説明

半導体装置、及びその製造方法

【課題】絶縁破壊が発生しにくい半導体装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】集積回路13と電気的に接続する電極14が位置する半導体基板10を用意する。半導体基板の前記第1の面11とは反対側の第2の面12において等方性エッチングを行い、第1内壁面を有する第1凹部を形成する。第1凹部内から前記半導体基板を貫通して電極に至り、第2内壁面22aを有する第2凹部を形成する。第2の面と第1内壁面によって形成された第1の角部、及び第1内壁面と第2内壁面によって形成された第2の角部を除去するエッチバック処理を行い、第2の面と第2内壁面とを連続する第1内壁面を形成する。角部を除去した後、少なくとも第1内壁面、及び第2内壁面を覆うように、電極とオーバーラップする位置に開口部65を有する絶縁層30を形成する。絶縁層を介して第2凹部内に充填され、電極と接続し、かつ第2の面から突出する導電部40を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、集積回路が形成されたシリコンウェハー等の基板に形成された貫通孔を充填するビア(貫通電極)を用い、基板の厚さ方向における電気信号伝達を行うThrough Silicon Via(TSV)技術が知られている(特許文献1)。特許文献1に開示されるように、TSV技術により、例えば、複数のチップを積層し、三次元実装を行う場合、上下のチップ同士の電気接続を容易に行うことができる。
【0003】
このようなTSV技術では、シリコンウェハー等からなる基板と貫通孔を充填する導電材料とを電気的に絶縁するため、導電材料が設けられる貫通孔内壁に絶縁膜を形成する必要がある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−344737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、角部(エッジ)を有する貫通孔の開口部では、その形状から絶縁膜を成膜しにくく、絶縁膜に十分な膜厚を確保することが難しい。また、ビアを用いて導通を図る場合、貫通孔の開口部における角部は、電界が容易に集中しやすい形状である。以上から、貫通孔の開口部では、絶縁破壊によるリーク電流が発生する恐れがあり、TSV技術を用いた半導体装置の信頼性が低下する可能性がある。
【0006】
本発明は上記の事情を鑑み、絶縁破壊がより発生しにくい半導体装置、及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、集積回路が形成された第1の面に、前記集積回路と電気的に接続する電極が位置する半導体基板を用意する工程と、前記半導体基板の前記第1の面とは反対側の第2の面において等方性エッチングを行い、第1内壁面を有する第1凹部を形成する工程と、前記第1凹部内から前記半導体基板を貫通して前記電極に至り、第2内壁面を有する第2凹部を形成する工程と、前記第2の面と前記第1内壁面によって形成された第1の角部、及び、前記第1内壁面と前記第2内壁面によって形成された第2の角部を除去するエッチバック処理を行い、前記第2の面と前記第2内壁面とを連続する前記第1内壁面を形成する工程と、前記角部を除去した後、少なくとも前記第1内壁面、及び前記第2内壁面を覆うように、前記電極とオーバーラップする位置に開口部を有する絶縁層を形成する工程と、前記絶縁層を介して前記第2凹部内に充填され、前記電極と接続し、かつ、前記第2の面から突出する導電部を形成する工程と、を含む。
【0008】
本発明によれば、エッチバック処理を行う工程を含み、該エッチバック工程にて、第2の面、第1内壁面、及び第2内壁面において角部が除去される。換言すれば、本発明によれば、第2の面、第1内壁面、及び第2内壁面を、角部が形成されず、滑らかに連続する面とすることができる。したがって、導電部に電位がかかる際、第1内壁面周辺において電界が集中しにくい半導体装置の製造方法を提供することができる。
【0009】
また、本発明によれば、絶縁層は、角部が除去され、滑らかに連続する第1内壁面、及び第2内壁面を覆うように形成されるため、絶縁層の膜厚をより均一に形成することができる。したがって、絶縁層の信頼性が向上し、絶縁層で絶縁破壊がより発生しにくい半導体装置の製造方法を提供することができる。
【0010】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、前記絶縁層を形成する工程は、前記第1の角部及び前記第2の角部が除去された後、少なくとも前記第1内壁面、及び前記第2内壁面を覆う絶縁膜を形成する工程と、前記絶縁膜を介して前記第1内壁面を覆うレジスト層を形成する工程と、フォトリソグラフィにより、前記絶縁膜の前記電極とオーバーラップする位置に前記開口部を形成する工程と、を含み、前記導電部を形成する工程において、前記導電部は、前記レジスト層から突出するように形成されてもよい。
【0011】
このような半導体装置の製造方法によれば、絶縁膜の膜厚をより均一に形成することができる。また、このような半導体装置の製造方法によれば、導電部と半導体基板の第1内壁面との間に、絶縁層及びレジスト層が設けられるため、絶縁破壊がより発生しにくい半導体装置の製造方法を提供することができる。
【0012】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、前記絶縁層を形成する工程は、前記第1の角部及び前記第2の角部が除去された後、少なくとも前記第1内壁面、及び前記第2内壁面を覆う絶縁膜を形成する工程と、前記絶縁膜を介して前記第1内壁面を覆うレジスト層を形成する工程と、フォトリソグラフィにより、前記絶縁膜の前記電極とオーバーラップする位置に前記開口部を形成する工程と、前記レジスト層を除去する工程と、を含んでいてもよい。
【0013】
このような半導体装置の製造方法によれば、絶縁膜の膜厚をより均一に形成することができる。
【0014】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、前記絶縁層はCVD法を用いて形成されてもよい。
【0015】
このような半導体装置の製造方法によれば、絶縁膜の膜厚をより均一に形成することができる。
【0016】
本発明に係る半導体装置は、集積回路、前記集積回路に電気的に接続された電極、及び前記電極が形成された第1の面とは反対側の第2の面から前記電極に至る凹部を有する半導体基板と、少なくとも前記凹部の内壁面を覆い、前記電極とオーバーラップする位置に開口部を有する絶縁層と、前記絶縁層を介して前記凹部を充填し、前記電極と接続し、かつ前記第2の面から突出する導電部と、を含み、前記凹部の前記内壁面は、前記第2の面と連続する第1内壁面、及び前記第1内壁面と連続する第2内壁面を有し、前記第1内壁面は、前記第2の面、及び前記第2内壁面と角部を形成しない。
【0017】
本発明によれば、第2の面、第1内壁面、及び第2内壁面において角部が形成されない。換言すれば、本発明によれば、第2の面、第1内壁面、及び第2内壁面は、滑らかに連続する面であることができる。したがって、導電部に電位がかかる際、第1内壁面周辺において電界が集中しにくい半導体装置を提供することができる。
【0018】
また、本発明によれば、絶縁層は、角部が除去され、滑らかに連続する第1内壁面、及び第2内壁面を覆うように形成されているため、絶縁層がより均一な膜厚を有することができる。したがって、絶縁層の信頼性が高く、絶縁層が破壊されにくく、絶縁破壊がより発生しにくい半導体装置を提供することができる。
【0019】
本発明に係る半導体装置において、前記第2の面、及び前記第1内壁面を覆うレジスト層を更に含み、前記導電部は前記レジスト層から突出していてもよい。
【0020】
このような半導体装置の製造方法によれば、導電部と半導体基板の第1内壁面との間に、絶縁層及びレジスト層が設けられるため、絶縁破壊がより発生しにくい半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態に係る半導体装置の製造方法を模式的に説明する図。
【図2】本実施形態に係る半導体装置の製造方法を模式的に説明する図。
【図3】本実施形態に係る半導体装置の製造方法を模式的に説明する図。
【図4】本実施形態に係る半導体装置の製造方法を模式的に説明する図。
【図5】本実施形態に係る半導体装置が実装された回路基板を模式的に示す図。
【図6】本実施形態に係る半導体装置を有する電子機器を模式的に示す図。
【図7】本実施形態に係る半導体装置を有する電子機器を模式的に示す図。
【図8】本実施形態に係る半導体装置の製造方法の変形例を模式的に説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明を適用した実施形態の一例について図面を参照して説明する。ただし、本発明は以下の実施形態のみに限定されるものではない。本発明は、以下の実施形態及びその変形例を自由に組み合わせたものを含むものとする。
【0023】
図1〜図3は、本実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための図である。以下においては、まず、本実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明し、半導体装置に係る説明を行う。
【0024】
本実施形態に係る半導体装置の製造方法では、まず、半導体基板10を用意する。図1(A)に示すように、半導体基板10は、プレート状の部材であって、半導体チップの状態で用意してもよく、あるいは、半導体ウエハの状態で用意してもよい。半導体基板10は少なくとも1つの(半導体チップには1つの、半導体ウエハには複数の)集積回路(例えばトランジスタやメモリを有する回路)13を有する。
【0025】
図1(A)に示すように、半導体基板10は、集積回路13が形成される能動面11(第1の面11)と、能動面12とは反対側の面である非能動面12(第2の面12)とを有する。
【0026】
図1(A)に示すように、能動面11の表面には、層間絶縁膜16が形成されていてもよい。層間絶縁膜16上には、後述される電極14と、集積回路13と電極14とを電気的に接続する配線(図示せず)が形成されていてもよい。なお、層間絶縁膜16は酸化膜によって形成されていてもよい。
【0027】
図1(A)に示すように、半導体基板10には電極(電極パッド)14が形成される。電極14は、半導体基板10の能動面11側(例えば、層間絶縁膜16上)に形成される。電極14の平面形状は特に限定されず、例えば、矩形であってもよい。ここで、図1(A)に示すように、電極14の半導体基板10の露出する面とは反対側の能動面11側の面を基面14aとする。基面14aは、能動面11(例えば、層間絶縁膜16)と接する面である。
【0028】
電極14は複数形成されていてもよい。半導体基板10が半導体ウエハである場合、複数の半導体チップとなる各領域に、2つ以上(1グループ)の電極14が形成される。各電極14は、集積回路13に電気的に接続されていてもよい。電極14の材質は、導電材料から選択される限り、特に限定されない。電極14は、例えば、アルミニウムから形成されていてもよい。
【0029】
図1(A)に示すように、層間絶縁膜16上には、絶縁膜18が、電極14の少なくとも一部を避けて形成されていてもよい。言い換えると、絶縁膜18は電極14とオーバーラップする開口を有してもよい。絶縁膜18は、電極14の表面を覆うように形成した後、その一部をエッチングすることで電極14の一部を露出させてもよい。エッチングには、ドライエッチング及びウエットエッチングのいずれを適用してもよい。また、絶縁膜18は、パッシベーション膜と称してもよく、窒化ケイ素(SiN)、二酸化ケイ素(SiO)、ポリイミド樹脂等で形成してもよい。
【0030】
次に、図1(A)及び図1(B)に示すように、半導体基板10の非能動面12に第1凹部21を形成する。第1凹部21は、開口部61を有するレジスト層60を用いた等方性エッチングによって形成される。したがって、図1(B)に示すように、第1凹部21は、曲面からなる第1内壁面21aを有する。第1凹部21は、非能動面12上の電極14と対応する位置であって、後述される第2凹部22を形成することができる位置に形成される。例えば、第1凹部21は、非能動面12の法線方向から見た場合に、電極14とオーバーラップする位置に配置されていてもよい。
【0031】
なお、レジスト層60は、リソグラフィ工程によって適宜パターニングされて形成される。レジスト層60は、第1凹部21、及び後述される第2凹部22を形成するために用いてもよい。
【0032】
次に、図1(C)に示すように、第1凹部21内から半導体基板10を貫通して電極14に至り、第2内壁面22aを有する第2凹部22を形成する。図1(C)に示すように、第2凹部22は、半導体基板10(層間絶縁膜16)を貫通するために厚み方向に延びる凹部であり、電極14の基面14aを露出させる。したがって、第2凹部22の第2内壁面22aは半導体基板10(層間絶縁膜16)からなり、底面は電極14の基面14aからなる。第2凹部22の形成には、例えば、異方性エッチングを適用してもよい。あるいは、第2凹部22の形成に、レーザ(例えばCOレーザ、YAGレーザ等)を使用してもよい。
【0033】
図1(D)に示すように、レジスト層60は、第2凹部22を形成した後、適宜除去される。ここで、図1(D)に示すように、第1凹部21の第1内壁面21a、及び第2凹部22から形成される部分を凹部20と称してもよい。凹部20は、集積回路13の素子及び配線を避けて形成される。凹部20の開口部は第1内壁面21aからなり、底面は、電極14の基面14aからなる。換言すれば、凹部20は、テーパー状の面(第1内壁面21a)からなる開口部を有する。ここで、凹部20は、底面として14aを有するため、貫通孔ではない。しかしながら、半導体基板10を貫通している。そのため、凹部20を貫通孔と称してもよい。
【0034】
また、図1(D)に示すように、第2凹部22を形成する工程後、非能動面12と第1内壁面21aによる角部23(第1の角部)、及び、第1内壁面21aと第2内壁面22aによる角部23(第2の角部)が形成される。角部23とは、非能動面12と第1内壁面21aとが接する部分、及び第1内壁面21aと第2内壁面22aとが接する部分に形成される角部であって、それぞれの面のエッジ(縁)を形成する部分である。したがって、角部23は、半導体基板10の表面を微視的に見た場合に確認される凹凸と区別される。
【0035】
次に、図2(A)に示すように、角部23を除去するエッチバック処理を行う。エッチバック処理には、図示しないレジスト層を用いて、ドライエッチングを適用してもよい。これによれば、図2(A)に示すように、角部23を除去し、非能動面12と第2内壁面22aとを滑らかに連続する第1内壁面21bを形成することができる。したがって、本工程により、非能動面12、第1内壁面21b、及び第2内壁面22aを、角部が形成されず、互いに滑らかに連続する面とすることができる。
【0036】
次に、図2(B)〜図2(D)に示すように、角部23が除去された後、少なくとも第1内壁面21b、及び第2内壁面22aを覆うように、電極14とオーバーラップする位置に開口部31を有する絶縁層30を形成する。
【0037】
本工程では、まず、図2(B)に示すように、少なくとも凹部20の内面(第1内壁面21a、第2内壁面22a、及び基面14a)を覆うように絶縁膜30aを形成する。絶縁膜30aは、凹部20の内面(第1内壁面21a、第2内壁面22a、及び基面14a)に形成され、かつ、非能動面12(絶縁膜18)上に連続して形成されてもよい。絶縁膜30aは、酸化膜であってもよい。例えば、半導体基板10の基材がSiである場合、絶縁膜30aは二酸化ケイ素(SiO)であってもよいし、窒化ケイ素(SiN)であってもよい。また、絶縁膜30aは樹脂であってもよい。
【0038】
絶縁膜30aを成膜する方法は特に限定されず、公知の成膜方法を用いることができる。絶縁膜30aの成膜には、例えば、化学蒸着法(CVD法:Chemical Vapor Deposition)、スパッタリング法、スピンコート法、レーザーアブレーション法等を適用してもよい。絶縁膜30aが酸化膜であって、SiOである場合、熱CVD法あるいはプラズマCVD法を用いることで、絶縁膜30aをより均一な膜として形成することができる。これによれば、絶縁膜30aの被覆性がより向上するため、より均一な膜厚を有する絶縁膜30aを形成することができる。
【0039】
ここで、例えば特開2006−344737号公報に開示されるような凹部の開口部が角部によって形成されている半導体基板に上記の公知技術でもって絶縁膜を成膜する場合、角部において所望の膜厚を得ることは技術的に困難である。しかしながら、本実施形態に係る半導体装置の製造方法においては、被成膜面である非能動面12、第1内壁面21b、及び第2内壁面22aが、角部23が除去され、互いに滑らかに連続する面であるため、より均一な膜厚を有する絶縁膜30aを形成することができる。
【0040】
次に、図2(C)に示すように、絶縁膜30aを介して第1内壁面21bを覆うレジスト層62を形成する。したがって、レジスト層62は、第2凹部22とオーバーラップする開口部63を有する。また、レジスト層62は、非能動面12の上方においても形成されていてもよい。開口部63は、後述されるフォトリソグラフィ工程において、形成される開口部31の形状と対応するように形成される。より具体的には、レジスト層62は、後述されるフォトリソグラフィ工程において凹部20の第2内壁面22aに形成された絶縁膜30aが除去されないように配置される。
【0041】
次に、図2(D)に示すように、フォトリソグラフィにより、絶縁膜30aの電極14とオーバーラップする位置に開口部31を形成する。これにより、図2(D)に示すように、絶縁層30が形成される。また、開口部31を形成することにより電極14の基面14aが凹部20内において再度露出し、後述される導電部40が、電極14(基面14a)と接する(導通する)ことができる。
【0042】
次に、図3(A)〜図3(D)に示すように、絶縁層30を介して第2凹部22内に充填され、電極14(基面14a)と接続し、かつ、非能動面12から突出する導電部40を形成する。
【0043】
図3(D)に示すように、導電部40は、凹部20を充填し、絶縁層30を介して第1内壁面21b及び第2内壁面22aを覆うように形成されてもよい。また、導電部40は、一部が、絶縁層30を介して非能動面12を覆うように形成されてもよい。図3(D)に示すように、導電部40は、凹部20を充填し、電極14と接する部分41と、非能動面12から突出する部分42と、を有する。
【0044】
本工程は、レジスト層62を除去する工程(図3(A)参照)と、開口部65を有するレジスト層64を形成する工程(図3(B)参照)と、レジスト層64から露出した部分に導電部40を形成する工程(図3(C)参照)と、を含んでいてもよい。例えば、半導体基板10の非能動面12側から、例えば、スパッタリングや無電解メッキによって導電膜(図示せず)を形成した後に、パターニングされたレジスト層64を形成する(図3(B)参照)。その後、電解メッキを行って、導電部40を形成し、レジスト層64および導電部40以外の前記導電膜(図示せず)を除去してもよい(図3(C)、及び図3(D)参照)。ただし、導電部40を形成する工程はこれに限られず、例えばインクジェット方式等の既に公知となっているいずれの方法を適用してもよい。
【0045】
本実施形態に係る半導体装置の製造方法において、図3(D)に示すように、導電部40の部分41の一部が形成される第1内壁面21bは、前述のように、角部23が除去され滑らかに非能動面12と第2内壁面22aとを連続する面である。したがって、導電部40に電位が加えられた場合であっても、例えば特開2006−344737号公報に開示されるような角部がないために、導電部40周辺の半導体基板10の角部に電界が集中することを防ぐことができる。
【0046】
なお、導電部40の材質は、導電性を有する限り特に限定されない。導電部40は、例えば、Cuによって形成してもよい。
【0047】
以上の工程によって、半導体装置100を製造してもよい(図3(D)参照)。なお、半導体基板10として半導体ウエハを利用する場合、最後に、該半導体ウエハを個片に切り出す工程を経て、半導体装置100を製造してもよい。
【0048】
本実施形態に係る半導体装置およびその製造方法は、例えば以下の特徴を有する。
【0049】
本実施形態に係る半導体装置の製造方法は、エッチバック処理を行う工程(図2(A)参照)を含み、該エッチバック工程にて、非能動面12、第1内壁面21a、及び第2内壁面22aにおいて角部23が除去される。換言すれば、本実施形態に係る半導体装置の製造方法によれば、非能動面12、第1内壁面21b、及び第2内壁面22aは、角部23が除去され、滑らかに連続する面であることができる。したがって、導電部40に電位がかかる際、第1内壁面21b周辺において電界が集中しにくい半導体装置の製造方法を提供することができる。
【0050】
また、本実施形態に係る半導体装置の製造方法によれば、絶縁層30は、角部23が除去され、滑らかに連続する第1内壁面21b、及び第2内壁面22aを覆うように形成されるため、絶縁層30の膜厚をより均一に形成することができる。したがって、絶縁層30の信頼性が向上し、絶縁層30で絶縁破壊が発生しにくい半導体装置の製造方法を提供することができる。
【0051】
本実施形態に係る半導体装置においても、非能動面12、第1内壁面21b、及び第2内壁面22aにおいて角部23が形成されない。したがって、導電部40に電位がかかる際、第1内壁面21b周辺において電界が集中しにくい半導体装置100を提供することができる。
【0052】
また、本実施形態に係る半導体装置によれば、絶縁層30は、角部23が除去され、滑らかに連続する第1内壁面21b、及び第2内壁面22aを覆うように形成されているため、絶縁層30がより均一な膜厚を有することができる。したがって、絶縁層30の信頼性が高く、絶縁層が破壊されにくく、絶縁破壊が発生しにくい半導体装置100を提供することができる。
【0053】
次に、図4は、積層型の半導体装置200を示す図である。半導体装置200は、積層された半導体装置100を有する。そして、該半導体装置同士は、導電部40を通して電気的接続が図られてなる。半導体装置200の製造方法は、半導体装置100を積層し、導電部40を通して電気的接続を図ることを含む。このとき、図4に示すように、一方の半導体装置100の導電部40と、他方の半導体装置100の電極14との間に導電部材50を設けることで、上下の半導体装置100を接合してもよい。
【0054】
図4に示すように、半導体装置200は、配線基板90を有してもよく、積層された半導体装置100は配線基板90に搭載されていてもよい。配線基板90には、複数の配線92が形成されていてもよく、また、外部端子94が形成されていてもよい。これにより、回路基板等に実装しやすい半導体装置200を提供することができる。さらに、積層された各半導体装置100の間には、図示しない絶縁層(応力緩和機能を有してもよい)が形成されていてもよい。これにより、信頼性の高い半導体装置100を形成することができる。
【0055】
なお、図5には、本実施形態に係る半導体装置200が実装された回路基板1000を示す。また、本実施形態に係る半導体装置を有する電子機器の例として、図6には電子機器2000としてノート型パーソナルコンピュータが、図7には電子機器3000として携帯電話が、それぞれ示されている。
【0056】
(変形例)
以下、本実施形態に係る半導体装置の変形例、及びその製造方法を説明する。なお、本変形例に係る半導体装置101は、上述された半導体装置100に対し、図2(D)に示すレジスト層62が付加された構造を有する。したがって、以下の説明では、半導体装置100と同一の構成は、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0057】
図8は、本変形例に係る半導体装置の製造方法を説明するための図である。以下においては、図2及び図8を参照し、本変形例に係る半導体装置の製造方法を説明する。
【0058】
本変形例に係る半導体装置の製造方法における絶縁層30を形成する工程は、角部23が除去された後(図2(A)参照)、少なくとも第1内壁面21b、及び第2内壁面22aを覆う絶縁膜30aを形成する工程(図2(B)参照)と、絶縁膜30aを介して第1内壁面21bを覆うレジスト層62を形成する工程(図2(C)参照)と、フォトリソグラフィにより、絶縁膜30aの電極14とオーバーラップする位置に開口部31を形成する工程(図2(D)参照)と、を含む。
【0059】
しかしながら、図8(A)に示すように、レジスト層62を除去する工程は含まれず、導電部40aを形成するためのレジスト層66は、レジスト層62の上に形成される。レジスト層62は、絶縁層30を介して、第1内壁面21b及び非能動面12を覆うように形成される。したがって、レジスト層62により、例えば図4に示すように、半導体装置101が積層される場合、半導体装置101の半導体基板10を保護することができる。したがって、レジスト層62を、保護膜62と称してもよい。
【0060】
次に、図8(B)及び図8(C)に示すように、導電部40aを形成する。本工程において、導電部40aは、非能動面12から突出し、かつ、レジスト層62から突出するように形成される。導電部40aは、図8(B)に示すように、第2凹部22、及びレジスト層62の開口部64を充填するように形成される。図8(C)に示すように、導電部40aと半導体基板10の第1内壁面21bとの間に、絶縁層30及びレジスト層62が設けられる。換言すれば、半導体装置100と比べて、第1内壁面21bと導電部40aとの間において、より距離をとることができる。したがって、導電部40aに電位が加えられた場合に、より絶縁破壊が発生しにくい半導体装置101を提供することができる。導電部40aが形成された後、レジスト層66は適宜除去される(図8(C)参照)。
【0061】
また、本変形例に係る半導体装置の製造方法によれば、上記半導体装置101を製造することができることに加え、半導体装置の製造方法のコスト削減とプロセスの簡便化を図ることができる。例えば、図4に示すように、半導体装置を積層する場合、半導体装置を保護するために保護膜として、絶縁層30の開口部31を形成するためにレジスト層62を利用することができる。よって、保護膜を別途作成する必要がない。したがって、本変形例に係る半導体装置の製造方法によれば、半導体装置の製造方法のコスト削減とプロセスの簡便化を図ることが可能となる。
【0062】
上記のように、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは、当業者には容易に理解できよう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0063】
10 半導体基板、11 能動面、12 非能動面、13 集積回路、14 電極、
14a 基面、20 凹部、21 第1凹部、21a、21b 第1内壁面、
22 第2凹部、22a 第2内壁面、30 絶縁層、30a 絶縁膜、
31 開口部、40、40a 導電部、50 導電部材、
60、62、64、66 レジスト層、61、63、65 開口部、
100、101、200 半導体装置、1000 回路基板、
2000、3000 電子機器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積回路が形成された第1の面に、前記集積回路と電気的に接続する電極が位置する半導体基板を用意する工程と、
前記半導体基板の前記第1の面とは反対側の第2の面において等方性エッチングを行い、第1内壁面を有する第1凹部を形成する工程と、
前記第1凹部内から前記半導体基板を貫通して前記電極に至り、第2内壁面を有する第2凹部を形成する工程と、
前記第2の面と前記第1内壁面によって形成された第1の角部、及び、前記第1内壁面と前記第2内壁面によって形成された第2の角部を除去するエッチバック処理を行い、前記第2の面と前記第2内壁面とを連続する前記第1内壁面を形成する工程と、
前記角部を除去した後、少なくとも前記第1内壁面、及び前記第2内壁面を覆うように、前記電極とオーバーラップする位置に開口部を有する絶縁層を形成する工程と、
前記絶縁層を介して前記第2凹部内に充填され、前記電極と接続し、かつ、前記第2の面から突出する導電部を形成する工程と、
を含む、半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記絶縁層を形成する工程は、前記第1の角部及び前記第2の角部が除去された後、少なくとも前記第1内壁面、及び前記第2内壁面を覆う絶縁膜を形成する工程と、前記絶縁膜を介して前記第1内壁面を覆うレジスト層を形成する工程と、フォトリソグラフィにより、前記絶縁膜の前記電極とオーバーラップする位置に前記開口部を形成する工程と、
を含み、
前記導電部を形成する工程において、前記導電部は、前記レジスト層から突出するように形成される、半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1において、
前記絶縁層を形成する工程は、前記第1の角部及び前記第2の角部が除去された後、少なくとも前記第1内壁面、及び前記第2内壁面を覆う絶縁膜を形成する工程と、前記絶縁膜を介して前記第1内壁面を覆うレジスト層を形成する工程と、フォトリソグラフィにより、前記絶縁膜の前記電極とオーバーラップする位置に前記開口部を形成する工程と、前記レジスト層を除去する工程と、
を含む、半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項において、
前記絶縁層はCVD法を用いて形成される、半導体装置の製造方法。
【請求項5】
集積回路、前記集積回路に電気的に接続された電極、及び前記電極が形成された第1の面とは反対側の第2の面から前記電極に至る凹部を有する半導体基板と、
少なくとも前記凹部の内壁面を覆い、前記電極とオーバーラップする位置に開口部を有する絶縁層と、
前記絶縁層を介して前記凹部を充填し、前記電極と接続し、かつ前記第2の面から突出する導電部と、
を含み、
前記凹部の前記内壁面は、前記第2の面と連続する第1内壁面、及び前記第1内壁面と連続する第2内壁面を有し、
前記第1内壁面は、前記第2の面、及び前記第2内壁面と角部を形成しない、半導体装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記第2の面、及び前記第1内壁面を覆うレジスト層を更に含み、
前記導電部は前記レジスト層から突出する、半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−58525(P2013−58525A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−194660(P2011−194660)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】