説明

半導体装置の製造方法および半導体装置

【課題】配線溝の加工制御性に優れ、配線間容量が低減された半導体装置の製造方法および半導体装置を提供する。
【解決手段】下地基板1上に、有機系の低誘電材料またはアモルファスカーボンで構成された第1の低誘電材料層2aと無機系の低誘電材料で構成された第2の低誘電材料層2bとを順次積層してなる配線間絶縁膜2を形成した後、当該配線間絶縁膜に前記下地基板1に達する第1配線溝3を形成し、この第1配線溝3に導電膜を埋め込んで第1配線5を形成する。次に、第1配線5上および第2の低誘電材料層2b上に、配線層間絶縁膜8を形成した後、配線層間絶縁膜8に第1配線5に達する接続孔9を形成し、この接続孔9に導電膜を埋め込んでヴィア11を形成する半導体装置の製造方法およびこれによって得られる半導体装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法および半導体装置に関し、さらに詳しくは、低誘電率化された層間絶縁膜に良好な形状のシングルダマシン構造の多層配線構造を備えた半導体装置の製造方法および半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の微細化、高集積化に伴い、配線の時定数に起因する電気信号の遅れが深刻な問題となっている。そこで、多層配線構造で用いられる導電層には、アルミニウム(Al)系合金の配線に代わり、低電気抵抗の銅(Cu)配線が導入されるようになっている。
【0003】
Cuは、従来の多層配線構造に使われているAlなどの金属材料とは異なって、ドライエッチングによるパターンニングが困難なため、絶縁膜に配線溝を形成し、配線溝にCu膜を埋め込むことにより配線パターンを形成するダマシン法が一般にCu多層配線構造に適用されている。ダマシン法には、層間絶縁膜に設けられた配線溝とその底部に連通する接続孔とに同一工程でCu膜を埋め込むデュアルダマシン方式と、配線溝と接続孔とに別工程でCu膜を埋め込むシングルダマシン方式がある。
【0004】
また、高集積半導体装置では、配線間容量の増大が半導体装置の動作速度の低下を招くために、層間絶縁膜として従来から用いられている酸化シリコン(SiO2)よりも比誘電率が低い低誘電材料を層間絶縁膜に用いて配線間容量の増大を抑制した微細な多層配線構造が不可欠となっている。低誘電材料としては、従来から比較的使用実績のある比誘電率3.5程度のフッ素含有酸化シリコン(FSG)に加えて、ポリアリールエーテル(PAE)に代表される有機系のポリマーや、ハイドロゲンシルセスキオキサン(HSQ)、メチルシルセスキオキサン(MSQ)に代表される無機系材料などの比誘電率2.7前後の低誘電材料が挙げられる。更に、近年では、それらを多孔質化させて比誘電率を2.2前後とした低誘電材料の適用も試みられている。
【0005】
ところで、上記デュアルダマシン方式を低誘電材料層を有する層間絶縁膜に適用する場合、酸化シリコン(SiO2)層からなる第1マスク、窒化シリコン(SiN)層からなる第2マスクおよびSiO2層からなる第3マスクが順次積層されたトリプルマスクを適用して、層間絶縁膜に配線溝と接続孔とを形成する例が報告されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
このようなデュアルダマシン方式によれば、配線溝と接続孔とを同時にCu膜で埋め込むことから、工程数が削減されるという利点がある。しかし、微細化が進むと、配線溝とその底部に連通する接続孔とで構成される凹部のアスペクト比が高くなり、Cu膜の埋め込み不良が生じ易くなるだけでなく、凹部の内壁を覆う状態で形成されるバリア膜のカバレッジも悪くなる。また、配線溝と接続孔とをCu膜で埋め込んだ後の、熱処理工程において、Cuの「吸い上がり」が生じ易く、ヴィア中にボイドが形成され易い。さらに、上述したデュアルダマシン方式による半導体装置の製造方法では、下層配線に対して、上層配線とヴィアの両方の位置合わせが行われることから、合わせずれが生じ易く、配線溝および接続孔の寸法を同時に制御する必要があるため、寸法制御も難しい。
【0007】
これに対し、シングルダマシン方式は、配線溝と接続孔とをCu膜で別々に埋め込むため、Cuの埋め込み性やバリア膜のカバレッジが向上するとともに、Cuの「吸い上がり」が抑制される。また、下層配線に対してヴィアの位置合わせを行い、ヴィアに対して上層配線の位置合わせを行うため、合わせずれも少なく、配線とヴィアの寸法をそれぞれ独立に制御できるため、寸法制御性に優れている、という利点がある。
【0008】
ここで、上記シングルダマシン方式を低誘電材料層を有する層間絶縁膜に適用する場合には、次のような工程で行う例が報告されている(例えば、特許文献2参照)。
【0009】
まず、図8(a)に示すように、下地基板101上に炭素含有シリコン(SiC(SiCH))エッチングストッパー膜102を形成した後、エッチングストッパー膜102上に、配線間絶縁膜103として、SiOC(SiOCH)層103a、SiO2層103bを順次積層する。次に、配線間絶縁膜103に上記エッチングストッパー膜102に達する第1配線溝104を形成し、第1配線溝104の底部のエッチングストッパー膜102を除去して下地基板101を露出させる。次いで、第1配線溝104の内壁を覆う状態で、SiO2層103b上に、バリア膜105を形成する。続いて、第1配線溝104を埋め込む状態で、バリア膜105上にCu膜を形成した後、化学的機械的研磨(Chemical Mechanical Polishing(CMP))法により配線パターンとして不要なCu膜およびバリア膜105を除去し、第1配線106を形成する。続いて、第1配線106上およびSiO2層103b上に、エッチングストッパー膜(バリア絶縁膜)107を形成する。
【0010】
次に、図8(b)に示すように、エッチングストッパー膜107上に、配線層間絶縁膜108として、SiOC(SiOCH)層108a、SiO2層108bを順次積層する。次に、配線層間絶縁膜108にエッチングストッパー膜107に達する接続孔109を形成し、接続孔109の底部のエッチングストッパー膜107を除去して第1配線106の表面を露出する。次いで、第1配線106と同様の方法で、この接続孔109に、バリア膜110を介してCuからなるヴィア(導体プラグ)111を形成する。続いて、ヴィア111上およびSiO2層108b上に、エッチングストッパー膜112を形成する。
【0011】
次いで、図8(c)に示すように、エッチングストッパー膜112上に、配線間絶縁膜113として、SiOC(SiOCH)層113a、SiO2層113bを順次積層する。次に、配線間絶縁膜113に、上記エッチングストッパー膜112に達する第2配線溝114を形成し、第2配線溝114の底部のエッチングストッパー膜112を除去して、ヴィア111の表面を露出させる。次いで、第1配線106と同様の方法で、この第2配線溝114に、バリア膜115を介してCuからなる第2配線116を形成する。
【0012】
以上のようにして、シングルダマシン方式によるCuの多層配線構造が形成される。
【0013】
【特許文献1】特開2004−63859号公報
【特許文献2】特開2004−221275号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかし、図9(a)に示すように、上述したような半導体装置の製造方法では、図8(c)を用いて説明した工程において、配線層間絶縁膜108の上層を構成するSiO2層108bとその上層に形成されるSiCからなるエッチングストッパー膜112とのエッチング選択比が小さいため、エッチングストッパー膜112に達する状態で開口幅の異なる第2配線溝114A、114Bを形成した後、第2配線溝114A、114Bの底部のエッチングストッパー膜112を除去する際に、第2配線溝114の開口幅によって、第2配線溝114の深さがばらついてしまう。この第2配線溝114の深さばらつきは、ウエハ面内における第2配線溝114の位置によっても生じる。
【0015】
このため、図9(b)に示すように、第2配線溝114A、114Bにバリア膜115を介して第2配線116を形成したシングルダマシン構造を有する半導体装置では、配線抵抗と配線間容量がばらつくことから、デバイス性能が悪化してしまう。
【0016】
また、配線間絶縁膜103、113および配線層間絶縁膜108の上層側を比誘電率4.2程度のSiO2層103b、108b、113bで形成するだけでなく、エッチングストッパー膜102、107、112、117を比誘電率3.5〜5程度のSiC膜で形成することから、配線間および配線層間の実効的な比誘電率は、下がり難くなってしまう。
【0017】
以上のことから、本発明は、配線溝の加工制御性に優れ、配線間容量が低減された半導体装置の製造方法および半導体装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するために、本発明の半導体装置の製造方法は、低誘電材料で構成された配線間絶縁膜と配線層間絶縁膜を備えた半導体装置の製造方法であって、下地基板上に、有機系の低誘電材料またはアモルファスカーボンで構成された第1の低誘電材料層と無機系の低誘電材料で構成された第2の低誘電材料層とを順次積層してなる配線間絶縁膜を形成した後、この配線間絶縁膜に下地基板に達する配線溝を形成し、この配線溝に導電膜を埋め込んで配線を形成する第1の工程と、下地基板上に、無機系の低誘電材料からなる配線層間絶縁膜を形成した後、この配線層間絶縁膜に下地基板に達する接続孔を形成し、この接続孔に導電膜を埋め込んでヴィアを形成する第2の工程とを有している。そして、第1の工程および第2の工程のいずれかを先に行うことを特徴としている。
【0019】
このような半導体装置の製造方法によれば、配線間絶縁膜と配線層間絶縁膜とが低誘電材料で構成されることから、配線間と配線層間の実効的な比誘電率が低減される。また、第2の工程の後に、連続して第1の工程を行うことで、無機系の低誘電材料からなる配線層間絶縁膜上に有機系の低誘電材料またはアモルファスカーボンからなる第1の低誘電材料層が形成されるため、配線溝を形成する際に、配線層間絶縁膜に対する第1の低誘電材料層のエッチング選択比が大きくなる。これにより、配線溝の開口幅やウエハ面内における配線溝の位置によって、配線溝が異なる深さに掘り込まれることが防止され、均一な深さの配線溝を加工制御性よく形成することが可能となる。
【0020】
また、本発明の半導体装置は、低誘電材料で構成された配線間絶縁膜と配線層間絶縁膜を備えた半導体装置であって、有機系の低誘電材料またはアモルファスカーボンで構成された第1の低誘電材料層と無機系の低誘電材料で構成された第2の低誘電材料層とを順次積層してなる配線間絶縁膜を貫通する状態で配線が設けられた第1の層と、無機系の低誘電材料からなる配線層間絶縁膜を貫通する状態でヴィアが設けられた第2の層とを備えている。そして、下地基板上に、配線とヴィアとを連通させる状態で、第1の層と第2の層とが積層されていることを特徴としている。
【0021】
このような半導体装置によれば、配線間絶縁膜と配線層間絶縁膜とが低誘電材料で構成されることから、配線間と配線層間の実効的な比誘電率が低減される。
【発明の効果】
【0022】
以上、説明したように、本発明の半導体装置の製造方法および半導体装置によれば、配線間と配線層間の実効的な比誘電率が低減されるため、配線間容量を低減することができる。また、配線溝の加工制御性に優れていることから、配線抵抗と配線間容量のばらつきを抑制することができる。したがって、デバイス性能を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0024】
(第1実施形態)
本実施形態例は、本発明にかかる半導体装置の製造方法の実施形態の一例であり、シングルダマシン構造の形成に係わる。以下、図1〜図4の製造工程断面図を用いて本発明の第1実施形態を説明する。
【0025】
まず、図1(a)に示すように、素子領域等(図示省略)が形成された半導体基板上に例えば酸化シリコン(SiO2)からなる下地絶縁膜(配線層間絶縁膜)を形成してなる下地基板1上に、配線間絶縁膜2として、有機系の低誘電材料からなる第1の低誘電材料層2aと、無機系の低誘電材料からなる第2の低誘電材料層2bとを順次積層する。第1の低誘電材料層2aとしては、例えば比誘電率2.4程度のPAE膜を60nmの膜厚で形成する。PAE膜は、PAEの前駆体をスピンコート法により堆積した後、350℃〜450℃の熱キュア処理を行って成膜することができる。もちろん、PAEの前駆体を調整して、多孔質膜にすることも可能である。第1の低誘電材料層2aとしては、上記PAE膜の他に、BCB(Benzocyclobutene)膜、ポリイミド膜等の有機系の低誘電材料膜を用いることができる。また、第1の低誘電材料層2aとして、アモルファスカーボン膜を用いてもよい。
【0026】
次に、第1の低誘電材料層2a上に、第2の低誘電材料層2bとして、例えば比誘電率2.5〜3程度の例えば炭素含有酸化シリコン(SiOC)膜を100nmの膜厚で形成する。一例として、平行平板型プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)装置を用い、シリコン源として使用するガスには、メチルシランを用いる。また、成膜条件として基板温度を300℃〜400℃、プラズマパワーを100W〜800W、成膜雰囲気の圧力を100Pa〜1350Pa程度に設定する。なお、ここでは、配線層間絶縁膜8をSiOC膜で形成することとしたが、HSQで形成してもよい。その後、第2の低誘電材料層2b上に、第1配線溝パターンが設けられたレジストマスクR1を形成する。
【0027】
次いで、図1(b)に示すように、レジストマスクR1(前記図1(a)参照)を用いて、第1の低誘電材料層2aと第2の低誘電材料層2bとが順次積層された配線間絶縁膜2をエッチングする。まず、第2の低誘電材料層(SiOC)2bをエッチングする際には、一般的なマグネトロン方式のエッチング装置を用い、例えばエッチングガスとしてトリフルオロメタン(CHF3)、テトラフルオロメタン(CF4)、およびアルゴン(Ar)を用いて、ガス流量比(CHF3:CF4:Ar)を1:3:8、バイアスパワーを1300W、基板温度を20℃に設定する。このエッチング条件下では、第1の低誘電材料層2aを構成するPAEに対する第2の低誘電材料層2bを構成するSiOCのエッチング選択比(SiOC/PAE)は3程度になるため、このエッチングにより、第1の低誘電材料層2aを貫通して下地基板1のSiO2膜がエッチングされるようなことは無い。
【0028】
続いて、第1の低誘電材料層2aをエッチングして、第1配線溝3を形成する。この場合には、一般的なマグネトロン方式のエッチング装置を用い、例えばエッチングガスとしてアンモニア(NH3)を用い、ガス流量100cm3/min、バイアスパワーを400W、基板温度を20℃に設定する。このエッチング条件下では、下地基板1のSiO2膜に対して、100以上の高選択比(PAE/SiO2)を得ることができるので、上記SiO2膜がエッチングされることは、ほとんど無い。上記の配線間絶縁膜2をエッチングした後、例えばNH3プラズマをベースとしたアッシング処理と有機アミン系の薬液処理を施すことにより、レジストマスクR1およびエッチング処理の際に生じた残留付着物を完全に除去する。
【0029】
その後、図1(c)に示すように、例えばスパッタリング法により、第1配線溝3の内壁を覆う状態で、第1の低誘電材料層2b上に、例えばタンタル(Ta)からなるバリア膜4を10nm程度の膜厚で成膜する。続いて、例えば電解メッキ法またはスパッタリング法により、第1配線溝3を埋め込む状態で、バリア膜4上に例えばCuからなる導電膜(図示省略)を形成する。その後、CMP法により、配線パターンとして不要な導電膜およびバリア膜4を除去し、第2の低誘電材料層2bを露出させる。これにより、第1配線溝3にシングルダマシン構造のCuからなる埋め込み配線(第1配線)5が形成される。この際、配線膜厚が110nmになるように上記CMPの研磨時間を調整する。
【0030】
続いて、CMP後に露出した第2の低誘電材料層2bの表面に改質処理を施して、第2の低誘電材料層2bの表面側に改質層6を形成する。改質処理としては、緻密化、窒化、炭化および酸化がある。緻密化方法としては、例えば、ヘリウム(He)プラズマまたはArプラズマによる表面処理、EB−CureまたはUV−Cureからなる硬化処理等、窒化方法としては、NH3プラズマや窒素(N2)プラズマによる表面処理等がある。また、炭化方法としては、メタン(CH4)等のCxy系ガスによるプラズマ処理、酸化方法としては、O2または一酸化二窒素(N2O)によるプラズマ処理等が挙げられる。ここでは、上記改質処理として、第2の低誘電材料層2bの表面に、Heプラズマによる表面処理を行い、第2の低誘電材料層2bの表面側に緻密化された改質層6を形成する。
【0031】
上記改質層6を形成することで、後工程で改質層6上に形成する配線層間絶縁膜(SiOC)の改質層6に対するエッチング選択比が2程度となり、第2の低誘電材料層(SiOC)2bに対するエッチング選択比よりも大きくなる。これにより、この配線層間絶縁膜に接続孔を形成する際、接続孔と第1配線5とで合わせずれが生じた場合であっても、接続孔底部には上記改質層が露出されるため、スリットの形成が抑制される。この改質層6の膜厚は、改質層6の比誘電率と改質層6上に設けられる配線層間絶縁膜とのエッチング選択比との兼ね合いで決まるが、5nm〜15nm程度の膜厚で形成することが好ましい。
【0032】
続いて、図1(d)に示すように、例えば無電解メッキ法により、例えばコバルトタングステンリン(CoWP)からなるメタルキャップ膜7を第1配線5上に選択的に形成する。この無電解メッキは、Cu酸化物除去、触媒処理、成膜、洗浄のシーケンスで行う。具体的には、第1配線5表面のCu酸化物を除去し、触媒活性の高いパラジウム(Pd)イオンを含んだ溶液を用いて触媒処理を行う。その後、コバルト(Co)イオン、タングステン(W)イオン、次亜リン酸塩を含んだメッキ液で、第1配線5の表面にCoWP膜を選択的に形成する。なお、メッキ液中の次亜リン酸塩は、還元剤として作用し、次亜リン酸塩の酸化反応により放出された電子をCo、W、リン(P)が獲得して共析反応することによりCoWPが成膜される。また、CoWPの膜厚は、数nmから20nm程度であることとする。ただし、CoWPは、等方的に成膜されるため、膜厚が厚いほど、配線間のリーク特性が劣化し易くなることから、5nm程度にすることが望ましい。CoとWとPの組成比は、90%/2%/8%程度になるように上記メッキ液を調整することとする。
【0033】
なお、ここでは、メタルキャップ膜7がCoWP膜で構成される例について説明するが、メタルキャップ膜7の膜種は、CoWP膜に限定されず、無電解メッキ法に用いるメッキ液の組成を変えることで、コバルトタングステンボロン(CoWB)、ニッケルモリブデンリン(NiMoP)、ニッケルモリブデンボロン(NiMoB)を用いることも可能である。また、選択CVD法により、例えばWからなるメタルキャップ膜7を形成してもよい。
【0034】
次いで、図2(e)に示すように、メタルキャップ膜7上および改質層6上に無機系の低誘電材料として、例えばSiOCからなる配線層間絶縁膜8を90nmの膜厚で形成する。この際、上述した第2の低誘電材料層(SiOC)2bと同一条件で成膜してもよいが、Poregen等を用いて多孔質化にすることで、第2の低誘電材料層(SiOC)2bよりも比誘電率が低い比誘電率2〜3程度のSiOC層を形成することとする。これにより、後工程で接続孔を形成する際の改質層6に対する配線層間絶縁膜(SiOC)8のエッチング選択比が2.5〜3.5程度とさらに大きくなり、接続孔形成の際の接続孔底部におけるスリットの形成をさらに抑制することができる。
【0035】
次に、図2(f)に示すように、接続孔パターンを有するレジストマスクR2を配線層間絶縁膜8上に形成する。続いて、図2(g)に示すように、このレジストマスクR2(前記図2(f)参照)をエッチングマスクとしたドライエッチング法により、配線層間絶縁膜8をエッチングして、メタルキャップ膜7の表面を露出させる接続孔9を開口する。この際、上述したように、配線層間絶縁膜8は多孔質化されており、配線層間絶縁膜8と第2の低誘電率層2bの間には改質層6が設けられていることから、接続孔9と第1配線5とで合わせずれが生じた場合でも、配線層間絶縁膜8のエッチング選択比が高くなり、接続孔9の底部のスリットの形成が抑制される。
【0036】
この配線層間絶縁膜8のエッチングは、例えばエッチングガスとしてCHF3、O2およびArを用い、ガス流量比(CHF3:O2:Ar)を5:1:50、バイアスパワーを1000W、基板温度を40℃に設定して行われる。その後、例えばNH3プラズマをベースとしたアッシング処理と有機アミン系の薬液処理を施すことにより、レジストマスクR2及びエッチング処理の際に生じた残留付着物を完全に除去する。
【0037】
次いで、この図に示すように、例えばスパッタリング法により、接続孔9の内壁を覆う状態で、配線層間絶縁膜8上に、例えばTaからなるバリア膜10を成膜する。続いて、例えば電解メッキ法またはスパッタリング法により、上記接続孔9を埋め込む状態で、バリア膜10上に例えばCuからなる導電膜11’を形成する。
【0038】
その後、図2(h)に示すように、CMP法により、配線パターンとして不要な導電膜11’(前記図2(g)参照)およびバリア膜10を除去し、配線層間絶縁膜8を露出させる。これにより、接続孔9にバリア膜10を介してCuからなるヴィア11が形成される。この際、ヴィア11の高さが80nmとなるように、CMPの研磨時間を調整する。
【0039】
続いて、例えば無電解メッキ法により、ヴィア11上に例えばCoWPからなるメタルキャップ膜12を選択的に形成する。ここで、メタルキャップ膜12の成膜は、上述したメタルキャップ膜7と同一条件で行うこととする。
【0040】
この後の工程は、図1(a)〜図2(h)を用いて説明した工程と同様であるため、各膜の成膜条件やエッチング条件等は省略する。すなわち、図3(i)に示すように、メタルキャップ膜12上および配線層間絶縁膜8上に、配線間絶縁膜13として、有機系の低誘電材料からなる第1の低誘電材料層13aと、無機系の低誘電材料からなる第2の低誘電材料層13bとを順次積層する。ここでは、第1の低誘電材料層13aとして、例えばPAE膜を65nmの膜厚で形成し、第2の低誘電材料層13bとして、例えばSiOC膜を100nmの膜厚で形成する。次に、図3(j)に示すように、第2の低誘電材料層13b上に、第2配線溝パターンが設けられたレジストマスクR3を形成する。
【0041】
次いで、図3(k)に示すように、レジストマスクR3(前記図3(j)参照)を用いて、第1の低誘電材料層13aと第2の低誘電材料層13bとが順次積層された配線間絶縁膜13をエッチングし、配線間絶縁膜13に、メタルキャップ膜12および配線層間絶縁膜8に達する第2配線溝14を形成する。この際、配線層間絶縁膜8に対する第1の低誘電材料層13aのエッチング選択比(PAE/SiOC)は100以上の高選択比となるため、配線層間絶縁膜8がエッチングされることは、ほとんど無い。これにより、第2配線溝14の開口幅およびウエハ面内における第2配線溝14の位置によらず、均一な深さの第2配線溝14を形成することが可能である。
【0042】
その後、例えばNH3プラズマをベースとしたアッシング処理と有機アミン系の薬液処理を施すことにより、レジストマスクR3およびエッチング処理の際に生じた残留付着物を完全に除去する。
【0043】
次いで、図4(l)に示すように、例えばスパッタリング法により、第2配線溝14の内壁を覆う状態で、第2の低誘電材料層13b上に例えばTaからなるバリア膜15を成膜する。続いて、例えば電解メッキ法またはスパッタリング法により、第2配線溝14を埋め込む状態で、バリア膜15上に例えばCuからなる導電膜16’を形成する。
【0044】
その後、図4(m)に示すように、CMP法により、配線パターンとして不要な導電膜16’(前記図4(l)参照)およびバリア膜15を除去し、第2の低誘電材料層13bを露出させる。これにより、第2配線溝14にシングルダマシン構造のCuからなる埋め込み配線(第2配線)16が形成される。この際、配線膜厚が115nmになるように上記CMPの研磨時間を調整する。続いて、CMP後に露出した第2の低誘電材料層13bの表面に改質処理を施して、第2の低誘電材料層13bの表面側に改質層17を形成する。次いで、第2配線16上に、選択的にCOWPからなるメタルキャップ膜18を形成する。
【0045】
このような半導体装置の製造方法および半導体装置によれば、配線間絶縁膜2、13と配線層間絶縁膜8とが低誘電材料で構成されることから、配線間と配線層間の実効的な比誘電率が低減されるため、配線間容量を低減することができる。また、無機系の低誘電材料からなる配線層間絶縁膜(SiOC)8上に有機系の低誘電材料からなる第1の低誘電材料層(PAE)13aが形成されるため、配線層間絶縁膜(SiOC)8に対する第1の低誘電材料層(PAE)13aのエッチング選択比が高くなる。これにより、配線層間絶縁膜8に第2配線溝14を形成する際、第2配線溝14の開口幅やウエハ面内の位置によって、第2配線溝14が異なる深さに掘り込まれることが防止され、均一な深さの第2配線溝14を加工制御性よく形成することができる。したがって、配線抵抗と配線間容量のばらつきを抑制することができる。以上のことから、デバイス性能を向上させることができる。
【0046】
また、配線間絶縁膜2の上層側を構成する第2の低誘電材料層2bの表面に改質処理を施し、改質層6を形成することで、改質層6上に形成される配線層間絶縁膜8とのエッチング選択比が高くなることから、接続孔9を形成する際、第1配線5と接続孔9とで合わせずれが生じたとしても、接続孔9底部のスリットの形成を抑制することができる。したがって、このスリットに起因する接続孔9への導電膜11’の埋め込み不良を防止することができる。
【0047】
さらに、配線層間絶縁膜8を多孔質化されたSiOC膜で形成することから、上記改質層6に対する配線層間絶縁膜8のエッチング選択比がさらに高くなる。これにより、接続孔9底部のスリットの形成をさらに抑制することができる。
【0048】
(第2実施形態)
次に、本発明の半導体装置の製造方法にかかる第2の実施形態について、図5の製造工
程断面図を用いて説明する。なお、第1実施形態と同様の構成には同一の番号を付して説
明し、詳細な説明は省略する。また、第1実施形態において図1(a)〜図1(b)を用いて説明した、下地基板1上に設けられた配線間絶縁膜2に第1配線溝3を形成する工程までは、第1実施形態と同様に行うこととする。
【0049】
まず、図5(a)に示すように、スパッタリング法等の物理的気相成長(Physical Vapor Deposition(PVD))法により、第1配線溝3の内壁を覆う状態で、第2の低誘電材料層2b上に、2atomic%程度のマンガン(Mn)を含有するCu−Mn合金からなるシード層21を形成する。
【0050】
次に、図5(b)に示すように、例えば電解メッキ法により、第1配線溝3を埋め込む状態で、シード層21(前記図5(a)参照)上に、例えばCuからなる導電膜11’を1000nm堆積する。その後、酸素雰囲気下で300℃30分の熱処理を行うことで、シード層21中のMnを配線間絶縁膜2の構成材料(例えばSi、Oまたは膜中の水分)と反応させて、第1配線溝3の内壁に、Mn化合物(例えば、MnSixy、MnOz)からなる自己形成バリア膜22を2nm〜3nm程度の膜厚で形成する。この際、自己形成バリア膜22の形成に必要なMn以外の過剰なMnの一部は、導電膜11’の表面で雰囲気中の酸素と反応し、MnO膜22’が形成される。
【0051】
次いで、図5(c)に示すように、CMP法により、上記MnO膜22’(前記図5(b)参照)とともに、配線パターンとして不要な導電膜11’(前記図5(b)参照)および自己形成バリア膜22を除去し、第2の低誘電材料層2bを露出させる。これにより、第1配線溝3に上記自己形成バリア膜22を介して第1配線5を形成する。その後、第1実施形態と同様に、第2の低誘電材料層2bの表面に改質処理を施して、第2の低誘電材料層2bの表面側に改質層6を形成する。
【0052】
次いで、図5(d)に示すように、第1実施形態と同様に、第1配線5上に選択的に、CoWP膜からなるメタルキャップ膜7を形成する。
【0053】
この後の工程は、図2(e)〜図4(m)を用いて説明した第1実施形態と同様に行うことで、図5(e)に示すような多層配線構造を形成する。ただし、接続孔9および第2配線溝14の内壁には、バリア膜10(前記図2(g)参照)、バリア膜15(前記図4(l)参照)は形成せずに、上述した自己形成バリア膜22と同様の方法により、Mn化合物からなる自己形成バリア膜23、24をそれぞれ形成する。
【0054】
このような半導体装置の製造方法および半導体装置であっても、配線間絶縁膜2、13と配線層間絶縁膜8とが低誘電材料で構成されることから、配線間と配線層間の実効的な比誘電率が低減される。また、配線層間絶縁膜(SiOC)8上に第1の低誘電材料層(PAE)13aが形成されるため、配線層間絶縁膜(SiOC)8に対する第1の低誘電材料層(PAE)13aのエッチング選択比が高くなり、均一な深さの第2配線溝14を加工制御性よく形成することができる。さらに、第2の低誘電材料層2bの表面に改質層6を形成し、多孔質化されたSiOC膜で配線層間絶縁膜8を形成することから、接続孔9の形成の際に接続孔9の底部のスリットの形成が抑制される。したがって、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0055】
また、第1配線溝3、接続孔9、第2配線溝14の内壁を覆うバリア膜として、Mn化合物からなる自己形成バリア膜22、23、24を形成することで、第1実施形態よりもバリア膜を薄くすることができるため、配線抵抗を低減することができる。
【0056】
(第3実施形態)
次に、本発明の半導体装置の製造方法にかかる第3の実施形態について、図6の製造工
程断面図を用いて説明する。なお、第2実施形態と同様の構成には同一の番号を付して説
明し、詳細な説明は省略する。また、第2実施形態において、図5(a)〜図5(c)を用いて説明した、下地基板1上に設けられた配線間絶縁膜2に第1配線溝3を形成し、第1配線溝3に自己形成バリア膜22を介して第1配線5を形成した後、第2の低誘電材料層2bの表面側に改質層6を形成する工程までは、第2実施形態と同様であることとする。
【0057】
まず、図6(a)に示すように、第1配線5上および改質層6上に、CVD法により、配線層間絶縁膜(SiOC)8を形成する。この際、成膜時の熱により、第1配線溝3の内壁を覆う状態で設けられたCuMn合金からなるシード層21(前記図5(a)参照)から第1配線5中に拡散されたMnが、配線層間絶縁膜8の構成材料(例えば、Si、Oまたは膜中の水分)と反応することで、第1配線5の表面にMn化合物からなる自己形成バリア膜25が形成される。その後、自己形成バリア膜25を確実に形成するため、300℃30分程度の熱処理を行う。これにより、自己形成バリア膜25が2nm〜3nmの膜厚で形成される。
【0058】
次いで、図6(b)に示すように、配線層間絶縁膜8に第1配線5に達する接続孔9を形成する。このエッチングにより、上記自己形成バリア膜25の膜厚は薄いため、除去される。
【0059】
この後の工程は、図5(e)を用いて説明した第2実施形態と同様に行う。ただし、ヴィア11上にメタルキャップ膜12(前記図5(e)参照)は形成せずに、自己形成バリア膜25と同様の方法により、ヴィア11の表面に自己形成バリア膜(図示省略)を形成する。また、ここでの図示は省略するが、第2配線16上および配線間絶縁膜13上に、例えばSiOCからなる配線層間絶縁膜を形成し、熱処理を行うことで、第2配線16の表面に自己形成バリア膜(図示省略)を形成する。
【0060】
このような半導体装置の製造方法および半導体装置であっても、配線間絶縁膜2、13と配線層間絶縁膜8とが低誘電材料で構成されることから、配線間と配線層間の実効的な比誘電率が低減される。また、配線層間絶縁膜(SiOC)8上に第1の低誘電材料層(PAE)13aが形成されるため、配線層間絶縁膜(SiOC)8に対する第1の低誘電材料層(PAE)13aのエッチング選択比が高くなり、均一な深さの第2配線溝14を加工制御性よく形成することができる。さらに、第2の低誘電材料層2bの表面側に改質層6を形成し、多孔質化されたSiOC膜で配線層間絶縁膜8を形成することから、接続孔9の底部のスリットの形成が抑制される。また、Mn化合物からなる自己形成バリア膜22、23、24を形成することで、第1実施形態よりもバリア膜を薄くすることができるため、配線抵抗を低減することができる。したがって、第2実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0061】
さらに、本実施形態の半導体装置の製造方法および半導体装置によれば、バリア膜を介さずに第1配線5、ヴィア11および第2配線16が連続した状態で形成される。これにより、第2実施形態の半導体装置と比較して、配線抵抗を低減することができるとともに、EM耐性やSM耐性等の配線信頼性を向上させることができる。
【0062】
(第4実施形態)
次に、本発明の半導体装置の製造方法にかかる第4実施形態について、図7の製造工程断面図を用いて説明する。上述した第1実施形態〜第3実施形態の半導体装置の製造方法では、配線間絶縁膜と配線層間絶縁膜との間にエッチングストパー膜が設けられていない例について説明したが、部分的にエッチングストッパー膜が設けられていても、本発明は適用可能である。ここでは、第3実施形態において図6(b)を用いて説明した配線間絶縁膜2と配線層間絶縁膜8との間および配線間絶縁膜13上にエッチングストッパー膜が設けられる例について説明する。
【0063】
なお、第3実施形態と同様の構成には同一の番号を付して説明し、詳細な説明は省略する。また、第3実施形態において図6(a)を用いて説明した、下地基板1上に設けられた配線間絶縁膜2に第1配線溝3を形成し、第1配線溝3に自己形成バリア膜22を介して第1配線5を形成する工程までは、第3実施形態と同様に行うこととする。
【0064】
図7(a)に示すように、第1配線5を形成した後、第1配線5上および第2の低誘電率層2b上に、例えば比誘電率3.5〜5程度のSiC膜からなるエッチングストッパー膜26を30nmの膜厚で形成する。このSiC膜を成膜する際には、一例として、平行平板型プラズマCVD装置を用い、シリコン源として使用するガスには、メチルシランを用いる。また、成膜条件として基板温度を300℃〜400℃、プラズマパワーを150W〜300W、成膜雰囲気の圧力を100Pa〜1000Pa程度に設定する。
【0065】
この際、第3実施形態と同様に、エッチングストッパー膜26の成膜時の熱により、第1配線5中に拡散されたMnがエッチングストッパー膜26の構成材料と反応し、第1配線5の表面にMn化合物からなる自己形成バリア膜25が形成される。なお、ここでは、第2の低誘電材料層2b上に上記エッチングストッパー膜26が設けられるため、第2の低誘電材料層2bの表面側に改質層6(前記図5(c)参照)を形成しなくてもよい。
【0066】
次いで、図7(b)に示すように、エッチングストッパー膜26上に配線層間絶縁膜8を形成する。この際、第1実施形態では、配線層間絶縁膜8として、多孔質化したSiOC膜を形成することで、改質層6(前記図6(a)参照)に対する配線層間絶縁膜8のエッチング選択比が高くなるようにしたが、この場合には、第2の低誘電材料層2b上に上記エッチングストッパー膜26が設けられるため、配線層間絶縁膜8に用いるSiOC膜を多孔質化しなくてもよい。
【0067】
続いて、エッチングによりエッチングストッパー膜26に達する状態の接続孔9を形成し、接続孔9の底部のエッチングストッパー膜26をエッチング除去して、第1配線5の表面を露出させる。このエッチングにより、第1配線5の表面に設けられた自己形成バリア膜25は除去される。この後の工程は、第3実施形態において、図6(b)を用いて説明した工程と同様に行うこととする。ただし、第2配線16上および第2の低誘電材料層13b上には、例えばSiCからなるエッチングストッパー膜27を30nmの膜厚で形成する。なお、この場合には、第2の低誘電材料層13bの表面側に改質層17(前記図6(b)参照)を形成しなくてもよい。
【0068】
このような半導体装置の製造方法および半導体装置によれば、配線間絶縁膜2と配線層間絶縁膜8との間および配線間絶縁膜13上に比誘電率3.5〜5程度のSiCからなるエッチングストッパー膜26、27が形成されるため、第1実施形態〜第3実施形態における半導体装置よりも配線間および配線層間の実効的な比誘電率は高くなる。しかし、配線間絶縁膜2、13と配線層間絶縁膜8とが低誘電材料で構成されるとともに、配線層間絶縁膜8と配線間絶縁膜13との間にはエッチングストッパー膜は形成されないため、背景技術で図8を用いて説明した従来の半導体装置と比較して、上記実効的な比誘電率を低減することができる。
【0069】
また、配線層間絶縁膜(SiOC)8上に第1の低誘電材料層(PAE)13aが形成されるため、配線層間絶縁膜(SiOC)8に対する第1の低誘電材料層(PAE)13aのエッチング選択比が高くなり、均一な深さの第2配線溝14を加工制御性よく形成することができる。さらに、Mn化合物からなる自己形成バリア膜22、23、24を形成することで、配線抵抗を低減することができる。
【0070】
また、バリア膜を介さずに第1配線5、ヴィア11および第2配線16が連続した状態で形成されることから、第2実施形態の半導体装置と比較して、配線抵抗を低減することができるとともに、EM耐性やSM耐性等の配線信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の半導体装置の製造方法に係る第1実施形態を説明するための製造工程断面図(その1)である。
【図2】本発明の半導体装置の製造方法に係る第1実施形態を説明するための製造工程断面図(その2)である。
【図3】本発明の半導体装置の製造方法に係る第1実施形態を説明するための製造工程断面図(その3)である。
【図4】本発明の半導体装置の製造方法に係る第1実施形態を説明するための製造工程断面図(その4)である。
【図5】本発明の半導体装置の製造方法に係る第2実施形態を説明するための製造工程断面図である。
【図6】本発明の半導体装置の製造方法に係る第3実施形態を説明するための製造工程断面図である。
【図7】本発明の半導体装置の製造方法に係る第4実施形態を説明するための製造工程断面図である。
【図8】従来の半導体装置の製造方法を説明するための製造工程断面図である。
【図9】従来の半導体装置の製造方法における課題を説明するための製造工程断面図である。
【符号の説明】
【0072】
1…下地基板、2,13…配線間絶縁膜、2a,13a…第1の低誘電材料層、2b,13b…第2の低誘電材料層、3…第1配線溝、5…第1配線、6,17…改質層、7、12、18…メタルキャップ膜、8…配線層間絶縁膜、9…接続孔、11…ヴィア、14…第2配線溝、16…第2配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低誘電材料で構成された配線間絶縁膜と配線層間絶縁膜とを備えた半導体装置の製造方法であって、
下地基板上に、有機系の低誘電材料またはアモルファスカーボンで構成された第1の低誘電材料層と無機系の低誘電材料で構成された第2の低誘電材料層とを順次積層してなる配線間絶縁膜を形成した後、当該配線間絶縁膜に前記下地基板に達する配線溝を形成し、この配線溝に導電膜を埋め込んで配線を形成する第1の工程と、
下地基板上に、無機系の低誘電材料からなる配線層間絶縁膜を形成した後、当該配線層間絶縁膜に前記下地基板に達する接続孔を形成し、この接続孔に導電膜を埋め込んでヴィアを形成する第2の工程とを有し、
前記第1の工程および前記第2の工程のいずれかを先に行う
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の工程の後に、前記第2の工程を行い、
前記第1の工程と前記第2の工程の間に、前記第2の低誘電材料層の表面に改質処理を行うことで、当該第2の低誘電材料層の表面側に改質層を形成する工程を行う
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の工程の後に、前記第2の工程を行い、
前記第2の工程では、前記第2の低誘電材料層に対する前記配線層間絶縁膜のエッチング選択比が高くなるように、前記配線層間絶縁膜を形成する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2の工程の後に、連続して前記第1の工程を行い、
前記第1の工程では、前記ヴィア上および前記配線層間絶縁膜上に、前記第1の低誘電材料層を形成する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の工程と前記第2の工程とを交互に繰り返して行う
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の工程の後および前記第2の工程の後に、
前記配線上または前記ヴィア上に、選択的にメタルキャップ膜を形成する工程を行う
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の工程では、前記配線溝を形成した後、当該配線溝の内壁を覆う状態で、前記導電膜を構成する導電材料と当該導電材料以外の金属とからなる合金膜を形成し、この合金膜上に前記導電膜を埋め込むことで、前記配線溝に、前記金属と前記配線間絶縁膜の構成材料とを反応させてなるバリア膜を介して前記配線を形成するとともに、
前記第2の工程では、前記接続孔を形成した後、当該接続孔の内壁を覆う状態で、前記導電膜を構成する導電材料と当該導電材料以外の金属とからなる合金膜を形成し、この合金膜を介して前記導電膜を埋め込むことで、前記接続孔に、前記金属と前記配線層間絶縁膜の構成材料とを反応させてなるバリア膜を介して前記ヴィアを形成する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
請求項7記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の工程の後に、連続して前記第2の工程を行い、
前記第2の工程では、前記配線上および前記第2の低誘電材料層上に、前記配線層間絶縁膜を形成し、前記配線の表面に、前記合金膜中の前記金属と前記配線層間絶縁膜の構成材料とを反応させてなる前記バリア膜を形成する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項7記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2の工程の後に、連続して前記第1の工程を行い、
前記第1の工程では、前記ヴィア上および前記配線層間絶縁膜上に、前記第1の低誘電材料層を形成し、前記ヴィアの表面に、前記合金膜中の前記金属と当該第1の低誘電材料層の構成材料とを反応させてなる前記バリア膜を形成する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項10】
低誘電材料で構成された配線間絶縁膜と配線層間絶縁膜とを備えた半導体装置であって、
有機系の低誘電材料またはアモルファスカーボンで構成された第1の低誘電材料層と無機系の低誘電材料で構成された第2の低誘電材料層とを順次積層してなる配線間絶縁膜を貫通する状態で配線が設けられた第1の層と、
無機系の低誘電材料からなる配線層間絶縁膜を貫通する状態でヴィアが設けられた第2の層とを備え、
下地基板上に、前記配線と前記ヴィアとを連通させる状態で、前記第1の層と前記第2の層とが積層されている
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
請求項10記載の半導体装置において、
前記第1の層上に前記第2の層が設けられており、
前記第1の層を構成する前記第2の低誘電材料層の表面側には、改質処理により形成された改質層が設けられている
ことを特徴とする半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−157959(P2007−157959A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−350176(P2005−350176)
【出願日】平成17年12月5日(2005.12.5)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】