説明

半導体発光素子、窒化物半導体層成長用基板及び窒化物半導体ウェーハ

【課題】高効率の半導体発光素子、窒化物半導体層成長用基板及び窒化物半導体ウェーハを提供する。
【解決手段】実施形態によれば、第1半導体層と、第2半導体層と、それらの間に設けられた発光層と、を備えた半導体発光素子が提供される。第1半導体層は、発光層とは反対の側の第1主面に設けられた複数の構造体を有する。複数の構造体のそれぞれは凹部、または、凸部である。複数の構造体のうちのいずれかである第1の構造体の形状の重心と、複数の構造体のうちで第1の構造体に最も近い第2の構造体の形状の重心と、は、第2軸上に並ぶ。凹部の深さをhbとし、凹部の底部の第2軸に沿った幅をrbとしたとき、rb/(2・hb)≦0.7を満たす。第1主面の単位面積あたりの底部の面積の合計の、単位面積あたりの凸部の合計の面積に対する比は、0.17よりも小さい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体発光素子、窒化物半導体層成長用基板及び窒化物半導体ウェーハに関する。
【背景技術】
【0002】
窒化ガリウムなどの窒化物半導体を用いた、紫外、青色または緑色の発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)、及び、青紫色または青色のレーザダイオード(LD:Laser Diode)などの半導体発光素子が開発されている。
【0003】
半導体発光素子の高効率化のために、外部量子効率の向上が望まれている。外部量子効率の向上のために、光取り出し効率を高めることが重要である。
【0004】
窒化物半導体層を成長させる基板に凹凸加工を施すことで、光取り出し効率を高める構成がある。この構成において、凹凸を埋め込む際に、ピットが形成され、表面平坦性が悪化し、外部量子効率が低下する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4356723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の実施形態は、高効率の半導体発光素子、窒化物半導体層成長用基板及び窒化物半導体ウェーハを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態によれば、第1導電形の層を含む第1半導体層と、前記第1導電形とは異なる第2導電形の層を含む第2半導体層と、前記第1半導体層と、前記第2半導体層と、の間に設けられた発光層と、を備えた半導体発光素子が提供される。前記第1半導体層は、前記第1半導体層の前記発光層とは反対の側の第1主面に設けられた複数の構造体を有する。前記複数の構造体のそれぞれは、前記第1主面上に設けられた凹部であり、前記複数の構造体どうしの間に凸部が設けられる。または、前記複数の構造体のそれぞれは、前記第1主面上に設けられた凸部であり、前記複数の構造体どうしの間に凹部が設けられる。前記複数の構造体のうちのいずれかである第1の構造体の、前記第1主面に対して垂直な第1軸に沿ってみたときの形状の重心と、前記複数の構造体のうちで前記第1の構造体に最も近い第2の構造体の、前記第1軸に沿ってみたときの形状の重心と、は、第2軸上に並ぶ。前記凹部の深さをhbとし、前記凹部の底部の前記第2軸に沿った幅をrbとしたときに、前記hb及び前記rbは、rb/(2・hb)≦0.7を満たす。前記第1主面の単位面積あたりの前記底部の面積の合計の、前記単位面積あたりの前記凸部の合計の面積に対する比は、0.17よりも小さい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施形態に係る半導体発光素子を示す模式的断面図である。
【図2】図2(a)及び図2(b)は、第1の実施形態に係る半導体発光素子を示す模式的平面図である。
【図3】第1の実施形態に係る半導体発光素子を示す模式的断面図である。
【図4】第1の実施形態に係る半導体発光素子の一部を示す模式的断面図である。
【図5】図5(a)〜図5(f)は、第1試料及び第2試料の結晶層の状態を示す電子顕微鏡像及び模式図である。
【図6】第1試料の結晶層の状態を示す電子顕微鏡写真像である。
【図7】図7(a)〜図7(d)は、第1試料及び第2試料の結晶層の状態を示す模式的断面図である。
【図8】第1試料の結晶層の状態を示す断面電子顕微鏡写真像である。
【図9】実験に用いた基板の構成と基板上に成長した結晶層の特性を示す表である。
【図10】実施例及び参考例の半導体発光素子の特性を示すグラフ図である。
【図11】図11(a)及び図11(b)は、実施例及び参考例の半導体発光素子の特性を示すグラフ図である。
【図12】図12は、第1の実施形態に係る別の半導体発光素子の構成を例示する模式的断面図である。
【図13】図13(a)及び図13(b)は、第1の実施形態に係る別の半導体発光素子を示す模式的平面図である。
【図14】図14(a)〜図14(h)は、第1の実施形態に係る半導体発光素子を示す模式的平面図である。
【図15】図15(a)〜図15(h)は、第1の実施形態に係る半導体発光素子を示す模式的平面図である。
【図16】図16(a)及び図16(b)は、第3の実施形態に係る窒化物半導体ウェーハを示す模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る半導体発光素子の構成を例示する模式的断面図である。 図2(a)及び図2(b)は、第1の実施形態に係る半導体発光素子の構成を例示する模式的平面図である。
図3は、第1の実施形態に係る半導体発光素子の構成を例示する模式的断面図である。 まず、図3により、本実施形態に係る半導体発光素子の構成の概要について説明する。
【0011】
図3に表したように、本実施形態に係る半導体発光素子110は、第1半導体層10と、第2半導体層20と、発光層30と、を備える。
【0012】
第1半導体層10は、第1導電形の層を含む。第2半導体層20は、第2導電形の層を含む。第2導電形は、第1導電形とは異なる。発光層30は、第1半導体層10と第2半導体層20との間に設けられる。
【0013】
例えば、第1半導体層10、第2半導体層20及び発光層30は、窒化物半導体を含む。
【0014】
例えば、第1導電形はn形であり、第2導電形はp形である。ただし、実施形態はこれに限らず、第1導電形がp形であり、第2導電形がn形でも良い。以下では、第1導電形がn形であり、第2導電形がp形である場合として説明する。
【0015】
ここで、第1半導体層10から第2半導体層20に向かう方向をZ軸方向とする。Z軸を第1軸とする。Z軸に対して垂直な1つの軸をX軸とする。Z軸とX軸とに対して垂直な方向をY軸とする。以下では、説明の便宜上、第1半導体層10から第2半導体層20に向かう方向を「上」と言い、第2半導体層20から第1半導体層10に向かう方向を「下」と言う場合がある。
【0016】
Z軸は、第1半導体層10、発光層30及び第2半導体層20を含む半導体構造体10s(窒化物半導体層)中における第1半導体層10、発光層30及び第2半導体層20の積層方向に対して平行である。
【0017】
本願明細書において、「積層」とは、互いに接して重ねられる場合の他に、間に他の層が挿入されて重ねられる場合も含む。
【0018】
この例では、半導体構造体10sは、多層膜体40をさらに含む。多層膜体40は、第1半導体層10と発光層30との間に設けられる。多層膜体40は、例えば、超格子層である。多層膜体40は、例えばn形である。多層膜体40は必要に応じて設けられ、省略しても良い。多層膜体40は、第1半導体層10に含まれるものと見なすこともできる。
【0019】
この例では、第1半導体層10は、バッファ層55と、下地層60と、n側コンタクト層11と、を含む。下地層60は、バッファ層55と発光層30との間に設けられる。n側コンタクト層11は、下地層60と発光層30との間に設けられる。バッファ層55には、例えばGaN層が用いられる。下地層60には、例えばアンドープのGaN層が用いられる。n側コンタクト層11には、例えばn形のGaN層が用いられる。n側コンタクト層11が、第1半導体層10に含まれる第1導電形の層に対応する。
【0020】
この例では、第2半導体層20は、第1p側層21、第2p側層22及び第3p側層23を含む。第1p側層21と第1半導体層10との間に発光層30が設けられる。第2p側層22は、第1p側層21と発光層30との間に設けられる。第3p側層23は、第2p側層22と発光層30との間に設けられる。
【0021】
第1p側層21は、例えば、p側コンタクト層としての機能を有する。第1p側層21には、例えばp形GaN層が用いられる。第2p側層22には、例えばp形GaN層が用いられる。第3p側層23には、例えばp形AlGaN層が用いられる。第1p側層21、第2p側層22及び第3p側層23は、第2半導体層20に含まれる第2導電形の層に対応する。
発光層30及び多層膜体40の例に関しては後述する。
【0022】
この例では、半導体発光素子110は、基板50をさらに備える。基板50と発光層30との間に、第1半導体層10が設けられる。Z軸は、基板50の主面(基板主面50a)に対して垂直である。基板50には、例えばサファイア、炭化珪素(SiC)、シリコン(Si)基板及びガリウム砒素(GaAs)などが用いられる。
【0023】
例えば、基板50の主面(基板主面50a)上に、半導体構造体10sが形成される。すなわち、基板主面50a上にバッファ層55が形成され、バッファ層55の上に下地層60が形成され、下地層60の上にn側コンタクト層11が形成され、n側コンタクト層11の上に発光層30が形成され、発光層30の上に第2半導体層20が形成される。基板50の基板主面50a上に半導体構造体10sを形成した後に、基板50を分離しても良い。基板50の分離のときに、バッファ層55は除去されても良い。また、基板50の分離の後に、バッファ層55の少なくとも一部が残っていても良い。なお、バッファ層55は、必要に応じて設けられ、場合によっては省略しても良い。
【0024】
第1半導体層10は、第1半導体層10の発光層30とは反対の側の第1主面60aを有する。第1主面60aは、基板50に対向する面である。第1主面60aは、基板主面50aに接する。この例では、第1主面60aは、バッファ層55の表面(下面)である。ただし、上記のように、基板50が半導体構造体10sから分離される場合は、例えば、第1主面60aは、下地層60の表面(下面)となる。
【0025】
半導体発光素子110は、第1電極70と、第2電極80と、をさらに備える。第1電極70は、第1半導体層10(具体的にはn側コンタクト層11)に電気的に接続される。第2電極80は、第2半導体層20(具体的には第1p側層21)に電気的に接続される。
【0026】
この例では、第1半導体層10の一部と第2半導体層20との間に発光層30が設けられている。半導体構造体10sの第2半導体層20の側の主面において、第1半導体層10の一部の上に第1電極70が設けられている。
【0027】
第1電極70と第2電極80との間に電圧を印加することで、第1半導体層10と第2半導体層20とを介して発光層30に電流が流れ、発光層30から光が放出される。半導体発光素子110は、例えばLEDである。
【0028】
以下、発光層30の構成の例について説明する。
図4は、第1の実施形態に係る半導体発光素子の一部の構成を例示する模式的断面図である。
図4に表したように、発光層30は、複数の障壁層31と、複数の障壁層31どうしの間に設けられた井戸層32と、を含む。
【0029】
例えば、発光層30は、単一量子井戸(SQW:Single Quantum Well)構造を有することができる。このとき、発光層30は、2つの障壁層31と、その障壁層31の間に設けられた井戸層32と、を含む。例えば、発光層30は、多重量子井戸(MQW:Multi Quantum Well)構造を有することができる。このとき、発光層30は、3つ以上の障壁層31と、障壁層31どうしのそれぞれの間に設けられた井戸層32と、を含む。
【0030】
図4に示した例では、発光層30は、(n+1)個の障壁層31と、n個の井戸層32と、を含む(nは、1以上の整数)。第(i+1)番目の障壁層BL(i+1)は、第i番目の障壁層BLiと第2半導体層20との間に配置される(iは、1以上(n−1)以下の整数)。第(i+1)番目の井戸層WL(i+1)は、第i番目の井戸層WLiと第2半導体層20との間に配置される。第1番目の障壁層BL1は、第1半導体層10(この例では多層膜体40)と第1番目の井戸層WL1との間に設けられる。第n番目の井戸層WLnは、第n番目の障壁層BLnと第(n+1)番目の障壁層BL(n+1)との間に設けられる。第(n+1)番目の障壁層BL(n+1)は、第n番目の井戸層WLnと第2半導体層20との間に設けられる。
【0031】
井戸層32は、III族元素とV族元素とを含む窒化物半導体を含む。例えば、井戸層32は、インジウム(In)とガリウム(Ga)とを含む窒化物半導体を含む。井戸層32は、例えば、InxsGa1−xsN(0.05≦xs≦0.5)を含む。発光層30から放出される光のピーク波長は、例えば400ナノメートル(nm)以上650nm以下である。
【0032】
障壁層31は、III族元素とV族元素とを含む窒化物半導体を含む。障壁層31のバンドギャップエネルギーは、井戸層32のバンドギャップエネルギーよりも大きい。障壁層31がInを含む場合、障壁層31のIII族元素中におけるInの組成比は、井戸層32のIII族元素中におけるInの組成比(上記のIn組成比xs)よりも低い。これにより、井戸層32におけるバンドギャップエネルギーは、障壁層31におけるバンドギャップエネルギーよりも小さくなる。
【0033】
多層膜体40は、Z軸に沿って積層された複数の第1膜(図示しない)と、第1膜どうしの間のそれぞれに設けられた第2膜と、を含む。すなわち、多層膜体40は、Z軸方向に交互に積層された複数の第1膜と複数の第2膜とを含む。第1膜は、例えばGaNを含み、第2膜は、例えばInGaNを含む。
【0034】
図3に例示したように、基板50の基板主面50aには、凹凸(基板凹凸51)が設けられている。基板主面50a上に第1半導体層10を形成することで、半導体構造体10sの下面(第1半導体層10の第1主面60a)には凹凸(凹凸61)が形成される。凹凸61の形状は、基板凹凸51の形状に沿っている。
【0035】
例えば、基板50の基板凹凸51は、基板凸部51pと、基板側部51sと、基板凹部51dと、を有する。基板凸部51pは、基板凹部51dよりも相対的に突出している部分である。基板凹部51dは、基板凸部51pよりも相対的に後退している部分である。基板側部51sは、基板凸部51pと基板凹部51dとの間の部分である。基板側部51sは、例えば基板凹凸51の側面である。基板側部51sは、例えば傾斜面を有する。
【0036】
一方、第1半導体層10の凹凸61は、凹部61dと、側部61sと、凸部61pと、を有する。凹部61dは、凸部61pよりも相対的に後退している部分である。凸部61pは、凹部61dよりも相対的に突出している部分である。側部61sは、凹部61dと凸部61pとの間の部分である。側部61sは、例えば凹凸61の側面である。側部61sは、例えば傾斜面を有する。
【0037】
基板凸部51pは、第1半導体層10の凹部61dと、Z軸に沿って対向する。基板凹部51dは、第1半導体層10の凸部61pと、Z軸に沿って対向する。基板側部51sは、第1半導体層10の側部61sに対向する。
【0038】
例えば、基板50となる基体の平坦な主面上に複数の基板凸部51pが形成される。このとき、基体の主面には、例えば連続的な基板凹部51dが形成される。または、例えば、基板50となる基体の平坦な主面上に複数の基板凹部51dが形成される。このとき、基体の主面には、例えば連続的な基板凸部51pが形成される。基板主面50aに設けられる複数の基板凸部51pまたは複数の基板凹部51dを複数の基板構造体ということにする。
【0039】
例えば、第1半導体層10の平坦な面上に複数の凹部61dが設けられる場合には、その面上には、連続的な凸部61pが設けられる。または、例えば、第1半導体層10の平坦な面上に複数の凸部61pが設けられる場合には、その面上には、連続的な凹部61dが設けられる。第1主面60aに設けられる複数の凹部61dまたは複数の凸部61pを複数の構造体ということにする。
【0040】
以下、基板構造体及び構造体の例について説明する。
図1は、図2(a)のA1−A2線断面、及び、図2(b)のA3−A4線断面に相当する断面図である。図2(a)のA1−A2線断面は、図2(b)のA3−A4線断面と一致する。図2(a)は、基板50の基板主面50aに設けられる基板構造体Saを例示している。図2(b)は、第1半導体層10の第1主面60aに設けられる構造体Sbを例示している。
【0041】
図1及び図2(a)に表したように、基板50の基板主面50a上に、複数の基板構造体Saが設けられている。この例では、複数の基板構造体Saのそれぞれは、基板主面50a上に設けられた基板凸部51pである。このとき、複数の基板構造体Saどうしの間に、基板凹部51dの一部のそれぞれが設けられる。実施形態はこれに限らず、後述するように、複数の基板構造体Saのそれぞれは、基板凹部51dでも良い。以下では、基板構造体Saが、基板凸部51pである場合として説明する。
【0042】
図1及び図2(b)に表したように、第1半導体層10(半導体構造体10s)の第1主面60a上に、複数の構造体Sbが設けられる。この例では、複数の構造体Sbのそれぞれは、第1主面60a上に設けられた凹部61dである。このとき、複数の構造体Sbどうしの間に、凸部61pの一部のそれぞれが設けられる。
【0043】
この例では、Z軸に沿ってみたときの基板凸部51pの平面形状は円形であり、凹部61dの平面形状は円形である。すなわち、この例では、基板50の基板主面50a上に、円錐台形状を有する複数の基板構造体Saが設けられている。実施形態はこれに限らず、基板凸部51pの平面形状、及び、凹部61dの平面形状は任意である。
【0044】
図2(a)及び図2(b)に表したように、この例では、Z軸に沿ってみたときに、複数の基板構造体Sa及び複数の構造体Sbは、正六角形の中心及び6つ角のそれぞれに配置される。すなわち、複数の基板凸部51pは、正六角形の中心及び6つ角のそれぞれに配置される。そして、第1半導体層10の複数の凹部61dは、正六角形の中心及び6つ角のそれぞれに配置される。ただし、複数の基板構造体Saの配置及び複数の構造体Sbの配置は任意である。
【0045】
このように、半導体発光素子110は、第1半導体層10と、第2半導体層20と、発光層30と、に、加え、第1主面10aに接する基板50をさらに備えることができる。基板50は、複数の構造体Sbに沿う複数の基板構造体Saを有する。
【0046】
図1及び図2(a)に表したように、複数の基板構造体Saのうちのいずれかである第1の基板構造体Sa1の、Z軸に沿ってみたときの形状の重心Ca1と、複数の基板構造体Saのうちで第1の基板構造体Sa1に最も近い第2の基板構造体Sa2の、Z軸に沿ってみたときの形状の重心Ca2と、は、第2軸上に並ぶ。この例では、第2軸は、X軸に対して平行に設定されている。
【0047】
第1の基板構造体Sa1の重心Ca1と、第2の基板構造体Sa2の重心Ca2と、の間の第2軸(この例では、X軸)に沿った距離を間隔Taとする。間隔Taは、複数の基板構造体Saの配設ピッチに相当する。
【0048】
基板凸部51pの基板頂部51tの第2軸(この例ではX軸)に沿った幅を基板凸部幅raとする。そして、基板凹部51dの第2軸に沿った幅を基板凹部幅Raとする。なお、1つの基板側部51sの第2軸に沿った幅は、(Ta−Ra−ra)/2となる。
【0049】
基板凸部51pの高さを基板凸部高さhaとする。基板凸部高さhaは、基板凸部51pのZ軸上の位置と、基板凹部51dのZ軸上の位置と、の間のZ軸に沿う距離である。
【0050】
一方、図1及び図2(b)に表したように、第1半導体層10の複数の構造体Sbのうちのいずれかである第1の構造体Sb1の、Z軸に沿ってみたときの形状の重心Cb1と、複数の構造体Sbのうちで第1の構造体Sb1に最も近い第2の構造体Sb2の、Z軸に沿ってみたときの形状の重心Cb2と、は、第2軸上(この例では、X軸上)に並ぶ。
【0051】
第1の構造体Sb1の重心Cb1と、第2の構造体Sb2の重心Cb2と、の間の第2軸に沿った距離を間隔Tbとする。間隔Tbは、複数の構造体Sbの配設ピッチに相当する。
【0052】
第1半導体層10の凹部61dの底部61bの第2軸に沿った幅を凹部幅rbとする。そして、凸部61pの第2軸に沿った幅を凸部幅Rbとする。なお、1つの側部61sの第2軸に沿った幅は、(Tb−Rb−rb)/2となる。
【0053】
第1半導体層10の凹部61dの深さを凹部深さhbとする。凹部深さhbは、凹部61dのZ軸上の位置と、凸部61pのZ軸上の位置と、の間のZ軸に沿う距離である。
【0054】
間隔Tbは、間隔Taと実質的に同じである。凹部幅rbは、基板凸部幅raと実質的に同じである。凸部幅Rbは、基板凹部幅Raと実質的に同じである。凹部深さhbは、基板凸部高さhaと実質的に同じである。
【0055】
基板凸部高さha及び凹部深さhbは、例えば、0.5マイクロメートル(μm)以上3μm以下程度とすることができる。基板凸部幅ra及び凹部幅rbは、例えば、0.5μm以上4.0μm以下とすることができる。基板凹部幅Ra及び凸部幅Rbは、例えば、0.5μm以上4.0μm以下とすることができる。
【0056】
実施形態に係る半導体発光素子110においては、上記の基板凸部高さha、基板凸部幅ra及び基板凹部幅Raは、以下の第1式及び第2式
ra/(2・ha)≦0.7 (1)
ra/Ra<1 (2)
の関係を満たす。
【0057】
凹部深さhb、凹部幅rb及び凸部幅Rbは、以下の第3式及び第4式
rb/(2・hb)≦0.7 (3)
rb/Rb<1 (4)
の関係を満たす。
【0058】
これにより、高効率の半導体発光素子が提供できる。すなわち、後述するように、上記の関係を満たすことで、ピットの発生が抑制される。これにより、光取り出し効率が高く、結晶性の高い半導体発光素子が得られる。
【0059】
以下、実施形態の上記の構成を見出す基となった実験結果について説明する。
この実験で用いた基板50においては、図1及び図2(a)に例示したように、基板50の基板主面50aに、複数の基板構造体Saとして、複数の基板凸部51pが設けられる。
【0060】
c面サファイアからなる基板50の基板主面50a上に、フォトレジストを形成した。このフォトレジストは、図2(a)に例示した基板凸部51pのパターンに対応する円形の繰り返しパターンを有する。その後、RIE(Reactive Ion Etching)により、基板主面50aのうちでフォトレジストに覆われていない領域をエッチングした。これにより、基板主面50a上に円錐台形状を有する複数の基板構造体Saが形成される。
【0061】
この実験では、フォトマスクの開口パターン(及びエッチング条件)を変えることで、2種類の基板50を作製した。
第1試料の基板50においては、ra=2.3μm、Ra=1.5μm、ha=1.0μm、Ta=5μmである。第2試料の基板50においては、ra=1.0μm、Ra=2.3μm、ha=1.0μm、Ta=5μmである。これらの基板50のそれぞれの上に、アンドープのGaN層を形成した。この層は、第1半導体層10の一部である下地層60に対応する。
【0062】
具体的には、第1試料及び第2試料の基板50のそれぞれを有機洗浄及び酸洗浄によって処理し、基板50をMOCVD装置の反応室内に導入した。そして、トリメチルガリウム(TMGa)及びアンモニア(NH)を用い、バッファ層55となるGaN層を形成した。バッファ層55の厚さは、約30nmである。
【0063】
さらに、窒素及び水素を含む雰囲気にて、TMGa及びアンモニアを用い、1120℃で、下地層60の一部となるアンドープのGaN層を形成した。
【0064】
第1試料及び第2試料において、バッファ層55、及び、下地層60の一部となるGaN層の成長条件は同じである。このような試料におけるGaN層の形成状態、ピット、転位などを評価した。この実験では、下地層60の一部となるGaN層の形成時間を変えて、厚さが異なるGaN層の試料を評価した。
【0065】
図5(a)〜図5(f)は、第1試料及び第2試料の結晶層の状態を例示する電子顕微鏡像及び模式図である。
図6は、第1試料の結晶層の状態を例示する電子顕微鏡写真像である。
図5(a)〜図5(c)は、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)像である。このSEM像は、基板50の基板主面50aに対してほぼ垂直な方向から撮影した像である。図5(a)は、第1試料の基板50において、GaN層の形成時間が20分のときに対応する。すなわち、図5(a)は、GaN層の厚さの平均が約1.0μmに相当する。図5(b)は、第1試料の基板50において、GaN層の形成時間が30分のときに対応する。すなわち、図5(b)は、GaN層の厚さの平均が、約1.5μmに相当する。図5(c)及び図6は、上記の第2試料の基板50において、GaN層の形成時間が20分のときに対応する。すなわち、図5(c)及び図6は、GaN層の厚さの平均が約1.0μmに相当する。
【0066】
図5(d)〜図5(f)は、結晶層の状態(成長状態)を示す模式的平面図である。これらの図は、それぞれ、図5(a)〜図5(c)のSEM像に基づいて描かれている。
図6は、図5(c)に示した試料を、基板主面50aに対して斜め方向から撮影したSEM像である。
【0067】
図5(a)及び図5(d)に示したように、第1試料spl−1においては、基板凹部51dの上に結晶層Dg(GaN層)が成長すると共に、基板凸部51pの上にも結晶層Pg(GaN層)が成長する。このように、第1試料spl−1においては、下地層60の形成の初期の段階において、下地層60となるGaNの結晶は、基板凹部51d及び基板凸部51pの両方の上で成長する。
【0068】
図5(d)に表したように、基板凹部51dの上に成長する結晶層Dgの斜面の角度(基板主面50aに対して平行な平面内における角度)は、基板凸部51pの上に成長する結晶層Pgの斜面の角度(基板主面50aに対して平行な平面内における角度)と、は異なる。すなわち、結晶の六角形の形状が、Z軸を回転軸として、両者で90度異なる。
【0069】
図5(b)及び図5(e)に示したように、GaN層をさらに成長させ、GaN層を厚くすると、基板凹部51dの上から成長した結晶層Dgと、基板凸部51pの上から成長した結晶層Pgと、が合体する。このGaN層には、ピットPpが観察される。ピットPpは、基板凹部51dの上から成長する結晶層Dgの斜面と、基板凸部51pの上から成長する結晶層Pgの斜面と、が合体する部分に発生している。
【0070】
一方、図5(c)及び図5(f)に示したように、第2試料spl−2の基板50においては、基板凹部51dの上に結晶層Dgが成長するが、基板凸部51pの上には、GaN層は実質的に成長していない。
【0071】
図6に示したように、第2試料spl−2のGaN層を斜め方向から撮像したSEM像からも、基板凸部51pの上にGaN層が実質的に成長していないことが分かる。
【0072】
第2試料spl−2において、GaN層の形成時間をさらに長くすると、基板凹部51dから成長した結晶層Dgどうしが合体し、ピットPpのない平坦なGaN層が得られた。
【0073】
このように、基板50に設けられる凹凸の形状によって、その上に形成される結晶層(GaN層)の状態が変化することが分かった。
【0074】
第1試料spl−1及び第2試料spl−2におけるGaN層の成長状態に関する上記の実験結果は、以下のように説明できる。
図7(a)〜図7(d)は、第1試料及び第2試料の結晶層の状態を例示する模式的断面図である。
図7(a)〜図7(c)は、それぞれ、図5(a)〜図5(c)の状態に対応する。図7(d)は、図7(c)の状態の後(GaN層の形成時間が例えば30分)の状態に対応する。
【0075】
図7(a)に表したように、第1試料spl−1において、基板凹部51dから成長する結晶層Dgは、上面と斜面とを有する。結晶層Dgの上面は、例えば、基板主面50aに対して平行な(0001)面である。結晶層Dgの斜面は、(11−22)面、及び、(11−22)面と等価な結晶面である。
【0076】
基板凸部51pから成長する結晶層Pgも、上面と斜面とを有する。この場合も、結晶層Pgの上面は、例えば、基板主面50aに対して平行な(0001)面である。一方、結晶層Pgの斜面は、(10−11)面、及び、(10−11)面と等価な結晶面である。
【0077】
このように、基板凹部51dから成長する結晶層Dgの斜面の面方位と、基板凸部51pから成長する結晶層Pgの斜面の面方位と、は、互いに異なる。すなわち、基板凹部51dから成長する結晶層Dgの斜面は、基板凸部51pから成長する結晶層Pgの斜面に対して、Z軸を回転軸として90度回転している。この状態が、図5(a)で観察されている。
【0078】
そのため、図5(d)に例示したように、Z軸に沿ってみたときに、これらの斜面により形成される六角形の形状が、基板凹部51dから成長した結晶層Dgと、基板凸部51pから成長した結晶層Pgと、で90度異なる。
【0079】
そして、図7(b)に示したように、さらにGaN層を成長させると、基板凹部51dの上から成長した結晶層Dgと、基板凸部51pの上から成長した結晶層Pgと、が合体する。このとき、結晶層Dgの斜面(例えば(11−22)面)と、結晶層Pgの斜面(例えば(10−11)面)と、の面方位が異なるため、これらの斜面が合体する部分において、ピットPpが発生する。ピットPpは、GaN層の(1−101)面及び(1−101)面と等価な結晶面に沿って延びる。すなわち、ピットPpは、GaN層の<11−20>軸(すなわちa軸)に対して平行に形成される。このように、第1試料spl−1においては、GaN層を厚くして下地層60を形成したときに、一部のピットPpが残り、平坦な下地層60が得られない。
【0080】
一方、図7(c)に示したように、第2試料spl−2においては、基板凹部51dの上に結晶層Dgが成長するが、基板凸部51pの上には、GaN層は実質的には成長しない。すなわち、(11−22)面の斜面を有するGaN層が主として成長する。
【0081】
このため、図7(d)に示したように、GaN層を厚くしたときに、基板凸部51pは、そのGaN層(結晶層Dg)で覆われる。このため、ピットPpが発生し難い。このように、第2試料spl−2の基板50の上には、ピットPpの発生が抑制された平坦なGaN層が形成される。
【0082】
さらに、第1試料spl−1においては、基板凹凸51の斜面(基板側部51s)からGaN層が異常成長することも分かった。
図8は、第1試料の結晶層の状態を例示する断面電子顕微鏡写真像である。
同図は、第1試料spl−1の基板50の上に成長したGaN層(下地層60に対応する)の断面透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)像である。
【0083】
図8に示したように、第1試料spl−1の基板50の上に成長したGaN層(下地層60)においては、ピットPpの他に、基板凹凸51の斜面(基板側部51s)から成長した斜面異常成長層Sgが観察される。さらに、この試料では、多くの転位Dlも観察された(図8の像中の黒い線が転位Dlに対応する)。ピットPp、斜面異常成長層Sg及び転位Dlは、下地層60の上に形成されるn側コンタクト層11、発光層30及び第2半導体層20の結晶性を低くし、結果として、半導体発光素子の効率を低下させる。
【0084】
一方、第2試料spl−2の基板50の上に成長したGaN層においては、基板凹凸51の斜面(基板側部51s)から成長した斜面異常成長層Sgは観察されなかった。また、転位Dlの数は非常に少なかった。
【0085】
このように、発明者は、基板50に設けられる基板凹凸51の形状(基板凸部51pの寸法と基板凹部51dの寸法との関係)によって、その上に成長されるGaN層に発生するピットPp、斜面異常成長層Sg及び転位Dlの状態が変化することを実験的に見出した。
【0086】
発明者は、この知見に基づいて、種々の寸法及び種々の形状を有する複数の基板構造体Saを有する基板50をさらに作製した。すなわち、フォトマスクの開口パターンと、エッチング条件と、を変えることで、基板50となる基体を加工して、種々の寸法及び種々の形状を有する複数の基板構造体Saを形成した。
【0087】
図9は、実験に用いた基板の構成と基板上に成長した結晶層の特性を示す表である。
この図には、上記で説明した第1試料spl−1及び第2試料spl−2も示されている。
図9に示したように、この実験では、第3試料spl−3〜第7試料spl−7の基板凹凸51を有する基板50がさらに作製された。それぞれの試料の基板凸部幅ra(すなわち凹部幅rb)、基板凹部幅Ra(すなわち、凸部幅Rb)、基板凸部高さha(すなわち凹部深さhb)、及び、間隔Ta(すなわち間隔Tb)は、同図に示す通りである。これらの基板50のそれぞれの上に、バッファ層55(GaN層)を形成し、その上に下地層60となるアンドープのGaN層を形成した。これらの層の形成条件は、第1試料spl−1及び第2試料spl−2に関して説明したものと同じである。
【0088】
そして、得られたGaN層のSEM像を撮像し、GaN層の成長状態を評価した。特に、GaN層の成長の初期において基板凸部51pの上から成長する結晶層Pgと、基板凹凸51の斜面(基板側部51s)から成長する斜面異常成長層Sgと、に着目した。
図9には、基板凸部51pの上から成長する結晶層Pgの有無と、斜面異常成長層Sgの有無と、の評価結果が示されている。
【0089】
図9に表したように、第1試料spl−1、及び、第5試料spl−5〜第7試料spl−7においては、基板凸部51pの上から成長する結晶層Pgが観察された。これに対して、第2試料spl−2〜第4試料spl−4においては、基板凸部51pの上から成長する結晶層Pgが観察されなかった。
【0090】
基板凸部51pの上からGaN層が成長するか否かは、基板凸部51pの幅(基板凸部幅ra)と、基板凸部51pの高さ(基板凸部高さha)と、の相対的な関係に依存すると考えられる。すなわち、基板凸部51pの幅が高さに比べて十分に小さいときに、基板凸部51pの上にはGaN層が成長し難いと考えられる。(ra/2)と、haと、の関係について検討した。
【0091】
図9に表したように、ra/(2・ha)が、0.5のときに、基板凸部51pの上において結晶層Pgは成長しない。一方、ra/(2・ha)が、1.15のときには、基板凸部51pの上において結晶層Pgが成長する。そして、ra/(2・ha)が、0.65及び0.70のときには、基板凸部51pの上において結晶層Pgが成長する場合と成長しない場合とがあることが分かった。
【0092】
さらに、基板凸部51pの上からGaN層が成長するか否かは、基板凸部51pの幅(基板凸部幅ra)と、基板凹部51dの幅(基板凹部幅Ra)と、の相対的な関係に依存すると考えられる。すなわち、基板凸部51pの幅(基板凸部幅ra)が十分に小さいときに、原料ガスが基板凹部51dに優先的に供給されるため、基板凸部51pの上でGaN層がより成長し難いと考えられる。
【0093】
図9に表したように、第2試料spl−2〜第4試料spl−4においては、(ra/Ra)が1よりも小さい。そして、第1試料spl−1、及び、第5試料spl−5〜第7試料spl−7においては、(ra/Ra)は1以上である。このことから、ra/Raが1よりも小さいとき、すなわち、基板凸部51pの幅が基板凹部51dの幅よりも小さいときに、基板凸部51pの上における結晶層Pgの成長が抑制されることが分かる。
【0094】
以上から、実施形態に係る半導体発光素子110においては、
ra/(2・ha)≦0.7 (1)
ra/Ra<1 (2)
の関係が満たされるように、基板凸部高さha、基板凸部幅ra及び基板凹部幅Raが設定される。
【0095】
そして、
rb/(2・hb)≦0.7 (3)
rb/Rb<1 (4)
の関係が満たされるように、凹部深さhb、凹部幅rb及び凸部幅Rbが設定される。
【0096】
これにより、基板凸部51pの上における結晶層Pgの成長が抑制される。そして、結晶層Pgの成長に伴って発生するピットPpの発生が抑制される。これにより、高効率の半導体発光素子が提供できる。すなわち、高い光取り出し効率と、高い結晶性と、を実現した半導体発光素子が得られる。
【0097】
ra/(2・ha)は、より望ましくは、0.4以上、0.7以下である。
(ra/Ra)は、より望ましくは、0.25以上、0.6以下である。
rb/(2・hb)は、より望ましくは、0.4以上、0.7以下である。
(rb/Rb)は、より望ましくは、0.25以上、0.6以下である。
【0098】
さらに、ピットPpが存在すると、ピットPpを通じて電流がリークし、半導体発光素子の信頼性が低下する場合がある。実施形態においては、ピットPpの発生が抑制されるため、高い効率に加え、高い信頼性が得られる。
【0099】
さらに、基板凸部51pの上からGaN層が成長するか否かは、基板主面50aにおける基板凸部51pの面積と、基板凹部51dの面積と、の相対的な関係にも依存すると考えられる。すなわち、基板凸部51pの面積が、基板凹部51dの面積に対して十分に小さいときに、基板凸部51pの上においてGaN層が成長し難いと考えられる。ここで、Z軸に沿ってみたときに、基板凸部51pの面積と、基板凹部51dの面積と、基板側部51sの面積と、の合計が、基板主面50aの面積となる。
【0100】
図9に、第1試料spl−1〜第7試料spl−7における、基板主面50aの単位面積あたりの基板頂部51tの面積の合計の、単位面積あたりの基板凹部51dの合計の面積に対する比Srを示す。図9から分かるように、第1試料spl−1、及び、第5試料spl−5〜第7試料spl−7においては、比Srが0.17以上である。第2試料spl−2〜第4試料spl−4においては、比Srは、0.17未満である。このことから、比Srは0.17よりも小さいことが望ましい。より望ましくは、0.11以下である。これにより、基板凸部51pの上における結晶層Pgの成長が抑制され、ピットPpの発生が大幅に抑制される。
【0101】
第1半導体層10(例えば下地層60)においては、第1主面60aの単位面積あたりの凹部61dの底部61bの面積の合計の、単位面積あたりの凸部61pの合計の面積に対する比(上記のSrに相当する)は、0.17よりも小さいことが望ましい。より望ましくは、0.11以下である。
【0102】
図9に示した通り、第1試料spl−1、第5試料spl−5及び第7試料spl−7においては、斜面異常成長層Sgが観察された。一方、第2試料spl−2〜第4試料spl−4、及び、第6試料spl−6においては、斜面異常成長層Sgは観察されなかった。
【0103】
斜面異常成長層Sgが形成されるか否かは、基板側部51sの傾斜面の形状に依存すると考えられる。すなわち、斜面の傾斜が緩やかであるときに、斜面異常成長層Sgの発生が抑制されると考えられる。
【0104】
斜面の傾斜として、基板側部51sの幅と、基板凸部51pの基板凸部高さhaと、の関係について検討した。1つの基板側部51sの幅は、(Ta−Ra−ra)/2である。
【0105】
図9には、ha/(Ta−Ra−ra)の値が示されている。図9から分かるように、ha/(Ta−Ra−ra)が0.59以下のときに、斜面異常成長層Sgが観察されない。
【0106】
斜面異常成長層Sgは、サファイア基板の(11−23)面(すなわちn面)からのGaN層の成長であると考えられる。サファイア基板の(11−23)面(すなわちn面)は、ha/(Ta−Ra−ra)が0.65から0.8の場合に斜面(基板側部51s)を構成する主結晶面となる。この場合、斜面異常成長層Sgが形成されやすい。したがって、ha/(Ta−Ra−ra)を0.6以下、即ち、サファイア基板の(11−23)面の形成を抑制することで、斜面(基板側部51s)でのGaN層の成長が抑制されると考えられ、図9に示した実験結果と整合する。
【0107】
このように、基板50においては、ha/(Ta−Ra−ra)は、0.6以下とされることが好ましい。すなわち、第1半導体層10(下地層60)においては、hb/(Tb−Rb−rb)は、0.6以下とされることが好ましい。これにより、斜面異常成長層Sgの形成が抑制され、転位密度の低い高品質な結晶が得られる。これにより、高い効率が得られる。ha/(Ta−Ra−ra)は、0.5以下とされることがより好ましい。第1半導体層10(下地層60)においては、hb/(Tb−Rb−rb)は、0.5以下とされることがより好ましい。
【0108】
ha/(Ta−Ra−ra)及びhb/(Tb−Rb−rb)は、0以上に設定される。すなわち、基板凹凸51の斜面は順テーパである。
【0109】
実施形態において、基板凸部高さha及び、第1半導体層10の凹部61dの凹部深さhbは、発光層30から放出される光のピーク波長よりも大きいことが好ましい。これにより、例えば、光の回折効果により、光取り出し効率が向上できる。
【0110】
基板凸部高さha及び凹部深さhbが過度に大きいと、表面平坦性が悪化する。基板凸部高さha及び凹部深さhbは、例えば、基板凹部幅Ra(凸部幅Rb)以下であることが好ましい。これにより、良好な表面平坦性が得られる。
【0111】
実施形態において、例えば、基板凸部51pの基板頂部51tは、基板主面50aに対して平行な部分を有する。第1半導体層10の凹部61dは、第1主面60aに対して平行な部分を有する。
【0112】
例えば、Z軸を含む平面で基板50を切断したときに、基板凸部51pの周縁部が丸味を帯びている場合がある。また、基板凹部51dの周縁部が丸味を帯びている場合がある。
【0113】
このような場合には、例えば、基板凸部51p、基板凹部51d及び基板側部51sを以下のように便宜的に定めることができる。すなわち、基板凸部51pは、例えば、基板凹凸51の中で最も突出している部分から基板凸部高さhaの10%の距離の部分と、基板凹凸51の中で最も突出している部分と、の間の範囲の部分とすることができる。基板凹部51dは、例えば、基板凹凸51の中で最も後退している部分から基板凸部高さhaの10%の距離の部分と、基板凹凸51の中で最も後退している部分と、の間の範囲の部分とすることができる。基板側部51sは、基板凹凸51のうちで基板凸部51pと基板凹部51dとを除いた部分(基板凸部高さhaの80%の範囲の部分)とすることができる。
【0114】
同様に、第1半導体層10の凹部61d、凸部61p及び側部61sを以下のように便宜的に定めることができる。すなわち、凹部61dは、例えば、凹凸61の中で最も後退している部分から凹部深さhbの10%の距離の部分と、凹凸61の中で最も後退している部分と、の間の範囲の部分とすることができる。凸部61pは、例えば、凹凸61の中で最も突出している部分から凹部深さhbの10%の距離の部分と、凹凸61の中で最も突出している部分と、の間の範囲の部分とすることができる。側部61sは、凹凸61の内で凸部61pと凹部61dとを除いた部分(凹部深さhbの80%の範囲の部分)とすることができる。
【0115】
(実施例)
以下、本実施形態の実施例に係る半導体発光素子について説明する。図1、図2(a)、図2(b)、図3及び図4に表したように、実施例の半導体発光素子111は、半導体発光素子110に関して説明した構成を有する。半導体発光素子111は、第2試料spl−2の基板50の上に形成される。
【0116】
以下、半導体発光素子111の製造方法について説明する。この製造方法は、本実施形態の半導体発光素子の製造方法の1つの例である。
【0117】
第2試料spl−2の構成を有する基板50を有機洗浄及び酸洗浄によって処理する。MOCVD装置により、TMGa及びNHを用い、バッファ層55となるGaN層を形成する。バッファ層55の厚さは、例えば、約30nmである。
【0118】
次に、窒素及び水素を含む雰囲気にて、TMGa及びアンモニアを用い、1120℃で、下地層60となるアンドープのGaN層を形成する。下地層60の厚さは、例えば、約3μmである。
【0119】
不純物原料ガスとしてシラン(SiH)をさらに加え、n側コンタクト層11となるn形のGaN層を形成する。n側コンタクト層11の厚さは、例えば、約4μmである。
【0120】
n側コンタクト層11の上に多層膜体40を形成する。具体的には、窒素雰囲気にて、TMGa及びアンモニアを用いて第1膜となるアンドープのGaN膜を形成する。第1膜の形成温度は、例えば約800℃である。第1膜の厚さは、例えば約3nmである。第1膜の上にトリメチルインジウム(TMIn)を追加して、第2膜となるアンドープのIn0.07Ga0.93N膜を形成する。第2膜の形成温度は、例えば約800℃である。第2膜の厚さは、例えば約1nmである。このような第1膜の形成と第2膜の形成とを計20回繰り返す。そして、最後の第2膜の上に、第1膜をさらに形成する。これにより、多層膜体40が形成される。
【0121】
次に、基板50の温度を例えば約850℃として、窒素雰囲気にて、TMGa及びアンモニアを用い、障壁層31となるアンドープのGaN層を形成する。障壁層31の厚さは、例えば約5nmである。続いて、基板50の温度を例えば約730℃として、TMGa、TMIn及びアンモニアを用い、井戸層32となるアンドープのIn0.15Ga0.85N層を形成する。井戸層32の厚さは、例えば約2.5nmである。さらに、上記の障壁層31の形成と井戸層32の形成とを繰り返して実施して、発光層30を形成する。井戸層32の数(積層数)は、8である。
【0122】
次に、窒素及び水素を含む雰囲気にて、TMAトリメチルアルミニウム(TMAl)、TMGa及びアンモニア、並びに、不純物原料として、ビスシクロペンタジエニルマグネシウム(CpMg)を用いて、例えば約1030℃にて、第3p側層23となるAlGaN層を形成する。さらに、TMGa及びアンモニアを用いて、第2p側層22となるp形のGaN層を形成し、その上に、第1p側層21となるp形のGaN層を形成する。第3p側層23の厚さは、例えば10nmであり、第2p側層22の厚さは、例えば80nmであり、第1p側層21の厚さは、例えば10nmである。これにより、半導体構造体10sが形成される。
【0123】
この後、基板50の温度を室温まで下げる。そして、半導体構造体10sの第2半導体層20の側の主面からn側コンタクト層11の途中の厚さに達するまでドライエッチングを行い、第2半導体層20の一部及び発光層30の一部を除去する。これにより、第1半導体層10(n側コンタクト層11)の一部が露出される。露出したn側コンタクト層11上に、Ti膜/Pt膜/Au膜の積層膜の第1電極70を形成する。第1p側層21上に、第2電極80となるITO層を形成する。これにより、半導体発光素子111が形成される。
【0124】
また、参考例として、第1試料spl−1の基板50の上に、半導体発光素子111と同様の条件を用いて半導体発光素子191を形成した。
【0125】
図10、図11(a)及び図11(b)は、実施例及び参考例の半導体発光素子の特性を例示するグラフ図である。
図10の縦軸は、ピット密度Cpであり、図11(a)の縦軸は、らせん転位密度Csであり、図11(b)の縦軸は、刃状転位密度Ceである。ピット密度Cpは、SEM像から求めた。らせん転位密度Cs及び刃状転位密度Ceは、TEM像から求めた。
【0126】
図10に示したように、参考例の半導体発光素子191においては、ピット密度Cpは約280(個/mm)であった。これに対して、参考例の半導体発光素子191においては、ピットPpは観察されず、ピット密度Cpは0(個/mm)であった。
【0127】
図11(a)に示したように、半導体発光素子191のらせん転位密度Csは、約5.4×10(/mm)であるのに対し、半導体発光素子111のらせん転位密度Csは、約5.1×10(/mm)であった。図11(b)に示したように、半導体発光素子191の刃状転位密度Ceは、約4.1×10(/mm)であるのに対し、半導体発光素子111の刃状転位密度Ceは、約3.2×10(/mm)であった。
【0128】
このように、実施例の半導体発光素子111においては、参考例の半導体発光素子191に比べて、ピット密度Cp、らせん転位密度Cs及び刃状転位密度Ceが低減する。
【0129】
半導体発光素子111においては、基板凸部51pからの結晶層Pgの成長が抑制され、これにより、ピットPpの発生が抑制される。そして、基板凸部51p上において転位が実質的に発生しないため、全体の転位密度が減少する。
【0130】
参考例の半導体発光素子191においては、斜面異常成長層Sgが観察され、そこから転位が発生する。これに対して、半導体発光素子111では、斜面異常成長層Sgが観察されなかった。半導体発光素子111においては、基板凸部51p及び基板側部51sに形成される欠陥が抑制され、転位密度が低減したと考えられる。
【0131】
また、半導体発光素子111及び191の発光特性を測定したところ、半導体発光素子111の光出力は、半導体発光素子191の光出力の約1.05倍であった。
【0132】
図12は、第1の実施形態に係る別の半導体発光素子の構成を例示する模式的断面図である。
図13(a)及び図13(b)は、第1の実施形態に係る別の半導体発光素子の構成を例示する模式的平面図である。
図12は、図13(a)のA1−A2線断面、及び、図13(b)のA3−A4線断面に相当する断面図である。図13(a)のA1−A2線断面は、図13(b)のA3−A4線断面と一致する。図13(a)は、基板50の基板主面50aに設けられる基板構造体Saを例示している。図13(b)は、第1半導体層10の第1主面60aに設けられる構造体Sbを例示している。
【0133】
図12及び図13(a)に表したように、本実施形態に係る別の半導体発光素子120においては、複数の基板構造体Saのそれぞれは、基板主面50a上に設けられた基板凹部51dである。このとき、複数の基板構造体Saどうしの間に、基板凸部51pの一部のそれぞれが設けられる。
【0134】
図12及び図13(b)に表したように、この例では、複数の構造体Sbのそれぞれは、第1主面60a上に設けられた凸部61pである。このとき、複数の構造体Sbどうしの間に、凹部61dの一部のそれぞれが設けられる。
【0135】
この例では、Z軸に沿ってみたときの基板凹部51dの平面形状は円形であり、凸部61pの平面形状は円形である。すなわち、この例では、基板50の基板主面50a上に、円錐台形状の穴の複数の基板構造体Saが設けられている。実施形態はこれに限らず、基板凹部51dの平面形状、及び、凸部61pの平面形状は任意である。
【0136】
図13(a)及び図13(b)に表したように、この例でも、Z軸に沿ってみたときに、複数の基板構造体Sa及び複数の構造体Sbは、正六角形の中心及び6つ角のそれぞれに配置される。ただし、複数の基板構造体Saの配置及び複数の構造体Sbの配置は任意である。
【0137】
図12及び図13(a)に表したように、この例でも、複数の基板構造体Saのうちのいずれかである第1の基板構造体Sa1の、Z軸に沿ってみたときの形状の重心Ca1と、複数の基板構造体Saのうちで第1の基板構造体Sa1に最も近い第2の基板構造体Sa2の、Z軸に沿ってみたときの形状の重心Ca2と、は、第2軸上に並ぶ。
【0138】
この例でも、第1の基板構造体Sa1の重心Ca1と、第2の基板構造体Sa2の重心Ca2と、の間の第2軸(この例では、X軸)に沿った距離を間隔Taとする。
【0139】
基板凸部51pの基板頂部51tの第2軸に沿った幅を基板凸部幅raとする。そして、基板凹部51dの第2軸に沿った幅を基板凹部幅Raとする。1つの基板側部51sの第2軸に沿った幅は、(Ta−Ra−ra)/2となる。基板凸部51pの高さを基板凸部高さhaとする。
【0140】
図12及び図13(b)に表したように、第1半導体層10の複数の構造体Sbのうちのいずれかである第1の構造体Sb1の、Z軸に沿ってみたときの形状の重心Cb1と、複数の構造体Sbのうちで第1の構造体Sb1に最も近い第2の構造体Sb2の、Z軸に沿ってみたときの形状の重心Cb2と、は、第2軸上に並ぶ。
【0141】
第1の構造体Sb1の重心Cb1と、第2の構造体Sb2の重心Cb2と、の間の第2軸に沿った距離を間隔Tbとする。第1半導体層10の凹部61dの底部61bの第2軸に沿った幅を凹部幅rbとする。そして、凸部61pの第2軸に沿った幅を凸部幅Rbとする。1つの側部61sの第2軸に沿った幅は、(Tb−Rb−rb)/2となる。第1半導体層10の凹部61dの深さを凹部深さhbとする。
【0142】
基板凸部高さha及び凹部深さhbは、例えば、0.5μm以上3.0μm以下程度とすることができる。基板凸部幅ra及び凹部幅rbは、例えば、0.5μm以上4.0μm以下とすることができる。基板凹部幅Ra及び凸部幅Rbは、例えば、0.5μm以上4.0μm以下とすることができる。
【0143】
半導体発光素子120においても、上記の第1式〜第4式を満たすように、基板凸部高さha、基板凸部幅ra及び基板凹部幅Ra、並びに、凹部深さhb、凹部幅rb及び凸部幅Rbが設定される。これにより、ピットの発生が抑制され、高効率の半導体発光素子が提供できる。
【0144】
このように、本実施形態においては、基板50に設けられる複数の基板構造体Saに関して、基板凸部51pの寸法と、基板凹部51dの寸法と、の関係が適切に設定される。すなわち、第1半導体層10の凹部61dの寸法と、凸部61pの寸法と、の関係が適切に設定される。これにより、基板凸部51p上での結晶層Pgの成長が抑制される。これにより、ピット密度Cpが低減でき、転位密度が低減できる。
【0145】
なお、基板凹凸51の面方位を所定の方向に設定する参考例においては、基板凸部51p上での結晶層Pgの成長の抑制することが十分でなく、ピット密度Cp及び転位密度の低減は不十分である。
【0146】
また、基板主面50a上に形成する窒化物半導体層の成長条件を制御することで、基板凸部51p上での結晶層Pgの成長の抑制する参考例も考えられるが、成長条件の制御は難しく、ピット密度Cpの低減は不十分であり、転位密度を低減することは困難である。
【0147】
また、基板凹部51dの形状を制御することで、基板凹部51dでの窒化物半導体層の成長を抑制し、転位密度を低減することを試みる参考例もあるが、この方法では、ピット密度を低減することは困難である。
【0148】
これに対して、実施形態においては、基板凸部51pの寸法と、基板凹部51dの寸法と、の関係(すなわち、第1半導体層10の凹部61dの寸法と、凸部61pの寸法と、の関係)が適切に設定されることで、ピット密度Cp及び転位密度の両方を低減できる。
【0149】
また、平坦な基板上に形成した第1の窒化物半導体層に凹凸を形成し、その上に第2の窒化物半導体層を形成する参考例においては、第1の窒化物半導体層と第2の窒化物半導体層とにおける屈折率差が小さいので光取り出し効率の向上効果が小さい。
【0150】
これに対して、実施形態においては、基板50に基板凹凸51が設けられるため、基板50と第1半導体層10とにおける屈折率差が大きく、光取り出し効率の向上効果が大きい。また、基板50を除去した場合も、第1半導体層10の第1主面10aに形成される凹凸61により、光取り出し効率を大きく向上できる。
【0151】
なお、実施形態において、基板50に複数の基板凸部51pが設けられる場合は、複数の基板凸部51pは、Z軸に対して垂直な平面内で2次元的に配置されることが好ましい。また、基板50に複数の基板凹部51dが設けられる場合は、複数の基板凹部51dは、Z軸に対して垂直な平面内で2次元的に配置されることが好ましい。これにより、基板凸部51pから発生する転位65を抑制する効果が大きくなるとともに、第1半導体層10において、転位が延びる方向が水平方向(Z軸に対して交差する方向)に変化して基板側部51sにぶつかり消滅する割合が増加し、転位密度の低減効果が大きくなる。また、光取り出し効率を大きく向上でき、発光効率が増大する。
【0152】
下地層60において、複数の凹部61dが設けられる場合は、複数の凹部61dは、Z軸に対して垂直な平面内で2次元的に配置されることが好ましい。また、下地層60において、複数の凸部61pが設けられる場合は、複数の凸部61pは、Z軸に対して垂直な平面内で2次元的に配置されることが好ましい。これにより、凹部61dで発生する転位65を抑制する効果が大きくなるとともに、第1半導体層10において、転位が延びる方向が水平方向(Z軸に対して交差する方向)に変化して基板側部51sにぶつかり消滅する割合が増加し、転位密度の低減効果が大きくなる。また、光取り出し効率を大きく向上でき、発光効率が増大する。
【0153】
すなわち、下地層60において、凸部61p及び凹部61dの少なくともいずれかは複数設けられ、複数の前記少なくともいずれかは、Z軸方向に対して垂直な面内で2次元的に配置されていることが好ましい。
【0154】
図14(a)〜図14(h)及び図15(a)〜図15(h)は、第1の実施形態に係る半導体発光素子の構成を例示する模式的平面図である。
すなわち、これらの図は、第1半導体層10(例えば下地層60)の凹凸61(凹部61d及び凸部61p)、及び、基板凹凸51(基板凸部51p及び基板凹部51d)の平面形状及び平面配置(Z軸に沿ってみたときの形状及び配置)を例示している。
【0155】
図14(a)〜図14(h)及び図15(a)〜図15(h)に例示したように、基板凸部51p及び基板凹部51dは、三角形、四角形(ひし形及び平行四辺形を含む)、六角形及び帯状など種々の形状を有することができる。また、複数設けられる基板凸部51p及び複数設けられる基板凹部51dは、三角形の頂点、並びに、六角形の中心及び頂点などに配置されることができる。同様に、第1半導体層10の凹部61d及び凸部61pは、三角形、四角形(ひし形及び平行四辺形を含む)、六角形、帯状など種々の形状を有することができる。また、複数設けられる凹部61d及び複数設けられる凸部61pは、三角形の頂点、並びに、六角形の中心及び頂点などに配置されることができる。上記の他、実施形態において、凹凸61及び基板凹凸51の平面形状及び平面配置は、種々の変形が可能である。
【0156】
基板50において、複数の基板凸部51p及び複数の基板凹部51dの少なくともいずれかが設けられることが好ましい。これにより、第1半導体層10において、転位が延びる方向が水平方向(Z軸に対して交差する方向)に変化して基板側部51sにぶつかり消滅し、転位密度を効果的に減少させることができる。
【0157】
実施形態においては、凹凸パターンを有する基板上に窒化物半導体層を形成する際に、凸部からの成長が抑制され、凹部から成長した結晶同士が合体する。これにより、平坦性に優れた窒化物半導体層を得ることができる。その結果、信頼性と光取り出し効率が高い半導体発光素子を実現できる。
【0158】
本実施形態に係る半導体発光素子は、例えば、青緑色、緑色または赤色のLEDの他、青緑色、緑色及び赤色のレーザダイオード(LD:Laser Diode)などに応用できる。
【0159】
(第2の実施形態)
本実施形態は、窒化物半導体層を成長させるための窒化物半導体層成長用基板に係る。この窒化物半導体層成長用基板は、第1の実施形態において説明した基板50を含む。すなわち、この窒化物半導体層成長用基板(基板50)は、窒化物半導体層(例えば半導体構造体10s)を成長させる基板主面50aを有する。窒化物半導体層成長用基板は、基板主面50aに設けられた複数の基板構造体Saを有する。
【0160】
複数の基板構造体Saのそれぞれは、基板主面50a上に設けられた基板凸部51pであり、複数の基板構造体Saどうしの間に基板凹部51dが設けられる。または、複数の基板構造体Saのそれぞれは、基板主面50a上に設けられた基板凹部51dであり、複数の基板構造体Saどうしの間に基板凸部51pが設けられる。
【0161】
このときも、上記の第1式及び第2式が満たされるように、基板凸部高さha、基板凸部幅ra及び基板凹部幅Raが設定される。これにより、ピットPpの発生が抑制でき、高効率の半導体発光素子を作製することができる。
【0162】
また、基板主面50aの単位面積あたりの基板頂部51tの面積の合計の、単位面積あたりの基板凹部51dの合計の面積に対する比は、0.17よりも小さいことが好ましい。これにより、ピットPpの発生が効果的に抑制される。
【0163】
また、ha/(Ta−Ra−ra)は、0.6以下であることが好ましい。なお、ha/(Ta−Ra−ra)は、0よりも大きい。これにより、例えば斜面異常成長層Sgの発生が抑制され、転位密度が効果的に低減できる。
【0164】
この窒化物半導体層成長用基板は、サファイア、炭化珪素(SiC)、シリコン(Si)基板及びガリウム砒素(GaAs)の少なくともいずれかを含む。
【0165】
(第3の実施形態)
本実施形態は、窒化物半導体ウェーハに係る。
図16(a)及び図16(b)は、第3の実施形態に係る窒化物半導体ウェーハの構成を例示する模式的断面図である。
図16(a)及び図16(b)に表したように、本実施形態に係る窒化物半導体ウェーハ210及び211は、基板50と、基板50の上に設けられた窒化物半導体層(例えば、下地層60を含む層)と、を備える。
【0166】
窒化物半導体ウェーハ210において、基板50の上に設けられた窒化物半導体層は、下地層60を含む。窒化物半導体ウェーハ210は、例えば、半導体発光素子の機能部の下地部分として用いられる。すなわち、窒化物半導体ウェーハ210は、第1の実施形態において説明した半導体発光素子110または120の少なくとも一部として用いることができる。また、窒化物半導体ウェーハ210は、例えば、半導体発光素子に含まれる半導体層の少なくとも一部として用いることができる。または、窒化物半導体ウェーハ210は、トランジスタ(例えば、HEMT)などの窒化物半導体層を用いた半導体装置に応用できる。
【0167】
窒化物半導体ウェーハ211においては、基板50の上には、第1半導体層10(下地層60を含む)、多層構造体40、発光層30及び第2半導体層20が設けられている。すなわち、窒化物半導体ウェーハ211は、半導体発光素子に含まれる半導体層の少なくとも一部として用いることができる。
【0168】
窒化物半導体ウェーハ210及び211において、基板50は、窒化物半導体層の側の基板主面50aに設けられた基板構造体Saを有する。基板構造体Saは、窒化物導体層に接する。
【0169】
複数の基板構造体Saのそれぞれは、基板主面50a上に設けられた基板凸部51pであり、複数の基板構造体Saどうしの間に基板凹部51dが設けられる。または、複数の基板構造体Saのそれぞれは、基板主面50a上に設けられた基板凹部51dであり、複数の基板構造体Saどうしの間に基板凸部51pが設けられる。
【0170】
そして、基板50において、上記の第1式及び第2式が満たされる。また、窒化物半導体層において上記の第3式及び第4式が満たされる。これにより、ピットPpの発生が抑制できる。これにより、例えば、高効率の半導体発光素子を作製できる窒化物半導体ウェーハを提供できる。
【0171】
窒化物半導体ウェーハ210及び211においても、基板主面50aの単位面積あたりの基板頂部51tの面積の合計の、単位面積あたりの基板凹部51dの合計の面積に対する比は、0.17よりも小さいことが好ましい。これにより、ピットPpの発生が効果的に抑制される。
【0172】
また、ha/(Ta−Ra−ra)は、0.6以下であることが好ましい。また、ha/(Ta−Ra−ra)は、0よりも大きい。これにより、例えば斜面異常成長層Sgの発生が抑制され、転位密度が効果的に低減できる。
【0173】
基板50は、サファイア炭化珪素(SiC)、シリコン(Si)基板及びガリウム砒素(GaAs)の少なくともいずれかを含む。
また、窒化物半導体層(例えば半導体構造体10s)は、基板50の上に設けられ、第1導電形の層を含む第1半導体層10と、第1半導体層10の上に設けられた発光層30と、発光層30の上に設けられ、第1導電形とは異なる第2導電形の層を含む第2半導体層20と、を含む。第1半導体層10は、窒化物半導体からなる。
【0174】
実施形態によれば、高効率の半導体発光素子、窒化物半導体層成長用基板及び窒化物半導体ウェーハが提供できる。
【0175】
なお、本明細書において「窒化物半導体」とは、BInAlGa1−x−y−zN(0≦x≦1,0≦y≦1,0≦z≦1,x+y+z≦1)なる化学式において組成比x、y及びzをそれぞれの範囲内で変化させた全ての組成の半導体を含むものとする。またさらに、上記化学式において、N(窒素)以外のV族元素もさらに含むもの、導電形などの各種の物性を制御するために添加される各種の元素をさらに含むもの、及び、意図せずに含まれる各種の元素をさらに含むものも、「窒化物半導体」に含まれるものとする。
【0176】
なお、本願明細書において、「垂直」及び「平行」は、厳密な垂直及び厳密な平行だけではなく、例えば製造工程におけるばらつきなどを含むものであり、実質的に垂直及び実質的に平行であれは良い。
【0177】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、半導体発光素子または窒化物半導体ウェーハに含まれる基板、バッファ層、下地層、半導体層、発光層及び電極などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0178】
その他、本発明の実施の形態として上述した半導体発光素子、窒化物半導体層成長用基板及び窒化物半導体ウェーハを基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての半導体発光素子、窒化物半導体層成長用基板及び窒化物半導体ウェーハも、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0179】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0180】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0181】
10…第1半導体層、 10s…半導体構造体(窒化物半導体層)、 11…n側コンタクト層、 20…第2半導体層、 21…第1p側層、 22…第2p側層、 23…第3p側層、 30…発光層、 31…障壁層、 32…井戸層、 40…多層膜体、 50…基板、 50a…基板主面、 51…基板凹凸、 51d…基板凹部、 51p…基板凸部、 51s…基板側部、 51t…基板頂部、 55…バッファ層、 60…下地層、 60a…第1主面、 61…凹凸、 61b…底部、 61d…凹部、 61p…凸部、 61s…側部、 70…第1電極、 80…第2電極、 110、111、120、191…半導体発光素子、 210、211…窒化物半導体ウェーハ、 BL、BL1、BLn…障壁層、 Ca1、Ca2、Cb1、Cb2…重心、 Ce…刃状転位密度、 Cp…ピット密度、 Cs…らせん転位密度、 Dg…結晶層、 Dl…転位、 Pg…結晶層、 Pp…ピット、 Ra…基板凹部幅、 Rb…凸部幅、 Sa、Sa1、Sa2…基板構造体、 Sb、Sb1、Sb2…構造体、 Sg…斜面異常成長層、 Sr…比、 Ta、Tb…間隔、 WL、WL1、WLn…井戸層、 ha…基板凸部高さ、 hb…凹部深さ、 ra…基板凸部幅、 rb…凹部幅、 spl1〜spl−7…第1〜第7試料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電形の層を含む第1半導体層と、
前記第1導電形とは異なる第2導電形の層を含む第2半導体層と、
前記第1半導体層と、前記第2半導体層と、の間に設けられた発光層と、
を備え、
前記第1半導体層は、前記第1半導体層の前記発光層とは反対の側の第1主面に設けられた複数の構造体を有し、
前記複数の構造体のそれぞれは、前記第1主面上に設けられた凹部であり、前記複数の構造体どうしの間に凸部が設けられる、または、
前記複数の構造体のそれぞれは、前記第1主面上に設けられた凸部であり、前記複数の構造体どうしの間に凹部が設けられ、
前記複数の構造体のうちのいずれかである第1の構造体の、前記第1主面に対して垂直な第1軸に沿ってみたときの形状の重心と、前記複数の構造体のうちで前記第1の構造体に最も近い第2の構造体の、前記第1軸に沿ってみたときの形状の重心と、は、第2軸上に並び、
前記凹部の深さをhbとし、
前記凹部の底部の前記第2軸に沿った幅をrbとしたときに、
前記hb及び前記rbは、rb/(2・hb)≦0.7を満たし、
前記第1主面の単位面積あたりの前記底部の面積の合計の、前記単位面積あたりの前記凸部の合計の面積に対する比は、0.17よりも小さいことを特徴とする半導体発光素子。
【請求項2】
第1導電形の層を含む第1半導体層と、
前記第1導電形とは異なる第2導電形の層を含む第2半導体層と、
前記第1半導体層と、前記第2半導体層と、の間に設けられた発光層と、
を備え、
前記第1半導体層は、前記第1半導体層の前記発光層とは反対の側の第1主面に設けられた複数の構造体を有し、
前記複数の構造体のそれぞれは、前記第1主面上に設けられた凹部であり、前記複数の構造体どうしの間に凸部が設けられる、または、
前記複数の構造体のそれぞれは、前記第1主面上に設けられた凸部であり、前記複数の構造体どうしの間に凹部が設けられ、
前記複数の構造体のうちのいずれかである第1の構造体の、前記第1主面に対して垂直な第1軸に沿ってみたときの形状の重心と、前記複数の構造体のうちで前記第1の構造体に最も近い第2の構造体の、前記第1軸に沿ってみたときの形状の重心と、は、第2軸上に並び、
前記凹部の深さをhbとし、
前記凹部の底部の前記第2軸に沿った幅をrbとし、
前記凸部の前記第2軸に沿った幅をRbとしたときに、
前記hb及び前記rbは、rb/(2・hb)≦0.7を満たし、
前記第1の構造体の前記重心と、前記第2の構造体の前記重心と、の間の前記第2軸に沿った距離をTbとしたときに、hb/(Tb−Rb−rb)は、0.6以下であることを特徴とする半導体発光素子。
【請求項3】
前記第1主面に接する基板であって、前記複数の構造体に沿う複数の基板構造体を有する基板をさらに備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の半導体発光素子。
【請求項4】
窒化物半導体層を成長させる基板主面を有し、前記基板主面に設けられた複数の基板構造体を有する窒化物半導体層成長用基板であって、
前記複数の基板構造体のそれぞれは、前記基板主面上に設けられた基板凸部であり、前記複数の基板構造体どうしの間に基板凹部が設けられる、または、
前記複数の基板構造体のそれぞれは、前記基板主面上に設けられた基板凹部であり、前記複数の基板構造体どうしの間に基板凸部が設けられ、
前記複数の基板構造体のうちのいずれかである第1の基板構造体の、前記基板主面に対して垂直な第1軸に沿ってみたときの形状の重心と、前記複数の基板構造体のうちで前記第1の基板構造体に最も近い第2の基板構造体の、前記第1軸に沿ってみたときの形状の重心と、は、第2軸上に並び、
前記基板凸部の高さをhaとし、
前記基板凸部の基板頂部の前記第2軸に沿った幅をraとしたときに、
前記ha及び前記raは、ra/(2・ha)≦0.7を満たし、
前記基板主面の単位面積あたりの前記基板頂部の面積の合計の、前記単位面積あたりの前記基板凹部の合計の面積に対する比は、0.17よりも小さいことを特徴とする窒化物半導体層成長用基板。
【請求項5】
窒化物半導体層を成長させる基板主面を有し、前記基板主面に設けられた複数の基板構造体を有する窒化物半導体層成長用基板であって、
前記複数の基板構造体のそれぞれは、前記基板主面上に設けられた基板凸部であり、前記複数の基板構造体どうしの間に基板凹部が設けられる、または、
前記複数の基板構造体のそれぞれは、前記基板主面上に設けられた基板凹部であり、前記複数の基板構造体どうしの間に基板凸部が設けられ、
前記複数の基板構造体のうちのいずれかである第1の基板構造体の、前記基板主面に対して垂直な第1軸に沿ってみたときの形状の重心と、前記複数の基板構造体のうちで前記第1の基板構造体に最も近い第2の基板構造体の、前記第1軸に沿ってみたときの形状の重心と、は、第2軸上に並び、
前記基板凸部の高さをhaとし、
前記基板凸部の基板頂部の前記第2軸に沿った幅をraとし、
前記基板凹部の前記第2軸に沿った幅をRaとしたときに、
前記ha及び前記raは、ra/(2・ha)≦0.7を満たし、
前記第1の基板構造体の前記重心と、前記第2の基板構造体の前記重心と、の間の前記第2軸に沿った距離をTaとしたときに、ha/(Ta−Ra−ra)は、0.6以下であることを特徴とする窒化物半導体層成長用基板。
【請求項6】
基板と、
前記基板の上に設けられた窒化物半導体層と、
を備え、
前記基板は、前記窒化物半導体層の側の基板主面に設けられ、前記窒化物導体層に接する複数の基板構造体を有し、
前記複数の基板構造体のそれぞれは、前記基板主面上に設けられた基板凸部であり、前記複数の基板構造体どうしの間に基板凹部が設けられる、または、
前記複数の基板構造体のそれぞれは、前記基板主面上に設けられた基板凹部であり、前記複数の基板構造体どうしの間に基板凸部が設けられ、
前記複数の基板構造体のうちのいずれかである第1の基板構造体の、前記基板主面に対して垂直な第1軸に沿ってみたときの形状の重心と、前記複数の基板構造体のうちで前記第1の基板構造体に最も近い第2の基板構造体の、前記第1軸に沿ってみたときの形状の重心と、は、第2軸上に並び、
前記基板凸部の高さをhaとし、
前記基板凸部の基板頂部の前記第2軸に沿った幅をraとしたときに、
前記ha及び前記raは、ra/(2・ha)≦0.7を満たし、
前記基板主面の単位面積あたりの前記基板頂部の面積の合計の、前記単位面積あたりの前記基板凹部の合計の面積に対する比は、0.17よりも小さいことを特徴とする窒化物半導体ウェーハ。
【請求項7】
基板と、
前記基板の上に設けられた窒化物半導体層と、
を備え、
前記基板は、前記窒化物半導体層の側の基板主面に設けられ、前記窒化物導体層に接する複数の基板構造体を有し、
前記複数の基板構造体のそれぞれは、前記基板主面上に設けられた基板凸部であり、前記複数の基板構造体どうしの間に基板凹部が設けられる、または、
前記複数の基板構造体のそれぞれは、前記基板主面上に設けられた基板凹部であり、前記複数の基板構造体どうしの間に基板凸部が設けられ、
前記複数の基板構造体のうちのいずれかである第1の基板構造体の、前記基板主面に対して垂直な第1軸に沿ってみたときの形状の重心と、前記複数の基板構造体のうちで前記第1の基板構造体に最も近い第2の基板構造体の、前記第1軸に沿ってみたときの形状の重心と、は、第2軸上に並び、
前記基板凸部の高さをhaとし、
前記基板凸部の基板頂部の前記第2軸に沿った幅をraとし、
前記基板凹部の前記第2軸に沿った幅をRaとしたときに、
前記ha及び前記raは、ra/(2・ha)≦0.7を満たし、
前記第1の基板構造体の前記重心と、前記第2の基板構造体の前記重心と、の間の前記第2軸に沿った距離をTaとしたときに、ha/(Ta−Ra−ra)は、0.6以下であることを特徴とする窒化物半導体ウェーハ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−248874(P2012−248874A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−171798(P2012−171798)
【出願日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【分割の表示】特願2011−115583(P2011−115583)の分割
【原出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】