説明

半導体装置およびその製造方法

【課題】積層した半導体デバイスの配線信頼性の向上を図ることを可能とする。
【解決手段】第1基板12に第1半導体集積回路13が形成され、その第1半導体集積回路13上に形成された絶縁膜31とその絶縁膜31中に形成された複数層の配線32からなる第1配線部33の側周を囲む耐湿性を有する第1ガードリング14を備えた第1半導体デバイス11と、第2基板22に第2半導体集積回路23が形成され、その第2半導体集積回路23上に形成された絶縁膜41とその絶縁膜41中に形成された複数層の配線42からなる第2配線部43の側周を囲む耐湿性を有する第2ガードリング24を備えた第2半導体デバイス21が、前記第1配線部33と前記第2配線部43とを対向させて積層されていて、第1半導体デバイス11と第2半導体デバイス12の接合面で第1ガードリング14と第2ガードリング24とが接合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近の半導体装置の微細化傾向は、さらなる微細化によるマスク工程の高集積化を目指した「more Moore」が減速してきている。それに代わって、垂直方向に素子を積み上げ、その素子間を3次元的に配線で接続することで、素子間の抵抗や容量を低減できる「beyond Moore」が注目を集めている。3次元方向への積層は、ウエハレベルでのパッケージ技術開発が加わることで、低コスト化も可能となる。
【0003】
例えば、3次元配線の例としては、シリコン基板を用いたウエハプロセスの最初に、シリコン基板表面から埋め込み配線(タングステン(W)や、ポリシリコン等)を形成しておく。そしてウエハプロセスが終了した後に、シリコン基板を裏面研削して埋め込み配線を露出させ、バンプを形成する。そして、同様に作製した他方のウエハとバンプ同士を接合させて貼り合わせ、ウエハ間での電気的導通を取る手法(例えば、特許文献1参照。)がある。
【0004】
また、図7に示すように、半導体デバイス101と半導体デバイス102とを張り合わせた後に、各々のウエハ間にあらかじめ埋め込んでおいた導電性のパッド部111に接触または貫通するように孔121をあけ、その孔121を導電性材料122で埋め込むことで導通を取る手法(例えば、非特許文献1参照。)等がある。
【0005】
しかし、3次元方向にウエハ(例えば半導体デバイス101,102)を積み上げる際、従来のウエハプロセスにおいて使用されていたチップ間の吸湿防止シール(ガードリング131、132)がデバイス間または接合面で分離してしまう。その結果、分離した部分の界面部から侵入した水分や大気成分が配線箇所に拡散し、配線141、142等に酸化および腐食を発生させる危険がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−261000号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】“A 4-Side Tileable Illuminated 3D-Integrated Mpixcel CMOS Image Sensor” 2009 IEEE International Solid-State Circuit Conference (2009)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
解決しようとする問題点は、3次元方向に半導体デバイスを積み上げた場合に、各半導体デバイスのチップ間の吸湿を防止するガードリングが接合面で分離してしまうため、その接合界面部から侵入した水分や大気成分が半導体デバイスの配線等を酸化、腐食する点である。
【0009】
本発明は、3次元方向に半導体デバイスを積み上げた場合に、各半導体デバイスのチップ間の吸湿を防止するガードリングを接合面で接合して、接合面から水分や大気成分がチップ内に侵入することを防止する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の半導体装置は、第1基板に第1半導体集積回路が形成され、その第1半導体集積回路の側周を囲む耐湿性を有する第1ガードリングを備えた第1半導体デバイスと、
第2基板に第2半導体集積回路が形成され、その第2半導体集積回路の側周を囲む耐湿性を有する第2ガードリングを備えた第2半導体デバイスが積層されていて、
前記第1半導体デバイスと前記第2半導体デバイスの接合面で前記第1ガードリングと前記第2ガードリングとが接合されている。
【0011】
本発明の半導体装置では、第1半導体デバイスと第2半導体デバイスの接合面で第1ガードリングと第2ガードリングとが接合されているから、第1半導体デバイスと第2半導体デバイスとの接合面から侵入した水分や大気成分(主として酸素等の酸化成分)は、第1配線部や第2配線部内に侵入することがない。このため、第1配線部の配線や第2配線部の配線が酸化、腐食を受けることがない。
【0012】
本発明の半導体装置の製造方法は、第1基板に第1半導体集積回路が形成され、その第1半導体集積回路上に形成された絶縁膜とその絶縁膜中に形成された複数層の配線からなる第1配線部を備えた第1半導体デバイスと、第2基板に第2半導体集積回路が形成され、その第2半導体集積回路上に形成された絶縁膜とその絶縁膜中に形成された複数層の配線からなる第2配線部を備えた第2半導体デバイスを、前記第1配線部と前記第2配線部とを対向させて積層する工程と、前記第1基板に前記第1配線部の側周を囲む耐湿性を有する第1ガードリングを前記第2ガードリングに接合させて形成する工程を備えている。
【0013】
本発明の半導体装置の製造方法は、第1基板に第1半導体集積回路が形成され、その第1半導体集積回路上に形成された絶縁膜とその絶縁膜中に形成された複数層の配線からなる第1配線部の側周に耐湿性を有する第1ガードリングを備えた第1半導体デバイスと、第2基板に第2半導体集積回路が形成され、その第2半導体集積回路上に形成された絶縁膜とその絶縁膜中に形成された複数層の配線からなる第2配線部を備えた第2半導体デバイスを、前記第1配線部と前記第2配線部とを対向させて積層する工程と、前記第2基板に前記第2半導体集積回路の側周を囲む耐湿性を有する第2ガードリングを前記第1ガードリングに接合させて形成する工程を備えている。
【0014】
本発明の半導体装置の製造方法では、第1半導体デバイスと第2半導体デバイスの接合面で第1ガードリングと第2ガードリングとが接合されることから、第1半導体デバイスと第2半導体デバイスとの接合面から侵入した水分や大気成分(主として酸素等の酸化成分)は、第1配線部や第2配線部内に侵入することがない。このため、第1配線部の配線や第2配線部の配線が酸化、腐食を受けることがない。
【発明の効果】
【0015】
本発明の半導体装置は、第1ガードリングと第2ガードリングがデバイス接合面で接合されているため、第1半導体集積回路の配線や第2半導体集積回路の配線が酸化、腐食を受けることがないので、配線の信頼性の向上が図れる。
【0016】
本発明の半導体装置の製造方法は、第1ガードリングと第2ガードリングがデバイス接合面で接合されるため、第1半導体集積回路の配線や第2半導体集積回路の配線が酸化、腐食を受けることがないので、配線の信頼性の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施の形態に係る半導体装置の構成の第1例を示した概略構成断面図およびガードリング部の平面レイアウト図である。
【図2】本発明の第1実施の形態に係る半導体装置の構成の第2例を示した概略構成断面図である。
【図3】本発明の第2実施の形態に係る半導体装置の製造方法の第1例を示した製造工程断面図である。
【図4】本発明の第2実施の形態に係る半導体装置の製造方法の第1例を示した製造工程断面図である。
【図5】本発明の第2実施の形態に係る半導体装置の製造方法の第2例を示した製造工程断面図である。
【図6】本発明の第2実施の形態に係る半導体装置の製造方法の第2例を示した製造工程断面図である。
【図7】従来例の半導体装置の構成の一例を示した概略構成断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、発明を実施するための形態(以下、実施の形態とする)について説明する。
【0019】
<1.第1の実施の形態>
[半導体装置の構成の第1例]
本発明の第1実施の形態に係る半導体装置の構成の第1例を、図1の概略構成断面図およびガードリング部の平面レイアウト図によって説明する。図1(1)に概略構成断面図を示し、(2)にガードリング部の平面レイアウト図を示す。
【0020】
図1に示すように、第1半導体デバイス11は、第1基板12に第1半導体集積回路13が形成されている。上記第1半導体集積回路13上には、絶縁膜31とその絶縁膜31中に形成された複数層の配線32からなる第1配線部33を有し、その第1配線部33の側周を囲む耐湿性を有する第1ガードリング14が上記絶縁膜31に形成されている。
【0021】
一方、第2半導体デバイス21は、第2基板22に第2半導体集積回路23が形成されている。上記第2半導体集積回路23上には、絶縁膜41とその絶縁膜41中に形成された複数層の配線42からなる第2配線部43を有し、その第2配線部43の側周を囲む耐湿性を有する第2ガードリング24が上記絶縁膜41に形成されている。
そして、上記第1半導体デバイス11と上記第2半導体デバイス21が接合された積層されている。
【0022】
上記第1半導体デバイス11と上記第2半導体デバイス21の接合面では上記第1ガードリング14と上記第2ガードリング24とが接合されている。
【0023】
例えば、上記記第1半導体デバイス11と上記第2半導体デバイス21との接合は、接着剤51で成されている。
または、図示していないが、上記第1半導体デバイス11の接合面は第1酸化シリコン膜で形成され、上記第2半導体デバイス21の接合面は第2酸化シリコン膜で形成され、上記第1半導体デバイス11と上記第2半導体デバイス21との接合は、上記第1、第2酸化シリコン膜同士の接合で成されていてもよい。
【0024】
上記第1ガードリング14と上記第2ガードリング24は、詳細を図示はしていないが、以下のような構成となっている。
例えば、上記第1ガードリング14は、上記第1基板12、上記絶縁膜31等を貫通する貫通溝15の側面に形成された側壁絶縁膜(図示せず)を介して埋め込まれた、アルミニウム、銅、タングステン、チタン、タンタル、窒化チタン、窒化タンタル、ポリシリコン、もしくはそれらの積層構造や、またはアルミニウム、銅、タングステン、チタン、タンタルのいずれか1種以上を主成分とした合金等の耐湿性材料17で形成されている。
したがって、上記第1ガードリング14は、水分や大気成分(主として酸素(O)等の酸化成分)を通すことはない。
【0025】
また、上記第2ガードリング24は、少なくとも上記絶縁膜41を貫通する貫通溝25の側面に形成された側壁絶縁膜を介して埋め込まれた、アルミニウム、銅、タングステン、チタン、タンタル、窒化チタン、窒化タンタル、ポリシリコン、もしくはそれらの積層構造や、またはアルミニウム、銅、タングステン、チタン、タンタルのいずれか1種以上を主成分とした合金等の耐湿性材料27で形成されている。
したがって、上記第2ガードリング24は、水分や大気成分(主として酸素(O)等の酸化成分)を通すことはない。
【0026】
なお、上記第1ガードリング14、第2ガードリング24は、複数の溝をつなぎ合わせて形成した貫通溝15(25)内に上記耐湿性材料17(27)を埋め込んで形成したものであってもよい。
【0027】
また、上記第1ガードリング14、第2ガードリング24ともに、その幅は、数百nmから数μmとする。例えば、200nm〜4μm程度とする。上記のガードリング材料であれば、200nm以上の厚さがあれば、十分な耐湿性が得られる。また、ガードリングが厚くなれば、接合幅も広くなり、耐湿性の点で有利になるが、4μmを超えるような厚さは必要なく、チップ面積の増大になる。
【0028】
したがって、上記半導体装置1では、第1半導体デバイス11と第2半導体デバイス21の接合面で、第1ガードリング14と第2ガードリング24とが接合されている。このため、第1半導体デバイス11と第2半導体デバイス21との接合面から侵入した水分や大気成分(主として酸素等の酸化成分)は、第1配線部33や第2配線部43内に侵入することがない。すなわち、接合界面での水分や大気成分の侵入が防止される。このため、第1配線部33の配線32や第2配線部43の配線42が酸化、腐食を受けることがない。
よって、配線の信頼性の向上が図れる。
【0029】
なお、図面では、第1ガードリング14、第2ガードリング24ともに、それぞれ、第1半導体集積回路13、第2半導体集積回路23の側周を三重に囲むように形成されているが、その数は、一重もしくは二重であっても、三重よりも多くてもかまわない。しかし、ガードリング数が多くなると、チップ面積の増大になるので、三重以下に形成されることが好ましい。
【0030】
また、第1配線部33の配線32と第2配線部43の配線42との電気的接続は、プラグ28によって成されている。このプラグ28は、上記第1、第2ガードリング14、24と同様な構成を有する。
【0031】
[半導体装置の構成の第2例]
本発明の第1実施の形態に係る半導体装置の構成の第2例を、図2の概略構成断面図によって説明する。
【0032】
図2に示すように、第1半導体デバイス11は、第1基板12に第1半導体集積回路13が形成されている。上記第1半導体集積回路13上には、絶縁膜31とその絶縁膜31中に形成された複数層の配線32からなる第1配線部33を有し、その第1配線部33の側周を囲む耐湿性を有する第1ガードリング14が上記絶縁膜31に形成されている。
【0033】
一方、第2半導体デバイス21は、第2基板22に第2半導体集積回路23が形成されている。上記第2半導体集積回路23上に形成された絶縁膜41とその絶縁膜41中に形成された複数層の配線42からなる第2配線部43を有し、その第2配線部43の側周を囲む耐湿性を有する第2ガードリング24が上記絶縁膜41に形成されている。
そして、上記第1半導体デバイス11と上記第2半導体デバイス21が接合された積層されている。
【0034】
上記第1半導体デバイス11と上記第2半導体デバイス21の接合面では上記第1ガードリング14と上記第2ガードリング24とが、例えば第2ガードリング24に形成されたバンプ29Aを介して接合されている。もちろん、バンプ29Aは、第1ガードリング14側に形成されていてもよく、第1ガードリング14と第2ガードリング24の両方に形成されていてもよい。
上記バンプ29Aは、例えば、スズ、銅、金、もしくはそれらを主成分とした合金で形成されている。
【0035】
例えば、上記記第1半導体デバイス11と上記第2半導体デバイス21との接合は、接着剤51で成されている。
または、図示していないが、上記第1半導体デバイス11の接合面は第1酸化シリコン膜で形成され、上記第2半導体デバイス21の接合面は第2酸化シリコン膜で形成され、上記第1半導体デバイス11と上記第2半導体デバイス21との接合は、上記第1、第2酸化シリコン膜同士の接合で成されていてもよい。
【0036】
上記第1ガードリング14と上記第2ガードリング24は、詳細を図示はしていないが、以下のような構成となっている。
例えば、上記第1ガードリング14は、少なくとも絶縁膜31を貫通する貫通溝15の側面に形成された側壁絶縁膜(図示せず)を介して埋め込まれた、アルミニウム、銅、タングステン、チタン、タンタル、窒化チタン、窒化タンタル、ポリシリコン、もしくはそれらの積層構造や、またはアルミニウム、銅、タングステン、チタン、タンタルのいずれか1種以上を主成分とした合金等の耐湿性材料17で形成されている。
したがって、上記第1ガードリング14は、水分や大気成分(主として酸素(O)等の酸化成分)を通すことはない。
【0037】
また、上記第2ガードリング24は、少なくとも絶縁膜41を貫通する貫通溝25の側面に形成された絶縁膜を介して埋め込まれた、アルミニウム、銅、タングステン、チタン、タンタル、窒化チタン、窒化タンタル、ポリシリコン、もしくはそれらの積層構造や、またはアルミニウム、銅、タングステン、チタン、タンタルのいずれか1種以上を主成分とした合金等の耐湿性材料27で形成されている。
したがって、上記第2ガードリング24は、水分や大気成分(主として酸素(O)等の酸化成分)を通すことはない。
【0038】
なお、上記第1ガードリング14、第2ガードリング24は、複数の溝をつなぎ合わせて形成した貫通溝15(25)内に上記耐湿性材料17(27)を埋め込んで形成したものであってもよい。
【0039】
また、上記第1ガードリング14、第2ガードリング24ともに、その幅は、数百nmから数μmとする。例えば、200nm〜4μm程度とする。上記のガードリング材料であれば、200nm以上の厚さがあれば、十分な耐湿性が得られる。また、ガードリングが厚くなれば、接合幅も広くなり、耐湿性の点で有利になるが、4μmを超えるような厚さは必要なく、チップ面積の増大になる。
【0040】
したがって、上記半導体装置2では、第1半導体デバイス11と第2半導体デバイス21の接合面で、第1ガードリング14と第2ガードリング24とがバンプ29を介して接合されているから、第1半導体デバイス11と第2半導体デバイス21との接合面から侵入した水分や大気成分(主として酸素等の酸化成分)は、第1配線部13や第2配線部23内に侵入することがない。すなわち、接合界面での水分や大気成分の侵入が防止される。このため、第1配線部33の配線32や第2配線部43の配線42が酸化、腐食を受けることがない。
よって、配線の信頼性の向上が図れる。
【0041】
なお、図面では、第1ガードリング14、第2ガードリング24ともに、それぞれ、第1半導体集積回路13、第2半導体集積回路23の側周を三重に囲むように形成されているが、その数は、一重もしくは二重であっても、三重よりも多くてもかまわない。しかし、ガードリング数が多くなると、チップ面積の増大になるので、三重以下に形成されることが好ましい。
【0042】
また、第1配線部33の配線32と第2配線部43の配線42との電気的接続は、バンプ29Bによって成されている。このバンプ29Bは上記バンプ29Aと同様な材料で形成されている。
【0043】
<2.第2の実施の形態>
[半導体装置の製造方法の第1例]
本発明の第2実施の形態に係る半導体装置の製造方法の第1例を、図3〜図4の製造工程断面図によって説明する。
【0044】
図3(1)に示すように、第1半導体デバイス11は、第1基板12に第1半導体集積回路13が形成されている。上記第1半導体集積回路13上には、絶縁膜31とその絶縁膜31中に形成された複数層の配線32からなる第1配線部33を有している。
【0045】
一方、第2半導体デバイス21は、第2基板22に第2半導体集積回路23が形成されている。上記第2半導体集積回路23上には、絶縁膜41とその絶縁膜41中に形成された複数層の配線42からなる第2配線部43を有し、その第2配線部43の側周を囲む耐湿性を有する第2ガードリング24が上記絶縁膜41に形成されている。
上記第1半導体デバイス11と上記第2半導体デバイス21を、例えば接着剤51で貼り合わせる。もしくは、図示はしていないが、上記絶縁膜31の接合面に形成された酸化シリコン膜と、絶縁膜41の接合面に形成された酸化シリコン(SiO2)膜とをプラズマ接合等により貼り合わせる。
【0046】
次に、図3(2)に示すように、例えば第1基板12の裏面側(素子、配線等が形成されていない側)を裏面研削(BGR)や化学的機械研磨(CMP)を使用し、研削もしくは研磨して、第1基板12を薄くする。
【0047】
次に、図4(3)に示すように、ドライエッチング等により、上記第1基板12から上記絶縁膜31を貫通する貫通溝15を形成する。
次に、例えば化学気相成長(CVD)法によって、上記貫通溝15の内面に第1基板12のシリコン(Si)との絶縁を確保する側壁絶縁膜(図示せず)を形成する。
その際、貫通溝15底部に形成された側壁絶縁膜は、異方性の強い、例えば電子ビーム(EB)加工や、異方性エッチングによって除去する。
その後、上記貫通溝15の内部を銅(Cu)、タングステン(W)等の耐湿性材料17で埋め込む。そして、化学的機械研磨(CMP)等で余分な耐湿性材料17を取り除く。
この結果、貫通溝15内の側壁に側壁絶縁膜を介して耐湿性材料17が埋め込まれてなる第1ガードリング14が形成される。
上記耐湿性材料17は、上記第2ガードリング24を構成する耐湿性材料27も同様であり、アルミニウム、銅、タングステン、チタン、タンタル、窒化チタン、窒化タンタル、ポリシリコン、もしくはそれらの積層構造や、またはアルミニウム、銅、タングステン、チタン、タンタルのいずれか1種以上を主成分とした合金等で形成される。
【0048】
また、上記第1ガードリング14を形成するとき、同時に、第1配線部13、第2配線部43の配線32、配線42に接続するプラグ28を形成することはできる。図面では、配線32に接続するプラグ28を示した。
【0049】
次に、図4(4)に示すように、例えば、第1基板12上に層間絶縁膜61を成膜して第1基板12のシリコン(Si)部分との絶縁を確保する。その後、層間絶縁膜61の所定の位置に配線32に接続されたプラグ28に達する開口部62を形成し、この開口部62を通じて配線32に接続されるパッド電極63を形成する。このパッド電極63は、例えばアルミニウムもしくはアルミニウム合金で形成される。もちろん、上記パッド電極63は、アルミニウム以外の導電性材料で形成されてもよい。
【0050】
また、上記貫通溝15、貫通溝25は、その幅が、例えば数百nmから数μmとなるように形成される。例えば、ガードリング材料が200nm〜4μmの幅で埋め込まれるように、側壁絶縁膜の膜厚を考慮して形成される。例えば、側壁絶縁膜の膜厚は、電気的絶縁性は確保されればよいので、例えば酸化シリコン膜の場合、20nm以上とする。また上記のガードリング材料であれば、200nm以上の幅があれば、十分な耐湿性が得られる。また、ガードリングが厚くなれば、接合幅も広くなり、耐湿性の点で有利になるが、4μmを超えるような厚さは必要なく、チップ面積の増大になる。
【0051】
したがって、上記半導体装置の製造方法では、第1半導体デバイス11と第2半導体デバイス21の接合面で、第1ガードリング14と第2ガードリング24とが接合されることから、第1半導体デバイス11と第2半導体デバイス21との接合面から侵入した水分や大気成分(主として酸素等の酸化成分)は、第1配線部33や第2配線部43内に侵入することがない。このため、第1配線部33の配線32や第2配線部43の配線42が酸化、腐食を受けることがない。
よって、配線の信頼性の向上が図れる。
【0052】
なお、図面では、第1ガードリング14、第2ガードリング24ともに、それぞれ、第1半導体集積回路13、第2半導体集積回路23の側周を三重に囲むように形成されているが、その数は、一重もしくは二重であっても、三重よりも多くてもかまわない。しかし、ガードリング数が多くなると、チップ面積の増大になるので、三重以下に形成されることが好ましい。
【0053】
[半導体装置の製造方法の第2例]
本発明の第2実施の形態に係る半導体装置の製造方法の第2例を、図5〜図6の製造工程断面図によって説明する。
【0054】
図5(1)に示すように、第1半導体デバイス11は、第1基板12に第1半導体集積回路13が形成されている。上記第1半導体集積回路13上には、絶縁膜31とその絶縁膜31中に形成された複数層の配線32からなる第1配線部33を有し、その第1配線部33の側周を囲む耐湿性を有する第1ガードリング14が上記絶縁膜31に形成されている。
上記第1ガードリング14の接合部には、接合用パッド14Pが形成されていることが好ましい。
【0055】
一方、第2半導体デバイス21は、第2基板22に第2半導体集積回路23が形成されている。上記第2半導体集積回路23上には、絶縁膜41とその絶縁膜41中に形成された複数層の配線42からなる第2配線部43を有し、その第2配線部43の側周を囲む耐湿性を有する第2ガードリング24が上記絶縁膜41に形成されている。
上記第2ガードリング24の接合部には、接合用パッド24P(上記バンプ29Aに対応)が形成されていることが好ましい。
【0056】
そして、上記第1半導体デバイス11と上記第2半導体デバイス21を、例えば接着剤51で貼り合わせる。もしくは、図示はしていないが、上記絶縁膜31の接合面に形成された酸化シリコン膜と、絶縁膜41の接合面に形成された酸化シリコン(SiO2)膜とをプラズマ接合等により貼り合わせる。
【0057】
このとき、上記第1ガードリング14の接合用パッド14Pと上記第2ガードリング24の接合用パッド24Pとが接合される。なお、上記接着剤51を用いて説明する場合、上記接着剤51が接合用パッド14P表面、接合用パッド24P表面に被着されないようにしている。例えば、接合用パッド14P表面および接合用パッド24P表面以外の領域に接着剤51を形成して貼り合わせてもよい。その際、接着剤51の被着は、第1半導体デバイス11側でも第2半導体デバイス21側でも、その両方でもよい。または例えば、接合用パッド14P表面と接合用パッド24P表面を接合した後、隙間に接着剤51を充填してもよい。
【0058】
次に、図5(2)に示すように、例えば第1基板12の裏面側(素子、配線等が形成されていない側)を裏面研削(BGR)や化学的機械研磨(CMP)を使用し、研削もしくは研磨して、第1基板12を薄くする。
【0059】
次に、図6(3)に示すように、ドライエッチング等により、上記第1基板12から上記絶縁膜31を貫通して第1配線部33の配線32の一部に達する貫通孔35を形成する。
次に、例えば化学気相成長(CVD)法によって、上記貫通孔35の内面に第1基板12のシリコン(Si)との絶縁を確保する側壁絶縁膜(図示せず)を形成する。
その際、貫通孔35底部に形成された側壁絶縁膜は、異方性の強い、例えば電子ビーム(EB)加工や、異方性エッチングによって除去する。
その後、上記貫通孔35の内部を銅(Cu)、タングステン(W)等の導電性材料37で埋め込む。そして、化学的機械研磨(CMP)等で余分な導電性材料37を取り除く。
この結果、貫通孔35内の側壁に側壁絶縁膜を介して導電性材料37が埋め込まれてなるプラグ38が形成される。
上記導電性材料37は、上記耐湿性材料17と同様であり、アルミニウム、銅、タングステン、チタン、タンタル、窒化チタン、窒化タンタル、ポリシリコン、もしくはそれらの積層構造や、またはアルミニウム、銅、タングステン、チタン、タンタルのいずれか1種以上を主成分とした合金等で形成される。
【0060】
次に、図6(4)に示すように、例えば、第1基板12上に層間絶縁膜61を成膜して第1基板12のシリコン(Si)部分との絶縁を確保する。その後、層間絶縁膜61の所定の位置に配線32に接続されたプラグ38に達する開口部62を形成し、この開口部62を通じて配線32に接続されるパッド電極63を形成する。このパッド電極63は、例えばアルミニウムもしくはアルミニウム合金で形成される。もちろん、上記パッド電極63は、アルミニウム以外の導電性材料で形成されてもよい。
【0061】
また、上記貫通溝15、貫通溝25は、その幅が、例えば数百nmから数μmとなるように形成される。例えば、ガードリング材料が200nm〜4μmの幅で埋め込まれるように、側壁絶縁膜の膜厚を考慮して形成される。例えば、側壁絶縁膜の膜厚は、電気的絶縁性は確保されればよいので、例えば酸化シリコン膜の場合、20nm以上とする。また上記のガードリング材料であれば、200nm以上の幅があれば、十分な耐湿性が得られる。また、ガードリングが厚くなれば、接合幅も広くなり、耐湿性の点で有利になるが、4μmを超えるような厚さは必要なく、チップ面積の増大になる。
【0062】
したがって、上記半導体装置の製造方法(第2例)では、第1半導体デバイス11と第2半導体デバイス21の接合面で、第1ガードリング14と第2ガードリング24とが接合されることから、第1半導体デバイス11と第2半導体デバイス21との接合面から侵入した水分や大気成分(主として酸素等の酸化成分)は、第1配線部33や第2配線部43内に侵入することがない。このため、第1配線部33の配線32や第2配線部43の配線42が酸化、腐食を受けることがない。
よって、配線の信頼性の向上が図れる。
【0063】
なお、図面では、第1ガードリング14、第2ガードリング24ともに、それぞれ、第1半導体集積回路13、第2半導体集積回路23の側周を三重に囲むように形成されているが、その数は、一重もしくは二重であっても、三重よりも多くてもかまわない。しかし、ガードリング数が多くなると、チップ面積の増大になるので、三重以下に形成されることが好ましい。
【0064】
また、上記各製造方法において、貫通溝15,25、貫通孔35等を形成するには、例えば、ドライエッチングを用いる。
【0065】
シリコン(Si)部分のドライエッチングでは、例えば、エッチングガスに、サルファーヘキサフルオライド(SF6)と、酸素(O2)を用いる。そのエッチング雰囲気の圧力を24Pa、RFパワーを700Wに設定される。エッチングガス流量は、サルファーヘキサフルオライド(SF6)を100cm3/min、酸素(O2)を80cm3/minに設定される。さらに、基板温度を、トップ側を40℃、サイド部分を40℃、底部を30℃に設定される。上記条件は一例であって、上記条件に限定されない。
【0066】
上記絶縁膜31、絶縁膜41が酸化シリコン(SiO2)である場合のエッチングでは、例えば、エッチングガスにオクタフルオロシクロブタン(C48)、酸素(O2)、アルゴン(Ar)を用いる。そのエッチング雰囲気の圧力を5.3Pa、RFパワーを1500W、バイアスパワーを700Wに設定する。また、エッチングガス流量は、オクタフルオロシクロブタン(C48)を16cm3/min、酸素(O2)を10cm3/min、アルゴン(Ar)を900cm3/minに設定する。さらに基板温度を、トップ側を60℃、サイド部分を60℃、底部を20℃に設定する。上記条件は一例であって、上記条件に限定されない。
【0067】
上記絶縁膜31、絶縁膜41がベンゾシクロブテン(BCB)である場合の上記絶縁膜31、絶縁膜41のドライエッチングでは、エッチングガスに、オクタフルオロシクロブタン(C48)、酸素(O2)、窒素(N2)を用いる。また、エッチング雰囲気の圧力を13.3Pa、RFパワーを1500W、バイアスパワーを700Wに設定される。また、エッチングガス流量は、オクタフルオロシクロブタン(C48)を10cm3/min、酸素(O2)を50cm3/min、窒素(N2)を500cm3/minに設定する。さらにエッチング雰囲気の温度を例えば23℃(室温)に設定する。上記条件は一例であって、上記条件に限定されない。
【0068】
また、プラズマ処理による第1半導体デバイス11の酸化シリコン膜と第2半導体デバイス21の酸化シリコン膜との接合に用いるプラズマ接合条件の一例として、プラズマパワーを200W、プラズマ接合雰囲気の圧力を0.67kPa、プロセスガスに窒素(N2)を用い、基板温度を23℃(室温)とした。上記条件は一例であって、上記条件に限定されない。
【0069】
また、接合時に行うアニールの条件としては、アニール温度を400℃、アニール雰囲気の圧力を周囲圧力(例えば、大気圧)、プロセスガスに窒素(N2)を用い、アニール時間を1時間とした。また、ロード、アンロードにおける温度を400℃に設定した。上記条件は一例であって、上記条件に限定されない。
なお、接合に係る圧着は、プラズマ処理後に重ね合わせてアニール処理するだけで貼り合わせが可能である。
【符号の説明】
【0070】
11…第1半導体デバイス、12…第1基板、13…第1半導体集積回路、14…第1ガードリング、21…第1半導体デバイス、22…第2基板、23…第2半導体集積回路、24…第2ガードリング、31…絶縁膜、32…配線、33…第1配線部、41…絶縁膜、42…配線、43…第2配線部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板に第1半導体集積回路が形成され、その第1半導体集積回路上に形成された絶縁膜とその絶縁膜中に形成された複数層の配線からなる第1配線部の側周を囲む耐湿性を有する第1ガードリングを備えた第1半導体デバイスと、
第2基板に第2半導体集積回路が形成され、その第2半導体集積回路上に形成された絶縁膜とその絶縁膜中に形成された複数層の配線からなる第2配線部の側周を囲む耐湿性を有する第2ガードリングを備えた第2半導体デバイスが、前記第1配線部と前記第2配線部とを対向させて積層されていて、
前記第1半導体デバイスと前記第2半導体デバイスの接合面で前記第1ガードリングと前記第2ガードリングとが接合されている
半導体装置。
【請求項2】
前記第1半導体デバイスと前記第2半導体デバイスとの接合は、接着剤で成されている
請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1半導体デバイスの接合面は第1酸化シリコン膜で形成され、
前記第2半導体デバイスの接合面は第2酸化シリコン膜で形成され、
前記第1半導体デバイスと前記第2半導体デバイスとの接合は、前記第1、第2酸化シリコン膜同士の接合で成されている
請求項1記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1半導体デバイスの接合面における前記第1半導体集積回路の第1配線と、
前記第2半導体デバイスの接合面における前記第2半導体集積回路の第2配線が接合されていて、
前記第1配線と前記第2配線との接合は、それぞれの配線に形成されたバンプを介して接合されていて、
前記第1ガードリングと前記第2ガードリングとの接合は、それぞれのガードリングに形成されたバンプを介して接合されている
請求項1,2または3記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1ガードリングおよび前記第2ガードリングは、前記第1基板および前記第2基板のそれぞれに形成された貫通孔内に絶縁膜を介して埋め込まれたアルミニウム、銅、タングステン、チタン、タンタル、窒化チタン、窒化タンタル、ポリシリコン、もしくはそれらの積層構造や、またはアルミニウム、銅、タングステン、チタン、タンタルのいずれか1種以上を主成分とした合金である
請求項1ないし請求項4のうちの1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記バンプはスズ、銅、金、もしくはそれらを主成分とした合金で形成されている
請求項4記載の半導体装置。
【請求項7】
第1基板に第1半導体集積回路が形成され、その第1半導体集積回路上に形成された絶縁膜とその絶縁膜中に形成された複数層の配線からなる第1配線部を備えた第1半導体デバイスと、
第2基板に第2半導体集積回路が形成され、その第2半導体集積回路上に形成された絶縁膜とその絶縁膜中に形成された複数層の配線からなる第2配線部を備えた第2半導体デバイスを、前記第1配線部と前記第2配線部とを対向させて積層する工程と、
前記第1基板に前記第1配線部の側周を囲む耐湿性を有する第1ガードリングを前記第2ガードリングに接合させて形成する工程を備えた
半導体装置の製造方法。
【請求項8】
第1基板に第1半導体集積回路が形成され、その第1半導体集積回路上に形成された絶縁膜とその絶縁膜中に形成された複数層の配線からなる第1配線部の側周に耐湿性を有する第1ガードリングを備えた第1半導体デバイスと、
第2基板に第2半導体集積回路が形成され、その第2半導体集積回路上に形成された絶縁膜とその絶縁膜中に形成された複数層の配線からなる第2配線部を備えた第2半導体デバイスを、前記第1配線部と前記第2配線部とを対向させて積層する工程と、
前記第2基板に前記第2半導体集積回路の側周を囲む耐湿性を有する第2ガードリングを前記第1ガードリングに接合させて形成する工程を備えた
半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記第1半導体デバイスと前記第2半導体デバイスとの接合は、接着剤で成される
請求項7または8記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記第1半導体デバイスの接合面に第1酸化シリコン膜が形成され、
前記第2半導体デバイスの接合面に第2酸化シリコン膜が形成され、
前記第1半導体デバイスと前記第2半導体デバイスとの接合は、前記第1、第2酸化シリコン膜同士の接合で成される
請求項7または8記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記第1半導体デバイスの接合面における前記第1半導体集積回路の第1配線と、前記第2半導体デバイスの接合面における前記第2半導体集積回路の第2配線との接合は、それぞれの配線に予め形成されたバンプを介して接合し、
同時に、前記第1ガードリングと前記第2ガードリングとの接合は、それぞれまたは一方のガードリングに形成されたバンプを介して接合する
請求項8、9または10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記第1ガードリングおよび前記第2ガードリングは、前記第1基板および前記第2基板のそれぞれに形成した貫通孔内に絶縁膜を介して埋め込んだアルミニウム、銅、タングステン、チタン、タンタル、窒化チタン、窒化タンタル、ポリシリコン、もしくはそれらの積層構造や、またはアルミニウム、銅、タングステン、チタン、タンタルのいずれか1種以上を主成分とした合金で形成される
請求項7ないし請求項11のうちの1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記バンプはスズ、銅、金、もしくはそれらを主成分とした合金で形成される
請求項11記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−54637(P2011−54637A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−200117(P2009−200117)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】