説明

半導体装置の製造方法、半導体装置およびカメラモジュール

【課題】研磨により露出した基板端部からの汚染を低減することができる半導体装置の製造方法を得ること。
【解決手段】半導体基板1の周縁部を研削する研削工程と、研削工程により露出した表面8を含む前記半導体基板1の表面に、絶縁膜6である保護膜9を形成する保護膜形成工程と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、半導体装置の製造方法、半導体装置およびカメラモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子の微細化、高集積化がめまぐるしい。それに伴い、基板端部の積層膜剥離やチッピングを原因とする微小な異物や欠陥の発生が、歩留まりへ大きく影響するようになってきている。この影響を低減するために、基板端部をブレード等で研磨するベベル研磨などが一般的に行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−224496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながらベベル研磨などの研磨を行なうと、回路形成のための銅またはアルミといった金属が研磨した部分から露出する可能性があり、金属汚染を引き起こす可能性がある。特に、近年注目を浴びている裏面照射型CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどでは、銅またはアルミ配線を有するデバイス基板と支持基板との二枚の基板を貼り合わせ、貼り合わせた後にデバイス基板の裏面を化学的機械的研磨するため、基板端部からの汚染が基板全体に行渡る可能性が高い。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施の形態の半導体装置の製造方法は、半導体基板の周縁部を研削する研削工程と、前記研削工程により露出した表面を含む前記半導体基板の表面に、絶縁膜である保護膜を形成する保護膜形成工程と、を含むことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、第1の実施の形態の半導体基板の一例を示す断面図である。
【図2】図2は、第1の実施の形態の半導体装置の製造方法の一例を示す図である。
【図3】図3は、保護膜を形成した後の半導体基板の一例を示す断面図である。
【図4】図4は、第2の実施の形態の半導体基板の一例を示す断面図である。
【図5】図5は、第2の実施の形態の半導体装置の製造方法の一例を示す図である。
【図6】図6は、第2の実施の形態の製造方法により形成された半導体素子の一例を示す断面図である。
【図7】図7は、本実施の形態の半導体素子を備える裏面照射型CMOSイメージセンサの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態にかかる半導体装置の製造方法の加工対象の半導体基板の一例を示す断面図である。図1に示すように、本実施の形態の半導体基板は、シリコン基板1と、半導体領域2と、受光素子3と、ゲート4と、ソース・ドレイン5と、層間絶縁膜6と、配線7と、で構成される。また、図示は省略するがシリコン基板1内には撮像素子としてフォトダイオードが形成されている。
【0008】
本実施の形態の半導体基板は、どのような製造方法で製造されてもよいが、例えば、シリコン基板1上に、レジスト露光およびエッチングを用いて開口部を形成し、開口部にCVD(Chemical Vapor Deposition)法または塗布法などによりシリコン酸化膜やシリコン窒化膜などの絶縁材料を埋め込み、STI(Shallow Trench Isolation)法により半導体領域2を形成する。その後、シリコン基板1上に受光素子3、ゲート4およびソース・ドレイン5を形成し、その上に層間絶縁膜6の堆積と銅またはアルミ等の配線7の形成とを繰り返して多層配線を形成する。
【0009】
なお、図1では、本実施の形態の半導体基板の一例として、裏面照射型CMOSイメージセンサに用いられる半導体基板の構成例を示しているが、本実施の形態の半導体基板としては、図1の構成に限らずどのような構成の半導体基板を用いてもよい。また、シリコン以外の基板を用いた半導体基板としてもよい。
【0010】
つぎに、本実施の形態の半導体装置の製造方法を説明する。図2は、本実施の形態の半導体装置の製造方法の一例を示す図である。図2では、本実施の形態の半導体基板の細部(半導体領域2、受光素子3、ゲート4、ソース・ドレイン5および配線7)を省略し、シリコン基板1と層間絶縁膜6を示している。
【0011】
まず、図2(a)に示した半導体基板の周縁部(端部)の所定の部分(図2では点線で示した部分)を研削するようベベル研磨等によるトリミング加工を行ない、図2(b)に示すように露出面8を形成する。露出面8は、トリミング加工前には外部に露出しておらずトリミング加工により露出したシリコン基板1および層間絶縁膜6の表面である。図2の層間絶縁膜6として示した層には配線7も含まれており、露出面8に配線7が含まれることもある。なお、トリミング加工の方法はベベル研磨に限らずどのような加工方法を用いてもよい。また、トリミング加工を行なう際のトリミング形状は図2で示した形状に限らずどのような形状でもよい。
【0012】
その後、図2(c)に示すように、露出面8を含む半導体基板の層間絶縁膜6側の面(以下、表側面という)に、CVD法やスピン塗布法などを用いて保護膜9を形成する。保護膜9としては、絶縁膜であればどのような材質を用いてもよい。例えば、CVD法を用いる場合には、保護膜9としては、シランまたはTEOS(TetraEthOxySilane)を材料としたSiO2膜、有機系シランを材料としたSiOC膜、シランとアンモニアを材料としたSi3N4膜、ホスフィンを材料としたPSG(Phosphorus Silicon Glass)膜などを使用することができる。また、スピン塗布法を用いる場合には、保護膜9としては、シラノールを材料としたSOG(Spin On Glass)膜、有機系材料であるMSQ(Methyl Silses Quioxane)、ポリイミド膜などを使用することができる。また、2つ以上の材質の膜を積層して保護膜を形成してもよい。
【0013】
このような保護膜9を形成することにより、トリミング加工により金属が露出した場合でも、半導体基板の金属汚染を防ぐことができる。また、この後に高温となる工程や薬液処理がある場合にも半導体基板を保護することができる。保護膜9の膜厚は、材質等により適切に設定すればよいが、例えばSi3N4膜を用いる場合、50nm程度以上の膜厚とすれば後に高温となる工程や薬液処理がある場合にも半導体基板を保護することができる。また、保護膜9として、Si3N4膜、PSG膜、ポリイミド膜などを使用すると、保護膜9によるパッシヴェーション効果を期待することができ、外的損傷や紫外線から半導体基板を保護することができる。
【0014】
半導体基板が、他の基板と貼り合わせることなく単独で用いられる場合には、保護膜9が形成された後、個片化され半導体素子(半導体装置)が形成される。
【0015】
つぎに、半導体基板を他の基板と貼り合わせる場合の工程を説明する。例えば、裏面照射型CMOSイメージセンサなどに用いられる半導体基板は、図2で説明した工程の後に、他の基板(支持基板)と貼り合わせることになる。したがって、半導体基板に保護膜9を形成した後に、保護膜9上にCVD法やスピン塗布法などにより接着層を形成する。
【0016】
図3は、保護膜9を形成した後の半導体基板の一例を示す断面図である。図3(a)は、半導体基板の拡大図を示し、図3(b)は半導体基板の全体図を示しており、図3(b)では細部(半導体領域2、受光素子3、ゲート4、ソース・ドレイン5および配線7)を省略している。図3に示すように、接着層10を保護膜9上に形成することにより、他の基板と貼り合わせることが可能な半導体基板を形成することができる。
【0017】
接着層10の材質としては、例えば、接着材を用いて半導体基板と他の基板と貼り合わせる場合は、接着層10の材質は、しかしながらウレタン系樹脂やエポキシ系樹脂といった有機系接着剤などを用いることができる。また、直接接合を用いる場合には、接着層10の材質は、SiO2膜、Si3N4膜、などを用いることができる。なお、接着層10も露出面8を含む半導体基板の層間絶縁膜6側の面を覆うが、接着層10だけでなく保護膜9で露出面8を含む半導体基板の層間絶縁膜6を覆っておくことが望ましい。
【0018】
このように、本実施の形態では、半導体基板の端部をトリミング加工した後に、露出面8を含む半導体基板の層間絶縁膜6側の面に保護膜9を形成するようにした。このため、基板端部からの半導体基板の汚染を防ぐことができる。
【0019】
(第2の実施の形態)
【0020】
図4は、第2の実施の形態にかかる半導体装置の製造方法の加工対象の半導体基板の一例を示す断面図である。図4に示すように、本実施の形態の半導体基板は、シリコン基板1と、層間絶縁膜6と、ストップ層11と、導電体プラグ12と、で構成される。第1の実施の形態と同様の機能を有する構成要素は第1の実施の形態と同一の符号を付して説明を省略する。
【0021】
図4に示す半導体基板は、裏面照射型CMOSイメージセンサに用いられる半導体基板の構成例を示しており、シリコン基板1と層間絶縁膜6の境界付近および層間絶縁膜6内には、実施の形態1と同様に半導体領域2と、受光素子3と、ゲート4と、ソース・ドレイン5と、配線7と、が存在するが、図4はこれらを省略している。
【0022】
裏面照射型CMOSイメージセンサに用いられる半導体基板は、支持基板と貼り合わせた後に、裏面照射型CMOSイメージセンサのチップとして加工される。裏面に入射した光を効率良くフォトダイオードに収集するために半導体基板は薄型化することが望ましい。この薄型化のために、支持基板と貼り合わせた後に半導体基板を裏面から削る方法が用いられる。この際、化学的機械的研磨または薬液処理により半導体基板を削るために、ストップ層11があらかじめ形成された半導体基板を用いることがある。図4は、このようなストップ層11を有する半導体基板の一例を示している。
【0023】
ストップ層11を有する半導体基板としては、例えばSOI(Silicon On Insulator)基板を用いることができる。SOI基板の場合は、ストップ層11はシリコン酸化物層である。また、ストップ層11を有する半導体基板として、シリコン基板1にイオン注入法によりボロン、リン、砒素などをドーピングした基板を用いることもできる。この場合、ドーピングにより形成したドーピング層がストップ層11となる。
【0024】
また、裏面照射型CMOSイメージセンサに用いられる半導体基板の場合は、層間絶縁膜6の積層の前に、シリコン基板1内にシリコン基板1の表面側からストップ層11までを貫通する導電体プラグ12を形成しておくこととする。導電体プラグ12は、裏面側と表面側とを電気的に接続するためのプラグである。
【0025】
図5は、本実施の形態の半導体装置の製造方法の一例を示す図である。まず、図4に例示したストップ層11を有する半導体基板に対して、第1の実施の形態と同様に、トリミング加工、保護膜9の形成、接着層10の形成を行なう。図5(a)に接着層10の形成が行なわれた後の半導体基板の一例を示す。
【0026】
つぎに、図5(b)に示すように、半導体基板に支持基板13を接着層10側から貼り合せて貼り合わせ基板を生成する。そして、図5(c)に示すように、貼り合わせ基板の上下を反転させ、図5(d)に示すように半導体基板の裏面側が上側となるようにする。
【0027】
つぎに、図5(e)に示すように、貼り合わせ基板に対して半導体基板の裏面側から化学的機械的研磨または薬液処理を行うことによりストップ層11までシリコン基板1をエッチングすることにより半導体基板を薄型化する。この化学的機械的研磨または薬液処理では、どのような研磨材または薬液を用いてもよいが、ストップ層11としてSiO2膜を用いる場合、選択比が高いことを利用して化学的機械的研磨を用いることができる。
【0028】
さらに、図5(f)に示すように、ストップ層11を薬液処理により除去する。この際、保護膜9をこの薬液に耐性を有する材質とすることにより、薬液により層間絶縁膜6がエッチングされるのを防ぐことができる。例えば、この薬液にBHF(Buffered Hydrofluoric Acid)やDHF(Diluted Hydrofluoric Acid)といった緩衝フッ化水素酸溶液を用いる場合、保護膜9としてCVD法で成膜したSi3N4膜を用いると層間絶縁膜6がエッチングされるのを防ぐことができる。
【0029】
その後、貼り合わせ基板に対してカラーフィルターの貼付などの加工を行ない、個片化することにより、半導体素子(半導体装置)を形成する。図6は、本実施の形態の製造方法により形成された半導体素子18の一例を示す断面図である。図6の例では、半導体基板の裏面側に、はんだ用パッド14、パッシヴェーション膜15およびカラーフィルター16を形成されている。また、シリコン基板1にはフォトダイオード17が形成されている。
【0030】
このようにして形成された半導体素子18を、レンズモジュールなどと組み合わせることにより裏面照射型CMOSイメージセンサが形成される。図7は、本実施の形態の半導体素子18を備える裏面照射型CMOSイメージセンサの構成例を示す図である。図7に示すように、本実施の形態の裏面照射型CMOSイメージセンサは、半導体素子18と、レンズモジュール19と、スペーサ20と、シールドキャップ21と、で構成される。半導体素子18は、レンズモジュール19が集光した光を光電変換により電気信号に変換して出力する。なお、図7で示した構成は一例であり、半導体素子18を用いた裏面照射型CMOSイメージセンサの構成は図7に示した構成に限らずどのような構成としてもよい。
【0031】
このように、本実施の形態では、半導体基板としてストップ層11を有する基板を用いる場合に、半導体基板をトリミング加工して露出面8を含む半導体基板の層間絶縁膜6側の面に保護膜9を形成するようにした。このため、第1の実施の形態と同様の効果が得られるとともに、ストップ層11を除去する薬液処理の際に、薬液による層間絶縁膜6のエッチングを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0032】
1 シリコン基板、6 層間絶縁膜、7 配線、8 トリミング面、9 保護膜、10 接着層、11 ストップ層、18 半導体素子、19 レンズモジュール。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の周縁部を研削する研削工程と、
前記研削工程により露出した表面を含む前記半導体基板の表面に、絶縁膜である保護膜を形成する保護膜形成工程と、
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記半導体基板は、エッチングストッパ層として機能するストッパ層を内部に有することとし、
前記保護膜を形成した後の前記半導体基板に、他の基板を前記保護膜側から貼り合わせることにより貼り合わせ基板を形成する貼合工程と、
前記ストッパ層をエッチングストッパ層として、前記貼り合わせ基板の前記半導体基板側からエッチングを行なうことにより前記半導体基板を薄化する薄化工程と、
前記ストッパ層を、薬液を用いて除去する除去工程と、
をさらに含み、
前記保護膜を前記薬液に対して耐性を有する材質とする、
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記保護膜をSiO2膜、Si3N4膜、PSG膜、SOG膜、MSQ膜、ポリイミド膜のうちいずれか1つ以上とする、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
第1の基板と、
前記第1の基板上に形成された絶縁膜と、
前記絶縁膜に接着層を介して接着された第2の基板と、
を備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
撮像素子を備える半導体装置と、外部からの光を前記撮像素子へ入射させるレンズモジュールと、を備えるカメラモジュールであって、
前記半導体装置は、
第1の基板と、
前記第1の基板上に形成された絶縁膜と、
前記絶縁膜に接着層を介して接着された第2の基板と、
を備える、
ことを特徴とするカメラモジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−9725(P2012−9725A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−145886(P2010−145886)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】