説明

半導体装置および半導体装置の製造方法

【課題】 大電流を流す場合や長期間使用する場合の信頼性が高く、かつ、腐食に対する信頼性の高い配線を備えた半導体装置およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 銅配線層30と、銅配線層30に比べ酸素による腐食の少ないアルミ配線層32を銅配線層30の上に形成した積層構造の配線層33を形成する。したがって、配線層33が銅配線層30を有するため、エレクトロマイグレーションによる断線が生じ難く、大電流を流す場合や長期間使用する場合の信頼性を向上させることができる。また、配線層33形成後に配線層33が露出した状態で酸素を含む雰囲気中における処理を行なう場合でも、配線層33が腐食されにくい。すなわち、大電流を流す場合や長期間使用する場合の信頼性が高く、かつ、腐食に対する信頼性の高い配線層33を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体装置および半導体装置の製造方法に関し、特に、半導体装置の内部配線を形成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
LSIチップの内部配線としてアルミ配線が用いられている。アルミニウム(Al)は、比較的低温で金(Au)との間で合金を形成することができるため、金ワイヤをボンディングする際の信頼性が高い。しかし、アルミ配線はエレクトロマイグレーションによる断線が生じやすいことから、大電流を流す場合や長期間使用する場合の信頼性が低い。
【0003】
このため、LSIチップ内部の配線として銅や銅合金を用いた技術が提案されている。配線として銅や銅合金を用いれば、エレクトロマイグレーションによる断線が生じ難いので、大電流を流す場合や長期間使用する場合の信頼性を向上させることができる。
【0004】
図7Aから図8Bに、配線として銅を用いた場合の従来の製造工程の一部を示す。まず、図7Aに示すように、層間膜2の上部に配線溝2aを設け、この上に窒化チタン(TiN)等により構成されたバリアメタル層4と銅配線層6を、この順に形成する。つぎに、図7Bに示すように、CMP(化学的機械的研磨)法等を用いて、バリアメタル層4と銅配線層6のうち不要部分を除去することにより、配線8を形成する。
【0005】
つぎに、銅配線層6の結晶粒を調整するためのアニール処理や結晶欠陥を除去するための水素を用いた加熱処理などの低温熱処理を行なう。この後、図7Cに示すように、この上にパッシベーション膜10を形成する。
【0006】
つぎに、図8Aに示すように、パッシベーション膜10上に所定形状のレジスト12を形成し、レジスト12をマスクとして、エッチングを行なうことにより、配線8の一部表面をパッド部8aとして露出させる。つぎに、アッシング処理によりレジスト12を除去した後、図8Bに示すように、パッド部8aに、ワイヤ14をボンディングする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、銅や銅合金を用いた配線を製造する方法には、次のような問題がある。上述のアニール処理や水素を用いた加熱処理は、不活性ガス雰囲気中で行なわれるが、実際には若干の酸素を巻き込んでしまう。一方、銅や銅合金は、アルミニウムに比べ、酸素等により腐食されやすい。このため、銅配線層6が露出した状態(図7B参照)で行なわれる上述の低温熱処理において、露出した銅配線層6が酸素により腐食され、最悪の場合、配線の切断に至る。
【0008】
さらに、上述のアッシング処理は酸素プラズマを用いて行なわれるため、レジスト12をアッシングにより除去する際、露出したパッド部8a(図8A参照)が酸素により腐食されてしまう。
【0009】
すなわち、従来の銅や銅合金を用いた配線を製造する方法には、配線を腐食させ配線の信頼性を低下させるという問題点があった。
【0010】
この発明は、このような問題点を解決し、大電流を流す場合や長期間使用する場合の信頼性が高く、かつ、腐食に対する信頼性の高い配線を備えた半導体装置およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の半導体装置の製造方法は、層間絶縁膜中に銅または銅合金からなる配線層を有する半導体装置の製造方法であって、第1配線層を有する第1層間絶縁膜上に、一度の連続したプロセスにて第2層間絶縁膜を形成する工程と、第2層間絶縁膜の上部に、配線用凹部を第1層間絶縁膜に達しないように設ける工程と、配線用凹部の底部に、第1層間絶縁膜の第1配線層へと接続するためのコンタクトホールを設ける工程と、配線用凹部およびコンタクトホール上に第2配線層を設ける工程と、第2配線層をCMP法にて研磨する工程とを有する構成である。
【0012】
また、上記構成において、第2配線層を設ける工程の前に、配線用凹部およびコンタクトホール上にバリアメタル層を設ける工程を有し、第2配線層をCMP法にて研磨する工程においては、バリアメタル層が露出するまで第2配線層をCMP法にて研磨し、さらにその後に、配線用凹部を設ける工程にて用いたパターンを反転したパターンのフォトレジストを用いて、第2層間絶縁膜上に残存するバリアメタル層を除去する工程を有する構成であってもよい。
【0013】
本発明の半導体装置は、層間絶縁膜中に銅または銅合金からなる配線層を有する半導体装置であって、第1配線層を有する第1層間絶縁膜上の、一様な材質の第2層間絶縁膜と、第2層間絶縁膜の上部に第1層間絶縁膜に達しないように設けられた配線用凹部、および配線用凹部の底部に第1層間絶縁膜の第1配線層へと接続するために設けられたコンタクトホールを埋めるように形成された第2配線層とを有する構成である。
【0014】
または、本発明の半導体装置は、層間絶縁膜中に銅または銅合金からなる配線層を有する半導体装置であって、第1配線層を有する第1層間絶縁膜上の、一様な材質の第2層間絶縁膜と、第2層間絶縁膜の上部に第1層間絶縁膜に達しないように設けられた配線用凹部、および配線用凹部の底部に第1層間絶縁膜の第1配線層へと接続するために設けられたコンタクトホールを埋めるように形成された第2配線層と、第2層間絶縁膜および第2配線層上のパッシベーション膜と、パッシベーション膜の開口部において第2配線層上に設けた導電層からなるパッド部とを有する構成である。
【0015】
また、上記構成において、第2配線層上を実質的に覆うように導電層が設けられ、開口部から露出する導電層がパッド部となっていてもよい。
【0016】
また、上記構成において、銅合金が、マグネシウムの比率を約1パーセントから約5パーセント程度とした銅・マグネシウム合金であってもよい。
【0017】
また、上記構成において、導電層が、アルミニウム、シリコン比率が約0.5パーセントから約2パーセント程度のアルミニウム・シリコン合金、シリコン比率が約0.5パーセントから約1.5パーセント程度で銅比率が約0.5パーセントから約1.5パーセント程度のアルミニウム・シリコン・銅合金、または銅比率が約0.5パーセントから約3パーセント程度のアルミニウム・銅合金を含んでいてもよい。
【0018】
また、本発明の構成は、以下のようなものであってもよい。
【0019】
例えば、変形例1として、半導体装置の製造方法が、銅を含む第1の導電体層を形成するとともに、第1の導電体層に比べ銅腐食性物質を含む雰囲気中における腐食の少ない第2の導電体層を第1の導電体層の上に形成することにより、第1の導電体層と、第1の導電体層を実質的に覆う第2の導電体層と、を備えた積層構造の配線層を形成する構成であってもよい。
【0020】
配線層が銅を含む第1の導電体層を有するため、エレクトロマイグレーションによる断線が生じ難く、大電流を流す場合や長期間使用する場合の信頼性を向上させることができる。
【0021】
また、第1の導電体層に比べ銅腐食性物質による腐食の少ない第2の導電体層を第1の導電体層の上に形成した積層構造の配線層を形成するようにしたので、配線層形成後に配線層が露出した状態で銅腐食性物質を含む雰囲気中における処理を行なう場合でも、配線層が腐食されにくい。大電流を流す場合や長期間使用する場合の信頼性が高く、かつ、腐食に対する信頼性の高い配線を得ることができる。
【0022】
変形例2として、変形例1において、絶縁膜を形成する工程と、エッチングにより絶縁膜に所定パターンの配線用凹部を形成する工程と、配線用凹部内に所定パターンの第1の導電体層を形成する工程と、所定パターンに形成された第1の導電体層および絶縁膜上に、第2の導電体層を形成する工程と、エッチングにより第2の導電体層を所定パターンに形成する工程とを備え、エッチングにより第2の導電体層を所定パターンに形成する工程に用いるマスクとして、エッチングにより絶縁膜に所定パターンの配線用凹部を形成する工程に用いたマスクを反転したパターンのマスクを用いてもよい。
【0023】
CMP(化学的機械的研磨)法を用いて配線層を形成することで、異方性エッチングが困難な銅を含む配線層を微細加工することが可能となる。また、第2の導電体層を所定パターンに形成する工程に用いるマスクとして、絶縁膜に所定パターンの配線用凹部を形成する工程に用いたマスクを反転したパターンのマスクを用いることで、容易かつ完全に第1の導電体層を実質的に覆う第2の導電体層を形成することができる。
【0024】
変形例3として、変形例1において、絶縁膜を形成する工程と、絶縁膜に所定パターンの配線用凹部を形成する工程と、配線用凹部を含む絶縁膜上にバリアメタル層を形成する工程と、バリアメタル層の上に、第1の導電体層を形成する工程と、配線用凹部以外の部分のバリアメタル層が露出するまで第1の導電体層を研磨により除去することで、第1の導電体層を所定パターンに形成する工程と、所定パターンに形成された第1の導電体層および露出したバリアメタル層上に、第2の導電体層を形成する工程と、第2の導電体層および露出したバリアメタル層を所定パターンに形成する工程とを備えてもよい。
【0025】
銅を含む第1の導電体層と絶縁膜との間にバリアメタル層を形成することにより、銅が絶縁層に拡散するのを防止することができる。
【0026】
また、研磨により所定パターンの第1の導電体層を形成する工程においては、第1の導電体層に比し研磨し難いバリアメタル層を研磨することなく放置し、その後、第2の導電体層を所定パターンに形成する際、同時にバリアメタル層を所定パターンに形成するようにしたので、研磨により所定パターンの第1の導電体層を形成する工程において、第1の導電体層にディッシングが生ずることが少なくなる。したがって、より均一な厚さの配線層を得ることができる。すなわち、配線層に含まれる銅が絶縁層に拡散するのを防止することができ、かつ、ディッシングの生じにくいより均一な厚さの配線層を得ることができる。
【0027】
変形例4として、上述の変形例において、銅腐食性物質を含む雰囲気中で行なう処理は、配線層が露出した状態における低温加熱処理であってもよい。たとえば、第1の配線層の結晶粒を調整するためのアニール処理や結晶欠陥を除去するための水素を用いた加熱処理などの低温熱処理を行なう場合、第1の配線層は第2の配線層に覆われているため、巻き込まれた酸素により第1の配線層が腐食されることはない。
【0028】
変形例5として、変形例1から3のいずれかにおいて、銅腐食性物質を含む雰囲気中で行なう処理は、配線層が露出した状態におけるフォトレジストの灰化処理であってもよい。たとえば、配線層のうち外部配線のためのパッド部を露出させる工程等に用いるフォトレジストを酸素プラズマを用いて灰化処理するような場合であっても、第1の配線層は第2の配線層に覆われているため、酸素により第1の配線層が腐食されることはない。
【0029】
また、変形例6として、上述の変形例において、第2の導電体層は、アルミニウムまたはアルミニウム合金により構成された金属層であってもよい。第1の導電体層に比べ金との合金化が容易なアルミニウムまたはアルミニウム合金により構成された金属層で第1の導電体層を覆う積層構造の配線層を形成するようにしたので、配線層のうち外部配線のためのパッド部において、金(Au)ワイヤを容易かつ確実に接続することができる。
【0030】
変形例7の半導体装置は、配線層を、銅または実質的にアルミニウムを含まない銅合金により構成された第1の導電体層と、アルミニウムまたはアルミニウム合金により構成され第1の導電体層を実質的に覆うように配置された第2の導電体層と、を備えた積層構造であってもよい。配線層が、銅または実質的にアルミニウムを含まない銅合金により構成された第1の導電体層を有するため、エレクトロマイグレーションによる断線が生じ難く、大電流を流す場合や長期間使用する場合の信頼性を向上させることができる。また、第1の導電体層に比し耐湿性や耐食性に優れるアルミニウムまたはアルミニウム合金により構成された第2の導電体層で第1の導電体層を実質的に覆うようにしたので、配線層自体の耐湿性や耐食性が高い。
【発明の効果】
【0031】
以上のように、本発明の構成によれば、大電流を流す場合や長期間使用する場合の信頼性が高く、かつ、耐湿性や耐食性の高い半導体装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
図6にこの発明の一実施形態による半導体装置18の断面構成の一部を示す。半導体装置18は、絶縁膜である層間膜24上部に形成された配線層33を備えている。配線層33は、バリアメタル層28、第1の導電体層である銅配線層30、別のバリアメタル層31および第2の導電体層であるアルミ配線層32を備えている。
【0033】
銅配線層30は、銅または実質的にアルミニウムを含まない銅合金、たとえば、銅・マグネシウム(Cu−Mg)合金等により構成され、層間膜24上部に形成された配線用凹部24a内に、バリアメタル層28を介して形成されている。
【0034】
銅・マグネシウム(Cu−Mg)合金の成分比は特に限定されるものではないが、たとえば、マグネシウムの比率を、約1パーセント程度ないし約5パーセント程度にするとよい。
【0035】
銅配線層30およびバリアメタル層28の上面を覆うように、バリアメタル層31を介して、アルミ配線層32が形成されている。アルミ配線層32は、アルミニウムまたはアルミニウム合金、たとえば、アルミニウム・シリコン(Al−Si)合金、アルミニウム・シリコン・銅(Al−Si−Cu)合金、アルミニウム・銅(Al−Cu)合金等により構成されている。
【0036】
アルミニウム・シリコン(Al−Si)合金の成分比は特に限定されるものではないが、たとえば、シリコンの比率を、約0.5パーセント程度ないし約2パーセント程度にするとよい。
【0037】
また、アルミニウム・シリコン・銅(Al−Si−Cu)合金の成分比は特に限定されるものではないが、たとえば、シリコンの比率を、約0.5パーセント程度ないし約1.5パーセント程度とし、銅の比率を、約0.5パーセント程度ないし約1.5パーセント程度にするとよい。
【0038】
また、アルミニウム・銅(Al−Cu)合金の成分比は特に限定されるものではないが、たとえば、銅の比率を、約0.5パーセント程度ないし約3パーセント程度にするとよい。
【0039】
配線層33および層間膜24を覆うように、パッシベーション膜36が形成されている。パッシベーション膜36には、配線層33のパッド部33aに到達する開口36aが設けられている。パッド部33aには、金(Au)で構成されたワイヤ40が接続されている。
【0040】
なお、層間膜24の下部には、別の層間膜20が形成されており、層間膜20の上部には、別の配線層22が形成されている。配線層22と配線層33とは、コンタクトホール24bを介して接続されている。
【0041】
このように、半導体装置18は、配線層33を、銅配線層30と、銅配線層30を実質的に覆うように配置されたアルミ配線層32とを備えた積層構造としている。
【0042】
したがって、配線層33が銅配線層30を有するため、エレクトロマイグレーションによる断線が生じ難く、大電流を流す場合や長期間使用する場合の信頼性を向上させることができる。
【0043】
また、銅配線層30に比し耐湿性や耐食性に優れるアルミ配線層32で銅配線層30を実質的に覆うようにしたので、配線層33自体の耐湿性や耐食性が高い。つまり、図6のように、パッド部33aが露出しているにも拘らず、耐湿性や耐食性を確保することができる。
【0044】
すなわち、この半導体装置18は、大電流を流す場合や長期間使用する場合の信頼性が高く、かつ、耐湿性や耐食性が高い。
【0045】
図1Aないし図5Bは、半導体装置18を製造する方法を説明するための断面図である。図1Aないし図5Bおよび図6に基づいて、半導体装置18の製造方法を説明する。
【0046】
図1Aに示すように、まず、半導体基板(図示せず)に設けられた層間膜20の上部に配線層22を形成したものを用意する。配線層22は、どのようにして形成してもよいが、たとえば、CMP(化学的機械的研磨)法等を用いて形成する。配線層22の材質は特に限定しないが、たとえば、下面および側面をバリアメタル層で覆った銅または銅合金の層により構成することができる。
【0047】
つぎに、この上に層間膜24を形成する。層間膜24は、たとえば、シリコン酸化物をCVD法(化学的気相成長法)等を用いて堆積させることにより形成する。
【0048】
つぎに、図1Bに示すように、層間膜24の上部に配線用凹部24aを形成する。配線用凹部24aを形成するには、層間膜24の上部に所定形状のフォトレジスト26を形成し、フォトレジスト26をマスクとして、RIE(反応性イオンエッチング)を行なえばよい。
【0049】
その後、フォトレジスト26を除去し、別のフォトレジスト(図示せず)を用いて、図2Aに示すように、コンタクトホール24bを形成する。
【0050】
つぎに、この上に、図2Bに示すように、バリアメタル層28を形成する。バリアメタル層28の材質は特に限定するものではないが、たとえば、窒化チタン(TiN)、窒化タンタル(TaN)、窒化タングステン(WN)等を用いればよい。また、バリアメタル層28の形成方法は特に限定するものではないが、たとえば、スパッタリング法や、CVD法を用いればよい。
【0051】
つぎに、バリアメタル層28の上に、図3Aに示すように、銅配線層30を形成する。銅配線層30の形成方法は特に限定するものではないが、たとえば、めっき法や、CVD法を用いて形成することができる。
【0052】
このように、銅配線層30(銅を含む第1の導電体層)と層間膜24(絶縁膜)との間にバリアメタル層28を形成することで、銅配線層30の銅が層間膜24に拡散するのを防止することができ、好都合である。
【0053】
つぎに、CMP法を用いて、銅配線層30を上から研磨する。研磨は、図3Bに示すように、配線用凹部24a以外の部分に形成されたバリアメタル層28の上面が露出した時点で終了する。この研磨工程によって、銅配線層30が所定形状にパタニングされる。
【0054】
つぎに、図4Aに示すように、この上に、別のバリアメタル層31およびアルミ配線層32をこの順に重ねて形成する。バリアメタル層31の材質および形成方法は特に限定するものではないが、たとえば、前述のバリアメタル層28の材質と同様の材質を用い、バリアメタル層28と同様の形成方法を用いて形成することができる。また、アルミ配線層32の形成方法は特に限定するものではないが、たとえば、スパッタリング法等を用いて形成する。
【0055】
このように、銅配線層30(銅を含む第1の導電体層)とアルミ配線層32(第2の導電体層)との間にバリアメタル層31を形成することで、銅配線層30の銅とアルミ配線層32のアルミニウムとの相互接触による合金化を防止することができ、好都合である。
【0056】
つぎに、図4Bに示すように、アルミ配線層32、バリアメタル層31およびバリアメタル層28を所定形状にパタニングする。アルミ配線層32、バリアメタル層31およびバリアメタル層28を所定形状にパタニングするには、アルミ配線層32の上部に所定形状のフォトレジスト34を形成し、フォトレジスト34をマスクとして、RIE(反応性イオンエッチング)を行なえばよい。このフォトレジスト34は、前述の配線用凹部24aを形成する際に用いたフォトレジスト26(図1B参照)を反転したパターンのフォトレジストである。
【0057】
このようにして、バリアメタル層28、銅配線層30、バリアメタル層31、アルミ配線層32をこの順に積層した構造の配線層33が形成される。
【0058】
配線層33を形成した後、銅配線層30の結晶粒を調整するためのアニール処理や結晶欠陥を除去するための水素を用いた加熱処理などの低温熱処理を行なう。これらの処理は不活性ガス雰囲気中で行なわれるが、実際には、銅腐食性物質である酸素を若干巻き込んでしまう。
【0059】
つぎに、図5Aに示すように、配線層33および層間膜24を覆うようにパッシベーション膜36を形成する。パッシベーション膜36の材質は特に限定されるものではないが、たとえば、シリコン窒化膜等を用いればよい。また、パッシベーション膜36の形成方法は特に限定されるものではないが、たとえば、CVD法等を用いることができる。
【0060】
つぎに、図5Bに示すように、パッシベーション膜36上に所定形状のフォトレジスト38を形成し、フォトレジスト38をマスクとして、RIEを行なうことにより、パッシベーション膜36に開口36aを設ける。これにより、配線層33の一部表面が露出する。この露出した部分がパッド部33aである。
【0061】
つぎに、アッシング処理(灰化処理)によりレジスト38を除去する。アッシング処理は、酸素プラズマを用いて行なう。
【0062】
つぎに、図6に示すように、パッド部33aに、ワイヤ40をボンディングする。このようにして、半導体装置18を製造する。
【0063】
このように、この製造方法においては、銅配線層30を形成するとともに、銅配線層30に比べ酸素による腐食の少ないアルミ配線層32を銅配線層30の上に形成することにより、銅配線層30と、この銅配線層30を実質的に覆うアルミ配線層32と、を備えた積層構造の配線層33を形成するようにしている。
【0064】
したがって、配線層33が銅配線層30を有するため、エレクトロマイグレーションによる断線が生じ難く、大電流を流す場合や長期間使用する場合の信頼性を向上させることができる。
【0065】
また、銅配線層30に比べ酸素による腐食の少ないアルミ配線層32を銅配線層30の上に形成した積層構造の配線層33を形成するようにしたので、配線層33形成後に配線層33が露出した状態で酸素を含む雰囲気中における処理を行なう場合でも、配線層33が腐食されにくい。
【0066】
すなわち、大電流を流す場合や長期間使用する場合の信頼性が高く、かつ、腐食に対する信頼性の高い配線層33を得ることができる。
【0067】
また、この製造方法においては、層間膜24を形成する工程と、エッチングにより層間膜24に所定パターンの配線用凹部24aを形成する工程と、配線用凹部24a内に所定パターンの銅配線層30を形成する工程と、所定パターンに形成された銅配線層30および層間膜24上に、アルミ配線層32を形成する工程と、エッチングによりアルミ配線層32を所定パターンに形成する工程とを備え、エッチングによりアルミ配線層32を所定パターンに形成する工程に用いるフォトレジスト34として、エッチングにより層間膜24に所定パターンの配線用凹部24aを形成する工程に用いたフォトレジスト26を反転したパターンのフォトレジストを用いるようにしている。
【0068】
すなわち、CMP(化学的機械的研磨)法を用いて配線層33を形成することで、異方性エッチングが困難な銅を含む配線層33を微細加工することが可能となる。
【0069】
また、アルミ配線層32を所定パターンに形成する工程に用いるフォトレジスト34として、層間膜24に所定パターンの配線用凹部24aを形成する工程に用いたフォトレジスト26を反転したパターンのフォトレジストを用いることで、容易かつ完全に銅配線層30を実質的に覆うアルミ配線層32を形成することができる。
【0070】
また、この製造方法においては、層間膜24を形成する工程と、層間膜24に所定パターンの配線用凹部24aを形成する工程と、配線用凹部24aを含む層間膜24上にバリアメタル層28を形成する工程と、バリアメタル層28の上に、銅配線層30を形成する工程と、配線用凹部24a以外の部分のバリアメタル層28が露出するまで銅配線層30を研磨により除去することで、銅配線層30を所定パターンに形成する工程と、所定パターンに形成された銅配線層30および露出したバリアメタル層28上に、アルミ配線層32を形成する工程と、アルミ配線層32および露出したバリアメタル層28を所定パターンに形成する工程とを備えている。
【0071】
したがって、銅配線層30と層間膜24との間にバリアメタル層28形成することにより、銅配線層30に含まれる銅が層間膜24に拡散するのを防止することができる。
【0072】
また、研磨により所定パターンの銅配線層30を形成する工程においては、銅配線層30に比し研磨し難いバリアメタル層28を研磨することなく放置し、その後、アルミ配線層32を所定パターンに形成する際、同時にバリアメタル層28を所定パターンに形成するようにしたので、研磨により所定パターンの銅配線層30を形成する工程において、銅配線層30にディッシングが生ずることが少なくなる。したがって、より均一な厚さの配線層33を得ることができる。
【0073】
すなわち、配線層33に含まれる銅が層間膜24に拡散するのを防止することができ、かつ、ディッシングの生じにくいより均一な厚さの配線層33を得ることができる。
【0074】
ちなみに、従来の製造方法によれば、図7Bに示すように、CMP法を用いて、バリアメタル層4と銅配線層6の不要部分を同時に除去している。上述のように、バリアメタル層4に比し銅配線層6の方が研磨されやすいので、このような従来の方法では、銅配線層6の上部にディッシング(さら状の凹部)6aが生じてしまう。特に、パッド部8aのように配線の投影面積が大きい部分では、ディッシングが深くなる。このため、配線8の厚さがかなり薄い部分が生じ、配線の信頼性が低下する等の不都合が生ずることとなる。
【0075】
また、本実施形態による製造方法においては、酸素を含む雰囲気中で行なう処理として、配線層33が露出した状態における低温加熱処理が含まれる。
【0076】
したがって、銅配線層30の結晶粒を調整するためのアニール処理や結晶欠陥を除去するための水素を用いた加熱処理などの低温熱処理を行なう場合、銅配線層30はアルミ配線層32に覆われているため、このような処理の際に巻き込まれた酸素により銅配線層30が腐食されることはない。
【0077】
また、この製造方法においては、酸素を含む雰囲気中で行なう処理として、配線層33が露出した状態におけるフォトレジストのアッシング処理が含まれる。
【0078】
したがって、外部配線であるワイヤ40をボンディングするためのパッド部33aを露出させる工程等に用いるフォトレジスト38を酸素プラズマを用いてアッシング処理するような場合であっても、銅配線層30はアルミ配線層32に覆われているため、露出した銅配線層30が酸素により腐食されることはない。
【0079】
また、この製造方法においては、アルミ配線層32は、アルミニウムまたはアルミニウム合金により構成されている。
【0080】
したがって、銅配線層30に比べ金(Au)との合金化が容易なアルミニウムまたはアルミニウム合金により構成されたアルミ配線層32で銅配線層30を覆う積層構造の配線層33を形成するようにしたので、パッド部33aにおいて、金(Au)により構成されたワイヤ40を容易かつ確実にボンディングすることができる。
【0081】
なお、上述の実施形態においては、銅腐食性物質を含む雰囲気中で行なう処理として、低温加熱処理やフォトレジストの灰化処理を例示したが、この発明における銅腐食性物質を含む雰囲気中で行なう処理は、これに限定されるものではない。
【0082】
また、上述の実施形態においては、バリアメタル層28およびバリアメタル層31を持つ配線層について説明したが、この発明は、バリアメタル層28およびバリアメタル層31のいずれか一方または双方を持たない配線層にも適用することができる。
【0083】
また、上述の実施形態においては、第2の導電体層として、アルミニウムまたはアルミニウム合金により構成された金属層を例に説明したが、第2の導電体層は、アルミニウムまたはアルミニウム合金により構成された金属層に限定されるものではない。第2の導電体層は、要は、第1の導電体層に比べ銅腐食性物質を含む雰囲気中における腐食の少ない導電体層であればよい。
【0084】
また、上述の実施形態においては、銅腐食性物質として酸素を例示したが、銅腐食性物質は、酸素に限定されるものではない。
【0085】
また、上述の実施形態においては、CMP法を用いて配線層を形成する場合を例に説明したが、この発明はこれに限定されるものではない。CMP法以外の方法を用いて配線層を形成する場合にも、この発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】図1Aないし図1Bは、この発明の一実施形態による半導体装置18の製造方法を説明するための断面図である。
【図2】図2Aないし図2Bは、この発明の一実施形態による半導体装置18の製造方法を説明するための断面図である。
【図3】図3Aないし図3Bは、この発明の一実施形態による半導体装置18の製造方法を説明するための断面図である。
【図4】図4Aないし図4Bは、この発明の一実施形態による半導体装置18の製造方法を説明するための断面図である。
【図5】図5Aないし図5Bは、この発明の一実施形態による半導体装置18の製造方法を説明するための断面図である。
【図6】この発明の一実施形態による半導体装置18の断面構成の一部を示す図面である。
【図7】図7Aないし図7Cは、従来の半導体装置の製造方法を説明するための断面図である。
【図8】図8Aないし図8Bは、従来の半導体装置の製造方法を説明するための断面図である。
【符号の説明】
【0087】
20・・・・・層間膜(第1層間絶縁膜)
22・・・・・配線層(第1配線層)
24・・・・・層間膜(第2層間絶縁膜)
24a・・・・・配線用凹部
24b・・・・・コンタクトホール
28・・・・・バリアメタル層
30・・・・・銅配線層(第2配線層)
31・・・・・バリアメタル層(導電層)
32・・・・・アルミ配線層(導電層)
33a・・・・・パッド部
36・・・・・パッシベーション膜
36a・・・・・開口(開口部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
層間絶縁膜中に銅または銅合金からなる配線層を有する半導体装置の製造方法であって、
第1配線層を有する第1層間絶縁膜上に、一度の連続したプロセスにて第2層間絶縁膜を形成する工程と、
第2層間絶縁膜の上部に、配線用凹部を第1層間絶縁膜に達しないように設ける工程と、
配線用凹部の底部に、第1層間絶縁膜の第1配線層へと接続するためのコンタクトホールを設ける工程と、
配線用凹部およびコンタクトホール上に第2配線層を設ける工程と、
第2配線層をCMP法にて研磨する工程とを有する半導体装置の製造方法。
【請求項2】
第2配線層を設ける工程の前に、配線用凹部およびコンタクトホール上にバリアメタル層を設ける工程を有し、
第2配線層をCMP法にて研磨する工程においては、バリアメタル層が露出するまで第2配線層をCMP法にて研磨し、さらにその後に、配線用凹部を設ける工程にて用いたパターンを反転したパターンのフォトレジストを用いて、第2層間絶縁膜上に残存するバリアメタル層を除去する工程を有する請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
層間絶縁膜中に銅または銅合金からなる配線層を有する半導体装置であって、
第1配線層を有する第1層間絶縁膜上の、一様な材質の第2層間絶縁膜と、
第2層間絶縁膜の上部に第1層間絶縁膜に達しないように設けられた配線用凹部、および配線用凹部の底部に第1層間絶縁膜の第1配線層へと接続するために設けられたコンタクトホールを埋めるように形成された第2配線層とを有する半導体装置。
【請求項4】
層間絶縁膜中に銅または銅合金からなる配線層を有する半導体装置であって、
第1配線層を有する第1層間絶縁膜上の、一様な材質の第2層間絶縁膜と、
第2層間絶縁膜の上部に第1層間絶縁膜に達しないように設けられた配線用凹部、および配線用凹部の底部に第1層間絶縁膜の第1配線層へと接続するために設けられたコンタクトホールを埋めるように形成された第2配線層と、
第2層間絶縁膜および第2配線層上のパッシベーション膜と、
パッシベーション膜の開口部において第2配線層上に設けた導電層からなるパッド部とを有する半導体装置。
【請求項5】
第2配線層上を実質的に覆うように導電層が設けられ、開口部から露出する導電層がパッド部となっている請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
銅合金が、マグネシウムの比率を約1パーセントから約5パーセント程度とした銅・マグネシウム合金である請求項3から5のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項7】
導電層が、アルミニウム、シリコン比率が約0.5パーセントから約2パーセント程度のアルミニウム・シリコン合金、シリコン比率が約0.5パーセントから約1.5パーセント程度で銅比率が約0.5パーセントから約1.5パーセント程度のアルミニウム・シリコン・銅合金、または銅比率が約0.5パーセントから約3パーセント程度のアルミニウム・銅合金を含んでいる請求項3から6のいずれかに記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−24968(P2006−24968A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−286371(P2005−286371)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【分割の表示】特願平10−237029の分割
【原出願日】平成10年8月24日(1998.8.24)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】