説明

半導体装置およびそれを用いた半導体モジュール

【課題】 貫通電極を少ない面積で高密度に設ける。
【解決手段】 半導体装置100は、シリコン基板101と、シリコン基板101を貫通する断面矩形の貫通孔中に充填された構造体120を設ける。構造体120は、筒状貫通電極103と、ストライプ状貫通電極107と、シリコン105と、第一の絶縁膜109と、第二の絶縁膜111と、第三の絶縁膜113と、を備える。筒状貫通電極103を、シリコン基板101を貫通する筒状の導電体とする。また、ストライプ状貫通電極107を、シリコン基板101を貫通し、筒状貫通電極103の内側に筒状貫通電極103から離間して設ける。筒状貫通電極103の内側の領域に、複数の貫通電極107を互いに略平行に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貫通電極を備える半導体装置およびそれを用いた半導体モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、並列にチップを配列するタイプやパッケージスタックタイプのSiPに対して、より高い集積度を達成するためベアチップスタック型マルチチップモジュール(MCM)が提案されてきた。ベアチップスタックタイプでは半導体基板を貫通する配線が必要となる。貫通電極を有する従来のベアチップスタック型MCMとして、特許文献1〜4に記載のものがある。
【0003】
特許文献1および特許文献2には、半導体チップを貫通する柱状のプラグを有する半導体装置が記載されている。これらの文献に記載の半導体装置では、プラグが埋設された一つの半導体基板の開口に対し1つの配線が対応している。
【0004】
特許文献3には、半導体領域を貫通す柱状の一つの導電プラグの外側に二重の絶縁膜が設けられた構造が開示されている。この構成は、導電性ビアをまず設け、その外側の半導体基板面に絶縁体トレンチリングを設けて2重の絶縁膜を有するビア構造としたものである。絶縁膜の2重化により、バンプ接続部からの半導体基板への絶縁不良や接続不良を防止できるとされている。
【0005】
特許文献4には、中心にシリコンの柱を残した構造の2重の導電膜を有するビアの例が示されている。リング状スリットビアを多重構造とすることにより、埋め込み性を向上させることができるとされている。同文献には、電気的に絶縁されたリング状のCuチップスループラグを有する半導体装置用チップが開示されている。リング状のチップスループラグは、内部に凸状のSiウェハが残存するようにリング状の凹部を形成し、凹部の両側面および底面を覆う絶縁膜上にCu膜を設け、このCu膜を起点として電解メッキ法により凹部を埋め込むことにより形成される。
【0006】
また、同文献には、リング型のスリットビアをCuで充填する際に完全充填せず、残った隙間のスリットに絶縁体を充填して、2重のスリットビアを形成する構成が記載されている。このようにチップスループラグをリング状とすることにより、円柱形の凹部を埋め込む場合よりも埋込時間の短縮が可能であるとされている。また、貫通孔に金属を埋め込むための必要な成膜量を小さくしてスループットの向上を図ることができるとされている。また、チップスループラグと接続電極との接合面積を稼いで信頼性の低下を防止し得るとされている。
【0007】
【特許文献1】特開平10−223833号公報
【特許文献2】特開2002−170904号公報
【特許文献3】特開2002−289623号公報
【特許文献4】特開2002−43502号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、上記従来技術においては、貫通プラグ1個が一つの配線に対応するため、貫通電極密度の向上を図ることが困難であった。また、寄生容量の低減が困難であり、さらに、貫通プラグに付加機能を与えることが難しいという点で、改善の余地を有していた。
【0009】
また、特許文献1〜3の構成の場合、低抵抗の貫通電極を得るために太い貫通電極を用いると、埋め込み時間が非常に長くなってしまう。また、特許文献4に記載された単純な直線状のスリットビアや、その変形(ドーナツ型)をスリットビアとすると埋め込み性は向上するが、貫通電極と半導体基板との接触面積が中実の円形ビアとした場合よりも大きくなる。このため、容量が増加する。容量低減のためには絶縁膜厚を厚くしなければならないが、これは埋め込み時間の延長を招く。このように、従来技術は、埋め込み性向上という観点で改善の余地があった。
【0010】
また、貫通電極の周囲は、絶縁膜を介してSi基板で覆われている。そのため、貫通電極には、絶縁膜の誘電率、膜厚およびビア径で定まる寄生容量が発生する。貫通電極によるリング状のスリットビアのない構造の場合、貫通電極容量を低減させるためにビア側壁の絶縁膜を厚くすると、絶縁膜の形成時間が長時間化する。また、ビア開口面積も大型化する。このため、絶縁膜を充分に厚くできない懸念があり、容量の低減が困難であった。
【0011】
また、特許文献4では、もっぱら埋め込み性の向上を目的としてスリットビアを用い、チップ接続面積を増大させるためにスリットを長方形から矩形の組合せやリング状に変形している。こうした構成では、スループラグからなる貫通電極の寄生容量が増大する懸念があった。また、貫通電極の抵抗が増加する懸念があった。
【0012】
また、半導体モジュールのチップ積層数が多層になるほど一つのチップを貫通する配線の数が増加する。このため、チップ中の貫通電極の形成領域の面積が大型化してしまい、小型化が困難であった。貫通電極の増加は、特に積層DRAMで顕著である。DRAMの場合、必要な貫通電極は、配線層1層につきバス幅分だけ多くなるので、場合によっては数千ピンもの貫通電極が一つのチップ中を通ることになり得る。具体的には、2000ピン×3層の場合1層目の貫通信号ピン数は6000ピンとなる。この内4000ピンは一層目をただ通過するだけである。このとき、一つの貫通孔あたり一つの配線が対応する構成では、貫通電極の形成に必要な面積が膨大となる。また、貫通プラグのピッチはビア径などのスペックによって定まる下限がある。このため、一つの貫通孔あたり一つの配線が対応する構成では、一つの貫通電極あたりの抵抗値を固定した時に必要になる面積が大きくなる。また、一つの貫通孔あたり一つの配線が対応する構成では、容量を低減するための厚い絶縁膜を用いたビアをそれぞれ使用して電源供給およびGND(接地)を行う。このため、電源供給およびGNDの場合は負荷容量を比較的大きくすることができるにも関わらず、必要なビア数、ビア面積が増大する原因となっていた。
【0013】
また、従来の構成では、信号ピンが微細ピッチで配列されている貫通電極領域において、貫通電極からの不要輻射によるクロストークノイズが発生しやすい。貫通電極のピッチが微細になるにつれこのノイズは発生しやすくなる。
【0014】
以上のように、貫通電極を有する従来の半導体装置においては、貫通電極を省スペース化しつつ高密度に設けるという点で改善の余地があった。また、寄生容量の低減という観点でも改善の余地があった。
【0015】
本発明は上記事情に鑑みてなされたのものであり、その目的は、貫通電極を少ない面積で高密度に設ける技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明によれば、半導体基板と、前記半導体基板を貫通する筒状の第一導電体と、前記半導体基板を貫通し、前記第一導電体の内側に前記第一導電体から離間して設けられた複数の第二導電体と、を備えることを特徴とする半導体装置が提供される。
【0017】
本発明の半導体装置は、第一導電体の内側に第一導電体から離間して第二導電体が設けられた構成となっている。また、第一導電体の内側に複数の第二導電体が設けられている。このため、半導体基板を貫通する導電体を小さいスペースに高密度で設けることができる。
【0018】
本発明の半導体装置において、複数の前記第二導電体は、互いに略平行に設けられていてもよい。こうすることにより、第二導電体をさらに高密度に配置することができる。
【0019】
本発明の半導体装置において、前記第一導電体の外側面を被覆する第一の絶縁膜と、前記第一導電体の内側面を被覆する第二の絶縁膜と、前記第二導電体の側面を被覆する第三の絶縁膜と、を備えてもよい。こうすることにより、第一導電体と第二導電体とを確実に絶縁することができる。
【0020】
また、本発明の半導体装置において、前記第二の絶縁膜と前記第三の絶縁膜とが、前記半導体基材によって区画されていてよい。これにより、第一導電体および第二導電体の製造時の埋め込み特性を向上させることが可能な構成とすることができる。また、本発明の半導体装置において、前記半導体基材がシリコンであってもよい。また、本発明の半導体装置において、前記第二の絶縁膜と前記第三の絶縁膜とを区画する前記半導体基板は、環状部と、前記環状部の異なる二カ所を接続する接続部とを備えることができる。
【0021】
本発明の半導体装置において、前記第一導電体と前記第二導電体とが同電位となるように接続されている構成とすることができる。こうすれば、第一導電体と第二導電体との間に寄生容量が発生することを防止できる。また、本発明の半導体装置において、複数の前記第二導電体が同電位となるように接続されている構成とすることができる。こうすることにより、第二導電体間に寄生容量が発生することを防止できる。
【0022】
本発明によれば、半導体基板と、前記半導体基板を貫通する筒状の第一導電体と、前記半導体基板を貫通し、前記第一導電体の内面の一の領域と他の領域とを接続する第二導電体と、を備えることを特徴とする半導体装置が提供される。
【0023】
本発明の半導体装置は、第一導電体の内側に第二導電体が設けられた構成となっている。このため、半導体基板を貫通する導電体を限られた領域に高密度で配設することができる。また、第一導電体と第二導電体とが接続されているため、これらが同電位となる。このため、第一導電体と第二の導電体との間に寄生容量が発生しない構成となっている。また、半導体基板を貫通する導電体の抵抗を低減することができる。
【0024】
本発明の半導体装置において、互いに略平行に設けられた複数の前記第二導電体を含んでもよい。こうすることにより、第二導電体を高密度で第一導電体の内側の領域に設けることができる。
【0025】
本発明の半導体装置において、前記第一導電体の外側面を被覆する第一の絶縁膜と、前記第一導電体の内側面および前記第二導電体の側面を被覆する第二の絶縁膜と、を有してもよい。こうすれば、第一導電体とその側方に残存する半導体とを確実に絶縁することができる。また、第二導電体とその側方に残存する半導体とを確実に絶縁することができる。このため、第一導電体と第二導電体とを確実に絶縁することができる。また、本発明において、前記第二の絶縁膜は、前記半導体基板の側面外周を囲む環状の膜とすることができる。
【0026】
本発明によれば、前記半導体装置と、他の半導体装置とが積層されてなる半導体モジュールであって、前記第一導電体または前記第二導電体と、前記他の半導体装置とが、電気的に接続されていることを特徴とする半導体モジュールが提供される。本発明の半導体モジュールによれば、複数の半導体装置間を短い距離で高密度に電気的に接続することが可能となる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、貫通電極を少ない面積で高密度に設ける技術が実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、共通の構成要素には同じ符号を付し、適宜説明を省略する。
【0029】
(第一の実施形態)
本実施形態は、貫通電極を備えた半導体装置に関する。半導体基板に一または二以上のストライプ状の貫通電極が近接配置され、そのストライプ状の貫通電極の外側を、所定の幅の筒状貫通電極が囲んでいる。
【0030】
図1は、本実施形態に係る半導体装置の構成を模式的に示す図である。また、図2は、図1のA−A’断面図である。図1に示した半導体装置100は、シリコン基板101と、シリコン基板101を貫通する断面矩形の貫通孔中に充填された構造体120を有する。構造体120は、筒状貫通電極103と、ストライプ状貫通電極107と、シリコン105と、第一の絶縁膜109と、第二の絶縁膜111と、第三の絶縁膜113と、を有する。
【0031】
筒状貫通電極103は、シリコン基板101を貫通する筒状の導電体である。筒状貫通電極103の平面形状は、略矩形の環である。また、ストライプ状貫通電極107は、シリコン基板101を貫通し、筒状貫通電極103の内側に筒状貫通電極103から離間して設けられている。また、筒状貫通電極103の内側の領域には、複数の貫通電極107が互いに略平行に設けられている。ストライプ状貫通電極107の基板面内断面形状は、略長方形である。
【0032】
貫通孔中には、ストライプ状貫通電極107と筒状貫通電極103との間にシリコン105が残存している。シリコン105は、ストライプ状貫通電極107の周囲を囲む姿態で設けられている。
【0033】
貫通孔の内側面とシリコン105との間を第一の絶縁膜109が絶縁している。また、筒状貫通電極103とシリコン105との間を第二の絶縁膜111が絶縁している。また、シリコン105とストライプ状貫通電極107との間を第三の絶縁膜113が絶縁している。
【0034】
筒状貫通電極103およびストライプ状貫通電極107は、導電体により構成され、たとえば、Cu、Au、W、Al、Ni等の金属体や、メタルシリサイド、またはポリシリコンとすることができる。また、図1および図2には示していないが、後述するように、筒状貫通電極103またはシリコン105の上面または下面にバンプや配線等の導電部材が接続されていてもよい。
【0035】
第一の絶縁膜109、第二の絶縁膜111および第三の絶縁膜113は、筒状貫通電極103またはストライプ状貫通電極107の側壁を被覆するバリア膜であり、上記貫通電極に含まれる金属成分がシリコン基板101またはシリコン105へ拡散することを抑制する。バリア膜の材料は、たとえばSiNやSiON等の窒化膜やSiO2等の酸化膜などとする。また、これらの膜が二以上積層された積層膜とすることもできる。第一の絶縁膜109および第二の絶縁膜111の材料としてSiN、SiON等を用いることによりバリア膜としての機能がさらに確実に発揮される。また、第一の絶縁膜109および第二の絶縁膜111の膜厚は、たとえば10nm以上とする。こうすることにより、バリア膜としての機能がさらに確実に発揮される。
【0036】
なお、図1においては、シリコン基板101上に一つの貫通孔および構造体120が設けられた構成を示したが、構造体120の数や配置に特に制限はなく、半導体装置100の設計に応じて適宜選択することができる。また、図1においては、筒状貫通電極103およびストライプ状貫通電極107が平面視において角部を有する構成を示したが、筒状貫通電極103およびストライプ状貫通電極107の角部が除去されていてもよい。
【0037】
次に、図1に示した半導体装置100の製造方法を説明する。半導体装置100は、半導体基板に貫通しないビア(開口部)を形成し、絶縁膜および導電膜を順次設け、導電膜でビアの内部を充填する。その後、半導体基板を裏面から後退させて薄化し、導電膜の表面を露出させることにより得ることができる。
【0038】
図7(a)〜図7(c)および図8(a)〜図8(b)は、半導体装置100の製造工程を模式的に示す断面図である。まず、フォトリソグラフィー技術を用いて、構造体120を設ける位置を開口させるようにシリコン基板101の表面のパターニングを行う。パターンの形状は、第一の絶縁膜109、筒状貫通電極103、第二の絶縁膜111、ストライプ状貫通電極107および第三の絶縁膜113となる位置を開口するようにシリコン105を残存させる形状とする。
【0039】
そして、シリコン基板101をエッチングし、スリット状の開口部121および互いに平行な複数のスリット状の開口部123を形成する(図7(a))。開口部121の平面形状は略矩形環とする。また、開口部123の平面形状は略長方形とする。また、開口部121または開口部123に、シリコン基板101の表面から内部に向かって開口幅が減少するようにテーパを設けてもよい。こうすれば、後述する導電膜127の埋め込みをより一層確実に行うことができる。
【0040】
その後、開口部121および開口部123の側面および底面を含むシリコン基板101の開口部形成面全面に絶縁膜125を成膜する(図7(b))。絶縁膜125は、後述する工程により第一の絶縁膜109、第二の絶縁膜111、および第三の絶縁膜113となる膜である。たとえばこれらの絶縁膜をSiN膜とする場合、プラズマCVD法により絶縁膜125としてSiN膜を50nm程度成膜する。
【0041】
つづいて、絶縁膜125の上面全面にシードCu膜(不図示)等の金属シード膜を成膜する。その後、たとえば電解メッキ法により筒状貫通電極103およびストライプ状貫通電極107となる導電膜127を成膜する。導電膜127は、たとえばCu膜等の金属膜とすることができる(図7(c))。また、導電膜127の形成工程では、CVD法によりW膜やポリシリコンを埋め込むこともできる。
【0042】
次に、シリコン基板101上の導電膜127をCMP(Chemical Mechanical polishing)により除去する。これにより、導電膜127が、筒状貫通電極103とストライプ状貫通電極107とに分割される。また、CMPの後、エッチングにより絶縁膜125を除去してもよい。これにより、絶縁膜125が第一の絶縁膜109および第二の絶縁膜111となる絶縁膜129と第三の絶縁膜113とに分割される。(図8(a))。
【0043】
なお、図1および図2には示していないが、CMPの後、研磨面全面に絶縁膜を成膜し、たとえばダマシン法を用いて所定の配線を有する配線層を形成してもよい。配線層は、単層としても多層としてもよい。
【0044】
次に、研磨面側を支持体(不図示)に固定し、シリコン基板101の薄化処理を行う。薄化処理には、研削、研磨、エッチング等を用いることができる。たとえば、機械的研磨により裏面研削を行ってもよい。薄化後のシリコン基板101の厚さは、半導体装置100の装置構成に応じて適宜選択されるが、たとえば半導体装置100をシリコンインターポーザーとする場合には20〜400μm程度とすることができる。薄化により、絶縁膜129が、第一の絶縁膜109および第二の絶縁膜111に分割される(図8(b))。その後、支持体をシリコン基板101から剥離し、除去することにより、図1に示した半導体装置100が得られる。
【0045】
次に、図1に示した半導体装置の効果を説明する。図1に示した半導体装置100は、互いに絶縁されたストライプ状貫通電極107および筒状貫通電極103を有する構造体120を備える。このため、貫通電極の高密度化、埋め込み時間短縮、配線容量低減、信頼性向上、クロストークノイズ低減、EMI(Electro Magnetic Interference)低減の効果が得られる。
【0046】
半導体装置100において、構造体120は、筒状貫通電極103の内側に複数のストライプ状貫通電極107が配設された構成となっている。これは、長いストライプ状貫通電極が分割されて複数のストライプ状貫通電極として配置され、周辺を筒状貫通電極103で囲まれている構成に対応する。このため、長いストライプ状貫通電極を基板上に配置した従来の構成に比べ、平面構成における筒状貫通電極103およびストライプ状貫通電極107の長さに対するストライプ状貫通電極107の形成領域の面積を小さくすることができる。よって、たとえばスタック型マルチチップモジュールにおける「パッドネック」にあたる「貫通孔ネック」を解消することができる。
【0047】
また、貫通電極の省スペース高密度配置が可能となるため、チップ間のバス幅を拡大することができる。
【0048】
半導体装置100を用いれば、たとえば、大容量メモリとシステムLSIとのチップオンチップ接続が可能となる。また、このときのバンプ接続の多ピン化および狭ピッチ化が可能となる。たとえば、図1に示した半導体装置100は、ロジック回路が形成された半導体チップとDRAM等のメモリ素子が設けられたメモリチップとの間に設けられ、これらを接続するシリコンインターポーザーとして好適に利用可能である。
【0049】
なお、インターポーザは、積層型の半導体装置において、たとえばロジックLSIとDRAMとの間に設けられる。かかる積層型の半導体装置においては、ロジックLSIとDRAMとの間の導通をインターポーザの貫通電極により行うことができるため、両者間の導通をワイヤボンディング等により行う場合に比して処理速度の向上および低消費電力化等の効果が得られる。
【0050】
また、半導体装置100は、DRAM等のメモリ素子が設けられたメモリチップとすることができる。外部端子数の多いメモリチップについても、構造体120を備える構成とすれば、確実に外部端子を介した電気的接続を確保することができる。また、半導体装置100は、トランジスタ等が形成されてなる論理回路素子層を有する論理チップとすることもできる。
【0051】
また、半導体装置100において、たとえばすべての貫通電極、すなわち筒状貫通電極103およびを同一の配線に接続することができる。こうすれば、貫通電極間の寄生容量の発生を防止することができる。
【0052】
また、一つの構造体120中に複数のストライプ状貫通電極107が設けられている。このため、複数のストライプ状貫通電極107を共通の信号線に接続することができる。これにより、埋め込み時間を短縮しつつ、太い配線と実質的に等価な構成とすることができる。すなわち、本実施形態では、太い貫通プラグを設ける従来の構成に比べ、低負荷、短時間での埋め込みが可能な構造となっている。また、複数のストライプ状貫通電極107を共通の信号線に接続することにより、接続信頼性も向上する。
【0053】
また、構造体120において、複数のストライプ状貫通電極107を一つの配線に結線することはチップ上に配線層を一層設ければ可能である。このため、埋め込み幅を大きくすることなく、抵抗および容量の小さい配線を得ることができる。また、複数のストライプ状貫通電極107を一つの配線に接続する構成とすれば、接合信頼性を一つのストライプ状貫通電極107を一つの配線に接続する場合の累乗倍に向上させることができる。
【0054】
また、構造体120は、簡素な製造プロセスで製造可能な構成である。また、簡素な製造プロセスで、筒状貫通電極103と通常の中実の貫通プラグとの組合せなど、異なる構造の貫通電極を同時に一つのビア内に形成できる。また、複数の電気特性の異なる貫通電極を一連の製造過程で同時に得ることができる。ここで、複数の電気特性は、たとえば抵抗および容量とすることができる。
【0055】
また、図1に示した半導体装置100においては、複数のストライプ状貫通電極107を囲むように筒状貫通電極103が配置された構成となっている。このため、すべての貫通電極を同電位とし、貫通電極内部の容量をゼロ(0)にすることが可能となる。このように本実施形態によれば、簡素な製造プロセスで低容量の構造体120を安定的に形成することができる。
【0056】
また、半導体装置100において、ストライプ状貫通電極107に信号配線を結線することができる。二重に絶縁がされている中心のストライプ状貫通電極107のみを信号につないだ構成とすることができるため、接続信頼性を向上させることができる。また、クロストークノイズやEMIを低減することができる。
【0057】
また、半導体装置100において、ストライプ状貫通電極107を筒状貫通電極103で囲み、ストライプ状貫通電極107を信号線に接続してもよい。これにより、全信号ピンを電源、あるいはGNDでシールドする構成することができる。こうすれば、ノイズ源が導電体で囲われるため、貫通電極からの輻射を低減させることができる。このため、中心の信号配線から放出される電磁波を低減できる。よって、クロストークノイズやEMIの低減が可能である。また、IRドロップを解消しやすい構成とすることができる。
【0058】
また、半導体装置100においては、筒状貫通電極103をストライプ状貫通電極107に対するシールド用の貫通電極とすることができる。外側の貫通電極である筒状貫通電極103を電源、またはGNDに接続してシールドにしてもよい。こうすれば、半導体装置100をマルチチップモジュールとしたときに、マルチチップモジュール内部でのクロストークノイズおよびEMI(Electro Magnetic Interference)を低減することができる。
【0059】
また、半導体装置100においては、構造体120が貫通電極として筒状貫通電極103およびストライプ状貫通電極107を備える。このため、信号配線と電源供給またはGND配線とを一つの構造体120中に設けることができる。よって一つのビアエリア内に配する電源およびGNDを信号線と同一の貫通孔で供給することが可能となる。したがって、短い配線長で電源を供給することができる。このため、IRドロップの抑制が可能となる。
【0060】
なお、本実施形態において、筒状貫通電極103の平面形状は、筒状であれば矩形には限られない。たとえば、筒状貫通電極103の平面形状を円環、楕円環、または多角形の環等としてもよい。また、前述したように、ストライプ状貫通電極107の形状を中実の貫通プラグとして筒状貫通電極103の内側にこれを多数配設してもよい。
【0061】
以下の実施形態においては、第一の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0062】
(第二の実施形態)
図3は、本実施形態に係る半導体装置の構成を模式的に示す断面図である。また、図4は、図3のB−B’断面図である。図3および図4に示したように、半導体装置110は、シリコン基板101およびシリコン基板101中を貫通する構造体130を備える。構造体130は、貫通電極131、シリコン119、第一の絶縁膜109および第二の絶縁膜133を備える。
【0063】
貫通電極131は、筒状貫通電極115およびストライプ状貫通電極117の連続一体物である。筒状貫通電極115は、シリコン基板101を貫通する筒状の導電体である。筒状貫通電極115の平面形状は、矩形の環である。
【0064】
また、ストライプ状貫通電極117は、シリコン基板101を貫通し、筒状貫通電極115の一の領域と他の領域とを接続するとともに、筒状貫通電極115の内側の領域を複数の領域に区画している。ストライプ状貫通電極117の基板面内断面は、長方形である。図3では、ストライプ状貫通電極117は、平面配置において、筒状貫通電極115の対向する辺同士を接続している。また、図3では、複数のストライプ状貫通電極117が互いに略平行に設けられている。
【0065】
また、貫通孔中には、筒状貫通電極115とストライプ状貫通電極117との間に複数のシリコン119が残存している。複数のシリコン119は、互いに平行に配置されている。
【0066】
また、貫通孔の内側面と筒状貫通電極115との間を第一の絶縁膜109が絶縁している。また、貫通電極131とシリコン119との間を第二の絶縁膜133が絶縁している。
【0067】
貫通電極131は導電材料からなる。貫通電極131の材料は、たとえば、第一の実施形態に記載の筒状貫通電極103およびストライプ状貫通電極107に用いられる材料とすることができる。また、図3および図4には示していないが、後述するように、筒状貫通電極115、ストライプ状貫通電極117またはシリコン105の上面または下面にバンプや配線等の導電部材が接続されていてもよい。
【0068】
また、第二の絶縁膜133の材料は、たとえば第一の絶縁膜109に用いられる材料とすることができる。第二の絶縁膜133の膜厚は、たとえば10nm以上とする。こうすることにより、バリア膜としての機能がさらに確実に発揮される。
【0069】
なお、図3においては、シリコン基板101上に一つの貫通孔および構造体130が設けられた構成を示したが、構造体130の数や配置に特に制限はなく、半導体装置110の設計に応じて適宜選択することができる。
【0070】
図3に示した半導体装置130は、第一の実施形態に記載の半導体装置100(図1)の製造と同様にして製造することができる。このとき、図7(a)を用いた前述する工程において、互いに平行な複数のシリコン119を孔中に残存させるようにシリコン基板101に孔を設ける。
【0071】
図3に示した半導体装置110においては、構造体130が貫通電極131を備える。貫通電極131を構成する筒状貫通電極115とストライプ状貫通電極117とが連続一体に形成されているため、スリットビアの埋め込み性を保ちつつ最密な貫通電極を形成することができる。また、独立する複数のストライプ状貫通電極を貫通孔内に並べた構成に比べて、より一層の容量低減および貫通電極の形成領域面の積縮小が可能である。
【0072】
図3に示した構造体130は、連続一体に形成されている貫通電極131を単一の配線に接続することができる。これにより、接続信頼性および接続安定性を向上させることができる。また、貫通電極131が連続一体であるため、配線密度を向上させつつ、寄生容量をより一層低減することができる。
【0073】
なお、図3においては、互いに平行に複数のストライプ状貫通電極117が設けられた構成を例示したが、互いに平行な複数のストライプ状貫通電極117に直行するストライプ状貫通電極117がさらに設けられていてもよい。図5は、ストライプ状貫通電極117が格子状に配置された貫通電極131を有する半導体装置の構成を模式的に示す平面図である。図5に示した構成とすることにより、平面構成におけるストライプ状の筒状貫通電極115およびストライプ状貫通電極117の長さに対するストライプ状貫通電極117の形成領域の面積をより一層小さくすることができる。
【0074】
また、本実施形態において、筒状貫通電極115の平面形状は、筒状であれば矩形には限られない。たとえば、筒状貫通電極115の平面形状を円環、楕円環、または多角形の環等としてもよい。
【0075】
図6は、平面形状が円環状の筒状貫通電極115を有する貫通電極の構成を模式的に示す平面図である。図6に示した半導体装置は、筒状貫通電極115の異なる二つの領域を接続し、それぞれが筒状貫通電極115の中心軸で交わる複数のストライプ状貫通電極117を有する。この構成によれば、貫通電極131の形状の対称性にすぐれているため、より一層安定的に製造可能な構成となっている。
【0076】
(第三の実施形態)
以上の実施形態に記載の半導体装置は、マルチチップモジュール等に好適に用いることができる。マルチチップモジュールは、たとえば以上の実施形態に係る半導体装置と他の半導体装置とが積層されており、シリコン基板101を貫通する貫通電極と他の半導体装置の導電部材とが電気的に接続された構成とすることができる。
【0077】
図9は、第二の実施形態に記載の半導体装置110(図3)を複数(図9では三つ)積層した構成のマルチチップモジュールの構成を模式的に示す断面図である。図9において、それぞれの半導体装置110に設けられた貫通電極131がシリコン基板101の表面に垂直な方向に一直線に設けられている。隣接する貫通電極131は、バンプ135によって接続されている。このようにすれば、小さい面積で積層された半導体装置110間の電気的接続を充分に確保することができる。なお、半導体装置110は、たとえば情報を記憶する機能を持った半導体装置とすることができる。
【0078】
また、図10は、第二の実施形態に記載の半導体装置110がプリント配線基板上に設けられた半導体装置の構成を模式的に示す断面図である。図10において、半導体装置110はプリント配線基板137に設けられた配線と貫通電極131とが筒状貫通電極115を介して接続されている。このようにすれば、小さい面積で半導体装置110とプリント配線基板137との接続を充分に確保することができる。
【0079】
なお、図9および図10において、第一の実施形態に記載の半導体装置100(図1)を用いてもよい。また、図9の構成に半導体装置100を適用し、構造体120中の貫通電極同士をバンプ等の導電部材で接続する場合、上層の半導体装置100ほどストライプ状貫通電極107の本数が少ない構成とすることもできる。これにより、ストライプ状貫通電極107の数を必要最小限とすることができる。
【0080】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】実施の形態に係る半導体装置の構成を模式的に示す平面図である。
【図2】図1のA−A’平面図である。
【図3】実施の形態に係る半導体装置の構成を模式的に示す平面図である。
【図4】図2のB−B’平面図である。
【図5】実施の形態に係る半導体装置の構成を模式的に示す平面図である。
【図6】実施の形態に係る半導体装置の構成を模式的に示す平面図である。
【図7】実施の形態に係る半導体装置の製造工程を模式的に示す断面図である。
【図8】実施の形態に係る半導体装置の製造工程を模式的に示す断面図である。
【図9】実施の形態に係る半導体装置の構成を模式的に示す断面図である。
【図10】実施の形態に係る半導体装置の構成を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
【0082】
100 半導体装置
101 シリコン基板
103 筒状貫通電極
105 シリコン
105 絶縁膜
107 ストライプ状貫通電極
109 第一の絶縁膜
110 半導体装置
111 第二の絶縁膜
113 第三の絶縁膜
115 筒状貫通電極
117 ストライプ状貫通電極
119 シリコン
120 構造体
121 開口部
123 開口部
125 絶縁膜
127 導電膜
129 絶縁膜
130 構造体
131 貫通電極
133 第二の絶縁膜
135 バンプ
137 プリント配線基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板を貫通する筒状の第一導電体と、
前記半導体基板を貫通し、前記第一導電体の内側に前記第一導電体から離間して設けられた複数の第二導電体と、
を備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、複数の前記第二導電体は、互いに略平行に設けられていることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
半導体基板と、
前記半導体基板を貫通する筒状の第一導電体と、
前記半導体基板を貫通し、前記第一導電体の内面の一の領域と他の領域とを接続する第二導電体と、
を備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項3に記載の半導体装置において、互いに略平行に設けられた複数の前記第二導電体を含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項1乃至4いずれかに記載の半導体装置と、他の半導体装置とが積層されてなる半導体モジュールであって、
前記第一導電体または前記第二導電体と、前記他の半導体装置とが、電気的に接続されていることを特徴とする半導体モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−19431(P2006−19431A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−194673(P2004−194673)
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(302062931)NECエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】