説明

半導体装置および半導体装置の製造方法

【課題】実用上十分な動作速度およびエレクトロマイグレーション耐性を有する半導体装置を製造する。
【解決手段】半導体基板の上面に層間絶縁膜101が形成されており、層間絶縁膜101内に下層配線105が形成されている。層間絶縁膜101の上面および下層配線105の上面にはライナー絶縁膜106が形成されており、ライナー絶縁膜106の上面には層間絶縁膜108が形成されている。層間絶縁膜108内に上層配線113が形成されており、下層配線105と上層配線113とはビア109を介して接続されている。そして、ビア周辺領域140に形成されたライナー絶縁膜106の膜厚は、ビア周辺領域140の外側に形成されたライナー絶縁膜106の膜厚よりも厚い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置および半導体装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体集積回路素子の微細化に伴い、素子間を結ぶ配線の間隔および素子内に設けられた配線の間隔が狭くなってきている。このため配線間の容量が増加し、信号の伝搬速度の低下を引き起こすという課題が顕在化している。そこで、非特許文献1に示されているように、誘電率の低い層間絶縁膜(Low−k膜)を使用することにより、配線間の容量を低減する方法が検討されている。以下、非特許文献1に示されている半導体装置の製造方法を、図17を参照しながら説明する。
【0003】
まず、図17(a)に示すように、半導体基板(非図示)の表面に層間絶縁膜1を堆積した後、フォトリソグラフィーおよびドライエッチングにより層間絶縁膜1の内部に配線溝2を形成する。層間絶縁膜1としては、SiOC膜などの誘電率の低い層間絶縁膜を使用する。その後、層間絶縁膜1の表面および配線溝2の内部にバリア膜3およびCu膜4を順に堆積後、配線溝2からはみ出したバリア膜3およびCu膜4をCMP(Chemical Mechanical Polishing)により除去する。これにより、配線溝2内に下層配線5が形成される。
【0004】
次に、図17(b)に示すように、層間絶縁膜1の表面および下層配線5の表面にライナー絶縁膜6を堆積し、ライナー絶縁膜6の表面に層間絶縁膜7を堆積する。
【0005】
次に、図17(c)に示すように、リソグラフィーおよびドライエッチングにより、ライナー絶縁膜6の内部および層間絶縁膜7の内部にビアホール8aを形成し、層間絶縁膜7の内部に配線溝9を形成する。
【0006】
次に、図17(d)に示すように、層間絶縁膜7の表面、ビアホール8aの内部、および配線溝9の内部にバリア膜10およびCu膜11を順に堆積後、配線溝9からはみ出したバリア膜10およびCu膜11をCMPにより除去する。これにより、ビアホール8a内にビア8が形成され、配線溝9内に上層配線12が形成される。
【0007】
次に、図17(e)に示すように、層間絶縁膜7の表面および上層配線12の表面にライナー絶縁膜13を堆積し、ライナー絶縁膜13の表面に層間絶縁膜14を堆積した後CMPにより層間絶縁膜14の表面を平坦化する。これにより、図17(e)に示す2層配線構造を有する半導体装置が完成する。なお、この後、図17(c)〜図17(e)に示す工程を繰り返すことにより、任意の層数の多層配線構造を有する半導体装置を製造することもできる。
【非特許文献1】「45 nm Node Multi Level Interconnects with Porous SiOCH Dielectric k=2.5」,V. Arnal et, al. pp.213〜215,(IITC2006)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の技術には、配線のエレクトロマイグレーション耐性が劣化するという問題がある。以下、本問題について、図18(a)〜図19(b)を参照しながら説明する。
【0009】
簡単のため、図18(a)〜図19(b)に示すような配線構造を例に取って説明する。なお、図18(a)〜図19(b)で示されている構成要素のうち、図17(a)〜(e)で示されている構成要素と同一のものに対しては、同一の番号を付与することにより、詳細な説明を省略する。また、図18(a)〜図19(b)において、15は電子風、16は陽極端、17は陰極端である。
【0010】
まず、ビアから下層配線に電子風が流れ込む結果、陰極端のビアと接する下層配線の表面にボイドが発生する現象について説明する。図18(a)は配線構造の初期の状態を示している。良く知られているように、エレクトロマイグレーションとは、配線を構成する金属原子が、電子風15を駆動力として電流の逆方向に移動する現象である。ここで、陽極端16で発生する現象を考える。陽極端16では、電子風15によりCu原子が移動してくるが、Cu原子はバリア膜10を通過することができないため、時間の経過とともにCu膜4に作用する圧縮応力が増大する。
【0011】
この圧縮応力が臨界値に達すると、図18(b)のような状態になる。具体的には、陽極端のビア8を取り巻く積層膜構造において最も弱い界面(多くの場合、層間絶縁膜1とライナー絶縁膜6の界面)で剥離が発生し、剥離箇所にCu膜11のはみ出し20が発生する。下層配線5を構成するCu原子の総量は一定であるため、はみ出し20の発生に起因して陰極端17のビア8の近傍における下層配線5の内部でボイド21が発生し、下層配線5と上層配線12との接続が断たれる。これが、エレクトロマイグレーションによる故障発生のメカニズムである。
【0012】
次に、下層配線からビアに電子風が流れ込む結果、陰極端のビアの内部にボイドが発生する現象について説明する。図19(a)は配線構造の初期の状態を示している。良く知られているように、エレクトロマイグレーションとは、配線を構成する金属原子が、電子風15を駆動力として電流の逆方向に移動する現象である。ここで、陽極端16で発生する現象を考える。陽極端16では、電子風15によりCu原子が移動してくるが、Cu原子はバリア膜10を通過することができないため、時間の経過とともにCu膜11に作用する圧縮応力が増大する。
【0013】
この圧縮応力が臨界値に達すると、図19(b)のような状態になる。具体的には、陽極端のビア8を取り巻く積層膜構造で最も弱い界面(多くの場合、層間絶縁膜7とライナー絶縁膜13の界面)で剥離が発生し、剥離箇所にCu膜11のはみ出し18が発生する。上層配線12を構成するCu原子の総量は一定であるため、はみ出し18の発生に起因して陰極端17のビア8の内部でボイド19が発生し、下層配線5と上層配線12との接続が断たれる。これが、エレクトロマイグレーションによる故障発生のメカニズムである。
【0014】
以上のような、エレクトロマイグレーションによる故障発生は、Low−k膜の導入に伴って、より顕著になってきている。これは、一般的に、Low−k膜は、機械強度が低いためCu膜に作用する圧縮応力の増大に伴って容易に変形し、その結果、図18(b)における層間絶縁膜1とライナー絶縁膜6との剥離または図19(b)における層間絶縁膜7とライナー絶縁膜13との剥離のような不可逆的な破壊を引き起こし易いためである。
【0015】
また、半導体装置には配線間の容量の低減が要望されており、この要望を満たすためにはライナー絶縁膜を薄く形成することが好ましい。
【0016】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、実用上十分な動作速度およびエレクトロマイグレーション耐性を有する半導体装置およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の半導体装置では、半導体基板の上に第1の層間絶縁膜が形成されており、第1の層間絶縁膜に第1の配線が形成されており、第1の層間絶縁膜の上及び第1の配線の上にライナー絶縁膜が形成されており、ライナー絶縁膜の上に第2の層間絶縁膜が形成されており、第2の層間絶縁膜に第2の配線が形成されている。また、ビアが、ライナー絶縁膜及び第2の層間絶縁膜に形成され、第1の配線と第2の配線とを電気的に接続する。そして、ビア周辺領域に形成されたライナー絶縁膜の膜厚は、ビア周辺領域の外側に形成されたライナー絶縁膜の膜厚よりも厚い。
【0018】
このような構成により、ビアの周囲の配線構造の実効的な機械強度を向上させることができ、その結果、エレクトロマイグレーション耐性を向上させることができる。
【0019】
また、ライナー絶縁膜を局所的に分厚くしているので、配線間の容量の低減を図ることができる。
【0020】
後述の好ましい実施形態では、ライナー絶縁膜は、第1のライナー絶縁膜と第2のライナー絶縁膜との積層膜である。ここで、第1のライナー絶縁膜はビア周辺領域の外側には形成されておらず、そのヤング率は40GPa以上である。また、第2のライナー絶縁膜の比誘電率が4.5以下である。これにより、エレクトロマイグレーション耐性の向上と配線間の容量の低減とのバランスを適切に調整することができる。
【0021】
後述の別の好ましい実施形態では、隣り合う第1の配線間のうちの少なくとも一つの配線間には、エアギャップが形成されている。これにより、配線間の容量を低減させることができる。ここで、このエアギャップは、エアギャップは、隣り合う第1の配線間に形成されたギャップ内に形成されており、ギャップの底面及び側壁には第2のライナー絶縁膜が形成されている。これにより、製造工程を増やすことなくエアギャップを形成することができるため、半導体装置を簡便に製造することができる。
【0022】
本発明の半導体装置において、ビア周辺領域は、第1の層間絶縁膜の上面において、ビア周辺領域の縦の長さおよび横の長さがそれぞれビアの径の2倍以上10倍以下であり、且つ、ビア周辺領域の中心がビアの中心と一致する領域であることが好ましい。これにより、配線間の容量の低減を図りつつエレクトロマイグレーション耐性の効率良く向上させることができる。
【0023】
本発明の半導体装置において、ビア周辺領域に形成されたライナー絶縁膜の膜厚は、10nm以上100nm以下であることが好ましい。
【0024】
本発明の半導体装置において、隣り合う第1の配線の間隔の最小値をdとしたとき、ビア周辺領域の外側に形成されたライナー絶縁膜のうち、隣り合う第1の配線の間隔が2d以上である部分の上に形成されたライナー絶縁膜は隣り合う第1の配線の間隔が2d未満である部分の上に形成されたライナー絶縁膜よりも分厚いことが好ましい。このように配線の間隔が十分に広い場合には配線間の容量が増大する虞がない。よって、上記構成とすることにより、エレクトロマイグレーション耐性をさらに向上させることができる。
【0025】
ここで、ビア周辺領域の外側に形成されたライナー絶縁膜とは、ライナー絶縁膜が第1のライナー絶縁膜と第2のライナー絶縁膜との積層膜である場合には、第2のライナー絶縁膜である。
【0026】
本発明の半導体装置において、第1の層間絶縁膜の上面のうちビア周辺領域の外側には、第1の配線の幅が変化する、第1の配線が曲がるまたは第1の配線が分岐する第1の部分が存在しており、ビア周辺領域の外側に形成されたライナー絶縁膜のうち、第1の部分の上に形成されたライナー絶縁膜は第1の部分以外の部分の上に形成されたライナー絶縁膜よりも分厚いことが好ましい。これにより、第1の配線に作用する圧縮応力が第1の部分において局所的に高くなってもエレクトロマイグレーション耐性の低下を抑制することができる。
【0027】
ここで、ビア周辺領域の外側に形成されたライナー絶縁膜とは、ライナー絶縁膜が第1のライナー絶縁膜と第2のライナー絶縁膜との積層膜である場合には、第2のライナー絶縁膜である。
【0028】
本発明の半導体装置の製造方法は、半導体基板の上に第1の層間絶縁膜を形成する工程(a)と、工程(a)の後に、第1の層間絶縁膜に第1の配線を形成する工程(b)と、工程(b)の後に、第1の層間絶縁膜の上及び第1の配線の上にライナー絶縁膜を形成する工程(c)と、工程(c)の後に、ライナー絶縁膜の上に第2の層間絶縁膜を形成する工程(d)と、工程(d)の後に、ライナー絶縁膜及び第2の層間絶縁膜に第1の配線と電気的に接続されるビアを形成し、第2の層間絶縁膜にビアと電気的に接続される第2の配線を形成する工程(e)とを備え、工程(c)では、工程(e)において形成されるビアの周辺であるビア周辺領域の方がビア周辺領域の外側よりも分厚くなるようにライナー絶縁膜を形成する。
【0029】
後述の好ましい実施形態では、工程(c)では、ライナー絶縁膜として第1のライナー絶縁膜と第2のライナー絶縁膜との積層膜を形成し、工程(c)は、ビア周辺領域に第1のライナー絶縁膜を形成する工程(c1)と、工程(c1)の後で、ビア周辺領域とビア周辺領域の外側とに第2のライナー絶縁膜を形成する工程(c2)とを有する。
【0030】
後述の好ましい別の実施形態では、工程(c1)と工程(c2)との間に、隣り合う第1の配線間に存在する第1の層間絶縁膜を除去してギャップを形成する工程(f)をさらに備え、工程(d)では、ギャップを第2の層間絶縁膜で被覆したエアギャップが形成される。さらに、工程(c2)では、ギャップの底面および側壁にも前記第2のライナー絶縁膜を形成することが好ましい。
【0031】
上記後述の好ましい実施形態および上記後述の別の好ましい実施形態では、第1のライナー絶縁膜としてヤング率が40GPa以上である絶縁膜を用いることが好ましい。また、これらの実施形態では、第2のライナー絶縁膜として比誘電率が4.5以下である絶縁膜を用いることが好ましい。さらに、これらの実施形態では、工程(c1)では、第1の配線および第1の層間絶縁膜の上に第1のライナー絶縁膜を形成した後、第1の配線又は第1の層間絶縁膜の一部分が露出するようにビア周辺領域の外側に形成された第1のライナー絶縁膜の一部を除去することが好ましい。また、これらの実施形態では、工程(c1)では、ビア周辺領域を、第1の層間絶縁膜の上面において、ビア周辺領域の縦の長さおよび横の長さをそれぞれビア径の2倍以上10倍以下とし、ビア周辺領域の中心をビアの中心と一致するように設定することが好ましい。
【0032】
本発明の半導体装置の製造方法では、工程(c)では、ビア周辺領域に形成するライナー絶縁膜の膜厚を10nm以上100nm以下とすることが好ましい。
【0033】
本発明の半導体装置の製造方法では、工程(c)では、隣り合う第1の配線の間隔の最小値をdとしたとき、ビア周辺領域の外側に形成されたライナー絶縁膜のうち、隣り合う第1の配線の間隔が2d以上である部分の上には隣り合う第1の配線の間隔が2d未満である部分の上よりも分厚くライナー絶縁膜を形成することが好ましい。
【0034】
本発明の半導体装置の製造方法では、工程(b)では、第1の層間絶縁膜の上面のうちビア周辺領域の外側には、第1の配線の幅が変化する、第1の配線が曲がるまたは第1の配線が分岐する第1の部分が存在するように、第1の配線を形成し、工程(c)では、ビア周辺領域の外側のうち第1の部分の上には、ビア周辺領域の外側のうち第1の部分以外の部分の上よりも分厚くライナー絶縁膜を形成することが好ましい。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、半導体装置の動作速度およびエレクトロマイグレーション耐性を十分に向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されない。また、同一の部材には同一の符号を付けてその説明を省略する場合がある。
【0037】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置について、図1を参照しながら説明する。ここで、以下に示す材料及び数値はあくまで好ましい例示に過ぎず、これらに限定されない。
【0038】
図1に示すように、半導体基板(非図示)の上に形成された層間絶縁膜101(第1の層間絶縁膜)内に、下層配線105(第1の配線)が形成されている。また、層間絶縁膜101の上及び下層配線105の上には、ライナー絶縁膜106が形成されている。また、ライナー絶縁膜106の上には、層間絶縁膜108(第2の層間絶縁膜)が形成されている。また、ライナー絶縁膜106内及び層間絶縁膜108内には、下層配線105(第2の配線)と電気的に接続されるビア109が形成されており、層間絶縁膜108内には、ビア109と電気的に接続される上層配線113が形成されている。また、層間絶縁膜108の上及び上層配線113の上には、ライナー絶縁膜114が形成されている。また、ライナー絶縁膜114の上には、層間絶縁膜116が形成されている。
【0039】
ここで、層間絶縁膜101,108,116はそれぞれSiOC膜などの誘電率の低い絶縁膜であることが好ましい。これにより、配線間の容量を低減させることができる。また、ライナー絶縁膜106,114はそれぞれSiCN膜などの層間絶縁膜101,108よりも機械強度に優れた絶縁膜であることが好ましい。これにより、下層配線105のCu膜104中のCu原子が層間絶縁膜108内に拡散することを防止でき、また、エレクトロマイグレーション耐性の向上を実現することができる。また、下層配線105は、その表面に設けられた公知のバリアメタル膜103とその内部に設けられたCu膜104などからなる導電膜とで構成されており、上層配線113およびビア109は、それぞれ、その表面に設けられた公知のバリアメタル膜111とその内部に設けられたCu膜112などからなる導電膜とで構成されている。
【0040】
ライナー絶縁膜106の膜厚は、ビア周辺領域140とビア周辺領域140の外側とで相異なる。つまり、図1に示すように、ビア109の下部では、ビア周辺領域140におけるライナー絶縁膜106の膜厚は、ビア周辺領域140の外側におけるライナー絶縁膜106の膜厚よりも厚い。具体的には、ビア109の下部では、ビア周辺領域140におけるライナー絶縁膜106の膜厚は20nmであるのに対して、ビア周辺領域140の外側におけるライナー絶縁膜106の膜厚は10nmである。ここで、膜厚はあくまで例示に過ぎないことを付け加えておく。このようにライナー絶縁膜106をビア109の下部におけるビア周辺領域140において局所的に厚膜とすることにより、電流がビア109から下層配線105に流れ込む場合のエレクトロマイグレーション耐性が向上するという効果が得られる。詳細には、ライナー絶縁膜106は、ビア109の周囲に存在する層間絶縁膜101よりも高い機械強度を有している。従って、ライナー絶縁膜106をビア109の下部におけるビア周辺領域140で厚膜化することにより、ビア109の周囲の配線構造の実効的な機械強度が向上する。この結果、上記エレクトロマイグレーションにより下層配線105のCu膜104に作用する圧縮応力が増大した結果ビア109の周囲の配線構造が変形するという現象が起こりにくくなり、層間絶縁膜101とライナー絶縁膜106との界面における剥離が抑制される。これにより、上記エレクトロマイグレーション耐性が向上する。
【0041】
また、ライナー絶縁膜114の膜厚は、ライナー絶縁膜106の膜厚と同じように、ビア周辺領域140とビア周辺領域140の外側とで相異なる。つまり、図1に示すように、ビア109の上部では、ビア周辺領域140におけるライナー絶縁膜114の膜厚は、ビア周辺領域140の外側におけるライナー絶縁膜114の膜厚よりも厚い。このようにライナー絶縁膜114をビア109の上部におけるビア周辺領域140において局所的に厚膜とすることにより、ライナー絶縁膜106をビア109の下部におけるビア周辺領域140において局所的に膜厚とした場合と同様に、ビア109の周囲の配線構造の実質的な機械強度が向上するために、電流がビア109から下層配線105に流れ込む場合のエレクトロマイグレーション耐性が向上するという効果が得られる。また、ライナー絶縁膜114をこのように局所的に厚膜とすることにより、上記理由と同様の理由により、電流がビア109から上層配線113に流れ込む場合のエレクトロマイグレーション耐性が向上するという効果も得ることができる。
【0042】
ここで、ビア周辺領域140とは、層間絶縁膜101,108の上面において、その縦及びその横がビア直径の2倍以上10倍以下の長さを有しており、その中心がビアの中心と一致する領域である。なお、層間絶縁膜101,108の上面においてビア周辺領域140の縦の長さおよび横の長さがビア直径の2倍未満であれば、ビア109の周囲の配線構造の実質的な機械強度を向上させることが難しいため、エレクトロマイグレーション耐性を十分に向上させることができず好ましくない。別の言い方をすると、ビア周辺領域140は、エレクトロマイグレーションによりCu膜104,112に作用する圧縮応力が増大したときに層間絶縁膜101とライナー絶縁膜106との剥離が予想される領域および層間絶縁膜108とライナー絶縁膜114との剥離が予想される領域である。
【0043】
一方、層間絶縁膜101,108の上面においてビア周辺領域140の縦の長さおよび横の長さがビア直径の10倍を超えると、配線間の容量が十分に低減されないため好ましくない。よって、層間絶縁膜の材料および半導体装置における配線の間隔を考慮して、この上限値を設定すればよい。
【0044】
ビア周辺領域140におけるライナー絶縁膜106,114の膜厚は、それぞれ、ビア周辺領域140の外側におけるライナー絶縁膜106,114の膜厚の2倍以上10倍以下であればよく、10nm以上100nm以下であればよい。ビア周辺領域140におけるライナー絶縁膜106,114の膜厚がそれぞれビア周辺領域140の外側におけるライナー絶縁膜106,114の膜厚とほとんど同じであれば、エレクトロマイグレーション耐性の向上を十分に図ることができないので好ましくない。一方、ビア周辺領域140におけるライナー絶縁膜106,114の膜厚がそれぞれビア周辺領域140の外側におけるライナー絶縁膜106,114の膜厚の10倍よりも大きければ、ビア周辺領域140におけるライナー絶縁膜106,114を不必要に分厚く堆積させることになるため、半導体装置の製造費用が増大してしまう。また、ライナー絶縁膜106,114の表面に大きな凹凸が形成されるため、CMPを実施した後も層間絶縁膜108の表面に凹凸が残存し、その結果、半導体装置の製造が困難となってしまう。
【0045】
一方、本明細書における「ビア109の周辺」は、三次元の領域を意味する。
【0046】
なお、本実施形態では、ビア周辺領域140の外側において隣り合う上層配線113,113の間隔が広い場合、ビア109の上部では、その上層配線113,113の間に設けられたライナー絶縁膜114の膜厚は、ビア周辺領域140におけるライナー絶縁膜114の膜厚と同様に、ビア周辺領域140の外側のうち隣り合う上層配線113,113の間隔がそれほど広くない部分の上に設けられたライナー絶縁膜114の膜厚よりも厚くしてもよい。図1に示すように、配線間隔Xは、配線間隔Yよりも広い。この場合には、配線間隔がXである部分がビア周辺領域140の外側に存在していても、その部分には、ビア周辺領域140の外側のうち配線間隔がXである部分以外の部分(例えば、配線間隔がYである部分)よりも膜厚なライナー絶縁膜114を設けても良い。その理由は以下の通りである。つまり、上層配線113,113の間隔が広い場合には、配線間の容量はそれほど増加しないのでその減少を図らなくてもよい。よって、このような場合には、配線間の容量を低減させるためにライナー絶縁膜114を薄膜化するよりも、半導体装置全体の機械強度の確保を優先させた方が有利だからである。ここで、配線の間隔が広い場合とは、その間隔が半導体装置における配線の間隔の最小値の2倍以上である場合を言う。また、このことは、ライナー絶縁膜106についても言える。
【0047】
次に、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法について、図2(a)〜図4(c)を参照しながら説明する。ここで、以下に示す材料及び数値はあくまで好ましい例示に過ぎず、これらに限定されることはない。
【0048】
まず、図2(a)に示すように、半導体基板(非図示)の表面に層間絶縁膜101を堆積した後(工程(a))、フォトリソグラフィーおよびドライエッチングにより層間絶縁膜101の内部に配線溝102を形成する。層間絶縁膜101としては、SiOC膜などの誘電率の低い絶縁膜を使用することが好ましい。
【0049】
次に、図2(b)に示すように、層間絶縁膜101の表面および配線溝102の内部にバリアメタル膜103およびCu膜104を順に堆積後、配線溝102からはみ出したバリアメタル膜103およびCu膜104をCMPにより除去する。これにより、配線溝102内に下層配線105が形成される(工程(b))。
【0050】
次に、図2(c)に示すように、層間絶縁膜101の表面および下層配線105の表面にライナー絶縁膜106を堆積する(工程(c))。本実施形態では、ライナー絶縁膜106として、厚さ20nmのSiCN膜を使用している。
【0051】
次に、図2(d)に示すように、リソグラフィーにより、ライナー絶縁膜106の表面の一部分にレジストパターン107を形成する。ライナー絶縁膜106の表面におけるレジストパターン107の好ましい配置については後述の第4の実施形態で説明するが、少なくともビア109が形成される領域の周囲(つまり、ビア周辺領域140)にはレジストパターン107を設ける。
【0052】
次に、図2(e)に示すように、レジストパターン107をマスクとしてライナー絶縁膜106の一部をエッチングする。本実施形態では、ライナー絶縁膜106のエッチング量を10nmに設定している。これにより、ライナー絶縁膜106の厚さは、レジストパターン107で被覆されている領域においては変化しないが、レジストパターン107で被覆されていない領域においては10nmとなる。別の言い方をすると、ライナー絶縁膜106は、ビア109が形成される領域の周囲ではそれ以外の部分に比べて分厚く形成される。
【0053】
次に、図2(f)に示すように、レジストパターン107を除去する。
【0054】
次に、図3(a)に示すように、ライナー絶縁膜106の表面に層間絶縁膜108を堆積した後(工程(d))、CMPにより層間絶縁膜108の表面を平坦化する。
【0055】
次に、図3(b)に示すように、リソグラフィーおよびドライエッチングにより、ライナー絶縁膜106の内部および層間絶縁膜108の内部にビアホール109aを形成し、層間絶縁膜108の内部に配線溝110を形成する。このとき、ライナー絶縁膜106および層間絶縁膜108を貫通させてビアホール109aを形成する一方、層間絶縁膜108を貫通しないようにして配線溝110を形成する。
【0056】
次に、図3(c)に示すように、層間絶縁膜108の表面、ビアホール109aの内部および配線溝110の内部にバリアメタル膜111およびCu膜112を順に堆積後、配線溝110からはみ出したバリアメタル膜111およびCu膜112をCMPにより除去する。これにより、ビアホール109a内にビア109が形成され、配線溝110内に上層配線113が形成される(工程(e))。
【0057】
次に、図3(d)に示すように、層間絶縁膜108の表面および上層配線113の表面にライナー絶縁膜114を堆積する。本実施形態では、ライナー絶縁膜114として、厚さ20nmのSiCN膜を使用している。
【0058】
次に、図3(e)に示すように、リソグラフィーにより、ライナー絶縁膜114の表面の一部分にレジストパターン115を形成する。ライナー絶縁膜114の表面におけるレジストパターン115の好ましい配置については後述の第4の実施形態で説明するが、少なくともビア109が形成された領域の周囲にはレジストパターン115を設ける。
【0059】
次に、図4(a)に示すように、レジストパターン115をマスクとしてライナー絶縁膜114の一部をエッチングする。本実施形態では、ライナー絶縁膜114のエッチング量を10nmに設定している。これにより、ライナー絶縁膜114の厚さは、レジストパターン115で被覆されている領域においては変化しないが、レジストパターン115で被覆されていない領域においては10nmとなる。別の言い方をすると、ライナー絶縁膜114は、ビア109が形成された領域の周囲ではそれ以外の部分に比べて分厚く形成される。
【0060】
次に、図4(b)に示すように、レジストパターン115を除去する。
【0061】
最後に、ライナー絶縁膜114の表面に層間絶縁膜116を堆積した後、CMPにより層間絶縁膜116の表面を平坦化する。これにより、図4(c)に示す2層配線構造を有する半導体装置が完成する。なお、この後、図3(b)〜図4(c)に示す工程を繰り返すことにより、任意の層数の多層配線構造を有する半導体装置を製造することもできる。
【0062】
図4(c)に示した2層配線構造は、
(1)ビア109の下部では、ビア周辺領域140において局所的にライナー絶縁膜106が厚膜化されている
(2)ビア109の上部では、ビア周辺領域140において局所的にライナー絶縁膜114が厚膜化されている
という特徴を有している。
【0063】
(1)の特徴により、電流がビア109から下層配線105に流れ込む場合のエレクトロマイグレーション耐性が向上する。その理由は以下の通りである。ライナー絶縁膜106は、ビア109の周囲に存在する他の絶縁膜(層間絶縁膜101)よりも高い機械強度を有している。従って、ビア周辺領域140においてライナー絶縁膜106を厚膜化することにより、ビア109の周囲の配線構造の実効的な機械強度が向上する。この結果、上記エレクトロマイグレーションによりCu膜104に作用する圧縮応力が増大した結果ビア109の周辺の構造が変形するという現象が起こりにくくなる。よって、層間絶縁膜101とライナー絶縁膜106との剥離が抑制されるため、上記エレクトロマイグレーション耐性が向上する。
【0064】
また、(2)の特徴により、電流がビア109から下層配線105に流れ込む場合のエレクトロマイグレーション耐性がさらに向上する。その理由は以下の通りである。ライナー絶縁膜114は、ビア109の周囲に存在する他の絶縁膜(層間絶縁膜108)よりも高い機械強度を有している。従って、ビア周辺領域140においてライナー絶縁膜114を厚膜化することにより、ビア109の周囲の配線構造の実効的な機械強度が向上する。この結果、上記エレクトロマイグレーションによりCu膜104に作用する圧縮応力が増大した結果ビア109の周辺の構造が変形するという現象が起こりにくくなる。よって、層間絶縁膜108とライナー絶縁膜114との剥離が抑制されるため、上記エレクトロマイグレーション耐性が向上する。また、上記理由と同様の理由により、電流がビア109から上層配線113に流れ込む場合のエレクトロマイグレーション耐性が向上するという効果が得られる。
【0065】
以上説明したように、本実施形態では、ビア周辺領域140におけるライナー絶縁膜106,114をそれぞれビア周辺領域140の外側におけるライナー絶縁膜106,114よりも分厚くしているので、ビア109の周囲の配線構造の実効的な機械強度を向上させることができ、その結果、エレクトロマイグレーション耐性を向上させることができる。また、ライナー絶縁膜106,114をそれぞれ局所的に分厚くしているので、配線間の容量を低減させることができる。
【0066】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置について、図5を参照しながら説明する。ここで、以下に示す材料及び数値はあくまで好ましい例示に過ぎず、これらに限定されることはない。
【0067】
本実施形態に係る半導体装置では、ライナー絶縁膜141,142はそれぞれ積層膜である。以下では、上記第1の実施形態とは異なる箇所を主に説明する。
【0068】
図5に示すように、半導体基板(非図示)の上に形成された層間絶縁膜101内に、下層配線105が形成されている。また、層間絶縁膜101の上及び下層配線105の上には、第1のライナー絶縁膜117が形成されている。また、第1のライナー絶縁膜117の上には第2のライナー絶縁膜119が形成されており、第1のライナー絶縁膜117と第2のライナー絶縁膜119とでライナー絶縁膜141が構成されている。また、第2のライナー絶縁膜119の上には、層間絶縁膜108が形成されている。また、第1のライナー絶縁膜117内、第2のライナー絶縁膜119内及び層間絶縁膜108内には、下層配線105と電気的に接続されるビア109が形成されており、層間絶縁膜108内には、ビア109と電気的に接続される上層配線113が形成されている。また、層間絶縁膜108の上及び上層配線113の上には、第3のライナー絶縁膜120が形成されている。また、第3のライナー絶縁膜120の上には第4のライナー絶縁膜122が形成されており、第3のライナー絶縁膜120と第4のライナー絶縁膜122とでライナー絶縁膜142が構成されている。また、第4のライナー絶縁膜122の上には、層間絶縁膜116が形成されている。
【0069】
ここで、層間絶縁膜101,108,116はそれぞれSiOC膜などの誘電率の低い絶縁膜であることが好ましい。これにより、配線間の容量を低減させることができる。また、第1のライナー絶縁膜117及び第3のライナー絶縁膜120は下層配線105のCu膜104中のCu原子が層間絶縁膜108内に拡散することを防止するという観点およびエレクトロマイグレーション耐性の確保という観点から機械強度が高い絶縁膜を使用することが好ましく、例えばSiCN膜などからなる絶縁膜を使用することが好ましい。また、第2のライナー絶縁膜119及び第4のライナー絶縁膜122は、配線間の容量の低減という観点から第1のライナー絶縁膜117及び第3のライナー絶縁膜120よりも誘電率が低い絶縁膜を使用することが好ましく、例えばSiC膜などからなる絶縁膜を使用することが好ましい。また、下層配線105は、その表面に設けられた公知のバリアメタル膜103とその内部に設けられたCu膜104などからなる導電膜とで構成されており、上層配線113およびビア109は、それぞれ、その表面に設けられた公知のバリアメタル膜111とその内部に設けられたCu膜112などからなる導電膜とで構成されている。
【0070】
第1のライナー絶縁膜117と第2のライナー絶縁膜119とで構成されるライナー絶縁膜141の膜厚は、上記第1の実施形態と同じく、ビア周辺領域140とビア周辺領域140の外側とで相異なる。つまり、図5に示すように、ビア109の下部では、ビア周辺領域140におけるライナー絶縁膜141の膜厚は、ビア周辺領域140の外側におけるライナー絶縁膜141の膜厚よりも厚い。具体的には、ビア109の下部では、ビア周辺領域140におけるライナー絶縁膜141の膜厚は20nmであるのに対して、ビア周辺領域140の外側におけるライナー絶縁膜141の膜厚は10nmである。ここで、膜厚はあくまで例示に過ぎないことを付け加えておく。このようにライナー絶縁膜141をビア109の下部におけるビア周辺領域140において局所的に厚膜とすることにより、電流がビア109から下層配線105に流れ込む場合のエレクトロマイグレーション耐性が向上するという効果が得られる。詳細には、ライナー絶縁膜141は、ビア109の周囲に存在する層間絶縁膜101よりも高い機械強度を有している。従って、ライナー絶縁膜141をビア109の下部におけるビア周辺領域140で厚膜化することにより、ビア109の周囲の配線構造の実効的な機械強度が向上する。この結果、上記エレクトロマイグレーションにより下層配線105のCu膜104に作用する圧縮応力が増大した結果ビア109の周囲の配線構造が変形するという現象が起こりにくくなり、層間絶縁膜101とライナー絶縁膜141との界面における剥離が抑制される。これにより、上記エレクトロマイグレーション耐性が向上する。
【0071】
また、第3のライナー絶縁膜120と第4のライナー絶縁膜122とで構成されるライナー絶縁膜142の膜厚は、ライナー絶縁膜141の膜厚と同じく、ビア周辺領域140とビア周辺領域140の外側とで相異なる。つまり、図5に示すように、ビア109の上部では、ビア周辺領域140におけるライナー絶縁膜142の膜厚は、ビア周辺領域140の外側におけるライナー絶縁膜142の膜厚よりも厚い。このようにライナー絶縁膜142をビア109の上部におけるビア周辺領域140において局所的に厚膜とすることにより、ライナー絶縁膜141をビア109の下部におけるビア周辺領域140において局所的に膜厚とした場合と同様に、ビア109の周囲の配線構造の実質的な機械強度が向上するために、電流がビア109から下層配線105に流れ込む場合のエレクトロマイグレーション耐性が向上するという効果が得られる。また、ライナー絶縁膜142をこのような局所的に厚膜とすることにより、上記理由と同様の理由により、電流がビア109から上層配線113に流れ込む場合のエレクトロマイグレーション耐性が向上するという効果も得ることができる。
【0072】
ここで、ビア周辺領域140とは、上記第1の実施形態と同じく、層間絶縁膜101,108の上面において、その縦及びその横がビア直径の2倍以上10倍以下の長さを有しており、その中心がビアの中心と一致する領域である。
【0073】
ところで、本実施形態では、上述のように、ライナー絶縁膜141は機械強度に優れた第1のライナー絶縁膜117と低誘電率な第2のライナー絶縁膜119とで構成されており、ライナー絶縁膜142は機械強度に優れた第3のライナー絶縁膜120と低誘電率な第4のライナー絶縁膜122とで構成されている。そのため、ビア109の下部では、第1のライナー絶縁膜117がビア周辺領域140にのみ設けられており、第2のライナー絶縁膜119が層間絶縁膜101および下層配線105の上面全体に亘って設けられていればよい。同様に、ビア109の上部では、第3のライナー絶縁膜120がビア周辺領域140にのみ設けられており、第4のライナー絶縁膜122が層間絶縁膜101および下層配線105の上面全体に亘って設けられていればよい。これにより、配線間の容量の低減を図りつつエレクトロマイグレーション耐性を向上させることができる。
【0074】
ビア周辺領域140におけるライナー絶縁膜141,142の膜厚とビア周辺領域140の外側におけるライナー絶縁膜141,142の膜厚との関係は、それぞれ、上記第1の実施形態と同様である。しかし、本実施形態では、ビア109の下部では、ビア周辺領域140に第1のライナー絶縁膜117および第2のライナー絶縁膜119が積層されており、ビア周辺領域140の外側に第2のライナー絶縁膜119のみが設けられているので、第1のライナー絶縁膜117は第2のライナー絶縁膜119の膜厚の1倍以上9倍以下であればよく、5nm以上55nm以下であればよい。同様に、ビア109の上部では、ビア周辺領域140に第3のライナー絶縁膜120および第4のライナー絶縁膜122が積層されており、ビア周辺領域140の外側に第4のライナー絶縁膜122のみが設けられているので、第3のライナー絶縁膜120は第4のライナー絶縁膜122の膜厚の1倍以上9倍以下であればよく、5nm以上55nm以下であればよい。
【0075】
なお、本実施形態では、ビア周辺領域140の外側において隣り合う上層配線113,113の間隔が広い場合、その上層配線113,113間に設けられたライナー絶縁膜142の膜厚は、ビア周辺領域140におけるライナー絶縁膜142の膜厚と同様に、ビア周辺領域140の外側のうち上層配線113,113の間隔がそれほど広くない部分の上に設けられたライナー絶縁膜142の膜厚よりも厚くしてもよい。図5に示すように、配線間隔Xは、配線間隔Yよりも広い。この場合には、配線間隔がXである部分がビア周辺領域140の外側に存在していても、その部分に、ビア周辺領域140の外側のうち配線間隔がXである部分以外の部分よりも厚くライナー絶縁膜142を設けても良い。本実施形態の場合には、ビア周辺領域140の外側のうち配線間隔がXである部分にも第3のライナー絶縁膜120を設ければよい。その理由は以下の通りである。つまり、配線の間隔が広い場合には、配線間の容量はそれほど増加しないのでその減少を図らなくてもよい。よって、このような場合には、配線間の容量を低減させるためにライナー絶縁膜142を薄膜化するよりも、半導体装置全体の機械強度の確保を優先させた方が有利だからである。ここで、配線の間隔が広い場合とは、その間隔が半導体装置における配線の間隔のうちの最小値の2倍以上である場合を言う。また、このことは、ライナー絶縁膜141にも言える。
【0076】
また、図5では、第1のライナー絶縁膜117及び第3のライナー絶縁膜120は、それぞれ、ビア周辺領域140の外側及び配線の間隔が狭い領域には形成されていないが、これらの領域に形成されていても構わない。配線間の容量の低減とチップ全体の機械強度の確保との両方のバランスを考えて、ライナー絶縁膜141における第1のライナー絶縁膜117の膜厚および第2のライナー絶縁膜119の膜厚ならびにライナー絶縁膜142における第3のライナー絶縁膜120の膜厚および第4のライナー絶縁膜122の膜厚を変更することが可能である。ただし、ビア109の周囲における機械強度の向上および配線間の容量の低減を考慮して、第1のライナー絶縁膜117及び第3のライナー絶縁膜120は、図5に示すように、ビア周辺領域140の外側及び配線間隔が狭い領域において形成されていない方が好ましい。
【0077】
次に、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法について、図6(a)〜図8(d)を参照しながら説明する。ここで、以下に示す材料及び数値はあくまで好ましい例示に過ぎず、これらに限定されることはない。
【0078】
まず、図6(a)に示すように、層間絶縁膜101内に下層配線105を形成する。下層配線105の形成方法は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法と同様であるので、説明を省略する。
【0079】
次に、図6(b)に示すように、層間絶縁膜101の表面および下層配線105の表面に第1のライナー絶縁膜117を堆積する。本実施形態では、第1のライナー絶縁膜117として、厚さ10nmのSiCN膜を使用している。
【0080】
次に、図6(c)に示すように、リソグラフィーにより、第1のライナー絶縁膜117の表面の一部分にレジストパターン118を形成する。第1のライナー絶縁膜117の表面におけるレジストパターン118の好ましい配置については後述の第4の実施形態で説明するが、少なくともビア109が形成される領域の周囲にはレジストパターン118を設ける。
【0081】
次に、図6(d)に示すように、レジストパターン118をマスクとして第1のライナー絶縁膜117をエッチングし、レジストパターン118で被覆されていない第1のライナー絶縁膜117を除去する。これにより、第1のライナー絶縁膜117はビア109が形成される領域の周囲にのみ形成され(工程(c1))、レジストパターン118でマスクされていない領域の層間絶縁膜101及び下層配線105が露出する。
【0082】
次に、図6(e)に示すように、レジストパターン118を除去する。
【0083】
次に、図6(f)に示すように、層間絶縁膜101の表面、下層配線105の表面および第1のライナー絶縁膜117の表面に第2のライナー絶縁膜119を堆積する(工程(c2))。本実施形態では、第2のライナー絶縁膜119として、厚さ10nmのSiC膜を使用している。その結果、層間絶縁膜101及び下層配線105の上には、第1のライナー絶縁膜117及び第2のライナー絶縁膜119からなるライナー絶縁膜141が形成されることとなる。
【0084】
次に、図7(a)に示すように、第2のライナー絶縁膜119の表面に層間絶縁膜108を堆積した後(工程(d))、CMPにより層間絶縁膜108の表面を平坦化する。
【0085】
次に、図7(b)に示すように、リソグラフィーおよびドライエッチングにより、第1のライナー絶縁膜117の内部、第2のライナー絶縁膜119の内部および層間絶縁膜108の内部にビアホール109aを形成し、層間絶縁膜108の内部に配線溝110を形成する。
【0086】
次に、図7(c)に示すように、層間絶縁膜108の表面、ビアホール109aの内部および配線溝110の内部にバリアメタル膜111およびCu膜112を順に堆積後、配線溝110からはみ出したバリアメタル膜111およびCu膜112をCMPにより除去する。これにより、ビアホール109a内にビア109が形成され、配線溝110内に上層配線113が形成される(工程(e))。
【0087】
次に、図7(d)に示すように、層間絶縁膜108の表面および上層配線113の表面に第3のライナー絶縁膜120を堆積する。本実施形態では、第3のライナー絶縁膜120として、厚さ10nmのSiCN膜を使用している。
【0088】
次に、図7(e)に示すように、リソグラフィーにより、第3のライナー絶縁膜120の表面の一部分にレジストパターン121を形成する。第3のライナー絶縁膜120の表面におけるレジストパターン121の好ましい配置については後述の第4の実施形態で説明するが、少なくともビア109が形成された領域の周囲にはレジストパターン121を設ける。
【0089】
次に、図8(a)に示すように、レジストパターン121をマスクとして第3のライナー絶縁膜120をエッチングし、レジストパターン121で被覆されていない第3のライナー絶縁膜120を除去する。これにより、第3のライナー絶縁膜120はビア109が形成された領域の周囲にのみ形成され、レジストパターン121でマスクされていない領域の層間絶縁膜108および上層配線113が露出する。
【0090】
次に、図8(b)に示すように、レジストパターン121を除去する。
【0091】
次に、図8(c)に示すように、層間絶縁膜108の表面、上層配線113の表面および第3のライナー絶縁膜120の表面に第4のライナー絶縁膜122を堆積する。本実施形態では、第4のライナー絶縁膜122として、厚さ10nmのSiC膜を使用している。その結果、層間絶縁膜108及び上層配線113の上には、第3のライナー絶縁膜120及び第4のライナー絶縁膜122からなるライナー絶縁膜142が形成されることとなる。
【0092】
最後に、第4のライナー絶縁膜122の表面に層間絶縁膜116を堆積した後、CMPにより層間絶縁膜116の表面を平坦化する。これにより、図8(d)に示す2層配線構造を有する半導体装置が完成する。なお、この後、図7(b)〜図8(d)に示す工程を繰り返すことにより、任意の層数の多層配線構造を有する半導体装置を製造することもできる。
【0093】
図8(d)に示した2層配線構造は、
(1)ビア109の下部では、ビア周辺領域140において局所的に第1のライナー絶縁膜117が形成され、全体的に第2のライナー絶縁膜119が形成されている。別の言い方をすると、ビア109の下部では、ビア周辺領域140において局所的にライナー絶縁膜141が厚膜化されている。
【0094】
(2)ビア109の上部では、ビア周辺領域140において局所的に第3のライナー絶縁膜120が形成され、全体的に第4のライナー絶縁膜122が形成されている。別の言い方をすると、ビア109の上部では、ビア周辺領域140において局所的にライナー絶縁膜142が厚膜化されている。
という特徴を有している。
【0095】
(1)の特徴により、電流がビア109から下層配線105に流れ込む場合のエレクトロマイグレーション耐性が向上する。(2)の特徴により、電流がビア109から下層配線105に流れ込む場合のエレクトロマイグレーション耐性がさらに向上する。また、(2)の特徴により、電流がビア109から上層配線113に流れ込む場合のエレクトロマイグレーション耐性が向上する。これらは、第1のライナー絶縁膜117と第2のライナー絶縁膜119とを一つのライナー絶縁膜141と考え、第3のライナー絶縁膜120と第4のライナー絶縁膜122とを一つのライナー絶縁膜142と考えると、図8(d)に示した2層配線構造は図4(c)に示した2層配線構造と同様の構造となるためである。
【0096】
また、本実施形態では、第1のライナー絶縁膜117および第3のライナー絶縁膜120の材料をそれぞれSiCNとしているのに対し、第2のライナー絶縁膜119および第4のライナー絶縁膜122の材料をSiCとしている。これは、ビア109の周囲の配線構造を補強するために設けられた第1のライナー絶縁膜117および第3のライナー絶縁膜120には、エレクトロマイグレーション耐性の確保の観点から機械強度が高いSiCN膜を採用しているのに対し、配線構造全体を被覆する第2のライナー絶縁膜119および第4のライナー絶縁膜122には、配線間の容量の低減の観点から誘電率の低いSiC膜を採用しているためである。このように、第1のライナー絶縁膜117と第2のライナー絶縁膜119とを相異なる材料を用いて形成し、第3のライナー絶縁膜120と第4のライナー絶縁膜122とを相異なる材料を用いて形成することにより、半導体装置の動作速度とエレクトロマイグレーション耐性とのバランスをより適切に調整することが可能となる。
【0097】
なお、本実施形態に係る半導体装置の製造方法では、図6(d)および図8(a)に示すように、第1のライナー絶縁膜117及び第3のライナー絶縁膜120をそれぞれビア周辺領域140の外側及び配線の間隔が狭い領域において形成していないが、これらの領域に形成しても構わない。配線間の容量の低減と半導体装置全体の機械強度の確保との両方のバランスを考えて、ライナー絶縁膜141における第1のライナー絶縁膜117および第2のライナー絶縁膜119の膜厚およびライナー絶縁膜142における第3のライナー絶縁膜120および第4のライナー絶縁膜122の膜厚を変更することが可能である。ただし、機械強度の向上、配線間容量の低減を考慮して、第1のライナー絶縁膜117及び第3のライナー絶縁膜120は、ビア周辺領域140の外側及び配線間隔が狭い領域において形成されていない方が好ましい。
【0098】
以上説明したように、本実施形態では、上記第1の実施形態と同じく、ビア周辺領域140におけるライナー絶縁膜141,142をそれぞれビア周辺領域140の外側におけるライナー絶縁膜141,142よりも分厚くしているので、配線間の容量を低減させつつエレクトロマイグレーション耐性を向上させることができる。
【0099】
また、本実施形態では、ライナー絶縁膜141,142は、それぞれ、機械強度に優れた絶縁膜(第1のライナー絶縁膜117または第3のライナー絶縁膜120)と低誘電率な絶縁膜(第2のライナー絶縁膜119または第4のライナー絶縁膜122)とで構成されているので、エレクトロマイグレーション耐性と半導体装置の動作速度とのバランスを適切に調整することができる。
【0100】
(第3の実施形態)
以下、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置について、図9を参照しながら説明する。ここで、以下に示す材料及び数値はあくまで好ましい例示に過ぎず、これらに限定されることはない。
【0101】
本実施形態に係る半導体装置では、隣り合う下層配線105,105の間にエアギャップ127が形成されており、隣り合う上層配線113,113の間にエアギャップ132が形成されている。
【0102】
図9に示すように、半導体基板(非図示)の上に形成された層間絶縁膜101内に、下層配線105が形成されている。また、層間絶縁膜101の上及び下層配線105の上には、第1のライナー絶縁膜123が形成されている。また、第1のライナー絶縁膜123の上には第2のライナー絶縁膜126が形成されており、第1のライナー絶縁膜123と第2のライナー絶縁膜126とでライナー絶縁膜141が構成されている。また、第2のライナー絶縁膜126の上には、層間絶縁膜108が形成されている。また、第1のライナー絶縁膜123内、第2のライナー絶縁膜126内及び層間絶縁膜108内には、下層配線105と電気的に接続されるビア109が形成されており、層間絶縁膜108内には、ビア109と電気的に接続される上層配線113が形成されている。また、層間絶縁膜108の上及び上層配線113の上には、第3のライナー絶縁膜128が形成されている。また、第3のライナー絶縁膜128の上には第4のライナー絶縁膜131が形成されており、第3のライナー絶縁膜128と第4のライナー絶縁膜131とでライナー絶縁膜142が構成されている。また、第4のライナー絶縁膜131の上には、層間絶縁膜116が形成されている。また、隣り合う下層配線105,105の間のうちの少なくとも一つの配線間および隣り合う上層配線113,113の間のうちの少なくとも一つの配線間には、ギャップが形成されている。そして、隣り合う下層配線105,105の間に形成されたギャップの底面および側壁には第2のライナー絶縁膜126が形成されており、そのギャップの内部には層間絶縁膜108で覆われたエアギャップ127が形成されている。同様に、隣り合う上層配線113,113の間に形成されたギャップの底面および側壁には第4のライナー絶縁膜131が形成されており、そのギャップの内部には層間絶縁膜116で覆われたエアギャップ132が形成されている。別の言い方をすると、エアギャップ127、132の底面及び側壁には、それぞれ、第2のライナー絶縁膜126、第4のライナー絶縁膜131が設けられているということになる。
【0103】
ここで、層間絶縁膜101,108,116はそれぞれSiOC膜などの誘電率の低い絶縁膜であることが好ましい。これにより、配線間の容量を低減させることができる。また、第1のライナー絶縁膜123及び第3のライナー絶縁膜128は下層配線105のCu膜104中のCu原子が層間絶縁膜108内に拡散することを防止するという観点およびエレクトロマイグレーション耐性の確保という観点から機械強度が高い絶縁膜を使用することが好ましく、例えばSiCN膜などからなる絶縁膜を使用することが好ましい。また、第2のライナー絶縁膜126及び第4のライナー絶縁膜131は、配線間の容量の低減という観点から第1のライナー絶縁膜123及び第3のライナー絶縁膜128よりも誘電率が低い絶縁膜を使用することが好ましく、例えばSiC膜などからなる絶縁膜を使用することが好ましい。また、下層配線105は、その表面に設けられた公知のバリアメタル膜103とその内部に設けられたCu膜104などからなる導電膜とで構成されており、上層配線113およびビア109は、それぞれ、その表面に設けられた公知のバリアメタル膜111とその内部に設けられたCu膜112などからなる導電膜とで構成されている。
【0104】
第1のライナー絶縁膜123と第2のライナー絶縁膜126とで構成されるライナー絶縁膜141の膜厚は、上記第1の実施形態と同じく、ビア周辺領域140とビア周辺領域140の外側とで相異なる。つまり、図9に示すように、ビア109の下部において、ビア周辺領域140におけるライナー絶縁膜141の膜厚は、ビア周辺領域140の外側におけるライナー絶縁膜141の膜厚よりも厚い。具体的には、ビア109の下部において、ビア周辺領域140におけるライナー絶縁膜141の膜厚は20nmであるのに対して、ビア周辺領域140の外側におけるライナー絶縁膜141の膜厚は10nmである。ここで、膜厚はあくまで例示に過ぎないことを付け加えておく。このようにライナー絶縁膜141をビア109の下部におけるビア周辺領域140において局所的に厚膜とすることにより、電流がビア109から下層配線105に流れ込む場合のエレクトロマイグレーション耐性が向上するという効果が得られる。詳細には、ライナー絶縁膜141は、ビア109の周囲に存在する層間絶縁膜101よりも高い機械強度を有している。従って、ライナー絶縁膜141をビア109の下部におけるビア周辺領域140で厚膜化することにより、ビア109の周囲の配線構造の実効的な機械強度が向上する。この結果、上記エレクトロマイグレーションにより下層配線105のCu膜104に作用する圧縮応力が増大した結果ビア109の周囲の配線構造が変形するという現象が起こりにくくなり、層間絶縁膜101とライナー絶縁膜141との界面における剥離が抑制される。これにより、上記エレクトロマイグレーション耐性が向上する。
【0105】
また、第3のライナー絶縁膜128と第4のライナー絶縁膜131とで構成されるライナー絶縁膜142の膜厚は、ライナー絶縁膜141と同じように、ビア周辺領域140とビア周辺領域140の外側とで相異なる。つまり、図9に示すように、ビア109の上部において、ビア周辺領域140におけるライナー絶縁膜142の膜厚は、ビア周辺領域140の外側におけるライナー絶縁膜142の膜厚よりも厚い。このようにライナー絶縁膜142をビア109の上部におけるビア周辺領域140において局所的に厚膜とすることにより、ライナー絶縁膜141をビア109の下部におけるビア周辺領域140において局所的に厚くした場合と同様に、ビア109の周囲の配線構造の実質的な機械強度が向上するために、電流がビア109から下層配線105に流れ込む場合のエレクトロマイグレーション耐性が向上するという効果が得られる。また、ライナー絶縁膜142をこのような局所的に厚膜とすることにより、上記理由と同様の理由により、電流がビア109から上層配線113に流れ込む場合のエレクトロマイグレーション耐性が向上するという効果も得ることができる。
【0106】
ここで、ビア周辺領域140とは、上記第1の実施形態と同じく、層間絶縁膜101,108の上面において、その縦及びその横がビア直径の2倍以上10倍以下の長さを有しており、その中心がビアの中心と一致する領域である。
【0107】
本実施形態では、上記第2の実施形態と同じように、ライナー絶縁膜141およびライナー絶縁膜142はそれぞれ積層膜である。よって、ビア109の下部では、第1のライナー絶縁膜123がビア周辺領域140にのみ設けられており、第2のライナー絶縁膜126が層間絶縁膜101および下層配線105の上面全体に亘って設けられていればよい。同様に、ビア109の上部では、第3のライナー絶縁膜128がビア周辺領域140にのみ設けられており、第4のライナー絶縁膜131が層間絶縁膜101および下層配線105の上面全体に亘って設けられていればよい。これにより、配線間の容量の低減を図りつつエレクトロマイグレーション耐性を向上させることができる。
【0108】
また、上記第2の実施形態と同じように、第1のライナー絶縁膜123は、第2のライナー絶縁膜126の膜厚の1倍以上9倍以下であればよく、5nm以上55nm以下であればよい。同様に、ビア109の上部では、第3のライナー絶縁膜128は、第4のライナー絶縁膜131の膜厚の1倍以上9倍以下であればよく、5nm以上55nm以下であればよい。
【0109】
なお、本実施形態では、ビア周辺領域140の外側において隣り合う上層配線113,113の間隔が広い場合、その上層配線113,113間に設けられたライナー絶縁膜142の膜厚は、ビア周辺領域140におけるライナー絶縁膜142の膜厚と同様に、ビア周辺領域140の外側のうち上層配線113,113の間隔がそれほど広くない部分の上におけるライナー絶縁膜142の膜厚よりも厚くしてもよい。図9に示すように、配線間隔Xは、配線間隔Yよりも広い。この場合には、配線間隔がXである部分がビア周辺領域140の外側に存在していても、その部分に、ビア周辺領域140の外側のうち配線間隔がXである部分以外の部分よりも膜厚のライナー絶縁膜142を設けても良い。本実施形態の場合には、ビア周辺領域140の外側のうち配線間隔がXである部分に第3のライナー絶縁膜128を設ければよい。その理由は以下の通りである。つまり、配線の間隔が広い場合には、配線間の容量はそれほど増加しないのでその減少を図らなくてもよい。よって、このような場合には、配線間の容量を低減させるためにライナー絶縁膜142を薄膜化するよりも、半導体装置全体の機械強度の確保を優先させた方が有利だからである。ここで、配線の間隔が広い場合とは、その間隔が半導体装置における配線の間隔のうちの最小値の2倍以上である場合を言う。また、このことは、ライナー絶縁膜141にも言える。
【0110】
また、図9では、第1のライナー絶縁膜123及び第3のライナー絶縁膜128は、それぞれ、ビア周辺領域140の外側及び配線の間隔が狭い領域には形成されていないが、これらの領域に形成されていても構わない。配線間の容量の低減とチップ全体の機械強度の確保との両方のバランスを考えて、ライナー絶縁膜141における第1のライナー絶縁膜123および第2のライナー絶縁膜126の膜厚ならびにライナー絶縁膜142における第3のライナー絶縁膜128および第4のライナー絶縁膜131の膜厚を変更することが可能である。ただし、機械強度の向上、配線間容量の低減を考慮して、第1のライナー絶縁膜123及び第3のライナー絶縁膜128は、ビア周辺領域140の外側及び配線間隔が狭い領域において形成されていない方が好ましい。
【0111】
また、エアギャップ127,132は、それぞれ、隣り合う下層配線105,105の間隔および上層配線113,113の間隔が広い部分には形成しない方が好ましい。図9に示すように、配線間隔Xは配線間隔Yよりも広いが、配線間隔がXである部分にはエアギャップを形成しない方が好ましい。なぜならば、配線の間隔が広い部分にエアギャップを形成すると、層間絶縁膜108を堆積した後もエアギャップの上部が閉じられないため、大きな凹部が層間絶縁膜108の表面に発生することが懸念されるからである。ここで、配線の間隔が広い場合とは、上述のように、その間隔が半導体装置における配線の間隔のうちの最小値の2倍以上である場合を言う。
【0112】
また、ギャップの底面及び側壁には、第2のライナー絶縁膜126または第4のライナー絶縁膜131が形成されているが、第2のライナー絶縁膜126および第4のライナー絶縁膜131は形成されていなくても構わない。しかし、ギャップの底面及び側壁にそれぞれ第2のライナー絶縁膜126または第4のライナー絶縁膜131が形成されていれば、エアギャップ127,132を容易に形成することが出来るだけでなく、配線の機械強度を向上させることが出来るという点で望ましい。
【0113】
次に、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法について、図10(a)〜図12(d)を参照しながら説明する。ここで、以下に示す材料及び数値はあくまで好ましい例示に過ぎず、これらに限定されることはない。
【0114】
まず、図10(a)に示すように、層間絶縁膜101内に下層配線105を形成する。下層配線105の形成方法は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法と同様であるので、説明を省略する。
【0115】
次に、図10(b)に示すように、層間絶縁膜101の表面および下層配線105の表面に第1のライナー絶縁膜123を堆積する。本実施形態では、第1のライナー絶縁膜123として、厚さ10nmのSiCN膜を使用している。
【0116】
次に、図10(c)に示すように、リソグラフィーにより、第1のライナー絶縁膜123の表面の一部分にレジストパターン124を形成する。第1のライナー絶縁膜123の表面におけるレジストパターン124の好ましい配置については後述の第4の実施形態で説明するが、少なくともビア109が形成される領域の周囲にはレジストパターン124を設ける。
【0117】
次に、図10(d)に示すように、レジストパターン124をマスクとして第1のライナー絶縁膜123および層間絶縁膜101をエッチングする。これにより、レジストパターン124で被覆されていない第1のライナー絶縁膜123の全部および層間絶縁膜101の一部はそれぞれ除去されるが(工程(c1))、レジストパターンで被覆されていないCu膜104は除去されない。この結果、レジストパターン124でマスクされていない領域では、下層配線105及び層間絶縁膜101が露出し、さらに隣り合う下層配線105,105の間にギャップ125が形成される(工程(f))。
【0118】
次に、図10(e)に示すように、レジストパターン124を除去する。
【0119】
次に、図10(f)に示すように、層間絶縁膜101の表面、下層配線105の表面および第1のライナー絶縁膜123の表面に第2のライナー絶縁膜126を堆積する(工程(c2))。その際、ギャップ125の底面及び側壁にも、第2のライナー絶縁膜126が形成されることとなる。本実施形態では、第2のライナー絶縁膜126として、厚さ10nmのSiC膜を使用している。
【0120】
次に、図10(g)に示すように、第2のライナー絶縁膜126の表面に層間絶縁膜108を堆積した後(工程(d))、CMPにより層間絶縁膜108の表面を平坦化する。これにより、隣り合う下層配線105,105の間にエアギャップ127が形成される。
【0121】
次に、図11(a)に示すように、リソグラフィーおよびドライエッチングにより、第1のライナー絶縁膜123の内部、第2のライナー絶縁膜126の内部および層間絶縁膜108の内部にビアホールを形成し、層間絶縁膜108の内部に配線溝110を形成する。
【0122】
次に、図11(b)に示すように、層間絶縁膜108の表面、ビアホール109aの内部および配線溝110の内部にバリアメタル膜111およびCu膜112を順に堆積後、配線溝110からはみ出したバリアメタル膜111およびCu膜112をCMPにより除去する。これにより、ビアホール109a内にビア109が形成され、配線溝110内に上層配線113が形成される(工程(e))。
【0123】
次に、図11(c)に示すように、層間絶縁膜108の表面および上層配線113の表面に第3のライナー絶縁膜128を堆積する。本実施形態では、第3のライナー絶縁膜128として、厚さ10nmのSiCN膜を使用している。
【0124】
次に、図11(d)に示すように、リソグラフィーにより、第3のライナー絶縁膜128の表面の一部分に、レジストパターン129を形成する。第3のライナー絶縁膜128の表面におけるレジストパターン129の好ましい配置については後述の第4の実施形態で説明するが、少なくともビア109が形成される領域の周囲にはレジストパターン129を設ける。
【0125】
次に、図12(a)に示すように、レジストパターン129をマスクとして第3のライナー絶縁膜128および層間絶縁膜108をエッチングする。これにより、レジストパターン129で被覆されていない第3のライナー絶縁膜128の全部および層間絶縁膜108の一部はそれぞれ除去されるが、レジストパターンで被覆されていないCu膜112は除去されない。この結果、レジストパターン129でマスクされていない領域では、上層配線113及び層間絶縁膜108が露出し、さらに隣り合う上層配線113,113の間にギャップ130が形成される。
【0126】
次に、図12(b)に示すように、レジストパターン129を除去する。
【0127】
次に、図12(c)に示すように、層間絶縁膜108の表面、上層配線113の表面および第3のライナー絶縁膜128の表面に第4のライナー絶縁膜131を堆積する。その際、ギャップ130の底面及び側壁にも、第4のライナー絶縁膜131が形成されることとなる。本実施形態では、第4のライナー絶縁膜131として、厚さ10nmのSiC膜を使用している。
【0128】
最後に、第4のライナー絶縁膜131の表面に層間絶縁膜116を堆積した後、CMPにより層間絶縁膜116の表面を平坦化する。これにより、隣り合う上層配線113,113の間にエアギャップ132が形成され、図12(d)に示す2層配線構造を有する半導体装置が完成する。なお、この後、図11(a)〜図12(d)に示す工程を繰り返すことにより、任意の層数の多層配線構造を有する半導体装置を製造することもできる。
【0129】
図12(d)に示した2層配線構造は、
(1)ビア109の下部では、ビア周辺領域140において局所的に第1のライナー絶縁膜123が形成され、全面的に第2のライナー絶縁膜126が形成されている。別の言い方をすると、ビア109の下部では、ビア周辺領域140において局所的にライナー絶縁膜141が厚膜化されている
(2)ビア109の上部では、ビア周辺領域140において局所的に第3のライナー絶縁膜128が形成され、全面的に第4のライナー絶縁膜131が形成されている。別の言い方をすると、ビア109の上部では、ビア周辺領域140において局所的にライナー絶縁膜142が厚膜化されている。
(3)隣り合う下層配線105,105の間にエアギャップ127が形成されている
(4)隣り合う上層配線113,113の間にエアギャップ132が形成されている
という特徴を有している。
【0130】
(1)の特徴により、電流がビア109から下層配線105に流れ込む場合のエレクトロマイグレーション耐性が向上する。また、(2)の特徴により、電流がビア109から下層配線105に流れ込む場合のエレクトロマイグレーション耐性がさらに向上する。また、(2)の特徴により、電流がビア109から上層配線113に流れ込む場合のエレクトロマイグレーション耐性が向上する。これらは、第2の実施形態で説明したように、第1のライナー絶縁膜123と第2のライナー絶縁膜126とを一つのライナー絶縁膜141と考え、第3のライナー絶縁膜128と第4のライナー絶縁膜131とを一つのライナー絶縁膜142と考えると、図12(d)に示した2層配線構造は図4(c)に示した2層配線構造と同様の構造となるためである。また、(3)および(4)の特徴により、上記第2の実施形態よりも、隣り合う下層配線105,105の間の容量、および、隣り合う上層配線113,113の間の容量をさらに低減させることができるという効果が得られる。
【0131】
また、本実施形態では、上記第2の実施形態と同じように、第1のライナー絶縁膜123および第3のライナー絶縁膜128の材料をそれぞれSiCNとしているのに対し、第2のライナー絶縁膜126および第4のライナー絶縁膜131の材料をSiCとしている。これは、ビア109の周囲の配線構造を補強するために設けられた第1のライナー絶縁膜123および第3のライナー絶縁膜128には、エレクトロマイグレーション耐性の確保の観点から機械強度が高いSiCN膜を採用しているのに対し、配線構造全体を被覆する第2のライナー絶縁膜126および第4のライナー絶縁膜131には、配線間の容量の低減の観点から誘電率の低いSiC膜を採用しているためである。このように、第1のライナー絶縁膜123と第2のライナー絶縁膜126とを相異なる材料を用いて形成し、第3のライナー絶縁膜128と第4のライナー絶縁膜131とを相異なる材料を用いて形成することにより、半導体装置の動作速度とエレクトロマイグレーション耐性とのバランスをより適切に調整することが可能となる。
【0132】
なお、本実施形態に係る半導体装置の製造方法では、上記第2の実施形態と同じように、図10(d)および図12(a)に示すように、第1のライナー絶縁膜123及び第3のライナー絶縁膜128をそれぞれビア周辺領域140の外側及び配線の間隔が狭い領域において形成していないが、これらの領域に形成しても構わない。配線間の容量の低減と半導体装置全体の機械強度の確保との両方のバランスを考えて、ライナー絶縁膜141における第1のライナー絶縁膜123および第2のライナー絶縁膜126の膜厚およびライナー絶縁膜142における第3のライナー絶縁膜128および第4のライナー絶縁膜131の膜厚を変更することが可能である。ただし、機械強度の向上、配線間容量の低減を考慮して、第1のライナー絶縁膜123及び第3のライナー絶縁膜128は、ビア周辺領域140の外側及び配線間隔が狭い領域において形成されていない方が好ましい。
【0133】
また、図10(f)では、ギャップ125の底面及び側壁に第2のライナー絶縁膜を形成しているが、形成しなくてもよい。ギャップ125の底面および側壁に第2のライナー絶縁膜126を形成しない場合には、第1のライナー絶縁膜123に対するエッチングと層間絶縁膜101に対するエッチング(ギャップ125の形成)とを別々に行えばよい。具体的には、図10(c)において、エアギャップが形成される領域にもレジストパターン124を設け、図10(d)において第1のライナー絶縁膜123のみをエッチングし、その後、第2のライナー絶縁膜126を第1のライナー絶縁膜123の上に形成し、その後、第2のライナー絶縁膜126の表面のうちギャップ125が形成される領域以外の部分をレジストで覆い、その後層間絶縁膜101をエッチングすることでギャップ125を形成し、その後、図10(g)において、第2のライナー絶縁膜126の表面に層間絶縁膜108を形成することでエアギャップ127を形成するようにしても構わない。しかし、図10(f)に示すようにギャップ125の底面及び側壁にも第2のライナー絶縁膜126を形成する方が、エアギャップ127,132を容易に製造することができ、さらには、配線の機械強度を向上させることが出来るという点で望ましい。このことは、図12(c)に示すにおいてギャップ125の底面及び側壁に第4のライナー絶縁膜131を形成する場合にも同様のことが言える。
【0134】
以上説明したように、本実施形態では、上記第1の実施形態と同じく、ビア周辺領域140におけるライナー絶縁膜141,142をそれぞれビア周辺領域140の外側におけるライナー絶縁膜141,142よりも分厚くしているので、配線間の容量を低減させつつエレクトロマイグレーション耐性を向上させることができる。
【0135】
また、本実施形態では、上記第2の実施形態と同じく、ライナー絶縁膜141,142は、それぞれ、機械強度に優れた絶縁膜と低誘電率な絶縁膜とで構成されているので、エレクトロマイグレーション耐性と半導体装置の動作速度とのバランスを適切に調整することができる。
【0136】
さらに、本実施形態では、隣り合う下層配線105,105の間にはエアギャップ127が形成されており、隣り合う上層配線113,113の間にはエアギャップ132が形成されている。よって、配線間の容量を低減させることができる。
【0137】
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態では、上記第1〜第3の実施形態におけるレジストパターン107の好ましい配置について、図13を参照しながら説明する。
【0138】
レジストパターン107は、下層配線105の形状およびビア109の形状に応じて、ライナー絶縁膜106の表面の以下に示す領域に形成されることが好ましい。
1.ビア109の周囲
上記第1〜第3の実施形態で述べたように、エレクトロマイグレーション耐性を向上させるには、ビア周辺領域140に機械強度の高いライナー絶縁膜を設ける必要がある。そのためには、ライナー絶縁膜106の表面のうちビア109が形成される領域の周囲にレジストパターン107を配置し、ライナー絶縁膜106へのエッチングが終了した後もビア109が形成される領域の周囲にライナー絶縁膜106を分厚く残留させればよい。なお、残留させるライナー絶縁膜106の横方向および縦方向の長さ(E)としては、エレクトロマイグレーション耐性を十分に向上させるためには、ビア109の直径の2倍以上10倍以下とすることが好ましい。
2.隣り合う下層配線105,105の間の広いスペース
上記第1〜第3の実施形態で述べたように、隣り合う下層配線105A,105Bの間隔(S)が十分に大きい場合には、配線間の容量は問題とならない。このような場合には、隣り合う下層配線105A,105Bの間に機械強度の高いライナー絶縁膜106を分厚く形成した方が、半導体装置全体の機械強度の確保という観点から有利である。そのためには、ライナー絶縁膜106の表面のうち配線間隔が大きい下層配線105A,105Bの間にもレジストパターン107を設け、ライナー絶縁膜106へのエッチングが終了した後も配線間隔が大きい下層配線105A,105Bの間にライナー絶縁膜106を分厚く残留させればよい。なお、「隣り合う下層配線105A,105Bの間隔(S)が十分に大きい場合」とは、概ね、上記Sが隣り合う下層配線105,105の間隔の最小値の2倍以上である場合である。
3.同電位配線の間のスペース
例えば、図13に示す下層配線105Cは、図13の上下方向に延びる2つの部分と、その2つの部分の間に設けられた接続部とで構成されている。この場合、上記2つの部分の間には隙間が存在しているが、上記2つの部分は同電位であるので、上記2つの部分における配線間の容量は問題とならない。このように、同電位の下層配線に隙間などが存在している場合、その隙間を挟む2つの部分では配線間の容量は問題とならない。そのため、同電位の下層配線に存在する隙間の上にも機械強度の高いライナー絶縁膜106を分厚く設けた方が、半導体装置全体の機械強度の確保という観点から有利である。そのためには、同電位の下層配線の隙間の上にレジストパターン107を設け、ライナー絶縁膜106へのエッチングが終了した後も同電位の下層配線の間にライナー絶縁膜106を分厚く残留させればよい。
4.配線と重なる部分
また、下層配線105とライナー絶縁膜106との重ねあわせズレによる配線間の容量のばらつきを抑制するために、図13に示すように下層配線105に重なるようにレジストパターン107を設けることが好ましい。レジストパターン107の端部と下層配線105の中央とが一致するようにレジストパターン107を形成すれば、上記重ね合わせズレによる配線間の容量のばらつきを最も抑制することができる。
【0139】
このように、レジストパターン107を、ビア109が形成される領域の周囲に設けるだけでなく、ビア109が形成される領域の周囲よりも外側の領域の一部分にも設けることが好ましい。これにより、機械強度の強いライナー絶縁膜106をビア109が形成される領域の周囲よりも外側の領域の一部分にも分厚く形成することができるので、エレクトロマイグレーション耐性の向上をさらに図ることができる。
【0140】
なお、本実施形態では、レジストパターン107を例に挙げて説明したが、他のレジストパターンについては上記説明における下層配線105またはライナー絶縁膜106を以下のようにすることにより適用することができる。例えばレジストパターン115については、上記説明における「下層配線105」を「上層配線113」に置き換え、「ライナー絶縁膜106」を「ライナー絶縁膜114」に置き換えればよい。また、レジストパターン118,124については、それぞれ、「ライナー絶縁膜106を分厚く形成する」を「第1のライナー絶縁膜117または123を形成する」に置き換えればよい。また、レジストパターン121,129については、それぞれ、「下層配線105」を「上層配線113」に置き換え、且つ「ライナー絶縁膜106を分厚く形成する」を「第3のライナー絶縁膜120または128を形成する」に置き換えればよい。
【0141】
(第5の実施形態)
本発明の第5の実施形態では、まず、電流が流れる方向が半導体装置を製造する時点で確定している場合のエレクトロマイグレーション耐性を向上させる方法について説明する。すでに説明したように、エレクトロマイグレーションによる不良は、電子風によりCu原子が陽極端に移動し、陽極端のビア109を取り巻く配線構造を破壊することに起因している。従って、陽極端のビア109の周囲に対してのみ本発明のポイントである配線構造の機械強度の強化を行えば良い。そのような観点から、上記第1の実施形態に係る半導体装置の変形例を図14に示す。
【0142】
図14に示す半導体装置のように電子風がビア109Aから下層配線105に流れ込んでビア109Bへ流れる場合、下層配線105のCu膜104に作用する圧縮応力が臨界値に達すると、ビア109Bに接する下層配線105の部分から層間絶縁膜108へ向かってCu原子がはみ出す虞がある。そこで、このような半導体装置では、ビア109Bの下面の周囲においてライナー絶縁膜106の膜厚を厚くすればよい。これにより、ビア109Bの下面の周囲に対して配線構造の機械強度の強化を行うことができ、その結果、エレクトロマイグレーション耐性を向上させることができる。
【0143】
このように半導体装置を製造する時点でCu原子のはみ出し箇所が分かっていれば、その部分のみに膜厚なライナー絶縁膜106を設ければよい。よって、エレクトロマイグレーション耐性の向上を十分に図りつつ、配線間の容量を効率良く低減させることができる。また、ライナー膜を分厚く形成しなければならない領域が狭くなるため、配線間の容量をさらに低減することができる。
【0144】
次に、下層配線105もしくは上層配線113の幅が広い場合のエレクトロマイグレーション耐性を向上させる方法について説明する。下層配線105もしくは上層配線113の幅が広ければ、下層配線105もしくは上層配線113のエレクトロマイグレーション耐性が高くなるので、ビア109の周囲の配線構造の機械強度を補強しなくてもよい。そのような観点から、上記第1の実施形態に係る半導体装置の変形例を図15(a)および(b)に示す。図15(a)は下層配線105の幅が広い場合の半導体装置の断面図であり、図15(b)は上層配線113の幅が広い場合の半導体装置の断面図である。
【0145】
図15(a)に示す半導体装置では、下層配線105Xは下層配線105Y,105Zよりも幅広であり、ビア109は下層配線105Xに接続されている。よって、ビア109の下部におけるビア周辺領域140においてライナー絶縁膜106を膜厚にしなくても、下層配線105Xのエレクトロマイグレーション耐性を向上させることができる。
【0146】
図15(b)に示す半導体装置では、上層配線113Xは上層配線113Yよりも幅広であり、ビア109は上層配線113Xに接続されている。よって、ビア109の上部におけるビア周辺領域140においてライナー絶縁膜114を膜厚にしなくても、上層配線113Xのエレクトロマイグレーション耐性を向上させることができる。
【0147】
なお、図14,図15(a)および図15(b)に示す変形は、上記第2〜第4の実施形態および後述の第6〜第7の実施形態においても適用することができる。
【0148】
(第6の実施形態)
上記第1〜第5の実施形態では、Cu膜104もしくはCu膜112に作用する圧縮応力が高まる箇所として、ビア109の上部もしくはビア109の下部を想定している。しかしながら、電流の流れ方によっては、下層配線105もしくは上層配線113の幅が変わる部分、下層配線105もしくは上層配線113の折れ曲がる部分および下層配線105もしくは上層配線113の分岐する部分(第1の部分)においても、Cu膜104もしくはCu膜112に作用する圧縮応力が局所的に高まる可能性がある。
【0149】
上記第1の部分がビア周辺領域140に存在していれば、上記第1〜第5の実施形態で説明したようにライナー絶縁膜106等によりビア109の周囲の配線構造の機械強度が強化されるため、エレクトロマイグレーション耐性の向上を図ることができる。
【0150】
しかし、上記第1の部分がビア周辺領域140の外側に存在していれば、上記第1の部分における配線構造の機械強度が強化されていない虞があり、その結果、エレクトロマイグレーション耐性の低下を招来する。
【0151】
そこで、本発明の第6の実施形態では、上記第1の部分がビア周辺領域140の外側に存在している場合に、上記第1の部分における配線構造の機械強度を強化できる半導体装置の構成を示す。なお、以下では、下層配線105について説明するが、上層配線113についても同様に適用することができる。
【0152】
図16(a),(c)および(e)は、それぞれ、上記第1の部分105aが下層配線105の幅が変わる部分、下層配線105の折れ曲がる部分および下層配線105の分岐する部分である場合にその第1の部分105aの機械強度を強化する場合の一製造工程の上面図であり、図2(e)に示す工程の上面図である。図16(b),(d)および(f)はそれぞれ図16(a)に示すXVIB−XVIB線における断面図、図16(c)に示すXVID−XVID線における断面図および図16(e)に示すXVIF−XVIF線における断面図である。
【0153】
上記第1の部分105aがビア周辺領域140の外側に存在する場合、図16(a)〜(f)に示すように、第1の部分105aの上にも、ビア周辺領域140の外側のうち第1の部分105a以外の部分の上に設けるライナー絶縁膜106よりも分厚いライナー絶縁膜106を設ける。これにより、第1の部分105aの機械強度を増大させることができるので、エレクトロマイグレーション耐性の向上を図ることができる。
【0154】
このような半導体装置の製造方法は、上記第1の実施形態などに記載した半導体装置の製造方法に対してレジストパターン107を設ける位置を変更すればよい。具体的には、ビア周辺領域140だけでなく第1の部分105aの上に設けられたライナー絶縁膜106の上にもレジストパターン107を設け、レジストパターン107をマスクとしてライナー絶縁膜106に対してエッチングを行う。これにより、第1の部分105aの上にも、ビア周辺領域140と略同等の膜厚を有するライナー絶縁膜106を設けることができる。
【0155】
なお、本実施形態は、上記第2〜第5の実施形態および後述の第7の実施形態においても適用することができる。
【0156】
(第7の実施形態)
本発明のその他の実施形態では、上記第1〜第6の実施形態におけるライナー絶縁膜、層間絶縁膜、Cu膜について順に説明する。
【0157】
まず、上記第1の実施形態におけるライナー絶縁膜106,114の好ましい形態について説明する。ライナー絶縁膜106,114は、それぞれ、エレクトロマイグレーション耐性の確保の観点から、40GPa以上のヤング率を有し、かつ、Cu膜104,112との密着性が高い膜を採用することが好ましい。そのような膜としては、上記第1の実施形態で示しているSiCN膜の他、SiN膜などが挙げられる。なお、このことは、上記第2の実施形態における第1および第3のライナー絶縁膜117,120、上記第3の実施形態における第1および第3のライナー絶縁膜123,128ならびに上記第4〜第6におけるライナー絶縁膜についても、同様に適用可能である。
【0158】
次に、上記第2の実施形態における第2のライナー絶縁膜119および第4のライナー絶縁膜122の好ましい形態について説明する。第2のライナー絶縁膜119および第4のライナー絶縁膜122、それぞれ、配線間の容量の低減の観点から、4.5以下の比誘電率を有し、かつ、Cu膜104,112との密着性が高い膜を採用することが好ましい。そのような膜としては、上記第2の実施形態で示しているSiC膜の他、SiCO膜などが挙げられる。なお、このことは、上記第3の実施形態における第2のライナー絶縁膜126および第4のライナー絶縁膜131ならびに上記第4〜第6におけるライナー絶縁膜についても、同様に適用可能である。
【0159】
また、ライナー絶縁膜の構造を簡潔にするため、上記第1の実施形態ではライナー絶縁膜106,114は単層膜とし、上記第2および第3の実施形態ではライナー絶縁膜141,142は2層の積層膜としている。しかし、これらのライナー絶縁膜は3層以上の積層膜であってもよい。具体的には、上記第2の実施形態では、第1のライナー絶縁膜117および第3のライナー絶縁膜120を2層以上の積層膜としたり、または、第2のライナー絶縁膜119および第4のライナー絶縁膜122を2層以上の積層膜とすればよい。このような変形は、上記第4〜第6の実施形態についても考えられる。
【0160】
次に、上記第1〜第6の実施形態における層間絶縁膜108の好ましい形態について説明する。層間絶縁膜108は、配線間の容量の低減の観点から、3.0以下の比誘電率を有する膜を採用することが好ましい。そのような膜としては、上記第1〜第3の実施形態で示すSiOC膜の他、空孔を有するSiOC膜、NCS(Nano Cavity Silicon)膜、BCB(benzocyclobutene)膜、SiLK膜(Dow Chemical Company製の有機ポリマー)、テフロン膜(登録商標)およびボラジン(borazine)膜などが挙げられる。
【0161】
また、上記第1〜第6の実施形態では、下層配線105のCu膜104および上層配線113のCu膜112がCu膜を主たる材料として形成されているが、本発明は、下層配線105および上層配線113のいずれか一方がCu膜を主たる材料として形成されていれば適用可能である。その場合、Cu膜を主たる材料として形成されていない方の配線については、Al配線やW配線など、さまざまな形態が考えられる。なお、Al配線やW配線の場合は、その表面にライナー絶縁膜を堆積させる必要はない。
【0162】
その他、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で、様々な形態に変形して適用が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0163】
以上説明したように、本発明は、半導体装置の動作速度およびエレクトロマイグレーション耐性を十分に向上させることができるので、低誘電率の層間絶縁膜を有する半導体装置などに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0164】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置を示す断面図
【図2】(a)〜(f)は本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程における断面図
【図3】(a)〜(e)は本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程における断面図
【図4】(a)〜(c)は本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程における断面図
【図5】本発明の第2の実施形態に係る半導体装置を示す断面図
【図6】(a)〜(f)は本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程における断面図
【図7】(a)〜(e)は本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程における断面図
【図8】(a)〜(d)は本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程における断面図
【図9】本発明の第3の実施形態に係る半導体装置を示す断面図
【図10】(a)〜(g)は本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程における断面図
【図11】(a)〜(d)は本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程における断面図
【図12】(a)〜(d)は本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程における断面図
【図13】本発明の第4の実施形態において半導体装置のレジストパターンの配置方法を示す平面図
【図14】本発明の第5の実施形態に係る半導体装置の一例を示す断面図
【図15】(a)および(b)は本発明の第5の実施形態に係る半導体装置の別の一例を示す断面図
【図16】(a),(c)および(e)は本発明の第6の実施形態に係る半導体装置を示す上面図であり、(b),(d)および(f)はその断面図
【図17】(a)〜(e)は従来の半導体装置の製造方法を示す断面図
【図18】(a)および(b)は従来の技術の課題を示す断面図
【図19】(a)および(b)は従来の技術の課題を示す断面図
【符号の説明】
【0165】
101 層間絶縁膜(第1の層間絶縁膜)
103 バリアメタル膜
104 Cu膜
105 下層配線 (第1の配線)
105a 第1の部分
106 ライナー絶縁膜
108 層間絶縁膜 (第2の層間絶縁膜)
109 ビア
111 バリアメタル膜
112 Cu膜
113 上層配線 (第2の配線)
114 ライナー絶縁膜
116 層間絶縁膜
117 第1のライナー絶縁膜
119 第2のライナー絶縁膜
120 第3のライナー絶縁膜
122 第4のライナー絶縁膜
123 第1のライナー絶縁膜
125 ギャップ
126 第2のライナー絶縁膜
127 エアギャップ
128 第3のライナー絶縁膜
130 ギャップ
131 第4のライナー絶縁膜
132 エアギャップ
140 ビア周辺領域
141 ライナー絶縁膜
142 ライナー絶縁膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板の上に形成された第1の層間絶縁膜と、
前記第1の層間絶縁膜に形成された第1の配線と、
前記第1の層間絶縁膜の上及び前記第1の配線の上に形成されたライナー絶縁膜と、
前記ライナー絶縁膜の上に形成された第2の層間絶縁膜と、
前記第2の層間絶縁膜に形成された第2の配線と、
前記ライナー絶縁膜及び前記第2の層間絶縁膜に形成され、前記第1の配線と前記第2の配線とを電気的に接続するビアとを備え、
ビア周辺領域に形成された前記ライナー絶縁膜の膜厚は、前記ビア周辺領域の外側に形成された前記ライナー絶縁膜の膜厚よりも厚いことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記ライナー絶縁膜は、第1のライナー絶縁膜と第2のライナー絶縁膜との積層膜であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1のライナー絶縁膜は、前記ビア周辺領域の外側には形成されていないことを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1のライナー絶縁膜のヤング率が40GPa以上であることを特徴とする請求項2又は3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第2のライナー絶縁膜の比誘電率が4.5以下であることを特徴とする請求項2から4のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項6】
隣り合う前記第1の配線間のうちの少なくとも一つの配線間には、エアギャップが形成されていることを特徴とする請求項2から5のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項7】
前記エアギャップは、隣り合う前記第1の配線間に形成されたギャップ内に形成されており、
前記ギャップの底面及び側壁には前記第2のライナー絶縁膜が形成されていることを特徴とする請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記ビア周辺領域は、前記第1の層間絶縁膜の上面において、前記ビア周辺領域の縦の長さおよび横の長さがそれぞれ前記ビアの径の2倍以上10倍以下であり、且つ、前記ビア周辺領域の中心が前記ビアの中心と一致する領域であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項9】
前記ビア周辺領域に形成された前記ライナー絶縁膜の膜厚は、10nm以上100nm以下であることを特徴とする請求項1から8のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項10】
隣り合う前記第1の配線の間隔の最小値をdとしたとき、前記ビア周辺領域の外側に形成された前記ライナー絶縁膜のうち、隣り合う前記第1の配線の間隔が2d以上である部分の上に形成された前記ライナー絶縁膜は隣り合う前記第1の配線の間隔が2d未満である部分の上に形成された前記ライナー絶縁膜よりも分厚いことを特徴とする請求項1から9の何れか一つに記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第1の層間絶縁膜の上面のうち前記ビア周辺領域の外側には、前記第1の配線の幅が変化する、前記第1の配線が曲がるまたは前記第1の配線が分岐する第1の部分が存在しており、
前記ビア周辺領域の外側に形成された前記ライナー絶縁膜のうち、前記第1の部分の上に形成された前記ライナー絶縁膜は前記第1の部分以外の部分の上に形成された前記ライナー絶縁膜よりも分厚いことを特徴とする請求項1から10の何れか一つに記載の半導体装置。
【請求項12】
半導体基板の上に第1の層間絶縁膜を形成する工程(a)と、
前記工程(a)の後に、前記第1の層間絶縁膜に第1の配線を形成する工程(b)と、
前記工程(b)の後に、前記第1の層間絶縁膜の上及び前記第1の配線の上にライナー絶縁膜を形成する工程(c)と、
前記工程(c)の後に、前記ライナー絶縁膜の上に第2の層間絶縁膜を形成する工程(d)と、
前記工程(d)の後に、前記ライナー絶縁膜及び前記第2の層間絶縁膜に前記第1の配線と電気的に接続されるビアを形成し、前記第2の層間絶縁膜に前記ビアと電気的に接続される第2の配線を形成する工程(e)とを備え、
前記工程(c)では、前記工程(e)において形成される前記ビアの周辺であるビア周辺領域の方が前記ビア周辺領域の外側よりも分厚くなるように前記ライナー絶縁膜を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記工程(c)では、前記ライナー絶縁膜として第1のライナー絶縁膜と第2のライナー絶縁膜との積層膜を形成し、
前記工程(c)は、
前記ビア周辺領域に前記第1のライナー絶縁膜を形成する工程(c1)と、
前記工程(c1)の後で、前記ビア周辺領域と前記ビア周辺領域の外側とに前記第2のライナー絶縁膜を形成する工程(c2)とを有することを特徴とする請求項12に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記工程(c1)と前記工程(c2)との間に、隣り合う前記第1の配線間に存在する前記第1の層間絶縁膜を除去してギャップを形成する工程(f)をさらに備え、
前記工程(d)では、前記ギャップを前記第2の層間絶縁膜で被覆したエアギャップが形成されることを特徴とする請求項13に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記工程(c2)では、前記ギャップの底面および側壁にも前記第2のライナー絶縁膜を形成することを特徴とする請求項14に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
前記第1のライナー絶縁膜としてヤング率が40GPa以上である絶縁膜を用いることを特徴とする請求項13から15の何れか一つに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項17】
前記第2のライナー絶縁膜として比誘電率が4.5以下である絶縁膜を用いることを特徴とする請求項13から16の何れか一つに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項18】
前記工程(c1)では、前記第1の配線および前記第1の層間絶縁膜の上に前記第1のライナー絶縁膜を形成した後、前記第1の配線又は前記第1の層間絶縁膜の一部分が露出するように前記ビア周辺領域の外側に形成された前記第1のライナー絶縁膜の一部を除去することを特徴とする請求項13から17のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項19】
前記工程(c1)では、前記ビア周辺領域を、前記第1の層間絶縁膜の上面において、前記ビア周辺領域の縦の長さおよび横の長さをそれぞれビア径の2倍以上10倍以下とし、前記ビア周辺領域の中心をビアの中心と一致するように設定することを特徴とする請求項13から18の何れか一つに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項20】
前記工程(c)では、前記ビア周辺領域に形成する前記ライナー絶縁膜の膜厚を、10nm以上100nm以下とすることを特徴とする請求項12から19の何れか一つに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項21】
前記工程(c)では、隣り合う前記第1の配線の間隔の最小値をdとしたとき、前記ビア周辺領域の外側に形成された前記ライナー絶縁膜のうち、隣り合う前記第1の配線の間隔が2d以上である部分の上には隣り合う前記第1の配線の間隔が2d未満である部分の上よりも分厚く前記ライナー絶縁膜を形成することを特徴とする請求項12から20の何れか一つに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項22】
前記工程(b)では、前記第1の層間絶縁膜の上面のうち前記ビア周辺領域の外側には、前記第1の配線の幅が変化する、前記第1の配線が曲がるまたは前記第1の配線が分岐する第1の部分が存在するように、前記第1の配線を形成し、
前記工程(c)では、前記ビア周辺領域の外側のうち前記第1の部分の上には、前記ビア周辺領域の外側のうち前記第1の部分以外の部分の上よりも分厚く前記ライナー絶縁膜を形成することを特徴とする請求項12から21の何れか一つに記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2009−277729(P2009−277729A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−125135(P2008−125135)
【出願日】平成20年5月12日(2008.5.12)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】