説明

半導体装置およびその作製方法

【課題】バックライトとして複数の発光ダイオード(以下、LEDと呼ぶ)を用いて時間分割表示方式(フィールドシーケンシャル駆動方式とも呼ぶ)を行い、高画質な動画表示が可能な液晶表示装置を提供することを課題の一とする。また、ピーク輝度の変調による高画質、フルカラー表示、または低消費電力を実現する液晶表示装置を提供することを課題の一とする。
【解決手段】一対の基板間に液晶層を封入した後、一対の基板の上下両側から同時にUV照射を行って高分子安定化処理を行い、一対の基板間に挟まれた液晶層に含まれる高分子を均一に配置させ、液晶表示装置を作製する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
薄膜トランジスタ(以下、TFTという)で構成された回路を有する半導体装置およびその作製方法に関する。例えば、液晶表示パネルに代表される電気光学装置を部品として搭載した電子機器に関する。
【0002】
なお、本明細書中において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指し、電気光学装置、半導体回路および電子機器は全て半導体装置である。
【背景技術】
【0003】
近年、絶縁表面を有する基板上に形成された半導体薄膜(厚さ数〜数百nm程度)を用いて薄膜トランジスタ(TFT)を構成する技術が注目されている。薄膜トランジスタはICや電気光学装置のような電子デバイスに広く応用され、特に画像表示装置のスイッチング素子として開発が急がれている。
【0004】
液晶表示装置に代表されるように、ガラス基板等の平板に形成される薄膜トランジスタは、アモルファスシリコン、多結晶シリコンによって作製されている。
【0005】
また、酸化物半導体を用いて薄膜トランジスタを作製し、電子デバイスや光デバイスに応用する技術が注目されている。例えば、酸化物半導体膜として酸化亜鉛、In−Ga−Zn−O系酸化物半導体を用いて薄膜トランジスタを作製し、画像表示装置のスイッチング素子などに用いる技術が特許文献1及び特許文献2で開示されている。
【0006】
また、液晶表示装置においてブルー相を呈する液晶が注目されている。菊池らによって高分子安定化処理を行うことによってブルー相の温度範囲を広げることが可能となり、実用化への道が開かれつつある(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−123861号公報
【特許文献2】特開2007−096055号公報
【特許文献3】WO2005/090520
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
液晶層としてブルー相を示す液晶材料を用いる場合、電圧無印加時の黒表示から電圧を印加して白表示とした後で、再度、電圧無印加状態にすると、完全に黒表示に戻らず、光漏れが発生して画質やコントラストが低下してしまうという問題が生じる恐れがある。この光漏れの発生を低減させる液晶表示装置を提供することを課題の一とする。
【0009】
また、液晶表示装置において、動画表示の場合、サブフレーム周波数を高くするには、データ書き込み及び消去の際に用いられる薄膜トランジスタのスイッチング速度を高くすることが好ましい。
【0010】
また、冷陰極蛍光ランプのバックライトを用いる液晶表示装置は、全面黒表示においても点灯させるため、低消費電力を実現することが困難である。また、冷陰極蛍光ランプのバックライトは、光量が一定であるため、ピーク輝度が変化せず、動画表示において高画質を実現することが困難である。また、冷陰極蛍光ランプのバックライトを用いる場合、バックライトから射出される光は白色光であるため、フルカラー表示とするためにカラーフィルタを設ける。従って、1画素を赤色用画素、青色用画素、緑色用画素の3つに分割して並べることで、フルカラー表示を構成する。このような液晶表示装置は、空間混合方式と呼ばれ、赤色用画素、青色用画素、及び緑色用画素の透過光の強度を変えて混色させることにより所望の色の光を得る。
【0011】
そこで、バックライトとして複数の発光ダイオード(以下、LEDと呼ぶ)を用いて時間分割表示方式(フィールドシーケンシャル駆動方式とも呼ぶ)を行い、高画質な動画表示が可能な液晶表示装置を提供することを課題の一とする。また、ピーク輝度の変調による高画質、フルカラー表示、または低消費電力を実現する液晶表示装置を提供することを課題の一とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
ブルー相を示す液晶材料は、電圧無印加状態から電圧印加状態においては、応答速度が1msec以下と短く、高速応答が可能である一方、電圧印加状態から電圧無印加状態に戻した場合、液晶の配向が一部不完全となってしまう。
【0013】
この現象は、残留複屈折と呼ばれる。電圧印加の際は、液晶分子が電圧印加方向に配向しようとし、光学的に複屈折を生じるが、その後、電圧無印加状態としても一部の液晶の配向が完全に電圧印加前の状態に戻らないため、複屈折が残ってしまう。
【0014】
残留複屈折が生じる原因の一つは、液晶層に含まれる高分子が一対の基板間で偏って配置されていることである。
【0015】
そこで、一対の基板間に液晶層を封入した後、一対の基板の上下両側から同時にUV照射を行って高分子安定化処理を行い、一対の基板間に挟まれた液晶層に含まれる高分子を均一に配置させる。なお、高分子安定化処理は、紫外線を照射し、そのエネルギーによって液晶層に含まれる未反応成分(低分子量成分あるいはフリーラジカル)の反応を促進する処理、或いは、加熱下で紫外線を照射し、それらのエネルギーによって液晶層に含まれる未反応成分(低分子量成分あるいはフリーラジカル)の反応を促進する処理である。
【0016】
一対の基板の上下両側から同時にUV照射を行なうため、一対の基板間にカラーフィルタは設けないことが好ましく、層間絶縁膜や基板材料は紫外線を透過する材料を用いることが好ましい。
【0017】
なお、UV照射に用いられる紫外光は、波長450nm以下の光であり、スパッタ法で成膜したIn−Ga−Zn−O系非単結晶膜の光感度を示す波長範囲内であるが、遮光層を設けるため、薄膜トランジスタの電気特性に影響はない。従って、薄膜トランジスタとしてチャネル形成領域となる酸化物半導体層の上下をゲート電極と遮光層で挟む構造とすることによって薄膜トランジスタの酸化物半導体層を光から保護する構造はプロセス上においても有用である。
【0018】
また、UV照射に用いられる紫外光は、アモルファスシリコンの光感度を示す波長範囲内であるが、遮光層を設けるため、薄膜トランジスタの電気特性に影響はない。
【0019】
本明細書において遮光層は、少なくとも400〜450nmの波長域で約50%未満の光透過率、好ましくは20%未満の光透過率を示す材料を用いる。例えば、遮光層の材料としては、クロム、窒化チタンなどの金属膜、または黒色樹脂を用いることができる。光を遮光するために黒色樹脂を用いる場合、光が強力であればあるほど黒色樹脂の膜厚が必要となるため、黒色樹脂が薄膜であることが必要な場合には、遮光性が高く、精細なエッチング加工及び薄膜化が可能な金属膜を用いることが好ましい。
【0020】
こうして、フィールドシーケンシャル方式に適したブルー相を示す液晶層を備えた液晶表示装置を実現することができる。
【0021】
本明細書で開示する作製方法に関する発明の構成は、第1の透光基板上にゲート電極と、遮光層と、ゲート電極と遮光層との間に酸化物半導体層を有する薄膜トランジスタを形成し、薄膜トランジスタと電気的に接続する画素電極を含む画素部を形成し、光硬化樹脂及び光重合開始剤を含む液晶層を挟んで第1の透光基板と第2の透光基板を固定し、第1の透光基板と第2の透光基板の上下両側から紫外光を液晶層に照射し、液晶層に紫外光を照射した後、第1の偏光板を第1の透光基板に固定し、第2の偏光板を第2の透光基板に固定し、複数種類の発光ダイオードを含むバックライト部と、第1の透光基板の画素部とを重ねて固定する半導体装置の作製方法である。
【0022】
さらに、上記構成に加え、第2の透光基板に第2の遮光層を薄膜トランジスタと重なる位置に設けてもよい。この第2の遮光層は、酸化物半導体層と重なり、酸化物半導体層の上面形状よりも大きい上面形状とすることが好ましい。
【0023】
上記構成は、上記課題の少なくとも一つを解決する。
【0024】
また、外光や製造プロセス中に照射される紫外光などからの光が第1の透光基板に設けられた酸化物半導体層に入射されないよう遮蔽するための遮光層を第2の透光基板に対して設けることもでき、他の発明の構成は、第1の透光基板上にゲート電極と、ゲート電極と重なる酸化物半導体層を有する薄膜トランジスタを形成し、薄膜トランジスタと電気的に接続する画素電極を含む画素部を形成し、光硬化樹脂及び光重合開始剤を含む液晶層を挟んで遮光層を有する第2の透光基板と、第1の透光基板とを固定し、第1の透光基板と第2の透光基板の上下両側から紫外光を液晶層に照射し、液晶層に紫外光を照射した後、第1の偏光板を第1の透光基板に固定し、第2の偏光板を第2の透光基板に固定し、複数種類の発光ダイオードを含むバックライト部と、第1の透光基板の画素部とを重ねて固定する半導体装置の作製方法である。
【0025】
なお、上記構成において、遮光層は、酸化物半導体層と重なり、少なくとも酸化物半導体層を覆って酸化物半導体層の上面形状よりも大きい上面形状とすることが好ましい。さらに、上記構成に加え、第1の透光基板に第2の遮光層を薄膜トランジスタと重なる位置に設けてもよい。第1の透光基板に設ける第2の遮光層は、酸化物半導体層と重なり、酸化物半導体層の上面形状よりも大きい上面形状とすることが好ましい。
【0026】
上記構成は、上記課題の少なくとも一つを解決する。
【0027】
また、カラーフィルタを用いないフィールドシーケンシャル方式を用いる場合、赤色のLEDや、緑色のLEDや、青色のLEDなどをバックライトに用い、少なくとも3倍速以上での高速駆動が要求される。
【0028】
また、サブフレーム周波数を高くして動画表示を行うため、液晶層に用いる材料として、ブルー相を示す液晶材料を用いることが好ましい。ブルー相を示す液晶材料を用いれば、1フィールド当たり1色の表示を行うための色の切り替えを1/180秒以下、即ち約5.6ms以下で行うことができる。ブルー相を示す液晶材料は、応答速度が1msec以下と短く高速応答が可能であるため、液晶表示装置の高性能化が可能になる。ブルー相を示す液晶材料として液晶及びカイラル剤を含む。カイラル剤は、液晶を螺旋構造に配向させ、ブルー相を発現させるために用いる。例えば、5重量%以上のカイラル剤を混合させた液晶材料を液晶層に用いればよい。液晶は、サーモトロピック液晶、低分子液晶、高分子液晶、強誘電性液晶、反強誘電性液晶等を用いる。
【0029】
なお、液晶材料として、応答速度が十分速く、フィールドシーケンシャル駆動方式を用いることができるのであれば、ブルー相を示す液晶材料に限定されず、例えば、液晶を弓なりにベンド配向させるOCB(Optically Compensated Bend)モードを用いてもよい。
【0030】
また、広い視野角を実現する技術として、基板に概略平行(すなわち水平な方向)な電界を生じさせて、基板と平行な面内で液晶分子を動かして、階調を制御する方式を用いる。このような方式として、IPS(In Plane Switching)モードで用いる電極構成や、FFS(Fringe Field Switching)モードで用いる電極構成が適用できる。
【0031】
また、サブフレーム周波数を高くして動画表示を行う際、ある1フレーム、或いは、あるサブフレーム期間のLEDを全て消灯することによって全面黒表示とする、所謂、黒挿入表示によって、動画表示の際に生じる動きぼけによる画質劣化を改善することもできる。
【0032】
また、各画素に対して選択期間中に画像信号を書き込み、非選択期間中に書き込まれた画素信号を保持して1フィールドが構成される。選択期間内に書き込みを完了するために必要なオン電流を有するTFTを画素毎に配置する。また、1フィールド期間中に表示状態を維持するために、非選択期間中或いは保持期間中のリーク電流はできるだけ小さくすることが好ましい。これらの要件を満たすTFTとしては、チャネル形成領域を含む半導体層としてIn−Ga−Zn−O系酸化物半導体で代表される酸化物半導体を用いることが好ましい。
【0033】
また、薄膜トランジスタ上に設ける遮光層(ブラックマトリクスとも呼ばれる)は、酸化物半導体の光感度による薄膜トランジスタの電気特性の変動を防止し安定化する効果がある。例えば、In:Ga:ZnO=1:1:1のモル数比としたターゲットを用い、スパッタ法で成膜したIn−Ga−Zn−O系非単結晶膜は波長450nm以下に光感度を有するため、波長450nm以下の光を遮断する遮光層を設けることは有用である。また、遮光層は隣り合う画素への光漏れを防止することもできるため、より高コントラスト及び高精細な表示を行うことが可能になる。よって、遮光層を設けることにより、さらなる液晶表示装置の高精細、高信頼性を達成することができる。
【0034】
また、赤色のLEDや、緑色のLEDや、青色のLEDに限定されず、シアン色のLEDや、マゼンダ色のLEDや、黄色のLEDや、白色のLEDを用いることができる。なお、LEDは応答速度が数十ns〜数百nsであり、液晶材料の応答速度よりも十分速い。
【0035】
なお、バックライトとしてLEDに限定されず、点光源であれば、無機EL素子、または有機EL素子を用いることもできる。
【0036】
バックライトとして複数種類の発光ダイオードを用いると、それぞれのLEDの点灯時間または輝度を調節することができる。LEDの点灯時間または輝度を調節するためには、発光ダイオードの駆動回路を設ける。
【0037】
また、液晶表示装置の表示エリアを複数に分割した分割領域に少なくとも一つのLEDを配置し、配置したLEDをそれぞれ映像信号に応じて分割領域単位で駆動させるLED制御回路を設けることが好ましい。分割領域単位で駆動させることによって、表示エリアにおいて局部的に輝度が調節でき、例えばLEDの点灯が必要な第1分割領域には点灯を行い、LEDの点灯が不要な第2分割領域は消灯するといった選択的なLEDの点灯が可能となり、表示映像にも依存するが、液晶表示装置の低消費電力化を実現することができる。
【0038】
また、LEDを発光色毎に独立に制御することにより、外部の照明環境に応じて表示画面の色温度を調節することができ、視認性のよい液晶表示装置を提供することもできる。さらに、液晶表示装置に外部の光を検出する光センサを設ければ、外部の照明環境に応じて自動で各発光色のLEDの輝度を調節することもできる。
【0039】
また、フィールドシーケンシャル方式を用いた液晶表示装置は、ノーマリーブラックモードとし、ノーマリーブラックモードで動作する液晶表示装置とは、液晶層に電圧を印加しない状態で画面が黒表示となり、液晶層に電圧を印加すると、バックライトの光(LEDからの発光)が透過して画面が発光色表示となるように動作する。
【0040】
また、液晶層を挟んだ一対の基板とバックライトの間には、プリズムや光拡散板などの光学シートを設けてもよい。
【0041】
本明細書において、透光基板とは、可視光の透過率が80〜100%である基板を指している。
【0042】
また、本明細書において、上、下、側、水平、垂直等の方向を表す文言は、基板表面の上にデバイスを配置した場合を基準とする方向を指す。
【発明の効果】
【0043】
フィールドシーケンシャル方式を用いた液晶表示装置において、より高画質な動画表示が可能な液晶表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】液晶表示装置の作製工程の一例を示す断面図。
【図2】液晶表示モジュールの一例を示す分解斜視図。
【図3】画素上面図及び断面図の一例。
【図4】画素上面図及び断面図の一例。
【図5】液晶表示装置を説明する図。
【図6】液晶表示モジュールを説明する図。
【図7】テレビジョン装置の例を示す外観図。
【図8】遊技機の例を示す外観図。
【図9】携帯電話機の一例を示す外観図。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明の実施形態について、以下に説明する。
【0046】
(実施の形態1)
ここでは、図1を用いて、フィールドシーケンシャル方式を用いた液晶表示装置の作製例の一つを以下に示す。
【0047】
まず、第1の透光基板441上にスイッチング素子となる薄膜トランジスタ(TFT)420を形成する。第1の透光基板441は、ガラス基板を用いる。なお、第1の透光基板441上にバリア膜となる下地絶縁膜を設けてもよい。また、ここでは薄膜トランジスタ420として、半導体層403をチャネル形成領域に用いる例を示す。
【0048】
第1の透光基板441上にゲート電極層401を形成し、ゲート電極層401を覆うゲート絶縁層402を形成し、ゲート絶縁膜402上にゲート電極と重なる半導体層403を形成する。ゲート電極層401の材料としては、遮光性を有する導電膜であれば限定されず、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、ネオジム(Nd)、スカンジウム(Sc)から選ばれた元素、または上述した元素を成分とする合金を用いる。また、ゲート電極層401は、上述した元素を含む単層に限定されず、二層以上の積層を用いることができる。また、ゲート絶縁層402の材料としては、透光性を有する無機材料(酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素など)を用いることができ、これらの材料から成る単層または積層構造とする。ゲート電極やゲート絶縁膜の作製法としては、プラズマCVD法や熱CVD法などの気相成長法やスパッタリング法を用いることができる。
【0049】
また、半導体層403は、InMO(ZnO)(m>0、mは自然数でない)で表記される薄膜を形成し、その薄膜をパターニングして半導体層として用いる。なお、Mは、Ga、Fe、Ni、Mn及びCoから選ばれた一の金属元素又は複数の金属元素を示す。例えばMとして、Gaの場合があることの他、GaとNi又はGaとFeなど、Ga以外の上記金属元素が含まれる場合がある。また、上記酸化物半導体において、Mとして含まれる金属元素の他に、不純物元素としてFe、Niその他の遷移金属元素、又は該遷移金属の酸化物が含まれているものがある。本明細書においては、この薄膜をIn−Ga−Zn−O系非単結晶膜とも呼ぶ。酸化物半導体層は、In、Ga、及びZnを含む酸化物半導体ターゲット(In:Ga:ZnO=1:1:1)を用いて、基板とターゲットの間との距離を170mm、圧力0.4Pa、直流(DC)電源0.5kW、酸素を含むアルゴン雰囲気下で成膜した後、レジストマスクを形成して選択的にエッチングし、不要な部分を除去して形成する。なお、パルス直流(DC)電源を用いると、ごみが軽減でき、膜厚分布も均一となるために好ましい。酸化物半導体膜の膜厚は、5nm〜200nmとする。本実施の形態では酸化物半導体膜の膜厚は、100nmとする。
【0050】
次いで、酸化物半導体層を覆う導電膜を成膜した後、導電膜のパターニングを行ってソース電極層またはドレイン電極層を形成する。導電膜の材料としては、Al、Cr、Ta、Ti、Mo、Wから選ばれた元素、または上述した元素を成分とする合金か、上述した元素を組み合わせた合金膜等が挙げられる。また、後に200℃〜600℃の熱処理を行う場合には、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、ネオジム(Nd)、スカンジウム(Sc)などを含ませて、熱処理に耐える耐熱性を導電膜に持たせることが好ましい。
【0051】
ソース電極層またはドレイン電極層を形成するエッチングの際、用いる導電膜の材料によっては、酸化物半導体膜の露出領域も一部エッチングされ、ソース電極層及びドレイン電極層と重ならない領域は、重なる領域よりも膜厚の薄い領域となる。
【0052】
次いで、200℃〜600℃、代表的には300℃〜500℃の熱処理を行うことが好ましい。ここでは炉に入れ、大気雰囲気下で350℃、1時間の熱処理を行う。この熱処理によりIn−Ga−Zn−O系非単結晶膜の原子レベルの再配列が行われる。この熱処理によりキャリアの移動を阻害する歪が解放されるため、ここでの熱処理(光アニールも含む)は重要である。なお、熱処理を行うタイミングは、In−Ga−Zn−O系非単結晶膜の成膜後であれば特に限定されず、例えば画素電極形成後に行ってもよい。
【0053】
次いで、層間絶縁膜413を形成する。また、層間絶縁膜413の材料としては、透光性を有する無機材料(酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素など)または透光性を有する樹脂材料(ポリイミド、アクリル、ベンゾシクロブテン、ポリアミド、エポキシ、シロキサン系樹脂等)を用いることができ、これらの材料から成る単層または積層構造とする。なおシロキサン系樹脂とは、シロキサン系材料を出発材料として形成されたSi−O−Si結合を含む樹脂に相当する。シロキサン系樹脂は置換基としては有機基(例えばアルキル基やアリール基)やフルオロ基を用いても良い。また、有機基はフルオロ基を有していても良い。
【0054】
次いで、ソース電極層またはドレイン電極層に達するコンタクトホールを層間絶縁膜413に形成した後、層間絶縁膜413上に画素電極層として第1の電極層447及び共通電極層として第2の電極層446を形成する。第1の電極層447及び第2の電極層446は透明導電膜を用いることが好ましい。なお、第2の電極層446は、コモン電極とも呼ばれ、固定電位、例えばGND、0Vなどに設定される電極である。また、ここでは、IPSモードの液晶表示装置の例を示す。マトリクス状に配置された画素電極を薄膜トランジスタで駆動することによって、画面上に表示パターンが形成される。詳しくは選択された画素電極と該画素電極に対応する共通電極との間に電圧が印加されることによって、画素電極と共通電極との間に配置された液晶層の光学変調が行われ、この光学変調が表示パターンとして観察者に認識される。
【0055】
以上の工程により、第1の電極層447及び第2の電極層446を個々の画素に対応してマトリクス状に配置され、画素部を構成し、アクティブマトリクス型の表示装置を作製するための一方の基板とすることができる。本明細書では便宜上このような基板をアクティブマトリクス基板と呼ぶ。
【0056】
次に、アクティブマトリクス型の表示装置を作製するためのもう一方の基板、即ち対向基板である第2の透光基板442を用意する。第2の透光基板442は、ガラス基板を用いる。第2の透光基板442には、ブラックマトリクスとして機能する遮光層414を設ける。第2の透光基板442の遮光層414が設けられた面と第1の透光基板441の薄膜トランジスタ420が設けられた面とが向かい合うように配置した状態で固定し、基板間に第1の液晶層450を配置する。この状態を示す断面図が図1(A)に相当する。
【0057】
なお、第1の透光基板441と第2の透光基板442の基板間隔は、基板を固定するために用いるシール材に含まれるフィラーや、基板間隔保持材(球状スペーサ、柱状スペーサなど)を用いて一定に保つことが好ましい。また、第1の液晶層450は、第1の透光基板441と第2の透光基板442とを貼り合わせてから毛細管現象を用いて液晶を注入する注入法またはディスペンサ法(滴下法)を用いて基板間に配置する。
【0058】
第1の液晶層450は、誘電率の異方性が正である液晶とカイラル剤、光硬化樹脂、及び重合開始剤を混ぜた混合物とする。本実施の形態では、液晶材料として、JC−1041XX(チッソ株式会社製)と4−シアノ−4’−ペンチルビフェニルの混合物を用い、カイラル剤としては、ZLI−4572(メルク株式会社製)を用い、光硬化樹脂は、2−エチルヘキシルアクリレート及びRM257(メルク株式会社製)を用い、光重合開始剤としては2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンを用いる。
【0059】
カイラル剤は、液晶を螺旋構造に配向させ、ブルー相を発現させるために用いる。カイラル剤は、液晶に対する相溶性が良く、かつ捩れ力の強い材料を用いる。また、R体、S体のどちらか片方の材料が良く、R体とS体の割合が50:50のラセミ体は使用しない。例えば、5重量%以上のカイラル剤を混合させた液晶材料を液晶層に用いればよい。
【0060】
また、誘電率の異方性が正である液晶は、サーモトロピック液晶、低分子液晶、高分子液晶、強誘電性液晶、反強誘電性液晶等を用いる。これらの液晶材料は、条件により、コレステリック相、コレステリックブルー相、スメクチック相、スメクチックブルー相、キュービック相、カイラルネマチック相、等方相等を示す。
【0061】
ブルー相であるコレステリックブルー相及びスメクチックブルー相は、螺旋ピッチが500nm以下で比較的ピッチの短いコレステリック相またはスメクチック相を有する液晶材料にみられる。液晶材料の配向は二重ねじれ構造を有する。可視光の波長以下の秩序を有しているため、透明であり、電圧印加によって配向秩序が変化して光学的変調作用が生じる。ブルー相は光学的に等方性であるため視野角依存性がなく、配向膜を形成しなくとも良いため、表示画像の質の向上及びコスト削減が可能である。また配向膜へのラビング処理も不要となるため、ラビング処理によって引き起こされる静電破壊を防止することができ、作製工程中の液晶表示装置の不良や破損を軽減することができる。よって液晶表示装置の生産性を向上させることが可能となる。特に、酸化物半導体層を用いる薄膜トランジスタは、静電気の影響により薄膜トランジスタの電気的な特性が著しく変動して設計範囲を逸脱する恐れがある。よって酸化物半導体層を用いる薄膜トランジスタを有する液晶表示装置にブルー相の液晶材料を用いることはより効果的である。
【0062】
また、ブルー相は狭い温度範囲でしか発現が難しく、温度範囲を広く改善するために液晶材料に、光硬化樹脂及び光重合開始剤を添加した後、高分子安定化処理を行う。光硬化樹脂は、アクリレート、メタクリレートなどの単官能モノマーでもよく、ジアクリレート、トリアクリレート、ジメタクリレート、トリメタクリレートなどの多官能モノマーでもよく、これらを混合させたものでもよく、例えば、2−エチルヘキシルアクリレート、RM257(メルク株式会社製)、トリメチロールプロパントリアクリレートが挙げられる。また、液晶性のものでも非液晶性のものでもよく、両者を混合させてもよい。光硬化樹脂は、用いる光重合開始剤の反応する波長の光で硬化する樹脂を選択すれば良く、本実施の形態では紫外線硬化樹脂(UV硬化型樹脂とも呼ぶ)を用いる。
【0063】
光重合開始剤は、光照射によってラジカルを発生させるラジカル重合開始剤でもよく、酸を発生させる酸発生剤でもよく、塩基を発生させる塩基発生剤でもよい。
【0064】
また、高分子安定化処理は、液晶、カイラル剤、光硬化樹脂、及び光重合開始剤を含む液晶材料に、光硬化樹脂、及び光重合開始剤が反応する波長の光を照射して行う。この高分子安定化処理は、温度制御を行い、等方相を示した状態で光照射して行っても良いし、ブルー相を示した状態で光照射して行ってもよい。
【0065】
ここでは、加熱を行って第1の液晶層450を等方相とした後、降温させてブルー相に相転移させ、ブルー相を示す温度に保持したまま、残留複屈折の発生を低減するため、図1(B)に示すように、一対の基板の上下両側から同時にUV照射を行う。もし、一方の基板側のみからUV照射を行った場合、紫外線の照射方向に近い側に高分子が偏在することにより残留複屈折が発生する恐れがある。好ましくは、第1の透光基板441を透過する第1の紫外光451と、第2の透光基板442を透過する第2の紫外光452がほぼ同じ光量となるようにする。第1の透光基板441を透過する第1の紫外光451は、薄膜トランジスタ420が形成されている領域において遮光され、第2の透光基板442を透過する第2の紫外光452は遮光層414が形成されている領域において遮光される。従って、画素部において表示に寄与する画素開口部と重なる第2の液晶層444に対して、液晶層444の上下から同程度のUV照射量に曝すことができる。液晶層444の上下から同程度のUV照射量に曝すためには、第1の透光基板441における第1の光透過領域(金属配線及び金属電極が設けられている領域以外の領域)と第2の透光基板442における第2の光透過領域(遮光層414が設けられている領域以外の領域)をほぼ同じにすることは有用である。
【0066】
なお、第1の透光基板441には、第2の透光基板442と異なり、ゲート絶縁層402や層間絶縁膜413が設けられているため、それらの材料によっては透光性材料であっても光吸収や、膜界面での屈折、膜界面での反射などにより紫外線の光量に差が生じる恐れがある。従って、光量に差が生じる恐れがある場合には、第1の紫外光451の光源と第2の紫外光452の光源の光量を調節する、または、第2の透光基板442にもゲート絶縁層402や層間絶縁膜413と同等の膜を設けるなどして光量を調節すればよい。
【0067】
このように、一対の基板の上下両側から同時にUV照射を行って高分子安定化処理を施すことにより、一対の基板間に挟まれた第2の液晶層444に含まれる高分子を均一に配置させることができる。この高分子安定化処理によって、電圧除去後も残留複屈折が発生せず、電圧印加前の黒状態が得られ、光漏れを低減することができる。これにより、品質の高い高分子安定化ブルー相の表示素子を作製することができる。
【0068】
また、ゲート電極層401は第1の紫外光451を遮光し、遮光層414は、第2の紫外光452を遮光するため、半導体層403は、ここでのUV照射に曝されず、薄膜トランジスタの電気特性の変動も防止することができる。
【0069】
次いで、第1の透光基板(画素電極が形成されている基板)において液晶層に近接していない外面側に、第1の偏光板443aを配置し、第2の偏光板443bを第2の透光基板(対向基板)において液晶層に近接していない外面側に配置する。この段階での断面図を図1(C)に示す。一対の基板に2枚の偏光板を設けた図1(C)に示す状態を液晶パネルと呼ぶ。
【0070】
また、大型の基板を用いて複数の液晶表示装置を作製する場合(所謂多面取り)、その分断工程は、高分子安定化処理の前か、偏光板を設ける前に行うことができる。分断工程による液晶層への影響(分断工程時にかかる力などによる配向乱れなど)を考慮すると、第1の基板と第2の基板とを貼り合わせた後、高分子安定化処理の前が好ましい。
【0071】
最後に液晶パネルにバックライト部を固定する。
【0072】
図2は、LEDをバックライト部として用いた液晶モジュールの分解斜視図である。液晶パネル302は素子基板に駆動IC305が複数設置され、素子基板に設けられている端子と電気的に接続するFPC307も設置されている。
【0073】
この液晶パネル302の下方にはバックライト部303を配置する。
【0074】
また、液晶パネル302及びバックライト部303を挟むように第1の筐体301と第2の筐体304とを配置し、互いに筐体の周縁を結合させる。ここでは、第1の筐体301の窓が液晶モジュールの表示面となる。
【0075】
バックライト部303には、LED(発光ダイオード)が多数種用いられており、LED制御回路308によってそれぞれ輝度が調節可能となっており、接続コード306により、電流が供給されている。このLED制御回路308によって個別にLEDを発光させることによって、フィールドシーケンシャル方式の液晶表示装置を実現することができる。
【0076】
さらに、液晶表示装置の表示エリアを複数に分割した分割領域に少なくとも一つのLEDを配置し、配置したLEDをLED制御回路によりそれぞれ映像信号に応じて分割領域単位で駆動させる。分割領域単位で駆動させることによって、表示エリアにおいて局部的に輝度が調節でき、例えばLEDの点灯が必要な第1分割領域には点灯を行い、LEDの点灯が不要な第2分割領域は消灯するといった選択的なLEDの点灯が可能となり、表示映像にも依存するが、液晶表示装置の低消費電力化を実現することができる。
【0077】
また、LEDの発光材料としては、無機材料を用いてもよいし、有機材料を用いてもよい。
【0078】
また、フィールドシーケンシャル方式の液晶表示装置は、少なくとも3倍速以上での高速駆動が要求されるが、本実施の形態では、応答速度が十分速いブルー相を示す液晶層を用い、さらにスイッチング素子としてIn−Ga−Zn−O系酸化物半導体を用いた薄膜トランジスタを用いることによって、動画表示において高画質を実現している。
【0079】
(実施の形態2)
液晶表示装置を、図3を用いて説明する。
【0080】
図3(A)は液晶表示装置の平面図であり1画素分の画素を示している。図3(B)は図3(A)の線X1−X2における断面図である。
【0081】
図3(A)において、複数のソース配線層(配線層405aを含む)が互いに平行(図中上下方向に延伸)かつ互いに離間した状態で配置されている。複数のゲート配線層(ゲート電極層401を含む)は、ソース配線層に略直交する方向(図中左右方向)に延伸し、かつ互いに離間するように配置されている。共通配線層408は、複数のゲート配線層それぞれに隣接する位置に配置されており、ゲート配線層に概略平行な方向、つまり、ソース配線層に概略直交する方向(図中左右方向)に延伸している。ソース配線層と、共通配線層408及びゲート配線層とによって、略長方形の空間が囲まれているが、この空間に液晶表示装置の画素電極層及び共通配線層が配置されている。画素電極層を駆動する薄膜トランジスタ420は、図中左上の角に配置されている。画素電極層及び薄膜トランジスタは、マトリクス状に複数配置されている。
【0082】
図3の液晶表示装置において、薄膜トランジスタ420に電気的に接続する第1の電極層447が画素電極層として機能し、共通配線層408と電気的に接続する第2の電極層446が共通電極層として機能する。なお、第1の電極層と共通配線層によって容量が形成されている。
【0083】
基板に概略平行(すなわち水平な方向)な電界を生じさせて、基板と平行な面内で液晶分子を動かして、階調を制御する方式を用いることができる。このような方式として、図3に示すようなIPSモードで用いる電極構成が適用できる。
【0084】
IPSモードなどに示される横電界モードは、液晶層の下方に開口パターンを有する第1の電極層(例えば各画素別に電圧が制御される画素電極層)及び第2の電極層(例えば全画素に共通の電圧が供給される共通電極層)を配置する。よって第1の透光基板441上には、一方が画素電極層であり、他方が共通電極層である第1の電極層447及び第2の電極層446が形成され、少なくとも第1の電極層及び第2の電極層の一方が層間膜上に形成されている。第1の電極層447及び第2の電極層446は、平面形状でなく、様々な開口パターンを有し、屈曲部や枝分かれした櫛歯状を含む。第1の電極層447及び第2の電極層446はその電極間に電界を発生させるため、同形状で重ならない配置とする。
【0085】
第1の電極層447及び第2の電極層446の上面形状は図3に示した構造に限定されず、うねりを有する波状形状や、同心円状の開口部を有する形状や、櫛歯状であり電極同士がかみ合うような形状としてもよい。
【0086】
画素電極層と共通電極層との間に電界を加えることで、液晶を制御する。液晶には水平方向の電界が加わるため、その電界を用いて液晶分子を制御できる。つまり、基板と平行に配向している液晶分子を、基板と平行な方向で制御できるため、視野角が広くなる。
【0087】
また、第2の電極層446の一部は、層間絶縁膜413上に形成され、薄膜トランジスタ420と少なくとも一部重なる遮光層417として機能する。薄膜トランジスタ420と重なる遮光層417は、第2の電極層446と同電位であってもよいし、第2の電極層446と導通しておらずフローティング状態となっていてもよい。
【0088】
薄膜トランジスタ420は逆スタガ型の薄膜トランジスタであり、絶縁表面を有する基板である第1の透光基板441上に、ゲート電極層401、ゲート絶縁層402、半導体層403、ソース領域又はドレイン領域として機能するn層404a、404b、ソース電極層又はドレイン電極層として機能する配線層405a、405bを含む。
【0089】
薄膜トランジスタ420を覆い、半導体層403に接する絶縁膜407が設けられている。絶縁膜407上に層間絶縁膜413が設けられ、層間絶縁膜413上に第1の電極層447及び第2の電極層446が形成されている。
【0090】
図3の液晶表示装置は、層間絶縁膜413に、可視光を透過する絶縁膜として、透光性樹脂層を用いる。
【0091】
層間絶縁膜413(透光性樹脂層)の形成法は、特に限定されず、その材料に応じて、スピンコート、ディップ、スプレー塗布、液滴吐出法(インクジェット法、スクリーン印刷、オフセット印刷等)、ドクターナイフ、ロールコーター、カーテンコーター、ナイフコーター等を用いることができる。
【0092】
第1の電極層447及び第2の電極層446上には液晶層444が設けられ、対向基板である第2の透光基板442で封止されている。
【0093】
第2の透光基板442側には、さらに遮光層414を有している。
【0094】
第2の透光基板442の液晶層444側に、遮光層414が形成され、平坦化膜として絶縁層415が形成されている。遮光層414は、液晶層444を介して薄膜トランジスタ420と対応する領域(薄膜トランジスタの半導体層と重畳する領域)に形成することが好ましい。遮光層414が薄膜トランジスタ420の少なくとも半導体層403上方を覆うように配置されるように、第1の透光基板441及び第2の透光基板442は液晶層444を挟持して固着される。
【0095】
遮光層414は、光を反射、又は吸収し、遮光性を有する材料を用いる。例えば、黒色の有機樹脂を用いることができ、感光性又は非感光性のポリイミドなどの樹脂材料に、顔料系の黒色樹脂やカーボンブラック、チタンブラック等を混合させて形成すればよい。黒色樹脂を用いる場合、膜厚は0.5μm〜2μmとする。また、遮光性の金属膜を用いることもでき、例えばクロム、モリブデン、ニッケル、チタン、コバルト、銅、タングステン、又はアルミニウムなどを用いればよい。
【0096】
遮光層414の形成方法は特に限定されず、材料に応じて、蒸着法、スパッタ法、CVD法などの乾式法、又はスピンコート、ディップ、スプレー塗布、液滴吐出法(インクジェット法、スクリーン印刷、オフセット印刷等)などの湿式法を用い、必要に応じてエッチング法(ドライエッチング又はウエットエッチング)により所望のパターンに加工すればよい。
【0097】
絶縁層415もアクリルやポリイミドなどの有機樹脂などを用いて、スピンコートや各種印刷法などの塗布法で形成すればよい。
【0098】
このようにさらに対向基板側に遮光層414を設けると、よりコントラスト向上や薄膜トランジスタの安定化の効果を高めることができる。遮光層414は薄膜トランジスタ420の半導体層403への光の入射を遮断することができるため、酸化物半導体の光感度による薄膜トランジスタ420の電気特性の変動を防止しより安定化させる。また、遮光層414は隣り合う画素への光漏れを防止することもできるため、より高コントラスト及び高精細な表示を行うことが可能になる。よって、液晶表示装置の高精細、高信頼性を達成することができる。
【0099】
第1の透光基板441及び第2の透光基板442は透光性基板であり、それぞれ外側(液晶層444と反対側)に偏光板443a、443bが設けられている。
【0100】
第1の電極層447及び第2の電極層446は、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム錫酸化物(以下、ITOと示す。)、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの透光性を有する導電性材料を用いることができる。
【0101】
また、第1の電極層447及び第2の電極層446として、導電性高分子(導電性ポリマーともいう)を含む導電性組成物を用いて形成することができる。導電性組成物を用いて形成した画素電極は、シート抵抗が10000Ω/□以下、波長550nmにおける透光率が70%以上であることが好ましい。また、導電性組成物に含まれる導電性高分子の抵抗率が0.1Ω・cm以下であることが好ましい。
【0102】
導電性高分子としては、いわゆるπ電子共役系導電性高分子が用いることができる。例えば、ポリアニリンまたはその誘導体、ポリピロールまたはその誘導体、ポリチオフェンまたはその誘導体、若しくはこれらの2種以上の共重合体などがあげられる。
【0103】
下地膜となる絶縁膜を第1の透光基板441とゲート電極層401の間に設けてもよい。下地膜は、第1の透光基板441からの不純物元素の拡散を防止する機能があり、窒化珪素膜、酸化珪素膜、窒化酸化珪素膜、又は酸化窒化珪素膜から選ばれた一又は複数の膜による積層構造により形成することができる。ゲート電極層401の材料は、モリブデン、チタン、クロム、タンタル、タングステン、アルミニウム、銅、ネオジム、スカンジウム等の金属材料又はこれらを主成分とする合金材料を用いて、単層で又は積層して形成することができる。ゲート電極層401に遮光性を有する導電膜を用いることで、バックライトの発光ダイオードからの光(第1の透光基板441側から入射し、第2の透光基板442から射出する光)が、半導体層403へ入射することを防止することができる。
【0104】
例えば、ゲート電極層401の2層の積層構造としては、アルミニウム層上にモリブデン層が積層された2層の積層構造、または銅層上にモリブデン層を積層した二層構造、または銅層上に窒化チタン層若しくは窒化タンタルを積層した二層構造、窒化チタン層とモリブデン層とを積層した二層構造とすることが好ましい。3層の積層構造としては、タングステン層または窒化タングステンと、アルミニウムとシリコンの合金またはアルミニウムとチタンの合金と、窒化チタンまたはチタン層とを積層した積層とすることが好ましい。
【0105】
ゲート絶縁層402は、プラズマCVD法又はスパッタリング法等を用いて、酸化シリコン層、窒化シリコン層、酸化窒化シリコン層又は窒化酸化シリコン層を単層で又は積層して形成することができる。また、ゲート絶縁層402として、有機シランガスを用いたCVD法により酸化シリコン層を形成することも可能である。有機シランガスとしては、珪酸エチル(TEOS:化学式Si(OC)、テトラメチルシラン(TMS:化学式Si(CH)、テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、トリエトキシシラン(SiH(OC)、トリスジメチルアミノシラン(SiH(N(CH)等のシリコン含有化合物を用いることができる。
【0106】
半導体層403として用いる酸化物半導体膜を成膜する前に、アルゴンガスを導入してプラズマを発生させる逆スパッタを行い、ゲート絶縁層の表面に付着しているゴミを除去することが好ましい。なお、アルゴン雰囲気に代えて窒素、ヘリウムなどを用いてもよい。また、アルゴン雰囲気に酸素、NOなどを加えた雰囲気で行ってもよい。また、アルゴン雰囲気にCl、CFなどを加えた雰囲気で行ってもよい。
【0107】
半導体層403及びソース領域又はドレイン領域として機能するn層404a、404bには、In−Ga−Zn−O系非単結晶膜を用いることができる。n層404a、404bは、半導体層403より低抵抗な酸化物半導体層である。例えばn層404a、404bは、n型の導電型を有し、活性化エネルギー(ΔE)が0.01eV以上0.1eV以下である。n層404a、404bは、In−Ga−Zn−O系非単結晶膜であり、少なくともアモルファス成分を含んでいるものとする。n層404a、404bは非晶質構造の中に結晶粒(ナノクリスタル)を含む場合がある。このn層404a、404b中の結晶粒(ナノクリスタル)は直径1nm〜10nm、代表的には2nm〜4nm程度である。
【0108】
層404a、404bを設けることにより、金属層である配線層405a、405bと、酸化物半導体層である半導体層403との間を良好な接合としてショットキー接合に比べて熱的にも安定動作を有せしめる。また、チャネルのキャリアを供給する(ソース側)、またはチャネルのキャリアを安定して吸収する(ドレイン側)、または抵抗成分を配線層との界面に作らない、ためにも積極的にn層を設けると効果的である。また低抵抗化により、高いドレイン電圧でも良好な移動度を保持することができる。
【0109】
半導体層403として用いる第1のIn−Ga−Zn−O系非単結晶膜は、n層404a、404bとして用いる第2のIn−Ga−Zn−O系非単結晶膜の成膜条件と異ならせる。例えば、第2のIn−Ga−Zn−O系非単結晶膜の成膜条件における酸素ガス流量とアルゴンガス流量の比よりも第1のIn−Ga−Zn−O系非単結晶膜の成膜条件における酸素ガス流量の占める比率が多い条件とする。具体的には、第2のIn−Ga−Zn−O系非単結晶膜の成膜条件は、希ガス(アルゴン、又はヘリウムなど)雰囲気下(または酸素ガス10%以下、アルゴンガス90%以上)とし、第1のIn−Ga−Zn−O系非単結晶膜の成膜条件は、酸素雰囲気下(又は酸素ガスの流量がアルゴンガスの流量と等しいかそれ以上)とする。
【0110】
例えば、半導体層403として用いる第1のIn−Ga−Zn−O系非単結晶膜は、直径8インチのIn、Ga、及びZnを含む酸化物半導体ターゲット(モル数比でIn:Ga:ZnO=1:1:1)を用いて、基板とターゲットの間との距離を170mm、圧力0.4Pa、直流(DC)電源0.5kW、アルゴン又は酸素雰囲気下で成膜する。なお、パルス直流(DC)電源を用いると、ごみが軽減でき、膜厚分布も均一となるために好ましい。第1のIn−Ga−Zn−O系非単結晶膜の膜厚は、5nm〜200nmとする。
【0111】
一方、n層404a、404bとして用いる第2の酸化物半導体膜は、In:Ga:ZnO=1:1:1としたターゲットを用い、成膜条件は、圧力を0.4Paとし、電力を500Wとし、成膜温度を室温とし、アルゴンガス流量40sccmを導入してスパッタ法により成膜する。成膜直後で大きさ1nm〜10nmの結晶粒を含むIn−Ga−Zn−O系非単結晶膜が形成されることがある。なお、ターゲットの成分比、成膜圧力(0.1Pa〜2.0Pa)、電力(250W〜3000W:8インチ)、温度(室温〜100℃)、反応性スパッタの成膜条件などを適宜調節することで結晶粒の有無や、結晶粒の密度や、直径サイズは、1nm〜10nmの範囲で調節されうると言える。第2のIn−Ga−Zn−O系非単結晶膜の膜厚は、5nm〜20nmとする。勿論、膜中に結晶粒が含まれる場合、含まれる結晶粒のサイズが膜厚を超える大きさとならない。第2のIn−Ga−Zn−O系非単結晶膜の膜厚は、5nmとする。
【0112】
スパッタ法にはスパッタ用電源に高周波電源を用いるRFスパッタ法と、DCスパッタ法があり、さらにパルス的にバイアスを与えるパルスDCスパッタ法もある。RFスパッタ法は主に絶縁膜を成膜する場合に用いられ、DCスパッタ法は主に金属膜を成膜する場合に用いられる。
【0113】
また、材料の異なるターゲットを複数設置できる多元スパッタ装置もある。多元スパッタ装置は、同一チャンバーで異なる材料膜を積層成膜することも、同一チャンバーで複数種類の材料を同時に放電させて成膜することもできる。
【0114】
また、チャンバー内部に磁石機構を備えたマグネトロンスパッタ法を用いるスパッタ装置や、グロー放電を使わずマイクロ波を用いて発生させたプラズマを用いるECRスパッタ法を用いるスパッタ装置がある。
【0115】
また、スパッタ法を用いる成膜方法として、成膜中にターゲット物質とスパッタガス成分とを化学反応させてそれらの化合物薄膜を形成するリアクティブスパッタ法や、成膜中に基板にも電圧をかけるバイアススパッタ法もある。
【0116】
半導体層、n層、配線層の作製工程において、薄膜を所望の形状に加工するためにエッチング工程を用いる。エッチング工程は、ドライエッチングやウエットエッチングを用いることができる。
【0117】
ドライエッチングに用いるエッチングガスとしては、塩素を含むガス(塩素系ガス、例えば塩素(Cl)、塩化硼素(BCl)、塩化珪素(SiCl)、四塩化炭素(CCl)など)が好ましい。
【0118】
また、フッ素を含むガス(フッ素系ガス、例えば四弗化炭素(CF)、弗化硫黄(SF)、弗化窒素(NF)、トリフルオロメタン(CHF)など)、臭化水素(HBr)、酸素(O)、これらのガスにヘリウム(He)やアルゴン(Ar)などの希ガスを添加したガス、などを用いることができる。
【0119】
ドライエッチングに用いるエッチング装置としては、反応性イオンエッチング法(RIE法)を用いたエッチング装置や、ECR(Electron Cyclotron Resonance)やICP(Inductively Coupled Plasma)などの高密度プラズマ源を用いたドライエッチング装置を用いることができる。また、ICPエッチング装置と比べて広い面積に渡って一様な放電が得られやすいドライエッチング装置としては、上部電極を接地させ、下部電極に13.56MHzの高周波電源を接続し、さらに下部電極に3.2MHzの低周波電源を接続したECCP(Enhanced Capacitively Coupled Plasma)モードのエッチング装置がある。このECCPモードのエッチング装置であれば、例えば基板として、第10世代の3mを超えるサイズの基板を用いる場合にも対応することができる。
【0120】
所望の加工形状にエッチングできるように、エッチング条件(コイル型の電極に印加される電力量、基板側の電極に印加される電力量、基板側の電極温度等)を適宜調節する。
【0121】
ウエットエッチングに用いるエッチング液としては、燐酸と酢酸と硝酸を混ぜた溶液、アンモニア過水(過酸化水素:アンモニア:水=5:2:2)などを用いることができる。また、ITO07N(関東化学社製)を用いてもよい。
【0122】
また、ウエットエッチング後のエッチング液はエッチングされた材料とともに洗浄によって除去される。その除去された材料を含むエッチング液の廃液を精製し、含まれる材料を再利用してもよい。当該エッチング後の廃液から酸化物半導体層に含まれるインジウム等の材料を回収して再利用することにより、資源を有効活用し低コスト化することができる。
【0123】
所望の加工形状にエッチングできるように、材料に合わせてエッチング条件(エッチング液、エッチング時間、温度等)を適宜調節する。
【0124】
配線層405a、405bの材料としては、Al、Cr、Ta、Ti、Mo、Wから選ばれた元素、または上述した元素を成分とする合金か、上述した元素を組み合わせた合金膜等が挙げられる。また、200℃〜600℃の熱処理を行う場合には、この熱処理に耐える耐熱性を導電膜に持たせることが好ましい。Al単体では耐熱性が劣り、また腐蝕しやすい等の問題点があるので耐熱性導電性材料と組み合わせて形成する。Alと組み合わせる耐熱性導電性材料としては、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、Nd(ネオジム)、Sc(スカンジウム)から選ばれた元素、または上述した元素を成分とする合金か、上述した元素を組み合わせた合金膜、または上述した元素を成分とする窒化物で形成する。
【0125】
ゲート絶縁層402、半導体層403、n層404a、404b、配線層405a、405bを大気に触れさせることなく連続的に形成してもよい。大気に触れさせることなく連続成膜することで、大気成分や大気中に浮遊する汚染不純物元素に汚染されることなく各積層界面を形成することができるので、薄膜トランジスタ特性のばらつきを低減することができる。
【0126】
なお、半導体層403は一部のみがエッチングされ、溝部(凹部)を有する半導体層である。
【0127】
半導体層403、n層404a、404bに200℃〜600℃、代表的には300℃〜500℃の熱処理を行うと良い。例えば、窒素雰囲気下で350℃、1時間の熱処理を行う。この熱処理により半導体層403、n層404a、404bを構成するIn−Ga−Zn−O系酸化物半導体の原子レベルの再配列が行われる。この熱処理(光アニール等も含む)は、半導体層403、n層404a、404b中におけるキャリアの移動を阻害する歪みを解放できる点で重要である。なお、上記の熱処理を行うタイミングは、半導体層403、n層404a、404bの形成後であれば特に限定されない。
【0128】
また、露出している半導体層403の凹部に対して酸素ラジカル処理を行ってもよい。ラジカル処理は、O、NO、酸素を含むN、He、Arなどの雰囲気下で行うことが好ましい。また、上記雰囲気にCl、CFを加えた雰囲気下で行ってもよい。なお、ラジカル処理は、第1の透光基板441側にバイアス電圧を印加せずに行うことが好ましい。
【0129】
薄膜トランジスタ420を覆う絶縁膜407は、乾式法や湿式法で形成される無機絶縁膜、有機絶縁膜を用いることができる。例えば、CVD法やスパッタ法などを用いて得られる窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、酸化タンタル膜などを用いることができる。また、ポリイミド、アクリル、ベンゾシクロブテン、ポリアミド、エポキシ等の有機材料を用いることができる。また上記有機材料の他に、低誘電率材料(low−k材料)、シロキサン系樹脂、PSG(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラス)等を用いることができる。
【0130】
なお、これらの材料で形成される絶縁膜を複数積層させることで、絶縁膜407を形成してもよい。例えば、無機絶縁膜上に有機樹脂膜を積層する構造としてもよい。
【0131】
また、多階調マスクにより形成した複数(代表的には二種類)の厚さの領域を有するレジストマスクを用いると、レジストマスクの数を減らすことができるため、工程簡略化、低コスト化が図れる。
【0132】
コントラストや視野角特性を改善することで、より高画質な液晶表示装置を提供することができる。また、該液晶表示装置をより低コストで生産性よく作製することができる。
【0133】
また、薄膜トランジスタの特性を安定化し、液晶表示装置の信頼性を向上させることができる。
【0134】
また、本実施の形態においては、逆スタガ型の構造の一つであるチャネルエッチ型の例を示したが、薄膜トランジスタ構造は、特に限定されず、チャネルストップ型の構造としてもよい。また、薄膜トランジスタ構造は、ボトムコンタクト構造(逆コプラナ型とも呼ぶ)としてもよい。
【0135】
(実施の形態3)
液晶表示装置の他の形態を図4に示す。詳細には、層間絶縁膜の下方に形成される平板状の第1の電極層を共通電極層として、層間絶縁膜の上方に形成される開口パターンを有する第2の電極層を画素電極層として用いる液晶表示装置の例を示す。
【0136】
図4(A)は液晶表示装置の平面図であり1画素分の画素を示している。図4(B)は図4(A)の線Y1−Y2における断面図である。
【0137】
図4に示す液晶表示装置は、素子基板である第1の透光基板541側に層間絶縁膜513の一部として遮光層517を形成する例である。薄膜トランジスタ520に電気的に接続する第2の電極層546が画素電極層として機能し、共通配線層と電気的に接続する第1の電極層547が共通電極層として機能する。図4に示す電極構成は、FFSモードで用いる電極構成である。
【0138】
FFSモードなどに示される横電界モードは、液晶層の下方に開口パターンを有する第2の電極層(例えば各画素別に電圧が制御される画素電極層)、及びさらにその開口パターンの下方に平板状の第1の電極層(例えば全画素に共通の電圧が供給される共通電極層)を配置する。よって第1の透光基板541上には、一方が画素電極層であり、他方が共通電極層である第1の電極層及び第2の電極層が形成され、画素電極層と共通電極層とは絶縁膜(又は層間絶縁層)を介して積層するように配置される。画素電極層及び共通電極層のいずれか一方は、下方に形成され、かつ平板状であり、他方は上方に形成され、かつ様々な開口パターンを有し、屈曲部や枝分かれした櫛歯状を含む形状である。第1の電極層547及び第2の電極層546はその電極間に電界を発生させるため、同形状で重ならない配置とする。
【0139】
なお、画素電極層と共通電極層によって容量が形成されている。共通電極層はフローティング状態(電気的に孤立した状態)として動作させることも可能だが、固定電位、好ましくはコモン電位(データとして送られる画像信号の中間電位)近傍でフリッカーの生じないレベルに設定してもよい。
【0140】
層間絶縁膜513は遮光層517及び透光性樹脂層を含む。遮光層517は、素子基板である第1の透光基板541側に設けられており、薄膜トランジスタ520上(少なくとも薄膜トランジスタの半導体層を覆う領域)に絶縁膜507を介して形成され、半導体層に対する遮光層として機能する。一方、透光性樹脂層は、第1の電極層547及び第2の電極層546に重なる領域に形成され、表示領域として機能する。
【0141】
なお、遮光層517の可視光の光透過率は、酸化物半導体層である半導体層503の可視光の光透過率より低いものとする。
【0142】
遮光層517を層間膜として用いるため、黒色の有機樹脂を用いることが好ましい。例えば、感光性又は非感光性のポリイミドなどの樹脂材料に、顔料系の黒色樹脂やカーボンブラック、チタンブラック等を混合させて形成すればよい。遮光層517の形成方法は材料に応じて、スピンコート、ディップ、スプレー塗布、液滴吐出法(インクジェット法、スクリーン印刷、オフセット印刷等)などの湿式法を用い、必要に応じてエッチング法(ドライエッチング又はウエットエッチング)により所望のパターンに加工すればよい。遮光層517の膜厚は0.5μm〜2μmとする。ただし、層間絶縁膜513の平坦性を重視するのであれば、遮光層517が設けられる領域は薄膜トランジスタと重なる領域となり膜厚が厚い部分となりやすいため、遮光層517の膜厚は1μm以下とすることが好ましい。
【0143】
また、本実施の形態においては、さらに遮光層514を、液晶表示装置の第2の透光基板542(対向基板)側に形成する。バックライト部に発光ダイオードを用いる場合、冷陰極管よりも輝度が高いため、厚い遮光層とすることが好ましい。1回の成膜で得られる遮光層の厚さは限られるが、別々の基板に形成すると遮光層514と遮光層517の合計膜厚とすることができるため、好ましい。例えば、遮光層514の厚さを1.8μm、遮光層517の厚さを1μmとし、合計2.8μmの厚さとすることができる。遮光層の合計膜厚を厚くすることよりコントラスト向上や薄膜トランジスタの安定化の効果を高めることができる。遮光層514を対向基板側に形成する場合、液晶層を介して薄膜トランジスタと対応する領域(少なくとも薄膜トランジスタの半導体層と重畳する領域)に形成すれば、半導体層に近い部分に設けて覆うことができるため、対向基板側から入射する光による薄膜トランジスタの電気特性の変動をより防止することができる。
【0144】
対向基板側に遮光層514を形成する場合、遮光性の配線層や電極層などによって、薄膜トランジスタの半導体層への素子基板側からの透過光も対向基板側からの透過光も遮断できる場合もあるので、必ずしも遮光層514を薄膜トランジスタを覆うように形成しなくてもよい。
【0145】
このように遮光層を設けると、遮光層は、画素の開口率を低下させることなく薄膜トランジスタの半導体層への光の入射を遮断することができるため、酸化物半導体の光感度による薄膜トランジスタの電気特性の変動を防止し安定化する効果を得られる。また、遮光層は隣り合う画素への光漏れを防止することもできるため、より高コントラスト及び高精細な表示を行うことが可能になる。よって、液晶表示装置の高精細、高信頼性を達成することができる。
【0146】
なお、薄膜トランジスタ520はボトムコンタクト型(逆コプラナ型とも呼ぶ)の薄膜トランジスタであり、絶縁表面を有する基板である第1の透光基板541上に、ゲート電極層501、ゲート絶縁層502、ソース電極層又はドレイン電極層として機能する配線層505a、505b、ソース領域又はドレイン領域として機能するn層504a、504b、及び半導体層503を含む。また、薄膜トランジスタ520を覆い、半導体層503に接する絶縁膜507が設けられている。第1の電極層547は第1の透光基板541上にゲート電極層501と同レイヤーに形成され、画素において平板状の電極層である。
【0147】
なお、半導体層503をスパッタ法により成膜する前に、ゲート絶縁層502、配線層505a、505bにアルゴンガスを導入してプラズマを発生させる逆スパッタを行い、表面に付着しているゴミを除去することが好ましい。
【0148】
半導体層503及びn層504a、504bに、200℃〜600℃、代表的には300℃〜500℃の熱処理を行うと良い。例えば、大気雰囲気下または窒素雰囲気下で350℃、1時間の熱処理を行う。この熱処理を行うタイミングは、半導体層503及びn層504a、504bに用いる酸化物半導体膜の形成後であれば特に限定されない。
【0149】
半導体層503及びn層504a、504bは、In−Ga−Zn−O系非単結晶膜を用いる。このような構造の薄膜トランジスタ520は、移動度20cm/Vs以上、S値0.4V/dec以下の特性が得られる。よって高速動作が可能となり、シフトレジスタなどの駆動回路(ソースドライバー又はゲートドライバー)を画素部と同一基板上に形成することができる。
【0150】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0151】
(実施の形態4)
薄膜トランジスタを作製し、該薄膜トランジスタを画素部、さらには駆動回路に用いて表示機能を有する液晶表示装置を作製することができる。また、薄膜トランジスタを駆動回路の一部または全体を、画素部と同じ基板上に一体形成し、システムオンパネルを形成することができる。
【0152】
液晶表示装置は表示素子として液晶素子(液晶表示素子ともいう)を含む。
【0153】
また、液晶表示装置は、表示素子が封止された状態にあるパネルと、該パネルにコントローラを含むIC等を実装した状態にあるモジュールとを含む。さらに、該液晶表示装置を作製する過程における、表示素子が完成する前の一形態に相当する素子基板に関し、該素子基板は、電流を表示素子に供給するための手段を複数の各画素に備える。素子基板は、具体的には、表示素子の画素電極のみが形成された状態であっても良いし、画素電極となる導電膜を成膜した後であって、エッチングして画素電極を形成する前の状態であっても良いし、あらゆる形態があてはまる。
【0154】
なお、本明細書中における液晶表示装置とは、画像表示デバイス、表示デバイス、もしくは光源(照明装置含む)を指す。また、コネクター、例えばFPC(Flexible printed circuit)もしくはTAB(Tape Automated Bonding)テープもしくはTCP(Tape Carrier Package)が取り付けられたモジュール、TABテープやTCPの先にプリント配線板が設けられたモジュール、または表示素子にCOG(Chip On Glass)方式によりIC(集積回路)が直接実装されたモジュールも全て液晶表示装置に含むものとする。
【0155】
液晶表示装置の一形態に相当する液晶表示パネルの外観及び断面について、図5を用いて説明する。図5(A1)(A2)は、第1の基板4001上に形成された酸化物半導体膜を半導体層として含む信頼性の高い薄膜トランジスタ4010、4011、及び液晶素子4013を、第2の基板4006との間にシール材4005によって封止した、パネルの上面図であり、図5(B)は、図5(A1)(A2)のM−Nにおける断面図に相当する。
【0156】
第1の基板4001上に設けられた画素部4002と、走査線駆動回路4004とを囲むようにして、シール材4005が設けられている。また画素部4002と、走査線駆動回路4004の上に第2の基板4006が設けられている。よって画素部4002と、走査線駆動回路4004とは、第1の基板4001とシール材4005と第2の基板4006とによって、液晶層4008と共に封止されている。
【0157】
また、図5(A1)は第1の基板4001上のシール材4005によって囲まれている領域とは異なる領域に、別途用意された基板上に単結晶半導体膜又は多結晶半導体膜で形成された信号線駆動回路4003が実装されている。なお、図5(A2)は信号線駆動回路の一部を第1の基板4001上に酸化物半導体を用いた薄膜トランジスタで形成する例であり、第1の基板4001上に信号線駆動回路4003bが形成され、かつ別途用意された基板上に単結晶半導体膜又は多結晶半導体膜で形成された信号線駆動回路4003aが実装されている。
【0158】
なお、別途形成した駆動回路の接続方法は、特に限定されるものではなく、COG方法、ワイヤボンディング方法、或いはTAB方法などを用いることができる。図5(A1)は、COG方法により信号線駆動回路4003を実装する例であり、図5(A2)は、TAB方法により信号線駆動回路4003を実装する例である。
【0159】
また第1の基板4001上に設けられた画素部4002と、走査線駆動回路4004は、薄膜トランジスタを複数有しており、図5(B)では、画素部4002に含まれる薄膜トランジスタ4010と、走査線駆動回路4004に含まれる薄膜トランジスタ4011とを例示している。薄膜トランジスタ4010、4011上には絶縁層4020、層間膜4021が設けられている。
【0160】
薄膜トランジスタ4010、4011は、実施の形態1乃至8に示す酸化物半導体膜を半導体層として含む信頼性の高い薄膜トランジスタを適用することができる。薄膜トランジスタ4010、4011はnチャネル型薄膜トランジスタである。
【0161】
また、第1の基板4001上に画素電極層4030及び共通電極層4031が設けられ、画素電極層4030は、薄膜トランジスタ4010と電気的に接続されている。液晶素子4013は、画素電極層4030、共通電極層4031、及び液晶層4008を含む。なお、第1の基板4001、第2の基板4006の外側にはそれぞれ偏光板4032、4033が設けられている。画素電極層4030及び共通電極層4031の構成は実施の形態2の構成を適用してもよく、その場合、共通電極層4031は第2の基板4006側に設けられ、画素電極層4030と共通電極層4031とは液晶層4008を介して積層する構成とすればよい。
【0162】
なお、第1の基板4001、第2の基板4006としては、透光性を有するガラス、プラスチックなどを用いることができる。プラスチックとしては、FRP(Fiberglass−Reinforced Plastics)板、PVF(ポリビニルフルオライド)フィルム、ポリエステルフィルムまたはアクリル樹脂フィルムを用いることができる。また、アルミニウムホイルをPVFフィルムやポリエステルフィルムで挟んだ構造のシートを用いることもできる。
【0163】
また4035は絶縁膜を選択的にエッチングすることで得られる柱状のスペーサであり、液晶層4008の膜厚(セルギャップ)を制御するために設けられている。なお球状のスペーサを用いていても良い。
【0164】
また、図5の液晶表示装置では、基板の外側(視認側)に偏光板を設ける例を示すが、偏光板は基板の内側に設けてもよい。偏光板の材料や作製工程条件によって適宜設定すればよい。また、ブラックマトリクスとして機能する遮光層を設けてもよい。
【0165】
層間膜4021は、透光性樹脂層である。また、層間膜4021の一部を遮光層4012とする。遮光層4012は、薄膜トランジスタ4010、4011を覆う。図5においては、薄膜トランジスタ4010、4011上方を覆うように遮光層4034が第2の基板4006側に設けられている。遮光層4012、及び遮光層4034を設けることにより、さらにコントラスト向上や薄膜トランジスタの安定化の効果を高めることができる。
【0166】
遮光層4034を設けると、薄膜トランジスタの半導体層へ入射する光の強度を減衰させることができ、酸化物半導体の光感度による薄膜トランジスタの電気特性の変動を防止し安定化する効果を得られる。
【0167】
薄膜トランジスタの保護膜として機能する絶縁層4020で覆う構成としてもよいが、特に限定されない。
【0168】
なお、保護膜は、大気中に浮遊する有機物や金属物、水蒸気などの汚染不純物の侵入を防ぐためのものであり、緻密な膜が好ましい。保護膜は、スパッタ法を用いて、酸化珪素膜、窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜、酸化アルミニウム膜、窒化アルミニウム膜、酸化窒化アルミニウム膜、又は窒化酸化アルミニウム膜の単層、又は積層で形成すればよい。
【0169】
また、保護膜を形成した後に、半導体層のアニール(300℃〜400℃)を行ってもよい。
【0170】
また、平坦化絶縁膜として透光性の絶縁層をさらに形成する場合、ポリイミド、アクリル、ベンゾシクロブテン、ポリアミド、エポキシ等の、耐熱性を有する有機材料を用いることができる。また上記有機材料の他に、低誘電率材料(low−k材料)、シロキサン系樹脂、PSG(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラス)等を用いることができる。なお、これらの材料で形成される絶縁膜を複数積層させることで、絶縁層を形成してもよい。
【0171】
積層する絶縁層の形成法は、特に限定されず、その材料に応じて、スパッタ法、SOG法、スピンコート、ディップ、スプレー塗布、液滴吐出法(インクジェット法、スクリーン印刷、オフセット印刷等)、ドクターナイフ、ロールコーター、カーテンコーター、ナイフコーター等を用いることができる。絶縁層を材料液を用いて形成する場合、ベークする工程で同時に、半導体層のアニール(200℃〜400℃)を行ってもよい。絶縁層の焼成工程と半導体層のアニールを兼ねることで効率よく液晶表示装置を作製することが可能となる。
【0172】
画素電極層4030、共通電極層4031は、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム錫酸化物(以下、ITOと示す。)、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの透光性を有する導電性材料を用いることができる。
【0173】
また、画素電極層4030、共通電極層4031として、導電性高分子(導電性ポリマーともいう)を含む導電性組成物を用いて形成することができる。
【0174】
また別途形成された信号線駆動回路4003と、走査線駆動回路4004または画素部4002に与えられる各種信号及び電位は、FPC4018から供給されている。
【0175】
また、薄膜トランジスタは静電気などにより破壊されやすいため、ゲート線またはソース線に対して、駆動回路保護用の保護回路を同一基板上に設けることが好ましい。保護回路は、酸化物半導体を用いた非線形素子を用いて構成することが好ましい。
【0176】
図5では、接続端子電極4015が、画素電極層4030と同じ導電膜から形成され、端子電極4016は、薄膜トランジスタ4010、4011のソース電極層及びドレイン電極層と同じ導電膜で形成されている。
【0177】
接続端子電極4015は、FPC4018が有する端子と、異方性導電膜4019を介して電気的に接続されている。
【0178】
また図5においては、信号線駆動回路4003を別途形成し、第1の基板4001に実装している例を示しているが、この構成に限定されない。走査線駆動回路を別途形成して実装しても良いし、信号線駆動回路の一部または走査線駆動回路の一部のみを別途形成して実装しても良い。
【0179】
図6は液晶表示装置の断面構造の一例であり、素子基板2600と対向基板2601がシール材2602により固着され、その間にTFT等を含む素子層2603、液晶層2604が設けられる。
【0180】
カラー表示を行う場合、バックライト部に複数種の発光色を射出する発光ダイオードを配置する。RGB方式の場合は、赤の発光ダイオード2910R、緑の発光ダイオード2910G、青の発光ダイオード2910Bを液晶表示装置の表示エリアを複数に分割した分割領域にそれぞれ配置する。
【0181】
対向基板2601の外側には偏光板2606が設けられ、素子基板2600の外側には偏光板2607、及び光学シート2613が配設されている。光源は赤の発光ダイオード2910R、緑の発光ダイオード2910G、青の発光ダイオード2910Bと反射板2611により構成され、回路基板2612に設けられたLED制御回路2912は、フレキシブル配線基板2609により素子基板2600の配線回路部2608と接続され、さらにコントロール回路や電源回路などの外部回路が組みこまれている。
【0182】
このLED制御回路2912によって個別にLEDを発光させることによって、フィールドシーケンシャル方式の液晶表示装置としている。
【0183】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0184】
(実施の形態5)
本明細書に開示する液晶表示装置は、さまざまな電子機器(遊技機も含む)に適用することができる。電子機器としては、例えば、テレビジョン装置(テレビ、またはテレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。
【0185】
図7は、テレビジョン装置9600の一例を示している。テレビジョン装置9600は、筐体9601に表示部9603が組み込まれている。表示部9603により、映像を表示することが可能である。また、ここでは、スタンド9605により筐体9601を支持した構成を示している。
【0186】
テレビジョン装置9600の操作は、筐体9601が備える操作スイッチや、別体のリモコン操作機9610により行うことができる。リモコン操作機9610が備える操作キー9609により、チャンネルや音量の操作を行うことができ、表示部9603に表示される映像を操作することができる。また、リモコン操作機9610に、当該リモコン操作機9610から出力する情報を表示する表示部9607を設ける構成としてもよい。
【0187】
なお、テレビジョン装置9600は、受信機やモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができ、さらにモデムを介して有線または無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)または双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
【0188】
図8(A)は携帯型遊技機であり、筐体9881と筐体9891の2つの筐体で構成されており、連結部9893により、開閉可能に連結されている。筐体9881には表示部9882が組み込まれ、筐体9891には表示部9883が組み込まれている。また、図8(A)に示す携帯型遊技機は、その他、スピーカ部9884、記録媒体挿入部9886、LEDランプ9890、入力手段(操作キー9885、接続端子9887、センサ9888(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むもの)、マイクロフォン9889)等を備えている。もちろん、携帯型遊技機の構成は上述のものに限定されず、少なくとも本明細書に開示する液晶表示装置を備えた構成であればよく、その他付属設備が適宜設けられた構成とすることができる。図8(A)に示す携帯型遊技機は、記録媒体に記録されているプログラム又はデータを読み出して表示部に表示する機能や、他の携帯型遊技機と無線通信を行って情報を共有する機能を有する。なお、図8(A)に示す携帯型遊技機が有する機能はこれに限定されず、様々な機能を有することができる。
【0189】
図8(B)は大型遊技機であるスロットマシン9900の一例を示している。スロットマシン9900は、筐体9901に表示部9903が組み込まれている。また、スロットマシン9900は、その他、スタートレバーやストップスイッチなどの操作手段、コイン投入口、スピーカなどを備えている。もちろん、スロットマシン9900の構成は上述のものに限定されず、少なくとも本明細書に開示する液晶表示装置を備えた構成であればよく、その他付属設備が適宜設けられた構成とすることができる。
【0190】
図9(A)は、携帯電話機1000の一例を示している。携帯電話機1000は、筐体1001に組み込まれた表示部1002の他、操作ボタン1003、外部接続ポート1004、スピーカ1005、マイク1006などを備えている。
【0191】
図9(A)に示す携帯電話機1000は、表示部1002を指などで触れることで、情報を入力ことができる。また、電話を掛ける、或いはメールを打つなどの操作は、表示部1002を指などで触れることにより行うことができる。
【0192】
表示部1002の画面は主として3つのモードがある。第1は、画像の表示を主とする表示モードであり、第2は、文字等の情報の入力を主とする入力モードである。第3は表示モードと入力モードの2つのモードが混合した表示+入力モードである。
【0193】
例えば、電話を掛ける、或いはメールを作成する場合は、表示部1002を文字の入力を主とする文字入力モードとし、画面に表示させた文字の入力操作を行えばよい。この場合、表示部1002の画面のほとんどにキーボードまたは番号ボタンを表示させることが好ましい。
【0194】
また、携帯電話機1000内部に、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサを有する検出装置を設けることで、携帯電話機1000の向き(縦か横か)を判断して、表示部1002の画面表示を自動的に切り替えるようにすることができる。
【0195】
また、画面モードの切り替えは、表示部1002を触れること、又は筐体1001の操作ボタン1003の操作により行われる。また、表示部1002に表示される画像の種類によって切り替えるようにすることもできる。例えば、表示部に表示する画像信号が動画のデータであれば表示モード、テキストデータであれば入力モードに切り替える。
【0196】
また、入力モードにおいて、表示部1002の光センサで検出される信号を検知し、表示部1002のタッチ操作による入力が一定期間ない場合には、画面のモードを入力モードから表示モードに切り替えるように制御してもよい。
【0197】
表示部1002は、イメージセンサとして機能させることもできる。例えば、表示部1002に掌や指を触れることで、掌紋、指紋等を撮像することで、本人認証を行うことができる。また、表示部に近赤外光を発光するバックライトまたは近赤外光を発光するセンシング用光源を用いれば、指静脈、掌静脈などを撮像することもできる。
【0198】
図9(B)も携帯電話機の一例である。図9(B)の携帯電話機は、筐体9411に、表示部9412、及び操作ボタン9413を含む表示装置9410と、筐体9401に操作ボタン9402、外部入力端子9403、マイク9404、スピーカ9405、及び着信時に発光する発光部9406を含む通信装置9400とを有しており、表示機能を有する表示装置9410は電話機能を有する通信装置9400と矢印の2方向に脱着可能である。よって、表示装置9410と通信装置9400の短軸同士を取り付けることも、表示装置9410と通信装置9400の長軸同士を取り付けることもできる。また、表示機能のみを必要とする場合、通信装置9400より表示装置9410を取り外し、表示装置9410を単独で用いることもできる。通信装置9400と表示装置9410とは無線通信又は有線通信により画像又は入力情報を授受することができ、それぞれ充電可能なバッテリーを有する。
【0199】
以上の構成でなる本発明について、以下に示す実施例でもってさらに詳細な説明を行うこととする。
【実施例1】
【0200】
本実施例では液晶注入法を用いてフィールドシーケンシャル方式の液晶表示装置を作製する例を以下に示す。
【0201】
第1の透光基板にTFTを形成し、その後ブラックマトリックス(BM)、そして保護膜を形成し、コンタクトホールを開けた後、画素電極を形成した。またコモン電極も同様に第1の透光基板に形成し、画素電極とコモン電極を櫛歯状に形成した。そして、柱状スペーサを画素部の開口していない箇所に設けた。
【0202】
続いて第2の透光基板に透明導電膜を形成し、第1の透光基板と同様に柱状スペーサを形成した。スペーサの配置場所は、第1の透光基板と第2の透光基板を貼り合せた際に、第1の透光基板に形成した柱状スペーサと第2の透光基板に形成した柱状スペーサが重なるような配置とした。
【0203】
ここで、第1の透光基板および第2の透光基板は液晶の配向を制御する配向膜の形成、およびラビング等の配向処理は行わなかった。また、本実施例では、バックライトにRGBのダイオード(LED)を配置し、フィールドシーケンシャル方式を採用するため、第1の透光基板および第2の透光基板にはカラーフィルタは設けなかった。
【0204】
次に第2の透光基板に熱硬化型のシール材を塗布し、第1の透光基板および第2の透光基板を貼り合わせた。貼り合せの精度は+1μm〜−1μmの範囲内である。第1の透光基板および第2の透光基板の基板間隔は、柱状スペーサや球状スペーサなどの間隔保持材を用いて保持する。そして、圧力(2.94N/cm)をかけながら160℃のオーブンで3時間シール焼成を行った。
【0205】
続いて、貼り合わせた第1の透光基板と第2の透光基板をスクライバーで分断し、FPCを貼り合わせた。
【0206】
本実施例で使用した液晶混合物は、誘電率の異方性が正である液晶とカイラル剤、UV硬化型樹脂、そして重合開始剤を混ぜた混合物である。UV硬化型樹脂および重合開始剤はUV照射前に自己重合する恐れがある。このため、液晶とカイラル剤を初めに混ぜてコレステリック相とし、このピッチを400nm以下にして等方相まで加熱し、十分攪拌させた後に、室温でUV硬化型樹脂および重合開始剤を混ぜ合わせた。そして、UV硬化型樹脂と重合開始剤の融点より2℃ほど高い温度で攪拌を行った。
【0207】
次に、この液晶混合物を加熱しながら真空注入を行った。注入後に注入口を封止し高分子安定化処理を行った。高分子安定化処理は、まず液晶層を挟持させた一対の基板をオーブンに入れて等方相にまで加熱し、−0.5℃/minで降温させて、ブルー相にまで相転移させた。次にブルー相で降温を止めて一定温度を保った状態でUV光源(主波長365nm、2mW/cm)を用い、一対の基板の上下両側から20min照射して高分子安定化を行った。この工程は可視光及び紫外光を透過しない金属板のホットプレートでは行えないためオーブンを使用した。また、第2の透光基板はBMがないため液晶層全体に紫外光を照射できるが、第1の透光基板はBM等の遮光があるため、液晶層において画素の開口部と重なる領域にしか紫外光が照射されない。しかし、カラーフィルタを設けないフィールドシーケンシャル法を採用しているため画素開口部には第1の透光基板と第2の透光基板には同程度のUV照射量となり、高分子が片側の基板側、即ちどちらか一方の基板側に偏らないで均一な配置となった。そして、2枚の偏光板を櫛歯電極に対して45°ずれるように第1の透光基板と第2の透光基板の外側に貼り、液晶パネルを作製した。
【0208】
なお、本実施例では、注入後に注入口を封止し高分子安定化処理を行う例を示したが、封止のためにUV硬化型樹脂を用いる場合は、封止のためのUV照射により液晶混合物に含まれるUV硬化型樹脂も硬化する恐れがあるため、注入後に高分子安定化処理を行った後、封止を行うことが好ましい。
【0209】
以上より、高分子安定化処理のUV照射工程を第1の透光基板と第2の透光基板の両側から同時に行うことによって、電圧印加停止後も残留複屈折が発生せず、電圧印加前の黒状態が得られ、光漏れを低減することができる。これにより、品質の高い高分子安定化ブルー相の表示素子を作製することができる。
【符号の説明】
【0210】
301 筐体
302 液晶パネル
303 バックライト部
304 筐体
305 駆動IC
306 接続コード
307 FPC
308 LED制御回路
401 ゲート電極層
402 ゲート絶縁層
403 半導体層
404a、404b n+層
405a、405b 配線層
407 絶縁膜
408 共通配線層
413 層間絶縁膜
414 遮光層
415 絶縁層
417 遮光層
420 薄膜トランジスタ
441 透光基板
442 透光基板
443a 偏光板
443b 偏光板
444 液晶層
446 電極層
447 電極層
450 液晶層
451 紫外光
452 紫外光
501 ゲート電極層
502 ゲート絶縁層
503 半導体層
504a、504b n+層
505a、505b 配線層
507 絶縁膜
513 層間絶縁膜
514 遮光層
517 遮光層
520 薄膜トランジスタ
521 薄膜トランジスタ
541 透光基板
542 透光基板
546 電極層
547 電極層
1000 携帯電話機
1001 筐体
1002 表示部
1003 操作ボタン
1004 外部接続ポート
1005 スピーカ
1006 マイク
2600 素子基板
2601 対向基板
2602 シール材
2603 素子層
2604 液晶層
2606 偏光板
2607 偏光板
2608 配線回路部
2609 フレキシブル配線基板
2611 反射板
2612 回路基板
2613 光学シート
2910B 発光ダイオード
2910G 発光ダイオード
2910R 発光ダイオード
2912 LED制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の透光基板上にゲート電極と、遮光層と、前記ゲート電極と前記遮光層との間に酸化物半導体層を有する薄膜トランジスタを形成し、
前記薄膜トランジスタと電気的に接続する画素電極を含む画素部を形成し、
光硬化樹脂及び光重合開始剤を含む液晶層を挟んで前記第1の透光基板と第2の透光基板を固定し、
前記第1の透光基板と前記第2の透光基板の上下両側から紫外光を前記液晶層に照射し、
前記液晶層に紫外光を照射した後、第1の偏光板を前記第1の透光基板に固定し、第2の偏光板を前記第2の透光基板に固定し、
複数種類の発光ダイオードを含むバックライト部と、前記第1の透光基板の画素部とを重ねて固定する半導体装置の作製方法。
【請求項2】
第1の透光基板上にゲート電極と、前記ゲート電極と重なる酸化物半導体層を有する薄膜トランジスタを形成し、
前記薄膜トランジスタと電気的に接続する画素電極を含む画素部を形成し、
光硬化樹脂及び光重合開始剤を含む液晶層を挟んで遮光層を有する第2の透光基板と、前記第1の透光基板とを固定し、
前記第1の透光基板と前記第2の透光基板の上下両側から紫外光を前記液晶層に照射し、
前記液晶層に紫外光を照射した後、第1の偏光板を前記第1の透光基板に固定し、第2の偏光板を前記第2の透光基板に固定し、
複数種類の発光ダイオードを含むバックライト部と、前記第1の透光基板の画素部とを重ねて固定する半導体装置の作製方法。
【請求項3】
請求項2において、前記遮光層は、前記酸化物半導体層と重なる半導体装置の作製方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一において、前記液晶層は、ブルー相を示す液晶材料を含む半導体装置の作製方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一において、前記液晶層は、カイラル剤を含む半導体装置の作製方法。
【請求項6】
バックライト部と、前記バックライト部上に第1の透光基板と、
前記第1の透光基板上にゲート電極と、遮光層と、前記ゲート電極と前記遮光層との間に酸化物半導体層を有する薄膜トランジスタを有し、
前記第1の透光基板上に固定された第2の透光基板と、
前記第1の透光基板と前記第2の透光基板の間に液晶層を有し、
前記バックライト部は複数種類の発光ダイオードを含み、発光ダイオードから射出された光は、前記第1の透光基板または前記第2の透光基板を透過することを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
バックライト部と、前記バックライト部上に第1の透光基板と、
前記第1の透光基板上に酸化物半導体層を有する薄膜トランジスタを有し、
前記第1の透光基板上に固定された第2の透光基板と、
前記第2の透光基板と第1の透光基板の間に前記酸化物半導体層と重なる遮光層を有し、
前記第1の透光基板と前記第2の透光基板の間に液晶層を有し、
前記バックライト部は複数種類の発光ダイオードを含み、発光ダイオードから射出された光は、前記第1の透光基板または前記第2の透光基板を透過することを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項6または請求項7において、さらに発光ダイオード制御回路を有する半導体装置。
【請求項9】
請求項6乃至8のいずれか一において、前記液晶層は、ブルー相を示す液晶材料を含む半導体装置。
【請求項10】
請求項6乃至9のいずれか一において、前記液晶層は、カイラル剤を含む半導体装置。
【請求項11】
請求項6乃至10のいずれか一において、前記液晶層は、光硬化樹脂及び光重合開始剤を含む半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−170119(P2010−170119A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−288716(P2009−288716)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】