説明

半導体装置の製造装置および半導体装置の製造方法

【課題】半導体パッケージの側面に付着する切断屑を、個片化した後に除去することによって、切断屑の残留を抑制する
【解決手段】本実施形態に係る半導体装置の製造装置は、互いに繋がっている半導体パッケージ1を供給する供給部10と、互いに繋がっている半導体パッケージ1を個片化する切断部と、個片化された半導体パッケージ2の側面に付着した切断屑100および200を除去する除去部300と、を有している。除去部300は、個片化された半導体パッケージ2を搬送する第1の搬送経路30と、第1の搬送経路30の両側にそれぞれ設けられた第1のブラシ50と、第1の搬送経路30を通過した半導体パッケージ2を上から見て90度回転させた状態で搬送する第2の搬送経路40と、第2の搬送経路40の両側にそれぞれ設けられた第2のブラシ60と、を含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェハから半導体パッケージを個片化する際、半導体パッケージの側面には切断屑が残留することがある。
【0003】
特許文献1−2には、半導体パッケージの側面に付着した切断屑を除去することを試みた半導体装置の製造装置が開示されている。特許文献1では、半導体パッケージを個片化する際、回転ブラシを用いて切断屑を除去しようとするダイシング装置が記載されている。特許文献2では、半導体パッケージの側面に付着した切断屑を、エアーによって除去しようとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−133256号公報
【特許文献2】特開2003−309087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
半導体パッケージの側面に切断屑が付着している場合、半導体パッケージを収容する容器と半導体パッケージの側面が接触することによって、切断屑が再露出することがある。発明者は、半導体パッケージを個片化するのと同時に回転ブラシによる切断屑の除去を行った際、半導体パッケージと切断機の隙間が狭いため、回転ブラシの摩耗屑が発生し付着してしまうことと考えた。さらに発明者は、半導体パッケージを個片化した後、エアーによる切断屑の除去を行った際、側面に付着した切断屑を完全に除去することは困難であると考えた。
【0006】
半導体パッケージの個片化と同時に、回転ブラシや、エアーなどによって切断屑の除去を行った際、切断屑の除去は完全には出来ない。そこで、半導体パッケージの側面に付着する切断屑を、個片化した後に除去することによって、切断屑の残留を抑制する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、互いに繋がっている半導体パッケージを供給する供給部と、
上記互いに繋がっている半導体パッケージを個片化する切断部と、
上記個片化された上記半導体パッケージの側面に付着した切断屑を除去する除去部と、
を有し、
上記除去部は、上記個片化された半導体パッケージを搬送する第1の搬送経路と、
上記第1の搬送経路の両側にそれぞれ設けられた第1のブラシと、
上記第1の搬送経路を通過した上記半導体パッケージを上から見て90度回転させた状態で搬送する第2の搬送経路と、
上記第2の搬送経路の両側にそれぞれ設けられた第2のブラシと、
を含む半導体装置の製造装置が提供される。
【0008】
さらに、本発明によれば、互いに繋がっている半導体パッケージを切断して個片化する切断工程と、
上記個片化された上記半導体パッケージの側面に付着した切断屑を除去する除去工程と、
を有し、
上記除去工程において、上記半導体パッケージを第1の搬送経路に搭載し、上記第1の搬送経路の両側にそれぞれ設けられた第1のブラシによって上記半導体パッケージの互いに平行した2つの側面の上記切断屑を除去する第1の除去工程と、
上記第1の搬送経路に上記半導体パッケージを搭載した方向とは、上から見て90度回転させた状態で第2の搬送経路に搭載し、上記第2の搬送経路の両側にそれぞれ設けられた第2のブラシによって、上記第1の除去工程とは異なる互いに平行した上記半導体パッケージの側面の上記切断屑を除去する第2の除去工程と、
を含む半導体装置の製造方法が提供される。
【0009】
本発明によれば、半導体ウェハから半導体パッケージを個片化した後、半導体パッケージの側面に付着した切断屑をブラシによって取り除いている。半導体パッケージは、平面視で長方形あるいは正方形の形状を有している。また、ブラシは、切断部とは別に設けられた搬送経路に沿って両側に設けられている。このため、半導体パッケージの側面にブラシを接触させることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、半導体パッケージを個片化した後、側面に付着した切断屑を、ブラシを用いて除去することによって、切断屑を効果的に除去している。これによって、半導体パッケージの側面における切断屑の残留が、抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態に係る半導体装置の製造装置を説明する図であり、(a)は供給部を説明するための上面図、(b)は切断部を説明するための上面図、(c)は個片化された半導体パッケージを説明するための斜示図を示している。
【図2】は、本実施形態に係る半導体装置の製造装置における除去部を説明するための斜示図である。
【図3】本実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0013】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係る半導体装置の製造装置を説明する図であり、(a)は供給部を、(b)は切断部を、(c)は個片化された半導体パッケージを示している。
図1に示すように、本実施形態に係る半導体装置の製造装置は、互いに繋がっている半導体パッケージ1を供給する供給部10と、互いに繋がっている半導体パッケージ1を個片化する切断部と、個片化された半導体パッケージ2の側面に付着した切断屑100および200を除去する除去部300と、を有している。除去部300は、個片化された半導体パッケージ2を搬送する第1の搬送経路30と、第1の搬送経路30の両側にそれぞれ設けられた第1のブラシ50と、第1の搬送経路30を通過した半導体パッケージ2を上から見て90度回転させた状態で搬送する第2の搬送経路40と、第2の搬送経路40の両側にそれぞれ設けられた第2のブラシ60と、を含んでいる。
【0014】
以下、半導体装置の製造方法を説明するとともに、半導体製造装置の各構成部位について詳細に説明する。
【0015】
まず、図1(a)に示すように、互いに繋がっている半導体パッケージ1を半導体製造装置に設けられた供給部10に搭載する。半導体パッケージ1は、配線基板3上に半導体チップ4が樹脂封止した状態で搭載されている。なお、半導体パッケージ1は、ワイヤーボンディングであっても、フリップチップであっても、いずれでもよい。
【0016】
次に、図1(b)に示すように、互いに繋がっている半導体パッケージ1を、切断ライン20に沿って個片化する。このとき、半導体パッケージ1は供給部10に搭載されている。半導体パッケージ1の個片化にはプレス切断機が用いられる。切断部によって半導体パッケージ1を切断する際、本実施形態では、配線基板3のみが切断される。なお、半導体パッケージ1における切断ライン20は、便宜的に破線で記載している。
【0017】
図1(c)は、個片化された半導体パッケージ2の斜示図である。個片化された半導体パッケージ2における各側面には、切断屑100および200が付着している。また、個片化された半導体パッケージ2の平面形状は、長方形あるいは正方形である。このため、半導体パッケージ2は、合計4面の側面を有している。
【0018】
次に、個片化された半導体パッケージ2に付着した切断屑100および200を、除去部300によって除去する。
【0019】
図2は、本実施形態に係る半導体製造装置の除去部300に半導体パッケージ2を搭載した際の一例を示した図である。
図2に示すように、半導体パッケージ2の側面に付着した切断屑100および200は、除去部300の各構成要素(第1の搬送経路30、第1のブラシ50、第2の搬送経路60、および第2のブラシ60)によって除去される。
【0020】
まず、半導体パッケージ2は、除去部300における第1の搬送経路30に搭載される。なお、第1のブラシ50は、第1の搬送経路30に沿って設けられている。このとき、第1の搬送経路30の移動速度は、任意に設定できるようになっている。また、半導体パッケージ2の搭載方向は、半導体パッケージ2において互いに平行する2つの側面が、第1の搬送経路30による半導体パッケージ2の搬送方向と平行していればよい。
【0021】
次に、半導体パッケージ2は、第1の搬送経路30によって移動する。移動した半導体パッケージ2は、第1の搬送経路30の両側にそれぞれ設けられている第1のブラシ50と接触する。これによって、半導体パッケージ2の側面に付着した切断屑100が除去される。このとき第1のブラシ50は、上から見て時計回り、あるいは反時計まわりのどちらの向きにも回転できるようになっている。なお、第1のブラシ50は、第1の搬送経路30の両側それぞれに少なくとも1つ以上、好ましくは複数設けられている。
【0022】
第1のブラシ50は、半導体パッケージ2の厚さより長く、かつ第1のブラシ50の側面の下端が、半導体パッケージ2の底面より低い位置に設けられている必要がある。なぜなら、切断屑100を側面から払い落すためには、半導体パッケージ2の側面全面と第1のブラシ50が接触しなくてはならないからである。
【0023】
第1のブラシ50は、交換することができる。これは、ブラシの摩耗屑が半導体パッケージ2との接触によって発生し、半導体製造装置内に滞留することを抑制するためである。さらに、第1のブラシ50は、静電対策を施した材質で出来たブラシであることが好ましい。これは、第1のブラシ50と半導体パッケージ2が接触することによって発生する静電気によって、切断屑100が半導体パッケージ2や第1のブラシ50に静電吸着してしまうことを防ぐためである。これと同様の理由で、第1のブラシ50に切断屑100が付着することを防ぐため、第1のブラシ50は、バキューム機能を有していることが好ましい。バキューム機能とは、第1のブラシに付着した切断屑100や摩耗屑を、吸引除去する機能のことを指している。
【0024】
次に、半導体パッケージ2を第2の搬送経路40に搭載する。このとき、半導体パッケージ2は、平面視で90度回転させてから、第2の搬送経路40に搭載する。つまり、半導体パッケージ2の側面において、第1の搬送経路30および第1のブラシ50によって切断屑100を払い落し除去した面が、第2の搬送経路40の移動方向と直角になるように搭載される。
なお、第2の搬送経路40についても、第1の搬送経路30と同様に、任意の移動速度で、半導体パッケージ2を移動させることができる。
【0025】
次に、半導体パッケージ2が第2の搬送経路40上を移動する。第2のブラシ60についても第1のブラシ50と同様に、第2の搬送経路40に沿って設けられている。このため、第2の搬送経路40によって搬送された半導体パッケージ2は、第2のブラシ60と接触する。このとき、半導体パッケージ2の側面に付着した切断屑200は、除去される。なお、第2のブラシ60は、第2の搬送経路40の両側のそれぞれに少なくとも1つ以上、好ましくは複数設けられている。
【0026】
第2のブラシ60についても、第1のブラシ50と同様に、上から見て時計回り、あるいは反時計まわりの、どちらの向きにも回転できるようになっている。また、第2のブラシ60の側面は、半導体パッケージ2の厚さより長く、かつ第2のブラシ60の側面の下端が、半導体パッケージ2の底面より低い位置に設けられている必要がある。また、第2のブラシ60おいても、静電対策を施した材質で出来たブラシであること、バキューム機能を有していることが好ましい。
【0027】
このようにして、半導体パッケージ2の側面に付着した切断屑100および200は、半導体製造装置の除去部によって、除去される。
【0028】
次に本実施形態の効果について説明する。
【0029】
本実施形態の半導体装置の製造方法では、互いに接続された半導体パッケージ1を個片化した後に、切断屑100および200の除去を行っている。個片化された半導体パッケージ2の側面に付着した切断屑100および200は、半導体パッケージ2の各側面に付着している。本実施形態では半導体パッケージ1を個片化した後、第1のブラシ50および第2のブラシ60によって、切断屑100および200を除去する。これによって、半導体パッケージ1を個片化した際、側面に付着した切断屑100および200の残留を抑制することができる。
【0030】
(第2の実施形態)
本実施形態は、半導体製造装置における除去部300に設けられている第1のブラシ50および第2のブラシ60の代わりに、静電対策回転型スポンジ、あるいは回転型静電対策粘着シートを用いている点を除いて、第1の実施形態と同様である。本実施形態においても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0031】
(第3の実施形態)
本実施形態は、半導体製造装置における除去部300に、水を高圧で押しあてることで半導体パッケージ2の側面を洗浄する高圧水洗部が設けられている。高圧水洗部を設ける場合は、PKGを乾燥させるための乾燥機能を同時に有するものとする。さらに、本実施形態では、イオンを吹き飛ばすことによって切断屑100および200を除去するイオン部が設けられている点を除いて、第1および第2の実施形態と同様である。なお、本実施形態において高圧水洗部とイオン部は、どちらか一方が設けられていればよい。本実施形態においても、第1および第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0032】
(第4の実施形態)
本実施形態は、切断部にダイシングブレードを、金型プレス切断機以外に備えている。ダイシングブレードは、例えば、一括封止した半導体パッケージ1を切断する際に用いられる。
【0033】
図3は、本実施形態に係る半導体パッケージ1の切断ライン20を説明するための断面図である。
図3に示すように、配線基板3上に搭載された半導体チップ4を、封止樹脂5によって一括封止している半導体パッケージ1の場合、治具ダイサーを用いれば切断ライン20に沿って、半導体パッケージ1を個片化することができる。
なお、本実施形態においても、第1、第2、および第3の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0034】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0035】
1 半導体パッケージ
2 半導体パッケージ
3 配線基板
4 半導体チップ
5 封止樹脂
10 供給部
20 切断ライン
30 第1の搬送経路
40 第2の搬送経路
50 第1のブラシ
60 第2のブラシ
100 切断屑
200 切断屑
300 洗浄部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに繋がっている半導体パッケージを供給する供給部と、
前記互いに繋がっている半導体パッケージを個片化する切断部と、
前記個片化された前記半導体パッケージの側面に付着した切断屑を除去する除去部と、
を有し、
前記除去部は、前記個片化された半導体パッケージを搬送する第1の搬送経路と、
前記第1の搬送経路の両側にそれぞれ設けられた第1のブラシと、
前記第1の搬送経路を通過した前記半導体パッケージを上から見て90度回転させた状態で搬送する第2の搬送経路と、
前記第2の搬送経路の両側にそれぞれ設けられた第2のブラシと、
を含む半導体装置の製造装置。
【請求項2】
前記第1のブラシと前記第2のブラシは、交換可能であり、かつバキューム機能を有している請求項1に記載の半導体装置の製造装置。
【請求項3】
前記第1のブラシと前記第2のブラシの代わりに、静電対策回転型スポンジ、あるいは回転型静電対策粘着シートを用いる請求項1または請求項2に記載の半導体装置の製造装置。
【請求項4】
前記除去部は、水を高圧で押しあてることで前記半導体パッケージの前記側面に付着した前記切断屑を除去する高圧水洗部と、
イオンで前記半導体パッケージの前記側面に付着した前記切断屑を吹き飛ばすイオン部と、
をさらに有している請求項1乃至3のいずれか一項に記載の半導体装置の製造装置。
【請求項5】
互いに繋がっている半導体パッケージを切断して個片化する切断工程と、
前記個片化された前記半導体パッケージの側面に付着した切断屑を除去する除去工程と、
を有し、
前記除去工程において、前記半導体パッケージを第1の搬送経路に搭載し、前記第1の搬送経路の両側にそれぞれ設けられた第1のブラシによって前記半導体パッケージの互いに平行した2つの側面の前記切断屑を除去する第1の除去工程と、
前記第1の搬送経路に前記半導体パッケージを搭載した方向とは、上から見て90度回転させた状態で第2の搬送経路に搭載し、前記第2の搬送経路の両側にそれぞれ設けられた第2のブラシによって、前記第1の除去工程とは異なる互いに平行した前記半導体パッケージの側面の前記切断屑を除去する第2の除去工程と、
を含む半導体装置の製造方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−89738(P2013−89738A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228436(P2011−228436)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】