、近赤外(780nm)等、波長の異なる複数の光のいずれに対しても、実用上十分な変換効率で光電変換することができ、1つの光ピックアップ装置で、近赤外、赤色はもとより、青色対応のDVD、およびCDの処理を行うことが出来る。
【0023】
(実施の形態1)半導体受光素子
本発明の実施の形態1に係わる半導体受光素子の概略構成を図3および図4に示す。図3は、本実施の形態に係わる半導体受光素子に形成されたフォトダイオード部の受光面上部からみた概略構造を示したものである。また、図4は、フォトダイオード部の断面概略構造を示したものである。
【0024】
本実施の形態に係わる半導体受光素子は、図4に示されるように、n型シリコン基板4上にPN接合構造を有する複数のフォトダイオードを備えたものである。フォトダイオードは、光ピックアップ装置のフォーカス、トラッキング機能を得るためにひとつの波長の光に対して複数に分割されて配置される。そして、それぞれ波長の異なる光を効率良く電気信号に変換するように設計される。
【0025】
本実施の形態においては、特に、BLU−RAY用の青色(405nm)フォトダイオード3、DVD用の赤色(655nm)フォトダイオード2、およびCD用の近赤外(780nm)フォトダイオード1を備えている。また、DVD用の赤色(655nm)フォトダイオード2とCD用の近赤外(780nm)フォトダイオード1とBLU−RAY用の青色(405nm)フォトダイオード3とで生成される電流信号を電圧信号に変換し、増幅、信号演算を行う図示せぬICが集積されている。
【0026】
本実施の形態においては、さらに、それぞれのフォトダイオードに対して、対象となる波長の光の入射効率を高め、当該フォトダイオードそれぞれにおける光電変換効率を高めることを目的として、フォトダイオードの受光面上に、それぞれの入射波長に対して最適となる反射防止膜が積層される。本実施の形態の場合、BLU−RAY用の青色(405nm)フォトダイオード3、DVD用の赤色(655nm)フォトダイオード2、およびCD用の近赤外(780nm)フォトダイオード1の受光面上に、SiO2(屈折率1.45)による厚さ10nmのシリコン酸化膜8が形成される。そして、BLU−RAY用の青色(405nm)フォトダイオード3、DVD用の赤色(655nm)フォトダイオード2、およびCD用の近赤外(780nm)フォトダイオード1の受光面上に形成されたシリコン酸化膜8の層の上に、SiN(屈折率2.0)による厚さ80nmのシリコン窒化膜9が形成される。本実施の形態においては、さらに、BLU−RAY用の青色(405nm)フォトダイオード3の受光面上に形成されたシリコン窒化膜9の層上のみに、SiNO2(屈折率1.8)による厚さ35〜80nmのシリコン酸化窒化膜10が形成される。
【0027】
図5に、本実施の形態の半導体受光素子のフォトダイオードそれぞれにおける対象波長の光の透過率のシミュレーション結果を示す。図5によると、シリコン酸化窒化膜の厚さを60nm程度にしたときに、BLU−RAY用の青色(405nm)フォトダイオード3における波長405nmの光の透過率がほぼ100%近くにまで達することが判る。一方、DVD用の赤色(655nm)フォトダイオード2、およびCD用の近赤外(780nm)フォトダイオード1における対象波長の透過率は両者とも概ね90%程度であることが判る。
【0028】
本来、各フォトダイオード毎に、受光対象波長に最適な構成を有した反射防止膜が形成されることが望ましい。しかし、実質的には、DVD用の赤色(655nm)フォトダイオード2と、CD用の近赤外(780nm)フォトダイオード1との波長は比較的接近しているため、本実施の形態においては、DVD用の赤色(655nm)フォトダイオード2に向けた反射防止膜と、CD用の近赤外(780nm)フォトダイオード1に向けた反射防止膜とを共通化して形成している。そして、双方のフォトダイオードにおいて、90%程度の対象波長の光の透過率を実現しており、高い光電変換効率を備えた半導体受光素子の実現が可能となる。本実施の形態において、DVD用の赤色(655nm)フォトダイオード2に向けた反射防止膜と、CD用の近赤外(780nm)フォトダイオード1に向けた反射防止膜とを共通化して形成することにより、高い光電変換効率を維持したまま生産効率を向上させた半導体受光素子が実現する。
【0029】
上記してきたように、本実施の形態においては、同一半導体基板上に、それぞれ異なる複数の波長に対応したフォトダイオードを備える。そして、フォトダイオードそれぞれの受光面上に、最適化された積層構成を有する反射防止膜を一体形成する。そして、特に、DVD用の赤色(655nm)フォトダイオード2に向けた反射防止膜と、CD用の近赤外(780nm)フォトダイオード1に向けた反射防止膜とを共通化して形成する。これにより、生産性が高く、単一の素子で、青色対応のDVDおよびCDなど、波長の異なる複数の光のいずれに対しても実用上十分な変換効率で光電変換することができる半導体受光素子を実現することが出来る。
【0030】
なお、図3に示されるフォトダイオードそれぞれの分割数は、本実施の形態に係わる半導体受光素子を備えた光ピックアップ装置に求められる性能によって変更可能である。つまり、フォトダイオードそれぞれの分割数、分割角度、フォーカス/トラッキング用として用いられるフォトダイオードの形状は、設計事項であり、本発明を規程するものではない。また、本実施の形態に係わる半導体受光素子における、BLU−RAY用の青色(405nm)フォトダイオード3、DVD用の赤色(655nm)フォトダイオード2、およびCD用の近赤外(780nm)フォトダイオード1の配置の形態も設計事項であり、いかなる組み合わせへの変更も可能である。また、本実施の形態におけるフォトダイオードそれぞれのPN接合構造に関しても、本発明とは独立に設計し、本発明の構成要件として組み合わせることが可能である。
【0031】
(実施の形態2)半導体受光素子を備えた光ピックアップ装置
本発明の実施の形態2に係わる半導体受光素子を備えた光ピックアップ装置は、実施の形態1に係わる半導体受光素子と、図示せぬBLU−RAY用の青色(405nm)レーザと、図示せぬDVD用の赤色(655nm)レーザーと、図示せぬCD用の近赤外(780nm)レーザと、それぞれのレーザからのレーザー光をCDおよびDVDディスクに入射させる図示せぬ入射光学系と、CDおよびDVDで反射された反射光を当該半導体受光素子に出力する図示せぬ出射光学系とを備えている。また、本実施の形態に係わる光ピックアップ装置は、フォーカシング制御およびトラッキング制御を行うための図示せぬ制御部を有している。制御部は、実施の形態1により取得された、フォーカシング用およびトラッキング用の制御信号に基づき、入射光学系あるいは出射光学系に備わる、フォーカシング用およびトラッキング用の駆動機構、あるいは、CDおよびDVDの回転駆動機構に制御信号を出力し、フォーカシング制御およびトラッキング制御を実行する。
【0032】
本実施の形態においては、実施の形態1に係わる半導体受光素子を備えることにより、生産性が高く、且つコンパクトな構成により、青色対応のDVDおよびCDなど、波長の異なる複数の光のいずれに対しても実用上十分な変換効率で光電変換をし、情報の読み込みおよび書き込み処理が可能な光ピックアップ装置を実現することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】従来の半導体受光素子におけるフォトダイオードの概略構成(受光面側)を示す図である。
【図2】従来の半導体受光素子におけるフォトダイオードの概略構成(断面)を示す図である。
【図3】実施の形態1に係わる半導体受光素子におけるフォトダイオードの概略構成(受光面側)を示す図である。
【図4】実施の形態1に係わる半導体受光素子におけるフォトダイオードの概略構成(断面)を示す図である。
【図5】実施の形態1に係わる半導体受光素子のフォトダイオードそれぞれにおける対象波長の光に対する透過率を示す図である。
【符号の説明】
【0034】
1…CD用フォトダイオード(PD)
2…DVD用フォトダイオード(PD)
3…青色用フォトダイオード(PD)
4…n型シリコン基板
8…シリコン酸化膜
9…シリコン窒化膜
10…シリコン酸化窒化膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板上に形成され、それぞれ異なる複数の波長の光に対応した複数のフォトダイオードと、
前記複数のフォトダイオードに設けられた反射防止膜と
を具備し、
前記複数のフォトダイオードのなかで、少なくともひとつのフォトダイオードの前記反射防止膜の構造が、他のいずれかのフォトダイオードの前記反射防止膜の構造と異なる半導体受光素子。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体受光素子において、
前記フォトダイオードは、青色(400nm帯)の光に対応する青色フォトダイオードと、赤色(600nm帯)の光に対応する赤色フォトダイオードと、近赤外(700nm帯)の光に対応する近赤外フォトダイオードとを備える半導体受光素子。
【請求項3】
請求項2に記載の半導体受光素子において、
前記赤色フォトダイオードと、前記近赤外フォトダイオードとの受光面上に形成される反射防止膜は、前記受光面の上に形成されるシリコン酸化膜と、前記シリコン酸化膜の上に形成されるシリコン窒化膜との2層構造を有し、
前記青色フォトダイオードの受光面上に形成される反射防止膜は、前記受光面の上に形成されるシリコン酸化膜と、前記シリコン酸化膜の上に形成されるシリコン窒化膜と、前記シリコン窒化膜の上に形成されるシリコン酸化窒化膜との3層構造を有する半導体受光素子。
【請求項4】
請求項3に記載の半導体受光素子において、
特に、前記シリコン酸化窒化膜の膜厚は、35nm〜80nmに設定される半導体受光素子。
【請求項5】
請求項2から4までのいずれか一項に記載の半導体受光素子において、
前記赤色フォトダイオードと前記近赤外フォトダイオードと前記青色フォトダイオードとで生成される電流信号を電圧信号に変換し、増幅、信号演算を行うICが集積されている半導体受光素子。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか一項に記載の半導体受光素子と、
前記半導体受光素子の対応する、それぞれ異なる波長の光を出力するための発光部と、
前記それぞれ異なる波長の光を、CDおよびDVDディスクなどの情報記憶媒体に入射させるための第1光学系と、
前記情報記憶媒体で反射された反射光を前記半導体受光素子に出力するための第2光学系と、
前記半導体素子により取得された、フォーカシング用およびトラッキング用の制御信号に基づき、前記第1光学系あるいは前記第2光学系に備わる、フォーカシング用およびトラッキング用の駆動機構、あるいは、前記情報記憶媒体の回転駆動機構に制御信号を出力し、フォーカシング制御およびトラッキング制御を行うための制御部と
を具備する光ピックアップ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−157909(P2007−157909A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−349276(P2005−349276)
【出願日】平成17年12月2日(2005.12.2)
【出願人】(302062931)NECエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】