説明

半導体基板洗浄用組成物を用いた半導体装置製造方法

【課題】不純物の除去力を向上させながらも、金属層の損傷を最小化することができる半導体基板洗浄用組成物を用いた半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】
半導体装置の製造方法において、半導体基板上に金属を含む構造物パターン形成し酸性水溶液78ないし99.98質量%、第1キレート剤0.01ないし11質量%を含む半導体基板洗浄用組成物を、半導体基板に適用して構造物パターンの不純物が覆っていない第1表面部位上に第1腐食抑制膜を形成し、構造物パターンの不純物が覆っている第2表面部位上の不純物を除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体基板洗浄用組成物を用いた半導体装置の製造方法に関する。より詳細には、半導体製造工程のうちパターン形成の際使用することができる半導体基板洗浄用組成物を用いた半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、コンピュータのような情報媒体の急速な普及によって半導体デバイスなどの半導体メモリ素子も飛躍的に発展している。その機能面において、半導体メモリ素子は高速で動作すると同時に、大容量の貯蔵能力を有することが要求される。このような要求に応じて半導体製造技術は素子の集積度、信頼性及び応答速度などを向上させる方向に発展されてきている。
【0003】
特に、最近の半導体装置生産において、半導体装置の応答速度を向上させると同時に製造費用を節減することが最優先の目的である。このように、半導体装置の応答速度を向上させるために半導体装置の金属配線では、タングステンシリサイド(WSix)の代わりにタングステン(W)を使用している。また、製造費用を節減するために、シリコンなどの200mmウエハーの代用として300mmウエハーを使用する方向に技術的な変化が行われてきている。このように、300mmウエハーを使用する工程ではバッチ型(batch−type)洗浄設備の限界を克服するためにシングル−型洗浄設備の導入が要求される。
【0004】
一方、半導体技術が高集積化されることにつれて面積当たりのチップの生産量を増やすため、高集積化された半導体デバイスは、導電性配線パターンの多層化および微細化されている。このような半導体素子の製造において、フォトレジストを使用したフォトリソグラフィ技術は、導電性金属配線、またはパターン化された配線間の相互連結のためのパッドなど、ビアホールおよびコンタクトホールの形成のために最も広く使用されている技術である。
【0005】
半導体基板上にフォトリソグラフィを用いて金属配線またはビアホールなどを形成するためには、まず、エッチング対象層(エッチングされる層)上に所定のフォトレジストパターンを形成する。続いて、形成されたフォトレジストパターンをマスクとして、プラズマエッチング、反応性イオンエッチングRIE、イオンミリングなどのエッチング工程を通じて配線パターンまたはビアホールを形成させる。エッチング工程の後、酸素プラズマアッシングのようなアッシング工程によってマスクであるフォトレジストを除去する。
【0006】
しかし、現在エッチング工程で幅広く使用されているエッシチングガスは、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、チタン(Ti)、シリコン酸化物(SiOx)などを含むエッチング対象層及び/または接触マスクとして使用されたフォトレジストと相互反応を起こし、有機金属性残留物または側壁高分子性残留物などの副産物生成をもたらす。このような副産物は酸素プラズマアッシングの後にも基板上に残留し、メチレンクロライド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ビロリドン、ジメチルスルホンなど通常の剥離溶媒などでも完全に除去されない。このようなアッシング残留物は、基板または半導体素子構造物の表面を汚染させ、後続工程での工程効率を低下させる。さらに、高集積化され、微細化された半導体素子において素子の信頼性及び機能に致命的な問題を生じさせうる。従って、エッチング残留物を実質的に完全の除去することが必要であり、これを効率的に除去するための多様な半導体基板洗浄用組成物が使用されている。
【0007】
一方、DRAMでゲート電極またはビットラインの物質として今まで使用されてきたタングステンシリサイド(WSix)は相対的に抵抗が高いので、これをタングステン(W)に代替することにした場合、配線物質としてタングステンを使用すると、今まで一般的に使用してきたAPM(SC−1)またはSPM(硫酸剥離剤(硫酸ストリッパー))洗浄はタングステンを腐食させるのでこれを適用することができないという問題点が発生する。
【0008】
このような問題を解決するために、タングステン配線を使用する半導体装置では、タングステンが露出される洗浄工程で一般的な剥離剤として使用する有機溶媒を含む有機剥離剤を使用するか最近開発された新しい剥離剤を使用している実情である。
【0009】
一般的な有機剥離剤をタングステンエッチングの後洗浄するとき使用するとタングステンや下部膜の損傷が発生されない。しかし、一般的な有機剥離工程では、タングステンエッチングの後発生したポリマーを効率よく除去することができないこともあり得る。即ち、有機剥離工程は酸化物をエッチングすることができないので配線をエッチングするとき発生する酸化性ポリマーを除去することができない。また、前記組成物を使用して側壁ポリマーを除去するためには65℃ないし85℃の高い温度条件が要求されるので設備劣化の問題がある。さらに、大量生産のためのシングル型の300mmウエハー製造工程に適用するには技術的な問題点がある。
【0010】
このように一般的な有機剥離剤が有する問題点を解決するために、新しい概念の剥離剤が開発されている。フッ素成分を含む新しい概念の剥離剤は、フッ素による金属の損傷を防止する方法で有機溶媒を使用することが一般的である。(特許文献1)にはこのような金属の腐食を防止するために腐食防止剤を添加し、他の複数の成分を複合的に使用する剥離剤が開示されている。また、(特許文献2)には、アンモニア水、フッ化水素、硝酸及び脱イオン水を含み、pHが7ないし12である組成物が開示されており、(特許文献3)には、硫酸と過酸化水素水を混合した溶液にフッ化水素(HF)を添加して金属洗浄工程に適用する方法が開示されている。
【0011】
このような組成物は、エッチング残留物を効率的に除去することができるが、アルミニウム、チタン、タングステンなどの金属層、シリコンオキサイドなどの絶縁膜、及びポリシリコン膜などの腐食を発生させうる。
【特許文献1】米国特許第5、962、385号
【特許文献2】韓国公開特許第2003−35207号公報
【特許文献3】米国特許第5、780、363号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、本発明の目的は不純物の除去力を向上させながらも、金属層の損傷を最小化することができる半導体基板洗浄用組成物を用いた半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前述した本発明の目的を達成するために、本発明は半導体基板上に金属を含む構造物パターンを形成し、酸性水溶液78ないし99.98質量%、第1キレート剤0.01ないし11質量%及び第2キレート剤0.01ないし11質量%を含むような半導体基板洗浄用組成物を利用する。即ち、前記半導体基板洗浄用組成物を半導体基板に適用して、構造物パターンの不純物が覆われていない第1表面部位上に第1腐食抑制膜を形成させ、構造物パターンの不純物が覆っている第2表面部位上の不純物を除去する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の半導体基板洗浄用組成物を使用すると、金属層の損傷を抑制し基板に存在する残留物が効果的に除去される。即ち、アルミニウム、チタン、タングステンなどの多様な金属、シリコンオキサイドなどの絶縁膜及び/またはポリシリコン膜を含む基板や半導体素子構造物において、基板または半導体素子構造物を損傷させることなく、前記基板または構造物表面上に存在するエッチング残留物を効率的に除去することができる。また、幅広く使用されるバッチ型ではなくシングル型設備に適用することができるので工程時間を短縮させることができる。これにより、半導体装置の不良を防止すると同時に半導体基板の洗浄時間を短縮して半導体製造工程の生産性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の望ましい一実施例をより詳細に説明する。
【0016】
「半導体基板洗浄用組成物」
半導体基板洗浄用組成物は金属層を含む半導体基板を乾式エッチングした後前記半導体基板上に残留する不純物を酸化膜及び金属層の損傷なしにより容易に除去するために次のような特性を有することが要求される。
【0017】
第1に、洗浄工程で露出されるタングステンのような金属に対して、腐食しないようにする必要がある。特に、本発明の半導体基板洗浄用組成物に含まれる過酸化水素は、タングステンのような金属を腐食させる特性を有するため、このような金属の腐食を防止する工程条件を確保しなければならない。
【0018】
第2に、洗浄工程で露出されるアルミニウムのような金属に対して、腐食しないようにする必要がある。特に、ポリマーの除去力を向上させるために本発明の半導体基板洗浄用組成物に含まれるフッ素化合物の含有量を増加させる場合は、アルミニウムに対して腐食が発生しうるので、これを防止する工程条件を確保しなければならない。
【0019】
第3に、ポリマーの除去力が優れていなければならない。金属配線としての金属層をエッチングするとき発生するエッチング残留物は金属成分、酸化物成分、および有機物が含有されているポリマーが大部分を占める。このような残留物は一般の剥離剤では除去することが難しい。従って、このようなポリマーを効率よく除去することができる工程条件を確保しなければならない。
【0020】
第4に、前述したポリマーを除去するためには適度に酸化膜をエッチングする特性を有するべきである。過度に酸化膜の多くが、エッチングされる場合には問題が発生しうる。例えば、金属を用いた配線に適用する場合、配線下部の酸化膜が、過度に多くエッチングされると配線がもちあがる(リフティングされる)恐れがある。また、酸化膜、即ち、層間絶縁膜がエッチングされることによって導電性構造物の垂直プロファイルのアスペクト比が増加され、後続の層間絶縁膜蒸着法工程の際、ボイドなどの欠陥が発生するおそれがある。従って、酸化膜のエッチング量を適度に調節しうる工程条件を確保しなければならない。
【0021】
前記のような洗浄工程の特性を確保するために、本発明の半導体基板洗浄用組成物は、酸性水溶液に第1キレート剤及び第2キレート剤を添加して製造することができる。この場合、本発明の半導体基板洗浄用組成物の総質量にたいして酸性水溶液が、78%未満で、かつ第1キレート剤及び第2キレート剤がそれぞれ11質量%を超過すると、酸性水溶液の洗浄能力が充分でなく、腐食防止の効果の上昇をそれ以上期待することが難しい。一方、酸性水溶液が組成物総質量に対して99.98質量%を超過し、第1キレート剤及び第2キレート剤がそれぞれ0.01質量%未満であると、充分な腐食防止効果を期待することは困難である。従って、本発明の半導体基板洗浄用組成物は総質量に対して酸性水溶液78ないし99.98質量%、第1キレート剤0.01ないし11質量%及び第2キレート剤0.01ないし11質量%を含むことが好ましく、より好ましくは酸性水溶液90ないし99.8質量%、第1キレート剤0.1ないし5質量%及び第2キレート剤0.1ないし5質量%を含む。
【0022】
この場合、本発明による前記半導体基板洗浄用組成物のPH範囲は0.1ないし6であり、好ましくは、約0.1ないし2のpH範囲で優れた洗浄効果を得ることができる。
【0023】
図1及び図2は第1キレート剤及び第2キレート剤によって金属層の腐食が防止されるメカニズムを説明するための断面図である。
【0024】
図1に示すように、本発明による半導体基板洗浄用組成物に含有されている第1キレート剤C1及び第2キレート剤C2は、基板10上に形成された金属パターン12の表面に対して前記金属パターン12の腐食を抑制する役割を担う。即ち、前記半導体基板洗浄用組成物に含有された第1キレート剤C1及び第2キレート剤C2は、不純物Pが付着されていない部位の金属パターン12表面と吸着反応して、前記金属パターンの表面に腐食抑制膜20aを形成する。これにより、前記半導体基板洗浄用組成物を使用して半導体基板洗浄を行う際、酸性水溶液は、不純物Pと付着していない金属パターンの部位に反応することで、金属パターンが損傷される現象を最小限に抑えることができる。
【0025】
図2に示すように、前記第1キレート剤C1及び第2キレート剤C2は、不純物Pが除去され露出された金属パターン12の表面に追加の腐食抑制膜20bを形成する。前述したように、前記腐食抑制膜20a及び追加に形成された腐食抑制膜20bは、前記半導体基板洗浄用組成物に含まれた酸性溶液と金属パターン12との間の反応を最小限におさえることで、洗浄工程の間金属の腐食を防止することができる。
【0026】
前述した効果を有する第1キレート剤としては、アゾール系化合物、アミン系化合物、硫黄を含む化合物などを挙げることができる。これらは単独または混合して使用することができる。
【0027】
本発明による半導体基板洗浄用組成物として使用することができるアゾール化合物の例としては、トリアゾール化合物、ベンゾトリアゾール化合物、イミダゾール化合物、テトラゾール化合物、チアゾール化合物、オキサゾール化合物、ピラゾール化合物などを挙げることができる。これらは単独または混合して使用することができる。
【0028】
より具体的に説明すると、本発明による半導体基板洗浄用組成物として使用可能なトリアゾール化合物の例としては、トリアゾール、1H−1,2,3−トリアゾール、1,2,3−トリアゾール−4,5−ジカルボン酸、1,2,4−トリアゾール、1H−1,2,4−トリアゾール−3−チオール、及び3−アミノ−トリアゾールなどを挙げることができる。これらは単独または混合して使用することができる。
【0029】
本発明による半導体基板洗浄用組成物として使用可能なベンゾトリアゾール化合物の例としては、ベンゾトリアゾール、1−アミノ−ベンゾトリアゾール、1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール、5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、及びベンゾトリアゾール−5−カルボン酸などを挙げることができる。これらは単独または混合して使用することができる。
【0030】
本発明による半導体基板洗浄用組成物として使用可能なイミダゾール化合物の例としては、イミダゾール、1−メチルイミダゾール、ベンズイミダゾール、1−メチル−ベンズイミダゾール、2−メチル−ベンズイミダゾール、5−メチル−ベンズイミダゾールなどを挙げることができる。これらは単独または混合して使用することができる。
【0031】
本発明による半導体基板洗浄用組成物として使用可能なテトラゾール化合物の例としては、1H−テトラゾール、1H−テトラゾール−5−酢酸、5−アミノ−テトラゾールなどを挙げることができる。これらは単独または混合して使用することができる。
【0032】
本発明による半導体基板洗浄用組成物として使用可能なベンゾチアゾール化合物の例としては、ベンゾチアゾール、2−メチル−ベンゾチアゾール、2−アミノ−ベンゾチアゾール、6−アミノ−ベンゾチアゾール、2−メルカプト−ベンゾチアゾールなどを挙げることができる。これらは単独または混合して使用することができる。
【0033】
本発明による半導体基板洗浄用組成物として使用可能なオキサゾール化合物の例としては、イソオキサゾール、ベンゾオキサゾール、2−メチル−ベンゾオキサゾール、2−メルカプト−ベンゾオキサゾールなどを挙げることができる。これらは単独または混合して使用することができる。
【0034】
本発明による半導体基板洗浄組成物として使用可能なピラゾール化合物の例としては、ピラゾール、4−ピラゾール−カルボン酸などを挙げることができる。これらは単独または混合して使用することができる。
【0035】
本発明による半導体基板洗浄用組成物として使用することができるアミン系化合物の例としては、メチルアミン、ジエチルアミン、n−デシルアミン、モルホリン、アリルアミン、ピリジン、キノリン、イミダゾリン、ヘキサメチレンアミン−m−ニトロベンゾエート、ジシクロヘキサミン亜硝酸塩、1−エチルアミノ−2−オクタデシルイミダゾリンなどを挙げることができる。これらは単独または混合して使用することができる。
【0036】
本発明による半導体基板洗浄用組成物として使用することができる硫黄を含む化合物の例としては、ベンジルメルカプタン、フェニルチオ尿素、ジ−sec−ブチルスルフィド及びジフェニルスルホキシドなどを挙げることができる。これらは単独または混合して使用することができる。
【0037】
本発明による半導体基板洗浄用組成物において、第2キレート剤としてはアミノ酸化合物を使用することができる。
【0038】
本発明による半導体基板洗浄用組成物として使用することができるアミノ酸の例としてはジエチレントリアミンペンタ酢酸(diethylenetriaminepentaacetic acid)、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン、リシン、アルギニン、ヒスチジン、ヒドロキシリジン、システイン、プロリン、スルファミン酸、ヒドロキシプロリンなどを挙げることができる。これらは単独または混合して使用することができる。
【0039】
本発明の半導体基板洗浄用組成物において、前記第1及び第2キレート剤それぞれの含量が、組成物総質量に対して約0.01質量%未満であるとタングステンまたはアルミニウムを含む金属パターンの腐食を防止する効果が減少して金属パターンの損傷を齎す恐れがある。反面、それぞれの含量が約11質量%を超過すると、タングステン及びアルミニウムなどを含む金属パターンの腐食を防止する効果があるが、その効果は継続増加せず一定の値で収束する。また、組成物に含まれた過酸化化合物と第1及び第2キレート剤とが反応すると、組成物の色が変色し、ガスなどが発生する。従って、前記半導体基板洗浄用組成物は第1及び第2キレート剤をそれぞれ約0.01ないし約11質量%を含有することが好ましく、より好ましくは約0.1ないし約5質量%の第1及び第2キレート剤をそれぞれ含有する。
【0040】
本発明に係る半導体基板洗浄用組成物は、前述したように第1キレート剤及び第2キレート剤を使用して金属層の腐食を防止する効果を有すると同時に酸化性ポリマー、金属性ポリマー、有機物などを効果的に除去するために酸性水溶液を含む。この場合、酸性水溶液は硫酸、過酸化化合物、フッ素化合物及び純水を含むことが望ましい。
【0041】
本発明の半導体基板洗浄用組成物は、総質量を基準にして、硫酸の含量が約0.01質量%未満の場合有機残留物の除去力が脆弱になる懸念がある。反面、硫酸の含量が約30%を超える場合には工程進行の際、金属層の過度な腐食問題を誘発する可能性がある。従って、本発明による半導体基板洗浄用組成物は総質量に対して約0.01ないし約30質量%の硫酸を含有することが好ましく、より好ましくは約0.1ないし約10質量%の硫酸を含む。
【0042】
本発明による半導体基板洗浄用組成物で使用することができる過酸化化合物の例としては、過酸化水素水、オゾン、過酸化硫酸、過酸化ホウ酸、過酸化リン酸、過酸化酢酸などを挙げることができる。
【0043】
本発明の半導体基板洗浄用組成物において、半導体基板洗浄用組成物総質量を基準にして、過酸化化合物の含量が0.01質量%未満の場合には有機性ポリマーの除去力が過度に弱くなる恐れがある。反面、過酸化化合物の含量が20質量%超過であるとタングステン、アルミニウムなどのような金属の損傷が増加する可能性がある。従って、本発明による半導体基板洗浄用組成物は総質量に対して約0.01ないし約20質量%の過酸化化合物を含有することが望ましく、より望ましくは約0.1ないし約10質量%の過酸化化合物を含む。
【0044】
また、本発明による半導体基板洗浄用組成物で使用することができるフッ素化化合物の例としては、フッ化水素(HF)、フッ化アンモニウム(NHF)、ホウフッ化水素酸(HBF)などを挙げることができる。
【0045】
この場合、本発明の半導体基板洗浄用組成物中で、半導体基板洗浄用組成物総質量を基準にして、フッ素化合物の含有量が0.001質量%未満の場合には、酸化性ポリマーの除去力が不足する恐れがある。また、フッ素化合物の含有量が5質量%超過であるとシリコン酸化膜、窒化チタンまたはアルミニウムのエッチング率を過度に増加させて工程不良を誘発する可能性がある。従って、本発明による半導体基板洗浄用組成物は、総質量に対して約0.001ないし約5質量%のフッ素化合物を含有することが好ましく、より好ましくは約0.01ないし約2質量%のフッ素化合物を含有する。
【0046】
また、本発明による半導体基板洗浄用組成物は純水を含み、好ましくは超純水を含むことができる。
【0047】
「金属層を含む半導体基板の洗浄方法」
図3は本発明による半導体基板洗浄用組成物を使用して金属層を含む半導体基板の残留物を除去する方法を示すフローチャートである。
【0048】
図3に示すように、金属層を含む半導体基板を洗浄する方法は、まず金属層を含む基板上に、前述した半導体基板洗浄用組成物を供給する(段階S10)。これにより、第1キレート剤及び第2キレート剤が金属層に吸着され、腐食抑制膜を形成するようになる。これと同時に酸性水溶液は有機物、酸化性ポリマー及び金属性ポリマーなどを除去する(段階S20)。より具体的には、前記半導体基板洗浄用組成物を用いた基板の洗浄に起因して、金属層に吸着されているポリマーのうち酸化性ポリマーはフッ素化合物によって除去され、有機性及び金属性ポリマーは過酸化水素及び硫酸によって除去される。
【0049】
従って、本発明による半導体基板洗浄用組成物を使用して基板を洗浄する場合、半導体基板洗浄用組成物に含まれた第1及び第2キレート剤が露出されている金属層に腐食抑制膜を形成する。これにより、酸性水溶液と金属との間の直接的な反応が抑制され、タングステンまたはアルミニウムなどのような金属層の損傷が最小限に抑えられる。
【0050】
続いて、第1及び第2キレート剤は、不純物が除去された金属層上に追加の腐食抑制膜を形成する。これにより、不純物が除去された後露出される金属層の追加的な損傷まで防止される(段階S30)。
【0051】
この場合、金属層はタングステン、窒化チタン、チタン、銅、アルミニウムなどを含むことができ、好ましくは、タングステンまたはアルミニウムを含む。
【0052】
付け加えると、洗浄工程が終わった基板に脱イオン水を用いたリンス工程を実施して基板に残留している半導体基板洗浄用組成物を除去し(段階S40)、前記ポリマーが除去された基板に存在する脱イオン水を除去するために乾燥工程(段階S50)を実施することができる。このとき、前記洗浄工程が実施されて基板のポリマーは洗浄液によって溶解され基板から除去されるか、導電性構造物と吸着力が減少された状態を有する。従って、前記基板をリンスすると、基板に残されているポリマーは大部分除去される。
【0053】
前記洗浄工程は、バッチ型の洗浄装置またはシングル型の洗浄装置で行うことができ、好ましくはシングル型洗浄装置で行う。
【0054】
また、本発明による半導体基板の洗浄は、約10℃ないし約40℃の温度範囲で行われることが望ましい。前記洗浄工程に適用される半導体基板洗浄用組成物の温度が、約10℃未満の場合には、金属層に吸着しているポリマーを完全に除去するために長い時間を所要する懸念があるからである。また、前記洗浄液の温度が約40℃を超過する場合には、前記ポリマーを早い時間内に除去することができるが、前記タングステン金属及び酸化膜の損傷されないようにコントロールすることが非常に難しい。
【0055】
以下、添付した図面を参照して望ましい実施例により、金属層の損傷を最小限に抑え、優れた不純物除去効果を有する半導体基板洗浄用組成物を使用して、半導体装置を製造する方法につい詳細に説明する。
【0056】
「半導体装置の製造方法」
図4は、本発明の一実施例による半導体装置のワード線を形成する方法を説明するための断面図である。
【0057】
図4に示すように、ゲート酸化膜(図示せず)、ゲート導電膜(図示せず)及びゲートマスク層(図示せず)を含む半導体基板100上にフォトレジストパターン(図示せず)を形成する。続いて、前記フォトレジストパターンをエッチングマスクとして用いて前記ゲート酸化膜、ゲート導電膜及びゲートマスク層をエッチングすることで半導体基板100上にゲート構造物110を形成する。前記ゲート構造物110はそれぞれゲート酸化膜パターン104a、ゲート導電膜パターン106a及びゲートマスク108aを含む。
【0058】
このとき、前述したエッチング工程で形成されたゲート導電膜パターン106aの側壁を含むゲート構造物110の表面には、多量の不純物Pが存在する。以下、前記不純物Pを具体的に説明する。
【0059】
前記不純物Pは、酸化膜、ポリシリコン膜、タングステン金属膜またはアルミニウム金属膜、マスク層及びフォトレジストパターンなどがエッチングされるとき発生する乾式エッチングガス残留物、有機残留物、酸化性及び金属性残留物を含む。即ち、前記不純物Pは酸化性ポリマー、有機性ポリマー、金属性ポリマーなどを含む。
【0060】
前記不純物Pのうち有機性及び金属性ポリマーは、ゲート導電膜パターン106aが形成されるとき生成され、前記酸化性ポリマーはゲート酸化膜パターン104aが形成されるとき生成され、それぞれゲート構造物110の側壁を含む半導体基板上に吸着される。
【0061】
このような不純物Pはゲート構造物110の表面に残留して半導体装置の電気的抵抗を増加させたり、以後ワード線とワード線と間の電気的ショートを齎すので必須的に除去される必要がある。
【0062】
洗浄工程を行い、ゲート構造物110の側壁に吸着されている不純物Pを、タングステンまたはアルミニウムのようなゲート導電膜パターン106a及びゲート酸化膜パターン104aの損傷しないよう除去する。以下、残留物Pを除去する洗浄工程を具体的に説明する。
【0063】
前記ゲート構造物110の表面に吸着されている不純物Pを除去するために、まず、第1キレート剤及び第2キレート剤を含む酸性水溶液である半導体基板洗浄用組成物を製造する。本発明の望ましい一実施例によると、前記半導体基板洗浄用組成物は硫酸約0.1ないし約10質量%、過酸化化合物約0.1ないし約10質量%、フッ素化合物約0.01ないし約2質量%、第1キレート剤約0.1ないし約5質量%、第2キレート剤約0.1ないし約5質量%及び余分の純水を含む。前記半導体基板洗浄用組成物に対する具体的な説明はすでに言及したので省略する。
【0064】
続いて、前記半導体基板洗浄用組成物を用いてゲート構造物110が形成された半導体基板100を洗浄する。これにより、前記ゲート構造物110の表面に吸着された不純物Pを除去する。前記半導体基板100の洗浄工程はバッチ型洗浄装置またはシングル洗浄装置で行うことができ、好ましくはシングル型洗浄装置で行われる。
【0065】
本発明の一実施例による半導体基板100の洗浄方法を具体的に説明すると、まず、シングル型洗浄装置に基板を導入する。続いて、約10℃ないし約40℃の温度の半導体基板洗浄用組成物を基板上部に噴霧する。この場合、半導体基板を回転させながら、または半導体基板が停止した状態で半導体基板洗浄用組成物を半導体基板と接触させることができる。前記洗浄装置で前記不純物Pが吸着されている半導体基板100と前記半導体基板洗浄用組成物を約0.01分ないし約5分の間、望ましくは、約0.1ないし約2分の間接触させ前記ゲート構造物110の側壁に吸着されている不純物Pを除去する。
【0066】
この場合、前記ゲート構造物110の側壁に吸着されている不純物Pのうち特に酸化性ポリマーは、前記半導体基板洗浄用組成物に含まれているフッ素化合物によって除去される。また、ゲート構造物110の表面に吸着されている有機性及び金属性ポリマーは、半導体基板洗浄用組成物に含まれている過酸化化合物及び硫酸によって除去される。このとき、第1キレート剤及び第2キレート剤は前述したようにタングステンまたはアルミニウム等の金属層表面に吸着して金属パターンの腐食を防止する。
【0067】
続いて、不純物Pが除去され、露出される金属層表面にさらに第1及び第2キレート剤が吸着され、追加的な金属パターンの腐食も防止するようになる。
【0068】
前記洗浄工程を行った基板100に、脱イオン水を用いたリンス工程を実施して、基板に残留している半導体基板洗浄用組成物を除去する。このとき、前記洗浄工程を行った基板の不純物Pは、洗浄液によって溶解され基板から除去されるか、導電性構造物との吸着力が減少した状態であるので、リンス工程を実施すると基板に残されている不純物Pは、大部分除去される。続いて、乾燥工程を実施し、前記不純物Pが除去された基板100に存在する脱イオン水を除去する。続いて、通常的な半導体装置製造方法によって、本発明による半導体装置のワード線を製造することができる。
【0069】
前述した過程を通じて形成されたワード線は、不純物が存在せず、損傷されていない金属パターンを含んでいるので、半導体装置の電気的特性が顕著に向上される。本発明による半導体基板洗浄用組成物を使用して前述した半導体装置のワード線だけではなく、ビットライン、金属配線、ビアホール、コンタクトホールなどを含む半導体装置も製造することができる。
【実施例】
【0070】
以下、本発明の半導体基板洗浄用組成物を実施例及び比較例を通じてさらに詳細に説明する。
【0071】
「半導体基板洗浄用組成物の製造」
(実施例1)
半導体基板洗浄用組成物総量を基準にして硫酸9.0質量%、過酸化水素4.0質量%、フッ化水素0.01質量%、トリアゾール2.0質量%、グルタミン酸2.0質量%及び余分の純水を混合して半導体基板洗浄用組成物を製造した。
【0072】
(実施例2ないし10)
フッ化水素、過酸化水素及びキレート剤の含有量を除いては前記実施例1と同一の方法で半導体基板洗浄用組成物を製造した。各実施例によるキレート剤の種類及び各成分の含量(質量%)は下記表1に示される。
【0073】
(比較例1ないし15)
キレート剤の有無及びその種類、硫酸、過酸化水素またはフッ化水素の含量をそれぞれ変化させ半導体基板洗浄用組成物を製造した。各比較例による成分の種類及び含有量が下記表1に示される。
【0074】
【表1−1】

【0075】
【表1−2】

【0076】
イ. 「フッ化水素濃度によるアルミニウムエッチング量の評価」
前記実施例1、実施例2、比較例11及び比較例12で製造された半導体基板洗浄用組成物に対してアルミニウム膜に対するエッチング率を評価した。
【0077】
アルミニウム膜に対するエッチング率を評価するためにパターンが形成されないアルミニウム基板を使用した。前記アルミニウム基板は、まず、シリコン基板上に酸化膜を形成し、次いで前記酸化膜上に金属障壁膜を形成した後、金属障壁膜上に化学蒸着方法(CVD方式)でアルミニウムを3500Åで蒸着して準備した。
【0078】
図5は、前述したようにフッ化水素濃度によるアルミニウムエッチング量評価結果を示す棒グラフである。
【0079】
図5に示すように、キレート剤が添加されていない比較例11及び比較例12に比べて、キレート剤が添加されている実施例1及び実施例2のアルミニウムエッチング率が顕著に低いことを確認することができる。また、フッ化水素0.01質量%を含む比較例11及び実施例1のアルミニウムエッチング率が、フッ化水素0.03質量%を含む比較例12及び実施例2のアルミニウムエッチング率より50%以上小さいことがわかる。
【0080】
このような結果から、フッ化水素の濃度が増加するほどアルミニウムエッチング率が増加することを確認することができる。また、キレート剤が添加された半導体基板洗浄用組成物を使用すると、キレート剤が添加されない半導体基板洗浄用組成物を使用した比較例11及び比較例12に比べて、アルミニウム膜のエッチング量が減少されることを確認することができる。
【0081】
これにより、本発明の半導体基板洗浄用組成物を使用して実際半導体基板を洗浄するとき、下部膜であるアルミニウム膜に対する損傷が減少されることを確認することができ、フッ化水素の含量もアルミニウム膜損傷の程度に、影響を与えることがわかる。
【0082】
ロ.「過酸化水素濃度によるタングステンエッチング量の評価」
前記実施例2、実施例3、比較例9及び比較例12で製造された半導体基板洗浄用組成物に対してタングステン膜に対するエッチング率を評価した。
【0083】
タングステン膜に対するエッチング率を評価するために、パターンが形成されないタングステン基板を使用した。前記タングステン基板は、まず、シリコン基板上に酸化膜を形成した。続いて、前記酸化膜上に金属障壁膜を形成した後、前記金属障壁膜上にCVD方式でタングステンを600Åで蒸着して準備した。
【0084】
図6は前述したように過酸化水素濃度によるタングステンエッチング量評価結果を示す棒グラフである。
【0085】
図6に示すように、キレート剤が添加されていない比較例9及び比較例12に比べて、キレート剤が添加されている実施例2及び実施例3のタングステンエッチング率が顕著に小さいことを確認することができる。また、過酸化水素1.2質量%を含む比較例9及び実施例3のタングステンエッチング率が、過酸化水素4.0質量%を含む比較例12及び実施例2のタングステンエッチング率より50%以上の小さいことがわかる。
【0086】
このような結果から、過酸化水素の濃度が増加するほどタングステンエッチング率が増加することを確認することができる。また、キレート剤が添加された半導体基板洗浄用組成物を使用すると、キレート剤が添加されていない半導体基板洗浄用組成物を使用した比較例9及び比較例12に比べて、タングステン膜のエッチング量が減少されることを確認することができる。
【0087】
これにより、本発明の半導体基板洗浄用組成物を使用して実際半導体基板を洗浄するとき、下部膜であるタングステン膜に対する損傷が減少されることを確認することができ、過酸化水素の含量のタングステン膜損傷の程度に影響を及ばす。
【0088】
ハ.「キレート剤濃度による組成物の安定性評価」
前記実施例1、実施例4及び比較例13で製造された半導体基板洗浄用組成物に対して、それぞれ組成物の安定性を評価し、結果を下記表2に示される。
【0089】
より具体的に、キレート剤の濃度による組成物の安定性を評価するために、各実施例及び比較例による半導体基板用組成物を製造した。組成物製造の際、発生するガスの発生量及び溶液色の変色程度を総合的に考慮して、組成物の安定性をそれぞれ優秀、良好、不良に示す。
【0090】
【表2】

【0091】
前記表2の結果から、キレート剤それぞれを、約0.01ないし11質量%を含む場合、半導体基板洗浄用組成物が安定的に製造されることを確認することができる。
【0092】
これにより、本発明の半導体基板洗浄用組成物を使用して実際の半導体基板を洗浄するとき、好ましいキレート剤濃度は約0.01ないし11質量%であり、より好ましくは、約0.1ないし5質量%を含まれなければならないことが判った。
【0093】
ニ. 「コンタクトにおける洗浄評価」
図7及び図8は、半導体基板洗浄用組成物の種類によるコンタクトの洗浄結果を示すSEM写真である。
【0094】
図7は、比較例12で製造した組成物を使用して、タングステン金属を含むコンタクトを、約25℃で35秒間洗浄した後の状態を示すSEM写真である。図8は実施例2で製造した半導体基板洗浄用組成物を使用してタングステン金属を含むコンタクトを、実施例2と同一の条件で洗浄した後の状態を示すSEM写真である。より具体的には、本実験において、エッチング及びアッシング工程が進行された基板は、約25℃で保持されている洗浄組成物を含み、バッチ型洗浄装置に30秒間浸漬させた後、超純水でリンスしこれを再度乾燥させる方法で進行した。
【0095】
図7に示すように、比較例12による組成物を使用した場合、タングステンエッチング及びアッシングによる不純物が、相変わらず残存することを確認することができる。その反面、図8に示すように、実施例2で製造された半導体基板洗浄用組成物を使用した場合残留する不純物が完全に除去されたことがわかる。
【0096】
従って、上のSEM写真から本発明の半導体基板洗浄用組成物及びこれを用いた洗浄工程は、既存に使用していた半導体基板洗浄用組成物及び洗浄方法より、ポリマーのような不純物の除去能力が優れていることを確認できる。
【0097】
ホ. 「パターンウエハーでアルミニウム側壁損傷評価」
前記実施例2及び比較例12で製造された半導体基板洗浄用組成物に対してアルミニウム配線の損傷程度を評価した。
【0098】
図9及び図10はキレート剤の有無によるアルミニウム配線の損傷程度を示すSEM写真である。
【0099】
アルミニウム配線の損傷程度を評価するために、パターンが形成されている基板を使用した。前記基板は次のような過程を通じて得ることができる。まず、シリコン基板上に酸化膜を形成し、続いて、酸化膜上にコンタクトホールを形成した後、酸化膜上部とコンタクトホール内壁とを覆う金属障壁膜を蒸着した。
【0100】
前記金属障壁膜上部とコンタクトホールとを満たすアルミニウム膜を蒸着し、続いて、アルミニウム膜上部にハードマスク層としてのシリコン窒化膜を形成した。シリコン窒化膜上にフォトレジストパターンを形成した後に、これをエッチングマスクとして使用してシリコン窒化膜をエッチングした後アッシングした。続いて、さらにシリコン窒化膜をエッチングマスクとして使用してアルミニウム膜をエッチングした後アッシングした。このような過程を通じて、本実験で使用したパターンが形成されている基板を準備することができた。
【0101】
本実験は、比較例12及び実施例2による製造された半導体基板洗浄用組成物が約25℃でセッティングされたバッチ型洗浄装置に、前記アルミニウム配線が形成されている基板を約60秒間浸漬させ、洗浄した後リンス及び乾燥工程を実施する方法で進行した。
【0102】
図9は、比較例12により製造された組成物を使用してアルミニウム配線が形成されている基板を洗浄した後、アルミニウム側壁の損傷程度を示すSEM写真であり、図10は、実施例2により製造された半導体基板洗浄用組成物を使用して、アルミニウム配線が形成されている基板を洗浄した後、アルミニウム側壁の損傷程度を示すSEM写真である。
【0103】
前記図9と図10を互いに比較してみると、前記図9では、アルミニウム配線の側壁が、損傷されていることを確認できる。一方、図10ではアルミニウム配線の損傷が、確認されない。
【0104】
前記SEM写真を確認した結果、本発明のキレート剤が添加された半導体基板洗浄用組成物及びこれを用いた洗浄工程は、キレート剤が添加されない組成物を使用した場合より、アルミニウム配線などのような金属層に対する損傷程度が少ないことがわかる。
【0105】
ヘ. 「タングステン及びアルミニウムエッチング率の評価」
前記実施例1、2、5ないし10、比較例1ないし8、11、12、14及び15で製造された半導体基板洗浄用組成物に対してタングステン及びアルミニウム配線の損傷程度を評価した。これによる結果を下記表3に示す。
【0106】
タングステン及びアルミニウムに対するエッチング率を評価するために、パターンが形成されていないタングステン及びアルミニウム基板を使用した。前記タングステン及びアルミニウム基板は、以下のような過程で得ることができる。まず、シリコン基板上に酸化膜を形成した。続いて、酸化膜上に金属障壁膜を形成した後、前記金属障壁膜上にCVD方式でタングステンを600Å、またはアルミニウムを3500Åの厚さで蒸着した。
【0107】
本実験は実施例1、実施例2、比較例1ないし8、比較例11及び比較例12で製造された半導体基板を、半導体基板洗浄用組成物が25℃でセッティングされたバッチ型洗浄装置に、前記タングステンまたはアルミニウム膜が形成されている基板を30秒間浸漬させ洗浄した後リンス及び乾燥工程を実施する方法で進行した。
【0108】
【表3】

【0109】
まず、キレート剤の有無、添加されたキレート剤の種類及び個数を除いては硫酸、過酸化水素及びフッ化水素の濃度が、同一の実施例1及び比較例1ないし3、7及び11をグループIにして相互に比較し、実施例2及び比較例4ないし6、8及び12をグループIIにして相互に比較した。フッ化水素の濃度及びキレート剤の有無を除いては硫酸及び過酸化水素の濃度が同一の実施例5及び6、並びに比較例14及び15をグループIIIにして相互に比較した。キレート剤の濃度を除いては硫酸、過酸化水素及びフッ化水素の濃度、及びキレート剤の種類が同一の実施例6ないし10をグループIVにして相互に比較した。
【0110】
表3に示すように、グループIにおいて、キレート剤が添加されていない比較例11、及び界面活性剤のみが添加されている比較例7に比べて、キレート剤が一種類以上添加されている実施例1、及び比較例1ないし3の場合、アルミニウム及びタングステンのエッチング率が顕著に低くなることを確認することができる。また、アルミニウム及びタングステンエッチング率を総合的に評価したとき、二種類のキレート剤が含まれている実施例1の場合は、一種類のキレート剤のみが含まれた比較例1ないし3の場合より金属に対して相対的に低いエッチング率を有することがわかる。
【0111】
また、グループIIにおいて、キレート剤が添加されていない比較例12、及び界面活性剤のみが添加されている比較例8に比べて、キレート剤が一種類以上添加されている実施例2及び比較例4ないし6の場合は、アルミニウム及びタングステンのエッチング率が顕著に低いことを確認することができる。また、アルミニウム及びタングステンエッチング率を総合的に評価したとき、二種類のキレート剤が含まれている実施例2の場合は、一種類のキレート剤のみが含まれた比較例4ないし6の場合より各金属にたいして相対的に低いエッチング率を有することがわかる。
【0112】
グループIIIにおいて、キレート剤を全く含まない比較例14及び15に比べて、二種類のキレート剤を含む実施例5及び6の場合は、アルミニウム及びタングステンのエッチング率が、顕著に低いことを確認することができる。また、フッ化水素約0.03質量%を含む実施例6及び比較例15に比べて、フッ化水素約0.01質量%を含む実施例5及び比較例14の場合は、アルミニウム及びタングステンのエッチング率が顕著に低いことを確認することができる。
【0113】
グループIVに属する実施例6ないし10を比較すると、キレート剤の濃度が増加することによって、アルミニウム及びタングステンのエッチング率が顕著に減少することを確認することができる。トリアゾール約1.0質量%及びグルタミン酸約1.0質量%を含む実施例6に比べて、トリアゾール約10質量%及びグルタミン酸約10質量%を含む実施例10の場合は、アルミニウム及びタングステンのエッチング率が約75%ないし約85%程度減少したことを確認することができる。ただ、キレート剤の濃度が増加することによってアルミニウム及びタングステンのエッチング率が減少するが、表2を参照して説明したように半導体基板洗浄用組成物の安定性も考慮されなければならない。
【0114】
このような結果から、本発明に係る半導体基板洗浄用組成物を使用して実際半導体洗浄工程を実施する場合、既存の洗浄液に比べて、半導体基板上に形成された金属パターン及び下部酸化膜の損傷を防止することができる。また、金属層がアルミニウムまたはタングステンを含む場合は、どのような場合であっても金属層の損傷を防止して半導体基板を洗浄することができるので、工程マージンを確保することができる。
【0115】
以上、本発明の実施例によって詳細に説明したが、本発明はこれに限定されず、当業者であれば、本発明の思想と目的から離れることなく、本発明を修正または変更できる。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】第1キレート剤及び第2キレート剤によって金属層の腐食が防止されるメカニズムを説明するための断面図である。
【図2】第1キレート剤及び第2キレート剤によって金属層の腐食が防止されるメカニズムを説明するための断面図である。
【図3】本発明による半導体基板洗浄用組成物を使用して金属層を含む半導体基板の不純物を除去する方法を示す流れ図である。
【図4】本発明による半導体基板洗浄用組成物を使用して半導体基板上にワードラインを形成する段階を示すための断面図である。
【図5】フッ化水素濃度によるアルミニウムエッチング量評価結果を示す棒グラフである。
【図6】過酸化水素濃度によるタングステンエッチング量評価結果を示す棒グラフである。
【図7】半導体基板洗浄用組成物の種類によるコンタクトの洗浄結果を示すSEM写真である。
【図8】半導体基板洗浄用組成物の種類によるコンタクトの洗浄結果を示すSEM写真である。
【図9】キレート剤の有無によるアルミニウム配線の損傷程度を示すSEM写真である。
【図10】キレート剤の有無によるアルミニウム配線の損傷程度を示すSEM写真である。
【符号の説明】
【0117】
10、100 半導体基板
12 金属層パターン
16 ノズル
18 シングル型洗浄装置
20a、20b 腐食抑制膜
102 素子分離膜
104a ゲート酸化膜パターン
106a ゲート導電膜パターン
108a ゲートマスク
110 ゲート構造物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上に金属を含む構造物パターンを形成する段階と、
酸性水溶液78ないし99.98質量%、第1キレート剤0.01ないし11質量%及び第2キレート剤0.01ないし11質量%を含む半導体基板洗浄用組成物を、前記半導体基板に適用して、前記構造物パターンの不純物が覆っていない第1表面部位上には第1腐食抑制膜を形成し、前記構造物パターンの不純物を被覆している第2表面部位上の前記不純物を除去する段階と、
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記洗浄用組成物の総質量に対して、前記洗浄用組成物は酸性水溶液90ないし99.8質量%、第1キレート剤0.1ないし5質量%、及び第2キレート剤0.1ないし5質量%を含むことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記洗浄用組成物のpHは、0.1ないし6であることを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記第1キレート剤は、アゾール系化合物、アミン系化合物及び硫黄を含む化合物からなる群から選択された少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記アゾール系化合物は、
トリアゾール、1H−1,2,3−トリアゾール、1,2,3−トリアゾール−4,5−ジカルボン酸、1,2,4−トリアゾール、1H−1,2,4−トリアゾール−3−チオール、及び3−アミノ−トリアゾールを含むトリアゾール化合物と、
ベンゾトリアゾール、1−アミノ−ベンゾトリアゾール、1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール、5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、及びベンゾトリアゾール−5−カルボン酸を含むベンゾトリアゾール化合物と、
イミダゾール、1−メチルイミダゾール、ベンズイミダゾール、1−メチル−ベンズイミダゾール、2−メチル−ベンズイミダゾール、及び5−メチル−ベンズイミダゾールなどを含むイミダゾール化合物と、
1H−テトラゾール、1H−テトラゾール−5−アセト酸、及び5−アミノ−テトラゾールを含むテトラゾール化合物と、
ベンゾチアゾール、2−メチル−ベンゾチアゾール、2−アミノ−ベンゾチアゾール、6−アミノ−ベンゾチアゾール、及び2−メルカプト−ベンゾチアゾールを含むチアゾール化合物と、
イソオキサゾール、ベンゾオキサゾール、2−メチル−ベンゾオキサゾール、及び2−メルカプト−ベンゾオキサゾールを含むオキサゾール化合物と、
ピラゾール及び4−ピラゾール−カルボン酸を含むピラゾール化合物と、から構成された群れのうち選択された少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記アミン系化合物は、
メチルアミン、ジエチルアミン、n−デシルアミン、モルホリン、アリルアミン、ピリジン、キノリン、イミダゾリン(imidazoline)、ヘキサメチレンアミン−m−ニトロベンゾエート(hexamethyleneimene−m−nitrobenzoate)、ジシクロヘキサミン亜硝酸塩(dicyclohexamine nitrite)、及び1−エチルアミノ−2−オクタデシルイミダゾリン(1−ethylamino−2−octadecylimidazoline)から構成された群れのうち選択された少なくとも一つを含み、
前記硫を含む化合物は、ベンジルメルカプタン、フェニルチオ尿素、ジ−sec−ブチルスルフィド(di−sec−butylsulfide)及びジフェニルスルホキシドから構成された群れのうち選択された少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記第2キレート剤は、
ジエチレントリアミンペンタ酢酸 、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン、リシン、アルギニン、ヒスチジン、ヒドロキシリジン、システイン、メチオニン、シスチン、プロリン、スルファミン酸、及びヒドロキシプロリンからなる群から選択された少なくとも一つのアミノ酸化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記酸性水溶液は、
硫酸と、
過酸化水素、オゾン、過酸化ホウ酸、過酸化燐酸、過酸化アセト酸、過酸化一硫酸、過酸化二硫酸及びこれらの塩からなる群から選択された少なくとも一つの過酸化化合物と、
フッ化水素、フッ化アンモニウム、及びホウフッ化水素酸からなる群から選択された少なくとも一つのフッ素化合物と、
純水と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記洗浄用組成物総質量に対して前記洗浄用組成物は、
硫酸0.01%〜30質量%と、
過酸化化合物0.01〜20質量%と、
フッ素化合物0.001〜5質量%と、
第1キレート剤0.01〜11質量%と、
第2キレート剤0.01〜11質量%と、
余分の純水と、を含むことを特徴とする請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記洗浄用組成物総質量に対して前記洗浄用組成物は、
硫酸0.1〜10質量%と、
過酸化化合物0.1〜10質量%と、
フッ素化合物0.01〜2質量%と、
第1キレート剤0.1〜5質量%と、
第2キレート剤0.1〜5質量%と、
余分の純水と、を含むことを特徴とする請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記不純物が除去された後、前記構造物パターンの前記第2表面部位上に、第2腐食抑制膜が形成されることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記不純物が除去された半導体基板をリンスする段階と、
前記半導体基板を乾燥する段階と、をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記不純物は、有機物、酸化性ポリマー、金属性ポリマーまたはこれらの混合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記洗浄用組成物を適用する段階は、10℃ないし40℃の温度で実施することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記洗浄用組成物を適用する段階は、バッチ型洗浄装置またはシングル型洗浄装置で実施することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
前記構造物パターンは、シングル型洗浄装置で前記洗浄用組成物と0.01分間ないし5分間接触することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項17】
前記構造物パターンは、半導体装置のビットライン、金属配線、ゲート電極、パッド、またはコンタクトであることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項18】
前記構造物パターンを形成する段階は、
素子分離工程が実施された基板上に酸化膜、導電膜及びマスク層を順次に形成する段階と、
前記酸化膜、前記導電膜及び前記マスク層を順次に乾式エッチングして酸化膜パターン、導電膜パターン及びマスクパターンを含む構造物パターンを形成する段階と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項19】
前記構造物パターンを形成する段階は、
コンタクトパッドを含む層間絶縁膜が形成された基板上に導電膜及びマスク層を順次に形成する段階と、
前記導電膜及び前記マスク層を順次に乾式エッチングして導電膜パターン及びマスクパターンを含む構造物パターンを形成する段階と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項20】
前記洗浄液組成物を前記半導体基板に適用した後、前記半導体基板をリンスする段階及び乾燥する段階をさらに含むことを特徴とする請求項19に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−49881(P2006−49881A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−204826(P2005−204826)
【出願日】平成17年7月13日(2005.7.13)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si Gyeonggi−do,Republic of Korea
【出願人】(505031956)テクノセミケム株式会社 (2)
【Fターム(参考)】