説明

半導体装置の製造方法

【課題】 十分に誘電率が低くかつ機械的強度の高い(層間絶縁膜を備えた)半導体装置を提供する。
【解決手段】 所望の素子領域の形成された半導体基板表面に、Si−O結合を主成分とする骨格の周りに多数の空孔が配置された誘電体薄膜を成膜する工程と、前記誘電体薄膜表面に、マスクを介してパターニングする工程と、パターニングのなされた前記誘電体薄膜表面に、テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)、ヘキサメチルシラザン(HMDS)、トリメチルクロロシラン(TMCS)分子のうちの少なくとも1種を含むガスを接触させる工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置の製造方法に係り、特に誘電体薄膜におけるプロセスダメージのリカバリー技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の高速化・低消費電力化には、層間絶縁膜の低誘電率化が重要な課題である。そして低誘電率化を目的として種々の工夫がなされており、本発明者らは、空孔が規則的に配列された誘電体薄膜を提案している(特許文献1参照)。
【0003】
また、誘電体薄膜の改質方法として、Si−O結合からなる誘電体薄膜に、有機ケイ素化合物を接触させ、金属触媒を用いることなく熱処理することにより疎水性と機械強度の向上を図る方法も提案されている(特許文献2)。
【0004】
しかしながらこのような誘電体薄膜は、空孔率が高く、低誘電率化をはかることができるものの、実際の半導体装置に用いる場合、種々の処理プロセスを経ることになる。このため、空孔率が高く低誘電率の誘電体薄膜を形成することができたとしても、空孔率が高いために、パターニング工程をはじめ、後続の各プロセスにおいて、空孔内にエッチング残渣等が付着して、比誘電率の上昇を招いたり、機械的強度の低下を招いたりすることが多々あった。
【0005】
例えば、半導体基板表面に配線構造を形成する技術の一例として、ダマシンプロセスと呼ばれる技術がある。
このダマシンプロセスの一例について説明する。
まず、図27(a)に示すように、素子領域の形成されたシリコン基板101の表面に図27(b)に示すようにエッチングストッパ102として膜厚50nm程度の窒化シリコン(SiN)膜を形成し、この上層に図27(c)に示すように、低誘電率の誘電体薄膜103としてポーラスシリカ膜を形成する。
【0006】
成膜に際しては、まず界面活性剤として陽イオン型のセチルトリメチルアンモニウムブロマイド(CTAB:C16H33N+(CH3)3Br−)と、シリカ誘導体としてテトラエトキシシラン(TEOS:Tetraethoxy Silane)と、酸触媒としての塩酸(HCl)とを、H2O/アルコール混合溶媒に溶解して形成した前駆体(プレカーサー)溶液を第1の配線層(図示せず)の形成された基板を浸せきし、30から150℃で1時間乃至120時間保持することによりシリカ誘導体を加水分解重縮合反応で重合させて(予備架橋工程)、界面活性剤の周期的な自己凝集体を形成する。そして基板を引き上げ、水洗、乾燥を行った後、400℃の大気中または窒素雰囲気中で3時間加熱・焼成し、鋳型の界面活性剤を完全に熱分解除去して純粋なメゾポーラスシリカ薄膜を形成する。
【0007】
このようにして、得られた誘電体薄膜103をパターニングし、コンタクト孔を形成するわけであるが、図28(d)に示すように反射防止層104として有機樹脂膜を形成した後、フォトレジストR1を塗布する。
そして、図28(e)に示すようにフォトリソグラフィによりパターン露光、現像工程を経てレジストパターンR1を形成する。
【0008】
この後図29(f)に示すように、レジストパターンR1をマスクとして誘電体薄膜103をエッチングし、配線溝を形成する。
そして後図29(g)に示すように、レジストパターンR1および反射防止膜104をアッシングにより除去する。
【0009】
続いて図30(h)に示すように、エッチング加工による配線溝側壁のCF系堆積膜を除去するとともに、ダメージを除去すべく有機溶媒を用いた洗浄が実施され、表面の清浄化がなされる。
そして清浄化された表面にPVD(Physical Vapor Deposition)、CVD(Chemical Vapor Deposition)あるいはALD(Atomic Layer Deposition)法などにより拡散防止バリア膜105としての窒化タンタル(TaN)や、TaN/Ta積層膜やTa膜やWN膜など、銅めっき用のシード膜106としての銅薄膜を形成する(図30(i))。
【0010】
この後図31(i)に示すように、電解めっき法によりCuシード膜上に配線層107としての銅めっき層を形成する。
【0011】
そして最後に、図31(j)に示すように、CMPにより表面の平坦化を行い、余分な銅めっき層およびシード膜105を研磨除去し、配線溝内への配線層の形成を行い、最後にキャップ膜としてのSiN膜を形成する。
なおここでシード膜105の形成に先立ちバリア層を形成している場合には、銅めっき層およびシード膜105を研磨除去した領域のバリア層も除去する。
【0012】
このようにして平坦な表面をもつ配線構造を得ることができる。
しかしながら、実際には、設計値どおりの誘電率を得ることはできず、リーク電流が発生したり、また機械的強度が低下してCMPによる十分な平坦化ができなくなったりすることがあった。
【0013】
種々の実験結果から、本発明者らは以下のことを発見した。
すなわち、このようなメゾポーラス薄膜が、成膜直後に機械的強度が十分に高く低誘電率の誘電体薄膜として有効な特性をもつように形成することができたとしても、実際の半導体デバイスの製造に際しては、誘電体薄膜のエッチング工程においても、レジストの除去工程においても誘電体薄膜はエッチングガスをはじめとする反応性雰囲気に曝されることになる。
このため、せっかく形成した空孔率の高いポーラス薄膜の空孔率が低下したり、表面に水分などが付着し易いことから、半導体装置の層間絶縁膜として十分な特性を得ることができないものと考えられる。
【0014】
このように、誘電体薄膜103のエッチング工程(図22(f))におけるダメージ、レジストパターンの剥離工程(アッシング工程図22(g))におけるダメージにより、誘電体薄膜は劣化し、本来の特性を発揮することができなかった。
【0015】
また、エッチング残渣除去のための有機洗浄(図23(h))におけるダメージ、さらにはCMP工程後のダメージ(図24(k))など、誘電体薄膜は成膜後の種々のプロセスにおいてダメージを受けることが多く、機械的強度の低下、剥離、ひいてはリーク電流の発生などの問題があった。
【0016】
このようにメゾポーラス薄膜は空孔率が高く、低誘電率をもつ反面、空孔内に水などの浸入が生じ易く、また気相からの汚染も生じ易く、実際に半導体デバイスの製造に層間絶縁膜として用いる場合には、誘電率や強度において設計どおりの値を得るのは極めて困難であった。
【0017】
【特許文献1】特開2003−17482号公報
【特許文献2】特開2004−210579号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
このように従来の半導体製造プロセスでは、十分に層間絶縁膜の誘電率を下げることができず、また、機械的強度も充分でないという問題があった。
また、半導体装置の微細化に伴い前述したようなダマシン構造のみならず表面の平坦化は進む一方であり、層間絶縁膜等の絶縁膜のCMP耐性はもはや必須の要件となっていることが多い。CMP耐性を十分に発揮させるためには、所望の弾性率と硬度とを具有する必要があった。
本発明は前記実情に鑑みてなされたもので、十分に誘電率が低くかつ機械的強度の高い(層間絶縁膜を備えた)半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
そこで本発明の半導体装置の製造方法では、所望の素子領域の形成された半導体基板表面に、Si−O結合を主成分とする骨格の周りに多数の空孔が配置された誘電体薄膜を成膜する工程と、前記誘電体薄膜表面に、マスクを介してパターニングする工程と、パターニングのなされた前記誘電体薄膜表面に、テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)、ヘキサメチルシラザン(HMDS)、トリメチルクロロシラン(TMCS)分子のうちの少なくとも1種を含むガスを接触させる工程とを含む。
【0020】
かかる方法によれば、Si−O結合を主成分とする骨格の周りに多数の空孔が配置された誘電体薄膜で絶縁膜を構成できることから、空気の誘電率は低いため誘電率を大幅に低下せしめることができ、さらにこの空孔に起因して生じるプロセスダメージに対しては、TMCTS、HMDS、TMCS分子のうちの少なくとも1種を含むガスを接触させることにより、プロセスダメージを受けた場合にも良好な回復状態(リカバリー)を得ることで、成膜直後の絶縁膜の極限的な低誘電率を維持することが可能となり、機械的強度が高く、信頼性の高い絶縁膜を得ることが可能となる。
また、レジストアッシングなどの工程でダメージを受けた場合にも回復可能であるため、ハードマスクを用いることなくレジストマスクを用いてパターニング可能であることから低コスト化、およびパターン精度の向上をはかることができる。
【0021】
ここでダメージを受けるとは、Si-CH3結合→Si-OH結合、Si-H結合→Si-OH結合、Si-O-Si結合→2Si-OH結合のように結合が変化する、あるいは、一旦、ラジカルが形成されてからSi-OH結合に変化する事、あるいは、配線形成プロセスによりH2Oが吸着するサイトを新たに形成する事を指す。
これにより、電気特性や経時安定性等が劣化するものと考えられる。
【0022】
そこで、この回復のための処理工程すなわちリカバリー処理工程は、処理工程で用いたチャンバー内でガスを置換することにより容易に実現できるため、作業性も良好である。
すなわち、ダメージを受けて形成されたSi-OH結合がリカバリープロセスによりSi-CH3結合 or Si-O-Si結合 あるいはSi-H結合のように結合が変化する事を指す。また、Si-H結合 あるいはSi-OH結合を介して新たにSi-CH3結合やSi-O-Si結合が付与されることによっても、電気特性や経時安定性を改善することができる。
ここで適用可能な誘電体薄膜としては、ポーラスシリカ膜、ゼオライト膜、HSQ膜、MSQ膜、等であり、成膜方法としても、塗布・焼成法に限らず、CVD法などの気相成長法を用いてもよい。例えばSiOC、SiOCH、SiCN、SiCO膜もまた必要に応じて、TMCTSやHMDSやTMCS等のシリカ誘導体にて疎水化した膜である。
ここでリカバリー処理に用いるシリカ誘導体は単独で用いてもよいしまた、連続、同時、交互など複数種のシリカ誘導体の組合せも適用可能である。
【0023】
また、TMCTSを用いたリカバリー処理により、疎水性及び電気特性だけでなく、機械強度、界面密着性も向上する。
【0024】
さらにリカバリー処理は高濃度特に超臨界TMCTSリカバリー処理であるのが望ましい。これはHMDS、TMCS等のシリカ誘導体の場合も同様である。
さらに、TMCTSリカバリー処理は配線形成プロセス時の保護にも適用可能である。
加えてこのリカバリー処理方法は、熱アニール以外に、プラズマCVD処理であってもよい。また光照射を付加することにより、より反応性が向上し、リカバリー効果が高められる。
【0025】
また低温下での形成が可能であるため、集積回路の層間絶縁膜として用いる場合にも下地に影響を与えることなく信頼性の高い絶縁膜を形成することが可能となる。500℃以上の加熱工程を得ることなく形成することができるため、アルミニウム配線を用いる場合にも適用可能である。
【0026】
また、この誘電体薄膜は前駆体溶液の供給および焼成によって形成することができるため、微細な領域にも高精度のパターン形成を行うことが可能であるため、信頼性の向上を図ることが可能となる。
【0027】
さらにまた、前駆体溶液の濃度を調整することにより空孔度は適宜変更可能であり、極めて作業性よく所望の誘電率の絶縁体薄膜を形成することが可能となる。
従って、低容量絶縁膜を容易に形成することができ、寄生容量の低減をはかり、半導体装置の高速化を図ることが可能となる。
【0028】
ここでTMCTS(1、3、5、7−テトラメチルシクロテトラシロキサン((SiH(CH3))44))の分子式は、次式に示すごとくである。
【化1】

【0029】
またHMDS(ヘキサメチルシラザン((CH33SiNHSi(CH33))の分子式は、次式に示すごとくである。
【化2】

【0030】
そしてTMCS(トリメチルクロロシラン((CH33SiCl)の分子式は、次式に示すごとくである。
【化3】

【0031】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、前記パターニングする工程が、前記成膜工程で得られた前記誘電体薄膜表面にレジストマスクを形成する工程と、前記レジストマスクを介して前記誘電体薄膜をエッチングする工程とを含む。
この方法によれば、レジストアッシングなどのダメージを生起する工程を含みつつも、リカバリー処理を行なうようにしているため、ハードマスクを形成することなくレジストマスクでパターニングすることができ、パターンの転写精度が高く高精度のパターン形成が可能である上、工数が少なく製造が容易である。
【0032】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、前記パターニングする工程が、前記成膜工程で得られた前記誘電体薄膜表面にハードマスクを形成する工程と、前記ハードマスクを介して前記誘電体薄膜をエッチングする工程とを含み、前記誘電体薄膜をエッチングする工程に先立ち、ハードマスクのパターニング用のレジストを剥離除去する工程を含むものを含む。
この方法によれば、工数が増大するものの、誘電体薄膜に直接レジストが接触するのを防止し、アッシングによる誘電体薄膜の劣化を防止することができる。
【0033】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、前記剥離除去する工程の後、前記誘電体薄膜をエッチングする工程に先立ち、テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)、ヘキサメチルシラザン(HMDS)、トリメチルクロロシラン(TMCS)分子のうちの少なくとも1種を含むガスを接触させる工程を含む。
【0034】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、前記エッチングする工程の後、前記ハードマスクの除去された前記誘電体薄膜表面に、テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)、ヘキサメチルシラザン(HMDS)、トリメチルクロロシラン(TMCS)分子のうちの少なくとも1種を含むガスを接触させる工程を含む。
なお、前記ハードマスクはそのままデバイスの絶縁膜として用いるようにしてもよいが、除去してもよい。除去する場合には除去後にもハードマスクの除去された誘電体薄膜表面に上記ガスを接触させるようにすればよりリカバリー性が向上する。
【0035】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、前記ハードマスクは2層膜であり、下層側のハードマスクを残した状態でレジストをアッシングし、上層側のハードマスクをマスクとして用いて下層側のハードマスクをエッチングする工程を含む。
【0036】
この方法によれば、工数が増大するものの、誘電体薄膜に直接レジストが接触するのを確実に防止し、アッシングによる誘電体薄膜の劣化を防止することができる。またこのハードマスクを誘電体薄膜で構成することにより、除去することなくそのまま絶縁膜として用いることも可能である。
【0037】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、前記パターニングする工程が、配線形成用の溝を形成する工程であり、前記溝内に導電体層を形成する工程を含み、前記導電体層を形成する工程に先立ち、前記配線形成用の溝の形成された前記誘電体薄膜表面を洗浄する工程と、前記洗浄のなされた前記誘電体薄膜表面に、テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)、ヘキサメチルシラザン(HMDS)、トリメチルクロロシラン(TMCS)分子のうちの少なくとも1種を含むガスを接触させる工程を含む。
上記洗浄工程はCF4などのエッチング残渣を除去するのが目的であり有機洗浄のほかプラズマを用いたドライプロセスによる洗浄も適用可能である。
【0038】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、前記導電体層を形成する工程は、前記配線形成用の溝にめっき用のシード層を形成する工程と、前記シード層上に電解めっきを行いめっき層を形成する工程と、CMP工程により、前記誘電体膜上のめっき層およびシード層を除去する工程とを含む。
この方法によれば信頼性の高いダマシン配線構造が形成可能である。なおシード層の形成に先立ち拡散バリア層を形成するようにしてもよい。この方法は銅めっき層を用いる場合により有効である。
【0039】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、前記除去する工程の後、前記誘電体薄膜表面に、テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)、ヘキサメチルシラザン(HMDS)、トリメチルクロロシラン(TMCS)分子のうちの少なくとも1種を含むガスを接触させる工程を含む。
【0040】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、前記パターニングする工程は、コンタクト形成用のスルーホールを形成する工程であり、前記スルーホール内に導電体層を形成する工程を含み、前記導電体層を形成する工程に先立ち、前記スルーホールの形成された前記誘電体薄膜表面を有機洗浄する工程と、前記有機洗浄のなされた前記誘電体薄膜表面に、テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)、ヘキサメチルシラザン(HMDS)、トリメチルクロロシラン(TMCS)分子のうちの少なくとも1種を含むガスを接触させる工程を含む。
【0041】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、前記マスクの形成に先立ち、前記成膜された前記誘電体薄膜表面に、テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)、ヘキサメチルシラザン(HMDS)、トリメチルクロロシラン(TMCS)分子のうちの少なくとも1種を含むガスを接触させる工程を含む。
【0042】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、前記誘電体薄膜を成膜する工程が、シリカ誘導体と界面活性剤を含み、所望の空孔が形成されるような組成比をもつように前駆体溶液を生成する工程と、前記前駆体溶液を昇温し、架橋反応を開始する予備架橋工程と、前記予備架橋工程で架橋反応の開始された前記前駆体溶液を前記半導体基板表面に供給する工程と、前記前駆体溶液が接触せしめられた前記半導体基板を焼成し、前記界面活性剤を分解除去する工程とを含む。
【0043】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、シリカ誘導体と界面活性剤を含み、所望の空孔が形成されるような組成比をもつように前駆体溶液を生成する工程と、前記前駆体溶液を前記半導体基板表面に供給する工程と、前記前駆体溶液が接触せしめられた前記半導体基板を加熱し、架橋反応を開始する予備架橋工程と、前記半導体基板を焼成し、前記界面活性剤を分解除去する工程とを含む。
【0044】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、前記供給する工程が、前記半導体基板を前駆体溶液に浸せきする工程であるものを含む。
【0045】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、前記供給する工程が、前記半導体基板を前記前駆体溶液に浸せきし、所望の速度で引き上げる工程を含むものを含む。
【0046】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、前記供給する工程が、前記前駆体溶液を前記半導体基板上に塗布する工程であるものを含む。
【0047】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、前記供給する工程は、前記前駆体溶液を前記半導体基板上に滴下し、前記基板を回転させる回転塗布工程であるものを含む。
【0048】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、前駆体溶液は、空孔が周期的に配列されるように調製されるものを含む。また、非周期的に空孔が配列されるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0049】
本発明の方法によれば、リカバリー処理により高品質の絶縁膜を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
本発明に係る半導体装置の製造方法の一実施形態を図面を参照しつつ詳細に説明する。
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1として、この誘電体薄膜を半導体装置の層間絶縁膜として用いたシングルダマシン配線構造の製造方法について説明する。
【0051】
この方法は、図1にフローチャート、図2(a)乃至図6(i)に製造工程図を示すように、シングルダマシン配線構造の層間絶縁膜をメゾポーラスシリカ薄膜からなる誘電体薄膜で形成し、プロセスごとにプロセスダメージを回復するためにTMCTS分子に接触させるリカバリー処理工程(ステップT106、T108、T110、T114)を含むことを特徴とする。
【0052】
プロセスとしては上述した従来のプロセスにおいてプロセスごとにプロセスダメージを回復するためのリカバリー処理工程を付加した点が異なるのみで他は上記図27乃至図31に示したシングルダマシン配線構造の製造プロセスと同様である。
【0053】
図7はここで用いるリカバリープロセスのタイムチャートであり、窒素N2を供給しながら15分間で室温から400℃まで昇温し、次いで400℃で窒素を流しながら30分維持した後、窒素の供給を停止して真空吸引を行い0.4Pa以下にして20分維持した後、TMCTS/N2の混合ガスを供給する。最初30分間は0.7g/min、後の60分間は1.4g/minで供給する。このとき圧力は24kPaとした。
【0054】
ここで最初の窒素ガスの供給工程で、チャンバー内の残留ガスを窒素置換し、この後真空にしてTMCTS/N2の混合ガスを供給し、TMCTS/N2の混合ガスを流しながら、リカバリー処理を行なう。
【0055】
以下、図1のフローチャート、図2(a)乃至図6(i)を参照しつつ実際のシングルダマシン配線構造の形成工程について説明する。
まず、図2(a)に示すように、素子領域の形成されたシリコン基板101の表面に図20(b)に示すようにエッチングストッパ102として膜厚50nm程度の窒化シリコン(SiN)膜を形成し、この上層に図2(c)に示すように、低誘電率の誘電体薄膜103としてポーラスシリカ膜を形成する(図1:S101、S102)。
【0056】
成膜に際しては、従来と同様に界面活性剤として陽イオン型のセチルトリメチルアンモニウムブロマイド(CTAB:C1633+(CH33Br-)と、シリカ誘導体としてテトラエトキシシラン(TEOS:Tetraethoxy Silane)と、酸触媒としての塩酸(HCl)とを、H2O/アルコール混合溶媒に溶解して形成した前駆体(プレカーサー)溶液を配線層(図示せず)の形成された基板を浸せきし、30から150℃で1時間乃至120時間保持することによりシリカ誘導体を加水分解重縮合反応で重合させて(予備架橋工程)、界面活性剤の周期的な自己凝集体を形成する。そして基板を引き上げ、水洗、乾燥を行った後、400℃の大気中(窒素:酸素=4:1)で3時間加熱・焼成し、鋳型の界面活性剤を完全に熱分解除去して誘電体薄膜103として純粋なメゾポーラスシリカ薄膜を形成する。
この時点で、上記図7で説明したTMCTS処理を行い、膜の耐性を高める(図1:S103)
【0057】
このようにして、得られた誘電体薄膜103をパターニングし、コンタクト孔を形成するわけであるが、図3(d)に示すように反射防止層104として有機樹脂膜を形成した後、フォトレジストR1を塗布する。
そして、図3(e)に示すようにフォトリソグラフィによりパターン露光、現像工程を経てレジストパターンR1を形成する(図1:S104)。
【0058】
この後、レジストパターンR1をマスクとして誘電体薄膜103をエッチングし、配線溝Tを形成する(図1:S105)。
【0059】
そして、図7に示した処理工程を実施し、誘電体薄膜のエッチングによるダメージを含む表面にTMCTS分子を含む処理ガスを供給することにより、リカバリー処理を行ない、溝側壁のリカバリーを行なう(図4(f)図1:T106)。
【0060】
そして、レジストパターンR1をアッシングにより除去するとともに反射防止膜104をエッチングにより除去する(図1:S107)。
【0061】
再度、図7に示した処理工程を実施し、レジストパターンR1のアッシングによるダメージを含む表面にTMCTS分子を含む処理ガスを供給することにより、リカバリー処理を行なう(図4(g)、図1:T108)。
【0062】
続いて、エッチング加工による配線溝側壁のCF系堆積膜を除去するとともに、ダメージを除去すべく有機溶媒を用いた洗浄が実施され、表面の清浄化がなされる(図1:S109)。
【0063】
そしてさらに、図7に示した処理工程を実施し、有機溶媒による洗浄に起因するダメージを含む表面にTMCTS分子を含む処理ガスを供給することにより、リカバリー処理を行なう(5(h)、図1:T110)。
そして清浄化された表面にPVDあるいはCVD法などにより拡散防止バリア膜105としての窒化タンタル(TaN)、銅めっき用のシード膜106としての銅薄膜を形成する(図5(i))(図1:S111)。
【0064】
この後図6(j)に示すように、電解めっき法によりCuシード膜上に配線層107としての銅めっき層を形成する(図1:S112)。
【0065】
そして最後に、CMPにより表面の平坦化を行い、余分な銅めっき層およびシード膜105を研磨除去する(図1:S113)。
【0066】
そしてさらに、図7に示した処理工程を実施し、CMPに起因するダメージを含む表面にTMCTS分子を含む処理ガスを供給することにより、リカバリー処理を行なう(図6(k)、図1:T114)。
【0067】
最後に、配線溝内への配線層の形成を行い、図6(l)に示すように、最後にキャップ膜としてのSiN膜を形成し、特性評価を行なう(図1:S115)。
【0068】
このようにしてほぼ設計値どおりの誘電率を得ることができ、寄生容量も十分に小さく、リーク電流もなく、信頼性が高く、平坦な表面をもつ配線構造を得ることができる。
また、リカバリー処理により各プロセスによるダメージを回復することにより、ハードマスクを用いることなく直接レジストパターンをマスクとしてパターニングすることによっても十分な特性を維持することができる。従って、より高度のパターン精度を得ることができる。
また、十分に機械的強度の高い誘電体薄膜を得ることができるため、CMPにより十分な平坦化が可能となる。
【0069】
次にこのリカバリー処理の効果を検証するための実験を行なった結果を示す。
図8は、各処理工程を示す、符号と処理の対応表である。
まず各処理工程後の膜厚変化について測定した結果を説明する。
【0070】
(膜厚の変化について)
図9に示すようにRefとして成膜直後にTMCTS処理を行なった図2(c)の工程後の誘電体薄膜103の膜厚の平均値は327nmであった。
【0071】
アッシング工程は図8にA1で示すようにCF4/O2アッシング処理後、O2アッシングを行なう工程、A2で示すようにCF4/O2アッシングを行なう工程、A3で示すようにO2アッシングを行なう工程の3種類について行なった。そして各アッシング工程後に、図7に示したようなTMCTS分子を用いたリカバリー処理(T)を行なった結果を、A1+T、A2+T、A3+Tで示した。
【0072】
その結果、CF4/O2アッシング(A1、A2)によって膜厚が10%程度低下しているものの、A1+T、A2+Tで示すリカバリー処理後のものは若干ではあるが膜厚が減少していることがわかる。
【0073】
またO2アッシング(A3)では膜厚に関してはほとんどダメージはなく変化はないがA3+Tで示すリカバリー処理後のものは若干ではあるが膜厚が減少していることがわかる。
【0074】
さらにまた、有機洗浄処理(WC)による膜厚の影響についても測定した。
その結果、有機洗浄処理によって膜厚の変化はほとんどないが、WC+Tで示すリカバリー処理後のものについては、膜厚がわずかに減少していることがわかる。
【0075】
さらにAr/C58/O2を用いたCMP工程における処理後の状態をHEで示しているが、膜厚は減少しており、HE+Tで示すリカバリー処理後のものについても膜厚はわずかに減少していることがわかる。
【0076】
(屈折率の変化について)
次に屈折率について測定した結果を図10に示す。
図10に示すようにRefとして成膜直後にTMCTS処理を行なった図2(c)の工程後の誘電体薄膜103の屈折率は1.202であった。
【0077】
アッシング工程は同様に、図8にA1で示すようにCF4/O2アッシング処理後、O2アッシングを行なう工程、A2で示すようにCF4/O2アッシングを行なう工程、A3で示すようにO2アッシングを行なう工程の3種類について行なった。そして各アッシング工程後に、図7に示したようなTMCTS分子を用いたリカバリー処理(T)を行なった結果を、A1+T、A2+T、A3+Tで示した。
【0078】
その結果、CF4/O2アッシング(A1、A2)によって屈折率は減少しているが、A1+T、A2+Tで示すリカバリー処理後のものは屈折率は増大しており、TMCTSの取り込みにより膜密度が増大していることがわかる。
【0079】
またO2アッシング(A3)では膜厚に関しては屈折率が増大しており、これは疎水性の劣化に起因するものと考えられる。そしてA3+Tで示すリカバリー処理後のものはさらに屈折率が増大している。
【0080】
さらにまた、有機洗浄処理(WC)による屈折率の影響についても測定した。
その結果、有機洗浄処理によって屈折率の変化はほとんどなく、WC+Tで示すリカバリー処理後のものについてもほとんど変化はない。
【0081】
さらにAr/C58/O2を用いたハーフエッチング工程における処理後の状態をHEで示しているが、屈折率の変化はほとんどなく、HE+Tで示すリカバリー処理後のものについても屈折率の変化はほとんどない。
【0082】
(比誘電率(k値)の変化について)
次に比誘電率について測定した結果を図11に示す。
図11に示すようにRefとして成膜直後にTMCTS処理を行なった図2(c)の工程後の誘電体薄膜103の比誘電率は、空気中で2.35、窒素雰囲気中では2.19であった。図11中左側は空気中、右側は窒素雰囲気中での測定値を示す。
【0083】
アッシング工程は同様に、図8にA1で示すようにCF4/O2アッシング処理後、O2アッシングを行なう工程、A2で示すようにCF4/O2アッシングを行なう工程、A3で示すようにO2アッシングを行なう工程の3種類について行なった。そして各アッシング工程後に、図7に示したようなTMCTS分子を用いたリカバリー処理(T)を行なった結果を、A1+T、A2+T、A3+Tで示した。
各プロセスにおいてk値は劣化しており、リカバリー処理により大幅に回復し、有機洗浄とハーフエッチングではリカバリー処理により初期値以下に回復している。
【0084】
すなわち、図12に比誘電率の変化率を示すように、各アッシング工程(A1、A2、A3)によって比誘電率は9〜28%増大しており、有機洗浄(WC)では9%増大、HEでは4%増大しているが、A1+T、A2+T、A3+Tで示すリカバリー処理後のものは比誘電率は23〜68%回復していることがわかる。
【0085】
(面内分布)
次に、比誘電率の面内分布について測定した結果を図13(a)および(b)に示す。
図13(a)は各処理後、図13(b)はリカバリー処理後の比誘電率(k値)を示し、横軸は中心からの距離(nm)を示す。
各プロセス後のk値劣化に顕著な軸方向依存性(面内分布)はみられずO2アッシングを含むアッシング処理A1、A3ではウェハエッジ部で劣化が小さいことがわかる。
【0086】
(リーク電流)
次に、この誘電体薄膜のリーク電流を測定した結果を図14(a)および(b)に示す。
図14(a)は各処理後、図14(b)はリカバリー処理後のリーク電流を示し、横軸は電場の大きさ(MV/cm)を示す。
有機洗浄(WC)では、リーク電流はほとんど変わらず、劣化はみられないものの、アッシング工程(A1、A2、A3)とHE工程でリーク電流は増大する。これに対しリカバリー処理(T)を行なった結果、A1+T、A2+T、A3+T、HE+Tで示すように、大幅に回復していることがわかる。
【0087】
(弾性率、硬度)
次に、この誘電体薄膜の弾性率および硬度を測定した結果を図15(a)および(b)に示す。
図15(a)および図15(b)は各処理後およびリカバリー処理後の弾性率(E値)および硬度(H値)の変化率を測定した結果を示す。図15(c)は各測定データを示す。
【0088】
(硬度、弾性率と比誘電率との関係)
次に、硬度、弾性率と比誘電率との関係を示すために、この誘電体薄膜の硬度および弾性率と比誘電率との関係を測定した結果を図16(a)および(b)に示す。
図16(b)において成膜直後の誘電体薄膜の弾性率とk値に対応するEw=17.5GPaの直線よりもk値が小さいものすなわち、左側にあるものが改善された膜であるが、この図から明らかなように、リカバリー処理後のものは全て左側に存在し、良好な特性を発揮していることがわかる。
【0089】
(実施の形態2)
前記実施の形態1ではレジストパターンをマスクとして層間絶縁膜に溝を形成する工程を含む半導体装置の製造工程について説明したが、本実施の形態では、2層構造のハードマスクを用いた溝の形成について説明する。本実施の形態でも同様にシングルダマシン配線構造の製造方法について説明する。
【0090】
この方法は、図17(a)乃至図21(n)に製造工程図を示すように、ハードマスクとして酸化シリコン膜201と窒化シリコン膜202の2層構造マスクを用いた点が異なるのみで他は前記実施の形態1で説明したものと同様であり、シングルダマシン配線構造の層間絶縁膜をメゾポーラスシリカ薄膜からなる誘電体薄膜で形成し、プロセスごとにプロセスダメージを回復するためにTMCTS分子に接触させるリカバリー処理工程を含むことを特徴とする。
本実施の形態では、2層構造のハードマスクを用いているため、誘電体薄膜が露呈してダメージを受ける工程は誘電体薄膜自体のエッチング工程(図20(i))と、エッチング後の有機洗浄工程(図20(j))とであり、この2工程の後にリカバリー処理工程を実行するようにしたことを特徴とする。またリカバリープロセスについては図7に示したタイムチャートに従って、実行するものとする。
【0091】
以下、図17(a)乃至図21(n)を参照しつつ2層構造のハードマスクを用いたシングルダマシン配線構造の形成工程について説明する。
まず、図17(a)乃至(c)に示すように、前記実施の形態1と同様、素子領域の形成されたシリコン基板101の表面に、エッチングストッパ102として膜厚50nm程度の窒化シリコン(SiN)膜を形成し、この上層に、低誘電率の誘電体薄膜103としてポーラスシリカ膜を形成する。
【0092】
そして図17(d)に示すように、CVD法により酸化シリコン膜201および窒化シリコン膜202を形成し2層構造のハードマスクを形成する。
【0093】
この後同様にして図18(e)に示すように、反射防止層104として有機樹脂膜を形成した後、フォトレジストR1を塗布する。
そして、図18(f)に示すように前記実施の形態1と同様に、フォトリソグラフィによりパターン露光、現像工程を経てレジストパターンR1を形成する。
【0094】
この後、図19(g)に示すように、第1層目のハードマスクである酸化シリコン膜201を残して反射防止膜104と窒化シリコン膜202のみをパターニングする。
【0095】
そして、図19(h)に示すように、この酸化シリコン膜201を残した状態でレジストパターンR1をO2アッシングにより除去する。このとき誘電体薄膜103はO2プラズマに触れることがないためダメージはほとんどないが、わずかに酸化シリコン膜201を介してダメージを受けることがあるため、望ましくは、アッシング後に図7に示したリカバリー処理を行なうのが望ましい。
【0096】
この後、下層側のハードマスクである酸化シリコン膜201と誘電体薄膜103とを連続してエッチングする。そして、図7に示した処理工程を実施し、誘電体薄膜のエッチングによるダメージを含む表面にTMCTS分子を含む処理ガスを供給することにより、リカバリー処理を行ない、溝側壁のリカバリーを行なう(図20(i))。
【0097】
続いて、エッチング加工による配線溝側壁のCF系堆積膜を除去するとともに、ダメージを除去すべく有機溶媒を用いた洗浄が実施され、表面の清浄化がなされ、そしてさらに、図7に示した処理工程を実施し、有機溶媒による洗浄に起因するダメージを含む表面にTMCTS分子を含む処理ガスを供給することにより、リカバリー処理を行なう(20(j))。
【0098】
そして清浄化された表面にPVDあるいはCVD法などにより拡散防止バリア膜105としての窒化タンタル(TaN)、銅めっき用のシード膜106としての銅薄膜を形成する(図20(k)。
【0099】
以下の工程は、誘電体薄膜103の上層にハードマスクとして用いた酸化シリコン膜201と窒化シリコン膜202とが積層された状態で残っている以外は、前記実施の形態1と同様である。
このようにして、各処理工程を実行した後、配線溝内への配線層の形成を行い、最後にキャップ膜としてのSiN膜を形成し、特性評価を行なう。
【0100】
このようにしてほぼ設計値どおりの誘電率を得ることができ、寄生容量も十分に小さく、リーク電流もなく、信頼性が高く、平坦な表面をもつ配線構造を得ることができる。
本実施の形態では2層構造のハードマスクを用いているため、プロセスダメージは若干小さい。
【0101】
(実施の形態3)
前記実施の形態2では2層構造のハードマスクをマスクとして層間絶縁膜に溝を形成する工程を含む半導体装置の製造工程について説明したが、本実施の形態では、単層構造のハードマスクを用いた溝の形成について説明する。本実施の形態でも同様にシングルダマシン配線構造の製造方法について説明する。
【0102】
この方法は、図22(a)乃至図26(n)に製造工程図を示すように、ハードマスクとして炭化シリコン膜301を用いた点が異なるのみで他は前記実施の形態2で説明したものと同様であり、シングルダマシン配線構造の層間絶縁膜をメゾポーラスシリカ薄膜からなる誘電体薄膜で形成し、プロセスごとにプロセスダメージを回復するためにTMCTS分子に接触させるリカバリー処理工程を含むことを特徴とする。
本実施の形態では、1層構造のハードマスクを用いているため、2層構造のハードマスクを用いた場合に比べて、レジストパターンのアッシング工程(図24(h))において誘電体薄膜が露呈している点で、ダメージを受ける工程が増え、レジストパターンのアッシング工程後についてもリカバリー処理工程が必須となる。またこの後、実施の形態2と同様、誘電体薄膜自体のエッチング工程(図25(j))と、エッチング後の有機洗浄工程(図25(k))とであり、この2工程の後にリカバリー処理工程を実行する。またリカバリープロセスについては図7に示したタイムチャートに従って、実行するものとする。
【0103】
以下、図22(a)乃至図26(n)を参照しつつ単層構造のハードマスクを用いたシングルダマシン配線構造の形成工程について説明する。
まず、図22(a)乃至(c)に示すように、前記実施の形態1、2と同様、素子領域の形成されたシリコン基板101の表面に、エッチングストッパ102として膜厚40nm程度の窒化シリコン(SiN)膜を形成し、この上層に、低誘電率の誘電体薄膜103としてポーラスシリカ膜を形成する。
【0104】
そして図22(d)に示すように、CVD法により炭化シリコン膜(SiC)301を形成し単層構造のハードマスクを形成する。このハードマスクの材料としてはSiCのほかSiOC、SiOなどを適用可能である。
【0105】
この後同様にして図23(e)に示すように、反射防止層104として有機樹脂膜を形成した後、フォトレジストR1を塗布する。
そして、図23(f)に示すように前記実施の形態1、2と同様に、フォトリソグラフィによりパターン露光、現像工程を経てレジストパターンR1を形成する。
【0106】
この後、図24(g)に示すように、反射防止膜104とハードマスクである炭化シリコン膜301をパターニングする。
【0107】
そして、レジストパターンR1をO2アッシングにより除去する。このときO2プラズマにより、誘電体薄膜表面がダメージを受けるため、アッシング後に図7に示したリカバリー処理を行なう(図24(h))。
【0108】
この後、下層側のハードマスクである炭化シリコン膜301と誘電体薄膜103とを連続してエッチングする。そして、図7に示した処理工程を実施し、誘電体薄膜のエッチングによるダメージを含む表面にTMCTS分子を含む処理ガスを供給することにより、リカバリー処理を行ない、溝側壁のリカバリーを行なう(図25(i))。
【0109】
続いて、エッチング加工による配線溝側壁のCF系堆積膜を除去するとともに、ダメージを除去すべく有機溶媒を用いた洗浄が実施され、表面の清浄化がなされ、そしてさらに、図7に示した処理工程を実施し、有機溶媒による洗浄に起因するダメージを含む表面にTMCTS分子を含む処理ガスを供給することにより、リカバリー処理を行なう(25(j))。
【0110】
そして清浄化された表面にPVDあるいはCVD法などにより拡散防止バリア膜105としての窒化タンタル(TaN)、銅めっき用のシード膜106としての銅薄膜を形成する(図26(k)。
【0111】
以下の工程は、誘電体薄膜103の上層にハードマスクとして用いた炭化シリコン膜301が積層された状態で残っている以外は、前記実施の形態1、2と同様である。
このようにして、各処理工程を実行した後、配線溝内への配線層の形成を行い、最後にキャップ膜としてのSiN膜を形成し、特性評価を行なう。
【0112】
このようにしてほぼ設計値どおりの誘電率を得ることができ、寄生容量も十分に小さく、リーク電流もなく、信頼性が高く、平坦な表面をもつ配線構造を得ることができる。
本実施の形態で単層構造のハードマスクを用いているため、プロセスダメージは2層構造のハードマスクよりは若干大きいがリカバリー処理により回復可能である。
【0113】
なお、前駆体溶液の組成については、前記実施形態の組成に限定されることなく、溶媒を100として、界面活性剤0.01から0.1、シリカ誘導体0.01から0.5、酸触媒0から5とするのが望ましい。かかる構成の前駆体溶液を用いることにより、円柱状の空孔を有する低誘電率絶縁膜を形成することが可能となる。
【0114】
また、前記実施形態では、界面活性剤として陽イオン型のセチルトリメチルアンモニウムブロマイド(CTAB:C1633+(CH33Br-)を用いたが、これに限定されることなく、他の界面活性剤を用いてもよいことは言うまでもない。
ただし、触媒としてNaイオンなどのアルカリイオンを用いると半導体材料としては、劣化の原因となるため、陽イオン型の界面活性剤を用い、触媒としては酸触媒を用いるのが望ましい。酸触媒としては、HClの他、硝酸(HNO3)、硫酸(H2SO4)、燐酸(H3PO4)、H4SO4等を用いてもよい。或いは非イオン型の界面活性剤を用いても良い。
【0115】
またシリカ誘導体としては、TEOSに限定されることなく、テトラメトキシシラン(TMOS:Tetramethoxy Silane)などのシリコンアルコキシド材料を用いるのが望ましい。
また溶媒としては水H2O/アルコール混合溶媒を用いたが、水のみでもよい。
さらにまた、焼成雰囲気としては大気雰囲気を用いたが、減圧下でも、窒素雰囲気中でもよい。望ましくは窒素と水素の混合ガスからなるフォーミングガスを用いることにより、耐湿性が向上したり或いは膜のミクロな電気的欠陥が補修される事により、リーク電流の低減を図ることが可能となる。
【0116】
また、界面活性剤、シリカ誘導体、酸触媒、溶媒の混合比については適宜変更可能である。
さらに、予備重合工程は、30から150℃で1時間乃至120時間保持するようにしたが、望ましくは、60から120℃、更に望ましくは90℃とする。
【0117】
また、焼成工程は、400℃1時間としたが、300℃から500℃で1乃至5時間程度としてもよい。望ましくは350℃から450℃とする。
なお、前記実施形態では、スピナーを用いた塗布方法について説明したが、刷毛で塗布するいわゆる刷毛塗り法も適用可能である。
【0118】
また、リカバリー対象となる膜としてはポーラスシリカ膜の他ゼオライト膜、HSQ膜、MSQ膜、あるいは必要に応じてTMCTS、HMDS、あるいはTMCSなどのシリカ誘導体で疎水化処理を行なったものについても適用可能である。
【0119】
またリカバリー処理は酸系、有機酸系、塩素系、ウェット系、ドライ系、などのエッチングプロセスに適用可能である。
【0120】
加えて、前記実施形態では、シングルダマシン配線構造に用いられるの層間絶縁膜について説明したが、アルミニウム配線を用いた多層配線構造にも適用可能であることはいうまでもない
【0121】
また、本発明で用いられる誘電体薄膜は、主としてSi−O結合からなる誘電体薄膜であって、部分的に有機元素が含まれていてもよい。Si−O結合からなるとは、1つのSi原子に少なくとも2つ以上のO原子が結合し、そのO原子を介して他のSi原子が結合されている構造からなることを言い、それ以外は特に限定されない。例えば、部分的に、ケイ素に水素、ハロゲン、アルキル基やフェニル基、あるいはこれらを含む官能基が結合されていてもよい。
【0122】
誘電体薄膜中のSiとOの割合はXPSによる元素分析で確認され、0.5≦Si/O(原子比)≦1.0の範囲にあり、Siの重量分率が40重量%以上であることが好ましい。また、Si−Oの結合はIRにより確認できる。一般的なものとしては、シリカ、水素化シルセスキオキサン、メチルシルセスキオキサン、水素化メチルシルセスキオキサン、ジメチルシロキサンなどからなる薄膜があげられる。
【0123】
また、本発明の誘電体薄膜は、その表面を、メチル基、水素基等を有する一般に知られた表面処理剤であらかじめ処理されたものであってもよい。例えば、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、トリメチルシリルクロライド(TMSC)、あるいはモノシランなどで処理された誘電体薄膜も使用できる。
【0124】
本発明において用いられる誘電体薄膜は、メソ孔を有するものであることが好ましい。また、平均細孔径は0.5nm〜10nmの範囲にあることが好ましい。この範囲であれば、後述する処理により、十分な機械強度と低誘電率を両立させて達成することができる。
【0125】
一般的には、薄膜の平均細孔径は3検体全自動ガス吸着量測定装置オートソーブ−3B型(カンタクローム社製)を使用して測定することができる。この場合の測定は、液体窒素温度下(77K)における窒素吸着法で実施され、比表面積はBET法、細孔分布はBJH法により求めることができる。
【0126】
本発明において用いられる誘電体薄膜は、上記のものであれば特に限定されないが、その製造方法により分けると、(1)アルコキシシランをゾルゲル法により成膜して多孔質化した薄膜、(2)シリカゾルと有機化合物を自己組織化させ、成膜後有機化合物を除去することで多孔質化した薄膜、(3)基板表面にゼオライトを結晶成長させることで多孔質化した薄膜などを挙げることができる。
【0127】
これらの製造方法に得られる誘電体薄膜に関して以下に説明する。
(1)アルコキシシランをゾルゲル法により成膜して多孔質化した薄膜
この方法では、多孔質化した薄膜を得るために、その製造方法は特に限定されないが、具体的には以下の例のようにして製造することができる。
まず、成膜するための塗布液を調製する。塗布液は、それぞれ後述するような成分であるアルコキシシラン、触媒、および水、さらに必要に応じて溶媒を添加して、0℃〜70℃、好ましくは30〜50℃で、数分〜5時間、好ましくは1〜3時間攪拌して得ることができる。はじめに、上記各成分について説明する。
【0128】
(アルコキシシラン)
誘電体薄膜の製造に用いられるアルコキシシランは、特に限定されるものではないが、具体例としてテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブチルシラン等の4級アルコキシシラン;トリメトキシフルオロシラン、トリエトキシフルオロシラン、トリイソプロポキシフルオロシラン、トリブトキシフルオロシラン等の3級アルコキシフルオロシラン;CF3(CF2)3CH2CH2Si(OCH3)3、CF3(CF2)5CH2CH2Si(OCH3)3、CF3(CF2)7CH2CH2Si(OCH3)3、CF3(CF2)9CH2CH2Si(OCH3)3、(CF3)2CF(CF2)4CH2CH2Si(OCH3)3、(CF3)2CF(CF2)6CH2CH2Si(OCH3)3、(CF3)2CF(CF2)8CH2CH2Si(OCH3)3、CF3(C64)CH2CH2Si(OCH3)3、CF3(CF2)3(C64)CH2CH2Si(OCH3)3、CF3(CF2)5(C64)CH2CH2Si(OCH3)3、CF3(CF2)7(C64)CH2CH2Si(OCH3)3、CF3(CF2)3CH2CH2SiCH3(OCH3)2、CF3(CF2)5CH2CH2SiCH3(OCH3)2、CF3(CF2)7CH2CH2SiCH3(OCH3)2、CF3(CF2)9CH2CH2SiCH3(OCH3)2、(CF3)2CF(CF2)4CH2CH2SiCH3(OCH3)2、(CF3)2CF(CF2)6CH2CH2SiCH3(OCH3)2、(CF3)2CF(CF2)8CH2CH2SiCH3(OCH3)2、CF3(C64)CH2CH2SiCH3(OCH3)2、CF3(CF2)3(C64)CH2CH2SiCH3(OCH3)2、CF3(CF2)5(C64)CH2CH2SiCH3(OCH3)2、CF3(CF2)7(C64)CH2CH2SiCH3(OCH3)2、CF3(CF2)3CH2CH2Si(OCH2CH3)3、CF3(CF2)5CH2CH2Si(OCH2CH3)3、CF3(CF2)7CH2CH2Si(OCH2CH3)3、CF3(CF2)9CH2CH2Si(OCH2CH3)3等のフッ素含有アルコキシシラン;トリメトキシメチルシラン、トリエトキシメチルシラン、トリメトキシエチルシラン、トリエトキシエチルシラン、トリメトキシプロピルシラン、トリエトキシプロピルシラン等の3級アルコキシアルキルシラン;トリメトキシフェニルシラン、トリエトキシフェニルシラン、トリメトキシクロロフェニルシラン、トリエトキシクロロフェニルシラン等の3級アルコキシアリールシラン;トリメトキシフェネチルシラン、トリエトキシフェネチトリエトキシフェネチルシラン等の3級アルコキシフェネチルシラン;ジメトキシジメチルシラン、ジエトキシジメチルシラン等の2級アルコキシアルキルシラン等が挙げられる。これらのうちでは、テトラエトキシシランを用いることが好ましい。
これらのアルコキシシランは、1種単独でも2種以上を組み合わせても用いることができる。
【0129】
(触媒)
塗布液の調製に用いられる触媒としては、酸触媒またはアルカリ触媒から選ばれる少なくとも1種を使用することができる。
酸触媒としては、無機酸および有機酸を挙げることができ、無機酸としては、例えば塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸、リン酸、ホウ酸、臭化水素酸などを挙げることができる。また、有機酸としては、例えば酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、シュウ酸、マレイン酸、メチルマロン酸、アジピン酸、セバシン酸、没食子酸、酪酸、メリット酸、アラキドン酸、シキミ酸、2−エチルヘキサン酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、サリチル酸、安息香酸、p−アミノ安息香酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、マロン酸、スルホン酸、フタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸、リンゴ酸などを挙げることができる。
【0130】
アルカリ触媒としては、アンモニウム塩および窒素含有化合物を挙げることができ、アンモニウム塩としては、例えば水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウムなどを挙げることができる。窒素含有化合物としては、例えばピリジン、ピロール、ピペリジン、1−メチルピペリジン、2−メチルピペリジン、3−メチルピペリジン、4−メチルピペリジン、ピペラジン、1−メチルピペラジン、2−メチルピペラジン、1,4−ジメチルピペラジン、ピロリジン、1−メチルピロリジン、ピコリン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルモノエタノールアミン、モノメチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジアザビシクロオクテン、ジアザビシクロノナン、ジアザビシクロウンデセン、2−ピラゾリン、3−ピロリン、キヌキリジン、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、N,N−ジメチルアミン、N,N−ジエチルアミン、N,N−ジプロピルアミン、N,N−ジブチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミンなどを挙げることができる。
【0131】
(溶媒)
塗布液調製に使用できる溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、i−ペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、t−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、ヘプタノール−3、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、2,6−ジメチルヘプタノール−4、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フェニルメチルカルビノール、ジアセトンアルコール、クレゾールなどのモノアルコール系溶媒;エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ペンタンジオール−2,4、2−メチルペンタンジオール−2,4、ヘキサンジオール−2,5、ヘプタンジオール−2,4、2−エチルヘキサンジオール−1,3、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジ−i−ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、2−ヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、ジアセトンアルコール、アセトフェノン、フェンチョンなどのケトン系溶媒;エチルエーテル、i−プロピルエーテル、n−ブチルエーテル、n−ヘキシルエーテル、2−エチルヘキシルエーテル、エチレンオキシド、1,2−プロピレンオキシド、ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、ジオキサン、ジメチルジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エトキシトリグリコール、テトラエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒;ジエチルカーボネート、酢酸メチル、酢酸エチル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸n−ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸i−アミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチルなどのエステル系溶媒;N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドンなどの含窒素系溶媒などを挙げることができる。
溶媒は、これらから選ばれる1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
【0132】
これらの各成分の添加方法は任意であり、添加順序も特に制限されないが、好ましくは、アルコキシシランへの水の添加は、アルコキシシランの加水分解、脱水縮合を制御するために、二回に分けて行うのがよい。1回目の水の添加では加水分解、脱水縮合を完了させないために水/アルコキシシランのアルコキシ基(モル比)=0.1〜0.3で、好ましくは0.2〜0.25で添加するのがよい。2回目の水添加は任意でよいが、好ましくは水/アルコキシシランのアルコキシ基(モル比)=1〜10で添加するのがよい。1回目と2回目の水添加の間の時間は特に制限はなく任意に設定できる。添加する触媒量は反応を促進させることができる程度であればよく、好ましくはアルコキシシラン:触媒=1:0.1〜0.001のモル比で添加する。溶媒で希釈する場合はおおよそ1〜100倍、好ましくは3〜20倍に希釈して用いる。
【0133】
これらのアルコキシシラン、触媒、および水、さらに必要に応じて溶媒を添加して数分〜5時間程度攪拌して得られた塗布液を、基板に塗布し、誘電体薄膜の前駆体を得る。薄膜の多孔質化の条件は、用いる溶媒やアルコキシシランの種類を変えることにより制御でき、乾燥、焼成による溶媒の蒸発、あるいは加水分解で生じるアルコール成分の除去により細孔が形成され、誘電体薄膜が得られる。
【0134】
基板に塗布する方法としては、例えば、スピンコート法、キャスティング法、ディップコート法等の一般的な方法が挙げられる。スピンコート法の場合、スピナー上に基板を置き、該基板上に試料を滴下し、500〜10000rpmで回転させることにより、薄膜表面が平滑性に優れる均一な膜厚の誘電体薄膜が得られる。
【0135】
溶媒やアルコキシシランの加水分解で生じるアルコール成分の除去のために行う乾燥、焼成において、乾燥条件は特に限定されず、溶媒やアルコール成分が蒸発できればよい。焼成条件も特に限定されず、焼成により薄膜中のシラノール基の縮合がさらに促進されていればよい。したがって、焼成雰囲気も、大気中、不活性ガス中、真空中のいずれでも行うことができる。但し、薄膜中にHやメチル基などが存在する場合にはこれらが分解しない温度で焼成することが望ましい。具体的には、250〜450℃の範囲で、窒素中での焼成が好ましい。
【0136】
また、表面張力の小さい有機溶媒や超臨界流体により、溶媒やアルコキシシランの加水分解で生じるアルコール成分を除去することもできる。特に、圧力と温度を調節し表面張力がない超臨界流体による除去は、薄膜の細孔がつぶれず、非常に多孔質なものが得られるので好ましい。
【0137】
このような製造方法では、誘電体薄膜は、自立した状態、または基板に固着した状態で得られる。得られた薄膜の細孔は、薄膜の断面TEM観察や細孔分布測定により、平均細孔径で0.5nm〜10nmを有することを確認することができる。また、薄膜の厚さは製造条件によっても異なるが、おおよそ0.05〜2μmの範囲である。
【0138】
(2)アルコキシシランをゾルゲル法により成膜する際にシリカゾルと有機化合物を自己組織化させ、成膜後有機化合物を除去することで多孔質化した薄膜
アルコキシシランをゾルゲル法により成膜する際にシリカゾルと有機化合物を自己組織化させ、成膜後有機化合物を除去することで多孔質化した薄膜は、上述の(1)の薄膜の製造において、アルコキシシランを用いて塗布液を調製する過程で、さらに細孔形成剤(鋳型)として、例えば界面活性剤のような有機化合物を添加した塗布液から得られる。
【0139】
上記界面活性剤としては、通常、長鎖アルキル基および親水基を有する化合物を使用することができる。長鎖アルキル基としては、好ましくは炭素原子数8〜24のもの、さらに好ましくは炭素原子数12〜18のものが望ましく、また、親水基としては、例えば、4級アンモニウム塩の基、アミノ基、ニトロソ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基等が挙げられ、なかでも4級アンモニウム塩の基、またはヒドロキシル基であることが望ましい。
【0140】
そのような界面活性剤として具体的には、一般式
n2n+1(N(CH3)2(CH2)m)a(CH2)bN(CH3)2L2L+11+a
(式中、aは0〜2の整数、bは0〜4の整数、nは8〜24の整数、mは0〜12の整数、Lは1〜24の整数であり、Xはハロゲン化物イオン、HSO4−または1価の有機アニオンである。)で表されるアルキルアンモニウム塩の使用が好ましい。
【0141】
上記一般式で表される界面活性剤は、塗布液中でミセルを形成し、規則的に配列する。本発明においては、このミセルが鋳型となって、アルコキシシランの加水分解、脱水縮合で得られるシリカと界面活性剤とが複合体をつくる。次いで、鋳型の界面活性剤を除去することにより均一で規則的な配列の細孔を有する誘電体薄膜を調製することができる。
【0142】
また、界面活性剤としては、ポリアルキレンオキサイド構造を有する化合物も使用できる。ポリアルキレンオキサイド構造としてはポリエチレンオキサイド構造、ポリプロピレンオキサイド構造、ポリテトラメチレンオキサイド構造、ポリブチレンオキサイド構造などが挙げられる。
【0143】
このようなポリアルキレンオキサイド構造を有する化合物として具体的には、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルなどのエーテル型化合物;ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどのエーテルエステル型化合物などを挙げることができる。
【0144】
本発明において、界面活性剤は、以上から選ばれる1種単独でも2種以上を組み合わせても用いることができる。
【0145】
アルコキシシランと触媒、および水の添加比率は上述の(1)の場合と同様であるが、界面活性剤の添加量はアルコキシシランに対するモル比で0.002〜0.6倍であることが好ましく、さらに好ましくは0.005〜0.15倍である。上記界面活性剤の添加される際の形態は問われず、固体状態、液体状態、溶媒に溶解した状態の何れの形態であってもよい。
【0146】
上記界面活性剤とアルコキシシランとの組み合わせ、モル比などを変えることにより、上記(2)の方法に従い、2D−ヘキサゴナル構造、3D−ヘキサゴナル構造、キュービック構造などの周期的な細孔構造を有する誘電体薄膜を製造することができる。
【0147】
このような誘電体薄膜を得るには、前記のようにして調製された塗布液を、上述した(1)の方法と同様に、基板に塗布し、乾燥させた後、さらに、焼成または有機溶媒による抽出により界面活性剤を除去すればよい。得られた誘電体薄膜の細孔は、薄膜の断面TEM観察や細孔分布測定により、平均細孔径1nm〜10nmを有することを確認することができる。また、2D−ヘキサゴナル構造、3D−ヘキサゴナル構造、キュービック構造などの周期的な細孔構造を有する場合には、X線回折(CuKα)により、面間隔が1.3nm〜13nmの範囲の回折ピークを確認することができる。
【0148】
得られた誘電体薄膜がキュービック構造の細孔を有し、特に、細孔内に細孔壁の離間距離が1〜40Å、好ましくは2〜25Åの範囲の細孔狭部を有する場合には、後述する処理によって、該狭部は容易に閉塞することができ、細孔狭部の少なくとも一部が閉塞された誘電体薄膜を得ることができる。このような細孔狭部の大きさの測定は、電子線構造解析法において確認される。このようにして得られる誘電体薄膜は疎水性に優れ、さらに半導体材料に用いた場合には、バリアメタルの拡散を防止することのできる誘電体薄膜とすることができる。
【0149】
この細孔狭部を有する誘電体薄膜は、キュービック構造を有する誘電体薄膜のほかに、細孔内に狭部が形成された2D−ヘキサゴナル構造や3D−ヘキサゴナル構造を有する誘電体薄膜でも得られる。
【0150】
例えば、界面活性剤とシリコーンオイルとの存在下で、アルコキシシランを部分的に加水分解、脱水縮合することにより、塗布液を調製する。この場合、界面活性剤とシリコーンオイルとを予め混合して混合溶液を調製し、それを部分的に加水分解、脱水縮合されているアルコキシシランに添加することが好ましい。ここで部分的に加水分解、脱水縮合されているとは、混合溶液がゲル化せずに流動化する状態をいう。一般的には粘度が105poiseを超えるとゲル化したとみなせるのでこれ以下の状態である。
【0151】
このように塗布液を調製することにより、シリコーンオイルを中心として界面活性剤が配列し、ミセルを形成すると考えられる。その後、塗布液を基板に塗布し、乾燥させた後、さらに、焼成により界面活性剤を除去すると、ミセルの中心部に取り込まれたシリコーンオイルが誘電体薄膜の細孔内表面に付着した状態で残留するため、上述の狭部を形成すると考えられる。
【0152】
上記シリコーンオイルとしては、特に限定されないが、ポリジメチルシロキサンを主成分とする有機ケイ素化合物が挙げられる。そのようなものとして、トリメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン、ポリフェニルシロキサンとポリジメチルシロキサンのコポリマー、ポリフェニルメチルシロキサンとポリジメチルシロキサンのコポリマー、ポリ−3,3,3−トリフルオロプロピルメチルシロキサンとポリジメチルシロキサンのコポリマー、ポリエチレンオキシドとポリジメチルシロキサンのコポリマー、ポリプロピレンオキシドとポリジメチルシロキサンのコポリマー、ポリエチレンオキシドとポリプロピレンオキシドとポリジメチルシロキサンのコポリマー、ヒドリド末端ポリジメチルシロキサン、ポリメチルヒドリドシロキサンとポリジメチルシロキサンのコポリマー、シラノール末端ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。
本発明において用いられるシリコーンオイルは、これらの中から選ばれる1種単独でも2種以上を組み合わせても用いることができる。
シリコーンオイルの添加量は、アルコキシシランの100重量部に対して、好ましくは1〜100重量部、さらに好ましくは5〜50重量部の範囲である。シリコーンオイルの添加量を上記範囲にすることにより、細孔内に狭部が形成された誘電体薄膜を容易に調製することができる。
【0153】
細孔狭部の少なくとも一部が閉塞された誘電体薄膜において、細孔狭部が閉塞されたこと、および疎水性の向上は、後述する比誘電率測定と薄膜断面のTEM観察をすることで確認される。
【0154】
(3)基板表面にゼオライトを結晶成長させることで多孔質化した薄膜
基板表面にゼオライトを結晶成長させることでも多孔質化した薄膜が得られる。その製造法は特に限定されないが、具体的には例えば以下のように製造することができる。
(A)アルコキシシランやコロイダルシリカなどをシリカ源とし、有機アミンを鋳型にして水熱合成することによって得られるゼオライトの微結晶を含有する塗布液を、基板に塗布し、乾燥、焼成して製造する。
(B)アルコキシシランやコロイダルシリカなどをシリカ源とし、有機アミンを鋳型にして水熱合成することによって得られるゼオライトの微結晶を含有する塗布液に、界面活性剤を添加した後、基板に塗布し、乾燥、焼成して製造する。
(C)アルコキシシランやコロイダルシリカなどをシリカ源とし、有機アミンを鋳型にして水熱合成する際に、基板を挿入し基板表面にゼオライトを結晶成長させた後、乾燥、焼成して製造する。
(D)シリカゲルを基板に塗布したものを、有機アミンを含む水蒸気中でゼオライト結晶化させた後、乾燥、焼成して製造する(ドライゲルコンバージョン)。
【0155】
上記の製造に用いることのできる有機アミンとしては、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化テトラペンチルアンモニウム、トリプロピルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ピペリジン、シクロヘキシルアミン、ネオペンチルアミン、イソプロピルアミン、t−ブチルアミン、2−メチルピリジン、N,N’−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、ジ(n−ブチル)アミン、ジ(n−ペンチル)アミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、コリン、N,N−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ(2,2,2)オクタン、N−メチルジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−メチルピペリジン、キヌクリジン、N,N’−ジメチル−1,4−ジアザビシクロ(2,2,2)オクタンジヒドロキシド、エチレンジアミン、2−イミダゾリドン等が挙げられる。
【0156】
得られた誘電体薄膜は、X線回折(CuKα)により得られる回折ピークから、ゼオライト構造を有することが確認される。
【産業上の利用可能性】
【0157】
以上説明してきたように、本発明によれば、容易に制御性よく、機械的強度が高く低誘電率の絶縁膜を得ることが可能となり、シリコンを用いた種々の半導体デバイス、HEMTなど化合物半導体を用いたデバイスをはじめとする高速デバイス、マイクロ波ICなどの高周波デバイス、MFMIS型の高集積強誘電体メモリ、フィルムキャリアなどを用いたマイクロ波伝送線路あるいは多層配線基板、などにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0158】
【図1】本発明の実施の形態1のプロセスを示すフローチャート図、
【図2】本発明の実施の形態1の半導体装置の製造工程を示す図
【図3】本発明の実施の形態1の半導体装置の製造工程を示す図
【図4】本発明の実施の形態1の半導体装置の製造工程を示す図
【図5】本発明の実施の形態1の半導体装置の製造工程を示す図
【図6】本発明の実施の形態1の半導体装置の製造工程を示す図
【図7】本発明の実施の形態で用いられるリカバリー工程を示す説明図
【図8】本発明の実施の形態で用いられるプロセス種別を示す図
【図9】本発明の実施の形態1で用いられるリカバリー処理による効果の説明図
【図10】本発明の実施の形態1で用いられるリカバリー処理による効果の説明図
【図11】本発明の実施の形態1で用いられるリカバリー処理による効果の説明図
【図12】本発明の実施の形態1で用いられるリカバリー処理による効果の説明図
【図13】本発明の実施の形態1で用いられるリカバリー処理による効果の説明図
【図14】本発明の実施の形態1で用いられるリカバリー処理による効果の説明図
【図15】本発明の実施の形態1で用いられるリカバリー処理による効果の説明図
【図16】本発明の実施の形態1で用いられるリカバリー処理による効果の説明図
【図17】本発明の実施の形態2の半導体装置の製造工程を示す図
【図18】本発明の実施の形態2の半導体装置の製造工程を示す図
【図19】本発明の実施の形態2の半導体装置の製造工程を示す図
【図20】本発明の実施の形態2の半導体装置の製造工程を示す図
【図21】本発明の実施の形態2の半導体装置の製造工程を示す図
【図22】本発明の実施の形態3の半導体装置の製造工程を示す図
【図23】本発明の実施の形態3の半導体装置の製造工程を示す図
【図24】本発明の実施の形態3の半導体装置の製造工程を示す図
【図25】本発明の実施の形態3の半導体装置の製造工程を示す図
【図26】本発明の実施の形態3の半導体装置の製造工程を示す図
【図27】従来例の半導体装置の製造工程を示す図
【図28】従来例の半導体装置の製造工程を示す図
【図29】従来例の半導体装置の製造工程を示す図
【図30】従来例の半導体装置の製造工程を示す図
【図31】従来例の半導体装置の製造工程を示す図
【符号の説明】
【0159】
101 シリコン基板
102 エッチングストッパ層
103 誘電体薄膜
104 反射防止膜
105 拡散バリア膜
106 シード膜
107 銅めっき膜
108 キャップ膜
201 酸化シリコン膜
202 窒化シリコン膜
301 炭化シリコン膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所望の素子領域の形成された半導体基板表面に、Si−O結合を主成分とする骨格の周りに多数の空孔が配置された誘電体薄膜を成膜する工程と、
前記誘電体薄膜表面に、マスクを介してパターニングする工程と、
パターニングのなされた前記誘電体薄膜表面に、テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)、ヘキサメチルシラザン(HMDS)、トリメチルクロロシラン(TMCS)分子のうちの少なくとも1種を含むガスを接触させる工程とを含む半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記パターニングする工程は、
前記成膜工程で得られた前記誘電体薄膜表面にレジストマスクを形成する工程と、前記レジストマスクを介して前記誘電体薄膜をエッチングする工程とを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記パターニングする工程は、
前記成膜工程で得られた前記誘電体薄膜表面にハードマスクを形成する工程と、前記ハードマスクを介して前記誘電体薄膜をエッチングする工程とを含み、
前記誘電体薄膜をエッチングする工程に先立ち、ハードマスクのパターニング用のレジストを剥離除去する工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記剥離除去する工程の後、前記誘電体薄膜をエッチングする工程に先立ち、
テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)、ヘキサメチルシラザン(HMDS)、トリメチルクロロシラン(TMCS)分子のうちの少なくとも1種を含むガスを接触させる工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記エッチングする工程の後、
前記誘電体薄膜表面に、テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)、ヘキサメチルシラザン(HMDS)、トリメチルクロロシラン(TMCS)分子のうちの少なくとも1種を含むガスを接触させる工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記ハードマスクは2層膜であり、
下層側のハードマスクを残した状態でレジストをアッシングし、
上層側のハードマスクをマスクとして用いて下層側のハードマスクをエッチングする工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の半導体装置の製造方法であって、
前記パターニングする工程は、配線形成用の溝を形成する工程であり、
前記溝内に導電体層を形成する工程を含み、
前記導電体層を形成する工程に先立ち、
前記配線形成用の溝の形成された前記誘電体薄膜表面を洗浄する工程と、
前記洗浄のなされた前記誘電体薄膜表面に、テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)、ヘキサメチルシラザン(HMDS)、トリメチルクロロシラン(TMCS)分子のうちの少なくとも1種を含むガスを接触させる工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記導電体層を形成する工程は、
前記配線形成用の溝にめっき用のシード層を形成する工程と、
前記シード層上に電解めっきを行いめっき層を形成する工程と、
CMP工程により、前記誘電体膜上の前記めっき層および前記シード層を除去する工程とを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項8に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記除去する工程の後、前記誘電体薄膜表面に、テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)、ヘキサメチルシラザン(HMDS)、トリメチルクロロシラン(TMCS)分子のうちの少なくとも1種を含むガスを接触させる工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項1に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記パターニングする工程は、コンタクト形成用のスルーホールを形成する工程であり、
前記スルーホール内に導電体層を形成する工程を含み、
前記導電体層を形成する工程に先立ち、
前記スルーホールの形成された前記誘電体薄膜表面を有機洗浄する工程と、
前記有機洗浄のなされた前記誘電体薄膜表面に、テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)、ヘキサメチルシラザン(HMDS)、トリメチルクロロシラン(TMCS)分子のうちの少なくとも1種を含むガスを接触させる工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項11】
請求項1乃至10に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記マスクの形成に先立ち、前記成膜された前記誘電体薄膜表面に、テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)、ヘキサメチルシラザン(HMDS)、トリメチルクロロシラン(TMCS)分子のうちの少なくとも1種を含むガスを接触させる工程を含む半導体装置の製造方法。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれかに記載の半導体装置の製造方法であって、
前記誘電体薄膜を成膜する工程は、
シリカ誘導体と界面活性剤を含み、所望の空孔が配列されるような組成比をもつように前駆体溶液を生成する工程と、
前記前駆体溶液を昇温し、架橋反応を開始する予備架橋工程と、
前記予備架橋工程で架橋反応の開始された前記前駆体溶液を前記半導体基板表面に供給する工程と、
前記前駆体溶液が接触せしめられた前記半導体基板を焼成し、前記界面活性剤を分解除去する工程とを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項13】
請求項1乃至11のいずれかに記載の半導体装置の製造方法であって、
シリカ誘導体と界面活性剤を含み、所望の空孔が配列されるような組成比をもつように前駆体溶液を生成する工程と、
前記前駆体溶液を前記半導体基板表面に供給する工程と、
前記前駆体溶液が接触せしめられた前記半導体基板を加熱し、架橋反応を開始する予備架橋工程と、
前記半導体基板を焼成し、前記界面活性剤を分解除去する工程とを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項14】
請求項12または13に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記供給する工程は、前記半導体基板を前駆体溶液に浸せきする工程であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項15】
請求項12または13に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記供給する工程は、前記半導体基板を前記前駆体溶液に浸せきし、所望の速度で引き上げる工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項16】
請求項12または13に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記供給する工程は、前記前駆体溶液を前記半導体基板上に塗布する工程であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項17】
請求項12または13に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記供給する工程は、前記前駆体溶液を前記半導体基板上に滴下し、前記基板を回転させる回転塗布工程であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項18】
請求項11乃至17のいずれかに記載の半導体装置の製造方法であって、
前記前駆体溶液は、前記空孔が周期的に配列されることを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2006−73800(P2006−73800A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−255463(P2004−255463)
【出願日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成16年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「次世代半導体材料・プロセス基盤(MIRAI)」委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受けるもの)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【出願人】(000231464)株式会社アルバック (1,740)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【Fターム(参考)】