説明

半導体装置の製造方法

【課題】素子分離領域に影響を及ぼすことなく、所望のMISトランジスタのチャネル領域に対して選択的に応力を生じさせ且つ記憶させることができる半導体装置を製造できるようにする。
【解決手段】半導体基板11の上に、応力歪み生成膜24を形成し、さらに、第3のレジストパターン25を形成する。第3のレジストパターン25をマスクにして、応力歪み生成膜24に対してプラズマ処理を行うことにより、応力歪み生成膜24における第1の活性領域11aの上側部分を改質して引っ張り応力を生じる引っ張り応力含有部24Aを形成する。次に、第3のレジストパターン25を除去した後、半導体基板11に対して熱処理を行うことにより、引っ張り応力含有部24Aによって、第1の活性領域11aにおけるn型ゲート電極15aの下に位置するチャネル領域に対してゲート長方向に沿った引っ張り応力を生じさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関し、特にMIS(metal insulator semiconductor)トランジスタのチャネル領域に対して応力歪みを付与する半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体集積回路装置の高集積化、高機能化及び高速化に伴って、半導体基板に応力歪みを与えることによりキャリア移動度を向上する技術が提案されている。例えば、主面の面方位が(100)面であるシリコンからなる半導体基板上に形成されたn型MISトランジスタに対して、ゲート長方向に引っ張り応力歪みを与えることにより電子の移動度が向上し、トランジスタ駆動力が増加する。このように引っ張り応力歪みをn型MISトランジスタに対して付与する方法として、n型MISトランジスタを形成する活性領域におけるチャネル領域に応力歪みを記憶させる、いわゆるSMT(stress memorization technique)法と呼ばれる方法がある(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
以下、図6及び図7を参照しながら、SMT法を用いた半導体装置の製造方法を説明する。図中において、左半分にn型MISトランジスタを形成するn型トランジスタ領域Aを示し、右半分にp型MISトランジスタを形成するp型トランジスタ領域Bを示している。
【0004】
まず、図6(a)に示すように、シリコンからなる半導体基板101に素子分離領域102を形成することによってn型トランジスタ領域Aとp型トランジスタ領域Bとを区画する。これにより、n型トランジスタ領域Aには、素子分離領域102に囲まれた半導体基板101からなる第1の活性領域101aが形成され、p型トランジスタ領域Bには、素子分離領域102に囲まれた半導体基板101からなる第2の活性領域101bが形成される。続いて、半導体基板101のn型トランジスタ領域Aにはp型ウェル103aを形成し、p型トランジスタ領域Bにはn型ウェル103bを形成する。その後、第1の活性領域101aの上にゲート絶縁膜104aを介してn型ゲート電極105aを形成すると共に、第2の活性領域101bの上にゲート絶縁膜104bを介してp型ゲート電極105bを形成する。その後、n型ゲート電極105aの側面上に第1の側壁膜106aを形成すると共に、p型ゲート電極105bの側面上に第2の側壁膜106bを形成する。その後、n型トランジスタ領域Aの第1の活性領域101aには、n型ゲート電極105a及び第1の側壁膜106aをマスクにしてn型エクステンション領域107aを形成する一方、p型トランジスタ領域Bの第2の活性領域101bには、p型ゲート電極105b及び第2の側壁膜106bをマスクにしてp型エクステンション領域107bを形成する。
【0005】
次に、図6(b)に示すように、半導体基板101上の全面に、シリコン酸化膜及びシリコン窒化膜を順次形成した後、シリコン酸化膜及びシリコン窒化膜をエッチバックすることにより、n型ゲート電極105aの側面上に第1の側壁膜106aを介してシリコン酸化膜108a及びシリコン窒化膜109aからなる第1のサイドウォール110aを形成すると共に、p型ゲート電極105bの側面上に第2の側壁膜106bを介してシリコン酸化膜108b及びシリコン窒化膜109bからなる第2のサイドウォール110bを形成する。
【0006】
次に、図6(c)に示すように、半導体基板101の上に、n型トランジスタ領域Aに開口部を有する第1のレジストパターン111を形成する。その後、第1のレジストパターン111、n型ゲート電極105a、第1の側壁膜106a及び第1のサイドウォール110aをマスクにして、第1の活性領域101aに砒素を注入することにより、n型ソースドレイン領域112aを形成する。
【0007】
次に、図6(d)に示すように、第1のレジストパターン111を除去した後、半導体基板101の上に、p型トランジスタ領域Bに開口部を有する第2のレジストパターン113を形成する。その後、第2のレジストパターン113、p型ゲート電極105b、第2の側壁膜106b及び第2のサイドウォール110bをマスクにして、第2の活性領域101bにボロンを注入することにより、p型ソースドレイン領域112bを形成する。
【0008】
次に、図7(a)に示すように、第2のレジストパターン113を除去した後、半導体基板101上の全面に、下地膜114及び応力絶縁膜115を順次形成する。応力絶縁膜115は第1の活性領域101aにおけるn型ゲート電極105aの下側に位置するチャネル領域にゲート長方向に沿った引っ張り応力を生じさせる成膜条件で形成する。
【0009】
次に、図7(b)に示すように、応力絶縁膜115の上に、p型トランジスタ領域Bに開口部を有する第3のレジストパターン116を形成する。その後、第3のレジストパターン116をマスクにして、p型トランジスタ領域Bから露出する応力絶縁膜115を除去する。
【0010】
次に、図7(c)に示すように、第3のレジストパターン116を除去した後、半導体基板101に対して熱処理を行うことにより、応力絶縁膜115によってn型ゲート電極105a及び第1の活性領域101aにおけるチャネル領域にゲート長方向に沿った引っ張り応力を生じさせる。同時に、各ソースドレイン領域112a、112bの不純物の活性化を行う。
【0011】
次に、図7(d)に示すように、n型トランジスタ領域A上の応力絶縁膜115を除去した後、下地膜114を除去する。このとき、応力絶縁膜115を除去した後もn型ゲート電極105a及び第1の活性領域101aのチャネル領域に生じている引っ張り応力は保持されたままとなる。このように、応力絶縁膜115を用いて第1の活性領域101aのチャネル領域に引っ張り応力を生じさせた後、応力絶縁膜115を除去した後もチャネル領域に引っ張り応力がそのまま記憶された状態になることからSMT法と呼ばれている。
【0012】
その後、各ゲート電極105a、105b及び各ソースドレイン領域112a、112bの上面上にシリサイド層を形成した後、層間絶縁膜、コンタクトプラグ及び配線等の形成を行って半導体装置を形成する。
【0013】
以上のような工程を行なうことにより、n型トランジスタ領域Aの第1の活性領域101aにおけるチャネル領域に対して引っ張り応力を生じさせ且つ記憶させることができるので、n型MISトランジスタの駆動力の向上を図ることができる。
【非特許文献1】C.Ortolland et al.,“Stress Memorization Technique(SMT)Optimization for 45nm CMOS”, VLSI Tech. Digest, 2006, p.96〜97
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、前記従来の半導体装置の製造方法は、p型トランジスタ領域Bに形成されている応力絶縁膜を除去した後、熱処理を行ってn型トランジスタ領域Aの活性領域に引っ張り応力を生じさせ、その後n型トランジスタ領域Aに形成されている応力絶縁膜を除去する。このような従来の工程では、n型トランジスタ領域Aに形成されている応力絶縁膜を除去する際に、p型トランジスタ領域Bから露出している下地膜がエッチングされ、さらに素子分離領域の上部がエッチングされるため、p型トランジスタ領域Bの素子分離領域の上面の高さがn型トランジスタ領域Aの素子分離領域の上面の高さよりも低くなる。この場合、p型トランジスタ領域Bの素子分離領域の上面の高さが半導体基板の表面よりも低くなると、接合リークが増大するという問題がある。
【0015】
さらに、p型トランジスタ領域Bに形成されている応力絶縁膜を除去する際に、n型トランジスタ領域Aとp型トランジスタ領域Bとの境界において、応力絶縁膜のサイドエッチが発生するため、境界における素子分離領域の幅はサイドエッチ量を考慮して大きくする必要があるという問題がある。
【0016】
前記に鑑み、本発明は、素子分離領域に影響を及ぼすことなく、所望のMISトランジスタのチャネル領域に対して選択的に応力を生じさせ且つ記憶させることができる半導体装置を製造できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記の目的を達成するため、本発明は、半導体装置の製造方法を、半導体基板の上の全面に形成した生成膜によって、所望のMISトランジスタのチャネル領域に対して選択的に応力を生じさせ且つ記憶させた後に生成膜を除去する構成とする。
【0018】
具体的に、本発明に係る半導体装置の製造方法は、第1の活性領域上に形成された第1のMISトランジスタと、第2の活性領域上に形成された第2のMISトランジスタとを備えた半導体装置の製造方法であって、半導体基板に素子分離領域を形成する工程(a)と、素子分離領域に囲まれた半導体基板からなる第1の活性領域の上に第1のゲート絶縁膜を介して第1のゲート電極を形成すると共に、素子分離領域に囲まれた半導体基板からなる第2の活性領域の上に第2のゲート絶縁膜を介して第2のゲート電極を形成する工程(b)と、第1のゲート電極の側面上に第1のサイドウォールを形成すると共に、第2のゲート電極の側面上に第2のサイドウォールを形成する工程(c)と、工程(c)の後に、半導体基板の上に生成膜を形成する工程(d)と、工程(d)の後に、生成膜における第1の活性領域及び第2の活性領域のうちの少なくとも一方の上側部分を改質する工程(e)と、工程(e)の後に、半導体基板に対して熱処理を行うことにより、生成膜によって第1の活性領域及び第2の活性領域のうち少なくとも一方におけるチャネル領域に対してゲート長方向に沿った応力を生じさせる工程(f)と、工程(f)の後に、第1の活性領域及び第2の活性領域の上に形成されている生成膜を除去する工程(g)とを備えていることを特徴とする。
【0019】
本発明の半導体装置の製造方法によると、半導体基板の上に形成した生成膜を熱処理前にエッチングすることなく、生成膜を部分的に改質させた後に、半導体基板に対して熱処理を行うことによって、所望のMISトランジスタのチャネル領域に対して選択的に応力を生じさせ且つ記憶させた半導体装置を製造することができる。その結果、素子分離領域に影響を及ぼすことなく、MISトランジスタの駆動力の向上を図ることができる。
【0020】
本発明の半導体装置の製造方法において、工程(d)では、第1の活性領域及び第2の活性領域に対して応力を生じさせない生成膜を形成し、工程(e)では、生成膜における第1の活性領域の上に位置する部分を改質して第1の活性領域に対して応力を生じさせる第1の応力含有部を形成し、工程(f)では、第1の応力含有部によって、第1の活性領域におけるチャネル領域に対して、第1の応力を生じさせることが好ましい。
【0021】
本発明の半導体装置の製造方法において、第1の活性領域に第1の応力含有部を形成する場合に、工程(f)では、熱処理を行うことにより、第2の活性領域上に位置する生成膜によって、第2の活性領域におけるチャネル領域に対して応力を生じさせないことが好ましい。
【0022】
このようにすると、半導体基板の上の全面に生成膜を形成し、該生成膜をエッチングせずに、第1の活性領域におけるチャネル領域に対してゲート長方向に沿った引っ張り応力を生じさせ、第2の活性領域におけるチャネル領域に対して応力を生じさせない半導体装置を製造することができる。
【0023】
本発明の半導体装置の製造方法において、第1の活性領域に第1の応力含有部を形成する場合に、工程(e)では、生成膜における第2の活性領域の上に位置する部分を改質して第2の活性領域に対して応力を生じさせる第2の応力含有部を形成し、工程(f)では、第2の応力含有部によって、第2の活性領域におけるチャネル領域に対して、第2の応力を生じさせ、第1の応力と第2の応力とは、応力方向が互いに異なっていることが好ましい。
【0024】
このようにすると、半導体基板の上の全面に生成膜を形成し、該生成膜をエッチングせずに、第1の活性領域におけるチャネル領域に対してゲート長方向に沿った応力を生じさせ、第2の活性領域におけるチャネル領域に対してゲート長方向に沿った圧縮応力を生じさせた半導体装置を製造することができる。
【0025】
本発明の半導体装置の製造方法において、第1の活性領域に第1の応力含有部を形成し、第2の活性領域に第2の応力含有部を形成する場合に、第2の応力は圧縮応力であることが好ましい。
【0026】
本発明の半導体装置の製造方法は、工程(d)では、第1の活性領域及び第2の活性領域に対して第1の応力を生じさせる生成膜を形成し、工程(e)では、生成膜における第2の活性領域の上に位置する部分を改質して、第2の活性領域に対して第1の応力を生じさせない応力緩和部を形成し、工程(f)では、半導体基板に対して熱処理を行うことにより第1の活性領域におけるチャネル領域に対して第1の応力を生じさせると共に、応力緩和部によって、第2の活性領域におけるチャネル領域に対して第1の応力を生じさせないことが好ましい。
【0027】
このようにすると、半導体基板の上の全面に生成膜を形成し、該生成膜をエッチングせずに、第1の活性領域におけるチャネル領域に対してゲート長方向に沿った引っ張り応力を生じさせ、第2の活性領域におけるチャネル領域に対して応力を生じさせない半導体装置を製造することができる。
【0028】
本発明の半導体装置の製造方法において、工程(e)では、プラズマ処理によって生成膜中に不純物を導入することにより、生成膜の改質を行うことが好ましい。
【0029】
このようにすると、第1の活性領域と第2の活性領域との境界を精度良く設定することができるため、境界に位置する素子分離領域の幅を狭くすることができるので、半導体装置の微細化を図ることができる。
【0030】
本発明の半導体装置の製造方法において、工程(e)では、イオン注入によって生成膜中に不純物を導入することにより、生成膜の改質を行うことが好ましい。
【0031】
本発明の半導体装置の製造方法において、イオン注入によって生成膜の改質を行う場合、工程(e)は、イオン注入によって第1のゲート電極の上部に不純物を導入することにより、第1のゲート電極の上部にアモルファス層を形成する工程を含み、工程(f)は、熱処理を行うことにより、第1のゲート電極の上部におけるアモルファス層を再結晶化する工程を含むことが好ましい。
【0032】
このようにすると、第1の活性領域と第2の活性領域との境界を精度良く設定することができるため、境界に位置する素子分離領域の幅を狭くすることができるので、半導体装置の微細化を図ることができる。また、熱処理によってアモルファス層が再結晶化するため、さらに大きな応力を含有させることができるので、チャネル領域に対してさらに大きな引っ張り応力を生じさせることができる。
【0033】
本発明の半導体装置の製造方法において、第1のMISトランジスタは、n型MISトランジスタであり、第2のMISトランジスタは、p型MISトランジスタであり、第1の応力は、引っ張り応力であることが好ましい。
【0034】
本発明の半導体装置の製造方法において、工程(c)では、第1のサイドウォール及び第2のサイドウォールを、半導体基板に垂直で且つチャネル長方向の断面形状がL字状の内側サイドウォールと該内側サイドウォール上に形成された外側サイドウォールとからそれぞれ構成し、工程(g)は、外側サイドウォールを除去する工程を含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0035】
本発明に係る半導体装置の製造方法によると、素子分離領域に影響を及ぼすことなく、所望のMISトランジスタのチャネル領域に対して選択的に応力を生じさせ且つ記憶させることができる半導体装置を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法について、図面を参照しながら説明する。
【0037】
図1及び図2は本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の工程順の断面構成を示している。図中において、左半分にn型MISトランジスタを形成するn型トランジスタ領域Aを示し、右半分にp型MISトランジスタを形成するp型トランジスタ領域Bを示している。
【0038】
まず、図1(a)に示すように、STI(Shallow Trench Isolation)法を用いてシリコンからなる半導体基板11に素子分離領域12を形成することによってn型トランジスタ領域Aとp型トランジスタ領域Bとを区画する。これにより、n型トランジスタ領域Aには、素子分離領域12に囲まれた半導体基板11からなる第1の活性領域11aが形成され、p型トランジスタ領域Bには、素子分離領域12に囲まれた半導体基板11からなる第2の活性領域11bがそれぞれ形成される。続いて、半導体基板11のn型トランジスタ領域Aにはp型ウェル13aを形成し、p型トランジスタ領域Bにはn型ウェル13bを形成する。その後、第1の活性領域11aの上に第1のゲート絶縁膜14aを介してn型ゲート電極15aを形成すると共に、第2の活性領域11bの上に第2のゲート絶縁膜14bを介してp型ゲート電極15bを形成する。その後、n型ゲート電極15aの側面上に第1の側壁膜(オフセットサイドウォールスペーサ)16aを形成すると共に、p型ゲート電極15bの側面上に第2の側壁膜16bを形成する。例えば、第1のゲート絶縁膜14a及び第2のゲート絶縁膜14bとしてはシリコン酸化膜又はシリコン酸窒化膜を用い、n型ゲート電極15a及びp型ゲート電極15bとしてはポリシリコン膜を用い、第1の側壁膜16a及び第2の側壁膜16bとしてはシリコン酸化膜を用いる。その後、第1の活性領域11aには、n型ゲート電極15a及び第1の側壁膜16aをマスクにしてn型不純物を注入することによりn型エクステンション領域17aを形成する一方、第2の活性領域11bには、p型ゲート電極15b及び第2の側壁膜16bをマスクにしてp型不純物を注入することによりp型エクステンション領域17bを形成する。
【0039】
次に、図1(b)に示すように、半導体基板11上の全面に、例えばシリコン酸化膜及びシリコン窒化膜からなる積層膜を形成した後、積層膜をエッチバックすることにより、n型ゲート電極15aの側面上に第1の側壁膜16aを介して第1のサイドウォール20aを形成すると共に、p型ゲート電極15bの側面上に第2の側壁膜16bを介して第2のサイドウォール20bを形成する。ここで、第1のサイドウォール20a及び第2のサイドウォール20bは、シリコン酸化膜からなり、断面がL字状の第1の内側サイドウォール18a及び第2の内側サイドウォール18bと、L字状の第1の内側サイドウォール18a及び第2の内側サイドウォール18bの上に形成されたシリコン窒化膜からなる第1の外側サイドウォール19a及び第2の外側サイドウォール19bとから構成されている。
【0040】
次に、図1(c)に示すように、半導体基板11の上にn型トランジスタ領域Aに開口部を有する第1のレジストパターン21を形成する。その後、第1のレジストパターン21、n型ゲート電極15a、第1の側壁膜16a及び第1のサイドウォール20aをマスクにして、第1の活性領域11aにn型不純物である砒素(As)を注入することにより、第1の活性領域11aにおける第1のサイドウォール20aの外側方にn型ソースドレイン領域22aを形成する。
【0041】
次に、図1(d)に示すように、第1のレジストパターン21を除去した後、半導体基板11の上に、p型トランジスタ領域Bに開口部を有する第2のレジストパターン23を形成する。その後、第2のレジストパターン23、p型ゲート電極15b、第2の側壁膜16b及び第2のサイドウォール20bをマスクにして、第2の活性領域11bにボロン(B)を注入することにより、第2の活性領域11bにおける第2のサイドウォール20bの外側方にp型ソースドレイン領域22bを形成する。
【0042】
次に、図2(a)に示すように、第2のレジストパターン23を除去した後、半導体基板11上の全面に、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて、膜厚が15nm〜50nm程度のシリコン窒化膜からなる応力歪み生成膜24を形成する。なお、この時点においては、応力歪み生成膜24は、第1の活性領域11a及び第2の活性領域11bに対して応力歪みを生じさせるほどの応力を有していない。
【0043】
次に、図2(b)に示すように、半導体基板11の上に、n型トランジスタ領域Aに開口部を有する第3のレジストパターン25を形成する。その後、第3のレジストパターン25をマスクにして、露出している応力歪み生成膜24に対してプラズマ処理を行うことにより、応力歪み生成膜24のうち第1の活性領域11a上に形成されている部分を改質して引っ張り応力を生じる引っ張り応力含有部24Aを形成する。例えば、シリコン窒化膜の場合、プラズマ処理におけるRF(radio frequency)パワー100W、窒素(N)ガス流量25〜50cm/minによってシリコンと窒素との原子間距離を変化させることにより、応力を含有していないシリコン窒化膜に対して引っ張り応力を生じさせるように改質することができる。ここで、引っ張り応力含有部24Aは、活性領域におけるチャネル領域に対してゲート長方向に沿った引っ張り応力を生じさせることができる部分を意味する。なお、プラズマ処理に使用するガスとしては、窒素(N)の他に、ヘリウム(He)、水素(H)又はアルゴン(Ar)等のガスを用いることができる。
【0044】
次に、図2(c)に示すように、第3のレジストパターン25を除去した後、半導体基板11に対して1050℃程度で0秒〜10秒の熱処理を行うことにより、応力歪み生成膜24における引っ張り応力含有部24Aによって、第1の活性領域11aにおけるn型ゲート電極15aの下側に位置するチャネル領域に対してゲート長方向に沿った引っ張り応力を生じさせる。同時に、n型ゲート電極15aにも応力歪み生成膜24における引っ張り応力含有部24Aから応力が印加されて、n型ゲート電極15aは、チャネル領域に対してゲート長方向に沿った引っ張り応力を生じさせる構造になる。すなわち、n型ゲート電極15aを構成するポリシリコンの平均グレインサイズは、p型ゲート電極15bを構成するポリシリコンの平均グレインサイズよりも大きく粗大化する。このポリシリコンのグレインサイズの粗大化によって、n型ゲート電極15aの下側に位置するチャネル領域に対してゲート長方向に沿った引っ張り応力を生じる。この時、応力歪み生成膜24における第2の活性領域11b上に位置する部分は、p型ゲート電極15b及び第2の活性領域11bに対して応力歪みを生じさせるほどの応力は有していないため、p型ゲート電極15b及び第2の活性領域11bに対して応力は印加されない。
【0045】
次に、図2(d)に示すように、半導体基板11上の応力歪み生成膜24を、熱リン酸等を用いたウェットエッチングにより除去する。その後、n型ソースドレイン領域22a、n型ゲート電極15a、p型ソースドレイン領域22b及びp型ゲート電極15bの各上部に金属シリサイド層26を形成する。その後、層間絶縁膜、コンタクトプラグ及び配線等の形成を行って半導体装置を形成する。
【0046】
以上のようにして、第1の活性領域11aにおけるチャネル領域にゲート長方向に引っ張り応力が生じているn型MISトランジスタと、第2の活性領域11bにおけるチャネル領域に応力が生じていないp型MISトランジスタとを備えた半導体装置を得ることができる。さらに、n型MISトランジスタにおけるn型ゲート電極15aとp型MISトランジスタにおけるp型ゲート電極15bとは、シリコン結晶の平均グレインサイズが異なっている。
【0047】
また、第1の実施形態においては、図2(c)及び図2(d)に示すように、半導体基板11上の全面に応力歪み生成膜24が形成された状態で、n型トランジスタ領域Aの第1の活性領域11aにおけるチャネル領域に対して選択的にゲート長方向に沿った引っ張り応力を生じさせることができる。このため、従来のように熱処理前にp型トランジスタ領域Bに形成されている応力歪み生成膜をエッチングする必要がない。従って、熱処理後に応力歪み生成膜24をエッチングする際には、n型トランジスタ領域A及びp型トランジスタ領域Bには同等の膜厚を有する応力歪み生成膜24が残存している状態になっている。このため、応力歪み生成膜24をエッチングした後、n型トランジスタ領域Aにおける素子分離領域12の上面とp型トランジスタ領域における素子分離領域12の上面とは、同等の高さ位置となり、しかも半導体基板11の表面と同等以上の高さで残存させることができる。これにより、素子分離領域12の上面が下がることによって生じる接合リークの低減を図ることができる。さらに、応力歪み生成膜24の一部を改質して引っ張り応力含有部24Aを形成する方法としてプラズマ処理を用いるため、n型トランジスタ領域Aとp型トランジスタ領域Bとの境界を精度良く設定することが可能なため、境界に位置する素子分離領域12の幅を狭くすることができるので、半導体装置の微細化を図ることができる。
【0048】
なお、本実施形態では、プラズマ処理を用いて応力歪み生成膜24の改質を行ったが、プラズマ処理の代わりにイオン注入又はUV光照射等を用いて改質しても同等の効果を得ることができる。
【0049】
また、本実施形態では、図2(d)に示すように、応力歪み生成膜24を除去した際、第1のサイドウォール20a及び第2のサイドウォール20bをそのまま残存させたが、第1のサイドウォール20aの第1の外側サイドウォール19a及び第2のサイドウォール20bの第2の外側サイドウォール19bも同時に除去し、L字状の第1の内側サイドウォール18a及び第2の内側サイドウォール18bのみを残存させても良い。
【0050】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法について、図面を参照しながら説明する。
【0051】
図3は、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法の工程順に断面構成を示している。図中において、左半分にn型MISトランジスタを形成するn型トランジスタ領域Aを示し、右半分にp型MISトランジスタを形成するp型トランジスタ領域Bを示している。ここで、図3において、第1の実施形態に係る半導体装置と同一の構成要素については、同一の符号を付すことにより説明は省略する。
【0052】
まず、第1の実施形態における図1(a) 〜(d)に示す工程を順次行って、図1(d)に示す構成を得る。
【0053】
次に、図3(a)に示すように、第2のレジストパターン23を除去した後、半導体基板11上の全面に、例えばCVD法を用いて、膜厚が15nm〜50nm程度のシリコン窒化膜からなる応力歪み生成膜27を形成する。この応力歪み生成膜27は、第1の活性領域11a及び第2の活性領域11bに対してゲート長方向に沿った引っ張り応力を生じさせるほどの応力を有している。
【0054】
次に、図3(b)に示すように、半導体基板11の上に、p型トランジスタ領域Bに開口部を有する第4のレジストパターン28を形成する。その後、第4のレジストパターン28をマスクにして、露出している応力歪み生成膜27に対してプラズマ処理を行うことにより、応力歪み生成膜27のうち第2の活性領域11b上に形成されている部分を改質して応力を生じない応力緩和部27Aを形成する。例えば、シリコン窒化膜の場合、プラズマ処理におけるガス流量及びパワー条件等によってシリコンと窒素との原子間距離を変化させることにより、引っ張り応力を含有するシリコン窒化膜に対して応力を生じさせないように改質することができる。すなわち、圧縮応力が生じる条件でプラズマ処理を行うことにより、応力歪み生成膜27が有する引っ張り応力を相殺し応力が生じない程度にする。ここで、応力緩和部27Aは、活性領域に対して応力が生じない程度に含有していた応力が緩和された部分を意味する。なお、プラズマ処理におけるガスとしては、He、N、H又はAr等のガスを用いることができる。このとき、応力歪み生成膜27のうち活性領域11aの上に形成されている部分は改質されずに、引っ張り応力を生じさせるほどの応力を有している引っ張り応力含有部27Bとして残存する。
【0055】
次に、図3(c)に示すように、第4のレジストパターン28を除去した後、半導体基板11に対して1050℃程度で0秒〜10秒の熱処理を行うことにより、応力歪み生成膜27における応力緩和部27Aを除く部分である引っ張り応力含有部27Bによって、第1の活性領域11aにおけるn型ゲート電極15aの下側に位置するチャネル領域に対してゲート長方向に沿った引っ張り応力を生じさせる。同時に、n型ゲート電極15aにも応力歪み生成膜27における引っ張り応力含有部27Bから応力が印加されて、n型ゲート電極15aは、チャネル領域に対してゲート長方向に沿った引っ張り応力を生じさせる構造になる。すなわち、n型ゲート電極15aを構成するポリシリコンの平均グレインサイズは、p型ゲート電極15bを構成するポリシリコンの平均グレインサイズよりも大きく粗大化する。このポリシリコンのグレインサイズの粗大化によって、n型ゲート電極15aの下側に位置するチャネル領域に対してゲート長方向に沿った引っ張り応力を生じる。この時、応力歪み生成膜27における第2の活性領域11b上に位置する応力緩和部27Aは、p型ゲート電極15b及び第2の活性領域11bに対して応力歪みを生じさせるほどの応力は有していないため、p型ゲート電極15b及び第2の活性領域11bに対して応力は印加されない。
【0056】
次に、図3(d)に示すように、半導体基板11上の応力歪み生成膜27を、熱リン酸等を用いたウェットエッチングにより除去する。その後、n型ソースドレイン領域22a、n型ゲート電極15a、p型ソースドレイン領域22b及びp型ゲート電極15bの各上部に金属シリサイド層26を形成する。その後、層間絶縁膜、コンタクトプラグ及び配線等の形成を行って半導体装置を形成する。
【0057】
以上のようにして、第1の活性領域11aにおけるチャネル領域にゲート長方向に引っ張り応力が生じているn型MISトランジスタと、第2の活性領域11bにおけるチャネル領域に応力が生じていないp型MISトランジスタとを備えた半導体装置を得ることができる。さらに、n型MISトランジスタにおけるn型ゲート電極15aとp型MISトランジスタにおけるp型ゲート電極15bとは、シリコン結晶の平均グレインサイズが異なっている。
【0058】
また、第2の実施形態においては、図3(c)及び図3(d)に示すように、半導体基板11上の全面に応力歪み生成膜27が形成された状態で、n型トランジスタ領域Aの第1の活性領域11aにおけるチャネル領域に対して選択的にゲート長方向に沿った引っ張り応力を生じさせることができる。このため、従来のように熱処理前にp型トランジスタ領域Bに形成されている応力歪み生成膜をエッチングする必要がない。従って、熱処理後に応力歪み生成膜27をエッチングする際には、n型トランジスタ領域A及びp型トランジスタ領域Bには同等の膜厚を有する応力歪み生成膜27が残存している状態になっている。このため、応力歪み生成膜27をエッチングした後、n型トランジスタ領域Aにおける素子分離領域12の上面とp型トランジスタ領域における素子分離領域12の上面とは、同等の高さ位置となり、しかも半導体基板11の表面と同等以上の高さで残存させることができる。これにより、素子分離領域12の上面が下がることによって生じる接合リークの低減を図ることができる。さらに、引っ張り応力を有する応力歪み生成膜27の一部を改質して応力緩和部27Aを形成する方法としてプラズマ処理を用いるため、n型トランジスタ領域Aとp型トランジスタ領域Bとの境界を精度良く設定することが可能なため、境界に位置する素子分離領域12の幅を狭くすることができるので、半導体装置の微細化を図ることができる。
【0059】
なお、本実施形態では、プラズマ処理を用いて応力歪み生成膜27の改質を行ったが、プラズマ処理の代わりにイオン注入又はUV光照射等を用いて改質しても同等の効果を得ることができる。
【0060】
また、本実施形態では、図3(d)に示すように、応力歪み生成膜27を除去した際、第1のサイドウォール20a及び第2のサイドウォール20bはそのまま残存させたが、第1のサイドウォール20aの第1の外側サイドウォール19a及び第2のサイドウォール20bの第2の外側サイドウォール19bも同時に除去し、L字状の第1の内側サイドウォール18a及び第2の内側サイドウォール18bのみを残存させても良い。
【0061】
(第3の実施形態)
以下、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法について、図面を参照しながら説明する。
【0062】
図4は、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法の工程順に断面構成を示している。図中において、左半分にn型MISトランジスタを形成するn型トランジスタ領域Aを示し、右半分にp型MISトランジスタを形成するp型トランジスタ領域Bを示している。ここで、図4において、第1の実施形態に係る半導体装置と同一の構成要素については、同一の符号を付すことにより説明は省略する。
【0063】
まず、第1の実施形態における図1(a) 〜(d)及び図2(a)に示す工程を順次行って、図2(a)に示す構成を得る。
【0064】
次に、図4(a)に示すように、第1の実施形態における図2(b)に示す工程と同様に、半導体基板11の上に、n型トランジスタ領域Aに開口部を有する第3のレジストパターン25を形成する。その後、第3のレジストパターン25をマスクにして、露出している応力歪み生成膜24に対してプラズマ処理を行うことにより、応力歪み生成膜24のうち第1の活性領域11a上に形成されている部分を改質して引っ張り応力を生じる引っ張り応力含有部24Aを形成する。
【0065】
次に、図4(b)に示すように、第3のレジストパターン25を除去した後、半導体基板11の上に、p型トランジスタ領域Bに開口部を有する第4のレジストパターン28を形成する。その後、第4のレジストパターン28をマスクにして、露出している応力歪み生成膜24に対してプラズマ処理を行うことにより、応力歪み生成膜24のうち第2の活性領域11b上に形成されている部分を改質して圧縮応力を生じる圧縮応力含有部24Bを形成する。ここで、圧縮応力含有部24Bは、活性領域におけるチャネル領域に対してゲート長方向に沿った圧縮応力が生じさせることができる部分を意味する。なお、引っ張り応力含有部24Aと圧縮応力含有部24Bとは、プラズマ処理におけるガス流量及びパワー条件等を変化させることによって選択的に形成することができる。
【0066】
次に、図4(c)に示すように、第4のレジストパターン28を除去した後、半導体基板11に対して1050℃程度で0秒〜10秒の熱処理を行うことにより、応力歪み生成膜24における引っ張り応力含有部24Aによって、第1の活性領域11aにおけるn型ゲート電極15aの下側に位置するチャネル領域に対してゲート長方向に沿った引っ張り応力を生じさせると共に、応力歪み生成膜24における圧縮応力含有部24Bによって、第2の活性領域11bにおけるp型ゲート電極15bの下側に位置するチャネル領域に対してゲート長方向に沿った圧縮応力を生じさせる。同時に、n型ゲート電極15aにも応力歪み生成膜24における引っ張り応力含有部24Aから応力が印加されて、n型ゲート電極15aは、チャネル領域に対してゲート長方向に沿った引っ張り応力を生じさせる構造になると共に、p型ゲート電極15bにも応力歪み生成膜24における圧縮応力含有部24Bから応力が印加されて、p型ゲート電極15bは、チャネル領域に対してゲート長方向に沿った圧縮応力を生じさせる構造になる。すなわち、n型ゲート電極15aを構成するポリシリコンの平均グレインサイズは、p型ゲート電極15bを構成するポリシリコンの平均グレインサイズよりも大きく粗大化する。
【0067】
次に、図4(d)に示すように、半導体基板11の上の応力歪み生成膜24を、熱リン酸等を用いたウェットエッチングにより除去する。その後、n型ソースドレイン領域22a、n型ゲート電極15a、p型ソースドレイン領域22b及びp型ゲート電極15bの各上部に金属シリサイド層26を形成する。その後、層間絶縁膜、コンタクトプラグ及び配線等の形成を行って半導体装置を形成する。
【0068】
以上のようにして、第1の活性領域11aにおけるチャネル領域に対してゲート長方向に引っ張り応力が生じているn型MISトランジスタと、第2の活性領域11bにおけるチャネル領域に対してゲート長方向に圧縮応力が生じているp型MISトランジスタとを備えた半導体装置を得ることができる。さらに、n型MISトランジスタにおけるn型ゲート電極15aとp型MISトランジスタにおけるp型ゲート電極15bとは、シリコン結晶の平均グレインサイズが異なっている。
【0069】
また、第3の実施形態においては、図4(c)及び図4(d)に示すように、半導体基板11上の全面に応力歪み生成膜24が形成された状態で、n型トランジスタ領域Aの第1の活性領域11aにおけるチャネル領域に対して選択的にゲート長方向に沿った引っ張り応力を生じさせると共に、p型トランジスタ領域Bの第2の活性領域11bにおけるチャネル領域に対してゲート長方向に沿った圧縮応力を生じさせることができる。このため、従来のように熱処理前にp型トランジスタ領域Bに形成されている応力歪み生成膜をエッチングする必要がない。従って、熱処理後に応力歪み生成膜24をエッチングする際には、n型トランジスタ領域A及びp型トランジスタ領域Bには同等の膜厚を有する応力歪み生成膜24が残存している状態になっている。このため、応力歪み生成膜24をエッチングした後、n型トランジスタ領域Aにおける素子分離領域12の上面とp型トランジスタ領域における素子分離領域12の上面とは、同等の高さ位置となり、しかも半導体基板11の表面と同等以上の高さを有するように残存させることができる。これにより、素子分離領域12の上面が下がることによって生じる接合リークの低減を図ることができる。さらに、応力を有していない応力歪み生成膜24の一部を改質して引っ張り応力含有部24A及び圧縮応力含有部24Bを形成する方法としてプラズマ処理を用いるため、n型トランジスタ領域Aとp型トランジスタ領域Bとの境界を精度良く設定することが可能なため、境界に位置する素子分離領域12の幅を狭くすることができるので、半導体装置の微細化を図ることができる。
【0070】
なお、本実施形態では、プラズマ処理を用いて応力歪み生成膜24の改質を行ったが、プラズマ処理の代わりにイオン注入又はUV光照射等を用いて改質しても同等の効果を得ることができる。
【0071】
また、本実施形態では、図4(d)に示すように、応力歪み生成膜24を除去した際、第1のサイドウォール20a及び第2のサイドウォール20bはそのまま残存させたが、第1のサイドウォール20aの第1の外側サイドウォール19a及び第2のサイドウォール20bの第2の外側サイドウォール19bも同時に除去し、L字状の第1の内側サイドウォール18a及び第2の内側サイドウォール18bのみを残存させても良い。
【0072】
(第4の実施形態)
以下、本発明の第4の実施形態に係る半導体装置の製造方法について、図面を参照しながら説明する。
【0073】
図5は、本発明の第4の実施形態に係る半導体装置の製造方法の工程順に断面構成を示している。図中において、左半分にn型MISトランジスタを形成するn型トランジスタ領域Aを示し、右半分にp型MISトランジスタを形成するp型トランジスタ領域Bを示している。ここで、図4において、第1の実施形態に係る半導体装置と同一の構成要素については、同一の符号を付すことにより説明は省略する。
【0074】
まず、第1の実施形態における図1(a) 〜(d)に示す工程を順次行って、図1(d)に示す構成を得る。
【0075】
次に、図5(a)に示すように、第1の実施形態における図2(a)に示す工程と同様に、第2のレジストパターン23を除去した後、半導体基板11上の全面に、例えばCVD法を用いて、膜厚が15nm〜50nm程度のシリコン窒化膜からなる応力歪み生成膜24を形成する。なお、この時点においては、応力歪み生成膜24は、第1の活性領域11a及び第2の活性領域11bに対して応力歪みを生じさせるほどの応力は有していない。
【0076】
次に、図5(b)に示すように、半導体基板11の上に、n型トランジスタ領域Aに開口部を有する第3のレジストパターン25を形成する。その後、第3のレジストパターン25をマスクにして、露出している応力歪み生成膜24に対して不純物イオンのイオン注入を行うことにより、応力歪み生成膜24のうち第1の活性領域11a上に形成されている部分を改質して引っ張り応力を生じる引っ張り応力含有部24Aを形成する。このとき、不純物イオンが応力歪み生成膜24を突き抜けn型ゲート電極15a及びn型ソースドレイン領域22aの各上部に到達する注入エネルギーでイオン注入することによって、n型ゲート電極15aの上部に第1のアモルファス層29aを形成すると共に、n型ソースドレイン領域22aの上部に第2のアモルファス層29bを形成する。ここで、引っ張り応力含有部24Aは、活性領域におけるチャネル領域に対してゲート長方向に沿った引っ張り応力が生じさせることができる部分を意味する。なお、イオン注入における不純物としては、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、窒素(N)、水素(H)又はアルゴン(Ar)等の不純物を用いることができる。
【0077】
次に、図5(c)に示すように、第3のレジストパターン25を除去した後、半導体基板11に対して1050℃程度で0秒〜10秒の熱処理を行うことにより、応力歪み生成膜24における引っ張り応力含有部24Aによって、第1の活性領域11aにおけるn型ゲート電極15aの下側に位置するチャネル領域に対してゲート長方向に沿った引っ張り応力を生じさせる。同時に、n型ゲート電極15aにも応力歪み生成膜24における引っ張り応力含有部24Aから応力が印加されて、n型ゲート電極15aは、チャネル領域に対してゲート長方向に沿った引っ張り応力を生じさせる構造になる。すなわち、n型ゲート電極15aを構成するポリシリコンの平均グレインサイズは、p型ゲート電極15bを構成するポリシリコンの平均グレインサイズよりも大きく粗大化する。このポリシリコンのグレインサイズの粗大化によって、n型ゲート電極15aの下側に位置するチャネル領域に対してゲート長方向に沿った引っ張り応力を生じる。この時、応力歪み生成膜24における第2の活性領域11b上に位置する部分は、p型ゲート電極15b及び第2の活性領域11bに対して応力歪みを生じさせるほどの応力を有していないため、p型ゲート電極15b及び第2の活性領域11bに対して応力は印加されない。このとき、熱処理によって、第1のアモルファス層29a及び第2のアモルファス層29bは結晶化されて消失する。
【0078】
次に、図5(d)に示すように、半導体基板11上の応力歪み生成膜24を、熱リン酸等を用いたウェットエッチングにより除去する。その後、n型ソースドレイン領域22a、n型ゲート電極15a、p型ソースドレイン領域22b及びp型ゲート電極15bの各上部に金属シリサイド層26を形成する。その後、層間絶縁膜、コンタクトプラグ及び配線等の形成を行って半導体装置を形成する。
【0079】
以上のようにして、第1の活性領域11aにおけるチャネル領域にゲート長方向に引っ張り応力が生じているn型MISトランジスタと、第2の活性領域11bにおけるチャネル領域に応力が生じていないp型MISトランジスタとを備えた半導体装置を得ることができる。さらに、n型MISトランジスタにおけるn型ゲート電極15aとp型MISトランジスタにおけるp型ゲート電極15bとは、シリコン結晶の平均グレインサイズが異なっている。
【0080】
第4の実施形態においても第1の実施形態と同様な効果を得ることができる。さらに、不純物をイオン注入することによって、n型ゲート電極15aの上部に第1のアモルファス層29aを形成した後、熱処理によって再結晶化することによって、n型ゲート電極15aにさらに大きな応力を含有させることができ、チャネル領域に対してさらに大きな引っ張り応力を生じさせることができる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、素子分離領域に影響を及ぼすことなく、活性領域におけるチャネル領域にゲート長方向に引っ張り応力が生じているMISトランジスタと活性領域におけるチャネル領域にゲート長方向に引っ張り応力が生じていないMISトランジスタとを備えた半導体装置を形成することができ、MISトランジスタのチャネル領域に対して応力歪みを付与する半導体装置の製造方法等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】(a)〜(d)は本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程順の断面図である。
【図2】(a)〜(d)は本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程順の断面図である。
【図3】(a)〜(d)は本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程順の断面図である。
【図4】(a)〜(d)は本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程順の断面図である。
【図5】(a)〜(d)は本発明の第4の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程順の断面図である。
【図6】(a)〜(d)は従来例に係る半導体装置の製造方法を示す工程順の断面図である。
【図7】(a)〜(d)は従来例に係る半導体装置の製造方法を示す工程順の断面図である。
【符号の説明】
【0083】
A n型トランジスタ領域
B p型トランジスタ領域
11 半導体基板
11a 第1の活性領域
11b 第2の活性領域
12 素子分離領域
13a p型ウェル
13b n型ウェル
14a 第1のゲート絶縁膜
14b 第2のゲート絶縁膜
15a n型ゲート電極
15b p型ゲート電極
16a 第1の側壁膜
16b 第2の側壁膜
17a n型エクステンション領域
17b p型エクステンション領域
18a 第1の内側サイドウォール
18b 第2の内側サイドウォール
19a 第1の外側サイドウォール
19b 第2の外側サイドウォール
20a 第1のサイドウォール
20b 第2のサイドウォール
21 第1のレジストパターン
22a n型ソースドレイン領域
22b p型ソースドレイン領域
23 第2のレジストパターン
24 応力歪み生成膜
24A 引っ張り応力含有部
24B 圧縮応力含有部
25 第3のレジストパターン
26 金属シリサイド層
27 応力歪み生成膜
27A 応力緩和部
27B 引っ張り応力含有部
28 第4のレジストパターン
29a 第1のアモルファス層
29b 第2のアモルファス層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の活性領域上に形成された第1のMISトランジスタと、第2の活性領域上に形成された第2のMISトランジスタとを備えた半導体装置の製造方法において、
半導体基板に素子分離領域を形成する工程(a)と、
前記素子分離領域に囲まれた前記半導体基板からなる前記第1の活性領域の上に第1のゲート絶縁膜を介して第1のゲート電極を形成すると共に、前記素子分離領域に囲まれた前記半導体基板からなる前記第2の活性領域の上に第2のゲート絶縁膜を介して第2のゲート電極を形成する工程(b)と、
前記第1のゲート電極の側面上に第1のサイドウォールを形成すると共に、前記第2のゲート電極の側面上に第2のサイドウォールを形成する工程(c)と、
前記工程(c)の後に、前記半導体基板の上に生成膜を形成する工程(d)と、
前記工程(d)の後に、前記生成膜における前記第1の活性領域及び前記第2の活性領域のうちの少なくとも一方の上側部分を改質する工程(e)と、
前記工程(e)の後に、前記半導体基板に対して熱処理を行うことにより、前記生成膜によって前記第1の活性領域及び前記第2の活性領域のうち少なくとも一方におけるチャネル領域に対してゲート長方向に沿った応力を生じさせる工程(f)と、
前記工程(f)の後に、前記第1の活性領域及び前記第2の活性領域の上に形成されている前記生成膜を除去する工程(g)とを備えていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(d)では、前記第1の活性領域及び前記第2の活性領域に対して応力を生じさせない前記生成膜を形成し、
前記工程(e)では、前記生成膜における前記第1の活性領域の上に位置する部分を改質して前記第1の活性領域に対して応力を生じさせる第1の応力含有部を形成し、
前記工程(f)では、前記第1の応力含有部によって、前記第1の活性領域におけるチャネル領域に対して、第1の応力を生じさせることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(f)では、前記熱処理を行うことにより、前記第2の活性領域の上に位置する前記生成膜によって、前記第2の活性領域におけるチャネル領域に対して前記応力を生じさせないことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項2に記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(e)では、前記生成膜における前記第2の活性領域の上に位置する部分を改質して前記第2の活性領域に対して応力を生じさせる第2の応力含有部を形成し、
前記工程(f)では、前記第2の応力含有部によって、前記第2の活性領域におけるチャネル領域に対して、第2の応力を生じさせ、
前記第1の応力と前記第2の応力とは、応力方向が互いに異なっていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2の応力は、圧縮応力であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(d)では、前記第1の活性領域及び前記第2の活性領域に対して第1の応力を生じさせる前記生成膜を形成し、
前記工程(e)では、前記生成膜における前記第2の活性領域の上に位置する部分を改質して、前記第2の活性領域に対して前記第1の応力を生じさせない応力緩和部を形成し、
前記工程(f)では、前記半導体基板に対して熱処理を行うことにより前記第1の活性領域におけるチャネル領域に対して第1の応力を生じさせると共に、前記応力緩和部によって、前記第2の活性領域におけるチャネル領域に対して前記第1の応力を生じさせないことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6のうちいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(e)では、プラズマ処理によって前記生成膜中に不純物を導入することにより、前記生成膜の改質を行うことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜6のうちいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(e)では、イオン注入によって前記生成膜中に不純物を導入することにより、前記生成膜の改質を行うことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項8に記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(e)は、前記イオン注入によって前記第1のゲート電極の上部に前記不純物を導入することにより、前記第1のゲート電極の上部にアモルファス層を形成する工程を含み、
前記工程(f)は、前記熱処理を行うことにより、前記第1のゲート電極の上部における前記アモルファス層を再結晶化する工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項1〜9のうちいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1のMISトランジスタは、n型MISトランジスタであり、
前記第2のMISトランジスタは、p型MISトランジスタであり、
前記第1の応力は、引っ張り応力であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項11】
請求項1〜10のうちいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(c)では、前記第1のサイドウォール及び前記第2のサイドウォールを、前記半導体基板に垂直で且つチャネル長方向の断面形状がL字状の内側サイドウォールと該内側サイドウォール上に形成された外側サイドウォールとからそれぞれ構成し、
前記工程(g)は、前記外側サイドウォールを除去する工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−111067(P2009−111067A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−280423(P2007−280423)
【出願日】平成19年10月29日(2007.10.29)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】