説明

半導体装置の製造装置及び半導体装置の製造方法

【課題】半導体ウエーハの素子形成面の裏面に、接着シートに代えて、接着剤を直接塗布して、接着剤の塗布膜を所望する膜厚で形成する半導体装置の製造装置及び製造方法を提供する。
【解決手段】半導体装置の製造装置1は、ウエーハWが載置され、載置状態のウエーハWを加熱するステージ6aと、ステージ6aにより加熱された載置状態のウエーハW上の塗布領域に向けて接着剤を複数の液滴として吐出する塗布ヘッド6cとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、半導体装置の製造工程では、半導体ウエーハがダイシングテープに接着シート(DAF材とも呼ばれる)を介してマウントされ、その半導体ウエーハがブレードダイシングにより個片化され、複数の半導体チップが製造される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
半導体ウエーハがダイシングテープにマウントされる際には、まず、半導体ウエーハの素子形成面の裏面が研削され、その裏面に接着シートが貼り付けられ、その半導体ウエーハが接着シートを介してダイシングテープ上にマウントされる。なお、ダイシング後には、半導体ウエーハの裏面側からダイシングテープに対してUV照射が行われ、半導体チップをダイシングテープから取り外す後工程のピックアップのため、接着シートに対するダイシングテープの粘着力が下げられる。
【0004】
また、特許文献1には、このような接着シートに代えて半導体ウエーハの素子形成面の裏面に接着剤を直接塗布して接着剤の塗布膜を形成することで、より低コストで高品質な半導体装置を製造する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−270282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1には、半導体ウエーハの素子形成面の裏面に接着剤を直接塗布する装置の具体的構成は開示されていない。
【0007】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、その目的は、ウエーハに接着剤の塗布膜を所望する膜厚で形成することができる半導体装置の製造装置及び半導体装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施の形態に係る第1の特徴は、半導体装置の製造装置において、ウエーハが載置され、載置状態のウエーハを加熱するステージと、ステージにより加熱された載置状態のウエーハ上の塗布領域に向けて接着剤を複数の液滴として吐出する塗布ヘッドとを備えることである。
【0009】
本発明の実施の形態に係る第2の特徴は、半導体装置の製造方法において、加熱ステージ上にウエーハを載置する工程と、加熱ステージにより載置状態のウエーハを加熱する工程と、接着剤を複数の液滴として吐出する塗布ヘッドを用いて、加熱ステージにより加熱されているウエーハ上の塗布領域に接着剤を塗布する工程とを有することである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ウエーハに接着剤の塗布膜を所望する膜厚で形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の一形態に係る半導体装置の製造装置の概略構成を示す平面図である。
【図2】図1の製造装置が備える収容部を示す模式図である。
【図3】図2の収容部が備える支持板を示す平面図である。
【図4】図1の製造装置が備える搬送部のハンドを示す平面図である。
【図5】図4のA1−A1線断面図である。
【図6】図4のハンドが収容部からウエーハを取り出す動作を説明するための説明図である。
【図7】図1の製造装置が備える位置合わせ部及び乾燥部を示す模式図である。
【図8】図7の位置合わせ部が備えるセンタリング部を示す平面図である。
【図9】図7の位置合わせ部が備えるプレアライメント部を示す平面図である。
【図10】仮ダイシングされていないウエーハとそのノッチを用いた位置合わせを説明するための説明図である。
【図11】仮ダイシングされているウエーハとそのノッチを用いた位置合わせを説明するための説明図である。
【図12】図1の製造装置が備える照射部を示す模式図である。
【図13】図12の照射部が備えるUVランプの使用時間と照度との関係を説明するための説明図である。
【図14】図1の製造装置が備える塗布部のステージを示す模式図である。
【図15】図14のステージが備えるリフトピンの位置を示す平面図である。
【図16】図14のステージが備える吸着孔の位置を示す平面図である。
【図17】図1の製造装置が備える塗布部の吐出安定部を構成する吐出確認部を示す模式図である。
【図18】図17の吐出確認部を示す平面図である。
【図19】図1の製造装置が備える塗布部の吐出安定部を構成する清掃湿潤部を示す模式図である。
【図20】図19の清掃湿潤部を示す平面図である。
【図21】図1の製造装置が備える塗布部の吐出安定部を構成する吐出量確認部を示す模式図である。
【図22】図21の吐出量確認部を示す平面図である。
【図23】図1の製造装置が備える塗布部の清掃部を示す模式図である。
【図24】図7の乾燥部が備えるヒータプレートを示す平面図である。
【図25】図1の製造装置が行う製造処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の一形態について図面を参照して説明する。
【0013】
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造装置1は、塗布対象物(あるいは処理対象物)としてのウエーハWを収容する複数の収容部2と、ウエーハWを搬送する搬送部3と、プレアライメントを行う位置合わせ部4と、紫外線を照射する照射部5と、ウエーハWの表面に接着剤を塗布する塗布部6と、仮乾燥を行う乾燥部7と、各部を制御する制御部8とを備えている。
【0014】
これらの各部は搬送部3を中心としてその回りを囲むように製造装置1の架台1a上に配設されている。すなわち、架台1a上の左側の中央に搬送部3が配置され、搬送部3の上側に収容部2、搬送部3の右上側に位置合わせ部4及び乾燥部7、搬送部3の下側に照射部5、搬送部3の右下側に塗布部6が配設されている。なお、ウエーハWに塗布された接着剤は、ウエーハWを個片化したチップを実装する際の接合に供される。すなわち、ウエーハWは、半導体の製造装置1によって接着剤の塗布膜が形成去れた後、従来技術でも説明したように、ダイシング等によって切断されてチップ毎に個片化される。その後、ダイボンディング等によってチップ毎に取り出され、取り出されたチップは基板上に直接或いは他のチップ等を介して、半導体装置の製造装置1で塗布した接着剤によって実装される。
【0015】
各収容部2は、ウエーハWを投入あるいは排出するためのウエーハカセットである。これらの収容部2は製造装置1の架台1aに対して着脱可能に形成されている。なお、本発明の実施の形態では、収容部2が例えば二つ設けられている。これらの収容部2のどちらか一方がウエーハWの搬入用として用いられ、その他方がウエーハWの搬出用として用いられる。
【0016】
各収容部2は、図2及び図3に示すように、ウエーハWを各々支持する複数の支持板2aと、それらの支持板2aを多段に保持する一対の保持体2b(図2参照)とをそれぞれ備えている。これらの保持体2bは例えば板状あるいは柱状に形成されている。
【0017】
支持板2aは、ウエーハWを支持する複数本(本実施の形態においては、5本)の支持部2a1を有する櫛歯状に形成されており、載置されたウエーハWをその下面から支持する部材である。この支持板2aには、複数のホールドピン11(図3参照)が設けられている。また、支持板2aの櫛歯を構成する各支持部2a1の先端の下側には、それらの支持部2a1を補強する板状の補強部材12が各支持部2a1の延伸方向に交差させて設けられている。補強部材12は、複数の連結支柱12a(図2参照)を有しており、それらの連結支柱12aを介して各支持部2a1の各々の先端を支持している。このような支持板2aが所定間隔で多段に積層されている。
【0018】
各ホールドピン11は、ウエーハWの外形に合わせて円状に配置されており、支持板2a上に載置されたウエーハWの平面方向への移動を規制する。ホールドピン11は先端がテーパ状に形成されている。このため、ウエーハWは、その中心がホールドピン11の配置円の中心から多少ずれた位置で支持板2aに対して供給された場合でも、ウエーハWがホールドピン11の間を下降する際、その中心がずれている側の周縁がホールドピン11先端のテーパ部に当接して横方向に押されるので、ホールドピン11の配置円の中心に位置合わせされる。このように、ウエーハWは、支持板2aにおける各ホールドピン11に囲まれた円領域上に載置され、それらのホールドピン11により平面方向への移動が規制されてホールドされる。なお、図3の例では、6つのホールドピン11が円状に配置される。
【0019】
図1に戻り、搬送部3は、ウエーハWを保持して移動可能なハンド3aと、そのハンド3aを支持して伸縮、昇降及び平面方向に回転可能なアーム3bと、そのアーム3bを支持してX軸方向に移動させるアーム移動駆動部3cとを備えている。この搬送部3は、各収容部2、位置合わせ部4、照射部5、塗布部6及び乾燥部7の各間においてウエーハWの受け渡しを行う。
【0020】
ハンド3aは、図4に示すように、ウエーハWを支持する複数本(本実施の形態においては、6本)の支持部3a1を有する櫛歯状に形成されており、載置されたウエーハWをその下面から支持する部材である。特に、各支持部3a1は、収容部2が備える支持板2a(図3参照)の櫛歯を構成する各支持部2a1の谷部分に丁度入り込む(以下、この状態を「組み合う」と称す。)形状の櫛歯を構成している。ハンド3aの両端に位置する支持部3a1には、ハンド3a上に載置されるウエーハWの外形に合わせた形状の幅広部3a2が形成されている。このハンド3aには、複数のホールドピン21及び複数の吸着孔22が設けられている。
【0021】
各ホールドピン21は、ウエーハWの外形に合わせて円状に配置されており、ハンド3a上に載置されたウエーハWの平面方向への移動を規制する。より詳細には、各ホールドピン21は、ウエーハWの直径よりも数mm程度大きい直径を有する円(配置円)の円周に沿って間隔をおいて配置される。ホールドピン21は先端がテーパ状に形成されている。このため、ウエーハWは、その中心がホールドピン21の配置円の中心から多少ずれた位置でハンド3aによって受け取られた場合でも、ウエーハWがホールドピン21の間を下降する際、その中心がずれている側の周縁がホールドピン21先端のテーパ部に当接して横方向に押されるので、ホールドピン21の配置円内に位置付けられる。このように、ウエーハWは、ハンド3aにおける各ホールドピン21に囲まれた円領域上に載置され、それらのホールドピン21により平面方向への移動が規制される。なお、図4の例では、8つのホールドピン21が円状に配置される。
【0022】
各吸着孔22は、ハンド3aの櫛歯中央付近に対するウエーハWの良好な吸着を可能に設けられている。これらの吸着孔22は、図5に示すように、ハンド3aの内部に形成された吸引経路23に連通している。この吸引経路23はチューブやパイプなどの配管を介して吸引ポンプなどの吸引部(不図示)に接続されている。これにより、ウエーハWは、その平面方向への移動が各ホールドピン21により規制されつつ、各吸着穴22による吸着によりホールドされる。なお、吸着方式としては、例えば、真空チャックや局所ベルヌーイチャックなどが用いられる。
【0023】
図1に戻り、アーム3bは伸縮可能、昇降可能及び水平回転可能に構成されており、さらに、アーム移動駆動部3cによりX軸方向に移動可能に構成されている。アーム3bは伸縮によりハンド3aの進退を行う。このアーム3bは制御部8に電気的に接続されており、その伸縮、昇降及び水平回転の駆動が制御部8により制御される。
【0024】
アーム移動駆動部3cはアーム3bをX軸方向に案内して移動させる移動機構であり、架台1a上に設けられている。このアーム移動駆動部3cは制御部8に電気的に接続されており、その駆動が制御部8により制御される。アーム移動駆動部3cとしては、例えば、サーボモータを駆動源とする送りねじ式駆動部やリニアモータを駆動源とするリニアモータ式駆動部などが用いられる。
【0025】
ここで、ハンド3aは、その櫛歯を構成する各支持部3a1が、アーム3bの伸長動作により、図6に示すように、収容部2が備える支持板2aの櫛歯を構成する各支持部2a1の間の谷部に差し込まれ、その支持板2aの各支持部2a1と組み合う。次に、ハンド3aはアーム3bの動作により上方に移動し、支持板2a上に載置されたウエーハWの下面に接触する。このとき、ハンド3aは、各ホールドピン21によりウエーハWの平面方向への移動を規制し、加えて、そのウエーハWを各吸着穴22により吸着してホールドする。その後、ハンド3aはアーム3bの動作によりさらに上方に移動し、移動後、手前側に向って収縮移動し、ウエーハWを収容部2から取り出して装置内に搬入する。最後に、ハンド3aはウエーハWを保持しながらアーム3bと共にX軸方向に移動し、位置合わせ部4にウエーハWを渡す。なお、搬出は搬入と逆の手順になる。
【0026】
図1の位置合わせ部4は、図7に示すように、搬送部3のハンド3aとそのハンド3a上のウエーハWとの平面方向(XY方向)位置合わせを行うセンタリング部4aと、回転方向(θ方向)の位置合わせを行うプレアライメント部4bとを備えている。この位置合わせ部4は乾燥部7の上部に設けられている。
【0027】
センタリング部4aは、図7及び図8に示すように、ウエーハWを支持する支持台31と、その支持台31上に支持されたウエーハWを平面方向に押してセンタリングする複数の押圧部32とを有している。なお、本発明の実施の形態では、押圧部32が三つ設けられている。
【0028】
このセンタリング部4aは、ウエーハWの中心をハンド3aの中心(この中心はホールドピン21の配置円の中心と一致する。)に合わせる機構である。すなわち、ウエーハWは、ハンド3aに対してホールドピン21によって位置決めされているが、8つのホールドピン21に内接する円の直径はウエーハWの直径よりも大きいことからこの大きさの差の分の誤差を含んだ精度の粗い位置決めとなっている。そこで、センタリング部4aによってホールドピン21よりも高精度の位置決めを行なうものである。ハンド3aの中心は後工程での基準位置(塗布の基準位置)となる位置であるため、ウエーハWの中心をハンド3aの中心に精度よく合わせる必要がある。なお、センタリング部4aは、ウエーハWの端部及びウエーハW上の保護フィルムを傷付けないように機械的にセンタリングを行う。
【0029】
支持台31は、ハンド3aの櫛歯を構成する各支持部3a1がその谷部分に丁度入り込む(以下、この状態を「組み合う」と称す。)形状の櫛歯を構成する複数本(本実施の形態においては、5本)の支持部31aを備えている(図8参照)。詳述すると、支持台31には、ハンド3aの櫛歯を構成する各支持部3a1が入り込む形状の凹部が形成されており、支持台31の上面がウエーハWを支持する各支持部31aとなっている。ハンド3aは、支持台31の櫛歯を構成する各支持部31aの間に進入してウエーハWの受け渡しを行う。このときの支持台31に対するハンド3aの位置決め位置は、支持台31上でセンタリングが完了したウエーハWの中心とハンド3aの中心とが一致する位置に予め調整されて設定されている。したがって、この支持台31上でウエーハWをセンタリングすることによって、ハンド3aの中心とウエーハWの中心を一致させることができる。
【0030】
各押圧部32は、ウエーハWの端部に当接するレバー部32aと、そのレバー部32aを平面方向に動かす移動駆動部32bとをそれぞれ有している。
【0031】
レバー部32aはその先端下側に下方に突出したピン(不図示)を備え、移動駆動部32bにより移動してピンをウエーハWに当接し、そのウエーハWを平面方向に押す。そのため、支持台31の櫛歯を構成する各支持部31aには、レバー部32aのピンの移動を許容するための切欠き部(不図示)が形成されている。また、レバー部32aは、その停止位置がセンタリング対象のウエーハWのサイズ(例えば8インチと12インチ)に合わせて切り替え可能に形成されている。停止位置は、レバー部32aのピンとウエーハWの外周との間に僅かな隙間ができるようになっている。これにより、ウエーハWが三つのレバー部32aにより挟まれることで割れたり、あるいは、欠けたりするような破損を防止することが可能である。なお、この隙間は、ハンド3aのホールドピン21に内接する円の直径とウエーハWの直径との差よりも十分小さな大きさである。
【0032】
移動駆動部32bは制御部8に電気的に接続されており、その駆動が制御部8により制御される。この移動駆動部32bとしては、例えば、サーボモータを駆動源とする送りねじ駆動部やエアシリンダなどが用いられる。なお、本発明の実施の形態は、送りねじ機構を用いた例である。送りねじ機構を用いた場合、サーボモータの回転量によって送り量を容易に調整することが可能であるので、レバー部32aの停止位置を容易に調整することができ、ウエーハWのセンタリング位置を容易に調整することができる。
【0033】
このようなセンタリング部4aは、支持台31上のウエーハWの外周に三方向から各押圧部32のレバー部32aのピンを押し付け、各レバー部32aのピンによる押し込みにより、そのウエーハWを平面方向に移動させ、ハンド3aの中心とウエーハWの中心とを合わせる位置合わせ(センタリング)を行う。
【0034】
プレアライメント部4bは、図7及び図9に示すように、ウエーハWを下面に吸着して保持する保持部41と、その保持部41を平面内で回転させる回転駆動部42と、保持部41により保持されたウエーハWの外周部分を上方から撮像する撮像部43と、その撮像部43をウエーハWの半径方向に移動させる移動駆動部44とを備えている。
【0035】
保持部41は真空吸着機構を有する円盤状のステージであり、その下面にウエーハWを吸着して保持し、搬送部3のハンド3aからウエーハWを受け取る。保持部41の平面サイズは、撮像部43によりウエーハWの外周部分を撮像可能なようにウエーハWの平面サイズより小さく形成されている。すなわち、保持部41がウエーハWを保持したときには、ウエーハWの外周部分が保持部41の外周(ステージ外周)からはみ出してウエーハWの外周部分が撮像可能になる。また、保持部41は回転駆動部42に対して着脱可能に形成されており、ウエーハWのサイズに合わせて交換することが可能になっている。ここで、外周部分とは、後述するノッチNが形成されるウエーハWにおける縁部分を含む領域のことである。
【0036】
回転駆動部42は、保持部41を支持してθ方向(図9参照)に回転させる回転機構であり、保持部41の上部に設けられている。この回転駆動部42は制御部8に電気的に接続されており、その駆動が制御部8により制御される。
【0037】
撮像部43は保持部41の外周部分を上方から撮像可能に設けられている。この撮像部43は制御部8に電気的に接続されており、その駆動が制御部8により制御される。撮像部43としては、例えば、CCDカメラなどが用いられる。なお、撮像部43の下方に位置する平板45、46には、撮像部43によりウエーハWの外周部分を撮像可能なように撮像用の窓となる開口Hが形成されている。この開口Hは平面視で斜めに長く形成されており(図9参照)、撮像部43はその開口Hを通してウエーハWの外周部分を撮像する。
【0038】
ここで、開口Hが長く形成されているのは、取り扱うウエーハWのサイズ(8インチと12インチ)に合わせて撮像部43の位置が切り替えられるようになっているためである。したがって、開口Hは撮像部43の移動方向(保持部41の半径方向)に長くなるように形成されている。また、開口Hが斜めに形成されているのは、搬送部3のハンド3aの進退方向に対して所定角度だけ傾けた位置でウエーハWのノッチNを検出して位置決めするためである。すなわち、塗布部6のステージ6a(後述する)に対してハンド3aはステージ6aの移動方向であるX方向に対して斜め方向(図1の矢印A2)から進退する。このようなハンド3aからウエーハWをステージ6aに受け渡ししたときに、ウエーハWのノッチNがステージ6aの移動方向(X方向)に向くようにするためには、ウエーハWはハンド3aに対して回転方向に所定角度傾いて位置決めされる必要がある。そのため、プレアライメント部4bに対するハンド3aの進退方向(図1、図6の矢印A1)と保持部41の回転中心と撮像部43の視野中心とを結ぶ直線との成す角Δθ1が、塗布部6のステージ6aに対するハンド3aの進退方向(図1の矢印A2)とステージ6aの移動方向(X軸方向)との成す角Δθ2と等しくなるように設定されており、ウエーハWのノッチNがハンド3aに対して角度Δθ1=Δθ2傾いて位置決めされる。
【0039】
移動駆動部44は、ウエーハWのサイズに応じて撮像部43によりウエーハWの外周部分を撮像可能な撮像位置に撮像部43を移動させる移動機構である。この移動駆動部44は制御部8に電気的に接続されており、その駆動が制御部8により制御され、例えば、サイズの小さい8インチのウエーハWの場合には保持部41の回転中心に近い内側に、サイズの大きい12インチのウエーハWの場合には保持部41の回転中心から遠い外側に移動される。移動駆動部44としては、例えば、サーボモータを駆動源とする送りねじ駆動部やエアシリンダなどが用いられる。
【0040】
このようなプレアライメント部4bは、保持部41の下面にウエーハWを吸着して保持し、さらに、移動駆動部44により撮像部43を撮像位置に移動させる。その後、プレアライメント部4bは、回転駆動部42により保持部41を回転させながら、撮像部43により平板45、46の開口Hを通して、回転するウエーハWの外周部分を撮像する。より詳細には、回転駆動部42は保持部41を設定された回転速度で回転させる。この保持部41の回転動作中に、撮像部43が制御部8の制御に基づいて所定の撮像タイミングでウエーハWの外周部分の画像を撮像する。ここで、撮像タイミングは、撮像部43が今回撮像した画像と次に撮像する画像の一部が重なる程度のタイミングに設定する。例えば、撮像部43がウエーハW外周における20°分の円弧(外周部分)を一度に撮像可能な撮像視野の大きさを有する場合、保持部41が15°回転する毎に撮像を行うといった具合である。なお、撮像部43による撮像のタイミングに合わせて保持部41を一時停止させても良いし、保持部41を連続回転させながら設定されたタイミング(例えば、15°回転する毎)で撮像するようにしても良い。
【0041】
ここで、ウエーハWの表面には複数のチップ(半導体素子)が格子状に配列されて形成されており、この面が素子形成面となる。この素子形成面には保護テープが貼り付けられている。一方、ウエーハWの裏面は砥石などにより研磨されており、この面が接着剤が塗布される塗布面となる。
【0042】
図10及び図11には、ウエーハWの裏面(塗布面)を示している。図10は、仮ダイシングされていないウエーハを示し(以下、未ダイシングのウエーハという)、図11は、仮ダイシングされているウエーハを示す(以下、ダイシング済みのウエーハという)。ここで、仮ダイシングとは、所定の深さまで切削することであり、仮ダイシング済のウエーハは後工程で完全に切断されて個片化される。なお、図11では、仮ダイシングによりウエーハの裏面(塗布面)に格子状のダイシング溝が形成されている。
【0043】
このようなウエーハWでは、通常、図10に示すように、ウエーハWの外縁に位置合わせ用のノッチNが設けられている。ところが、ウエーハWの外縁には、ノッチNの他に搬送過程等で発生した欠けKが存在することがある。この欠けKをノッチNとして認識すると、位置合わせを正確に行うことができなくなってしまう。
【0044】
そこで、プレアライメント部4bは、撮像画像に対して画像処理を行い、撮像した欠け部分の画像を予め基準として登録してある基準ノッチの画像と比較、すなわち、撮像した欠け部分の画像と基準ノッチとの画像のパターンマッチングを行い、撮像した欠け部分がノッチNであるか否かを判断する。すなわち、撮像した欠け部分が基準ノッチと一致した場合には、その欠け部分がノッチNであると判断され、欠け部分が基準ノッチと一致しない場合には、その欠け部分が欠けKであると判断される。これにより、ウエーハWの欠けKをノッチNとして認識してしまう誤認識を防止することができる。
【0045】
詳述すると、プレアライメント部4bは、不図示の画像処理演算部を備え、撮像部43がウエーハWの外周部分の画像を撮像する毎に、画像処理演算部によってその撮像画像内に、予め記憶されている基準ノッチと一致するパターンが存在するか否か、存在する場合には、ウエーハWの外周部分におけるそのパターン(ノッチN)の位置(ノッチNがあるべき位置に対する回転方向(θ方向)の位置ずれ)を算出する。例えば、撮像部43の撮像視野の中心がノッチNのあるべき位置とした場合、撮像画像内におけるノッチNの撮像視野の中心(撮像画像の中心位置)に対するX、Y方向の位置ずれとウエーハWの半径とから、撮像視野中心に対するノッチNのθ方向位置ずれを算出する。
【0046】
なお、ここで、撮像部43による撮像が行われる毎に画像処理を行うものとしたが、撮像部43がウエーハ43の外周部分の画像を全て撮像し終えた後に、全ての撮像画像に対して画像処理を行うようにしても良い。しかしながら、撮像部43の撮像が行われる毎に画像処理を行った場合は、ノッチNを検出した時点で、以降の撮像を中断することができるので効率的である。また、画像処理演算部は、プレアライメント部4bが備えるものとしたが、その機能を制御部8が兼ねても良い。
【0047】
このようにしてノッチNが認識され、そのノッチNの位置及びウエーハWの半径からθ方向の補正量が算出され、その補正量に基づいてウエーハWのθ方向の位置が補正される。なお、この位置補正は保持部41からウエーハWを搬送部3のハンド3aに受け渡す際に、制御部8の制御のもとで回転駆動部42によって行われる。すなわち、制御部8は、算出された補正量で回転駆動部42を駆動させ、ウエーハWのノッチN位置を撮像部43の視野中心に合わせ、この状態でウエーハWを搬送部3のハンド3aに受け渡す。これにより、後述する塗布部6のステージ6aに搬送部3のハンド3aからウエーハWを受け渡す際、ウエーハWのノッチNがステージ6aの移動方向(X軸方向)を向くこととなる。
【0048】
なお、未ダイシングのウエーハWの場合、ステージ6aに対するウエーハWの向きを所定の位置、すなわち、ノッチNがステージ6aの移動方向を向く位置に位置決めする必要がない場合がある。例えば、ウエーハWにおけるノッチNの形成領域よりも内側の領域のみに円形状に接着剤膜を形成する場合、必ずしもノッチNをステージ6aの移動方向に向ける必要がない。このような場合には、記憶部、例えば、制御部8が備える記憶部に収容部2から供給されるウエーハWが未ダイシングのウエーハWであるか、ダイシング済みのウエーハWであるかの情報、あるいは、プレアライメントが必要であるか否かの情報を記憶させておき、この情報に基づいて、制御部8がプレアライメント部4bによるプレアライメントの実行の要否を判別し、実行が必要と判定した場合のみプレアライメントを実行するようにしても良い。また、未ダイシングのウエーハWであっても、接着剤膜をノッチNの形成領域内にまでノッチNを除いた円形状に形成するような場合には、プレアライメントが必要である旨の情報を記憶させておき、プレアライメントを行うと良い。
【0049】
図1の照射部5は、図12に示すように、UV(紫外線)を発生させるUVランプ5aと、そのUVランプ5aを上下方向に移動させるランプ移動駆動部5bと、UV光量(紫外線光量)を検出する検出器としてのセンサ5cとを備えている。この照射部5はウエーハWの搬入/搬出口を備えた箱形状のUVハウジング(不図示)の内部に設けられている。UVハウジングの内部は窒素や酸素などのガスの正圧の雰囲気になっている。
【0050】
ランプ移動駆動部5bは、UVランプ5aを上下方向(ウエーハWに対して接離する方向)に移動させ、ウエーハWとUVランプ5aとの離間距離(ギャップ)を調整するための移動機構である。ランプ移動駆動部5bとしては、例えば、サーボモータを駆動源とする送りねじ駆動部などが用いられる。
【0051】
このような照射部5は、ウエーハWの裏面(接着剤が塗布される塗布面)に対してUVを照射することによりその表面改質を行う。これにより、ウエーハWの塗布面に接着剤が安定して付着することになり、ウエーハWの塗布面と接着剤との密着度を向上させることが可能になる。
【0052】
なお、表面改質のために必要な所定の積算光量を確保するため、搬送部3のハンド3aにより支持されたウエーハWがアーム3bの動作により一灯のUVランプ5aに対して往復移動する。これにより、並列に配置された二灯のUVランプ5aに対してウエーハWを一方向に通過させた場合の照射と同等の積算光量を得ることが可能となる。
【0053】
また、UVランプ5aから照射されるUVは、図13に示すように、時間と共に減衰することが知られているため、ウエーハWの塗布面(裏面)に接着剤との良好な密着度を安定して発現させるためには、ウエーハWに照射されるUV光量を所定量で一定にする必要がある。
【0054】
そこで、照射部5は、センサ5cにより検出されたUV光量に応じて、そのUV光量が所定量で一定となるように各種の条件を調整する。例えば、図13に示すように、UVランプ5aが寿命である4000時間に達した時点で照度が70%程度に減衰する場合、照射部5は、ウエーハWに対する照度をランプ寿命である照度70%に維持してUV光量を一定にするように各種の条件を調整する(調整手段)。すなわち、センサ5cによって検出されたUV光量が照度100%に相当するときには、ランプ移動駆動部5bによってUVランプ5aを上昇させてウエーハWに到達するUV光量が照度70%となるように調整する。センサ5cによる検出光量が照度100%よりも小さい値であった場合には、その減少量に応じて、ウエーハWとUVランプ5aとのギャップが小さくなるようにランプ移動駆動部5bを調整する。このような調整は照射の度(毎回)あるいは定期的に行われる。これにより、照射部5によってウエーハWに照射されるUV光の光量が変動することが抑止されるので、ウエーハWの裏面(塗布面)に対する表面改質を確実に、かつ安定して行うことができる。
【0055】
なお、UVランプ5aにおけるUVの減衰量は、使い始めの時期が最も大きく、その後ランプ寿命に近づくに従って徐々に小さくなる傾向がある。そこで、ウエーハWとランプ5aとのギャップの調整量も、UVの減衰量に合わせて時間の経過と共に徐々に小さくすると良い。
【0056】
また、各種の条件としては、上述したウエーハWとUVランプ5aとの離間距離の他、UVランプ5aの強度(UVランプ5aの入力電圧)や照射時間(ウエーハWとUVランプ5aとの相対速度)、窒素や酸素などの反応ガスの供給量(ガス流量)などが挙げられる。例えば、UVランプ5aの入力電圧による場合、ランプ寿命前でランプ照度が70%より大きい場合でも、入力電圧をコントロールして照度を70%に維持する。また、照射時間による場合、ランプ照度の減少に合わせて搬送部3のアーム3bによるハンド3aの移動速度を減少させて、ウエーハWの塗布面に対する単位面積当たりの照射光量の積算値が一定となるように調整する。また、ガス供給量による場合、UVによるウエーハW塗布面の表面改質効果はランプ照度と塗布面周囲のガス雰囲気濃度の影響を受けるので、ランプ照度が70%のときに所望の表面改質効果が得られるガス供給量(ガス濃度)を基準とし、ランプ照度が70%より高いときにはガス供給量(ガス濃度)を70%のランプ照度との差に応じて小さくする。なお、ウエーハWとUVランプ5aとの離間距離の調整は、ランプ移動駆動部5bに代えて搬送部3の昇降機能で行うようにしても良い。
【0057】
ここで、照射方式としては、他にも、定位置でウエーハWの全面に対して一括照射を行う一括照射方式やスキャン方式、回転照射方式などが用いられても良い。また、照射部5の構造としては、ローラコンベア上やステージ上、プロキシミティピン上、ロボットアーム上などにあるウエーハWに対して照射を行う構造が用いられても良い。
【0058】
図1に戻り、塗布部6は、ウエーハWが載置されるステージ6aと、そのステージ6aをX軸方向に移動させるステージ搬送駆動部6bと、ステージ6a上のウエーハWに向けて接着剤をインクジェット方式にて吐出して塗布する複数の塗布ヘッド6cと、それらの塗布ヘッド6cに接着剤を供給する送液部6dと、各塗布ヘッド6cの吐出性能を安定させる吐出安定部6eと、ステージ6a上のウエーハWの塗布面を清掃する清掃部6fとを備えている。なお、図1においては、各塗布ヘッド6cを支持する支持部の図示が省略されている。
【0059】
ステージ6aは、図14に示すように、載置されたウエーハWを加熱する加熱ステージ51と、その加熱ステージ51を平面内で回転させる回転駆動部52と、加熱ステージ51を回転駆動部52を介してY軸方向に移動させる移動駆動部53とを有している。このステージ6aはステージ搬送駆動部6bを介して架台1a上に設けられている。
【0060】
加熱ステージ51は、ウエーハWが水平状態で載置される載置台であり、載置状態のウエーハWを加熱する。この加熱ステージ51には、棒状のヒータ51aがY軸方向に沿うようにほぼ等間隔で並べられて内蔵されている。なお、端部(両端)に位置するヒータ51aの配置間隔は狭くなっている。これは、端部に位置するヒータ51aよりも外側にヒータ51aが存在しないため、加熱ステージ51の中央側に比べて外周側の放熱が大きく、その外周部分の温度が下がり易いので、端部に位置するヒータ51aを外周部分が放熱し易い分だけ隣のヒータ51aに近づけ、放熱による温度低下を防止するためである。この加熱ステージ51によるウエーハWの加熱は、ウエーハWの塗布面に塗布された接着剤の乾燥を促すためである。
【0061】
ここで、加熱ステージ51の温調は、測温抵抗体などの温度測定器を用いたフィードバック制御により行われる。なお、加熱ステージ51内に温度測定器として差し込まれた測温抵抗体の測定値と加熱ステージ51の表面では温度差があるため、予めこの温度差分を補正して制御用の温度が設定されている。
【0062】
また、加熱ステージ51には、棒状のリフトピン51bが昇降可能に複数個設けられている。これらのリフトピン51bは搬送部3のハンド3aとのウエーハWの受け渡しを行うためのピンである。各リフトピン51bは支持板51c上に立設されている。この支持板51cは加熱ステージ51の下側に配置され、エアシリンダ51dにより昇降するように構成されている。これにより、全てのリフトピン51bが同時に昇降することになる。また、各リフトピン51bは、図15に示すように、ヒータ51aの配置いちを避け、かつ、ウエーハWの受け渡しのためにステージ6a上に位置付けられたハンド3aと干渉しないように配置されている。
【0063】
さらに、加熱ステージ51には、図16に示すように、吸着孔51eが複数個設けられている。各吸着孔51eは、ヒータ51aとリフトピン51bの配置位置を避けつつ、ウエーハWの保持領域内でほぼ均等に分散するように設けられている。これらの吸着孔51eは吸引経路(不図示)に連通しており、その吸引経路はチューブやパイプなどの配管を介して吸引ポンプなどの吸引部(不図示)に接続されている。ここで、吸着孔51eの吸引経路は、ウエーハWのサイズ(例えば8インチと12インチ)に合わせて切り替え可能に構成されている。すなわち、図16に示す小さいサイズのウエーハW内に対応して位置する吸着孔51eのみに吸引力を作用させる吸引経路と、小さいサイズのウエーハWと大きいサイズのウエーハWの双方に対応して位置する吸着孔51aに吸引力を作用させる吸引経路とに切り換え可能とされている。
【0064】
ここで、加熱ステージ51の温度ムラを低減するためには、リフトピン51bの径は小さいほどよい。ウエーハWのリフトアップ荷重を考慮し、例えば、ピン径を1.0mm、孔径を2.5mmとすることで、温度ムラ及びリフトミスを防止することができる。さらに、加熱ステージ51の温度ムラを低減するためには、吸着孔51eの孔径は小さいほどよい。例えば、孔径を0.6mmにすることで、温度ムラ及び吸着ミスを防止することができる。また、吸着によるウエーハWの変形に起因するクラックを防止するため、吸着孔51eの孔径は0.6mm以下とすることが望ましい。なお、リフトピン51bの径は、1.0mmよりも小さくした方が温度ムラの抑制効果が高まると考えられるが剛性が低下するため、1.0mmよりも小さくする場合には、ウエーハWの重量とリフトピン51bの本数との関係から、ウエーハWの昇降に支障が生じない範囲で小さくすると良い。また、吸着孔51eの孔径も、小さい程温度ムラの防止効果が高まるが吸着力が低下するため、個々の吸着孔51eの吸着力と吸着孔51eの数との関係から、ウエーハWの吸着に支障が生じない範囲で小さくすると良い。
【0065】
図14に戻り、回転駆動部52は、加熱ステージ51を支持してθ方向に回転させる回転機構である。この回転駆動部52は制御部8に電気的に接続されており、その駆動が制御部8により制御される。
【0066】
移動駆動部53は、回転駆動部52を支持してY軸方向に移動させる移動機構である。この移動駆動部53は制御部8に電気的に接続されており、その駆動が制御部8により制御される。移動駆動部53としては、例えば、サーボモータを駆動源とする送りねじ駆動部やリニアモータを駆動源とするリニアモータ式駆動部などが用いられる。
【0067】
図1に戻り、ステージ搬送駆動部6bは、ステージ6aを支持するY軸方向に長尺なフレーム61と、そのフレーム61の一端を支持すると共にフレーム61をX軸方向に移動させる移動駆動部62と、フレーム61の他端をX軸方向に移動可能に支持するガイド部63とを備えている。
【0068】
このステージ搬送駆動部6bは、ステージ6aをX軸方向に案内して移動させる移動機構であり、架台1a上に設けられている。移動駆動部62は制御部8に電気的に接続されており、その駆動が制御部8により制御される。移動駆動部62としては、例えば、サーボモータを駆動源とする送りねじ駆動部やリニアモータを駆動源とするリニアモータ式駆動部などが用いられる。
【0069】
また、ステージ搬送駆動部6bにおける搬送部3のハンド3aとの間でのウエーハWの受け渡しを行うステージ6aの位置である待機位置の上方には、カメラ等の撮像部65が撮像方向を垂直方向下向きにしてY軸方向駆動部66によってY軸方向に移動自在に支持される。Y軸方向駆動部66は、不図示の支持部材によって架台1a上に支持される。撮像部65は、ステージ6a上にダイシング済みのウエーハWが載置された場合に、ウエーハWの周縁においてノッチNとウエーハWの中心を通る直線に対して対称位置にある2つのチップの角部C(図11参照)を含む画像を撮像する。このとき、撮像部65は、Y軸方向駆動部66によって、一方のチップの角部Cの撮像位置から他方のチップの角部Cの撮像位置へ移動される。
【0070】
なお、制御部8は、その記憶部に、収容部2に収容されたウエーハWが未ダイシングのウエーハWであるか、ダイシング済みのウエーハWであるかの情報などの位置検出の要否を示す情報が予め記憶されており、この情報に基づいて、ステージ6a上に載置されたウエーハWに対する撮像部65を用いた位置検出を実行するか否かを判別し、位置検出が必要な場合(例えば、ダイシング済みのウエーハWの場合)に位置検出を実行する。
【0071】
また、供給されるウエーハWが未ダイシングのウエーハWであり、接着剤膜をノッチNの形成領域内にまでノッチNを除いた円形状に形成するようなウエーハWであって、塗布部6による接着剤の塗布をセンタリング部4aとプレアライメント部4bによる位置決め精度で良好に行える場合には、プレアライメントが必要である旨の情報と撮像部65を用いた位置検出が不要である旨の情報を記憶させておき、プレアライメントを実行し、位置検出を実行しないように制御を行うようにするとよい。
【0072】
各塗布ヘッド6cは、ステージ6aに載置されたウエーハWに向けてインクジェット方式にて液状の接着剤を複数の液滴として吐出する吐出ヘッドである。なお、本発明の実施の形態では、塗布ヘッド6cが例えば七つ設けられている。これらの塗布ヘッド6cは、Y軸方向に二列に並べられて千鳥状に配置されており、移動するステージ6a上のウエーハWに接着剤の液滴を吐出可能に設けられている。各塗布ヘッド6cは制御部8に電気的に接続されており、その駆動が制御部8により制御される。
【0073】
塗布ヘッド6cは、液滴を吐出するための複数の吐出孔(オリフィス)を有しており、それらの吐出孔にそれぞれ対応する複数の圧電素子を内蔵している。この塗布ヘッド6cは、制御部8による各圧電素子に対する駆動電圧の印加に応じて各吐出孔から液滴を吐出する。各吐出孔は、所定のピッチ(間隔)で直線状に一列あるいは二列に並べられ、塗布ヘッド6cの吐出面(オリフィス面)に形成されている。このような七つの塗布ヘッド6cのノズルは、X軸方向から見て全体として等ピッチで、また、ステージ6aのY軸方向長さ全域にわたって配置される。
【0074】
この各塗布ヘッド6cは、移動するステージ6a上のウエーハWに向けて接着剤を吐出可能に支持部64(図17及び図18参照)により支持されている。この支持部64は、図17及び図18に示すように、各塗布ヘッド6cを内蔵して保持する保持部材64aと、その保持部材64aを支持する一対の支持板64bと、保持部材64aを中央にして一対の支持板64bを支持する枠体64cと、その枠体64cを支持する一対の門柱64dとを有している。
【0075】
保持部材64aはY軸方向に長尺に形成されており、塗布ヘッド6cの吐出面を露出させて各塗布ヘッド6cを内蔵して保持する部材である。一対の支持板64bは保持部材64aをそのY軸方向の両側から支持する部材である。枠体64cはY軸方向に長尺に形成されており、移動するステージ6a及びステージ搬送駆動部6bを跨ぐように位置付けられ、一対の門柱64dにより架台1a上に設けられている。門柱64dはX軸方向に長尺な門型の形状に形成されており、その梁部がX軸方向に平行にされ、その脚部が架台1aの上面に固定されて設けられている。
【0076】
なお、本発明の実施の形態では、一対の門柱64dを架台1aに固定して各塗布ヘッド6cのX軸方向への移動を制限しているが、これに限るものではなく、例えば、一対の門柱64dをX軸方向に移動可能にして各塗布ヘッド6cをX軸方向に移動させるようにしても良い。
【0077】
図1に戻り、送液部6dは、液状の接着剤を収容する加圧タンク71と、その接着剤をチューブやパイプなどの配管を介して各塗布ヘッド6cに供給する供給タンク72と、廃液を収容する廃液タンク73とを備えている。この送液部6dは制御部8に電気的に接続されており、その駆動が制御部8により制御される。供給タンク72では、その内部に貯留される液状の接着剤の液面高さが塗布ヘッド6cの吐出面とほぼ一致するように液面高さが制御されており、液面高さが補給を要する高さに到達した場合に、加圧タンク71から液状の接着剤が不足分を補う分だけ加圧供給される。
【0078】
吐出安定部6eは、各塗布ヘッド6cに対して吐出確認を行う吐出確認部81と、各塗布ヘッド6cの吐出面(オリフィス面)を清掃しかつ濡れた状態にする清掃湿潤部82と、各塗布ヘッド6cの個々の総吐出量を確認する吐出量確認部83とを備えている。
【0079】
吐出確認部81は、図17及び図18に示すように、各塗布ヘッド6cの各々に対応させて設けられた複数(本実施の形態においては、7つ)の撮像部81aと、それらの撮像部81aを退避位置と撮像位置とに昇降させる第1の昇降駆動部81bと、撮像用の照明部81cと、各塗布ヘッド6cから吐出された液滴を受ける受け部81dと、照明部81c及び受け部81dを昇降させる第2の昇降駆動部81e(図17参照)とを有している。
【0080】
撮像部81aは一つの塗布ヘッド6cに対して一つ設けられており、Y軸方向に一列に並べられている。撮像部81aは、塗布動作の邪魔にならない退避位置と吐出確認を行う撮像位置である作業位置との間で昇降可能に構成されている。退避位置及び撮像位置はステージ6aのX軸方向移動領域の上方に位置している。この撮像部81aは制御部8に電気的に接続されており、その駆動が制御部8により制御される。撮像部81aとしては、例えば、CCDカメラなどが用いられる。
【0081】
昇降駆動部81bは支持部64の枠体64cに設けられており、全ての撮像部81aを一括して昇降させる移動機構である。この昇降駆動部81bはエアシリンダを有しており、そのエアシリンダの駆動により全撮像部81aを昇降させる。昇降駆動部81bは制御部8に電気的に接続されており、その駆動が制御部8により制御される。すなわち、撮像部81aはこの昇降駆動部81bによって、作業位置と退避位置とに位置付けられるものであり、その作業位置は、塗布ヘッド6cのノズル形成面(下面)のやや下に撮像部81aの光軸が位置し、塗布ヘッド6cのノズルから吐出されて飛翔中の液滴を撮像可能な位置であり、退避位置は、作業位置の上方であって、塗布ヘッド6cの下をX軸方向に移動するステージ6aの移動領域よりも上側に設定されており、撮像部81aとステージ6aとの干渉が回避される位置である。
【0082】
照明部81cは、全ての撮像部81aが撮像動作を行う際に必要とする明るさを供給する照明である。この照明部81cは、塗布動作の邪魔にならない退避位置と吐出確認を行う際に光を照射する照射位置である作業位置との間で昇降可能に構成されている。照射位置は、各撮像部81aと各塗布ヘッド6cを間にして反対の位置であって、全塗布ヘッド6cより下方の位置である。また、照明部81cはチルト調整可能に形成されており、照射位置で各塗布ヘッド6cの吐出面に向けて光を照射するように傾けられている。この照明部81cは制御部8に電気的に接続されており、その駆動が制御部8により制御される。照明部81cとしては、例えば、ライン状の照明が用いられる。ライン状の照明の一例としては、LEDなどを一列に配置して構成された照明が挙げられる。
【0083】
受け部81dは、吐出確認を行う際に各塗布ヘッド6cから吐出された液滴を受けて収容する部材であり、支持部64により支持された各塗布ヘッド6cに向かい合うように設けられている。この受け部81dは、塗布動作の邪魔にならない退避位置と吐出確認を行う際に液滴を受ける受け位置である作業位置との間で昇降可能に構成されている。受け部81dはチューブやパイプなどの配管を介して送液部6dの廃液タンク73に接続されており、各塗布ヘッド6cから受け取った液滴を廃液として排出し、その廃液を配管により廃液タンク73に流す。
【0084】
昇降駆動部81eは支持部64の下方の架台1a内に設けられており、照明部81c及び受け部81dを支持して昇降させる移動機構である。この昇降駆動部81eは制御部8に電気的に接続されており、その駆動が制御部8により制御される。昇降駆動部81eとしては、例えば、サーボモータを駆動源とする送りねじ駆動部などが用いられる。すなわち、照明部81cと受け部81dは、この昇降駆動部81eによって、作業位置と退避位置とに位置付けられる。この照明部81cの作業位置は、照明部81cの光の照射方向が、作業位置に位置付けられた撮像部81aの光軸と塗布ヘッド6cのノズルから吐出される液滴の飛翔方向とが交わる位置に向く高さ位置であり、受け部81dの作業位置はその上縁が塗布ヘッド6cのノズル形成面との間に、撮像部81aが液滴を撮像可能な間隔が形成される高さ位置である。また、退避位置は、作業位置の下方であって、塗布ヘッド6cの下をX軸方向に移動するステージ6aの移動領域よりも下側に設定されており、この位置において照明部81c及び受け部81dとステージ6aとの干渉が回避される。すなわち、ステージ6aは、退避位置に位置付けられた照明部81cと受け部81dの上方を通過する。
【0085】
このような吐出確認部81は、撮像部81a、照明部81c及び受け部81dをそれぞれの作業位置に移動させ、照明部81cを点灯し、撮像に必要な明かりを生成する。その後、吐出確認部81は、各撮像部81aにより対応する塗布ヘッド6cから吐出された各液滴を撮像し、さらに、撮像画像を画像処理して液滴の直進性や形状などを正常時の画像と比較し、塗布ヘッド6cの状態を確認する。確認後、吐出確認部81は、照明部81cを消灯し、受け部81dを退避位置に移動させる。
【0086】
図1の清掃湿潤部82は、図19及び図20に示すように、上部開口の箱形状の容器82aと、その容器82a内に設けられた複数のワイプ部材82bと、それらのワイプ部材82bに接着剤の溶剤を吹き付けるノズル82cと、容器82aの昇降移動及びX軸方向移動を行う移動駆動部(第1の移動駆動部)82dとを有している。ここで、溶剤は、接着剤に含有される溶剤であることが好ましい。
【0087】
容器82aは、ステージ6aのX軸方向移動の邪魔にならないようにステージ6aの移動高さ位置よりも下側に位置する退避位置と、塗布ヘッド6cの吐出面(ノズル形成面)に接触可能な拭き取り位置である作業位置との間で移動する。この容器82aのX軸方向移動は、少なくともワイプ部材82bがX軸方向に塗布ヘッド6cの吐出面の一端から他端の範囲にわたって移動するように行われる。これにより、容器82a内に設けられたワイプ部材82bも容器82aと共に移動する。なお、容器82aは、その退避位置において、退避位置に位置する吐出確認部81の受け部81dに対してX軸方向における搬送部3側に隣接して位置する。
【0088】
ワイプ部材82bは一つの塗布ヘッド6cに対して一つ設けられており、Y軸方向に二列に並べられて複数個設けられている。ワイプ部材82bは、湿潤状態で塗布ヘッド6cの吐出面を払拭することで、その吐出面を清掃し、かつ、濡れた状態にする部材である。例えば、ワイプ部材82bは吸水性を有する部材で形成されている。なお、吐出面に付着した接着剤を掻きとって清掃すればよい場合は、ゴム等の弾性体のブレードを材料にして形成しても良い。
【0089】
ノズル82cは、塗布ヘッド6cの吐出面を払拭する前に各ワイプ部材82bを湿潤状態とするために各ワイプ部材82bに向けて溶剤を吹き付けるノズルである。ノズル82cは管状に形成され、Y軸方向に沿うように設けられている。このノズル82cには、各ワイプ部材82bに対応させて溶剤の噴射用に複数の貫通孔(不図示)が設けられている。
【0090】
移動駆動部82dは支持部64の下方の架台1a内に設けられており、容器82aとワイプ部材82bを支持して昇降させり、X軸方向に移動させたりする移動機構である。この移動駆動部82dは、昇降駆動部及びX軸方向駆動部が組み合わされて構成されている。移動駆動部82dは制御部8に電気的に接続されており、その駆動が制御部8により制御される。移動駆動部82dを構成する昇降駆動部やX軸方向駆動部としては、例えば、サーボモータを駆動源とする送りねじ駆動部やリニアモータを駆動源とするリニアモータ式駆動部などが用いられる。
【0091】
このような清掃湿潤部82は、移動駆動部82dにより容器82aを退避位置から拭き取り位置を通過させて元の待機位置まで移動させ、容器82a内の各ワイプ部材82bにより対応する塗布ヘッド6cの吐出面を拭き、さらに、その吐出面を湿潤状態にする。なお、各ワイプ部材82bはノズル82cによる溶剤の供給により濡れた状態になっている。
【0092】
なお上述の場合、ワイプ部材82bが吸水性を有することから、塗布ヘッド6cの吐出面を払拭しても拭き取った接着剤がワイプ部材82bに吸収されて、ワイプ部材82bから落下することはない。そこで、容器82aとノズル82cを待機位置に固定とし、ワイプ部材82bのみを移動駆動部82dにより退避位置から拭き取り位置へ移動させるようにしても良い。
【0093】
図1の吐出量確認部83は、図21及び図22に示すように、シャッターSを有する箱形状の筐体83aと、計量用の電子天秤83bと、電子天秤83b上に設けられた計量容器83cと、シャッターSを開閉する開閉駆動部83dと、筐体83aをY軸方向に移動させる移動駆動部(第2の移動駆動部)83eとを有している。
【0094】
筐体83aは、塗布動作の邪魔にならない退避位置と、個々の塗布ヘッド6cの下方に計量容器83cを位置付ける秤量位置である塗布ヘッド6c毎に対応して定められた作業位置に移動可能に構成されており、移動駆動部83eにより保持されている。なお、退避位置は、X軸方向に移動するステージ6aの移動領域の側方に設定される。この筐体83aには、開閉可能なシャッターSが形成されている。このシャッターSは計量を行う際に開閉される。
【0095】
電子天秤83bは、筐体83a内であってシャッターSの下方に設けられており、計量容器83c内の物体の重さを計測する。この電子天秤83bは制御部8に電気的に接続されており、その駆動が制御部8により制御され、計測値を制御部8に出力する。
【0096】
計量容器83cは、筐体83a内の電子天秤83b上に設けられており、個々の塗布ヘッド6cから吐出された液滴を取り込む。この計量容器83cは平面視四角形状であり、そのY軸方向の寸法は、一つの塗布ヘッド6cから吐出された全液滴を取り込める長さ寸法であり、そのX軸方向の寸法は、二列に配置された二つの塗布ヘッド6cいずれから吐出された液滴であってもX軸方向に位置を変えることなく取り込める長さ寸法である。
【0097】
開閉駆動部83dは筐体83a内に設けられており、シャッターSをX軸方向に移動させる移動機構である。この開閉駆動部83dはエアシリンダを有しており、そのエアシリンダの駆動によりシャッターSをX軸方向に移動させて開閉する。開閉駆動部83dは制御部8に電気的に接続されており、その駆動が制御部8により制御される。
【0098】
移動駆動部83eは、ステージ6aのX方向移動領域の上方に配置されており、筐体83aを吊り下げた状態で支持している。この移動駆動部83eは制御部8に電気的に接続されており、その駆動が制御部8により制御される。移動駆動部83eとしては、例えば、サーボモータを駆動源とする送りねじ駆動部やリニアモータを駆動源とするリニアモータ式駆動部などが用いられる。
【0099】
このような吐出量確認部83は、電子天秤83bをY軸方向に秤量位置まで移動させ、個々の塗布ヘッド6cの下方に筐体83a、すなわち計量容器83cを位置付け、シャッターSを開き、その後、塗布ヘッド6cの全ノズルから設定回数だけ液滴を吐出した後シャッターSを閉じる。そして、吐出前後の電子天秤83bの出力差から、一つの塗布ヘッド6cから吐出された全液滴の総量を塗布ヘッド6cごとに順次求める。なお、計測後、電子天秤83b、すなわち筐体83aをY軸方向に待機位置まで移動させる。
【0100】
図1の清掃部6fは、図23に示すように、窒素や空気などの気体を吹き出すノズル91と、そのノズルに気体を送る配管92と、その配管92の経路途中に設けられたフィルタ93、流量調整弁94及び開閉バルブ95と、ノズル91からの気体の吹き出しによってステージ6a上のウエーハWから飛散した埃やゴミなどの異物を空気と共に吸引する吸引部96とを有している。
【0101】
ノズル91は、移動するステージ6a上のウエーハWに対して気体を吹き付ける開口部である吹出口91aを有している。このノズル91は、その吹出口91aがステージ6aのX軸方向移動領域に向けられ、その領域の上方に配置されている。ノズル91としては、例えば、Y軸方向に伸びるスリット状の吹出口を有するノズルや、Y軸方向に並ぶ複数の円形状の吹出口を有するノズルなどが用いられる。吹出口91aのY軸方向のサイズは、ステージ6aのY軸方向の長さ以上に形成されている。
【0102】
配管92は、ノズル91と気体供給部(不図示)とを連通するチューブやパイプなどにより構成されている。フィルタ93は、配管92内を通過する気体から異物を除去する部材である。また、流量調整弁94は配管92内を流れる気体の量を調整する弁であり、開閉バルブ95は配管92の開閉を行うバルブである。これらの流量調整弁94及び開閉バルブ95は制御部8に電気的に接続されており、その駆動が制御部により制御される。
【0103】
吸引部96は、Y軸方向に伸びる開口部である吸引口96aを有する箱形状に形成されている。この吸引部96は、その吸引口96aがステージ6aのX軸方向移動領域に向けられてその領域の上方に配置されている。吸引口96aのY軸方向のサイズはステージ6aのY軸方向の長さ以上に形成されている。好ましくは、ノズル91の吹出口91aの開口面積よりも大きく、吹出口91aのY軸方向の長さ以上に形成される。また、吸引部96の吸引口96aから吸引する気体の流量は、ノズル91の吹出口96aから噴出される気体の流量よりも大きい方が好ましい。
【0104】
この清掃部6fは、移動するステージ6a上のウエーハWに対して気体をノズル91により吹き付け、ウエーハWの塗布面を清掃する。これにより、接着剤の塗布前にウエーハWの塗布面が清掃され、ウエーハWの塗布面上に異物が存在することが防止されるので、ウエーハWの塗布品質を向上させることができる。また、清掃部6fは、ステージ6a上のウエーハWの塗布面から飛散した異物を空気と共に吸引部96により吸引する。これにより、ウエーハWの塗布面から飛散した異物が他の装置部分に付着したり、再度ウエーハWに付着したりすることが防止されるので、装置汚染及びウエーハWの再汚染を防止することができる。
【0105】
図1の乾燥部7は、ウエーハWに塗布された接着剤を、後工程として半導体の製造装置1とは別体で設けられた、接着剤を硬化させるキュア工程の前に仮乾燥させるもので、図7及び図24に示すように、複数のヒータプレート101と、それらを所定間隔だけ離間させて積層状態に支持する支持部102とを有している。なお、本発明の実施の形態では、ヒータプレート101が例えば五段に設けられている。
【0106】
ヒータプレート101は、ウエーハWが水平状態で載置される載置台であり、載置状態のウエーハWを加熱する。このヒータプレート101には、棒状のヒータ101aがほぼ等間隔で並べられて内蔵されている。なお、端部(両端)に位置するヒータ101aの配置間隔は狭くなっている。これは、端部に位置するヒータ101aよりも外側にヒータ101aが存在しないため、ヒータプレート101の中央側に比べて外周側の放熱が大きく、その外周部分の温度が下がり易いので、端部に位置するヒータ101aを外周部分が放熱し易い分だけ隣のヒータ101aに近づけ、放熱による温度低下を防止するためである。このヒータプレート101によるウエーハWの加熱は、ウエーハWの塗布面に塗布された接着剤の乾燥を促すためである。
【0107】
ここで、ヒータプレート101の温調は、測温抵抗体などの温度測定器Tを用いたフィードバック制御により行われる。なお、ヒータプレート101内に温度測定器Tとして差し込まれた測温抵抗体の測定値とヒータプレート101の表面(あるいは周囲温度)では温度差があるため、予めこの温度差分を補正して制御用の温度が設定されている。温度の設定は、例えば、制御部8が備える記憶部に対して行われる。
【0108】
また、ヒータプレート101には、棒状のリフトピン101bが昇降可能に複数個設けられている。これらのリフトピン101bは搬送部3のハンド3aとのウエーハWの受け渡しを行うためのピンである。各リフトピン101bは支持板101c上に立設されている。この支持板101cはヒータプレート101の下側に配置され、エアシリンダ101dにより昇降するように構成されている。これにより、一枚の支持板101cにおける全てのリフトピン101bが同時に昇降することになる。また、各リフトピン101bは、図24に示すように、ヒータ101aの配置位置を避け、かつ、ウエーハWの受け渡しのためにヒータプレート101上に進入するハンド3aと干渉しないように配置されている。
【0109】
なお、1枚のヒータプレート101に対する複数のリフトピン101b、支持板101c及びエアシリンダ101dが1つの切替部として機能する。この切替部は、ウエーハWとヒータプレート101とが接触する接触状態と、ウエーハWとヒータプレート101とが所定距離で離間する離間状態とを切り替える。したがって、ウエーハWは接触状態あるいは離間状態のどちらか一方の状態でヒータプレート101の熱により乾燥することになる。
【0110】
さらに、ヒータプレート101には、図24に示すように、吸着孔101eが複数個設けられている。各吸着孔101eは、ヒータ101aとリフトピン101bの配置位置を避けつつ、ウエーハWの保持領域内でほぼ均等に分散するように設けられている。これらの吸着孔101eは吸引経路(不図示)に連通しており、その吸引経路はチューブやパイプなどの配管を介して吸引ポンプなどの吸引部(不図示)に接続されている。
【0111】
吸着孔101eの吸引経路は、ウエーハWのサイズ(例えば8インチと12インチ)に合わせて切り替え可能に構成されている。すなわち、小さいサイズのウエーハWの吸着範囲内に対応して位置する吸着孔101eのみに吸引力を作用させる吸引経路と、小さいサイズのウエーハWと大きいサイズのウエーハWの双方の吸着範囲に対応して位置する吸着孔101aに吸引力を作用させる吸引経路とに切り換え可能とされている。
【0112】
ここで、ヒータプレート101の温度ムラを低減するためには、リフトピン101bの径は小さいほどよい。ウエーハWのリフトアップ荷重を考慮し、例えば、ピン径を1.0mm、孔径を2.5mmとすることで、温度ムラ及びリフトミスを防止することができる。さらに、ヒータプレート101の温度ムラを低減するためには、吸着孔101eの孔径は小さいほどよい。例えば、孔径を0.6mmにすることで、温度ムラ及び吸着ミスを防止することができる。また、吸着によるウエーハWの変形に起因するクラックを防止するため、吸着孔101eの孔径は0.6mm以下とすることが望ましい。なお、リフトピン101bの径は、1.0mmよりも小さくした方が温度ムラの抑制効果が高まると考えられるが剛性が低下するため、1.0mmよりも小さくする場合には、ウエーハWの重量とリフトピン101bの本数との関係から、ウエーハWの昇降に支障が生じない範囲で小さくすると良い。また、吸着孔101eの孔径も、小さい程温度ムラの防止効果が高まるが吸着力が低下するため、個々の吸着孔101eの吸着力と吸着孔101eの数との関係から、ウエーハWの吸着に支障が生じない範囲で小さくすると良い。
【0113】
また、ヒータプレート101による乾燥ムラを抑えるためには、温度測定器Tにより測定された温度に応じて、制御部8により各リフトピン101bの停止位置を変えるようにしてもよい。ヒータプレート101は積層されているため、ヒータプレート101間の空間温度は上昇しやすく、ヒータプレート101の温度を制御するだけでは、乾燥ムラを確実に抑えることは困難である。そこで、各リフトピン101bの停止位置を変え、ヒータプレート101とウエーハWとの離間距離を調整することによって、ヒータプレート101からウエーハWに与えられる熱量を制御することが可能となる。例えば、ヒータプレート101の温度が必要以上に上昇する場合には、それに応じてヒータプレート101とウエーハWとの離間距離を大きくする。特に、ヒータプレート101の温度を制御するよりも早くウエーハWに与えられる熱量を調整することが可能となる。これにより、ウエーハW上の接着剤の乾燥ムラを抑えながら、その接着剤を均一に乾燥させることができる。また、下段から上段に向かうにしたがってヒータプレート101とウエーハWとの離間距離が大きくなるように各ヒータプレート101のリフトピン101bの停止位置を調整するようにしても良い。
【0114】
またさらに、ヒータプレート101上の空間の温度を測定する温度測定器を設け、この温度測定器と温度測定器Tの双方の測定温度を総合的に判断した結果に基づいて、ヒータプレート101とウエーハWとの離間距離、すなわちリフトピン101bの停止位置を調整するようにしても良い。このようにした場合、ヒータプレート101のみならず雰囲気温度によって与えられる熱量をも考慮することができるので、接着剤の乾燥ムラをより確実に抑えることができる。なお、ヒータプレート101上の空間温度の測定結果のみに基づいて、リフトピン101bの停止位置を調整するようにしても良い。
【0115】
なお、積層された複数のヒータプレート101の温度は、下段よりも上段の温度が低くなるように、例えば、上段に行くに従って徐々に設定温度が低くなるように設定したり、最上段のヒータプレート101の設定温度を他のヒータプレート101の設定温度よりも低く設定したりしても良い。これは、各ヒータプレート101で加熱された空気が壁板102aを伝って上昇するので、上段のヒータプレート101がより高い温度になりやすい傾向があるためである。
【0116】
支持部102は、図7に示すように、一対の壁板102a及び複数の支持部材102bにより構成されている。一対の壁板102aは、水平状態の各ヒータプレート101を水平方向から挟持するように配置されている。各支持部材102bは、ヒータプレート101の四隅を支持するように一対の壁板102aに固定されている。すなわち、一つのヒータプレート101は四つの支持部材102bにより支持されている。これらの支持部材102bはそれぞれ断熱部材102cを介してヒータプレート101を支持している。
【0117】
ここで、エアシリンダ101dの作動ロッドは、水平に設けられた連結棒(不図示)の中央部付近に連結されている。連結棒の両端は壁板102aの外側にガイド部材(不図示)を介して上下動自在に支持されている。連結棒はリフトピン101bの支持板101cにも連結されている。これにより、リフトピン101bはエアシリンダ101dにより上下に昇降可能となっている。
【0118】
図1に戻り、制御部8は、各部を集中的に制御するマイクロコンピュータと、塗布に関する塗布情報や各種のプログラムなどを記憶する記憶部とを備えている。この制御部8には、操作者からの操作を受け付ける操作部8aが接続されている。
【0119】
塗布情報は、ドットパターンなどの所定の塗布パターン、塗布ヘッド6cの吐出周波数及びウエーハWの移動速度に関する情報などを含んでいる。この塗布情報は、操作部8aに対する入力操作やデータ通信、あるいは携帯可能な記憶装置の媒介により記憶部に予め記憶されている。なお、記憶部としては、各種のメモリやハードディスクドライブ(HDD)などが用いられる。
【0120】
この制御部8は、塗布動作を行う場合、塗布情報に基づいて塗布ヘッド6c及びステージ搬送駆動部6bを制御し、また、吐出安定動作を行う場合、吐出安定部6eを制御する。ここで、塗布動作はステージ6a上のウエーハWに接着剤を塗布する動作であり、吐出安定動作は吐出確認動作や湿潤ワイプ動作、吐出量確認動作などである。
【0121】
次に、前述の半導体装置の製造装置1が行う製造動作(製造方法)について説明する。なお、製造装置1の制御部8が各種のプログラムに基づいて製造処理(吐出安定処理を含む)を実行する。
【0122】
図25に示すように(図1も参照)、収容部2からウエーハWが搬送部3により取り出され、位置合わせ部4に搬送される(ステップS1)。まず、搬送部3はアーム3bを動作させてハンド3aにより搬入用の収容部2からウエーハWを取り出す。より詳細には、搬入用の収容部2のうち今回搬送対象となるウエーハWを支持した支持板2aに対応する高さ位置、具体的には、支持板2aとその支持板2aの補強部材12の間の位置までハンド3aを上昇させ、アーム3bを伸長させてハンド3bを支持板2aで支持されたウエーハWの下側に進入させ、アーム3bを上昇させてウエーハWを下側からすくい上げるようにして吸着して受け取り、アーム3bを収縮させた後、もとの高さ位置までアーム3bを下降させる。
【0123】
この後、アーム3bをハンド3aと共にX軸方向に移動およびθ方向に旋回させて位置合わせ部4に対する受け渡し位置に待機させる。次いで、搬送部3はアーム3bを動作させてハンド3aによりウエーハWを位置合わせ部4のセンタリング部4aに受け渡す。より詳細には、搬送部3はアーム3bを図1の矢印A1方向に伸長させてハンド3aをセンタリング部4aの支持台31の上側に移動させた後、ハンド3aによる吸着を解除した後、アーム3bを下降させてハンド3aを支持台31の凹部に進入させ、ハンド3aの櫛歯を構成する各支持部3a1を支持台31の櫛歯を構成する各支持部31aに組み合った状態にする。この下降過程で、ハンド3a上のウエーハWは、支持台31上に載置される。
【0124】
その後、位置合わせが位置合わせ部4により行われる(ステップS2)。まず、センタリング部4aが搬送部3のハンド3aに対するウエーハWの位置合わせを行う。ハンド3aの櫛歯を構成する各支持部3a1が支持台31の櫛歯を構成する各支持部31aに組み合わされた状態で、センタリング部4aは、支持台31上のウエーハWに向けて三方向から各押圧部32のレバー部32aを予め設定された停止位置まで移動させる。これにより、ウエーハWの外周に各レバー部32aのピンを押し付け、そのウエーハWを平面内で移動させ、支持台31の中心にウエーハWの中心を一致させて、支持台31に対して位置決めされた状態のハンド3aの中心とウエーハWの中心とを合わせる位置合わせ(センタリング)を行う。なお、センタリングが完了すると、各レバー部32aは元の位置まで後退して待機する。
【0125】
次に、プレアライメント部4bがθ方向の位置合わせを行う。すなわち、記憶部にプレアライメントを必要とする情報が記憶されている場合に、制御部8はプレアライメント部4bにプレアライメントを実行させる。支持台31の櫛歯に組み合わされた状態のハンド3aが上昇して支持台31上に載置されたウエーハWを吸着して受け取り、更に、プレアライメント部4bの保持部41による吸着が可能な位置まで上昇すると、プレアライメント部4bは、ハンド3a上のウエーハWを保持部41の下面に吸着して保持する。このとき、ハンド3aによるウエーハWの吸着は受け渡しが良好となるタイミングで停止し、受け渡しが完了すると、ハンド3aはウエーハWの回転を邪魔しない所定距離だけ下降して待機する。このとき、プレアライメント部4bは移動駆動部44により撮像部43を今回のウエーハWのサイズに応じた撮像位置に予め移動させている。その後、回転駆動部42により保持部41を回転させながら、撮像部43により平板45、46の開口Hを通してウエーハWの外周部分を設定されたタイミングで順次撮像する。
【0126】
撮像毎に、プレアライメント部4bは画像処理演算部によって撮像画像を画像処理して、予め記憶されている基準ノッチと一致するパターンが存在するか否かを判別する。そして、基準ノッチと一致するパターン(ノッチN)が存在した場合には、ノッチNの位置からθ方向の補正量を算出する。次いで、制御部8は、算出された補正量で保持部41を回転させ、ハンド3aを保持部41に保持されたウエーハWの下面に接触する位置まで上昇させる。ハンド3aがウエーハWの下面に接触する位置まで上昇すると、ハンド3aの吸着を開始するとともに、プレアライメント部4bの保持部41によるウエーハWの吸着を停止し、保持部41の下面のウエーハWをハンド3aに渡す。ハンド3aが保持部41の下面からウエーハWを受け取って吸着保持することで位置合わせ部4によるハンド3aに対するウエーハWの位置合わせが完了する。
【0127】
その後、位置合わせ部4からウエーハWが搬送部3により照射部5に搬送される(ステップS3)。ハンド3aが位置合わせ部4の保持部41からウエーハWを受け取って保持したならば、アーム3bを収縮させて位置合わせ部4からハンド3aを退出させ、さらに、アーム3bをθ方向に旋回させ、ウエーハWを照射部5による照射作業開始位置へ位置付ける。
【0128】
次に、UVの照射が照射部5により行われる(ステップS4)。照射部5は、アーム3bの動作により移動するハンド3a上のウエーハWの塗布面に対してUVランプ5aによりUVを照射し、その表面改質を行う。このとき、ハンド3aはアーム3bの進退動作によりUVランプ5aの下方を往復移動する。このUVランプ5aの照度は所定値で一定となるように制御されている。照射後、ハンド3aは、照射作業開始位置と同位置まで後退する。
【0129】
次いで、照射部5からウエーハWが搬送部3により塗布部6に搬送される(ステップS5)。搬送部3は、アーム3bをθ方向に旋回させてハンド3aを塗布部6に対するウエーハWの受け渡し位置とした後、アーム3bを図1の矢印A2方向に伸長動作させてハンド3aによりウエーハWを塗布部6における待機位置に位置付けられたステージ6aに向けて移動させる。ハンド3aがステージ6a上に位置付けられると、搬送部3はアーム3bを下降させる。ステージ6aはリフトピン51bを上昇させて待機しており、アーム3bの下降によって下降するハンド3a上のウエーハWは、ハンド3aからリフトピン51bに受け渡される。ハンド3aによるウエーハWの吸着は、アーム3bが下降を開始してからウエーハWがリフトピン51bに接触するまでの間に解除される。
【0130】
なお、ここで、ウエーハWの受け渡しの際、ハンド3aは、その中心が待機位置で待機するステージ6aの中心(回転駆動部52による回転中心)と一致するように位置付けられる。したがって、ホールドピン21の配置円の中心をハンド3aの中心としたが、ホールドピン21が無い場合等には、ハンド3aを待機位置のステージ6aに対して位置付けたときに、ステージ6aの中心に対向することとなるハンド3a上のポイントをハンド3aの中心としても良い。
【0131】
アーム3bの収縮動作によってハンド3aがステージ6a上から退避すると、リフトピン51bを下降させてウエーハWをステージ6a上に載置し、ステージ6aの吸着孔51eの吸着力を作用させウエーハWを吸着保持する。一方、ハンド3aは、受け渡し位置に待機される。なおここで、搬送部3の、位置合わせ部4に対するウエーハWの受け渡し位置、照射部5に対する照射作業開始位置、及び、塗布部6に対するウエーハWの受け渡し位置は、ハンド3aの向きが異なるだけで、X軸方向の位置はいずれも同じ位置である。
【0132】
その後、塗布が塗布部6により行われる(ステップS6)。ハンド3aにより待機位置のステージ6a上に載置されたウエーハWが未ダイシングのウエーハWであると、塗布部6は移動駆動部53により待機位置からステージ6aをX軸方向に移動させる。一方、ステージ6a上に載置されたウエーハWがダイシング済みのウエーハWであると、塗布部6は撮像部65を用いてウエーハW上において設定された2つのチップの角部Cを含む画像を個々に撮像し、撮像画像に基づいて得られた2つの角部Cの位置情報からウエーハWのXYθ方向の位置ずれを高精度に検出する。そして、検出した位置ずれに基づいてステージ6aの位置補正をした後、待機位置からステージ6aをX軸方向に移動させる。このように、制御部8は、記憶部に記憶された、撮像部65を用いた位置検出を行うか否かの情報に基づいて、塗布部6に位置検出を選択的に実行させる。
【0133】
このようにするのは、未ダイシングのウエーハWは、接着剤をその全面に塗布(ベタ塗布)すればよいので、高い位置合わせ精度を必要とせず、位置合わせ部4による位置合わせ精度で充分なためである。これに対して、ダイシング済みのウエーハWは、カットラインL内に接着剤が塗布されないよう、各チップ上の塗布面にだけ接着剤を塗布することがあるので、その場合には位置合わせ部4による位置合わせ精度よりも高い位置合わせ精度が要求されるためである。
【0134】
塗布部6は、X軸方向に移動するステージ6a上のウエーハWの塗布面に清掃部6fのノズル91により気体を吹き付けその塗布面を清掃し、さらに、塗布面から飛散した異物を清掃部6fの吸引部96により吸引する。次いで、塗布部6は、X軸方向に移動するステージ6a上のウエーハWが各塗布ヘッド6cの下方を通過するタイミングに合わせて各塗布ヘッド6cの各ノズルから接着剤を吐出させてウエーハWの塗布面に接着剤を塗布する。塗布後、塗布部6は移動駆動部53によりステージ6aをX軸方向に待機位置まで移動させる。
【0135】
なお、接着剤の塗布は、接着剤がウエーハWの塗布面の全体に塗布(ベタ塗布)されるように行われたり、あるいは、塗布パターンに基づいてチップ毎の所定領域に塗布されるように行われたりする。すなわち、今回のウエーハWが未ダイシングのウエーハWである場合、ベタ塗布のパターンが制御部8の記憶部に予め記憶されており、今回のウエーハWがダイシング済みのウエーハWである場合、チップに対する接着剤の塗布パターンが各チップの位置情報とともに制御部8の記憶部に予め記憶されており、制御部8は記憶部に記憶された情報に基づいて各塗布ヘッド6cの各ノズルからの接着剤の吐出を制御する。
【0136】
また、塗布動作中には、ウエーハWが所望の温度となるようにステージ6aの加熱ステージ51により加熱されており、ウエーハWの塗布面に塗布された接着剤の乾燥が促進されている。これにより、ウエーハW上の接着剤は熱により乾燥が促進されて流動性が急激に低下されるので、ウエーハWの塗布面に常温のまま接着剤を塗布した場合に、所望厚さの接着剤膜の形成に必要な量で塗布した接着剤が緩慢な乾燥の過程で流動してその膜厚が均一にならなくなることや接着剤が塗布されたウエーハWが乾燥部7へ搬送される間にウエーハWに生じる速度変化や遠心力により接着剤が偏って流れる液流れを防止することができる。
【0137】
また、ウエーハWに対する接着剤の塗布は、塗布ヘッド6cの下方をウエーハWを1回通過させることで完了する場合もあれば、往復、あるいは3回以上通過させ既に塗布された接着剤上に更に接着剤を重ねて塗布する場合もある。接着剤を重ねて塗布する場合、ウエーハWを加熱してウエーハWの塗布面に塗布された接着剤の乾燥を促進するようにしておくと、接着剤を重ねて塗布するときに先に塗布され接着剤の流動性が乾燥により低減されるので、接着剤の濡れ広がりが抑制されて良好に接着剤を積層させることができる利点がある。
【0138】
次に、塗布部6からウエーハWが搬送部3により乾燥部7に搬送される(ステップS7)。搬送部3は、受け渡し位置でアーム3bを図1の矢印A2方向へ伸長動作させてハンド3aにより塗布部6における待機位置に位置付けられたステージ6a上からウエーハWを受け取る。このとき、ステージ6aはウエーハWの吸着を解除し、リフトピン51bを上昇させて待機しており、搬送部3はステージ6aとウエーハWの間にハンド3aを差し込み、ウエーハWを下からすくい上げるように吸着保持する。さらに、アーム3bを収縮動作させθ方向に旋回させてハンド3aを乾燥部7に対する受け渡し位置に位置付ける。ここで、乾燥部7に対する受け渡し位置は、位置合わせ部4対する受け渡し位置と同位置である。この後、乾燥部7における空いているヒータプレート101にウエーハWを載置する。例えば、5つのヒータプレート101全てが空いている場合には、最上段のヒータプレート101から下段に向けて順次ウエーハWを載置するといった具合である。
【0139】
ヒータプレート101に対するウエーハWの受け渡しにおいては、まず、ウエーハWを載置するヒータプレート101に対応する高さ位置にハンド3aを位置付けるべくアーム3bを上昇させる。次いで、アーム3bを図1の矢印A1方向へ伸長動作させてハンド3aをヒータプレート101上に進入させた後、アーム3bを下降させる。一方、ヒータプレート101は、リフトピン101bを上昇して待機しており、ハンド3aが下降することで、ハンド3a上のウエーハWはリフトピン101b上に受け渡される。なお、ハンド3aによるウエーハWの吸着は、アーム3bが下降を開始してからウエーハWがリフトピン101bに接触するまでの間に解除される。アーム3bの収縮動作によってハンド3aがヒータプレート101上から退避すると、リフトピン101bが下降しウエーハWがヒータプレート101上に載置されてヒータプレート101の吸着孔101eの吸着力によって吸着保持される。なお、退避したハンド3aは、受け渡し位置に戻り次の動作に待機される。このとき、乾燥部7による乾燥作業は、位置合わせ部4、照射部5、塗布部6による作業に比べて長時間を要することから、乾燥部7によるウエーハWの所定の乾燥時間が経過するまでの間に、次のウエーハWの供給、位置合わせ、UV照射及び塗布の作業を行うべく、搬送部3を駆動させるようにしても良い。
【0140】
次いで、乾燥が乾燥部7により行われる(ステップS8)。ハンド3aによりウエーハWがヒータプレート101上に載置されると、乾燥部7はヒータプレート101上のウエーハWを加熱する。その状態でウエーハWは所定の乾燥時間だけ加熱されてウエーハW上に塗布された接着剤は乾燥される。乾燥部7のヒータプレート101は多段になっているため、乾燥部7はその段数分だけウエーハWをストックすることが可能である。なお、ヒータプレート101を、ヒータ101aによって設定温度に常に加熱しておいても良いし、ウエーハWが供給されるタイミングに合わせて加熱するようにしても良い。この際、一度温度が低下したヒータプレート101を設定温度に加熱するためには、ある程度の時間を要するので、例えば、塗布部6による塗布作業中にそのウエーハWが載置される予定のヒータプレート101の加熱を開始するようにすると良い。
【0141】
最後に、乾燥部7からウエーハWが搬送部3により収容部2に搬送される(ステップS9)。搬送部3は、受け渡し位置で搬出するウエーハWが載置されたヒータプレート101の高さ位置に合わせてアーム3bを上昇させた後、アーム3bを伸長動作させてハンド3aによりウエーハWを受け取る。このとき、ヒータプレート101はウエーハWの吸着を解除し、リフトピン101bを上昇させて待機しており、ハンド3aはヒータプレート101とウエーハWの間に進入して、ウエーハWを下からすくい上げるように吸着保持する。この後、アーム3bを収縮動作させてハンド3aを受け渡し位置に戻すと共にアーム3bをX軸方向に移動およびθ方向に旋回動させて収容部2に対する受け渡し位置に位置付ける。次いで、搬送部3はアーム3bを動作させてハンド3aによりウエーハWを搬出用の収容部2に受け渡す。すなわち、収容部2の支持板2aのうち今回接着剤の塗布が完了したウエーハWが収容されていた支持板2aは空きとなっているから、その支持板2aに塗布が完了したウエーハWを戻すようにアーム3bを昇降および伸縮動作させる。
【0142】
このような動作にて1枚のウエーハWに対する接着剤の塗布が完了する。そして、収容部2内に収容された全てのウエーハWに対する接着剤の塗布が完了するまで、上述の動作を繰り返して行う。
【0143】
この製造工程においては、塗布動作を行っていないタイミングで吐出安定動作が定期的(塗布毎や所定時間毎)にあるいは指定時刻毎に行われる。吐出安定動作としては、吐出確認動作が吐出確認部81により行われ、湿潤ワイプ動作が清掃湿潤部82により行われ、吐出量確認動作が吐出量確認部83により行われる。
【0144】
吐出確認部81は、ステージ6aが待機位置にい続けられた状態において、受け部81dを受け位置に移動させ、照明部81cを点灯し、その後、各撮像部81aにより対応する塗布ヘッド6cから吐出された各液滴を横方向から撮像する。次いで、吐出確認部81は、撮像画像を画像処理して液滴の有無、直進性や形状などを正常時の画像と比較し、塗布ヘッド6cの各ノズルからの吐出状態を確認する。確認後、吐出確認部81は、照明部81cを消灯し、受け部81dを退避位置に移動させる。これにより、塗布ヘッド6cの各ノズルからの吐出状態が確認され、その状態に問題がある場合にはメンテナンスが行われるので、吐出異常に起因する接着剤の塗布不良の発生を抑止することができる。
【0145】
清掃湿潤部82は、移動駆動部82dにより容器82aを待機位置から拭き取り位置を通過させて元の待機位置まで移動させ、容器82a内の各ワイプ部材82bにより対応する塗布ヘッド6cの吐出面を払拭する。なお、各ワイプ部材82bはノズル82cによる溶剤の供給により濡れた状態になっている。これにより、塗布ヘッド6cの吐出面に付着した接着剤を拭き取る一方で、接着剤を拭き取った後の吐出面を湿潤状態にすることができる。そのため、拭き取りきれずに塗布ヘッド6cの吐出面に残留してしまった接着剤やその後の塗布ヘッド6のノズルからの吐出によって新たに付着した接着剤が乾燥して凝固物となることなどが防止されるので、吐出面のノズル周辺に接着剤の凝固物が付着することに起因する吐出曲がりなどの吐出異常の発生を抑止することができる。また、拭き取りが完了してから次の吐出が開始されるまでの間にノズル82c内の接着剤が乾燥して増粘することが防止されるので、接着剤の増粘による不吐出の発生を抑制することができる。よって、吐出異常に起因する接着剤の塗布不良の発生を抑止することができる。
【0146】
吐出量確認部83は、電子天秤83bをY軸方向に秤量位置まで移動させ、個々の塗布ヘッド6cの下方に計量容器83cを位置付けてシャッターSを開き、その後、塗布ヘッド6cの全ノズルから設定回数だけ液滴を吐出し、吐出前後の電子天秤83bの出力差から、一つの塗布ヘッド6cから吐出された全液滴の総量を塗布ヘッド6cごとに順次求める。計測後、吐出量確認部83はシャッターSを閉じ、電子天秤83bをY軸方向に待機位置まで移動させる。これにより、液滴の吐出量が確認され、吐出量に問題がある場合にはメンテナンス(塗布ヘッド6cの吐出面の清掃や、塗布ヘッド6cの各ノズルからの吐出量の調整など)が行われるので、吐出量異常の発生を抑止することができる。
【0147】
以上説明したように、本発明の実施の形態によれば、搬送部3により移動するウエーハWに紫外線を照射する照射部5と、ステージ6a上のウエーハWに向けて塗布ヘッド6cにより接着剤を吐出して塗布する塗布部6と、ウエーハWに塗布された接着剤を熱により乾燥させる乾燥部7とを設けることによって、照射部5によりウエーハWの塗布面の表面改質が行われ、その塗布面に塗布ヘッド6cにより接着剤が吐出されて塗布され、その塗布面上の接着剤が乾燥部7による熱により乾燥する。したがって、表面改質によりウエーハWの塗布面と接着剤との密着度や接着剤のレベリング性(濡れ広がりの均一性)が向上し、さらに、塗布ヘッド6cによる接着剤の塗布及び乾燥部7による乾燥により、従来のような接着シートを用いることなく、ウエーハWの塗布面に接着剤の所望する膜厚の膜を均一に塗布形成することが可能となる。これにより、接着剤を用いた場合においても、ウエーハWからダイシングされて個片化されたチップを回路基板や他のチップ等に実装する際に、チップに形成された接着剤の塗布膜と回路基板等との間に隙間(ボイド)が発生することが防止され、回路基板等に対するチップの接合性能の信頼性を向上させることができる。また、接着剤はウエーハW上における接着剤膜の形成が必要とされる部分のみに塗布される。これにより、ウエーハW以上の面積を必要とする接着シートを用いた場合に比べ、接着剤の材料費の削減及び材料使用効率の向上を実現することができ、加えて、高品質な半導体装置を製造することができる。
【0148】
さらに、ステージ6aに載置されたウエーハWの塗布面に向けて気体を吹き付け、その塗布面を清掃するとともに、清掃によって塗布面から飛散した異物を吸引することによって、ウエーハWの塗布面上に異物が存在することや気体の吹き付けで除去された異物が再付着することが防止されるので、ウエーハWの塗布品質を向上させることが可能となり、その結果、高品質な半導体装置を製造することができる。すなわち、ウエーハWに形成される接着剤の塗布膜内に異物が混入することが防止されるので、ウエーハWからダイシングされて個片化されたチップと接合対象である回路基板や他のチップとの間に異物が介在することによる、絶縁不良などの電気的不良や割れ、欠けなどの物理的不良の発生を防止することができるのである。
【0149】
また、照射部5は、紫外線を発生させるランプ5aと、そのランプ5aによって発生する紫外線の光量を検出する検出器としてのセンサ5cと、そのセンサ5cによって検出された紫外線の光量に基づいてウエーハWの塗布面に対する照射光量を設定値に維持するように調整する調整手段(例えば、ランプ移動駆動部5b)とを具備することから、照射部5によってウエーハWに照射されるUV光の照射光量が設定値に維持され、照射光量が変動することが抑止されるので、ウエーハWの裏面(塗布面)に対する表面改質を確実に、かつ安定して行うことができる。したがって、ウエーハWの塗布品質を向上させることが可能となり、その結果、高品質な半導体装置を確実に製造することができる。
【0150】
なお、調整手段として、ランプ5aとウエーハWの塗布面との相対間隔を調整するランプ移動駆動部5bを用いた場合には、簡単な構成で照度光量を調整することができ、さらに、その調整の制御を容易にかつ正確に行うことができる。
【0151】
また、乾燥部7は、ヒータ101aを内蔵したヒータプレート101を離間させて複数段積層配置して構成されていることから、段数分のウエーハWを省スペースで並行して乾燥させることが可能であり、装置の大型化を防止しつつ、量産時の製造時間を短縮することができる。
【0152】
また、収容部2、照射部5、塗布部6及び乾燥部7に比べて高さの低い位置合わせ部4を乾燥部7の上に配置した。そのため、位置合わせ部4単独での配置スペースを省くことができ、その結果、省スペース化を実現することができる。
【0153】
また、プレアライメント部4bを、保持部41がウエーハWをその下面に保持し、撮像部43が保持部41の外周からはみ出したウエーハWの外周部分を上方から撮像するように構成し、センタリング部4aの上側に配置したので、センタリング部4aとプレアライメント部4bのそれぞれの配置スペースを水平方向に個別に設ける必要がなく、これによっても、設置面積の省スペース化を実現することができる。また、センタリング部4aからプレアライメント部4bへのウエーハWの搬送距離を、水平方向にウエーハWを搬送する場合に比べて、極めて短くできるので、搬送時間の短縮が図れ、生産性を向上させることができる。
【0154】
また、センタリング部4aは、ウエーハWを支持する支持台31と、支持台31上のウエーハWを周辺から中心に向けて平面方向に押して移動させ、支持台31に対して位置決めされたハンド3aの中心にウエーハWの中心を合わせる複数の押圧部32とを具備していることから、支持台31に対して位置決めされたハンド3aに対しウエーハWは各押圧部32によりその端部が押されて平面方向に移動するので、ハンド3aに対するウエーハ位置の微調整が可能となる。これにより、支持台31に対して位置決めされたハンド3aの中心位置にウエーハWの中心位置を正確に位置決めすることができる。そのため、塗布部6に対してウエーハWを精度良く供給することが可能となるので、塗布部6によるウエーハWに対する接着剤の塗布を精度良く行うことができ、その結果、ウエーハWに形成する接着剤膜の品質を向上させることができる。
【0155】
また、各押圧部32は、それぞれのレバー部32aに備えるピンをウエーハWの外周との間に僅かな隙間ができる停止位置で停止させるようにしていることから、3つの押圧部32のピンがウエーハWの外周に同時に当接した状態でウエーハWが挟まれることがない。そのため、押圧部32による位置決めの際、3つの押圧部32のピンがウエーハWの外周に同時に押し付けられてウエーハWの外周が破損することが防止され、また、ウエーハWが挟まれて湾曲することが防止されるので、押圧部32が退避したときに湾曲したウエーハWが復元することに起因して生じるウエーハWの位置ずれが回避される。よって、半導体ウエーハなどの薄い紙状のウエーハWを用いた場合でも、その正確な位置決めを行うことができる。
【0156】
また、ハンド3aは、ウエーハWを支持する複数の支持部3a1を櫛歯状に有しており、支持台31は、ウエーハWを支持する複数の支持部31aをハンド3aの各支持部3a1に組み合う櫛歯状に有していることから、ハンド3aの各支持部3a1および支持台31の各支持部31a上においてウエーハWを複数箇所、すなわち、ハンド3aにおいては6箇所、支持台31においては7箇所で支持するので、各支持部3a1、31aによるウエーハWの支持間隔を極力小さくすることが可能となる。そのため、支持台31上においてもハンド3a上においても、ウエーハWを多くの箇所で均等に支持することになるから、ウエーハWの自重による撓みを抑制することができる。その結果、ウエーハWの撓みによる位置ずれが防止されるので、簡略な構成で、正確な位置決めを行うことができる。
【0157】
また、各押圧部32によるウエーハWの押し込み量を調整する調整部としての制御部8を備えることから、その制御部8により複数の押圧部32による押し込み量が調整され、支持台31と組み合ったハンド3a上のウエーハWが各押圧部32により平面方向に移動し、ウエーハWの中心を支持台31に対して位置決めされたハンド3aの中心とが合わされるので、正確な位置決めを容易に行うことができる。
【0158】
また、プレアライメント部4bは、ウエーハWを保持する保持部41と、その保持部41をウエーハWの被保持面に沿う平面内で回転させる回転駆動部42と、保持部41により保持されたウエーハWの外周部分を撮影する撮影部43と、撮像部43により撮像された撮像画像を処理し、ウエーハWの回転方向の傾き(向き)を求める画像処理演算部とを具備していることから、ウエーハWが破損することなく、撮影部43によりウエーハWの外周部分が撮影され、その画像が位置合わせに用いられるので、ウエーハ位置の微調整が可能となる。これにより、半導体ウエーハなどの薄い紙状のウエーハWを用いた場合でも、その正確な位置決めを行うことができる。
【0159】
また、画像処理演算部は、撮影部43により撮影された撮影画像に基づいて、ステージ6aに対するウエーハWの向きを所定位置に合わせるための補正量を算出することから、その補正量が位置決めに用いられるので、正確な位置決めを容易に行うことができる。
【0160】
また、位置合わせ部4を制御する制御部8と、位置合わせ部4によるウエーハWの位置合わせの要否に関する情報を記憶する記憶部とを設け、制御部8は、記憶部に記憶された情報に基づいて位置合わせ部4によるウエーハWの位置合わせを行うか否かを判別することから、高い位置合わせ精度を必要としないウエーハW、例えば未ダイシングのウエーハWに対して、位置合わせ部4によるウエーハWの位置合わせを行うことが回避され、製造時間を短縮することが可能となるので、生産性を向上させることができる。
【0161】
また、プレアライメント部4bの保持部41は、ハンド3a上に保持されたウエーハWの上面を上方からその下面に吸着して受け取り、その状態でウエーハWの外周を保持部41の上側に配置された撮像部43で撮像するようにしたので、ウエーハWの受け渡しから撮像までの動作を円滑に行うことが可能となり、プレアライメントに要する時間を短縮することができ、ひいては、生産性の向上を実現することが可能となる。
【0162】
また、保持部41は、ウエーハWの外周部分(ノッチNが形成される領域)のみをその外周からはみ出させるようにしているので、ウエーハWにおける保持部による保持領域に対してはみ出し部分が僅かとなり、薄いウエーハWであってもはみ出し部分(外周部分)が自重で撓むことが極力防止されるので、外周部分の撓みによるノッチNの位置検出精度の低下が防止され、これによっても、正確な位置決めを行うことができる。
【0163】
また、センタリング部4a及びプレアライメント部4bで位置合わせしたウエーハWを塗布部6のステージ6aに供給するようにしたので、ウエーハWをステージ6aに対して精度良く供給することができ、ステージ6a上において撮像部65を用いたウエーハWの位置検出を行う場合に、ウエーハW上のチップにおける撮像すべき角部等の撮像対象部分を撮像部65の視野内に確実に収めることが可能となり、撮像対象部分が撮像部65の視野から外れてウエーハWが供給されることによる検出エラーが防止されるので、ウエーハWの位置検出を効率よく行うことができ、その結果、生産性の向上を実現することができる。
【0164】
また、収容部2は、ウエーハWを支持する複数の支持部2a1を櫛歯状に有する支持板2aを具備しており、ハンド3aは、ウエーハWを支持する複数の支持部3a1を支持板2aの各支持部2a1の間に入り込む櫛歯状に有していることから、収容部2とハンド3aとの間で受け渡しを行う際、ハンド3aの各支持部3a1が支持板2aの各支持部2a1と組み合って支持板2a上からウエーハWから受け取ったり、あるいは、支持板2a上にウエーハWを渡したりすることになる。これにより、従来のように受け渡し用の昇降可能な複数のピンが必要なく、また、支持板2の各支持部2a1およびハンド3aの各支持部3a1の上においてウエーハWを複数箇所、すなわち、支持板2上においては7箇所、ハンド3a上においては6箇所で支持するので、各支持部2a1、3a1によるウエーハWの支持間隔を極力小さくすることができ、受け渡し時のウエーハWの変形を防止することが可能になるので、確実な受け渡しを行うことができる。したがって、ロボットハンドにより半導体ウエーハなどの薄い紙状のウエーハWを安定して受け渡しすることができる。
【0165】
また、支持板2aは、支持したウエーハWの平面方向への移動を規制する複数のホールドピン11を具備しており、ハンド3aは、支持したウエーハWの平面方向への移動を規制する複数のホールドピン21と、支持したウエーハWを吸着してハンド3aに固定するための複数の吸着孔22とを具備している。これにより、受け渡し時には、支持板2aの各ホールドピン11及びハンド3aの各ホールドピン21によりウエーハWの平面方向への移動が規制され、さらに、ウエーハWはハンド3aの各吸着孔22により吸着固定されるので、より確実な受け渡しを行うことができる。
【0166】
また、収容部2は、支持板2aの各支持部2a1を補強する補強部材12を具備しており、その補強部材12は、支持板2aの各支持部2a1を支えるようにその下側に支持部2a1の延伸方向に交差させて設けられている。これにより、支持板2aの各支持部2a1の個々が1つの部材により補強され、支持板2aを薄厚化したり、支持板2aの各支持部2a1を細く長く延伸させたりした場合でも、ウエーハWを変形させることなく支持することが可能になるので、確実な受け渡しを行うことができる。なお、支持板2aを薄厚化する場合としては、収容部2を大型化させずに、支持板2aの段数を増加させ、ウエーハWの収容枚数を増加させる場合などが挙げられる。
【0167】
また、乾燥部7は、接着剤が塗布されたウエーハWが載置され、その載置状態のウエーハWを加熱する複数のヒータプレート101と、それらのヒータプレート101を離間させて積層状態に支持する支持部102とを具備している。これにより、塗布ヘッド6cによる接着剤の塗布後、乾燥部7による仮乾燥が行われるので、後工程のキュア装置へウエーハWを搬送するまでの間にウエーハW上に塗布された液状の接着剤が流動して偏るなどして膜厚が不均一になることが防止され、接着剤の乾燥ムラを抑えることが可能となる。したがって、液状の接着剤を用いた場合でも、接着剤による塗布膜の膜厚を均一にすることができる。その結果、接着シートではなく液状の接着剤を用いることが可能になるので、接着シートを用いた場合に比べ、接着剤の材料費の削減及び材料使用効率の向上を実現することができる。さらに、接着シートの剥がれや巻き上げに起因する問題を回避することが可能になるので、高品質な半導体装置を製造することができる。また、段数分のウエーハWを省スペースで一度に乾燥させることが可能であり、装置の大型化を防止しつつ、量産時の製造時間を短縮することもできる。
【0168】
また、乾燥部7は、ヒータプレート101毎に、ウエーハWとヒータプレート101とが接触する接触状態と、ウエーハWとヒータプレート101とが所定距離で離間する離間状態とを切り替える切替部を具備している。これにより、接触状態及び離間状態のどちらか一方の状態でウエーハWが加熱されることになり、接着剤材料や周囲温度などに応じて乾燥条件を変えることが可能になるので、ウエーハWの載置段の違いに起因するウエーハW毎の接着剤の乾燥ムラが抑えられ、接着剤による塗布膜の膜厚を確実に均一にすることができる。
【0169】
また、切替部は、ヒータプレート101に載置されたウエーハWを昇降させる複数のリフトピン101bを有しており、乾燥部7は、ヒータプレート101の温度を測定する温度測定器Tを備え、その温度測定器Tにより測定された温度に応じて、各リフトピンの停止位置を変える。これにより、ヒータプレート101とウエーハWとの離間距離が調整されるので、ヒータプレート101からウエーハWに与えられる熱量を制御することが可能となる。特に、ヒータプレート101の温度を制御するよりも早くウエーハWに与えられる熱量を調整することが可能である。これにより、ウエーハWの加熱過多や過小が防止されることからウエーハW上の接着剤の乾燥ムラが確実に抑えられ、接着剤による塗布膜の膜厚をより確実に均一にすることができる。
【0170】
また、ウエーハWの塗布面に紫外線を照射する照射部5と、紫外線が照射された塗布面に接着剤を塗布する塗布部6とを設けることによって、ウエーハWの塗布面が改質され、ウエーハWの塗布面に接着剤が安定して付着することになるので、ウエーハWの塗布面と接着剤との密着度を向上させることができる。その結果、液状の接着剤を用いることが可能になるので、接着シートを用いた場合に比べ、接着剤の材料費の削減及び材料使用効率の向上を実現することができる。さらに、接着シートが不要となり、加えて、密着度の向上によりダイシングテープを剥がすときにダイシングテープと共に接着剤の塗布膜が剥がれたり巻き上げられたりするなどが防止されるので、ウエーハWからダイシングされて個片化されたチップと接合対象である回路基板や他のチップとの接合性能の信頼性が向上し、高品質な半導体装置を製造することができる。
【0171】
また、ウエーハWを支持するハンド3aを有し、そのハンド3aによりウエーハWを搬送する搬送部3を設け、照射部5は、搬送部3により移動するウエーハWの塗布面に紫外線を照射することから、ハンド3aの動作により表面改質のための積算光量を調整することが可能となる。例えば、ハンド3aは照射部5のランプ5aの下方でウエーハWを往復移動させる。これにより、ウエーハWはランプ5aの下を合計2回通過することになり、この2回の通過によって表面改質のために単位面積あたりに必要な所定の積算光量が確保されるので、ウエーハWの塗布面を確実に改質することが可能となり、ウエーハWの塗布面に接着剤を安定して付着させることができる。このように、ウエーハWの塗布品質を向上させることが可能となり、その結果、高品質な半導体装置を製造することができる。
【0172】
また、照射部5は、紫外線を発生させるランプ5aと、そのランプ5aによって発生する紫外線の光量を検出する検出器としてのセンサ5cと、そのセンサ5cによって検出された紫外線の光量に基づいてウエーハWの塗布面に対する照射光量を設定値に維持するように調整する調整手段(例えば、ランプ移動駆動部5b)とを具備することから、照射部5によってウエーハWに照射されるUV光の照射光量が設定値に維持され、照射光量が変動することが抑止されるので、ウエーハWの裏面(塗布面)に対する表面改質を確実に、かつ安定して行うことができる。したがって、ウエーハWの塗布品質を向上させることが可能となり、その結果、高品質な半導体装置を確実に製造することができる。
【0173】
なお、調整手段として、ランプ5aとウエーハWの塗布面との相対間隔を調整するランプ移動駆動部5bを用いた場合には、簡単な構成で照度光量を調整することができ、さらに、その調整の制御を容易にかつ正確に行うことができる。
【0174】
また、ウエーハWが載置され、載置状態のウエーハWを加熱するステージ6aと、そのステージ6aにより加熱された載置状態のウエーハWの塗布領域に向けて接着剤を複数の液滴として吐出する塗布ヘッド6cとを設けることによって、ウエーハWに着弾した液滴はステージ6aから供給される熱により順次乾燥するので、その液滴の均一な乾燥が実現される。したがって、液状の接着剤を用いた場合でも、乾燥装置等への搬送途中で乾燥前の接着剤がウエーハW上で流れて片寄るような接着剤の流動が抑止され、接着剤による塗布膜を所望する膜厚で均一に形成することができる。その結果、接着シートではなく液状の接着剤を用いることが可能になるので、接着シートを用いた場合に比べ、接着剤の材料費の削減及び材料使用効率の向上を実現することができる。さらに、接着シートを用いた場合の剥がれや巻き上げに起因する問題を回避することが可能になるので、高品質な半導体装置を製造することができる。なお、加熱温度としては、接着剤の流動を抑止する温度、例えば、接着剤に含まれる溶剤の気化を促進する温度が用いられる。
【0175】
また、ステージ6aは、載置状態のウエーハWを吸着するための複数の吸着孔51eを有する加熱ステージ51であり、それらの吸着孔51eによる吸着により載置状態のウエーハWを加熱ステージ51に密着させて加熱することから、ウエーハWに着弾した接着剤の液滴は着弾後急速に粘度が増加してその流動が確実に抑制される。これにより、ウエーハW上で付着し合って一体化した接着剤の複数の液滴が濡れ広がることが防止されるので、接着剤による塗布膜の膜厚を所望の厚さに形成すること、および膜厚の均一化を図ることをより確実に実現することができる。
【0176】
また、ウエーハWに向けて接着剤を複数の液滴として吐出する塗布ヘッド6cと、ウエーハWが載置され、塗布ヘッド6cの下方を移動可能なステージ6aと、その塗布ヘッド6cの吐出を安定させる吐出安定部6eとを設け、吐出安定部6eは、塗布ヘッド6cから吐出された液滴を撮像して吐出確認を行う吐出確認部81と、塗布ヘッド6cの吐出面を清掃しかつ濡れた状態にする清掃湿潤部82と、塗布ヘッド6cの総吐出量を確認する吐出量確認部83とを具備している。吐出確認部81により、塗布ヘッド6cの状態が確認され、その状態に問題がある場合にはメンテナンスが行われるので、吐出異常の発生を抑止することが可能となる。また、清掃湿潤部82により、塗布ヘッド6cの吐出面に付着した接着剤が乾燥して凝固物となることなどが防止されるので、吐出曲がりなどの吐出異常の発生を抑止することが可能となる。さらに、吐出確認部83により、液滴の吐出量が確認され、吐出量に問題がある場合にはメンテナンスが行われるので、吐出量異常の発生を抑止することが可能となる。これらのことから、液状の接着剤の安定塗布を実現することができる。その結果、接着シートではなく液状の接着剤を用いることが可能になるので、接着シートを用いた場合に比べ、接着剤の材料費の削減及び材料使用効率の向上を実現することができる。さらに、ウエーハW上に接着剤を塗布するにあたり、塗布ヘッド6のノズルから接着剤が吐出されない吐出不良が防止されるので、ウエーハW上の接着剤を塗布すべき位置に接着剤の液滴を確実に塗布することが可能になるので、高品質な半導体装置を製造することができる。
【0177】
また、吐出確認部81は、塗布ヘッド6cから吐出された液滴を撮像可能に設けられた撮像部81aと、その撮像部81aを退避位置と撮像位置(作業位置)とに昇降させる昇降駆動部81bと、撮像用の照明部81cと、塗布ヘッド6cから吐出された液滴を受ける受け部81dと、照明部81c及び受け部81dを退避位置と作業位置とに昇降させる昇降駆動部81eとを有しており、また、清掃湿潤部82は、上部開口の箱形状の容器82aと、その容器82a内に設けられたワイプ部材82bと、そのワイプ部材82bに溶剤を吹き付けるノズル82cと、容器82aの昇降移動及び吐出面に沿う方向の移動を行う移動駆動部82dとを有しており、吐出量確認部83は、開閉可能なシャッターSを有する箱形状の筐体83aと、計量用の電子天秤83bと、その電子天秤83b上に設けられた計量容器83cと、シャッターSを開閉する開閉駆動部83dと、筐体83aを吐出面に沿う方向に移動させる移動駆動部83eとを有している。これにより、各部の移動によって塗布動作と吐出安定動作とを容易に切り替えることが可能となる。また、吐出された液滴や吹き付けられた溶剤も回収されるので、装置の汚染を防止することが可能となる。また、吐出量の計測も、空気の流動などが無い筐体83a内で行われるので、精度の高い正確な計測を行うことが可能となる。これらのことは確実なメンテナンスの要因となり、液状の接着剤の安定塗布をより確実に実現することができる。
【0178】
また、吐出確認部81は、撮像部81aを退避位置と撮像位置(作業位置)とに昇降させる昇降駆動部81bと、照明部81c及び受け部81dを退避位置と作業位置とに昇降させる昇降駆動部81eとを有しており、撮像部81aをステージ6aの移動領域よりも上側に設定された退避位置に昇降駆動部81bによって退避させ、照明部81c及び受け部81dをステージ6aの移動領域よりも下側に設定された退避位置に昇降駆動部81eによって退避させるようにした。撮像部81aをステージ6aの移動領域の上側に退避させることによって、ステージ6a等の移動によって発生して落下する塵埃や塗布ヘッド6cのノズルから接着剤の液滴を吐出した際に生じて落下するミストなどが撮像部81aのレンズ等に付着することが防止でき、吐出確認の信頼性の向上を図ることができる。また、受け部81dをステージ6aの移動領域の下側に退避させることによって、受け部81dで受けた接着剤が受け部81dからこぼれて落下したとしても、ステージ6aによって移動中のウエーハW上に落下することが防止でき、ウエーハWの塗布面に形成される接着剤膜の品質向上を図ることができる。このように、撮像部81aと受け部81dとをそれぞれ異なる退避位置へ退避させることによって、吐出確認の信頼性の向上を図りつつ、ウエーハWの塗布面に形成される接着剤膜の品質向上を図ることが可能となる。
【0179】
また、清掃湿潤部82は、ワイプ部材82bを容器82aと共に退避位置と作業位置とに昇降移動及びX軸方向移動させる移動駆動部82dを有しており、ワイプ部材82bをステージ6aの移動領域よりも下側に設定された退避位置に昇降駆動部81eによって退避させるようにした。ワイプ部材82bをステージ6aの移動領域よりも下側に退避させることによって、塗布ヘッド6cの吐出面を払拭することでワイプ部材82bに付着した接着剤が落下したとしても、ワイプ部材82bとウエーハWとの間にはステージ6aが介在するので、ワイプ部材82bから落下した接着剤がウエーハWに付着することを確実に防止することができ、塗布ヘッド6cのノズルからの吐出によらない接着剤が付着することによる、ウエーハW上の接着剤層の形成不良や品質低下を防止することができる。
【0180】
また、吐出量確認部83は、計量用の電子天秤83bをY軸方向移動によって退避位置と作業位置とに移動させる移動駆動部83eを有しており、電子天秤83bをステージ6aの移動領域の側方の退避位置に移動駆動部83eによって退避させるようにした。電子天秤83bをY軸方向に水平移動して退避させることから、吐出量確認の際に複数の塗布ヘッド6c間を移動する移動方向と退避位置への移動方向を一致させることができるので、電子天秤の退避に特別な移動機構を負荷する必要がなく、装置構成を簡略化することができる。また、退避位置と作業位置との移動が水平方向に沿うY軸方向だけであるので、移動によって電子天秤が水平に対して傾くことが防止され、電子天秤が水平に対して傾くことに起因する測定精度の低下を極力防止することができ、吐出量の確認を精度良く行うことができる。
【0181】
また、吐出確認部81の受け部81dと清掃湿潤部82のワイプ部材82bとの退避位置を、ステージ6aの移動領域の下側において、ステージ6aの移動方向であるX軸方向に並列するように設定した。具体的には、受け部81dの退避位置を塗布ヘッド6cの直下に設定し、ワイプ部材82bの退避位置を受け部81dの退避位置に対して搬送部3側に隣接する位置に設定した。そのため、退避位置に位置付けられた受け部81dとワイプ部材82bとの間の高さ方向の差を極力無くすことができるので、ステージ6aの移動領域下側における受け部81d及びワイプ部材82bの退避空間の高さを極力小さくすることができる。その結果、装置1の小型化が可能となると共に、ステージ6aの移動高さが高くなることが防止できるので、装置1内におけるウエーハWの搬送高さを全体的に低くすることが可能となり、各部2〜7に作業者の手が届き易く装置全体のメンテナンス性が向上する。
【0182】
また、複数の塗布ヘッド6cのY軸方向における配列長さとほぼ等しい長さを有する吐出確認部81の撮像部81a、照明部81c及び受け部81d並びに清掃湿潤部82のワイプ部材82bの退避方向を上下方向とし、複数の塗布ヘッド6cのY軸方向における配列長さに比べてY軸方向長さが小さい吐出量確認部83の電子天秤83bの退避方向をY軸方向とした。また、吐出確認部81の撮像部81aの退避方向と照明部81c及び受け部81dの退避方向を上方向と下方向に分けた。さらに、吐出確認部81の照明部81c及び受け部81dの退避方向と清掃湿潤部82のワイプ部材82bの退避方向を共にした方向として、両者を退避位置においてX軸方向に並列配置した。このように構成することにより、水平方向へはY軸方向の長さが比較的小さい電子天秤83bのみであるので、水平方向における退避スペースを極力小さくすることができ、また、下方向に退避する照明部81c及び受け部81dとワイプ部材82bが退避位置において並列に位置するので上下方向における退避スペースも極力小さくすることができる。これにより、退避スペースとして装置内に確保するスペースを極力小さくすることができるので、装置の小型化が可能となる。
【0183】
なお、本発明は、前述の実施の形態に限るものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。例えば、前述の実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。また、前述の実施の形態においては、各種の数値を挙げているが、それらの数値は例示であり、限定されるものではない。
【0184】
例えば、前述の実施の形態において、乾燥部7は、ヒータプレート101上にウエーハWを支持してウエーハWに塗布された接着剤を加熱乾燥するものとして説明したが、これに限られるものではなく、ヒータプレート101に代えてウエーハWの支持プレートを設け、温風の供給により接着剤を加熱乾燥したり、ウエーハW周囲の雰囲気温度をヒータなどの加熱手段で加熱して加熱乾燥したり、あるいは、ウエーハW周辺の雰囲気を減圧して減圧乾燥したりしても良い。
【0185】
また、前述の実施の形態において、塗布部6は、塗布ヘッド6cとウエーハWをX軸方向に相対的に移動させながら接着剤を塗布するものとして説明したが、これに限られるものではなく、ライン状に配列された複数の塗布ヘッド6cの下でウエーハWを水平面内で回転させながら接着剤を塗布するようにしても良い。
【0186】
この場合には、ウエーハWが載置されたステージ6aを回転させながらインクジェット式の塗布ヘッド6cによってステージ6a上のウエーハWに接着剤を塗布する。塗布部6の構成は前述の実施の形態と基本的に同じであるが、塗布ヘッド6cは、ウエーハWの直径分の長さをカバーする範囲に配置する必要はなく(前述の実施の形態では、塗布ヘッド6cの数は7つである)、ステージ6aに載置されたウエーハWの中心から外周までの長さをカバーする範囲で配置すれば良い。ただし、前述の実施の形態と同様、ウエーハWの直径部分をカバーする範囲で配置しても構わない。
【0187】
ここで、前述の実施の形態と同様にウエーハWの直径部分をカバーする範囲で塗布ヘッド6cを配置した場合の塗布動作としては、待機位置に位置するステージ6a上にハンド3aによってウエーハWが載置されると、ステージ搬送駆動部6bを駆動させて、ウエーハWの中心が、配列された7つの塗布ヘッド6cのうち中央の塗布ヘッド6cの真下に位置するように、ステージ6aをX軸方向に移動させる。この位置において、回転駆動部52によってステージ6aを一方向に所定の速度で回転させながら、各塗布ヘッド6cのノズルから接着剤を吐出させて、ウエーハWの塗布面に接着剤を塗布する。ウエーハWの塗布面に対する接着剤の塗布が完了したら、ステージ6aの回転を0°(ウエーハWが供給されたときの向き)の向きで停止させ、ステージ6aをステージ搬送駆動部6bの駆動によって待機位置へと移動させる。なお、ウエーハWを回転させながらの接着剤の塗布は、接着剤がウエーハWの塗布面の全体に均一に塗布されるベタ塗布を行う場合に適用することが好ましい。
【0188】
この回転塗布では、ウエーハWの塗布面と塗布ヘッド6cとの相対移動速度が回転中心からの距離が遠いほど大きくなるので、7つの塗布ヘッド6cの各ノズルから同じ吐出量、同じ吐出周期で接着剤を吐出させた場合、回転中心からの距離が遠いほど塗布面に塗布される接着剤の液滴の分布が疎になってしまう。そこで、回転中心からの距離が遠くなるほど単位時間当たりに吐出される接着剤の量を多くし、塗布面上の接着剤の液滴の分布が均一になるように制御を行う。例えば、回転中心からの距離が遠いノズルほど、吐出される接着剤の量が多くなるように吐出量を制御したり、吐出周期が短くなるように制御したりする。
【0189】
特に、塗布ヘッド6cがウエーハWの直径をカバーする範囲で配置されている場合には、ウエーハWの塗布面を回転中心から所定の距離を境にして回転中心側の内側領域と外周側の外側領域との2つの領域に分割し、内側領域に対する接着剤の塗布は、内側領域に対向して位置するノズルのうち、回転中心より右側に位置する半分のノズルを用いて行い、外側領域に対しては、外側領域に対向して位置する全てのノズルを用いて行うようにすると、内側領域に比べて塗布面と塗布ヘッドとの相対移動速度の速い外側領域に多くの接着剤を塗布することができる。
【0190】
また、2つの領域に限らず、径方向に3つ以上の領域に分割しても構わない。この場合、回転中心に対して右側に位置するノズルについては全てのノズルから接着剤を吐出させるようにし、左側に位置するノズルについては回転中心からの距離が遠い領域に対向するノズルのグループ内で接着剤を吐出させるノズルの数が多くなるように制御を行う。例えば、3つの領域に分割した場合、回転中心に対して左側に位置するノズルのうち、内側の領域に対向する複数のノズルのグループからは接着剤を吐出させないように制御を行い、中央の領域に対向するノズルのグループは一つ置きのノズルから接着剤を吐出させるように制御を行い、外側の領域に対向するノズルのグループからは全てのノズルから接着剤を吐出させるように制御を行うという具合である。
【0191】
また、塗布ヘッド6cを保持部材64aに対して水平回転可能に設け、回転中心からの距離に応じて塗布ヘッド6cを水平回転させるようにしても良い。すなわち、回転中心近くでは塗布ヘッド6cをノズルの配列方向がY軸方向に沿うように配置し、回転中心からの距離が遠くなるほどノズルの配列方向がY軸方向に対して大きい角度で交差するように、塗布ヘッド6cを水平回転させて配置する。このようにすることで、Y軸方向におけるノズルの配置間隔が回転中心からの距離が遠くなるほど短くなるので、接着剤の液滴の径方向における配置間隔が外周に向かうにつれて密になり、各ノズルからの接着剤の単位時間当たりの吐出量が同じであっても、塗布面での接着剤の液滴の分布が外周側で疎になることを防止することができる。
【0192】
また、前述の実施の形態のステップ6において説明した塗布部6による接着剤の塗布を以下のように行うことも可能である。すなわち、ウエーハWがダイシング済みのウエーハW等である場合であって、ウエーハW上のチップ毎にその形状(例えば、矩形状)と相似形のパターンで接着剤膜を形成する場合、接着剤の塗布を2回の工程に分けて行う。
【0193】
まず、1回目の工程において、矩形状の塗布領域の外周縁に沿って接着剤を一列、あるいは複数列に塗布する。すなわち、塗布領域の外周に沿って、接着剤の液滴がそれぞれ隣り合う同士がその一部で重なり合うような間隔で塗布を行い、接着剤による枠を形成する。この接着剤の枠は、1列の液滴で形成しても良いし、2列以上の幅で形成しても良いということである。このとき、ステージ6aにおける加熱ステージ51の温度を、ウエーハWに着弾した接着剤の液滴の乾燥がその液滴の全体において直ちに始まり、ここの液滴の濡れ広がりを抑制する高い温度に設定することで、着弾時の接着剤の液滴の塗布高さに近い高さが維持された接着剤の枠、すなわち枠状の接着剤層を塗布領域の外周に沿って形成することができる。
【0194】
なお、1回目の工程において、枠状の接着剤層を形成する際には、塗布領域の外周縁に対して接着剤の液滴の塗布動作を繰り返して行い、既に塗布されて乾燥が開始された接着剤の液滴の上に更に接着剤の液滴を複数回積み重ねて形成し、塗布領域に形成する接着剤層に必要な高さ(厚み)を得るようにすると良い。
【0195】
また、接着剤の液滴をその一部で重なるように塗布したが、最初に接着剤の液滴同士が所定の距離だけ離れるように塗布し、その後の塗布によって、液滴同士の間を埋めるようにしても良い。
【0196】
次に、2回目の工程において、1回目の工程で形成した枠状の接着剤層の内側の領域に、接着剤の液滴を順次塗布する。このとき、ステージ6aにおける加熱ステージ51の温度を、1回目の工程よりも低い温度に設定し、ウエーハW上に着弾した接着剤の液滴が1回目の工程よりも濡れ広がり性を高めるようにする。このようにすることで、今回塗布された接着剤の液滴が1回目の工程で形成された枠状の接着剤層となじみ易くなり、枠状の接着剤層と一体化した接着剤層を形成することができる。
【0197】
このようにした場合、枠状の接着剤層によって形成される接着剤層の外形が規定されるので、チップ上の塗布領域から接着剤層がはみ出すことが防止できる。そのため、ダイシング済みのウエーハW等に接着剤を塗布する場合であっても、ダイシング溝に接着剤がはみ出して塗布されることが防止され、隣り合うチップ同士がはみ出した接着剤によって接着されるといった不具合が防止され、それに起因する不良品の発生を防止できるので、生産性を向上させることができ、好適である。
【0198】
なお、ウエーハWの全面に接着剤をベタ塗布する場合においても、上述と同様に、1回目の工程で、ウエーハW上の塗布領域の外周縁に沿って枠状の接着剤層を形成し、2回目の工程で、枠状の接着剤層の内側の領域に接着剤を塗布するようにしても良い。
【0199】
また、ステージ6aによるウエーハWの加熱温度及び塗布ヘッド6cによる接着剤の吐出を制御する制御部8を備え、制御部8は、ステージ6aによるウエーハWの加熱温度を塗布ヘッド6cによるウエーハW上の塗布領域に対する接着剤の塗布位置に応じて切換えるようにしても良い。これにより、ステージ6aによるウエーハWの加熱温度がステージ6a面内の場所によって異なる場合でも、その温度ムラに起因する乾燥ムラを抑止することが可能となる。これにより、その液滴が均一に乾燥することになるので、接着剤による塗布膜の膜厚の均一化をより確実に実現することができる。
【0200】
特に、制御部8は、ウエーハW上の塗布領域に対する接着剤の塗布を、その外周縁に対する塗布と外周縁の内側の領域に対する塗布とに分けて行うように塗布ヘッド6cによる接着剤の吐出を制御し、外周縁に対して接着剤を塗布するときは外周縁の内側の領域に接着剤を塗布するときよりもステージ6aによるウエーハWの加熱温度が高くなるように制御するようにしても良い。これにより、着弾時の接着剤の液滴の塗布高さに近い高さが維持された接着剤の枠、すなわち枠状の接着剤層を塗布領域の外周に沿って形成することが可能となるので、ウエーハWに着弾した接着剤の液滴の乾燥がその液滴の全体において直ちに始まり、ここの液滴の濡れ広がりを抑制することができる。その結果、接着剤による塗布膜の膜厚の所望膜厚化および均一化をより確実に実現することができる。
【符号の説明】
【0201】
1 半導体装置の製造装置
6a ステージ
6c 塗布ヘッド
51 加熱ステージ
51e 吸着孔
W ウエーハ(塗布対象物)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエーハが載置され、載置状態のウエーハを加熱するステージと、
前記ステージにより加熱された載置状態の前記ウエーハ上の塗布領域に向けて接着剤を複数の液滴として吐出する塗布ヘッドと、
を備えることを特徴とする半導体装置の製造装置。
【請求項2】
前記ステージは、載置状態の前記ウエーハを吸着するための複数の吸着孔を有する加熱ステージであり、前記複数の吸着孔による吸着により載置状態の前記ウエーハを前記加熱ステージに密着させて加熱することを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造装置。
【請求項3】
前記ステージは、埋設された複数のヒータと、前記ウエーハの載置面に対して突没動可能な複数のリフトピンとを有し、
前記複数のリフトピンは、前記複数のヒータの埋設位置を避けて配置されており、
前記複数の吸着孔は、前記複数のヒータの埋設位置および前記複数のリフトピンの配置位置を避けて配置されていることを特徴とする請求項2記載の半導体装置の製造装置。
【請求項4】
前記ステージによる前記ウエーハの加熱温度及び前記塗布ヘッドによる接着剤の吐出を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記ステージによる前記ウエーハの加熱温度を前記塗布ヘッドによる前記ウエーハ上の前記塗布領域に対する接着剤の塗布位置に応じて切換えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一に記載の半導体装置の製造装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記ウエーハ上の前記塗布領域に対する接着剤の塗布を、その外周縁に対する塗布と外周縁の内側の領域に対する塗布とに分けて行うように前記塗布ヘッドによる接着剤の吐出を制御し、前記外周縁に対して接着剤を塗布するときは前記外周縁の内側の領域に接着剤を塗布するときよりも前記ステージによる前記ウエーハの加熱温度が高くなるように制御することを特徴とする請求項4記載の半導体装置の製造装置。
【請求項6】
加熱ステージ上にウエーハを載置する工程と、
前記加熱ステージにより載置状態の前記ウエーハを加熱する工程と、
接着剤を複数の液滴として吐出する塗布ヘッドを用いて、前記加熱ステージにより加熱されている前記ウエーハ上の塗布領域に接着剤を塗布する工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記加熱する工程では、前記加熱ステージに設けられた複数の吸着孔による吸着により載置状態の前記ウエーハを前記加熱ステージに密着させて前記加熱ステージにより加熱することを特徴とする請求項6記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記ウエーハ上の前記塗布領域に対する接着剤の塗布を、その塗布領域の外周縁に対する塗布と外周縁の内側の領域に対する塗布とに分けて行うことを特徴とする請求項6または7記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記外周縁に対して接着剤を塗布するときの前記ウエーハの加熱温度を、前記外周縁の内側の領域に接着剤を塗布するときの前記ウエーハの加熱温度よりも高くすることを特徴とする請求項8記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2011−233577(P2011−233577A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−100034(P2010−100034)
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【出願人】(000002428)芝浦メカトロニクス株式会社 (907)
【Fターム(参考)】